(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】インクジェットヘッドの流路形成方法及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/19 20060101AFI20240509BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20240509BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20240509BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240509BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20240509BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B41J2/19
B41J2/18
B41J2/165 401
B41J2/01 501
B41J2/14 607
B41J2/175 503
(21)【出願番号】P 2022531132
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(86)【国際出願番号】 JP2020023531
(87)【国際公開番号】W WO2021255814
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸田 義朗
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-110853(JP,A)
【文献】特開2004-009685(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0263130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記流路に通液する第2通液工程と、
を含
み、
前記沈降工程において、前記第1の液体を、環境温度より高い温度に加熱する流路形成工程を有するインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項2】
沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンクと、
前記第1の液体を射出するインクジェットヘッドと、
前記タンクから前記インクジェットヘッドに前記第1の液体を供給する供給経路と、
前記インクジェットヘッドから前記タンクに前記第1の液体を戻す循環経路と、
を有するインクジェット記録装置において、
前記第1の液体を、前記タンク、前記供給経路、前記インクジェットヘッドの流路、前記循環経路の順に通液して、前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環させる第2通液工程と、を含
み、
前記沈降工程において、前記第1の液体を、環境温度より高い温度に加熱する流路形成工程を有するインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項3】
前記流路形成工程は、前記充填工程と前記沈降工程の間に、前記第1の液体を環境温度まで冷却して所定時間静置する冷却工程を含む請求項1
または2に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項4】
沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記流路に通液する第2通液工程と、
を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程は、前記充填工程と前記沈降工程の間に、前記第1の液体を環境温度まで冷却して所定時間静置する冷却工程を含むインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項5】
沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンクと、
前記第1の液体を射出するインクジェットヘッドと、
前記タンクから前記インクジェットヘッドに前記第1の液体を供給する供給経路と、
前記インクジェットヘッドから前記タンクに前記第1の液体を戻す循環経路と、
を有するインクジェット記録装置において、
前記第1の液体を、前記タンク、前記供給経路、前記インクジェットヘッドの流路、前記循環経路の順に通液して、前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環させる第2通液工程と、を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程は、前記充填工程と前記沈降工程の間に、前記第1の液体を環境温度まで冷却して所定時間静置する冷却工程を含むインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項6】
前記流路形成工程は、前記第2通液工程の後に、前記第1の液体とはPHが異なる第2の液体を前記流路に通液する凝集促進工程を含む請求項1から
5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項7】
沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記流路に通液する第2通液工程と、
を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程は、前記第2通液工程の後に、前記第1の液体とはPHが異なる第2の液体を前記流路に通液する凝集促進工程を含むインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項8】
沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンクと、
前記第1の液体を射出するインクジェットヘッドと、
前記タンクから前記インクジェットヘッドに前記第1の液体を供給する供給経路と、
前記インクジェットヘッドから前記タンクに前記第1の液体を戻す循環経路と、
を有するインクジェット記録装置において、
前記第1の液体を、前記タンク、前記供給経路、前記インクジェットヘッドの流路、前記循環経路の順に通液して、前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環させる第2通液工程と、を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程は、前記第2通液工程の後に、前記第1の液体とはPHが異なる第2の液体を前記流路に通液する凝集促進工程を含むインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項9】
前記第2の液体は、洗浄液である請求項
6から8のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項10】
前記流路形成工程は、前記第2通液工程の後に、前記流路内の前記第1の液体のPHを、前記粒子の等電点に近づける凝集促進工程を含む請求項1から
5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項11】
沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記流路に通液する第2通液工程と、
を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程は、前記第2通液工程の後に、前記流路内の前記第1の液体のPHを、前記粒子の等電点に近づける凝集促進工程を含むインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項12】
沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンクと、
前記第1の液体を射出するインクジェットヘッドと、
前記タンクから前記インクジェットヘッドに前記第1の液体を供給する供給経路と、
前記インクジェットヘッドから前記タンクに前記第1の液体を戻す循環経路と、
を有するインクジェット記録装置において、
前記第1の液体を、前記タンク、前記供給経路、前記インクジェットヘッドの流路、前記循環経路の順に通液して、前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環させる第2通液工程と、を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程は、前記第2通液工程の後に、前記流路内の前記第1の液体のPHを、前記粒子の等電点に近づける凝集促進工程を含むインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項13】
前記第2通液工程の後に、前記第1の液体を、体積平均粒径が前記粒子と異なる沈降性粒子を少なくとも1種類含有する第3の液体に代えて、再度、前記流路形成工程を繰り返す請求項1から
12のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項14】
沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記流路に通液する第2通液工程と、
を含む流路形成工程を有し、
前記第2通液工程の後に、前記第1の液体を、体積平均粒径が前記粒子と異なる沈降性粒子を少なくとも1種類含有する第3の液体に代えて、再度、前記流路形成工程を繰り返すインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項15】
沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンクと、
前記第1の液体を射出するインクジェットヘッドと、
前記タンクから前記インクジェットヘッドに前記第1の液体を供給する供給経路と、
前記インクジェットヘッドから前記タンクに前記第1の液体を戻す循環経路と、
を有するインクジェット記録装置において、
前記第1の液体を、前記タンク、前記供給経路、前記インクジェットヘッドの流路、前記循環経路の順に通液して、前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環させる第2通液工程と、を含む流路形成工程を有し、
前記第2通液工程の後に、前記第1の液体を、体積平均粒径が前記粒子と異なる沈降性粒子を少なくとも1種類含有する第3の液体に代えて、再度、前記流路形成工程を繰り返すインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項16】
熱により溶解する沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
前記流路内を前記粒子が溶解する温度以上に加熱して、前記粒子の少なくとも一部を加熱溶解させる加熱溶解工程と、
を含む流路形成工程を有するインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項17】
表面に重合開始基を持つ沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
重合性のモノマーを含有する液体を前記流路に通液して、前記粒子の表面で重合反応を起こす重合反応工程と、
を含む流路形成工程を有するインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項18】
前記流路形成工程を繰り返す請求項
16又は
17記載のインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項19】
前記流路形成工程を、前記インクジェットヘッドが射出運転する時の向きで行った後、前記向きを変えて、再度、前記流路形成工程を行う請求項1から
18のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項20】
沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記流路に通液する第2通液工程と、
を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程を、インクジェットヘッドが射出運転する時の向きで行った後、前記向きを変えて、再度、前記流路形成工程を行うインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項21】
沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンクと、
前記第1の液体を射出するインクジェットヘッドと、
前記タンクから前記インクジェットヘッドに前記第1の液体を供給する供給経路と、
前記インクジェットヘッドから前記タンクに前記第1の液体を戻す循環経路と、
を有するインクジェット記録装置において、
前記第1の液体を、前記タンク、前記供給経路、前記インクジェットヘッドの流路、前記循環経路の順に通液して、前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環させる第2通液工程と、を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程を、前記インクジェットヘッドが射出運転する時の向きで行った後、前記向きを変えて、再度、前記流路形成工程を行うインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項22】
前記粒子の体積平均粒径は、80~30,000nmである請求項1から
21のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項23】
前記粒子は、体積平均粒径が異なる粒子を少なくとも2種類以上含む請求項1から
22のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項24】
前記粒子の密度と前記第1の液体の主溶媒の密度との差は、0.2g/cm3以上である請求項1から
23のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法。
【請求項25】
請求項1から
24のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法を用いて、流路を形成したインクジェットヘッドを用いて画像を形成する画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インクジェットヘッドの流路形成方法及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルからインクを吐出させて媒体上に画像や構造などを形成するインクジェットヘッドを用いたインクジェットヘッド記録装置がある。
【0003】
インクジェットヘッドの液体の流路内に気泡が残ると、気泡が射出時の圧力変動を吸収するため、射出特性のばらつきや、射出不良を引き起こすという問題がある。
【0004】
これに関連して、特許文献1には、記録ヘッド(インクジェットヘッド)とインクタンク間でインクを循環させ、さらにインクを記録ヘッドを通さずに、気泡がトラップされやすいフィルタからインクタンクへ戻す経路を設けることで、気泡を除去する技術が記載されている。
また、特許文献2には、高価な圧力センサを用いずに、ベローズやレギュレータで差圧を調整して、インクジェットヘッドとインクカートリッジ間のインクの循環を行い、気泡を除去する技術が記載されている。
また、特許文献3には、液体の非吐出時に液体の成分の滞留が生じる面に沿って流れる液体の流速が、他の面を沿って流れる流速よりも高くなる構造を含む液室を有する記録ヘッド(インクジェットヘッド)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-155765号公報
【文献】特開2011-110851号公報
【文献】特開2019-34464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2の技術を用いた場合、一旦インクジェットヘッドの流路内の滞留部に入ってしまった気泡は、インクを循環しても容易に排出することは困難であり、気泡を排出するのには不十分であった。ここで、滞留部とは、流路内の液体の速度が相対的に低速である領域、あるいは本来液体が流れる方向に流れず、渦などを形成してその領域に気泡が留まってしまう領域のことである。
また、特許文献3の技術を用いた場合、インクジェットヘッドの流路内の液体の流速が遅くなる領域は複数個所あり、当該箇所のすべてを流速が遅くならないような構造に形成することは、製造工程の煩雑化やコストアップの要因となり、現実的ではなかった。
【0007】
この発明の目的は、気泡の滞留の少ないインクジェットの流路を容易に形成するインクジェットヘッドの流路形成方法及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記流路に通液する第2通液工程と、
を含み、
前記沈降工程において、前記第1の液体を、環境温度より高い温度に加熱する流路形成工程を有する。
【0009】
また、請求項2に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンクと、
前記第1の液体を射出するインクジェットヘッドと、
前記タンクから前記インクジェットヘッドに前記第1の液体を供給する供給経路と、
前記インクジェットヘッドから前記タンクに前記第1の液体を戻す循環経路と、
を有するインクジェット記録装置において、
前記第1の液体を、前記タンク、前記供給経路、前記インクジェットヘッドの流路、前記循環経路の順に通液して、前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環させる第2通液工程と、を含み、
前記沈降工程において、前記第1の液体を、環境温度より高い温度に加熱する流路形成工程を有する。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法において、
前記流路形成工程は、前記充填工程と前記沈降工程の間に、前記第1の液体を環境温度まで冷却して所定時間静置する冷却工程を含む。
また、請求項4に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記流路に通液する第2通液工程と、
を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程は、前記充填工程と前記沈降工程の間に、前記第1の液体を環境温度まで冷却して所定時間静置する冷却工程を含む。
また、請求項5に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンクと、
前記第1の液体を射出するインクジェットヘッドと、
前記タンクから前記インクジェットヘッドに前記第1の液体を供給する供給経路と、
前記インクジェットヘッドから前記タンクに前記第1の液体を戻す循環経路と、
を有するインクジェット記録装置において、
前記第1の液体を、前記タンク、前記供給経路、前記インクジェットヘッドの流路、前記循環経路の順に通液して、前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環させる第2通液工程と、を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程は、前記充填工程と前記沈降工程の間に、前記第1の液体を環境温度まで冷却して所定時間静置する冷却工程を含む。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
前記流路形成工程は、前記第2通液工程の後に、前記第1の液体とはPHが異なる第2の液体を前記流路に通液する凝集促進工程を含む。
また、請求項7に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記流路に通液する第2通液工程と、
を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程は、前記第2通液工程の後に、前記第1の液体とはPHが異なる第2の液体を前記流路に通液する凝集促進工程を含む。
また、請求項8に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンクと、
前記第1の液体を射出するインクジェットヘッドと、
前記タンクから前記インクジェットヘッドに前記第1の液体を供給する供給経路と、
前記インクジェットヘッドから前記タンクに前記第1の液体を戻す循環経路と、
を有するインクジェット記録装置において、
前記第1の液体を、前記タンク、前記供給経路、前記インクジェットヘッドの流路、前記循環経路の順に通液して、前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環させる第2通液工程と、を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程は、前記第2通液工程の後に、前記第1の液体とはPHが異なる第2の液体を前記流路に通液する凝集促進工程を含む。
【0013】
また、請求項9に記載の発明は、請求項6から8のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法において、
前記第2の液体は、洗浄液である。
【0014】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法において、
前記流路形成工程は、前記第2通液工程の後に、前記流路内の前記第1の液体のPHを、前記粒子の等電点に近づける凝集促進工程を含む。
また、請求項11に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記流路に通液する第2通液工程と、
を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程は、前記第2通液工程の後に、前記流路内の前記第1の液体のPHを、前記粒子の等電点に近づける凝集促進工程を含む。
また、請求項12に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンクと、
前記第1の液体を射出するインクジェットヘッドと、
前記タンクから前記インクジェットヘッドに前記第1の液体を供給する供給経路と、
前記インクジェットヘッドから前記タンクに前記第1の液体を戻す循環経路と、
を有するインクジェット記録装置において、
前記第1の液体を、前記タンク、前記供給経路、前記インクジェットヘッドの流路、前記循環経路の順に通液して、前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環させる第2通液工程と、を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程は、前記第2通液工程の後に、前記流路内の前記第1の液体のPHを、前記粒子の等電点に近づける凝集促進工程を含む。
【0015】
また、請求項13に記載の発明は、請求項1から12のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法において、
前記第2通液工程の後に、前記第1の液体を、体積平均粒径が前記粒子と異なる沈降性粒子を少なくとも1種類含有する第3の液体に代えて、再度、前記流路形成工程を繰り返す。
また、請求項14に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記流路に通液する第2通液工程と、
を含む流路形成工程を有し、
前記第2通液工程の後に、前記第1の液体を、体積平均粒径が前記粒子と異なる沈降性粒子を少なくとも1種類含有する第3の液体に代えて、再度、前記流路形成工程を繰り返す。
また、請求項15に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンクと、
前記第1の液体を射出するインクジェットヘッドと、
前記タンクから前記インクジェットヘッドに前記第1の液体を供給する供給経路と、
前記インクジェットヘッドから前記タンクに前記第1の液体を戻す循環経路と、
を有するインクジェット記録装置において、
前記第1の液体を、前記タンク、前記供給経路、前記インクジェットヘッドの流路、前記循環経路の順に通液して、前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環させる第2通液工程と、を含む流路形成工程を有し、
前記第2通液工程の後に、前記第1の液体を、体積平均粒径が前記粒子と異なる沈降性粒子を少なくとも1種類含有する第3の液体に代えて、再度、前記流路形成工程を繰り返す。
【0016】
また、請求項16に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
熱により溶解する沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
前記流路内を前記粒子が溶解する温度以上に加熱して、前記粒子の少なくとも一部を加熱溶解させる加熱溶解工程と、
を含む流路形成工程を有する。
【0017】
また、請求項17に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
表面に重合開始基を持つ沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
重合性のモノマーを含有する液体を前記流路に通液して、前記粒子の表面で重合反応を起こす重合反応工程と、
を含む流路形成工程を有する。
【0018】
また、請求項18に記載の発明は、請求項16又は17に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法において、
前記流路形成工程を繰り返す。
【0019】
また、請求項19に記載の発明は、請求項1から18のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法において、
前記流路形成工程を、前記インクジェットヘッドが射出運転する時の向きで行った後、前記向きを変えて、再度、前記流路形成工程を行う。
また、請求項20に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路に通液する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記流路に通液する第2通液工程と、
を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程を、インクジェットヘッドが射出運転する時の向きで行った後、前記向きを変えて、再度、前記流路形成工程を行う。
また、請求項21に記載の発明のインクジェットヘッドの流路形成方法は、
沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンクと、
前記第1の液体を射出するインクジェットヘッドと、
前記タンクから前記インクジェットヘッドに前記第1の液体を供給する供給経路と、
前記インクジェットヘッドから前記タンクに前記第1の液体を戻す循環経路と、
を有するインクジェット記録装置において、
前記第1の液体を、前記タンク、前記供給経路、前記インクジェットヘッドの流路、前記循環経路の順に通液して、前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環する第1通液工程と、
前記流路内を前記第1の液体で充填する充填工程と、
前記第1の液体の流れを所定時間停止して、前記流路内の滞留部に前記粒子を沈降させる沈降工程と、
再度前記第1の液体を前記インクジェットヘッドと前記タンクの間で循環させる第2通液工程と、を含む流路形成工程を有し、
前記流路形成工程を、前記インクジェットヘッドが射出運転する時の向きで行った後、前記向きを変えて、再度、前記流路形成工程を行う。
【0020】
また、請求項22に記載の発明は、請求項1から21のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法において、
前記粒子の体積平均粒径は、80~30,000nmである。
【0021】
また、請求項23に記載の発明は、請求項1から22のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法において、
前記粒子は、体積平均粒径が異なる粒子を少なくとも2種類以上含む。
【0022】
また、請求項24に記載の発明は、請求項1から23のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法において、
前記粒子の密度と前記第1の液体の主溶媒の密度との差は、0.2g/cm3以上である。
【0023】
また、請求項25に記載の発明の画像形成方法は、
請求項1から24のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの流路形成方法を用いて、流路を形成したインクジェットヘッドを用いて画像を形成する。
【発明の効果】
【0025】
本発明に従うと、気泡の滞留の少ないインクジェットの流路を容易に形成するインクジェットヘッドの流路形成方法、画像形成方法及びインクジェットヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態1のインクジェット記録装置の構成を示す図である。
【
図2A】本発明の実施形態1のインクジェットヘッドの流路の滞留部を示す図である。
【
図2B】本発明の実施形態1のインクジェットヘッドのノズル付近の滞留部を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態1のインクジェットヘッド流路形成方法のフローチャートである。
【
図4A】本発明の実施形態1のインクジェットヘッドの流路の滞留部に沈降性の粒子が堆積した状態を示す図である。
【
図4B】本発明の実施形態1のインクジェットヘッドの流路の滞留部に沈降性の粒子が堆積した状態を示す図である。
【
図4C】本発明の実施形態1のインクジェットヘッドの流路の滞留部に沈降性の粒子が堆積した状態を示す図である。
【
図5A】本発明の実施形態1の変形例1のインクジェットヘッドの流路の滞留部を示す図である。
【
図5B】本発明の実施形態1の変形例1のインクジェットヘッドのノズル付近の滞留部を示す図である。
【
図5C】本発明の実施形態1の変形例2のインクジェットヘッドの流路の滞留部を示す図である。
【
図5D】本発明の実施形態1の変形例2のインクジェットヘッドのノズル付近の滞留部を示す図である。
【
図6A】本発明の実施形態1の変形例1のインクジェットヘッドの流路の滞留部に沈降性の粒子が堆積した状態を示す図である。
【
図6B】本発明の実施形態1の変形例1のインクジェットヘッドの流路の滞留部に沈降性の粒子が堆積した状態を示す図である。
【
図6C】本発明の実施形態1の変形例1のインクジェットヘッドの流路の滞留部に沈降性の粒子が堆積した状態を示す図である。
【
図6D】本発明の実施形態1の変形例2のインクジェットヘッドの流路の滞留部に沈降性の粒子が堆積した状態を示す図である。
【
図6E】本発明の実施形態1の変形例2のインクジェットヘッドの流路の滞留部に沈降性の粒子が堆積した状態を示す図である。
【
図6F】本発明の実施形態1の変形例2のインクジェットヘッドの流路の滞留部に沈降性の粒子が堆積した状態を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態2のインクジェットヘッド流路形成方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(実施形態1)
図1は、インクジェット記録装置1の構成を示す図である。
インクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド10、インクを一時貯留するインクタンク20、及びインクジェットヘッド10とインクタンク20を接続する外部流路31、32を備える。
インクジェットヘッド10は、外部流路31と接続する接続部11、及び外部流路32と接続する接続部12を備える。接続部11はインクの流入口であり、接続部12はインクの流出口である。
【0029】
インクタンク20に一時貯留されているインクは、外部流路31及び接続部11を通過し、インクジェットヘッド10のノズル211(
図2)に達し、一部が吐出される。吐出されなかったインクは、接続部12及び外部流路32を通過し、インクタンク20に戻る。このようにインクは、インクタンク20とインクジェットヘッド10間を循環しており、外部流路31は供給経路、外部流路32は循環経路として機能する。
図1の外部流路31、32付近の矢印は、インクの流れる方向を示す。
【0030】
図2A及び
図2Bは、インクジェットヘッド10の流路の滞留部を示す図である。
図2Bは、ノズル211付近の拡大図である。
インクジェットヘッド10は、ヘッドチップ2、保持部3及び共通インク室5等を備える。
ヘッドチップ2は、内部に、下側から順にノズル基板21、中間基板22、アクチュエーター基板23及び保護基板24が積層一体化されることによって構成されている。
ノズル基板21にはインクの液滴を射出するためのノズル211、ノズル211と連通する大径部212、及びインクの循環に使用される個別循環流路213が形成されている。
中間基板22には、中間基板22を上下方向に貫通し大径部212に連通する連通孔221、及び複数の個別循環流路213から流れてきたインクが合流する共通循環流路222が形成されている。
アクチュエーター基板23には、連通孔221に連通し、インクを貯留する圧力室231が形成されている。
保護基板24には、上下方向に貫通する供給流路241が形成されており、共通供給液室51と圧力室231とを連通している。
共通インク室5は、インクが充填されている共通供給液室51を有する。
共通インク室5の上部には、接続部11が設けられ、接続部11からヘッドチップ2に供給するインクが供給される。
【0031】
次に、インクジェットヘッド10内部のインクの循環経路について説明する。インクは、接続部11から供給され、共通インク室5の共通供給液室51、供給流路241、圧力室231、連通孔221、大径部212、個別循環流路213、共通循環流路222、接続部12の順に流れ、インクジェットヘッド10外に排出される。
図2Aの矢印は、インクの流れを示す。
よって、接続部11、共通インク室5の共通供給液室51、供給流路241、圧力室231、連通孔221、大径部212、個別循環流路213、共通循環流路222、接続部12が流路200を構成する。
【0032】
このような構造のインクジェットヘッド10内部において、
図2A及び
図2Bの「〇」で示す場所が、流路200内のインクの速度が相対的に低速である領域、あるいは本来インクが流れる方向に流れず、渦などを形成してその領域に気泡が留まってしまう領域である滞留部250となる。具体的には、
図2Bに示すノズル付近の滞留部250が滞留部250A、
図2Aに示す圧力室231の右上部の滞留部250が滞留部250B、圧力室231の左下部の滞留部250が滞留部250Cである。
【0033】
前述したような流路200内の滞留部250を少なくするために、インクジェットヘッド10内に沈降性粒子を含有するインクを充填して、当該沈降性粒子を滞留部250に沈降させ、滞留部250を埋めるインクジェットヘッド流路形成方法を行う。
インクに含有される沈降性粒子は、小さすぎると沈降に時間がかかり、大きすぎると分散安定性が悪く、滞留部250以外でも沈降してインクの流れの阻害因子となるため、体積平均粒径が80~30,000nmの沈降性粒子を用いるのがよい。さらに、顔料インクを使用する場合、体積平均粒径が150~10,000nmの沈降性粒子を使用するのがより好ましい。また、酸化チタンを含むインクを使用する場合、体積平均粒径が200~10,000nmの沈降性粒子を使用するのがより好ましい。
上記の沈降性粒子の体積平均粒径は、一次粒径と凝集状態である二次粒径のどちらでもよく、体積平均粒径の測定方法は限定しない。
また、体積平均粒径が異なる沈降性粒子を少なくとも2種類以上使用するのが好ましい。体積平均粒径が異なる沈降性粒子を使用することで、空隙や凹凸が少なく、最密充填に近い状態で滞留部250に沈降性粒子を沈降させることができる。
【0034】
また、沈降性粒子の密度と沈降性粒子を含むインクの主溶媒の密度との差は、0.2g/cm3以上であることが好ましい。上記の密度差があることで、沈降性粒子を短時間で沈降させることができる。また、密度差は、0.5g/cm3以上がより好ましい。しかし、沈降性粒子であればよく、密度差は以上の数値に限らない。
沈降性粒子の沈降速度は下記のストークスの式によって表され、沈降性粒子の密度と沈降性粒子を含むインクの主溶媒の密度との差に比例する。
【0035】
vs=Dp
2(ρp-ρf)g/18η
vs:終端速度[cm/s]
Dp:粒子径[cm]
ρp:粒子の密度[g/cm3]
ρf:流体の密度[g/cm3]
g:重力加速度[cm/s2]
η:流体の粘度[g/(cm・s)]
【0036】
沈降性粒子は、有機顔料、無機顔料、不溶性の染料、バインダー粒子等を用いることができる。
沈降性粒子の材料は、有機でも、金属を含む無機でもよく、有機である場合、熱硬化性でも、熱可塑性でもよい。また、これらの複合材料でもよい。
沈降性粒子は、単一でも、粒子表面に分散剤などの被覆あるいは付着物があっても、あるいは粒子同士が凝集していてもよい。
【0037】
好ましく用いることのできる具体的な有機顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
【0038】
マゼンタ又はレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0039】
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155等が挙げられる。特に色調と耐光性のバランスにおいて、C.I.ピグメントイエロー155が好ましい。
【0040】
グリーン又はシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0041】
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
【0042】
好ましく用いることのできる具体的な酸化チタン等の無機顔料としては、アナターゼ型、ルチル型及びブルーカイト型の三つの結晶形態があるが、汎用なものとしてはアナターゼ型とルチル型に大別できる。特に限定するものではないが、屈折率が大きく隠蔽性が高いルチル型が好ましい。具体的には、富士チタン工業株式会社のTRシリーズ、テイカ株式会社のJRシリーズや石原産業株式会社のタイペークなどが挙げられる。
【0043】
好ましく用いることのできる具体的な不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0044】
前述したような流路200内の滞留部250を少なくするために、インクジェット記録装置1において
図3のフローチャートに示すインクジェットヘッド10の流路形成方法を行う。
当該インクジェットヘッド10の流路形成方法は、インクジェットヘッド10がインクを射出する向きである、ノズル基板21がインクジェットヘッド10の下面に位置する向きに固定して開始される。
【0045】
以下に記載するインクジェットヘッド10の流路形成方法では、沈降性粒子を含有するインクが用いられる。また、体積平均粒径が異なる沈降性粒子が少なくとも2種類以上用いられる。
【0046】
まず、
図1に示す構成において、インクタンク20から、外部流路31、インクジェットヘッド10、外部流路32、インクタンク20の順に第1の液体である第1インクを流し、第1インクを循環させる第1通液工程を行う(ステップS1)。
次に、インクジェットヘッド10内の流路200である、接続部11から共通インク室5の共通供給液室51、供給流路241、圧力室231、連通孔221、大径部212、個別循環流路213、共通循環流路222、接続部12を第1インクで充填し、第1インクの循環の流れを停止する充填工程を行う(ステップS2)。
次に、第1インクを環境温度まで冷却し、所定時間静置する冷却工程を行う(ステップS3)。第1インクを環境温度まで冷却することによって、沈降性粒子が軟凝集体化する。
次に、第1インクを環境温度より高い温度に加熱し、所定時間静置して、沈降性粒子を流路200内の滞留部250に沈降させる沈降工程を行う(ステップS4)。第1インクを環境温度より高い温度に加熱することによって、沈降性粒子の凝集が促進されて沈降しやすくなる。
次に、再度第1インクを循環させ、流路200の滞留部250以外に存在する沈降性粒子を流す第2通液工程を行う(ステップS5)。このとき、ノズル211内部の沈降性粒子を排出するため、ノズル211から第1インクを射出させてもよい。
【0047】
次に、第1インクとPHが異なる第2の液体をインクジェットヘッド10内の流路200に通液させる、あるいはインクジェットヘッド10内の流路200の第1インクのPHを沈降性粒子の等電点に近づける凝集促進工程を行う(ステップS6)。
第2の液体をインクジェットヘッド10内の流路200に通液させることによって、沈降性粒子の分散安定性が変わり、沈降しやすくなったり、凝集体を形成しやすくなる。この工程において、第2の液体を流し始める時に、流路内に第1インクが充填されていても、されていなくてもどちらでもよい。第2の液体として洗浄液を使用してもよい。
また、流路200の第1インクのPHを沈降性粒子の等電点に近づけることによって、沈降性粒子は凝集しやすくなる。
【0048】
次に、上記のステップS1~S6において使用したインクに含まれる沈降性粒子とは体積平均粒径が異なる沈降性粒子を少なくとも1種類以上含む第3のインクを用いて、再度ステップS1~S6の工程(流路形成工程)を行う(ステップS7)。
体積平均粒径が異なる沈降性粒子を沈降させることで、充填率が向上し、空隙や凹凸が少ない状態で滞留部250を埋めることができる。
【0049】
次に、インクジェットヘッド10の固定している向きをノズル基板21がインクジェットヘッド10の上面に位置する向きに変えて、ステップS1~S7を再度行う(ステップS8)。沈降性粒子は重力方向(鉛直下側)にしか沈降しないため、向きを変えて、鉛直上側の滞留部250にも沈降性粒子を沈降させ、滞留部250を埋める。
ここで、
図4Aはインクジェットヘッド10の滞留部250Aに沈降性粒子が堆積した状態を示す図であり、
図4Bは滞留部250Bに沈降性粒子が堆積した状態を示す図であり、
図4Cは滞留部250Cに沈降性粒子が堆積した状態を示す図である。
【0050】
次に、インクジェットヘッド10の流路200内の滞留部250は、上記ステップS1~S8によって射出特性に問題がない程度に減少したかを、インクを射出させて確認する(ステップS9)。ここで、射出特性とは、射出速度、射出した液量、射出角度、残響振動などである。滞留部250に沈降性粒子が沈降し、滞留部250が減少して、気泡が流路200内に溜まることがなくなることで、射出特性が変化する。
滞留部250が十分に減少している場合(ステップS9;YES)、インクジェットヘッドの流路形成方法を終了する。滞留部が十分に減少していない場合(ステップS9;NO)、ステップS1に戻る。
【0051】
以上のように、本実施形態1のインクジェットヘッドの流路形成方法は、沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンク(インクタンク20)と、第1の液体を射出するインクジェットヘッド10と、タンクからインクジェットヘッド10に第1の液体を供給する供給経路(外部流路31)と、インクジェットヘッド10からタンクに第1の液体を戻す循環経路(外部流路32)と、を有するインクジェット記録装置1において、第1の液体を、タンク、供給経路、インクジェットヘッド10の流路200、循環経路の順に通液して、第1の液体をインクジェットヘッド10とタンクの間で循環する第1通液工程と、流路200内を第1の液体で充填する充填工程と、第1の液体の流れを所定時間停止して、流路200内の滞留部250に粒子を沈降させる沈降工程と、再度第1の液体をインクジェットヘッド10とタンクの間で循環する第2通液工程と、を含む。
従って、気泡の滞留の少ないインクジェットヘッドの流路を容易に形成するインクジェットヘッドの流路形成方法、画像形成方法及びインクジェットヘッドを提供することができる。
また、滞留部が少ない流路が形成されたインクジェットヘッドを用いた画像形成によれば、気泡による画質不良の発生を抑制することができる。
さらに、上記のように滞留部が少ない流路が形成されたインクジェットヘッドによれば、気泡による画質不良の発生が抑制された画像形成を行うことができる。
【0052】
(変形例)
以下では、本変形例と上記実施形態1のインクジェット記録装置1との差異を中心に説明する。
【0053】
本変形例の構成では、
図1のように循環経路である外部流路32が設けられておらず、インクをインクタンク20とインクジェットヘッド10間で循環させない。つまり、インクはインクタンク20から供給経路である外部流路31を介して、インクジェットヘッド10に供給され、インクジェットヘッド10から射出され、排出される。
【0054】
図5A及び
図5Bは、上記実施形態1の変形例1に係るインクジェットヘッド10aの流路の滞留部250を示す図である。
図5Bは、ノズル211付近の拡大図である。
図5Aに示すインクジェットヘッド10aはベンドモードのインクジェットヘッドである。なお、
図1のインクジェットヘッド10と同一の構成部分には同一の符号を付して説明する。
インクジェットヘッド10a内部のインクの流路200について説明する。インクは、接続部11から供給され、供給流路241、圧力室231、連通孔221の順に流れ、ノズル211から射出される。
図5Aの矢印は、インクの流れを示す。
【0055】
このような変形例1のインクジェットヘッド10a内部において、
図5A及び
図5Bの「〇」で示す場所が、流路200内のインクの速度が相対的に低速である領域、あるいは本来インクが流れる方向に流れず、渦などを形成してその領域に気泡が留まってしまう領域である滞留部250となる。具体的には、
図5Bに示すノズル211付近の滞留部250が滞留部250D、
図5Aに示す圧力室231の右上部の滞留部250が滞留部250E、圧力室231の左下部の滞留部250が滞留部250Fである。
【0056】
図5C及び
図5Dは、上記実施形態1の変形例2に係るインクジェットヘッド10bの流路200の滞留部250を示す図である。
図5Dは、ノズル211付近の拡大図である。
図5Cに示すインクジェットヘッド10bはシアモードのインクジェットヘッドである。
インクジェットヘッド10b内部のインクの流路200について説明する。インクは、接続部11から供給され、共通供給液室51、圧力室231の順に流れ、ノズル211から射出される。
図5Cの矢印は、インクの流れを示す。
【0057】
このような変形例2のインクジェットヘッド10b内部において、
図5C及び
図5Dの「〇」で示す場所が滞留部250となる。具体的には、
図5Dに示すノズル211付近の滞留部250が滞留部250G、
図5Cに示す共通供給液室51の右下部の滞留部250が滞留部250H、共通供給液室51の左下部の滞留部250が滞留部250Iである。
【0058】
図5A、
図5B、
図5C及び
図5Dに示すインクジェットヘッド10a、10bを用いたインクジェット記録装置1の構成において、
図3に示すインクジェットヘッドの流路形成方法を行う場合、第1通液工程(ステップS1)では、インクを循環せず、インクタンク20から、外部流路31、インクジェットヘッド10a,10b、ノズル211の順にインクを流す。
同様に、第2通液工程(ステップS5)でも、インクタンク20から、外部流路31、インクジェットヘッド10a,10b、ノズル211の順にインクを流す。
その他の構成及びインクジェットヘッドの流路形成方法の工程は上記実施形態1のインクジェットヘッドの流路形成方法と同様である。
ここで、
図6Aは、変形例1のインクジェットヘッド10aの滞留部250Dに沈降性粒子が堆積した状態を示す図であり、
図6Bは、滞留部250Eに沈降性粒子が堆積した状態を示す図であり、
図6Cは、滞留部250Fに沈降性粒子が堆積した状態を示す図である。
また、
図6Dは、変形例2のインクジェットヘッド10bの滞留部250Gに沈降性粒子が堆積した状態を示す図であり、
図6Eは、滞留部250Hに沈降性粒子が堆積した状態を示す図であり、
図6Fは、滞留部250Iに沈降性粒子が堆積した状態を示す図である。
【0059】
以上のように、本実施形態1の変形例のインクジェットヘッドの流路形成方法は、沈降性の粒子を含有する第1の液体を流路200に通液する第1通液工程と、流路200内を第1の液体で充填する充填工程と、第1の液体の流れを所定時間停止して、流路200内の滞留部250に粒子を沈降させる沈降工程と、再度第1の液体を流路200に通液する第2通液工程と、を含む。
従って、気泡の滞留の少ないインクジェットの流路を容易に形成するインクジェットヘッドの流路形成方法、画像形成方法及びインクジェットヘッドを提供することができる。
【0060】
(実施形態2)
図7は、本発明の実施形態2のインクジェットヘッド流路形成方法のフローチャートである。実施形態2のインクジェットヘッド流路形成方法は、上記実施形態1及び変形例のインクジェットヘッドの流路形成方法における第2通液工程の代わりに、以下に詳述する結着工程を行い、凝集促進工程は行わないものである。また、ステップS11の通液工程は、上記実施形態1及び変形例のインクジェットヘッドの流路形成方法における第1通液工程と同様の工程である。
また、実施形態1及び変形例のインクジェットヘッドの流路形成方法と同様の工程については同一名称を付して説明は省略する。
【0061】
実施形態2のインクジェットヘッド流路形成方法を行う場合、沈降性粒子のうち、少なくとも1種類以上は熱により溶解する沈降性粒子、あるいは粒子表面に重合開始基が存在する沈降性粒子を用いる。
実施形態2のインクジェットヘッドの流路形成方法において、1種類以上の熱により溶解する沈降性粒子を使用した場合は、沈降性粒子が溶解する温度までインクジェットヘッド10,10a,10b内の流路200を加熱し、沈降性粒子の少なくとも一部を加熱溶解させる結着工程(加熱溶解工程)を行う。
沈降性粒子を沈降させただけだと、滞留部250の外に沈降性粒子が流れ出す可能性があるので、沈降性粒子の少なくとも一部を溶解させて沈降した粒子同士を溶解結着させ、流れ出しを防止する。
インクジェットヘッド10,10a,10b内の流路200を加熱する方法は、インクジェットヘッド10,10a,10bごと加熱器に入れる、あるいは流路200内に高温溶液を流す、あるいは流路200内に高温ガスを流す方法を用いることができる。
また、実施形態2のインクジェットヘッドの流路形成方法において、1種類以上の粒子表面に重合開始基が存在する沈降性粒子を使用した場合は、インクジェットヘッド10,10a,10b内の流路200に重合性のモノマーを含有する液を通液し、沈降性粒子表面で重合反応を起こさせる結着工程(重合反応工程)を行う。
沈降性粒子を沈降させただけだと、滞留部250の外に沈降性粒子が流れ出す可能性があるので、沈降性粒子の少なくとも一部を重合反応させて、沈降性粒子同士あるいは重合物で結着させ、流れ出しを防止する。
重合反応による結着工程を行う場合、流路200内の滞留部250以外の箇所で重合反応を起こさせないために、沈降工程後に、滞留部250以外の沈降性粒子が流れるように十分に通液する。このとき使用する液体は、重合開始剤が入っていない液体であることが好ましい。
【0062】
以上のように、本実施形態2のインクジェットヘッドの流路形成方法は、沈降性の粒子を含有する第1の液体を貯留するタンク(インクタンク20)と、第1の液体を射出するインクジェットヘッド10と、タンクからインクジェットヘッド10に第1の液体を供給する供給経路(外部流路31)と、インクジェットヘッド10からタンクに第1の液体を戻す循環経路(外部流路32)と、を有するインクジェット記録装置1において、第1の液体を、タンク、供給経路、インクジェットヘッド10の流路200、循環経路の順に通液して、第1の液体をインクジェットヘッド10とタンクの間で循環する通液工程と、流路200内を第1の液体で充填する充填工程と、第1の液体の流れを所定時間停止して、流路200内の滞留部250に粒子を沈降させる沈降工程と、滞留部250に滞留させた粒子を結着させる結着工程と、を含む。
従って、気泡の滞留の少ないインクジェットヘッドの流路を容易に形成するインクジェットヘッドの流路形成方法、画像形成方法及びインクジェットヘッドを提供することができる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態及び変形例のインクジェットヘッドの流路形成方法では、インクジェットヘッド10,10a,10bの向きはノズル基板21を下面に固定して開始するとしたが、これに限らない。ノズル基板21が上面に位置する向きに固定して開始し、途中でノズル基板21が下面に位置する向きに変えてもよい。
【0064】
その他、上記実施の形態及び変形例で示した構成の具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明は、インクジェットヘッドの流路形成方法、画像形成方法及びインクジェットヘッドに利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 インクジェット記録装置
2 ヘッドチップ
21 ノズル基板
200 流路
211 ノズル
212 大径部
213 個別循環流路
22 中間基板
221 連通孔
222 共通循環流路
23 アクチュエーター基板
231 圧力室
24 保護基板
241 供給流路
250 滞留部
3 保持部
5 共通インク室
51 共通供給液室
10、10a、10b インクジェットヘッド
11、12 接続部
20 インクタンク
31 外部流路(供給経路)
32 外部流路(循環経路)