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特許7484859傾き検出装置、傾き検出システム、傾き検出方法、及び傾き検出プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】傾き検出装置、傾き検出システム、傾き検出方法、及び傾き検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 9/00 20060101AFI20240509BHJP
   G08G 1/16 20060101ALN20240509BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20240509BHJP
【FI】
G01C9/00 Z
G08G1/16 C
B60R16/02 650J
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021158059
(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公開番号】P2023048634
(43)【公開日】2023-04-07
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】宇田 伸彦
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-248270(JP,A)
【文献】特開平5-213150(JP,A)
【文献】特開2021-056060(JP,A)
【文献】米国特許第10099630(US,B1)
【文献】特開2007-147493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 9/00
G08G 1/16
B60R 16/02
G01D 11/24
G01D 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体で用いることが可能な傾き検出装置であって、
前記移動体に搭載されるとともに前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得部(702,702b,702c,702d,702e,702f)と、
前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得部(703,703b,703c,703d,703e,703f)と、
前記第1取得部で取得する前記第1傾き情報と前記第2取得部で取得する前記第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する前記移動体の傾きと前記センサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定部(704,704b,704c,704d,704e,704f)と、
前記第1差分特定部で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出部(705,705b,705c,705d,705e,705f)と
前記傾き検出部で前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する場合に、前記第1差分特定部で特定する前記第1差分をもとに、前記周辺監視センサでのその第1差分に応じたセンシングのずれを補正するための制御を行う補正制御部(708)とを備える傾き検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の傾き検出装置であって、
前記第1差分特定部は、前記移動体が停止している期間において前記第1取得部で取得する前記第1傾き情報と前記移動体が停止している期間において前記第2取得部で取得する前記第2傾き情報とをもとに前記第1差分を特定する傾き検出装置。
【請求項3】
前記移動体で用いることが可能な請求項1又は2に記載の傾き検出装置(7,7a,7b,7c,7d,7e,7f)と、
前記移動体に搭載される、前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)と、
前記センサパッケージ筐体に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)と、
前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)とを含む傾き検出システム。
【請求項4】
請求項に記載の傾き検出システムであって、
前記第1傾斜センサ(6b,6c,6d,6e,6f)は、前記センサパッケージ筐体に複数設けられ、
前記第1取得部(702b,702c,702d,702e,702f)は、複数の前記第1傾斜センサで検知する前記第1傾き情報をそれぞれ取得し、
前記傾き検出装置(7b,7c,7d,7e,7f)は、
前記第1取得部で取得する複数の前記第1傾斜センサの前記第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の前記第1傾斜センサ同士の傾きの差分である第2差分を特定する第2差分特定部(709,709c,709d,709e,709f)と、
前記第2差分特定部で特定する前記第2差分が第2の許容範囲内でない場合に、前記第1傾斜センサの不具合を検出する第1不具合検出部(710,710c,710d,710e,710f)とを備え、
前記傾き検出部(705b,705c,705d,705e,705f)は、前記第2差分特定部で特定する前記第2差分が第2の許容範囲内であって、且つ、前記第1差分特定部で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出システム。
【請求項5】
移動体に搭載されるとともに前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得部(702,702b,702c,702d,702e,702f)と、
前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得部(703,703b,703c,703d,703e,703f)と、
前記第1取得部で取得する前記第1傾き情報と前記第2取得部で取得する前記第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する前記移動体の傾きと前記センサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定部(704,704b,704c,704d,704e,704f)と、
前記第1差分特定部で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出部(705,705b,705c,705d,705e,705f)とを備え、前記移動体で用いることが可能な傾き検出装置(7,7a,7b,7c,7d,7e,7f)と、
前記移動体に搭載される、前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)と、
前記センサパッケージ筐体に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)と、
前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)とを含み、
前記第1傾斜センサ(6b,6c,6d,6e,6f)は、前記センサパッケージ筐体に複数設けられ、
前記第1取得部(702b,702c,702d,702e,702f)は、複数の前記第1傾斜センサで検知する前記第1傾き情報をそれぞれ取得し、
前記傾き検出装置(7b,7c,7d,7e,7f)は、
前記第1取得部で取得する複数の前記第1傾斜センサの前記第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の前記第1傾斜センサ同士の傾きの差分である第2差分を特定する第2差分特定部(709,709c,709d,709e,709f)と、
前記第2差分特定部で特定する前記第2差分が第2の許容範囲内でない場合に、前記第1傾斜センサの不具合を検出する第1不具合検出部(710,710c,710d,710e,710f)とを備え、
前記傾き検出部(705b,705c,705d,705e,705f)は、前記第2差分特定部で特定する前記第2差分が第2の許容範囲内であって、且つ、前記第1差分特定部で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出システム。
【請求項6】
請求項に記載の傾き検出システムであって、
前記第1差分特定部は、前記移動体が停止している期間において前記第1取得部で取得する前記第1傾き情報と前記移動体が停止している期間において前記第2取得部で取得する前記第2傾き情報とをもとに前記第1差分を特定する傾き検出システム
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の傾き検出システムであって、
前記移動体は車両であり、
前記第1傾斜センサ(6b)は2つであり、前記第2傾斜センサ(8b)は1つ若しくは2つであり、
その2つの前記第1傾斜センサと前記第2傾斜センサとは、前記車両の前後軸若しくは左右軸に沿って配置される傾き検出システム。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか1項に記載の傾き検出システムであって、
前記移動体は車両であり、
複数の前記第1傾斜センサは、前記センサパッケージ筐体を前記車両の前輪側と後輪側との2つの領域に区分した場合に、その一部の前記第1傾斜センサが、前記前輪側と前記後輪側とのそれぞれに配置される傾き検出システム。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか1項に記載の傾き検出システムであって、
前記第1傾斜センサ(6c,6d,6e,6f)は3つ以上であり、
前記第1不具合検出部(710c,710d,710e,710f)は、複数の前記第1傾斜センサ同士の傾きの差分である前記第2差分のうち、どの前記第1傾斜センサ同士の組の前記第2差分が前記第2の許容範囲内でないかに応じて、複数の前記第1傾斜センサのうちのどの前記第1傾斜センサの不具合かを検出する傾き検出システム。
【請求項10】
請求項に記載の傾き検出システムであって、
前記移動体は車両であり、
前記第1傾斜センサ(6d,6e,6f)は4つ以上であり、
複数の前記第1傾斜センサは、前記センサパッケージ筐体を前記車両の右前輪側と左前輪側と右後輪側と左後輪側との4つの領域に区分した場合に、その一部の前記第1傾斜センサが、前記右前輪側と前記左前輪側と前記右後輪側と前記左後輪側とのそれぞれに配置される傾き検出システム。
【請求項11】
請求項4~10のいずれか1項に記載の傾き検出システムであって、
前記センサパッケージ筐体に含まれる前記周辺監視センサは3つ以上であり、
複数の前記第1傾斜センサ(6e,6f)は、3つ以上の前記周辺監視センサにそれぞれに設けられるものであり、前記第1傾斜センサは4つ以上であり、
前記第1不具合検出部(710e,710f)は、複数の前記第1傾斜センサ同士の傾きの差分である前記第2差分のうち、前記周辺監視センサに設けたどの前記第1傾斜センサ同士の組の前記第2差分が前記第2の許容範囲内でないかに応じて、前記周辺監視センサに設けた複数の前記第1傾斜センサのうちのどの前記第1傾斜センサ若しくはどの前記周辺監視センサの不具合かを検出する傾き検出システム。
【請求項12】
請求項~1のいずれか1項に記載の傾き検出システムであって、
前記第2傾斜センサ(8b,8c,8d,8e,8f)は、前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に複数設けられ、
前記第2取得部(703b,703c,703d,703e,703f)は、複数の前記第2傾斜センサで検知する前記第2傾き情報をそれぞれ取得し、
前記傾き検出装置(7b,7c,7d,7e,7f)は、
前記第2取得部で取得する複数の前記第2傾斜センサの前記第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の前記第2傾斜センサ同士の傾きの差分である第3差分を特定する第3差分特定部(711,711c,711d)と、
前記第3差分特定部で特定する前記第3差分が第3の許容範囲内でない場合に、前記第2傾斜センサの不具合を検出する第2不具合検出部(712,712c,712d)とを備え、
前記傾き検出部(705b,705c,705d,705e,705f)は、前記第3差分特定部で特定する前記第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、前記第1差分特定部で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出システム。
【請求項13】
移動体に搭載されるとともに前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得部(702,702b,702c,702d,702e,702f)と、
前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得部(703,703b,703c,703d,703e,703f)と、
前記第1取得部で取得する前記第1傾き情報と前記第2取得部で取得する前記第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する前記移動体の傾きと前記センサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定部(704,704b,704c,704d,704e,704f)と、
前記第1差分特定部で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出部(705,705b,705c,705d,705e,705f)とを備え、前記移動体で用いることが可能な傾き検出装置(7,7a,7b,7c,7d,7e,7f)と、
前記移動体に搭載される、前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)と、
前記センサパッケージ筐体に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)と、
前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)とを含み、
前記第2傾斜センサ(8b,8c,8d,8e,8f)は、前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に複数設けられ、
前記第2取得部(703b,703c,703d,703e,703f)は、複数の前記第2傾斜センサで検知する前記第2傾き情報をそれぞれ取得し、
前記傾き検出装置(7b,7c,7d,7e,7f)は、
前記第2取得部で取得する複数の前記第2傾斜センサの前記第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の前記第2傾斜センサ同士の傾きの差分である第3差分を特定する第3差分特定部(711,711c,711d)と、
前記第3差分特定部で特定する前記第3差分が第3の許容範囲内でない場合に、前記第2傾斜センサの不具合を検出する第2不具合検出部(712,712c,712d)とを備え、
前記傾き検出部(705b,705c,705d,705e,705f)は、前記第3差分特定部で特定する前記第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、前記第1差分特定部で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出システム。
【請求項14】
請求項1に記載の傾き検出システムであって、
前記第1差分特定部は、前記移動体が停止している期間において前記第1取得部で取得する前記第1傾き情報と前記移動体が停止している期間において前記第2取得部で取得する前記第2傾き情報とをもとに前記第1差分を特定する傾き検出システム
【請求項15】
請求項12~14のいずれか1項に記載の傾き検出システムであって、
前記移動体は車両であり、
前記第2傾斜センサ(8b)は2つであり、前記第1傾斜センサ(6b)は1つ若しくは2つであり、
その2つの前記第2傾斜センサと前記第1傾斜センサとは、前記車両の前後軸若しくは左右軸に沿って配置される傾き検出システム。
【請求項16】
請求項12~15のいずれか1項に記載の傾き検出システムであって、
前記移動体は車両であり、
複数の前記第2傾斜センサは、前記車両を前輪側と後輪側との2つの領域に区分した場合に、その一部の前記第2傾斜センサが、前記前輪側と前記後輪側とのそれぞれに配置される傾き検出システム。
【請求項17】
請求項1~1のいずれか1項に記載の傾き検出システムであって、
前記第2傾斜センサ(8c,8d)は3つ以上であり、
前記第2不具合検出部(712c,712d)は、複数の前記第2傾斜センサ同士の傾きの差分である前記第3差分のうち、どの前記第2傾斜センサ同士の組の前記第3差分が前記第3の許容範囲内でないかに応じて、複数の前記第2傾斜センサのうちのどの前記第2傾斜センサの不具合かを検出する傾き検出システム。
【請求項18】
請求項1に記載の傾き検出システムであって、
前記移動体は車両であり、
前記第2傾斜センサ(8d)は4つ以上であり、
複数の前記第2傾斜センサは、前記車両を右前輪側と左前輪側と右後輪側と左後輪側との4つの領域に区分した場合に、その一部の前記第2傾斜センサが、前記右前輪側と前記左前輪側と前記右後輪側と前記左後輪側とのそれぞれに配置される傾き検出システム。
【請求項19】
請求項3~18のいずれか1項に記載の傾き検出システムであって、
前記傾き検出装置(7,7b,7c,7d,7e,7f)は、前記センサパッケージ筐体内に含まれる傾き検出システム。
【請求項20】
請求項3~18のいずれか1項に記載の傾き検出システムであって、
前記傾き検出装置(7a)は、前記センサパッケージ筐体内に含まれない傾き検出システム。
【請求項21】
移動体で用いることが可能な傾き検出方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、
前記移動体に搭載されるとともに前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得工程と、
前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得工程と、
前記第1取得工程で取得する前記第1傾き情報と前記第2取得工程で取得する前記第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する前記移動体の傾きと前記センサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定工程と、
前記第1差分特定工程で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出工程と
前記傾き検出工程で前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する場合に、前記第1差分特定工程で特定する前記第1差分をもとに、前記周辺監視センサでのその第1差分に応じたセンシングのずれを補正するための制御を行う補正制御工程とを含む傾き検出方法。
【請求項22】
移動体で用いることが可能な傾き検出方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、
前記移動体に搭載されるとともに前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に複数設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報をそれぞれ取得する第1取得工程と、
前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得工程と、
前記第1取得工程で取得する前記第1傾き情報と前記第2取得工程で取得する前記第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する前記移動体の傾きと前記センサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定工程と、
前記第1差分特定工程で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出工程と
前記第1取得工程で取得する複数の前記第1傾斜センサの前記第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の前記第1傾斜センサ同士の傾きの差分である第2差分を特定する第2差分特定工程と、
前記第2差分特定工程で特定する前記第2差分が第2の許容範囲内でない場合に、前記第1傾斜センサの不具合を検出する第1不具合検出工程とを含み、
前記傾き検出工程では、前記第2差分特定工程で特定する前記第2差分が第2の許容範囲内であって、且つ、前記第1差分特定工程で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出方法。
【請求項23】
移動体で用いることが可能な傾き検出方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、
前記移動体に搭載されるとともに前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得工程と、
前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に複数設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報をそれぞれ取得する第2取得工程と、
前記第1取得工程で取得する前記第1傾き情報と前記第2取得工程で取得する前記第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する前記移動体の傾きと前記センサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定工程と、
前記第1差分特定工程で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出工程と
前記第2取得工程で取得する複数の前記第2傾斜センサの前記第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の前記第2傾斜センサ同士の傾きの差分である第3差分を特定する第3差分特定工程と、
前記第3差分特定工程で特定する前記第3差分が第3の許容範囲内でない場合に、前記第2傾斜センサの不具合を検出する第2不具合検出工程とを含み、
前記傾き検出工程では、前記第3差分特定工程で特定する前記第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、前記第1差分特定工程で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出方法。
【請求項24】
移動体で用いることが可能な傾き検出プログラムであって、
少なくとも1つのプロセッサに、
前記移動体に搭載されるとともに前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得工程と、
前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得工程と、
前記第1取得工程で取得する前記第1傾き情報と前記第2取得工程で取得する前記第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する前記移動体の傾きと前記センサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定工程と、
前記第1差分特定工程で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出工程と
前記傾き検出工程で前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する場合に、前記第1差分特定工程で特定する前記第1差分をもとに、前記周辺監視センサでのその第1差分に応じたセンシングのずれを補正するための制御を行う補正制御工程とを含む処理を実行させる傾き検出プログラム。
【請求項25】
移動体で用いることが可能な傾き検出プログラムであって、
少なくとも1つのプロセッサに、
前記移動体に搭載されるとともに前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に複数設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報をそれぞれ取得する第1取得工程と、
前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得工程と、
前記第1取得工程で取得する前記第1傾き情報と前記第2取得工程で取得する前記第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する前記移動体の傾きと前記センサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定工程と、
前記第1差分特定工程で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出工程と
前記第1取得工程で取得する複数の前記第1傾斜センサの前記第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の前記第1傾斜センサ同士の傾きの差分である第2差分を特定する第2差分特定工程と、
前記第2差分特定工程で特定する前記第2差分が第2の許容範囲内でない場合に、前記第1傾斜センサの不具合を検出する第1不具合検出工程とを含む処理を実行させるとともに、
前記傾き検出工程では、前記第2差分特定工程で特定する前記第2差分が第2の許容範囲内であって、且つ、前記第1差分特定工程で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する処理を実行させる傾き検出プログラム。
【請求項26】
移動体で用いることが可能な傾き検出プログラムであって、
少なくとも1つのプロセッサに、
前記移動体に搭載されるとともに前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得工程と、
前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に複数設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報をそれぞれ取得する第2取得工程と、
前記第1取得工程で取得する前記第1傾き情報と前記第2取得工程で取得する前記第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する前記移動体の傾きと前記センサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定工程と、
前記第1差分特定工程で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出工程と
前記第2取得工程で取得する複数の前記第2傾斜センサの前記第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の前記第2傾斜センサ同士の傾きの差分である第3差分を特定する第3差分特定工程と、
前記第3差分特定工程で特定する前記第3差分が第3の許容範囲内でない場合に、前記第2傾斜センサの不具合を検出する第2不具合検出工程とを含む処理を実行させるとともに、
前記傾き検出工程では、前記第3差分特定工程で特定する前記第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、前記第1差分特定工程で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する処理を実行させる傾き検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、傾き検出装置、傾き検出システム、傾き検出方法、及び傾き検出プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の自動運転に用いられる周辺監視センサとして、少なくとも2つのLiDAR装置と1つのカメラとをカバーで囲んだセンサマウントシステムが車両の屋根の上にマウントされる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第10099630号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周辺監視センサを含む筐体(以下、センサパッケージ筐体)を車両に設置する場合には、周辺監視センサの検出軸が車両に対して所望の方向を向くように設置されたり、所望の方向とのずれ分を補正するためのキャリブレーションが行われたりする。しかしながら、車両に対するセンサパッケージ筐体の傾きは、車両への設置後に、車両への設置時の初期位置から時間変化する可能性がある。よって、センサパッケージ筐体の傾きによって周辺監視センサの検出軸が初期位置からずれ、周辺監視センサの検出精度が低下してしまうおそれがある。
【0005】
これに対して、特許文献1の技術では、車両に対するセンサパッケージ筐体の初期位置からの傾きを検出することを想定していない。よって、初期位置からのセンサパッケージ筐体の傾きによる周辺監視センサの検出精度の低下を抑制することは難しかった。
【0006】
この開示の1つの目的は、移動体に搭載されるセンサパッケージ筐体について、初期位置からのセンサパッケージ筐体の傾きをより精度良く検出することを可能にする傾き検出装置、傾き検出システム、傾き検出方法、及び傾き検出プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、開示の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、1つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の傾き検出装置は、移動体で用いることが可能な傾き検出装置であって、移動体に搭載されるとともに移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得部(702,702b,702c,702d,702e,702f)と、移動体のうちの、センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得部(703,703b,703c,703d,703e,703f)と、第1取得部で取得する第1傾き情報と第2取得部で取得する第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定部(704,704b,704c,704d,704e,704f)と、第1差分特定部で特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出部(705,705b,705c,705d,705e,705f)と、傾き検出部でセンサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する場合に、第1差分特定部で特定する第1差分をもとに、周辺監視センサでのその第1差分に応じたセンシングのずれを補正するための制御を行う補正制御部(708)とを備える。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の第1の傾き検出方法は、移動体で用いることが可能な傾き検出方法であって、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体に搭載されるとともに移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得工程と、移動体のうちの、センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得工程と、第1取得工程で取得する第1傾き情報と第2取得工程で取得する第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定工程と、第1差分特定工程で特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出工程と、傾き検出工程でセンサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する場合に、第1差分特定工程で特定する第1差分をもとに、周辺監視センサでのその第1差分に応じたセンシングのずれを補正するための制御を行う補正制御工程とを含む。
上記目的を達成するために、本開示の第2の傾き検出方法は、移動体で用いることが可能な傾き検出方法であって、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体に搭載されるとともに移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に複数設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報をそれぞれ取得する第1取得工程と、移動体のうちの、センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得工程と、第1取得工程で取得する第1傾き情報と第2取得工程で取得する第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定工程と、第1差分特定工程で特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出工程と、第1取得工程で取得する複数の第1傾斜センサの第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第1傾斜センサ同士の傾きの差分である第2差分を特定する第2差分特定工程と、第2差分特定工程で特定する第2差分が第2の許容範囲内でない場合に、第1傾斜センサの不具合を検出する第1不具合検出工程とを含み、傾き検出工程では、第2差分特定工程で特定する第2差分が第2の許容範囲内であって、且つ、第1差分特定工程で特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する。
上記目的を達成するために、本開示の第3の傾き検出方法は、移動体で用いることが可能な傾き検出方法であって、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、移動体に搭載されるとともに移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得工程と、移動体のうちの、センサパッケージ筐体を除く箇所に複数設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報をそれぞれ取得する第2取得工程と、第1取得工程で取得する第1傾き情報と第2取得工程で取得する第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定工程と、第1差分特定工程で特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出工程と、第2取得工程で取得する複数の第2傾斜センサの第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第2傾斜センサ同士の傾きの差分である第3差分を特定する第3差分特定工程と、第3差分特定工程で特定する第3差分が第3の許容範囲内でない場合に、第2傾斜センサの不具合を検出する第2不具合検出工程とを含み、傾き検出工程では、第3差分特定工程で特定する第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、第1差分特定工程で特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する。
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の第1の傾き検出プログラムは、移動体で用いることが可能な傾き検出プログラムであって、少なくとも1つのプロセッサに、移動体に搭載されるとともに移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得工程と、移動体のうちの、センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得工程と、第1取得工程で取得する第1傾き情報と第2取得工程で取得する第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定工程と、第1差分特定工程で特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出工程と、傾き検出工程でセンサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する場合に、第1差分特定工程で特定する第1差分をもとに、周辺監視センサでのその第1差分に応じたセンシングのずれを補正するための制御を行う補正制御工程とを含む処理を実行させる。
上記目的を達成するために、本開示の第2の傾き検出プログラムは、移動体で用いることが可能な傾き検出プログラムであって、少なくとも1つのプロセッサに、移動体に搭載されるとともに移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に複数設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報をそれぞれ取得する第1取得工程と、移動体のうちの、センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得工程と、第1取得工程で取得する第1傾き情報と第2取得工程で取得する第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定工程と、第1差分特定工程で特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出工程と、第1取得工程で取得する複数の第1傾斜センサの第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第1傾斜センサ同士の傾きの差分である第2差分を特定する第2差分特定工程と、第2差分特定工程で特定する第2差分が第2の許容範囲内でない場合に、第1傾斜センサの不具合を検出する第1不具合検出工程とを含む処理を実行させるとともに、傾き検出工程では、第2差分特定工程で特定する第2差分が第2の許容範囲内であって、且つ、第1差分特定工程で特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する処理を実行させる。
上記目的を達成するために、本開示の第3の傾き検出プログラムは、移動体で用いることが可能な傾き検出プログラムであって、少なくとも1つのプロセッサに、移動体に搭載されるとともに移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得工程と、移動体のうちの、センサパッケージ筐体を除く箇所に複数設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報をそれぞれ取得する第2取得工程と、第1取得工程で取得する第1傾き情報と第2取得工程で取得する第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定工程と、第1差分特定工程で特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出工程と、第2取得工程で取得する複数の第2傾斜センサの第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第2傾斜センサ同士の傾きの差分である第3差分を特定する第3差分特定工程と、第3差分特定工程で特定する第3差分が第3の許容範囲内でない場合に、第2傾斜センサの不具合を検出する第2不具合検出工程とを含む処理を実行させるとともに、傾き検出工程では、第3差分特定工程で特定する第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、第1差分特定工程で特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する処理を実行させる。
【0011】
これによれば、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出することになる。センサパッケージ筐体は移動体に搭載されるため、センサパッケージ筐体に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサで検知する第1傾き情報には、移動体の傾きの情報も含まれることになる。一方、第2傾斜センサで検知する第2傾き情報は、第2傾斜センサが移動体のうちのセンサパッケージ筐体を除く箇所に設けられるので、センサパッケージ筐体自体の傾きの情報を含まない、移動体の傾きの情報となる。よって、第1差分は移動体の傾きを除いたセンサパッケージ筐体自体の傾きとなる。従って、移動体の傾きを含まないセンサパッケージ筐体自体の傾きから、センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていることを検出することが可能になる。その結果、移動体に搭載されるセンサパッケージ筐体について、初期位置からのセンサパッケージ筐体の傾きをより精度良く検出することが可能になる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本開示の第1の傾き検出システムは、移動体で用いることが可能な前述の傾き検出装置(7,7a,7b,7c,7d,7e,7f)と、移動体に搭載される、移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)と、センサパッケージ筐体に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)と、移動体のうちの、センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)とを含む。
また、上記目的を達成するために、本開示の第2の傾き検出システムは、移動体に搭載されるとともに前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得部(702,702b,702c,702d,702e,702f)と、前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得部(703,703b,703c,703d,703e,703f)と、前記第1取得部で取得する前記第1傾き情報と前記第2取得部で取得する前記第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する前記移動体の傾きと前記センサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定部(704,704b,704c,704d,704e,704f)と、前記第1差分特定部で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出部(705,705b,705c,705d,705e,705f)とを備え、前記移動体で用いることが可能な傾き検出装置(7,7a,7b,7c,7d,7e,7f)と、前記移動体に搭載される、前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)と、前記センサパッケージ筐体に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)と、前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)とを含み、前記第1傾斜センサ(6b,6c,6d,6e,6f)は、前記センサパッケージ筐体に複数設けられ、前記第1取得部(702b,702c,702d,702e,702f)は、複数の前記第1傾斜センサで検知する前記第1傾き情報をそれぞれ取得し、前記傾き検出装置(7b,7c,7d,7e,7f)は、前記第1取得部で取得する複数の前記第1傾斜センサの前記第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の前記第1傾斜センサ同士の傾きの差分である第2差分を特定する第2差分特定部(709,709c,709d,709e,709f)と、前記第2差分特定部で特定する前記第2差分が第2の許容範囲内でない場合に、前記第1傾斜センサの不具合を検出する第1不具合検出部(710,710c,710d,710e,710f)とを備え、前記傾き検出部(705b,705c,705d,705e,705f)は、前記第2差分特定部で特定する前記第2差分が第2の許容範囲内であって、且つ、前記第1差分特定部で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する。
また、上記目的を達成するために、本開示の第3の傾き検出システムは、移動体に搭載されるとともに前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)で検知する傾きの情報である第1傾き情報を取得する第1取得部(702,702b,702c,702d,702e,702f)と、前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)で検知する傾きの情報である第2傾き情報を取得する第2取得部(703,703b,703c,703d,703e,703f)と、前記第1取得部で取得する前記第1傾き情報と前記第2取得部で取得する前記第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する前記移動体の傾きと前記センサパッケージ筐体の傾きとの差分である第1差分を特定する第1差分特定部(704,704b,704c,704d,704e,704f)と、前記第1差分特定部で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する傾き検出部(705,705b,705c,705d,705e,705f)とを備え、前記移動体で用いることが可能な傾き検出装置(7,7a,7b,7c,7d,7e,7f)と、前記移動体に搭載される、前記移動体の周辺監視に用いる周辺監視センサ(4,5)を含む筐体であるセンサパッケージ筐体(3)と、前記センサパッケージ筐体に設けられる傾斜センサである第1傾斜センサ(6,6b,6c,6d,6e,6f)と、前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に設けられる傾斜センサである第2傾斜センサ(8,8b,8c,8d,8e,8f)とを含み、前記第2傾斜センサ(8b,8c,8d,8e,8f)は、前記移動体のうちの、前記センサパッケージ筐体を除く箇所に複数設けられ、前記第2取得部(703b,703c,703d,703e,703f)は、複数の前記第2傾斜センサで検知する前記第2傾き情報をそれぞれ取得し、前記傾き検出装置(7b,7c,7d,7e,7f)は、前記第2取得部で取得する複数の前記第2傾斜センサの前記第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の前記第2傾斜センサ同士の傾きの差分である第3差分を特定する第3差分特定部(711,711c,711d)と、前記第3差分特定部で特定する前記第3差分が第3の許容範囲内でない場合に、前記第2傾斜センサの不具合を検出する第2不具合検出部(712,712c,712d)とを備え、前記傾き検出部(705b,705c,705d,705e,705f)は、前記第3差分特定部で特定する前記第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、前記第1差分特定部で特定する前記第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、前記センサパッケージ筐体が初期位置から傾いていると検出する。
【0013】
これによれば、前述の傾き検出装置を含むので、移動体に搭載されるセンサパッケージ筐体について、初期位置からのセンサパッケージ筐体の傾きをより精度良く検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車両用システム1の概略的な構成の一例を示す図である。
図2】実施形態1における外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6、及び第2傾斜センサ8の配置例を示す図である。
図3】共振周波数別のセンサPKG筐体3の振れの大きさの例を示した図である。
図4】画像処理装置7の概略的な構成の一例を示す図である。
図5】処理部71での傾き検出関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】車両用システム1aの概略的な構成の一例を示す図である。
図7】車両用システム1bの概略的な構成の一例を示す図である。
図8】実施形態3における外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6b、及び第2傾斜センサ8bの配置例を示す図である。
図9】画像処理装置7bの概略的な構成の一例を示す図である。
図10】処理部71bでの傾き検出関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】車両用システム1cの概略的な構成の一例を示す図である。
図12】実施形態4における外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6c、及び第2傾斜センサ8cの配置例を示す図である。
図13】画像処理装置7cの概略的な構成の一例を示す図である。
図14】処理部71cでの傾き検出関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15】車両用システム1dの概略的な構成の一例を示す図である。
図16】実施形態5における外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6d、及び第2傾斜センサ8dの配置例を示す図である。
図17】画像処理装置7dの概略的な構成の一例を示す図である。
図18】車両用システム1eの概略的な構成の一例を示す図である。
図19】実施形態6における外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6e、及び第2傾斜センサ8bの配置例を示す図である。
図20】画像処理装置7eの概略的な構成の一例を示す図である。
図21】処理部71eでの傾き検出関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図22】車両用システム1fの概略的な構成の一例を示す図である。
図23】実施形態7における外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6b、第1傾斜センサ6e、及び第2傾斜センサ8bの配置例を示す図である。
図24】画像処理装置7fの概略的な構成の一例を示す図である。
図25】処理部71fでの傾き検出関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
【0016】
<車両用システム1の概略構成>
車両用システム1は、車両で用いることが可能なものである。車両用システム1は、図1に示すように、センサパッケージ(以下、センサPKG)2、第2傾斜センサ8、車速センサ9、自動運転ECU10、HCU(Human Machine Interface Control Unit)11、及び提示装置12を含む。車両用システム1を用いる車両は、必ずしも自動車に限るものではないが、以下では自動車に用いる場合を例に挙げて説明を行う。車両用システム1を用いる車両を以下では自車と呼ぶ。
【0017】
センサPKG2は、図1に示すように、外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6、及び画像処理装置7を含む。外界カメラ4は、自車の外界の所定範囲を撮像する。外界カメラ4が周辺監視センサに相当する。外界カメラ4は、逐次撮像する撮像画像をセンシング情報として画像処理装置7へ逐次出力する。LiDAR装置5は、自車周辺の所定の範囲に光を照射し、その光が物標によって反射された反射光を検出する光学センサである。LiDAR装置5も周辺監視センサに相当する。LiDAR装置5は、物標によって反射された反射波を受信した場合に得られる受信信号に基づく走査結果をセンシング情報として画像処理装置7へ逐次出力する。なお、センサPKG2と第2傾斜センサ8とを含む構成が傾き検出システムに相当する。
【0018】
センサPKG2は、図1に示すように、センサパッケージ筐体(以下、センサPKG筐体)3に含まれる。センサPKG筐体3は、樹脂,金属等からなる筐体とすればよい。センサPKG筐体3は、センサPKG2を収納して、自車に搭載される。センサPKG筐体3は、図2に示すように、例えば自車のルーフ上に搭載されるものとする。センサPKG筐体3は、自車のルーフ上に、ルーフの上面に沿って広がる形状とすればよい。本実施形態の例では、センサPKG筐体3は、自車の高さ方向から見た形状が矩形状とすればよい。矩形状とは、完全な四角に限らず、角が丸みを帯びた形状も含むものとする。
【0019】
センサPKG筐体3の自車に対する傾きは、例えば工場出荷時等の自車へのセンサPKG筐体3の初期取り付け時に、外界カメラ4,LiDAR装置5といった周辺監視センサの検出軸が自車に対して所望の方向を向くように設置されるものとする。この初期取り付け時におけるセンサPKG筐体3の自車に対する傾きが初期位置に相当する。なお、初期取り付け時において、周辺監視センサの検出軸が自車に対して所望の方向に完全一致しない場合であっても、そのずれ分を画像処理装置7に予め記憶させておくことで、そのずれ分を補正するキャリブレーションが行われる構成としてもよい。
【0020】
第1傾斜センサ6は、センサPKG筐体3に設けられる傾斜センサである。第1傾斜センサ6は、第1傾斜センサ6が設けられた物体の傾きを検知する。第1傾斜センサ6は、例えば水平に対する傾きを検知すればよい。第1傾斜センサ6は、前述の初期取り付け時の第1傾斜センサ6の値に対する傾きを検知してもよい。なお、第1傾斜センサ6はセンサPKG筐体3に設けられるが、センサPKG筐体3は自車に設けられる。よって、第1傾斜センサ6は、センサPKG筐体3の傾きだけなく自車の傾きも含む傾きを検知することになる。第1傾斜センサ6としては、例えば3軸低G加速度センサを用いればよい。なお、第1傾斜センサ6としては、傾斜センサであれば、3軸低G加速度センサ以外を用いる構成としてもよい。
【0021】
画像処理装置7は、外界カメラ4、LiDAR装置5、及び第1傾斜センサ6と接続される。画像処理装置7は、車内LANを介して、第2傾斜センサ8、車速センサ9、及び自動運転ECU10と接続される。画像処理装置7は、車内LANを介さずに、第2傾斜センサ8、車速センサ9、及び自動運転ECU10と接続される構成としてもよい。画像処理装置7は、外界カメラ4,LiDAR装置5から出力されるセンシング情報を取得し、これらのセンシング情報から物標及び自車に対する物標の位置を検出する。自車に対するセンサPKG筐体3の搭載位置が初期位置から傾いてしまう場合、外界カメラ4,LiDAR装置5といった周辺監視センサの検出軸が初期位置からずれてしまう。このような場合に、画像処理装置7では、センシング情報からの物標の位置の検出結果が、この初期位置からの傾きに応じてずれてしまうことが考えられる。これに対して、画像処理装置7では、センサPKG筐体3の初期位置からの傾きを検出することで、物標の位置の検出結果のずれを抑制する。以下では、画像処理装置7での、センサPKG筐体3の初期位置からの傾きを検出する構成について説明を行う。画像処理装置7の概略構成については後述する。
【0022】
第2傾斜センサ8は、自車のうちの、センサPKG筐体3を除く箇所に設けられる傾斜センサである。第2傾斜センサ8は、第2傾斜センサ8が設けられた物体の傾きを検知する。第2傾斜センサ8は、例えば水平に対する傾きを検知すればよい。第2傾斜センサ8は、前述の初期取り付け時の第2傾斜センサ8の値に対する傾きを検知してもよい。なお、第2傾斜センサ8は自車のうちのセンサPKG筐体3を除く箇所に設けられるので、センサPKG筐体3の傾きを含まない自車の傾きを検知することになる。第2傾斜センサ8としては、例えば3軸低G加速度センサを用いればよい。なお、第2傾斜センサ8としては、傾斜センサであれば、3軸低G加速度センサ以外を用いる構成としてもよい。第1傾斜センサ6と第2傾斜センサ8とは同じ種類の傾斜センサを用いることが好ましい。これは、計測方法の違いによる誤差を含まずに済むようにするためである。
【0023】
ここで、図2を用いて、実施形態1における外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6、及び第2傾斜センサ8の配置例を説明する。センサPKG筐体3は、前述したように、自車のルーフ上面に沿った略矩形状であるものとする。
【0024】
外界カメラ4としては、自車の前方、左側方、右側方、及び後方をそれぞれ撮像範囲とするように4つの外界カメラ4がセンサPKG筐体3内に設けられる。外界カメラ4では、撮像範囲がセンシング範囲となる。以下では、自車の前方を撮像範囲とする外界カメラ4を外界カメラ401と呼ぶ。自車の右側方を撮像範囲とする外界カメラ4を外界カメラ402と呼ぶ。自車の左側方を撮像範囲とする外界カメラ4を外界カメラ403と呼ぶ。自車の後方を撮像範囲とする外界カメラ4を外界カメラ404と呼ぶ。外界カメラ401は、センサPKG筐体3のうちの、自車の前方側に設けられる。外界カメラ402は、センサPKG筐体3のうちの、自車の左側方側に設けられる。外界カメラ403は、センサPKG筐体3のうちの、自車の右側方側に設けられる。外界カメラ404は、センサPKG筐体3のうちの、自車の後方側に設けられる。
【0025】
LiDAR装置5としては、自車の前方、左後側方、及び右後側方をそれぞれ走査範囲とするように3つのLiDAR装置5がセンサPKG筐体3内に設けられる。LiDAR装置5では、走査範囲がセンシング範囲となる。以下では、自車の前方を走査範囲とするLiDAR装置5をLiDAR装置501と呼ぶ。自車の左後側方を走査範囲とするLiDAR装置5をLiDAR装置502と呼ぶ。自車の右後側方を走査範囲とするLiDAR装置5をLiDAR装置503と呼ぶ。LiDAR装置501は、センサPKG筐体3のうちの、自車の前方側に設けられる。LiDAR装置502は、センサPKG筐体3のうちの、自車の左後側方側に設けられる。LiDAR装置503は、センサPKG筐体3のうちの、自車の右後側方側に設けられる。
【0026】
第1傾斜センサ6は、センサPKG筐体3内に1つ設けられる。第1傾斜センサ6を設ける位置は、図3に示すように、センサPKG筐体3の振動の影響を受けにくい場所に設けることが好ましい。これは、センサPKG筐体3の共振点,振動の激しい箇所に第1傾斜センサ6を設けてしまうと、自車等の振動の影響を強く受けて正確な傾きを検知出来ないためである。図3は、共振周波数別のセンサPKG筐体3の振れの大きさの例を示した図である。図3に示すように、第1傾斜センサ6は、センサPKG筐体3のうちの、センサPKG筐体3の振れの小さい領域に配置すればよい。共振周波数別のセンサPKG筐体3の振れの大きさについては、シミュレーション等で求めればよい。第2傾斜センサ8は、図2に示すように、自車のうちのセンサPKG筐体3を除く箇所に1つ設けられる。
【0027】
車速センサ9は、自車の速度を検出する。自動運転ECU10は、センサPKG2から出力される自車に対する物標の位置の情報等に基づき、自車の周囲の走行環境を認識する。自動運転ECU10は、認識した走行環境に基づき、自動運転機能によって自車を自動走行させるための走行計画を生成する。そして、自動運転ECU10は、走行制御を行うECUと連携して自動走行を実現させる。ここで言うところの自動走行は、加減速制御及び操舵制御のいずれもシステムが代行する自動走行であってもよいし、これらの一部をシステムが代行する自動走行であってもよい。
【0028】
HCU11は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるコンピュータを主体として構成される。HCU11は、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、乗員と自車のシステムとのやり取りに関する各種の処理を実行する。
【0029】
提示装置12は、自車に設けられて、自車の室内に向けて情報提示を行う。提示装置12は、HCU11の指示に従って情報提示を行う。提示装置12は、少なくとも運転者に向けて情報提示を行えばよい。提示装置12は、運転者以外の同乗者にも情報提示を行っても構わない。提示装置12としては、表示器,音声出力装置等が挙げられる。
【0030】
表示器は、情報を表示することで情報提示を行う。表示器としては、例えばメータMID(Multi Information Display),CID(Center Information Display),HUD(Head-Up Display)を用いることができる。メータMIDは、車室内のうちの運転席の正面に設けられる表示装置である。一例として、メータMIDは、メータパネルに設けられる構成とすればよい。CIDは、自車のインスツルメントパネルの中央に配置される表示装置である。HUDは、車室内のうちの例えばインスツルメントパネルに設けられる。HUDは、プロジェクタによって形成される表示像を、投影部材としてのフロントウインドシールドに既定された投影領域に投影する。フロントウインドシールドによって車室内側に反射された画像の光は、運転席に着座するドライバによって知覚される。これにより、ドライバは、フロントウインドシールドの前方にて結像される表示像の虚像を、前景の一部と重ねて視認可能となる。HUDは、フロントウインドシールドの代わりに、運転席の正面に設けられるコンバイナに表示像を投影する構成としてもよい。音声出力装置は、音声を出力することで情報提示を行う。音声出力装置としては、スピーカ等が挙げられる。
【0031】
<画像処理装置7の概略構成>
続いて、図1及び図4を用いて、画像処理装置7の概略構成を説明する。図1に示すように、画像処理装置7は、処理部71、RAM72、記憶部73、及び入出力インターフェース(以下、I/О)74を備えた演算回路を主体として含む電子制御装置である。処理部71、RAM72、記憶部73、及びI/О74は、バスで接続される構成とすればよい。
【0032】
処理部71は、RAM72と結合された、演算処理のためのハードウェアである。処理部71は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)、FPGA等の演算コアを少なくとも1つ含んでいる。処理部71は、他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含んでなる画像処理チップとして構成可能である。こうした画像処理チップは、自動運転用途専用に設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってよい。処理部71は、RAM72へのアクセスにより、後述する各機能ブロックの機能を実現するための種々の処理を実行する。
【0033】
記憶部73は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。この記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスク等によって実現される。記憶部73には、処理部71によって実行される傾き検出プログラム等の種々のプログラムが格納されている。
【0034】
図4に示すように、画像処理装置7は、停止特定部701、第1取得部702、第2取得部703、第1差分特定部704、傾き検出部705、センシング情報取得部706、物標検出部707、及び補正制御部708を機能ブロックとして備える。この画像処理装置7が傾き検出装置に相当する。また、コンピュータによって画像処理装置7の各機能ブロックの処理が実行されることが、傾き検出方法が実行されることに相当する。なお、画像処理装置7が実行する機能の一部又は全部を、1つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、画像処理装置7が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
【0035】
停止特定部701は、自車が停止中か否かを特定する。停止特定部701は、車速センサ9で検出した車速から、自車が停止中か否かを特定すればよい。なお、停止特定部701は、車速センサ9で検出した車速以外から、自車が停止中か否かを特定してもよい。例えば、自車の内燃機関又はモータジェネレータを始動させるためのスイッチ(以下、パワースイッチ)がオンになってからアクセルペダルの踏み込みを検出するまでを自車が停止中と特定してもよい。アクセルペダルの踏み込みは、アクセルストロークセンサ等を利用して検出すればよい。
【0036】
第1取得部702は、第1傾斜センサ6で検知する傾きの情報(以下、第1傾き情報)を取得する。第1傾き情報は、第1傾斜センサ6で検知される値とすればよい。この第1取得部702での処理が第1取得工程に相当する。第2取得部703は、第2傾斜センサ8で検知する傾きの情報(以下、第2傾き情報)を取得する。第2傾き情報は、第2傾斜センサ8で検知される値とすればよい。この第2取得部703での処理が第2取得工程に相当する。
【0037】
第1差分特定部704は、第1取得部702で取得する第1傾き情報と第2取得部703で取得する第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分(以下、第1差分)を特定する。この第1差分特定部704での処理が第1差分特定工程に相当する。共通の基準状態は、例えば水平とすればよい。共通の基準状態は、水平以外にも前述の初期取り付け時の状態としてもよい。第1差分特定部704は、第1傾き情報と第2傾き情報との基準が異なる場合であっても、共通の基準状態に対する値に変換することによって、第1差分を特定可能とする。
【0038】
第1差分特定部704は、停止している期間において第1取得部702で取得する第1傾き情報と自車が停止している期間において第2取得部703で取得する第2傾き情報とをもとに、第1差分を特定することが好ましい。これによれば、走行中の自車の振動による影響を除外して第1差分をより精度良く特定することが可能になる。その結果、初期位置からのセンサPKG筐体3の傾きを検出する精度を向上させることが可能になる。
【0039】
自車が停止している期間については、停止特定部701で自車が停止していると特定している期間を用いればよい。つまり、第1差分特定部704は、停止特定部701で自車が停止していると特定している期間において第1取得部702で取得する第1傾き情報と、停止特定部701で自車が停止していると特定している期間において第2取得部703で取得する第2傾き情報とをもとに、第1差分を特定してもよい。他にも、自車のパワースイッチがオンになってから一定時間は自車が停止しているので、この一定時間を自車が停止している期間として用いてもよい。ここで言うところの一定時間としては、自車のパワースイッチがオンになってから自車が停止を継続している可能性が高いと推定される時間を設定すればよい。
【0040】
傾き検出部705は、第1差分特定部704で特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出する。この傾き検出部705での処理が傾き検出工程に相当する。第1の許容範囲は、略一致するか否かを区別するための範囲であって、任意に設定可能とすればよい。第1の許容範囲は、例えば誤差程度の範囲とすればよい。傾き検出部705は、第1差分特定部704で特定する第1差分が第1の許容範囲内である場合には、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていないと検出してもよい。
【0041】
傾き検出部705は、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出した場合に、その旨をHCU11に通知し、HCU11を介して提示装置12からその旨を示す情報提示を行わせてもよい。例えば、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていることを示すアイコンを表示させる等すればよい。
【0042】
センシング情報取得部706は、外界カメラ4,LiDAR装置5から出力されるセンシング情報を取得する。外界カメラ4,LiDAR装置5をまとめて周辺監視センサと呼ぶ。物標検出部707は、センシング情報取得部706で取得したセンシング情報から、物標及び自車に対する物標の位置(以下、単に物標位置)を検出する。外界カメラ4で撮像した画像データを用いる場合には、画像認識技術によって物標及び物標位置を検出すればよい。LiDAR装置5で得られた測距点群を用いる場合には、F-PointNetやPointPillars等の3D検出処理によって、3次元の物標及び物標位置を検出すればよい。
【0043】
補正制御部708は、傾き検出部705でセンサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出する場合に、第1差分特定部704で特定する第1差分をもとに、周辺監視センサでのその第1差分に応じたセンシングのずれを補正するための制御を行う。一例としては、物標検出部707で検出する物標位置を、その第1差分に応じたずれを解消するように補正させたりすればよい。他にも、アクチュエータを作動させることで外界カメラ4,LiDAR装置5の検出軸を変更可能な場合は、その第1差分に応じたずれを解消するようにそのアクチュエータを作動させたりしてもよい。
【0044】
<処理部71での傾き検出関連処理>
ここで、処理部71での自車に対するセンサPKG筐体3の初期位置からの傾きの検出に関連する処理(以下、傾き検出関連処理)の一例について、図5のフローチャートを用いて説明を行う。図5のフローチャートは、例えば自車のパワースイッチがオンになった場合に開始される構成とすればよい。なお、図5のフローチャートは、自車のパワースイッチがオンになった状態において、周期的に停止特定部701で自車が停止中か否かを特定し、自車が停止中の場合に開始される構成としてもよい。
【0045】
まず、ステップS1では、第1取得部702が、第1傾斜センサ6で検知する第1傾き情報を取得する。ステップS2では、第2取得部703が、第2傾斜センサ8で検知する第2傾き情報を取得する。
【0046】
ステップS3では、第1差分特定部704が、S1で取得した第1傾き情報とS2で取得した第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分を特定する。
【0047】
ステップS4では、S3で特定した第1差分が第1の許容範囲内の場合(S4でYES)に、傾き検出関連処理を終了する。この場合、傾き検出部705は、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていないと検出してもよい。一方、S3で特定した第1差分が第1の許容範囲内でない場合(S4でNO)には、ステップS5に移る。ステップS5では、傾き検出部705が、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出し、傾き検出関連処理する。
【0048】
<実施形態1のまとめ>
実施形態1の構成によれば、共通の基準状態に対する自車の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出することになる。センサPKG筐体3は移動体に搭載されるため、センサPKG筐体3に設けられる第1傾斜センサ6で検知する第1傾き情報には、移動体の傾きの情報も含まれることになる。一方、第2傾斜センサ8で検知する第2傾き情報は、第2傾斜センサ8が移動体のうちのセンサPKG筐体3を除く箇所に設けられるので、センサPKG筐体3自体の傾きの情報を含まない、移動体の傾きの情報となる。よって、第1差分は移動体の傾きを除いたセンサPKG筐体3自体の傾きとなる。従って、移動体の傾きを含まないセンサPKG筐体3自体の傾きから、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていることを検出することが可能になる。これにより、エアサスペンションによる自車の傾きを、センサPKG筐体3自体の傾きとして誤って検出するのを抑制できる。その結果、自車に搭載されるセンサPKG筐体3について、初期位置からのセンサPKG筐体3の傾きをより精度良く検出することが可能になる。また、これにより、周辺監視センサのキャリブレーションの必要有無を判断することも容易になる。
【0049】
(実施形態2)
実施形態1では、センサPKG筐体3内に画像処理装置7が含まれる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、センサPKG筐体3内に画像処理装置7が含まれない構成(以下、実施形態2)としてもよい。以下では、実施形態2の構成について説明する。
【0050】
<車両用システム1aの概略構成>
車両用システム1aは、車両で用いることが可能なものである。車両用システム1aは、図6に示すように、センサPKG2a、画像処理装置7a、第2傾斜センサ8、車速センサ9、自動運転ECU10、HCU11、及び提示装置12を含む。車両用システム1aは、センサPKG2の代わりにセンサPKG2aを含む点と画像処理装置7の代わりに画像処理装置7aを含む点とを除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0051】
センサPKG2aは、図6に示すように、外界カメラ4、LiDAR装置5、及び第1傾斜センサ6を含む。センサPKG2aは、画像処理装置7を含まない点を除けば、実施形態1のセンサPKG2と同様である。
【0052】
画像処理装置7aは、センサPKG筐体3内に含まれない点を除けば、実施形態1の画像処理装置7と同様である。実施形態2aは、例えば車室内など、自車のいずれかに設けられる構成とすればよい。なお、センサPKG2aと画像処理装置7と第2傾斜センサ8とを含む構成も傾き検出システムに相当する。
【0053】
<実施形態2のまとめ>
実施形態2の構成は、画像処理装置7がセンサPKG筐体3内に含まれない点を除けば、実施形態1の構成と同様である。よって、実施形態1と同様に、自車に搭載されるセンサPKG筐体3について、初期位置からのセンサPKG筐体3の傾きをより精度良く検出することが可能になる。
【0054】
(実施形態3)
実施形態1では、第1傾斜センサ6及び第2傾斜センサ8をそれぞれ1つ用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第1傾斜センサ6及び第2傾斜センサ8をそれぞれ2つずつ用いる構成(以下、実施形態3)としてもよい。以下では、実施形態3の構成について説明する。なお、実施形態3では、便宜上、第1傾斜センサ6を第1傾斜センサ6bと呼び、第2傾斜センサ8を第2傾斜センサ8bと呼ぶ。
【0055】
<車両用システム1bの概略構成>
車両用システム1bは、車両で用いることが可能なものである。車両用システム1bは、図7に示すように、センサPKG2b、第2傾斜センサ8b、車速センサ9、自動運転ECU10、HCU11、及び提示装置12を含む。車両用システム1bは、センサPKG2の代わりにセンサPKG2bを含む点と、第2傾斜センサ8の代わりに第2傾斜センサ8bを含む点とを除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0056】
第2傾斜センサ8bは、2つ用いられる点を除けば、実施形態1の第2傾斜センサ8と同様である。センサPKG2bは、図7に示すように、外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6b、及び画像処理装置7bを含む。センサPKG2bは、第1傾斜センサ6及び画像処理装置7の代わりに第1傾斜センサ6b及び画像処理装置7bを含む点を除けば、実施形態1のセンサPKG2と同様である。画像処理装置7bの概略構成については後述する。第1傾斜センサ6bは、2つ用いられる点を除けば、実施形態1の第1傾斜センサ6と同様である。なお、センサPKG2bと第2傾斜センサ8bとを含む構成も傾き検出システムに相当する。
【0057】
ここで、図8を用いて、実施形態2における外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6b、及び第2傾斜センサ8bの配置例を説明する。センサPKG筐体3は、前述したように、自車のルーフ上面に沿った略矩形状であるものとする。外界カメラ4及びLiDAR装置5の配置は、図2を用いて実施形態1で説明したのと同様とする。
【0058】
第1傾斜センサ6bは、センサPKG筐体3内に2つ設けられる。以下では、2つの第1傾斜センサ6bを、第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ602と呼ぶ。第2傾斜センサ8bは、自車のうちのセンサPKG筐体3を除く箇所に2つ設けられる。以下では、2つの第2傾斜センサ8bを、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ802と呼ぶ。
【0059】
2つの第1傾斜センサ6bと2つの第2傾斜センサ8bとは、図8に示すように、自車の前後軸に沿って配置されることが好ましい。2つの第1傾斜センサ6bと2つの第2傾斜センサ8bとは、自車の左右軸に沿って配置してもよい。これは、複数の第1傾斜センサ6bと複数の第2傾斜センサ8bとを同一軸に配置することで、後述する第1差分特定部704b,第2差分特定部709,第3差分特定部711でのロール,ヨー,ピッチ成分の影響による誤差を抑えることが可能になるためである。なお、2つの第1傾斜センサ6bと2つの第2傾斜センサ8bとは、自車の前後軸に沿って配置することがより好ましい。
【0060】
第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ602とは、図8に示すように、センサPKG筐体3を自車の前輪側と後輪側との2つの領域に区分した場合の前輪側に第1傾斜センサ601を配置し、後輪側に第1傾斜センサ602を配置することが好ましい。つまり、前輪側と後輪側とのそれぞれに第1傾斜センサ6bを配置することが好ましい。これは、前輪側と後輪側とのいずれか一方のみのエアサスペンション,タイヤ空気圧による自車の傾きの影響も除いた、より精度の高いセンサPKG筐体3の初期位置からの傾きの検出を可能とするためである。
【0061】
第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ802とは、図8に示すように、自車を前輪側と後輪側との2つの領域に区分した場合の前輪側に第2傾斜センサ801を配置し、後輪側に第2傾斜センサ802を配置することが好ましい。つまり、前輪側と後輪側とのそれぞれに第2傾斜センサ8bを配置することが好ましい。これは、前輪側と後輪側とのいずれか一方のみのエアサスペンション,タイヤ空気圧による自車の傾きの影響も除いた、より精度の高いセンサPKG筐体3の初期位置からの傾きの検出を可能とするためである。
【0062】
<画像処理装置7bの概略構成>
続いて、図7及び図9を用いて、画像処理装置7bの概略構成を説明する。図7に示すように、画像処理装置7bは、処理部71b、RAM72、記憶部73、及びI/О74を備えた演算回路を主体として含む電子制御装置である。画像処理装置7bは、処理部71の代わりに処理部71aを備える点を除けば、実施形態1の画像処理装置7と同様である。
【0063】
図9に示すように、画像処理装置7bは、停止特定部701、第1取得部702b、第2取得部703b、第1差分特定部704b、傾き検出部705b、センシング情報取得部706、物標検出部707、補正制御部708、第2差分特定部709、第1不具合検出部710、第3差分特定部711、及び第2不具合検出部712を機能ブロックとして備える。この画像処理装置7bも傾き検出装置に相当する。また、コンピュータによって画像処理装置7bの各機能ブロックの処理が実行されることも、傾き検出方法が実行されることに相当する。画像処理装置7bの機能ブロックは、第1取得部702、第2取得部703、第1差分特定部704、傾き検出部705の代わりに第1取得部702b、第2取得部703b、第1差分特定部704b、傾き検出部705bを備える点と、第2差分特定部709、第1不具合検出部710、第3差分特定部711、及び第2不具合検出部712を備える点とを除けば、実施形態1の画像処理装置7と同様である。
【0064】
第1取得部702bは、複数の第1傾斜センサ6bで検知する第1傾き情報をそれぞれ取得する。本実施形態の例では、第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ602とから第1傾き情報を取得する。この第1取得部702bでの処理も第1取得工程に相当する。第2取得部703bは、複数の第2傾斜センサ8bで検知する第2傾き情報をそれぞれ取得する。本実施形態の例では、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ802とから第2傾き情報を取得する。この第2取得部703bでの処理も第2取得工程に相当する。
【0065】
第2差分特定部709は、第1取得部702bで取得する複数の第1傾斜センサ6bの第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第1傾斜センサ6b同士の傾きの差分である第2差分を特定する。共通の基準状態は、例えば水平とすればよい。共通の基準状態は、水平以外にも前述の初期取り付け時の状態としてもよい。本実施形態の例では、共通の基準状態に対する、第1傾斜センサ601で検知する傾きと第1傾斜センサ602で検知する傾きとの差分を、第2差分として特定する。
【0066】
第1不具合検出部710は、第2差分特定部709で特定する第2差分が第2の許容範囲内でない場合に、第1傾斜センサ6bの不具合を検出する。第1不具合検出部710は、第2差分特定部709で特定する第2差分が第2の許容範囲内である場合には、第1傾斜センサ6bの不具合を検出しない。第2の許容範囲は、略一致するか否かを区別するための範囲であって、任意に設定可能とすればよい。第2の許容範囲は、例えば誤差程度の範囲とすればよい。第1不具合検出部710では、不具合として、複数の第1傾斜センサ6bのうちのいずれかが初期位置から傾いていること、若しくは複数の第1傾斜センサ6bのうちのいずれかの異常を検出する。第1傾斜センサ6bの異常の一例としてとは、第1傾斜センサ6bの故障が挙げられる。
【0067】
第1不具合検出部710は、第1傾斜センサ6bの不具合を検出した場合に、その旨をHCU11に通知し、HCU11を介して提示装置12からその旨を示す情報提示を行わせてもよい。例えば、第1傾斜センサ6bの不具合が発生していることを示すアイコンを表示させる等すればよい。他にも、ダイアグ情報として記録し、ダイアグツールで読み出し可能としてもよい。これにより、第1傾斜センサ6bの不具合に応じた対処を行うことが容易になる。
【0068】
第3差分特定部711は、第2取得部703bで取得する複数の第2傾斜センサ8bの第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第2傾斜センサ8b同士の傾きの差分である第3差分を特定する。共通の基準状態は、例えば水平とすればよい。共通の基準状態は、水平以外にも前述の初期取り付け時の状態としてもよい。本実施形態の例では、共通の基準状態に対する、第2傾斜センサ801で検知する傾きと第2傾斜センサ802で検知する傾きとの差分を、第3差分として特定する。
【0069】
第2不具合検出部712は、第3差分特定部711で特定する第3差分が第3の許容範囲内でない場合に、第2傾斜センサ8bの不具合を検出する。第2不具合検出部712は、第3差分特定部711で特定する第3差分が第3の許容範囲内である場合には、第2傾斜センサ8bの不具合を検出しない。第3の許容範囲は、略一致するか否かを区別するための範囲であって、任意に設定可能とすればよい。第3の許容範囲は、例えば誤差程度の範囲とすればよい。第2不具合検出部712では、不具合として、複数の第2傾斜センサ8bのうちのいずれかが初期位置から傾いていること、若しくは複数の第2傾斜センサ8bのうちのいずれかの異常を検出する。第2傾斜センサ8bの異常の一例としてとは、第2傾斜センサ8bの故障が挙げられる。
【0070】
第2不具合検出部712は、第2傾斜センサ8bの不具合を検出した場合に、その旨をHCU11に通知し、HCU11を介して提示装置12からその旨を示す情報提示を行わせてもよい。例えば、第2傾斜センサ8bの不具合が発生していることを示すアイコンを表示させる等すればよい。他にも、ダイアグ情報として記録し、ダイアグツールで読み出し可能としてもよい。これにより、第2傾斜センサ8bの不具合に応じた対処を行うことが容易になる。
【0071】
第1差分特定部704bは、第1取得部702bで取得する第1傾き情報と第2取得部703bで取得する第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分を特定する。この第1差分特定部704bでの処理も第1差分特定工程に相当する。共通の基準状態は、第1差分特定部704での処理と同様とすればよい。
【0072】
第1差分特定部704bは、第1不具合検出部710及び第2不具合検出部712のいずれでも不具合が検出されなかった場合に第1差分を特定することが好ましい。第1差分特定部704bは、第1差分特定部704と同様に、停止している期間において第1取得部702bで取得する第1傾き情報と自車が停止している期間において第2取得部703bで取得する第2傾き情報とをもとに、第1差分を特定することが好ましい。
【0073】
第1差分特定部704bは、複数の第1傾斜センサ6bのそれぞれの傾きの平均値と、複数の第2傾斜センサ8bのそれぞれの傾きの平均値との差分を第1差分と特定すればよい。第1差分特定部704bは、複数の第1傾斜センサ6bと複数の第2傾斜センサ8bとのうちの位置のより近い第1傾斜センサ6bと第2傾斜センサ8bとの組同士での傾きの差分を算出し、各組の差分の平均値を第1差分と特定してもよい。本実施形態の例では、第1傾斜センサ601と第2傾斜センサ801との組と、第1傾斜センサ602と第2傾斜センサ802との組とでそれぞれ傾きの差分を算出すればよい。第1不具合検出部710及び第2不具合検出部712のいずれでも不具合が検出されなかった場合には、複数の第1傾斜センサ6bと複数の第2傾斜センサ8bとのうちの第1傾斜センサ6bと第2傾斜センサ8bとの組同士での第1差分は、いずれの組でもほぼ同じ値となる。よって、第1差分特定部704bは、いずれか一組の第1傾斜センサ6bと第2傾斜センサ8bとでの傾きの差分を第1差分と特定してもよい。
【0074】
傾き検出部705bは、第2差分特定部709で特定する第2差分が第2の許容範囲内であって、第3差分特定部711で特定する第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、第1差分特定部704bで特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出する。これによれば、第1傾斜センサ6b,第2傾斜センサ8bの不具合によって生じる第1差分の値からセンサPKG筐体3の初期位置からの傾きを誤検出してしまうことを抑制することが可能になる。この傾き検出部705bでの処理も傾き検出工程に相当する。傾き検出部705bは、第2差分特定部709で特定する第2差分が第2の許容範囲内でない場合、若しくは第3差分特定部711で特定する第3差分が第3の許容範囲内でない場合であっても、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出しない。また、傾き検出部705bは、第2差分特定部709で特定する第2差分が第2の許容範囲内であって、第3差分特定部711で特定する第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、第1差分特定部704bで特定する第1差分が第1の許容範囲内である場合には、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出しない。
【0075】
<処理部71bでの傾き検出関連処理>
ここで、処理部71bでの傾き検出関連処理の一例について、図10のフローチャートを用いて説明を行う。図10のフローチャートは、図5のフローチャートと同様の条件で開始される構成とすればよい。
【0076】
まず、ステップS21では、第2取得部703bが、複数の第2傾斜センサ8bのそれぞれで検知した第2傾き情報を取得する。ステップS22では、第3差分特定部711が、S21で取得した複数の第2傾斜センサ8bの第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第2傾斜センサ8b同士の傾きの差分である第3差分を特定する。
【0077】
ステップS23では、S22で特定した第3差分が第3の許容範囲内の場合(S23でYES)に、ステップS25に移る。一方、S22で特定した第3差分が第3の許容範囲内でない場合(S23でNO)には、ステップS24に移る。ステップS24では、第2不具合検出部712が、第2傾斜センサ8bの不具合を検出し、傾き検出関連処理を終了する。
【0078】
ステップS25では、第1取得部702bが、複数の第1傾斜センサ6bのそれぞれで検知した第1傾き情報を取得する。ステップS26では、第2差分特定部709が、S25で取得した複数の第1傾斜センサ6bの第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第1傾斜センサ6b同士の傾きの差分である第2差分を特定する。
【0079】
ステップS27では、S26で特定した第2差分が第2の許容範囲内の場合(S27でYES)に、ステップS29に移る。一方、S26で特定した第2差分が第2の許容範囲内でない場合(S27でNO)には、ステップS28に移る。ステップS28では、第1不具合検出部710が、第1傾斜センサ6bの不具合を検出し、傾き検出関連処理を終了する。
【0080】
ステップS29では、第1差分特定部704bが、S21で取得した第2傾き情報とS5で取得した第1傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分を特定する。
【0081】
ステップS30では、S29で特定した第1差分が第1の許容範囲内の場合(S30でYES)に、傾き検出関連処理を終了する。この場合、傾き検出部705bは、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていないと検出してもよい。一方、S29で特定した第1差分が第1の許容範囲内でない場合(S30でNO)には、ステップS31に移る。ステップS31では、傾き検出部705bが、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出し、傾き検出関連処理する。
【0082】
<実施形態3のまとめ>
実施形態3の構成でも、共通の基準状態に対する自車の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出する。よって、実施形態1と同様に、自車に搭載されるセンサPKG筐体3について、初期位置からのセンサPKG筐体3の傾きをより精度良く検出することが可能になる。
【0083】
なお、実施形態3では、第1傾斜センサ6b及び第2傾斜センサ8bをそれぞれ2つ用いる場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第1傾斜センサ6b及び第2傾斜センサ8bのいずれかについては1つ用いられる構成としてもよい。
【0084】
例えば、第1傾斜センサ6bが2つ用いられ、第2傾斜センサ8bが1つ用いられる構成では、以下のようにすればよい。傾き検出部705bは、第2差分特定部709で特定する第2差分が第2の許容範囲内であって、且つ、第1差分特定部704bで特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出すればよい。この場合、第3差分特定部711及び第2不具合検出部712は省略すればよい。図10のフローチャートでは、S21~S24の処理を省略すればよい。
【0085】
例えば、第2傾斜センサ8bが2つ用いられ、第1傾斜センサ6bが1つ用いられる構成では、以下のようにすればよい。傾き検出部705bは、第3差分特定部711で特定する第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、第1差分特定部704bで特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出すればよい。この場合、第2差分特定部709及び第1不具合検出部710は省略すればよい。図10のフローチャートでは、S25~S28の処理を省略すればよい。
【0086】
なお、第1傾斜センサ6bと第2傾斜センサ8bとの数が一致しない場合でも、第1差分特定部704bは、例えば複数存在する傾斜センサについては傾きの平均値を算出することで、第1差分を特定可能とすればよい。以降の実施形態についても同様である。また、実施形態3の構成と実施形態2の構成とを組み合わせてもよい。
【0087】
(実施形態4)
実施形態3では、第1傾斜センサ6及び第2傾斜センサ8をそれぞれ2つずつ用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第1傾斜センサ6及び第2傾斜センサ8をそれぞれ3つずつ用いる構成(以下、実施形態4)としてもよい。以下では、実施形態4の構成について説明する。なお、実施形態4では、便宜上、第1傾斜センサ6を第1傾斜センサ6cと呼び、第2傾斜センサ8を第2傾斜センサ8cと呼ぶ。
【0088】
<車両用システム1cの概略構成>
車両用システム1cは、車両で用いることが可能なものである。車両用システム1cは、図11に示すように、センサPKG2c、第2傾斜センサ8c、車速センサ9、自動運転ECU10、HCU11、及び提示装置12を含む。車両用システム1cは、センサPKG2の代わりにセンサPKG2cを含む点と、第2傾斜センサ8の代わりに第2傾斜センサ8cを含む点とを除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0089】
第2傾斜センサ8cは、3つ用いられる点を除けば、実施形態1の第2傾斜センサ8と同様である。センサPKG2cは、図11に示すように、外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6c、及び画像処理装置7cを含む。センサPKG2cは、第1傾斜センサ6及び画像処理装置7の代わりに第1傾斜センサ6c及び画像処理装置7cを含む点を除けば、実施形態1のセンサPKG2と同様である。画像処理装置7cの概略構成については後述する。第1傾斜センサ6cは、3つ用いられる点を除けば、実施形態1の第1傾斜センサ6と同様である。なお、センサPKG2cと第2傾斜センサ8cとを含む構成も傾き検出システムに相当する。
【0090】
ここで、図12を用いて、実施形態4における外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6c、及び第2傾斜センサ8cの配置例を説明する。センサPKG筐体3は、前述したように、自車のルーフ上面に沿った略矩形状であるものとする。外界カメラ4及びLiDAR装置5の配置は、図2を用いて実施形態1で説明したのと同様とする。
【0091】
第1傾斜センサ6cは、センサPKG筐体3内に3つ設けられる。以下では、3つの第1傾斜センサ6cを、第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ603と第1傾斜センサ604と呼ぶ。第2傾斜センサ8cは、自車のうちのセンサPKG筐体3を除く箇所に3つ設けられる。以下では、3つの第2傾斜センサ8cを、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ803と第2傾斜センサ804と呼ぶ。
【0092】
第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ603と第1傾斜センサ604とは、図12に示すように、センサPKG筐体3を自車の前輪側と後輪側との2つの領域に区分した場合の前輪側と後輪側とのそれぞれに配置することが好ましい。図12に示す例では、第1傾斜センサ601を前輪側に配置し、第1傾斜センサ603,604を後輪側に配置している。また、第1傾斜センサ603,604は、センサPKG筐体3を自車の右前輪側と左前輪側と右後輪側と左後輪側との4つの領域に区分した場合の右後輪側と左後輪側とのそれぞれに分けて配置している。具体的には、第1傾斜センサ603を右後輪側に配置し、第1傾斜センサ604を左後輪側に配置している。これによれば、右後輪側と左後輪側とのいずれか一方のみのエアサスペンション,タイヤ空気圧による自車の傾きの影響も除いた、より精度の高いセンサPKG筐体3の初期位置からの傾きの検出が可能となる。
【0093】
図12の例では、第1傾斜センサ6cを前輪側に1つ配置する一方、後輪側に2つ配置する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。第1傾斜センサ6cを前輪側に2つ配置する一方、後輪側に1つ配置する構成としてもよい。この場合、前輪側の第1傾斜センサ6cを、右後輪側と左後輪側とのそれぞれに分けて配置することが好ましい。これによれば、右前輪側と左前輪側とのいずれか一方のみのエアサスペンション,タイヤ空気圧による自車の傾きの影響も除いた、より精度の高いセンサPKG筐体3の初期位置からの傾きの検出が可能となる。
【0094】
第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ803と第2傾斜センサ804とは、図12に示すように、自車を前輪側と後輪側との2つの領域に区分した場合の前輪側と後輪側とのそれぞれに配置することが好ましい。図12に示す例では、第2傾斜センサ801を前輪側に配置し、第2傾斜センサ803,804を後輪側に配置している。また、第2傾斜センサ803,804は、自車を右前輪側と左前輪側と右後輪側と左後輪側との4つの領域に区分した場合の右後輪側と左後輪側とのそれぞれに分けて配置している。具体的には、第2傾斜センサ803を右後輪側に配置し、第2傾斜センサ804を左後輪側に配置している。これによれば、右後輪側と左後輪側とのいずれか一方のみのエアサスペンション,タイヤ空気圧による自車の傾きの影響も除いた、より精度の高いセンサPKG筐体3の初期位置からの傾きの検出が可能となる。
【0095】
図12の例では、第2傾斜センサ8cを前輪側に1つ配置する一方、後輪側に2つ配置する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。第2傾斜センサ8cを前輪側に2つ配置する一方、後輪側に1つ配置する構成としてもよい。この場合、前輪側の第2傾斜センサ8cを、右後輪側と左後輪側とのそれぞれに分けて配置することが好ましい。これによれば、右前輪側と左前輪側とのいずれか一方のみのエアサスペンション,タイヤ空気圧による自車の傾きの影響も除いた、より精度の高いセンサPKG筐体3の初期位置からの傾きの検出が可能となる。
【0096】
<画像処理装置7cの概略構成>
続いて、図11及び図13を用いて、画像処理装置7cの概略構成を説明する。図11に示すように、画像処理装置7cは、処理部71c、RAM72、記憶部73、及びI/О74を備えた演算回路を主体として含む電子制御装置である。画像処理装置7cは、処理部71bの代わりに処理部71cを備える点を除けば、実施形態3の画像処理装置7bと同様である。
【0097】
図13に示すように、画像処理装置7cは、停止特定部701、第1取得部702c、第2取得部703c、第1差分特定部704c、傾き検出部705c、センシング情報取得部706、物標検出部707、補正制御部708、第2差分特定部709c、第1不具合検出部710c、第3差分特定部711c、及び第2不具合検出部712cを機能ブロックとして備える。この画像処理装置7cも傾き検出装置に相当する。また、コンピュータによって画像処理装置7cの各機能ブロックの処理が実行されることも、傾き検出方法が実行されることに相当する。画像処理装置7cの機能ブロックは、第1取得部702b、第2取得部703b、第1差分特定部704b、傾き検出部705b、第2差分特定部709、第1不具合検出部710、第3差分特定部711、及び第2不具合検出部712の代わりに第1取得部702c、第2取得部703c、第1差分特定部704c、傾き検出部705c、第2差分特定部709c、第1不具合検出部710c、第3差分特定部711c、及び第2不具合検出部712cを備える点を除けば、実施形態3の画像処理装置7bと同様である。
【0098】
第1取得部702cは、複数の第1傾斜センサ6cで検知する第1傾き情報をそれぞれ取得する。本実施形態の例では、第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ603と第1傾斜センサ604とから第1傾き情報を取得する。この第1取得部702cでの処理も第1取得工程に相当する。第2取得部703cは、複数の第2傾斜センサ8cで検知する第2傾き情報をそれぞれ取得する。本実施形態の例では、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ803と第2傾斜センサ804とから第2傾き情報を取得する。この第2取得部703cでの処理も第2取得工程に相当する。
【0099】
第2差分特定部709cは、第2差分特定部709と同様に、第1取得部702cで取得する複数の第1傾斜センサ6cの第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第1傾斜センサ6c同士の傾きの差分である第2差分を特定する。本実施形態の例では、第2差分を特定する組は、第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ603との組、第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ604との組、及び第1傾斜センサ603と第1傾斜センサ604との組になる。
【0100】
第1不具合検出部710cは、第2差分特定部709cで特定する第1傾斜センサ6cの複数組についての第2差分のいずれか1つでも前述の第2の許容範囲内でない場合に、第1傾斜センサ6cの不具合を検出する。第1不具合検出部710cは、第2差分特定部709cで特定する第1傾斜センサ6cの複数組についての第2差分のいずれも第2の許容範囲内である場合には、第1傾斜センサ6cの不具合を検出しない。
【0101】
第1不具合検出部710cは、複数の第1傾斜センサ6c同士の傾きの差分である第2差分のうち、どの第1傾斜センサ6c同士の組の第2差分が第2の許容範囲内でないかに応じて、複数の第1傾斜センサ6cのうちのどの第1傾斜センサ6cの不具合かを検出する。詳しくは、第2差分が第2の許容範囲内でない組に常に含まれる第1傾斜センサ6cの不具合を検出する。例えば、第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ603との組、及び第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ604との組の第2差分が第2の許容範囲内でない一方、第1傾斜センサ603と第1傾斜センサ604との組の第2差分が第2の許容範囲内である場合、第1傾斜センサ601の不具合と検出すればよい。これによれば、不具合を起こしている第1傾斜センサ6cを個別に特定して不具合を検出することが可能になる。
【0102】
第1不具合検出部710cは、個々の第1傾斜センサ6cの不具合を特定して検出した場合に、その旨をHCU11に通知し、HCU11を介して提示装置12からその旨を示す情報提示を行わせてもよい。例えば、複数の第1傾斜センサ6cのうちのいずれの第1傾斜センサ6cの不具合が発生しているかを示すアイコンを表示させる等すればよい。他にも、ダイアグ情報として記録し、ダイアグツールで読み出し可能としてもよい。これにより、個々の第1傾斜センサ6cの不具合に応じた対処を行うことが容易になる。
【0103】
第3差分特定部711cは、第3差分特定部711と同様に、第2取得部703cで取得する複数の第2傾斜センサ8cの第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第2傾斜センサ8c同士の傾きの差分である第3差分を特定する。本実施形態の例では、第3差分を特定する組は、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ803との組、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ804との組、及び第2傾斜センサ803と第2傾斜センサ804との組になる。
【0104】
第2不具合検出部712cは、第3差分特定部711cで特定する第2傾斜センサ8cの複数組についての第3差分のいずれか1つでも前述の第3の許容範囲内でない場合に、第2傾斜センサ8cの不具合を検出する。第2不具合検出部712cは、第3差分特定部711cで特定する第2傾斜センサ8cの複数組についての第3差分のいずれも第3の許容範囲内である場合には、第2傾斜センサ8cの不具合を検出しない。
【0105】
第2不具合検出部712cは、複数の第2傾斜センサ8c同士の傾きの差分である第3差分のうち、どの第2傾斜センサ8c同士の組の第3差分が第3の許容範囲内でないかに応じて、複数の第2傾斜センサ8cのうちのどの第2傾斜センサ8cの不具合かを検出する。詳しくは、第3差分が第3の許容範囲内でない組に常に含まれる第2傾斜センサ8cの不具合を検出する。例えば、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ803との組、及び第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ804との組の第3差分が第3の許容範囲内でない一方、第2傾斜センサ803と第2傾斜センサ804との組の第3差分が第3の許容範囲内である場合、第2傾斜センサ801の不具合と検出すればよい。これによれば、不具合を起こしている第2傾斜センサ8cを個別に特定して不具合を検出することが可能になる。
【0106】
第2不具合検出部712cは、個々の第2傾斜センサ8cの不具合を特定して検出した場合に、その旨をHCU11に通知し、HCU11を介して提示装置12からその旨を示す情報提示を行わせてもよい。例えば、複数の第2傾斜センサ8cのうちのいずれの第2傾斜センサ8cの不具合が発生しているかを示すアイコンを表示させる等すればよい。他にも、ダイアグ情報として記録し、ダイアグツールで読み出し可能としてもよい。これにより、個々の第2傾斜センサ8cの不具合に応じた対処を行うことが容易になる。
【0107】
第1差分特定部704cは、第1差分特定部704bと同様にして、第1取得部702cで取得する第1傾き情報と第2取得部703cで取得する第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分を特定すればよい。この第1差分特定部704cでの処理も第1差分特定工程に相当する。なお、第1差分特定部704cが、複数の第1傾斜センサ6cと複数の第2傾斜センサ8cとのうちの位置のより近い第1傾斜センサ6cと第2傾斜センサ8cとの組同士での傾きの差分を算出し、各組の差分の平均値を第1差分と特定する構成を採用する場合、以下のようにすればよい。本実施形態の例では、第1傾斜センサ601と第2傾斜センサ801との組と、第1傾斜センサ603と第2傾斜センサ803との組と、第1傾斜センサ604と第2傾斜センサ804との組とでそれぞれ傾きの差分を算出すればよい。
【0108】
傾き検出部705cは、傾き検出部705bと同様にして、第2差分特定部709cで特定する第2差分が第2の許容範囲内であって、第3差分特定部711cで特定する第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、第1差分特定部704cで特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出すればよい。
【0109】
<処理部71cでの傾き検出関連処理>
ここで、処理部71cでの傾き検出関連処理の一例について、図14のフローチャートを用いて説明を行う。図14のフローチャートは、図5のフローチャートと同様の条件で開始される構成とすればよい。
【0110】
まず、ステップS41では、第2取得部703cが、複数の第2傾斜センサ8cのそれぞれで検知した第2傾き情報を取得する。ステップS42では、第3差分特定部711cが、S41で取得した複数の第2傾斜センサ8cの第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第2傾斜センサ8c同士の傾きの差分である第3差分を、第2傾斜センサ8cの組み合わせごとに特定する。
【0111】
ステップS43では、S42で特定した複数組の第3差分の全てが第3の許容範囲内の場合(S43でYES)に、ステップS45に移る。一方、S42で特定した複数組の第3差分のうちのいずれかでも第3の許容範囲内でない場合(S43でNO)には、ステップS44に移る。ステップS44では、第2不具合検出部712cが、どの第2傾斜センサ8c同士の組の第3差分が第3の許容範囲内でないかに応じて、複数の第2傾斜センサ8cのうちのどの第2傾斜センサ8cの不具合かを検出し、傾き検出関連処理を終了する。
【0112】
ステップS45では、第1取得部702cが、複数の第1傾斜センサ6cのそれぞれで検知した第1傾き情報を取得する。ステップS46では、第2差分特定部709cが、S45で取得した複数の第1傾斜センサ6cの第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第1傾斜センサ6c同士の傾きの差分である第2差分を、第1傾斜センサ6cの組み合わせごとに特定する。
【0113】
ステップS47では、S46で特定した複数組の第2差分の全てが第2の許容範囲内の場合(S47でYES)に、ステップS49に移る。一方、S46で特定した複数組の第2差分のうちのいずれかでも第2の許容範囲内でない場合(S47でNO)には、ステップS48に移る。ステップS48では、第1不具合検出部710cが、どの第1傾斜センサ6c同士の組の第2差分が第2の許容範囲内でないかに応じて、複数の第1傾斜センサ6cのうちのどの第1傾斜センサ6cの不具合かを検出し、傾き検出関連処理を終了する。
【0114】
ステップS49では、第1差分特定部704cが、S41で取得した第2傾き情報とS45で取得した第1傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分を特定する。
【0115】
ステップS50では、S49で特定した第1差分が第1の許容範囲内の場合(S50でYES)に、傾き検出関連処理を終了する。この場合、傾き検出部705cは、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていないと検出してもよい。一方、S49で特定した第1差分が第1の許容範囲内でない場合(S50でNO)には、ステップS51に移る。ステップS51では、傾き検出部705cが、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出し、傾き検出関連処理する。
【0116】
<実施形態4のまとめ>
実施形態4の構成でも、共通の基準状態に対する自車の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出する。よって、実施形態1と同様に、自車に搭載されるセンサPKG筐体3について、初期位置からのセンサPKG筐体3の傾きをより精度良く検出することが可能になる。
【0117】
なお、実施形態4では、第1傾斜センサ6c及び第2傾斜センサ8cをそれぞれ3つ用いる場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第1傾斜センサ6cと第2傾斜センサ8cとが同数でない構成としてもよい。また、実施形態4の構成と実施形態2の構成とを組み合わせてもよい。
【0118】
(実施形態5)
実施形態4では、第1傾斜センサ6及び第2傾斜センサ8をそれぞれ3つずつ用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第1傾斜センサ6及び第2傾斜センサ8をそれぞれ4つずつ用いる構成(以下、実施形態5)としてもよい。以下では、実施形態5の構成について説明する。なお、実施形態5では、便宜上、第1傾斜センサ6を第1傾斜センサ6dと呼び、第2傾斜センサ8を第2傾斜センサ8dと呼ぶ。
【0119】
<車両用システム1dの概略構成>
車両用システム1cは、車両で用いることが可能なものである。車両用システム1dは、図15に示すように、センサPKG2d、第2傾斜センサ8d、車速センサ9、自動運転ECU10、HCU11、及び提示装置12を含む。車両用システム1dは、センサPKG2の代わりにセンサPKG2dを含む点と、第2傾斜センサ8の代わりに第2傾斜センサ8dを含む点とを除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0120】
第2傾斜センサ8dは、4つ用いられる点を除けば、実施形態1の第2傾斜センサ8と同様である。センサPKG2dは、図15に示すように、外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6d、及び画像処理装置7cを含む。センサPKG2dは、第1傾斜センサ6及び画像処理装置7の代わりに第1傾斜センサ6d及び画像処理装置7dを含む点を除けば、実施形態1のセンサPKG2と同様である。画像処理装置7dの概略構成については後述する。第1傾斜センサ6dは、4つ用いられる点を除けば、実施形態1の第1傾斜センサ6と同様である。なお、センサPKG2dと第2傾斜センサ8dとを含む構成も傾き検出システムに相当する。
【0121】
ここで、図16を用いて、実施形態5における外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6d、及び第2傾斜センサ8dの配置例を説明する。センサPKG筐体3は、前述したように、自車のルーフ上面に沿った略矩形状であるものとする。外界カメラ4及びLiDAR装置5の配置は、図2を用いて実施形態1で説明したのと同様とする。
【0122】
第1傾斜センサ6dは、センサPKG筐体3内に4つ設けられる。以下では、4つの第1傾斜センサ6dを、第1傾斜センサ605と第1傾斜センサ606と第1傾斜センサ607と第1傾斜センサ608と呼ぶ。第2傾斜センサ8dは、自車のうちのセンサPKG筐体3を除く箇所に4つ設けられる。以下では、4つの第2傾斜センサ8dを、第2傾斜センサ805と第2傾斜センサ806と第2傾斜センサ807と第2傾斜センサ808と呼ぶ。
【0123】
第1傾斜センサ605と第1傾斜センサ606と第1傾斜センサ607と第1傾斜センサ608は、図16に示すように、センサPKG筐体3を自車の右前輪側と左前輪側と右後輪側と左後輪側との4つの領域に区分した場合の右前輪側と左前輪側と右後輪側と左後輪側とのそれぞれに配置することが好ましい。図16に示す例では、第1傾斜センサ605を右前輪側に配置し、第1傾斜センサ606を左前輪側に配置し、第1傾斜センサ607を右後輪側に配置し、第1傾斜センサ608を左後輪側に配置している。これによれば、右前輪側と左前輪側と右後輪側と左後輪側とのいずれかのみのエアサスペンション,タイヤ空気圧による自車の傾きの影響も除いた、より精度の高いセンサPKG筐体3の初期位置からの傾きの検出が可能となる。
【0124】
第2傾斜センサ805と第2傾斜センサ806と第2傾斜センサ807と第2傾斜センサ808とは、図16に示すように、自車を右前輪側と左前輪側と右後輪側と左後輪側との4つの領域に区分した場合の右前輪側と左前輪側と右後輪側と左後輪側とのそれぞれに配置することが好ましい。図16に示す例では、第2傾斜センサ805を右前輪側に配置し、第2傾斜センサ806を左前輪側に配置し、第2傾斜センサ807を右後輪側に配置し、第2傾斜センサ808を左後輪側に配置している。これによれば、右前輪側と左前輪側と右後輪側と左後輪側とのいずれかのみのエアサスペンション,タイヤ空気圧による自車の傾きの影響も除いた、より精度の高いセンサPKG筐体3の初期位置からの傾きの検出が可能となる。
【0125】
<画像処理装置7dの概略構成>
続いて、図15及び図17を用いて、画像処理装置7dの概略構成を説明する。図15に示すように、画像処理装置7dは、処理部71d、RAM72、記憶部73、及びI/О74を備えた演算回路を主体として含む電子制御装置である。画像処理装置7dは、処理部71cの代わりに処理部71dを備える点を除けば、実施形態3の画像処理装置7cと同様である。
【0126】
図17に示すように、画像処理装置7dは、停止特定部701、第1取得部702d、第2取得部703d、第1差分特定部704d、傾き検出部705d、センシング情報取得部706、物標検出部707、補正制御部708、第2差分特定部709d、第1不具合検出部710d、第3差分特定部711d、及び第2不具合検出部712dを機能ブロックとして備える。この画像処理装置7dも傾き検出装置に相当する。また、コンピュータによって画像処理装置7dの各機能ブロックの処理が実行されることも、傾き検出方法が実行されることに相当する。画像処理装置7dの機能ブロックは、第1取得部702c、第2取得部703c、第1差分特定部704c、傾き検出部705c、第2差分特定部709c、第1不具合検出部710c、第3差分特定部711c、及び第2不具合検出部712cの代わりに第1取得部702d、第2取得部703d、第1差分特定部704d、傾き検出部705d、第2差分特定部709d、第1不具合検出部710d、第3差分特定部711d、及び第2不具合検出部712dを備える点を除けば、実施形態4の画像処理装置7cと同様である。
【0127】
第1取得部702dは、複数の第1傾斜センサ6dで検知する第1傾き情報をそれぞれ取得する。本実施形態の例では、第1傾斜センサ605と第1傾斜センサ606と第1傾斜センサ607と第1傾斜センサ608とから第1傾き情報を取得する。この第1取得部702dでの処理も第1取得工程に相当する。第2取得部703dは、複数の第2傾斜センサ8dで検知する第2傾き情報をそれぞれ取得する。本実施形態の例では、第2傾斜センサ805と第2傾斜センサ806と第2傾斜センサ807と第2傾斜センサ808とから第2傾き情報を取得する。この第2取得部703dでの処理も第2取得工程に相当する。
【0128】
第2差分特定部709dは、差分を特定する組み合わせが増える点を除けば、実施形態3の第2差分特定部709cと同様である。本実施形態の例では、第2差分を特定する組は、第1傾斜センサ605と第1傾斜センサ606との組、第1傾斜センサ605と第1傾斜センサ607との組、第1傾斜センサ605と第1傾斜センサ608との組、第1傾斜センサ606と第1傾斜センサ607との組、第1傾斜センサ606と第1傾斜センサ608との組、及び第1傾斜センサ607と第1傾斜センサ608との組になる。第1不具合検出部710dは、第2差分を特定する組の数が異なる点を除けば、実施形態4の第1不具合検出部710cと同様である。
【0129】
第3差分特定部711dは、差分を特定する組み合わせが増える点を除けば、実施形態3の第3差分特定部711cと同様である。本実施形態の例では、第3差分を特定する組は、第2傾斜センサ805と第2傾斜センサ806との組、第2傾斜センサ805と第2傾斜センサ807との組、第2傾斜センサ805と第2傾斜センサ808との組、第2傾斜センサ806と第2傾斜センサ807との組、第2傾斜センサ806と第2傾斜センサ808との組、及び第2傾斜センサ807と第2傾斜センサ808との組になる。第2不具合検出部712dは、第3差分を特定する組の数が異なる点を除けば、実施形態4の第2不具合検出部712cと同様である。
【0130】
傾き検出部705dは、傾き検出部705cと同様にして、第2差分特定部709dで特定する第2差分が第2の許容範囲内であって、第3差分特定部711dで特定する第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、第1差分特定部704dで特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出すればよい。
【0131】
<実施形態5のまとめ>
実施形態5の構成でも、共通の基準状態に対する自車の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出する。よって、実施形態1と同様に、自車に搭載されるセンサPKG筐体3について、初期位置からのセンサPKG筐体3の傾きをより精度良く検出することが可能になる。
【0132】
なお、実施形態5では、第1傾斜センサ6d及び第2傾斜センサ8dをそれぞれ4つ用いる場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第1傾斜センサ6dと第2傾斜センサ8dとを5つ以上用いる構成としてもよい。他にも、第1傾斜センサ6dと第2傾斜センサ8dとが同数でない構成としてもよい。また、実施形態5の構成と実施形態2の構成とを組み合わせてもよい。
【0133】
(実施形態6)
前述の実施形態5では、第1傾斜センサ6をセンサPKG筐体3に設ける構成を示したが、第1傾斜センサ6をセンサPKG筐体3に含まれる周辺監視センサに設ける構成(以下、実施形態6)としてもよい。以下では、実施形態6の構成について説明する。なお、実施形態6では、便宜上、第1傾斜センサ6を第1傾斜センサ6eと呼び、第2傾斜センサ8を第2傾斜センサ8eと呼ぶ。
【0134】
<車両用システム1eの概略構成>
車両用システム1eは、車両で用いることが可能なものである。車両用システム1eは、図18に示すように、センサPKG2e、第2傾斜センサ8e、車速センサ9、自動運転ECU10、HCU11、及び提示装置12を含む。車両用システム1eは、センサPKG2の代わりにセンサPKG2eを含む点と、第2傾斜センサ8の代わりに第2傾斜センサ8eを含む点とを除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0135】
第2傾斜センサ8eは、1つ用いられる構成であってもよいし、複数用いられる構成であってもよい。本実施形態では、実施形態3の第2傾斜センサ8bと同様に2つ用いられる場合を例に挙げて説明を行う。センサPKG2eは、図18に示すように、外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6e、及び画像処理装置7eを含む。センサPKG2eは、第1傾斜センサ6及び画像処理装置7の代わりに第1傾斜センサ6e及び画像処理装置7eを含む点を除けば、実施形態1のセンサPKG2と同様である。画像処理装置7eの概略構成については後述する。第1傾斜センサ6eは、センサPKG筐体3に含まれる周辺監視センサに設けられる点を除けば、実施形態1の第1傾斜センサ6と同様である。なお、センサPKG2eと第2傾斜センサ8bとを含む構成も傾き検出システムに相当する。
【0136】
ここで、図19を用いて、実施形態6における外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6e、及び第2傾斜センサ8eの配置例を説明する。センサPKG筐体3は、前述したように、自車のルーフ上面に沿った略矩形状であるものとする。外界カメラ4及びLiDAR装置5の配置は、図2を用いて実施形態1で説明したのと同様とする。
【0137】
第1傾斜センサ6eは、センサPKG筐体3に含まれる外界カメラ4のそれぞれに設けられる。本実施形態の例では、外界カメラ4は、外界カメラ401,外界カメラ402,外界カメラ403,外界カメラ404の4つなので、第1傾斜センサ6eも4つとなる。以下では、4つの第1傾斜センサ6eを、第1傾斜センサ611と第1傾斜センサ612と第1傾斜センサ613と第1傾斜センサ614と呼ぶ。第1傾斜センサ611は、外界カメラ401に設けられる。第1傾斜センサ612は、外界カメラ402に設けられる。第1傾斜センサ613は、外界カメラ403に設けられる。第1傾斜センサ614は、外界カメラ404に設けられる。
【0138】
なお、第1傾斜センサ6eは、センサPKG筐体3に含まれる周辺監視センサのそれぞれに設けられる構成としてもよい。つまり、本実施形態の例では、LiDAR装置5のそれぞれにも設けられる構成としてもよい。
【0139】
第2傾斜センサ8eは、自車のうちのセンサPKG筐体3を除く箇所に2つ設けられる。以下では、2つの第2傾斜センサ8eを、第2傾斜センサ8bと同様の配置なので、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ802と呼ぶ。
【0140】
<画像処理装置7eの概略構成>
続いて、図18及び図20を用いて、画像処理装置7eの概略構成を説明する。図18に示すように、画像処理装置7eは、処理部71e、RAM72、記憶部73、及びI/О74を備えた演算回路を主体として含む電子制御装置である。画像処理装置7eは、処理部71bの代わりに処理部71eを備える点を除けば、実施形態3の画像処理装置7bと同様である。
【0141】
図20に示すように、画像処理装置7eは、停止特定部701、第1取得部702e、第2取得部703e、第1差分特定部704e、傾き検出部705e、センシング情報取得部706、物標検出部707、補正制御部708、第2差分特定部709e、第1不具合検出部710e、第3差分特定部711、及び第2不具合検出部712を機能ブロックとして備える。この画像処理装置7eも傾き検出装置に相当する。また、コンピュータによって画像処理装置7eの各機能ブロックの処理が実行されることも、傾き検出方法が実行されることに相当する。画像処理装置7eの機能ブロックは、第1取得部702b、第2取得部703b、第1差分特定部704b、傾き検出部705b、第2差分特定部709、及び第1不具合検出部710の代わりに第1取得部702e、第2取得部703e、第1差分特定部704e、傾き検出部705e、第2差分特定部709e、及び第1不具合検出部710eを備える点を除けば、実施形態3の画像処理装置7bと同様である。
【0142】
第1取得部702eは、複数の第1傾斜センサ6eで検知する第1傾き情報をそれぞれ取得する。本実施形態の例では、第1傾斜センサ611と第1傾斜センサ612と第1傾斜センサ613と第1傾斜センサ614とから第1傾き情報を取得する。この第1取得部702eでの処理も第1取得工程に相当する。第2取得部703eは、複数の第2傾斜センサ8eで検知する第2傾き情報をそれぞれ取得する。本実施形態の例では、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ802とから第2傾き情報を取得する。この第2取得部703eでの処理も第2取得工程に相当する。
【0143】
第2差分特定部709eは、第2差分特定部709と同様に、第1取得部702eで取得する複数の第1傾斜センサ6eの第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第1傾斜センサ6e同士の傾きの差分である第2差分を特定する。本実施形態の例では、第2差分を特定する組は、第1傾斜センサ611と第1傾斜センサ612との組、第1傾斜センサ611と第1傾斜センサ613との組、第1傾斜センサ611と第1傾斜センサ614との組、第1傾斜センサ612と第1傾斜センサ613との組、第1傾斜センサ612と第1傾斜センサ614との組、及び第1傾斜センサ613と第1傾斜センサ614との組になる。
【0144】
第1不具合検出部710eは、第2差分特定部709eで特定する第1傾斜センサ6eの複数組についての第2差分のいずれか1つでも前述の第2の許容範囲内でない場合に、第1傾斜センサ6e若しくは外界カメラ4の不具合を検出する。外界カメラ4の不具合としては、外界カメラ4の初期位置からの傾きが挙げられる。第1不具合検出部710eは、第2差分が第2の許容範囲内でない組に常に含まれる第1傾斜センサ6e若しくはその第1傾斜センサ6eが設けられる周辺監視センサの不具合を検出する。
【0145】
第1不具合検出部710cは、個々の第1傾斜センサ6e若しくは周辺監視センサの不具合を特定して検出した場合に、その旨をHCU11に通知し、HCU11を介して提示装置12からその旨を示す情報提示を行わせてもよい。これにより、周辺監視センサの不具合に応じた対処も行うことが容易になる。
【0146】
実施形態6の第3差分特定部711は、実施形態3と同様にして、第2取得部703eで取得する複数の第2傾斜センサ8eの第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第2傾斜センサ8e同士の傾きの差分である第3差分を特定する。本実施形態の例では、第3差分を特定する組は、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ802との組になる。
【0147】
第1差分特定部704eは、第1差分特定部704bと同様にして、第1取得部702eで取得する第1傾き情報と第2取得部703eで取得する第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分を特定すればよい。この第1差分特定部704eでの処理も第1差分特定工程に相当する。
【0148】
傾き検出部705eは、傾き検出部705bと同様にして、第2差分特定部709eで特定する第2差分が第2の許容範囲内であって、第3差分特定部711で特定する第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、第1差分特定部704eで特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出すればよい。
【0149】
<処理部71eでの傾き検出関連処理>
ここで、処理部71eでの傾き検出関連処理の一例について、図21のフローチャートを用いて説明を行う。図21のフローチャートは、図5のフローチャートと同様の条件で開始される構成とすればよい。
【0150】
まず、ステップS61では、第2取得部703eが、複数の第2傾斜センサ8eのそれぞれで検知した第2傾き情報を取得する。ステップS62では、第3差分特定部711が、S61で取得した複数の第2傾斜センサ8eの第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第2傾斜センサ8e同士の傾きの差分である第3差分を特定する。
【0151】
ステップS63では、S62で特定した第3差分が第3の許容範囲内の場合(S63でYES)に、ステップS65に移る。一方、S62で特定した第3差分が第3の許容範囲内でない場合(S63でNO)には、ステップS64に移る。ステップS64では、第2不具合検出部712が、第2傾斜センサ8eの不具合を検出し、傾き検出関連処理を終了する。
【0152】
ステップS65では、第1取得部702eが、複数の第1傾斜センサ6eのそれぞれで検知した第1傾き情報を取得する。ステップS66では、第2差分特定部709eが、S65で取得した複数の第1傾斜センサ6eの第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第1傾斜センサ6e同士の傾きの差分である第2差分を、第1傾斜センサ6eの組み合わせごとに特定する。
【0153】
ステップS67では、S66で特定した複数組の第2差分の全てが第2の許容範囲内の場合(S67でYES)に、ステップS69に移る。一方、S66で特定した複数組の第2差分のうちのいずれかでも第2の許容範囲内でない場合(S67でNO)には、ステップS68に移る。ステップS68では、第1不具合検出部710eが、どの第1傾斜センサ6e同士の組の第2差分が第2の許容範囲内でないかに応じて、どの第1傾斜センサ6e又は周辺監視センサの不具合かを検出し、傾き検出関連処理を終了する。
【0154】
ステップS69では、第1差分特定部704eが、S61で取得した第2傾き情報とS65で取得した第1傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分を特定する。
【0155】
ステップS70では、S69で特定した第1差分が第1の許容範囲内の場合(S70でYES)に、傾き検出関連処理を終了する。この場合、傾き検出部705eは、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていないと検出してもよい。一方、S69で特定した第1差分が第1の許容範囲内でない場合(S70でNO)には、ステップS71に移る。ステップS71では、傾き検出部705eが、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出し、傾き検出関連処理する。
【0156】
<実施形態6のまとめ>
実施形態6の構成でも、共通の基準状態に対する自車の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出する。よって、実施形態1と同様に、自車に搭載されるセンサPKG筐体3について、初期位置からのセンサPKG筐体3の傾きをより精度良く検出することが可能になる。
【0157】
なお、実施形態6では、第1傾斜センサ6eを4つ用いる場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第1傾斜センサ6eを4つ以外の数用いる構成としてもよい。また、実施形態6では、第2傾斜センサ8eを2つ用いる場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第2傾斜センサ8eを3つ以上用いて、個別の第2傾斜センサ8eの不具合の検出も可能にする構成としてもよい。また、実施形態6の構成と実施形態2の構成とを組み合わせてもよい。
【0158】
(実施形態7)
前述の実施形態6では、第1傾斜センサ6をセンサPKG筐体3に含まれる周辺監視センサにのみ設ける構成を示したが、第1傾斜センサ6をセンサPKG筐体3に含まれる周辺監視センサと周辺監視センサ以外とに設ける構成(以下、実施形態7)としてもよい。以下では、実施形態7の構成について説明する。なお、実施形態7では、便宜上、第1傾斜センサ6を第1傾斜センサ6fと呼び、第2傾斜センサ8を第2傾斜センサ8fと呼ぶ。
【0159】
<車両用システム1fの概略構成>
車両用システム1fは、車両で用いることが可能なものである。車両用システム1fは、図22に示すように、センサPKG2f、第2傾斜センサ8f、車速センサ9、自動運転ECU10、HCU11、及び提示装置12を含む。車両用システム1fは、センサPKG2の代わりにセンサPKG2fを含む点と、第2傾斜センサ8の代わりに第2傾斜センサ8fを含む点とを除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0160】
第2傾斜センサ8fは、1つ用いられる構成であってもよいし、複数用いられる構成であってもよい。本実施形態では、実施形態3の第2傾斜センサ8bと同様に2つ用いられる場合を例に挙げて説明を行う。センサPKG2fは、図22に示すように、外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6f、及び画像処理装置7fを含む。センサPKG2fは、第1傾斜センサ6及び画像処理装置7の代わりに第1傾斜センサ6f及び画像処理装置7fを含む点を除けば、実施形態1のセンサPKG2と同様である。画像処理装置7fの概略構成については後述する。第1傾斜センサ6fは、センサPKG筐体3に含まれる周辺監視センサだけでなく、センサPKG筐体3のうちの周辺監視センサ以外の部分にも設けられる点を除けば、実施形態6の第1傾斜センサ6eと同様である。なお、センサPKG2fと第2傾斜センサ8bとを含む構成も傾き検出システムに相当する。
【0161】
ここで、図23を用いて、実施形態7における外界カメラ4、LiDAR装置5、第1傾斜センサ6f、及び第2傾斜センサ8fの配置例を説明する。センサPKG筐体3は、前述したように、自車のルーフ上面に沿った略矩形状であるものとする。外界カメラ4及びLiDAR装置5の配置は、図2を用いて実施形態1で説明したのと同様とする。
【0162】
第1傾斜センサ6fは、実施形態6の第1傾斜センサ6eと同様にして、センサPKG筐体3に含まれる外界カメラ4のそれぞれに設けられる。以下では、外界カメラ4のそれぞれに設けられる4つの第1傾斜センサ6fを、第1傾斜センサ6eと同様の配置なので、第1傾斜センサ611と第1傾斜センサ612と第1傾斜センサ613と第1傾斜センサ614と呼ぶ。第1傾斜センサ6fは、センサPKG筐体3の周辺監視センサ以外の部分にも設けられる。ここでは、実施形態3の第1傾斜センサ6bと同様の位置に設けられるものとする。以下では、センサPKG筐体3のうちの周辺監視センサ以外に設けられる2つの第1傾斜センサ6fを、第1傾斜センサ6bと同様の配置なので、第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ602と呼ぶ。なお、第1傾斜センサ6fは、センサPKG筐体3に含まれる周辺監視センサのそれぞれに設けられる構成としてもよい。
【0163】
第2傾斜センサ8efは、自車のうちのセンサPKG筐体3を除く箇所に2つ設けられる。以下では、2つの第2傾斜センサ8fを、第2傾斜センサ8bと同様の配置なので、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ802と呼ぶ。
【0164】
<画像処理装置7fの概略構成>
続いて、図22及び図24を用いて、画像処理装置7fの概略構成を説明する。図22に示すように、画像処理装置7fは、処理部71f、RAM72、記憶部73、及びI/О74を備えた演算回路を主体として含む電子制御装置である。画像処理装置7fは、処理部71eの代わりに処理部71fを備える点を除けば、実施形態6の画像処理装置7eと同様である。
【0165】
図24に示すように、画像処理装置7fは、停止特定部701、第1取得部702f、第2取得部703f、第1差分特定部704f、傾き検出部705f、センシング情報取得部706、物標検出部707、補正制御部708、第2差分特定部709f、第1不具合検出部710f、第3差分特定部711、及び第2不具合検出部712を機能ブロックとして備える。この画像処理装置7fも傾き検出装置に相当する。また、コンピュータによって画像処理装置7fの各機能ブロックの処理が実行されることも、傾き検出方法が実行されることに相当する。画像処理装置7fの機能ブロックは、第1取得部702e、第2取得部703e、第1差分特定部704e、及び傾き検出部705eの代わりに第1取得部702f、第2取得部703f、第1差分特定部704f、傾き検出部705f、及び第2差分特定部709fを備える点を除けば、実施形態6の画像処理装置7eと同様である。
【0166】
第1取得部702fは、複数の第1傾斜センサ6fで検知する第1傾き情報をそれぞれ取得する。本実施形態の例では、第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ602と第1傾斜センサ611と第1傾斜センサ612と第1傾斜センサ613と第1傾斜センサ614とから第1傾き情報を取得する。この第1取得部702fでの処理も第1取得工程に相当する。第2取得部703fは、複数の第2傾斜センサ8fで検知する第2傾き情報をそれぞれ取得する。本実施形態の例では、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ802とから第2傾き情報を取得する。この第2取得部703eでの処理も第2取得工程に相当する。
【0167】
第2差分特定部709fは、第2差分特定部709と同様に、第1取得部702fで取得する複数の第1傾斜センサ6fの第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第1傾斜センサ6f同士の傾きの差分である第2差分を特定する。第2差分特定部709fは、周辺監視センサに設けられない第1傾斜センサ6f同士の第2差分と、周辺監視センサに設けられる第1傾斜センサ6f同士の第2差分とをそれぞれ特定することが好ましい。本実施形態の例では、第2差分を特定する組は、周辺監視センサに設けられない第1傾斜センサ6f同士では、第1傾斜センサ601と第1傾斜センサ602との組になる。周辺監視センサに設けられる第1傾斜センサ6f同士では、第1傾斜センサ611と第1傾斜センサ612との組、第1傾斜センサ611と第1傾斜センサ613との組、第1傾斜センサ611と第1傾斜センサ614との組、第1傾斜センサ612と第1傾斜センサ613との組、第1傾斜センサ612と第1傾斜センサ614との組、及び第1傾斜センサ613と第1傾斜センサ614との組になる。
【0168】
第1不具合検出部710fは、実施形態3の第1不具合検出部710と同様にして、第2差分特定部709fで特定する周辺監視センサに設けられない第1傾斜センサ6fの組についての第2差分が前述の第2の許容範囲内でない場合に、周辺監視センサに設けられない第1傾斜センサ6fの不具合を検出する。
【0169】
第1不具合検出部710fは、実施形態6の第1不具合検出部710eと同様にして、第2差分特定部709fで特定する周辺監視センサに設けられる第1傾斜センサ6fの組についての第2差分のいずれかでも前述の第2の許容範囲内でない場合に、周辺監視センサに設けられる第1傾斜センサ6fの不具合若しくは周辺監視センサの不具合を検出する。本実施形態の例では、外界カメラ4の不具合を検出する。
【0170】
実施形態7の第3差分特定部711は、実施形態3と同様にして、第2取得部703fで取得する複数の第2傾斜センサ8fの第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第2傾斜センサ8f同士の傾きの差分である第3差分を特定する。本実施形態の例では、第3差分を特定する組は、第2傾斜センサ801と第2傾斜センサ802との組になる。
【0171】
第1差分特定部704fは、第1差分特定部704bと同様にして、第1取得部702fで取得する第1傾き情報と第2取得部703fで取得する第2傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分を特定すればよい。例えば、第1差分特定部704fは、周辺監視センサに設けられる第1傾斜センサ6fと周辺監視センサに設けられない第1傾斜センサ6fとのいずれも含む複数の第1傾斜センサ6fのそれぞれの傾きの平均値と、複数の第2傾斜センサ8fのそれぞれの傾きの平均値との差分を第1差分と特定すればよい。この第1差分特定部704fでの処理も第1差分特定工程に相当する。
【0172】
傾き検出部705fは、傾き検出部705bと同様にして、第2差分特定部709fで特定する第2差分が第2の許容範囲内であって、第3差分特定部711で特定する第3差分が第3の許容範囲内であって、且つ、第1差分特定部704fで特定する第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出すればよい。
【0173】
<処理部71fでの傾き検出関連処理>
ここで、処理部71fでの傾き検出関連処理の一例について、図25のフローチャートを用いて説明を行う。図25のフローチャートは、図5のフローチャートと同様の条件で開始される構成とすればよい。
【0174】
まず、ステップS81では、第2取得部703fが、複数の第2傾斜センサ8fのそれぞれで検知した第2傾き情報を取得する。ステップS82では、第3差分特定部711が、S81で取得した複数の第2傾斜センサ8fの第2傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第2傾斜センサ8f同士の傾きの差分である第3差分を特定する。
【0175】
ステップS83では、S82で特定した第3差分が第3の許容範囲内の場合(S83でYES)に、ステップS85に移る。一方、S82で特定した第3差分が第3の許容範囲内でない場合(S83でNO)には、ステップS84に移る。ステップS84では、第2不具合検出部712が、第2傾斜センサ8fの不具合を検出し、傾き検出関連処理を終了する。
【0176】
ステップS85では、第1取得部702fが、複数の第1傾斜センサ6fのそれぞれで検知した第1傾き情報を取得する。ステップS86では、第2差分特定部709fが、S85で取得した複数の第1傾斜センサ6fの第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第1傾斜センサ6fのうちの、周辺監視センサに設けられない第1傾斜センサ6f同士の傾きの差分である第2差分を特定する。この第2差分を非対象第2差分と呼ぶ。
【0177】
ステップS87では、S86で特定した非対象第2差分が第2の許容範囲内の場合(S87でYES)に、ステップS89に移る。一方、S86で特定した非対象第2差分が第2の許容範囲内でない場合(S87でNO)には、ステップS88に移る。ステップS88では、第1不具合検出部710fが、周辺監視センサに設けられない第1傾斜センサ6fの不具合を検出し、傾き検出関連処理を終了する。
【0178】
ステップS89では、第2差分特定部709fが、S85で取得した複数の第1傾斜センサ6fの第1傾き情報をもとに、共通の基準状態に対する複数の第1傾斜センサ6fのうちの、周辺監視センサに設けられる第1傾斜センサ6f同士の傾きの差分である第2差分を周辺監視センサに設けられる第1傾斜センサ6fの組み合わせごとに特定する。この第2差分を対象第2差分と呼ぶ。
【0179】
ステップS90では、S89で特定した複数組の対象第2差分の全てが第2の許容範囲内の場合(S90でYES)に、ステップS92に移る。一方、S89で特定した複数組の対象第2差分のうちのいずれかでも第2の許容範囲内でない場合(S90でNO)には、ステップS91に移る。ステップS91では、第1不具合検出部710fが、どの第1傾斜センサ6f同士の組の対象第2差分が第2の許容範囲内でないかに応じて、どの周辺監視センサに設けられる第1傾斜センサ6f又はどの周辺監視センサの不具合かを検出し、傾き検出関連処理を終了する。
【0180】
ステップS92では、第1差分特定部704fが、S81で取得した第2傾き情報とS85で取得した第1傾き情報とをもとに、共通の基準状態に対する移動体の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分を特定する。
【0181】
ステップS93では、S92で特定した第1差分が第1の許容範囲内の場合(S93でYES)に、傾き検出関連処理を終了する。この場合、傾き検出部705eは、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていないと検出してもよい。一方、S92で特定した第1差分が第1の許容範囲内でない場合(S93でNO)には、ステップS94に移る。ステップS94では、傾き検出部705fが、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出し、傾き検出関連処理する。
【0182】
<実施形態7のまとめ>
実施形態7の構成でも、共通の基準状態に対する自車の傾きとセンサPKG筐体3の傾きとの差分である第1差分が第1の許容範囲内でない場合に、センサPKG筐体3が初期位置から傾いていると検出する。よって、実施形態1と同様に、自車に搭載されるセンサPKG筐体3について、初期位置からのセンサPKG筐体3の傾きをより精度良く検出することが可能になる。
【0183】
なお、実施形態7では、周辺監視センサに設けられない第1傾斜センサ6fを2つ用いる場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。周辺監視センサに設けられない第1傾斜センサ6fを2つ以外の数用いる構成としてもよい。例えば、周辺監視センサに設けられない第1傾斜センサ6fを3つ以上用いて、周辺監視センサに設けられない第1傾斜センサ6fの個別の不具合の検出も可能にする構成としてもよい。また、実施形態7では、第2傾斜センサ8fを2つ用いる場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、第2傾斜センサ8fを3つ以上用いて、個別の第2傾斜センサ8fの不具合の検出も可能にする構成としてもよい。また、実施形態7の構成と実施形態2の構成とを組み合わせてもよい。
【0184】
(実施形態8)
前述の実施形態では、画像処理装置7,7a,7b,7c,7d,7e,7fに補正制御部708を備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、画像処理装置7,7a,7b,7c,7d,7e,7fに補正制御部708を備えない構成としてもよい。
【0185】
(実施形態9)
前述の実施形態では、画像処理装置7,7a,7b,7c,7d,7e,7fに停止特定部701を備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、画像処理装置7,7a,7b,7c,7d,7e,7fに停止特定部701を備えない構成としてもよい。
【0186】
(実施形態10)
前述の実施形態では、周辺監視センサとして外界カメラ4とLiDAR装置5とをそれぞれ複数用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、外界カメラ4とLiDAR装置5とのうちの少なくともいずれかについては、1つを用いる構成としてもよい。
【0187】
(実施形態11)
前述の実施形態では、周辺監視センサとして外界カメラ4とLiDAR装置5との2種類を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、外界カメラ4とLiDAR装置5とのうちのいずれか1種類のみを用いる構成としてもよい。他にも、外界カメラ4及びLiDAR装置5以外の種類の周辺監視センサを用いる構成としてもよい。また、3種類以上の周辺監視センサを用いる構成としてもよい。
【0188】
(実施形態12)
前述の実施形態では、センサPKG2,2a,2c,2d,2e,2f及び画像処理装置7aが車両で用いられる場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限らない。例えば、これらの装置が車両以外の移動体で用いられる構成としてもよい。車両以外の移動体としては、例えばドローン等が挙げられる。
【0189】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。また、本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0190】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f 車両用システム、2,2a,2b,2c,2d,2e,2f センサPKG(センサパッケージ)、3 センサPKG筐体(センサパッケージ筐体)、4 外界カメラ(周辺監視センサ)、5 LiDAR装置(周辺監視センサ)、6,6b,6c,6d,6e,6f 第1傾斜センサ、7,7b,7c,7d,7e,7f 画像処理装置(傾き検出装置)、8,8b,8c,8d,8e,8f 第2傾斜センサ、702,702b,702c,702d,702e,702f 第1取得部、703,703b,703c,703d,703e,703f 第2取得部、704,704b,704c,704d,704e,704f 第1差分特定部、705,705b,705c,705d,705e,705f 傾き検出部、708 補正制御部、709,709c,709d,709e,709f 第2差分特定部、710,710c,710d,710e,710f 第1不具合検出部、711,711c,711d 第3差分特定部、712,712c,712d 第2不具合検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図11
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図13
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