(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/42 20060101AFI20240509BHJP
F04D 29/46 20060101ALI20240509BHJP
F04D 29/44 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
F04D29/42 H
F04D29/46 C
F04D29/44 C
(21)【出願番号】P 2022524890
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2021005341
(87)【国際公開番号】W WO2021235027
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2020087639
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 貴大
(72)【発明者】
【氏名】米村 淳
(72)【発明者】
【氏名】崎坂 亮太
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-068529(JP,U)
【文献】国際公開第2019/241524(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03056690(EP,A1)
【文献】国際公開第2018/220713(WO,A1)
【文献】特開平11-062894(JP,A)
【文献】特表2018-510289(JP,A)
【文献】特開2014-152614(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0063089(KR,A)
【文献】特開2011-153570(JP,A)
【文献】米国特許第04122668(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0355890(US,A1)
【文献】特開2008-309123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/42
F04D 29/46
F04D 29/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクロール流路が形成されたスクロールハウジングと、
前記スクロールハウジングのうち前記スクロール流路よりも径方向内側に取り付けられ、コンプレッサインペラと径方向に対向するシュラウド部が形成されたシュラウドピースと、
前記スクロールハウジングと前記シュラウドピースとの間に形成された隙間に配され
、前記スクロールハウジングおよび前記シュラウドピースによって形成される吸気流路内に突出する突出位置と、前記吸気流路から退避する退避位置と、に移動可能に構成される、絞り部材と、
を備え
、
前記スクロールハウジングは、前記コンプレッサインペラの軸方向において前記シュラウドピースと当接する、前記絞り部材の径方向外側に配された当接部を有し、
前記当接部は、前記シュラウドピースのうち、前記隙間を形成する軸方向端面と前記軸方向に当接する、
遠心圧縮機。
【請求項2】
前記絞り部材は、
前記軸方向において、前記コンプレッサインペラのリーディングエッジよりも、前記シュラウド部から離隔した位置に配される、請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記スクロールハウジングと前記シュラウドピースとの間に配されたシール部材を備える、請求項1または2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記シュラウドピースは、前記スクロール流路の内周面の一部を形成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
前記シュラウドピースは、アブレイダブル材を含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の遠心圧縮機。
【請求項6】
前記シュラウドピースは、中空部を有する、請求項1~
5のいずれか1項に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠心圧縮機に関する。本出願は2020年5月19日に提出された日本特許出願第2020-87639号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンプレッサハウジングと、可動部材とを備えた遠心圧縮機について開示がある。コンプレッサハウジングは、第1コンプレッサハウジングと、第2コンプレッサハウジングとに分割される。第1コンプレッサハウジングと第2コンプレッサハウジングとの間には、隙間が形成される。隙間内には、可動部材が配される。可動部材は、隙間内を移動可能に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、第1コンプレッサハウジングと第2コンプレッサハウジングとの間の分割面が外部に露出している。分割面は、コンプレッサハウジングの外部から内部に異物が混入する要因となる。
【0005】
本開示は、コンプレッサハウジング内部への異物混入を抑制することが可能な遠心圧縮機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る遠心圧縮機は、スクロール流路が形成されたスクロールハウジングと、スクロールハウジングのうちスクロール流路よりも径方向内側に取り付けられ、コンプレッサインペラと径方向に対向するシュラウド部が形成されたシュラウドピースと、スクロールハウジングとシュラウドピースとの間に形成された隙間に配され、スクロールハウジングおよびシュラウドピースによって形成される吸気流路内に突出する突出位置と、吸気流路から退避する退避位置と、に移動可能に構成される、絞り部材と、を備え、スクロールハウジングは、コンプレッサインペラの軸方向においてシュラウドピースと当接する、絞り部材の径方向外側に配された当接部を有し、当接部は、シュラウドピースのうち、隙間を形成する軸方向端面と軸方向に当接する。
【0007】
絞り部材は、軸方向において、コンプレッサインペラのリーディングエッジよりも、シュラウド部から離隔した位置に配されてもよい。
【0008】
スクロールハウジングとシュラウドピースとの間に配されたシール部材を備えてもよい。
【0009】
シュラウドピースは、スクロール流路の内周面の一部を形成してもよい。
【0011】
シュラウドピースは、アブレイダブル材を含んでもよい。
【0012】
シュラウドピースは、中空部を有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、コンプレッサハウジング内部への異物混入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】
図4は、リンク機構の動作を説明するための第1の図である。
【
図5】
図5は、リンク機構の動作を説明するための第2の図である。
【
図6】
図6は、リンク機構の動作を説明するための第3の図である。
【
図7】
図7は、比較例におけるコンプレッサハウジングの構成を示す概略断面図である。
【
図8】
図8は、比較例のコンプレッサハウジングの概略側面図である。
【
図9】
図9は、比較例のコンプレッサハウジングの
図8中、IX-IX線矢視断面図である。
【
図10】
図10は、本実施形態のコンプレッサハウジングの
図2中、X-X線矢視断面図である。
【
図11】
図11は、第1変形例におけるコンプレッサハウジングの構成を示す概略断面図である。
【
図12】
図12は、第2変形例におけるコンプレッサハウジングの構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について詳細に説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、過給機TCの概略断面図である。
図1に示す矢印L方向を過給機TCの左側として説明する。
図1に示す矢印R方向を過給機TCの右側として説明する。
図1に示すように、過給機TCは、過給機本体1を備える。過給機本体1は、ベアリングハウジング2と、タービンハウジング3と、コンプレッサハウジング100と、リンク機構200とを含む。リンク機構200の詳細については、後述する。ベアリングハウジング2の左側には、締結ボルト4によってタービンハウジング3が連結される。ベアリングハウジング2の右側には、締結ボルト5によってコンプレッサハウジング100が連結される。
【0017】
ベアリングハウジング2には、収容孔2aが形成される。収容孔2aは、過給機TCの左右方向に貫通する。収容孔2aには、軸受6が配される。
図1では、軸受6の一例としてフルフローティング軸受を示す。ただし、軸受6は、セミフローティング軸受や転がり軸受など、他のラジアル軸受であってもよい。収容孔2aには、シャフト7の一部が配される。シャフト7は、軸受6によって回転自在に軸支される。シャフト7の左端部には、タービンインペラ8が設けられる。タービンインペラ8は、タービンハウジング3内に回転自在に収容される。シャフト7の右端部には、コンプレッサインペラ9が設けられる。コンプレッサインペラ9は、コンプレッサハウジング100内に回転自在に収容される。
【0018】
コンプレッサハウジング100には、吸気口10が形成される。吸気口10は、過給機TCの右側に開口する。吸気口10は、不図示のエアクリーナに接続される。ベアリングハウジング2とコンプレッサハウジング100の間には、ディフューザ流路11が形成される。ディフューザ流路11は、空気を昇圧する。ディフューザ流路11は、シャフト7(コンプレッサインペラ9)の径方向(以下、単に径方向という)の内側から外側に向けて環状に形成される。ディフューザ流路11は、径方向の内側において、コンプレッサインペラ9を介して吸気口10に連通している。
【0019】
コンプレッサハウジング100には、コンプレッサスクロール流路12が形成される。コンプレッサスクロール流路12は、環状に形成される。コンプレッサスクロール流路12は、コンプレッサインペラ9よりも径方向の外側に位置する。コンプレッサスクロール流路12は、不図示のエンジンの吸気口、および、ディフューザ流路11と連通している。コンプレッサインペラ9が回転すると、吸気口10からコンプレッサハウジング100内に空気が吸気される。吸気された空気は、コンプレッサインペラ9の翼間を流通する過程において、加圧加速される。加圧加速された空気は、ディフューザ流路11およびコンプレッサスクロール流路12で昇圧される。昇圧された空気は、不図示の吐出口から流出し、エンジンの吸気口に導かれる。
【0020】
過給機TCのうちコンプレッサハウジング100側は、遠心圧縮機(コンプレッサ)CCとして機能する。以下では、遠心圧縮機CCは、タービンインペラ8により駆動されるものとして説明する。ただし、これに限定されず、遠心圧縮機CCは、不図示のエンジンにより駆動されてもよいし、不図示の電動機(モータ)により駆動されてもよい。このように、遠心圧縮機CCは、過給機TC以外の装置に組み込まれてもよいし、単体であってもよい。遠心圧縮機CCは、コンプレッサハウジング100と、コンプレッサインペラ9と、後述するリンク機構200とを含む。
【0021】
タービンハウジング3には、排気口13が形成される。排気口13は、過給機TCの左側に開口する。排気口13は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。タービンハウジング3には、連通流路14と、タービンスクロール流路15とが形成される。タービンスクロール流路15は、タービンインペラ8よりも径方向の外側に位置する。連通流路14は、タービンインペラ8とタービンスクロール流路15との間に位置する。
【0022】
タービンスクロール流路15は、不図示のガス流入口と連通する。ガス流入口には、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスが導かれる。連通流路14は、タービンインペラ8を介して、タービンスクロール流路15と排気口13とを連通させる。ガス流入口からタービンスクロール流路15に導かれた排気ガスは、連通流路14およびタービンインペラ8の翼間を介して排気口13に導かれる。排気ガスは、その流通過程においてタービンインペラ8を回転させる。
【0023】
タービンインペラ8の回転力は、シャフト7を介してコンプレッサインペラ9に伝達される。上記のとおりに、空気は、コンプレッサインペラ9の回転力によって昇圧されて、エンジンの吸気口に導かれる。
【0024】
図2は、
図1の破線部分の抽出図である。
図2に示すように、コンプレッサハウジング100は、スクロールハウジング110と、シュラウドピース120とに分割される。スクロールハウジング110とシュラウドピース120は、別体で構成される。
【0025】
スクロールハウジング110には、貫通孔111が形成される。貫通孔111は、スクロールハウジング110をシャフト7の軸方向(以下、単に軸方向という)に貫通する。貫通孔111のうちベアリングハウジング2から離隔する側の端部に吸気口10を有する。また、スクロールハウジング110は、ベアリングハウジング2と接続する接続面を有し、接続面近傍には、コンプレッサスクロール流路12が形成される。
【0026】
貫通孔111は、平行部111aと、縮径部111bと、窪み部111cとを有する。平行部111aは、貫通孔111のうち最もベアリングハウジング2から離隔する位置に配される。平行部111aの内径は、軸方向に亘って大凡一定である。縮径部111bは、平行部111aよりもベアリングハウジング2側に配される。縮径部111bは、平行部111aと連続する。縮径部111bの内径は、ベアリングハウジング2に近接するほど小さくなる。
【0027】
窪み部111cは、縮径部111bよりもベアリングハウジング2側に配される。窪み部111cは、縮径部111bおよび平行部111aに対し径方向外側に窪んでいる。つまり、窪み部111cの内径は、縮径部111bおよび平行部111aの内径よりも大きい。窪み部111cには、シュラウドピース120が配される。シュラウドピース120は、窪み部111cに当接する。シュラウドピース120は、スクロールハウジング110のうちコンプレッサスクロール流路12よりも径方向内側に取り付けられる。
【0028】
本実施形態では、シュラウドピース120は、窪み部111cに圧入される。ただし、これに限定されず、シュラウドピース120は、スクロールハウジング110に接着されてもよい。また、シュラウドピース120は、スクロールハウジング110に嵌め輪(スナップリング)を介して取り付けられてもよい。また、シュラウドピース120は、不図示のフランジ部を有し、フランジ部は、スクロールハウジング110にねじ止めされてもよい。シュラウドピース120は、窪み部111c(スクロールハウジング110)内に収容される。
【0029】
シュラウドピース120には、貫通孔121が形成される。貫通孔121は、シュラウドピース120を軸方向に貫通する。貫通孔121の最も小さい内径は、貫通孔111(縮径部111b)の最も小さい内径と大凡等しい。貫通孔121の内壁には、シュラウド部121aが形成される。シュラウド部121aは、コンプレッサインペラ9に対して径方向の外側から対向する。コンプレッサインペラ9の外径は、コンプレッサインペラ9の羽根の前縁端(リーディングエッジ)LEから離隔するほど大きくなる。シュラウド部121aは、コンプレッサインペラ9の外形形状に近似した形状を有する。シュラウド部121aの内径は、コンプレッサインペラ9の外径より僅かに大きい。そのため、シュラウド部121aの内径は、リーディングエッジLEからベアリングハウジング2側に向かって大きくなる。
【0030】
シュラウドピース120は、アブレイダブル材を含む。本実施形態では、シュラウドピース120のうち少なくともシュラウド部121aがアブレイダブル材により構成される。これにより、回転するコンプレッサインペラ9がシュラウド部121aと接触したときに、シュラウドピース120は、コンプレッサインペラ9により切削される。その結果、シュラウド部121aとコンプレッサインペラ9との隙間を小さくすることができる。ただし、シュラウドピース120は、アブレイダブル材を含まなくてもよい。
【0031】
スクロールハウジング110の貫通孔111と、シュラウドピース120の貫通孔121によって、吸気流路130が形成される。つまり、吸気流路130は、コンプレッサハウジング100に形成される。吸気流路130は、不図示のエアクリーナから吸気口10を介してディフューザ流路11(
図1参照)まで連通する。吸気流路130のエアクリーナ側(吸気口10側)を吸気の上流側とし、吸気流路130のディフューザ流路11側を吸気の下流側とする。
【0032】
コンプレッサインペラ9は、吸気流路130に配される。吸気流路130(貫通孔111、121)は、軸方向に垂直な断面形状が、例えば、コンプレッサインペラ9の回転軸を中心とする円形である。ただし、吸気流路130の断面形状は、これに限定されず、例えば、楕円形状であってもよい。
【0033】
スクロールハウジング110とシュラウドピース120との間の分割面Ds1は、一端がディフューザ流路11の内面に位置し、他端がリーディングエッジLEよりも上流側の吸気流路130の内面に位置する。本実施形態では、分割面Ds1は、ディフューザ流路11および吸気流路130間に跨っている。分割面Ds1は、一端から他端までコンプレッサハウジング100の内に位置する。分割面Ds1は、コンプレッサハウジング100の外面に露出しない。
【0034】
スクロールハウジング110の窪み部111cと、シュラウドピース120との間には、シール部材140が配される。シール部材140は、分割面Ds1の途中に配される。シール部材140により、スクロールハウジング110とシュラウドピース120との隙間を流通する空気の流量が抑制される。ただし、シール部材140は、必須の構成ではなく、窪み部111cとシュラウドピース120との間にシール部材140が配されなくてもよい。
【0035】
シュラウドピース120の側面(軸方向端面)のうち内径側には、対向面120aが形成される。スクロールハウジング110には、対向面120aと軸方向に対向する対向面110aが形成される。対向面110aは、縮径部111bよりもコンプレッサインペラ9側に位置し、窪み部111cよりもコンプレッサインペラ9から離隔する側に位置する。シュラウドピース120の対向面120aは、スクロールハウジング110の対向面110aに対し軸方向に離隔している。つまり、スクロールハウジング110とシュラウドピース120との間には、隙間Sが形成される。隙間Sは、コンプレッサインペラ9の軸方向において、コンプレッサインペラ9に対し吸気の上流側に配される。つまり、隙間Sは、リーディングエッジLEよりも吸気口10側に配される。隙間Sは、縮径部111bよりもベアリングハウジング2側に配される。隙間Sには、詳しくは後述する絞り部材(第1可動部材210および第2可動部材220)が配される。つまり、第1可動部材210および第2可動部材220は、コンプレッサインペラ9のリーディングエッジLEよりも、シュラウド部121aから離隔した位置に配される。
【0036】
シュラウドピース120の側面(軸方向端面)のうち外径側には、当接面120bが形成される。スクロールハウジング110には、当接面120bと軸方向に対向する当接面110bが形成される。シュラウドピース120の当接面120bは、スクロールハウジング110の当接面110bと軸方向に当接する。スクロールハウジング110の当接面110bは、対向面110aよりもコンプレッサインペラ9側に位置する。つまり、スクロールハウジング110は、対向面110aからコンプレッサインペラ9側に突出する突出部(当接部)111dを有する。本実施形態では、スクロールハウジング110には、シュラウドピース120と軸方向に当接する当接面110bを含む当接部111dが形成される。当接部111dは、第1可動部材210および第2可動部材220の径方向外側に配される。当接部111dは、シュラウドピース120と当接することで、シュラウドピース120の軸方向の位置を決定する。また、当接部111dがスクロールハウジング110に設けられることで、シュラウドピース120の圧入代を小さくすることができる。ただし、これに限定されず、当接部111dは、シュラウドピース120に設けられてもよい。
【0037】
図3は、
図2のIII-III線断面図である。
図3に示すように、隙間Sは、収容溝112と、軸受穴113と、収容穴114とを含む。本実施形態では、収容溝112、軸受穴113、収容穴114が、スクロールハウジング110に形成される例について説明する。しかし、これに限定されず、収容溝112、軸受穴113、収容穴114は、シュラウドピース120に形成されてもよい。
【0038】
収容溝112は、大凡環状に形成される。収容溝112は、径方向内側において貫通孔111と連通する。軸受穴113は、収容溝112の吸気口10側の壁面に形成される。軸受穴113は、収容溝112から吸気口10側に向かって軸方向に延在する。軸受穴113は、シャフト7の回転方向(以下、単に回転方向、周方向という)に離隔して複数設けられる。本実施形態では、軸受穴113は、2つ設けられる。2つの軸受穴113は、回転方向に180°ずれた位置に配される。
【0039】
収容穴114は、収容溝112の吸気口10側の壁面に形成される。収容穴114は、収容溝112から吸気口10側に向かって軸方向に窪む。収容穴114は、大凡円弧形状である。収容穴114は、2つの軸受穴113から周方向に離隔する。
【0040】
リンク機構200は、第1可動部材210、第2可動部材220、連結部材230、ロッド240を含む。リンク機構200は、軸方向において、コンプレッサインペラ9より吸気流路130の上流側に配される。
【0041】
第1可動部材210は、収容溝112に配される。第1可動部材210は、湾曲部211と、アーム部212とを含む。湾曲部211は、コンプレッサインペラ9の周方向に延在する。湾曲部211は、大凡半円弧形状である。湾曲部211のうち、周方向の第1端面211aおよび第2端面211bは、径方向および軸方向に平行に延在する。ただし、第1端面211aおよび第2端面211bは、径方向および軸方向に対し、傾斜していてもよい。
【0042】
湾曲部211の第1端面211a側には、アーム部212が設けられる。アーム部212は、湾曲部211の第1端面211a側から径方向外側に連続する。また、アーム部212は、第1端面211aから第2可動部材220側に向かって延在する。
【0043】
第2可動部材220は、収容溝112に配される。第2可動部材220は、湾曲部221と、アーム部222とを含む。湾曲部221は、コンプレッサインペラ9の周方向に延在する。湾曲部221は、大凡半円弧形状である。湾曲部221のうち、周方向の第1端面221aおよび第2端面221bは、径方向および軸方向に平行に延在する。ただし、第1端面221aおよび第2端面221bは、径方向および軸方向に対し、傾斜していてもよい。
【0044】
湾曲部221の第1端面221a側には、アーム部222が設けられる。アーム部222は、湾曲部221の第1端面221a側から径方向外側に連続する。また、アーム部222は、第1端面221aから第1可動部材210側に向かって延在する。
【0045】
湾曲部211は、湾曲部221とコンプレッサインペラ9の回転中心軸を挟んで対向する。湾曲部211の第1端面211aは、湾曲部221の第2端面221bと周方向に対向する。湾曲部211の第2端面211bは、湾曲部221の第1端面221aと周方向に対向する。第1可動部材210および第2可動部材220は、詳しくは後述するように、湾曲部211、221が径方向に移動可能に構成される。
【0046】
連結部材230は、第1可動部材210および第2可動部材220と、ロッド240とを連結する。連結部材230は、収容穴114に配される。つまり、連結部材230は、第1可動部材210および第2可動部材220より吸気口10側に配される。連結部材230は、大凡円弧形状である。連結部材230の径方向の幅は、収容穴114の径方向の幅より小さい。連結部材230の周方向の長さは、収容穴114の周方向の長さより短い。
【0047】
連結部材230は、周方向において、一端側に第1軸受穴231が形成され、他端側に第2軸受穴232が形成される。第1軸受穴231は、連結部材230のうち第1可動部材210と軸方向に対向する面に開口する。第2軸受穴232は、連結部材230のうち第2可動部材220と軸方向に対向する面に開口する。第1軸受穴231および第2軸受穴232は、軸方向に延在する。ここでは、第1軸受穴231および第2軸受穴232は、非貫通の穴で構成される。ただし、第1軸受穴231および第2軸受穴232は、連結部材230を軸方向に貫通してもよい。
【0048】
連結部材230には、ロッド接続部233が形成される。ロッド接続部233は、連結部材230のうち第1可動部材210および第2可動部材220から離隔する側の面から軸方向に突出する。ロッド接続部233は、大凡円柱形状である。ロッド接続部233は、連結部材230の周方向において大凡中央に位置する。
【0049】
ロッド240は、大凡円柱形状である。ロッド240は、一端に軸受穴241が形成され、他端が後述するアクチュエータに接続される。軸受穴241は、軸方向に延在する。軸受穴241の大きさは、ロッド接続部233の大きさより僅かに大きい。
【0050】
スクロールハウジング110には、不図示の挿通穴が形成される。挿通穴には、ロッド240の一端側が挿通される。挿通穴は、ロッド240の中心軸と直交する方向の移動を規制する。また、挿通穴は、ロッド240の中心軸方向の移動をガイドする。
【0051】
ロッド240の軸受穴241は、挿通穴の内部に配される。挿通穴の内壁面には、収容穴114と連通する連通孔116が形成される。連通孔116は、収容穴114のうち周方向の大凡中間部に形成される。連通孔116は、ロッド240の中心軸方向の幅が、ロッド240の中心軸方向と直交する方向の幅よりも大きい。つまり、連通孔116は、長孔である。連通孔116の短手方向の幅は、ロッド接続部233の外径よりも僅かに大きい。
【0052】
軸受穴241には、連通孔116を介してロッド接続部233が挿通される。これにより、ロッド240は、連結部材230と連結する。収容穴114は、連結部材230よりも周方向の長さが長い。収容穴114は、連結部材230よりも径方向の幅が大きい。そのため、連結部材230は、収容穴114内でコンプレッサインペラ9の回転中心軸に垂直な面内での移動が許容される。
【0053】
第1可動部材210および第2可動部材220は、収容溝112に収容される。つまり、第1可動部材210および第2可動部材220は、スクロールハウジング110とシュラウドピース120との間に形成された隙間Sに収容される。収容溝112の内径は、第1可動部材210の湾曲部211の外径よりも大きい。収容溝112の内径は、第2可動部材220の湾曲部221の外径よりも大きい。そのため、第1可動部材210および第2可動部材220は、収容溝112内でコンプレッサインペラ9の回転中心軸に垂直な面内での移動が許容される。
【0054】
第1可動部材210は、連結軸部213および回転軸部214を有する。連結軸部213および回転軸部214は、第1可動部材210の吸気口10側の面から軸方向に突出する。連結軸部213は、回転軸部214と大凡平行に延在する。連結軸部213および回転軸部214は、大凡円柱形状である。
【0055】
連結軸部213の外径は、連結部材230の第1軸受穴231の内径よりも小さい。連結軸部213は、第1軸受穴231に挿通される。連結軸部213は、第1軸受穴231に回転自在に軸支される。回転軸部214の外径は、スクロールハウジング110の軸受穴113の内径よりも小さい。回転軸部214は、2つの軸受穴113のうち鉛直上側の軸受穴113に挿通される。回転軸部214は、軸受穴113に回転自在に軸支される。
【0056】
第2可動部材220は、連結軸部223および回転軸部224を有する。連結軸部223および回転軸部224は、第2可動部材220の吸気口10側の面から軸方向に突出する。連結軸部223は、回転軸部224と大凡平行に延在する。連結軸部223および回転軸部224は、大凡円柱形状である。
【0057】
連結軸部223の外径は、連結部材230の第2軸受穴232の内径よりも小さい。連結軸部223は、第2軸受穴232に挿通される。連結軸部223は、第2軸受穴232に回転自在に軸支される。回転軸部224の外径は、スクロールハウジング110の軸受穴113の内径よりも小さい。回転軸部224は、2つの軸受穴113のうち鉛直下側の軸受穴113に挿通される。回転軸部224は、軸受穴113に回転自在に軸支される。
【0058】
このように、リンク機構200は、4節リンク機構により構成される。4つのリンク(節)は、第1可動部材210、第2可動部材220、スクロールハウジング110、連結部材230である。リンク機構200が、4節リンク機構により構成されることから、限定連鎖となり1自由度であって制御が容易である。
【0059】
図4は、リンク機構200の動作を説明するための第1の図である。以下の
図4、
図5、
図6では、リンク機構200を吸気口10側から見た図が示される。
図4に示すように、ロッド240には、アクチュエータ250の駆動シャフトが連結される。
【0060】
図4に示す配置では、第1可動部材210と第2可動部材220は、互いに当接する。このとき、
図2および
図3に示すように、第1可動部材210のうち、径方向の内側の部位である突出部215は、吸気流路130内に突出(露出)する。第2可動部材220のうち、径方向の内側の部位である突出部225は、吸気流路130内に突出(露出)する。この状態における第1可動部材210、第2可動部材220の位置を、突出位置(あるいは絞り位置)という。
【0061】
図4に示すように、突出位置では、突出部215のうち、周方向の端部215a、215bと、突出部225のうち、周方向の端部225a、225bとが当接する。突出部215と突出部225によって環状孔260が形成される。環状孔260の内径は、吸気流路130のうち、突出部215、225が突出する部位の内径よりも小さい。環状孔260の内径は、例えば、吸気流路130のいずれの部位の内径よりも小さい。
【0062】
図5は、リンク機構200の動作を説明するための第2の図である。
図6は、リンク機構200の動作を説明するための第3の図である。アクチュエータ250は、コンプレッサインペラ9の軸方向と交差する方向(
図5、
図6中、上下方向)にロッド240を直動させる。
図5および
図6では、ロッド240は、
図4に示す位置から上側に移動する。
図5の配置よりも
図6の配置の方が、
図4の配置に対するロッド240の移動量が大きい。
【0063】
ロッド240が移動すると、連結部材230は、ロッド接続部233を介して、
図5、
図6中、上側に移動する。このとき、連結部材230は、ロッド接続部233を回転中心とする回転が許容される。また、ロッド接続部233の外径に対し、ロッド240の軸受穴241の内径に僅かに遊びがある。そのため、連結部材230は、コンプレッサインペラ9の軸方向に垂直な面方向の移動が僅かに許容される。
【0064】
上述したように、リンク機構200は、4節リンク機構である。連結部材230、第1可動部材210および第2可動部材220は、スクロールハウジング110に対して、1自由度の挙動を示す。具体的には、連結部材230は、上記の許容範囲内で、
図5、
図6中、反時計回りに僅かに回転しつつ、左右方向に僅かに揺れ動く。
【0065】
第1可動部材210のうち、回転軸部214は、スクロールハウジング110に軸支される。回転軸部214は、コンプレッサインペラ9の軸方向に垂直な面方向の移動が規制される。連結軸部213は、連結部材230に軸支される。連結部材230の移動が許容されることから、連結軸部213は、コンプレッサインペラ9の軸方向に垂直な面方向に移動可能に設けられる。その結果、連結部材230の移動に伴って、第1可動部材210は、回転軸部214を回転中心として、
図5、
図6中、時計回り方向に回転する。
【0066】
同様に、第2可動部材220のうち、回転軸部224は、スクロールハウジング110に軸支される。回転軸部224は、コンプレッサインペラ9の軸方向に垂直な面方向の移動が規制される。連結軸部223は、連結部材230に軸支される。連結部材230の移動が許容されることから、連結軸部223は、コンプレッサインペラ9の軸方向に垂直な面方向へ移動可能に設けられる。その結果、連結部材230の移動に伴って、第2可動部材220は、回転軸部224を回転中心として、
図5、
図6中、時計回り方向に回転する。
【0067】
こうして、第1可動部材210と第2可動部材220は、
図5、
図6の順に、互いに離隔する方向に移動する。突出部215、225は、突出位置よりも径方向の外側に移動する(退避位置)。退避位置では、例えば、突出部215、225は、吸気流路130の内壁面と面一となるか、吸気流路130の内壁面よりも径方向の外側に位置する。退避位置から突出位置に移動するときは、
図6、
図5、
図4の順に、第1可動部材210と第2可動部材220が互いに近づいて当接する。このように、第1可動部材210、第2可動部材220は、回転軸部214、224を回転中心とする回転角度に応じて、突出位置と退避位置とに切り替わる。
【0068】
このように、第1可動部材210および第2可動部材220は、吸気流路130内に突出する突出位置と、吸気流路130から退避する退避位置とに移動可能に構成される。本実施形態では、第1可動部材210および第2可動部材220は、コンプレッサインペラ9の径方向に移動する。ただし、これに限定されず、第1可動部材210および第2可動部材220は、コンプレッサインペラ9の回転軸周り(周方向)に回転し、突出位置と退避位置とに移動してもよい。例えば、第1可動部材210および第2可動部材220は、2以上の羽根を有するシャッター羽根であってもよい。
【0069】
第1可動部材210および第2可動部材220は、退避位置に位置するとき(以下、退避位置状態ともいう)、吸気流路130内に突出しない。そのため、吸気流路130を流れる吸気(空気)の圧損が小さくなる。
【0070】
また、
図2に示すように、第1可動部材210および第2可動部材220は、突出位置に位置するとき(以下、突出位置状態ともいう)、突出部215、225が吸気流路130内に突出する。つまり、突出部215、225が吸気流路130内に配される。突出部215、225が吸気流路130内に突出すると、吸気流路130の流路断面積が小さくなる。
【0071】
ここで、コンプレッサインペラ9に流入する空気の流量が減少するに従い、コンプレッサインペラ9で圧縮された空気が吸気流路130を逆流する(すなわち、下流側から上流側に向かって空気が流れる)場合がある。つまり、コンプレッサインペラ9に流入する空気の流量が減少するに従い、サージングと呼ばれる逆流現象が発生する場合がある。
【0072】
図2に示す突出位置状態では、突出部215、225は、コンプレッサインペラ9のリーディングエッジLEの最外径端よりも径方向内側に位置する。これにより、吸気流路130内を逆流する空気は、突出部215、225に堰き止められる。したがって、突出位置状態の第1可動部材210および第2可動部材220は、吸気流路130内の空気の逆流を抑制することができる。
【0073】
また、吸気流路130の流路断面積が小さくなるに従い、コンプレッサインペラ9に流入する空気の流速が増大する。これにより、コンプレッサインペラ9の羽根に対する入射角が減少し、空気の流れを安定化させることができる。その結果、遠心圧縮機CCのサージングの発生を抑制することができる。つまり、本実施形態の遠心圧縮機CCは、突出部215、225を吸気流路130内に突出させることにより、遠心圧縮機CCの作動領域を小流量側に拡大することができる。
【0074】
このように、第1可動部材210および第2可動部材220は、吸気流路130を絞る絞り部材として構成される。つまり、本実施形態において、リンク機構200は、吸気流路130を絞る絞り機構として構成される。第1可動部材210および第2可動部材220は、リンク機構200が駆動されることで、吸気流路130の流路断面積を変化させることができる。
【0075】
図7は、比較例におけるコンプレッサハウジング300の構成を示す概略断面図である。上記実施形態の遠心圧縮機CCと実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
図7に示すように、比較例のコンプレッサハウジング300は、第1コンプレッサハウジング310と、第2コンプレッサハウジング320とに分割される。第1コンプレッサハウジング310と第2コンプレッサハウジング320との間には、隙間Sが形成される。隙間S内には、第1可動部材210と、第2可動部材220とが配される。
【0077】
比較例のコンプレッサハウジング300では、第1コンプレッサハウジング310と、第2コンプレッサハウジング320との間の分割面Ds2が外部に露出している。分割面Ds2により、コンプレッサハウジング300の外部と内部が連通する。分割面Ds2は、コンプレッサハウジング300の外部から内部に異物が混入する要因となる。
【0078】
図8は、比較例のコンプレッサハウジング300の概略側面図である。
図8に示すように、比較例のコンプレッサハウジング300を組み立てる際は、第1コンプレッサハウジング310を鉛直下側に配置し、第2コンプレッサハウジング320を鉛直上側に配置する。そして、第1コンプレッサハウジング310に対し第2コンプレッサハウジング320を鉛直上側から鉛直下側に向かって近接させることで、第1コンプレッサハウジング310と第2コンプレッサハウジング320とが接続される。こうして、比較例のコンプレッサハウジング300が組み立てられる。
【0079】
図9は、比較例のコンプレッサハウジング300の
図8中、IX-IX線矢視断面図である。
図9に示すように、第1コンプレッサハウジング310の最大外径は、第2コンプレッサハウジング320の最大外径よりも小さい。そのため、第1コンプレッサハウジング310の鉛直上側から第2コンプレッサハウジング320を組み付ける場合、第1コンプレッサハウジング310が目視し難くなる。その結果、コンプレッサハウジング300の組立が困難になる。
【0080】
図10は、本実施形態のコンプレッサハウジング100の
図2中、X-X線矢視断面図である。
図10に示すように、本実施形態のコンプレッサハウジング100は、スクロールハウジング110と、シュラウドピース120とを備える。スクロールハウジング110とシュラウドピース120との間の分割面Ds1は、コンプレッサハウジング100内に位置する。つまり、分割面Ds1は、コンプレッサハウジング100の外部に露出しない。そのため、本実施形態のコンプレッサハウジング100によれば、
図7に示すような分割面Ds2が外部に露出する比較例のコンプレッサハウジング300に比べ、異物の混入を低減することができる。
【0081】
また、本実施形態のコンプレッサハウジング100を組み立てる際は、スクロールハウジング110を鉛直下側に配置し、シュラウドピース120を鉛直上側に配置する。そして、スクロールハウジング110に対しシュラウドピース120を鉛直上側から鉛直下側に向かって近接させることで、スクロールハウジング110とシュラウドピース120とが接続される。こうして、本実施形態のコンプレッサハウジング100が組み立てられる。
【0082】
図10に示すように、シュラウドピース120の最大外径は、スクロールハウジング110の最大外径よりも小さい。そのため、スクロールハウジング110の鉛直上側からシュラウドピース120を組み付ける場合、シュラウドピース120を目視したまま組み付けることができる。その結果、コンプレッサハウジング100の組立が容易になる。
【0083】
図11は、第1変形例におけるコンプレッサハウジング400の構成を示す概略断面図である。上記実施形態の遠心圧縮機CCと実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。第1変形例のコンプレッサハウジング400は、シュラウドピース420の構成が上記実施形態と異なっている。それ以外の構成については、上記実施形態のコンプレッサハウジング100と同じである。
【0084】
第1変形例のシュラウドピース420は、シュラウド部121aと、突出部421とを有する。シュラウド部121aは、コンプレッサスクロール流路12の最小内径よりも小さい大凡一定の外径を有する。突出部421は、大凡円環形状である。突出部421は、シュラウド部121aの下流側に設けられる。突出部421は、シュラウド部121aから径方向外側に突出する。突出部421は、コンプレッサスクロール流路12の内周面の一部を形成する。突出部421の最大外径は、スクロールハウジング110の最大外径よりも小さい。分割面Ds1は、突出部421の上流側に連通している。分割面Ds1は、一端がコンプレッサスクロール流路12の内面に位置し、他端がリーディングエッジLEよりも上流側の吸気流路130の内面に位置する。第1変形例では、分割面Ds1は、コンプレッサスクロール流路12および吸気流路130間に跨っている。分割面Ds1は、一端から他端までコンプレッサハウジング400内に位置する。分割面Ds1は、コンプレッサハウジング400の外面に露出しない。
【0085】
第1変形例によれば、上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。また、第1変形例のシュラウドピース420は、コンプレッサスクロール流路12の内周面の一部を形成する。これにより、コンプレッサスクロール流路12を有するシュラウドピース120の製造(鋳造)を容易にすることができる。
【0086】
図12は、第2変形例におけるコンプレッサハウジング500の構成を示す概略断面図である。上記実施形態の遠心圧縮機CCと実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。第2変形例のコンプレッサハウジング500は、シュラウドピース520の構成が上記実施形態と異なっている。それ以外の構成については、上記実施形態のコンプレッサハウジング100と同じである。
【0087】
第2変形例のシュラウドピース520は、中空部521を有する。中空部521は、シュラウドピース520の内周面に開口しない。中空部521は、シュラウドピース520の外周面に開口する。ただし、中空部521は、シュラウドピース520の外周面に開口しなくてもよい。例えば、中空部521は、シュラウドピース520の外部に開口せずに、内部に密閉空間として形成されてもよい。つまり、中空部521は、シュラウドピース520の内部に密閉空間を形成する。中空部521は、シュラウドピース520の外部を流通する吸気と連通し難い。
【0088】
第2変形例によれば、上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。また、第2変形例のシュラウドピース520は、中空部521を有する。これにより、第2変形例のコンプレッサハウジング500は、上記実施形態および第1変形例のコンプレッサハウジング100、400よりも軽量化することができる。また、中空部521には、空気層が形成される。そのため、シュラウドピース520に中空部521を形成した場合、中空部521を形成しない場合に比べ、遮熱性を高くすることができる。
【0089】
以上、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0090】
上記実施形態、第1変形例、および、第2変形例では、隙間Sがコンプレッサインペラ9よりも吸気の上流側に形成される例について説明した。ただし、これに限定されず、隙間Sは、コンプレッサインペラ9よりも吸気の下流側に形成されてもよい。例えば、隙間Sは、コンプレッサインペラ9とコンプレッサスクロール流路12の間に形成されてもよい。つまり、隙間Sは、ディフューザ流路11と連通してもよい。このように、隙間Sは、スクロールハウジング110とシュラウドピース120、420、520との間に形成されるものであればよい。
【0091】
上記実施形態、第1変形例、および、第2変形例では、窪み部111cとシュラウドピース120との間にシール部材140が設けられる例について説明した。しかし、シール部材140は、必須の構成ではない。例えば、シュラウドピース120、420、520がスクロールハウジング110に圧入される場合、シール部材140は、設けられなくてもよい。
【符号の説明】
【0092】
9:コンプレッサインペラ 12:コンプレッサスクロール流路(スクロール流路) 100:コンプレッサハウジング 110:スクロールハウジング 111d:当接部 120:シュラウドピース 121a:シュラウド部 140:シール部材 210:第1可動部材(絞り部材) 220:第2可動部材(絞り部材) 400:コンプレッサハウジング 420:シュラウドピース 421:突出部 500:コンプレッサハウジング 520:シュラウドピース 521:中空部