(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
A63H 11/00 20060101AFI20240509BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240509BHJP
【FI】
A63H11/00 Z
G06N20/00
(21)【出願番号】P 2022080879
(22)【出願日】2022-05-17
(62)【分割の表示】P 2019198945の分割
【原出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】渥美 広城
(72)【発明者】
【氏名】浦野 美由紀
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-201091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
B25J 1/00-21/02
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に接触する胴体部と、
前記胴体部の前後方向に延びる第1回転軸と、前記胴体部の幅方向に延びる第2回転軸と、を中心としてそれぞれ回転可能に前記胴体部に連結された頭部と、
前記頭部を、前記載置面に接触させた状態で前記第1回転軸を中心として第1方向に回転させる第1回転制御と、前記頭部を、前記第2回転軸を中心として回転させて前記載置面から離間する方向に移動させるとともに、前記第1回転軸を中心として前記第1方向とは逆の第2方向に回転させる
ことで前記第1回転制御を再度可能とする第2回転制御と、を実行する制御手段と、
を備えるロボット。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1回転制御を実行した後に前記第2回転制御を実行する処理を所定の回数繰り返す、
請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記第1回転制御は、前記頭部を前記第1回転軸を中心として回転させる動作の前に行われる、前記頭部を前記第2回転軸を中心として前記載置面に近づく方向に移動させて前記頭部と前記載置面とを接触させる動作を含む、
請求項1または2に記載のロボット。
【請求項4】
音を検出する音検出部を更に備え、
前記制御手段は、前記音検出部により検出された音に特定の音声が含まれていると判定した場合に前記第1回転制御と前記第2回転制御とを実行する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1回転制御を実行する前に、前記頭部を前記第2回転軸を中心として回転させて前記載置面から離間する方向に回転させるとともに、前記頭部を前記第1回転制御により回転させる方向とは逆の方向に所定の角度だけ回転させる回転準備制御を行う、
請求項1から4のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項6】
前記第1回転軸を中心とする回転と前記第2回転軸を中心とする回転とを互いに独立して行うことにより、前記頭部を回転駆動する駆動手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記駆動手段を制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を第1初期角度又は第2初期角度に回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を第1角度範囲内に制御し、かつ前記頭部の回転角速度を第1角速度に制御する第1制御と、
前記駆動手段を制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を第3初期角度に回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲よりも小さい第2角度範囲内に制御し、かつ前記頭部の回転角速度を前記第1角速度よりも高い第2角速度に制御する第2制御と、
前記駆動手段を制御することによって、前記第1回転軸を中心として前記頭部をひねり基準角度に回転させた状態で、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも下方の角度範囲である第3角度範囲内に制御し、かつ前記頭部の回転角速度を前記第1角速度よりも低い第3角速度に制御する第3制御と、
前記駆動手段を制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を第4初期角度に回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲内に制御し、かつ前記頭部の回転角速度を前記第1角速度よりも低い第4角速度に制御する第4制御と、
前記駆動手段を制御することによって、前記第1回転軸を中心として前記頭部をひねり基準角度に回転させた状態で、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を、前記第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも下方の角度範囲である第5角度範囲内、又は、前記第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも下方から上下基準角度にかけての角度範囲である第6角度範囲内、又は、前記第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも上方から上下基準角度にかけての角度範囲である第7角度範囲内、のいずれかの角度範囲内に制御し、かつ前記頭部の回転角速度を、前記第4角速度よりも低い第5角速度であって、第5時間で前記頭部を前記第5角度範囲の両端の2つの角度の一方から他方へ、他方から一方へ、繰り返し変化させる第5角速度、又は、前記第4角速度よりも低く前記第5角速度よりも高い第6角速度であって、前記第5時間よりも短い第6時間で前記頭部を前記第6角度範囲の両端の2つの角度の一方から他方へ、他方から一方へ、繰り返し変化させる第6角速度、又は、前記第5角速度よりも低い第7角速度であって、前記第6時間よりも長い第7時間で前記頭部を前記第7角度範囲の両端の2つの角度の一方から他方へ、他方から一方へ、繰り返し変化させる第7角速度、のいずれかの角速度に制御する第5制御と、
前記駆動手段を制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を第5初期角度に回転させてから、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転並びに前記第2回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部にそれぞれ交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第2角度範囲内に制御し、かつ前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角速度を前記第2角速度に制御し、さらに、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも上方の角度範囲である第8角度範囲内に制御し、かつ前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角速度を前記第1角速度よりも高い第8角速度に制御する第6制御と、の6つの制御のうちの少なくとも1つの制御を実行する、
請求項1に記載のロボット。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記駆動手段を前記第1制御で制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を上下基準角度に対して上方に前記第1初期角度だけ回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲内に制御するとともに、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角速度を前記第1角速度に制御して喜びの動作を表現し、
前記駆動手段を前記第2制御で制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を上下基準角度に対して上方に前記第3初期角度だけ回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第2角度範囲内に制御するとともに、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角速度を前記第2角速度に制御して興奮の動作を表現し、
前記駆動手段を前記第6制御で制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を上下基準角度に対して上方に前記第5初期角度だけ回転させてから、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転並びに、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部にそれぞれ交互に繰り返させ、前記頭部の第1回転軸を中心とした回転角度を前記第2角度範囲内に制御するとともに、前記頭部の第1回転軸を中心とする回転角速度を前記第2角速度に制御し、前記頭部の第2回転軸を中心とした回転角度を前記第8角度範囲内に制御するとともに、前記頭部の第2回転軸を中心とする回転角速度を前記第8角速度に制御して怒りの動作を表現する、
請求項6に記載のロボット。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記駆動手段を前記第1制御で制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を上下基準角度に対して下方に前記第2初期角度だけ回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲内に制御するとともに、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角速度を前記第1角速度に制御して不安の動作を表現し、
前記駆動手段を前記第3制御で制御することによって、前記第1回転軸を中心として前記頭部をひねり基準角度に回転させた状態で、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第3角度範囲内に制御するとともに、前記頭部の回転角速度を前記第3角速度に制御して悲しみの動作を表現し、
前記駆動手段を前記第4制御で制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を上下基準角度に対して下方に前記第4初期角度だけ回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲内に制御するとともに、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角速度を前記第4角速度に制御して無気力の動作を表現する、
請求項6に記載のロボット。
【請求項9】
前記制御手段は、
前記駆動手段を前記第5制御で制御することによって、前記第1回転軸を中心として前記頭部をひねり基準角度に回転させた状態で、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、
前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第5角度範囲内に制御するとともに、前記頭部の回転角速度を前記第5角速度に制御して呼吸の動作を表現し、
前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第6角度範囲内に制御するとともに、前記頭部の回転角速度を前記第6角速度に制御して平穏の動作を表現し、
前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第7角度範囲内に制御するとともに、前記頭部の回転角速度を前記第7角速度に制御して安心の動作を表現する、
請求項6に記載のロボット。
【請求項10】
外部刺激を検出する外部刺激取得手段と、
前記検出された外部刺激に対応する反応を決定する反応決定手段と、
前記決定された反応に対応させて前記頭部の回転を制御する動作制御データを取得する動作データ取得手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記取得された動作制御データに基づいて前記頭部を回転させる、
請求項1から9のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項11】
外部刺激を検出する外部刺激取得手段と、
前記検出された外部刺激に対応する反応を決定する反応決定手段と、
ユーザによる前記ロボットの初回の起動時から所定の期間内であることを含む条件が満たされた場合に、疑似的な感情を変化させるための感情変化パラメータを、前記検出された外部刺激に対応させて更新する感情変化パラメータ学習手段と、
疑似的な感情を表す感情パラメータを、前記検出された外部刺激及び前記更新された感情変化パラメータに対応させて設定する感情設定手段と、
前記決定された反応と、前記設定された感情パラメータと、に対応させて前記頭部の回転を制御する動作制御データを取得する感情動作データ取得手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記取得された動作制御データに基づいて前記頭部を回転させる、
請求項1から9のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項12】
前記制御手段は、前記動作制御データに基づいて前記頭部の回転を制御する際に、前記頭部の回転速度を増減させる、
請求項10または11に記載のロボット。
【請求項13】
前記制御手段は、前記動作制御データに基づいて前記頭部の回転を制御する際に、前記頭部の回転を一時的に停止させる、
請求項10から12のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項14】
前記制御手段は、前記頭部の回転を一時的に停止させる際に、前記頭部の回転速度の逆数よりも短い時間で停止させる、
請求項13に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロボットとして、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この従来のロボットは、犬型のロボットであって、胴体部、頭部、及び4つの足部を備えており、胴体部に対して頭部や足部を駆動することによって、種々の生物的な動作を実行可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のロボットでは、このように、駆動する部位が比較的多いので、構成が複雑であった。
【0005】
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成を用いて種々の生物的な動作を実行することができるロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係るロボットの一様態は、
載置面に接触する胴体部と、
前記胴体部の前後方向に延びる第1回転軸と、前記胴体部の幅方向に延びる第2回転軸と、を中心としてそれぞれ回転可能に前記胴体部に連結された頭部と、
前記頭部を、前記載置面に接触させた状態で前記第1回転軸を中心として第1方向に回転させる第1回転制御と、前記頭部を、前記第2回転軸を中心として回転させて前記載置面から離間する方向に移動させるとともに、前記第1回転軸を中心として前記第1方向とは逆の第2方向に回転させることで前記第1回転制御を再度可能とする第2回転制御と、を実行する制御手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な構成を用いて種々の生物的な動作を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係るロボットの外観を示す図である。
【
図2】実施形態1に係るロボットの側面から見た断面図である。
【
図3】実施形態1に係るロボットの筐体を説明する図である。
【
図4】実施形態1に係るロボットのひねりモータの動きの一例を説明する図である。
【
図5】実施形態1に係るロボットのひねりモータの動きの一例を説明する他の図である。
【
図6】実施形態1に係るロボットの上下モータの動きの一例を説明する図である。
【
図7】実施形態1に係るロボットの上下モータの動きの一例を説明する他の図である。
【
図8】実施形態1に係るロボットの機能構成を示すブロック図である。
【
図9】実施形態1に係る反応テーブルの一例を説明する図である。
【
図10】実施形態1に係る動作テーブルの一例を説明する第1の図である。
【
図11】実施形態1に係る動作テーブルの一例を説明する第2の図である。
【
図12】実施形態1に係る動作テーブルの一例を説明する第3の図である。
【
図13】実施形態1に係る動作テーブルの一例を説明する第4の図である。
【
図14】実施形態1に係る動作テーブルの一例を説明する第5の図である。
【
図15】実施形態1に係る鳴き声テーブルの一例を説明する図である。
【
図16】実施形態1に係るロボット制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】実施形態2に係るロボットの機能構成を示すブロック図である。
【
図18】実施形態2に係る感情マップの一例を説明する図である。
【
図19】実施形態2に係るロボット制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
【0010】
(実施形態1)
本発明の実施形態に係るロボット200は、小型の動物を模したペットロボットである。ロボット200は、
図1に示すように、目を模した装飾部品202及びふさふさの毛203を備えた外装201に覆われている。また、外装201の中には、ロボット200の筐体207が収納されている。
図2に示すように、ロボット200の筐体207は、頭部204、連結部205及び胴体部206とからなり、頭部204と胴体部206とが連結部205で連結されている。
【0011】
また、ロボット200の筐体207の動きが外装201に反映されるように、外装201は筐体207にスナップボタンで取り付けられている。具体的には、頭部204の前方にスナップボタンが2つ備えられており、また、胴体部206の後方にもスナップボタンが2つ備えられている。そして、外装201の対応する位置にも頭部204や胴体部206に備えられたスナップボタンと嵌まり合うスナップボタンが備えられており、外装201はスナップボタンにより筐体207に留められて装着される。なお、ここに示したスナップボタンの個数や位置は一例であり、任意に変更可能である。
【0012】
胴体部206は、前後方向に延びており、ロボット200が置かれている床やテーブル等の載置面に、外装201を介して接触する。そして、
図2に示すように、胴体部206の前端部にひねりモータ221が備えられており、頭部204が連結部205を介して胴体部206の前端部に連結されている。連結部205には、上下モータ222が備えられている。なお、
図2では、ひねりモータ221は胴体部206に備えられているが、連結部205に備えられていてもよい。
【0013】
連結部205は、連結部205を通り胴体部206の前後方向に延びる第1回転軸を中心として回転自在に、胴体部206と頭部204とを連結している。筐体207の正面図として
図4及び
図5に示すように、ひねりモータ221は、頭部204を、胴体部206に対して、第1回転軸を中心として、時計回り(右回り)に正転角度範囲内で回転(正転)させたり、反時計回り(左回り)に逆転角度範囲内で回転(逆転)させたりする。なお、この説明における時計回りは、胴体部206から頭部204の方向を見た時の時計回りである。また、時計回りの回転を「右方へのひねり回転」、反時計回りの回転を「左方へのひねり回転」とも呼ぶことにする。右方又は左方へひねり回転させる角度の最大値は任意である。
図4及び
図5では、
図3に示す、頭部204を右方へも左方へもひねっていない状態における頭部204の角度(以下「ひねり基準角度」)を0で表している。また、最も右方へひねり回転(時計回りに回転)させた時の角度を-100で、最も左方へひねり回転(反時計回りに回転)させた時の角度を+100で、それぞれ表している。
【0014】
また、連結部205は、連結部205を通り胴体部206の幅方向に延びる第2回転軸を中心として回転自在に、胴体部206と頭部204とを連結する。筐体207の側面図として
図6及び
図7に示すように、上下モータ222は、頭部204を、第2回転軸を中心として上方に正転角度範囲内で回転(正転)させたり、下方に逆転角度範囲内で回転(逆転)させたりする。上方又は下方に回転させる角度の最大値は任意だが、
図6及び
図7では、
図2に示す、頭部204を上方にも下方にも回転させていない状態における頭部204の角度(以下「上下基準角度」)を0で、最も下方に回転させた時の角度を-100で、最も上方に回転させた時の角度を+100で、それぞれ表している。頭部204は、第2回転軸を中心とする上下の回転によって上下基準角度又は上下基準角度より下方に回転している場合は、ロボット200が置かれている床やテーブル等の載置面に、外装201を介して接触可能である。なお、
図2では、第1回転軸と第2回転軸とが互いに直交している例が示されているが、第1及び第2回転軸は互いに直交していなくてもよい。
【0015】
また、ロボット200は、
図2に示すように、頭部204にタッチセンサ211を備え、ユーザが頭部204を撫でたり叩いたりしたことを検出することができる。また、胴体部206にもタッチセンサ211を備え、ユーザが胴体部206を撫でたり叩いたりしたことを検出することができる。
【0016】
また、ロボット200は、胴体部206に加速度センサ212を備え、ロボット200自体の姿勢の検出や、ユーザによって持ち上げられたり、向きを変えられたり、投げられたりしたことを検出することができる。また、ロボット200は、胴体部206にマイクロフォン213を備え、外部の音を検出することができる。さらに、ロボット200は、胴体部206にスピーカ231を備え、スピーカ231を用いてロボット200の鳴き声を発することができる。
【0017】
なお、本実施形態では加速度センサ212、マイクロフォン213及びスピーカ231は胴体部206に備えられているが、これらの全て又は一部が頭部204に備えられていてもよい。また、胴体部206に備えられた加速度センサ212、マイクロフォン213及びスピーカ231に加えて、これらの全て又は一部を頭部204にも備えるようにしてもよい。
【0018】
また、本実施形態では、ロボット200は、筐体207が外装201に覆われているため、頭部204や胴体部206は、ロボット200が置かれている床やテーブル等の載置面に、外装201を介して間接的に接触している。しかし、このような形態には限定されず、頭部204や胴体部206は、直接的に載置面に接触してもよい。例えば、外装201の下の部分(載置面と接触する部分)が存在せずに、筐体207の下の部分(載置面と接触する部分)がむき出しになっていてもよいし、外装201が全く存在せずに、筐体207全体がむき出しになっていてもよい。
【0019】
次に、ロボット200の機能構成について説明する。ロボット200は、
図8に示すように、制御部110と、記憶部120と、センサ部210と、駆動部220と、出力部230と、操作部240と、を備え、これらがバスラインBLで接続されている。
【0020】
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等で構成され、記憶部120に記憶されたプログラムを実行することにより、後述する各部(外部刺激取得部111、動作制御部112)として機能する。また、図示しないが、制御部110は、クロック機能やタイマー機能も備えており、日時等を計時することができる。
【0021】
記憶部120は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等で構成される。ROMには、制御部110のCPUが実行するプログラム及びプログラムを実行する上で予め必要なデータが、記憶されている。フラッシュメモリは書き込み可能な不揮発性のメモリであり、電源オフ後も保存させておきたいデータが記憶される。RAMには、プログラム実行中に作成されたり変更されたりするデータが記憶される。
【0022】
センサ部210は、前述したタッチセンサ211、加速度センサ212、及びマイクロフォン213を備える。制御部110は、バスラインBLを介して、センサ部210が備える各種センサが検出した検出値を外部刺激として取得する。なお、センサ部210は、タッチセンサ211、加速度センサ212、マイクロフォン213以外のセンサを備えてもよい。センサ部210が備えるセンサの種類を増やすことにより、制御部110が取得できる外部刺激の種類を増やすことができる。
【0023】
タッチセンサ211は、何らかの物体が接触したことを検出する。タッチセンサ211は、例えば圧力センサや静電容量センサにより構成される。制御部110は、タッチセンサ211からの検出値に基づいて、ユーザによってロボット200が撫でられていることや、叩かれたりしていること等を検出することができる。
【0024】
加速度センサ212は、ロボット200の胴体部206の前後方向、幅(左右)方向及び上下方向から成る3軸方向の加速度を検出する。加速度センサ212は、ロボット200が静止しているときには重力加速度を検出するので、制御部110は、加速度センサ212が検出した重力加速度に基づいて、ロボット200の現在の姿勢を検出することができる。また、例えばユーザがロボット200を持ち上げたり投げたりした場合には、加速度センサ212は、重力加速度に加えてロボット200の移動に伴う加速度を検出する。したがって、制御部110は、加速度センサ212が検出した検出値から重力加速度の成分を除去することにより、ロボット200の動きを検出することができる。
【0025】
マイクロフォン213は、ロボット200の周囲の音を検出する。制御部110は、マイクロフォン213が検出した音の成分に基づき、例えばユーザがロボット200に呼びかけていることや、手を叩いていること等を検出することができる。
【0026】
駆動部220は、ひねりモータ221及び上下モータ222を備える。駆動部220は、制御部110によって制御されて、頭部204を回転駆動する。その結果、ロボット200は、例えば頭部204を持ち上げたり(第2回転軸を中心として上方に回転させたり)、横にひねったり(第1回転軸を中心として右方又は左方にひねり回転させたり)するような動作を表現することができる。これらの動作を行うための動作制御データは、後述する動作テーブル122に記録されている。駆動部220は、駆動手段として機能する。
【0027】
出力部230は、スピーカ231を備え、制御部110が音のデータを出力部230に入力することにより、スピーカ231から音が出力される。例えば、制御部110がロボット200の鳴き声のデータを出力部230に入力することにより、ロボット200は疑似的な鳴き声を発する。この鳴き声のデータは、後述する鳴き声テーブル123に記録されている。
【0028】
なお、出力部230として、スピーカ231に代えて、又はスピーカ231に加えて、液晶ディスプレイ等のディスプレイや、LED(Light Emitting Diode)等の発光部を備えてもよい。この場合、各外部刺激に対応するディスプレイへの表示内容や、発光部の色や明るさ等が、記憶部120(例えば表示内容テーブルや、発光内容テーブル)に予め記録されている必要がある。
【0029】
操作部240は、例えば、操作ボタン、ボリュームつまみ等から構成される。操作部240は、例えば、電源オンオフ、出力音のボリューム調整等のユーザ操作を受け付けるためのインタフェースである。
【0030】
次に、制御部110の機能的構成について説明する。制御部110は、外部刺激取得部111、動作制御部112として機能する。
【0031】
外部刺激取得部111は、センサ部210からの検出値に基づいて、外部からロボット200に作用する外部刺激を取得する。センサ部210は、複数のセンサ(タッチセンサ211、加速度センサ212、マイクロフォン213)を備えるので、外部刺激取得部111は、これら複数のセンサにより、互いに異なる種類の複数の外部刺激を取得する。外部刺激取得部111は、外部刺激取得手段として機能する。
【0032】
動作制御部112は、外部刺激取得部111で取得された外部刺激に応じて、駆動部220を駆動し、また、出力部230から鳴き声を出力させる。動作制御部112は、制御手段として機能する。
【0033】
次に、記憶部120に記憶されるデータのうち、本実施形態に特徴的なデータである、反応テーブル121、動作テーブル122及び鳴き声テーブル123について、順に説明する。
【0034】
反応テーブル121は、
図9に一例を示すように、取得された外部刺激に対して、ロボット200がどのような反応を示すかが定義されているテーブルである。反応テーブル121における外部刺激は、基本的にはセンサ部210によって検出される外部刺激であるが、これに限られない。例えば、
図9の最下行に示すクロック情報のように、制御部110が取得可能な任意の情報を外部刺激として用いることができる。
【0035】
動作テーブル122は、
図10~
図14に一例を示すように、反応テーブル121に定義された各反応に対して、駆動部220を制御する動作制御データが定義されているテーブルである。このテーブルには、各反応に対して、時間毎の上下モータ222及びひねりモータ221による頭部204の回転角度が定義されている。
図10~
図14では、各行に、「時間:上下モータ222の回転角度:ひねりモータ221の回転角度」が示されている。ここでは、時間はミリ秒で、上下モータ222の回転角度は、最上端が100、中間(上下基準角度)が0、最下端が-100で、ひねりモータ221の回転角度は、最左端が100、中間(ひねり基準角度)が0、最右端が-100で、それぞれ示されている。
図10~
図14に示されるように、動作制御データは、各反応に対する、駆動部220を制御する一連のシーケンスデータ(ここでは「時間:上下モータ222の回転角度:ひねりモータ221の回転角度」の並び)である。動作制御部112が、この一連のシーケンスデータに基づいて駆動部220を制御することを、「動作シーケンスの実行」と言う。
【0036】
動作制御部112は、動作テーブル122の各行に定義された時間で、ひねりモータ221の回転角度及び上下モータ222の回転角度がそれぞれ定義された回転角度になるように駆動部220を制御する。このため、動作制御部112は、各モータの回転角度だけでなく、回転角速度も制御することによって、駆動部220の各モータが定義された時間内に定義された回転角度になるように制御している。つまり、動作制御部112は、頭部204の回転角度及び頭部204の回転角速度を、互いに異なる複数(上下又は左右)の回転角度の各々及び複数(上下又は左右)の回転角速度の各々に制御する。
【0037】
なお、動作テーブル122の各行に定義された時間は、各動作の標準的な時間を表しており、動作制御部112は、定義された時間に対してゆらぎを持たせて動作の制御を行ってもよい。例えば、動作テーブル122のある行に「2000:-30:0」と定義されている場合を想定する。この場合、動作制御部112は、定義された時間に当該時間に応じたゆらぎ設定値(例えば定義された時間の1/10以下の乱数)を増減させた値(例えば2000±200以下の乱数)の時間において、上下モータ222の回転角度を-30にし、ひねりモータ221の回転角度を0にする制御を行ってもよい。動作制御部112は、このような制御を行うことにより、ある反応に対する動作シーケンスの実行中に、各モータの回転速度を増減させることができる。
【0038】
また、動作制御部112は、ある反応に対する動作シーケンスの実行中に、ひねりモータ221及び上下モータ222を停止させて、頭部204の動きを一時的に停止させてもよい。さらに、動作制御部112は、頭部204の動きを一時的に停止させる際に、直前の各モータの回転速度の逆数で規定される値(例えば、回転速度が60rpm(rotations per minute)の場合は、その逆数である1/60分=1秒)よりも短い時間で停止させるように各モータを制御してもよい。
【0039】
以下、各反応に対する各動作について説明する。これらの各動作は、動作テーブル122に細かく規定されているが、代表的な動作については、以下の第1制御、第2制御、第3制御、第4制御、第5制御、第6制御の6つの制御のうちの少なくとも1つの制御が実行される。
【0040】
第1制御では、ひねりモータ221及び上下モータ222の両方を制御することによって、第2回転軸を中心として頭部204を第1初期角度(例えば80の角度)又は第2初期角度(例えば-50の角度)に回転させた状態で、第1回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させる。また、第1制御では、第1回転軸を中心とした頭部204の回転角度が、比較的大きな角度範囲である第1角度範囲(例えば80の角度から-80の角度の範囲)内に制御され、かつ第1回転軸を中心とした頭部204の回転角速度が、比較的ゆっくりとした回転角速度である第1角速度に制御される。この第1角速度は、第1時間(例えば0.5秒)で第1角度範囲の両端の2つの角度の一方から他方へ(例えば、80の角度から-80の角度へ)、他方から一方へ(例えば、-80の角度から80の角度へ)、繰り返し変化させる回転角速度である。
【0041】
また、第2制御では、ひねりモータ221及び上下モータ222の両方を制御することによって、第2回転軸を中心として頭部204を第3初期角度(例えば100の角度)に回転させた状態で、第1回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させる。また、第2制御では、第1回転軸を中心とした頭部204の回転角度が、第1角度範囲よりも小さい第2角度範囲(例えば40の角度から-40の角度の範囲)内に制御され、かつ第1回転軸を中心とした頭部204の回転角速度が、第1角速度よりも高い第2角速度に制御される。この第2角速度は、第2時間(例えば0.2秒)で第2角度範囲の両端の2つの角度の一方から他方へ(例えば、40の角度から-40の角度へ)、他方から一方へ(例えば、-40の角度から40の角度へ)、繰り返し変化させる回転角速度である。
【0042】
また、第3制御では、ひねりモータ221及び上下モータ222の両方を制御することによって、第1回転軸を中心として頭部204をひねり基準角度に回転させた状態で、第2回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させる。また、第3制御では、第2回転軸を中心とした頭部204の回転角度が、第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも下方の角度範囲である第3角度範囲(例えば-100の角度から-80の角度の範囲)内に制御され、かつ第2回転軸を中心とした頭部204の回転角速度が、第1角速度よりも低い第3角速度に制御される。この第3角速度は、第3時間(例えば0.3秒)で第3角度範囲の両端の2つの角度の一方から他方へ(例えば、-100の角度から-80の角度へ)、他方から一方へ(例えば、-80の角度から-100の角度へ)、繰り返し変化させる回転角速度である。
【0043】
また、第4制御では、ひねりモータ221及び上下モータ222の両方を制御することによって、第2回転軸を中心として頭部204を第4初期角度(例えば-50の角度)に回転させた状態で、第1回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させる。また、第4制御では、第1回転軸を中心とした頭部204の回転角度が、比較的大きな角度範囲である第1角度範囲(例えば80の角度から-80の角度の範囲)内に制御され、かつ第1回転軸を中心とした頭部204の回転角速度が、第1角速度よりも低い第4角速度に制御される。この第4角速度は、第4時間(例えば2秒)で第4角度範囲の両端の2つの角度の一方から他方へ(例えば、80の角度から-80の角度へ)、他方から一方へ(例えば、-80の角度から80の角度へ)、繰り返し変化させる回転角速度である。
【0044】
また、第5制御では、ひねりモータ221及び上下モータ222の両方を制御することによって、第1回転軸を中心として頭部204をひねり基準角度に回転させた状態で、第2回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させる。また、第5制御では、第2回転軸を中心とした頭部204の回転角度が、第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも下方の角度範囲である第5角度範囲(例えば-20の角度から-60の角度の範囲)内、又は、第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも下方から上下基準角度にかけての角度範囲である第6角度範囲(例えば-30の角度から0の角度の範囲)内、又は、第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも上方から上下基準角度にかけての角度範囲である第7角度範囲(例えば30の角度から0の角度の範囲)内のいずれかの角度範囲内に制御される。さらに、第5制御では、第2回転軸を中心とした頭部204の回転角速度が、第4角速度よりも低い第5角速度、又は、第4角速度よりも低く第5角速度よりも高い第6角速度、又は、第5角速度よりも低い第7角速度、のいずれかの角速度に制御される。ここで、第5角速度は、第5時間(例えば3秒)で第5角度範囲の両端の2つの角度の一方から他方へ(例えば、-20の角度から-60の角度へ)、他方から一方へ(例えば、-60の角度から-20の角度へ)、繰り返し変化させる回転角速度である。また、第6角速度は、第6時間(例えば2秒)で第6角度範囲の両端の2つの角度の一方から他方へ(例えば、-30の角度から0の角度へ)、他方から一方へ(例えば、0の角度から-30の角度へ)、繰り返し変化させる回転角速度である。また、第7角速度は、第7時間(例えば3秒)で第7角度範囲の両端の2つの角度の一方から他方へ(例えば、30の角度から0の角度へ)、他方から一方へ(例えば、0の角度から30の角度へ)、繰り返し変化させる回転角速度である。
【0045】
また、第6制御では、ひねりモータ221と上下モータ222の両方を制御することによって、第2回転軸を中心として頭部204を第5初期角度(例えば80の角度)に回転させてから、第1回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転並びに第2回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、それぞれ交互に繰り返させる。また、第6制御におけるひねりモータ221の制御では、第1回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させ、第1回転軸を中心とした頭部204の回転角度が、第1角度範囲よりも小さい第2角度範囲(例えば40の角度から-40の角度の範囲)内に制御され、かつ第1回転軸を中心とした頭部204の回転角速度が、第1角速度よりも高い第2角速度に制御される。この第2角速度は、第2時間(例えば0.2秒)で第2角度範囲の両端の2つの角度の一方から他方へ(例えば、40の角度から-40の角度へ)、他方から一方へ(例えば、-40の角度から40の角度へ)、繰り返し変化させる回転角速度である。そして、第6制御における上下モータ222の制御では、第2回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させ、第2回転軸を中心とした頭部204の回転角度が、第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも上方の角度範囲である第8角度範囲(例えば60の角度から100の角度の範囲)内に制御され、かつ第2回転軸を中心とした頭部204の回転角速度が、第1角速度よりも高い第8角速度に制御される。この第8角速度は、第2時間(例えば0.2秒)で第8角度範囲の両端の2つの角度の一方から他方へ(例えば、60の角度から100の角度へ)、他方から一方へ(例えば、100の角度から60の角度へ)、繰り返し変化させる回転角速度である。
【0046】
外部刺激がないときの反応である「呼吸」に対しては、動作制御部112は、
図10に示すように、ひねりモータ221と上下モータ222を上述した第5制御で制御することによって、まず、頭部204を、第1回転軸を中心としてひねり基準角度に回転させる。次いで、第2回転軸を中心として上下基準角度方向に対して下方の角度範囲である第5角度範囲(例えば-20の角度から-60の角度の範囲)の一方の角度(例えば-20の角度)に回転させる。そして、第1基準時間(例えば2秒)以上の長さの呼吸基準時間(例えば3秒。上述したようにゆらぎを持たせてもよい。)の周期で、第2回転軸を中心として正転(例えば-60の角度から-20の角度への回転)及び逆転(例えば-20の角度から-60の角度への回転)を頭部204に交互に繰り返させることにより、頭部204を互いに異なる下向きの2つの角度(例えば-20の角度と-60の角度)で規定される第5角度範囲内に制御する。さらに、頭部204の回転角速度を、呼吸基準時間(例えば3秒)で当該下向きの2つの角度の一方から他方へ(例えば、-20の角度から-60の角度へ40だけ)、他方から一方へ(例えば、-60の角度から-20の角度へ-40だけ)、繰り返し変化させる、第1角速度から第4角速度まで及び第6角速度のいずれの角速度よりも低い第5角速度に制御する。この第1角度範囲内の角度は上下基準角度(0の角度)に対して下方(マイナス)の角度なので、この制御により、頭部204が下に向いた状態でその角度が変化し、周期的に筐体207の中央部が少し上がったり下がったりするのを繰り返す。上記第1基準時間以上の長さの呼吸基準時間の周期としては、2秒以上の周期が望ましく、これによりロボット200はゆっくりと上下動を繰り返すようになり、呼吸動作が表される。なお、
図10に示される呼吸の動作は24秒で終了しているが、その後3秒の時点に戻って、上下動を繰り返すようにしてもよい。この呼吸動作により、ロボット200は、何も外部刺激がない状態でも生物感を表現する。
【0047】
マイクロフォン213で大きな音を検出した時の反応である「驚く」に対しては、
図10に示すように、動作制御部112は、上下モータ222を介して素早く(例えば0.1秒で)頭部204(首)を上下基準角度(0の角度)に対して上方に回転させる制御を行うことにより、ロボット200が驚いて警戒する様子を表す生物的な動作が表現される。
【0048】
胴体部206のタッチセンサ211で撫でられたことを検出したときの反応である「喜ぶ」に対しては、
図10に示すように、動作制御部112は、ひねりモータ221と上下モータ222を上述した第1制御で制御することによって、まず、頭部204(首)を、第2回転軸を中心として上下基準角度に対して上方に第1初期角度(例えば80の角度)回転させる。次いで、頭部204をそのように上方に回転させた状態で、第1回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させ、頭部204の回転角度を第1角度範囲内に制御するとともに、頭部204の回転角速度を第1角速度に制御する。以上により、頭部204が、上下基準角度から上方に回転した状態で、ひねり基準角度に対して左右に比較的ゆっくりとひねり回転することによって、ロボット200の喜びを表す生物的な動作が表現される。
【0049】
抱かれていることを検出したときの反応である「興奮する」に対しては、
図10に示すように、動作制御部112は、ひねりモータ221と上下モータ222を上述した第2制御で制御することによって、まず、頭部204(首)を、第2回転軸を中心として上下基準角度に対して上方に第3初期角度(例えば100の角度)回転させる。次いで、頭部204をそのように上方に回転させた状態で、第1回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させ、頭部204の回転角度を第1角度範囲よりも小さい第2角度範囲内に制御するとともに、頭部204の回転角速度を第1角速度よりも高い第2角速度に制御する。以上により、頭部204が、上下基準角度から上方に回転した状態で、ひねり基準角度に対して小刻みに素早く左右にひねり回転することによって、ロボット200の興奮を表す生物的な動作が表現される。
【0050】
頭部204のタッチセンサ211で叩かれたことを検出したときの反応である「怒る」に対しては、
図11に示すように、動作制御部112は、ひねりモータ221と上下モータ222を上述した第6制御で制御することによって、まず、頭部204(首)を第2回転軸を中心として上下基準角度に対して上方に第5初期角度(例えば80の角度)回転させる。次いで、第1回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転並びに、第2回転軸を中心とした頭部204の正点及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させる。このような制御により、頭部204の第1回転軸を中心とした回転角度が第1角度範囲よりも小さい第2角度範囲(例えば40の角度から-40の角度の範囲)内に制御されるとともに、頭部204の第1回転軸を中心とした回転角速度は第1角速度よりも高い第2角速度(例えば40の角度から-40の角度までの回転を0.2秒で行う角速度)に制御され、頭部204の第2回転軸を中心とした回転角度が第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも上方の角度範囲である第8角度範囲内に制御され、かつ第2回転軸を中心とした頭部204の回転角速度は第1角速度よりも高い第8角速度に制御される。以上により、頭部204が上下基準角度から上方に回転した状態で、上下基準角度に対して頭部204が小刻みに素早く上下に回転するとともに、ひねり基準角度に対して頭部204が小刻みに素早く左右にひねり回転することによって、ロボット200の怒りを表す生物的な動作が表現される。
【0051】
投げ飛ばされたことを検出したときの反応である「不安がる」に対しては、
図11に示すように、動作制御部112は、ひねりモータ221と上下モータ222を上述した第1制御で制御することによって、まず、頭部204を第2回転軸を中心として上下基準角度に対してやや下方に第2初期角度(例えば-50の角度)回転させる。次いで、頭部204をそのように下方に回転させた状態で、第1回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させ、頭部204の回転角度を第1角度範囲内に制御するとともに、頭部204の回転角速度を第1角速度に制御する。以上により、頭部204が、上下基準角度から下方に回転した状態で、ひねり基準角度に対して左右にひねり回転することによって、ロボット200の不安を表す生物的な動作が表現される。
【0052】
胴体部206のタッチセンサ211で叩かれたことを検出したときの反応である「悲しむ」に対しては、
図11に示すように、動作制御部112は、ひねりモータ221と上下モータ222を上述した第3制御で制御することによって、まず、頭部204を第1回転軸を中心としてひねり基準角度に回転させる。次いで、頭部204をそのようにひねり基準角度に回転させた状態で、第2回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させ、第2回転軸を中心とした頭部204の回転角度を第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも下方の角度範囲である第3角度範囲内に制御するとともに、第2回転軸を中心とした頭部204の回転角速度を第1角速度よりも低い第3角速度に制御する。以上により、頭部204が、第2回転軸を中心として上下基準角度に対して小刻みに上下に回転することによって、ロボット200の悲しみを表す生物的な動作が表現される。
【0053】
宙づりにされていることを検出したときの反応である「無気力になる」に対しては、
図11に示すように、動作制御部112は、ひねりモータ221と上下モータ222を上述した第4制御で制御することによって、まず、頭部204を、第2回転軸を中心として上下基準角度に対してやや下方に第4初期角度回転させる。次いで、頭部204をそのように下方に回転させた状態で、第1回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させ、第1回転軸を中心とした頭部204の回転角度を第1角度範囲内に制御するとともに、第1回転軸を中心とした頭部204の回転角速度を第1角速度より低い第4角速度に制御する。以上により、頭部204が、ひねり基準角度に対してゆっくり左右にひねり回転することによって、ロボット200の無気力を表す生物的な動作が表現される。
【0054】
マイクロフォン213で小さな音を検出したときの反応である「平穏になる」に対しては、
図12に示すように、動作制御部112は、ひねりモータ221と上下モータ222を上述した第5制御で制御することによって、まず頭部204を、第1回転軸を中心としてひねり基準角度に回転させる。次いで、頭部204をそのようにひねり基準角度に回転させた状態で、頭部204を第2回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させ、第2回転軸を中心とした頭部204の回転角度を、第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも下方から上下基準角度にかけての角度範囲である第6角度範囲(例えば-30の角度から0の角度の範囲)内に制御するとともに、第2回転軸を中心とした頭部204の回転角速度を、第4角速度よりも低く第5角速度よりも高い第6角速度に制御する。以上により、頭部204が第2回転軸を中心として上下基準角度に対してやや下方でゆっくり上下に回転することによって、ロボット200の平穏を表す生物的な動作が表現される。
【0055】
頭部204のタッチセンサ211で撫でられたことを検出したときの反応である「安心する」に対しては、
図12に示すように、動作制御部112は、ひねりモータ221と上下モータ222を上述した第5制御で制御することによって、まず頭部204を、第1回転軸を中心としてひねり基準角度に回転させる。次いで、頭部204をそのようにひねり基準角度に回転させた状態で、第2回転軸を中心とした頭部204の正転及び逆転を、頭部204に交互に繰り返させ、第2回転軸を中心とした頭部204の回転角度を、第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも上方から上下基準角度にかけての角度範囲である第7角度範囲(例えば30の角度から0の角度の範囲)内に制御するとともに、第2回転軸を中心とした頭部204の回転角速度を、第5角速度よりも低い第7角速度に制御する。以上により、頭部204が第2回転軸を中心として上下基準角度に対してやや上方でゆっくり上下に回転することによって、ロボット200の安心を表す生物的な動作が表現される。
【0056】
マイクロフォン213で「右」という声を検出したときの反応である「右方向回転」に対しては、
図12に示すように、動作制御部112は、頭部204を上下左右に大きく回転させる制御を行うことにより、胴体部206から上下方向に延びる軸線を中心としてロボット200を右方に回転させる。
【0057】
より詳細には、以下に述べる、回転準備制御を行った後に、第1回転制御及び第2回転制御を、この順で繰り返し実行することにより、回転を行う。回転準備制御では、頭部204を載置面から離すように上下モータ222で第2回転軸を中心として上方に非接触基準角度(例えば50の角度)回転させるとともに、ひねりモータ221で頭部204を第1回転軸を中心として回転準備角度(例えば、100の角度)にひねり回転させる。
【0058】
第1回転制御では、頭部204を、上下モータ222で下方に接触基準角度(例えば-100の角度)回転させることで載置面に接触させた状態で、ひねりモータ221で第1回転軸を中心として第1角度で(例えば、角度を100から-100まで)回転させる。また、第1回転制御では、頭部204が載置面に接触し、胴体部206の後端以外の部分が載置面から少し浮き上がり気味になる。したがって、胴体部206の後端以外の部分の載置面に対する摩擦力は、頭部204及び胴体部206の後端部分の載置面に対する摩擦力よりも小さくなる。そして、この状態で頭部204が第1回転軸を中心として時計回りに回転することにより、頭部204は載置面から右方向の摩擦力を受け、胴体部206から上下方向に延びる軸線を中心としてロボット200が右方に回転することになる。
【0059】
第2回転制御では、頭部204を載置面から離すように上下モータ222で第2回転軸を中心として上方に回転させるとともに、ひねりモータ221で頭部204を第1回転軸を中心として第1角度で回転させる前の角度に(例えば、角度を-100から100まで)戻すように回転させる。この制御により、頭部204は載置面に接触しなくなる(頭部204と載置面との間に摩擦力が生じなくなる)とともに、頭部204の第1回転軸を中心とする回転角度は、再度上述の第1回転制御を行うことができる角度に戻る。なお、第2回転制御では、頭部204を、第2回転軸を中心として上方に回転させて載置面から離す回転が完了してから、第1回転軸を中心として以前の角度に戻す回転を行ってもよい。また、頭部204を、第2回転軸を中心として上方に回転させて載置面から離す回転を行いながら、第1回転軸を中心として以前の角度に戻す回転を行ってもよい。
【0060】
マイクロフォン213で「まわれ右」という声を検出したときの反応である「右方向大回転」に対しては、
図13に示すように、動作制御部112は、頭部204を上下左右に大きく回転させる制御を行うことにより、胴体部206から上下方向に延びる軸線を中心としてロボット200を右方に大きく回転させる。
【0061】
より詳細には、上述の第1回転制御及び第2回転制御を、この順で、反応「右方向回転」の繰り返し回数より多い回数(例えば2倍の回数)、繰り返し実行することにより、回転を行う。
【0062】
マイクロフォン213で「左」という声を検出したときの反応である「左方向回転」に対しては、
図13に示すように、動作制御部112は、頭部204を上下左右に大きく回転させる制御を行うことにより、胴体部206から上下方向に延びる軸線を中心としてロボット200を左方に回転させる。
【0063】
より詳細には、上述の第1回転制御及び第2回転制御を、この順で繰り返し実行することにより、回転を行うが、上述の第1角度を、反応「右方向回転」の逆(例えば、角度を-100から100まで)にして回転させる。
【0064】
マイクロフォン213で「まわれ左」という声を検出したときの反応である「左方向大回転」に対しては、
図14に示すように、動作制御部112は、頭部204を上下左右に大きく回転させる制御を行うことにより、胴体部206から上下方向に延びる軸線を中心としてロボット200を左方に大きく回転させる。
【0065】
より詳細には、上述の第1回転制御及び第2回転制御を、この順で、反応「左方向回転」の繰り返し回数より多い回数(例えば2倍の回数)、繰り返し実行することにより、回転を行うが、上述の第1角度を、反応「右方向回転」の逆(例えば、角度を-100から100まで)にして回転させる。
【0066】
制御部110の備えるクロックが毎時0分0秒を通知した時の反応である「時報」に対しては、
図14に示すように、動作制御部112は、上下モータ222を介して頭部204を上下基準角度に対して上方に回転させるとともに、ひねりモータ221を正転及び逆転させて頭部204をひねり基準角度に対して左右に振る制御を行うことにより、時報を告げる動作が表現される。
【0067】
鳴き声テーブル123は、
図15に示すように、反応テーブル121に定義された各反応に対して、出力部230から出力する鳴き声データが定義されている。なお、鳴き声データとは、鳴き声の音声データのことである。
図15では、わかりやすく示すために、各鳴き声データを説明する文が記載されているが、実際にはこれらの文で説明されている鳴き声データ自身が、鳴き声テーブル123に格納されている。
【0068】
次に、
図16に示すフローチャートを参照しながら、ロボット200の制御部110が実行するロボット制御処理について説明する。ロボット制御処理は、制御部110が、センサ部210からの検出値等に基づいて、ロボット200の動作や鳴き声を制御する処理である。ユーザがロボット200の電源をオンすると、ロボット制御処理が開始される。
【0069】
まず、外部刺激取得部111は、センサ部210から外部刺激を取得する(ステップS101)。ステップS101は、外部刺激取得ステップとも呼ばれる。
【0070】
そして、動作制御部112は、ステップS101で取得された外部刺激に応じて、反応テーブル121を参照して、どのような反応をすべきかを決定する(ステップS102)。ステップS102は、反応決定ステップとも呼ばれる。ステップS102において、動作制御部112は、反応決定手段として機能する。
【0071】
そして、動作制御部112は、ステップS102で決定された反応に応じて動作制御データ及び鳴き声データを取得する(ステップS103)。ステップS103は、動作データ取得ステップとも呼ばれる。ステップS103において、動作制御部112は、動作データ取得手段として機能する。
【0072】
そして、動作制御部112は、ステップS103で取得した動作制御データ及び鳴き声データによりロボット200の動作及び鳴き声を制御する(ステップS104)。具体的には、ステップS103で取得した動作制御データを用いて駆動部220を制御し、ステップS103で取得した鳴き声データを用いて出力部230から鳴き声を出力させる。ステップS104は、動作制御ステップとも呼ばれる。
【0073】
続いて、制御部110は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS105)。例えば、操作部240が、ロボット200の電源オフの指示を受け付けたら、処理を終了することになる。処理を終了するなら(ステップS105;Yes)、制御部110は、ロボット制御処理を終了する。
【0074】
処理を終了しないなら(ステップS105;No)、制御部110は、ステップS101に戻る。
【0075】
以上説明したロボット制御処理によれば、ロボット200は、頭部204と胴体部206とが連結部205で連結されているという簡易な構成であるにも関わらず、その構成からは想像できない回転動作を行うことができる。
【0076】
さらに、ロボット200は、このような簡易な構成であるにも関わらず、まるで生きているかのように見える種々の生物的な動作を行うことができる。
【0077】
種々の生物的な動作の一例として、頭部204を上方に向けて、左右に振ったり上下に振ったりすることにより、喜び、興奮、怒りを表現することができる。
【0078】
また、種々の生物的な動作の他の一例として、頭部204を下方に向けて、左右に振ったり上下に振ったりすることにより、不安、悲しみ、無気力を表現することができる。
【0079】
また、種々の生物的な動作のさらに他の一例として、頭部204をゆっくりと上下に動かすことにより、呼吸、平穏、安心を表現することができる。
【0080】
また、外部からの刺激に応じて反応を変化させることにより、より生物らしい動作をさせることができる。
【0081】
また、頭部204の回転速度にゆらぎを持たせることにより、より生物的な動きを表現することができる。
【0082】
また、頭部204を一時的に停止させることによっても、より生物的な動きを表現することができる。
【0083】
さらに、頭部204を一時的に停止させる際に、回転速度の逆数よりも短い時間で停止させることにより、頭部204を違和感なく停止させることができ、より生物的な動きを表現することができる。
【0084】
(実施形態2)
実施形態2として、疑似的な感情を持たせることができるロボット250について説明する。ロボット250の外観やハードウェア構成はロボット200と同様である。ロボット250の機能構成は
図17に示すように、ロボット200の機能構成と比較すると、感情設定部113、変化量学習部114、感情データ124、感情変化データ125及び成長日数データ126が追加されている。また、感情データ124、感情変化データ125及び成長日数データ126は、ロボット250の電源をオフにしても保存されていることが望ましいため、記憶部120のフラッシュメモリ等、不揮発性メモリに記憶される。
【0085】
感情設定部113は、ロボット250の疑似的な感情を表す感情パラメータ(感情データ124)を、外部刺激取得部111で取得された外部刺激及び後述する感情変化パラメータに応じて設定する。感情設定部113は、感情設定手段として機能する。
【0086】
変化量学習部114は、ロボット250の疑似的な感情を変化させるパラメータである感情変化パラメータ(感情変化データ125)を、外部刺激取得部111で取得された外部刺激に応じて学習し、記憶する。具体的には、変化量学習部114は、感情変化データ125を後述するロボット制御処理により、外部刺激に応じて増減させる。変化量学習部114は、感情変化パラメータ学習手段として機能する。
【0087】
感情データ124は、ロボット250に疑似的な感情を持たせるためのデータであり、
図18に示す感情マップ300上の座標を示すデータ(X,Y)である。感情マップ300は
図18に示すように、X軸311として安心度(不安度)の軸、Y軸312として興奮度(無気力度)の軸を持つ2次元の座標系で表される。感情マップ上の原点310(0,0)が通常時の感情を表す。そして、X座標の値(X値)が正でその絶対値が大きくなるほど安心度が高く、Y座標の値(Y値)が正でその絶対値が大きくなるほど興奮度が高い感情を表す。また、X値が負でその絶対値が大きくなるほど不安度が高く、Y値が負でその絶対値が大きくなるほど無気力度が高い感情を表す。
【0088】
感情データ124は、互いに異なる複数(本実施形態では4つ)の疑似的な感情を表すX値(安心度、不安度)とY値(興奮度、無気力度)の2つの値を持ち、X値とY値とで表される感情マップ300上の点が、ロボット250の疑似的な感情を表す。感情データ124の初期値は(0,0)であり、取得された外部刺激に応じて感情設定部113により設定される。なお、
図18では感情マップ300が2次元の座標系で表されているが、感情マップ300の次元数は任意である。感情マップ300を1次元で規定し、感情データ124として1つの値が設定されるようにしてもよい。また、他の軸を加えて3次元以上の座標系で感情マップ300を規定し、感情データ124として感情マップ300の次元数の個数の値が設定されるようにしてもよい。
【0089】
本実施形態においては、感情マップ300の初期値としてのサイズは、
図18の枠301に示すように、X値もY値も最大値が100、最小値が-100となっている。そして、第1期間の間、ロボット250の疑似的な成長日数が1日増える度に、感情マップ300の最大値、最小値ともに2ずつ拡大されていく。ここで第1期間とは、ロボット250が疑似的に成長する期間であり、ロボット250の疑似的な生誕から例えば50日の期間である。なお、ロボット250の疑似的な生誕とは、ロボット250の工場出荷後のユーザによる初回の起動時である。成長日数が25日になると、
図18の枠302に示すように、X値もY値も最大値が150、最小値が-150となる。そして、第1期間(この例では50日)経過後は、
図18の枠303に示すように、X値もY値も最大値が200、最小値が-200となって、感情マップ300のサイズが固定される。
【0090】
感情データ124の設定可能範囲は、感情マップ300によって規定される。このため、感情マップ300のサイズが拡大するにつれて、設定可能な感情データ124の範囲が拡大する。感情データ124の設定可能範囲が拡大することにより、より豊かな感情表現が可能になるので、ロボット250の疑似的な成長が、感情マップ300のサイズの拡大によって表現されることになる。そして、感情マップ300のサイズは第1期間経過後に固定され、ロボット250の疑似的な成長が終了する。
【0091】
感情変化データ125は、感情データ124のX値及びY値の各々を増減させる変化量を設定するデータである。本実施形態では、感情データ124のXに対応する感情変化データ125として、X値を増加させるDXPと、X値を減少させるDXMとがあり、感情データ124のY値に対応する感情変化データ125として、Y値を増加させるDYPと、Y値を減少させるDYMとがある。すなわち、感情変化データ125は、以下の4つの変数からなる。これらの変数はロボット250の疑似的な感情を変化させるパラメータなので、感情変化パラメータとも呼ばれる。
DXP:安心し易さ(感情マップでのX値のプラス方向への変化し易さ)
DXM:不安になり易さ(感情マップでのX値のマイナス方向への変化し易さ)
DYP:興奮し易さ(感情マップでのY値のプラス方向への変化し易さ)
DYM:無気力になり易さ(感情マップでのY値のマイナス方向への変化し易さ)
本実施形態では、一例として、これらの変数の初期値をいずれも10とし、上述した変化量学習部114により、最大20まで増加するものとしている。変化量学習部114により、感情変化データ125、すなわち感情の変化度合が変化するので、ロボット250は、ユーザによるロボット250との接し方に応じて、様々な性格を持つことになる。つまり、ロボット250の性格は、ユーザの接し方により、個々に異なって形成されることになる。
【0092】
成長日数データ126は、初期値が1であり、1日経過する度に1ずつ加算されていく。成長日数データ126により、ロボット250の疑似的な成長日数(疑似的な生誕からの日数)が表されることになる。
【0093】
次に、
図19に示すフローチャートを参照しながら、ロボット250の制御部110が実行するロボット制御処理について説明する。ユーザがロボット250の電源をオンすると、ロボット制御処理が開始される。
図19に示すように、ロボット250のロボット制御処理は、
図16に示すロボット200のロボット制御処理のステップS103がステップS112に置き換えられ、ステップS102とステップS112の間にステップS111が追加され、ステップS105の後にステップS113~ステップS116が追加された処理であるので、これら追加されたステップについて説明する。
【0094】
ステップS111では、感情設定部113が、感情変化データ125とステップS101で取得された外部刺激とに応じて、感情データ124を設定する。感情設定部113が感情データ124をどのように設定するかは任意であるが、ここでは、以下に一例を示す。なお、感情データ124のX値及びY値は感情マップ300のサイズによって最大値及び最小値が規定されているため、以下の演算によって感情マップ300の最大値を上回る場合には最大値が、感情マップ300の最小値を下回る場合には最小値が、それぞれ設定される。
【0095】
頭部204を撫でられる(安心する):X=X+DXP
頭部204を叩かれる(不安になる):X=X-DXM
(これらの外部刺激は頭部204のタッチセンサ211で検出可能)
胴体部206を撫でられる(興奮する):Y=Y+DYP
胴体部206を叩かれる(無気力になる):Y=Y-DYM
(これらの外部刺激は胴体部206のタッチセンサ211で検出可能)
頭を上にして抱かれる(喜ぶ):X=X+DXP及びY=Y+DYP
頭を下にして宙づりにされる(悲しむ):X=X-DXM及びY=Y-DYM
(これらの外部刺激はタッチセンサ211及び加速度センサ212で検出可能)
優しい声で呼びかけられる(平穏になる):X=X+DXP及びY=Y-DYM
大きな声で怒鳴られる(イライラする):X=X-DXM及びY=Y+DYP
(これらの外部刺激はマイクロフォン213で検出可能)
【0096】
ステップS112では、動作制御部112は、ステップS102で決定された反応及びステップS111で設定された感情データ124に応じて動作制御データ及び鳴き声データを取得する。ステップS112において、動作制御部112は、感情動作データ取得手段として機能する。このステップで動作制御データ及び鳴き声データを取得する際に感情データ124をどのように用いるかは任意である。例えば、感情データ124の値に応じて、動作制御データ及び鳴き声データを変更してもよい。この変更の一例としては、例えば感情データ124のXの値が大きいほど鳴き声データの音量を大きくし、感情データのYの値が大きいほど動作制御データに規定されている時間を小さくすることによって動作速度を速くすることが考えられる。
【0097】
また、実施形態1では動作テーブル122及び鳴き声テーブル123は、反応の各々に対して動作制御データ及び鳴き声データが定義されていたが、実施形態2では、動作テーブル122及び鳴き声テーブル123に、反応及び感情データ124の組の各々に対して、動作制御データ及び鳴き声データを定義してもよい。この場合は、動作制御部112は、ステップS102で決定された反応及びステップS111で設定された感情データ124の組の各々に対して定義された動作制御データ及び鳴き声データを取得する。
【0098】
図19に戻り、ステップS113では、制御部110は、クロック機能により、日付が変わったか否かを判定する。日付が変わっていないなら(ステップS113;No)、ステップS101に戻る。
【0099】
日付が変わったなら(ステップS113;Yes)、制御部110は、第1期間中であるか否かを判定する(ステップS114)。第1期間を、ロボット250の疑似的な生誕(工場出荷後のユーザによる初回の起動時)から例えば50日の期間とすると、制御部110は、成長日数データ126が50以下なら第1期間中であると判定する。第1期間中でないなら(ステップS114;No)、ステップS101に戻る。
【0100】
第1期間中なら(ステップS114;Yes)、変化量学習部114は、感情変化データ125(感情変化パラメータ)を学習する(ステップS115)。具体的には、その日のステップS111において、感情データ124のX値が1度でも感情マップ300の最大値に設定されたなら感情変化データ125のDXPに1を加算し、感情データ124のY値が1度でも感情マップ300の最大値に設定されたなら感情変化データ125のDYPに1を加算し、感情データ124のX値が1度でも感情マップ300の最小値に設定されたなら感情変化データ125のDXMに1を加算し、感情データ124のY値が1度でも感情マップ300の最小値に設定されたなら感情変化データ125のDYMに1を加算することによって、感情変化データ125を更新し、学習する。ただし、感情変化データ125の各値が大きくなりすぎると、感情データ124の1回の変化量が大きくなりすぎるので、感情変化データ125の各値は例えば20を最大値とし、それ以下に制限する。また、ここでは、感情変化データ125のいずれに対しても1を加算することとしたが、例えば、最大値又は最小値に設定された回数をカウントして、その回数が多い場合には、感情変化データ125に加算する数値を増やすようにしてもよい。
【0101】
ステップS115での感情変化データ125(感情変化パラメータ)の学習において、ステップS111で感情データ124が感情マップ300の最大値又は最小値に設定されるか否かは、ステップS101で取得された外部刺激に基づく。そして、ステップS101では、センサ部210が備える複数のセンサにより、互いに異なる種類の複数の外部刺激が取得されるので、これら複数の外部刺激の各々に応じて、感情変化データ125の各々が学習されることになる。例えば、頭部204のみが何度も撫でられると感情変化データ125のDXPのみが増加し、他の感情変化データ125は変化しないので、ロボット250は安心しやすい性格になる。また、頭部204のみが何度も叩かれると感情変化データ125のDXMのみが増加し、他の感情変化データ125は変化しないので、ロボット250は不安になりやすい性格になる。このように、変化量学習部114は、外部刺激の各々に応じて、感情変化データ125を互いに異ならせるように学習する。ステップS115は、感情変化パラメータ学習ステップとも呼ばれる。
【0102】
そして、制御部110は、感情マップ300を最大値、最小値ともに、2だけ拡大し(ステップS116)、成長日数データ126に1を加算して、ステップS101に戻る。なお、ここでは、感情マップ300を最大値、最小値ともに、2だけ拡大することとしたが、この拡大する数値「2」はあくまでも一例であり、3以上拡大してもよいし、1だけ拡大してもよい。また感情マップ300の軸毎、また最大値と最小値とで、拡大する数値が同じでなくてもよい。
【0103】
また、
図19では、感情変化パラメータの学習及び感情マップの拡大は、ステップS113で日付が変わったのを判定してから行われるものとしているが、基準時刻(例えば午後9時)になったことを判定してから行われるようにしてもよい。また、ステップS113での判定は、実際の日付で判定するのではなく、ロボット250が電源オンになっている時間を制御部110のタイマー機能で累計した値に基づいて判定してもよい。例えば、電源オンの累計時間が24の倍数の時間になる毎に、ロボット250が1日成長したとみなして、感情変化パラメータの学習及び感情マップの拡大が行われるようにしてもよい。
【0104】
ステップS111~ステップS116以外の処理については、実施形態1と同様の処理なので、説明を省略する。
【0105】
以上説明したロボット制御処理によれば、ロボット250は、簡易な構成であるにも関わらず、種々の生物的な動作を実行して、疑似的な感情を表現することができる。
【0106】
(変形例)
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。例えば、上述のロボット200,250では、ロボット200,250の動作は、動作テーブル122に定義された動作制御データで駆動部220を制御し、鳴き声テーブル123に定義された鳴き声データで出力部230から鳴き声を出力させていた。しかし、駆動部220の駆動のみ、又は出力部230からの鳴き声の出力のみを行ってもよい。また動作や鳴き声以外の制御が設定されていてもよい。動作や鳴き声以外の制御としては、例えば、ロボット200,250の出力部230にLEDが備えられている場合には、点灯させるLEDの色や明るさを制御することが考えられる。
【0107】
また、上述の実施形態では、ひねりモータ221及び上下モータ222という2つの駆動手段(モータ)により、ロボット200,250が動作していたが、駆動手段は2つのモータに限られない。例えば、第1回転軸を中心とする回転と第2回転軸を中心とする回転とをクラッチで切り替えることにより、1つのモータでロボット200,250を動作させてもよい。また、駆動手段は回転運動するモータに限られない。例えば、直線的に往復運動するアクチュエータを、当該往復運動をクランクやボールねじ等で回転運動に変換することにより、駆動手段として用いてもよい。
【0108】
また、上述の実施形態では、動作テーブル122に、
図10~
図14に示す種々の動作が定義されているが、ロボット200,250は、これらの全ての動作が実行可能に構成されていなくてもよく、これらの動作の少なくとも1つを実行可能に構成されていればよい。
【0109】
上述の実施形態において、制御部110のCPUが実行する動作プログラムは、あらかじめ記憶部120のROM等に記憶されていた。しかしながら、本発明は、これに限定されず、上述の各種処理を実行させるための動作プログラムを、既存の汎用コンピュータ等に実装することにより、上述の実施形態に係るロボット200,250の制御部110及び記憶部120に相当する装置として機能させてもよい。
【0110】
このようなプログラムの提供方法は任意であり、例えば、コンピュータが読取可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、MO(Magneto-Optical Disc)、メモリカード、USBメモリ等)に格納して配布してもよいし、インターネット等のネットワーク上のストレージにプログラムを格納しておき、これをダウンロードさせることにより提供してもよい。
【0111】
また、上述の処理をOS(Operating System)とアプリケーションプログラムとの分担、又は、OSとアプリケーションプログラムとの協働によって実行する場合には、アプリケーションプログラムのみを記録媒体やストレージに格納してもよい。また、搬送波にプログラムを重畳し、ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、ネットワーク上の掲示板(Bulletin Board System:BBS)に上記プログラムを掲示し、ネットワークを介してプログラムを配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0112】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲とを逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、前述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0113】
(付記1)
載置面に接触する胴体部と、
前記胴体部の前端部に、前記胴体部の前後方向に延びる第1回転軸を中心として回転自在に、かつ、前記胴体部の幅方向に延びる第2回転軸を中心として回転自在に、連結され、前記載置面に接触可能な頭部と、
前記第1回転軸を中心とする回転と前記第2回転軸を中心とする回転とを互いに独立して行うことにより、前記頭部を回転駆動する駆動手段と、
前記頭部を、前記載置面に接触させた状態で前記第1回転軸を中心として回転させるように前記駆動手段を制御する第1回転制御、及び、前記頭部を前記載置面から離すとともに前記頭部の回転角度を前記第1回転制御により回転させる前の角度に戻すように前記駆動手段を制御する第2回転制御を、この順で繰り返し実行する制御手段と、
を備えるロボット。
【0114】
(付記2)
前記制御手段は、
前記駆動手段を制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を第1初期角度又は第2初期角度に回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を第1角度範囲内に制御し、かつ前記頭部の回転角速度を第1角速度に制御する第1制御と、
前記駆動手段を制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を第3初期角度に回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲よりも小さい第2角度範囲内に制御し、かつ前記頭部の回転角速度を前記第1角速度よりも高い第2角速度に制御する第2制御と、
前記駆動手段を制御することによって、前記第1回転軸を中心として前記頭部をひねり基準角度に回転させた状態で、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも下方の角度範囲である第3角度範囲内に制御し、かつ前記頭部の回転角速度を前記第1角速度よりも低い第3角速度に制御する第3制御と、
前記駆動手段を制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を第4初期角度に回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲内に制御し、かつ前記頭部の回転角速度を前記第1角速度よりも低い第4角速度に制御する第4制御と、
前記駆動手段を制御することによって、前記第1回転軸を中心として前記頭部をひねり基準角度に回転させた状態で、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を、前記第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも下方の角度範囲である第5角度範囲内、又は、前記第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも下方から上下基準角度にかけての角度範囲である第6角度範囲内、又は、前記第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも上方から上下基準角度にかけての角度範囲である第7角度範囲内、のいずれかの角度範囲内に制御し、かつ前記頭部の回転角速度を、前記第4角速度よりも低い第5角速度、又は、前記第4角速度よりも低く前記第5角速度よりも高い第6角速度、又は、前記第5角速度よりも低い第7角速度、のいずれかの角速度に制御する第5制御と、
前記駆動手段を制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を第5初期角度に回転させてから、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転並びに前記第2回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部にそれぞれ交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第2角度範囲内に制御し、かつ前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角速度を前記第2角速度に制御し、さらに、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲よりも小さく上下基準角度よりも上方の角度範囲である第8角度範囲内に制御し、かつ前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角速度を前記第1角速度よりも高い第8角速度に制御に制御する第6制御と、の6つの制御のうちの少なくとも1つの制御を実行する、
付記1に記載のロボット。
【0115】
(付記3)
前記制御手段は、
前記駆動手段を前記第1制御で制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を上下基準角度に対して上方に前記第1初期角度だけ回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲内に制御するとともに、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角速度を前記第1角速度に制御して喜びの動作を表現し、
前記駆動手段を前記第2制御で制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を上下基準角度に対して上方に前記第3初期角度だけ回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第2角度範囲内に制御するとともに、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角速度を前記第2角速度に制御して興奮の動作を表現し、
前記駆動手段を前記第6制御で制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を上下基準角度に対して上方に前記第5初期角度だけ回転させてから、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転並びに、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部にそれぞれ交互に繰り返させ、前記頭部の第1回転軸を中心とした回転角度を前記第2角度範囲内に制御するとともに、前記頭部の第1回転軸を中心とする回転角速度を前記第2角速度に制御し、前記頭部の第2回転軸を中心とした回転角度を前記第8角度範囲内に制御するとともに、前記頭部の第2回転軸を中心とする回転角速度を前記第8角速度に制御して怒りの動作を表現する、
付記2に記載のロボット。
【0116】
(付記4)
前記制御手段は、
前記駆動手段を前記第1制御で制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を上下基準角度に対して下方に前記第2初期角度だけ回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲内に制御するとともに、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角速度を前記第1角速度に制御して不安の動作を表現し、
前記駆動手段を前記第3制御で制御することによって、前記第1回転軸を中心として前記頭部をひねり基準角度に回転させた状態で、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第3角度範囲内に制御するとともに、前記頭部の回転角速度を前記第3角速度に制御して悲しみの動作を表現し、
前記駆動手段を前記第4制御で制御することによって、前記第2回転軸を中心として前記頭部を上下基準角度に対して下方に前記第2初期角度だけ回転させた状態で、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第1角度範囲内に制御するとともに、前記第1回転軸を中心とした前記頭部の回転角速度を前記第4角速度に制御して無気力の動作を表現する、
付記2に記載のロボット。
【0117】
(付記5)
前記制御手段は、
前記駆動手段を前記第5制御で制御することによって、前記第1回転軸を中心として前記頭部をひねり基準角度に回転させた状態で、前記第2回転軸を中心とした前記頭部の正転及び逆転を、前記頭部に交互に繰り返させ、
前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第5角度範囲内に制御するとともに、前記頭部の回転角速度を前記第5角速度に制御して呼吸の動作を表現し、
前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第6角度範囲内に制御するとともに、前記頭部の回転角速度を前記第6角速度に制御して平穏の動作を表現し、
前記第2回転軸を中心とした前記頭部の回転角度を前記第7角度範囲内に制御するとともに、前記頭部の回転角速度を前記第7角速度に制御して安心の動作を表現する、
付記2に記載のロボット。
【0118】
(付記6)
外部刺激を取得する外部刺激取得手段と、
前記取得された外部刺激に応じた反応を決定する反応決定手段と、
疑似的な感情を変化させるための感情変化パラメータを、前記取得された外部刺激に応じて学習する感情変化パラメータ学習手段と、
疑似的な感情を表す感情パラメータを、前記取得された外部刺激及び前記学習された感情変化パラメータに応じて設定する感情設定手段と、
前記決定された反応及び前記設定された感情パラメータに応じて前記駆動手段を制御する動作制御データを取得する感情動作データ取得手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記取得された動作制御データに基づいて前記駆動手段を制御して、前記頭部を回転させる、
付記1から5のいずれか1つに記載のロボット。
【0119】
(付記7)
前記制御手段は、前記動作制御データに基づいて前記駆動手段を制御する際に、前記頭部の回転速度を増減させる、
付記6に記載のロボット。
【0120】
(付記8)
前記制御手段は、前記動作制御データに基づいて前記駆動手段を制御する際に、前記頭部の回転を一時的に停止させる、
付記6又は7に記載のロボット。
【0121】
(付記9)
前記制御手段は、前記頭部の回転を一時的に停止させる際に、前記頭部の回転速度の逆数よりも短い時間で停止させる、
付記8に記載のロボット。
【0122】
(付記10)
載置面に接触する胴体部と、
前記胴体部の前端部に、前記胴体部の前後方向に延びる第1回転軸を中心として回転自在に、かつ、前記胴体部の幅方向に延びる第2回転軸を中心として回転自在に、連結され、前記載置面に接触可能な頭部と、
前記第1回転軸を中心とする回転と前記第2回転軸を中心とする回転とを互いに独立して行うことにより、前記頭部を回転駆動する駆動手段と、
を備えるロボットの制御方法であって、
外部から前記ロボットに作用する外部刺激を取得する外部刺激取得ステップと、
前記取得された外部刺激に応じた反応を決定する反応決定ステップと、
前記決定された反応に応じた動作制御データを取得する動作データ取得ステップと、
前記取得された動作制御データに基づいて、前記駆動手段を制御することにより、前記頭部を、前記載置面に接触させた状態で前記第1回転軸を中心として回転させるように前記駆動手段を制御する第1回転制御、及び、前記頭部を前記載置面から離すとともに前記頭部の回転角度を前記第1回転制御により回転させる前の角度に戻すように前記駆動手段を制御する第2回転制御を、この順で繰り返し実行する動作制御ステップと、
を備えるロボットの制御方法。
【0123】
(付記11)
載置面に接触する胴体部と、
前記胴体部の前端部に、前記胴体部の前後方向に延びる第1回転軸を中心として回転自在に、かつ、前記胴体部の幅方向に延びる第2回転軸を中心として回転自在に、連結され、前記載置面に接触可能な頭部と、
前記第1回転軸を中心とする回転と前記第2回転軸を中心とする回転とを互いに独立して行うことにより、前記頭部を回転駆動する駆動手段と、
を備えるロボットのコンピュータに、
外部から前記ロボットに作用する外部刺激を取得する外部刺激取得ステップ、
前記取得された外部刺激に応じた反応を決定する反応決定ステップ、
前記決定された反応に応じた動作制御データを取得する動作データ取得ステップ、及び、
前記取得された動作制御データに基づいて、前記駆動手段を制御することにより、前記頭部を、前記載置面に接触させた状態で前記第1回転軸を中心として回転させるように前記駆動手段を制御する第1回転制御、及び、前記頭部を前記載置面から離すとともに前記頭部の回転角度を前記第1回転制御により回転させる前の角度に戻すように前記駆動手段を制御する第2回転制御を、この順で繰り返し実行する動作制御ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0124】
110…制御部、111…外部刺激取得部、112…動作制御部、113…感情設定部、114…変化量学習部、120…記憶部、121…反応テーブル、122…動作テーブル、123…鳴き声テーブル、124…感情データ、125…感情変化データ、126…成長日数データ、200,250…ロボット、201…外装、202…装飾部品、203…毛、204…頭部、205…連結部、206…胴体部、207…筐体、210…センサ部、211…タッチセンサ、212…加速度センサ、213…マイクロフォン、220…駆動部、221…ひねりモータ、222…上下モータ、230…出力部、231…スピーカ、240…操作部、300…感情マップ、301,302,303…枠、310…原点、311…X軸、312…Y軸、BL…バスライン