IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許-電池監視システム 図1
  • 特許-電池監視システム 図2
  • 特許-電池監視システム 図3
  • 特許-電池監視システム 図4
  • 特許-電池監視システム 図5
  • 特許-電池監視システム 図6
  • 特許-電池監視システム 図7
  • 特許-電池監視システム 図8
  • 特許-電池監視システム 図9
  • 特許-電池監視システム 図10
  • 特許-電池監視システム 図11
  • 特許-電池監視システム 図12
  • 特許-電池監視システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】電池監視システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/3828 20190101AFI20240509BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240509BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20240509BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20240509BHJP
   G01R 31/389 20190101ALI20240509BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240509BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240509BHJP
【FI】
G01R31/3828
H01M10/48 P
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/389
H02J13/00 301A
H02J7/02 H
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022163245
(22)【出願日】2022-10-11
(62)【分割の表示】P 2018179509の分割
【原出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2023001121
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】沼田 達宏
(72)【発明者】
【氏名】久保 俊一
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/072002(WO,A1)
【文献】特開2017-150925(JP,A)
【文献】特開2009-148005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/3828
H01M 10/48
G01R 31/382
G01R 31/385
G01R 31/389
H02J 13/00
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上のセル(81)を含む電池モジュール(80)が複数あり、前記電池モジュールが互いに直列接続されており、前記セルの電圧値及び前記電池モジュールの電流値に基づいて前記セルの状態を監視する電池監視システム(90)であって、
前記電流値を逐次検出する電流検出部(10,16,17)と、
複数の前記電池モジュールごとに設けられており、前記電圧値を検出する電圧検出部(22)と、
複数の前記電池モジュールごとに設けられており、前記電圧検出部により検出された前記電圧値に基づく情報を無線送信する子機(24)と、
前記各子機が無線送信した前記電圧値に基づく情報を無線受信する親機(31)と、
前記親機が受信した前記電圧値に基づく情報が入力される中央監視部(32)と、
前記電流検出部と、前記中央監視部とを通信可能に有線接続する有線回線(41)と、を備え
前記中央監視部は、前記電圧値の取得要求である電圧取得要求を作成し、
前記親機は、作成された前記電圧取得要求を前記子機に無線送信し、
無線送信された前記電圧取得要求を受信した前記子機は、前記電圧検出部により検出された前記電圧値を前記子機から前記親機に無線送信し、
前記中央監視部は、前記親機により受信された前記電圧値を取得し、
前記電流検出部は、前記電圧取得要求が作成されたタイミングの前後において、前記電流値を逐次検出する、電池監視システム。
【請求項2】
少なくとも1つ以上のセル(81)を含む電池モジュール(80)が複数あり、前記電池モジュールが並列接続及び直列接続のうち互いに直列接続のみされており、前記セルの電圧値及び前記電池モジュールの電流値に基づいて前記セルの状態を監視する電池監視システム(90)であって、
前記電流値を検出する電流検出部(10,16,17)と、
複数の前記電池モジュールごとに設けられており、前記電圧値を検出する電圧検出部(22)と、
複数の前記電池モジュールごとに設けられており、前記電圧検出部により検出された前記電圧値に基づく情報を無線送信する子機(24)と、
前記各子機が無線送信した前記電圧値に基づく情報を無線受信する親機(31)と、
前記親機が受信した前記電圧値に基づく情報が入力される中央監視部(32)と、
前記電流検出部と、前記中央監視部とを通信可能に有線接続する有線回線(41)と、を備える、電池監視システム。
【請求項3】
少なくとも1つ以上のセル(81)(ただし、前記セルが、負荷に給電する主電源が停止することにより前記負荷への給電が開始される非常用電源に用いられるセルである場合を除く。)を含む電池モジュール(80)が複数あり、前記電池モジュールが互いに直列接続されており、前記セルの電圧値及び前記電池モジュールの電流値に基づいて前記セルの状態を監視する電池監視システム(90)であって、
前記電流値を検出する電流検出部(10,16,17)と、
複数の前記電池モジュールごとに設けられており、前記電圧値を検出する電圧検出部(22)と、
複数の前記電池モジュールごとに設けられており、前記電圧検出部により検出された前記電圧値に基づく情報を無線送信する子機(24)と、
前記各子機が無線送信した前記電圧値に基づく情報を無線受信する親機(31)と、
前記親機が受信した前記電圧値に基づく情報が入力される中央監視部(32)と、
前記電流検出部と、前記中央監視部とを通信可能に有線接続する有線回線(41)と、を備える、電池監視システム。
【請求項4】
前記電流検出部は、複数の前記電池モジュールの直列接続体に対して1つのみ設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項5】
複数の前記電池モジュールごとに設けられたサテライトユニット(20)を備え、
前記サテライトユニットには、前記電圧検出部及び前記子機が設けられており、
前記有線回線は、前記電流検出部と、前記各サテライトユニットとを通信可能に有線接続する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項6】
複数のセル(81)が互いに直列接続されており、前記セルの電圧値及び電流値に基づいて前記セルの状態を監視する電池監視システム(90)であって、
前記電流値を逐次検出する電流検出部(10,16,17)と、
少なくとも2つ以上の前記セルの直列接続体ごと、又は前記セルごとに設けられており、前記電圧値を検出する電圧検出部(22)と、
少なくとも2つ以上の前記セルの直列接続体ごと、又は前記セルごとに設けられており、前記電圧検出部により検出された前記電圧値に基づく情報を無線送信する子機(24)と、
前記各子機が無線送信した前記電圧値に基づく情報を無線受信する親機(31)と、
前記親機が受信した前記電圧値に基づく情報が入力される中央監視部(32)と、
前記電流検出部と、前記中央監視部とを通信可能に有線接続する有線回線(41)と、を備え
前記中央監視部は、前記電圧値の取得要求である電圧取得要求を作成し、
前記親機は、作成された前記電圧取得要求を前記子機に無線送信し、
無線送信された前記電圧取得要求を受信した前記子機は、前記電圧検出部により検出された前記電圧値を前記子機から前記親機に無線送信し、
前記中央監視部は、前記親機により受信された前記電圧値を取得し、
前記電流検出部は、前記電圧取得要求が作成されたタイミングの前後において、前記電流値を逐次検出する、電池監視システム。
【請求項7】
複数のセル(81)が並列接続及び直列接続のうち互いに直列接続のみされており、前記セルの電圧値及び電流値に基づいて前記セルの状態を監視する電池監視システム(90)であって、
前記電流値を検出する電流検出部(10,16,17)と、
少なくとも2つ以上の前記セルの直列接続体ごと、又は前記セルごとに設けられており、前記電圧値を検出する電圧検出部(22)と、
少なくとも2つ以上の前記セルの直列接続体ごと、又は前記セルごとに設けられており、前記電圧検出部により検出された前記電圧値に基づく情報を無線送信する子機(24)と、
前記各子機が無線送信した前記電圧値に基づく情報を無線受信する親機(31)と、
前記親機が受信した前記電圧値に基づく情報が入力される中央監視部(32)と、
前記電流検出部と、前記中央監視部とを通信可能に有線接続する有線回線(41)と、を備える、電池監視システム。
【請求項8】
複数のセル(81)(ただし、前記セルが、負荷に給電する主電源が停止することにより前記負荷への給電が開始される非常用電源に用いられるセルである場合を除く。)が互いに直列接続されており、前記セルの電圧値及び電流値に基づいて前記セルの状態を監視する電池監視システム(90)であって、
前記電流値を検出する電流検出部(10,16,17)と、
少なくとも2つ以上の前記セルの直列接続体ごと、又は前記セルごとに設けられており、前記電圧値を検出する電圧検出部(22)と、
少なくとも2つ以上の前記セルの直列接続体ごと、又は前記セルごとに設けられており、前記電圧検出部により検出された前記電圧値に基づく情報を無線送信する子機(24)と、
前記各子機が無線送信した前記電圧値に基づく情報を無線受信する親機(31)と、
前記親機が受信した前記電圧値に基づく情報が入力される中央監視部(32)と、
前記電流検出部と、前記中央監視部とを通信可能に有線接続する有線回線(41)と、を備える、電池監視システム。
【請求項9】
前記電流検出部は、複数の前記セルの直列接続体に対して1つのみ設けられている、請求項6~8のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項10】
少なくとも2つ以上の前記セルの直列接続体、又は前記セルごとに設けられたサテライトユニット(20)を備え、
前記サテライトユニットには、前記電圧検出部及び前記子機が設けられており、
前記有線回線は、前記電流検出部と、前記各サテライトユニットとを通信可能に有線接続する、請求項6~9のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項11】
前記中央監視部は、前記親機が受信した前記電圧値に基づく情報と、前記有線回線を通じて入力された前記電流値とに基づいて、前記セルの充電状態を演算する、請求項1~10のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項12】
前記各サテライトユニットは、前記電圧値に基づく情報及び前記電流値に基づく情報に基づいて、前記セルの状態を演算し、
前記各子機は、演算された前記セルの状態の情報を前記親機に無線送信する、請求項5又は10に記載の電池監視システム。
【請求項13】
複数の前記電池モジュールごとに設けられたサテライトユニット(20)を備え、
前記サテライトユニットには、前記電圧検出部及び前記子機が設けられており、
前記有線回線は、前記電流検出部と、前記各サテライトユニットとを通信可能に有線接続し、
前記中央監視部は、前記電圧値の取得要求である電圧取得要求を作成し、
前記親機は、作成された前記電圧取得要求を前記子機へ無線送信し、
前記各サテライトユニットは、前記子機により受信された前記電圧取得要求に基づいて、前記電圧検出部から前記電圧値を取得すると共に、前記電流検出部から逐次出力される前記電流値のうち前記電圧値と同期するフレームを取得する、請求項2又は3に記載の電池監視システム。
【請求項14】
少なくとも2つ以上の前記セルの直列接続体、又は前記セルごとに設けられたサテライトユニット(20)を備え、
前記サテライトユニットには、前記電圧検出部及び前記子機が設けられており、
前記有線回線は、前記電流検出部と、前記各サテライトユニットとを通信可能に有線接続し、
前記中央監視部は、前記電圧値の取得要求である電圧取得要求を作成し、
前記親機は、作成された前記電圧取得要求を前記子機へ無線送信し、
前記各サテライトユニットは、前記子機により受信された前記電圧取得要求に基づいて、前記電圧検出部から前記電圧値を取得すると共に、前記電流検出部から逐次出力される前記電流値のうち前記電圧値と同期するフレームを取得する、請求項7又は8に記載の電池監視システム。
【請求項15】
前記中央監視部は、前記電流値に基づく情報を、前記有線回線を介して受信し、受信した前記電流値に基づく情報に基づいて、前記セルの電流積算値を演算する、請求項1~14のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項16】
前記子機は、前記電圧検出部により検出された情報及び前記電流検出部により検出された情報を前記親機に無線送信し、
前記中央監視部には、前記親機が受信した前記電圧値に基づく情報及び前記電流値に基づく情報が入力され、
前記中央監視部は、前記親機から入力された情報に基づいて、前記セルの充電状態を演算する、請求項1~14のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項17】
前記各電圧検出部は、互いに異なるタイミングで前記電流値に基づく情報を取得し、
前記中央監視部には、互いに異なるタイミングで取得された前記電流値に基づく情報が前記子機及び前記親機を介して入力される、請求項1~16のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項18】
前記電流検出部は、前記各子機に対して1つであり、
前記各子機は、1つの前記電流検出部から前記電流値に基づく情報を取得する、請求項1~17のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項19】
前記電流検出部は、前記子機毎に設けられ、
前記各子機は、自身に対応する前記電流検出部から前記電流値に基づく情報を取得する、請求項1~17のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項20】
前記中央監視部は、
前記有線回線を介して前記電流値に基づく情報を受信し、
前記有線回線を介して受信した前記電流値に基づく情報と、前記子機及び前記親機を介して受信した前記電流値に基づく情報とを比較する、請求項1~19のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項21】
前記電流検出部は、前記電流値に基づく情報をデジタル信号で出力し、
前記有線回線及び前記子機の間の絶縁処理を行いつつ、前記デジタル信号を伝達するアイソレータ(21,23)を備える、請求項1~20のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項22】
前記アイソレータとして、
前記有線回線と前記電圧検出部とを接続するとともに、前記有線回線及び前記電圧検出部の間の絶縁処理を行いつつ、前記電流検出部から出力された前記電流値に基づくデジタル信号を前記電圧検出部に伝達する第1アイソレータ(21)と、
前記電圧検出部と前記子機とを接続するとともに、前記電圧検出部及び前記子機の間の絶縁処理を行いつつ、前記電圧検出部から出力された前記電圧値に基づくデジタル信号及び前記電流値に基づくデジタル信号を前記子機に伝達する第2アイソレータ(23)と、を備える、請求項21に記載の電池監視システム。
【請求項23】
前記電圧検出部は、前記電流検出部から前記電流値に基づく情報を取得し、前記子機は、前記電圧検出部から前記電圧値と前記電流値とに基づく情報を取得する、請求項1~22のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項24】
前記各子機は、前記電圧検出部から出力された前記電圧値に基づく情報を取得するとともに、前記電流検出部から出力された前記電流値に基づく情報を前記電圧検出部を経由せずに取得する、請求項1~21のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項25】
前記中央監視部は、前記有線回線を通じて入力される前記電流値に基づく情報を、前記親機が受信した前記電圧値に基づく情報よりも頻繁に受信する、請求項1~24のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項26】
前記電流検出部(16)は、前記セルの直列接続体に直列接続されたシャント抵抗(16a)と、前記シャント抵抗の両端間の電圧差から前記電流値を演算する演算部(22)とを有する、請求項1~25のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【請求項27】
前記電流検出部(17)は、前記セルの直列接続体に接続されることにより充電され及びその接続が切断されるコンデンサ(17b)と、前記コンデンサが充電された時間と充電後の前記コンデンサの電圧とから前記電流値を演算する演算部(17e)とを有する、請求項1~26のいずれか1項に記載の電池監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルを有する電池モジュールを複数監視する電池監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1のシステムは、電池モジュール毎に設けられている電池セル管理装置と、それら複数の電池セル管理装置に対して1つのみの組電池管理装置とを有する。電池セル管理装置は、自身に対応する電池モジュールの各電池セルの電圧値を検出し、その電圧値を無線送信する。組電池管理装置は、各電池セル管理装置が無線送信した電圧値を受信して、当該電圧値とそれとは別に受信した電池セルの電流値とから、電池セルの充電状態を演算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6093448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、新たな構成の電池監視システムが望まれている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、新たな構成の電池監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の構成は、少なくとも1つ以上のセルを含む電池モジュールが複数あり、前記電池モジュールが互いに直列接続されており、前記セルの電圧値及び前記電池モジュールの電流値に基づいて前記セルの状態を監視する電池監視システムであって、
前記電流値を検出する電流検出部と、
複数の前記電池モジュールごとに設けられており、前記電圧値を検出する電圧検出部と、
複数の前記電池モジュールごとに設けられており、前記電圧検出部により検出された前記電圧値に基づく情報を無線送信する子機と、
前記各子機が無線送信した前記電圧値に基づく情報を無線受信する親機と、
前記親機が受信した前記電圧値に基づく情報が入力される中央監視部と、
前記電流検出部と、前記中央監視部とを通信可能に有線接続する有線回線と、を備える。
【0007】
第2の構成は、複数のセルが互いに直列接続されており、前記セルの電圧値及び電流値に基づいて前記セルの状態を監視する電池監視システムであって、
前記電流値を検出する電流検出部と、
少なくとも2つ以上の前記セルの直列接続体ごと、又は前記セルごとに設けられており、前記電圧値を検出する電圧検出部と、
少なくとも2つ以上の前記セルの直列接続体ごと、又は前記セルごとに設けられており、前記電圧検出部により検出された前記電圧値に基づく情報を無線送信する子機と、
前記各子機が無線送信した前記電圧値に基づく情報を無線受信する親機と、
前記親機が受信した前記電圧値に基づく情報が入力される中央監視部と、
前記電流検出部と、前記中央監視部とを通信可能に有線接続する有線回線と、を備える。
【0008】
第1の構成及び第2の構成によれば、新たな構成の電池監視システムを提供することができる。
【0009】
なお、本発明及び本明細書でいう「同期」及び「同時期」は、電圧値の検出タイミングと電流値の検出タイミングとの差が、セルの内部抵抗の演算精度に支障がない範囲内に収まっていることをいう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の電池監視システムを示す概略図
図2図1の一部を拡大した拡大図
図3】電池監視システムの動作を示すフローチャート
図4】電圧データ及び電流データの取得タイミング等を示すタイムチャート
図5】変更例における同取得タイミング等を示すタイムチャート
図6】第2実施形態の電池監視システムを示す概略図
図7】第3実施形態の電池監視システムを示す概略図
図8】電流データの送信等を示すグラフ
図9】第4実施形態の電池監視システムを示す概略図
図10】第5実施形態の電池監視システムを示す概略図
図11】第6実施形態の電池監視システムを示す概略図
図12】第7実施形態の電池監視システムを示す概略図
図13】電流値の演算方法等を説明するためのグラフ等
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。但し、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0012】
[第1実施形態]
図1は本実施形態の電池監視システム90を示す概略図である。電池監視システム90は、複数の電池モジュール80を監視する。各電池モジュール80は、直列回路85により直列接続された複数のセル81を有する。また、電池モジュール80どうしも、直列回路85により直列接続されている。電池監視システム90は、電流センサ10と、複数のサテライトユニット20と、電池ECU30(ECU:Electronic Control Unit)とを有する。電流センサ10と各サテライトユニット20とは、有線回線41により通信可能に有線接続されている。さらに、有線回線41は、電流センサ10と電池ECU30とを通信可能に有線接続している。
【0013】
図2図1の部分拡大図である。本実施形態では、電流センサ10が、本発明でいう「電流検出部」に相当する。電流センサ10は、複数のサテライトユニット20に対して1つである。電流センサ10は、配線42により電源43に接続されており、電源43から必要な電力が供給される。電流センサ10は、電流検出回路11と、デジタル通信部12とを有する。電流検出回路11は、直列回路85に流れる電流値を検出する。その検出は、例えば、電流値に対応する磁界強度を、直列回路85から電気的に絶縁された状態で検出することにより行う。直列回路85に流れる電流値は、各電池モジュール80及びそれらの各セル81に流れる電流値に相当する。デジタル通信部12は、電流検出回路11が検出した電流値をデジタル信号に変えて出力する。本実施形態では、この電流センサ10は、逐次、電流値を検出して、その電流値を信号化した電流データをデジタル出力するものである。但し、この電流センサ10は、電流取得要求に応じて、電流値を検出して、その電流データをデジタル出力するものであってもよい。この場合、デジタル通信部12は、サテライトユニット20からの電流取得要求を受信する。
【0014】
サテライトユニット20は、電池モジュール80毎に設けられている。各サテライトユニット20は、第1アイソレータ21と、監視IC22と、第2アイソレータ23と、子機24とを備える。本実施形態では、監視IC22が、本発明でいう「電圧検出部」に相当する。
【0015】
デジタル通信部12と各監視IC22とは、有線回線41と第1アイソレータ21とを介して通信可能に有線接続されている。第1アイソレータ21は、例えば、磁気カプラ、フォトカプラ等である。第1アイソレータ21は、デジタル通信部12の回路が低電圧帯の回路であり、監視IC22が高電圧帯の回路であることから、それら両者間の絶縁処理を行いつつ、電流データを伝達するために設けられている。
【0016】
監視IC22は、デジタル通信部12から電流データを,第1アイソレータ21を介してデジタル信号で有線受信する。監視IC22は、電圧検出回路とレジスタと制御部とを有する。電圧検出回路は、電池モジュール80の各セル81の電圧値(端子間電圧)を検出する。レジスタは、電圧検出回路が検出した電圧値を信号化した電圧データや、電流センサ10から有線受信した電流データ等を格納する。制御部は、それら電圧検出回路やレジスタ等を制御する。
【0017】
監視IC22と子機24とは、第2アイソレータ23を介して通信可能に有線接続されている。第2アイソレータ23は、例えば、磁気カプラ、フォトカプラ等である。第2アイソレータ23は、監視IC22が高電圧帯の回路であり、子機24の回路が低電圧帯の回路であることから、それら両者間の絶縁処理を行いつつ、電圧データ及び電流データを伝達するために設けられている。
【0018】
子機24は、監視IC22から電流データ及び電圧データを、第2アイソレータ23を介してデジタル信号で有線受信する。子機24は、アンテナ24aを備え、有線受信した電流データ及び電圧データをアンテナ24aから無線送信する。また、子機24は、電池ECU30からの指令をアンテナ24aで無線受信する。
【0019】
電池ECU30は、親機31と、MCU32(MCU:Micro Controller Unit)と、電源出力部33とを有する。本実施形態では、MCU32が、本発明でいう「中央監視部」に相当する。
【0020】
親機31は、アンテナ31aを備え、子機24が無線送信した電流データ及び電圧データをアンテナ31aで無線受信する。また、親機31は、サテライトユニット20への指令をアンテナ31aから無線送信する。親機31とMCU32とは、通信可能に有線接続されている。
【0021】
MCU32は、子機24及び親機31を通じて受信した電圧データ及び電流データから、セル81の内部抵抗を演算する。それに基づいて、セル81の充電状態(SOC:State Of Charge)を演算する。また、MCU32は、デジタル通信部12から有線回線41を通じて電流データを受信し、その電流データからセル81の電流積算値を演算する。
【0022】
電源出力部33は、配線42により電源43に接続されており、電源43から供給される電力をMCU32や親機31に出力する。
【0023】
図3は、電池ECU30及びサテライトユニット20の動作を示すフローチャートである。電池ECU30は、MCU32で電圧取得要求を作成し(S301)、その電圧取得要求を親機31から無線送信する(S302)。次に、その無線送信が各子機24で受信されたか否か、すなわち、無線通信が成立したか否かを確認する(S303)。成立したと確認されない場合(S303:NO)には、無線通信をリトライする。
【0024】
無線通信が成立した場合(S303:YES)、サテライトユニット20は、監視IC22の電圧検出回路により各セル81の電圧データを取得すると共に、それと同期の電流データを電流センサ10から取得する(S204)。それら電圧データ及び電流データは、監視IC22のレジスタに格納される。そして、取得した電流データ及び電圧データを、子機24から無線送信する(S205)。次に、その無線送信が親機31で受信されたか否か、すなわち、無線通信が成立したか否かを確認する(S206)。成立したと確認されない場合(S206:NO)は、無線通信をリトライする。
【0025】
無線通信が成立した場合(S206:YES)、電池ECU30は、MCU32により、電圧データ及び電流データからセル81の内部抵抗の演算を行い、その内部抵抗に基づいてセル81の充電状態の演算を行う(S307)。
【0026】
図4は、本実施形態、すなわち、電流センサ10が電流データを逐次出力する場合における、レジスタでの電圧データ及び電流データの取得タイミングを示すタイムチャートである。詳しくは、図4(a)は、MCU32による電圧取得要求のON-OFFを示すタイムチャートである。図4(b)は、デジタル通信部12からの電流データの出力を示すタイムチャートである。図4(c)は、監視IC22の制御部における電圧取得フラグのON-OFFを示すタイムチャートである。図4(d)は、監視IC22の電圧検出回路からの電圧データの出力を示すタイムチャートである。図4(e)は、監視IC22のレジスタへの電圧データ及び電流データの格納を示すタイムチャートである。
【0027】
図4(a)に示すように、MCU32から電圧取得要求が出される(S301)と、その電圧取得要求が親機31、子機24を通じて(S302,S303)監視IC22に送信され、監視IC22の制御部で、図4(c)に示すように、電圧取得フラグがONになる。それにより、監視IC22の電圧検出回路が、各セル81の電圧値を検出して、図4(d)に示すように、その電圧データを出力する。その電圧データと、それと同期に電流センサ10が出力した図4(b)に示す電流データとが、図4(e)に示すように、監視IC22のレジスタに格納される(S204)。このとき、監視IC22の制御部は、電流センサ10から逐次出力されるデジタル信号のどこからどこまでを取得するかを判定して、電流データの1フレームを取得する。
【0028】
図5は、本実施形態の変更例、詳しくは、電流取得要求により電流センサ10が電流値を検出して電流データを出力する場合における、レジスタでの電圧データ及び電流データの取得タイミングを示すグラフである。詳しくは、図5(a)(b)は、図4(a)(b)に対応するタイムチャートである。図5(c)は、監視IC22の制御部における電流取得フラグのON-OFFを示すタイムチャートである。図5(d)~(f)は、図4(c)~(e)に対応するタイムチャートである。
【0029】
図5(a)に示すように、MCU32から電流取得要求及び電圧取得要求が出される(S301)と、その電流取得要求及び電圧取得要求が親機31、子機24を通じて(S302,S303)監視IC22に送信され、監視IC22の制御部で、図5(c)に示すように電流取得フラグがONになると共に、図5(d)に示すように電圧取得フラグがONになる。それにより、電流センサ10が電流値を検出して、その電流データを図5(b)に示すように出力すると共に、監視IC22の電圧検出回路が各セル81の電圧値を検出して、その電圧データを図5(e)に示すように出力する。それら電圧データ及び電流データが、図5(f)に示すように監視IC22のレジスタに格納される(S204)。
【0030】
本実施形態によれば、子機24は、データを親機31に無線送信するため、有線送信する場合に比べて、子機24と親機31との間で有線回線の設置スペースを削減できる。また、子機24は、電圧データと電流データとを有線受信するため、無線受信する場合とは違い、無線通信を失敗してリトライすることがない。そのため、そのリトライにより電圧値の検出タイミングと電流値の検出タイミングとがずれてしまうこともない。そのため、電圧値と電流値との同期化を図ることができる。そのため、その後に,たとえ無線送信に失敗して無線送信をリトライした場合にも、電圧値の検出タイミングと電流値の検出タイミングとがずれてしまうことがない。そのため、MCU32によるセル81の内部抵抗の演算精度を向上させることができ、それによりセル81の充電状態の演算精度を向上させることができる。
【0031】
また、複数のサテライトユニット20に対して電流センサ10を1つにすることにより、電池監視システム90の構造をシンプルにすると共に、コストを削減することができる。
【0032】
また、監視IC22は、電流センサ10から電流データを有線受信し、その電流データと検出した電圧値の電圧データとを子機24に有線送信するため、監視IC22で、電流値及び電圧値を統合させることができる。また、電流センサ10と監視IC22とが直列に有線接続されるため、サテライトユニット20の構造がシンプルになる。
【0033】
また、絶縁処理を行いつつデジタル信号を伝達するアイソレータ21,23があるため、本実施形態のように、電流センサ10側の電圧よりも監視IC22側の電圧の方が高圧になる場合や、監視IC22側の電圧よりも子機24側の電圧の方が低圧になる場合等、電流センサ10側と子機24側とに電位差が生じる場合にも対応することができる。
【0034】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態のものと同一の又は対応する部材は同一の符号を付して、第1実施形態と異なる点のみを説明する。
【0035】
図6は、本実施形態の電池監視システム90を示す概略図である。電流センサ10は、監視IC22に対してではなく、子機24に対して通信可能に有線接続されている。そして、第1アイソレータ21は、電流センサ10と子機24との間に設置されている。よって、子機24は、監視IC22から電圧データを有線受信すると共に、電流センサ10から電流データを監視IC22を経由せずに有線受信する。電圧データと、それと同時期に電流センサ10により検出された電流データとは、子機24のレジスタ内に格納される。
【0036】
本実施形態によれば、電流値及び電圧値を、子機24で統合することができる。また、電流センサ10で検出した電流データを、監視IC22を経由せずに直接、子機24に有線送信できる。そのため、電圧データについては、電圧取得要求に応じて、電流データと同期させて無線送信する一方、電流データについては、逐次、電池ECU30に送信するといったことを行い易くなる。そのため、MCU32が、定期的に子機24及び親機31を通じて受信した電流データに基づく電流値を、有線回線41を通じて受信した電流データに基づく電流値と比較することにより、電圧値と同期している電流値の箇所を想定し易くなる。
【0037】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態のものと同一の又は対応する部材は同一の符号を付して、第1実施形態と異なる点のみを説明する。
【0038】
図7は、本実施形態の電池監視システム90を示す概略図である。有線回線41は、電流センサ10を各サテライトユニット20にのみ有線接続しており、電池ECU30には有線接続していない。すなわち、電池監視システム90は、電流データを電流センサ10からMCU32にまで有線送信する経路を備えない。そのため、MCU32は、複数の子機24が各タイミングで無線送信する電流データに基づいてセル81の電流積算演算を行う。
【0039】
図8は、電流データの送信、取得等を示すグラフである。詳しくは、図8(a)は、セル81に流れる実電流を示すグラフである。図8(b)は、電池ECU30が取得する電流値を示すグラフである。図8(c)~(e)は、各サテライトユニット20が取得する電流値を示すグラフである。各サテライトユニット20は、電流データを電圧データよりも頻繁に取得して電池ECUに無線送信する。また、各サテライトユニット20は、他のサテライトユニット20とは異なるタイミングで電流データを取得し、それらを電池ECU30に無線送信する。そのため、電池ECU30は、複数のサテライトユニット20が各タイミングで取得した電流データを取得することにより、図8(b)に示すように電流値の変化を把握することができる。
【0040】
本実施形態によれば、電流センサ10とMCU32との間の有線回線を削減することにより、電池監視システム90の構造をシンプルにすると共にコストを削減することができる。また、各子機24は、電流データを電圧データよりも頻繁に無線送信するため、MCU32は、電流センサ10に有線接続されていなくても、比較的頻繁に電流データを受信することができる。さらに、各子機24は、電流データを他の子機24と異なるタイミングで無線送信するため、この点からも、MCU32は、電流センサ10に有線接続されていなくても、比較的頻繁に電流データを受信することができる。そのため、MCU32は、かなりの頻度で電流データを受信できる。そのため、当該受信した電流データに基づいて、セル81の電流積算演算を実施できる。
【0041】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態のものと同一の又は対応する部材は同一の符号を付して、第1実施形態と異なる点のみを説明する。
【0042】
図9は、本実施形態の電池監視システム90を示す概略図である。監視IC22と子機24との電圧が揃えられている。そのため、監視IC22と子機24との間に第2アイソレータ23を有さず、監視IC22と子機24とが直接、有線接続されている。本実施形態によれば、第2アイソレータ23が不要となり、基板面積を低減できる。そのため、コストを低減できる。
【0043】
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態のものと同一の又は対応する部材は同一の符号を付して、第1実施形態と異なる点のみを説明する。
【0044】
図10は、本実施形態の電池監視システム90を示す概略図である。電流センサ10は、サテライトユニット20毎に、すなわち、子機24毎に設けられている。そして、各子機24は、自身に対応する電流センサ10から電流データを有線受信する。具体的には、監視IC22は、電圧値を検出してその電圧データを取得すると共に、それと同時期に検出された電流データを電流センサ10から有線受信する。それら電圧データ及び電流データを子機24に有線送信する。
【0045】
本実施形態によれば、電流センサ10がサテライトユニット20毎に設けられるため、電圧データと電流データとの収集がサテライトユニット20毎に完結する。そのため、電圧値と電流値との同期が容易である。
【0046】
[第6実施形態]
次に本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態では、第1及び第5実施形態のものと同一の又は対応する部材は同一の符号を付して、第5実施形態と異なる点のみを説明する。
【0047】
図11は、本実施形態の電池監視システム90を示す概略図である。本実施形態の電池監視システム90は、電流センサ10を有さず、代わりに電流検出部16を備えている。その電流検出部16は、シャント抵抗16aと増幅回路16bと演算部とを有する。シャント抵抗16aは、電池モジュール80に直列接続されている。増幅回路16bは、シャント抵抗16aの両端間の電圧差を増幅すると共に、増幅した電圧信号をデジタル信号に変換して演算部(監視IC22)に有線送信する。演算部は、監視IC22内に設けられており、受信したデジタル信号から電流値を演算する。電流値の検出精度は、演算部での演算精度等を向上させることにより、向上させることができる。本実施形態によれば、電流センサ10が不要であるため、コスト削減を図ることができる。
【0048】
[第7実施形態]
次に本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態では、第1及び第5実施形態のものと同一の又は対応する部材は同一の符号を付して、第5実施形態と異なる点のみを説明する。
【0049】
図12は、本実施形態の電池監視システム90を示す概略図である。本実施形態の電池監視システム90は、電流センサ10を有さず、代わりに、電池モジュール80の電圧をフライングキャパシタ方式により取得する電流検出部17を有する。その電流検出部17は、第1スイッチ17aとコンデンサ17bと第2スイッチ17cと電圧センサ17dと演算部17eとを有する。演算部17eは、監視IC22に通信可能に有線接続されている。第1スイッチ17aが閉じた状態では、コンデンサ17bが電池モジュール80に並列接続され、第1スイッチ17aが開いた状態では、その並列接続が切断される。第2スイッチ17cが閉じた状態では、電圧センサ17dがコンデンサ17bに並列接続され、第2スイッチ17cが開いた状態では、その並列接続が切断される。
【0050】
次に、本実施形態の電流検出部17で、電流値を検出する手順を説明する。まず、第1スイッチ17a及び第2スイッチ17cの双方を開いた状態から、第1スイッチ17aのみを所定時間tだけ閉じてコンデンサ17bを充電してから、再び第1スイッチ17aを開く。次にその状態から、第2スイッチ17cのみを閉じて、充電後のコンデンサ17bの電圧Vを検出する。コンデンサ17bの静電容量はCである。
【0051】
次に、演算部17eは、これらt,C,Vから電流値を演算する。具体的には、電流値をiとした場合、「i=CV/t」の式で演算される。電流値の検出精度は、演算部17eでの演算精度等を向上させることにより、向上させることができる。図13(a)は、セル81に流れる実電流を示すグラフである。図13(b)は、コンデンサ17bの取得電圧を示すグラフである。図13(c)は、電流値の演算式である。
【0052】
演算部17eで演算された演算結果(電流値)は、デジタル信号に変換されて監視IC22に有線送信される。本実施形態によれば、電流センサ10が不要であるため、コスト削減を図ることができる。
【0053】
[その他の実施形態]
本実施形態は、次のように変更して実施することもできる。例えば、各子機24から親機31に電流データ及び電圧データを無線送信するのに代えて、各サテライトユニット20で、すなわち、監視IC22や子機24やそれらとは別に設けた演算部で、それら電流データ及び電圧データからセル81の内部抵抗や充電状態を演算して、その演算結果のデータを、子機24から親機31に無線送信するようにしてもよい。
【0054】
また、例えば、電池ECU30と電流センサ10とを有線接続する代わりに、電池ECU30と電流センサ10との間で無線通信するようにしてもよい。また、例えば、電圧データ及び電流データを、デジタル送信に代えて、アナログ送信するようにしてもよい。また、例えば、デジタル通信部12の電圧と監視IC22の電圧とを揃えて、第1アイソレータ21をなくしてもよい。また、例えば、第6実施形態において、演算部を監視IC22に設けるのに代えて、子機24等に設けてもよい。
【0055】
また、例えば、第1~第4実施形態の電流センサ10を、第6実施形態の電流検出部16又は第7実施形態の電流検出部17にして、その電流検出部16,17で検出した電流データを各サテライトユニット20に有線送信するようにしてもよい。また、例えば、第1~第5実施形態において、電流センサ10内にデジタル通信部12を設ける代わりに、電流センサ10からの出力を、監視IC22内や子機24内等でデジタル化するようにしてもよい。また、例えば、第6,第7実施形態において、電流検出部16,17からの出力を、監視IC22内や子機24内等でデジタル化するようにしてもよい。
【0056】
また、例えば、第2実施形態以外の実施形態においても、子機24は、電流センサ10からの電流データを、監視IC22を介さずに直接、有線受信するようにしてもよい。また、例えば、第2,3実施形態以外の実施形態においても、各サテライトユニット20は、電流データを電圧データよりも頻繁に取得して電池ECU30に無線送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…電流センサ、16…電流検出部、17…電流検出部、22…監視IC、24…子機、31…親機、32…MCU、80…電池モジュール、81…セル、90…電池監視システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13