(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240509BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
H04N5/64 571A
(21)【出願番号】P 2021112139
(22)【出願日】2021-07-06
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金本 武夫
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-029005(JP,A)
【文献】特開2005-242104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0009914(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0261033(US,A1)
【文献】特開2016-139318(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0147264(US,A1)
【文献】特開2003-316274(JP,A)
【文献】特開2014-154931(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105116591(CN,A)
【文献】中国実用新案第209388616(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K35/00-37/06
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00
H04N5/64-5/655
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H05K5/00-5/06
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ(4)と、
前記ディスプレイが貼り付けられ、前記ディスプレイの表示面を覆う透明カバー(2)と、
前記透明カバーが取り付けられるフレーム部材(7)と、
前記透明カバーを前記フレーム部材に接着する接着材(3)と、
前記フレーム部材が取り付けられ、前記フレーム部材の外周をなす辺のうち少なくとも一辺を除く一部または全部を囲むケース(8)と、を備え、
前記フレーム部材は、前記透明カバーと向き合う一面(7a)の側に前記透明カバーの外郭に沿って突出し、前記透明カバーと当接する外周リブ(71)を有すると共に、前記ケースよりも剛性が高い剛性部材で構成されており、
前記接着材は、前記フレーム部材のうち前記外周リブよりも内側の領域に配置されており、
前記フレーム部材の外周をなす辺のうち前記一辺と対向する辺を対向辺として、前記ケースは、前記フレーム部材の前記対向辺の端面(7c)が挿入される挿入溝(81)を有する、表示装置。
【請求項2】
前記ケースは、前記フレーム部材の外周をなす辺のうち前記一辺および前記対向辺とは異なる平行な二辺が挿入されるスライド溝(83)を有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記フレーム部材は、前記一面とは反対側の他面(7b)の側に突起部(74、75)を有しており、
前記ケースは、前記フレーム部材の前記他面と向き合う底面に係合穴(85)を有し、
前記突起部は、前記係合穴に挿入され、前記フレーム部材と係合している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記フレーム部材および前記ケースは、湾曲形状であり、
前記透明カバーおよび前記ディスプレイは、前記フレーム部材の湾曲形状に追従した曲面形状である、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記透明カバーは、厚みが1mm以下の薄膜ガラスであって、前記フレーム部材に接着される前においては平板状である、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイが厚み1mm以下のガラス製のカバーで覆われ、当該カバーが筐体に取り付けられた表示装置が知られている。この種のガラス製のカバーは、平板状のガラス板から切断プロセスにより所定のサイズに切り出されるため、切断端面である縁部分に微小な傷が生じ、縁部分を起点に割れが生じるおそれがある。このガラス製のカバーにおける割れを抑制可能な表示装置として、例えば、特許文献1に記載のものが提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の表示装置は、ディスプレイが筐体に収納され、ディスプレイを覆うガラス製のカバーが接着剤を介して枠体状のブラケットに接着され、ブラケットが筐体に取り付けられた構造となっている。この表示装置は、ブラケットのうちカバーを支持する部分が剛性材料で構成されると共に、カバーと当該支持する部分との間に弾性のある接着剤が配置されることで、カバーの縁部分から破損が生じることを抑制可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この表示装置は、ブラケットのうちカバーの額縁となる部分がカバーの外表面と共に1つの面をなす構成であるため、ブラケットとカバーとの間に配置された接着剤が当該1つの面の側にはみ出し、意匠性が損なわるおそれがある。また、この表示装置は、ブラケットに何らかの物体が衝突した場合、カバーとは反対側にブラケットが撓み、カバーの端面がブラケットの撓みに追従して変形し、破損が生じるおそれもある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑み、ディスプレイを覆うカバーを取り付けるための接着剤が外部にはみ出すことによる意匠性の低下を抑制しつつ、カバーが取り付けられる部材の撓みおよびこれに起因するカバーの破損を抑制可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の表示装置は、ディスプレイ(4)と、ディスプレイが貼り付けられ、ディスプレイの表示面を覆う透明カバー(2)と、透明カバーが取り付けられるフレーム部材(7)と、透明カバーをフレーム部材に接着する接着材(3)と、フレーム部材が取り付けられ、フレーム部材の外周をなす辺のうち少なくとも一辺を除く一部または全部を囲むケース(8)と、を備え、フレーム部材は、透明カバーと向き合う一面(7a)の側に透明カバーの外郭に沿って突出し、透明カバーと当接する外周リブ(71)を有すると共に、ケースよりも剛性が高い剛性部材で構成されており、接着材は、フレーム部材のうち外周リブよりも内側の領域に配置されており、フレーム部材の外周をなす辺のうち一辺と対向する辺を対向辺として、ケースは、フレーム部材の対向辺の端面(7c)が挿入される挿入溝(81)を有する。
【0008】
この表示装置は、ディスプレイが透明カバーに貼り付けられ、透明カバーが接着材によりフレーム部材に接着されると共に、フレーム部材がケースに取り付けられてなる。そして、フレーム部材のうち透明カバー側の一面には、透明カバーの外郭に沿って突出しつつ、透明カバーに当接する外周リブが設けられる共に、外周リブよりも内側に接着材が配置されている。そのため、接着材により透明カバーをフレーム部材に貼り付けた際に、接着材が外周リブに堰き止められ、外部にはみ出さず、外部から接着材が見えない構造となり、意匠性が良好な表示装置となる。
【0009】
また、この表示装置は、フレーム部材のうちケースに囲まれない一辺と対向する対向辺として、ケースの挿入溝に、ケースよりも剛性が高い剛性部材で構成されたフレーム部材の対向辺が挿入されている。そのため、ケースに何らかの物体が衝突した場合であっても、ケースの挿入溝に挿入されたフレーム部材の一部によりケースの変形が抑制され、ひいては透明カバーの端部の変形が抑制され、透明カバーの破損を抑制することができる。
【0010】
よって、この表示装置は、透明カバーから接着材がはみ出すことにより意匠性の低下が抑制されつつも、透明カバーが取り付けられる部材の撓みに起因する透明カバーの破損を抑制可能な構造となっている。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の表示装置を示す正面図である。
【
図2】
図1中のII-II間の断面構成を示す断面図である。
【
図3】透明カバーおよびディスプレイを取り付ける前のフレーム部材を示す図である。
【
図4】
図1中のIV-IV間の断面構成を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態の表示装置の製造工程のうちケースへのフレーム部材の取り付け工程を示す図である。
【
図6A】
図2に相当する図であって、比較例の表示装置を示す断面図である。
【
図6B】比較例の表示装置に物体が衝突した場合における透明カバーの変形および傷の発生の一例を示す断面図である。
【
図7】第1実施形態の表示装置に物体が衝突した場合の様子を示す断面図である。
【
図8】第2実施形態の表示装置を示す斜視図である。
【
図9】
図8中のIX-IX間の断面構成を示す断面図である。
【
図10】
図8中のX-X間の断面構成を示す断面図である。
【
図11】第3実施形態の表示装置を示す分解斜視図である。
【
図12】第3実施形態の表示装置のうち
図11中のXII-XII間に相当する断面構成を示す断面図である。
【
図13】第4実施形態の表示装置を示す分解斜視図である。
【
図14】第5実施形態の表示装置を示す断面図である。
【
図15】第5実施形態の表示装置の一部を示す図であって、
図14中のXV方向から見た矢視図である。
【
図16】第5実施形態の表示装置の製造工程のうちフレーム部材へのケースの取り付け工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態の表示装置1について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1、
図5では、表示装置1の構成を分かり易くするため、後述する透明カバー2に覆われる接着材3を破線で、ディスプレイ4を一点鎖線で、それぞれ示すと共に、断面を示すものではないが、接着材3にハッチングを施している。また、
図5では、後述するケース8の構成を分かり易くするため、後述するスライド溝83の外郭を破線で示している。
【0016】
〔基本構成〕
本実施形態の表示装置1は、例えば
図1に示すように、透明カバー2と、透明カバー2に覆われるディスプレイ4と、フレーム部材7と、透明カバー2をフレーム部材7に接着する接着材3と、フレーム部材7が取り付けられるケース8とを有してなる。
【0017】
透明カバー2は、例えば、厚み1mm以下の平板状の薄膜ガラスである。透明カバー2は、例えば
図2に示すように、ディスプレイ4が図示しないOCA(Optical Clear Adhesive)やOCR(Optical Clear Resin)等の光学接着剤により貼り付けられており、ディスプレイ4の表示面を覆っている。透明カバー2は、ディスプレイ4が貼り付けられる面が、接着材3を介してフレーム部材7に接着されており、その外郭近傍がフレーム部材7の後述する外周リブ71に当接した状態となっている。以下、説明の簡便化のため、透明カバー2のうちディスプレイ4が貼り付けられる面とは反対側の面を「表面2a」と称する。
【0018】
接着材3は、任意の接着性樹脂材料によりなり、透明カバー2とフレーム部材7とを接着している。接着材3は、例えば
図1や
図2に示すように、フレーム部材7の一面7aのうち外周リブ71よりも内側に位置する部位に、ディスペンサー等により枠体状に塗布される。接着材3は、このように、透明カバー2とフレーム部材7とを接着すると共に、外周リブ71により堰き止められ、透明カバー2の外郭外側にはみ出さない配置となっている。これにより、表示装置1は、接着材3が外部から見えない構造となり、意匠性が良好な状態となっている。
【0019】
ディスプレイ4は、例えば、液晶パネルやOLED(有機発光ダイオード)パネルなどとされ、各種画像を表示する薄型の表示体である。本明細書では、ディスプレイ4が透明カバー2に追従して変形可能なフレキシブルのOLEDパネルである場合を代表例として説明するが、これに限定されるものではない。ディスプレイ4は、例えば
図2に示すように、配線5を介して、回路基板6に接続されており、回路基板6に搭載された図示しない駆動回路により駆動制御がなされる。
【0020】
配線5は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)などのフレキシブル配線であり、ディスプレイ4と回路基板6とを電気的に接続する。
【0021】
回路基板6は、例えば、配線基板にCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/O(Input/Output)等の図示しない各種電子部品が搭載されてなる電子制御ユニットである。回路基板6は、ディスプレイ4の駆動制御用の回路を有し、ディスプレイ4における輝度や表示制御に用いられる。回路基板6は、フレーム部材7のうち一面7aとは反対側の他面7b側に配置され、フレーム部材7に設けられた開口部73を通る配線5によりディスプレイ4と接続されている。
【0022】
フレーム部材7は、透明カバー2および回路基板6が取り付けられる部材である。フレーム部材7は、ケース8の撓み抑制およびこれに起因する透明カバー2の変形抑制の観点から、少なくともケース8よりも剛性が高い剛性部材、例えば金属材料などにより構成される金属フレームとされる。この詳細については後述する。
【0023】
フレーム部材7は、例えば
図2や
図3に示すように、透明カバー2が接着される一面7aの側に突出する枠体状の外周リブ71を有する。フレーム部材7は、例えば、一面7aのうち外周リブ71の内側領域に外周リブ71の内郭よりも一回り小さい凹部72を有し、外周リブ71と凹部72との間に接着材3が塗布される。フレーム部材7は、例えば、凹部72よりも内側の領域に、一面7aと他面7bとを繋ぐ貫通孔である開口部73が形成されている。フレーム部材7は、外郭をなす辺のうち少なくとも一辺がケース8に囲まれておらず、外郭をなす辺のうち当該一辺と対向する辺(以下、便宜的に「対向辺」という)の端面7cがケース8の後述する挿入溝81に挿入されている。
【0024】
外周リブ71は、例えば、透明カバー2の外郭に沿った枠体状とされ、透明カバー2が四角形板状である場合には、四角形枠体状とされる。外周リブ71は、透明カバー2と当接してこれを支持する支持体としての役割を果たすと共に、接着材3を堰き止め、接着材3が透明カバー2の外郭外側にはみ出すことを抑制する役割を果たす。外周リブ71は、一面7aに対する法線方向から見たときのフレーム部材7の外郭よりも内側に形成される。これにより、フレーム部材7は、外周リブ71よりも外側に位置する外郭の一部がケース8に取り付けるためのレール部として機能する形状となっている。
【0025】
以下、説明の簡便化のため、フレーム部材7の一面7aに対する法線方向から、表示装置1またはその構成部材を見た状態を「上面視」と称する。
【0026】
凹部72は、一面7aの側において、フレーム部材7に透明カバー2を接着したときにおけるディスプレイ4の収納空間を設けるために形成される。凹部72は、ディスプレイ4の外形や厚みに応じて、その外形や深さが適宜変更されうる。
【0027】
開口部73は、一面7a側に配置されるディスプレイ4と他面7b側に配置される回路基板6とを繋ぐ配線5の引き回し用に設けられる貫通孔である。開口部73の形状、寸法や配置については、ディスプレイ4の寸法や配線5の数、配置等に応じて適宜変更されうる。
【0028】
ケース8は、フレーム部材7が取り付けられる部材であり、フレーム部材7とは異なる材料、例えば樹脂材料により構成される。これにより、フレーム部材7とケース8とを同一材料で構成した場合に比べ、フレーム部材7とケース8との微細な擦れによる異音が生じることが抑制される。ケース8は、例えば
図1に示すように、上面視にて、フレーム部材7の外郭のうち少なくとも一辺を除く複数の辺の一部または全部を囲む形状の筐体である。ケース8は、例えば
図2に示すように、フレーム部材7のうち対向辺の端面7cが挿入される挿入溝81と、フレーム部材7に取り付けられた回路基板6を収納する空間として機能する底面凹部82と、を有している。ケース8は、例えば
図4に示すように、フレーム部材7の外郭をなす辺のうち対向辺とは異なる平行な二辺が挿入されるスライド溝83を有している。なお、ケース8の挿入溝81およびスライド溝83は、例えば、フレーム部材7のうち外周リブ71よりも外側の部分の厚みとほぼ同程度の幅となっている。
【0029】
ケース8は、例えば
図5に示すように、上面視にて、一部がフレーム部材7を取り付ける際の挿入口84であると共に、白抜き矢印で示す方向(スライド溝83に沿った方向)に沿って、フレーム部材7を摺動させながら取り付けることが可能な構成である。ケース8は、上面視にて、フレーム部材7を囲む額縁部分のうち挿入口84と対向する部位に挿入溝81が、挿入口84に隣接する額縁部分に平行なスライド溝83が、それぞれ設けられている。つまり、ケース8は、フレーム部材7が取り付けられると、挿入溝81およびスライド溝83にフレーム部材7の外郭の一部が挿入され、上面視にて、フレーム部材7の一部と額縁部分とが重畳した状態となる。ケース8は、例えば
図2や
図4に示すように、フレーム部材7を囲む額縁部分の外表面8aが透明カバー2の表面2aよりも外部に突出している。
【0030】
なお、フレーム部材7のうち挿入溝81やスライド溝83に挿入される部分、または挿入溝81およびスライド溝83に、フレーム部材7とケース8とのガタツキ防止のための図示しない潰しリブが設けられてもよい。また、表示装置1は、フレーム部材7とケース8とを接続固定するための図示しないスクリューおよびスクリュー穴を有した構成であってもよい。
【0031】
以上が、本実施形態の表示装置1の基本的な構成である。
【0032】
〔透明カバーの破損抑制〕
次に、表示装置1における透明カバー2の破損抑制について、
図6A、
図6Bに示す比較例の表示装置100と対比して説明する。
【0033】
まず、比較例の表示装置100について簡単に説明する。
【0034】
比較例の表示装置100は、例えば
図6Aに示すように、透明カバー2、接着材3、ディスプレイ4、配線5、回路基板6、ブラケット110および筐体120を有してなる。比較例の表示装置100は、透明カバー2が接着材3により枠体状のブラケット110に接着され、ブラケット110が筐体120に図示しない接着剤あるいはネジ止め等の機械的な手法により取り付けられている。比較例の表示装置100は、透明カバー2よりも一回り大きい枠体状のブラケット110に接着材3を介して接着され、透明カバー2の表面2aがブラケット110の一部と共に1つの面をなす構成となっている。比較例の表示装置100は、ディスプレイ4、配線5および回路基板6が筐体120に収納されている。比較例の表示装置100は、筐体120が電気絶縁性の樹脂材料により構成されている。
【0035】
比較例の表示装置100は、例えば
図6Bに示すように、表面2aの側からブラケット110に何らかの物体Mが衝突したとき、例えば薄膜ガラスである透明カバー2にその端部を起点とするクラックが生じうる。これは、物体Mの衝突により、ブラケット110を介して筐体120に表面2aとは反対方向に撓むと共に、透明カバー2の端部が筐体120の変形に追従して撓むためである。
【0036】
なお、比較例の表示装置100は、透明カバー2とブラケット110との間に配置された接着材3が、透明カバー2の表面2a側にはみ出しうる構造であり、この場合、接着材3が外部から視認されることで意匠性も低下するおそれがある。
【0037】
これに対して、本実施形態の表示装置1は、例えば
図7に示すように、ケース8のうちフレーム部材7を囲む額縁部分の外表面8aが、透明カバー2の表面2aよりも突き出しているため、物体Mが透明カバー2に衝突しにくい。また、表示装置1は、フレーム部材7のうち対向辺の端面7cがケース8の挿入溝81に挿入された状態、いわばケース8がフレーム部材7の一部と重畳して保持された状態である。これにより、表示装置1は、ケース8の外表面8aに物体Mが衝突した場合であっても、ケース8がケース8よりも剛性が高いフレーム部材7により撓むことが抑制される。その結果、ケース8が撓むこと、ひいては透明カバー2が撓むことが抑制され、これに起因する透明カバー2の破損が抑制される。この透明カバー2の破損抑制の効果については、スライド溝83においても同様に生じる。
【0038】
本実施形態によれば、透明カバー2がフレーム部材7の外周リブ71に当接しつつ、外周リブ71よりも内側に配置された接着材3によりフレーム部材7に接着しているため、接着材3が透明カバー2の外郭外側にはみ出さない構造の表示装置1となる。また、ケース8の挿入溝81およびスライド溝83にフレーム部材7の一部が挿入され、フレーム部材7の外郭の一部とこれを囲むケース8の額縁部分とがラップした状態であるため、フレーム部材7によりケース8の撓みが抑制される。その結果、表示装置1は、透明カバー2が取り付けられた部材に何らかの物体が衝突した場合であっても、透明カバー2の端部の撓みが抑制され、これに起因する破損が抑制される。よって、表示装置1は、接着材3のはみ出しによる意匠性の低下を抑制しつつも、透明カバー2の破損を抑制可能な構造となっている。
【0039】
(第2実施形態)
第2実施形態の表示装置1について、
図8~
図10を参照して説明する。
【0040】
本実施形態の表示装置1は、例えば
図8に示すように、フレーム部材7およびケース8が湾曲形状であると共に、透明カバー2がフレーム部材7の湾曲形状に追従した曲面形状となっている点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0041】
フレーム部材7は、本実施形態では、フレーム部材7をケース8に取り付ける際における摺動方向に沿って湾曲した湾曲形状となっている。フレーム部材7は、同様に、摺動方向に沿って湾曲したケース8に、上記第1実施形態と同様の方法で取り付けられる。
【0042】
ケース8は、例えば
図9に示すように、フレーム部材7と同様に、摺動方向に沿って全体的に湾曲した形状となっている。ケース8は、スライド溝83が湾曲した湾曲溝となっており、スライド溝83に沿って湾曲したフレーム部材7を取り付け可能な構成となっている。
【0043】
透明カバー2は、例えば、フレーム部材7に取り付ける前においては平板状の薄膜ガラスであるが、本実施形態では、
図10に示すように、フレーム部材7に接着材3により取り付けられることで、フレーム部材7の湾曲形状に追従した曲面形状となっている。これに伴い、ディスプレイ4は、透明カバー2の変形に追従した曲面形状となっている。
【0044】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる表示装置1となる。
【0045】
(第3実施形態)
第3実施形態の表示装置1について、
図11、
図12を参照して説明する。
【0046】
図11では、フレーム部材7をケース8に取り付ける際の方向を便宜的に白抜き矢印で示すと共に、ケース8の構成を分かり易くするため、ケース8のうち
図11の角度では見えない挿入溝81および底面の外郭の一部を破線で示している。
図12は、
図11に示すXII-XIIの断面に相当する断面であって、ケース8にフレーム部材7を取り付けた状態における断面の構成を示す断面図である。
【0047】
本実施形態の表示装置1は、例えば
図11に示すように、フレーム部材7がスライド溝83を有しないケース8に取り付けられた構成となっている点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0048】
フレーム部材7は、本実施形態では、外周リブ71がフレーム部材7の対向辺以外の外郭に沿った枠体状となっている。言い換えると、フレーム部材7は、上面視にて、対向辺の端面7cのみが外周リブ71よりも外側に突出した形状となっている。フレーム部材7は、例えば
図12に示すように、他面7bの側にケース8の係合穴85に係合するフック74を有した構成である。フレーム部材7は、例えば
図11に示す白抜き矢印に沿って、ケース8の挿入溝81に対向辺の端面7cを挿入したとき、フック74が係合穴85と係合し、ケース8に保持された状態となる。
【0049】
ケース8は、本実施形態では、スライド溝83を有しておらず、フレーム部材7のフック74に対応する位置に、フック74の外径に対応する係合穴85を有する。係合穴85は、例えば、貫通孔とされ、フック74が挿入されたときにフック74の先端の鉤部分が係合し、フレーム部材7を保持するために用いられる。ケース8は、フレーム部材7をと向き合う底面のうち回路基板6が取り付けられる部分に対応する部分が他の部位よりも凹んだ底面凹部82となっている。
【0050】
なお、フック74および係合穴85の数、配置、寸法や形状等については、これらが係合可能であればよく、図示した例に限定されるものではなく、適宜変更されてもよい。また、底面凹部82は、ケース8のうち挿入溝81に沿った方向を幅方向として、幅方向の一部に設けられてもよいし、上記第1、第2実施形態と同様に、幅方向の全域に設けられてもよい。
【0051】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる表示装置1となる。
【0052】
(第4実施形態)
第4実施形態の表示装置1について、
図13を参照して説明する。
【0053】
図13では、
図11と同様に、ケース8のうち
図13の角度では見えない挿入溝81および底面の外郭の一部を破線で示すと共に、フレーム部材7をケース8に取り付ける際の方向を便宜的に白抜き矢印で示している。
【0054】
本実施形態の表示装置1は、例えば
図13に示すように、フレーム部材7が対向辺の端面7cに沿った湾曲形状とされると共に、ケース8が挿入溝81に沿って湾曲した湾曲形状となっている点で上記第3実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0055】
本実施形態の表示装置1は、基本的な構成については、上記第3実施形態と同様であるが、フレーム部材7およびケース8がそれぞれ幅方向において湾曲した湾曲形状とされ、透明カバー2およびディスプレイ4がこれに追従した曲面形状となっている。ここでいう幅方向とは、フレーム部材7については対向辺の端面7cに沿った方向、ケース8については挿入溝81に沿った方向である。
【0056】
本実施形態によっても、上記第3実施形態と同様の効果が得られる表示装置1となる。
【0057】
(第5実施形態)
第5実施形態の表示装置1について、
図14~
図16を参照して説明する。
【0058】
図14は、
図12の断面に相当する図であって、フレーム部材7をケース8に取り付けた状態の断面構成を示す断面図である。
図15では、ケース8の係合穴85の形状を分かり易くするため、係合穴85の外郭のうちスナップフィット75で隠れる一部については破線で示している。
図16では、フレーム部材7へのケース8の取り付けを分かり易くするため、フレーム部材7に取り付けられた後のケース8の外郭を二点鎖線で示すと共に、ケース8を取り付ける際の移動方向を矢印で示している。
【0059】
本実施形態の表示装置1は、例えば
図14に示すように、断面視にて、フレーム部材7およびケース8が略S字形状の湾曲形状となっており、フレーム部材7のスナップフィット75がケース8の係合穴85と係合している点で上記第3実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0060】
フレーム部材7は、本実施形態では、断面視にて、略S字形状の湾曲形状であると共に、他面7b側にスナップフィット75を有している。フレーム部材7は、例えば、複数のスナップフィット75が他面7b側に形成され、複数のスナップフィット75の一部または全部が端面7cからの距離が異なる位置に配置された構成となっている。フレーム部材7は、例えば、端面7cがケース8の挿入溝81に挿入されつつ、スナップフィット75がケース8の係合穴85に係合して保持された状態となっている。そして、透明カバー2およびこれに貼り付けられたディスプレイ4は、断面視にて、フレーム部材7の湾曲形状に追従した略S字形状となっている。
【0061】
ケース8は、本実施形態では、例えば、フレーム部材7と同様に、断面視にて、略S字形状の湾曲形状であると共に、フレーム部材7のスナップフィット75と係合する係合穴85を有する。ケース8は、例えば
図15に示すように、略U字状の係合穴85をフレーム部材7のスナップフィット75と同数有してなり、係合穴85にスナップフィット75が挿入されている。このとき、例えば、係合穴85は、略U字形状とされ、その一部にスナップフィット75が係合する構成とされることで、ケース8とフレーム部材7との着脱を可能にする。ケース8は、例えば
図16に示すように、挿入溝81にフレーム部材7の端面7cを挿入した後、挿入溝81を起点としてフレーム部材7に向かって円弧を描くように回転させることで、フレーム部材7に取り付けられる。このとき、ケース8は、複数の係合穴85のうち端面7c側に近いものから順次、フレーム部材7の複数のスナップフィット75が挿入/係合されていき、最終的にフレーム部材7に保持された状態となる。
【0062】
本実施形態によっても、上記第3実施形態と同様の効果が得られる表示装置1となる。
【0063】
(他の実施形態)
なお、上記した各実施形態に示した表示装置1は、本発明の表示装置1の一例を示したものであり、上記の各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、表示装置1は、明らかに不可能な場合を除き、上記各実施形態の一要素あるいは全部の様々な組み合わせや形態に変更されてもよい。
【0064】
(1)例えば、表示装置1は、上記第1、第3実施形態のような平面表示装置、上記第2、第4、第5実施形態のような曲面表示装置のいずれにも適用されうるが、後者の場合におけるフレーム部材7およびケース8の湾曲形状については上記の例に限定されない。例えば、表示装置1は、フレーム部材7およびケース8が曲率一定の湾曲形状や略S字形状とは異なる他の湾曲形状とされ、透明カバー2およびディスプレイ4がこれに追従した曲面形状であってもよい。
【0065】
(2)上記各実施形態では、外周リブ71が連続した切れ目のない枠体形状である場合を代表例として説明したが、これに限定されるものではなく、外周リブ71は、例えば切れ目のある断続的な略枠体形状であってもよく、形状が適宜変更されてもよい。このとき、接着材3は、フレーム部材7のうち外周リブ71よりも内側の領域に配置され、外周リブ71よりも外側にはみ出さなければよく、外周リブ71の形状に合わせてその配置が変更されてもよい。
【0066】
(3)上記第3ないし第5実施形態では、フレーム部材7のうち他面7b側に形成され、ケース8の係合穴85に係合する突起部の一例として、フック74およびスナップフィット75を挙げたが、突起部の形状はこれらに限定されず、適宜変更されうる。このとき、ケース8の係合穴85の形状、数、配置や寸法等についても、フレーム部材7の突起部の形状等に応じて適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
2・・・透明カバー、3・・・接着材、4・・・ディスプレイ、7・・・フレーム部材、
7a・・・一面、7b・・・他面、7c・・・端面、71・・・外周リブ、
74、75・・・突起部、8・・・ケース、81・・・挿入溝、83・・・スライド溝、
85・・・係合穴