(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】判断システム及び判断方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240509BHJP
【FI】
G06Q30/0601
(21)【出願番号】P 2022550538
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 JP2021033453
(87)【国際公開番号】W WO2022059630
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2020156168
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】中山 丞真
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117301(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0249849(US,A1)
【文献】特開2020-135225(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105600(WO,A1)
【文献】特開2019-003633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の購入をユーザが要求する際に前記ユーザから取得された第1の音に基づいて、前記ユーザの第1の生体情報を生成する第1の生成手段と、
前記商品の所持者から取得された第2の音に基づいて、前記所持者の第2の生体情報を生成する第2の生成手段と、
前記第1の生体情報及び前記第2の生体情報に基づいて、前記所持者が前記ユーザであるかどうかを判断する判断手段と、
を備え、
前記第1の生成手段は、前記ユーザの通信端末から取得された前記第1の音に基づいて前記第1の生体情報を生成し、
前記判断手段は、前記第1の生体情報及び前記第2の生体情報に基づいて前記所持者が前記ユーザでないと判断した場合に、前記商品を購入する際に用いられた前記通信端末の回線情報に基づいて前記所持者が前記ユーザであるかどうかを判断する、
判断システム。
【請求項2】
前記判断手段は、
前記第1の生体情報及び前記第2の生体情報に基づいて前記所持者が前記ユーザでないと判断した場合に、前記通信端末に認証情報を送信し、
前記認証情報が前記所持者の通信端末によって受信されたことを検出したとき、前記所持者が前記ユーザであると判断する請求項1に記載の判断システム。
【請求項3】
前記第1の生成手段は、イベントのチケットを前記ユーザが購入する際に取得された前記第1の音に基づいて前記第1の生体情報を生成し、
前記第2の生成手段は、前記イベントの会場において前記チケットの所持者から取得された前記第2の音に基づいて、前記第2の生体情報を生成する
請求項1または2に記載の判断システム。
【請求項4】
前記所持者が前記ユーザであると判断された場合に前記所持者の前記会場への入場を許可する旨を指示し、前記所持者が前記ユーザでないと判断された場合に前記所持者の前記会場への入場を制限する旨を指示する指示手段を更に備える
請求項3に記載の判断システム。
【請求項5】
前記第1の生成手段は、前記ユーザの声紋を示す前記第1の生体情報を生成し、
前記第2の生成手段は、前記所持者の声紋を示す前記第2の生体情報を生成する
請求項1から4の何れか1項に記載の判断システム。
【請求項6】
前記第1の生成手段は、前記ユーザの耳の識別情報を示す前記第1の生体情報を生成し、
前記第2の生成手段は、前記所持者の耳の識別情報を示す前記第2の生体情報を生成する
請求項1から4の何れか1項に記載の判断システム。
【請求項7】
判断システムが、
商品の購入をユーザが要求する際に前記ユーザの通信端末から取得された第1の音に基づいて、前記ユーザの第1の生体情報を生成し、
前記商品の所持者から取得された第2の音に基づいて、前記所持者の第2の生体情報を生成し、
前記第1の生体情報及び前記第2の生体情報に基づいて、前記所持者が前記ユーザであるかどうかを判断し、
前記第1の生体情報及び前記第2の生体情報に基づいて前記所持者が前記ユーザでないと判断した場合に、前記商品を購入する際に用いられた前記通信端末の回線情報に基づいて前記所持者が前記ユーザであるかどうかを判断する、
判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転売を抑制可能な判断システム及び判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンサートのチケット等の商品は、商品の購入者によって、価格が不当に釣り上げられた上で他者へ転売されることがある。転売を抑制するために、商品の購入者の生体情報と商品の所持者の生体情報を比較することで、所持者と購入者が同一人物であるかどうかを判断する場合がある。この場合において、例えばコンサートのチケットの所持者が、購入者と同一人物であると判断されなかった場合、チケットの所持者の入場を制限する。
【0003】
例えば、特許文献1には、ユーザが端末装置からクラウドサーバに対してチケットの購入要求を送信することが開示されている。クラウドサーバは、端末装置からのチケット購入要求を受信した後で、端末装置に対して声登録要求信号を送信する。端末装置は、声登録要求信号を受信したことに応じてユーザからの声を受け付けて、声から取得された声紋を含む声情報をクラウドサーバに送信する。そして、クラウドサーバに格納された声紋と会場でチケットの所持者から取得した声紋を入場前に比較することで、所持者がチケットを購入したユーザと同一人物であるかどうかを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示される技術においては、ユーザは、商品の購入要求を送信する処理を行った上で、更に生体情報を登録する処理を別々に行う必要があるため、ユーザにおける処理が煩雑であった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、転売を抑制しつつ、ユーザにおける処理を簡素にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の判断システムは、
商品の購入をユーザが要求する際に前記ユーザから取得された第1の音に基づいて、前記ユーザの第1の生体情報を生成する第1の生成手段と、
前記商品の所持者から取得された第2の音に基づいて、前記所持者の第2の生体情報を生成する第2の生成手段と、
前記第1の生体情報及び前記第2の生体情報に基づいて、前記所持者が前記ユーザであるかどうかを判断する判断手段と、
を備える。
【0008】
また本発明の判断方法は、
商品の購入をユーザが要求する際に取得された第1の音に基づいて、前記ユーザの第1の生体情報を生成し、
前記商品の所持者から取得された第2の音に基づいて、前記所持者の第2の生体情報を生成し、
前記第1の生体情報及び前記第2の生体情報に基づいて、前記所持者が前記ユーザであるかどうかを判断する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、転売を抑制しつつ、ユーザにおける処理を簡素にすることができる判断システム及び判断方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態における判断システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における判断システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の第1の実施形態における判断システムの変形例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第2の実施形態における判断システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第2に実施形態における判断システムの構成例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
第1の実施形態における判断システム1について、
図1及び
図2に基づき説明する。
図1は、判断システム1の構成例を示すブロック図である。
図2は、判断システム1の動作例を示すフローチャートである。
【0012】
判断システム1の構成について説明する。
図1に示されるように、判断システム1は、通信端末10、コールセンタ20、サーバ30及び会場用装置40を備える。
【0013】
通信端末10は、音声の入出力及びデータ通信が可能な通信端末である。通信端末10は、ユーザによって利用されている。通信端末10は、例えば、携帯電話又はスマートフォンである。通信端末10は、コールセンタ20及びサーバ30と通信可能に接続されている。
【0014】
コールセンタ20は、通信端末21及び録音手段22を備える。
【0015】
通信端末21は、音声の入出力及びデータ通信が可能な通信端末である。通信端末21は、携帯電話、スマートフォン又は固定電話である。通信端末21は、コールセンタ20のオペレータによって利用されている。オペレータは、通信端末21及び通信端末10間の音声通話により、通信端末10のユーザからの商品の購入要求を受け付ける。この実施形態の説明において、商品はイベントのチケットであるとするが、商品はチケットに限られない。
【0016】
録音手段22は、通信端末10及び通信端末21間の音声通話における、通信端末10からのユーザからの第1の音を録音する。例えば、録音手段22は、音声通話の際に通信端末21が通信端末10から受信したパケットに含まれるユーザの音声を、第1の音として取得する。また、例えば、録音手段22は、通信端末21からの音声に対するユーザからの反響音を第1の音として取得しても良い。
【0017】
通信手段23は、チケットの購入処理が完了した際に、録音手段22によって録音されたユーザからの第1の音と、通信端末10の回線情報(例えば、電話番号)と、チケットの識別情報とをサーバ30へ送信する。通信端末10の回線情報は、例えば、通信端末21に記録されている通信履歴を参照することにより取得される。チケットの識別情報は、予め定められているものとする。チケットの識別情報とは、例えば、チケットごとに固有のID(Identification)番号である。チケットの識別情報は、例えば、チケットの購入処理が完了した日時から生成される。ここで、ユーザとは商品の購入者を指す。
【0018】
サーバ30は、取得手段31、生成手段32、対応付け手段33、判断手段34及び指示手段35を備える。
【0019】
取得手段31は、ユーザからの第1の音と、通信端末10の回線情報と、チケットの識別情報とを、通信手段23を介してコールセンタ20から取得する。また、取得手段31は、チケットの所持者(以下、チケットの所持者を、単に「所持者」とも言う。)のからの第2の音を会場用装置40から取得する。
【0020】
生成手段32は、商品の購入をユーザが要求する際にユーザから取得された第1の音に基づいて、ユーザの第1の生体情報を生成する。具体的には、生成手段32は、取得手段31を介してコールセンタ20から取得したユーザの音声に基づいて第1の声紋情報を生成する。第1の声紋情報は、チケットを購入したユーザの声の特徴を示すものである。音声に基づいて声紋情報を生成する方法については、既知のものを用いる。また、第1の生体情報とは、声紋情報と呼ばれるものでなくても、ユーザの声の特徴(例えば、周波数等)を示す情報であればよい。
【0021】
また、生成手段32は、第1の音が通信端末21からの音声に対するユーザからの反響音である場合、ユーザの耳の識別情報を第1の生体情報として生成してもよい。ユーザからの反響音は、ユーザの耳で反響した音であるため、ユーザの耳の形状に依存する特徴を有する。生成手段32は、反響音から、ユーザの耳の形状に依存する特徴を抽出して、第1の生体情報とする。
【0022】
また、生成手段32は、商品の所持者から取得された第2の音に基づいて、所持者の第2の生体情報を生成する。具体的には、生成手段32は、会場用装置40から取得した所持者の音声に基づいて第2の声紋情報を生成する。第2の声紋情報は、チケットの所持者の声の特徴を示すものである。また、生成手段32は、会場用装置40から出力された音に対する所持者からの反響音から、所持者の耳の識別情報を第2の生体情報として生成してもよい。
【0023】
対応付け手段33は、第1の生体情報及び通信端末10の回線情報を、チケットの識別情報に対応付けて記憶する。
【0024】
なお、第1の生体情報を生成する機能と第2の生体情報を生成する機能の各々は、異なる構成要素によって実現されても良い。この場合、第1の生成情報を生成する機能を有する構成要素を第1の生成手段と呼ぶ。また、第2の生成情報を生成する機能を有する構成要素を第2の生成手段と呼ぶ。
【0025】
判断手段34は、第1の生体情報と第2の生体情報を比較して、第1の生体情報と第2の生体情報が同一人物から取得されたものであるかどうか判断する。これにより、判断手段34は、チケットの所持者が、チケットの購入者であるユーザと同一人物であるかどうかを判断する。例えば、判断手段34は、第1の生体情報と第2の生体情報が一致した場合及び第1の生体情報と第2の生体情報との相違が所定の範囲以内であった場合に、チケットの所持者が、チケットの購入者であるユーザと同一人物であると判断する。一方で、例えば、判断手段34は、第1の生体情報と第2の生体情報が一致しなかった場合及び第1の生体情報と第2の生体情報との相違が所定の範囲を超えていた場合に、チケットの所持者が、チケットの購入者であるユーザと同一人物でないと判断する。
【0026】
また、判断手段34は、第1の生体情報及び第2の生体情報に基づいて所持者がユーザでないと判断した場合に、通信端末10の回線情報に基づいて所持者がユーザであるかどうかを判断する。具体的には、判断手段34が回線情報に基づく判断を行う場合、サーバ30は、取得手段31が取得した通信端末10の回線情報を用いて、通信端末10に認証番号を送信する。例えば、サーバ30は、電話番号を用いたSMS(Short Message Service)により、認証番号を通信端末10に送信する。チケットの所持者が会場用装置40に入力した番号が前述の認証番号と一致した場合、判断手段34は、認証番号が所持者の通信端末によって受信されたことを検出する。この場合、判断手段34は、チケットの所持者がチケットの購入者であるユーザと同一人物であると判断する。一方で、チケットの所持者が会場用装置40に入力した番号が、前述の認証番号と一致しなかった場合、判断手段34は、チケットの所持者がチケットの購入者であるユーザと同一人物でないと判断する。
【0027】
指示手段35は、判断手段34がチケットの所持者がチケットの購入者であるユーザと同一人物であると判断した場合、購入者の入場を許可する旨の指示を会場用装置40に送信する。また、指示手段35は、判断手段34がチケットの所持者がチケットの購入者であるユーザと同一人物であると判断しなかった場合、購入者の入場を規制する旨の指示を会場用装置40に送信する。購入者の入場を規制する旨の指示を受信した際、会場用装置40は、例えばチケットの所持者及び会場の係員に、所持者の入場を制限する旨を通知する。
【0028】
会場用装置40は、集音手段41、読取手段42、通知手段43及び通信手段44を備える。会場用装置40は、例えば、チケットのイベントが行われる会場の入場口に設置される。
【0029】
集音手段41は、チケットの所持者からの第2の音を集音する。集音手段41は、例えば、マイクである。例えば、チケットの所持者は、イベントの係員の指示に従って、集音手段41に対して音声を発する。これにより、集音手段41は、チケットの所持者の音声を集音できる。また、会場用装置40は、チケットの所持者に対して音を出力し、その音に対する所持者からの反響音を第2の音として集音する。
【0030】
読取手段42は、チケットに記載のバーコード等からチケットの識別情報を読み取る。読取手段42が読み取った識別情報は、集音手段41が取得した所持者からの第2の音と対応付けられて、後述の通信手段44によりサーバ30に送信される。
【0031】
通知手段43は、指示手段35から送信された内容を、チケットの所持者やイベントの係員に通知する。通知手段43は、ディスプレイ又はスピーカである。
【0032】
以上、判断システム1の構成について説明した。次に
図2を用いて判断システム1の動作例を説明する。なお、判断システム1の動作例の開始時点において、通信端末10のユーザは、コールセンタ20内のオペレータと通信端末21を介して通話し、イベントのチケットの購入処理が完了しているものとする。また、コールセンタ20の通信手段23は、通話に用いられたユーザの音声、通信端末10の回線情報及び購入されたチケットの識別情報をサーバ30に送信しているものとする。また、本動作例においては、第1の生体情報は、通信端末10のユーザの音声から生成された第1の声紋情報であるとする。また、第2の生体情報は、チケットの所持者の音声から生成された第2の声紋情報であるとする。
【0033】
サーバ30の取得手段31は、ユーザの音声、通信端末10の回線情報及びチケットの識別情報を通信手段23から取得する(S101)。
【0034】
生成手段32は、取得手段31が取得したユーザの音声から、ユーザの声紋を示す第1の声紋情報を生成する(S102)。ここでのユーザとは、チケットの購入者を指す。
【0035】
対応付け手段33は、第1の声紋情報及び回線情報を、チケットの識別情報に対応付けて記憶する(S103)。
【0036】
次に、取得手段31は、チケットの所持者の音声及びチケットの識別情報を、会場用装置40から取得する(S104)。この動作例において、会場用装置40の集音手段41が、チケットの所持者の音声を取得する。また、読取手段42は、所持者が持つチケットに記載されたバーコード等を読み込むことにより、チケットの識別情報を取得する。そして、取得手段31は、通信回線を介して、互いに対応付けられたチケットの所持者の音声及びチケットの識別情報を取得する。
【0037】
生成手段32は、チケットの所持者の音声から、所持者の声紋を示す第2の声紋情報を生成する(S105)。
【0038】
判断手段34は、第1の声紋情報と第2の声紋情報が同一人物のものであるかどうかを判断する(S106)。具体的には、判断システム1の構成の説明のうち、判断手段34についての記載の通りに、判断手段34は第1の声紋情報と第2の声紋情報を比較することによりこの判断を行う。S106の処理において、判断手段34は、同じチケットの識別情報に対応付けられた第1の声紋情報及び第2の声紋情報を比較する。
【0039】
判断手段34が第1の声紋情報と第2の声紋情報が同一人物のものであると判断した場合(S106のYes)、指示手段35は、通信手段44を介して、入場を許可する旨の指示を通知手段43に出力する(S107)。通知手段43は、指示手段35からの指示に応じて、例えば、チケットの所持者及びイベントの係員に、所持者の入場を許可する旨を通知する。
【0040】
判断手段34が第1の声紋情報と第2の声紋情報が同一人物のものでないと判断した場合(S106のNo)、サーバ30は、回線情報に基づいて、認証情報を通信端末10に送信する(S108)。例えば、サーバ30は、回線情報である電話番号に対して、数桁の数字を認証情報として送信する。
【0041】
この際、会場用装置40は、ディスプレイの表示などを介して、チケットの所持者に対して認証情報の入力を受け付ける(S109)。会場用装置40は、受け付けた認証情報をサーバ30に対して送信する。
【0042】
判断手段34は、通信端末10に対して送信した認証情報と、会場用装置40が受け付けた認証情報とが一致するかどうかを判断する(S110)。
【0043】
認証情報が一致した場合(S110のYes)、指示手段35は、入場を許可する旨の指示を通知手段43に出力する(S111)。
【0044】
認証情報が一致しなかった場合(S110のNo)、指示手段35は、入場を制限する旨の指示を通知手段43に出力する(S112)。通知手段43は、指示手段35からの指示に応じて、例えばチケットの所持者及び会場の係員に、所持者の入場を制限する旨を通知する。
【0045】
以上、判断システム1の動作について説明した。
【0046】
以上のように、判断システム1は、生成手段32及び判断手段34を備える。生成手段32は、商品の購入をユーザが要求する際にユーザから取得された第1の音に基づいて、ユーザの第1の生体情報を生成する。また、生成手段32は、商品の所持者から取得された第2の音に基づいて、所持者の第2の生体情報を生成する。判断手段34は、第1の生体情報及び第2の生体情報に基づいて、所持者がユーザであるかどうかを判断する。
【0047】
転売を抑制するためには、商品の購入者と商品の所持者が異なっていた場合に、商品の所持者に対して何らかの制限を設ける手法が考えられる。この手法を用いるためには、商品の購入者と商品の所持者が同一人物であるかどうかを判断する必要がある。しかし、特許文献1に示されるような技術においては、商品の購入要求を送信する処理を行った上で、更に生体情報を登録する処理を別々に行う必要があるため、商品の購入者における処理が煩雑であった。
【0048】
一方で判断システム1においては、商品の購入者であるユーザの第1の生体情報は、商品の購入をユーザが要求する際にユーザから取得された第1の音に基づいて生成される。これにより、判断システム1においては、ユーザは、商品を購入する処理を行うことで、購入する処理とは別に自身の生体情報を登録する必要がない。このように、判断システム1においては、転売を抑制しつつ、ユーザにおける処理を簡素にすることができる。
【0049】
判断システム1においては、生成手段32は、ユーザの通信端末10から取得されたユーザからの第1の音に基づいて第1の生体情報を生成する。また、判断手段34は、第1の生体情報及び第2の生体情報に基づいて所持者がユーザでないと判断した場合に、通信端末10の回線情報に基づいて所持者がユーザであるかどうかを判断する。
【0050】
判断システム1においては、判断手段34は、生体情報だけでなく、通信端末10の回線情報に基づいて所持者がユーザであるかどうかを判断する。これにより、例えば、通信端末10からの第1の音に含まれる雑音等の影響を第1の生体情報が受けることによって、判断手段34における判断が誤ったとしても、回線情報に基づく判断により、正確に所持者が購入者であるユーザと同一人物であるかを判断する。また、通信端末10の回線情報は、商品を購入する際に用いられたものである。そのため、ユーザは、回線情報を登録するためだけの処理を行う必要がない。
【0051】
また、判断システム1において、判断手段34は、第1の生体情報及び第2の生体情報に基づいて所持者がユーザでないと判断した場合に、ユーザの通信端末に認証情報を送信する。更に、判断手段34は、認証情報が所持者の通信端末によって受信されたことを検出したとき、所持者がユーザであると判断する。
【0052】
このような構成により、判断手段34は、所持者の通信端末が認証情報を受信したことに基づいて、所持者が商品の購入者であるユーザであるかどうかを判断する。これにより、例えば、イベントの会場において係員が回線情報を目視で確認する場合などに比べて、所持者がユーザであるかどうかがより正確に判断される。
【0053】
また、判断システム1において、指示手段35は、所持者がユーザであると判断された場合に、所持者がイベントの会場へ入場することを許可する旨を指示する。また、指示手段35は、所持者がユーザでないと判断された場合に、所持者がイベントの会場へ入場することを制限する旨を指示する。
【0054】
判断システム1は、上記のような指示手段35を備えることにより、チケットの所持者やイベントの係員などに、所持者への対応を指示することができる。
【0055】
以上、判断システム1について説明した。
【0056】
<変形例>
第1の実施形態の変形例である判断システム1Aについて説明する。判断システム1Aは、
図1に示される判断システム1と同様の構成を備える。判断システム1Aは、
図3に示されるフローチャートに沿って動作する。
【0057】
前述の判断システム1において、判断手段34は、第1の生体情報及び第2の生体情報に基づいて所持者がユーザでないと判断した場合に、通信端末10の回線情報に基づいて所持者がユーザであるかどうかを判断するとした。判断システム1Aは、回線情報に基づく判断を行わない形態である。
【0058】
判断システム1Aの各構成要素は、判断システム1の構成要素と同様であるため省略する。
【0059】
判断システム1Aの動作を、
図3に基づいて説明する。なお、判断システム1Aの動作例の開始時点において、通信端末10のユーザは、コールセンタ20内のオペレータと通信端末21を介して通話し、イベントのチケットの購入処理が完了しているものとする。また、コールセンタ20の通信手段23は、通話に用いられたユーザの音声及び購入されたチケットの識別情報をサーバ30に送信しているものとする。
【0060】
サーバ30の取得手段31は、ユーザの音声及びチケットの識別情報を通信手段23から取得する(S101A)。
【0061】
生成手段32は、取得手段31が取得したユーザの音声から、ユーザの声紋を示す第1の声紋情報を生成する(S102A)。
【0062】
対応付け手段33は、第1の声紋情報を、チケットの識別情報に対応付けて記憶する(S103A)。
【0063】
次に、取得手段31は、チケットの所持者の音声及びチケットの識別情報を、会場用装置40から取得する(S104A)。
【0064】
生成手段32は、チケットの所持者の音声から、所持者の声紋を示す第2の声紋情報を生成する(S105A)。
【0065】
判断手段34は、第1の声紋情報と第2の声紋情報を比較することにより、第1の声紋情報と第2の声紋情報は同一人物の物であるかどうかを判断する(S106A)。S106Aの処理において、判断手段34は、同じチケットの識別情報に対応付けられた第1の声紋情報及び第2の声紋情報を比較する。
【0066】
判断手段34が第1の声紋情報と第2の声紋情報は同一人物のものであると判断した場合(S106AのYes)、指示手段35は、通信手段44を介して、入場を許可する旨の指示を通知手段43に出力する(S107A)。
【0067】
判断手段34が第1の声紋情報と第2の声紋情報は同一人物の物でないと判断した場合(S106のNo)、指示手段35は、入場を制限する旨の指示を通知手段43に出力する(S112A)。通知手段43は、指示手段35からの指示に応じて、例えばチケットの所持者及びイベントの会場の係員に、所持者の入場を制限する旨を通知する。
【0068】
以上、判断システム1Aの動作について説明した。
【0069】
以上のように、判断システム1Aは、判断システム1と同様に、生成手段32及び判断手段34を備える。そのため、判断システム1Aは、判断システム1同様に、転売を抑制しつつ、ユーザにおける処理を簡素にすることができる。
【0070】
<第2の実施形態>
第2の実施形態における判断システム2について
図4及び
図5を用いて説明する。
図4に示されるように、判断システム2は、第1の生成手段51、第2の生成手段52及び判断手段53を備える。
【0071】
第1の生成手段51は、商品の購入をユーザが要求する際に用取得された第1の音に基づいて、ユーザの第1の生体情報を生成する。第1の生成手段51は、例えば、判断システム1における生成手段32によって実現される。
【0072】
第2の生成手段52は、商品の所持者から取得された第2の音に基づいて、所持者の第2の生体情報を生成する。第2の生成手段52は、例えば、判断システム1における生成手段32によって実現される。
【0073】
判断手段53は、第1の生体情報及び第2の生体情報に基づいて、所持者がユーザであるかどうかを判断する。判断手段53は、例えば、判断システム1における判断手段34によって実現される。
【0074】
次に
図5を用いて、判断システム2の動作について説明する。なお、この動作例においては、音声から生成される声紋を第1の生体情報及び第2の生体情報として用いる。
【0075】
第1の生成手段51は、商品の購入を要求する際に用いられたユーザの音声に基づいて、ユーザの第1の生体情報を生成する(S201)。
【0076】
第2の生成手段52は、商品の所持者の音声に基づいて、所持者の第2の生体情報を生成する(S202)。
【0077】
判断手段53は、第1の生体情報及び第2の生体情報に基づいて、所持者がユーザであるかどうかを判断する(S203)。
【0078】
以上のように、判断システム2は、第1の生成手段51、第2の生成手段52及び判断手段53を備える。第1の生成手段51は、商品の購入をユーザが要求する際にユーザから取得された第1の音に基づいて、ユーザの第1の生体情報を生成する。また、第2の生成手段52は、商品の所持者から取得された第2の音に基づいて、所持者の第2の生体情報を生成する。判断手段53は、第1の生体情報及び第2の生体情報に基づいて、所持者がユーザであるかどうかを判断する。
【0079】
転売を抑制するためには、商品の購入者と商品の所持者が異なっていた場合に、商品の所持者に対して何らかの制限を設ける手法が考えられる。この手法を用いるためには、商品の購入者と商品の所持者が同一人物であるかどうかを判断する必要がある。しかし、特許文献1に示されるような技術においては、商品の購入要求を送信する処理を行った上で、更に生体情報を登録する処理を別々に行う必要があるため、商品の購入者における処理が煩雑であった。
【0080】
一方で判断システム2においては、商品の購入者であるユーザの第1の生体情報は、商品の購入をユーザが要求する際にユーザから取得された第1の音に基づいて生成される。これにより、判断システム2においては、ユーザは、商品を購入する処理を行うことで、購入する処理とは別に自身の生体情報を登録する必要がない。このように、判断システム2においては、転売を抑制しつつ、ユーザにおける処理を簡素にすることができる。
【0081】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0082】
この出願は、2020年9月17日に出願された日本出願特願2020-156168を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0083】
1、2 判断システム
10 通信端末
20 コールセンタ
21 通信端末
22 録音手段
23 通信手段
30 サーバ
31 取得手段
32 生成手段
33 対応付け手段
34 判断手段
35 指示手段
40 会場用装置
41 集音手段
42 読取手段
43 通知手段
44 通信手段
51 第1の生成手段
52 第2の生成手段
53 判断手段