(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】導光ユニット、導光ユニットの製造方法、光源装置、およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240509BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240509BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240509BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20240509BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20240509BHJP
G02B 5/10 20060101ALI20240509BHJP
G02B 7/00 20210101ALI20240509BHJP
G02B 19/00 20060101ALI20240509BHJP
F21V 5/10 20180101ALI20240509BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20240509BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240509BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240509BHJP
【FI】
F21S2/00 311
G03B21/14 A
G03B21/14 Z
G03B21/00 D
G02B6/00 331
G02B5/08 A
G02B5/10
G02B7/00 F
G02B19/00
F21S2/00 432
F21S2/00 433
F21V5/10
F21V5/02 350
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2022002990
(22)【出願日】2022-01-12
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】坂田 秀文
(72)【発明者】
【氏名】岩間 裕一朗
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/233876(WO,A1)
【文献】特開2004-335404(JP,A)
【文献】特開2017-045010(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132535(WO,A1)
【文献】特開2020-095948(JP,A)
【文献】特開2017-032752(JP,A)
【文献】特開2021-152632(JP,A)
【文献】特表2009-510742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G03B 21/14
G03B 21/00
G02B 6/00
G02B 5/08
G02B 5/10
G02B 7/00
G02B 19/00
F21V 5/10
F21V 5/02
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する導光部材と、
前記導光部材から射出される前記光の角度分布を変換する角度変換部材と、
前記導光部材と前記角度変換部材との間に設けられ、光透過性を有する接着材と、
を備え、
前記導光部材は、前記導光部材の長手方向に交差し、前記光を射出する射出端面と、前記射出端面と交差する側面と、を有し、
前記角度変換部材は、前記射出端面から射出される前記光が入射する入射端面
と、前記光を射出する光射出面と、前記光を前記光射出面に向けて反射する反射面と、を有
する複合放物面型集光器であり、
前記射出端面に直交する断面視において、前記入射端面の寸法は、前記射出端面の寸法よりも大きく、
前記接着材の一部は、前記射出端面と前記入射端面との間に設けられ、前記接着材の他の一部は、前記側面の一部を覆って設けられ、
前記射出端面に直交する断面視において、前記側面の一部を覆って設けられている前記接着材の寸法は、前記射出端面の寸法以上、かつ、前記入射端面の寸法以下であり、
前記接着材の寸法は、前記側面から前記入射端面に向かって漸次大きくなって
おり、
前記接着材の外面は曲面であり、
前記角度変換部材は、前記接着材と接する前記入射端面の周縁部に撥液部が設けられ、前記反射面に親液部が設けられる、導光ユニット。
【請求項2】
前記射出端面に直交する断面視において、前記外面と前記入射端面との接点を通る前記外面の接線と前記入射端面とのなす角度は、前記外面と前記側面との接点を通る前記外面の接線と前記入射端面とのなす角度よりも大きい、請求項
1に記載の導光ユニット。
【請求項3】
前記接着材と接する前記側面の一部に、前記接着材と接していない前記側面の親液性とは異なる親液性を有する親液性調整部が設けられている、請求項
1または請求項
2に記載の導光ユニット。
【請求項4】
前記接着材と接していない前記側面の一部に、前記接着材と接する前記側面の親液性とは異なる親液性を有する親液性調整部が設けられている、請求項
1または請求項
2に記載の導光ユニット。
【請求項5】
光を射出する導光部材と、
前記導光部材から射出される前記光の角度分布を変換する角度変換部材と、
前記導光部材と前記角度変換部材との間に設けられ、光透過性を有する接着材と、
を備え、
前記導光部材は、前記導光部材の長手方向に交差し、前記光を射出する射出端面と、前記射出端面と交差する側面と、を有し、
前記角度変換部材は、前記射出端面から射出される前記光が入射する入射端面
と、前記光を射出する光射出面と、前記光を前記光射出面に向けて反射する反射面と、を有
する複合放物面型集光器であり、
前記射出端面に直交する断面視において、前記入射端面の寸法は、前記射出端面の寸法よりも大きく、
前記接着材の一部は、前記射出端面と前記入射端面との間に設けられ、前記接着材の他の一部は、前記側面の一部を覆って設けられる、導光ユニットの製造方法であって、
前記接着材と接する前記入射端面の
周縁部に撥液処理を施す
とともに、前記反射面に親液処理を施す第1工程と、
前記第1工程の後に行われ、前記射出端面と前記入射端面との間、および前記側面の一部を覆う個所に前記接着材を設け、前記導光部材と前記角度変換部材とを接着する第2工程と、を備える、導光ユニットの製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項
4までのいずれか一項に記載の導光ユニットと、
前記導光ユニットに光を射出する発光素子と、
を備える、光源装置。
【請求項7】
前記発光素子は、第1波長帯を有する第1光を射出し、
前記導光部材は、蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光に変換し、前記第2光を射出する波長変換部材である、請求項
6に記載の光源装置。
【請求項8】
請求項
6または請求項
7に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される前記光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光ユニット、導光ユニットの製造方法、光源装置、およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターに用いる光源装置として、発光素子から射出された励起光を蛍光体に照射した際に蛍光体から発せられる蛍光を利用した光源装置が提案されている。
【0003】
下記の特許文献1には、青色光を射出する固体光源と、青色光を波長変換する蛍光体を含むロッド状の光透過性部材と、光透過性部材から射出される蛍光をコリメートする複合放射面型集光器と、を備える光源装置が開示されている。複合放射面型集光器は、接着材によって光透過性部材の端部に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の光源装置においては、蛍光体の内部で生成される蛍光が複合放射面型集光器から十分に取り出すことができない場合がある。その場合、所望の強度を有する蛍光が得られないおそれがある。以上、波長変換を伴う光源装置を例に挙げて説明したが、波長変換を伴わない光源装置においても、取り出し効率に優れる導光ユニットの提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の導光ユニットは、光を射出する導光部材と、前記導光部材から射出される前記光の角度分布を変換する角度変換部材と、前記導光部材と前記角度変換部材との間に設けられ、光透過性を有する接着材と、を備え、前記導光部材は、前記導光部材の長手方向に交差し、前記光を射出する射出端面と、前記射出端面と交差する側面と、を有し、前記角度変換部材は、前記射出端面から射出される前記光が入射する入射端面を有し、前記射出端面に直交する断面視において、前記入射端面の寸法は、前記射出端面の寸法よりも大きく、前記接着材の一部は、前記射出端面と前記入射端面との間に設けられ、前記接着材の他の一部は、前記側面の一部を覆って設けられ、前記射出端面に直交する断面視において、前記側面の一部を覆って設けられている前記接着材の寸法は、前記射出端面の寸法以上、かつ、前記入射端面の寸法以下であり、前記接着材の寸法は、前記側面から前記入射端面に向かって漸次大きくなっている。
【0007】
本発明の一つの態様の導光ユニットの製造方法は、光を射出する導光部材と、前記導光部材から射出される前記光の角度分布を変換する角度変換部材と、前記導光部材と前記角度変換部材との間に設けられ、光透過性を有する接着材と、を備え、前記導光部材は、前記導光部材の長手方向に交差し、前記光を射出する射出端面と、前記射出端面と交差する側面と、を有し、前記角度変換部材は、前記射出端面から射出される前記光が入射する入射端面を有し、前記射出端面に直交する断面視において、前記入射端面の寸法は、前記射出端面の寸法よりも大きく、前記接着材の一部は、前記射出端面と前記入射端面との間に設けられ、前記接着材の他の一部は、前記側面の一部を覆って設けられる導光ユニットの製造方法であって、前記接着材と接する前記入射端面の一部、および前記側面の一部の少なくとも一方に、前記接着材との親液性を調整する処理を施す第1工程と、前記第1工程の後に行われ、前記射出端面と前記入射端面との間、および前記側面の一部を覆う個所に前記接着材を設け、前記導光部材と前記角度変換部材とを接着する第2工程と、を備える。
【0008】
本発明の一つの態様の光源装置は、本発明の一つの態様の導光ユニットと、前記導光ユニットに光を射出する発光素子と、を備える。
【0009】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置からの前記光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【
図2】第1実施形態の第1照明装置の概略構成図である。
【
図3】第1実施形態の波長変換ユニットの要部の拡大断面図である。
【
図4】角度変換部材と接着材との接触角を示す模式図である。
【
図5】波長変換部材と接着材との接触角を示す模式図である。
【
図6】第1親液性調整部および第2親液性調整部を示す側断面図である。
【
図7】第1親液性調整部および第2親液性調整部を示す平断面図である。
【
図8】第1比較例の波長変換ユニットを示す断面図である。
【
図9】第2比較例の波長変換ユニットを示す断面図である。
【
図10】第2実施形態の波長変換ユニットの要部の拡大断面図である。
【
図11】第3実施形態の波長変換ユニットの要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光変調装置として液晶パネルを用いたプロジェクターの一例である。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0012】
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上にカラー画像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの各色光に対応した3つの光変調装置を備える。
【0013】
プロジェクター1は、第1照明装置20と、第2照明装置21と、色分離光学系3と、光変調装置4Rと、光変調装置4Gと、光変調装置4Bと、光合成素子5と、投射光学装置6と、を備える。
【0014】
第1照明装置20は、黄色の蛍光Yを色分離光学系3に向けて射出する。第2照明装置21は、青色光LBを光変調装置4Bに向けて射出する。第1照明装置20および第2照明装置21の詳細な構成については後述する。
【0015】
以下、図面においては、必要に応じてXYZ直交座標系を用いて説明する。Z軸は、プロジェクター1の上下方向に沿う軸である。X軸は、第1照明装置20の光軸AX1および第2照明装置21の光軸AX2と平行な軸である。Y軸は、X軸およびZ軸に直交する軸である。第1照明装置20の光軸AX1は、第1照明装置20から射出される蛍光Yの中心軸である。第2照明装置21の光軸AX2は、第2照明装置21から射出される青色光LBの中心軸である。
【0016】
色分離光学系3は、第1照明装置20から射出される黄色の蛍光Yを赤色光LRと緑色光LGとに分離する。色分離光学系3は、ダイクロイックミラー7と、第1反射ミラー8aと、第2反射ミラー8bと、を備える。
【0017】
ダイクロイックミラー7は、蛍光Yを赤色光LRと緑色光LGとに分離する。ダイクロイックミラー7は、赤色光LRを透過するとともに、緑色光LGを反射する。第2反射ミラー8bは、緑色光LGの光路中に配置されている。第2反射ミラー8bは、ダイクロイックミラー7で反射した緑色光LGを光変調装置4Gに向けて反射する。第1反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置されている。第1反射ミラー8aは、ダイクロイックミラー7を透過した赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。
【0018】
一方、第2照明装置21から射出される青色光LBは、反射ミラー9によって光変調装置4Bに向けて反射される。
【0019】
以下、第2照明装置21の構成について説明する。
第2照明装置21は、光源部81と、集光レンズ82と、拡散板83と、ロッドレンズ84と、リレーレンズ85と、を備える。光源部81は、少なくとも一つの半導体レーザーで構成されている。光源部81は、レーザー光からなる青色光LBを射出する。なお、光源部81は、半導体レーザーに限らず、青色光を発光するLEDで構成されていてもよい。
【0020】
集光レンズ82は、凸レンズから構成されている。集光レンズ82は、光源部81から射出される青色光LBを略集光した状態で拡散板83に入射させる。拡散板83は、集光レンズ82から射出される青色光LBを所定の拡散度で拡散させ、第1照明装置20から射出される蛍光Yと同様の略均一な配光分布を有する青色光LBを生成する。拡散板83としては、例えば、光学ガラスからなる磨りガラスが用いられる。
【0021】
拡散板83で拡散された青色光LBは、ロッドレンズ84に入射する。ロッドレンズ84は、第2照明装置21の光軸AX2方向に沿って延びる角柱状の形状を有する。ロッドレンズ84は、一端に設けられた光入射端面84aと、他端に設けられた光射出端面84bと、を有する。拡散板83は、ロッドレンズ84の光入射端面84aに光学接着剤(図示略)を介して固定されている。拡散板83の屈折率とロッドレンズ84の屈折率とは、できるだけ一致させることが望ましい。
【0022】
青色光LBは、ロッドレンズ84の内部を全反射しつつ伝播することで照度分布の均一性が高められた状態で光射出端面84bから射出される。ロッドレンズ84から射出された青色光LBは、リレーレンズ85に入射する。リレーレンズ85は、ロッドレンズ84によって照度分布の均一性が高められた青色光LBを反射ミラー9に入射させる。
【0023】
ロッドレンズ84の光射出端面84bの形状は、光変調装置4Bの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、ロッドレンズ84から射出された青色光LBは、光変調装置4Bの画像形成領域に効率良く入射する。
【0024】
光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
【0025】
光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bのそれぞれには、例えば透過型の液晶パネルが用いられる。また、液晶パネルの入射側および射出側には、偏光板(図示略)がそれぞれ配置されている。偏光板は、特定の方向の直線偏光のみを通過させる。
【0026】
光変調装置4Rの入射側には、フィールドレンズ10Rが配置されている。光変調装置4Gの入射側には、フィールドレンズ10Gが配置されている。光変調装置4Bの入射側には、フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10Rは、光変調装置4Rに入射する赤色光LRの主光線を平行化する。フィールドレンズ10Gは、光変調装置4Gに入射する緑色光LGの主光線を平行化する。フィールドレンズ10Bは、光変調装置4Bに入射する青色光LBの主光線を平行化する。
【0027】
光合成素子5は、光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bから射出された画像光が入射することにより、赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投射光学装置6に向けて射出する。光合成素子5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0028】
投射光学装置6は、複数の投射レンズから構成されている。投射光学装置6は、光合成素子5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上に画像が表示される。
【0029】
以下、第1照明装置20の構成について説明する。
図2は、第1照明装置20の概略構成図である。
図2に示すように、第1照明装置20は、光源装置100と、インテグレーター光学系70と、偏光変換素子102と、重畳光学系103と、集光レンズ104と、を備える。
【0030】
光源装置100は、波長変換ユニット60と、光源部51と、を備える。波長変換ユニット60(導光ユニット)は、波長変換部材50と、角度変換部材52と、接着材59と、反射部材53と、を備える。
【0031】
波長変換部材50は、X軸方向に延びる四角柱状の形状を有し、6つの面を有する。波長変換部材50のX軸方向に延びる辺は、Y軸方向に延びる辺およびZ軸方向に延びる辺よりも長い。したがって、X軸方向は、波長変換部材50の長手方向に対応する。Y軸方向に延びる辺の長さとZ軸方向に延びる辺の長さとは等しい。すなわち、X軸方向に垂直な面で切断した波長変換部材50の断面形状は、正方形である。なお、X軸方向に垂直な面で切断した波長変換部材50の断面形状は、長方形であってもよい。
【0032】
波長変換部材50は、波長変換部材50の長手方向(X軸方向)に交差し、後述する蛍光Yを射出する射出端面50aと、波長変換部材50の長手方向(X軸方向)に交差し、射出端面50aとは反対側に位置する反射端面50bと、射出端面50aおよび反射端面50bと交差し、互いに反対側に位置する第1側面50cおよび第2側面50dと、第1側面50cおよび第2側面50dと交差し、互いに反対側に位置する第3側面および第4側面(図示略)と、を有する。以下の説明で、第1側面50c、第2側面50d、第3側面、および第4側面の4つの面を合わせて、側面50gと称する。
【0033】
なお、波長変換部材50は、必ずしも四角柱状の形状を有していなくてもよく、例えば三角柱状、円柱状などの形状を有していてもよい。波長変換部材50の形状が三角柱状である場合、射出端面50aおよび反射端面50bに交差する3つの面を合わせて、側面50gとする。波長変換部材50の形状が円柱状である場合、射出端面50aおよび反射端面50bに交差する連続した1つの曲面を、側面50gとする。
【0034】
波長変換部材50は、蛍光体を少なくとも含み、第1波長帯を有する励起光E(第1光)を、第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する蛍光Y(第2光)に変換する。本実施形態では、励起光Eは、第1側面50cおよび第2側面50dのそれぞれから波長変換部材50に入射する。蛍光Yは、波長変換部材50の内部を導光した後、射出端面50aから射出される。
【0035】
波長変換部材50は、励起光Eを蛍光Yに波長変換する多結晶蛍光体からなるセラミック蛍光体を含んでいる。蛍光Yが有する第2波長帯は、例えば490~750nmの黄色の波長帯である。すなわち、蛍光Yは、赤色光成分および緑色光成分を含む黄色の蛍光である。
【0036】
波長変換部材50は、多結晶蛍光体に代えて、単結晶蛍光体を含んでいてもよい。もしくは、波長変換部材50は、蛍光ガラスから構成されていてもよい。もしくは、波長変換部材50は、ガラスまたは樹脂からなるバインダー中に多数の蛍光体粒子が分散された材料から構成されていてもよい。このような材料からなる波長変換部材50は、励起光Eを、第2波長帯を有する蛍光Yに変換する。
【0037】
具体的には、波長変換部材50の材料は、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体を含んでいる。賦活剤としてのセリウム(Ce)を含有するYAG:Ceを例に挙げると、波長変換部材50の材料として、Y2O3、Al2O3、CeO3等の構成元素を含む原料粉末を混合して固相反応させた材料、共沈法、ゾルゲル法等の湿式法により得られるY-Al-Oアモルファス粒子、噴霧乾燥法、火炎熱分解法、熱プラズマ法等の気相法により得られるYAG粒子等が用いられる。
【0038】
光源部51は、基板55と、発光素子56と、を備える。発光素子56は、第1波長帯の励起光Eを射出する発光面56aを有する。光源部51は、波長変換部材50の第1側面50cおよび第2側面50dのそれぞれに対向して設けられている。発光素子56は、例えば発光ダイオード(LED)から構成されている。このように、光源部51は、波長変換部材50の長手方向に沿う側面50gの一部に対向して設けられている。なお、光源部51の個数および配置は、特に限定されない。
【0039】
発光素子56の発光面56aは、波長変換部材50の第1側面50cおよび第2側面50dのそれぞれに対向して配置され、第1側面50cおよび第2側面50dのそれぞれに向けて励起光Eを射出する。第1波長帯は、例えば400nm~480nmの青色から紫色にかけての波長帯であり、ピーク波長は例えば445nmである。
【0040】
基板55は、発光素子56を支持する。基板55の一面55aに、複数の発光素子56が設けられている。本実施形態の場合、光源部51は、発光素子56と基板55とから構成されているが、その他、導光板、拡散板、レンズなどの他の光学部材を備えていてもよい。また、基板55に設けられる発光素子56の個数は、特に限定されない。
【0041】
反射部材53は、波長変換部材50の反射端面50bに対向して設けられている。反射部材53は、波長変換部材50の内部を導光し、反射端面50bに到達した蛍光Yを反射させる。反射部材53は、波長変換部材50とは別個の部材であり、例えばアルミニウム等の金属材料からなる板状の部材で構成されている。反射部材53は、波長変換部材50の反射端面50bに対向し、蛍光Yを反射させる反射面53rを有する。反射面53rは、金属材料自体の表面であってもよいし、金属材料の表面に形成された金属膜または誘電体多層膜から構成されていてもよい。
【0042】
光源装置100において、発光素子56から射出された励起光Eが波長変換部材50に入射すると、波長変換部材50の内部に含まれる蛍光体が励起され、任意の発光点から蛍光Yが発せられる。蛍光Yは任意の発光点から全ての方向に向かって進むが、側面50gに向かって進む蛍光Yは、側面50gの複数の個所で全反射を繰り返しつつ、射出端面50aまたは反射端面50bに向かって進む。射出端面50aに向かって進む蛍光Yは、後述する接着材59を介して角度変換部材52に入射する。一方、反射端面50bに向かって進む蛍光Yは、反射部材53で反射され、射出端面50aに向かって進む。
【0043】
波長変換部材50に入射した励起光Eのうち、蛍光体の励起に使われなかった励起光Eの一部は、光源部51の発光素子56を含む波長変換部材50の周囲の部材、または反射端面50bに設けられた反射部材53で反射される。そのため、励起光Eの一部は、波長変換部材50の内部に閉じ込められて再利用される。
【0044】
角度変換部材52は、波長変換部材50の射出端面50aの光射出側に接着材59を介して設けられている。角度変換部材52は、複合放物面型集光器(Compound Parabolic Concentrator, CPC)から構成されている。角度変換部材52は、例えばN-BK7等のホウケイ酸ガラス、E-48R等のシクロオレフィン樹脂などの光透過性材料から構成されている。
【0045】
角度変換部材52は、波長変換部材50の射出端面50aから射出された蛍光Yが入射する入射端面52aと、蛍光Yを射出する光射出面52bと、蛍光Yを光射出面52bに向けて反射させる4つの反射面52cと、を有する。
【0046】
光軸Jに垂直な角度変換部材52の断面積は、入射端面52aから光射出面52bに向かって漸次大きくなっている。したがって、光射出面52bの面積は、入射端面52aの面積よりも大きい。また、各反射面52cを結ぶX軸に垂直な断面(YZ平面)の面積は、入射端面52aから光射出面52bに向かって漸次大きくなっている。角度変換部材52を光軸Jに垂直な方向(Z軸方向)から見たとき、各反射面の形状は、放物線状である。なお、光射出面52bおよび入射端面52aの中心を通り、X軸に平行な軸を角度変換部材52の光軸Jとする。角度変換部材52の光軸Jは、第1照明装置20の光軸AX1に一致する。
【0047】
角度変換部材52に入射した蛍光Yは、角度変換部材52の内部を進行する間に、反射面52cで全反射する毎に光軸Jに平行な方向に近付くように向きを変える。このようにして、角度変換部材52は、波長変換部材50の射出端面50aから射出される蛍光Yの射出角度分布を変換する。具体的には、角度変換部材52は、光射出面52bにおける蛍光Yの最大射出角度を入射端面52aにおける蛍光Yの最大入射角度よりも小さくする。
【0048】
一般的に、光射出領域の面積と光の立体角(最大射出角)との積で規定される光のエテンデューは保存されるため、角度変換部材52の透過前後においても蛍光Yのエテンデューは保存される。角度変換部材52は、上述したように、光射出面52bの面積が入射端面52aの面積よりも大きい構成を有する。そのため、エテンデュー保存の観点から、角度変換部材52は、光射出面52bにおける蛍光Yの最大射出角を入射端面52aに入射する蛍光Yの最大入射角よりも小さくすることができる。
【0049】
角度変換部材52は、入射端面52aが波長変換部材50の射出端面50aに対向するように接着材59を介して波長変換部材50に固定されている。すなわち、接着材59は、角度変換部材52と波長変換部材50との間に設けられ、角度変換部材52と波長変換部材50とを接着する。したがって、角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙(空気層)は設けられていない。接着材59は、光透過性を有する。接着材59には、例えば、熱硬化性または紫外線硬化性を有するシリコーン樹脂系接着材(型番:SCR1016、信越化学工業製)などが用いられる。
【0050】
仮に角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙が設けられていた場合、角度変換部材52の入射端面52aに到達した蛍光Yのうち、臨界角以上の角度で入射端面52aに入射した蛍光Yは、入射端面52aで全反射し、角度変換部材52に入射できない。これに対して、本実施形態のように、角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙が設けられていない場合には、角度変換部材52に入射できない蛍光Yを減らすことができる。この観点から、角度変換部材52の屈折率と波長変換部材50の屈折率とは、できるだけ一致していることが望ましい。ただし、実際には、波長変換部材50はYAG等の蛍光体を含む材料で構成され、角度変換部材52はホウケイ酸ガラス等の光透過性材料で構成されるため、屈折率を一致させることは難しい。そのため、少なくとも角度変換部材52の屈折率と接着材59の屈折率とは、できるだけ一致していることが望ましい。
【0051】
図3は、波長変換ユニット60の要部の拡大断面図である。
図3において、射出端面50aの寸法W1は、射出端面50aにおけるY軸方向の一端からY軸方向の他端を結ぶ仮想直線の距離で規定される。また、入射端面52aの寸法W2は、入射端面52aにおけるY軸方向の一端からY軸方向の他端を結ぶ仮想直線の距離で規定される。また、接着材59の寸法W3は、接着材59におけるY軸方向の一端からY軸方向の他端を結ぶ仮想直線の距離で規定される。上記仮想直線は、角度変換部材52の光軸Jと重なり、かつ、直交するY軸方向に平行な直線である。
図3では、Y軸方向において各寸法W1~W3を比較する場合を例に挙げたが、X軸方向において各寸法の大きさを比較してもよい。
【0052】
図3に示すように、射出端面50aに直交する断面視(XY平面)において、角度変換部材52の入射端面52aの寸法W2は、波長変換部材50の射出端面50aの寸法W1よりも大きい。接着材59の一部は、射出端面50aと入射端面52aとの間に設けられ、接着材59の他の一部は、波長変換部材50の側面50gの一部を覆って設けられている。射出端面50aに直交する断面視(XY平面)において、接着材59の寸法W3は、射出端面50aの寸法W1以上、かつ入射端面52aの寸法W2以下であり、かつ、波長変換部材50の側面50gから角度変換部材52の入射端面52aに向かって漸次大きくなっている。
【0053】
接着材59の外面は、曲面であり、角度変換部材52の反射面52cと滑らかに連続している。すなわち、接着材59の外面59cは、角度変換部材52の反射面52cと同様、略放物面状である。したがって、角度変換部材52の反射面52cと接着材59の外面59cとは、全体として、略連続した一つの放物面を構成する。射出端面50aに直交する面(XY平面)における断面視において、接着材59の外面59cと角度変換部材52の入射端面52aとの接点を接点P1とする。接着材59の外面59cと波長変換部材50の側面50gとの接点を接点P2とする。このとき、接点P1を通る接着材59の外面59cの接線S1と入射端面52aとのなす角度θ1は、接点P2を通る接着材59の外面59cの接線S2と入射端面52aとのなす角度θ2よりも大きい。以下、接着材59の外面59cの接線S1,S2と入射端面52aとのなす角度θ1,θ2を、接着材59の外面59cの傾斜角θ1,θ2と称する。
【0054】
なお、上記の接点P2は、角度変換部材52の反射面52cから連なる接着材59の外面59cが波長変換部材50の側面50gに実質的に接する点を意味する。本実施形態において、例えば意図しない接着材59の流れ込みによって、接着材59が波長変換部材50の側面50gに平坦に薄く濡れ広がったとしても、濡れ広がった先の接着材59の端部は、上記の接点P2を意味しない。
【0055】
本実施形態において、例えば、角度変換部材52の反射面52cが特定の形状を有する放物面である場合、接点P1における接着材59の外面59cの傾斜角θ1は、58.8°である。接点P2における接着材59の外面59cの傾斜角θ2は、55.8°である。このように、接点P1における接着材59の外面59cの傾斜角θ1は、接点P2における接着材59の外面59cの傾斜角θ2よりも大きい。換言すると、接着材59の外面59cの傾斜角は、波長変換部材50の側面50gから角度変換部材52の入射端面52aに向かうにつれて漸次大きくなっている。
【0056】
図2に示すように、集光レンズ104は、角度変換部材52の光射出面52bに対向して設けられている。集光レンズ104は、角度変換部材52から射出された蛍光Yを平行化する。すなわち、角度変換部材52によって角度分布が変換された蛍光Yの平行度は、集光レンズ104によってさらに高められる。集光レンズ104は、凸レンズで構成されている。なお、角度変換部材52のみで十分な平行度が得られている場合、集光レンズ104は必要に応じて省略してもよい。
【0057】
インテグレーター光学系70は、第1レンズアレイ61と、第2レンズアレイ101と、を備える。インテグレーター光学系70は、重畳光学系103とともに光源装置100から射出された蛍光Yの強度分布を、被照明領域である光変調装置4R,4Gのそれぞれにおいて均一化する均一照明光学系を構成する。角度変換部材52の光射出面52bから射出される蛍光Yは、第1レンズアレイ61に入射する。第1レンズアレイ61は、光源装置100の後段に設けられた第2レンズアレイ101とともに、インテグレーター光学系70を構成する。
【0058】
第1レンズアレイ61は、複数の第1小レンズ61aを有する。複数の第1小レンズ61aは、第1照明装置20の光軸AX1と直交するYZ平面に平行な面内にマトリクス状に配列されている。複数の第1小レンズ61aは、角度変換部材52から射出される蛍光Yを複数の部分光束に分割する。第1小レンズ61aの各々の形状は、光変調装置4R,4Gの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、第1レンズアレイ61から射出された部分光束の各々は、光変調装置4R,4Gの画像形成領域にそれぞれ効率良く入射する。
【0059】
第1レンズアレイ61から射出された蛍光Yは、第2レンズアレイ101に向かって進む。第2レンズアレイ101は第1レンズアレイ61に対向して配置されている。第2レンズアレイ101は、第1レンズアレイ61の複数の第1小レンズ61aに対応する複数の第2小レンズ101aを有する。第2レンズアレイ101は、重畳光学系103とともに、第1レンズアレイ61の複数の第1小レンズ61aの像の各々を光変調装置4R,4Gの画像形成領域の近傍に結像させる。複数の第2小レンズ101aは、第1照明装置20の光軸AX1に直交するYZ平面に平行な面内にマトリクス状に配列されている。
【0060】
本実施形態において、第1レンズアレイ61の各第1小レンズ61aと第2レンズアレイ101の各第2小レンズ101aとは、互いに同じサイズを有しているが、互いに異なるサイズを有していてもよい。また、本実施形態において、第1レンズアレイ61の第1小レンズ61aと第2レンズアレイ101の第2小レンズ101aとは、互いの光軸が一致する位置に配置されているが、互いに偏心した状態に配置されていてもよい。
【0061】
偏光変換素子102は、第2レンズアレイ101から射出される蛍光Yの偏光方向を変換する。具体的に、偏光変換素子102は、第1レンズアレイ61で分割され、第2レンズアレイ101から射出された蛍光Yの各部分光束を直線偏光に変換する。
【0062】
偏光変換素子102は、光源装置100から射出される蛍光Yに含まれる偏光成分のうち、一方の直線偏光成分をそのまま透過させるとともに、他方の直線偏光成分を光軸AX1に垂直な方向に反射する偏光分離層(図示略)と、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を光軸AX1に平行な方向に反射する反射層(図示略)と、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する位相差板(図示略)と、を有する。
【0063】
上記構成の波長変換ユニット60を製造する際、接着材59の外面59cの形状を放物面状にするための一つの手段として、本実施形態では、接着材59と波長変換部材50との親液性、および接着材59と角度変換部材52との親液性をそれぞれ調整する。液状の接着材59と各波長変換部材50,52との親液性を調整し、接着材59と各波長変換部材50,52との接触角を適切に調整した状態で接着材59を硬化させることにより、接着材59の外面59cの形状を放物面状に制御することができる。
【0064】
すなわち、本実施形態の波長変換ユニット60の製造方法は、接着材59と接する角度変換部材52の入射端面52aの一部、および波長変換部材50の側面50gの一部の少なくとも一方に、接着材59との親液性を調整する処理を施す第1工程と、射出端面50aと入射端面52aとの間、および側面50gの一部を覆う個所に接着材59を設け、波長変換部材50と角度変換部材52とを接着する第2工程と、を備える。
【0065】
親液性の調整にあたって、本発明者は、液状の接着材59を角度変換部材52および波長変換部材50のそれぞれに滴下し、接着材59の接触角を測定した。接着材59には、シリコーン樹脂系接着材(SCR1016)を用いた。角度変換部材52には、ホウケイ酸ガラス(N-BK7)を用いた。波長変換部材50には、YAG:Ceを用いた。また、表面処理を施していない角度変換部材52および波長変換部材50を用いて測定を行った。
【0066】
図4は、角度変換部材52と接着材59との接触角を示す模式図である。
図5は、波長変換部材50と接着材59との接触角を示す模式図である。
図4に示すように、角度変換部材52の上に所定量の接着材59を滴下した場合、角度変換部材52に対する接着材59の接触角α0は、20°であった。
図5に示すように、波長変換部材50の上に所定量の接着材59を滴下した場合、波長変換部材50に対する接着材59の接触角β0は、49°であった。なお、接触角を測定する際には、接着材59を滴下した各波長変換部材50,52の側方から写真を撮影し、接着材59の表面の傾斜角を分度器で測定した。接着材59を滴下してから写真撮影までの時間は1分とし、写真撮影時の雰囲気温度は25℃とした。
【0067】
図3に示した接着材59の外面59cの傾斜角θ1,θ2を接触角に対応させて考えると、接点P1における接着材59の傾斜角θ1=58.8°は、角度変換部材52の入射端面52aと接着材59の外面59cの接線S1とのなす角度であり、接触角に一致するため、接着材59の形状を放物面とするためには、接触角α1=58.8°とすればよい。一方、接点P2における接着材59の傾斜角θ2=55.8°は、入射端面52aと接着材59の外面59cの接線S2とのなす角度である。波長変換部材50の側面50gと入射端面52aとは直交しているため、接触角β1は、β1=90°-θ2と表すことができ、接着材59の形状を放物面とするためには、接触角β1=34.2°とすればよい。
【0068】
このように、角度変換部材52および波長変換部材50に表面処理を施していない場合、上記の測定により得られた各接触角α0,β0は、接着材59の形状を放物面とするための接触角α1,β1から大きく乖離していることが判った。そこで、接着材59の形状を放物面とするためには、第1工程として、角度変換部材52に対しては接触角を例えば20°から58.8°と大きくし、波長変換部材50に対しては接触角を例えば49°から34.2°と小さくするように、各波長変換部材50,52と接着材59との親液性を調整する表面処理を行えばよい。なお、
図3では親液性を調整する構造の図示を省略していたが、以下、図面を参照しつつ親液性を調整する構造について説明する。
【0069】
図6は、接着材59の形状を放物面とするための構成を含む波長変換ユニット60の要部を示す側断面図である。
図7は、接着材59の形状を放物面とするための構成を含む波長変換ユニット60の要部を示す平断面図である。
本実施形態の場合、
図6および
図7に示すように、接着材59と接する角度変換部材52の入射端面52aの周縁部に、第1親液性調整部63が設けられている。第1親液性調整部63は、入射端面52aの中央部の親液性とは異なる親液性を有しており、入射端面52aの中央部の親液性よりも低い親液性を有する。第1親液性調整部63の幅W4は、例えば1mm以下程度である。
【0070】
接着材59と接する波長変換部材50の側面50gの一部に、第2親液性調整部64が設けられている。第2親液性調整部64は、接着材59と接していない側面50gの親液性とは異なる親液性を有しており、接着材59と接していない側面50gの親液性よりも高い親液性を有する。第2親液性調整部64の幅W5は、特に限定されない。
【0071】
具体的には、第1親液性調整部63は、角度変換部材52の入射端面52aの周縁部にフッ素系コーティング剤が塗布された構成を有する。すなわち、第1親液性調整部63は、角度変換部材52の入射端面52aの周縁部にフッ素系コーティング剤による撥液処理を施すことで構成されている。また、第2親液性調整部64は、波長変換部材50の側面50gにシリコーンオイル、エタノール、水等の界面活性剤を塗布した構成を有する。すなわち、第2親液性調整部64は、波長変換部材50の側面50gに界面活性剤等による親液処理を施すことで構成されている。なお、第1親液性調整部63に用いるコーティング剤、および第2親液性調整部64に用いる界面活性剤等の材料の種類を変えることにより、各波長変換部材50,52に対する接着材59の接触角を調整することができる。
【0072】
このようにして、第1工程において、角度変換部材52の入射端面52aの周縁部に第1親液性調整部63を形成し、波長変換部材50の側面50gの一部に第2親液性調整部64を形成する。次に、第2工程として、角度変換部材52と波長変換部材50との間に所定量の接着材59を塗布した後、接着材59に熱または紫外線を加えて硬化させる。この場合、硬化後の接着材59の形状は、硬化前からほとんど変化しない。また、接着材59は、接触角が角度変換部材52の入射端面52a、および波長変換部材50の側面50gの双方で所望の値に規制された状態で硬化する。これにより、硬化後の接着材59の外面59cは、略放物面に倣った形状となる。
【0073】
なお、本実施形態では、各波長変換部材50,52の表面に撥液性材料または親液性材料を塗布することにより、接着材59の接触角を調整したが、その他、例えば接着材59の硬化時の温度等、硬化条件を調整することによって、接着材59の接触角を調整してもよい。また、接着材59の接触角を小さくする場合に、空気プラズマ処理、酸素プラズマ処理等の手法を用いてもよい。
【0074】
また、接着材59を滴下する際の温度条件を変えることにより、各波長変換部材50,52に対する接着材59の接触角を調整することができる。この方法は、接着材59を滴下する下地の温度によって表面自由エネルギーが変化し、接着材59の接触角が変わることを利用する方法である。例えば波長変換部材50の温度を相対的に高くした状態で接着材59を滴下することにより、波長変換部材50に対する接着材59の接触角を小さくし、角度変換部材52の温度を相対的に低くした状態で接着材59を滴下することにより、角度変換部材52に対する接着材59の接触角を大きくすることができる。
【0075】
その他、接着材59の接触角を調整することで接着材59の形状を放物面とする方法に代えて、接着材59の形状が放物面からはみ出す程度の多量の接着材59を角度変換部材52と波長変換部材50との間に塗布し、硬化させた後、余剰の接着材59を研磨して、接着材59の形状を放物面としてもよい。
【0076】
[比較例]
以下、比較例の光源装置について説明する。
図8は、第1比較例の波長変換ユニット260を示す断面図である。
図8に示すように、第1比較例の波長変換ユニット260は、波長変換部材261と、角度変換部材262と、接着材263と、を備える。接着材263は、波長変換部材261の射出端面261aと角度変換部材262の入射端面262aとの間に設けられている。また、接着材263が所定の量よりも不足している、接着材263が硬化した際に収縮した等の理由により、接着材263の形状が縊れており、射出端面261aに平行な方向(Y軸方向)において、接着材263の中央部の寸法は、射出端面261aおよび入射端面262aの寸法よりも小さい。
【0077】
この場合、波長変換部材261から角度変換部材262に向かう蛍光Yの光路が接着材263の個所で狭まっているため、蛍光Yの伝搬が阻害され、接着材263の形状が縊れていない場合に比べて、角度変換部材262に入射する蛍光Yの量が減少する。その結果、第1比較例の波長変換ユニット260では、蛍光Yの取り出し効率が低く、所望の強度を有する蛍光Yが得られないおそれがある。
【0078】
図9は、第2比較例の波長変換ユニット270を示す断面図である。
図9に示すように、第2比較例の波長変換ユニット270は、波長変換部材271と、角度変換部材272と、接着材273と、を備える。接着材273は、波長変換部材271の射出端面271aと角度変換部材272の入射端面272aとの間に設けられている。また、接着材273が所定の量よりも多かった等の理由により、接着材273の形状が盛り上がり、射出端面271aに平行な方向(Y軸方向)において、接着材273の中央部の寸法は、射出端面271aおよび入射端面272aの寸法よりも大きい。
【0079】
この場合、波長変換部材271から角度変換部材272に向かう蛍光Yの一部は、接着材273の個所で外部に漏れ出す。その結果、第2比較例の波長変換ユニット270では、蛍光Yの取り出し効率が低く、所望の強度を有する蛍光Yが得られないおそれがある。また、蛍光Yの一部は、外部に漏れなかったとしても、接着材273の外面で反射して角度が大きく変化するため、角度変換部材272から射出する蛍光Yの角度分布が大きく広がる。その結果、蛍光Yのエテンデューが大きくなり、波長変換ユニット270の後段の光学系で利用できない蛍光Yが増えて光利用効率が低下するおそれがある。
【0080】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の波長変換ユニット60は、蛍光Yを射出する波長変換部材50と、波長変換部材50から射出される蛍光Yの角度分布を変換する角度変換部材52と、波長変換部材50と角度変換部材52との間に設けられ、光透過性を有する接着材59と、を備える。波長変換部材50は、波長変換部材50の長手方向に交差し、蛍光Yを射出する射出端面50aと、射出端面50aと交差する側面50gと、を有する。角度変換部材52は、射出端面50aから射出される蛍光Yが入射する入射端面52aを有する。射出端面50aに直交する断面視において、入射端面52aの寸法は、射出端面50aの寸法よりも大きい。接着材59の一部は、射出端面50aと入射端面52aとの間に設けられ、接着材59の他の一部は、側面50gの一部を覆って設けられている。射出端面50aに直交する断面視において、接着材59の寸法W3は、射出端面50aの寸法W1以上、かつ入射端面52aの寸法W2以下であり、かつ、側面50gから入射端面52aに向かって漸次大きくなっている。
【0081】
この構成によれば、接着材59は、射出端面50aと入射端面52aとの間のみならず、波長変換部材50の側面50gの一部を覆って設けられ、射出端面50aの寸法W1以上、かつ、入射端面52aの寸法W2以下の寸法を有し、側面50gから入射端面52aに向かって漸次大きくなっているため、第1比較例のような縊れ部分または第2比較例のような盛り上がり部分を有していない。そのため、接着材59の個所で蛍光Yの伝搬が阻害されることがなく、かつ、蛍光Yの外部への漏れが抑えられる。これにより、本実施形態によれば、第1比較例および第2比較例の波長変換ユニットに比べて、蛍光Yの取り出し効率が高く、所望の強度を有する蛍光Yが得やすい波長変換ユニット60を実現することができる。
【0082】
本実施形態の波長変換ユニット60において、角度変換部材52は、CPCで構成されている。この構成によれば、波長変換ユニット60から射出される蛍光Yの角度分布を的確に制御することができる。
【0083】
本実施形態の波長変換ユニット60において、接着材59の外面59cは曲面であり、射出端面50aに直交する断面視において、外面59cと入射端面52aとの接点P1における外面59cの傾斜角θ1は、外面59cと側面50gとの接点P2における外面59cの傾斜角θ2よりも大きい。
【0084】
この構成によれば、接着材59の外面59cの形状を放物面に近付けることができるため、接着材59の外面59cと角度変換部材52の反射面52cとが略連続した一つの放物面となる。そのため、接着材59を角度変換部材52の一部として機能させることができる。これにより、接着材59の形状が放物面からずれることに起因する蛍光Yの損失を十分に抑えることができ、蛍光Yの取り出し効率をより高めることができる。
【0085】
なお、本実施形態では、角度変換部材52の反射面52cが特定形状を有する放物面である場合、接点P1における接着材59の外面59cの傾斜角θ1を58.8°とし、接点P2における接着材59の外面59cの傾斜角θ2を55.8°としたが、これらの値はあくまでも目標値であって、完成品の波長変換ユニット60において、接着材59の外面59cの傾斜角は必ずしも上記の値に一致しなくてもよい。例えば傾斜角θ1は、58.8°に達しなくても、少なくとも角度変換部材52の入射端面52aを未処理とした場合の20°よりも大きくなればよい。また、傾斜角θ2は、55.8°に達しなくても、少なくとも波長変換部材50の側面50gを未処理とした場合に相当する41°(=90°-49°)よりも大きくなればよい。接着材59の外面59cの傾斜角が上記の値に一致しなくても、接点P1を通る外面59cの傾斜角θ1が接点P2を通る外面59cの傾斜角θ2よりも大きいという条件を満たせば、接着材59の外面59cの形状を少なくとも放物面に近付けることができ、本実施形態の効果を得ることができる。
【0086】
本実施形態の波長変換ユニット60において、接着材59と接する入射端面52aの周縁部に、入射端面52aの中央部の親液性とは異なる親液性を有する第1親液性調整部63が設けられている。
【0087】
この構成によれば、波長変換ユニット60の製造プロセスにおいて、角度変換部材52に対する接着材59の接触角を調整することができるため、角度変換部材52に接する部分の接着材59の外面の形状を制御しやすい。
【0088】
本実施形態の波長変換ユニット60において、接着材59と接する側面50gの一部に、接着材59と接していない側面50gの親液性とは異なる親液性を有する第2親液性調整部64が設けられている。
【0089】
この構成によれば、波長変換ユニット60の製造プロセスにおいて、波長変換部材50に対する接着材59の接触角を調整することができるため、波長変換部材50に接する部分の接着材59の外面の形状を制御しやすい。
【0090】
本実施形態の波長変換ユニット60の製造方法は、蛍光Yを射出する波長変換部材50と、波長変換部材50から射出される蛍光Yの角度分布を変換する角度変換部材52と、波長変換部材50と角度変換部材52との間に設けられ、光透過性を有する接着材59と、を備え、波長変換部材50は、波長変換部材50の長手方向に交差し、蛍光Yを射出する射出端面50aと、射出端面50aと交差する側面50gと、を有し、角度変換部材52は、射出端面50aから射出される蛍光Yが入射する入射端面52aを有し、射出端面50aに直交する断面視において、入射端面52aの寸法は、射出端面50aの寸法よりも大きく、接着材59の一部は、射出端面50aと入射端面52aとの間に設けられ、接着材59の他の一部は、側面50gの一部を覆って設けられる波長変換ユニット60の製造方法であって、接着材59と接する入射端面52aの一部、および側面50gの一部の少なくとも一方に、接着材59との親液性を調整する処理を施す第1工程と、第1工程の後に行われ、射出端面50aと入射端面52aとの間、および側面50gの一部を覆う個所に接着材59を設け、波長変換部材50と角度変換部材52とを接着する第2工程と、を備える。
【0091】
この構成によれば、接着材59の表面張力を利用して、外面の形状が制御された接着材59を合理的に形成することができる。形状を精密に制御した接着材59の研磨工程を行う必要がないため、波長変換ユニット60の製造工程の簡略化を図ることができる。
【0092】
本実施形態の光源装置100は、波長変換ユニット60と、波長変換ユニット60に励起光Eを射出する発光素子56と、を備える。
【0093】
本実施形態によれば、蛍光Yの取り出し効率に優れる光源装置100を提供することができる。
【0094】
本実施形態のプロジェクター1は、本実施形態の光源装置100を備えているため、光利用効率に優れる。
【0095】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、
図10を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターおよび光源装置の基本構成は第1実施形態と同様であるため、プロジェクターおよび光源装置の基本構成の説明は省略する。
図10は、第2実施形態の波長変換ユニット80の要部の拡大断面図である。
図10において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0096】
図10に示すように、本実施形態の波長変換ユニット80は、波長変換部材50と、角度変換部材52と、接着材89と、を備える。接着材89と接する角度変換部材52の入射端面52aの周縁部に、第1親液性調整部63が設けられている。また、接着材89と接していない波長変換部材50の側面50gの一部、すなわち、接点P2に対して接着材89が設けられる側とは反対側の側面50gの一部に、第2親液性調整部88が設けられている。第2親液性調整部88は、接着材89と接する側面50gの親液性とは異なる親液性を有しており、接着材89と接する側面50gの親液性よりも低い親液性を有する。第2親液性調整部88は、例えば波長変換部材50の側面50gにフッ素系コーティング剤が塗布された構成を有する。波長変換ユニット80のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0097】
[第2実施形態の効果]
本実施形態においても、蛍光Yの取り出し効率が高く、所望の強度を有する蛍光Yが得やすい波長変換ユニット80を実現することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0098】
第1実施形態では、波長変換部材50の側面50gが未処理である場合の接着材59の接触角(例えば49°)が、接着材59の形状を放物面とするための所定の接触角(例えば34.2°)よりも大きい場合の例を挙げた。これに対して、接着材の種類によっては、上記の例とは逆に、波長変換部材50の側面50gが未処理である場合の接着材59の接触角が、接着材59の形状を放物面とするための所定の接触角よりも小さい場合がある。その場合、波長変換部材50の側面50gの一部に親液性が低い第2親液性調整部88を設けることにより、接着材89の濡れ広がりを阻害し、接触角を大きくすることができる。このように、本実施形態の構成は、上記の特性を有する接着材89を使用する場合に好適である。
【0099】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、
図11を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターおよび光源装置の基本構成は第1実施形態と同様であるため、プロジェクターおよび光源装置の基本構成の説明は省略する。
図11は、第
3実施形態の波長変換ユニット90の要部の拡大断面図である。
図11において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0100】
図11に示すように、本実施形態の波長変換ユニット90は、波長変換部材50と、角度変換部材92と、接着材99と、を備える。第1実施形態および第2実施形態では、角度変換部材52として、CPCを用いた例を示した。これに対して、本実施形態では、角度変換部材92として、テーパーロッドを用いている。角度変換部材92としてテーパーロッドを用いた場合、CPCとは異なり、角度変換部材92の4つの反射面92cのそれぞれは、平面となる。
【0101】
射出端面50aに直交する断面視(XY平面)において、角度変換部材92の入射端面92aの寸法W2は、波長変換部材50の射出端面50aの寸法W1よりも大きい。接着材99の一部は、射出端面50aと入射端面92aとの間に設けられ、接着材99の他の一部は、波長変換部材50の側面50gの一部を覆って設けられている。射出端面50aに直交する断面視(XY平面)において、接着材99の寸法W3は、射出端面50aの寸法W1以上、かつ、入射端面92aの寸法W2以下であり、かつ、波長変換部材50の側面50gから角度変換部材92の入射端面92aに向かって漸次大きくなっている。
【0102】
接着材99の外面99cは、平面状であり、角度変換部材92の反射面92cと滑らかに連続している。したがって、角度変換部材92の反射面92cと接着材99の外面99cとは、全体として、連続した一つの平面を構成する。波長変換ユニット90のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0103】
[第3実施形態の効果]
本実施形態においても、蛍光Yの取り出し効率が高く、所望の強度を有する蛍光Yが得やすい波長変換ユニット90を実現することができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0104】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、本発明の一つの態様は、上記の各実施形態の特徴部分を適宜組み合わせた構成とすることができる。
【0105】
上記実施形態では、波長変換ユニットの製造時に用いる接着材の量が適正な範囲内であることを前提に説明した。ところが、仮に接着材の量が適正な範囲よりも多くなった場合には、角度変換部材の入射端面から接着材があふれ、反射面上に至ることが考えられる。その場合、角度変換部材の反射面上での接着材の接触角が大きいと、角度変換部材の外形が放物面からずれ、角度変換部材の機能が低下する。この問題の対策として、角度変換部材の反射面に接着材の接触角を小さくする親液処理を施せば、接着材が反射面に沿うように薄く濡れ広がるため、接着材の形状が元の反射面の形状に近くなり、角度変換部材の機能低下を抑えることができる。このように、角度変換部材の反射面に入射端面とは異なる表面処理を施してもよい。
【0106】
上記実施形態では、本発明を波長変換ユニットに適用した例を挙げたが、この構成に代えて、波長変換を伴うことなく、入射光を伝搬させた後、角度分布を制御して射出させる導光ユニットに対して本発明を適用してもよい。その場合、上記実施形態の波長変換部材は導光部材に代わり、発光素子から射出される光がそのままの波長帯で角度変換部材から射出される。
【0107】
また、光源装置およびプロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。また、上記実施形態では、本発明による光源装置を、液晶パネルを用いたプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置を、光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクターに適用してもよい。また、プロジェクターは、複数の光変調装置を有していなくてもよく、1つの光変調装置のみを有していてもよい。
【0108】
上記実施形態では、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例を示したが、これに限られない。本発明の光源装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
【0109】
本発明の一つの態様の導光ユニットは、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の導光ユニットは、光を射出する導光部材と、前記導光部材から射出される前記光の角度分布を変換する角度変換部材と、前記導光部材と前記角度変換部材との間に設けられ、光透過性を有する接着材と、を備え、前記導光部材は、前記導光部材の長手方向に交差し、前記光を射出する射出端面と、前記射出端面と交差する側面と、を有し、前記角度変換部材は、前記射出端面から射出される前記光が入射する入射端面を有し、前記射出端面に直交する断面視において、前記入射端面の寸法は、前記射出端面の寸法よりも大きく、前記接着材の一部は、前記射出端面と前記入射端面との間に設けられ、前記接着材の他の一部は、前記側面の一部を覆って設けられ、前記射出端面に直交する断面視において、前記側面の一部を覆って設けられている前記接着材の寸法は、前記射出端面の寸法以上、かつ、前記入射端面の寸法以下であり、前記接着材の寸法は、前記側面から前記入射端面に向かって漸次大きくなっている。
【0110】
本発明の一つの態様の導光ユニットにおいて、前記角度変換部材は、複合放物面型集光器であってもよい。
【0111】
本発明の一つの態様の導光ユニットにおいて、前記接着材の外面は曲面であり、前記射出端面に直交する断面視において、前記外面と前記入射端面との接点を通る前記外面の接線と前記入射端面とのなす角度は、前記外面と前記側面との接点を通る前記外面の接線と前記入射端面とのなす角度よりも大きくてもよい。
【0112】
本発明の一つの態様の導光ユニットにおいて、前記接着材と接する前記入射端面の周縁部に、前記入射端面の中央部の親液性とは異なる親液性を有する第1親液性調整部が設けられていてもよい。
【0113】
本発明の一つの態様の導光ユニットにおいて、前記接着材と接する前記側面の一部に、前記接着材と接していない前記側面の親液性とは異なる親液性を有する第2親液性調整部が設けられていてもよい。
【0114】
本発明の一つの態様の導光ユニットにおいて、前記接着材と接していない前記側面の一部に、前記接着材と接する前記側面の親液性とは異なる親液性を有する第2親液性調整部が設けられていてもよい。
【0115】
本発明の一つの態様の導光ユニットの製造方法は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の導光ユニットの製造方法は、光を射出する導光部材と、前記導光部材から射出される前記光の角度分布を変換する角度変換部材と、前記導光部材と前記角度変換部材との間に設けられ、光透過性を有する接着材と、を備え、前記導光部材は、前記導光部材の長手方向に交差し、前記光を射出する射出端面と、前記射出端面と交差する側面と、を有し、前記角度変換部材は、前記射出端面から射出される前記光が入射する入射端面を有し、前記射出端面に直交する断面視において、前記入射端面の寸法は、前記射出端面の寸法よりも大きく、前記接着材の一部は、前記射出端面と前記入射端面との間に設けられ、前記接着材の他の一部は、前記側面の一部を覆って設けられる導光ユニットの製造方法であって、前記接着材と接する前記入射端面の一部、および前記側面の一部の少なくとも一方に、前記接着材との親液性を調整する処理を施す第1工程と、前記第1工程の後に行われ、前記射出端面と前記入射端面との間、および前記側面の一部を覆う個所に前記接着材を設け、前記導光部材と前記角度変換部材とを接着する第2工程と、を備える。
【0116】
本発明の一つの態様の光源装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の光源装置は、本発明の一つの態様の導光ユニットと、前記導光ユニットに光を射出する発光素子と、を備える。
【0117】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記発光素子は、第1波長帯を有する第1光を射出し、前記導光部材は、蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光に変換し、前記第2光を射出する波長変換部材であってもよい。
【0118】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置から射出される前記第2光を含む光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
【符号の説明】
【0119】
1…プロジェクター、4B,4G,4R…光変調装置、6…投射光学装置、50…波長変換部材(導光部材)、50a…射出端面、50g…側面、52,92…角度変換部材、52a,92a…入射端面、56…発光素子、59,89,99…接着材、59c,99c…外面、60,80,90…波長変換ユニット(導光ユニット)、63…第1親液性調整部、64,88…第2親液性調整部、100…光源装置、P1,P2…接点、S1,S2…接線、W1…射出端面の寸法、W2…入射端面の寸法、W3…接着材の寸法、E…励起光(第1光)、Y…蛍光(第2光)。