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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、処理方法とプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240509BHJP
【FI】
G06Q30/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021508958
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2020009932
(87)【国際公開番号】W WO2020195738
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2019055883
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】木村 匡晶
(72)【発明者】
【氏名】松井 孝宏
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/025384(WO,A1)
【文献】特開2016-218822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データベースに記憶された識別ID(identifier)と、店舗に設置された検出装置によって検出された、店舗を利用する顧客を識別する識別IDとを照合し、一致する前記識別IDに関連付けられた顧客IDを前記データベースから取得する顧客ID取得手段と、
前記顧客を店舗カメラで撮影した顧客画像に基づき、前記店舗における顧客の行動を表す行動情報を生成する行動情報生成手段と、
前記顧客の行動と店員の作業の増加又は軽減が関連付けされた行動判定情報を参照して、生成された前記行動情報が前記店舗の店員の作業を増加させる第1行動か、又は、前記店員の作業を軽減させる第2行動かを判定する行動判定手段と、
前記判定に基づき、判定の結果が前記第1行動の場合、前記顧客の保有ポイントが減少するポイントを前記顧客IDに関連付けて付与し、前記判定の結果が前記第2行動の場合、前記顧客の保有ポイントが増加するポイントを前記顧客IDに関連付けて付与するポイント付与手段と、を備え
前記第1行動は、棚の奥から商品を取る行為、または、取った商品を別の棚位置に戻す行為のいずれかを含み、前記第2行動は、棚の手前から商品を取る行為、または、取った商品を元の棚位置に戻す行為のいずれかを含む
情報処理装置。
【請求項2】
前記行動情報生成手段は、前記顧客画像の前記顧客と前記顧客の行動を検出し、前記行動情報を生成する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記顧客画像は、前記顧客と前記店舗の陳列什器に陳列された商品を含み、
前記行動情報生成手段は、前記顧客画像の前記顧客、前記商品、及び、前記顧客の行動を検出し、前記行動情報を生成する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記顧客の保有ポイント、前記行動情報、及び、前記行動情報によって付与されたポイントを、出力する出力手段を更に、備える、請求項1からのいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータが、
データベースに記憶された識別IDと、店舗に設置された検出装置によって検出された、店舗を利用する顧客を識別する識別IDとを照合し、一致する前記識別IDに関連付けられた顧客IDを前記データベースから取得し、
前記顧客を店舗カメラで撮影した顧客画像に基づき、前記店舗における顧客の行動を表す行動情報を生成し、
前記顧客の行動と店員の作業の増加又は軽減が関連付けされた行動判定情報を参照して、生成された前記行動情報が前記店舗の店員の作業を増加させる第1行動か、又は、前記店員の作業を軽減させる第2行動かを判定し、
前記判定に基づき、判定の結果が前記第1行動の場合、前記顧客の保有ポイントが減少するポイントを前記顧客IDに関連付けて付与し、前記判定の結果が前記第2行動の場合、前記顧客の保有ポイントが増加するポイントを前記顧客IDに関連付けて付与
前記第1行動は、棚の奥から商品を取る行為、または、取った商品を別の棚位置に戻す行為のいずれかを含み、前記第2行動は、棚の手前から商品を取る行為、または、取った商品を元の棚位置に戻す行為のいずれかを含む
処理方法。
【請求項6】
データベースに記憶された識別IDと、店舗に設置された検出装置によって検出された、店舗を利用する顧客を識別する識別IDとを照合し、一致する前記識別IDに関連付けられた顧客IDを前記データベースから取得し、
前記顧客を店舗カメラで撮影した顧客画像に基づき、前記店舗における顧客の行動を表す行動情報を生成し、
前記顧客の行動と店員の作業の増加又は軽減が関連付けされた行動判定情報を参照して、生成された前記行動情報が前記店舗の店員の作業を増加させる第1行動か、又は、前記店員の作業を軽減させる第2行動かを判定し、
前記判定に基づき、判定の結果が前記第1行動の場合、前記顧客の保有ポイントが減少するポイントを前記顧客IDに関連付けて付与し、前記判定の結果が前記第2行動の場合、前記顧客の保有ポイントが増加するポイントを前記顧客IDに関連付けて付与する、ことをコンピュータに実行させ
前記第1行動は、棚の奥から商品を取る行為、または、取った商品を別の棚位置に戻す行為のいずれかを含み、前記第2行動は、棚の手前から商品を取る行為、または、取った商品を元の棚位置に戻す行為のいずれかを含む
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
小売業界は、消費者ニーズをとらえ、さまざまな商品やサービスを提供することで成長を遂げている。コンビニエンスストア(以下、コンビニと記す)では、商品販売の他に、チケット発券、公共料金の代行収納などのサービスを提供することで顧客の来店機会を増やしている。その一方、店員の業務は、レジ業務、店内清掃、商品の品出し・陳列、簡単な調理、代行サービスなど多岐にわたり、顧客に対する利便性を高めつつ、店員の作業の軽減が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-153194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
店舗での店員の作業は、顧客の行動によって増える場合がある。例えば、商品がきれいに陳列された商品棚において、顧客が商品を棚の奥から取ると商品の陳列が乱れ、店員は乱れた商品棚を陳列し直すことになる。一方で、顧客が商品を前から順に取る行動は、商品の陳列が保たれ、店員の作業が軽減されることになる。このように店員の作業を増減させる顧客の行動を、顧客に意識させることで店員の作業の軽減につなげるサービスの実現が望まれている。
【0005】
本開示の目的の1つは、上記の課題を解決し、顧客と店員の双方に有益となるサービスを提供する情報処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の情報処理装置の一態様は、店舗を利用する顧客を識別する顧客ID(identifier)を取得する顧客ID取得部と、前記店舗における顧客の行動を表す行動情報を生成する行動情報生成部と、前記行動情報に基づき、前記顧客IDに関連付けてポイントを付与するポイント付与部を備える。
【0007】
本開示の処理方法の一形態は、店舗を利用する顧客を識別する顧客IDを取得し、前記店舗における顧客の行動を表す行動情報を取得し、前記行動情報に基づき、前記顧客IDに関連付けてポイントを付与する。
【0008】
本開示の記録媒体の一形態は、店舗を利用する顧客を識別する顧客IDを取得し、前記店舗における顧客の行動を表す行動情報を取得し、前記行動情報に基づき、前記顧客IDに関連付けてポイントを付与することをコンピュータに実行させる。
【0009】
本開示の情報処理システムの一態様は、店舗を利用する顧客を識別する顧客IDを取得する顧客ID取得部と、前記店舗における顧客の行動を表す行動情報を生成する行動情報生成部と、前記行動情報に基づき、前記顧客IDに関連付けてポイントを付与するポイント付与部を含む情報処理装置と、前記情報処理装置から前記ポイントに関するポイント情報を受信する携帯端末と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の情報処理装置によれば、顧客と店員の双方に有益となるサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】店舗における店舗カメラの配置の一例を示す平面図である。
図3】店舗DB(database)に記憶される顧客情報の一例を示すデータシートである。
図4】店舗DBに記憶された商品情報の一例を示すデータシートである。
図5】顧客と商品、顧客の行動の一例を説明する図である。
図6】顧客と商品、顧客の行動の一例を説明する図である。
図7】店舗における顧客の行動を示す行動情報の一例を示すデータシートである。
図8】情報処理装置のポイント付与部の構成の一例を示すブロック図である。
図9】行動判定情報の一例を示すデータシートである。
図10】第1の実施形態の情報処理システムの動作の一例を示す図である。
図11】第2の実施形態の情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図12】第2の実施形態の情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図13】コンピュータのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態の一態様である情報処理システム、情報処理装置について、図面を用いて説明する。以下は、情報処理システム、情報処理装置をコンビニエンスストアなどの小売店に適用した例である。なお、店舗は、省人店舗、無人店舗、サテライト店舗または売店のような子店舗、あるいは、子店舗に商品を補充する母店舗であってもよい。
【0013】
(第1の実施形態)
<情報処理システム>
図1は、第1の実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。図1に示す情報処理システムは、情報処理装置100、携帯端末200、検出装置301、店舗カメラ302、店舗DB304を備える。情報処理装置100は、携帯端末200、検出装置301、店舗カメラ302、店舗DB304のそれぞれと通信可能に接続される。
【0014】
<携帯端末>
携帯端末200は、店舗を利用する顧客が使用する情報通信端末である。携帯端末200は、情報処理装置100から更新されたポイント情報を受信し、顧客のポイント情報を表示する。携帯端末200は、例えば、スマートフォンである。
【0015】
図1に示す携帯端末200は、通信部201、表示制御部202、表示部203、RFタグ204を備える。通信部201は、情報処理装置100からポイント情報を受信する。通信部201は表示制御部202にポイント情報を受け渡す。表示制御部202は、受信したポイント情報を表示部203に表示するように表示制御する。RFタグ204は、識別IDを記憶する。識別IDは、個体を識別するための情報であり、例えば、英数字で構成される。
【0016】
顧客が店舗に入退店する度に、店舗に設置された検出装置301に携帯端末200のRF(Radio Frequency)タグをかざすことでRFタグ204に記憶された識別IDが検出装置301に検出される。
【0017】
なお、顧客の識別IDの検出は、携帯端末200のRFタグに限られない。RFタグの他に、携帯端末200が表示する2次元コードの符号化情報であってもよい。あるいは、RFタグ204を用いずに顧客の顔、指紋または静脈等の生体情報を識別IDとして用いてもよい。
【0018】
<検出装置>
図1に示す検出装置301は、店舗の出入口に設置され顧客の入退店を検出する。具体的には、検出装置301は、入退店する顧客を識別するための識別IDを検出する。識別IDは、例えば、携帯端末200に搭載されたRFタグのID情報、携帯端末200が表示する2次元コードの符号化情報、あるいは、顧客の顔、指紋または静脈等の生体情報である。生体情報を識別IDとして用いる場合、検出装置301は、例えば、撮像装置、指紋読取り装置、静脈読取り装置、RFタグ読取り装置、2次元コード読み取り装置となる。
【0019】
検出装置301は、識別IDが検出されると、検出された識別IDを情報処理装置100に送信する。情報処理装置100は、検出された識別IDと店舗DB304に記憶された識別IDを照合し、照合可否通知を検出装置301に送信する。また、検出装置301は、照合可否通知を受信して、ブザー、ランプ等で顧客に照合可否を報知する。
【0020】
<店舗カメラ>
図1に示す店舗カメラ302は、店舗における顧客、及び、店舗で販売する商品を撮影する。店舗における顧客の移動、商品閲覧および商品精算など、顧客が入店してから退店するまでの行動が店舗カメラ302によって撮影され、店舗における顧客の画像(以下、顧客画像と呼ぶ)が情報処理装置100に送信される。顧客が入店するとは、顧客が店舗内に入ることを意味し、顧客が退店するとは、顧客が店舗から外に出ることを意味する。
【0021】
図2は、第1の実施形態における店舗カメラの配置の一例を示す平面図である。図2に示すように店舗カメラ302は、通路の顧客および商品棚の商品を撮影可能な位置に複数台、配置される。図中、店舗カメラ302から伸長する破線は、カメラの画角を表している。なお、図2に示す店舗カメラ302の数と配置は例示であり、これに限られない。顧客だけを撮影する店舗カメラ302が追加され、又は、商品棚の全体、商品ごとを撮影する店舗カメラ302が追加されてもよい。
【0022】
<店舗DB>
店舗DB304は、店舗および店舗を利用する顧客に関連する情報を記憶するデータベースである。店舗DB304は、顧客情報、商品情報などを記憶する。
【0023】
図3は、店舗DBに記憶された顧客情報の一例を示すデータシートである。顧客情報は、識別ID、顧客ID、顧客の保有ポイントなどを含む。顧客IDは、店舗が顧客を識別するための情報であり、例えば、英数字で構成される。顧客IDは、店舗ごとに異なっていてもよく、店舗グループ又はフランチャイズチェーンの店舗間で共通する顧客IDを用いてもよい。ポイント情報は、顧客情報に関連付けされた顧客の保有ポイントを含む。情報処理装置100が、顧客にポイントを付与する毎に、顧客情報に含まれる保有ポイントは更新される。なお、顧客情報には、顧客の画像から抽出された顧客特徴が予め含まれる。顧客特徴の一例は、顧客の顔特徴である。
【0024】
図4は、店舗DBに記憶された商品情報の一例を示すデータシートである。商品情報は、店舗に配置された商品棚ごとの棚ID、商品棚に置かれた各商品の商品IDを含む。棚IDは、商品棚とその棚段を識別するための識別子であり、商品IDは商品を識別するための識別子である。
【0025】
図4に示す例では、3段で構成された商品棚Aは、棚IDとして、商品棚の上段から順に「A1」、「A2」、「A3」と表される。また、同じ棚段に置かれた複数の商品は、同じ棚IDの商品IDとして関連付けられている。商品棚の左右方向に商品ID別に商品が並び、さらに、商品棚の手前から奥まで同一の商品IDの商品が陳列されているものとする。
なお、商品情報には、商品棚の商品の画像から抽出された商品特徴が含まれる。
【0026】
<情報処理装置>
図1に示す情報処理装置100は、顧客ID取得部101、行動情報生成部102、ポイント付与部103、出力部104、記憶部105を備える。
【0027】
顧客ID取得部101は、店舗を利用する顧客を識別する顧客IDを取得する。具体的には、顧客ID取得部101は、検出装置301で検出された識別IDと店舗DB304に予め記憶された顧客の識別IDとを照合する。識別IDが一致すると、顧客ID取得部101は、店舗DB304から識別IDに関連付けされた顧客IDを取得する。更に、顧客ID取得部101は、照合可を表す照合可否通知を検出装置301に送る。顧客ID取得部101は、識別IDが一致しないと、照合不可を表す照合可否通知を検出装置301に送る。
【0028】
行動情報生成部102は、店舗における顧客を表す行動情報を生成する。具体的には、店舗カメラ302が撮影した顧客画像を解析して、顧客と商品、さらに顧客の行動を検出し、検出した顧客と商品、顧客の行動に基づいて、店舗における顧客の行動を示す行動情報を生成する。行動情報生成部102は、生成した行動情報を記憶部105に記憶させる。
【0029】
図5図6は、顧客と商品、顧客の行動の一例を説明する図である。顧客の行動とは、例えば、「(商品を)手に取る」または「(商品を)戻す」等である。また、顧客の行動に商品が関わらない場合、行動情報生成部102は、顧客と、顧客の行動を検出する。この場合の顧客の行動は、例えば、「移動する」、「ゴミを拾う」、「ゴミを落とす」等である。顧客画像からの顧客と商品、及び、顧客の行動の検出は、背景差分に基づく方法、顧客と商品の特徴を学習した識別器など、既存の方法や手段を用いて実施される。
【0030】
行動情報生成部102は、顧客画像から顧客特徴、商品特徴を抽出し、店舗DB304に記憶された顧客情報の顧客特徴、又は、商品情報の商品特徴を参照することで、顧客画像に含まれる顧客、商品を検出する。
【0031】
行動情報生成部102は、顧客が商品を手に取る前後の顧客画像を比較することで「棚の奥」又は「棚の手前」から商品を手に取ったかを検出する。具体的には行動情報生成部102は、顧客画像の前後で商品棚の先頭の商品が抜けたことを検出し、顧客が「棚の手前」から商品を手に取った動作を、顧客の動作として検出する。あるいは、行動情報生成部102は、顧客画像から商品棚の奥まで顧客が手を伸ばす動作を検出することにで、顧客が「棚の奥」から商品を取った動作を、顧客の行動として検出する。
【0032】
更に、行動情報生成部102は、顧客画像に基づいて、店舗における顧客の移動を検出して顧客の移動経路を検出する。顧客の移動の追跡には、カルマンフィルタに基づく方法や、パーティクルフィルタに基づく方法など、既存の方法が適用される。
【0033】
行動情報生成部102は、時刻ごとに顧客と商品、顧客の行動の検出に用いた顧客ID、棚ID、商品IDと共に、生成した行動情報を関連付けて記憶部105に記憶させる。図7は、店舗における顧客の行動を示す行動情報の一例を示すデータシートである。なお、時刻は、顧客画像の撮影時刻から抽出される。
【0034】
ポイント付与部103は、行動情報に基づき、顧客IDに関連付けて付与ポイントを付与する。図8は、ポイント付与部103の構成の一例を示すブロック図である。図8に示すポイント付与部103は、行動判定部1031、付与部1032を備える。
【0035】
図9は、行動判定情報の一例を示すデータシートである。行動判定情報は、記憶部105に記憶される。行動判定情報は、店舗における顧客の行動を示す行動情報ごとに、判定情報の第1行動(店員の作業を増加させる)又は第2行動(店員の作業を軽減させる)を規定する。行動判定部1031は、行動判定情報を参照し、行動情報生成部102が生成した行動情報が、店員の作業を増加させる第1行動か、又は、店員の作業を軽減させる第2行動かを判定する。
【0036】
また、行動判定情報には、行動情報(又は、判定情報)に応じて顧客に付与するポイントを示す付与ポイント数が規定されていてもよい。図9の例では、第1行動に対してマイナスの付与ポイントが規定され、第2行動に対してプラスの付与ポイント数が規定されている。
【0037】
付与部1032は、顧客IDに紐づく保有ポイントを店舗DB304から抽出し、抽出した保有ポイントに、行動情報(又は判定情報)に応じた付与ポイント数を付与する。
【0038】
行動情報(又は、判定情報)に応じて顧客に付与する付与ポイント数の規定は、図9に示す行動判定情報の例に限られない。店舗が混雑している時間帯、店舗の規模、店舗の店員の人数に応じて付与ポイント数を変えてもよい。例えば、店舗が混在している時間帯に店員の作業を増やすような顧客の行動に対して、平常時より大きいマイナスポイントを付与してもよい。また、顧客の来店回数(日次、月次、年次)に応じて付与ポイント数を変えてもよい。来店とは、顧客の入店と退店の組を表し、来店回数とは、顧客の入店から退店までを一組としたときの回数を示す。例えば、顧客が1日のうち入店した状態で退店していない場合は、来店回数には含まれない。
【0039】
出力部104は、店舗における顧客の行動に基づくポイント付与の実績として、顧客の来店ごとにポイント情報を生成して顧客の携帯端末200に出力する。出力部104は、例えば店舗DB304に記憶された情報を参照し、ポイント情報を生成する。ポイント情報には、顧客IDと、行動情報ごとに付与されたポイントおよびその合計と、更新された保有ポイントが含まれる。ポイント情報には、店舗における顧客の行動情報又は判定情報(例えば、第1行動又は第2行動)を含めてもよい。
【0040】
このように、店舗における顧客の行動に応じてポイントを付与することにより、店舗での顧客の行動を意識させて店員の作業の軽減に繋げることができる。保有ポイントは、店舗で利用可能な様々なサービスに変換されてもよい。保有ポイントに関連して店舗が提供するサービスが多様化することにより、顧客は保有ポイントを増やすことを意識する。結果、店舗における顧客の行動は、店員の作業が軽減されるような顧客の行動が増えることになる。
【0041】
第1の実施形態に係る情報処理システムの動作について、図面を用いて説明する。図10は、第1の実施形態に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【0042】
顧客は、店舗に入店する前に、顧客が使用する携帯端末200を店舗の検出装置301にかざし、携帯端末200に設けられたRFタグ204を検出装置301に読み取らせる。検出装置301は、RFタグ204に記憶された識別IDを検出し、識別IDを情報処理装置100に送信する(ステップS101)。
【0043】
情報処理装置100において、顧客ID取得部101は、検出された識別IDと店舗DB304に記憶された識別IDを照合する。識別IDが一致すると、顧客ID取得部101は、店舗DB304から識別IDに関連付けされた顧客IDを取得する。顧客IDの取得によって情報処理装置100は、顧客の入店を検知する。顧客ID取得部101は、取得した顧客IDを行動情報生成部102に送る。
【0044】
検出装置301から識別IDが送信されると、情報処理装置100の顧客ID取得部101は、店舗を利用する顧客を識別する顧客IDを取得する(ステップS201)。具体的には、顧客ID取得部101は、検出装置301で検出された識別IDと店舗DB304に予め記憶された顧客の識別IDとを照合する。識別IDが一致すると、顧客ID取得部101は、店舗DB304から識別IDに関連付けされた顧客IDを取得する。
【0045】
情報処理装置100の行動情報生成部102は、店舗カメラ302が撮影した顧客画像を受信すると、顧客画像を解析して、顧客と商品、さらに顧客の行動を検出する。検出した顧客と商品、顧客の行動に基づいて、店舗における顧客の行動を示す行動情報を生成する(ステップS202)。行動情報生成部102は、時刻ごとに顧客と商品、顧客の行動の検出に用いた顧客ID、棚ID、商品IDと共に、生成した行動情報を関連付けて記憶部105に記憶させる。
【0046】
情報処理装置のポイント付与部103は、記憶部105に記憶された行動情報に基づき、顧客IDに関連付けて付与ポイントを付与する(ステップS203)。具体的には、ポイント付与部103の行動判定部1031は、行動判定情報を参照し、行動情報生成部102が生成した行動情報が、店員の作業を増加させる第1行動か、又は、店員の作業を軽減させる第2行動かを判定する。行動判定情報は、店舗における顧客の行動を示す行動情報ごとに、判定情報の第1行動(店員の作業を増加させる)又は第2行動(店員の作業を軽減させる)を規定する情報である。
【0047】
更に、ポイント付与部103の付与部1032は、顧客IDに紐づく保有ポイントを店舗DB304から抽出し、抽出した保有ポイントに、行動情報(又は判定情報)に応じた付与ポイント数を付与する。行動情報(又は、判定情報)に応じて顧客に付与するポイントを示す付与ポイント数は、行動判定情報に規定されていてもよい。
【0048】
店舗DB304に記憶された更新された情報を参照し、出力部104は、店舗における顧客の行動に基づくポイント付与の実績として、顧客の来店ごとにポイント情報を生成して顧客の携帯端末200に出力する(ステップS204)。ポイント情報には、顧客IDと、行動情報ごとに付与されたポイントとその合計、更新された保有ポイントが含まれる。
【0049】
(変形例)
本実施形態において、携帯端末200のRFタグに含まれる識別IDの代わりに顧客の生体情報を用いてもよい。この場合、検出装置301は、RFリーダの代わりにカメラ、指紋センサ、虹彩センサなど個人を識別するための生体情報を検出する生体情報センサを用いる。生体認証で顧客を検出する場合、顧客は、顧客識別のために携帯端末200を携行する必要はなくなる。
【0050】
上記実施形態の説明では、商品棚の例を用いて説明したが、これにかぎられない。商品棚、陳列柵、又は、ショーケースを含む陳列什器でもよい。
【0051】
店舗に設置されたPOS(Point of Sale)装置(図示せず)が、店舗DB304に記憶された顧客の保有ポイントに応じて、顧客に各種サービスを提供してもよい。具体的には、POS装置は、顧客IDに基づいて、店舗DB304から保有ポイントを受信し、保有ポイントに応じて商品販売に適用してもよい。例えば、保有ポイントの一部又は全部を金額に換算し、換算した金額を顧客の支払い金額から割引くようなポイント割引を実施してもよい。
【0052】
POS装置は、店舗DB304から取得した保有ポイントからPOS装置のポイント割引で消費されるポイントを引いた、残りポイントを店舗DB304に記憶する。
【0053】
POS装置(図示せず)は、顧客の保有ポイントを情報処理装置100から受信して、印字装置(図示せず)を介して印刷してもよい。
【0054】
(第1の実施形態の効果)
情報処理装置100が、店舗における顧客の行動に基づいて、顧客の保有ポイントが増加、又は減少することにより、店舗における店員の作業を増減させる顧客の行動を顧客に意識させることができる。保有ポイントを増やすための顧客の行動は、店員の作業の軽減につながり、顧客と店員の双方に有益となるサービスを提供することができる。
【0055】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の情報処理装置について図面を用いて説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態の情報処理システムにおける情報処理装置100を最小構成で実現する一態様である。
【0056】
以下、第2の実施形態の情報処理装置を、第1の実施形態の情報処理システムにおける情報処理装置100と置き換えた態様として説明する。そのため、情報処理装置100、携帯端末200、検出装置301、店舗カメラ302および店舗DB304と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0057】
図11は、第2の実施形態の情報処理装置を示すブロック図である。図11に示す情報処理装置100は、顧客ID取得部101、行動情報生成部102、ポイント付与部103を備える。顧客ID取得部101は、店舗を利用する顧客の顧客IDを取得する。行動情報生成部102は、店舗における顧客の行動を表す行動情報を生成する。ポイント付与部103は、行動情報に基づき、顧客IDに関連付けてポイントを付与する。
【0058】
次に、第2の実施形態の動作について図面を用いて説明する。図12は、第2の実施形態の動作の一例を示すフローチャートである。顧客は、店舗の検出装置に顧客が使用する携帯端末をかざす。検出装置は、携帯端末から識別IDを取得して情報処理装置100に送信する。情報処理装置100の顧客ID取得部101は、受信した識別IDに基づき、店舗を利用する顧客の顧客IDを取得する(ステップS301)。例えば、顧客ID取得部101は、図示しない記憶装置から顧客IDを取得する。
【0059】
行動情報生成部102は、顧客IDに基づき、店舗における顧客の行動を表す行動情報を生成する(ステップS302)。例えば、行動情報生成部102は、図示しない記憶装置に記憶された顧客IDを参照し、行動情報を生成する。ポイント付与部103は、生成された行動情報に基づき、顧客IDに関連付けてポイントを付与する(ステップS303)。例えば、ポイント付与部103は、図示しない記憶部から顧客IDに紐づく保有ポイントを抽出し、ポイントを付与してもよい。
【0060】
第2の実施形態によれば、情報処理装置100が、店舗における顧客の行動を表す行動情報を生成し、行動情報に基づいて、顧客IDに関連付けてポイントを付与することにより、店舗における店員の作業を増減させる顧客の行動を顧客に意識させることができる。保有ポイントを増やすための顧客の行動は、店員の作業の軽減につながり、顧客と店員の双方に有益となるサービスを提供することができる。
【0061】
(ハードウエア構成)
上述した各実施形態において、情報処理装置100、携帯端末200の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。各装置の各構成要素の一部又は全部は、コンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0062】
図13は、コンピュータのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。図13を参照すると、コンピュータ900は、例えば、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903、プログラム904、記憶装置905、ドライブ装置907、通信インタフェース908、入力装置909、出力装置910、及び、バス912を含む。
【0063】
プログラム904は、各装置の各機能を実現するための命令(instruction)を含む。プログラム904は、予め、ROM902やRAM903、記憶装置905に格納される。CPU901は、プログラム904に含まれる命令を実行することにより、各装置の各機能を実現する。例えば、情報処理装置100のCPU901がプログラム904に含まれる命令を実行することにより、顧客ID取得部101、行動情報生成部102、及び、ポイント付与部103の、各構成の機能を実現する。また、RAM903は、各装置の各機能において処理されるデータを一時的に記憶してもよい。
【0064】
ドライブ装置907は、記録媒体906の読み書きを行う。通信インタフェース908は、通信ネットワークとのインタフェースを提供する。入力装置909は、例えば、マウスやキーボード等であり、顧客又は従業員等からの情報の入力を受け付ける。出力装置910は、例えば、ディスプレイであり、顧客又は従業員等へ情報を出力(表示)する。入出力インタフェース911は、周辺機器とのインタフェースを提供する。情報処理装置100の場合、入出力インタフェース911には、カメラ、バーコードリーダ、タグリーダライタ、及び、カードリーダライタが接続されてもよい。バス912は、これらハードウエアの各構成要素を接続する。なお、プログラム904は、通信ネットワークを介してCPU901に供給されてもよいし、予め、記録媒体906に格納され、ドライブ装置907により読み出され、CPU901に供給されてもよい。
【0065】
なお、図13に示されているハードウエア構成は例示であり、これら以外の構成要素が追加されていてもよく、一部の構成要素を含まなくてもよい。
【0066】
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置は、構成要素毎にそれぞれ異なるコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つのコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0067】
また、各装置の各構成要素の一部または全部は、プロセッサ等を含む汎用または専用の回路(circuitry)や、これらの組み合わせによって実現されてもよい。これらの回路は、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0068】
また、各装置の各構成要素の一部又は全部が複数のコンピュータや回路等により実現される場合、複数のコンピュータや回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。
【0069】
なお、各実施形態において、上述した一連の処理を記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0070】
本開示は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された構成、動作、処理を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0071】
上述した各実施形態は、本開示を具体化した一例に過ぎず、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨の範囲内であれば、種々変更することができるものである。
【0072】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0073】
(付記1)
店舗を利用する顧客を識別する顧客ID(identifier)を取得する顧客ID取得手段と、
前記店舗における顧客の行動を表す行動情報を生成する行動情報生成手段と、
前記行動情報に基づき、前記顧客IDに関連付けてポイントを付与するポイント付与手段と、
を備える情報処理装置。
【0074】
(付記2)
前記行動情報生成手段は、前記顧客を店舗カメラで撮影した顧客画像に基づき、前記行動情報を生成する、
付記1に記載の情報処理装置。
【0075】
(付記3)
前記行動情報生成手段は、前記顧客画像の前記顧客と前記顧客の行動を検出し、前記行動情報を生成する、
付記2に記載の情報処理装置。
【0076】
(付記4)
前記顧客画像は、前記顧客と前記店舗の陳列什器に陳列された商品を含み、
前記行動情報生成手段は、前記顧客画像の前記顧客、前記商品、及び、前記顧客の行動を検出し、前記行動情報を生成する、
付記2に記載の情報処理装置。
【0077】
(付記5)
前記行動情報に基づき、前記顧客の行動が、前記店舗の店員の作業を増加させる第1行動か、又は、前記店員の作業を軽減させる第2行動かを判定する行動判定手段を、更に含む、
付記1から4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0078】
(付記6)
前記行動判定手段は、前記顧客の行動と前記店員の作業の増加又は軽減が関連付けされた行動判定情報を参照して、生成された前記行動情報が、前第1行動又は前記第2行動かを判定する、
付記5に記載の情報処理装置。
【0079】
(付記7)
前記ポイント付与手段は、判定の結果が前記第1行動の場合、前記顧客の保有ポイントが減少するポイントを付与し、前記判定の結果が前記第2行動の場合、前記顧客の保有ポイントが増加するポイントを付与する、
付記5又は6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0080】
(付記8)
前記顧客の保有ポイント、前記行動情報、及び、前記行動情報によって付与されたポイントを、出力する出力手段を更に、備える、
付記1から7のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0081】
(付記9)
店舗を利用する顧客を識別する顧客IDを取得し、
前記店舗における顧客の行動を表す行動情報を取得し、
前記行動情報に基づき、前記顧客IDに関連付けてポイントを付与する、
処理方法。
【0082】
(付記10)
店舗を利用する顧客を識別する顧客IDを取得し、
前記店舗における顧客の行動を表す行動情報を取得し、
前記行動情報に基づき、前記顧客IDに関連付けてポイントを付与する、
ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【0083】
(付記11)
店舗を利用する顧客を識別する顧客IDを取得する顧客ID取得手段と、
前記店舗における顧客の行動を表す行動情報を生成する行動情報生成手段と、
前記行動情報に基づき、前記顧客IDに関連付けてポイントを付与するポイント付与手段を含む情報処理装置と、
前記情報処理装置から前記ポイントに関するポイント情報を受信する携帯端末と
を備える情報処理システム。
【0084】
この出願は、2019年3月25日に出願された日本出願特願2019-055883を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【符号の説明】
【0085】
100 情報処理装置
101 顧客ID取得部
102 行動情報生成部
103 ポイント付与部
1031 行動判定部
1032 付与部
104 出力部
105 記憶部
200 携帯端末
201 通信部
202 表示制御部
203 表示部
204 RFタグ
301 検出装置
302 店舗カメラ
304 店舗DB
900 コンピュータ
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 プログラム
905 記憶装置
906 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13