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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】調光シート
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20240509BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1334
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023182799
(22)【出願日】2023-10-24
【審査請求日】2023-10-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 泰佑
(72)【発明者】
【氏名】吉川 拓穂
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105759487(CN,A)
【文献】特許第7279841(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第106154618(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114479750(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104360526(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1334
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1透明電極層を備える第1透明導電シートと、
第2透明電極層を備える第2透明導電シートと、
前記第1透明導電シートの前記第1透明電極層と前記第2透明導電シートの前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、を備え、
前記第1透明導電シートの前記第1透明電極層と前記第2透明導電シートの前記第2透明電極層との間に電圧を印加する状態と印加しない状態とを切り替えることによって、前記調光層が透明を呈する状態と不透明を呈する状態とを切り替えることが可能に構成された調光シートであって、
前記調光層は、複数の空隙を画定する透明高分子層と、1種以上の液晶化合物を含み、前記空隙に充填された液晶組成物とを含み、
前記調光層の質量に対する前記液晶化合物の質量の含有率が、40質量%以上65質量%以下であり、
前記透明高分子層の質量に対する硫黄原子の質量の含有率が、0.03質量%以上4質量%以下であり、
前記透明高分子層は、下記化学式(1)で示される高分子化合物を含み、かつ、前記化学式(1)におけるXは、環状構造を含まない
【化1】
ただし、化学式(1)において、nは1以上の整数であり、mは1以上4以下の整数であり、Xは直鎖状または分岐鎖状であり、かつ、官能基を含まないか、または、官能基としてエーテル基およびエステル基の少なくとも一方または両方を含む
調光シート。
【請求項2】
前記透明高分子層は、1種以上の第1繰り返し単位と、1種以上の第2繰り返し単位とを含み、
前記第1繰り返し単位では、前記化学式(1)におけるXが直鎖または分岐鎖の炭素鎖を有し、かつ、官能基を含まないか、または、官能基としてエーテル基およびエステル基の少なくとも一方または両方を含み、かつ、mが1であり、
前記第2繰り返し単位では、前記化学式(1)におけるXが下記化学式(2)から下記化学式(7)のいずれかによって表される
【化2】
ただし、前記化学式(2)において、naは2以上9以下の整数であり、前記化学式(1)におけるXが前記化学式(2)によって表される場合には、前記化学式(1)におけるmが2である
【化3】
ただし、前記化学式(3)において、nbは2以上12以下の整数であり、前記化学式(1)におけるXが前記化学式(3)によって表される場合には、前記化学式(1)におけるmが2である
【化4】
ただし、前記化学式(1)におけるXが前記化学式(4)によって表される場合には、前記化学式(1)におけるmが2である
【化5】
ただし、前記化学式(5)において、mcおよびncはそれぞれ1以上の整数であり、かつ、mcとncとの和が2または4であり、前記化学式(1)におけるXが前記化学式(5)によって表される場合には、前記化学式(1)におけるmが2である
【化6】
ただし、前記化学式(6)において、Rは水素原子または炭素数1から5のアルキル基であり、ld、md、ndはそれぞれ0または1以上の整数であり、前記化学式(1)におけるXが前記化学式(6)によって表される場合には、前記化学式(1)におけるmが3である
【化7】
ただし、前記化学式(7)において、ke、le、me、neはそれぞれ0または1以上の整数であり、前記化学式(1)におけるXが前記化学式(7)によって表される場合には、前記化学式(1)におけるmが4である
請求項1に記載の調光シート。
【請求項3】
前記透明高分子層の質量に対する前記第1繰り返し単位の質量の比が、前記透明高分子層の質量に対する前記第2繰り返し単位の質量の比よりも大きい
請求項2に記載の調光シート。
【請求項4】
前記透明高分子層の質量に対する前記第1繰り返し単位の質量の含有率が、26質量%以上46質量%以下であり、
前記透明高分子層の質量に対する前記第2繰り返し単位の質量の含有率が、1質量%以上14質量%以下である
請求項3に記載の調光シート。
【請求項5】
前記第1繰り返し単位は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n‐ブチル、および、アクリル酸t‐ブチルから構成される群から選択される1種以上に由来し、
前記第2繰り返し単位は、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート、1,9‐ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、6‐(プロペノイルオキシ)ヘキサン酸3‐[2,2‐ジメチル‐3‐[[1‐オキソ‐6‐(プロペノイルオキシ)ヘキシル]オキシ]プロポキシ]‐2,2‐ジメチル‐3‐オキソプロピル、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートから構成される群から選択される1種以上に由来する
請求項4に記載の調光シート。
【請求項6】
前記透明高分子層が含む前記高分子化合物kの1分子当たりにおけるアクリロイル基数がfkであり、前記高分子化合物の総モル数に対する前記高分子化合物kのモル分率がnkである場合に、以下の数式(1)で表される平均アクリロイル基数faveの値が、1.5以下である
【数1】
請求項1から5のいずれか一項に記載の調光シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調光シートに関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、第1透明電極層、第2透明電極層、および、第1透明電極層と第2透明電極層とに挟まれた調光層を備えている。調光層に含まれる液晶混合物の配向状態は、2つの透明電極層の間における電位差の変化に追従して調光シートの光透過率を変える。例えば、液晶化合物の配向秩序が構築されるとき、調光シートは低い拡散透過率を示し、これによって透明を呈する。液晶混合物の長軸方向が無秩序であるとき、調光シートは高い拡散透過率を示し、これによって不透明を呈する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-45135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、調光シートの適用対象は、各種の建物が備える透明部材に限らず、車両が備える窓ガラスにも拡張されつつある。車両用の調光シートには寒冷地での駆動が必要とされるため、低温環境化において所定時間内に拡散透過率が変わることが求められる。また、車両用の調光シートには、透明時の視認性と不透明時の秘匿性との両立を可能とするために、高いコントラストを有することが求められる。調光層における液晶混合物の含有率を高めることは、調光シートにおける拡散透過率の変化を生じやすくし、また、不透明時における光の散乱を生じやすくする一方で、調光層と調光層が接する層との間における密着性を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための調光シートは、第1透明導電シートと、第2透明導電シートと、前記第1透明導電シートと前記第2透明導電シートとの間に位置する調光層と、を備える。調光シートは、前記第1透明導電シートと前記第2透明導電シートとの間に電圧を印加する状態と印加しない状態とを切り替えることによって、前記調光層が透明を呈する状態と不透明を呈する状態とを切り替えることが可能に構成される。前記調光層は、複数の空隙を画定する透明高分子層と、1種以上の液晶化合物を含み、前記空隙に充填された液晶組成物とを含む。前記調光層の質量に対する前記液晶化合物の質量の含有率が、40質量%以上65質量%以下である。前記透明高分子層の質量に対する硫黄原子の質量の含有率が、0.03質量%以上4質量%以下である。前記透明高分子層は、下記化学式(1)で示される高分子化合物を含み、かつ、前記化学式(1)におけるXは、環状構造を含まない。
【0006】
【化1】
【0007】
ただし、化学式(1)において、nは1以上の整数であり、mは1以上4以下の整数であり、Xは直鎖状または分岐鎖状であり、かつ、官能基を含まないか、または、官能基としてエーテル基およびエステル基の少なくとも一方または両方を含む。
【0008】
上記調光シートによれば、高分子化合物が環状構造を含まないため、低温環境下において液晶化合物と高分子化合物との間に分子間力が作用することが抑えられる。これにより、低温環境下において液晶化合物が駆動されやすくなる。
【0009】
また、液晶化合物の含有率における下限値が40質量%であるため、調光シートが高いコントラストを有する程度に、調光シート内において光が散乱しやすくなる。液晶化合物の含有率における上限値が65質量%であるため、調光層に含まれる透明高分子層によって、調光層と透明導電シートとの間における密着強度を高く維持することが可能である。
【0010】
透明高分子層での硫黄原子の含有率における下限値が0.03質量%であるため、透明高分子層内に形成される空隙の大きさがばらつきにくくなり、結果として調光シートの面内において光の散乱が生じる度合いがばらつきにくくなる。また、透明高分子層での硫黄原子の含有率における上限値が4質量%であるため、透明高分子層の硬化速度が過剰に低くなることが抑えられる。これにより、透明高分子層内に形成される空隙が過剰に大きくかつ少なくなることが抑えられるから、透明高分子層と空隙との界面の面積が減少することが抑えられ、結果として光の散乱が起こりづらくなることが抑えられる。
【0011】
したがって、上記調光シートによれば、調光層と透明導電シートとの間における密着強度およびコントラストが高められた調光シートにおいて、低温環境化において液晶化合物を駆動されやすくすることができる。
【0012】
上記調光シートにおいて、前記透明高分子層は、1種以上の第1繰り返し単位と、1種以上の第2繰り返し単位とを含み、前記第1繰り返し単位では、前記化学式(1)におけるXが直鎖または分岐鎖の炭素鎖を有し、かつ、官能基を含まないか、または、官能基としてエーテル基およびエステル基の少なくとも一方または両方を含み、かつ、mが1であり、前記第2繰り返し単位では、前記化学式(1)におけるXが下記化学式(2)から下記化学式(7)のいずれかによって表されてもよい。
【0013】
【化2】
【0014】
ただし、前記化学式(2)において、naは2以上9以下の整数であり、前記化学式(1)におけるXが前記化学式(2)によって表される場合には、前記化学式(1)におけるmが2である。
【0015】
【化3】
【0016】
ただし、前記化学式(3)において、nbは2以上12以下の整数であり、前記化学式(1)におけるXが前記化学式(3)によって表される場合には、前記化学式(1)におけるmが2である。
【0017】
【化4】
【0018】
ただし、前記化学式(1)におけるXが前記化学式(4)によって表される場合には、前記化学式(1)におけるmが2である。
【0019】
【化5】
【0020】
ただし、前記化学式(5)において、mcおよびncはそれぞれ1以上の整数であり、かつ、mcとncとの和が2または4であり、前記化学式(1)におけるXが前記化学式(5)によって表される場合には、前記化学式(1)におけるmが2である。
【0021】
【化6】
【0022】
ただし、前記化学式(6)において、Rは水素原子または炭素数1から5のアルキル基であり、ld、md、ndはそれぞれ0または1以上の整数であり、前記化学式(1)におけるXが前記化学式(6)によって表される場合には、前記化学式(1)におけるmが3である。
【0023】
【化7】
【0024】
ただし、前記化学式(7)において、ke、le、me、neはそれぞれ0または1以上の整数であり、前記化学式(1)におけるXが前記化学式(7)によって表される場合には、前記化学式(1)におけるmが4である。
【0025】
上記調光シートによれば、透明高分子層が、第1繰り返し単位と、第1繰り返し単位とはアクリロイル基の数が異なる第2繰り返し単位とを含む。そのため、第1繰り返し単位の含有量と第2繰り返し単位の含有量とによって、透明高分子層におけるアクリロイル基の数を調整することが可能である。
【0026】
上記調光シートにおいて、前記透明高分子層の質量に対する前記第1繰り返し単位の質量の比が、前記透明高分子層の質量に対する前記第2繰り返し単位の質量の比よりも大きくてもよい。
【0027】
上記調光シートによれば、透明高分子層には、第2繰り返し単位よりもアクリロイル基の数が少ない第1繰り返し単位が、第2繰り返し単位よりも多く含まれるため、透明高分子層における平均のアクリロイル基の数が過剰に大きくなることが抑えられる。これにより、透明高分子層の硬化速度が過剰に高くなることが抑えられる。
【0028】
上記調光シートにおいて、前記透明高分子層の質量に対する前記第1繰り返し単位の質量の含有率が、26質量%以上46質量%以下であり、前記透明高分子層の質量に対する前記第2繰り返し単位の質量の含有率が、1質量%以上14質量%以下であってもよい。
【0029】
上記調光シートによれば、透明高分子層において、第1繰り返し単位に対する第2繰り返し単位の割合が最大でも1/2程度に抑えられるから、透明高分子層における平均のアクリロイル基の数が過剰に大きくなることがより抑えられる。
【0030】
上記調光シートにおいて、前記第1繰り返し単位は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n‐ブチル、および、アクリル酸t‐ブチルから構成される群から選択される1種以上に由来し、前記第2繰り返し単位は、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート、1,9‐ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、6‐(プロペノイルオキシ)ヘキサン酸3‐[2,2‐ジメチル‐3‐[[1‐オキソ‐6‐(プロペノイルオキシ)ヘキシル]オキシ]プロポキシ]‐2,2‐ジメチル‐3‐オキソプロピル、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートから構成される群から選択される1種以上に由来してもよい。
【0031】
上記調光シートにおいて、前記透明高分子層が含む前記高分子化合物kの1分子当たりにおけるアクリロイル基数がfkであり、前記高分子化合物の総モル数に対する前記高分子化合物kのモル分率がnkである場合に、以下の数式(1)で表される平均アクリロイル基数faveの値が、1.5以下であってもよい。
【0032】
【数1】
【0033】
上記調光シートによれば、平均アクリロイル基数が1.5以下であるため、透明高分子層の硬化速度が過剰に高くなることが抑えられる。これにより、透明高分子層の空隙に含まれる液晶組成物において、液晶化合物の純度が低下することが抑えられる。結果として、液晶化合物の駆動が、液晶組成物中の不純物によって妨げられにくくなる。
【発明の効果】
【0034】
本開示の調光シートによれば、調光層と透明導電シートとの間における密着強度およびコントラストが高められた調光シートにおいて、低温環境下において液晶化合物が駆動されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、ノーマル型の調光シートを備える調光装置の構造を示す断面図である。
図2図2は、リバース型の調光シートを備える調光装置の構造を示す断面図である。
図3図3は、リバース型の調光シートの構造を示す断面図である。
図4図4は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図5図5は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図6図6は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図7図7は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図8図8は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図9図9は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図10図10は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図11図11は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図12図12は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図13図13は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図14図14は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図15図15は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図16図16は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図17図17は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図18図18は、各実施例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
図19図19は、各比較例の塗工液における配合比と評価結果とを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1から図19を参照して、調光シートの一実施形態を説明する。本開示の調光シートにおける型式は、ノーマル型でもよいし、リバース型でもよい。以下では、図1を参照して、ノーマル型の調光シートと駆動部とを備えるノーマル型調光装置を説明し、図2を参照して、リバース型の調光シートと駆動部とを備えるリバース型調光装置を説明する。
【0037】
なお、調光シートは、例えば車両および航空機などの移動体が備える窓が備える透明部材に取り付けられる。あるいは、調光シートは、例えば、住宅、駅、空港などの各種の建物が備える窓、オフィスに設置されたパーティション、および、店舗に設置されたショーウインドウなどが備える透明部材に取り付けられてもよい。調光シートの形状は、平面状であってもよいし、曲面状であってもよい。
【0038】
[ノーマル型調光装置]
図1が示すように、ノーマル型調光装置10Nは、ノーマル型の調光シート11Nと、駆動部12とを備えている。調光シート11Nは、第1透明導電シート21、第2透明導電シート22、および、調光層23を備えている。調光シート11Nは、第1透明導電シート21と第2透明導電シート22との間に電圧を印加する状態と印加しない状態とを切り替えることによって、調光層23が透明を呈する状態と不透明を呈する状態とを切り替えることが可能に構成されている。
【0039】
第1透明導電シート21は、第1透明電極層21Aと、第1透明電極層21Aを支持する第1透明基材21Bとを備えている。第2透明導電シート22は、第2透明電極層22Aと、第2透明電極層22Aを支持する第2透明基材22Bとを備えている。
【0040】
調光シート11Nにおいて、調光層23は、第1透明導電シート21と第2透明導電シート22との間に位置している。第1透明電極層21Aは、第1透明基材21Bと調光層23との間に位置している。第2透明電極層22Aは、第2透明基材22Bと調光層23との間に位置している。
【0041】
調光シート11Nは、調光層23に対して印加される電圧の大きさに応じて、透明と透明よりもヘイズ値が高い不透明とを呈する。ノーマル型調光装置10Nが備える調光シート11Nの型式はノーマル型であるから、調光シート11Nは、調光層23に電圧が印加されない状態において不透明を呈する。これに対して、調光シート11Nは、調光層23に電圧が印加されている状態で透明を呈する。例えば、不透明を呈する調光シート11Nのヘイズ値は80%以上であってよく、かつ、透明を呈する調光シート11Nのヘイズ値は5%以下であってよい。調光シート11Nのヘイズ値は、JIS K 7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に準拠した方法によって測定された値である。
【0042】
調光シート11Nは、第1透明電極層21Aの一部に取り付けられた第1電極21Eと、第2透明電極層22Aの一部に取り付けられた第2電極22Eとを備えている。調光シート11Nはさらに、第1電極21Eに接続された配線24と、第2電極22Eに接続された配線24とを備えている。第1電極21Eは、配線24によって駆動部12に接続されている。第2電極22Eは、配線24によって駆動部12に接続されている。
【0043】
第1透明導電シート21、および、第2透明導電シート22は、調光層23を透明と不透明とに切り替える電圧を調光層23に印加する。各透明導電シート21,22は、可視光を透過する光透過性を有する。第1透明導電シート21の光透過性は、調光シート11Nを通した物体の視覚認識を可能にする。第2透明導電シート22の光透過性は、第1透明導電シート21の光透過性と同様、調光シート11Nを通した物体の視覚認識を可能にする。
【0044】
各透明電極層21A,22Aを形成するための材料は、例えば、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)、および、銀から構成される群から選択されるいずれか1つであってよい。
【0045】
各透明基材21B,22Bを形成する材料は、合成樹脂、または、無機化合物であってよい。合成樹脂は、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、および、ポリオレフィンなどである。ポリエステルは、例えばポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートなどである。ポリアクリレートは、例えばポリメチルメタクリレートなどである。無機化合物は、例えば、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、および、窒化ケイ素などである。
【0046】
各電極21E,22Eは、例えばフレキシブルプリント基板(FPC : Flexible Printed Circuit)である。FPCは、支持層、導体部、および、保護層を備えている。導体部が、支持層と保護層とに挟まれている。支持層および保護層は、絶縁性の合成樹脂によって形成されている。支持層および保護層は、例えばポリイミドによって形成される。導体部は、例えば金属薄膜によって形成されている。金属薄膜を形成する材料は、例えば銅であってよい。各電極21E,22Eは、FPCに限らず、例えば金属製のテープであってもよい。
【0047】
なお、各電極21E,22Eは、図示外の導電性接着層によって、各透明電極層21A,22Aに取り付けられている。各電極21E,22Eのうち、導電性接着層に接続される部分では、導体部が保護層または支持層から露出している。
【0048】
導電性接着層は、例えば、異方性導電シート(ACF : Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP : Anisotropic Conductive Paste)、等方性導電シート(ICF : Isotropic Conductive Film)、および、等方性導電ペースト(ICP : Isotropic Conductive Paste)などによって形成されてよい。調光装置10Nの製造工程における取り扱い性の観点から、導電性接着層は、異方性導電シートであることが好ましい。
【0049】
各配線24は、例えば、金属製のワイヤーと、金属製のワイヤーを覆う絶縁層とによって形成されている。ワイヤーは、例えば銅などによって形成されている。
【0050】
駆動部12は、調光シート11Nが備える調光層23に電圧を印加することが可能に構成されている。駆動部12は、第1透明電極層21Aと第2透明電極層22Aとの間に交流電圧を印加する。駆動部12は、矩形波状を有した交流電圧を一対の透明電極層21A,22A間に印加することが好ましい。言い換えれば、駆動部12は、矩形波の電圧信号を出力することが好ましい。
【0051】
[リバース型調光装置]
図2が示すリバース型調光装置10Rは、リバース型の調光シート11Rを備える点において、上述したノーマル型調光装置10Nとは異なっている。そのため以下では、リバース型調光装置10Rにおけるノーマル型調光装置10Nとの相違点を詳しく説明する。一方で、リバース型調光装置10Rにおいてノーマル型調光装置10Nと共通する構成には、ノーマル型調光装置10Nと同一の符号を付すことによって、当該構成の詳しい説明を省略する。
【0052】
図2が示すように、リバース型調光装置10Rは、リバース型の調光シート11Rと駆動部12とを備えている。調光シート11Rは、ノーマル型の調光シート11Nが備える層構造に加えて、第1配向膜21Cおよび第2配向膜22Cを備えている。そのため、リバース型調光装置10Rでは、第1透明導電シート21が、第1透明電極層21Aおよび第1透明基材21Bに加えて、第1配向膜21Cを備えている。第2透明導電シート22は、第2透明電極層22Aおよび第2透明基材22Bに加えて、第2配向膜22Cを備えている。
【0053】
調光層23は、第1配向膜21Cと第2配向膜22Cとの間に位置している。第1配向膜21Cは、調光層23と第1透明電極層21Aとの間に位置し、かつ、調光層23に接している。第2配向膜22Cは、調光層23と第2透明電極層22Aとの間に位置し、かつ、調光層23に接している。
【0054】
第1配向膜21Cおよび第2配向膜22Cを形成するための材料は、有機化合物、無機化合物、および、これらの混合物であってよい。有機化合物は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、および、シアン化化合物などであってよい。無機化合物は、シリコン酸化物、酸化ジルコニウムなどであってよい。なお、配向膜21C,22Cを形成するための材料は、シリコーンであってもよい。シリコーンは、無機性の部分と有機性の部分とを有する化合物である。
【0055】
第1配向膜21Cおよび第2配向膜22Cは、例えば垂直配向膜である。垂直配向膜は、第1透明電極層21Aに接する面とは反対側の面、および、第2透明電極層22Aに接する面とは反対側の面に対して垂直であるように、液晶化合物の長軸方向を配向させる。このように、配向膜21C,22Cは、調光層23が含む複数の液晶化合物における配向を規制する。
【0056】
[調光層]
図3は、ノーマル型の調光シート11Nにおける断面構造を示している。なお、リバース型の調光シート11Rは、第1配向膜21Cと第2配向膜22Cとを備えている以外は、図3が示す構造と同一の層構造を有している。
【0057】
図3が示すように、調光層23は、液晶組成物23LC、スペーサーSP、および、透明高分子層23Pを備えている。透明高分子層23Pは、複数の空隙23Dを画定している。液晶組成物23LCは、空隙23Dに充填されている。
【0058】
[液晶組成物]
液晶組成物23LCは、液晶混合物LCMを含んでいる。調光層23の質量に対する液晶混合物LCMの質量の含有率が、40質量%以上65質量%以下である。すなわち、調光層23の質量M23と液晶混合物LCMの質量MLCMとは、以下の数式を満たす。なお、調光層23の質量M23は、液晶混合物LCMの質量MLCM、透明高分子層23Pの質量M23P、および、スペーサーSPの質量MSPの総和である。また、透明高分子層23Pの質量M23Pは、光重合性組成物の質量、連鎖移動剤の質量、および、重合開始剤の質量の総和である。
40(質量%)≦(MLCM/M23)×100≦65(質量%)
【0059】
液晶混合物LCMの含有率における上限値が65質量%であるため、調光層23に含まれる透明高分子層23Pによって、調光層23と各透明導電シート21,22との間における密着強度を高く維持することが可能である。これにより、調光層23が透明導電シート21,22から剥がれることが抑えられる。液晶混合物LCMの含有率における下限値が40質量%であるため、調光シート11N,11Rは高いコントラストを有する程度に、調光シート11N,11R内において光が散乱しやすくなる。調光シート11N,11Rのコントラストは、調光シート11N,11Rが透明を呈する際のヘイズ値に対する、調光シート11N,11Rが不透明を呈する際のヘイズ値の比である。このように、液晶混合物LCMの含有率が40質量%以上65質量%以下の範囲内に含まれることによって、調光シート11N,11Rにおける高い光学特性と高い機械特性とを両立することが可能である。
【0060】
液晶組成物23LCは、二色性色素を含んでもよいし、消泡剤、酸化防止剤、耐候剤、溶剤、および、粘度低下剤などの添加剤を含有してもよい。耐候剤は、紫外線吸収剤または光安定剤であってよい。
【0061】
液晶混合物LCMは、正の誘電率異方性を有してもよい。液晶混合物LCMが正の誘電率異方性を有する場合には、液晶混合物LCMにおける長軸方向の誘電率ε∥は、液晶混合物LCMにおける短軸方向の誘電率ε⊥よりも高い。液晶混合物LCMは、負の誘電率異方性を有してもよい。液晶混合物LCMが負の誘電率異方性を有する場合には、液晶混合物LCMにおける長軸方向の誘電率ε∥は、液晶混合物LCMにおける短軸方向の誘電率ε⊥よりも低い。液晶混合物LCMの誘電率異方性は、調光シート11N,11Rの型式に基づいて適宜選択される。ノーマル型の調光シート11Nは、例えば正の誘電率異方性を有した液晶混合物LCMを含んでよい。リバース型の調光シート11Rは、例えば負の誘電率異方性を有した液晶混合物LCMを含んでよい。
【0062】
液晶混合物LCMに含まれる各液晶化合物は、例えば、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、ピリダジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ジシアノベンゼン系、ナフタレン系、ジオキサン系から構成される群から選択されるいずれか1種である。液晶混合物LCMは、2種類以上の液晶化合物の組み合わせである。液晶混合物LCMの屈折率差は、0.05以上でもよい。液晶混合物LCMに含まれる液晶化合物の誘電率差は、2以上でもよいし、-2以下でもよい。なお、調光層23は、液晶混合物LCMに代えて、1種類の液晶化合物のみを含んでもよい。
【0063】
液晶化合物の構造例は、下記式1によって表される。
【0064】
【化8】
【0065】
化学式(8)が示すR11は、水素原子、または、炭素原子数が1以上20以下のアルキル基である。化学式(8)が示すR11のアルキル基に含まれる1つまたは隣接しない2つ以上のメチレン結合は、酸素原子、エチレン結合、エステル結合、ジエーテル結合から構成される群から選択されるいずれかに置換可能である。
【0066】
化学式(8)が示すR12は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、または、炭素原子数が1以上15以下のアルキル基である。化学式(8)が示すR12のアルキル基に含まれる1つまたは隣接しない2つ以上のメチレン結合は、酸素原子、エチレン結合、エステル結合、ジエーテル結合からなる群から選択されるいずれかに置換可能である。
【0067】
化学式(8)が示すA11、A12、A13、A14は、それぞれ独立して、1,4‐フェニレン基、2,6‐ナフチレン基である。1,4‐フェニレン基、2,6‐ナフチレン基の1つまたは2つ以上の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基に置換可能である。化学式(8)が示すA11、A12、A13、A14は、それぞれ独立して、1,4‐シクロヘキシレン基、3,6‐シクロヘキセニレン基、1,3‐ジオキサン‐2,5‐ジイル基、ピリジン‐2,5‐ジイル基でもよい。化学式(8)が示すA13、A14は、それぞれ独立して単結合でもよい。化学式(8)が示すZ11、Z12、Z13は、それぞれ独立して、単結合、エステル結合、ジエーテル結合、エチレン結合、フルオロエチレン結合、カルボニル結合から構成される群から選択されるいずれか1種である。
【0068】
[透明高分子層]
透明高分子層23Pは、光重合性組成物の硬化物である。光重合性組成物を重合させるための光は、紫外線でもよいし、電子線でもよい。光重合性組成物は、紫外線重合性組成物でもよいし、電子線重合性組成物でもよい。調光層23における透明高分子層23Pの含有率における下限値および上限値は、光重合性組成物の重合過程において、液晶混合物LCMから構成される液晶粒子が光重合性組成物の重合体から相分離する範囲に含まれる。透明高分子層23Pの機械的な強度を高めることが必要である場合には、透明高分子層23Pの含有率における下限値が高いことが好ましい。液晶混合物LCMを駆動するための電圧を低めることが必要である場合には、透明高分子層23Pの含有率における上限値が低いことが好ましい。
【0069】
透明高分子層23Pは、以下の条件を満たす。
(条件1)透明高分子層23Pの質量に対する硫黄原子の質量の含有率が、0.03質量%以上4質量%以下である。すなわち、透明高分子層23Pの質量M23Pと硫黄原子の質量MSとは、以下の式を満たす。
【0070】
0.03(質量%)≦(MS/M23P)×100≦4(質量%)
(条件2)透明高分子層は、下記化学式(1)で示される高分子化合物を含み、かつ、化学式(1)におけるXは、環状構造を含まない。
【0071】
【化9】
【0072】
ただし、化学式(1)において、nは1以上の整数であり、mは1以上4以下の整数であり、Xは直鎖状または分岐鎖状であり、かつ、官能基を含まないか、または、官能基としてエーテル基およびエステル基の少なくとも一方または両方を含む。
【0073】
本開示の調光シート11R,11Nによれば、高分子化合物が環状構造を含まないため、低温環境下において液晶混合物LCMと高分子化合物との間に分子間力が作用することが抑えられる。これにより、低温環境下において液晶混合物LCMが駆動されやすくなる。液晶組成物23LC中の液晶混合物LCMと、透明高分子層23P中の高分子化合物とが環状構造を含む場合には、液晶混合物LCMに含まれる環状構造と、高分子化合物の環状構造との間において分子間力が作用する。これにより、液晶混合物LCMの駆動が制限される。こうした液晶混合物LCMの駆動における制限は、低温環境下において顕著である低温環境は0℃以下の環境であり、例えば-10℃以上-20℃以下の環境であってよい。この点、本開示の調光シート11R,11Nでは、上述したように高分子化合物が環状構造を含まないため、環状構造間において作用する分子間力が生じない。それゆえに、液晶混合物LCMの駆動における制限が抑えられ、結果として、低温環境下において液晶混合物LCMが駆動されやすくなる。
【0074】
調光層23に含まれる硫黄原子は、調光層23を製造するための塗工液が含む連鎖移動剤に由来する。硫黄原子の含有率における上限値が4質量%であるため、透明高分子層23Pの硬化速度が過剰に低くなることが抑えられる。それゆえに、透明高分子層内に形成される空隙が過剰に大きくかつ少なくなることが抑えられるから、透明高分子層と空隙との界面の面積が減少することが抑えられる。これにより、光の散乱が起こりづらくなることを抑えられる。結果として、不透明時の散乱性を維持できるから、コントラストが高められる。また、硫黄原子の含有率における下限値が0.03質量%であるため、透明高分子層23P内に形成される空隙23Dの大きさがばらつきにくくなる。これにより、調光シート11Nの面内において光の散乱が生じる度合いがばらつきにくくなり、結果として調光シート11Nのコントラストが高められる。
【0075】
透明高分子層23Pは、1種以上の第1繰り返し単位と、1種以上の第2繰り返し単位とを含んでもよい。この場合には、第1繰り返し単位が以下の条件3を満たし、かつ、第2繰り返し単位が以下の条件4を満たす。すなわち、透明高分子層23Pが含む高分子化合物は、1種以上の第1繰り返し単位と1種以上の第2繰り返し単位とから構成される共重合体であってよい。なお、高分子化合物は、1種の第1繰り返し単位から構成される単独重合体でもよいし、1種の第2繰り返し単位から構成される単独重合体でもよい。
【0076】
(条件3)第1繰り返し単位では、化学式(1)におけるXが直鎖または分岐鎖の炭素鎖を有し、かつ、官能基を含まないか、または、官能基としてエーテル基およびエステル基の少なくとも一方または両方を含み、かつ、mが1である。すなわち、第1繰り返し単位には1つのアクリロイル基が含まれる。
【0077】
(条件4)第2繰り返し単位では、化学式(1)におけるXが化学式(2)から下記化学式(7)のいずれかによって表される。
【0078】
【化10】
【0079】
ただし、化学式(2)において、naは2以上9以下の整数であり、化学式(1)におけるXが化学式(2)によって表される場合には、化学式(1)におけるmが2である。すなわち、Xが化学式(2)によって表される場合には、化学式(1)には2つのアクリロイル基が含まれる。
【0080】
【化11】
【0081】
ただし、化学式(3)において、nbは2以上12以下の整数であり、化学式(1)におけるXが化学式(3)によって表される場合には、化学式(1)におけるmが2である。すなわち、Xが化学式(3)によって表される場合には、化学式(1)には2つのアクリロイル基が含まれる。
【0082】
【化12】
【0083】
ただし、化学式(1)におけるXが化学式(4)によって表される場合には、化学式(1)におけるmが2である。すなわち、Xが化学式(4)によって表される場合には、化学式(1)には2つのアクリロイル基が含まれる。
【0084】
【化13】
【0085】
ただし、化学式(5)において、mcおよびncはそれぞれ1以上の整数であり、かつ、mcとncとの和が2または4であり、化学式(1)におけるXが化学式(5)によって表される場合には、化学式(1)におけるmが2である。すなわち、Xが化学式(5)によって表される場合には、化学式(1)には2つのアクリロイル基が含まれる。
【0086】
【化14】
【0087】
ただし、化学式(6)において、Rは水素原子または炭素数1から5のアルキル基であり、ld、md、ndはそれぞれ0または1以上の整数であり、化学式(1)におけるXが化学式(6)によって表される場合には、化学式(1)におけるmが3である。すなわち、Xが化学式(6)によって表される場合には、化学式(1)には3つのアクリロイル基が含まれる。
【0088】
【化15】
【0089】
ただし、化学式(7)において、ke、le、me、neはそれぞれ0または1以上の整数であり、化学式(1)におけるXが化学式(7)によって表される場合には、化学式(1)におけるmが4である。すなわち、Xが化学式(7)によって表される場合には、化学式(1)には4つのアクリロイル基が含まれる。
【0090】
透明高分子層23Pが、第1繰り返し単位と、第1繰り返し単位とはアクリロイル基の数が異なる第2繰り返し単位とを含む。そのため、第1繰り返し単位の含有量と第2繰り返し単位の含有量とによって、透明高分子層23Pにおけるアクリロイル基の数を調整することが可能である。
【0091】
透明高分子層23Pが第1繰り返し単位と第2繰り返し単位とを含む場合には、透明高分子層23Pの質量に対する第1繰り返し単位の質量の比が、透明高分子層23Pの質量に対する第2繰り返し単位の質量の比よりも大きくてよい。すなわち、透明高分子層23Pの質量M23P、第1繰り返し単位の質量M1、および、第2繰り返し単位の質量M2は、以下の式を満たしてもよい。なお、第1繰り返し単位の質量M1は、透明高分子層23Pに含まれる第1繰り返し単位の総質量である。第2繰り返し単位の質量M2は、透明高分子層23Pに含まれる第2繰り返し単位の総質量である。
(M1/M23P)>(M2/M23P)
【0092】
これにより、透明高分子層23Pには、第2繰り返し単位よりもアクリロイル基の数が少ない第1繰り返し単位が、第2繰り返し単位よりも多く含まれるため、透明高分子層23Pにおける平均のアクリロイル基の数が過剰に大きくなることが抑えられる。それゆえに、透明高分子層23Pの硬化速度が過剰に高くなることが抑えられる。
【0093】
例えば、透明高分子層23Pの質量に対する第1繰り返し単位の質量の含有率が、26質量%以上46質量%以下であり、かつ、透明高分子層23Pの質量に対する第2繰り返し単位の質量の含有率が、1質量%以上14質量%以下であってもよい。すなわち、透明高分子層23Pの質量M23P、第1繰り返し単位の質量M1、および、第2繰り返し単位の質量M2は、以下の式を満たしてもよい。なお、第1繰り返し単位の質量M1は、透明高分子層23Pに含まれる第1繰り返し単位の総質量である。第2繰り返し単位の質量M2は、透明高分子層23Pに含まれる第2繰り返し単位の総質量である。
26(質量%)≦(M1/M23P)×100≦46(質量%)
1(質量%)≦(M2/M23P)×100≦14(質量%)
【0094】
これにより、透明高分子層23Pにおいて、第1繰り返し単位に対する第2繰り返し単位の割合が最大でも1/2程度に抑えられるから、透明高分子層23Pにおける平均のアクリロイル基の数が過剰に大きくなることがより抑えられる。
【0095】
第1繰り返し単位は、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n‐ブチル、および、アクリル酸t‐ブチルから構成される群から選択される1種以上に由来してよい。第2繰り返し単位は、例えば、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート、1,9‐ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート、6‐(プロペノイルオキシ)ヘキサン酸3‐[2,2‐ジメチル‐3‐[[1‐オキソ‐6‐(プロペノイルオキシ)ヘキシル]オキシ]プロポキシ]‐2,2‐ジメチル‐3‐オキソプロピル、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートから構成される群から選択される1種以上に由来してよい。
【0096】
透明高分子層23Pが含む高分子化合物kの1分子当たりにおけるアクリロイル基数がfkであり、高分子化合物の総モル数に対する高分子化合物kのモル分率がnkである場合に、以下の数式(1)で表される平均アクリロイル基数faveの値が、1.5以下であってよい。
【0097】
【数2】
【0098】
平均アクリロイル基数が1.5以下である場合には、透明高分子層23Pの硬化速度が過剰に高くなることが抑えられる。これにより、透明高分子層23Pの空隙23Dに含まれる液晶組成物23LCにおいて、液晶混合物LCMの純度が低下することが抑えられる。結果として、液晶混合物LCMの駆動が、液晶組成物23LC中の不純物によって妨げられにくくなる。
【0099】
調光シート11Nの応答性を高める観点では、平均のアクリロイル基数に対する硫黄の含有率の比における下限値は、1.0以上であることが好ましく、1.4以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。また、調光シート11Nのコントラストを高める観点では、平均のアクリロイル基数に対する硫黄の含有率の比における上限値は、4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。
【0100】
[スペーサー]
スペーサーSPは、透明高分子層23Pの全体に分散している。スペーサーSPの厚さは、調光層23の厚さを定める。スペーサーSPの厚さは、スペーサーSPの粒径でもよい。調光層23の厚さは、例えば5μm以上100μm以下であってよい。スペーサーSPは、調光層23の厚さを均一にする。スペーサーSPは、ビーズスペーサーでもよいし、フォトレジストの露光および現像によって形成されるフォトスペーサーでもよい。スペーサーSPは、無色透明でもよいし、有色透明でもよい。液晶組成物23LCが二色性色素DPを含む場合には、スペーサーSPの色は、二色性色素DPの呈する色と同色であることが好ましい。
【0101】
[二色性色素]
二色性色素は、液晶混合物LCMをホストとしたゲストホスト型式によって駆動されることによって有色を呈する。二色性色素は、例えば、ポリヨウ素、アゾ化合物、アントラキノン化合物、ナフトキノン化合物、アゾメチン化合物、テトラジン化合物、キノフタロン化合物、メロシアニン化合物、ペリレン化合物、ジオキサジン化合物から構成される群から選択される少なくとも1種である。二色性色素は、1種の化合物でもよいし、2種以上の化合物の組み合わせでもよい。耐光性を高めることおよび二色比を高めることが求められる場合には、二色性色素は、アゾ化合物およびアントラキノン化合物から構成される群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、アゾ化合物であることがより好ましい。
【0102】
[調光シートの製造方法]
調光シート11Nの製造方法は、第1透明導電シート21と第2透明導電シート22との間に、上述した光重合性化合物と液晶混合物LCMとを含む塗膜を形成することを含む。ノーマル型の調光シート11Nを製造する際には、第1透明導電シート21の第1透明電極層21Aと、第2透明導電シート22の第2透明電極層22Aとの間に、塗膜が形成される。これに対して、リバース型の調光シート11Rを製造する際には、第1透明導電シート21の第1配向膜21Cと、第2透明導電シート22の第2配向膜22Cとの間に、塗膜が形成される。
【0103】
塗膜は、光重合性化合物の重合を開始するための重合開始剤を含む。重合開始剤は、例えば、ジケトン化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサンソン化合物、オキシムエステル化合物から構成される群から選択される少なくとも一種である。重合開始剤は、1種の化合物でもよいし、2種以上の化合物の組み合わせでもよい。重合開始剤の一例は、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、シクロヘキシルフェニルケトン、フェニルアセトフェノンから構成される群から選択されるいずれか一種である。
【0104】
調光シート11N,11Rの製造方法は、塗膜のなかで光重合性化合物を重合させることによって、液晶混合物LCMから構成される液晶粒子を重合体から相分離させることを含む。塗膜に照射される光は、第1透明導電シート21に向けて照射されてもよいし、第2透明導電シート22に向けて照射されてもよいし、第1透明導電シート21および第2透明導電シート22の両方に向けて照射されてもよい。
【0105】
液晶混合物LCMから構成される液晶粒子の相分離は、光重合性化合物の重合と、液晶混合物LCMの拡散とを通じて進む。光重合性化合物の重合する速度は、光重合性化合物に照射される光の強度によって変わる。液晶混合物LCMが拡散する速度は、光重合性化合物の重合時の処理温度によって変わる。液晶混合物LCMの相分離では、液晶粒子の大きさを所望の大きさとするように、すなわち空隙23Dの大きさを所望の大きさとするように、光重合性化合物に照射される光の強度が設定される。また、液晶混合物LCMの相分離では、液晶混合物LCMの拡散を促すための加熱を行ってもよい。
【0106】
空隙23Dの大きさを小さくすることが求められる場合には、光重合性化合物に照射される光の強度を高め、かつ、液晶混合物LCMの拡散を抑えるための低い温度で重合を進めることが好ましい。空隙23Dの大きさを大きくすることが求められる場合には、光重合性化合物に照射される光の強度を低め、かつ、液晶混合物LCMの拡散を促すための高い温度で重合を進めることが好ましい。
【0107】
[実施例]
図4から図19を参照して、調光シート11Nの実施例および比較例を説明する。なお、各実施例および各比較例の調光シート11Nは、ノーマル型の調光シート11Nである。第1透明導電シート21と第2透明導電シート22との間に、光重合性組成物と液晶混合物LCMとを含む塗膜を形成し、続いて、塗膜のなかで光重合性組成物を重合させることによって、調光シート11Nを得た。
【0108】
実施例および比較例の調光シート11Nを形成するために、以下に記載の材料を用いた。各実施例および各比較例の調光シート11Nにおいて、塗膜を形成するための塗工液における配合比を図4から図19に示すように設定した。図4から図19が示す配合比は、塗工液の総量に対する各材料の割合を示している。すなわち、配合比は、液晶混合物LCMの質量、光重合性組成物の質量、スペーサーSPの質量、連鎖移動剤の質量、重合開始剤の質量の総和に対する各材料の割合を示している。
【0109】
[材料]
・第1透明電極層21A:酸化インジウムスズ
・第2透明電極層22A:酸化インジウムスズ
・第1透明基材21B :ポリエチレンテレフタレートフィルム
・第2透明基材22B :ポリエチレンテレフタレートフィルム
・液晶混合物LCM :シアノビフェニル系液晶(MLC‐6609、メルク社製)
・重合開始剤PI :1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad 184、IGM社製)(Omniradは登録商標) 1質量%
・スペーサーSP :直径20μmの真球状(ビフェニル共重合体)(ミクロパールSP‐220、積水化学工業(株)製)(ミクロパールは登録商標) 1質量%
【0110】
・紫外線重合性化合物(m=1)
成分MN1:アクリル酸メチル(化学式(9))
成分MN2:アクリル酸エチル(化学式(10))
成分MN3アクリル酸n‐ブチル(化学式(11))
成分MN4:アクリル酸t‐ブチル(化学式(12))
成分MN5:イソボロニルアクリレート(化学式(13))
【0111】
【化16】
【0112】
【化17】
【0113】
【化18】
【0114】
【化19】
【0115】
【化20】
【0116】
・紫外線重合性化合物(m=2)
成分MN6 :1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート(化学式(14))
成分MN7 :1,9‐ノナンジオールジアクリレート(化学式(15))
成分MN8 :ジプロピレングリコールジアクリレート(APG‐100、新中村化学(株)製)(化学式(16))
成分MN9 :ポリプロピレングリコールジアクリレート(APG‐400、新中村化学(株)製)(化学式(17))
成分MN10:ポリプロピレングリコールジアクリレート(APG‐700、新中村化学(株)製)(化学式(18))
成分MN11:ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート(FM‐400、日本化薬(株)製)(化学式(19))
成分MN12:6‐(プロペノイルオキシ)ヘキサン酸3‐[2,2‐ジメチル‐3‐[[1‐オキソ‐6‐(プロペノイルオキシ)ヘキシル]オキシ]プロポキシ]‐2,2‐ジメチル‐3‐オキソプロピル(HX‐220、日本化薬(株)製)(化学式(20))
成分MN13:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A‐DCP、新中村化学(株)製)(化学式(21))
【0117】
【化21】
【0118】
【化22】
【0119】
【化23】
【0120】
【化24】
【0121】
【化25】
【0122】
【化26】
【0123】
【化27】
【0124】
【化28】
【0125】
・紫外線重合性化合物(m=3)
成分MN14:トリメチロールプロパントリアクリレート(A‐TMPT、新中村化学(株)製)(化学式(22))
成分MN15:プロポキシ化トリメチロールプロパン トリアクリレート(A‐TMTP‐3PO、新中村化学(株)製)(化学式(23))
【0126】
【化29】
【0127】
【化30】
【0128】
・紫外線重合性化合物(m=4)
成分MN16:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(A‐TMMT、新中村化学(株)製)(化学式(24))
成分MN17:プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM‐4P、新中村化学(株)製)(化学式(25))
【0129】
【化31】
【0130】
【化32】
【0131】
・連鎖移動剤
成分CTA1:1,4‐ビス(3‐メルカプトブチリルオキシ)ブタン(カレンズMT BD1、(株)レゾナック製)(カレンズは登録商標)(化学式(26))
成分CTA2:トリメチロールプロパントリス(3‐メルカプトブチレート)(カレンズMT TPBM、(株)レゾナック製)(カレンズは登録商標)(化学式(27))
成分CTA3:ペンタエリスリトールテトラキス(3‐メルカプトブチレート)(カレンズMT PE1、(株)レゾナック製)(カレンズは登録商標)(化学式(28))
【0132】
【化33】
【0133】
【化34】
【0134】
【化35】
【0135】
[実施例1]
図4が示すように、50質量%の液晶混合物LCM、35.52質量%の成分MN1、8.64質量%の成分MN14、および、3.84質量%の成分CTA3を用いた。実施例1の塗工液を用いて、20μmの厚さを有する塗膜を第1透明電極層21A上に形成し、次いで、スペーサーSPを塗膜中に散布した。そして、スペーサーSPが散布された塗膜を第1透明電極層21Aと第2透明電極層22Aとによって挟んだ状態で、第1透明基材21Bに向けて365nmの波長を有した紫外線を上下両面から照射した。これにより、実施例1の調光シート11Nを得た。この際に、紫外線の強度を片面において10mW/cmに設定し、かつ、上下同じ強度に設定し、また、紫外線の照射時間を100秒に設定した。
【0136】
[実施例2]
図4が示すように、35.52質量%の成分MN1に代えて35.52質量%の成分MN2を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例2の調光シート11Nを得た。
【0137】
[実施例3から実施例5]
図4が示すように、40質量%以上60質量%以下の液晶混合物LCM、28.12質量%以上42.92質量%以下の成分MN3、6.84質量%以上10.44質量%以下の成分MN14、および、3.04質量%以上4.64質量%以下の成分CTA3を用いた。それ以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例3から実施例5の調光シート11Nを得た。
【0138】
[実施例6から実施例8]
図4が示すように、28.12質量%以上42.92質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例3から実施例5と同様の方法によって、実施例6から実施例8の調光シート11Nを得た。
【0139】
[実施例9から実施例12]
図4が示すように、50質量%の液晶混合物LCM、29.76質量%以上42.72質量%以下の成分MN3、1.44質量%以上14.40質量%以下の成分MN14、および、0.10質量%以上7.68質量%以下の成分CTA3を用いた。それ以外は、実施例3から実施例5と同様の方法によって、実施例9から実施例12の調光シート11Nを得た。
【0140】
[実施例13から実施例15]
図4が示すように、30.72質量%以上39.22質量%以下の成分MN3、8.64質量%の成分MN14、および、0.14質量%以上8.64質量%以下の成分CTA2を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例13から実施例15の調光シート11Nを得た。
【0141】
[実施例16から実施例18]
図4が示すように、30.72質量%以上39.17質量%以下の成分MN3、0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例16から実施例18の調光シート11Nを得た。
【0142】
[実施例19から実施例22]
図4および図5が示すように、成分MN3に代えて成分MN4を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例19から実施例22の調光シート11Nを得た。
【0143】
[実施例23から実施例25]
図5が示すように、成分MN3に代えて成分MN4を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例23から実施例25の調光シート11Nを得た。
【0144】
[実施例26から実施例28]
図5が示すように、成分MN3に代えて成分MN4を用いた以外は、実施例16から実施例18と同様の方法によって、実施例26から実施例28の調光シート11Nを得た。
【0145】
[実施例29から実施例31]
図5が示すように、成分MN14に代えて成分MN15を用いた以外は、実施例3から実施例5と同様の方法によって、実施例29から実施例31の調光シート11Nを得た。
【0146】
[実施例32から実施例34]
図5が示すように、成分MN14に代えて成分MN15を用いた以外は、実施例6から実施例8と同様の方法によって、実施例32から実施例34の調光シート11Nを得た。
【0147】
[実施例35から実施例38]
図5が示すように、成分MN14に代えて成分MN15を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例35から実施例38の調光シート11Nを得た。
【0148】
[実施例39から実施例41]
図5および図6が示すように、成分MN14に代えて成分MN15を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例39から実施例41の調光シート11Nを得た。
【0149】
[実施例42から実施例44]
図6が示すように、成分MN14に代えて成分MN15を用いた以外は、実施例16から実施例18と同様の方法によって、実施例42から実施例44の調光シート11Nを得た。
【0150】
[実施例45から実施例48]
図6が示すように、成分MN3に代えて成分MN4を用いた以外は、実施例35から実施例38と同様の方法によって、実施例45から実施例48の調光シート11Nを得た。
【0151】
[実施例49から実施例51]
図6が示すように、成分MN3に代えて成分MN4を用いた以外は、実施例39から実施例41と同様の方法によって、実施例49から実施例51の調光シート11Nを得た。
【0152】
[実施例52から実施例54]
図6が示すように、成分MN3に代えて成分MN4を用いた以外は、実施例42から実施例44と同様の方法によって、実施例52から実施例54の調光シート11Nを得た。
【0153】
[実施例55から実施例57]
図6が示すように、30.40質量%以上46.40質量%以下の成分MN3、および、4.56質量%以上6.96質量%以下の成分MN16を用いた以外は、実施例3から実施例5と同様の方法によって、実施例55から実施例57の調光シート11Nを得た。
【0154】
[実施例58から実施例60]
図6が示すように、成分MN3に代えて成分MN4を用いた以外は、実施例55から実施例57と同様の方法によって、実施例58から実施例60の調光シート11Nを得た。
【0155】
[実施例61から実施例64]
図7が示すように、29.76質量%以上42.72質量%以下の成分MN3、および、1.44質量%以上14.40質量%以下の成分MN16を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例61から実施例64の調光シート11Nを得た。
【0156】
[実施例65から実施例67]
図7が示すように、33.60質量%以上42.10質量%以下の成分MN3、および、5.76質量%の成分MN16を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例65から実施例67の調光シート11Nを得た。
【0157】
[実施例68から実施例70]
図7が示すように、33.60質量%以上42.05質量%以下の成分MN3、および、0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例65から実施例67と同様の方法によって、実施例68から実施例70の調光シート11Nを得た。
【0158】
[実施例71から実施例74]
図7が示すように、成分MN3に代えて29.76質量%以上42.72質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例61から実施例64と同様の方法によって、実施例71から実施例74の調光シート11Nを得た。
【0159】
[実施例75から実施例77]
図7が示すように、成分MN3に代えて33.60質量%以上42.10質量%以下の成分MN4を用い、かつ、成分MN14に代えて5.76質量%の成分MN16を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例75から実施例77の調光シート11Nを得た。
【0160】
[実施例78から実施例80]
図7が示すように、33.60質量%以上42.05質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例75から実施例77と同様の方法によって、実施例78から実施例80の調光シート11Nを得た。
【0161】
[実施例81から実施例83]
図8が示すように、30.40質量%以上46.40質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて4.56質量%以上6.96質量%以下の成分MN17を用いた以外は、実施例3から実施例5と同様の方法によって、実施例81から実施例83の調光シート11Nを得た。
【0162】
[実施例84から実施例86]
図8が示すように、成分MN3に代えて30.40質量%以上46.40質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例81から実施例83と同様の方法によって、実施例84から実施例86の調光シート11Nを得た。
【0163】
[実施例87から実施例90]
図8が示すように、29.76質量%以上42.72質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて1.44質量%以上14.40質量%以下の成分MN17を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例87から実施例90の調光シート11Nを得た。
【0164】
[実施例91から実施例93]
図8が示すように、33.60質量%以上42.10質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて5.76質量%の成分MN17を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例91から実施例93の調光シート11Nを得た。
【0165】
[実施例94から実施例96]
図8が示すように、33.60質量%以上42.05質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例91から実施例93と同様の方法によって、実施例94から実施例96の調光シート11Nを得た。
【0166】
[実施例97から実施例100]
図8が示すように、成分MN3に代え29.76質量%以上42.72質量%以下の成分MN4を用い、かつ、成分MN14に代えて1.44質量%以上14.40質量%以下の成分MN17を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例97から実施例100の調光シート11Nを得た。
【0167】
[実施例101から実施例103]
図9が示すように、成分MN3に代えて33.60質量%以上42.10質量%以下の成分MN4を用い、かつ、成分MN14に代えて5.76質量%の成分MN17を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例101から実施例103の調光シート11Nを得た。
【0168】
[実施例104から実施例106]
図9が示すように、33.60質量%以上42.95質量%以下の成分MN4を用い、かつ、0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例101から実施例103と同様の方法によって、実施例104から実施例106の調光シート11Nを得た。
【0169】
[実施例107から実施例109]
図9が示すように、25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて9.12質量%以上13.92質量%以下の成分MN6を用いた以外は、実施例3から実施例5と同様の方法によって、実施例107から実施例109の調光シート11Nを得た。
【0170】
[実施例110から実施例112]
図9が示すように、成分MN3に代えて25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例107から実施例109と同様の方法によって、実施例110から実施例112の調光シート11Nを得た。
【0171】
[実施例113から実施例116]
図9が示すように、29.76質量%以上42.72質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて1.44質量%以上14.40質量%以下の成分MN6を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例113から実施例116の調光シート11Nを得た。
【0172】
[実施例117から実施例119]
図9が示すように、27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて11.52質量%の成分MN6を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例117から実施例119の調光シート11Nを得た。
【0173】
[実施例120から実施例122]
図9および図10が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例117から実施例119と同様の方法によって、実施例120から実施例122の調光シート11Nを得た。
【0174】
[実施例123から実施例126]
図10が示すように、成分MN3に代えて29.76質量%以上42.72質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例113から実施例116と同様の方法によって、実施例123から実施例126の調光シート11Nを得た。
【0175】
[実施例127から実施例129]
図10が示すように、27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例117から実施例119と同様の方法によって、実施例127から実施例129の調光シート11Nを得た。
【0176】
[実施例130から実施例132]
図10が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN4を用い、かつ、0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例127から実施例129と同様の方法によって、実施例130から実施例132の調光シート11Nを得た。
【0177】
[実施例133から実施例135]
図10が示すように、25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分14に代えて9.12質量%以上13.92質量%以下の成分MN7を用いた以外は、実施例3から実施例5と同様の方法によって、実施例133から実施例135の調光シート11Nを得た。
【0178】
[実施例136から実施例138]
図10が示すように、成分MN3に代えて25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例133から実施例135と同様の方法によって、実施例136から実施例138の調光シート11Nを得た。
【0179】
[実施例139から実施例142]
図10および図11が示すように、28.80質量%以上42.72質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて1.44質量%以上14.40質量%以下の成分MN7を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例139から実施例142の調光シート11Nを得た。
【0180】
[実施例143から実施例145]
図11が示すように、27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて11.52質量%の成分MN7を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例143から実施例145の調光シート11Nを得た。
【0181】
[実施例146から実施例148]
図11が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例143から実施例145と同様の方法によって、実施例146から実施例148の調光シート11Nを得た。
【0182】
[実施例149から実施例152]
図11が示すように、成分MN3に代えて28.80質量%以上42.72質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例139から実施例142と同様の方法によって、実施例149から実施例152の調光シート11Nを得た。
【0183】
[実施例153から実施例155]
図11が示すように、成分MN3に代えて27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例143から実施例145と同様の方法によって、実施例153から実施例155の調光シート11Nを得た。
【0184】
[実施例156から実施例158]
図11が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN4を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例153から実施例155と同様の方法によって、実施例156から実施例158の調光シート11Nを得た。
【0185】
[実施例159から実施例161]
図11および図12が示すように、25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて9.12質量%以上13.92質量%以下の成分MN8を用いた以外は、実施例3から実施例5と同様の方法によって、実施例159から実施例161の調光シート11Nを得た。
【0186】
[実施例162から実施例164]
図12が示すように、成分MN3に代えて25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例159から実施例161と同様の方法によって、実施例162から実施例164の調光シート11Nを得た。
【0187】
[実施例165から実施例168]
図12が示すように、28.80質量%以上42.72質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて1.44質量%以上14.40質量%以下の成分MN8を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例165から実施例168の調光シート11Nを得た。
【0188】
[実施例169から実施例171]
図12が示すように、27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN4に代えて11.52質量%の成分MN8を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例169から実施例171の調光シート11Nを得た。
【0189】
[実施例172から実施例174]
図12が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例169から実施例171と同様の方法によって、実施例172から実施例174の調光シート11Nを得た。
【0190】
[実施例175から実施例178]
図12が示すように、成分MN3に代えて28.80質量%以上42.72質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例165から実施例168と同様の方法によって、実施例175から実施例178の調光シート11Nを得た。
【0191】
[実施例179から実施例181]
図12および図13が示すように、成分MN3に代えて27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例169から実施例171と同様の方法によって、実施例179から実施例181の調光シート11Nを得た。
【0192】
[実施例182から実施例184]
図13が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN4を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例179から実施例181と同様の方法によって、実施例182から実施例184の調光シート11Nを得た。
【0193】
[実施例185から実施例187]
図13が示すように、25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて9.12質量%以上13.92質量%以下の成分MN9を用いた以外は、実施例3から実施例5と同様の方法によって、実施例185から実施例187の調光シート11Nを得た。
【0194】
[実施例188から実施例190]
図13が示すように、成分MN3に代えて25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例185から実施例187と同様の方法によって、実施例188から実施例190の調光シート11Nを得た。
【0195】
[実施例191から実施例194]
図13が示すように、28.80質量%以上42.72質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて1.44質量%以上14.40質量%以下の成分MN9を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例191から実施例194の調光シート11Nを得た。
【0196】
[実施例195から実施例197]
図13が示すように、27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて11.52質量%の成分MN9を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例195から実施例197の調光シート11Nを得た。
【0197】
[実施例198から実施例200]
図13が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例195から実施例197と同様の方法によって、実施例198から実施例200の調光シート11Nを得た。
【0198】
[実施例201から実施例204]
図14が示すように、成分MN3に代えて28.80質量%以上42.72質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例191から実施例194と同様の方法によって、実施例201から実施例204の調光シート11Nを得た。
【0199】
[実施例205から実施例207]
図14が示すように、成分MN3に代えて27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例195から実施例197と同様の方法によって、実施例205から実施例207の調光シート11Nを得た。
【0200】
[実施例208から実施例210]
図14が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN4を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例205から実施例207と同様の方法によって、実施例208から実施例210の調光シート11Nを得た。
【0201】
[実施例211から実施例213]
図14が示すように、25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて9.12質量%以上13.92質量%以下の成分MN10を用いた以外は、実施例3から実施例5と同様の方法によって、実施例211から実施例213の調光シート11Nを得た。
【0202】
[実施例214から実施例216]
図14が示すように、成分MN3に代えて25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例211から実施例213と同様の方法によって、実施例214から実施例216の調光シート11Nを得た。
【0203】
[実施例217から実施例220]
図14が示すように、28.80質量%以上42.72質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて1.44質量%以上14.40質量%以下の成分MN10を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例217から実施例220の調光シート11Nを得た。
【0204】
[実施例221から実施例223]
図15が示すように、27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて11.52質量%の成分MN10を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例221から実施例223の調光シート11Nを得た。
【0205】
[実施例224から実施例226]
図15が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例221から実施例223と同様の方法によって、実施例224から実施例226の調光シート11Nを得た。
【0206】
[実施例227から実施例230]
図15が示すように、成分MN3に代えて28.80質量%以上42.72質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例217から実施例220と同様の方法によって、実施例227から実施例230の調光シート11Nを得た。
【0207】
[実施例231から実施例233]
図15が示すように、成分MN3に代えて27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例221から実施例223と同様の方法によって、実施例231から実施例233の調光シート11Nを得た。
【0208】
[実施例234から実施例236]
図15が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN4を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例231から実施例233と同様の方法によって、実施例234から実施例236の調光シート11Nを得た。
【0209】
[実施例237から実施例239]
図15が示すように、25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて9.12質量%以上13.92質量%以下の成分MN11を用いた以外は、実施例3から実施例5と同様の方法によって、実施例237から実施例239の調光シート11Nを得た。
【0210】
[実施例240から実施例242]
図15および図16が示すように、成分MN3に代えて25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例237から実施例239と同様の方法によって、実施例240から実施例242の調光シート11Nを得た。
【0211】
[実施例243から実施例246]
図16が示すように、28.80質量%以上42.72質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて1.44質量%以上14.40質量%以下の成分MN11を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例243から実施例246の調光シート11Nを得た。
【0212】
[実施例247から実施例249]
図16が示すように、27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて11.52質量%の成分MN11を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例247から実施例249の調光シート11Nを得た。
【0213】
[実施例250から実施例252]
図16が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例247から実施例249と同様の方法によって、実施例250から実施例252の調光シート11Nを得た。
【0214】
[実施例253から実施例256]
図16が示すように、成分MN3に代えて28.80質量%以上42.72質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例243から実施例246と同様の方法によって、実施例253から実施例256の調光シート11Nを得た。
【0215】
[実施例257から実施例259]
図16が示すように、成分MN3に代えて27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例247から実施例249と同様の方法によって、実施例257から実施例259の調光シート11Nを得た。
【0216】
[実施例260から実施例262]
図16および図17が示すように27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN4を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例257から実施例259と同様の方法によって、実施例260から実施例262の調光シート11Nを得た。
【0217】
[実施例263から実施例265]
図17が示すように、25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて9.12質量%以上13.92質量%以下の成分MN12を用いた以外は、実施例3から実施例5と同様の方法によって、実施例263から実施例265の調光シート11Nを得た。
【0218】
[実施例266から実施例268]
図17が示すように、成分MN3に代えて25.84質量%以上39.44質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例263から実施例265と同様の方法によって、実施例266から実施例268の調光シート11Nを得た。
【0219】
[実施例269から実施例272]
図17が示すように、28.80質量%以上42.72質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて1.44質量%以上14.40質量%以下の成分MN12を用いた以外は、実施例9から実施例12と同様の方法によって、実施例269から実施例272の調光シート11Nを得た。
【0220】
[実施例273から実施例275]
図17が示すように、27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分MN14に代えて11.52質量%の成分MN12を用いた以外は、実施例13から実施例15と同様の方法によって、実施例273から実施例275の調光シート11Nを得た。
【0221】
[実施例276から実施例278]
図17が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN3を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例273から実施例275と同様の方法によって、実施例276から実施例278の調光シート11Nを得た。
【0222】
[実施例279から実施例282]
図17および図18が示すように、成分MN3に代えて28.80質量%以上42.72質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例269から実施例272と同様の方法によって、実施例279から実施例282の調光シート11Nを得た。
【0223】
[実施例283から実施例285]
図18が示すように、成分MN3に代えて27.84質量%以上36.34質量%以下の成分MN4を用いた以外は、実施例273から実施例275と同様の方法によって、実施例283から実施例285の調光シート11Nを得た。
【0224】
[実施例286から実施例288]
図18が示すように、27.84質量%以上36.29質量%以下の成分MN4を用い、かつ、成分CTA2に代えて0.19質量%以上8.64質量%以下の成分CTA1を用いた以外は、実施例283から実施例285と同様の方法によって、実施例286から実施例288の調光シート11Nを得た。
【0225】
[実施例289]
図18が示すように、38.40質量%の成分NM3、および、5.76質量%の成分NM16を用いた以外は、実施例61と同様の方法によって、実施例289の調光シート11Nを得た。
【0226】
[比較例1から比較例3]
図19が示すように、38.40質量%の成分MN5と5.76質量%の成分MN16、35.52質量%の成分MN5と8.64質量%の成分MN14、または、32.64質量%の成分MN5と11.52質量%の成分MN11とを用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例1から比較例3の調光シート11Nを得た。
【0227】
[比較例4および比較例5]
図19が示すように、32.64質量%の成分MN3または32.64質量%の成分MN4と、11.52質量%の成分MN13とを用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例4および比較例5の調光シート11Nを得た。
【0228】
[比較例6]
図19が示すように、35質量%の液晶混合物LCM、50.40質量%の成分MN3、7.56質量%の成分MN16、および、5.04質量%の成分CTA3を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例6の調光シート11Nを得た。
【0229】
[比較例7]
図19が示すように、70質量%の液晶混合物LCM、22.40質量%の成分MN3、3.36質量%の成分MN16、および、2.24質量%の成分CTA3を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例7の調光シート11Nを得た。
【0230】
[比較例8]
図19が示すように、42.24質量%の成分MN3を用い、成分MN14に代えて5.76質量%の成分MN16を用い、かつ、成分CTA1から成分CTA3を用いない以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例8の調光シート11Nを得た。
【0231】
[比較例9]
30.24質量%の成分MN3を用い、成分MN14に代えて5.76質量%の成分MN16を用い、かつ、12.00質量%の成分CTA3を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例9の調光シート11Nを得た。
【0232】
[評価方法]
[応答時間]
各実施例および各比較例の調光シート11Nについて、調光シート11Nが不透明から透明に切り替わるまでに要する時間をオン動作での応答時間として測定した。この際に、調光シート11Nが配置される環境の温度を-20℃に設定した。不透明から透明に切り替わるまでに要する時間は、駆動電圧の印加を開始してから調光シート11Nのヘイズ値が安定するまでの時間である。
【0233】
[コントラスト]
各実施例および各比較例の調光シート11Nについて、不透明を呈する際、すなわち非通電時のヘイズ値と、透明を呈する際、すなわち通電時のヘイズ値とを23℃において測定した。この際に、JIS K 7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に準拠した方法によって各調光シート11Nのヘイズ値を測定した。
【0234】
続いて、各実施例および各比較例の調光シート11Nにおけるヘイズ値の測定結果を以下の式に代入することによって、各実施例および各比較例の調光シート11Nにおけるコントラストを算出した。
【0235】
(コントラスト)=(不透明時のヘイズ値)/(透明時のヘイズ値)
コメントラストの値を以下の3つの水準で判断した。
7未満:×:十分なコントラストが得られない
7以上10未満:○:良好なコントラストが得られる
10以上:◎:より良好なコントラストが得られる
【0236】
[機械特性]
調光シート11Nの機械特性を以下の2つの水準で評価した。なお、調光シート11Nの機械特性を以下の方法によって評価した。まず、調光シートにおいて第1透明導電シート21と第2透明導電シート22の端を、互いに対向するように手で持った。次いで、第2透明導電シート22を机に固定したまま、第1透明導電シート21の端を2mm持ち上げた際、第1透明導電シート21の端から調光シート11Nの内部方向へ2cm以上剥離が進行するか否かを目視で確認した。
○:調光シート11Nの内部方向への剥離量が2cm未満である
×:調光シート11Nの内部方向への剥離量が2cm以上である
【0237】
[評価結果]
各実施例および各比較例の調光シートについて、応答時間、コントラスト、および、機械特性を評価した結果は、図4から図19が示す通りであった。
【0238】
各実施例の調光シート11Nにおける機械特性の評価結果が「○」である一方で、比較例7の調光シート11Nにおける機械特性の評価結果が「×」であることが認められた。こうした結果から、調光シート11Nにおいて剥がれが生じることを抑える観点では、液晶混合物LCMの含有率における上限値が60質量%であることが好ましいといえる。
【0239】
また、各実施例の調光シート11Nにおけるコントラストの評価結果が「○」もしくは「◎」である一方で、比較例6の調光シート11Nにおけるコントラストの評価結果が「×」であることが認められた。こうした結果から、調光シート11Nのコントラストを高める観点では、液晶混合物LCMの含有率における下限値が40質量%であることが好ましいといえる。また、各実施例の調光シート11Nにおけるコントラストの評価結果から、調光シート11Nのコントラストを高める観点では、液晶混合物LCMの下限値が50質量%であることがより好ましいといえる。
【0240】
また、各実施例の調光シート11Nにおける応答時間が4.0秒以下である一方で、比較例6の調光シート11Nにおける応答時間が5.1秒であることが認められた。こうした結果から、調光シート11Nの低温環境下での応答性を高める観点でも、液晶混合物LCMの含有率の下限値は40質量%であることが好ましいといえる。
【0241】
このように、調光シート11Nの低温環境下での応答性を高めること、調光シート11Nのコントラストを高めること、および、機械特性を高めることを両立する観点では、液晶混合物LCMの含有率は40質量%以上60質量%以下であることが好ましく、50質量%以上60質量%以下であることがより好ましいといえる。
【0242】
各実施例の調光シート11Nにおける応答時間が4.0秒以下である一方で、比較例1から比較例5の調光シート11Nにおける応答時間が10.0秒以上であることが認められた。こうした結果から、調光シート11Nが備える透明高分子層23Pが環状構造を含まないことによって、低温環境下での調光シート11Nの応答性が高められるといえる。
【0243】
各実施例の調光シート11Nにおけるコントラストの評価結果が「○」もしくは「◎」である一方で、比較例8および比較例9の調光シート11Nにおけるコントラストの評価結果が「×」であることが認められた。こうした結果から、調光シート11Nのコントラストを高める観点では、透明高分子層23Pに含まれる硫黄原子の含有率が、0.04質量%以上4.0質量%以下であることが好ましいといえる。
【0244】
各実施例の調光シート11Nにおける応答時間が4.0秒以下であることが認められた。これにより、平均のアクリロイル基数は、1.55以下であることが好ましく、1.5以下であることがさらに好ましいといえる。また、各実施例の調光シート11Nにおける応答時間の評価結果から、液晶混合物LCMの含有率が同一である前提において、調光シート11Nの応答性を高める観点では、平均のアクリロイル基数に対する硫黄原子の含有率の比が大きいことが好ましいといえる。
【0245】
調光シート11Nの応答性を高める観点では、平均のアクリロイル基数に対する硫黄原子の含有率の比における下限値は、1.0以上であることが好ましく、1.4以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。また、調光シート11Nのコントラストを高める観点では、平均のアクリロイル基数に対する硫黄原子の含有率の比における上限値は、4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。
【0246】
以上説明したように、調光シートの一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)高分子化合物が環状構造を含まないため、低温環境下において液晶混合物LCMと高分子化合物との間に分子間力が作用することが抑えられる。これにより、低温環境下において液晶化合物が駆動されやすくなる。
【0247】
(2)液晶混合物LCMの含有率における下限値が40質量%であるため、調光シート11N,11Rが高いコントラストを有する程度に、調光シート11N,11R内において光が散乱しやすくなる。液晶混合物LCMの含有率における上限値が65質量%であるため、調光層23に含まれる透明高分子層23Pによって、調光層23と透明導電シート21,22との間における密着強度を高く維持することが可能である。
【0248】
(3)透明高分子層23Pでの硫黄原子の含有率における下限値が0.03質量%であるため、透明高分子層23P内に形成される空隙23Dの大きさがばらつきにくくなり、結果として調光シート11N,11Rの面内において光の散乱が生じる度合いがばらつきにくくなる。また、透明高分子層23Pでの硫黄原子の含有率における上限値が4質量%であるため、透明高分子層23Pの硬化速度が過剰に低くなることが抑えられる。これにより、透明高分子層23P内に形成される空隙23Dが過剰に大きくかつ少なくなることが抑えられるから、透明高分子層23Pと空隙23Dとの界面の面積が減少することが抑えられ、結果として光の散乱が起こりづらくなることが抑えられる。
【0249】
(4)透明高分子層23Pには、第2繰り返し単位よりもアクリロイル基の数が少ない第1繰り返し単位が、第2繰り返し単位よりも多く含まれるため、透明高分子層23Pにおける平均のアクリロイル基の数が過剰に大きくなることが抑えられる。これにより、透明高分子層23Pの硬化速度が過剰に高くなることが抑えられる。
【0250】
(5)透明高分子層23Pにおいて、第1繰り返し単位に対する第2繰り返し単位の割合が最大でも1/2程度に抑えられるから、透明高分子層23Pにおける平均のアクリロイル基の数が過剰に大きくなることがより抑えられる。
【0251】
(6)平均アクリロイル基数が1.5以下である場合には、透明高分子層23Pの硬化速度が過剰に高くなることが抑えられる。これにより、透明高分子層23Pの空隙23Dに含まれる液晶組成物23LCにおいて、液晶混合物LCMの純度が低下することが抑えられる。結果として、液晶混合物LCMの駆動が、液晶組成物23LC中の不純物によって妨げられにくくなる。
【符号の説明】
【0252】
10N…ノーマル型調光装置
10R…リバース型調光装置
11N,11R…調光シート
21…第1透明導電シート
21A…第1透明電極層
21B…第1透明基材
21C…第1配向膜
22…第2透明導電シート
22A…第2透明電極層
22B…第2透明基材
22C…第2配向膜
23…調光層
23D…空隙
23P…透明高分子層
【要約】
【課題】低温環境下において液晶化合物を駆動されやすくすることを可能とした調光シートを提供する。
【解決手段】調光層23の質量に対する液晶化合物の質量の含有率が、40質量%以上65質量%以下である。透明高分子層23Pの質量に対する硫黄原子の質量の含有率が、0.03質量%以上4質量%以下である。透明高分子層23Pは、下記化学式(1)で示される高分子化合物を含み、かつ、化学式(1)におけるXは、環状構造を含まない。ただし、化学式(1)において、nは1以上の整数であり、mは1以上4以下の整数であり、Xは直鎖状または分岐鎖状であり、かつ、官能基を含まないか、または、官能基としてエーテル基およびエステル基の少なくとも一方または両方を含む。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19