IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特許7485203商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム
<>
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図1
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図2
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図3
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図4
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図5
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図6
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図7
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図8
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図9
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図10
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図11
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図12
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図13
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図14
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図15
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図16
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図17
  • 特許-商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】商品デザイン生成支援装置、商品デザイン生成支援方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0203 20230101AFI20240509BHJP
【FI】
G06Q30/0203
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023510013
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2021013818
(87)【国際公開番号】W WO2022208718
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】都丸 涼
(72)【発明者】
【氏名】高本 亮
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/009880(WO,A1)
【文献】特開2018-136604(JP,A)
【文献】特開2015-125541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象商品のデザインに関するデザイン画像を取得する取得手段と、
前記デザイン画像と、推定モデルとを用いて、前記対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定する推定手段と、
前記視線情報および前記見解情報を出力する出力手段と、
を備え、
前記推定モデルは、商品のデザイン画像を含む学習用の商品情報および人物の学習用の属性情報と、前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の視線情報および前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の見解情報と、の関係を学習したモデルである
商品デザイン生成支援装置。
【請求項2】
前記推定手段は、前記視線情報に基づいて前記見解情報の推定理由をさらに推定し、
前記出力手段は、前記推定理由をさらに出力する
請求項1に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項3】
前記見解情報は、前記対象人物が前記対象商品を購入するか否かに関する見解を含む
請求項1又は請求項2に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項4】
前記見解情報は、前記対象商品のデザインに対する前記対象人物の見解を表すテキストを含む
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項5】
前記視線情報は、前記対象人物が前記対象商品を見る視認時間と、前記対象人物が前記対象商品を見る視認回数と、前記対象商品を含む複数の商品を見る時間又は回数のうちの前記対象商品を見る時間又は回数の割合である視認率とのうちの少なくとも一つを含む
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記対象商品に関する対象商品属性情報と、前記対象人物に関する対象人物属性情報とをさらに取得し、
前記推定手段は、前記デザイン画像と前記対象人物属性情報と前記対象商品属性情報と前記推定モデルとを用いて、前記対象商品のデザインに対する前記見解情報を推定し、
前記出力手段は、前記見解情報を出力する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項7】
前記対象商品は、棚に陳列される商品であり、
前記対象商品属性情報は、前記対象商品の前記棚における陳列位置を含む
請求項6に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項8】
前記対象人物属性情報は、特定の属性を有する対象人物の属性であり、
前記推定手段は、前記特定の属性を有する前記対象人物の前記対象商品のデザインに対する前記見解情報および前記視線情報を推定する
請求項6又は請求項7に記載の商品デザイン生成支援装置。
【請求項9】
コンピュータによって、
対象商品のデザインに関するデザイン画像を取得し、
前記デザイン画像と、推定モデルとを用いて、前記対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定し、
前記視線情報および前記見解情報を出力し、
また、前記推定モデルは、商品のデザイン画像を含む学習用の商品情報および人物の学習用の属性情報と、前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の視線情報および前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の見解情報と、の関係を学習したモデルである
商品デザイン生成支援方法。
【請求項10】
対象商品のデザインに関するデザイン画像を取得する処理と、
前記デザイン画像と、推定モデルとを用いて、前記対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定する処理と、
前記視線情報および前記見解情報を出力する処理と
をコンピュータに実行させ、
また、前記推定モデルは、商品のデザイン画像を含む学習用の商品情報および人物の学習用の属性情報と、前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の視線情報および前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の見解情報と、の関係を学習したモデルである
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品のデザインに対する感じ方の情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
新商品やリニューアル商品のデザインを決定する際に、デザインの複数の候補の中から、会場調査(CLT(Central Location Test))の結果を参考にして、商品のデザインを決定する場合がある。会場調査とは、予め設定した会場に調査対象者(モニタ)を集めて、アンケート(インタビューも含む)を行う調査手法である。例えば、商品のデザインについての会場調査では、商品のデザイン候補を見て、購入したいと思ったか否かの購入意向がモニタに質問される。また、商品のデザイン候補についてのコメントがモニタに要求される。
【0003】
なお、特許文献1(国際公開第2021/009880号)には、靴や衣類などの商品を構成する複数の部分(パーツ)に関するデザイン要素を組み合わせて商品をデザインした場合に、その商品に対するユーザの印象を推定する技術が示されている。
【0004】
また、特許文献2(国際公開第2020/144820号)には、商品の属性に着目して、当該商品に対するユーザの評価結果を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2021/009880号
【文献】国際公開第2020/144820号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
商品のデザインについての会場調査によって、商品のデザイン候補を見たモニタ(換言すれば、消費者)の購入意向やコメントなどの情報が得られることから、会場調査の結果は、商品のデザインの設計や決定の際に有効な情報である。
【0007】
しかしながら、会場調査を行うためには大勢のモニタが必要であり、また、調査会場の設定やモニタの選定、調査結果の分析には手間と時間を要する。
【0008】
本発明の主な目的は、商品のデザイン設計(生成)を好適に支援できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る商品デザイン生成支援装置は、その一態様として、
対象商品のデザインに関するデザイン画像を取得する取得部と、
前記デザイン画像と、推定モデルとを用いて、前記対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定する推定部と、
前記視線情報および前記見解情報を出力する出力部と、
を備え、
前記推定モデルは、商品のデザイン画像を含む学習用の商品情報および人物の学習用の属性情報と、前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の視線情報および前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の見解情報と、の関係を学習したモデルである。
【0010】
また、本発明に係る商品デザイン生成支援方法は、その一態様として、
コンピュータによって、
対象商品のデザインに関するデザイン画像を取得し、
前記デザイン画像と、推定モデルとを用いて、前記対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定し、
前記視線情報および前記見解情報を出力し、
また、前記推定モデルは、商品のデザイン画像を含む学習用の商品情報および人物の学習用の属性情報と、前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の視線情報および前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の見解情報と、の関係を学習したモデルである。
【0011】
さらに、本発明に係るプログラム記憶媒体は、その一態様として、
対象商品のデザインに関するデザイン画像を取得する処理と、
前記デザイン画像と、推定モデルとを用いて、前記対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定する処理と、
前記視線情報および前記見解情報を出力する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記憶し、
また、前記推定モデルは、商品のデザイン画像を含む学習用の商品情報および人物の学習用の属性情報と、前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の視線情報および前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の見解情報と、の関係を学習したモデルである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、商品のデザイン設計(生成)を好適に支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態における商品デザイン生成支援装置の構成を説明する図である。
図2】会場調査の一例を説明する図である。
図3】推定モデルの生成に用いるグラフ(知識グラフ)の一例を表す図である。
図4】推定モデルの一例を説明する図である。
図5】推定モデルの別の一例を説明する図である。
図6】推定モデルの入力の別の一例を説明する図である。
図7】視線情報と見解情報の表示例を表す図である。
図8】第1の実施形態における商品デザイン生成支援装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
図9】第2の実施形態で用いられる推定モデルの一例を説明する図である。
図10】第2の実施形態で用いられる推定モデルの別の一例を説明する図である。
図11】第2の実施形態において、推定モデルの生成に用いるグラフ(知識グラフ)の一例を表す図である。
図12】視線情報と見解情報の表示例を表す図である。
図13】視線情報と見解情報と推定理由の表示例を表す図である。
図14】商品が棚に陳列されている状態を表す図である。
図15】デザインの順位を表す表示例の図である。
図16】推定モデルのその他の例を説明する図である。
図17】その他の実施形態における商品デザイン生成支援装置の構成を説明する図である。
図18】その他の実施形態における商品デザイン生成支援装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る第1の実施形態の商品デザイン生成支援装置の構成を説明する図である。第1の実施形態の商品デザイン生成支援装置1は、商品のデザイン画像を入力すると、その商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定し、推定した視線情報および見解情報を出力する機能を備えている。なお、以下の説明では、商品デザイン生成支援装置を略して、支援装置とも称する。
【0016】
商品には、食品や玩具や雑貨や家具や家電や衣類などの形がある物だけでなく、サービスや情報などの無形なものもあるが、ここでの商品は有形な物とする。デザインとは、商品の形状、模様、色彩、若しくはそれらの組み合わせなどである。商品のデザインは、当該商品自体のデザインや当該商品のパッケージのデザイン、又はこれらの組み合わせを含む。また、商品のなかには、パッケージに、食品や玩具や雑貨などの内容物が収容された形態の商品がある。このようなパッケージを含む商品の場合、支援装置1が対象とする商品のデザインとは、パッケージと、その内容物とのうちの一方だけのデザインである場合もあるし、パッケージと内容物のそれぞれ又は組み合わせのデザインである場合もある。支援装置1は、そのようないずれのデザインにも対応可能であるが、第1の実施形態では、商品のパッケージのデザイン(以下、パッケージデザインとも称する)を例にして、支援装置1の構成について説明する。
【0017】
支援装置1に入力する商品のデザイン画像とは、商品を撮影した撮影画像や、商品が描かれているイラスト画像などの商品のデザインが表されている画像である。
【0018】
視線情報とは、商品のデザインに対する対象人物の視線に関する情報である。ここでの対象人物とは、商品を見た人物であり、その一例として、会場調査の対象者(以下、モニタとも称する)である。なお、対象人物は、会場調査の対象者(モニタ)に限定されないが、以下の説明では、対象人物を会場調査の対象者(モニタ)とする。
【0019】
視線情報は、例えば、視認時間、視認回数、視認率などであるが、視線に関する情報であればこれらに限定されない。例えば、会場調査の会場(調査会場)では、調査対象の商品を含む複数の商品が、図2のように並んでいる。図2は、飲料のパッケージデザインについての会場調査が行われている調査会場の様子の一例を表す図である。図2の例では、パッケージデザインが互いに異なる複数の商品30が並んでおり、それら商品30のうちの一部あるいは全部が調査対象の商品である。調査対象の商品とは、モニタ40が当該商品についてどのような見解を示すかを調査したい商品であり、ここでは、商品のパッケージとして採用される可能性のあるパッケージデザイン候補を有する商品である。調査対象の商品は、ここでは、対象商品とも称される。また、調査対象以外の商品が並べられる場合には当該調査対象以外の商品は、調査対象の商品との比較に用いられる。なお、図2における複数のパッケージは、形状や、模様(絵柄やレタリング(デザインに用いられる文字のフォントや大きさ)や、それらの配置位置も含む)や、色彩や、材料(例えばペットボトル、缶、瓶)などが互いに異なっているが、それらのうちの一つは共通であってもよい。また、ここでは、商品として実際に販売されていない試作品や比較品などをも含めて商品として称することとする。
【0020】
視認時間とは、モニタ40が或る一つの対象商品を見ていた時間である。視認回数とは、複数の商品30が並んでいる状況において、モニタ40が或る一つの対象商品を見た回数である。
【0021】
視認率とは、並んでいる複数の商品30をモニタ40が見ていた時間に対する或る一つの対象商品を見た時間の割合、あるいは、複数の商品30のそれぞれをモニタ40が見た総回数に対する或る一つの対象商品を見た回数の割合である。
【0022】
支援装置1が出力する視線情報は、上記のような視認時間と、視認回数と、視認率とのうちの少なくとも一つを含む視線に関する情報である。
【0023】
見解情報とは、商品のデザインについて、例えばアンケートにより得られる対象商品のデザインに対するモニタ40の見解を表す情報である。第1の実施形態では、対象商品のデザイン(パッケージ)についてのモニタ40の見解は、対象商品を見て当該対象商品を購入したいと思ったか否かを表す見解(以下の説明では、購入意向とも称する)である。
【0024】
第1の実施形態の商品デザイン生成支援装置1は、コンピュータ(例えば、データセンターに配置されるサーバなど)であり、図1に表されるように、端末装置3と例えば有線又は無線の情報通信網を介して接続可能となっている。端末装置3は、PC(Personal Computer)、タブレット、スマートフォン、ウェアラブル端末などである。例えば、当該端末装置3から支援装置1に、対象商品のデザイン画像が送信される。
【0025】
支援装置1は、演算装置10と、記憶装置20とを備えている。記憶装置20は、各種データや、支援装置1の動作を制御するコンピュータプログラム(以下、プログラムとも称する)21を記憶する構成を有し、例えば、ハードディスク装置や半導体メモリ等の記憶媒体により構成される。支援装置1に備えられる記憶装置は一つに限定されず、複数種の記憶装置が支援装置1に備えられていてもよく、この場合には、複数の記憶装置をまとめて記憶装置20と称する。
【0026】
第1の実施形態では、記憶装置20には、さらに、推定モデル22が記憶されている。推定モデル22は、対象商品のデザイン画像を入力とし、対象商品のデザインについての対象人物の視線情報および見解情報を出力するモデルであり、例えば深層学習による機械学習により生成される。推定モデル22を生成する学習では、第一の商品のデザインを表すデザイン画像を含む学習用の商品情報および第一の商品のデザインを見た第一の人物の学習用の属性情報と、第一の商品のデザインを見た第一の人物の購入意向を表す学習用の見解情報および第一の商品のデザインを見た第一の人物の学習用の視線情報との関係が、第一の商品と第一の人物を様々に替えて学習される。
【0027】
第一の商品とは、推定モデル22を生成するよりも前に実施された例えば商品デザインに対する調査にて、図2のように並べられた試作品や比較品をも含む商品30である。
【0028】
商品情報とは、デザイン画像の他に、例えば、商品の名称、味の種類、内容量、値段、原産地、原材料名、材料の産地、添加物、栄養成分、機能性などがある。また、例えば、商品がアルコール飲料の場合、商品情報には、上記した商品情報に加えて、アルコール分(アルコール度数)も含まれる。推定モデル22の生成に利用されるデザイン画像以外の商品情報は、商品の種類などを考慮して適宜に選択される。
【0029】
第一の人物とは、推定モデル22を生成するよりも前に実施された例えば商品デザインに対する調査のモニタである。特に、第一の人物に関する各種情報は、推定モデル22を生成するために用いられるものとする。
【0030】
人物の属性情報の例としては、年齢、ライフスタイルの情報(例えば、一日の食事の回数や食事の時間帯などの食事についての情報、一週間における運動量、睡眠時間、起床時間、就寝時間、通勤時間)、嗜好情報、趣味などがある。推定モデル22の生成に利用される人物の学習用の属性情報としては、商品の種類などを考慮して適宜に選択される。また、推定モデル22の生成に利用される人物の学習用の属性情報は、調査会場等でのアンケートにより取得可能である。さらに、モニタ40が、例えば、上記のような属性情報を予め登録している人たちの中から選定された人である場合には、その登録情報から人物の学習用の属性情報を取得することができる。
【0031】
推定モデル22の生成時に学習される学習用の見解情報である人物の購入意向の情報と、人物の学習用の視線情報とは、推定モデル22を生成するよりも前に得られた情報である。例えば、調査会場において、図2のように並んでいる商品30を見ている人物(モニタ40)の購入意向の情報は、アンケートにより取得可能である。また、人物(モニタ40)の視線情報は、次のようにして取得可能である。例えば、調査会場において、図2のように並んでいる商品30を見ているモニタ40の少なくとも顔が撮影装置5により撮影され、これにより得られた撮影画像(又は撮影動画)の分析により、モニタ40の視線情報が得られる。つまり、撮影画像の分析から、対象商品のデザインを見ている人(モニタ40)についての対象商品に関する視認時間と視認回数と視認率が取得可能である。また、撮影画像の分析により、視線情報として、並んでいる複数の商品30を見ている視線の軌跡や、一つの商品30を見ているときの当該商品30に対する視線の軌跡や注目している部分の情報も取得可能である。
【0032】
なお、推定モデル22の生成に際し、撮影画像に映っているモニタ40と、アンケートに回答しているモニタ40とを関連付ける必要がある。換言すれば、同じ人物における視線情報と見解情報(購入意向)と人物の属性情報とを関連付ける必要がある。このような情報を関連付ける手法には様々な手法があり、ここでは、何れの手法を採用してよく、その説明は省略する。
【0033】
第1の実施形態では、推定モデル22は、グラフベース関係性学習を用いた機械学習により生成される。例えば、会場調査により取得された情報に基づいて、図3に表されるような人物(モニタ)40および商品30(パッケージ31)をノードとし、学習用の視線情報および学習用の見解情報(購入意向)をエッジとするグラフ(知識グラフとも称される)が生成される。そして、グラフAI(Artificial Intelligence)技術を用いて、グラフのノードやエッジのベクトル化が行われる。すなわち、グラフ内のノードやエッジはベクトル表現(エンベッディング・ベクトル)に変換される。これにより得られたノードの特徴ベクトルを用いた深層学習によって推定モデル22が生成される。推定モデル22は、図4に表されているように、デザイン画像の入力によって視線情報および見解情報(購入意向)を出力するモデルにより構成される場合と、図5に表されるように、デザイン画像の入力によって視線情報と見解情報(購入意向)をそれぞれ出力する二種類のモデルにより構成される場合とがある。
【0034】
なお、支援装置1は、図1の点線に表されるような外部の記憶装置25と接続されていてもよく、推定モデル22は、内蔵の記憶装置20に代えて、記憶装置25に記憶されていてもよい。この場合には、支援装置1は、記憶装置25と有線又は無線により通信することにより、推定モデル22を利用することができる。
【0035】
図1に表される支援装置1の演算装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサにより構成される。演算装置10は、プロセッサが記憶装置20に格納されているプログラム21を実行することにより、様々な機能を有することができる。第1の実施形態では、演算装置10は、機能部として、取得部11と、推定部12と、出力部13とを備えている。
【0036】
すなわち、取得部11は、端末装置3から出力された対象商品のデザイン画像を取得する。この取得されたデザイン画像は、例えば、新商品あるいはリニューアル商品の新しいパッケージデザインの一つの候補が表されている画像である。
【0037】
推定部12は、取得部11により取得されたデザイン画像と、記憶装置20の推定モデル22とを用いて、対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報(購入意向)を推定する。換言すれば、推定部12は、取得部11により取得されたデザイン画像に表されている例えばパッケージデザインを持つ対象商品について会場調査を行った場合に得られると推定される、当該対象商品のデザインに対するモニタ40の視線情報と見解情報を推定する。
【0038】
なお、推定部12は、推定モデル22に、デザイン画像だけでなく、実施済みの会場調査の結果に基づいた図3に表されるようなグラフから得られるノードの特徴ベクトルの情報(つまり、調査結果の情報)をも図6に表されるように入力する構成としてもよい。この構成は、視線情報と見解情報の推定の確からしさを高めることができる。
【0039】
出力部13は、推定部12により推定された視線情報(以下、推定視線情報とも称する)および見解情報(以下、推定見解情報とも称する)を出力する。
【0040】
推定部12により推定され出力部13により出力される推定視線情報としては、例えば、対象商品をモニタが見る視認時間は平均12秒と推定されるというような推定視認時間の情報を含む。また、推定視線情報は、例えば、対象商品をモニタが見る視認回数は平均3回と推定されるというような推定視認回数の情報を含んでいてもよい。さらに、推定視線情報は、例えば、視認率は平均28%と推定されるというような推定視認率の情報を含んでいてもよい。さらに、推定視線情報は、対象商品を見る推定視認時間が長い順に予め設定された上位数のグループを表す情報と、そのグループ毎の推定視認時間とを含んでいてもよい。具体例としては、推定視線情報は、推定視認時間が最も長いグループは、果物が好きなグループであり、その推定視認時間は20秒であり、次に推定視認時間が長いグループは20代前半のグループであり、その推定視認時間は18秒程度であるというような情報を含んでいてもよい。推定視認回数と推定視認率に関しても、上記同様に、推定視認回数や推定視認率に加えて、例えば数値が高い順に予め設定された上位数のグループを表す情報が推定視線情報に含まれていてもよい。なお、上記したようなグループは、例えば、推定モデル22によって、人物(モニタ40)の属性情報と視線情報に基づいて生成される。
【0041】
さらに、推定視認時間と推定視認回数と推定視認率のうちの2つ又は全部が推定視線情報に含まれていてもよい。さらにまた、推定視認時間と推定視認回数と推定視認率のうちの少なくとも一つと共に、参考情報が推定視線情報に含まれていてもよい。参考情報は、デザイン設計者などが、推定視線情報に基づいて対象商品のデザインを評価(分析)する際に、参考となる情報である。参考情報は特に限定されないが、その一例としては、一つの商品30に対する平均的な視認時間や視認回数や視認率を表す情報が、調査会場に並んでいる商品30の平均的なサンプル数の情報と共に表されている情報が考えられる。
【0042】
推定部12により推定され出力部13により出力される推定見解情報としては、例えば、対象商品のデザインを見て、モニタ40のうちの35%の人が購入したいと回答し、40%の人がどちらでも無いと回答し、25%の人が購入しないと回答すると推定されるというような推定購入意向の情報である。また、推定見解情報として、果物が好きなグループの43%が購入したい意向であり、アルコール度7%以上のアルコール飲料が好きなグループの10%が購入したい意向であると推定されるというような情報であってもよい。このように推定見解情報には、様々な態様が想定され、対象商品のデザインを見ての購入意向の情報が含まれていれば態様は限定されない。
【0043】
上記のような出力部13により出力された推定視線情報と推定見解情報は、例えば、端末装置3に送信され、端末装置3の表示制御動作によって表示装置に表示される。図7は、表示装置における推定視線情報と推定見解情報の表示例を表す図である。図7の例では、表示装置の画面37に、対象商品のデザイン画像38と共に、推定視線情報と、推定見解情報と、参考情報とが表示されている。推定視線情報としては、視認時間と、当該視認時間に対応するグループを表す情報とが視認時間の長い順に、1位から3位まで表示されている。また、推定見解情報(購買意向)の情報としては、グループ毎に、購買意向の情報がグラフにより表示されている。さらに、参考情報としては、一つの商品30に対する平均視認時間の情報が表示されている。
【0044】
第1の実施形態における支援装置1は上記のように構成されている。以下に、演算装置10における視線情報および見解情報の推定に関する動作の一例を図8に基づいて説明する。図8は、演算装置10における視線情報および見解情報の推定に関する動作の一例を表すフローチャートである。
【0045】
例えば、端末装置3から対象商品のデザイン画像が支援装置1に送信されると、演算装置10の取得部11が、その対象商品のデザイン画像を取得する(ステップ101)。その後、推定部12が、取得したデザイン画像と、推定モデル22とを用いて、対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定する(ステップ102)。そして、出力部13が、推定された視線情報(推定視線情報)および見解情報(推定見解情報)を出力する(ステップ103)。
【0046】
第1の実施形態における支援装置1は、上記のように、対象商品のデザイン画像を取得すると、当該デザイン画像と、推定モデル22とを用いて、対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報(購入意向)を推定する機能を備えている。その推定される視線情報および見解情報は、会場調査等の調査を行った場合に得られると推定される情報であることから、支援装置1は、会場調査等の調査を実際に行わなくとも、会場調査等の調査により得られると推定される情報を提供できる、という効果を奏する。この支援装置1が提供する視線情報および見解情報を利用することにより、会場調査等の調査を行わなくて済むことから、商品のデザイン(例えばパッケージデザイン)の決定を効率良く行うことができ、商品開発から新商品の発売までの時間の短縮化を図ることができる。すなわち、第1の実施形態における支援装置1は、商品のデザイン設計(生成)を好適に支援できる。
【0047】
また、特に、支援装置1は、上記の如く視線情報を出力できる。商品のデザインは、視覚的に商品を印象付けることに大きく寄与するものであることから、視線情報は、商品のデザインの設計に有効な情報である。
【0048】
<第2の実施形態>
以下に、本発明に係る第2の実施形態を説明する。なお、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態の商品デザイン生成支援装置1を構成する構成部分と同一の名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0049】
第2の実施形態の商品デザイン生成支援装置(支援装置)1は、第1の実施形態と同様に、対象商品のデザイン画像を取得すると、対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報と見解情報を推定して出力する。ただ、第2の実施形態では、見解情報として、購入意向の情報ではなく、対象商品のデザインに対するコメントを表すテキストが見解情報として支援装置1から出力される。
【0050】
すなわち、第2の実施形態では、第1の実施形態で示した推定モデル22に代えて、図9図10に表されるような推定モデル23が学習により生成され、支援装置1の記憶装置20に格納されている。すなわち、例えば、会場調査により取得された情報に基づいて、図11に表されるような人物(モニタ)40および商品30(パッケージ31)をノードとし、学習用の視線情報および学習用の見解情報(コメント)をエッジとするグラフが生成される。そして、生成されたグラフのノードやエッジのベクトル化がグラフAI技術を用いて行われる。これにより得られたノードの特徴ベクトルを用いた深層学習によって推定モデル23が生成される。推定モデル23は、推定モデル22と同様に、図9に表されているような、デザイン画像の入力によって視線情報および見解情報(コメント)を出力するモデルにより構成される場合と、図10に表されるような、デザイン画像の入力によって視線情報と見解情報(コメント)をそれぞれ出力する二種類のモデルにより構成される場合とがある。第2の実施形態では、推定モデル23は、テキストを含む見解情報であるコメントをテキストにより表す情報であることから、例えば、キャプション生成の技術が利用される。
【0051】
第2の実施形態では、推定部12は、取得部11により取得されたデザイン画像と、記憶装置20の推定モデル23とを用いて、対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報(コメント)を推定する。推定部12が推定する見解情報としてのコメントの数は限定されず、一つの場合もあるし、複数の場合もある。推定されるコメントとしては、例えば、対象商品のデザインについて、「絵が可愛い」、「味のイメージと絵が合っている」、「アルコール飲料なのかノンアルコール飲料なのかが分かりづらい」というようなテキストの情報である。なお、推定部12は、第1の実施形態と同様に、推定モデル23に、デザイン画像だけでなく、実施済みの会場調査の結果に基づいた図11に表されるようなグラフから得られるノードの特徴ベクトルの情報(つまり、調査結果の情報)をも入力する構成としてもよい。
【0052】
出力部13は、第2の実施形態では、推定見解情報として、上記のようなテキストにより表される推定コメントの情報を出力する。つまり、出力部13は、推定部12による推定視線情報と、推定見解情報である推定コメントの情報とを出力する。出力部13により出力された推定視線情報と推定見解情報は、例えば、第1の実施形態と同様に、端末装置3に送信され、端末装置3の表示制御動作によって表示装置に表示される。図12は、表示装置における推定視線情報と推定見解情報の一表示例を表す図である。図12の例では、表示装置の画面37に、対象商品のデザイン画像38と共に、推定視線情報と、推定見解情報と、参考情報とが表示されている。推定視線情報としては、視認率と、当該視認率に対応するグループを表す情報とが視認率の高い順に、1位から3位まで表示されている。また、推定見解情報(推定コメント)の情報としては、グループ毎に、コメントがテキスト表示されている。さらに、参考情報としては、一つの商品30に対する平均視認率の情報が表示されている。
【0053】
第2の実施形態の支援装置1における上記以外の構成は、第1の実施形態と同様である。第2の実施形態の支援装置1は、対象商品のデザイン画像を取得すると、当該デザイン画像と、推定モデル23とを用いて、対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報(コメント)を推定する機能を備えている。その推定される視線情報および見解情報は、会場調査等の調査により得られると推定される情報であることから、第2の実施形態の支援装置1も、第1の実施形態と同様に、会場調査等の調査を実際に行わなくとも、会場調査等の調査により得られると推定される情報を提供できるという効果を奏する。これにより、第2の実施形態の支援装置1は、商品のデザイン設計を好適に支援することができる。
【0054】
<第3の実施形態>
以下に、本発明に係る第3の実施形態を説明する。なお、第3の実施形態の説明において、第1又は第2の実施形態の商品デザイン生成支援装置1を構成する構成部分と同一の名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0055】
第3の実施形態の商品デザイン生成支援装置(支援装置)1は、以下に説明する構成を備え、それ以外の構成は、第1又は第2の実施形態の支援装置1と同様である。
【0056】
第3の実施形態の支援装置1は、第1や第2の実施形態よりも限定された対象人物に関する視線情報と見解情報を推定して出力する構成を備えている。つまり、第1および第2の実施形態では、対象人物とは、例えば会場調査のモニタであればよいのに対し、第3の実施形態では、対象人物とは、会場調査のモニタのなかから、例えば、20代の人物、ビールが好きな人物というように特定された人物である。第3の実施形態では、そのような対象人物の特定に用いる情報としての対象人物属性情報が、例えば、端末装置3から支援装置1に向けて送信される。
【0057】
第3の実施形態では、取得部11は、対象商品のデザイン画像に加えて、対象人物属性情報を取得する。対象人物属性情報とは、上記の如く、対象人物の特定に用いられる情報であり、対象人物属性情報の一例としては、対象商品を主に販売したい客層(換言すれば、ターゲット層)を表す情報が挙げられる。なお、第3の実施形態における対象人物とは、ターゲット層に限定されず、例えば、20代の人物であってもよいし、ビールが好きな人物であってもよく、調査したい属性を持つ人物である。取得部11は、そのような調査したい人物を特定する属性情報(つまり、対象人物属性情報)を取得する。対象人物属性情報の具体例としては、年齢、ライフスタイルの情報(例えば、一日の食事の回数や食事の時間帯などの食事についての情報、一週間における運動量、睡眠時間、起床時間、就寝時間、通勤時間)、嗜好情報、趣味などがある。
【0058】
推定部12は、取得された対象商品のデザイン画像および対象人物属性情報と、推定モデル22あるいは推定モデル23とに基づいて、対象人物属性情報により特定される対象人物の視線情報と見解情報を推定する。
【0059】
出力部13は、その特定された対象人物に関する推定視線情報と推定見解情報を出力する。
【0060】
第3の実施形態の支援装置1は、第1又は第2の実施形態の支援装置1と同様に、対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定して出力できる構成を備えているので、第1又は第2の実施形態の支援装置1と同様の効果を奏する。
【0061】
また、第3の実施形態の支援装置1は、限定された対象人物に関する推定視線情報と推定見解情報を出力できるので、例えば、対象商品のターゲット層が決まっている場合には、そのターゲット層を表す対象人物属性情報を取得することにより、ターゲット層に絞った推定視線情報と推定見解情報を出力できる。つまり、第3の実施形態の支援装置1は、ターゲット層が決まっている商品のデザイン(パッケージデザイン)の設計に、より有効な情報を提供できる。
【0062】
<第4の実施形態>
以下に、本発明に係る第4の実施形態を説明する。なお、第4の実施形態の説明において、第1~第3の実施形態の商品デザイン生成支援装置1を構成する構成部分と同一の名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0063】
第4の実施形態の商品デザイン生成支援装置(支援装置)1は、第1~第3の実施形態のいずれかの支援装置1に加えて、推定見解情報の推定理由をさらに出力する。すなわち、第4の実施形態では、推定部12は、視線情報と見解情報を推定し、さらに、推定見解情報の推定理由を視線情報に基づいて推定する。推定見解情報の推定理由とは、見解情報として示された見解が推定された理由(根拠)である。例えば、推定部12による視線情報と見解情報の推定結果が次のような結果であるとする。
< 推定結果 >
・視線情報:果物が好きなグループの視認時間は15秒であり、平均視認時間よりも長い
・見解情報:果物が好きなグループの43%が対象商品を購入したい意向であり、この購入意向は平均購入意向よりもかなり高い
このような推定結果である場合、推定部12は、例えば、次のような推定理由を出力する。
< 推定理由 >
果物好きなグループの購入意向が高い理由は、視認時間が平均視認時間よりも長いことに基づいて、商品のデザインが気に入ったからであると推定される。
【0064】
出力部13は、推定部12による推定視線情報と推定見解情報と推定理由を出力する。このように出力部13により出力された推定視線情報と推定見解情報と推定理由は、例えば、前述した実施形態と同様に、端末装置3に送信され、端末装置3の表示制御動作によって表示装置に表示される。図13は、表示装置における推定視線情報と推定見解情報と推定理由の表示例を表す図である。図13の例では、前述した図7と同様に、表示装置の画面37に、対象商品のデザイン画像38と共に、推定視線情報と、推定見解情報と、参考情報とが表示されている。さらに、見解情報が表示されている領域において、ポインタ39により指定された見解に関する推定理由がポップアップ表示されている。
【0065】
第4の実施形態の支援装置1における上記以外の構成は、第1又は第2又は第3の実施形態の支援装置1と同様である。
【0066】
第4の実施形態の支援装置1は、上記のように、第1~第3のいずれかの実施形態の支援装置1に加えて、推定理由を出力する。第4の実施形態の支援装置1は、第1~第3の実施形態と同様の効果を奏することができる上に、推定理由によって、推定視線情報および推定見解情報の解釈を容易にすることができるという効果を奏する。推定理由は、上記のように、推定視線情報および推定見解情報を解釈し易くできることから、推定視線情報および推定見解情報をより有効に活用できる情報となる。
【0067】
<第5の実施形態>
以下に、本発明に係る第5の実施形態を説明する。なお、第5の実施形態の説明において、第1~第4の実施形態の商品デザイン生成支援装置1を構成する構成部分と同一の名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0068】
ところで、図14に表されるように、棚35に、複数種の商品30が陳列された状態で販売されることがある。第5の実施形態の商品デザイン生成支援装置(支援装置)1は、そのような販売態様を想定して、対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報と見解情報を推定して出力する。
【0069】
すなわち、第5の実施形態では、推定モデル22又は推定モデル23(以下、推定モデル22,23とも記す)の生成に際し、学習する商品情報には、例えば、会場調査の調査会場等において図14のような棚35に陳列された陳列位置の情報が含まれる。陳列位置の情報は、例えば、最上段の右端とか、上から3段目の中央というように表される棚位置情報である。
【0070】
第5の実施形態では、推定モデル22,23の入力は、対象商品のデザイン画像に加えて、対象商品が配置されると想定される棚35の陳列位置の情報が対象商品属性情報として含まれる。また、推定モデル22,23の出力は、対象商品のデザインについて対象商品の棚位置情報をも用いて推定された対象人物の視線情報および見解情報である。
【0071】
第5の実施形態では、例えば、端末装置3から対象商品のデザイン画像と、対象商品属性情報である対象商品の棚35での陳列位置(棚位置情報)とが支援装置1に向けて送信される。支援装置1の取得部11は、それら対象商品のデザイン画像と、対象商品属性情報とを取得する。推定部12は、取得された対象商品のデザイン画像および対象商品属性情報と、推定モデル22,23とを用いて、対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報と見解情報を推定する。推定視線情報としては、例えば、最上段の右端に置かれた対象商品をモニタが見る視認時間は8秒と推定されるというような推定視認時間を含む。推定視線情報は、そのような推定視認時間と、推定視認回数と、推定視認率とのうちの少なくとも一つを含む。また、推定見解情報としては、最上段の右端に置かれた対象商品のデザインを見て、モニタ40のうちの30%の人が購入したいと回答すると推定されるというような購入意向の情報、あるいは、「色が地味で目立たない」というようなテキストのコメントの情報が含まれる。
【0072】
なお、付言すれば、第3実施形態のように対象人物を限定する場合には、取得部11は、対象商品のデザイン画像と、対象商品属性情報(棚位置情報)と、対象人物を限定する対象人物属性情報とを取得する。推定部12は、対象商品のデザイン画像と、対象商品属性情報(棚位置情報)と、対象人物属性情報と、推定モデル22,23とを用いて、対象商品のデザインに対する限定された対象人物の視線情報と見解情報を推定する。
【0073】
第5の実施形態の支援装置1における上記以外の構成は、第1~第4の実施形態と同様である。
【0074】
第5の実施形態の支援装置1は、第1~第4の実施形態と同様な効果を奏する。また、第5の実施形態の支援装置1は、上記のような構成を備えていることにより、対象商品が販売される態様をも考慮した対象人物の視線情報と見解情報を出力できる。このような情報も、対象商品のデザインの設計に非常に有効な情報である。
【0075】
<第6の実施形態>
以下に、本発明に係る第6の実施形態を説明する。なお、第6の実施形態の説明において、第1~第5の実施形態の商品デザイン生成支援装置1を構成する構成部分と同一の名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0076】
第6の実施形態の商品デザイン生成支援装置(支援装置)1では、取得部11は、互いに異なるデザインが表されている複数のデザイン画像を取得する。それら複数のデザイン画像は、同じ対象商品(例えば同じ缶飲料)の互いに異なるデザインの候補を表している画像(候補画像)であってもよいし、互いに異なる対象商品(例えば味が異なる缶飲料)それぞれについての異なるデザインを表している画像であってもよい。
【0077】
推定部12は、複数のデザイン画像のそれぞれに関し、推定モデル22,23を用いて、対象人物の視線情報と見解情報を推定する。推定部12は、さらに、推定された視線情報と見解情報の一方又は両方に基づいて、複数のデザイン画像のデザインについての順位を付ける。例えば、デザインA~Jという10種類のデザインをそれぞれ表すデザイン画像に関する視線情報と見解情報(例えば購入意向の情報)が推定部12によって推定されたとする。その推定視線情報の視認率に基づいて、数値が高い順に、1位~10位の順位が、デザインA~Jのそれぞれに付けられる。また、モニタ40の55%が購入したいと回答すると推定されるというような推定購入意向を表す数値(割合を表す値)が高い順に、1位~10位の順位が、デザインA~Jのそれぞれに付けられる。さらに、推定視線情報と推定購入意向の両方を用いてデザインの順位を付ける場合には、例えば、デザインA~Jのそれぞれの視認率が予め与えられた視認率の変換手法に従って視認スコアに変換される。また、デザインA~Jのそれぞれの購入意向を表す数値が予め与えられた購入意向の変換手法に基づいて購入意向スコアに変換される。そして、それら視認スコアと購入意向スコアを合計した合計スコアの例えば高い順に、1位~10位の順位が、デザインA~Jのそれぞれに付けられる。
【0078】
出力部13は、取得部11により取得された複数のデザイン画像それぞれに表されているデザインに対する対象人物の推定視線情報と推定見解情報を出力し、また、推定視線情報と推定見解情報の一方又は両方に基づいたデザインの順位を表す順位情報を出力する。つまり、出力部13は、推定視線情報に基づいたデザインの順位と、推定見解情報に基づいたデザインの順位とのうちの一方又は両方を含む順位情報を出力してもよいし、推定視線情報と推定見解情報の両方の情報に基づいたデザインの順位を順位情報として出力してもよい。図15には、そのようなデザインの順位情報をも受信した端末装置3の表示制御動作による表示装置の表示例が表されている。図15の例では、対象商品のデザインがその順位の情報と共に表示されている。
【0079】
第6の実施形態の支援装置1は、第1~第5の実施形態と同様な効果を奏する。また、第6の実施形態の支援装置1は、上記のような構成を備えていることにより、比較したい複数のデザインに関し、対象人物の視線情報や見解情報というような商品のデザイン設計にとっては重視すべき情報に基づいた順位の情報を提供できる。
【0080】
<その他の実施形態>
なお、本発明は第1~第6の実施形態に限定されずに、様々な実施の態様を採り得る。例えば、第1~第6の実施形態では、推定部12は、見解情報として、購入意向の情報と、コメントの情報とのうちの一方を推定している。これに代えて、例えば、推定部12は、図16に表されるような推定モデル24を用いることにより、購入意向の情報と、コメントの情報との両方を含む見解情報を推定してもよい。推定モデル24は、デザイン画像の入力によって視線情報と見解情報である購入意向およびコメントとをそれぞれ出力する三種類のモデルにより構成される。
【0081】
また、第1~第6の実施形態では、商品のデザインとしてパッケージデザインを例にして、支援装置1について説明しているが、第1~第6の実施形態の支援装置1は、パッケージデザインに限定されず、例えばパッケージに収容される物のデザインであってもよいし、パッケージが無い商品そのもののデザインであってもよい。
【0082】
さらに、第1~第6の実施形態では、推定モデル22,23の生成に用いる視線情報や見解情報は会場調査にて取得される例を示している。これに代えて、そのような視線情報や見解情報は、例えば街頭でのアンケート調査にて取得されてもよい。この場合においても、人物の視線情報は、アンケート回答中の人物を前述と同様に撮影装置により撮影した撮影画像(又は撮影動画)から取得可能である。さらに、第1~第6の実施形態では、人物が商品30を直接に見ている場合の視線情報や、商品30を直接に見たことによる見解情報が用いられている。これに代えて、例えば、新聞や雑誌やテレビやウェブサイトでの広告や、公共交通機関内での広告に載っている商品30を対象人物が見ている場合の視線情報や、そのような広告に載っている商品30を対象人物が見たことによる見解情報が用いられてもよい。また、商品30を直接に見た場合における視線情報および見解情報と、商品30を広告等により見たことにより得られる視線情報および見解情報とを用いて、推定モデル22,23が生成されてもよい。このように、推定モデル22,23の生成に用いる視線情報や見解情報の取得は会場調査に限定されない。
【0083】
さらに、第1~第6の実施形態の支援装置1は、例えば接続している端末装置3と共に商品デザイン生成支援システムを構築してもよい。
【0084】
図17は、商品デザイン生成支援装置の最小構成を表すブロック図である。この商品デザイン生成支援装置50は、取得部51と、推定部52と、出力部53とを備えている。商品デザイン生成支援装置50は、例えば、コンピュータ装置であり、第1~第6の実施形態と同様に、取得部51と推定部52と出力部53が実現される。
【0085】
取得部51は、対象商品のデザインに関するデザイン画像を取得する。推定部52は、デザイン画像と、推定モデルとを用いて、対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定する。推定モデルは、商品のデザイン画像を含む学習用の商品情報および人物の学習用の属性情報と、商品のデザインに対する人物の学習用の視線情報および商品のデザインに対する人物の学習用の見解情報と、の関係を人物および商品を様々に替えて学習したモデルである。
【0086】
出力部53は、推定部52により推定された視線情報および見解情報を出力する。
【0087】
図18は、商品デザイン生成支援装置50の動作の一例を説明するフローチャートである。例えば、取得部51が対象商品のデザインに関するデザイン画像を取得する(ステップ201)。その後、推定部52は、デザイン画像と、推定モデルとを用いて、対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定する(ステップ202)。そして、出力部53が、推定された視線情報および見解情報を出力する(ステップ203)。
【0088】
商品デザイン生成支援装置50は上記のような構成を備えていることにより、商品のデザインの設計や決定に有効な情報を効率良く生成して提示できるという効果を奏する。
【0089】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
対象商品のデザインに関するデザイン画像を取得する取得手段と、
前記デザイン画像と、推定モデルとを用いて、前記対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定する推定手段と、
前記視線情報および前記見解情報を出力する出力手段と、
を備え、
前記推定モデルは、商品のデザイン画像を含む学習用の商品情報および人物の学習用の属性情報と、前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の視線情報および前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の見解情報と、の関係を学習したモデルである
商品デザイン生成支援装置。
(付記2)
前記推定手段は、前記視線情報に基づいて前記見解情報の推定理由をさらに推定し、
前記出力手段は、前記推定理由をさらに出力する
付記1に記載の商品デザイン生成支援装置。
(付記3)
前記見解情報は、前記対象人物が前記対象商品を購入するか否かに関する見解を含む
付記1又は付記2に記載の商品デザイン生成支援装置。
(付記4)
前記見解情報は、前記対象商品のデザインに対する前記対象人物の見解を表すテキストを含む
付記1から付記3のいずれか一項に記載の商品デザイン生成支援装置。
(付記5)
前記視線情報は、前記対象人物が前記対象商品を見る視認時間と、前記対象人物が前記対象商品を見る視認回数と、前記対象商品を含む複数の商品を見る時間又は回数のうちの前記対象商品を見る時間又は回数の割合である視認率とのうちの少なくとも一つを含む
付記1から付記4のいずれか一項に記載の商品デザイン生成支援装置。
(付記6)
前記取得手段は、前記対象商品に関する対象商品属性情報と、前記対象人物に関する対象人物属性情報とをさらに取得し、
前記推定手段は、前記デザイン画像と前記対象人物属性情報と前記対象商品属性情報と前記推定モデルとを用いて、前記対象商品のデザインに対する前記見解情報を推定し、
前記出力手段は、前記見解情報を出力する
付記1から付記5のいずれか一項に記載の商品デザイン生成支援装置。
(付記7)
前記対象商品は、棚に陳列される商品であり、
前記対象商品属性情報は、前記対象商品の前記棚における陳列位置を含む
付記6に記載の商品デザイン生成支援装置。
(付記8)
前記対象人物属性情報は、特定の属性を有する対象人物の属性であり、
前記推定手段は、前記特定の属性を有する前記対象人物の前記対象商品のデザインに対する前記見解情報および前記視線情報を推定する
付記6又は付記7に記載の商品デザイン生成支援装置。
(付記9)
前記取得手段は、互いに異なるデザインが表されている複数の前記デザイン画像を取得し、
前記推定手段は、複数の前記デザイン画像それぞれに表されているデザインに対する前記見解情報および前記視線情報を推定し、
前記出力手段は、前記見解情報および前記視線情報の少なくとも一方に基づいた前記デザインの順位をさらに出力する
付記1から付記8のいずれか一項に記載の商品デザイン生成支援装置。
(付記10)
対象商品のデザインに関するデザイン画像を取得する取得手段と、
前記デザイン画像と、推定モデルとを用いて、前記対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定する推定手段と、
前記視線情報および前記見解情報を出力する出力手段と、
を備え、
前記推定モデルは、商品のデザイン画像を含む学習用の商品情報および人物の学習用の属性情報と、前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の視線情報および前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の見解情報と、の関係を学習したモデルである
商品デザイン生成支援システム。
(付記11)
コンピュータによって、
対象商品のデザインに関するデザイン画像を取得し、
前記デザイン画像と、推定モデルとを用いて、前記対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定し、
前記視線情報および前記見解情報を出力し、
また、前記推定モデルは、商品のデザイン画像を含む学習用の商品情報および人物の学習用の属性情報と、前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の視線情報および前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の見解情報と、の関係を学習したモデルである
商品デザイン生成支援方法。
(付記12)
対象商品のデザインに関するデザイン画像を取得する処理と、
前記デザイン画像と、推定モデルとを用いて、前記対象商品のデザインに対する対象人物の視線情報および見解情報を推定する処理と、
前記視線情報および前記見解情報を出力する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記憶し、
また、前記推定モデルは、商品のデザイン画像を含む学習用の商品情報および人物の学習用の属性情報と、前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の視線情報および前記商品のデザインに対する前記人物の学習用の見解情報と、の関係を学習したモデルである
プログラム記憶媒体。
【0090】
以上、上記した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1,50 商品デザイン生成支援装置
11,51 取得部
12,52 推定部
13,53 出力部
22,23,24 推定モデル
30 商品
35 棚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18