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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240509BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240509BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/23
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021552426
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2020038886
(87)【国際公開番号】W WO2021075492
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2019189592
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】小堀内 聖弥
(72)【発明者】
【氏名】古澤 宏幸
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-109957(JP,A)
【文献】特開2019-045518(JP,A)
【文献】特開2016-218163(JP,A)
【文献】特開2019-174674(JP,A)
【文献】国際公開第2014/180509(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/23
G02B 7/182
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光を放射する表示器と、
前記表示光を反射するミラーを含み、前記表示器からの前記表示光を被投射部材に導く光学リレーと、
前記ミラーにおける前記表示光を反射する反射面とは反対側の背面から前記ミラーを支持するホルダと、を備え、
前記ミラーは、前記背面に設けられ、前記ミラーの前記反射面の面形状が測定される際に利用される測定用面を備え、
前記ホルダは、前記ホルダの厚さ方向に貫通し、前記厚さ方向において前記測定用面に対向する位置に形成される測定用孔部を備える、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記ミラーは、前記ミラーの前記背面に設けられ、前記ホルダに対向する位置に前記測定用面を有する3つの凸部を備え、
3つのうち2つの前記凸部は前記ミラーの長手方向における前記背面の一端部に設けられ、
3つのうち残りの1つの前記凸部は前記長手方向における前記背面の他端部に設けられる、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ミラーは、前記ミラーの前記背面に設けられ、前記ホルダに対向する位置に前記測定用面を有する複数の凸部を備え、
前記複数の凸部のそれぞれの前記測定用面は、前記反射面において前記表示光の光軸の入射光と反射光がなす角度の2等分線に直交する方向に沿う、
請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
前記ホルダに当接する複数の第1当接部を含み、前記ミラーの前記反射面の外周を覆う枠部と、
前記ミラーの前記背面と前記ホルダを接着する複数の接着部と、を備え、
前記ホルダは、前記複数の接着部に対応する位置に設けられ、前記複数の第1当接部それぞれに当接した状態で固定される複数の第2当接部を備える、
請求項1から3の何れか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置は、表示器からの表示光を反射する第1ミラーと、第1ミラーにて反射した表示光をフロントガラスに向けて反射する第2ミラーと、第1ミラー及び第2ミラーを収納するケースと、を備える。第1ミラーは、反射面の裏側を覆うミラーホルダで支持される。このミラーホルダがケースに連結されることで第1ミラーがケースに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/195741号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成において、第1ミラーの反射面の面形状が測定装置により測定される際、第1ミラー単独での単品時の測定と第1ミラーにミラーホルダが組み付けられた後の測定が別々に行われることが好ましい。第1ミラー単独での単品時の測定時には、第1ミラーの背面は外部に露出しており、第1ミラーの背面を、直接に、支持用治具により支持、又は測定装置により測定可能である。しかしながら、ホルダ組み付け後の測定時には、ミラーホルダにより第1ミラーの背面は覆われている。よって、ホルダ組み付け後の測定時には、第1ミラーの背面を直接に支持又は測定できない。このため、第1ミラーにミラーホルダを組み付けた前又は後の測定で測定条件が変わる。よって、反射面の面形状の正確な測定が困難であった。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、反射面の面形状を正確に測定することができるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置は、表示光を放射する表示器と、前記表示光を反射するミラーを含み、前記表示器からの前記表示光を被投射部材に導く光学リレーと、前記ミラーにおける前記表示光を反射する反射面とは反対側の背面から前記ミラーを支持するホルダと、を備え、前記ミラーは、前記背面に設けられ、前記ミラーの前記反射面の面形状が測定される際に利用される測定用面を備え、前記ホルダは、前記ホルダの厚さ方向に貫通し、前記厚さ方向において前記測定用面に対向する位置に形成される測定用孔部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ヘッドアップディスプレイ装置において、反射面の面形状を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の模式的な断面図である。
図2】本開示の一実施形態に係る第1ミラー、枠部及びホルダの正面側の斜視図である。
図3】本開示の一実施形態に係る第1ミラー、枠部及びホルダの正面側の分解斜視図である。
図4】本開示の一実施形態に係る第1ミラー、枠部及びホルダの背面側の斜視図である。
図5】本開示の一実施形態に係る第1ミラー、枠部及びホルダの背面側の分解斜視図である。
図6】本開示の一実施形態に係る第1ミラー、枠部及びホルダの背面図である。
図7図6のA-A線の断面図である。
図8図6のB-B線の断面図である。
図9図6のC-C線の断面図である。
図10】本開示の一実施形態に係る第1ミラーの側面図である。
図11】本開示の一実施形態に係る支持装置に支持される第1ミラーの斜視図である。
図12】本開示の一実施形態に係る支持装置に支持されるホルダに組み付けられた第1ミラーの斜視図である。
図13】本開示の一実施形態に係る支持装置の支持ピンに支持される第1ミラーの斜視図である。
図14】本開示の一実施形態に係る支持装置の支持ピンに支持されるホルダに組み付けられた第1ミラーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置は、車両に搭載され、表示光をウインドシールドに投射することにより車両情報を含む虚像を表示する。
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置10は、第1ミラー11と、第2ミラー12と、ケース30と、光源13と、表示器14と、制御基板15と、枠部33と、ホルダ42と、ミラー回転駆動部18と、を備える。
【0010】
光源13は、制御基板15による制御のもと、表示器14に向けて照明光を放射する。光源13は、例えば、複数のLED(Light Emitting Diode)を含む。
表示器14は、光源13からの照明光を受けて画像を表す表示光16を放射する。表示器14は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶表示パネルである。
制御基板15は、光源13、表示器14及びミラー回転駆動部18を制御する。制御基板15は、CPU(Central Processing Unit)、GDC(Graphic Display Controller)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む。制御基板15は、外部からの車両情報を受けて、その車両情報を含む画像を表示器14に表示させた状態で、光源13から表示器14へ照明光を放射する。
【0011】
第1ミラー11は、表示器14からの表示光16を第2ミラー12に向けて反射する。第1ミラー11は、例えば、凹面鏡である。第1ミラー11の具体的構成については後述する。
【0012】
第2ミラー12は、第1ミラー11からの表示光16を被投射部材の一例であるウインドシールド19に向けて反射する。第2ミラー12は、例えば、凹面鏡である。ウインドシールド19は、第2ミラー12からの表示光16を視認者、例えば運転者に向けて反射する。これにより、ウインドシールド19には、視認者から視認可能に、車両情報を含む虚像が表示される。
【0013】
ミラー回転駆動部18は、制御基板15による制御のもと、図1の紙面垂直方向に延びる回転軸Axを中心に第2ミラー12を回転させる。第2ミラー12が回転軸Axを中心に回転すると、視認者に対する表示光16の照射位置を上下方向に調整することができる。ミラー回転駆動部18は、例えば、何れも図示しない、モータと、モータにより軸回転するスクリューと、スクリューに螺合するナットと、ナットに固定され第2ミラー12の一部を把持する把持部と、を備える。スクリューが軸回転すると、ナットとともに把持部がスクリューに沿って移動することにより、第2ミラー12が回転軸Axを中心に回転する。
【0014】
図1に示すように、ケース30は、センターフレーム35と、上カバー36と、下カバー37と、を備える。
センターフレーム35は、遮光性の樹脂又は金属により形成され、例えば、第1ミラー11、第2ミラー12、光源13、表示器14、ミラー回転駆動部18、枠部33及びホルダ42を支持する。
センターフレーム35は上方向に開口した収容空間35aを有する。収容空間35a内には、第2ミラー12及びミラー回転駆動部18が収容される。第2ミラー12は回転軸Axを中心に回転可能に収容空間35a内に収容される。
センターフレーム35の下面には光源13及び表示器14が固定される。センターフレーム35には、表示器14から第1ミラー11に向かう表示光16が通過する開口部35bが形成される。
【0015】
下カバー37は、遮光性の樹脂又は金属により形成され、センターフレーム35の下面を覆うように形成される。下カバー37は上方向に開口した収容空間37aを有する。下カバー37の収容空間37aの底面には制御基板15が固定されている。下カバー37がセンターフレーム35に装着された状態で、収容空間37a内には、制御基板15、光源13及び表示器14が位置する。
【0016】
上カバー36は、遮光性の樹脂又は金属により形成され、センターフレーム35の収容空間35aを閉じるようにセンターフレーム35の上部に装着される。上カバー36は、第2ミラー12からウインドシールド19に向かう表示光16が通過する開口部36aを有する枠状に形成される。上カバー36は、表示光16が透過可能に開口部36aを閉じる光透過性板部23と、太陽光等の外光が表示光16の光路に侵入することを抑制する遮蔽部31と、を有する。遮蔽部31は、前方向(図1の左方向)に向かうにつれて下方向に近づくように傾斜する板状をなす。
【0017】
次に、図2図9を参照しつつ、ホルダ42、枠部33及び第1ミラー11の具体的構成について説明する。なお、以下の説明では、車両の高さ方向をZ方向と規定し、車両の幅方向をX方向と規定し、車両の前後方向をY方向と規定する。
【0018】
図5に示すように、第1ミラー11は、表示光を反射する反射面11aと、反射面11aと反対側の背面11bと、を備える。第1ミラー11は、X方向に長く、かつZ方向に短い長方形板状をなし、Z方向に沿って湾曲して形成される。反射面11aは第2ミラー12(図1参照)に向けて凹むように湾曲して形成される。
【0019】
また、第1ミラー11は、複数の位置決めピン112,113と、複数の凸部116と、を備える。
複数、本例では、2つの位置決めピン112,113は、第1ミラー11の背面11bに設けられ、第1ミラー11の厚さ方向に延びる円柱状に形成される。例えば、位置決めピン113は第1ミラー11の背面11bのX方向の一端部(図5の右端部)に設けられ、位置決めピン112は第1ミラー11の背面11bのX方向(長手方向)の他端部(図5の左端部)に設けられる。また、2つの位置決めピン112,113は、それぞれ第1ミラー11の背面11bのZ方向(短手方向)の中央部に設けられる。
【0020】
図5及び図7に示すように、複数の凸部116は、第1ミラー11の背面11bに設けられる。各凸部116は、ホルダ42に向けて突出し、Z方向に長い形状をなす。第1ミラー11の厚さ方向に沿う凸部116の高さは、この厚さ方向に沿う位置決めピン112,113の高さよりも低い。各凸部116の高さは、背面11bの湾曲に応じて、Z方向において背面11bの中央部から外側に向かうにつれて高くなるように形成される。複数、本例では3つのうち2つの凸部116は、第1ミラー11の背面11bのX方向(長手方向)の一端部(図5の右端部)に位置し、位置決めピン113を挟み込むようにZ方向(短手方向)に並べられる。2つの凸部116は、Z方向において背面11bの角部と位置決めピン113の中央部に設けられる。後述する支持装置80により第1ミラー11が安定的に支持されるためには、2つの凸部116のZ方向の間隔が大きいほど、すなわち、2つの凸部116が背面11bの角部に位置することが好ましい。しかしながら、背面11bは湾曲しているため、凸部116が背面11bの角部に配置されると、第1ミラー11の厚さ方向の凸部116の高さを高くする必要がある。この場合、凸部116には、成形収縮によって生じる窪みであるヒケが発生しやすく、凸部116の形状精度が低下するおそれがある。この点を考慮して、2つの凸部116は、Z方向において背面11bの角部と位置決めピン113の中央部に設けられることがより好ましい。
残りの1つの凸部116は、第1ミラー11の背面11bのX方向の他端部(図5の左端部)に位置し、背面11bのZ方向(短手方向)の中央部、本例では、位置決めピン112の上方向に位置する。残りの1つの凸部116は、第1ミラー11の重心からX方向に延びる仮想線上に位置する。これにより、後述する支持装置80により第1ミラー11が安定的に支持される。
3つの凸部116は、3つの凸部116を互いに仮想線で結んだときにX方向に二等辺が延びる略二等辺三角形をなすように配置される。
【0021】
図7に示すように、各凸部116は、ホルダ42に対向する被支持面115を備える。被支持面115は、第1ミラー11の反射面11aの面形状を測定する際に、利用、すなわち本例では後述する支持装置80に支持される。図5及び図13に示すように、被支持面115は、角部が丸まった長方形状又は楕円状をなす。
【0022】
図10に示すように、各被支持面115は、表示光16の光軸の入射光16iと反射光16oがなす角度αの2等分線16dに直交する方向に沿う。表示光16の光軸とは、表示光16のうち第1ミラー11の反射面11aの中心位置に到達する光を言う。2等分線16dは、反射面11aの中心位置に対して垂直に延びる。各被支持面115は、例えば、同一平面上に位置する。
【0023】
図3及び図4に示すように、ホルダ42は、遮光性の樹脂又は金属により形成され、第1ミラー11を反射面11aと反対側の背面11bから保持する。
ホルダ42は、ホルダ本体部428と、複数の接着シート取付部421と、複数の位置決め孔部422,423と、複数の測定用孔部424と、複数の当接部425と、を備える。
【0024】
ホルダ本体部428は、第1ミラー11の背面11bに沿う湾曲板状をなす。ホルダ本体部428は、X方向に長く、かつZ方向に短い板状をなし、Z方向に沿って湾曲して形成される。
【0025】
図7及び図8に示すように、ホルダ本体部428は、接着シート取付部421以外の部位においては隙間Sを持って第1ミラー11の背面11bに対向する。隙間Sにより、ホルダ42の熱が第1ミラー11に伝わることが抑制される。また、隙間Sにより、ホルダ42から第1ミラー11に振動が伝わることが抑制される。これにより、虚像の表示品位を向上させることができ、また、異音の発生を抑制できる。
【0026】
図3に示すように、複数の接着シート取付部421は、ホルダ本体部428における第1ミラー11の背面11bに対向する対向面に配置される。接着シート取付部421は矩形板状をなす。複数、本例では4つの接着シート取付部421は、ホルダ本体部428の対向面の各角部に配置される。接着シート取付部421における第1ミラー11の背面11bに対向する対向面には接着シート41が設けられる。
【0027】
図5に示すように、2つの位置決め孔部422,423は、それぞれ、第1ミラー11の2つの位置決めピン112,113が挿入されることにより、第1ミラー11をホルダ42に対して位置決めする。
2つの位置決め孔部422,423は、ホルダ本体部428のX方向の両端部に設けられ、ホルダ本体部428のZ方向の中央部に設けられる。
位置決め孔部422は、ホルダ本体部428のX方向の一端部(図5の左端部)に位置し、第1ミラー11の位置決めピン112が通過する丸孔を有する。
位置決め孔部423は、ホルダ本体部428のX方向の他端部(図5の右端部)に位置し、第1ミラー11の位置決めピン113が通過する孔を有する。図6に示すように、位置決め孔部423は、ホルダ42及び第1ミラー11の形状誤差又は組み付け誤差を許容するためにX方向に長い長孔を有する。
【0028】
図5及び図9に示すように、複数の測定用孔部424は、第1ミラー11の複数の被支持面115にアクセス可能とする孔を有する。複数の測定用孔部424は、それぞれホルダ42の厚さ方向において被支持面115に対向して位置する。測定用孔部424は、例えば、凸部116のZ方向の長さよりも小さい径の丸孔を有し、この丸孔は、凸部116のZ方向の中央部に位置する。図6に示すように、3つのうち2つの測定用孔部424はホルダ本体部428のX方向の他端部(図6の右端部)に位置する。この2つの測定用孔部424は、Z方向において位置決め孔部423を挟み込むように配置される。3つのうち残りの1つの測定用孔部424はホルダ本体部428のX方向の一端部(図6の左端部)に位置する。残りの1つの測定用孔部424は、位置決め孔部422よりもZ方向の上側に位置する。残りの1つの測定用孔部424と位置決め孔部422は隣り合っている。
【0029】
図5及び図6に示すように、複数の当接部425は、それぞれ、枠部33の後述する複数の当接部335に当接する。4つのうち2つの当接部425は、ホルダ本体部428の下端部にX方向に沿って並べられる。4つのうち残りの2つの当接部425は、ホルダ本体部428の上端部にX方向に沿って並べられる。各当接部425は板状をなす。各当接部425には孔426が形成される。孔426は、当接部425における枠部33の後述する当接部335に対向する面に貫通孔として形成される。
【0030】
図5に示すように、枠部33は、遮光性の樹脂又は金属により形成され、ホルダ42に装着された状態で、センターフレーム35(図1参照)に固定される。詳しくは、枠部33は、フレーム部337と、一対の側壁部331,332と、複数の当接部335と、を備える。
一対の側壁部331,332は、YZ平面に沿って延び、X方向に並べられる。各側壁部331,332は、外側に膨らむように湾曲した斜辺を有する直角三角形の板状をなす。側壁部331,332は、表示光16の光路を区画するために設けられる。側壁部331,332の下端部はセンターフレーム35(図1参照)の上端部に固定される。
フレーム部337は、一対の側壁部331,332を連結し、第1ミラー11の反射面11aの外周縁部に沿う長方形の枠状をなす。フレーム部337は、第1ミラー11の反射面11aのエッジ部分に表示光16が到達することを抑制し、これにより、迷光が発生することを抑制する。
フレーム部337のX方向の両端部には、それぞれ一対の側壁部331,332が連結されている。例えば、フレーム部337は、側壁部331,332に対して直交する方向に延び、側壁部331,332の斜辺に連結されている。
フレーム部337は、Z方向の上方向に位置する上辺部333と、Z方向の下方向に位置する下辺部334と、を備える。上辺部333は、X方向に延び、一対の側壁部331,332のそれぞれの上端部を連結する。下辺部334は、X方向に延び、一対の側壁部331,332のそれぞれの下端部を連結する。
【0031】
図5に示すように、4つのうち2つの当接部335はX方向に並ぶように上辺部333に設けられる。残りの2つの当接部335はX方向に並ぶように下辺部334に設けられる。
図5及び図8に示すように、各当接部335には、当接部335におけるホルダ42の当接部425に対向する面に穴部336が形成される。複数の当接部335は、それぞれ、ホルダ42の複数の当接部425に当接し、当接部335の穴部336と当接部425の孔426が連続する。連続した穴部336と孔426には、図示しないねじ又はピンが通されることにより、ホルダ42に枠部33が固定される。
以上で、ホルダ42、枠部33及び第1ミラー11の具体的構成の説明を終了する。
【0032】
次に、第1ミラー11の面形状の測定も含めたホルダ42、枠部33及び第1ミラー11の組み立て方法について説明する。この組み立て作業は、人又は機械により行われる。
まず、図11及び図13に示すように、第1ミラー11は単品で支持装置80に設置される。支持装置80は、第1ミラー11の面形状の測定のために利用される治具であり、ヘッドアップディスプレイ装置10とは別に設けられる。支持装置80は、基板81と、基板81の上面に固定されるブロック83,84と、ブロック83,84の上面に設けられる複数の支持ピン85と、第1ミラー11の支持装置80における位置を決める位置決め部86a,86b,86cと、を備える。位置決め部86a,86bは、基板81の上面に位置し、第1ミラー11の上側側面に当接する。位置決め部86cは、ブロック83の上面に位置し、第1ミラー11の右側側面に当接する。支持ピン85は、円柱状に形成され、第1ミラー11の複数の被支持面115に対応する位置及び数だけ設けられる。3つのうち2つの支持ピン85はブロック84の上面に設けられ、残りの1つの支持ピン85はブロック83の上面に設けられる。各支持ピン85の先端面は被支持面115に沿う平面状をなしている。図13に示すように、第1ミラー11の各被支持面115が各支持ピン85の先端に支持されることにより、第1ミラー11は支持装置80に3点で支持される。この状態で、図示しない測定装置により、第1ミラー11の反射面11aの面形状が測定される。例えば、図示しない測定装置は、検査媒体としてレーザー光を第1ミラー11の反射面11aに照射することにより、反射面11aの面形状を測定する。
【0033】
そして、1回目の第1ミラー11の面形状の測定が完了すると、第1ミラー11は支持装置80から取り外される。次に、図3に示すように、第1ミラー11にはホルダ42が装着される。具体的には、まず、ホルダ42の接着シート取付部421に接着シート41が貼り付けられる。接着シート41は、例えば、両面接着テープである。そして、図5に示すように、ホルダ42の位置決め孔部422,423に第1ミラー11の位置決めピン112,113が嵌まるように、ホルダ42を第1ミラー11の背面11bに近づける。このように、ホルダ42を第1ミラー11の背面11bに近づけて、第1ミラー11の背面11bが各接着シート41に押し付けられることにより、第1ミラー11は接着シート41を介してホルダ42に固定される。この際、ホルダ42の各測定用孔部424は、第1ミラー11の各被支持面115をホルダ42の第1ミラー11とは反対側の外部からアクセス可能となる。
なお、接着シート41は接着剤であってもよい。
【0034】
次に、図12に示すように、ホルダ42に装着された第1ミラー11は支持装置80に設置される。この際、図14に示すように、各支持ピン85がホルダ42の各測定用孔部424を通過し、各支持ピン85の先端は第1ミラー11の各被支持面115を支持する。これにより、ホルダ42に装着された第1ミラー11は、第1ミラー11単独のときと同様に、支持装置80に3点で支持される。この状態で、1回目の面形状の測定と同様に、図示しない測定装置により、第1ミラー11の反射面11aの面形状が測定される。なお、図14においては、ホルダ42は透明に図示されている。
【0035】
そして、2回目の第1ミラー11の面形状の測定が完了すると、ホルダ42に装着された第1ミラー11は支持装置80から取り外される。次に、ホルダ42には枠部33が装着される。具体的には、図5に示すように、ホルダ42の各当接部425を枠部33の各当接部335に当接させる。このとき、当接部335の穴部336と当接部425の孔426を連続させる。連続した穴部336と孔426には、図示しないねじ又はピンが通されることにより、ホルダ42に枠部33が固定される。これにより、第1ミラー11、枠部33及びホルダ42が一体化したユニットとなる。そして、図1に示すように、枠部33の下端部をセンターフレーム35に装着することにより、このユニットをセンターフレーム35に固定する。
【0036】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ヘッドアップディスプレイ装置10は、表示光16を放射する表示器14と、表示光16を反射する第1ミラー11を含み、表示器14からの表示光16を被投射部材の一例であるウインドシールド19に導く光学リレー(第1ミラー11及び第2ミラー12)と、第1ミラー11における表示光16を反射する反射面11aとは反対側の背面11bから第1ミラー11を支持するホルダ42と、表示器14、ホルダ42に支持された第1ミラー11及び第2ミラー12を支持するケース30と、を備える。第1ミラー11は、背面11bに設けられ、第1ミラー11の反射面11aの面形状が測定される際に利用される測定用面の一例である被支持面115を備える。ホルダ42は、ホルダ42を介して第1ミラー11の被支持面115にアクセス可能となるようにホルダ42の厚さ方向に貫通し、同厚さ方向において被支持面115に対向する位置に形成される測定用孔部424を備える。
この構成によれば、ホルダ42を第1ミラー11に組み付ける前と後で、同一の複数の被支持面115を利用することが可能となる。よって、ホルダ42を第1ミラー11に組み付ける前と後での測定条件を同一とすることができる。これにより、反射面11aの面形状の正確な測定を可能とすることができる。
例えば、従来、ミラー単品で面形状を測定する場合には、支持装置によりミラーの背面を直接に支持できるものの、ミラーの背面側にホルダが組み付けられた場合には、支持装置によりミラーの背面を直接に支持できず、ホルダを介してミラーが支持される。このように、ホルダをミラーに組み付ける前と後での測定条件を同一とすることが困難であった。この点、上記構成によれば、ホルダ42を第1ミラー11に組み付ける前と後で、同一の複数の被支持面115を利用して第1ミラー11が支持装置80により支持される。これにより、ホルダ42を第1ミラー11に組み付ける前と後での測定条件を同一とすることができる。また、例えば、ホルダ42を第1ミラー11に組み付けたことによる反射面11aの面形状への影響を知ることができる。
さらに、測定装置は、ホルダ42を第1ミラー11に組み付ける前と後で同一の測定プログラムを実施することができる。よって、ホルダ42を第1ミラー11に組み付ける前と後で個別に測定プログラムが不要となる。
【0037】
(2)第1ミラー11は、第1ミラー11の背面11bに設けられ、ホルダ42に対向する位置に被支持面115を有する3つの凸部116を備える。3つのうち2つの凸部116は第1ミラー11の長手方向(X方向)における背面11bの一端部に設けられる。3つのうち残りの1つの凸部116は第1ミラー11の長手方向における背面11bの他端部に設けられる。
被支持面115が支持装置80により支持される際に、第1ミラー11は自重により支持装置80から反力を受ける。この反力に伴って第1ミラー11に歪みが発生するおそれがある。上記構成によれば、各凸部116は第1ミラー11の背面11bの端部に位置する。このため、上記反力に伴う第1ミラー11の歪み量を小さくすることができる。
また、第1ミラー11は、3つの凸部116の各被支持面115を通じて、支持装置80によって安定的に3点で支持される。
さらに、第1ミラー11は、第1ミラー11の背面11bのX方向(長手方向)の両端部に位置し、ホルダ42に対して位置決めする複数の位置決めピン112,113を備える。
この構成によれば、ホルダ42から位置決めピン112,113を介して第1ミラー11に外力が加わったとしても、外力が第1ミラー11の中央部に到達しづらい。このため、第1ミラー11の歪み量を小さくすることができる。
【0038】
(3)第1ミラー11は、第1ミラー11の背面11bに設けられ、ホルダ42に対向する位置に被支持面115を有する複数の凸部116を備える。複数の凸部116のそれぞれの被支持面115は、反射面11aにおいて表示光16の光軸の入射光16iと反射光16oがなす角度αの2等分線16dに直交する方向に沿う。被支持面115は、反射面11aの中心点の接平面に沿うように形成される。
この構成によれば、第1ミラー11が支持装置80により支持されているとき、第1ミラー11の反射面11aを支持装置80の基板81とは反対側に高精度で向けることができる。よって、反射面11aの面形状の正確な測定を可能とすることができる。
【0039】
(4)ヘッドアップディスプレイ装置10は、ホルダ42に当接する第1当接部の一例である当接部335を含み、第1ミラー11の反射面11aの外周を覆う枠部33と、第1ミラー11の背面11bとホルダ42を接着する複数の接着部の一例である接着シート41と、を備える。ホルダ42は、複数の接着シート41に対応して設けられ、枠部33の当接部335に当接した状態で当接部335に固定される複数の第2当接部の一例である当接部425を備える。
この構成によれば、接着シート41の近くで、ホルダ42の当接部425が枠部33の当接部335に固定される。このため、接着シート41の近くでホルダ42が振動しづらくなり、ホルダ42の振動が接着シート41を介して第1ミラー11に伝わることが抑制される。これにより、虚像の表示品位を向上させることができ、また、異音の発生を抑制できる。
【0040】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0041】
(変形例)
上記実施形態においては、第1ミラー11及び第2ミラー12は凹面鏡であったが、これに限らず、第1ミラー11及び第2ミラー12の少なくとも何れかは平面鏡であってもよい。
【0042】
上記実施形態においては、被投射部材は、ウインドシールド19であったが、専用のコンバイナであってもよい。また、ヘッドアップディスプレイ装置10は、車両に限らず、飛行機、船等のその他の乗り物に搭載されていてもよい。
【0043】
上記実施形態においては、表示器14は、例えば、TFT型の液晶表示パネルであったが、これに限らず、MEMS(Micro Electro Mechanical System)又はDMD(Digital Micro-mirror Device)を含む構成であってもよい。
【0044】
上記実施形態においては、ホルダ42は、第1ミラー11を保持していたが、これに限らず、第2ミラー12を保持してもよい。この場合、第2ミラー12は、第1ミラー11と同様に、複数の位置決めピン112,113と、複数の凸部116と、を備える。
上記実施形態におけるミラー回転駆動部18は省略可能である。この場合、第2ミラー12はケース30内に固定される。
【0045】
上記実施形態においては、測定用孔部424及び凸部116はそれぞれ3つずつ設けられていたが、測定用孔部424及び凸部116の数は1つ、2つ又は4つ以上であってもよい。
また、測定用孔部424の形状は丸孔に限らず、例えば、長孔、楕円形の孔、又は矩形状の孔等であってもよい。同様に、凸部116の形状も、円板状又は矩形板状等であってもよい。さらに、凸部116は、Z方向に長い形状に限らず、X方向に長い形状であってもよい。
また、測定用孔部424及び凸部116は、第1ミラー11の背面11bのX方向の端部に位置していたが、X方向の端部以外に位置していてもよい。例えば、測定用孔部424及び凸部116は、背面11bの角部又はZ方向の端部に位置していてもよい。さらに、測定用孔部424及び凸部116は、背面11bの中央部に位置していてもよい。
【0046】
上記実施形態においては、被支持面115は、表示光16の光軸の入射光16iと反射光16oがなす角度αの2等分線16dに直交する方向に沿っていたが、これ以外の方向に沿っていてもよい。また、各被支持面115は、互いに、異なる方向に沿っていてもよい。
また、上記実施形態においては、被支持面115は、平面状に形成されていたが、これに限らず、凹状又は凸状に形成されてもよい。この場合、支持装置80の支持ピン85の先端も、被支持面115に応じた凸状又は凹状に形成されてもよい。さらに、被支持面115は、連続した凹凸状に形成されてもよい。
【0047】
上記実施形態において、第1ミラー11の背面11bには、凸部116が形成されていたが、凸部116に代えて凹部が形成されてもよい。この場合には、凹部の底面が被支持面115を構成してもよい。
【0048】
上記実施形態においては、被支持面115は、支持装置80の支持ピン85により支持されるために利用されていた。しかし、これに限らず、被支持面115は、第1ミラー11の面形状を測定する際に、レーザー光や電波等の検査媒体を与えるために利用されてもよい。
【0049】
上記実施形態においては、被支持面115を有する凸部116は、位置決めピン112,113とは別に設けられていたが、位置決めピン112,113の少なくとも何れかと共通化して、より簡易な構成を実現してもよい。
例えば、図5に示す位置決めピン112の隣に位置する凸部116を省略し、位置決めピン112の先端面が支持装置80の支持ピン85により支持されてもよい。この場合、位置決めピン112の先端面は平面状に形成される。また、測定用孔部424は、位置決めピン112の先端面に対向して位置する。
【0050】
上記実施形態には、例えば、以下の付記1及び付記2に記載の技術的思想が開示されている。
(付記1)
表示器からの表示光を反射するミラーにおける背面から前記ミラーを支持するホルダを組み付ける組み付け方法であって、
前記ホルダが組み付けられていない前記ミラーの前記背面に設けられる測定用面を利用して前記ミラーの反射面の面形状を測定する第1工程と、
前記第1工程の後、前記ミラーに前記ホルダを組み付ける第2工程と、
前記第2工程の後、前記ホルダに形成される測定用孔部を介してアクセス可能な前記測定用面を利用して前記ミラーの前記反射面の面形状を測定する第3工程と、を含む組み付け方法。
【0051】
(付記2)
前記第1工程では、支持装置の支持ピンにより前記測定用面が支持された状態で、前記ミラーの前記反射面の面形状を測定し、
前記第3工程では、前記ホルダの前記測定用孔部を通過した前記支持ピンにより前記測定用面が支持された状態で、前記ミラーの前記反射面の面形状を測定する、
付記1に記載の組み付け方法。
【符号の説明】
【0052】
10 ヘッドアップディスプレイ装置
11 第1ミラー(ミラーの一例)
11a 反射面
11b 背面
112,113 位置決めピン
115 被支持面
116 凸部
12 第2ミラー
13 光源
14 表示器
15 制御基板
16 表示光
16d 2等分線
16i 入射光
16o 反射光
18 ミラー回転駆動部
19 ウインドシールド(被投射部材の一例)
23 光透過性板部
30 ケース
31 遮蔽部
33 枠部
331,332 側壁部
333 上辺部
334 下辺部
335,425 当接部
336 穴部
337 フレーム部
426 孔
35 センターフレーム
35a 収容空間
35b 開口部
36 上カバー
36a 開口部
37 下カバー
37a 収容空間
41 接着シート
42 ホルダ
421 接着シート取付部
422,423 位置決め孔部
424 測定用孔部
428 ホルダ本体部
80 支持装置
81 基板
83,84 ブロック
85 支持ピン
86a,86b,86c 位置決め部
S 隙間
Ax 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14