(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】車両用サイドテーブル装置
(51)【国際特許分類】
B60N 3/00 20060101AFI20240509BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20240509BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B60N3/00 A
B60R7/04 C
A47C7/62 B
(21)【出願番号】P 2023097813
(22)【出願日】2023-06-14
(62)【分割の表示】P 2022038045の分割
【原出願日】2022-03-11
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 廣人
(72)【発明者】
【氏名】水野 雅規
(72)【発明者】
【氏名】小玉 易広
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-118166(JP,A)
【文献】特開2008-087732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0145791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/00
B60R 7/04
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用サイドテーブル装置であって、
車両用シートの幅方向において前記車両用シートに隣り合って設けられ、かつ上端に開口部を有する収納部と、
前記収納部内に起立状態で収納された収納位置、及び前記起立状態で前記収納部から上方へ露出する中間位置の間で上下動可能に設けられ、かつ表面に作業面を有するサイドテーブルと、
前記起立状態の前記サイドテーブルの下端部に設けられ、かつ前記車両用シートの前後方向に延びる軸部と、
前記収納部の上方に設けられ、かつ前記中間位置で前記軸部を中心として、前記サイドテーブルが、前記車両用シートに対し前記幅方向に近づく側へ回転して、前記作業面が上方を向く使用位置となるように、同軸部を回転可能に支持する軸支持部と、
前記サイドテーブルが前記使用位置を越えて回転するのを規制する回転規制部と
を備え、
前記サイドテーブルは、前記使用位置では前記開口部を閉塞し、
前記幅方向における前記車両用シートとは反対側において前記開口部に隣接する箇所には、センターテーブルが設けられており、
前記センターテーブルは、前記前後方向において前記収納部より後方の基準位置から前記収納部に隣接する拡張位置の間をスライド可能に設けられており、
前記センターテーブルの上面は、前記拡張位置に位置するとき、前記使用位置の前記サイドテーブルの前記作業面と同一面上に位置している車両用サイドテーブル装置。
【請求項2】
前記センターテーブルの上面の全体と、前記使用位置の前記サイドテーブルの前記作業面の全体とが、同一面上に形成されている請求項1に記載の車両用サイドテーブル装置。
【請求項3】
前記センターテーブルの少なくとも後端部を上方から覆うアームレストが前記前後方向にスライド可能に設けられている請求項1または請求項2に記載の車両用サイドテーブル装置。
【請求項4】
ヒンジ部材を備え、
前記センターテーブル及び前記アームレストは、それぞれ前記ヒンジ部材に対して前記前後方向にスライド可能に取り付けられている請求項3に記載の車両用サイドテーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用サイドテーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、隣り合う自動車用シートの間に、小物類を収納等するためのコンソールボックスが設置される場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1を含め、従来のコンソールボックスには、自動車用シートに着座した状態で軽作業を行なうスペースが少なく、平らな作業面を確保することが難しい。ここで、軽作業とは、自動車用シートに着座した状態で行なうことのできる作業であり、例えば、パソコンの操作を行なうこと、飲食すること等である。
【0005】
これは、自動車のメインの機能が、移動手段を実現することであり、自動車用シートに着座した状態で軽作業をするスペースをコンソールボックスに設けたいといった事項を実現する際の優先順位は、他の事項を実現する際の優先順位よりも低いためである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車両用サイドテーブル装置は、車両用サイドテーブル装置であって、車両用シートの幅方向において前記車両用シートに隣り合って設けられ、かつ上端に開口部を有する収納部と、前記収納部内に起立状態で収納された収納位置、及び前記起立状態で前記収納部から上方へ露出する中間位置の間で上下動可能に設けられ、かつ表面に作業面を有するサイドテーブルと、前記起立状態の前記サイドテーブルの下端部に設けられ、かつ前記車両用シートの前後方向に延びる軸部と、前記収納部の上方に設けられ、かつ前記中間位置で前記軸部を中心として、前記サイドテーブルが、前記車両用シートと前記収納部との並び方向において前記車両用シートに近づく側へ回転して、前記作業面が上方を向く使用位置となるように、同軸部を回転可能に支持する軸支持部と、前記サイドテーブルが前記使用位置を越えて回転するのを規制する回転規制部とを備え、前記サイドテーブルは、前記使用位置では前記開口部を閉塞し、前記幅方向における前記車両用シートとは反対側において前記開口部に隣接する箇所には、センターテーブルが設けられており、前記センターテーブルの上面は、前記使用位置の前記サイドテーブルの前記作業面と同一面上に形成されており、前記センターテーブルは、前記前後方向にスライド可能に設けられている車両用サイドテーブル装置。
【0007】
上記の構成によれば、サイドテーブルは、収納位置と中間位置との間で上下動が可能であり、中間位置と使用位置との間で回転が可能である。
収納位置では、サイドテーブルは、収納部内に起立状態で収納される。軸部は、収納部内であって、開口部よりも下方に位置する。そのため、車両用シートに着座した状態で軽作業を行なわないときには、サイドテーブルを収納位置に位置させることで、同サイドテーブルが収納部内に隠れ、邪魔にならない。
【0008】
サイドテーブルは、収納位置から中間位置へ移動させられる際には、上昇させられる。この上昇に伴い軸部も上昇する。中間位置では、サイドテーブルは、起立状態で収納部から上方へ露出する。また、軸部が、収納部の上方に設けられた軸支持部によって支持される。
【0009】
サイドテーブルは、中間位置から使用位置へ移動させられる際には、軸支持部によって支持された軸部を中心として、車両用シートと収納部との並び方向において車両用シートに近づく側へ回転させられる。これに伴い、作業面も同方向へ回転させられる。
【0010】
サイドテーブルは使用位置まで回転させられると、回転規制部により、使用位置を越えて回転することを規制される。サイドテーブルの作業面は上方を向く。
そのため、乗員は車両用シートに着座した状態で、サイドテーブルの作業面上で軽作業を行なうことが可能となる。このように、車両用シートに着座した状態で軽作業を行ないたいときには、サイドテーブルを使用位置にすることで、軽作業を行なうスペースを確保することが可能である。
【0011】
上記の構成によれば、サイドテーブルが使用位置に位置するときには、収納部の開口部が同サイドテーブルによって塞がれる。また、ボックス本体上であって、車両用シートの幅方向における開口部に隣接する箇所にセンターテーブルが位置する。
【0012】
従って、サイドテーブルの作業面とセンターテーブルの上面とを、車両用シートに着座した状態で軽作業を行なうスペースとすることで、作業スペースをさらに広くすることが可能となる。
【0013】
センターテーブルの上面は、使用位置のサイドテーブルの作業面と同一面上に位置する。センターテーブルとサイドテーブルとの間に段差が生じにくい。そのため、乗員は、サイドテーブルとセンターテーブルとに跨がった軽作業がしやすい。
【0014】
上記の構成によれば、センターテーブルを車両用シートの前後方向にスライドさせることで、作業スペースを同前後方向に増減することが可能となる。
上記車両用サイドテーブル装置において、前記センターテーブルの上面の全体と、前記使用位置の前記サイドテーブルの前記作業面の全体とが、同一面上に形成されていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、センターテーブルの上面の全体と、使用位置のサイドテーブルの作業面の全体とが、同一面上に形成されているため、乗員は、サイドテーブルとセンターテーブルとに跨がった軽作業がしやすい。
【0016】
上記車両用サイドテーブル装置において、前記センターテーブルの少なくとも後端部を上方から覆うアームレストが前記前後方向にスライド可能に設けられていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、アームレストが車両用シートの前後方向にスライドされることにより、センターテーブルの上面のうちアームレストによって覆われる領域が増減する。アームレストが後方へスライドされると、上記領域が小さくなる。センターテーブルの上面のうち、アームレストから露出する部分の面積が大きくなり、作業スペースがより広くなる。
【0018】
上記車両用サイドテーブル装置において、ヒンジ部材を備え、前記センターテーブル及び前記アームレストは、それぞれ前記ヒンジ部材に対して前記前後方向にスライド可能に取り付けられていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、センターテーブル及びアームレストは、それぞれヒンジ部材に対し、車両用シートの前後方向にスライド可能である。そのため、センターテーブル及びアームレストが別々の部材に対しスライド可能に取付けられた場合に比べ、アームレスト及びその周辺部分の小型化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
上記車両用サイドテーブル装置によれば、車両用シートに着座した状態で軽作業を行なうスペースを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態において、サイドテーブルが収納位置に位置させられ、かつセンターテーブル及びアームレストがともに基準位置に位置させられたコンソールボックスの部分斜視図である。
【
図2】
図1の状態からサイドテーブルが使用位置へ移動させられ、かつセンターテーブルが拡張位置へ移動させられたコンソールボックスの部分斜視図である。
【
図3】
図2の状態からアームレストがさらに拡張位置へ移動させられたコンソールボックスの部分斜視図である。
【
図4】第1実施形態におけるサイドテーブル、軸部及びリテーナの分解斜視図である。
【
図5】第1実施形態におけるブラケットカバー及び縦レールの分解斜視図である。
【
図6】
図5のブラケットカバーの上部を拡大して示す部分斜視図である。
【
図13】第2実施形態のコンソールボックスを示す図であり、サイドテーブルが使用位置に位置するときのコンソールボックスの部分断面図である。
【
図14】
図13の状態からサイドテーブルが下方へ回転された状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、自動車用のコンソールボックスに具体化した第1実施形態について、
図1~
図12を参照して説明する。
【0023】
なお、以下の記載においては、自動車の前進方向を前方とし、後進方向を後方として説明する。また、上下方向は自動車の上下方向を意味し、左右方向は車幅方向であって自動車の前進時の左右方向と一致するものとする。
【0024】
図1に示すように、自動車10の車室11内には、前部座席として一対の自動車用シート12,13が、左右方向に離間した状態で配置されている。右方の自動車用シート12は運転席として機能するものであり、ここに乗員(運転者)が着座する。左方の自動車用シート13は助手席として機能するものであり、ここに乗員(助手席乗員)が着座する。両自動車用シート12,13は車両用シートに該当する。
【0025】
両自動車用シート12,13は、シートバックが前方を向く姿勢で配置されている。このように配置された自動車用シート12,13の幅方向は、左右方向と合致する。
両自動車用シート12,13の間には、箱状の収納部分として機能するコンソールボックス(センターコンソール、フロアコンソール等とも呼ばれる)20が設置されている。なお、コンソールボックス20の各部の説明に際し、左右方向(自動車用シート12,13の幅方向)における中央部を基準とする。そして、左右方向のうち、中央部に近づく方向を「内」、「内方」、「内側」等といい、中央部から遠ざかる方向を「外」、「外方」、「外側」等という場合がある。
【0026】
図5、
図7及び
図8に示すように、コンソールボックス20の一部は、ボックス本体21、縦レール41、サイドテーブル43、軸部61a、リテーナ65、軸支持部35及び回転規制部39aを備えている。次に、上記各部について説明する。
【0027】
<ボックス本体21>
図1及び
図10に示すように、ボックス本体21は、コンソールボックス20の骨格部分を構成する部分であり、例えば、樹脂材料によって、左右方向よりも前後方向に細長い形状に形成されている。
【0028】
ボックス本体21の左右の両側部は、外側壁部22によって構成されている。各外側壁部22の内側に離間した箇所には、内側壁部23が形成されている。両内側壁部23の後部間には、上端が開口され、かつ容積の比較的大きな凹部25が形成されている(
図11参照)。両内側壁部23間の上記凹部25に対し前方に隣接する箇所には、上端が開口され、かつ同凹部25よりも容積の小さな凹部26が形成されている。
【0029】
隣り合う外側壁部22及び内側壁部23の上端部間であって、前後方向の多くの部分には、上壁部24が形成されている。
図1及び
図8に示すように、隣り合う外側壁部22及び内側壁部23間であって、凹部26に対し、左右方向の一方、第1実施形態では左方に隣接する箇所には、上端に開口部27を有する収納部28が設けられている。収納部28内には、ブラケットカバー31が配置されている。ブラケットカバー31は、板金を曲げ加工等することによって形成されており、上記外側壁部22及び内側壁部23よりも高い強度を有している。
【0030】
図5及び
図8に示すように、ブラケットカバー31は、本体板部32、底板部33、一対の対向板部34を備えている。本体板部32は、上記外側壁部22の右方に隣接する箇所に配置されている。底板部33は、本体板部32の下縁部から内方(右方)へ突出している。各対向板部34は、本体板部32の前縁部及び後縁部から内方(右方)へ突出している。両対向板部34は、互いに平行な状態で前後方向に対向している。
【0031】
<縦レール41>
図5及び
図7に示すように、前側の対向板部34の後方に隣接する箇所と、後側の対向板部34の前方に隣接する箇所とには、それぞれ上下方向に延びる縦ガイド溝42を有する縦レール41が配置されている。前側の縦ガイド溝42は、縦レール41の後端面及び上端面において開放されている。後側の縦ガイド溝42は、縦レール41の前端面及び上端面において開放されている。
【0032】
<サイドテーブル43>
図4及び
図8に示すように、サイドテーブル43は、テーブルブラケット44を、テーブルアウタ51及びテーブルインナ55によって挟み込んだ構造を有している。テーブルアウタ51及びテーブルインナ55は、例えば、樹脂材料によって形成されている。
【0033】
テーブルアウタ51は四角板状をなす作業板部52と、その作業板部52の各辺に形成された4つの側板部53とを備えている。作業板部52のテーブルインナ55から遠い側の面は、サイドテーブル43の表面を構成している。この表面は、平坦に形成されており、軽作業を行なうための作業面52aとなっている。
【0034】
テーブルインナ55は、本体板部56、補助板部57及び連結板部58を備えている。本体板部56及び補助板部57は、いずれも作業板部52から離れた箇所で、同作業板部52に対し平行に配置されている。作業板部52及び本体板部56の間隔は、同作業板部52及び補助板部57の間隔よりも小さく設定されている。連結板部58は、作業板部52に対し直交する方向へ延びて、本体板部56及び補助板部57を連結している。
【0035】
テーブルブラケット44は、板金を曲げ加工等することによって形成されており、テーブルアウタ51及びテーブルインナ55よりも高い強度を有している。テーブルブラケット44は、四角板状をなす本体板部45と、前後方向に互いに平行に離間した状態で対向する一対の対向板部46とを備えている。各対向板部46は、本体板部45に対し直交した状態で、同本体板部45の前縁部又は後縁部に繋がっている。各対向板部46は、本体板部45に対し直交する方向よりも、前縁部及び後縁部に沿う方向に細長い形状をなしている。上記前縁部及び後縁部に沿う方向における各対向板部46の一方の端部には軸挿通孔47が前後方向に貫通している。各対向板部46の上記一方の端部であって、本体板部45とは反対側の縁部には、それぞれ平坦な接触面48が形成されている。
【0036】
<軸部61a>
テーブルブラケット44における両軸挿通孔47には、前後方向に延びる金属製のシャフト61が挿通されている。シャフト61の前端部及び後端部は、それぞれ軸部61aを構成している。前側の軸部61aは、前側の対向板部46よりも前方へ突出している。後側の軸部61aは、後側の対向板部46よりも後方へ突出している。
【0037】
<リテーナ65>
リテーナ65は、後述する収納位置及び中間位置の間でのサイドテーブル43の上下動を補助し、かつ中間位置及び使用位置の間でのサイドテーブル43の回転を補助するためのものである。
図4、
図7及び
図8に示すように、リテーナ65は、収納部28内に上下方向への移動可能に配置されている。
【0038】
リテーナ65は、底板部66、側板部67、前後一対の対向板部68を備えている。底板部66は、上記ブラケットカバー31の底板部33の上方で、水平な状態で前後方向に延びている。側板部67は、起立状態で前後方向に延びている。側板部67の下縁部は、底板部66に繋がっている。
【0039】
各対向板部68は、前後方向に互いに平行に離間した状態で対向している。各対向板部68は、左右方向よりも上下方向に細長い平板状をなしている。前側の対向板部68は、底板部66及び側板部67の各前端部に固定されている。後側の対向板部68は、底板部66及び側板部67の各後端部に固定されている。
【0040】
各対向板部68の上部には軸挿通孔69が前後方向に貫通されている。前側の軸挿通孔69には、前側の軸部61aが挿通されている。後側の軸挿通孔69には、後側の軸部61aが挿通されている。こうした構成により、リテーナ65の上端部は、両軸部61aによりテーブルブラケット44に屈曲可能に連結されている。
【0041】
前側の軸部61aは、リテーナ65の前側の対向板部68よりも前方へ突出している。後側の軸部61aは、リテーナ65の後側の対向板部68よりも後方へ突出している。前後の両軸部61aは、対応する縦レール41の縦ガイド溝42に対し、上下方向へ摺動可能に挿入されている。
【0042】
前側の対向板部68のうち軸挿通孔69よりも下方となる箇所からはピン71が前方へ突出している。このピン71は、前側の縦レール41の縦ガイド溝42内に上下方向へ摺動可能に挿入されている。後側の対向板部68のうち、軸挿通孔69よりも下方となる箇所からはピン71が後方へ突出している。このピン71は、後側の縦レール41の縦ガイド溝42内に上下方向へ摺動可能に挿入されている。
【0043】
<軸支持部35>
図6及び
図7に示すように、ブラケットカバー31における各対向板部34の上端部には、軸支持部35が形成されている。両軸支持部35は、対応する対向板部34の上端から、上側ほど互いに前後方向に接近するように傾斜する傾斜部36と、各傾斜部36の上端から上方へ延びる軸受部37とを備えている。各軸受部37は、対応する縦ガイド溝42の上方に位置している。各軸支持部35には、傾斜部36及び軸受部37に跨がった状態で、略上下方向に細長い支持孔38が形成されている。各支持孔38は、上記軸部61aの径よりも若干大きな幅を有している。
【0044】
<回転規制部39a>
図6及び
図9に示すように、ブラケットカバー31における本体板部32の上端部には切欠き部39が形成されている。切欠き部39の底部は、テーブルブラケット44の上記接触面48が接触することで、サイドテーブル43の回転を規制する回転規制部39aを構成している。
【0045】
<サイドテーブル43の姿勢態様>
上記のように構成されたサイドテーブル43は、3つの位置の間で移動し得るように構成されている。3つの位置とは、収納位置、中間位置及び使用位置である。
【0046】
図1及び
図8に示すように、サイドテーブル43は、収納位置では、収納部28内に起立状態で収納される。サイドテーブル43は、中間位置では、
図2及び
図7の各図において二点鎖線で示すように、起立状態で収納部28から上方へ露出する。また、中間位置では、軸部61aが軸支持部35によって回転可能に支持される(
図7参照)。サイドテーブル43は、
図2、
図3及び
図9に示すように、使用位置では、収納部28の開口部27を塞いだ状態で、ボックス本体21の上端部から左方へ突出して水平状態となる。
【0047】
コンソールボックス20は、上述した構成に加え、
図10~
図12に示すように、ヒンジ部材75、センターテーブル91及びアームレスト95を備えている。次に、上記各部について説明する。
【0048】
<ヒンジ部材75>
ヒンジ部材75は、基部76と、一対の支持部84とを備えている。基部76は、平面視が長方形状をなす底板部77を底部に有している。また、基部76は、左右方向における両側部に一対の側板部78を有している(
図10参照)。
【0049】
各側板部78の内側面の上部には、前後方向に延びる内横ガイド溝82を有する内横レール81が形成されている。各内横ガイド溝82は、内方に向けて開放されている。
各側板部78の外側面の下部であって、前後方向における複数箇所、例えば2箇所には、それぞれ外方へ突出する突部83が形成されている。
【0050】
各支持部84は、基部76の左右両側部における後部の下側に配置されている。各支持部84は、自身の前上端部において、基部76の両側部における後部に連結されている。各支持部84は、自身の後端部に左右方向に延びる軸部85を有している。ヒンジ部材75は、上記軸部85によりボックス本体21の後部に支持されている。ヒンジ部材75は、基部76が凹部25の開口部を閉塞する閉位置(
図11参照)と、同開口部を開放する開位置(図示略)との間で回転可能である。
【0051】
基部76の前部の下方にはラッチ機構86が設けられている(
図11、
図12参照)。ラッチ機構86は、ヒンジ部材75が閉位置に位置するときには、ボックス本体21に係止(ロック)して、軸部85を中心とするヒンジ部材75の回転を規制するためのものである。上記係止(ロック)を解除する操作が行なわれると、軸部85を中心とするヒンジ部材75の回転が可能になる。
【0052】
<センターテーブル91>
センターテーブル91は、互いに上下方向に配置されたアッパテーブル92及びロアテーブル93を備えており、両者を結合することによって形成されている。センターテーブル91は、平面視で、左右方向よりも前後方向に寸法の大きな長方形状をなしている(
図3参照)。センターテーブル91は、左右の両内側壁部23間の上方に配置されている。
【0053】
センターテーブル91の左右の両側部には、外側へ突出する突部94が形成されている。これらの突部94が、内横レール81の内横ガイド溝82に前後方向への摺動可能に挿入されている。
【0054】
センターテーブル91は、基準位置と拡張位置との間で前後方向へスライド可能に構成されている。
図1及び
図11に示すように、基準位置では、センターテーブル91の略全体が基部76上に位置する。また、基準位置では、センターテーブル91が収納部28よりも後方に位置する。
図2及び
図12に示すように、拡張位置では、センターテーブル91の前部が基部76よりも前方に位置する。
【0055】
図9に示すように、上記サイドテーブル43が使用位置に位置し、かつセンターテーブル91が拡張位置に位置するときには、同センターテーブル91の上面が、同サイドテーブル43の作業面52aと同一面上に位置するように設定されている。また、
図8に示すように、サイドテーブル43が収納位置に位置し、かつセンターテーブル91が拡張位置に位置するときには、センターテーブル91の上面が、サイドテーブル43の側板部53の外面(上面)と同一面上に位置するように設定されている。
【0056】
<アームレスト95>
図10~
図12に示すように、アームレスト95の骨格部分は、アームレストインナ96と、そのアームレストインナ96に被せられたアームレストアウタ101とを備えている。アームレストアウタ101の上にはパッド102が載置されている。さらに、アームレストアウタ101及びパッド102には表皮材103が被せられている。
【0057】
アームレストインナ96は、左右方向における両側部に一対の側板部97を有している(
図10参照)。各側板部97の内側面の下部には、前後方向に延びる外横ガイド溝99を有する外横レール98が形成されている。各外横ガイド溝99は、内方に向けて開放されており、各外横ガイド溝99に対し、上記ヒンジ部材75の突部83が挿入されている。アームレスト95は、アームレストインナ96における外横ガイド溝99の突部83との摺動位置を変化させることで、基準位置と拡張位置との間で前後方向へスライド可能である。
【0058】
図1、
図2及び
図11に示すように、基準位置では、アームレスト95の略全体がヒンジ部材75の基部76上に位置する。
図3及び
図12に示すように、拡張位置では、アームレスト95の後部が基部76よりも後方に位置する。
【0059】
なお、
図10に示すように、ヒンジ部材75とセンターテーブル91との間には、同センターテーブル91が左右方向にがたつくのを抑制するための機構105が設けられている。また、ヒンジ部材75とセンターテーブル91との間には、同センターテーブル91が基準位置及び拡張位置へ移動されたときに、その位置に係止する機構106が設けられている。
【0060】
次に、上記のように構成された第1実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
サイドテーブル43は、収納位置と中間位置との間で上下動可能であり、また、中間位置と使用位置との間で回転可能である。
【0061】
<(1)軽作業を行なわない場合>
(1-1)この場合には、
図1及び
図8に示すように、乗員はサイドテーブル43を収納位置に位置させる。収納位置では、リテーナ65の底板部66が、ブラケットカバー31の底板部33に接触し、下方への移動を規制される。また、テーブルインナ55の連結板部58が、ブラケットカバー31の回転規制部39aに接触する。この接触により、テーブルインナ55の下方への移動が規制される。収納部28の開口部27は、サイドテーブル43によって閉塞される。サイドテーブル43の側板部53の上面は、ボックス本体21の上壁部24のうち、側板部53との境界部分における上面と同一平面上に位置する。軸部61aは、軸支持部35よりも下方であり、かつ収納部28内の開口部27よりも下方に位置する。また、テーブルブラケット44の接触面48は、収納部28内で回転規制部39aから下方へ離間する。
【0062】
このように、サイドテーブル43の多くの部分が収納部28内に隠されるため、同サイドテーブル43が邪魔にならない。
(1-2)また、この場合には、乗員は、
図1及び
図11に示すように、ヒンジ部材75を閉位置に位置させる。また、センターテーブル91及びアームレスト95をそれぞれ基準位置に位置させる。基準位置では、センターテーブル91及びアームレスト95がともにヒンジ部材75の基部76の上方に位置する。センターテーブル91の全体がアームレスト95によって覆われた状態、表現を変えると、アームレスト95と基部76との間に格納された状態となる。そのため、センターテーブル91が邪魔にならない。
【0063】
ボックス本体21の後部に設けられた、容積の大きな凹部25の開口部が、ヒンジ部材75の基部76、センターテーブル91及びアームレスト95によって閉塞された状態となる。
【0064】
乗員は、アームレスト95の上に肘部を載せることで、腕部を支える肩部にかかる負担を軽減することができる。
また、ボックス本体21の前部における凹部26の開口部は開放された状態となる。そのため、開口部を通じて凹部26内に小物を入れることができる。表現を変えると、凹部26を小物入れとして利用することができる。
【0065】
<(2)サイドテーブル43上で軽作業を行なう場合>
この場合には、乗員は、上記収納位置のサイドテーブル43を、一旦、中間位置に移動させ、その後に使用位置に移動させる。
【0066】
(2-1)サイドテーブル43を、収納位置から中間位置へ移動させる際には、例えば、収納位置のサイドテーブル43のうち、収納部28から露出している部分(上端部)を指でつまみ、引き上げる(持ち上げる)等して、同サイドテーブル43を上昇させる。すると、サイドテーブル43が収納部28から上方へ露出してくる。
【0067】
図7及び
図8に示すように、サイドテーブル43のテーブルブラケット44には、シャフト61を介してリテーナ65が連結されている。そのため、サイドテーブル43の上記上昇に伴い、リテーナ65もサイドテーブル43と一緒に上昇する。このときには、軸部61a及びピン71も、対応する縦レール41の縦ガイド溝42に沿って上方へ摺動する。軸部61a及びピン71の移動方向が、縦レール41によって上下方向に規制される。そのため、サイドテーブル43及びリテーナ65を、がたつくのを抑制しながらスムーズに上昇させることができる。
【0068】
(2-2)さらに、サイドテーブル43を引き上げると、各軸部61aが、対応する縦ガイド溝42から上方へ出る。各縦レール41の上方には、支持孔38を有する軸支持部35が形成されている。各縦ガイド溝42の上方には、軸受部37が位置している。そのため、サイドテーブル43の上昇に伴い、各軸部61aは縦ガイド溝42から支持孔38に移り、その支持孔38に沿って上方へ摺動する。
【0069】
図2及び
図7の各図において二点鎖線で示すように、サイドテーブル43が中間位置まで引き上げられると、軸部61aが、対応する軸受部37における支持孔38の上端の内壁面に接触し、それ以上の上方への移動を規制される。軸部61aは、軸支持部35によって回転可能に支持された状態になる。
【0070】
中間位置では、サイドテーブル43の大部分が、起立状態で収納部28から上方へ露出する。テーブルブラケット44の接触面48は、引き続き回転規制部39aから離間する。
【0071】
リテーナ65は、起立状態で収納部28内の上部に位置する。各ピン71は、対応する縦ガイド溝42内に位置する。リテーナ65の底板部66は、ブラケットカバー31の底板部33に対し上方へ離れた箇所に位置する。
【0072】
(2-3)サイドテーブル43を、中間位置から使用位置へ移動させる際には、両軸部61aを中心として、同サイドテーブル43をボックス本体21に対し、自動車用シート13からその幅方向に遠ざかる側である左下方へ回転させる。このときには、軸部61aが軸受部37によって支持されているため、軸部61aの位置が安定する。また、サイドテーブル43の上記回転に伴い、作業面52a及び接触面48が両軸部61aの周りを旋回する。
【0073】
(2-4)
図2、
図7及び
図9に示すように、サイドテーブル43が使用位置まで回転されると、軸部61aが引き続き軸支持部35に支持される。開口部27がサイドテーブル43によって閉塞され続ける。また、テーブルブラケット44の接触面48が、ブラケットカバー31の回転規制部39aに接触する。この接触により、サイドテーブル43が使用位置を越えて下方へ回転することを規制される。サイドテーブル43の作業面52aは水平状態となって上方を向く。そのため、乗員は自動車用シート13に着座した状態で、サイドテーブル43の作業面52a上で軽作業を行なうことができる。
【0074】
このように、第1実施形態によると、自動車用シート13に着座した状態で軽作業を行ないたいとき(必要なとき)に、サイドテーブル43を収納位置から使用位置に移動させることで、軽作業を行なうスペースを確保できる。
【0075】
(2-5)ここで、テーブルブラケット44及びブラケットカバー31がともに板金によって形成されていて、両者が高い強度を有している。そのため、軽作業を行なうことで、使用位置のサイドテーブル43に対し上方から下方へ向かう荷重が加わった場合、軸支持部35及び回転規制部39aの変形を抑制し、サイドテーブル43を使用位置に保持することが容易である。
【0076】
(2-6)なお、乗員が、自動車用シート13に着座した状態で、上記(2-1)~(2-4)とは逆の操作を行なう。すると、サイドテーブル43が、上記とは逆方向に移動する。乗員は、使用位置のサイドテーブル43を、中間位置を経て収納位置に戻すことができる。
【0077】
特に、サイドテーブル43を中間位置から収納位置へ移動させる際には、サイドテーブル43が収納部28の上方で起立状態にされて下降される。
上記下降に伴い、各軸部61aが、対応する支持孔38から、その下方に位置する縦ガイド溝42に移る。両軸部61aを介してサイドテーブル43に連結されたリテーナ65が、同サイドテーブル43と一緒に収納部28内を下方へ移動する。
【0078】
軸部61a及びピン71が縦ガイド溝42に沿って下方へ摺動する。軸部61a及びピン71の移動方向が、縦レール41によって上下方向に規制される。そのため、サイドテーブル43及びリテーナ65を、がたつくのを抑制しながらスムーズに下降させることができる。
【0079】
サイドテーブル43が収納位置まで下降すると、
図8に示すように、リテーナ65の底板部66が、ブラケットカバー31の底板部33に対し上方から接触する。この接触により、リテーナ65の下方への移動が規制される。また、テーブルインナ55の連結板部58が、ブラケットカバー31の回転規制部39aに接触する。この接触により、テーブルインナ55の下方への移動が規制される。
【0080】
<(3)作業スペースを拡張する場合>
(3-1)サイドテーブル43を使用位置に位置させた状態で、作業スペースを拡張したい場合には、例えば、
図1及び
図11に示すように、基準位置にあるセンターテーブル91の前端を把持して前方へ引き出す。すると、
図2に示すように、センターテーブル91の前部が、基準位置に位置するアームレスト95と、閉位置に位置するヒンジ部材75の基部76とから前方へ露出する(
図12参照)。
【0081】
このときには、各突部94が、対応する内横レール81の内横ガイド溝82に沿って前方へ摺動する。各突部94の移動方向が、対応する内横レール81によって前後方向に規制される。そのため、センターテーブル91を、がたつくのを抑制しながらスムーズに前方へスライドさせることができる。
【0082】
(3-2)センターテーブル91を拡張位置まで引き出すと、凹部26の開口部が同センターテーブル91の前部によって閉塞される(
図12参照)。また、拡張位置では、センターテーブル91の前部が、上記収納部28の右方に隣接する。
【0083】
このときには、上述したようにサイドテーブル43が使用位置に位置し、収納部28の開口部27がサイドテーブル43によって閉塞されている。
従って、サイドテーブル43の作業面52aとセンターテーブル91の前部の上面とを、自動車用シート13に着座した状態で軽作業を行なうスペースとすることで、作業スペースをさらに右方へ広くすることができる。
【0084】
また、このときには、センターテーブル91の後半部は、アームレスト95によって上方から覆われる。
(3-3)上記拡張位置では、
図9において二点鎖線で示すように、センターテーブル91の上面が、使用位置のサイドテーブル43の作業面52aと同一面上に位置する。センターテーブル91とサイドテーブル43との間に段差が生じにくい。そのため、乗員は、サイドテーブル43とセンターテーブル91とに跨がった軽作業がしやすい。
【0085】
(3-4)なお、乗員は、自動車用シート13に着座した状態で、上記(3-1),(3-2)とは逆の操作を行なう。すると、センターテーブル91が、上記とは逆方向に移動する。乗員は、拡張位置のセンターテーブル91を、基準位置に戻すことができる。
図11に示すように、基準位置では、センターテーブル91の全体がアームレスト95によって覆われ、露出部分がなくなる。センターテーブル91による作業スペースの拡張がなくなる。作業スペースは、サイドテーブル43の作業面52aのみとなる。
【0086】
このように、センターテーブル91を前後方向にスライドさせることで、作業スペースを増減することが可能となる。
(3-5)サイドテーブル43を使用位置に、また、センターテーブル91を拡張位置にそれぞれ位置させた状態で、作業スペースをさらに後方へ拡張したい場合には、アームレスト95に対し後方へ向かう力を加える。
【0087】
すると、
図3及び
図12に示すように、センターテーブル91のうちアームレスト95によって覆われていた部分が露出する。この露出した分、作業スペースが後方に拡張される。アームレスト95が拡張位置まで移動されると、センターテーブル91の露出部分の面積が取り得る最大となる。なお、センターテーブル91の後端部は、アームレスト95によって上方から覆われる。
【0088】
アームレスト95の後方への移動時には、
図10及び
図12に示すように、アームレスト95の外横レール98がヒンジ部材75の突部83によって、移動方向を前後方向に規制される。アームレスト95は、外横ガイド溝99の突部83との摺動位置を変化させることで、がたつくことを抑制された状態で後方へスムーズにスライドする。
【0089】
(3-6)なお、乗員が、自動車用シート13に着座した状態で、上記(3-5)とは逆の操作を行なうと、アームレスト95が、上記とは逆方向に移動する。乗員は、拡張位置のアームレスト95を、基準位置に戻すことができる。
【0090】
<(4)上記以外の作用及び効果>
(4-1)第1実施形態では、センターテーブル91及びアームレスト95が、それぞれヒンジ部材75に対し前後方向にスライド可能に取付けられている。そのため、センターテーブル91及びアームレスト95が別々の部材に対しスライド可能に取付けられた場合に比べ、アームレスト95及びその周辺部分の小型化を図ることができる。
【0091】
(第2実施形態)
次に、自動車用のコンソールボックス20に具体化した第2実施形態について、
図13~
図16を参照して説明する。
【0092】
第2実施形態では、回転規制部が第1実施形態における回転規制部39aに代え、ばね114及び係合部117を備えている。ばね114及び係合部117の組み合わせは、両軸部61aに対応して設けられてもよいし、片方の軸部61aのみに対応して設けられてもよい。
【0093】
図13及び
図15に示すように、サイドテーブル43における側板部53であって、軸部61aの周りには、ばね装着部111が形成されている。ばね装着部111は、軸部61aを間に挟んで相対向する箇所に、径方向外方へ膨らむように円弧状に湾曲する一対の湾曲部112を備えている。両湾曲部112の下端部は周方向に互いに離間している。
【0094】
ばね114はC字状をなし、両湾曲部112を取り囲んだ状態で、上記ばね装着部111に対し、一体回転可能に装着されている。
係合部117は、リテーナ65の対向板部68であって、軸部61aの径方向におけるばね装着部111の外方に形成されている。係合部117は、軸部61aに向けて突出し、かつ先端が尖った形状をなしている。
【0095】
ばね114のうち、周方向における両湾曲部112の下端部間に位置する箇所には、軸部61aの径方向に弾性変形し得る弾性変形部115が形成されている。弾性変形部115は、軸部61aの径方向外方へ突出する突出部115aを有している。
【0096】
なお、弾性変形部115が弾性変形して突出部115aが係合部117を乗り越えるときにサイドテーブル43に加えられる荷重は、第1実施形態において、サイドテーブル43に加えられる荷重よりも小さく設定されている。
【0097】
また、
図13及び
図14に示すように、収納部28における外側壁部22の上部には、切欠き部118が形成されている。また、ブラケットカバー31における本体板部32の上部にも切欠き部119が形成されている。これらの切欠き部118,119の底部は、第1実施形態における切欠き部39の底部(回転規制部39a)よりも低い箇所に位置している。
【0098】
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態と同様の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
従って、第2実施形態によると、第1実施形態における上記(1-1),(1-2)、(2-1)~(2-3),(2-6)、(3-1)~(3-6)及び(4-1)と同様の作用及び効果が得られる。第2実施形態では、サイドテーブル43が、使用位置を越えて回転することが可能となる。これに伴い、次の作用及び効果が得られる。なお、(2-4′)は(2-4)に対応する作用及び効果であり、(2-7),(2-8)は新たな作用及び効果である。
【0099】
(2-4′)サイドテーブル43は、中間位置から使用位置へ移動する際に、軸部61aを中心として回転する。サイドテーブル43が回転すると、ばね114がサイドテーブル43と一緒に軸部61aの周りを回転する。
図13及び
図15に示すように、サイドテーブル43が使用位置まで回転されると、ばね114の弾性変形部115における突出部115aが、リテーナ65の係合部117に係合(接触)する。この係合により、サイドテーブル43は、使用位置を越える回転を規制される。使用位置のサイドテーブル43の作業面52aに対し、突出部115aが係合部117を乗り越えるほどの大きさの荷重が加わらなければ、弾性変形部115が係合部117に係合され続け、サイドテーブル43が使用位置に保持される。
【0100】
そのため、軽作業を行なうスペースを確保することができる。乗員は自動車用シート13に着座した状態で、サイドテーブル43の作業面52a上で軽作業を行なうことができる。
【0101】
(2-7)これに対し、上記作業面52aを通じてサイドテーブル43に対し、突出部115aが係合部117を乗り越えるほどの大きさの荷重が加えられると、
図14及び
図16に示すように、弾性変形部115が弾性変形する。弾性変形部115が軸部61aの径方向内方へ弾性変形して、突出部115aが係合部117を乗り越えると、係合を解除され、係合部117がばね114の回転を規制しなくなる。そのため、この場合には、サイドテーブル43を、使用位置を越えて回転させることが可能となる。なお、突出部115aが係合部117を乗り越えると、弾性変形部115は自身の弾性復元力により、弾性変形前の形状に戻る。
【0102】
サイドテーブル43が、切欠き部118,119の少なくとも一方の底部に接触することで、同サイドテーブル43の下方への回転が規制される。
(2-8)なお、使用位置を越えて回転させられたサイドテーブル43が上記とは逆の方向に回転されると、弾性変形部115が上記とは逆の動作を行なう。弾性変形部115が再び弾性変形することで、サイドテーブル43の逆回転が許容される。そして、サイドテーブル43を使用位置まで回転させたり、中間位置まで回転させたりすることが可能となる。
【0103】
第2実施形態によれば、上記以外にも次の作用及び効果を期待できる。
(4-2)第2実施形態では、サイドテーブル43に加えられる荷重であって、突出部115aが係合部117を乗り越えるときの値が、第1実施形態においてサイドテーブル43に加えられる荷重よりも小さく設定されている。
【0104】
そのため、第1実施形態と同様の大きさの荷重が加わったときには、上述したように、サイドテーブル43が使用位置よりも下方へ回転する。そのため、上記荷重により、軸支持部35、回転規制部等を含むコンソールボックス20の各部が変形するのを抑制できる。表現を変えると、高い強度を有する部材によって軸支持部35、回転規制部等を形成しなくてすみ、コンソールボックス20のコストを低減することが可能となる。
【0105】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0106】
・センターテーブル91は、ヒンジ部材75に固定されてもよい。この場合、ヒンジ部材75が閉位置にあるとき、センターテーブル91を、ボックス本体21であって、開口部27に対し内側となる箇所に位置させる。さらに、センターテーブル91の上面を、使用位置のサイドテーブル43の作業面52aと同一面上に位置させる。このようにしても、センターテーブル91による作業スペースの拡張が可能である。
【0107】
・アームレスト95は、ヒンジ部材75に固定されてもよい。
・センターテーブル91が省略されてもよい。この場合でも、サイドテーブル43によって作業スペースを確保できる。
【0108】
・レールの数が1又は3以上に変更されてもよい。
・リテーナ65が省略されてもよい。
・上記コンソールボックス20において、作業スペースの確保のために、サイドテーブル43を収納位置に位置させた状態で、センターテーブル91及びアームレスト95の少なくとも一方が拡張位置へスライドされてもよい。
【0109】
・本発明のコンソールボックスは、自動車以外の車両に設置されるコンソールボックスに適用されてもよい。
(課題を解決するための手段に関する付記)
上記課題を解決するための手段は、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想である以下の(付記項1~付記項8)を含む。
【0110】
(付記項1)
隣り合う車両用シートの間に設置されるコンソールボックスであり、
ボックス本体と、
前記車両用シートの幅方向における前記ボックス本体の側部に設けられ、かつ上端に開口部を有する収納部と、
前記収納部内に起立状態で収納された収納位置、及び前記起立状態で前記収納部から上方へ露出する中間位置の間で上下動可能に設けられ、かつ表面に作業面を有するサイドテーブルと、
前記起立状態の前記サイドテーブルの下端部に設けられ、かつ前記車両用シートの前後方向に延びる軸部と、
前記収納部の上方に設けられ、かつ前記中間位置で前記軸部を中心として、前記サイドテーブルが、前記ボックス本体から前記幅方向に遠ざかる側へ回転して、前記作業面が上方を向く使用位置となるように、同軸部を回転可能に支持する軸支持部と、
前記サイドテーブルが前記使用位置を越えて回転するのを規制する回転規制部と
を備え、
前記サイドテーブルは、接触面を有するテーブルブラケットを備え、
前記収納部には、前記軸支持部及び前記回転規制部を有するブラケットカバーが配置され、
前記軸支持部は、前記中間位置及び前記使用位置で前記軸部と接触することにより、同軸部を回転可能に支持し、
前記回転規制部は、前記使用位置で前記接触面が接触されることにより、前記サイドテーブルの回転を規制するものであるコンソールボックス。
【0111】
(付記項2)
隣り合う車両用シートの間に設置されるコンソールボックスであり、
ボックス本体と、
前記車両用シートの幅方向における前記ボックス本体の側部に設けられ、かつ上端に開口部を有する収納部と、
前記収納部内に起立状態で収納された収納位置、及び前記起立状態で前記収納部から上方へ露出する中間位置の間で上下動可能に設けられ、かつ表面に作業面を有するサイドテーブルと、
前記起立状態の前記サイドテーブルの下端部に設けられ、かつ前記車両用シートの前後方向に延びる軸部と、
前記収納部の上方に設けられ、かつ前記中間位置で前記軸部を中心として、前記サイドテーブルが、前記ボックス本体から前記幅方向に遠ざかる側へ回転して、前記作業面が上方を向く使用位置となるように、同軸部を回転可能に支持する軸支持部と、
前記サイドテーブルが前記使用位置を越えて回転するのを規制する回転規制部と
を備え、
前記収納部内には、前記収納位置及び前記中間位置の間での前記サイドテーブルの前記上下動を補助し、かつ前記中間位置及び前記使用位置の間での前記回転を補助するリテーナが上下動可能に配置され、
前記軸部は前記リテーナに挿通されているコンソールボックス。
【0112】
(付記項3)
前記収納部内には、上下方向に延びる縦ガイド溝を有する縦レールが配置されており、
前記リテーナには、前記縦ガイド溝に沿って上下動するピンが設けられている付記項2に記載のコンソールボックス。
【0113】
(付記項4)
前記回転規制部は、前記軸部を取り囲み、かつ前記サイドテーブルと一体で、前記軸部を中心として回転するばねと、前記リテーナであって、前記軸部の径方向における前記ばねの外方に設けられた係合部とを備え、
前記ばねには、前記使用位置で前記係合部に接触することにより、前記サイドテーブルの前記使用位置を越える前記回転を規制し、かつ前記軸部の径方向に弾性変形して前記係合部を乗り越えることにより、前記規制を解除する弾性変形部が形成されている付記項2に記載のコンソールボックス。
【0114】
(付記項5)
前記サイドテーブルは、前記使用位置では前記開口部を閉塞し、
前記ボックス本体であって、前記幅方向における前記開口部に隣接する箇所には、センターテーブルが設けられており、
前記センターテーブルの上面は、前記使用位置の前記サイドテーブルの前記作業面と同一面上に形成されている付記項1~4のいずれか1項に記載のコンソールボックス。
【0115】
(付記項6)
前記センターテーブルは、前記ボックス本体に対し、前記前後方向にスライド可能に設けられている付記項5に記載のコンソールボックス。
【0116】
(付記項7)
前記ボックス本体の前記センターテーブルよりも上方には、前記センターテーブルの少なくとも後端部を上方から覆うアームレストが前記前後方向にスライド可能に設けられている付記項6に記載のコンソールボックス。
【0117】
(付記項8)
前記ボックス本体にはヒンジ部材が配置され、
前記センターテーブル及び前記アームレストは、それぞれ前記ヒンジ部材に対し前記前後方向にスライド可能に取付けられている付記項7に記載のコンソールボックス。
【符号の説明】
【0118】
12,13…自動車用シート(車両用シート)
20…コンソールボックス
21…ボックス本体
27…開口部
28…収納部
31…ブラケットカバー
35…軸支持部
39a…回転規制部
41…縦レール
42…縦ガイド溝
43…サイドテーブル
44…テーブルブラケット
48…接触面
52a…作業面
61a…軸部
65…リテーナ
71…ピン
75…ヒンジ部材
91…センターテーブル
95…アームレスト
114…ばね(回転規制部)
115…弾性変形部
117…係合部(回転規制部)