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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B23D 47/00 20060101AFI20240509BHJP
   B23D 45/16 20060101ALI20240509BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20240509BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20240509BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240509BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B23D47/00 A
B23D47/00 C
B23D45/16
B23Q11/08 E
B25F5/02
B25F5/00 Z
B23Q11/00 M
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022526671
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 JP2021020430
(87)【国際公開番号】W WO2021241737
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2020093973
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】舩引 勇佑
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-011518(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0180710(US,A1)
【文献】特開2008-018498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D45/00-65/04
B27B 1/00-23/00
B23G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機によって回転駆動する円形の先端工具が位置する第1空間と、
前記先端工具による作業によって生じた加工片が通過する通過空間、又は前記加工片が収集される収容空間の少なくとも一方を含む第2空間と、
前記先端工具の径方向で前記先端工具よりも外側に位置するとともに、前記先端工具の回転軸方向に延び、前記先端工具の径方向で前記第1空間と前記通過空間とを仕切る樹脂製の仕切り部と、
前記仕切り部を保護する保護部材と、
を有し、
前記先端工具の径方向で、前記通過空間は前記先端工具よりも外側に位置しており、
前記保護部材が、前記径方向における前記先端工具と前記仕切り部の間の領域に位置して前記仕切り部の前記先端工具側を覆う、または前記径方向における前記通過空間と前記仕切り部との間の領域に位置して前記仕切り部の前記通過空間側を覆う、または前記仕切り部に設けられることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記保護部材は前記仕切り部と比較して、硬い又は耐熱性が高い、あるいはその両方の性質を持つことを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記保護部材は、前記第1空間と前記仕切り部の間の領域に設けられて少なくとも一部が前記第1空間に露出するか、または前記通過空間と前記仕切り部との間の領域に設けられて少なくとも一部が前記通過空間に露出するようにして設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記保護部材は、前記仕切り部に取り付けられる請求項1~請求項3の何れか1項に記載の作業機。
【請求項5】
前記先端工具の少なくとも一部を覆うカバーを有し、
前記仕切り部は、前記カバーに設けられることを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載の作業機。
【請求項6】
円形の先端工具を回転駆動するためのモータと、
前記先端工具の少なくとも一部を覆うカバーと、
前記先端工具の径方向で前記先端工具よりも外方に位置するようにして前記カバーに設けられ、前記先端工具を用いた加工作業時に生じる加工片を排出するための排出通路部と、
前記先端工具の回転軸方向に延びて前記先端工具が位置する空間と前記排出通路部とを区画する壁部と、
前記排出通路部内に位置し、前記先端工具の径方向で前記壁部のを覆うガード部材と、
を備えた作業機。
【請求項7】
前記カバーには、前記排出通路部から排出された加工片を溜める集塵ボックスが取付けられている請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記排出通路部は、
前記先端工具側へ開放された入口部と、
前記集塵ボックス側へ開放された出口部を有しており、
前記ガード部材が、前記入口部から前記出口部へ至る経路内に設けられている請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記集塵ボックスは、
前記カバーに隣接して配置された第1ケースと、
前記第1ケースを前記カバーとは反対側から覆う第2ケースと、
を含んで構成されており、
前記第1ケースは、金属製とされると共に、前記第2ケースが、透明の材料で製作されている請求項7又は請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記第1ケースには、前記排出通路部から前記集塵ボックスへ排出される加工片が当たるストッパ部が設けられている請求項9に記載の作業機。
【請求項11】
前記第1ケースには、前記第2ケースの内周面の一部を覆うカバー部が形成されている請求項9又は請求項10に記載の作業機。
【請求項12】
前記カバー部は、前記第2ケースの下壁の内周面の少なくとも一部を覆っている請求項11に記載の作業機。
【請求項13】
前記第2ケースは、樹脂材によって構成されている請求項9~請求項12の何れか1項に記載の作業機。
【請求項14】
前記ガード部材の一部が、前記排出通路部よりも前記集塵ボックス側に延びている請求項7~請求項13の何れか1項に記載の作業機。
【請求項15】
前記排出通路部には、流れてくる前記加工片を前記集塵ボックス側へガイドするガイド壁が設けられ、
前記ガード部材には、前記ガイド壁の少なくとも一部を覆うガイドカバーが設けられる請求項7~請求項14の何れか1項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ダストボックス(集塵ボックス)を備えた携帯用丸鋸(作業機)が記載されている。ダストボックスは、丸鋸刃を覆うソーカバーの側方に配置されており、携帯用丸鋸の作動時に生じる切粉をダストボックス内に溜めるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】2011-68073公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、携帯用丸鋸によって加工される加工材が軟鋼等の金属である場合には、切断加工時に生じる切粉が硬く、高温となる場合がある。このため、切粉が携帯用丸鋸の一部に接触した場合、切粉の勢いや切粉の熱によって接触箇所に影響が出る恐れがあり、例えば、切粉によってソーカバーや集塵ボックスが傷つく、または熱変形する可能性がある。丸鋸刃が駆動する空間を覆うソーカバーの一部が変形して丸鋸刃が回転する空間に突出してしまった場合、変形したソーカバーの一部と回転する丸鋸刃の一部とが干渉することで、作業性が低下する恐れがある。また、切粉が通過または収集される空間の内部が変形した場合、切粉が空間内壁に付着してしまう可能性が増加してしまったり、切粉の正常な通過または収集が行われなくなったりすることで、作業性が低下してしまう恐れがある。これにより、作業機では、切粉による変形が生じにくいように構成しておくことが望ましい。また、切粉が所定の箇所に付着・堆積することによって、視認性の悪化や、可動部品の正常な動きが妨げられ、作業性が低下してしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、作業時に発生する加工片によって作業性が低下してしまうことを抑制することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、円形の先端工具を回転駆動するためのモータと、前記先端工具の少なくとも一部を覆うカバーと、前記先端工具の径方向で前記先端工具よりも外方に位置するようにして前記カバーに設けられ、前記先端工具を用いた加工作業時に生じる加工片を排出するための排出通路部と、前記先端工具の回転軸方向に延びて前記先端工具が位置する空間と前記排出通路部とを区画する壁部と、前記排出通路部内に位置し、前記先端工具の径方向で前記壁部のを覆うガード部材と、を備えた作業機である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記カバーには、前記排出通路部から排出された加工片を溜める集塵ボックスが取付けられている作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記排出通路部は、前記先端工具側へ開放された入口部と、前記集塵ボックス側へ開放された出口部を有しており、前記ガード部材が、前記入口部から前記出口部へ至る経路内に設けられている作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記集塵ボックスは、前記カバーに隣接して配置された第1ケースと、前記第1ケースを前記カバーとは反対側から覆う第2ケースと、を含んで構成されており、前記第1ケースは、金属製とされると共に、前記第2ケースが、透明の材料で製作されている作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1ケースには、前記排出通路部から前記集塵ボックスへ排出される加工片が当たるストッパ部が設けられている作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1ケースには、前記第2ケースの内周面の一部を覆うカバー部が形成されている作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記カバー部は、前記第2ケースの下壁の内周面の少なくとも一部を覆っている作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第2ケースは、樹脂材によって構成されている作業機である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ガード部材の一部が、前記排出通路部よりも前記集塵ボックス側に延びている作業機である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記排出通路部には、流れてくる前記加工片を前記集塵ボックス側へガイドするガイド壁が設けられ、前記ガード部材には、前記ガイド壁の少なくとも一部を覆うガイドカバーが設けられる作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ガード部材には、前記加工片が前記排出通路部の入口部から離間することを抑制する入口ガイド部が設けられる作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ガード部材は金属製である作業機である。
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、原動機によって回転駆動する円形の先端工具が位置する第1空間と、前記先端工具による作業によって生じた加工片が通過する通過空間、又は前記加工片が収集される収容空間の少なくとも一方を含む第2空間と、前記先端工具の径方向で前記先端工具よりも外側に位置するとともに、前記先端工具の回転軸方向に延び、前記先端工具の径方向で前記第1空間と前記通過空間とを仕切る樹脂製の仕切り部と、前記仕切り部を保護する保護部材と、を有し、前記先端工具の径方向で、前記通過空間は前記先端工具よりも外側に位置しており、前記保護部材が、前記径方向における前記先端工具と前記仕切り部の間の領域に位置して前記仕切り部の前記先端工具側を覆う、または前記径方向における前記通過空間と前記仕切り部との間の領域に位置して前記仕切り部の前記通過空間側を覆う、または前記仕切り部に設けられる作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記保護部材は前記仕切り部と比較して、硬い又は耐熱性が高い、あるいはその両方の性質を持つ作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記保護部材は、前記第1空間と前記仕切り部の間の領域に設けられて少なくとも一部が前記第1空間に露出するか、または前記通過空間と前記仕切り部との間の領域に設けられて少なくとも一部が前記通過空間に露出するようにして設けられる作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記保護部材は、前記仕切り部に取り付けられる作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記先端工具の少なくとも一部を覆うカバーを有し、前記仕切り部が前記カバーに設けられる作業機である。
【0017】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、先端工具を駆動するためのモータと、前記先端工具を前記モータの軸方向一方側から少なくとも覆うカバーと、前記カバーに設けられ、加工時に生じる加工片を排出する排出通路部と、前記カバーに対して前記モータの軸方向一方側に設けられ、前記排出通路部から排出された加工片を溜める集塵ボックスと、を備え、前記モータの軸方向において前記カバーと対向する前記集塵ボックスのボックス側対向部の少なくとも一部が金属製である作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記カバーには前記ボックス側対向部と対向するカバー側対向部が設けられ、前記カバー側対向部には、前記ボックス側対向部と前記カバー側対向部との間に空気流を発生させるための通風孔が設けられる作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記モータの軸方向において前記集塵ボックスと対向する前記カバーのカバー側対向部には、複数の通風孔が形成されている作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記カバー側対向部には、前記ボックス側対向部側へ突出した突当てリブが形成されている作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記カバー側対向部は、前記モータの軸方向から見て、下側へ開放された逃げ部を有する半円扇形状に形成されており、前記通風孔が、前記逃げ部の径方向外側に配置されている作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ボックス側対向部の一部が、前記集塵ボックスの内部における底部を構成している作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記集塵ボックスは、前記ボックス側対向部を前記カバーとは反対側から覆うアウタケースを有しており、前記アウタケースが樹脂製とされている作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記集塵ボックスには、前記カバーに係合可能に構成された着脱ボタンが設けられており、前記ボックス側対向部によって前記着脱ボタンの位置が決められている作業機である。本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記集塵ボックスの内部における底部には金属部材が設けられており、前記金属部材と前記ボックス側対向部とが接続されている作業機である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、耐熱性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に係る切断工具を示す右側から見た側面図である。
図2図1に示される切断工具の左側から見た側面図である。
図3図1に示される切断工具の右斜め前方から見た斜視図である。
図4図3に示される切断工具の集塵ボックスを工具本体から取外した状態を示す右斜め前方から見た斜視図である。
図5図3に示される切断工具のダクトをモータハウジング部から取外した状態を示す左斜め前方から見た斜視図である。
図6図2に示される切断工具の内部を示す上側から見た断面図(図2の6-6線断面図)である。
図7図4に示される切断工具のソーカバーと鋸刃との位置関係を示す左斜め前方から見た斜視図である。
図8図7に示されるソーカバーの切粉排出通路部の部位における右側から見た断面図である。
図9図8に示される切粉排出通路部の内部を上斜め前方から見た断面図(図8の9-9線断面図)である。
図10】(A)は、図1に示される集塵ボックスのボックス側吸気部の部位における前側から見た断面図(図1の10A-10A線断面図)であり、(B)は、図1に示される集塵ボックスの着脱ボタンの部位における前側から見た断面図(図1の10B-10B線断面図)である。
図11図4に示されるガード部材の全体を示す右斜め前方から見た斜視図である。
図12図4に示される集塵ボックスの左斜め後方から見た分解斜視図である。
図13図12に示される集塵ボックスのインナケースとソーカバーとの位置関係を示す右斜め前方から見た斜視図である。
図14】変形例におけるソーカバー及びソーカバーに取り付けられた状態の集塵ボックスを左前方向から見た斜視図である。
図15図14に示す構成を左後下から見て部分的に拡大した斜視図である。
図16図14に示す構成からソーカバーとインナケースを取り外した状態を示す斜視図である。
図17図14に示す構成の部分的な断面を示した斜視図である。
図18図14に示す構成からアウタケースを取り外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る作業機としての切断工具10について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、及び矢印RHは、それぞれ切断工具10の上側、前側、及び右側を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、切断工具10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0021】
切断工具10は、加工材を切断する工具として構成されている。図1図4に示されるように、切断工具10は、加工材に対して切断加工を施す工具本体20と、加工時に生じる加工片としての切粉を溜める集塵ボックス80と、を含んで構成されている。以下、初めに工具本体20の構成を説明し、次いで、集塵ボックス80の構成について説明する。
【0022】
(工具本体20について)工具本体20は、ベース22と、ハウジング24と、ハウジング24内に収容された駆動機構40及び制御部57と、バッテリーパック59と、カバーとしてのソーカバー60と、保護部材としてのガード部材70と、を含んで構成されている。
【0023】
(ベース22について)ベース22は、上下方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略矩形プレート状に形成されている。そして、切断工具10による加工時には、ベース22を加工材の上側に載置して、ベース22の下面を加工材の上面に沿って摺動させるようになっている。
【0024】
ベース22の左側部には、先端工具としての鋸刃12を配置するための工具挿通部22Aが貫通形成されており、工具挿通部22Aは、平面視で前後方向を長手方向とする略矩形孔状に形成されている。ここで、鋸刃12は、左右方向を板厚方向とする略円板状に形成されており、鋸刃12の中心部が、後述する駆動機構40の出力軸50に一体回転可能に固定されている。そして、鋸刃12が工具挿通部22A内に配置されており、鋸刃12の上部がベース22から上側へ突出し、鋸刃12の下端側部分がベース22から下側へ突出している。
【0025】
(ハウジング24について)図1図6に示されるように、ハウジング24は、工具本体20の外郭を構成すると共に、ベース22の上側に配置されている。ハウジング24は、後述する駆動機構40を収容する本体ハウジング部25と、ハウジング24の上部を構成するハンドルハウジング部26と、ダクト27と、を含んで構成されている。
【0026】
本体ハウジング部25は、右側へ開放された略有底円筒状に形成されている。本体ハウジング部25の右端部には、径方向外側へ張り出されたハウジング側カバー部25Aが形成されている。ハウジング側カバー部25Aは、右側から見て上側へ凸となる略半円状に形成されており、ハウジング側カバー部25Aの外周部が左側へ屈曲されている(図6参照)。そして、ハウジング側カバー部25Aの前端部及び後端部が、ベース22に連結されている。
【0027】
本体ハウジング部25の左端部には、前側及び後側の角部において、複数の吸気口25Bが貫通形成されている。複数の吸気口25Bは、本体ハウジング部25の底壁(左端部)から前後の側壁に亘って形成されており、上下方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。
【0028】
本体ハウジング部25の右端部における前壁には、ハウジング側カバー部25Aを除く部分において、開口部25C(図5及び図6参照)が貫通形成されている。開口部25Cは、前側から見て略矩形状に形成されて、前側へ開放されている。
【0029】
ハンドルハウジング部26は、左側から見て、中空の略D字形に形成されており、本体ハウジング部25を上側及び後側から覆うように配置されて、本体ハウジング部25に連結されている。ハンドルハウジング部26の上端部は、作業者が把持するハンドル部26Aとして構成されており、ハンドル部26Aは、側面視で後側へ向かうに従い下側へ傾斜している。
【0030】
ハンドル部26Aの前端側部分には、トリガ30が設けられている。トリガ30は、ハンドル部26Aから下側へ突出されると共に、上側へ引き操作可能に構成されている。また、ハンドル部26Aには、トリガ30の上側において、トリガ30の引き操作をロックするためのロックボタン31が設けられている。さらに、ハンドル部26Aの内部には、図示しないスイッチ機構が設けられている。スイッチ機構は、トリガ30によって操作される、図示しないスイッチを有している。当該スイッチは、後述する制御部57に電気的に接続されており、トリガ30の操作状態に応じた出力信号を制御部57に出力する構成になっている。
【0031】
また、ハンドルハウジング部26の後側下端部は、後述するバッテリーパック59を装着するためのバッテリー装着部26Bとして構成されている。バッテリー装着部26Bには、図示しないコネクタが設けられており、コネクタは、後述する制御部57に電気的に接続されている。
【0032】
図5及び図6に示されるように、ダクト27は、全体として、左右方向を軸方向とし且つ上下方向を長手方向とする略矩形筒状に形成されると共に、本体ハウジング部25の開口部25Cを前側から塞ぐように本体ハウジング部25に固定されている。ダクト27の後壁の左端部は、切欠かれており、ダクト27の内部と本体ハウジング部25の内部とが、開口部25C及び当該切欠き部によって連通されている(図6参照)。
【0033】
また、図10(A)にも示されるように、ダクト27は、上側へ延出したダクト出口部27Aを有しており、ダクト出口部27Aは、ハウジング側カバー部25Aの外周側部分に隣接して配置されている。さらに、ダクト出口部27Aの先端部は、ハウジング側カバー部25Aの外周部に沿って右側へ屈曲されている。また、ダクト出口部27Aは、その長手方向から見て、ハウジング側カバー部25A側へ開放された略U字形状に形成されている。
【0034】
(駆動機構40について)図6に示されるように、駆動機構40は、モータ41と、出力軸50と、を含んで構成されている。モータ41は、本体ハウジング部25内に収容されている。モータ41は、回転軸42と、ロータ43と、ステータ44と、を含んで構成されている。モータ41は本発明における原動機の一例である。
【0035】
回転軸42は、左右方向を軸方向として配置されている。そして、回転軸42の左端部が、本体ハウジング部25に固定された第1モータ軸受47によって回転可能に支持されており、回転軸42の右側部分が本体ハウジング部25に固定された第2モータ軸受48によって回転可能に支持されている。そして、回転軸42の右端部が、第2モータ軸受48から右側へ突出しており、回転軸42の右端部には、ピニオンギヤ42Aが形成されている。
【0036】
ロータ43は、左右方向を軸方向とした略円筒状に形成され、回転軸42の径方向外側に配置されると共に、回転軸42と一体回転可能に構成されている。ステータ44は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、ロータ43の径方向外側において本体ハウジング部25に支持されている。ステータ44は、ステータホルダ44Aを有しており、ステータホルダ44Aには、ステータコイル(図示省略)が巻き回されている。ステータホルダ44Aの左端部には、モータ基板45が固定されており、ステータコイルがモータ基板45に接続されている。また、モータ基板45は、図示しないリード線によって、後述する制御部57に電気的に接続されている。
【0037】
回転軸42の右側部分には、第2モータ軸受48の左側において、ファン46が一体回転可能に設けられている。ファン46は、遠心ファンとして構成されている。具体的には、ファン46により生成される空気流によって、本体ハウジング部25の吸気口25Bから本体ハウジング部25内に空気を流入させ、当該空気を本体ハウジング部25の開口部25Cからダクト27内へ流出させるようになっている。また、ダクト27内に流入された空気を、ダクト出口部27Aから排気させるようになっている。
【0038】
出力軸50は、左右方向を軸方向として、本体ハウジング部25の内部に配置されている。具体的には、出力軸50は、モータ41の回転軸42の右側端部(軸方向一方側端部)の下側で且つ回転軸42に対して若干後側に配置されて、本体ハウジング部25に回転可能に支持されている。出力軸50の左端部には、図示しない出力ギヤが一体回転可能に設けられている。
【0039】
さらに、回転軸42と出力軸50との間には、図示しない伝達ギヤ(減速機構)が設けられている。伝達ギヤは、2段ギヤとして構成されて、回転軸42のピニオンギヤ42A及び出力軸50の出力ギヤに噛合されている。また、出力軸50の右端部は、工具取付部として構成されて、工具取付部は、ハウジング側カバー部25A内に配置されている。また、工具取付部は、右側へ開放された略円筒状に形成されており、工具取付部の内周部には、雄ネジが形成されている。そして、鋸刃12の中心部が、ワッシャ53介して工具取付部に外挿され、ボルトBLによって、鋸刃12が出力軸50の右端部に固定されている。これにより、モータ41の駆動時には、出力軸50及び鋸刃12が、出力軸50の軸回り一方側(図1の矢印A方向側)へ回転するように構成されている。
【0040】
なお、図1図4に示されるように、鋸刃12の下部は、保護カバー55によって覆われている。保護カバー55は、右側から見て下側へ凸となる略半円状に形成されると共に、上側へ開放された凹状に形成されている。また、保護カバー55は、出力軸50の軸回りに回動可能に出力軸50に連結されている(図6参照)。さらに、保護カバー55は、図示しない付勢バネによって出力軸50の軸回りに付勢されて、図1図4に示される位置に保持されている。そして、切断工具10による切断加工時には、加工材によって保護カバー55が付勢バネの付勢力に抗して出力軸50の軸回り他方側へ回動して、鋸刃12の刃部が露出される構成になっている。図10(B)には、切断加工時における保護カバー55の位置を概略的に示す。切断加工時における保護カバー55の右側面に対向するサイドカバー壁61の部分には、第1通風孔61Fが設けられている。
【0041】
(制御部57について)図2に示されるように、制御部57は、ハンドルハウジング部26におけるバッテリー装着部26Bの前端部内に収容されている。制御部57には、トリガ30のスイッチ機構及びモータ41が電気的に接続されている。これにより、トリガ30が引き操作されることで、モータ41が駆動して、鋸刃12が出力軸50の軸回りに回転するようになっている。
【0042】
(バッテリーパック59について)バッテリーパック59は、略直方体に形成されている。そして、バッテリーパック59が、切断工具10のバッテリー装着部26Bに後側から装着されている。さらに、バッテリーパック59は、図示しないコネクタを有しており、バッテリーパック59の装着状態では、当該コネクタが、ハンドルハウジング部26のコネクタに接続されて、バッテリーパック59から後述する制御部57へ電力が供給される構成になっている。
【0043】
(ソーカバー60について)図3図10に示されるように、ソーカバー60は、樹脂材によって構成されている。ソーカバー60は透明である。なお、ソーカバー60は内部が視認可能な程度に透けていればよく、ある程度の透光性を有していれば良い。ソーカバー60は、本体ハウジング部25のハウジング側カバー部25Aの右側に隣接配置されて、鋸刃12を上側及び右側から覆うカバー部として構成されている。具体的には、ソーカバー60は、左右方向を板厚方向とし且つ下側へ開放された略半円扇形板状のカバー側対向部としてのサイドカバー壁61と、サイドカバー壁61の外周端部から右側へ延出された外周カバー壁62と、を含んで構成されている。そして、サイドカバー壁61が、鋸刃12の上部を右側(モータ41の軸方向一方側)から覆う壁部として構成され、外周カバー壁62が、鋸刃12の上部を径方向外側から覆う壁部として構成されている。また、外周カバー壁62が、ハウジング側カバー部25Aの右側に隣接配置されて、サイドカバー壁61の外周部が、ハウジング側カバー部25Aに締結されて、ソーカバー60が本体ハウジング部25に固定されている。これにより、ソーカバー60及びハウジング側カバー部25Aによって、下側へ開放された工具収容領域AR(図6参照)が形成されており、工具収容領域AR内に鋸刃12の上部が配置されている。工具収容領域ARの右側がソーカバー60によって覆われることとなるが、ソーカバー60は透明なので右側から工具収容領域ARの内部を視認することができるようになっている。
【0044】
図4に示されるように、サイドカバー壁61の下端部には、前後方向中間部において、逃げ部としてのカバー側切欠部61Aが形成されており、カバー側切欠部61Aは、側面視で、下側へ開放された略半円状に形成されている。そして、後述する集塵ボックス80を工具本体20から取外した状態では、出力軸50に螺合されたボルトBLが、カバー側切欠部61Aによって右側へ露出される構成になっている。
【0045】
図7に示されるように、サイドカバー壁61の左面の上部には、外周カバー壁62と鋸刃12との間において、内側カバー壁63が形成されている。内側カバー壁63は、鋸刃12の径方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向として鋸刃12の周方向に沿った略長尺板状に形成されて、サイドカバー壁61から左側へ突出している。すなわち、内側カバー壁63は、左側から見て、鋸刃12の周方向に沿って延在されている。これにより、内側カバー壁63が、鋸刃12を上側から覆うように構成されている。より詳しくは、切断工具10の作業時には、保護カバー55が内側カバー壁63の径方向内側にて回動するように構成されている。また、鋸刃12が内側カバー壁63の径方向内側にて回転駆動するように構成されている。内側カバー壁63は、鋸刃12が位置して回転駆動する空間である駆動空間(第1空間)とそうでない非駆動空間とにソーカバー60の内部を区分けする(仕切る)。すなわち、内側カバー壁63よりも径方向内側の領域が駆動空間(第1空間)であり、内側カバー壁63よりも径方向外側の領域が非駆動空間である。また、内側カバー壁63は、外周カバー壁62及び鋸刃12よりも左側へ突出する部分を有している。内側カバー壁63は、本発明における仕切り部の一例である。工具収容領域ARは本発明における駆動空間または第1空間である。鋸刃12は工具収容領域AR(第1空間)に位置する。保護カバー55は工具収容領域AR(第1空間)に位置する。
【0046】
図8図10(A)にも示されるように、内側カバー壁63の前端部の上面には、ガイド壁としての傾斜壁63Aが形成されている。傾斜壁63Aは、内側カバー壁63の前左端部から内側カバー壁63の後端側(鋸刃12の回転方向側であり、図1の矢印A方向側)へ向かうに従い右側へ曲線状に傾斜している。さらに、傾斜壁63Aの一部(右側部分)は、内側カバー壁63及び外周カバー壁62の間に配置されて、両者を連結している。これにより、ソーカバー60には、内側カバー壁63、傾斜壁63A、及び外周カバー壁62によって囲まれた排出通路部としての切粉排出通路部64が形成されている。内側カバー壁63に設けられる傾斜壁63Aは、非駆動空間(内側カバー壁63よりも径方向外側の空間)を、切粉が通過する通過空間(切粉排出通路部64)と切粉が通過しない非通過空間とに区分けする。傾斜壁63Aは本発明における区分け部の一例である。なお、本実施の形態では、切粉排出通路部64内の空間を区画するのに、ハウジング側カバー部25A(本体ハウジング部25)の一部を側壁として利用している。すなわち、切粉排出通路部64はソーカバー60の一部と本体ハウジング部25の一部とで形成されている。ソーカバー60のみで切粉排出通路部64内の空間を区画するようにしてもよいが、図9で示すような切粉排出通路部64の左側面における湾曲形状、すなわち前方から後方にかかる湾曲形状で、外側(左側)に膨らんでから内側(右側)に戻るように湾曲するような複雑な形状を実現するためには、切粉排出通路部64を複数部品で形成するのが有効である。切粉排出通路部64は切粉(加工片)が通過する通過空間または第2空間の一例である。
【0047】
また、切粉排出通路部64を構成する内側カバー壁63の前端右側部には、カバー側入口ガイド64A(図7参照)が形成されている。カバー側入口ガイド64Aは、内側カバー壁63の前端部から下側へ延出され、サイドカバー壁61の左面に接続されると共に、鋸刃12における前端側外周部の右側に配置されている。そして、前後方向における内側カバー壁63の前端部と外周カバー壁62との間の空間部分が、切粉排出通路部64の入口部64B(図7図9参照)として構成されている。これにより、入口部64Bは、カバー側入口ガイド64Aによって下側(鋸刃12側)へ開放されて、切粉排出通路部64と工具収容領域ARとが入口部64Bによって連通されている。入口部64Bは、円形である鋸刃12の外径よりも外側に位置している。入口部64Bは切粉(加工片)が通過する通過空間の一部である。
【0048】
さらに、切粉排出通路部64は、右側へ開放されている。つまり、サイドカバー壁61には、切粉排出通路部64を開口させる孔部が形成されており、当該孔部が、出口部64C(図9及び図10(A)参照)として構成されている。これにより、加工材に対する切断加工時において生じる切粉が、工具収容領域AR内において、鋸刃12によって上側へ巻き上げられると、巻き上げられた切粉が、入口部64Bから切粉排出通路部64に導入され、切粉排出通路部64の出口部64Cから右側へ排出されるように構成されている。
【0049】
外周カバー壁62の上面には、切粉排出通路部64の上側で且つダクト27のダクト出口部27Aの先端部に対応する位置において、カバー側吸気部65が形成されている。カバー側吸気部65は、ダクト出口部27Aに対応して、側面視で下側へ開放された略U字形状に形成されており、カバー側吸気部65の長手方向両端部が、外周カバー壁62に接続されている。そして、ダクト出口部27Aの先端部が、カバー側吸気部65の左側に隣接して配置されて、ダクト出口部27Aの内部とカバー側吸気部65の内部とが連通している。
【0050】
図4に示されるように、サイドカバー壁61の後部の上端部には、カバー側排気口61Bが貫通形成されている。カバー側排気口61Bは、サイドカバー壁61の径方向において、内側カバー壁63と外周カバー壁62との間に配置されると共に、側面視でサイドカバー壁61の周方向に沿った長孔状に形成されている。
【0051】
サイドカバー壁61の上端部には、切粉排出通路部64とカバー側排気口61Bとの間において、後述する集塵ボックス80の着脱ボタン86の一部が挿入されるボタン挿入部61Cが形成されている。ボタン挿入部61Cは、右側へ開放された凹状に形成されており、ボタン挿入部61Cの上側の縁部には、下側へ突出した第1固定フック61D(図10(B)参照)が形成されている。
【0052】
サイドカバー壁61の径方向内側部分には、左側へ一段下がった絞り部61Eが形成されている。絞り部61Eは、側面視で、サイドカバー壁61の周方向に沿って延在された半円弧状に形成されている。また、サイドカバー壁61には、絞り部61Eの径方向外側において、通風孔としての複数(本実施の形態では、5箇所)の第1通風孔61Fが貫通形成されている(図4では、便宜上、後側の第1通風孔61Fのみに符号を付している)。第1通風孔61Fは、側面視で、略扇形状に形成されて、サイドカバー壁61の周方向に沿って並んで配置されている。
【0053】
さらに、サイドカバー壁61の絞り部61Eには、通風孔としての複数(本実施の形態では、5箇所)の第2通風孔61Gが貫通形成されている(図4では、便宜上、後側の第2通風孔61Gのみに符号を付している)。第2通風孔61Gは、第1通風孔61Fと同様に、側面視で略扇形状に形成されて、サイドカバー壁61の周方向に沿って並んで配置されている。また、第2通風孔61Gは、第1通風孔61Fに対して、サイドカバー壁61の径方向内側にそれぞれ配置されている。
【0054】
また、サイドカバー壁61には、第1通風孔61Fに対してサイドカバー壁61の径方向外側及び径方向内側において、突当てリブ61Hがそれぞれ形成されている(図4では、便宜上、後側の一対の突当てリブ61Hのみに符号を付している)。すなわち、サイドカバー壁61には、10箇所の突当てリブ61Hが形成されている。突当てリブ61Hは、側面視で絞り部61Eの周方向に沿って延在されると共に、右側へ突出している。
【0055】
また、サイドカバー壁61の下端部には、後述する集塵ボックス80を固定するための前後一対の第2固定フック61Jが形成されている。第2固定フック61Jは、前側から見て、略L字形状に形成され、サイドカバー壁61から右側へ突出されると共に、前後方向に延在されている。
【0056】
(ガード部材70について)図4図7図10(A)、及び図11に示されるように、ガード部材70は、ソーカバー60の切粉排出通路部64の内部に配置されて、切粉排出通路部64の底壁(内側カバー壁63の一部上面)を保護する部材として構成されている。ガード部材70は金属であり、本実施の形態においてはアルミである。ガード部材70は、ガード本体71を有しており、ガード本体71は、内側カバー壁63と平行に配置されたプレート状に形成されている。すなわち、側面視で、ガード本体71は、内側カバー壁63の長手方向に沿った曲線状に湾曲されている。また、ガード本体71は、内側カバー壁63の板厚方向から見て、切粉排出通路部64の底面と相似形を成すように略三角形状に形成されて、切粉排出通路部64の底面の上側に隣接して配置されている。すなわち、ガード本体71の右端部が前後方向に直線状に延在されており、ガード本体71の左端部が、後側へ向かうに従い右側へ曲線状に傾斜されている。ガード部材70は本発明における保護部材の一例である。
【0057】
また、ガード本体71は、切粉排出通路部64の入口部64Bから出口部64Cに亘って、切粉排出通路部64(通過空間)の底壁を上側から覆うように構成されている。より詳しくは、ガード本体71の右端部は、切粉排出通路部64の出口部64Cから左側へ突出している。すなわち、ガード本体71が、ソーカバー60のサイドカバー壁61から左側(後述する集塵ボックス80側)へ突出している(図10(A)参照)。換言すれば、切粉が移動して通過する通過空間(第2空間)の内部に露出する内側カバー壁63(仕切り部)の一部が保護部材であるガード本体71によって覆われてる。
【0058】
ガード本体71の左端部には、上側へ屈曲されたガイドガードとしてのガード側傾斜壁72が一体に形成されている。すなわち、ガード側傾斜壁72は、ソーカバー60の傾斜壁63Aに対応して、後側へ向かうに従い右側へ曲線状に傾斜されている。換言すると、ガード側傾斜壁72は、鋸刃12の回転方向側へ向かうに従い、切粉排出通路部64の出口部64C側へ傾斜している。これにより、切粉排出通路部64内に流入された切粉を、ガード側傾斜壁72によって切粉排出通路部64の出口部64C側へ導くように構成されている。
【0059】
ガード側傾斜壁72の後端部は、ガード固定部73として構成されており、ガード固定部73は、後側へ屈曲されると共に、ガード本体71よりも後側へ突出している。そして、ガード固定部73が、切粉排出通路部64の出口部64Cにおける後側周縁部の左側に配置され、溶着によってサイドカバー壁61に固定されている。なお、ネジ等の固定具を用いてガード固定部73を出口部64Cに固定するようにしてもよい。以上により、ガード部材70が、ソーカバー60における切粉排出通路部64の底壁及び傾斜壁63Aを内側からガードして保護するように構成されている。
【0060】
また、ガード本体71の前端部における右側部分には、下側へ屈曲された入口ガイド部としてのガード側入口ガイド74が形成されている。ガード側入口ガイド74は、鋸刃12の前端側外周部の左側に配置されている。より詳しくは、ソーカバー60のカバー側入口ガイド64A及びガード側入口ガイド74が、鋸刃12の前端側外周部を左右方向において挟むように配置されている(図7参照)。ガード本体71の前端部の下方位置で後方へ流れようとする切粉は、一部がカバー側入口ガイド64A及びガード側入口ガイド74の前面に当たって移動が制限されながら、鋸刃12の回転によって生じる風によりガード本体71側へ送られる。このように、カバー側入口ガイド64A及びガード側入口ガイド74は、ガード本体71の前端部より後方に切粉が流れて行くのを抑制する、すなわち切粉が入口部64Bより後方へ離間することを抑制し、切粉の集塵率を向上させる働きを持つ。
【0061】
(集塵ボックス80について)図3図6、及び図12に示されるように、集塵ボックス80は、工具本体20のソーカバー60に着脱可能に取付けられて、ソーカバー60の右側に配置されている。そして、ソーカバー60の切粉排出通路部64から排出された切粉を、集塵ボックス80によって溜めるように構成されている。集塵ボックス80は、第2ケースとしてのアウタケース82(右側部分)と、ボックス側対向部及び第1ケースとしてのインナケース84(左側部分)と、着脱ボタン86と、集塵器接続部90と、を含んで構成されている。すなわち、集塵ボックス80は鋸刃12側(左側)に第1壁部(インナケース84)を有し、反鋸刃12側(右側)に第2壁部(アウタケース82)を有する。
【0062】
(アウタケース82について)アウタケース82は樹脂材によって構成される。また、アウタケース82は透明である。なお、アウタケース82は集塵ボックス80の内部が視認可能な程度に透けていればよく、内部が視認可能な程度の透過性を有する材料によって形成されていればよい。アウタケース82は左側へ開放された略矩形箱状に形成されている。アウタケース82の下壁の左端部には、ソーカバー60の第2固定フック61Jに対応する位置において、前後一対のボックス側係合フック82Aが形成されている。ボックス側係合フック82Aは、左右方向を厚み方向とし且つ前後方向に延在されたリブ状に形成されて、アウタケース82から下側へ突出している。そして、ボックス側係合フック82Aが、ソーカバー60の第2固定フック61Jとサイドカバー壁61との間に上側から差し込まれて、第2固定フック61Jとボックス側係合フック82Aとが左右方向に係合することで、アウタケース82の下端部が、ソーカバー60に取付けられるようになっている(図10(A)参照)。また、アウタケース82の上端部は、後述する着脱ボタン86によってソーカバー60に取付けられるようになっている。さらに、アウタケース82のソーカバー60への取付状態では、アウタケース82の上面が、ソーカバー60の上面と面一となるように、側面視で略円弧状に湾曲されている。
【0063】
図12に示されるように、アウタケース82の右壁には、後述するインナケース84を固定するための複数(本実施の形態では、3箇所)の固定ボス82Bが形成されている。固定ボス82Bは、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、アウタケース82の右壁から左側へ突出している。また、固定ボス82Bは、アウタケース82の前端部、後端部、及び上端部にそれぞれ形成されている。
【0064】
アウタケース82の上壁の後端部には、ソーカバー60のカバー側吸気部65に対応する位置において、ボックス側吸気部82Cが形成されている。ボックス側吸気部82Cは、アウタケース82の上壁に対して上側へ隆起されると共に、カバー側吸気部65に対応する形状に形成されている。そして、カバー側吸気部65の右端部とボックス側吸気部82Cの左端部とが接続されている。これにより、本体ハウジング部25の内部と集塵ボックス80の内部とが、ダクト27及びソーカバー60のカバー側吸気部65によって連通されている(図10(A)参照)。
【0065】
アウタケース82の上壁には、前後方向中間部において、後述する着脱ボタン86を収容するためのボタン収容部82Dが形成されている。ボタン収容部82Dは、上側及び左側へ開放された凹状に形成されて、ソーカバー60のボタン挿入部61Cの右側に配置されている。ボタン収容部82Dの前後の内周面には、上下方向中間部において、係合溝82Eがそれぞれ形成されている。係合溝82Eは、左右方向に延在されており、係合溝82Eの左端部が、左側へ開放されている。
【0066】
アウタケース82の下壁と右壁との間の角部には、ケース傾斜部82Fが、形成されている。ケース傾斜部82Fは、前側から見て、右側へ向かうに従い上側へ傾斜している(図10(A)及び(B)参照)。ケース傾斜部82Fの外面には凹凸形状が形成されており、集塵ボックス80を持って操作しやすいようになっている。
【0067】
アウタケース82の後端部には、後述する集塵器接続部90を装着するための装着部82Gが形成されている。装着部82Gは、前後方向を軸方向とし且つ上下方向を長手方向とする略矩形筒状に形成されて、アウタケース82から後側へ突出している。また、装着部82Gの左部は、アウタケース82より左側へ突出している。さらに、アウタケース82の後壁には、アウタケース82の内部と装着部82Gの内部とを連通する排出孔82Hが貫通形成されている。すなわち、集塵ボックス80は鋸刃12側(左側)に第1壁部(インナケース84)を有し、反鋸刃12側(右側)に第2壁部(アウタケース82)を有するが、これらの壁部によって覆われない部分が排出孔82Hとなり、排出孔82Hは集塵器接続部90によって閉塞されている。後述するように集塵ボックス80の内部は切粉を収集する空間として機能する。すなわち、集塵ボックス80は切粉を収容する切粉収容部80Aを有する。集塵ボックス80の内部(切粉収容部80A)は、切粉が収集される収容空間であり、切粉が通過または収集される空間(第2空間)の一例である。
【0068】
(インナケース84について)図12及び図13に示されるように、インナケース84は、金属の板材によって構成されている。インナケース84は、左右方向を板厚方向として配置されており、右側から見て、インナケース84の外形がアウタケース82の外形と相似形を成すように形成されている。すなわち、インナケース84の上端部が、上側へ凸となる円弧状に湾曲している。インナケース84には、アウタケース82の固定ボス82Bに対応する位置において、固定孔84Aが貫通形成されている。そして、固定ネジSCが、固定孔84A内に左側から挿入され、固定ボス82Bに螺合されて、インナケース84が、アウタケース82に固定されている。また、インナケース84のアウタケース82への固定状態では、インナケース84が、アウタケース82の開口部の内側に配置されて、インナケース84によってアウタケース82の開口部が閉塞されている。
【0069】
そして、集塵ボックス80の工具本体20への取付状態では、インナケース84が、ソーカバー60の突当てリブ61Hの右側に隣接して配置される構成になっている(図10(A)及び(B)参照)。すなわち、インナケース84がソーカバー60のサイドカバー壁61の右側に所定の隙間を空けて配置されると共に、左右方向において、サイドカバー壁61及びインナケース84が対向している。
【0070】
インナケース84の前部の上側外周部には、ボックス入口部84Bが形成されている。ボックス入口部84Bは、右側から見て、インナケース84の外周部から径方向内側へ一段下がるように切欠かれており、ボックス入口部84Bによって集塵ボックス80とソーカバー60の切粉排出通路部64とを連通されている。これにより、切粉排出通路部64の出口部64Cから排出された切粉が、集塵ボックス80の内部に入る(導入される)ように構成されている。
【0071】
インナケース84の上端部には、ボックス入口部84Bの後端部の上側において、ストッパ部としてのストッパ壁84Cが形成されている。ストッパ壁84Cは、右側へ屈曲され且つ前後方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されて、側面視で切粉排出通路部64に対して鋸刃12の周方向一方側(回転方向側)に配置されている。これにより、切粉排出通路部64の出口部64Cから右側且つ鋸刃12の回転方向側へ排出される切粉が、ストッパ壁84Cに衝突するように構成されている。
【0072】
インナケース84の上端部には、ストッパ壁84Cの後側において、後述する着脱ボタン86を挿通させるためのボタン挿通溝84Dが形成されている。ボタン挿通溝84Dは、上側へ開放された凹状に形成されると共に、ソーカバー60のボタン挿入部61Cの右側に配置されている。
【0073】
また、インナケース84の後部の上側外周部には、複数(本実施の形態では、3箇所)のボックス側排気口84Eが貫通形成されている。ボックス側排気口84Eは、ソーカバー60のカバー側排気口61Bの右側に配置されている。これにより、集塵ボックス80の内部と工具収容領域ARとが、カバー側排気口61B及びボックス側排気口84Eによって連通されている。そして、本実施の形態では、切断工具10の作動時には、モータ41のファン46の回転によって、以下の空気流が発生するようになっている。すなわち、本体ハウジング部25の吸気口25Bからダクト27内に空気を流入させ、ダクト27内の空気をダクト出口部27A及びソーカバー60のカバー側吸気部65を介して集塵ボックス80内に流入させ、集塵ボックス80内の空気をボックス側排気口84E及びカバー側排気口61Bを介して工具収容領域AR内へ排気させるように構成されている。これにより、ファン46の回転によって発生する空気流によって、インナケース84を冷却するように構成されている。
【0074】
図10(A)及び(B)にも示されるように、インナケース84の下端部には、右側へ屈曲されたカバー部としてのボックスボトム部84Fが形成されており、ボックスボトム部84Fは、前後方向に延在されると共に、アウタケース82の下壁の上側に隣接して配置されている。これにより、ボックスボトム部84Fが、集塵ボックス80における内部の底部を構成している。また、ボックスボトム部84Fの先端部には、アウタケース82のケース傾斜部82Fに対応する傾斜部84Gが形成されている。傾斜部84Gは、前側から見て、右側へ向かうに従い上側に傾斜されると共に、アウタケース82のケース傾斜部82Fの上側に隣接して配置されている。ボックスボトム部84Fはインナケース84の一部を折り曲げることで作られており、インナケース84と一体の構造を成すが、インナケース84とは別体の構造としながら、集塵ボックス80内で相互に接続されるように構成してもよい。ボックスボトム部84Fはインナケース84から延在して集塵ボックス80内部の底部の一部となる部分である。
【0075】
(着脱ボタン86について)図10(B)及び図12に示されるように、着脱ボタン86は、下側へ開放された略矩形箱状に形成されて、アウタケース82のボタン収容部82D内に配置されている。着脱ボタン86の前後面の下端部には、左右一対の係合突起86Aがそれぞれ形成されている。すなわち、着脱ボタン86は、4箇所の係合突起86Aが形成されている。そして、係合突起86Aが、アウタケース82の係合溝82E内に挿入されている。着脱ボタン86の左側面の一部は、インナケース84の右側面の一部に対向する位置関係となっているため、着脱ボタン86の左方向の移動はインナケース84によって規制される。
【0076】
また、着脱ボタン86の内部には、ボタンスプリング88(図10(B)参照)が配置されている。ボタンスプリング88は、圧縮コイルスプリングとして構成され、ボタンスプリング88の上端部が、着脱ボタン86の上壁に係止され、ボタンスプリング88の下端部が、ボタン収容部82Dの下壁に係止されている。これにより、ボタンスプリング88によって、着脱ボタン86が上側へ付勢されて、係合突起86Aが係合溝82Eの上面に当接されている。したがって、着脱ボタン86が下側へ押圧操作可能に構成されている。
【0077】
また、着脱ボタン86には、ボタン係合片86Bが形成されている。ボタン係合片86Bは、上下方向を板厚方向として、着脱ボタン86の下端部から左側へ突出している。具体的には、ボタン係合片86Bは、インナケース84のボタン挿通溝84D内を挿通しており、ボタン係合片86Bの先端部が、ソーカバー60のボタン挿入部61C内に挿入されている。ボタン係合片86Bの幅寸法(前後方向の寸法)は、ボタン挿通溝84Dの幅寸法よりも僅かに小さく設定されている。これにより、着脱ボタン86の前後方向における位置が、インナケース84のボタン挿通溝84Dによって決まる構成になっている。すなわち、着脱ボタン86前後方向及び左方向の移動は、インナケース84によって規制されている。
【0078】
さらに、ボタン係合片86Bの先端部には、上側へ突出した被係合フック部86Cが形成されている。被係合フック部86Cは、ソーカバー60の第1固定フック61Dの左側に隣接して配置され、被係合フック部86Cと第1固定フック61Dとが左右方向に係合されている。これにより、集塵ボックス80の上端部の右側への移動が制限されるようになっている。そして、着脱ボタン86を下側へ押圧することで、被係合フック部86Cと第1固定フック61Dとの係合状態が解除される。これにより、集塵ボックス80を工具本体20から取外すことができるように構成されている。
【0079】
(集塵器接続部90について)図1図3図4図6、及び図12に示されるように、集塵器接続部90は、集塵器接続部90の前部を構成する被装着部90Aと、集塵器接続部90の後部を構成する接続筒部90Bと、を含んで構成されている。被装着部90Aは、前側へ開放された略矩形箱状に形成されている。そして、被装着部90Aが、アウタケース82の装着部82Gを閉塞するように、装着部82Gに連結されている。具体的には、被装着部90Aの上端部が、左右方向を軸方向として、アウタケース82の装着部82Gの上端部に回転可能に連結されている。
【0080】
接続筒部90Bは前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、被装着部90Aから後側へ突出している。また、接続筒部90Bの内部と被装着部90Aの内部とが連通している。そして、接続筒部90Bの後端部には、図示しない集塵機のホースが接続される構成になっている。これにより、集塵機によって、集塵ボックス80の切粉が吸引されて集塵ボックス80の外部へ排出される構成になっている。なお、集塵機のホースの接続筒部90Bへの未接続時には、有底円筒状のキャップ92が、接続筒部90Bに取付けられている。
【0081】
(作用効果)次に、本実施の形態の切断工具10の作用及び効果について説明する。
【0082】
上記のように構成された切断工具10の使用時には、ベース22を加工材上に載置すると共に、トリガ30を引き操作する。これにより、モータ41が駆動すると共に、モータ41の駆動力が鋸刃12に伝達されて、鋸刃12が出力軸50の軸回り一方側へ回転する。そして、切断工具10を前方側へ移動させることで、加工材に対して切断加工が施される。
【0083】
また、加工材に対する切断加工時には、切断加工によって生じる切粉が、鋸刃12の回転力によって上側へ巻き上げられる。具体的には、切粉が、鋸刃12の前端外周部から上側へ巻き上げられると共に、ハウジング側カバー部25Aの外周部及びソーカバー60の外周カバー壁62に沿って、鋸刃12の回転方向側へ移動する。このため、巻き上げられた切粉が、ソーカバー60のカバー側入口ガイド64A及びガード部材70のガード側入口ガイド74によってガイドされて、ソーカバー60の入口部64Bから切粉排出通路部64内に挿入される。切粉排出通路部64内に挿入された切粉は、ガード部材70のガード側傾斜壁72によって切粉排出通路部64の出口部64C側へガイドされて、出口部64Cから排出される。
【0084】
また、切粉の出口部64Cからの排出時には、鋸刃12の回転力によって切粉が出口部64Cから右側且つ鋸刃12の回転方向一方へ飛び出すように排出される。このため、出口部64Cから排出された切粉が、集塵ボックス80におけるインナケース84のストッパ壁84Cに衝突し、衝突した切粉が集塵ボックス80内を落下する。これにより、切粉が集塵ボックス80内に溜められる。
【0085】
ところで、加工材が金属材の場合には、比較的高温の金属片となる切粉が、ソーカバー60の切粉排出通路部64の内部を通過し、切粉排出通路部64から集塵ボックス80内に排出される。そして、切粉がソーカバー60における切粉排出通路部64内を通過するときには、切粉が切粉排出通路部64の底面に当接しながら切粉排出通路部64の入口部64Bから出口部64Cへ通過する。このため、勢いのある金属片の接触によって切粉排出通路部64の底壁(内側カバー壁63の上面)が削れて変形したり、高温の切粉が接触することによって、切粉排出通路部64の底壁が熱変形したりする可能性がある。そして、継続した切粉の接触によって、切粉排出通路部64の底壁における鋸刃12側の側面(内側カバー壁63の下面)までもが変形し、鋸刃12の回転に影響を与える恐れがある。簡潔に言えば、前述した第1空間と第2空間との間に位置する仕切り部(内側カバー壁63)が切粉によって変形することで、第2空間を移動する切粉の動きを妨げたり、第1空間に位置する鋸刃12や保護カバー55の動きに影響を与えたりする恐れがある。
【0086】
ここで、切粉排出通路部64の内部には、金属製のガード部材70が設けられており、切粉排出通路部64における鋸刃12側の底壁が、ガード部材70によって覆われている。すなわち、切粉排出通路部64における底面(内側カバー壁63の上面)が、金属製のガード部材70によって保護(ガード)されている。ガード部材70は切粉排出通路部64において露出するように設けられている。このため、高温の金属片が、切粉排出通路部64の底壁に直接当接(到達)することをガード部材70によって抑制できる。これにより、切粉の切粉排出通路部64内の通過時における切粉排出通路部64の変形を抑制することができる。したがって、ソーカバー60の耐久性を向上することができると共に、切断工具10の作業性を向上させることができる。本実施の形態ではガード部材70をアルミ製としたが、鉄などの耐久性(耐摩耗性、耐衝撃、耐熱性)が高い他の金属でもよい。なお、ガード部材70は金属製でなくてもよく、仕切り部としての内側カバー部材63と比較して硬い(耐摩耗性や耐衝撃性が高い)、または耐熱性(融点)が高い、あるいはその両方を満たすような性質を有すればよい。例えば、ガード部材70は炭素繊維を加工した部材とするか、または炭素繊維を含むことで強化された樹脂材料によって形成された部材・部位でもよい。
【0087】
また、切粉排出通路部64は、鋸刃12の径方向外側に配置されており、切断工具10の作業時には、鋸刃12と切粉排出通路部64との間(第1空間の内部)を保護カバー55が回動する。そして、上述のように、ガード部材70によって、切粉排出通路部64の鋸刃12側の壁部(内側カバー壁63)の変形を抑制することができる。これにより、切粉排出通路部64の底壁の変形によって保護カバー55の回動が阻害されること抑制できる。したがって、切断工具10の作業性を良好に維持することができる。
【0088】
また、ソーカバー60の右側には、集塵ボックス80が着脱可能に取付けられており、集塵ボックス80には、切粉排出通路部64の内部と集塵ボックス80の内部とを連通するボックス入口部84Bが形成されている。このため、切粉排出通路部64の出口部64Cから排出された切粉を集塵ボックス80内(切粉収容部80A)に溜めることができる。
【0089】
また、ガード部材70のガード本体71は、切粉排出通路部64の入口部64Bから出口部64Cに亘って、切粉排出通路部64の底壁を覆っている。これにより、切粉排出通路部64の出口部64C側の部位の変形を抑制することができる。すなわち、切粉排出通路部64における集塵ボックス80側の部位の変形を抑制することができる。これにより、集塵ボックス80のソーカバー60への取付けが切粉排出通路部64の変形により阻害されること抑制できる。また、ガード本体71の一部が切粉排出通路部64の底壁(鋸刃12側の側壁)の右端部、すなわち出口部64Cを乗り越えるようにしてインナケース84の位置まで伸びている(図9及び図10参照)。これによって、リブ61Hによって作られたインナケース84とサイドカバー壁61との間の隙間に出口部64Cから排出された切粉が侵入してしまうことを抑制している。
【0090】
また、ガード部材70には、ガード側傾斜壁72が設けられており、ガード側傾斜壁72は、鋸刃12の回転方向側へ向かうに従い右側へ曲線状に傾斜されている。換言すると、ガード側傾斜壁72は、鋸刃12の回転方向側へ向かうに従い、切粉排出通路部64の出口部64C側へ傾斜している。これにより、切粉排出通路部64内に挿入された切粉をガード側傾斜壁72によって耐久性を確保しながら出口部64C側へ導くことができる。したがって、切粉を切粉排出通路部64から良好に排出させることができる。
【0091】
また、ソーカバー60には、切粉排出通路部64の前端部から下側へ延出されたカバー側入口ガイド64Aが形成されており、ガード部材70には、ガード本体71の前端部から下側へ延出されたガード側入口ガイド74が形成されている。そして、カバー側入口ガイド64A及びガード側入口ガイド74によって、鋸刃12の外周部が左右方向に挟まれている。これにより、加工材の切断時に、鋸刃12によって巻き上げられた切粉を、カバー側入口ガイド64A及びガード側入口ガイド74によって切粉排出通路部64の内部に良好に導入させることができる。
【0092】
また、集塵ボックス80は、インナケース84を有しており、インナケース84は、ソーカバー60におけるサイドカバー壁61の右側に隣接して配置されると共に、金属製とされている。すなわち、集塵ボックス80における鋸刃12側の部位が金属製とされている。これにより、集塵ボックス80の熱変形を抑制しつつ、鋸刃12の回転時に生じる空気流によってインナケース84を冷却することができる。したがって、集塵ボックス80の耐熱性を向上することができる。サイドカバー壁61は本発明における仕切り部の一例であり、工具収容領域AR(第1空間)と切粉収容部80A(第2空間)とを仕切る部材である。切粉収容部80A(第2空間)とサイドカバー壁61との間には保護部材としてのインナケース84が設けられているため、切粉によってサイドカバー壁61が変形することを抑制することができる。従って、サイドカバー壁61が変形して鋸刃12や保護カバー55の動きに支障が出ることを抑制できるので、作業性を向上させることができる。すなわち、インナケース84は保護部材の一例である。カバー部材70が第1の保護部材だとすれば、インナケース84は第2の保護部材である。
【0093】
また、集塵ボックス80は、アウタケース82を有しており、アウタケース82は、インナケース84をソーカバー60とは反対側(右側)から覆うと共に、透明の材料で構成されている。これにより、集塵ボックス80の内部をアウタケース82によって視認することができ、集塵ボックス80内に堆積した切粉の量や状態を確認できる。したがって、作業者に対する利便性を向上することができる。
【0094】
また、集塵ボックス80のインナケース84には、右側へ屈曲されたストッパ壁84Cが設けられており、ストッパ壁84Cは、ボックス入口部84Bの後側に配置されている。すなわち、ストッパ壁84Cは、集塵ボックス80の内部に配置されると共に、ソーカバー60における切粉排出通路部64の出口部64Cに対して鋸刃12の回転方向側(後方)に配置されている。これにより、切粉排出通路部64の出口部64Cから右側且つ鋸刃12の回転方向側に排出される切粉が、ストッパ壁84Cに衝突し、衝突後に集塵ボックス80の内部を落下する。このため、出口部64Cから排出される切粉が、アウタケース82に当たることを抑制できる。したがって、アウタケース82の熱変形を抑制できると共に、集塵ボックス80の耐熱性を一層向上することができる。
【0095】
また、集塵ボックス80のインナケース84の下端部には、右側へ屈曲されたボックスボトム部84Fが形成されており、ボックスボトム部84Fは、アウタケース82の下壁の内周面を上側から覆っている。すなわち、ボックスボトム部84Fが、集塵ボックス80の内部(切粉収容部80A)の底部を構成している。これにより、集塵ボックス80の内部において、切粉が、ボックスボトム部84F上に貯留される。つまり、集塵ボックス80の内部に溜められた切粉がアウタケース82の下壁に直接当接することを防止できる。また、ボックスボトム部84Fは面積の大きいインナケース84(ソーカバー60側の対向部分)と接続されているため、集塵ボックス80の内部の底部に溜まった切粉の熱をボックスボトム部84Fからインナケース84へと逃がすことができ、底部の温度上昇を抑制するとともに、溜まった切粉の冷却も速やかに行うことができる。また、インナケース84の上端位置を鋸刃12の上端位置よりも高くなるように設定することで、大量の熱も速やかに放熱することができるように構成されている。したがって、アウタケース82の熱変形を一層抑制できると共に、集塵ボックス80の耐熱性をより一層向上することができる。
【0096】
また、ソーカバー60のサイドカバー壁61には、複数の第1通風孔61F及び第2通風孔61Gが形成されている。これにより、鋸刃12の回転時に生じる空気流を、第1通風孔61F及び第2通風孔61Gの内部を通過させて、集塵ボックス80のインナケース84に当てることができる。このため、当該空気流によって、インナケース84を冷却することができる。したがって、集塵ボックス80の耐熱性を効果的に向上することができる。特に、インナケース84は鋸刃12や保護カバー55などの動作部品を収容する領域(第1空間)に面しているため、例えば集塵ボックス80の内部に堆積した切粉の熱によってインナケース84やサイドカバー壁61が変形等した場合、鋸刃12や保護カバー55などの動作部品の動作を不良にする恐れがあるが、本実施の形態によればこういった事態の発生を抑制することができる。また、図10(B)に示すように、第1通風孔61Fは保護カバー55が動作する領域に面するものを含む。例えば保護カバー55とサイドカバー壁61との間に挟まれるかたちで切粉が堆積した場合、保護カバー55の動きに支障を来す恐れがあるが、第1通風孔61Fは切粉が保護カバー55とサイドカバー壁61との間に堆積してしまうことを抑制することができる。すなわち、保護カバー55とサイドカバー壁61との間に堆積し得る切粉は第1通風孔61Fによって工具収容領域AR(第1空間)外部へと排出される。従って、保護カバー55の動きを良好に維持でき、作業性を確保することができる。
【0097】
また、ソーカバー60のサイドカバー壁61には、右側(集塵ボックス80側)へ突出した複数の突当てリブ61Hが形成されている。具体的には、突当てリブ61Hが、第1通風孔61Fに対してサイドカバー壁61の径方向外側及び径方向内側に配置されている。そして、集塵ボックス80のインナケース84が、突当てリブ61Hの右側に隣接して配置されている。したがって、左右方向において、サイドカバー壁61とインナケース84との間に所定の隙間を形成することができる。換言すれば、突当てリブ61Hはサイドカバー壁61がインナケース84に近づくことを規制して隙間を作っている。これにより、第1通風孔61Fを通過した空気を、当該隙間に流入させて、インナケース84をより良好に冷却させることができる。したがって、集塵ボックス80の耐熱性を一層効果的に向上することができる。また、当該隙間を設けることによって、前述した第1通風孔61Fから排出される切粉が良好に外部へと排出されるようになる。
【0098】
また、ソーカバー60のサイドカバー壁61には、左側(集塵ボックス80とは反対側)へ一段下がった絞り部61Eが形成されており、第2通風孔61Gが絞り部61Eに形成されている。このため、絞り部61Eとインナケース84との間に所定の隙間を形成することができる。これにより、第2通風孔61Gを通過した空気を、当該隙間に流入させて、インナケース84を冷却させることができる。したがって、集塵ボックス80の耐熱性を一層効果的に向上することができる。絞り部61Eは保護カバー55の右側部分が動作する領域外に位置し、このためインナケース84との間に所定の隙間を設けることができる。
【0099】
また、ソーカバー60のサイドカバー壁61は、側面視で下側へ開放された半円扇形状に形成されており、サイドカバー壁61の下端部の前後方向中間部には、下側へ開放されたカバー側切欠部61Aが形成されている。そして、集塵ボックス80の工具本体20への取外し状態では、鋸刃12を固定するボルトBLが露出されている。これにより、カバー側切欠部61Aを介して、鋸刃12の交換作業を行うことができる。
【0100】
また、集塵ボックス80は、ソーカバー60と係合可能に構成された着脱ボタン86を有している。着脱ボタン86は、アウタケース82のボタン収容部82Dに収容されており、着脱ボタン86のボタン係合片86Bが、インナケース84のボタン挿通溝84D内に挿入されている。そして、ボタン挿通溝84Dの幅寸法が、ボタン係合片86Bの幅寸法よりも若干大きく設定されている。これにより、着脱ボタン86の前後方向の位置をインナケース84によって決めることができる。また、ストッパ壁84Cはボタン収容部82Dを区画する前側の壁を覆って保護するため、ボタン収容部82Dが変形して着脱ボタン86が動作不良になることを抑制できる。
【0101】
以上、本発明を図1図13に記載された実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【0102】
本発明は耐久性を確保することで作業性の良好な作業機を実現することを目的とする。より具体的には、仕切り部の変形が鋸刃12や保護カバー55などの可動部品における動きに対して悪影響を与えたり、切粉の動きに悪影響を与えたりすることを抑制することを目的としているものである。従って、本発明は、鋸刃12または保護カバー55が収容される第1空間(工具収容領域AR)と、鋸刃12による作業によって生じた加工片が通過する通過空間(切粉排出通路部64)または加工片が収集される収容空間(切粉収容部80A)の少なくとも一方を含む第2空間と、前記第1空間と第2空間とを仕切る仕切り部と、を有する作業機において、保護部材(ガード部材70)が、第1空間と仕切り部の間の領域、または第2空間と仕切り部との間の領域、または仕切り部に設けられるように構成すればよい。
【0103】
保護部材(ガード部材70)が、第1空間と仕切り部の間の領域に位置する場合には、第1空間に対して保護部材(ガード部材70)が露出するため、第1空間からの加工片が仕切り部(内側カバー壁63の下面)に接触することで変形することを抑制できるほか、第2空間側からの変形を生じさせる外因(衝撃や熱)によって仕切り部が変形してしまったとしても、仕切り部が第1空間に干渉するように変形することを保護部材によって抑制することができる。例えば、第2空間側からの熱で仕切り部が溶けても形状を維持する保護部材によって溶けた仕切り部の移動が妨げられるので、仕切り部の変形が第1空間内を動作する部材に影響を与えることを抑制することができる。この場合、仕切り部と保護部材は接触していなくても良いし、接触していてもよい。
【0104】
また、保護部材(ガード部材70)が、第2空間と仕切り部の間の領域に位置する場合には、第2空間を移動する加工片が仕切り部に直接当接しなくなるため、仕切り部(内側カバー壁63の上面)の変形を直接的に抑制することができる。この場合においても、仕切り部と保護部材は接触していなくても良いし、接触していてもよい。
【0105】
また、保護部材(ガード部材70)が仕切り部に設けられている場合においても、仕切り部の変形が抑制される。ここでいう「設けられている」とは、仕切り部の側面に取り付けられている場合のみならず、仕切り部と一体的に構成されている場合も含む。例えば、仕切り部の内部中心にガード部材が位置するようにガード部材とソーカバー60とを一体成型した構成を含む。この場合、第1空間と第2空間の一方から加わる変形力(衝撃や熱)が、他方に加わることが仕切り部の内部で抑制されるようになる。従って、例えば第2空間に面する仕切り部の側面が熱によって溶けたとしても、その熱変形は仕切り部の途中で抑制されるようになり、第1空間に面する仕切り部の側面が変形することが抑制される。
【0106】
図13~18を用いて本発明を実施する形態における変形例を説明する。なお、変形例は上述した実施の形態と比較してソーカバー60と集塵ボックス80に変更が生じたものであり、その他の部位については同様であるため説明を割愛する。また、変形例において上述した実施の形態と同様の機能を有する部分については符号番号に100を加えた番号としている。例えば、図14において記載されるサイドカバー壁161は、図4等に記載するサイドカバー壁61と同様の機能を有する。以下では、基本的に同様の機能を有する構造については説明を割愛し、変更のあった内容を中心に説明する。
【0107】
図14には変形例におけるソーカバー160及びソーカバー160に取り付けられた状態の集塵ボックス180を左前方向から見た状態の図を示す。ソーカバー160には、上述した実施の形態と同様に、サイドカバー壁161、外周カバー壁162、内側カバー壁163が設けられている。サイドカバー壁161には、通風孔161Fと、絞り部161Eと、フック受け部161Jが設けられている。外周カバー壁162と内側カバー壁163の間の領域において、前方部分には切粉排出通路部164が設けられている。外周カバー壁162前方部分の上部には、カバー側吸気部165が設けられている。内側カバー壁163の前方上部には、カバー部材170が設けられている。カバー部材170は基本的に前述したカバー部材70と同様の構造を有するが、ガード側入口ガイド74を有しない点で異なる。
【0108】
ソーカバー160の右側には集塵ボックス180が取り付けられている。集塵ボックス180の左側面は(第2の)保護部材としてインナケース184によって形成されており、図14においてはインナケース184の一部が通風孔161Fを介して見えている。集塵ボックス180の前方上部にはボックス側吸気部182Cが形成されており、カバー側吸気部165と連通している。
【0109】
図15は、内側カバー壁163の前方部分を左下後方から見て部分的に拡大した図である。図14、15に示すように、内側カバー壁163の前方下部には、第3の保護部材としてのカバー部材177が設けられている。カバー部材177は、鋸刃12が位置する空間(第1空間)と切粉排出通路部164(第2空間)との間に位置する内側カバー壁163(仕切り部)の下面を覆う部材であり、内側カバー壁163(仕切り部)と鋸刃12が位置する空間(第1空間)と間の領域に位置する保護部材である。カバー部材177は、内側カバー壁163の下面を覆う覆い部177Aと、内側カバー壁163の左端に係合する爪部177Bを有する。爪部177Bが内側カバー壁163と係合することで、カバー部材177が内側カバー壁163(ソーカバー160)に支持される。ソーカバー160のサイドカバー壁161には、左方へ突出する大突部161Lが設けられる。大突部161Lは前後方向に離間して2つ設けられる。ソーカバー160のサイドカバー壁161には、左方へ突出する小突部161Kが設けられる。前後方向における2つの大突部161Lの間に小突部161Kが位置するようになっている。大突部161Lはカバー部材177の下面と接触・支持可能に構成されており、カバー部材177が下方へ移動(位置ずれ)してしまうことを抑制している。小突部161Kはカバー部材177の切り欠き部177Cと係合し、カバー部材177が左右方向へ移動(位置ずれ)してしまうことを抑制している。
【0110】
図16図14の状態からソーカバー160を排除した状態の図である。変形例の集塵ボックス180におけるアウタケース182の内側には、新たな(第4の)保護部材としてのカバー部材178が設けられる。カバー部材178は、後部に設けられた穴部178Aと、基部178Bと、基部178Bの前方上部に接続された折り曲げ部178Cと、位置決めのための爪部178Dを有する。穴部178Aには固定ボス182Dが挿通されており、固定ボス182Dによってカバー部材178が支持されている。
【0111】
図17は、爪部178Dの後部を通る上下左右の平面で切った図14の断面図を前右上から見た部分拡大図である。図17に示すように、爪部178Dはボタン収容部182Dの底部とインナケース182とで挟まれており、これによってカバー部材178が支持されている。通風孔161Fは保護カバー(不図示)の動作領域に面しており、保護カバーとサイドカバー壁161との間に粉塵が溜まることを抑制している。サイドカバー壁161には突当てリブ161Hが設けられている。突当てリブ161Hはインナケース182と突き当たることで、サイドカバー壁161とインナケース182との間に所定の隙間(空間)を形成している。通風孔161Fから排出される切粉は、当該隙間から外部へ排出される。
【0112】
図18図14の状態から、アウタケース182のみを排除して右前方から見た状態の図である。従って図18においては、アウタケース182に支持されるカバー部材178は浮いているように示される。カバー部材178の基部178と折り曲げ部178Cは部分的に出口部164C(切粉排出通路部164の右側開口)に面しており、出口部164Cから排出された切粉が当接可能なように構成されている。すなわち、カバー部材178は切粉が集塵ボックス180の一部(アウタケース182の内面上部)と接触することを抑制する。これによって、集塵ボックス180の一部(アウタケース182の内面上部)が切粉によって変形してしまうことを抑制している。また、カバー部材178は排出部164Cの下端、及びボックス側排気口184Eの下端よりも上方の領域に設けている。切粉収容部180Aに堆積した切粉が収容部180Aと外部とを連通する連通路(排出部164C、ボックス側排気口184E)の下端よりも上方に位置した場合、当該連通路から収集した切粉が外部へ漏れてしまう恐れがある。このため、本発明の実施例においてはアウタケース182を透明にし、作業者が透明のアウタケース184を介して集まった切粉の最頂部が連通路の下端を超えたか否かを確認しながら作業可能なように構成している。このため、切粉の収集空間として利用されるのは、切粉収容部180Aにおける連通路(排出部164C、ボックス側排気口184E)の下端から下方の領域であり、上方の領域は収集空間としての必要性に乏しい。従って本変形例においては、作業時において切粉収容部180Aと外部とを連通する連通路(排出部164C、ボックス側排気口184E)の下端より上方の領域に位置するアウタケース182の内面部分を覆うカバー部材178を設けることで、切粉の溜まり具合を確認する作業性を損なわずに、集塵ボックス180の耐久性を向上させることができる。なお、集塵機接続部190(被装着部190A)によって作業時に覆われる開口部は上記した連通路に相当しない。集塵ボックス180には、図10等に記載されるボックスボトム部84Fと同様に機能するボックスボトム部184Fと、ボックスボトム部184Fに形成された傾斜部184Gが設けられる。ボックスボトム部184Fの一部は集塵ボックス180の内部(収容部180A)の底部から上方に延びており、これによって集塵ボックス180の下部が過度に熱くなることを抑制している。なお、ボックスボトム部184Fの覆い範囲は、集塵機接続部190(被装着部190A)によって作業時に覆われる開口部よりも下方の範囲までとしている。これによって、切粉の溜まり具合を確認する作業性を損なわずに耐久性を向上させることができる。
【0113】
変形例が奏する効果について説明する。変形例においては、内側カバー壁163の上面のみならず、下面も保護部材(カバー部材177)によって覆っている。これによって、放熱しきれないほど加工材からの熱を受けて高熱となったカバー部材170から内側カバー壁163に熱が伝達されることで、内側カバー壁163が熱変形してしまったとしても、溶けた内側カバー壁163の一部が鋸刃12の位置する空間(第1空間)に向かって移動することを保護部材(カバー部材177)によって良好に抑制することができる。すなわち、仕切り部の第1空間側と第2空間側の両方を保護部材で覆うことによって、より良好な作業性を確保することができる。また、変形例の作業機によれば、切粉収容部180Aと外部とを連通する連通路(排出部164C、ボックス側排気口184E)の下端より上方の領域において、アウタケース182の内面を保護部材(カバー部材178)によって覆ったので、切粉の溜まり具合を確認できるように構成しながら、当該領域におけるアウタケース182の変形を抑制することができる。
【符号の説明】
【0114】
10…切断工具(作業機)、12…鋸刃(先端工具)、41…モータ、60…ソーカバー(カバー)、63A…傾斜壁(ガイド壁)、64…切粉排出通路部(排出通路部)、64B…入口部、64C…出口部、70…ガード部材、72…ガード側傾斜壁(ガイドガード)、74…ガード側入口ガイド(入口ガイド部)、80…集塵ボックス、82…アウタケース(第2ケース)、84…インナケース(第1ケース)、84C…ストッパ壁(ストッパ部)、84F…ボックスボトム部(カバー部)
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