(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】粉体供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/48 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
B65G65/48 G
(21)【出願番号】P 2020178018
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】河野 太軌
(72)【発明者】
【氏名】仲田 翔吾
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-150299(JP,A)
【文献】実開昭49-027877(JP,U)
【文献】実開昭48-078848(JP,U)
【文献】実開昭55-042856(JP,U)
【文献】特開2014-067530(JP,A)
【文献】米国特許第05314090(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30-65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を貯留する内部空間と、前記内部空間から前記粉体を外部に排出する排出口と、を有する貯留槽を備える貯留部と、
外周面が粗面で構成され、前記内部空間と前記外部とにまたがって、前記排出口に回転可能に設けられたローラーと、
前記ローラーの前記外周面に押圧され、弾性を有する多孔質体で構成された押圧部材を有する粉体排出量調整部と、を備えることを特徴とする粉体供給装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、単独気泡を有するものである請求項1に記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記ローラーの外周面の表面粗さRzは、1以上1000以下である請求項1または2に記載の粉体供給装置。
【請求項4】
前記粉体の平均粒径Dは、150μm以上である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【請求項5】
前記押圧部材は、前記ローラーの前記外周面のうち、前記ローラーの中心軸よりも下方側の部分に押圧される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【請求項6】
前記粉体排出量調整部は、前記押圧部材を前記ローラーの前記外周面に向かって付勢する付勢部材を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粉体を散布して対象物に供給する粉体散布装置が知られている。例えば、特許文献1に示す粉体散布装置は、粉体を貯留する粉体貯留槽と、粉体貯留槽に設けられた散布ローラーと、散布ローラーに押し付けられるドクターブレードと、を有する。散布ローラーは、表面に凹凸が形成されており、散布ローラーが回転することにより、凹凸に付着した粉体が粉体貯留槽から排出され、ドクターブレードによって擦り切られ、粉体が落下する。これにより、粉体貯留槽の下方に位置する対象物に粉体が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ドクターブレードの散布ローラーに押し付けられる部分を剛体で構成した場合、粉体の条件によっては、粉体の定量的な供給が難しくなる。さらに、散布ローラーへの抵抗が大きくなり、回転を妨げる恐れがある。一方、ドクターブレードの散布ローラーに押し付けられる部分を軟質な材料で構成した場合、散布ローラーに付着した粉体の擦り切りを良好に行うことができず、定量的な供給が難しくなる。このように、従来では、ドクターブレードの散布ローラーに押し付けられる部分の材質の検討が不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下のものとして実現することが可能である。
【0006】
本発明の粉体供給装置は、粉体を貯留する内部空間と、前記内部空間から前記粉体を外部に排出する排出口と、を有する貯留槽を備える貯留部と、
外周面が粗面で構成され、前記内部空間と前記外部とにまたがって、前記排出口に回転可能に設けられたローラーと、
前記ローラーの前記外周面に押圧され、弾性を有する多孔質体で構成された押圧部材を有する粉体排出量調整部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の粉体供給装置の断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すローラーの一例を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すローラーの一例を示す部分拡大図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す粉体供給装置が備える押圧部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の粉体供給装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
<実施形態>
図1は、本発明の粉体供給装置の断面図である。
図2は、
図1に示すローラーの一例を示す分解斜視図である。
図3は、
図1に示すローラーの一例を示す部分拡大図である。
図4は、
図1に示す粉体供給装置が備える押圧部材の断面図である。
【0010】
なお、以下では、説明の都合上、
図1中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。なお、これらの図において、上側が鉛直方向上側であり、下側が鉛直方向下側である。
【0011】
図1に示すように、粉体供給装置1は、粉体100を貯留する貯留部2と、ローラー3と、粉体排出量調整部4と、を備える。粉体供給装置1は、ローラー3の下方側に位置する対象物に対して粉体100を供給、散布するものである。粉体供給装置1は、例えば、シートを巻き取ったり、積層したりする際に、シート同士の間に供給される剥離剤を散布する装置や、抗菌剤、消臭剤等を供給する装置や、食品を加工する装置として使用することができる。
【0012】
上記対象物としては、特に限定されないが、各種樹脂材料、各種ゴム、各種金属材料で構成されるシートや、石油由来繊維や天然由来繊維等を含むシート等が挙げられる。
【0013】
図1に示すように、貯留部2は、貯留槽21と、貯留槽21内で回転する攪拌部22と、を有する。貯留槽21は、鉛直下方側に開口で構成される排出口23を有する。
【0014】
貯留槽21は、天板211と、筒状の側壁212と、を有する。天板211および側壁212で囲まれた空間が内部空間210である。側壁212は、本実施形態では、四角筒である。ただし、この構成に限定されず、側壁212は、例えば、円筒、三角筒、多角筒等であってもよい。本実施形態では、天板211はスライドさせることによって開閉可能に設けられており、開状態において、粉体100の出し入れを行うことができる。
【0015】
また、側壁212のうち、下方側で、かつ、
図1中左側および右側の部分は、下方に行くにつれて互いに離間距離が小さくなるよう傾斜している。この傾斜した部分の下側の開口が排出口23である。
【0016】
また、粉体100としては、用途によって適宜選択され、例えば、樹脂材料、無機材料、金属材料、天然由来の材料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
樹脂材料としては、特に限定されないが、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6-12、ナイロン6-66等のポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系、側鎖に塩基をもつポリマー等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
無機材料としては、特に限定されないが、結晶性シリカ、非晶性シリカ、および溶融シリカなどのシリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、アルミナ、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、アンチモン酸化物、Eガラス、Dガラス、Sガラス、ゼオライト等が挙げられる。
【0019】
金属材料としては、特に限定されないが、ニッケル、鉄、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、金、銀などの各種金属や、金属合金、金属酸化物、カーボン、グラファイト等が挙げられる。
【0020】
天然由来の材料としては、特に限定されないが、例えば、でんぷん、セルロース、綿、リンター、カボック、亜麻、大麻、ラミー、絹等が挙げられる。
【0021】
また、粉体100の平均粒径D(
図3参照)は、特に限定されないが、1μm以上1000μm以下であるのが好ましく、150μm以上800μm以下であるのがより好ましく、300μm以上500μm以下であるのがさらに好ましい。これにより、本発明の粉体供給装置1の構成によって、より安定的に定量性を確保することができる。
【0022】
なお、粉体100の平均粒径としては、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した体積平均の粒度MVD(Mean Volume Diameter)を用いることができる。レーザー回折・散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置、すなわち、レーザー回折式粒度分布測定装置では、粒度を体積基準で測定することができる。
【0023】
なお、粉体100の形状としては、特に限定されず、球状、鱗片状、針状等、いかなる形状であってもよい。
【0024】
排出口23は、その開口面の平面視で矩形をなしている。なお、開口面とは、
図1中破線で示すように、側壁212の下端を包含する平面のことを言う。
【0025】
攪拌部22は、長尺な板状をなす部材である。攪拌部22は、内部空間210内において、ローラー3の上方に配置されている。また、攪拌部22は、ローラー3から離間して設けられている。攪拌部22は、その中心軸回りに回転することにより、内部空間210内の粉体100を攪拌する。これにより、粉体100にダマが生じるのを防止または抑制することができる。さらに、粉体100のローラー3付近への送り出しを促進することができる。よって、排出口23からの粉体100の排出量を安定させることができる。
【0026】
攪拌部22の回転方向としては、特に限定されないが、ローラー3の回転方向と同じであるのが好ましい。これにより、ローラー3付近で生じた粉体100の流れと、攪拌部22付近で生じた粉体100の流れとが衝突して、攪拌をより効果的に行うことができる。
【0027】
ローラー3は、排出口23を塞ぐように、貯留槽21の内外に跨って設けられている。すなわち、ローラー3は、一部が内部空間210内に位置し、残部が内部空間210の外側、すなわち、貯留槽21の下方に位置している。ローラー3は、円柱状をなし、中心軸O回りに回転する部材である。本実施形態では、ローラー3は時計回りに回転する。
【0028】
ローラー3は、図示しないモーターに接続されており、該モーターに通電することにより、モーターが出力する回転力がローラー3に伝達され、回転する。なお、モーターへの通電条件を変更することにより、ローラー3の回転方向や、ローラー3の回転速度が調整される構成であってもよい。
【0029】
ローラー3の外周面は、粗面である。これにより、内部空間210内の粉体100が、ローラー3の表面の微細凹凸に入り込み、かつ、入り込んだ粉体100に他の粉体100が付着する。その結果、ローラー3の表面に粉体100の塊が付着する。そして、ローラー3が回転することにより、ローラー3に付着した粉体100が内部空間210の外側に移送される。そして、後述する粉体排出量調整部4によって擦り切られ、落下する。
【0030】
JIS B 0601に準拠して測定される、ローラー3の外周面の表面粗さRzは、1以上1000以下であるのが好ましく、100以上900以下であるのがより好ましく、150以上750以下であるのがさらに好ましい。
【0031】
ローラー3の外周面の表面粗さRzを上記数値範囲とすることにより、比較的大きい粒径の粒子、例えば、300μm以上の粒径を有する粒子を、粗面の凹凸の間に収容することができ、粉体100の散布をより効果的に定量的に行うことができる。
【0032】
表面粗さRzが小さすぎると、比較的大きい粉体100を定量的に散布するのが難しくなる。一方、表面粗さRzが大きすぎると、比較的小さい粉体100を定量的に散布するのが難しくなる。
【0033】
具体的には、粉体100の平均粒径Dが、100μm以上300μm未満である場合、ローラー3の外周面の表面粗さRzは、10以上700以下であるのが好ましい。これにより、粉体100の平均粒径Dが上記のような数値範囲である場合において、本発明の効果をより確実に得ることができる。
【0034】
また、粉体100の平均粒径Dが、300μm以上500μm未満である場合、ローラー3の外周面の表面粗さRzは、30以上900以下であるのが好ましい。これにより、粉体100の平均粒径Dが上記のような数値範囲である場合において、本発明の効果をより確実に得ることができる。
【0035】
また、粉体100の平均粒径Dが、500μm以上800μm未満である場合、ローラー3の外周面の表面粗さRzは、50以上1200以下であるのが好ましい。これにより、粉体100の平均粒径Dが上記のような数値範囲である場合において、本発明の効果をより確実に得ることができる。
【0036】
また、ローラー3の回転速度は、特に限定されないが、1rpm以上600rpm以下であるのが好ましく、5rpm以上300rpm以下であるのがより好ましい。これにより、十分な排出量を確保しつつ、粉体100の散布をより効果的に定量的に行うことができる。
【0037】
また、ローラー3の外周面の表面粗さRzと、粉体100の平均粒径Dと、の比Rz/Dは、0.05以上1000以下であるのが好ましく、0.1以上100以下であるのがより好ましい。これにより、十分な排出量を確保しつつ、粉体100の散布をより効果的に定量的に行うことができる。
【0038】
また、ローラー3の外径は、特に限定されないが、例えば、30mm以上1000mm以下であるのが好ましく、50mm以上800mm以下であるのがより好ましい。
【0039】
このようなローラー3の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、各種硬質金属材料や、各種硬質樹脂材料等が挙げられる。
【0040】
また、ローラー3は、例えば、
図2に示す構成や、
図3に示す構成とすることができる。
図2に示す構成では、ローラー3は、芯部31と、芯部31を挿通する網状筒32と、を有する。芯部31は、円柱状をなしている。また、網状筒32は、円筒状のメッシュ部材である。
【0041】
網状筒32は、線状体が編み込まれた構成のものであってもよく、いわゆるパンチングメタルのような多数の貫通孔を形成した構成のものであってもよい。
【0042】
このような構成の場合、メッシュの線径や、目開き、開孔率等を適宜設定することにより、表面粗さRzを適正な値とすることができる。また、網の目の粗さが異なる網状筒32を複数用意し、交換することにより、表面粗さRzを簡単に調整することができる。
【0043】
図3に示す構成では、ローラー3の長手方向に沿って延在する複数の溝33が形成されている。各溝33は、ローラー3の周方向に沿って配置されており、互いに等間隔となっている。また、溝の幅Wとしては、特に限定されないが、例えば、1μm以上1000μm以下とすることができる。
【0044】
このような構成の場合、溝33の幅W、溝33のピッチ等を適宜設定することにより、表面粗さRzを適正な値とすることができる。
【0045】
なお、ローラー3としては、上記のような構成に限定されず、例えば、エンボス加工を施したような構成のものであってもよい。
【0046】
次に、粉体排出量調整部4について説明する。
図1に示すように、粉体排出量調整部4は、押圧部材41と、付勢部材42と、を有し、ローラー3の外周面に付着した粉体100の塊を擦り切ってローラー3から離脱させ、排出量を調整する部材である。
【0047】
押圧部材41は、弾性を有する多孔質体で構成される。また、押圧部材41は、ローラー3の長手方向に沿って、すなわち、中心軸O方向に沿って延在する長尺状をなしている。押圧部材41は、ローラー3の外周面のうち、周方向の一部に接触している。また、押圧部材41が接触している部分は、ローラー3の長手方向に沿って延在している。すなわち、ローラー3は、その長手方向の全域が押圧部材41と接触する。これにより、ローラー3の中心軸O方向の全域において、粉体100が擦り切られることとなる。
【0048】
また、押圧部材41が弾性を有することにより、ローラー3の外周面の湾曲形状に追従して変形することができ、粉体100の粒径の大小にかかわらず、安定して擦り切ることができる。また、押圧部材41を押し付けられたローラー3に過剰に負荷がかかるのを防止することができ、装置を安定して駆動させることができる。
【0049】
また、押圧部材41の弾性率は、特に限定されないが、0.0002GPa以上0.5GPa以下であるのが好ましく、0.001GPa以上0.02GPa以下であるのがより好ましい。これにより、ローラー3の外周面の湾曲形状に追従して変形することができ、粉体100の定量的な供給に寄与する。
【0050】
また、押圧部材41が多孔質体で構成されているため、表面に微細な凹凸が形成されることとなる。これにより、粉体100をより確実に擦り切ることができる。さらに、ローラー3の表面の凹凸の隙間まで入り込んで粉体100を掻き出すことができる。その結果、粉体100の定量的な供給に寄与するとともに、効率よく粉体100の供給を行うことができる。
【0051】
押圧部材41は、
図4に示すように、単独気泡を有するものであってもよく、連続気泡を有するものであってもよいが、単独気泡を有するものであるのが好ましい。これにより、粉体100が押圧部材41の内部に入り込んで、留まってしまうのを防止または抑制することができる。よって、使用を続けた際に、押圧部材41の弾性率が変化してしまうのを防止または抑制することができる。すなわち、使用期間に関わらず、押圧部材41の弾性を十分に維持することができる。
【0052】
なお、押圧部材41が単独気泡を有するものとするか、連続気泡を有するものとするかは、押圧部材41の製造時に構成材料に含有させる発泡剤の量や、製造時の加工温度等の諸条件を調整することにより選択することができる。また、押圧部材41が単独気泡を有するものであるか、連続気泡を有するものであるかは、押圧部材41を水に浸した場合の吸水率を確かめることにより確認できる。単独気泡の押圧部材41はほとんど水分を保持しないため、水分に浸しても押圧部材41の重量がほとんど変化しない。
【0053】
また、押圧部材41の空孔率は、特に限定されないが、10%以上95%以下であるのが好ましく、30%以上90%以下であるのがより好ましい。これにより、押圧部材41の表面粗さを、粉体100の擦り切りに適した値とすることができるとともに、押圧部材41の弾性率を上記数値範囲にしやすくすることができる。
【0054】
気泡の平均径は、特に限定されないが、例えば、10μm以上1000μm以下であるのが好ましく、100μm以上800μm以下であるのがより好ましい。これにより、単独気泡を再現しやすくすることができる。
【0055】
また、押圧部材41は、ローラー3の外周面のうち、ローラー3の中心軸Oよりも下方側の部分に押圧される。これにより、ローラー3のうち、外側に露出した部分において粉体100を擦り切る構成とすることができる。よって、粉体100の供給の定量性をより確実に高めることができる。
【0056】
なお、押圧部材41は、ローラー3の外周面のうち、ローラー3の中心軸Oと同じ高さの部分に押圧される構成であってもよい。
【0057】
また、押圧部材41は、ローラー3の外周面のうち、貯留槽21の外側に露出した部分に押圧される。押圧部材41が、ローラー3の外周面のうち、貯留槽21の内側、または、内側と外側との境界部を押圧する場合に比べて、粉体100が落下する位置を制御しやすくなる。
【0058】
また、押圧部材41は、ローラー3の外周面のうち、貯留槽21の外側に露出した部分において、ローラー3の回転方向後方の部分に押圧される。これにより、ローラー3の外周面が外側に露出すると即座に押圧部材41によって粉体100が擦り切られる。よって、ローラー3の回転中に、ローラー3から不本意に粉体100が剥がれ落ちてしまうことによって定量性が損なわれるのを防止または抑制することができる。
【0059】
このような押圧部材41の構成材料としては、特に限定されず、例えば、セルローススポンジ、ポリビニルアルコールスポンジ、ウレタンフォーム、エチレン-酢酸ビニル共重合体スポンジ、メラミンフォーム、ポリエチレンフォーム等の樹脂系スポンジ、天然ゴムスポンジ、クロロプレンゴムスポンジ、エチレン-プロピレンゴムスポンジ、ブタジエン-アクリロニトリルゴムスポンジ等のゴム系スポンジ等で構成することができる。
【0060】
図1に示すように、付勢部材42は、長尺な板状部材で構成され、側壁212の延長上に設置されている。これにより、付勢部材42の下端部に設置された押圧部材41をローラー3に押し付けることができる。
【0061】
なお、付勢部材42は、省略されていてもよい。この場合、押圧部材41は、側壁212の、排出口23の縁部に固定される。この場合であっても、押圧部材41の弾性力により、ローラー3に押し付けることができる。また、付勢部材42は、板ばねであってもよい。
【0062】
このように、粉体排出量調整部4は、押圧部材41をローラー3の外周面に向かって付勢する付勢部材42を有する。これにより、押圧部材41をローラー3に押し付けることができる。よって、粉体100の排出量の定量性をより確実に発揮することができる。
【0063】
以上説明したように、粉体供給装置1は、粉体100を貯留する内部空間210と、内部空間210から粉体100を外部に排出する排出口23と、を有する貯留槽21を備える貯留部2と、外周面が粗面で構成され、内部空間210と外部とにまたがって、排出口23に回転可能に設けられたローラー3と、ローラー3の外周面に押圧され、弾性を有する多孔質体で構成された押圧部材41を有する粉体排出量調整部4と、を備える。押圧部材41が弾性を有することにより、ローラー3の外周面の湾曲形状に追従して変形することができ、粉体100の粒径の大小にかかわらず、安定して擦り切ることができる。また、押圧部材41が多孔質体で構成されているため、表面の微細な凹凸によって、粉体100をより確実に擦り切ることができる。さらに、ローラー3の表面の凹凸の隙間まで入り込んで粉体100を掻き出すことができる。その結果、粉体100の定量的な供給に寄与するとともに、効率よく粉体100の供給を行うことができる。
【0064】
以上、本発明の粉体供給装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、粉体供給装置を構成する各部、工程は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…粉体供給装置、2…貯留部、3…ローラー、4…粉体排出量調整部、21…貯留槽、22…攪拌部、23…排出口、31…芯部、32…網状筒、33…溝、41…押圧部材、42…付勢部材、100…粉体、210…内部空間、211…天板、212…側壁、D…平均粒径、W…幅、O…中心軸