(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】支持材、及び鋼材の製造方法
(51)【国際特許分類】
C25D 13/00 20060101AFI20240509BHJP
C25D 13/12 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
C25D13/00 303A
C25D13/00 304
C25D13/12 A
(21)【出願番号】P 2021198688
(22)【出願日】2021-12-07
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】林 史浩
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 俊介
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-158893(JP,A)
【文献】特開平06-322766(JP,A)
【文献】実開平05-051760(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 13/00
C25D 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側フランジ及び下側フランジをそれぞれ有する複数の鋼材が、当該上側フランジ及び下側フランジが、載置面より上方において水平方向に沿った並列方向において電着塗装用パレットに並べて当該載置面に載置されており、当該複数の鋼材を保持するために用いられる支持材であって、
上記複数の鋼材の上記上側フランジに載置されて、上記並列方向に沿って延びる本体と、
上記本体から下向きに突出しており、上記並列方向において隣り合う2つの上記鋼材間に位置する複数の第1突出体と、を備えており、
上記本体は、上記並列方向における上記上側フランジの両端の一方に当接する第1傾斜面、及び他方に当接する第2傾斜面であって、上下方向に対してそれぞれ傾斜し、かつ下方に向かうにしたがって互いに離れる第1傾斜面及び第2傾斜面を有しており、
上記
複数の第1突出体は
、上記並列方向において上記鋼材の各下側フランジの両側にそれぞれ位置し、且つ隣り合う2つの上記鋼材の各下側フランジの各端面であって当該並列方向において対向する各端面の間に位置する介在部を有
しており、
上記並列方向における2つの上記介在部間の距離は、上記並列方向における上記下側フランジの長さと同じ或いは僅かに長い、支持材。
【請求項2】
上記本体の上記並列方向の両端側のそれぞれにおいて、上記本体から下向きに突出する第2突出体を更に備えており、
上記第1突出体は、上記並列方向において上記第2突出体の間に位置しており、
上記第2突出体は、上記並列方向の端に位置する上記鋼材の下側フランジの各端面であって上記並列方向において他の端面と対向しない端面と対向する対向部を有する請求項1に記載の支持材。
【請求項3】
上記第1突出体は、
上記本体から下向きに延びる第1棒材と、
上記第1棒材から上記並列方向に沿った双方向へそれぞれ延びる第1突出片と、を有しており、
上記介在部は、上記第1突出片であり、
上記第2突出体は、
上記本体から下向きに延びる第2棒材と、
上記第2棒材から上記並列方向に沿って延びる第2突出片と、を有しており、
上記対向部は、上記第2突出片である請求項2に記載の支持材。
【請求項4】
上記本体は、上下方向に貫通する貫通孔を有する請求項1から3のいずれかに記載の支持材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の支持材を用いた鋼材の製造方法であって、
上記複数の鋼材をフォークの上に並べて載置する第1工程と、
上記複数の鋼材の上方から、上記第1突出体を上記複数の鋼材の間に挿入して、上記本体を上記上側フランジに載置する第2工程と、
上記支持材によって一体化された複数の上記鋼材からなる鋼材セットを上記電着塗装用パレットの載置面に載置する第3工程と、
上記電着塗装用パレットに載置された上記鋼材セットを塗装用槽内に移動して電着塗装する第4工程と、を含む鋼材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼材の電着塗装に用いられる支持材、及びこの支持材を用いた鋼材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
H形鋼などのフランジを有する鋼材に電着塗装を行う場合、フランジを下にして複数の鋼材をパレットに並べて載置した後、パレットを塗装用槽まで搬送し、パレットを当該塗装用槽内の塗料に漬け、当該塗装用槽内で通電を行って塗料を鋼材の表面に付着させる。
【0003】
特許文献1は、ワークを搬送して塗装する際に用いられる治具として、静電塗装に用いられるスペーサを開示する。このスペーサは、縦積みされた複数のワーク間に配置され、ワーク同士の接触を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常規格のH形鋼では、
図2(A)に示すように、全高Cに対する下フランジの幅Bの長さが十分であり、鋼材が倒れるおそれはない。しかしながら、
図2(B)に示すような特殊な鋼材では、全高Eに対する下フランジの幅Bの長さが十分でなく、パレットが搬送される際、特に搬送開始時及び停止時において、鋼材が倒れるおそれが生じる。なお、
図2(B)に示す鋼材は、2つのH形鋼のフランジ同士を溶接して製造された鋼材である。
【0006】
また、全高が通常規格の鋼材の全高よりも高くされた規格外の鋼材においても同様に、搬送時に倒れるおそれが生じる。
【0007】
特許文献1に記載のスペーサでは、鋼材同士の接触は防止できるが、鋼材同士が離れることは防止できないから、鋼材が倒れることは防止できない。
【0008】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、下フランジの幅に対して全高が高い特殊な鋼材や規格外の鋼材等が搬送時において倒れることを防止可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係る支持材は、上側フランジ及び下側フランジをそれぞれ有する複数の鋼材が、当該上側フランジ及び下側フランジが、載置面より上方において水平方向に沿った並列方向において電着塗装用パレットに並べて当該載置面に載置されており、当該複数の鋼材を保持するために用いられる。当該支持材は、上記複数の鋼材の上記上側フランジに載置されて、上記並列方向に沿って延びる本体と、上記本体から下向きに突出しており、上記並列方向において隣り合う2つの上記鋼材間に位置する複数の第1突出体と、を備える。上記本体は、上記並列方向における上記上側フランジの両端の一方に当接する第1傾斜面、及び他方に当接する第2傾斜面であって、上下方向に対してそれぞれ傾斜し、かつ下方に向かうにしたがって互いに離れる第1傾斜面及び第2傾斜面を有する。上記第1突出体は、隣り合う2つの上記鋼材の各下側フランジの各端面であって当該並列方向において対向する各端面の間に位置する介在部を有する。
【0010】
本発明に係る支持材は、第1傾斜面及び第2傾斜面が鋼材の上側フランジの両端に当接することにより、複数の鋼材に支持されるとともに、複数の鋼材の上側フランジ間の離間距離を一定に維持する。また、介在部が鋼材の下側フランジの両端に当接することにより、複数の鋼材の下側フランジ間の離間距離を一定に維持する。すなわち、本発明に係る電着塗装用治具は、上側フランジと下側フランジとの上下の2点において、各鋼材間の離間距離を一定に維持する。上側フランジと下側フランジとの上下の2点において離間距離が一定に維持されることにより、複数の鋼材は、互いに倒れることを防止し合う。
【0011】
(2) 本発明に係る支持材は、上記本体の上記並列方向の両端側のそれぞれにおいて、上記本体から下向きに突出する第2突出体を更に備えていてもよい。上記第1突出体は、上記並列方向において上記第2突出体の間に位置する。上記第2突出体は、上記並列方向の端に位置する上記鋼材の下側フランジの各端面であって上記並列方向において他の端面と対向しない端面と対向する対向部を有する。
【0012】
並列方向に並ぶ複数の鋼材のうち外側の鋼材の下側フランジが対向部及び介在部と当接することによって、並列する鋼材間の離間距離は、さらに確実に一定に維持される。
【0013】
(3) 上記第1突出体は、上記本体から下向きに延びる第1棒材と、上記第1棒材から上記並列方向に沿った双方向へそれぞれ延びる第1突出片と、を有していてもよい。上記介在部は、上記第1突出片である。上記第2突出体は、上記本体から下向きに延びる第2棒材と、上記第2棒材から上記並列方向に沿って延びる第2突出片と、を有する。上記対向部は、上記第2突出片である。
【0014】
(4) 上記本体は、上下方向に貫通する貫通孔を有していてもよい。
【0015】
パレットを塗装用槽内に降ろす際、或いはパレットを塗装用槽から引き上げる際、塗料の一部は、貫通孔を通り抜ける。しがたって、支持材がパレットの上げ下げを阻害することが防止される。
【0016】
(5) 本発明に係る鋼材の製造方法は、上述の支持材を用いた鋼材の製造方法であって、上記複数の鋼材をフォークの上に並べて載置する第1工程と、上記複数の鋼材の上方から、上記第1突出体を上記複数の鋼材の間に挿入して、上記本体を上記上側フランジに載置する第2工程と、上記支持材によって一体化された複数の上記鋼材からなる鋼材セットを上記電着塗装用パレットの載置面に載置する第3工程と、上記電着塗装用パレットに載置された上記鋼材セットを塗装用槽内に移動して電着塗装する第4工程と、を含む。
【0017】
支持材は、第1傾斜面及び第2傾斜面が鋼材の上側フランジの両端に当接することにより、複数の鋼材に支持されるとともに、複数の鋼材の上側フランジ間の離間距離を一定に維持する。また、介在部が鋼材の下側フランジの両端に当接することにより、複数の鋼材の下側フランジ間の離間距離を一定に維持する。すなわち、本発明に係る電着塗装用治具は、上側フランジと下側フランジとの上下の2点において、各鋼材間の離間距離を一定に維持する。上側フランジと下側フランジとの上下の2点において離間距離が一定に維持されることにより、複数の鋼材は、互いに倒れることを防止し合う。また、鋼材がフォーク上にある状態で支持材を鋼材に取り付けられるから、複数の鋼材セットが電着塗装用パレットに載置された状態で支持材を鋼材に取り付ける場合よりも、支持材を鋼材に取り付ける作業者の作業が容易になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、下フランジの幅に対して全高が高い特殊な鋼材や規格外の鋼材等が搬送時に倒れることを防止可能な支持材及び鋼材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、塗装装置10の模式的な側面図である。
【
図2】
図2(A)は、通常規格の鋼材20の側面図であり、
図2(B)は、特殊な鋼材30の側面図である。
【
図3】
図3は、複数の鋼材30をフォーク63で支持した状態を示す側面図である。
【
図4】
図4は、鋼材セット35がパレット50に載置された状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、治具80を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)は底面図である。
【
図7】
図7は、鋼材30及び治具80の側面図である。
【
図8】
図8(A)、(B)は、治具80を鋼材30に取り付ける工程を説明する説明図であり、
図8(C)は、治具80を鋼材30から取り外す工程を説明する説明図である。
【
図9】
図9は、変形例1に係る鋼材36及び治具86の側面図である。
【
図10】
図10は、変形例2に係る鋼材30及び治具87の側面図である
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0021】
本実施形態では、
図1に示される塗装装置10に使用される治具80を説明する。治具80は、本発明の支持材の一例である。
【0022】
塗装装置10は、鋼材11を搬送して塗装用槽12に漬け、電着塗装を行う装置である。すなわち、塗装装置10は、鋼材11の電着塗装を行う製造ラインである。
【0023】
鋼材11は、建築物の柱や梁などに使用される長尺の形鋼である。塗装装置10は、通常規格の鋼材の他、通常規格から外れる特殊な鋼材の塗装に使用される。
【0024】
図2(A)に、通常規格の鋼材の一例である鋼材20を示す。鋼材20は、上フランジ21、下フランジ22、及びウェブ23を有するH形鋼である。通常規格の鋼材20では、上フランジ21の幅A、下フランジ22の幅B、全高C、及び板厚等が予め決まっている。
【0025】
図2(B)に、特殊鋼材の一例である鋼材30を示す。鋼材30は、通常規格の鋼材20と通常規格の鋼材24とを溶接することによって製造される。具体的には、鋼材24の下フランジと鋼材20の上フランジ21とが重ねられて隅肉溶接され、鋼材20と鋼材24とが一体とされている。なお、隅肉溶接を行うため、鋼材24には、下フランジの幅が、鋼材20の上フランジ21の幅Bよりも狭い規格の鋼材が使用されている。
【0026】
鋼材30は、上フランジ31、中間フランジ32、下フランジ33、及びウェブ34を有する。上フランジ31は、鋼材24の上フランジである。中間フランジ32は、鋼材24の下フランジ及び鋼材20の上フランジ21である。下フランジ33は、鋼材20の下フランジ22である。上フランジ31の幅Dは、中間フランジ32の幅Aよりも若干狭い。すなわち、D<Aである。鋼材30の上フランジ31は、本発明の上側フランジの一例である。鋼材30の中間フランジ32は、本発明の下側フランジの一例である。
【0027】
鋼材30のウェブ34は、鋼材24のウェブ及び鋼材20のウェブ23である。すなわち、鋼材30の全高Eは、鋼材24の全高と鋼材20の全高Cとの和となっている。すなわち、鋼材30の全高Eは、通常規格の鋼材の概ね2倍の高さとなる。一方、鋼材30の下フランジ33の幅は、通常規格の鋼材20の下フランジ22の幅と同一である。したがって、鋼材30は、通常規格の鋼材20や鋼材24よりも重心位置が高く、不安定である。
【0028】
治具80は、特殊鋼材である鋼材30に使用され、鋼材30が倒れることを防止する。以下、塗装装置10及び治具80について詳しく説明する。なお、以下では、塗装装置10が鋼材30に電着塗装を行う場合について説明する。
【0029】
図1に示されるように、塗装装置10は、天井クレーン装置40と、パレット50と、搬送装置60と、塗装用槽12と、昇降装置70と、を備える。鋼材30は、天井クレーン装置40によってパレット50に載置され、搬送装置60によって塗装用槽12まで搬送され、昇降装置70によって塗装用槽12内の塗料に漬けられて塗装される。
【0030】
天井クレーン装置40は、工場の天井に設置されたレール41と、レール41によって水平方向に移動可能に支持されたクラブトロリ42と、クラブトロリ42によって昇降可能に支持されたフォーク43とを備える。複数の鋼材30の下に差し込まれたフォーク43(
図3)が上昇されることにより、複数の鋼材30が持ち上げられる。フォーク43がクラブトロリ42によって水平方向に移動されることにより、複数の鋼材30がパレット50の上方まで移動される。フォーク43が降下されることにより、複数の鋼材30がパレット50に載置される。
【0031】
図4に示されるように、パレット50は、支持枠本体51と、4つの支持片52とを有する。支持枠本体51は、矩形枠状である。4つの支持片52は、相互に離間し、かつ互いに平行に並んでいる。2つの支持片52に、鋼材30の長手方向の両端部が載置される。すなわち、鋼材30は、長手方向の両端部を支持片52によって支持される。パレット50は、本発明の電着塗装用パレットの一例である。鋼材30を支持する支持片52の上面は、本発明の載置面の一例である。
【0032】
図1に示される搬送装置60は、鋼材30が載置されたパレット50を搬送する装置である。搬送装置60は、例えばコンベア装置である。搬送装置60は、パレット50を搬送向き13(
図1における左向き)へ搬送する。
【0033】
塗装用槽12は、搬送装置60に付設されている。塗装用槽12は、塗料を貯留している。また、塗装用槽12には、後述の接点部材14(
図4)を通じて鋼材30に通電を行う不図示の通電装置が付設されている。
【0034】
昇降装置70は、パレット50を降下させて塗装用槽12内の塗料に漬け、パレット50を上昇させて塗装用槽12から取り出す装置である。昇降装置70は、例えばクレーン装置やリフト装置等である。
【0035】
図7に示されるように、治具80は、複数の鋼材30に取り付けられて、複数の鋼材30を一体化して鋼材30の転倒を防止する治具である。以下では、複数の鋼材30が並ぶ方向(
図7における左右方向)を並列方向101と記載し、鋼材30が延びる方向(
図7の紙面に垂直な方向)を長手方向102と記載し、鉛直方向(
図7における上下方向)を上下方向と記載して説明する。そして、治具80が鋼材30に取り付けられた状態であるとして、並列方向101、長手方向102、上下方向103を用いて治具80の形状等を説明する。
【0036】
図5及び
図6に示されるように、治具80は、本体81と、複数の第1突出体91と、一対の第2突出体92、93とを備える。
【0037】
本体81は、下向きに開口するコ字状であって、天板82と、天板82から突出する一対の側板83と、を有する。本体81は、例えば、鋼板をプレス加工などによって折り曲げて製造される。
【0038】
天板82は、主面が水平方向に沿い、かつ並列方向101に沿って延びる矩形板状である。天板82は、上下方向103において天板82を貫通する複数の貫通孔84及び複数の貫通孔85を有する。
【0039】
複数の貫通孔84は、並列方向101において等間隔で相互に離間して並んでいる。貫通孔84は、突出体91、92の個数と同数だけ天板82に設けられている。
図5に示す例では、4つの貫通孔84が天板82に設けられている。貫通孔84は、治具80が鋼材11とともに塗装用槽12に漬けられる際及び塗装用槽12から取り出される際に、突出体91、92の内部空間を通じて塗料を通過させる機能を有する。
【0040】
貫通孔85は、隣り合う2つの貫通孔84の中間にそれぞれ位置している。
図5に示す例では、3つの貫通孔85が天板82に設けられている。貫通孔85は、治具80が鋼材11とともに塗装用槽12に漬けられる際及び塗装用槽12から取り出される際に、塗料を通過させる機能を有する。
【0041】
一対の側板83のうちの一方の側板83は、長手方向102における天板82の両端部のうちの一方の端部から下向きに突出しており、他方の側板83は、天板82の他方の端部から下向きに突出している。一対の側板83は、長手方向102において互いに対向している。一対の側板83は、同形状である。
【0042】
なお、
図5及び
図6に示される例では、一対の側板83は、互いに平行である。しかしながら、一対の側板83は、下方に向かうにしたがって互いに近づくように或いは互いに離れるように、上下方向103に対して傾斜して天板82から突出していてもよい。
【0043】
各側板83は、側板本体110と、側板本体110から下向きに突出する一対の突出片111、112及び複数の突出片113と、をそれぞれ有する。
図5及び
図6に示す例では、側板83は、第2突出体92と同数の2つの突出片113を有している。
【0044】
突出片111は、並列方向101における側板83の一方の端部に位置しており、突出片112は、並列方向101における側板83の他方の端部に位置している。突出片111は、第1傾斜面114を有している。突出片112は、第2傾斜面115を有している。第1傾斜面114及び第2傾斜面115は、短手方向102に沿った下方を向く面であり、換言すれば、突出片111,112の厚み方向に沿った下方を向く面である。
【0045】
複数の突出片113は、同形状である。各突出片113は、第1傾斜面116及び第2傾斜面117をそれぞれ有している。第1傾斜面116及び第2傾斜面117は、短手方向102に沿った下方を向く面であり、換言すれば、突出片113の厚み方向に沿った下方を向く面である。第1傾斜面116は、突出片111の第1傾斜面114と平行である。第2傾斜面117は、突出片112の第2傾斜面115と平行である。
【0046】
突出片111の第1傾斜面114と、突出片111と隣り合う突出片113の第2傾斜面117とは、並列方向101において互いに対向しており、また、下方に向かうにしたがって互いに離れ、かつ上下方向103に対して傾斜している。換言すれば、第1傾斜面114と第2傾斜面117とは、第1傾斜面114と第2傾斜面117との長手方向101の中心であって上下方向103に沿った中心線に対して線対称である。
【0047】
また、突出片112の第2傾斜面115と、突出片112と隣り合う突出片113の第1傾斜面116とは、並列方向101において互いに対向しており、また、下方に向かうにしたがって互いに離れ、かつ上下方向103に対して傾斜している。換言すれば、第2傾斜面115と第1傾斜面116とは、第2傾斜面115と第1傾斜面116との長手方向101の中心であって上下方向103に沿った中心線に対して線対称である。
【0048】
また、並列方向101において互いに隣り合う2つの突出片113のうちの一方の突出片113の第1傾斜面116と、他方の突出片113の第2傾斜面117とは、並列方向101において互いに対向しており、また、下方に向かうにしたがって互いに離れ、かつ上下方向103に対して傾斜している。換言すれば、第1傾斜面116と第2傾斜面117とは、第1傾斜面116と第2傾斜面117との長手方向101の中心であって上下方向103に沿った中心線に対して線対称である。
【0049】
図7に示すように、並列方向101における第1傾斜面114の上端と第2傾斜面117の上端との間の距離L1は、並列方向101における鋼材30の上フランジ31の長さDよりも短い。また、並列方向101における第1傾斜面114の下端と第2傾斜面117の下端との間の距離L2は、上フランジ31の長さDよりも長い。すなわち、下方から第1傾斜面114と第2傾斜面117との間に侵入した上フランジ31は、並列方向101における両端において第1傾斜面114及び第2傾斜面117に当接する。具体的には、第1傾斜面114及び第2傾斜面117は、並列方向101に並ぶ複数の鋼材30のうちの一方の端に位置する鋼材30の上フランジ31と当接する。
【0050】
また、並列方向101における第2傾斜面115の上端と第1傾斜面116の上端との間の距離L1は、並列方向101における鋼材30の上フランジ31の長さDよりも短い。また、並列方向101における第2傾斜面115の下端と第1傾斜面116の下端との間の距離L2は、上フランジ31の長さDよりも長い。すなわち、下方から第2傾斜面115と第1傾斜面116との間に侵入した上フランジ31は、並列方向101における両端において第2傾斜面115及び第1傾斜面116に当接する。具体的には、第2傾斜面115及び第1傾斜面116は、並列方向101に並ぶ複数の鋼材30のうちの他方の端に位置する鋼材30の上フランジ31と当接する。
【0051】
また、並列方向101において互いに隣り合う2つの突出片113のうちの一方の突出片113の第1傾斜面116の上端と、他方の突出片113の第2傾斜面117の上端との間の距離L1は、並列方向101における鋼材30の上フランジ31の長さDよりも短い。また、並列方向101における第1傾斜面116の下端と第2傾斜面117の下端との間の距離L2は、上フランジ31の長さDよりも長い。すなわち、下方から第1傾斜面116と第2傾斜面117との間に侵入した上フランジ31は、並列方向101における両端において第1傾斜面116及び第2傾斜面117に当接する。具体的には、第1傾斜面116及び第2傾斜面117は、並列方向101に並ぶ複数の鋼材30のうちの内側に位置する鋼材30の上フランジ31と当接する。
【0052】
治具80は、第1傾斜面114、116及び第2傾斜面115、117が複数の鋼材30の各上フランジ31の端にそれぞれ当接することによって、複数の鋼材30に支持される。また、治具80は、第1傾斜面114、116及び第2傾斜面115、117が複数の鋼材30の各上フランジ31の端にそれぞれ当接することによって、複数の鋼材30の各上フランジ31同士の離間距離Hを一定に維持する。すなわち、治具80の一対の側板83により、複数の鋼材30は、上フランジ31において一体とされている。
【0053】
各側板83は、複数の貫通孔118をそれぞれ有する。
図5に示す例では、各側板83は、4つの貫通孔118をそれぞれ有する。貫通孔118は、いわゆる肉盗みである。貫通孔118が設けられることにより、治具80の重量が低減し、作業者による治具80の取り扱いが容易になる。なお、貫通孔118の個数、直径の大きさ、及び形成位置は、側板83の必要な強度を確保可能な個数、直径の大きさ、及び形成位置とされる。
【0054】
図5及び
図6に示すように、第2突出体92は、第2棒材122及び第2突出片96を有している。
【0055】
第2棒材122は、並列方向101における天板82の一方の端部の下面から下向きに突出している。第2棒材122は、軸線が上下方向103に沿う円管である。第2棒材122は、天板82の貫通孔84の下方に位置しており、第2棒材122の内部空間は、貫通孔84と連通しいている。第2棒材122は、例えば金属製のパイプの一端を天板82に溶接することによって形成される。
【0056】
第2突出片96は、第2突出体92の下端部から第2突出体93に向かって突出している。第2突出片96は、例えば、金属片を第2突出体92に溶接することによって形成される。
【0057】
第2突出片96は、上面131、下面132、先端面133、上傾斜面134、及び下傾斜面135を有する。上傾斜面124は、上面131と先端面133とを接続する面であり、下傾斜面135は、下面132と先端面133とを接続する面である。
【0058】
図7に示されるように、先端面133は、治具80が複数の鋼材30に取り付けられた場合に、鋼材30の中間フランジ32の端面と並列方向101において対向する面である。
【0059】
図8(A)、(B)に示されるように、下傾斜面135は、治具80が複数の鋼材30に取り付けられる際に鋼材30の上フランジ31や中間フランジ32に当接することにより、並列方向101における適正な位置に治具80をガイドするガイド面として機能する。
【0060】
図8(C)に示されれるように、上傾斜面134は、治具80が複数の鋼材30から取り外される際に鋼材30の上フランジ31に当接することにより、並列方向101における適正な位置に治具80をガイドするガイド面として機能する。
【0061】
図7に示されるように、上下方向103における第2棒材122の長さ(突出長)は、治具80が複数の鋼材30に取り付けられた場合において、第2突出片96が、並列方向101において鋼材30の中間フランジ32と対向する長さとされている。
【0062】
図5及び
図6に示されるように、第2突出体93は、第2棒材123及び第2突出片97を有する。第2棒材123は、第2突出体92の第2棒材122と同形状であって、軸線が上下方向103に沿う円管である。第2棒材123は、天板82の貫通孔84の下方に位置しており、第2棒材123の内部空間は、貫通孔84と連通している。
【0063】
第2突出片97は、第2棒材123の下端部から第2突出体92に向かって突出している。第2突出片97は、第2突出片96と対称な形状であり、上面131、下面132、突出面133、上傾斜面134、及び下傾斜面135を有する。第2突出片96、97は、本発明の対向部の一例である。
【0064】
第1突出体91は、治具80が取り付けられる鋼材30の数に応じた数だけ設けられる。
図7に示す例では、治具80が取り付けられる鋼材30の数は3つであり、2つの第1突出体91が治具80に設けられている。複数の第1突出体91は、同形状である。
【0065】
図5及び
図6に示すように、第1突出体91は、第1棒材121と、一対の第1突出片94、95と、を有する。
【0066】
第1棒材121は、第2棒材122、123と同形状であって、軸線が上下方向103に沿う円管である。第1棒材121は、天板82の貫通孔84の下方に位置しており、第1棒材121の内部空間は、貫通孔84と連通している。第1棒材121は、例えば金属製のパイプの一端を本体81に溶接することによって形成される。
【0067】
第1突出片94は、第1棒材121の下端部から並列方向101の一方の向きに向かって突出している。第1突出片95は、第1棒材121の下端部から並列方向101の他方の向きに向かって突出している。すなわち、第1突出片94と第1突出片95とは、互いに反対向きに第1棒材121の下端部から突出している。第1突出片94、95は、第2突出片96、97と同形状であり、上面131、下面132、突出面133、上傾斜面134、及び下傾斜面135を有する。第1突出片94、95は、本発明の介在部の一例である。
【0068】
第2突出体92と隣り合う第1突出体91の第1突出片94は、第2突出体92の第2突出片96と並列方向101において対向している。
図7に示すように、並列方向101における第1突出片94の突出端と第2突出片96の突出端との間の距離Kは、鋼材30の中間フランジ32の長さAと略同一或いは長さAよりも僅かに長い。すなわち、鋼材30の中間フランジ32は、第1突出片94と第2突出片96との間に下方から侵入することができる。なお、上述したように、並列方向101における鋼材30の上フランジ31の長さDは長さAよりも短いから、上フランジ31は、第1突出片94と第2突出片96との間を通過することできる。
【0069】
第2突出体93と隣り合う第1突出体91の第1突出片95は、第2突出体93の第2突出片97と並列方向101において対向している。並列方向101における第1突出片95の突出端と第2突出片97の突出端との間の距離Kは、鋼材30の中間フランジ32の長さAと略同一或いは長さAよりも僅かに長い。すなわち、鋼材30の中間フランジ32は、第1突出片95と第2突出片97との間に下方から侵入することができる。また、並列方向101における鋼材30の上フランジ31の長さDは長さAよりも短いから、上フランジ31は、第1突出片95と第2突出片97との間を通過することできる。
【0070】
互いに隣り合う2つの第1突出体91のうちの一方の第1突出体91の第1突出片94と他方の第1突出体91の第1突出片95とは、並列方向101において対向している。並列方向101における第1突出片94の突出端と第1突出片95の突出端との間の距離Kは、鋼材30の中間フランジ32の長さAと略同一或いは長さAよりも僅かに長い。すなわち、鋼材30の中間フランジ32は、第1突出片94と第1突出片95との間に下方から侵入することができる。また、並列方向101における鋼材30の上フランジ31の長さDは長さAよりも短いから、上フランジ31は、第1突出片94と第1突出片95との間を通過することできる。
【0071】
複数の鋼材30に取り付けられた治具80は、複数の鋼材30が並列方向101に倒れることを防止する。
図7を参照して詳しく説明する。複数の鋼材30の上フランジ31間の距離Hは、治具80の傾斜面114、115、116、117によって、一定に維持される。また、複数の鋼材30の中間フランジ32間の距離は、突出片94、95、96、97によって、一定に維持される。すなわち、複数の鋼材30は、上フランジ31及び中間フランジ32の上下の2点において一体とされている。複数の鋼材30が一体とされることにより、一の鋼材30のみが並列方向101において傾いて倒れることが防止される。その結果、並列方向101における鋼材30の転倒が防止される。
【0072】
【0073】
作業者は、天井クレーン装置40を操作して、フォーク43(
図3)を複数の鋼材30の下に差し込んだ後、複数の鋼材30を天井クレーン装置40に持ち上げさせる。詳しく説明すると、複数の鋼材30は、互いに隙間を空けて等間隔で平行に並べられて、工場の床に設置された台座等の上に置かれている。フォーク43は、鋼材30の側方から鋼材30の下に差し込まれる。すなわち、複数の鋼材30は、フォーク43上において、互いに隙間を空けて等間隔で平行に並んでいる。また、鋼材30は、下フランジ33の下面の全面ではなく、部分的に支持されている。作業者が、天井クレーン装置40を操作してフォーク43に複数の鋼材30を支持させて持ち上げる工程は、本発明の第1工程の一例である。
【0074】
作業者は、天井クレーン装置40(
図1)のフォーク43上において並列方向101に相互に離間して並ぶ複数の鋼材30の一端部の上方に治具80を配置する。その際、作業者は、第1突出体91(
図7)が、隣り合う2つの鋼材30間の上方に位置するように、治具80の位置合わせを行う。
【0075】
次いで、作業者は、治具80を下方に降ろし、第1突出体91を、隣り合う2つの鋼材30間に侵入させる。その際、治具80の各突出片94、95、96、97の下傾斜面135(
図8(A)、(B))が鋼材30の上フランジ31や中間フランジ32に当接することにより、治具80は、並列方向101における適切な位置にガイドされる。また、作業者は、鋼材30同士の離間距離が適切でない場合、並列方向101において鋼材30をフォーク43上で滑らせて鋼材30の位置を微調整しながら治具80を降ろす。このようにして、作業者は、長手方向102における複数の鋼材30の一端部(
図4)に治具80を取り付ける。なお、作業者は、鋼材30の上方に治具80を配置して降ろす作業を、人力で行ってもよいし、リフトやクレーン装置などの装置を用いて行ってもよい。
【0076】
作業者は、同様の作業を行って、長手方向102における複数の鋼材30の他端部(
図4)に治具80を取り付ける。すなわち、治具80は、長手方向102における鋼材30の両端部にそれぞれ取り付けられる。作業者が、治具80を複数の鋼材30に取り付ける工程は、本発明の第2工程の一例である。
【0077】
作業者は、治具80を複数の鋼材30に取り付ける前、或いは取り付けた後、接点部材14(
図4)を各鋼材30にそれぞれ取り付ける。接点部材14は、鋼材30に通電を行うための部材である。接点部材14は、長手方向102における鋼材30の両端にそれぞれ取り付けられる。
【0078】
作業者は、天井クレーン装置40を操作して、治具80及び接点部材14が取り付けられた複数の鋼材30をパレット50(
図4)に載置する。作業者が天井クレーン装置40を操作して複数の鋼材30をパレット50に載置する工程は、本発明の第3工程の一例である。
【0079】
以下では、治具80によって一体とされた複数の鋼材30を、鋼材セット35と記載して説明する。
【0080】
作業者は、複数の鋼材30に治具80を取り付けた鋼材セット35をパレット50に載置する作業を繰り返し実行し、複数の鋼材セット35をパレット50に載置する。
図4に示す例では、4つの鋼材セット35がパレット50に載置されている。鋼材セット35は、並列方向101及び長手方向102に2つずつ並んでいる。
【0081】
次に、作業者は、塗装用槽12の上方となる位置まで搬送装置60にパレット50を搬送させる。搬送装置60によるパレット50の搬送の開始時、搬送時、及び停止時において、治具80によって、パレット50上で鋼材30が倒れることが防止される。
【0082】
次に、作業者は、昇降装置70によって、パレット50に載置された鋼材30を塗装用槽12内の塗料に漬ける。そして、作業者は、塗装装置10を操作して接点部材14への通電を行い、鋼材30への電着塗装を行う。作業者が塗装装置10を操作して、鋼材30が載置されたパレット50を塗装用槽12まで移動させて鋼材30塗料に漬け、電着塗装を行う工程は、本発明の第4工程の一例である。
【0083】
次に、作業者は、昇降装置70によって、パレット50を上昇させ、パレット50に載置された複数の鋼材30を塗装用槽12内から取り出す。
【0084】
鋼材30が塗料に漬けられ、また塗料から取り出される際、塗料の一部は、貫通孔84、85を通じて下方から上方、或いは上方から下方へ流れる。塗料の一部が、貫通孔84、85を通じて下方から上方、或いは上方から下方へ流れることにより、パレット50が昇降される際に治具80を通じてパレット50が塗料から受ける負荷が低減する。その結果、昇降装置70の故障の発生が抑制され、また、パレット50の昇降がスムースになる。
【0085】
次に、作業者は、治具80を鋼材セット35(
図4)から上に引き上げて、治具80を鋼材セット35から取り外す。その際、治具80の各突出片94、95、96、97の上傾斜面134(
図8(C))が鋼材30の上フランジ31に当接することにより、治具80は、突出片94、95、96、97間を上フランジ31が通過可能な適切な位置にガイドされる。
【0086】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、治具80は、上フランジ31と中間フランジ32との上下の2点において、複数の鋼材30を一体にして、複数の鋼材30が倒れることを防止する。
【0087】
また、本実施形態では、治具80は、長手方向102における鋼材30の両端部にそれぞれ取り付けられているから、長手方向102における鋼材30の中央部等の1か所のみに治具80が取り付けられた場合よりも、鋼材30が倒れることを、より効果的に防止することができる。
【0088】
また、本実施形態では、治具80に貫通孔84、85を設けることにより、昇降装置70の故障の発生を抑制することができ、また、パレット50の昇降をスムースに行うことができる。
【0089】
また、本実施形態では、鋼材30がフォーク43上にある状態で治具80を複数の鋼材30に取り付けるから、4つの鋼材セット35を構成する複数(12個)の鋼材30の全部がパレット50に載置された後で治具80を鋼材に取り付ける場合に比べ、治具80を鋼材30に取り付ける際に他の鋼材セット35の鋼材30が治具80の取付作業の邪魔になることがなく、治具80の取付作業が容易になる。
【0090】
[変形例1]
上述の実施形態では、2つの鋼材20、24を溶接することによって製造された鋼材30に取り付けられる治具80を説明した。本変形例では、通常規格のH形鋼よりもウェブの長さが長くされたH形鋼である鋼材36(
図9)に取り付けられる治具86(
図9)を説明する。なお、以下で説明する構成以外の構成は、上述の実施形態と同一である。上述の実施形態と同一の構成については、実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0091】
図9に示されるように、鋼材36は、上フランジ31、下フランジ33、及びウェブ34を有しており、中間フランジ32(
図7)を有していない。鋼材36の全高は、鋼材30の全高E(
図2(B))と略同一である。
【0092】
治具86は、第1棒材121(
図7)に代えて第1棒材124を有し、第2棒材122、123(
図7)に代えて第2棒材125、126を有する。第1棒材121の下端部から並列方向101に沿って一対の第1突出片94、95が突出している。第2棒材122の下端部から並列方向101に沿って第2突出片96が突出している。第2棒材123の下端部から並列方向101に沿って第2突出片97が突出している。
【0093】
上下方向103における第1棒材124及び第2棒材125、126の長さ(突出長)は、上下方向103における第1棒材121及び第2棒材122、123の長さ(突出長)と同一である。また、上下方向103における第1棒材124及び第2棒材125、126の長さ(突出長)は、治具86が鋼材36に取り付けられた場合に、並列方向101において突出片94、95、96、97が下フランジ33と対向する長さとされている。
【0094】
なお、治具86は、パレット50の支持片52(
図4)と当たらないように、長手方向102において支持片52から外れた位置に配置される。
【0095】
[変形例1の作用効果]
治具86は、上フランジ31と中間フランジ32との上下の2点において、複数の鋼材36を一体にして、複数の鋼材36が並列方向101において倒れることを防止する。
【0096】
[変形例2]
上述の実施形態では、治具80が、複数の第1突出体91に加え、一対の第2突出体92、93を有する例を説明した。しかしながら、
図10に示される治具87のように、一対の第2突出体92、93が設けられていなくてもよい。その場合であっても、第1傾斜面114、116、第2傾斜面115、117、及び第1突出体91の第1突出片94、95によって複数の鋼材30が一体とされ、鋼材30の転倒が防止される。ただし、治具80(
図7)のように、一対の第2突出体92、93が設けられることにより、複数の鋼材30の転倒を、より効果的に防止することができる。
【0097】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、3つの鋼材30に取り付けられる治具80を説明した。しかしながら、治具80は、2つの鋼材30や4つ以上の鋼材30に取り付けられてもよい。治具80が2つの鋼材30に取り付けられる場合、治具80には、1つの第1突出片91(
図5)のみが設けられる。治具80が4つの鋼材30に取り付けられる場合、治具80には、3つの第1突出片91が設けられる。すなわち、治具80に設ける第1突出片91の個数を変えることにより、治具80が一体とする鋼材30の個数を変えることができる。
【符号の説明】
【0098】
10・・・塗装装置
11、30、36・・・鋼材
12・・・塗装用槽
13・・・搬送向き
14・・・接点部材
31・・・上フランジ(上側フランジ)
32・・・中間フランジ(下側フランジ)
33・・・下フランジ
34・・・ウェブ
35・・・鋼材セット
40・・・天井クレーン装置
43・・・フォーク
50・・・パレット
60・・・搬送装置
70・・・昇降装置
80、86、87・・・治具(支持材)
81・・・本体
82・・・天板
83・・・側板
84、85・・・貫通孔
91・・・第1突出体
92、93・・・第2突出体
94、95・・・第1突出片(介在部)
96、97・・・第2突出片(対向部)
101・・・並列方向
102・・・長手方向
103・・・上下方向
110・・・側板本体
114、116・・・第1傾斜面
115、117・・・第2傾斜面