IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240509BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021093247
(22)【出願日】2021-06-02
(65)【公開番号】P2022185507
(43)【公開日】2022-12-14
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】野田 聡
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-50398(JP,A)
【文献】特開2007-266634(JP,A)
【文献】特開2011-125083(JP,A)
【文献】特開2017-200315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品(305,310)と、
通電と遮断の制御される制御スイッチ(521,522)、前記制御スイッチと前記電気部品それぞれに電気的に接続される複数の第1端子(541,542,543)、複数の前記第1端子に電気的に接続されるとともに前記制御スイッチの搭載される第1導電部(340,350)、および、前記制御スイッチと複数の前記第1端子と前記第1導電部を被覆する第1樹脂部(610)を備える第1モジュール(510)と、
前記電気部品に電気的に接続されるとともに互いに絶縁された複数の第2端子(571,572,573)、複数の前記第2端子のいずれかに電気的に接続されるとともに、互いに絶縁された複数の第2導電部(380,390,395)、および、複数の前記第2端子と複数の前記第2導電部を被覆する第2樹脂部(620)を備える第2モジュール(560)と、
前記第1導電部の前記第1樹脂部から露出した部位と複数の前記第2導電部の前記第2樹脂部から露出した部位それぞれを冷却する冷却器(601)と、を有し、
前記第2モジュールは、スイッチを有さない電気機器。
【請求項2】
電気部品(305,310)と、
通電と遮断の制御される制御スイッチ(521,522)、前記制御スイッチと前記電気部品それぞれに電気的に接続される複数の第1端子(541,542,543)、複数の前記第1端子に電気的に接続されるとともに前記制御スイッチの搭載される第1導電部(340,350)、および、前記制御スイッチと複数の前記第1端子と前記第1導電部を被覆する第1樹脂部(610)を備える第1モジュール(510)と、
前記電気部品に電気的に接続されるとともに互いに絶縁された複数の第2端子(571,572,573)、複数の前記第2端子のいずれかに電気的に接続されるとともに、互いに絶縁された複数の第2導電部(380,390,395)、および、複数の前記第2端子と複数の前記第2導電部を被覆する第2樹脂部(620)を備える第2モジュール(560)と、
前記第1導電部の前記第1樹脂部から露出した部位と複数の前記第2導電部の前記第2樹脂部から露出した部位それぞれを冷却する冷却器(601)と、を有し、
前記第2モジュールは常時、遮断状態に制御された遮断スイッチ(523,524)を有する電気機器。
【請求項3】
前記冷却器は前記第1モジュールと前記第2モジュールの並ぶ並び方向で離間して並ぶとともに、冷媒の通される複数の冷却部(604)を有し、
前記第1モジュールと前記第2モジュールそれぞれが前記並び方向で隣合って並ぶ2つの前記冷却部の間の空隙に1つずつ設けられ、
前記第1導電部の前記第1樹脂部から露出した部位が、複数の前記冷却部のうちの前記第1モジュールと前記並び方向で隣合う1つと熱伝導可能になっており、
前記第2導電部の前記第2樹脂部から露出した部位が、複数の前記冷却部のうちの前記第2モジュールと前記並び方向で隣合う少なくとも1つと熱伝導可能になっている請求項1または2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記第2樹脂部は前記並び方向に並ぶ第2樹脂上面(620b)と第2樹脂下面(620a)を備える第2樹脂面(620a,620b)を有し、
複数の前記第2導電部の少なくとも1つが前記第2樹脂上面と前記第2樹脂下面それぞれから露出され、
複数の前記第2導電部の少なくとも1つが、複数の前記冷却部のうちの前記第2モジュールに前記並び方向で並ぶ2つに、熱伝導可能になっている請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
複数の前記第2導電部それぞれは前記並び方向に並ぶ2つの第2導電主面(381b,382b,391b,392b,396b,397b)を有し、
前記第2樹脂面から少なくとも2つの前記第2導電主面が露出され、
前記第2樹脂面から露出された2つの前記第2導電主面の前記並び方向に直交する平面方向に沿う面積がそれぞれ異なっている請求項4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記電気部品と前記第1端子を電気的に接続する第1接続部(303a)と、
前記電気部品と前記第2端子を電気的に接続する第2接続部(303b)と、を有し、
前記第2接続部の延びる延長方向に直交する方向に沿う断面の断面積が、前記第1接続部の延びる延長方向に直交する方向に沿う断面の断面積よりも大きく、
前記第2接続部の熱抵抗が前記第1接続部の熱抵抗よりも低くなっている請求項3~5のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
前記電気部品と前記第1端子を電気的に接続する第1接続部(303a)と、
前記電気部品と前記第2端子を電気的に接続する第2接続部(303b)と、を有し、
前記第2接続部の延びる延長方向の長さが、前記第1接続部の延びる延長方向の長さよりも短く、
前記第2接続部の熱抵抗が前記第1接続部の熱抵抗よりも低くなっている請求項3~5のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項8】
前記電気部品と前記第1端子を電気的に接続する第1接続部(303a)と、
前記電気部品と前記第2端子を電気的に接続する第2接続部(303b)と、を有し、
前記第2接続部の少なくとも一部に、前記第1接続部よりも熱伝導率の高い異材料が含まれている請求項3~5のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項9】
前記第1モジュール、前記第2モジュール、および、複数の前記冷却部を備えるパワーモジュール(600)と、
前記パワーモジュールと前記電気部品を収納する底部(314)を備えるケース(313)と、を有し、
前記電気部品はコンデンサ(310)と電流センサ(305)を有し、
前記パワーモジュールと前記コンデンサと前記電流センサが前記ケースに収納されている請求項3~請求項8のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項10】
前記並び方向に直交するとともに前記底部に沿う横方向で、前記パワーモジュールが前記コンデンサと前記電流センサの間に位置している請求項9に記載の電気機器。
【請求項11】
前記並び方向に直交するとともに前記底部に沿う横方向で、前記パワーモジュールと前記コンデンサが並び、
前記パワーモジュールおよび前記コンデンサが前記電流センサと前記並び方向で並んでいる請求項9に記載の電気機器。
【請求項12】
前記並び方向と、前記並び方向に直交するとともに前記底部に沿う横方向それぞれに直交する縦方向で、前記パワーモジュールが前記コンデンサと並び、
前記パワーモジュールと前記コンデンサが前記横方向で前記電流センサと並んでいる請求項9に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には半導体モジュール、電流センサ、ダミーモジュール、および、冷却チューブを備える電力変換装置が記載されている。半導体モジュールに電流センサが設けられている。電流センサから配線が延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-125083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダミーモジュールは樹脂部と金属部を有している。樹脂部に配線の一部が被覆されている。樹脂部から金属部の一部が露出されている。樹脂部から露出した金属部が冷却チューブに接触している。
【0005】
電流センサの熱が樹脂部と金属部を介して冷却チューブに放熱されるようになっている。電流センサ(電気部品)の熱が、樹脂部を介在する分、冷却チューブ(冷却器)に放熱されにくくなっている。
【0006】
そこで本開示の目的は、電気部品の熱が冷却器に放熱されやすくなった電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様による電気機器は、
電気部品(305,310)と、
通電と遮断の制御される制御スイッチ(521,522)、制御スイッチと電気部品それぞれに電気的に接続される複数の第1端子(541,542,543)、複数の第1端子に電気的に接続されるとともに制御スイッチの搭載される第1導電部(340,350)、および、制御スイッチと複数の第1端子と第1導電部を被覆する第1樹脂部(610)を備える第1モジュール(510)と、
電気部品に電気的に接続されるとともに互いに絶縁された複数の第2端子(571,572,573)、複数の第2端子のいずれかに電気的に接続されるとともに、互いに絶縁された複数の第2導電部(380,390,395)、および、複数の第2端子と複数の第2導電部を被覆する第2樹脂部(620)を備える第2モジュール(560)と、
第1導電部の第1樹脂部から露出した部位と複数の第2導電部の第2樹脂部から露出した部位それぞれを冷却する冷却器(601)と、を有し、
第2モジュールは、スイッチを有さない。
【0008】
これによれば、電気部品(305,310)の熱が、冷却器(601)に放熱されやすくなっている。
また本開示の別の一態様による電気機器は、
電気部品(305,310)と、
通電と遮断の制御される制御スイッチ(521,522)、制御スイッチと電気部品それぞれに電気的に接続される複数の第1端子(541,542,543)、複数の第1端子に電気的に接続されるとともに制御スイッチの搭載される第1導電部(340,350)、および、制御スイッチと複数の第1端子と第1導電部を被覆する第1樹脂部(610)を備える第1モジュール(510)と、
電気部品に電気的に接続されるとともに互いに絶縁された複数の第2端子(571,572,573)、複数の第2端子のいずれかに電気的に接続されるとともに、互いに絶縁された複数の第2導電部(380,390,395)、および、複数の第2端子と複数の第2導電部を被覆する第2樹脂部(620)を備える第2モジュール(560)と、
第1導電部の第1樹脂部から露出した部位と複数の第2導電部の第2樹脂部から露出した部位それぞれを冷却する冷却器(601)と、を有し、
第2モジュールは常時、遮断状態に制御された遮断スイッチ(523,524)を有する。
【0009】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車載システムを説明する回路図である。
図2】スイッチモジュールを説明する断面図である。
図3】スイッチモジュールを説明する側面図である。
図4】ダミーモジュールを説明する断面図である。
図5】ダミーモジュールを説明する側面図である。
図6】電力変換装置を説明する上面図である。
図7】スイッチモジュールの冷却形態を説明する断面図である。
図8】ダミーモジュールの冷却形態を説明する断面図である。
図9】電力変換装置の変形例を説明する回路図である。
図10】ダミーモジュールの変形例を説明する断面図である。
図11】ダミーモジュールの変形例の冷却形態を説明する断面図である。
図12】ダミーモジュールの変形例を説明する断面図である。
図13】ダミーモジュールの変形例の冷却形態を説明する断面図である。
図14】ダミーモジュールの変形例を説明する側面図である。
図15】ダミーモジュールの変形例を説明する側面図である。
図16】ダミーモジュールの変形例を説明する断面図である。
図17】ダミーモジュールの変形例を説明する側面図である。
図18】電力変換装置の変形例を説明する上面図である。
図19】ダミーモジュールの変形例を説明する断面図である。
図20】電力変換装置の変形例を説明する上面図である。
図21】電力変換装置の変形例を説明する上面図である。
図22】電力変換装置の変形例を説明する上面図である。
図23】電力変換装置の変形例を説明する上面図である。
図24】電力変換装置の変形例を説明する上面図である。
図25】電力変換装置の変形例を説明する上面図である。
図26】電力変換装置の変形例を説明する側面図である。
図27】電力変換装置の変形例を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0012】
また、各実施形態で組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
(第1実施形態)
先ず、図1に基づいて車載システム100を説明する。この車載システム100は電気自動車用のシステムを構成している。車載システム100はバッテリ200、電力変換装置300、回路基板304、および、モータ400を有する。回路基板304にECUやゲートドライバが搭載されている。電力変換装置300は電気機器に相当する。
【0014】
ゲートドライバはECUの信号に基づいて電力変換装置300を制御している。これによりバッテリ200のSOCに応じたモータ400の回生と力行が制御される。SOCはstate of chargeの略である。ECUはelectronic control unitの略である。
【0015】
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。この電池スタックのSOCがバッテリ200のSOCに相当する。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
【0016】
電力変換装置300はバッテリ200とモータ400との間の電力変換を行う。電力変換装置300はバッテリ200の直流電力を交流電力に変換する。電力変換装置300はモータ400の発電(回生)によって生成された交流電力を直流電力に変換する。
【0017】
モータ400は図示しない電気自動車の出力軸に連結されている。モータ400の回転エネルギーは出力軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは出力軸を介してモータ400に伝達される。
【0018】
モータ400は電力変換装置300から供給される交流電力によって力行する。これにより走行輪への推進力の付与が成される。またモータ400は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生によって発生した交流電力は、電力変換装置300によって直流電力に変換される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また直流電力は電気自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
【0019】
<電力変換装置>
電力変換装置300はコンデンサ310と電流センサ305とスイッチモジュール510とダミーモジュール560を有する。電流センサ305とコンデンサ310は電気部品に相当する。スイッチモジュール510が第1モジュールに相当する。ダミーモジュール560が第2モジュールに相当する。
【0020】
バッテリ200に第1給電バスバ301と第2給電バスバ302とが接続されている。第1給電バスバ301と第2給電バスバ302との間にコンデンサ310とスイッチモジュール510とダミーモジュール560が並列接続されている。
【0021】
スイッチモジュール510とダミーモジュール560が出力バスバ440を介してモータ400に接続されている。出力バスバ440に電流センサ305が設けられている。
【0022】
モータ400を力行する場合、ECUからの制御信号によってスイッチモジュール510の備えるハイサイドスイッチとローサイドスイッチそれぞれがPWM制御される。これにより電力変換装置300で3相交流が生成される。スイッチモジュール510の備えるハイサイドスイッチとローサイドスイッチについては後で説明する。
【0023】
モータ400が発電(回生)する場合、ECUは例えば制御信号の出力を停止する。これによりモータ400の発電によって生成された交流電力がスイッチモジュール510の備えるダイオードを通る。この結果、交流電力が直流電力に変換される。スイッチモジュール510の備えるダイオードについては後で説明する。
【0024】
本実施形態では、スイッチモジュール510に含まれるスイッチとしてnチャネル型のIGBTを採用している。ただしこれらスイッチとしては、IGBTではなくMOSFETを採用することもできる。スイッチとしてMOSFETを採用する場合、上記のダイオードはなくともよい。
【0025】
これらスイッチは、Siなどの半導体、および、SiCなどのワイドギャップ半導体によって製造することができる。半導体素子の構成材料としては特に限定されない。
【0026】
<スイッチモジュール>
スイッチモジュール510はU相スイッチモジュール511、V相スイッチモジュール512、および、W相スイッチモジュール513を有する。以下、適宜、これらに共通する構成を説明するために、U相スイッチモジュール511~W相スイッチモジュール513を区別なくスイッチモジュール510と示す。
【0027】
スイッチモジュール510は、2つのスイッチ、2つのダイオード、3つの端子、および、図示しない複数の第1信号端子を有する。
【0028】
スイッチモジュール510はスイッチとして、第1ハイサイドスイッチ521と第1ローサイドスイッチ522を有する。第1ハイサイドスイッチ521と第1ローサイドスイッチ522が制御スイッチに相当する。
【0029】
スイッチモジュール510はダイオードとして第1ハイサイドダイオード521aと第1ローサイドダイオード522aを有する。
【0030】
スイッチモジュール510は3つの端子として第1正極端子541と第1負極端子542と第1出力端子543を有する。なお、第1正極端子541、第1負極端子542、および、第1出力端子543が第1端子に相当する。
【0031】
第1ハイサイドスイッチ521のコレクタ電極である第1コレクタ電極531に第1ハイサイドダイオード521aのカソード電極が接続されている。第1ハイサイドスイッチ521のエミッタ電極である第1エミッタ電極532に第1ハイサイドダイオード521aのアノード電極が接続されている。これにより第1ハイサイドスイッチ521に第1ハイサイドダイオード521aが逆並列接続されている。
【0032】
第1ローサイドスイッチ522のコレクタ電極である第2コレクタ電極533に第1ローサイドダイオード522aのカソード電極が接続されている。第1ローサイドスイッチ522のエミッタ電極である第2エミッタ電極534に第1ローサイドダイオード522aのアノード電極が接続されている。これにより第1ローサイドスイッチ522に第1ローサイドダイオード522aが逆並列接続されている。
【0033】
第1コレクタ電極531に第1正極端子541が接続されている。第2エミッタ電極534に第1負極端子542が接続されている。第1エミッタ電極532と第2コレクタ電極533の中点に第1出力端子543が接続されている。
【0034】
そして第1正極端子541が第1給電バスバ301に接続されている。第1負極端子542が第2給電バスバ302に接続されている。第1出力端子543が出力バスバ440に接続されている。
【0035】
また第1ハイサイドスイッチ521の第1ゲート電極に複数の図示しない第1信号端子が接続されている。第1ローサイドスイッチ522の第2ゲート電極に複数の図示しない第2信号端子が接続されている。複数の第1信号端子と複数の第2信号端子が回路基板304に搭載されたECUやゲートドライバに電気的に接続されている。
【0036】
<スイッチモジュールの機械的構成>
以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、および、z方向とする。図面においてx方向が横方向に相当する。y方向が並び方向に相当する。z方向が縦方向に相当する。y方向に直交する方向が平面方向に相当する。図面においては「方向」の記載を省略している。
【0037】
また図面においてはバッテリ200を「BATT」と省略して示している。回路基板304を「CB」と省略して示している。
【0038】
スイッチモジュール510はこれまでに説明した構成要素の他に、第1半導体基板321、第2半導体基板331、第1通電部340、第2通電部350、第1ターミナル322、第2ターミナル332、第1被覆樹脂610、および、はんだ700を有する。なお第1通電部340と第2通電部350は第1導電部に相当する。
【0039】
<第1半導体基板>
第1半導体基板321とは第1ハイサイドスイッチ521と第1ハイサイドダイオード521aの形成される基板のことである。第1半導体基板321はシリコン、シリコンよりもバンドギャップが広いワイドバンドギャップ半導体などから形成されている。
【0040】
図2に示すように第1半導体基板321はy方向に厚さの薄い扁平形状を成している。第1半導体基板321はy方向に並ぶ第1基板下面321aと第1基板上面321bを有する。
【0041】
第1半導体基板321の第1基板下面321aには、第1コレクタ電極531が設けられている。第1コレクタ電極531は、第1ハイサイドダイオード521aのカソード電極を兼ねている。
【0042】
第1半導体基板321の第1基板上面321bには、第1エミッタ電極532と第1ゲート電極とが設けられている。第1エミッタ電極532は、第1ハイサイドダイオード521aのアノード電極を兼ねている。第1ゲート電極は例えばトレンチゲート構造を成している。図示しないが第1ゲート電極は第1半導体基板321に埋め込まれている。
【0043】
第1基板上面321bには上記した第1エミッタ電極532と第1ゲート電極の他に、複数のパッドが設けられている。複数のパッドは第1エミッタ電極532とz方向で並ぶ態様で第1基板上面321bのz方向の端にまとめて設けられている。
【0044】
複数のパッドが複数の第1信号端子のそれぞれに電気的に接続されている。複数の第1信号端子が回路基板304に向かって延びている。複数の第1信号端子が回路基板304に設けられたECUやゲートドライバに電気的に接続されている。回路基板304に設けられたECUやゲートドライバによって第1ハイサイドスイッチ521の通電と遮断が制御されている。
【0045】
以下、第1半導体基板321と第1コレクタ電極531と第1エミッタ電極532と第1ゲート電極を併せて第1半導体チップ320と示す。
【0046】
<第2半導体基板>
第2半導体基板331とは第1ローサイドスイッチ522と第1ローサイドダイオード522aの形成される基板のことである。第2半導体基板331はシリコン、シリコンよりもバンドギャップが広いワイドバンドギャップ半導体などから形成されている。
【0047】
図2に示すように第2半導体基板331はy方向に厚さの薄い扁平形状を成している。第2半導体基板331はy方向に並ぶ第2基板下面331aと第2基板上面331bを有する。
【0048】
第2半導体基板331の第2基板下面331aには、第2コレクタ電極533が設けられている。第2コレクタ電極533は、第1ローサイドダイオード522aのカソード電極を兼ねている。
【0049】
第2半導体基板331の第2基板上面331bには、第2エミッタ電極534と図示しない第2ゲート電極とが設けられている。第2エミッタ電極534は、第1ローサイドダイオード522aのアノード電極を兼ねている。第2ゲート電極は例えばトレンチゲート構造を成している。図示しないが第2ゲート電極は第2半導体基板331に埋め込まれている。
【0050】
第2基板上面331bには上記した第2エミッタ電極534と第2ゲート電極の他に、複数のパッドが設けられている。複数のパッドは第2エミッタ電極534とz方向で並ぶ態様で第2基板上面331bのz方向の端にまとめて設けられている。
【0051】
複数のパッドが複数の第2信号端子それぞれに電気的に接続されている。複数の第2信号端子が回路基板304に向かって延びている。複数の第2信号端子が回路基板304に設けられたECUやゲートドライバに電気的に接続されている。回路基板304に設けられたECUやゲートドライバによって第1ローサイドスイッチ522の通電と遮断が制御されている。
【0052】
以下、第2半導体基板331と第2コレクタ電極533と第2エミッタ電極534と第2ゲート電極を併せて第2半導体チップ330と示す。
【0053】
<第1通電部>
図2に示すように第1通電部340は第1通電下部341と第1通電上部342を有している。第1通電下部341と第1通電上部342それぞれは銅などを含む金属部材から構成されている。第1通電下部341と第1通電上部342それぞれはy方向に厚さの薄い扁平形状を成している。
【0054】
第1通電下部341はy方向に並ぶ第1通電下搭載面341aと第1通電下露出面341bを有する。第1通電上部342はy方向に並ぶ第1通電上搭載面342aと第1通電上露出面342bを有する。
【0055】
第1通電下部341にはこれまでに説明した第1正極端子541が連結されている。
【0056】
<第2通電部>
第2通電部350は第2通電下部351と第2通電上部352を有している。第2通電下部351と第2通電上部352それぞれは銅などを含む金属部材から構成されている。第2通電下部351と第2通電上部352それぞれはy方向に厚さの薄い扁平形状を成している。
【0057】
第2通電下部351はy方向に並ぶ第2通電下搭載面351aと第2通電下露出面351bを有する。第2通電上部352はy方向に並ぶ第2通電上搭載面352aと第2通電上露出面352bを有する。
【0058】
第2通電下部351にはこれまでに説明した第1出力端子543が連結されている。第2通電上部352にはこれまでに説明した第1負極端子542が連結されている。
【0059】
<第1ターミナル>
第1ターミナル322は銅などの金属を含む形成材料で形成されたブロック体である。第1ターミナル322が第1通電下部341と第1通電上部342の間に設けられている。
【0060】
<第2ターミナル>
第2ターミナル332は銅などの金属を含む形成材料で形成されたブロック体である。第2ターミナル332が第2通電下部351と第2通電上部352の間に設けられている。
【0061】
<スイッチモジュールの積層構造>
図2に示すように第1通電下部341と第2通電下部351はx方向に離間する態様で並んでいる。
【0062】
第1通電下部341の第1通電下搭載面341aにはんだ700が設けられている。はんだ700に第1コレクタ電極531が接触する態様で、第1半導体チップ320が第1通電下部341に搭載されている。
【0063】
第1半導体チップ320の第1エミッタ電極532にはんだ700が設けられている。はんだ700に接触する態様で、第1ターミナル322が第1半導体チップ320に搭載されている。
【0064】
第1ターミナル322の第1半導体チップ320からy方向で離間した側の部位にはんだ700が設けられている。第1ターミナル322に設けられたはんだ700に接触する態様で、第1通電上部342が第1ターミナル322に搭載されている。
【0065】
同様に第2通電下部351の第2通電下搭載面351aにはんだ700が設けられている。はんだ700に第2コレクタ電極533が接触する態様で、第2半導体チップ330が第2通電下部351に搭載されている。
【0066】
第2半導体チップ330の第2エミッタ電極534にはんだ700が設けられている。はんだ700に接触する態様で、第2ターミナル332が第2半導体チップ330に搭載されている。
【0067】
第2ターミナル332の第2半導体チップ330からy方向で離間した側の部位にはんだ700が設けられている。第2ターミナル332に設けられたはんだ700に接触する態様で、第2通電上部352が第2ターミナル332に搭載されている。
【0068】
また第1通電上部342には第2通電上部352に向かって延びる第1継手部343が形成されている。第2通電下部351には第1通電上部342に向かって延びる第2継手部353が形成されている。第1継手部343と第2継手部353がはんだ700を介して電気的および機械的に接続されている。
【0069】
<第1被覆樹脂>
第1被覆樹脂610は、たとえばエポキシ系樹脂を材料と樹脂部材である。第1被覆樹脂610はトランスファモールド法により成形されている。第1被覆樹脂610にこれまでに説明した構成要素の一部が被覆されている。第1被覆樹脂610が第1樹脂部に相当する。
【0070】
図2および図3に示すように、第1被覆樹脂610は略矩形状を成している。第1被覆樹脂610は、y方向に並ぶ第1樹脂下面610aと第1樹脂上面610bとこれらを連結する4つの連結面を有する。
【0071】
第1樹脂下面610aから第1通電下露出面341bと第2通電下露出面351bが露出されている。第1樹脂上面610bから第1通電上露出面342bと第2通電上露出面352bが露出されている。
【0072】
図3に示すように4つの連結面のうちの一つから第1正極端子541と第1負極端子542と第1出力端子543それぞれの一部が露出されている。第1正極端子541と第1負極端子542と第1出力端子543が第1通電部340側から第2通電部350側に向かって順に並んでいる。
【0073】
4つの連結面のうちのこれらの端子が露出される側からz方向に離間した側の面から図示しない複数の第1信号端子と図示しない複数の第2信号端子の一部が露出されている。
【0074】
<スイッチモジュールの伝熱>
これまでに説明したようにスイッチモジュール510に第1半導体チップ320と第2半導体チップ330が含まれている。第1半導体チップ320に含まれる第1ハイサイドスイッチ521と第2半導体チップ330に含まれる第1ローサイドスイッチ522それぞれは回路基板304のECUやゲートドライバによって通電と遮断が制御されている。U相スイッチモジュール511~W相スイッチモジュール513間に電流が連続して流れることでU相スイッチモジュール511~W相スイッチモジュール513それぞれが発熱しやすくなっている。
【0075】
上記したように第1正極端子541が第1給電バスバ301に接続されている。第1負極端子542が第2給電バスバ302に接続されている。第1出力端子543が出力バスバ440に接続されている。第1給電バスバ301と第2給電バスバ302にコンデンサ310が接続されている。出力バスバ440に電流センサ305が設けられている。
【0076】
そのためにスイッチモジュール510の熱がコンデンサ310と電流センサ305に熱伝導可能になっている。コンデンサ310と電流センサ305が熱くなりやすくなっている。
【0077】
<ダミーモジュール>
ダミーモジュール560はU相ダミーモジュール561、V相ダミーモジュール562、および、W相ダミーモジュール563を有する。以下、適宜、これらに共通する構成を説明するために、U相ダミーモジュール561~W相ダミーモジュール563を区別なくダミーモジュール560と示す。
【0078】
図4および図5に示すように、ダミーモジュール560は3つの端子、第3通電部380、第4通電部390、第3ターミナル384、第4ターミナル394、はんだ700、およびこれらを被覆する第2被覆樹脂620と、を有する。なお、第2被覆樹脂620は第2樹脂部に相当する。なお、第3通電部380と第4通電部390は第2導電部に相当する。第3通電部380と第4通電部390の他に後述する第5通電部395も第2導電部に相当する。
【0079】
ダミーモジュール560は3つの端子として、第2正極端子571と、第2負極端子572と、第2出力端子573を有する。第2正極端子571と、第2負極端子572と、第2出力端子573それぞれは互いに絶縁されている。第2正極端子571、第2負極端子572、および、第2出力端子573は第2端子に相当する。
【0080】
<第3通電部>
第3通電部380は第3通電下部381と第3通電上部382を有している。第3通電下部381と第3通電上部382それぞれは銅などを含む金属部材から構成されている。第3通電下部381と第3通電上部382それぞれはy方向に厚さの薄い扁平形状を成している。
【0081】
第3通電下部381はy方向に並ぶ第3通電下搭載面381aと第3通電下露出面381bを有する。第3通電上部382はy方向に並ぶ第3通電上搭載面382aと第3通電上露出面382bを有する。
【0082】
第3通電下部381にはこれまでに説明した第2正極端子571が連結されている。
【0083】
<第4通電部>
第4通電部390は第4通電下部391と第4通電上部392を有している。第4通電下部391と第4通電上部392それぞれは銅などを含む金属部材から構成されている。第4通電下部391と第4通電上部392それぞれはy方向に厚さの薄い扁平形状を成している。
【0084】
第4通電下部391はy方向に並ぶ第4通電下搭載面391aと第4通電下露出面391bを有する。第4通電上部392はy方向に並ぶ第4通電上搭載面392aと第4通電上露出面392bを有する。
【0085】
第4通電下部391にはこれまでに説明した第2出力端子573が連結されている。第4通電上部392にはこれまでに説明した第2負極端子572が連結されている。
【0086】
<第3ターミナル>
第3ターミナル384は第2被覆樹脂620と同材料から形成される略直方体のブロック体である。なお、第3ターミナル384は第2被覆樹脂620と同材料でなくてもよい。第3ターミナル384は絶縁部材であればよい。
【0087】
第3ターミナル384が第3通電下部381と第3通電上部382の間に設けられている。これによって第3通電下部381と第3通電上部382の絶縁が保たれている。
【0088】
<第2ブロック>
第4ターミナル394は第2被覆樹脂620と同材料から形成される略直方体のブロック体である。なお、第4ターミナル394は第2被覆樹脂620と同材料でなくてもよい。第4ターミナル394は絶縁部材であればよい。
【0089】
第4ターミナル394が第4通電下部391と第4通電上部392の間に設けられている。これによって第4通電下部391と第4通電上部392の絶縁が保たれている。
【0090】
<第2正極端子、第2負極端子、および、第2出力端子>
上記したように、第3通電下部381と第3通電上部382の絶縁が保たれている。第4通電下部391と第4通電上部392の絶縁が保たれている。
【0091】
そのために第2正極端子571、第2負極端子572、および、第2出力端子573それぞれが互いに絶縁されている。
【0092】
図4に示すように第3通電下部381と第4通電下部391はx方向に離間する態様で並んでいる。
【0093】
第3通電下部381の第3通電下搭載面381aに第3ターミナル384が搭載されている。
【0094】
第3ターミナル384の第3通電下部381からy方向で離間した側に第3通電上部382が搭載されている。
【0095】
同様に第4通電下部391の第4通電下搭載面391aに第4ターミナル394が搭載されている。
【0096】
第4ターミナル394の第4通電下部391からy方向で離間した側の部位に第4通電上部392が搭載されている。
【0097】
また第3通電上部382に第4通電上部392に向かって延びる第3継手部383が形成されている。第4通電下部391に第3通電上部382に向かって延びる第4継手部393が形成されている。第3継手部383と第4継手部393がはんだ700を介して電気的および機械的に接続されている。
【0098】
<第2被覆樹脂>
第2被覆樹脂620は、たとえばエポキシ系樹脂を材料とする樹脂部材である。第2被覆樹脂620はトランスファモールド法により成形されている。第2被覆樹脂620にこれまでに説明した構成要素の一部が被覆されている。
【0099】
図4および図5に示すように、第2被覆樹脂620は略矩形状を成している。第2被覆樹脂620は、y方向に並ぶ第2樹脂下面620aと第2樹脂上面620bとこれらを連結する4つの連結面を有する。第2樹脂下面620aと第2樹脂上面620bが第2樹脂面に相当する。
【0100】
第2樹脂下面620aから第3通電下露出面381bと第4通電下露出面391bが露出されている。第1樹脂上面610bから第3通電上露出面382bと第4通電上露出面392bが露出されている。なお、第3通電下露出面381b、第3通電上露出面382b、第4通電下露出面391b、および、第4通電上露出面392bが第2導電主面に相当する。これらの面に加えて後述の第5通電下部396bおよび第5通電上部397bも第2導電主面に相当する。
【0101】
4つの連結面のうちの一つから第2正極端子571と第2負極端子572と第2出力端子573それぞれの一部が露出されている。第2正極端子571と第2負極端子572と第2出力端子573が第3通電部380側から第4通電部390側に向かって順に並んでいる。
【0102】
<ダミーモジュールの伝熱>
これまでに説明したように第2正極端子571、第2負極端子572、および、第2出力端子573それぞれは互いに絶縁されている。第2正極端子571は第3通電下部381に電気的に接続されている。第2負極端子572は第4通電上部392に電気的に接続されている。第2出力端子573は第3通電上部382と第4通電下部391に電気的に接続されている。
【0103】
第2正極端子571は第3通電下部381に熱伝導可能になっている。第2負極端子572は第4通電上部392に熱伝導可能になっている。第2出力端子573は第3通電上部382と第4通電下部391に熱伝導可能になっている。
【0104】
また第2正極端子571が第1給電バスバ301に接続されている。第2負極端子572が第2給電バスバ302に接続されている。第2出力端子573が出力バスバ440に接続されている。第1給電バスバ301と第2給電バスバ302にコンデンサ310が接続されている。出力バスバ440に電流センサ305が設けられている。
【0105】
上記したようにコンデンサ310と電流センサ305が熱くなりやすくなっている。コンデンサ310の熱が第2正極端子571を介して第3通電下部381に熱伝導可能になっている。コンデンサ310の熱が第2負極端子572を介して第4通電上部392に熱伝導可能になっている。電流センサ305の熱が第2出力端子573を介して第3通電上部382と第4通電下部391に熱伝導可能になっている。
【0106】
<コンデンサ>
コンデンサ310は2つの電極を有している。コンデンサ310の備える2つの電極のうちの1つが第1給電バスバ301の一端に接続されている。第1給電バスバ301の他端が第1正極端子541と第2正極端子571それぞれに接続されている。
【0107】
コンデンサ310の備える2つの電極のうちの残りの1つが第2給電バスバ302の一端に接続されている。第2給電バスバ302の他端が第1負極端子542と第2負極端子572それぞれに接続されている。
【0108】
<出力バスバと電流センサ>
出力バスバ440はU相バスバ410とV相バスバ420とW相バスバ430を有する。図6に示すようにU相バスバ410~W相バスバ430それぞれが出力端子に向かって延びている。
【0109】
U相バスバ410の一端がU相スイッチモジュール511の第1出力端子543とU相ダミーモジュール561の第2出力端子573に接続されている。V相バスバ420の一端がV相スイッチモジュール512の第1出力端子543とV相ダミーモジュール562の第2出力端子573に接続されている。W相バスバ430の一端がW相スイッチモジュール513の第1出力端子543とW相ダミーモジュール563の第2出力端子573に接続されている。
【0110】
U相バスバ410の他端がモータ400のU相ステータコイルに接続されている。V相バスバ420の他端がモータ400のV相ステータコイルに接続されている。W相バスバ430の他端がモータ400のW相ステータコイルに接続されている。
【0111】
そして出力バスバ440に出力バスバ440に流れる電流を検出するための電流センサ305が設けられている。電流センサ305は第1電流センサ306と第2電流センサ307と第3電流センサ308を有している。
【0112】
U相バスバ410にU相バスバ410に流れる電流を検出するための第1電流センサ306が設けられている。V相バスバ420にV相バスバ420に流れる電流を検出するための第2電流センサ307が設けられている。W相バスバ430にW相バスバ430に流れる電流を検出するための第3電流センサ308が設けられている。
【0113】
<電力変換装置の機械的構成>
電力変換装置300はこれまでに説明した構成要素の他に冷却器601と絶縁板605とケース313とコンデンサケース311と電流センサケース309を有する。ケース313とコンデンサケース311と電流センサケース309については後で説明する。
【0114】
図6に示すように冷却器601は供給管602、排出管603、および、複数の中継管604を有する。供給管602と排出管603は複数の中継管604を介して連結されている。供給管602に冷媒が供給される。この冷媒は複数の中継管604を介して供給管602から排出管603へと流れる。なお中継管604は冷却部に相当する。
【0115】
供給管602と排出管603はy方向に延びている。供給管602と排出管603はx方向で離間している。供給管602の延長方向の端に冷媒の供給される供給口602aが設けられている。排出管603の延長方向の端に冷媒の排出される排出口603aが設けられている。複数の中継管604それぞれは供給管602から排出管603に向かってx方向に沿って延びている。複数の中継管604はy方向に離間している。隣合う2つの中継管604の間に空隙が構成されている。
【0116】
図6に示すように冷却器601には計6個の空隙が構成されている。これら6個の空隙それぞれにU相スイッチモジュール511、U相ダミーモジュール561、V相スイッチモジュール512、V相ダミーモジュール562、W相スイッチモジュール513、および、W相ダミーモジュール563が個別に設けられている。
【0117】
6個の空隙のうちの最も供給口602aと排出口603a側の空隙にU相スイッチモジュール511が設けられている。U相スイッチモジュール511の隣の空隙にU相ダミーモジュール561が設けられている。U相ダミーモジュール561の隣の空隙にV相スイッチモジュール512が設けられている。V相スイッチモジュール512の隣の空隙にV相ダミーモジュール562が設けられている。V相ダミーモジュール562の隣の空隙にW相スイッチモジュール513が設けられている。W相スイッチモジュール513の隣の空隙にW相ダミーモジュール563が設けられている。なお、スイッチモジュール510とダミーモジュール560の配置の順番は上記の順番に限定されない。
【0118】
空隙への配置についてスイッチモジュール510に関して言えば、図7に示すように隣合う2つの中継管604のうちの供給口602aと排出口603a側の1つに第1樹脂下面610aが対向している。隣合う2つの中継管604のうちの供給口602aと排出口603a側から離間した側の1つに第1樹脂上面610bが対向している。
【0119】
そのために、スイッチモジュール510から露出される第1正極端子541、第1負極端子542、および、第1出力端子543が供給管602から排出管603に向かって順に並んでいる。
【0120】
空隙への配置についてダミーモジュール560に関して言えば、図8に示すように隣合う2つの中継管604のうちの供給口602aと排出口603a側の1つに第2樹脂下面620aが対向している。隣合う2つの中継管604のうちの供給口602aと排出口603a側から離間した側の1つに第2樹脂上面620bが対向している。
【0121】
そのために、ダミーモジュール560から露出される第2正極端子571、第2負極端子572、および、第2出力端子573が供給管602から排出管603に向かって順に並んでいる。
【0122】
また図7に示すように中継管604と第1樹脂下面610aの間に、中継管604とスイッチモジュール510の絶縁性を保持するための絶縁板605が設けられている。中継管604と第1樹脂上面610bの間に、中継管604とスイッチモジュール510の絶縁性を保持するための絶縁板605が設けられている。なお、図7においてははんだ700の記載を省略している。
【0123】
同様に図8に示すように中継管604と第2樹脂下面620aの間に、中継管604とダミーモジュール560の絶縁性を保持するための絶縁板605が設けられている。中継管604と第2樹脂上面620bの間に、中継管604とダミーモジュール560の絶縁性を保持するための絶縁板605が設けられている。
【0124】
絶縁板605は第1被覆樹脂610および第2被覆樹脂620それぞれよりも熱伝導率の高い材料から形成されている。絶縁板605として例えば窒化アルミなどのセラミックが適用される。なお絶縁板605はセラミックに限定されない。
【0125】
スイッチモジュール510の第1通電上露出面342bと第2通電上露出面352bと第1通電下露出面341bと第2通電下露出面351bそれぞれが絶縁板605と接触している。また絶縁板605は複数の中継管604それぞれにも接触している。
【0126】
ダミーモジュール560の第3通電上露出面382b、第4通電上露出面392b、第3通電下露出面381b、第4通電下露出面391bそれぞれが絶縁板605と接触している。また絶縁板605は複数の中継管604それぞれにも接触している。
【0127】
これによってスイッチモジュール510がスイッチモジュール510とy方向で隣合う中継管604に熱伝導可能になっている。第1通電下露出面341bと第2通電下露出面351bが供給口602aおよび排出口603a側の中継管604に熱伝導可能になっている。第1通電上露出面342bと第2通電上露出面352bが供給口602aおよび排出口603aから離間した側の中継管604に熱伝導可能になっている。
【0128】
ダミーモジュール560がダミーモジュール560とy方向で隣合う中継管604に熱伝導可能になっている。第3通電下露出面381bと第4通電下露出面391bが供給口602aおよび排出口603a側の中継管604に熱伝導可能になっている。第3通電上露出面382bと第4通電上露出面392bが供給口602aおよび排出口603aから離間した側の中継管604に熱伝導可能になっている。
【0129】
<ケースとコンデンサケースと電流センサケース>
次にケース類について説明する。コンデンサケース311はコンデンサ310を収納するためのケースである。コンデンサケース311にはコンデンサ310の他に第1給電バスバ301の一部と第2給電バスバ302の一部が収納されている。
【0130】
電流センサケース309は電流センサ305を収納するためのケースである。電流センサケース309には第1電流センサ306~第3電流センサ308の他に、U相バスバ410の一部とV相バスバ420の一部とW相バスバ430の一部が収納されている。
【0131】
ケース313はスイッチモジュール510とダミーモジュール560と絶縁板605の収納された冷却器601とコンデンサケース311と電流センサケース309を収納する筐体である。なお、以下説明を簡便とするためにスイッチモジュール510とダミーモジュール560と絶縁板605の収納された冷却器601をまとめてパワーモジュール600と示す。
【0132】
図6に示すようにケース313はz方向に厚さの薄い底部314と、底部314の内底面314aの縁部からz方向に環状に起立した側部315と、を有する。
【0133】
側部315はy方向で互いに離間して対向する第1側壁316と第3側壁318、および、x方向で互いに離間して対向する第2側壁317と第4側壁319を有する。
【0134】
第1側壁316、第2側壁317、第3側壁318、第4側壁319はz方向に周方向で順に環状に連結されている。底部314と側部315によって区画された収納空間にパワーモジュール600とコンデンサケース311と電流センサケース309が収納されている。
【0135】
図6に示すようにコンデンサケース311は収納空間の第2側壁317側に配置されている。電流センサケース309は収納空間の第4側壁319側に配置されている。パワーモジュール600がコンデンサケース311と電流センサケース309の間に配置されている。言い換えればパワーモジュール600がコンデンサ310と電流センサ305の間に配置されている。
【0136】
また冷却器601の供給管602と排出管603が第1側壁316に通されている。供給管602は排出管603よりも第2側壁317側に位置している。排出管603は供給管602よりも第4側壁319側に位置している。
【0137】
上記したようにコンデンサ310の備える2つの電極のうちの1つに第1給電バスバ301の一端が接続されている。第1給電バスバ301の他端がコンデンサケース311からパワーモジュール600に向かって延びている。
【0138】
図6に示すように第1給電バスバ301は他端側に複数の第1正極給電端子301aと第2正極給電端子301bを有している。第1正極給電端子301aが第1正極端子541に接続されている。第2正極給電端子301bが第2正極端子571に接続されている。
【0139】
上記したようにコンデンサ310の備える2つの電極のうちの残りの1つに第2給電バスバ302の一端が接続されている。第2給電バスバ302の他端がコンデンサケース311からパワーモジュール600に向かって延びている。
【0140】
図6に示すように第2給電バスバ302は他端側に複数の第1負極給電端子302aと第2負極給電端子302bを有している。第1負極給電端子302aが第1負極端子542に接続されている。第2負極給電端子302bが第2負極端子572に接続されている。
【0141】
また図6に示すように電流センサケース309からU相バスバ410とV相バスバ420とW相バスバ430それぞれの一部が露出している。電流センサケース309から露出したU相バスバ410とV相バスバ420とW相バスバ430それぞれはパワーモジュール600に向かって延びている。
【0142】
U相バスバ410はパワーモジュール600側に第1U相端子410aと第2U相端子410bを有している。V相バスバ420はパワーモジュール600側に第1V相端子420aと第2V相端子420bを有している。W相バスバ430はパワーモジュール600側に第1W相端子430aと第2W相端子430bを有している。
【0143】
第1U相端子410aがU相スイッチモジュール511の第1出力端子543に接続されている。第1V相端子420aがV相スイッチモジュール512の第1出力端子543に接続されている。第1W相端子430aがW相スイッチモジュール513の第1出力端子543に接続されている。
【0144】
また第2U相端子410bがU相ダミーモジュール561の第2出力端子573に接続されている。第2V相端子420bがV相ダミーモジュール562の第2出力端子573に接続されている。第2W相端子430bがW相ダミーモジュール563の第2出力端子573に接続されている。
【0145】
以下、説明を簡便とするために第1U相端子410a、第1V相端子420a、および、第1W相端子430aを区別せず第1接続端子440aと示す。第2U相端子410b、第2V相端子420b、および、第2W相端子430bを区別せず第2接続端子440bと示す。
【0146】
(第2実施形態)
図9図11に示すようにダミーモジュール560に第3半導体基板361を含む第3半導体チップ360と第4半導体基板371を含む第4半導体チップ370が含まれていても良い。第3半導体チップ360には第2ハイサイドスイッチ523が含まれている。第4半導体チップ370には第2ローサイドスイッチ524が含まれている。第2ハイサイドスイッチ523と第2ローサイドスイッチ524は遮断スイッチに相当する。
【0147】
<第3半導体基板>
第3半導体基板361とは第2ハイサイドスイッチ523と第2ハイサイドダイオード523aの形成される基板のことである。
【0148】
第3半導体基板361はy方向に厚さの薄い扁平形状を成している。第3半導体基板361はy方向に並ぶ第3基板下面361aと第3基板上面361bを有する。
【0149】
第3半導体基板361の第3基板下面361aには、第3コレクタ電極535が設けられている。第3コレクタ電極535は、第2ハイサイドダイオード523aのカソード電極を兼ねている。
【0150】
第3半導体基板361の第3基板上面361bには、第3エミッタ電極536と図示しない第3ゲート電極とが設けられている。第3エミッタ電極536は、第2ハイサイドダイオード523aのアノード電極を兼ねている。
【0151】
第3基板上面361bには上記した第3エミッタ電極536と第3ゲート電極の他に、複数のパッドが設けられている。複数のパッドは第3エミッタ電極536とz方向で並ぶ態様で第3基板上面361bのz方向の端にまとめて設けられている。
【0152】
複数のパッドが図示しない複数の第3信号端子それぞれに電気的に接続されている。複数の第3信号端子が回路基板304に向かって延びている。複数の第3信号端子が回路基板304に設けられたECUやゲートドライバに電気的に接続されている。回路基板304に設けられたECUやゲートドライバによって第2ハイサイドスイッチ523が常時、遮断状態になるように制御されている。
【0153】
以下、第3半導体基板361と第3コレクタ電極535と第3エミッタ電極536と第3ゲート電極を併せて第3半導体チップ360と示す。
【0154】
<第4半導体基板>
第4半導体基板371とは第2ローサイドスイッチ524と第2ローサイドダイオード524aの形成される基板のことである。
【0155】
第4半導体基板371はy方向に厚さの薄い扁平形状を成している。第4半導体基板371はy方向に並ぶ第4基板下面371aと第4基板上面371bを有する。
【0156】
第4半導体基板371の第4基板下面371aには、第4コレクタ電極537が設けられている。第4コレクタ電極537は、第2ローサイドダイオード524aのカソード電極を兼ねている。
【0157】
第4半導体基板371の第4基板上面371bには、第4エミッタ電極538と図示しない第4ゲート電極とが設けられている。第4エミッタ電極538は、第2ローサイドダイオード524aのアノード電極を兼ねている。
【0158】
第4基板上面371bには上記した第4エミッタ電極538と第4ゲート電極の他に、複数のパッドが設けられている。複数のパッドは第4エミッタ電極538とz方向で並ぶ態様で第4基板上面371bのz方向の端にまとめて設けられている。
【0159】
複数のパッドが図示しない複数の第4信号端子それぞれに電気的に接続されている。複数の第4信号端子が回路基板304に向かって延びている。複数の第4信号端子が回路基板304に設けられたECUやゲートドライバに接続されている。回路基板304に設けられたECUやゲートドライバによって第2ローサイドスイッチ524が常に遮断されるように制御されている。
【0160】
以下、第4半導体基板371と第4コレクタ電極537と第4エミッタ電極538と第4ゲート電極を併せて第4半導体チップ370と示す。
【0161】
<ダミーモジュールの積層構造>
図10に示すようにダミーモジュール560はスイッチモジュール510と同様の構造を成している。
【0162】
第3通電下部381と第4通電下部391はx方向に離間して並んでいる。
【0163】
第3通電下部381に第3半導体チップ360が搭載されている。第3半導体チップ360に金属製の第3ターミナル384が搭載されている。第3ターミナル384に第3通電上部382が搭載されている。これらそれぞれははんだ700を介して接続されている。なお、第3ターミナル384は金属製でなくてもよい。
【0164】
第4通電下部391に第4半導体チップ370が搭載されている。第4半導体チップ370に金属製の第4ターミナル394が搭載されている。第4ターミナル394に第4通電上部392が搭載されている。これらそれぞれははんだ700を介して接続されている。なお、第4ターミナル394は金属製でなくてもよい。
【0165】
また第3継手部383と第4継手部393がはんだ700を介して電気的および機械的に接続されている。
【0166】
この場合においても第2正極端子571と第2負極端子572と第2出力端子573それぞれは互いに絶縁されている。第2正極端子571が第3通電下部381に熱伝導可能に接続されている。第2負極端子572が第4通電上部392に熱伝導可能に接続されている。第2出力端子573が第3通電上部382と第4通電下部391に熱伝導可能に接続されている。
【0167】
コンデンサ310の熱が第3通電下部381と第4通電上部392を介して中継管604に放熱されやすくなっている。電流センサ305の熱が第3通電上部382と第4通電下部391を介して中継管604に放熱されやすくなっている。
【0168】
<作用効果>
これまでに説明したようにスイッチモジュール510には第1半導体チップ320と第2半導体チップ330が含まれている。第1半導体チップ320の第1ハイサイドスイッチ521と第2半導体チップ330の第1ローサイドスイッチ522それぞれの通電と遮断が回路基板304によって制御されている。U相スイッチモジュール511~W相スイッチモジュール513間に電流が連続して流れることでスイッチモジュール510それぞれが発熱しやすくなっている。
【0169】
上記したように第1正極端子541が第1正極給電端子301aに接続されている。第1負極端子542が第1負極給電端子302aに接続されている。第1出力端子543が第1接続端子440aに接続されている。
【0170】
そのためにスイッチモジュール510の熱が第1正極給電端子301aと第1負極給電端子302aを介してコンデンサ310に熱伝導可能になっている。スイッチモジュール510の熱が第1接続端子440aを介して電流センサ305に熱伝導可能になっている。これによりコンデンサ310と電流センサ305が熱くなりやすくなっている。
【0171】
上記したように第2正極端子571が第2正極給電端子301bに接続されている。第2負極端子572が第2負極給電端子302bに接続されている。第2出力端子573が第2接続端子440bに接続されている。
【0172】
上記したように第2正極端子571には第3通電下部381が電気的に接続されている。第2負極端子572には第4通電上部392が電気的に接続されている。第2出力端子573には第3通電上部382と第4通電下部391が電気的に接続されている。第2正極端子571と第2負極端子572と第2出力端子573それぞれは互いに絶縁されている。
【0173】
上記したようにダミーモジュール560は隣合う中継管604の間の空隙に設けられている。第3通電下部381と第3通電上部382を備える第3通電部380と、第4通電下部391と第4通電上部392を備える第4通電部390それぞれが中継管604に熱伝導可能になっている。
【0174】
そのためにコンデンサ310の熱が第3通電下部381と第4通電上部392を介して中継管604に放熱されやすくなっている。電流センサ305の熱が第3通電上部382と第4通電下部391を介して中継管604に放熱されやすくなっている。コンデンサ310の熱と電流センサ305の熱それぞれが冷却器601に放熱されやすくなっている。
【0175】
これまでに説明したように中継管604と第2樹脂下面620aの間および中継管604と第2樹脂上面620bの間に第1被覆樹脂610および第2被覆樹脂620よりも熱伝導率の高い絶縁板605が設けられている。
【0176】
中継管604と第2樹脂下面620aの間の絶縁板605が、第3通電下露出面381b、第4通電下露出面391b、および、中継管604と接触している。中継管604と第2樹脂上面620bの間の絶縁板605が、第3通電上露出面382b、第4通電上露出面392b、および、中継管604と接触している。そのためにスイッチモジュール510の熱が中継管604に放熱されやすくなっている。
【0177】
これまでに説明したようにケース313の収納空間にパワーモジュール600とコンデンサケース311と電流センサケース309が収納されている。パワーモジュール600が、第2側壁317と第4側壁319の並ぶx方向でコンデンサケース311と電流センサケース309の間に配置されている。パワーモジュール600とコンデンサ310と電流センサ305が近接しているためにインダクタンスが低減されやすくなっている。第電力変換時の損失が低減されやすくなっている。さらに車両における、z方向に狭く、xy方向に広い空間に電力変換装置300が搭載されやすくなっている。
【0178】
(変形例1)
図12および図13に示すように第3通電下部381と第3通電上部382が一体になって略直方体形状を成す第3通電部380になっていてもよい。第4通電下部391と第4通電上部392が一体になって略直方体形状を成す第4通電部390になっていてもよい。そのために第3通電部380と第4通電部390それぞれが絶縁されていてもよい。
【0179】
そして第3通電部380が第2樹脂下面620aと第2樹脂上面620bそれぞれから露出されていてもよい。第4通電部390が第2樹脂下面620aと第2樹脂上面620bそれぞれから露出されていてもよい。なお、第3通電部380と第4通電部390のどちらか一方が第2樹脂下面620aと第2樹脂上面620bそれぞれから露出されていてもよい。
【0180】
図13に示すように、第3通電部380に第2正極端子571が接続されている。第4通電部390に第2負極端子572が接続されている。
【0181】
その場合、コンデンサ310の熱が第2樹脂下面620a側に配置された中継管604と第2樹脂上面620b側に配置された中継管604それぞれに放熱されやすくなっている。
【0182】
なお、図14に示すように第4通電部390に第2負極端子572ではなく第2出力端子573が接続されていてもよい。また図示しないが第2正極端子571のみが第3通電部380に接続されていてもよい。第2負極端子572のみが第4通電部390に接続されていてもよい。第2出力端子573のみが第4通電部390に接続されていてもよい。
【0183】
(変形例2)
図15および図16に示すように第2正極端子571と第2負極端子572と第2出力端子573それぞれが互いに絶縁された異なる通電部に接続されていてもよい。第2出力端子573が第3通電部380および第4通電部390と絶縁された第5通電部395に接続されていてもよい。
【0184】
第5通電部395もまた略直方体形状を成していてもよい。図16に示すように第5通電部395はy方向に離間して並ぶ第5通電下部396bと第5通電上部397bを有する。第5通電下部396bが第2樹脂下面620aから露出されていてもよい。第5通電上部397bが第2樹脂上面620bから露出されていてもよい。
【0185】
(変形例3)
図17に示すように第3通電部380の第2樹脂下面620aから露出したx方向とz方向に沿う第1面積と、第4通電部390の第2樹脂下面620aから露出したx方向とz方向に沿う第2面積とが同一でなくてもよい。なお、図示しないが、第3通電下部381の第2樹脂下面620aから露出したx方向とz方向に沿う第1面積と、第4通電下部391の第2樹脂下面620aから露出したx方向とz方向に沿う第2面積とが同一でなくてもよい。第1面積と第2面積のどちらが大きくてもよい。
【0186】
図17に示すように第3通電部380に第2負極端子572が接続され、第1面積が第2面積よりも大きい場合、コンデンサ310の熱が第3通電部380を介して中継管604に放熱されやすくなっている。
【0187】
なお、第4通電部390に第2出力端子573が接続され、第2面積が第2樹脂下面620aから露出した第1面積がよりも大きい場合、電流センサ305の熱が第4通電部390を介して中継管604に放熱されやすくなっている。当然ながら第3通電部380に第2正極端子571が接続されていてもよい。
【0188】
なお、図示しないが第3通電部380の第2樹脂上面620bから露出したx方向とz方向に沿う第3面積と、第4通電部390の第2樹脂上面620bから露出したx方向とz方向に沿う第4面積とが同一でなくてもよい。図示しないが第3通電上部382の第2樹脂上面620bから露出したx方向とz方向に沿う第3面積と、第4通電上部392の第2樹脂上面620bから露出したx方向とz方向に沿う第4面積とが同一でなくてもよい。第3面積と第4面積のどちらが大きくてもよい。
【0189】
さらに、第1面積と第2面積を合算した第5面積と、第3面積と第4面積を合算した第6面積とが同一でなくてもよい。複数の中継管604のうち最も供給口602aおよび排出口603a側に位置する中継管604に流れる冷媒の温度は低くなりやすくなっている。ダミーモジュール560が供給口602aと排出口603a側の端の中継管604と隣の中継管604の間の空隙に設けられていた場合、第5面積が第6面積よりも小さければ、ダミーモジュール560から均等に2つの中継管604に放熱されやすくなる。なお、第5面積と第6面積のどちらが大きくてもよい。
【0190】
(変形例4)
y方向に並ぶ複数の中継管604の端側の中継管604とその隣の中継管604との間の空隙にダミーモジュール560が設けられていても良い。y方向に並ぶ複数の中継管604のうちの端側に位置する中継管604は空気にさらされやすくなっている。そのためにy方向に並ぶ複数の中継管604のうちの端側に位置する中継管604に流れる冷媒の温度が低くなりやすくなっている。
【0191】
特に図18に示すようにダミーモジュール560が供給口602aおよび排出口603a側の端の中継管604と隣の中継管604との間の空隙に設けられていた場合、ダミーモジュール560が中継管604に放熱されやすくなっている。
【0192】
図示しないがy方向に並ぶ複数の中継管604の供給口602aおよび排出口603aから最も離間した側の中継管604とその隣の中継管604との間の空隙にダミーモジュール560が設けられていても良い。その場合でも、ダミーモジュール560が中継管604に放熱されやすくなっている。
【0193】
(変形例5)
図19に示すように第3半導体チップ360の第2ハイサイドスイッチ523と第4半導体チップ370の第2ローサイドスイッチ524が常時遮断されていれば、第3通電上部382と第4通電上部392が一体になっていてもよい。その場合においても第2正極端子571と第2負極端子572と第2出力端子573それぞれの絶縁性が保たれている。
【0194】
(変形例6)
図20および図21に示すように第1接続端子440aそれぞれはx方向にスイッチモジュール510に向かって延びている。第2接続端子440bそれぞれはx方向にダミーモジュール560に向かって延びている。第1接続端子440aのx方向に直交するy方向とz方向に沿う第1断面の断面積が、第2接続端子440bのx方向に直交するy方向とz方向に沿う第2断面の断面積よりも小さくなっていてもよい。言い換えれば、第2接続端子440bのx方向に直交するy方向とz方向に沿う第2断面の断面積が、第1接続端子440aのx方向に直交するy方向とz方向に沿う第1断面の断面積より大きくなっていてもよい。第2接続端子440bの熱抵抗が第1接続端子440aの熱抵抗よりも低くなっている。第1接続端子440aを介して電流センサ305に熱が伝熱されにくくなっている。第2接続端子440bを介して電流センサ305の熱が中継管604に放熱されやすくなっている。
【0195】
第1正極給電端子301aはx方向にスイッチモジュール510に向かって延びている。第2正極給電端子301bはx方向にダミーモジュール560に向かって延びている。第1正極給電端子301aのx方向に直交するy方向とz方向に沿う第3断面の断面積が、第2正極給電端子301bのx方向に直交するy方向とz方向に沿う第4断面の断面積よりも小さくなっていてもよい。言い換えれば、第2正極給電端子301bのx方向に直交するy方向とz方向に沿う第4断面が、第1正極給電端子301aのx方向に直交するy方向とz方向に沿う第3断面の断面積より大きくなっていてもよい。そのために第2正極給電端子301bの熱抵抗が第1正極給電端子301aの熱抵抗よりも低くなっている。第1正極給電端子301aを介してコンデンサ310に熱が伝熱されにくくなっている。第2正極給電端子301bを介してコンデンサ310の熱が中継管604に放熱されやすくなっている。
【0196】
同様に第1負極給電端子302aはx方向にスイッチモジュール510に向かって延びている。第2負極給電端子302bはx方向にダミーモジュール560に向かって延びている。第1負極給電端子302aのx方向に直交するy方向とz方向に沿う第5断面の断面積が、第2負極給電端子302bのx方向に直交するy方向とz方向に沿う第6断面の断面積よりも小さくなっていてもよい。言い換えれば、第2負極給電端子302bのx方向に直交するy方向とz方向に沿う第6断面の断面積が、第1負極給電端子302aのx方向に直交するy方向とz方向に沿う第5断面の断面積より大きくなっていてもよい。そのために第2負極給電端子302bの熱抵抗が第1負極給電端子302aの熱抵抗よりも低くなっている。第1負極給電端子302aを介してコンデンサ310に熱が伝熱されにくくなっている。第2負極給電端子302bを介してコンデンサ310の熱が中継管604に放熱されやすくなっている。
【0197】
なお、第1U相端子410aと第2U相端子410bは分離していても分離していなくても良い。第1V相端子420aと第2V相端子420bは分離していても分離していなくても良い。第1W相端子430aと第2W相端子430bは分離していても分離していなくても良い。
【0198】
以下説明を簡便とするために第1正極給電端子301a、第1負極給電端子302a、および、第1接続端子440aを区別なく第1接続部303aと示す。第2正極給電端子301b、第2負極給電端子302b、および、第2接続端子440bを区別なく第2接続部303bと示す。第2接続部303bの少なくとも1つが第1接続部303aの少なくとも1つよりも熱抵抗が低くなっていればよい。
【0199】
(変形例7)
図22に示すように第2接続端子440bの延長方向の長さが、第1接続端子440aの延長方向の長さよりも短くなっていてもよい。そのために第2接続端子440bの熱抵抗が第1接続端子440aの熱抵抗よりも低くなっている。第1接続端子440aを介して電流センサ305に熱が伝熱されにくくなっている。第2接続端子440bを介して電流センサ305の熱が中継管604に放熱されやすくなっている。
【0200】
(変形例8)
図23に示すように第2接続部303bの形成材料に、第1接続部303aの形成材料よりも熱伝導率の高い異材料が含まれていても良い。なお、図面においては形成材料の違いをハッチングの違いで示している。
【0201】
(変形例9)
図24に示すようにパワーモジュール600とコンデンサケース311がx方向で並び、パワーモジュール600およびコンデンサケース311と電流センサケース309がy方向で並んでいても良い。言い換えれば、パワーモジュール600とコンデンサ310がx方向で並び、パワーモジュール600およびコンデンサ310と電流センサ305がy方向で並んでいても良い。その場合、車両におけるx方向とy方向とz方向に狭い空間に電力変換装置300が搭載されやすくなっている。
【0202】
なお、図面においては第1給電バスバ301、第2給電バスバ302、および、出力バスバ440の記載を省略している。なお、図24においてはケース313の記載を省略している。
【0203】
(変形例10)
図25および図26に示すようにパワーモジュール600とコンデンサケース311がz方向で並び、パワーモジュール600およびコンデンサケース311と電流センサケース309がx方向で並んでいても良い。言い換えればパワーモジュール600とコンデンサ310がz方向で並び、パワーモジュール600およびコンデンサ310と電流センサ305がx方向で並んでいても良い。その場合、車両における、x方向に狭い空間に電力変換装置300が搭載されやすくなっている。なお、図25および図26においてはケース313の記載を省略している。
【0204】
なお、図面においては第1給電バスバ301、第2給電バスバ302、および、出力バスバ440の記載を省略している。特に第1給電バスバ301が図25および図26に示すバスバモジュール450にまとめられていてもよい。
【0205】
バスバモジュール450は図25および図26に示すようにパワーモジュール600の電流センサケース309から離間した側の、コンデンサケース311よりもパワーモジュール600側の位置に設けられる。
【0206】
(変形例11)
図27に示すように、電力変換装置300にはパワーモジュール600に第3側壁318に向かって付勢力を付与するバネ800が設けられていてもよい。その場合バネ800は第1側壁316と供給口602aおよび排出口603a側の中継管604の間に設けられ、バネ800が第1側壁316と中継管604それぞれに接触していてもよい。
【0207】
また図27に示すように第3側壁318の一部がパワーモジュール600側に突起していてもよい。パワーモジュール600の第3側壁318側の中継管604が第3側壁318の突起した部位に接触していてもよい。
【0208】
本変形例の構造を採用することにより、パワーモジュール600の熱をバネ800の両側からケース313に放熱可能になっている。
【0209】
具体的には、パワーモジュール600の熱がバネ800を介して第1側壁316に放熱可能になっている。同時にパワーモジュール600がバネ800によって第3側壁318側へ押され、第3側壁318に中継管604が接触することで、パワーモジュール600の熱が第3側壁318に放熱可能になっている。
【0210】
また図示しないがコンデンサ310などの電気部品をパワーモジュール600よりも第3側壁318側に配置した場合、バネ800を第1側壁316側に移動させたことにより、パワーモジュール600と電気部品とを接続するバスバを短くすることができる。その結果、パワーモジュール600と電気部品との間のバスバのインダクタンスを低減することができるようになっている。
【0211】
(その他の変形例)。
本実施形態では電力変換装置300が電気自動車用の車載システム100に含まれる例を示した。しかしながら電力変換装置300の適用としては特に上記例に限定されない。例えばモータ400と内燃機関を備えるハイブリッドシステムに電力変換装置300が含まれる構成を採用することもできる。
【0212】
本実施形態では電力変換装置300に1つのモータ400の接続される例を示した。しかしながら電力変換装置300に複数のモータ400の接続される構成を採用することもできる。この場合、電力変換装置300はインバータを構成するための3相のスイッチモジュール510を複数有する。
【0213】
本実施形態でパワーモジュール600に3つのスイッチモジュール510と3つのダミーモジュール560を備える例を示した。しかしながらパワーモジュール600に3つのスイッチモジュール510と少なくとも1つのダミーモジュール560が備えられていても良い。またスイッチモジュール510とダミーモジュール560が異なる冷却器601に収納されていてもよい。冷却器601は冷媒によるものでなくてもよい。空冷によってスイッチモジュール510とダミーモジュール560が冷却されていてもよい。スイッチモジュール510とダミーモジュール560のどちらか一方だけが空冷によって冷却されていてもよい。
【符号の説明】
【0214】
303a…第1接続部、303b…第2接続部、305…電流センサ、310…コンデンサ、314…底部、315…ケース、340…第1通電部、350…第2通電部、380…第3通電部、381b…第3通電下露出面、382b…第3通電上露出面、390…第4通電部、391b…第4通電下露出面、392b…第4通電上露出面、395…第5通電部、396b…第5通電下部、397b…第5通電上部、510…スイッチモジュール、521…第1ハイサイドスイッチ、522…第1ローサイドスイッチ、523…第2ハイサイドスイッチ、524…第2ローサイドスイッチ、541…第1正極端子、542…第1負極端子、543…第1出力端子、560…ダミーモジュール、571…第2正極端子、572…第2負極端子、573…第2出力端子、600…パワーモジュール、601…冷却器、604…中継管、610…第1被覆樹脂、620…第2被覆樹脂、620a…第2樹脂下面、620b…第2樹脂上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27