(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】アクチュエータ、ポンプ、アクチュエータの製造方法
(51)【国際特許分類】
F04B 43/02 20060101AFI20240509BHJP
F04B 43/04 20060101ALI20240509BHJP
F04B 45/047 20060101ALI20240509BHJP
F04B 45/04 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
F04B43/02 C
F04B43/04 B
F04B45/047 C
F04B45/04 C
(21)【出願番号】P 2023517437
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 JP2022017808
(87)【国際公開番号】W WO2022230677
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2021074741
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸拓
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-100746(JP,A)
【文献】特開2006-207436(JP,A)
【文献】特開2008-180161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/02
F04B 43/04
F04B 45/047
F04B 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面および第2主面を有し、前記第1主面および前記第2主面の少なくとも一方に圧電素子が装着され、平面視した形状が前記圧電素子よりも大きく、前記圧電素子が当接していない外縁部を備える板状の振動部材と、
外縁形状が前記振動部材よりも小さい枠体と、
前記振動部材の前記外縁部における前記第1主面または前記第2主面と前記枠体とを接着する接着剤と、
を備え、
前記平面視において、前記枠体の外縁形状は、前記振動部材の外縁形状よりも小さく、
前記枠体は、前記外縁から外方へ部分的に突出する凸部を備える、
アクチュエータ。
【請求項2】
前記枠体の外縁は、平面視において八角形であり、
前記凸部は、前記八角形における最長の辺を形成する側面とは異なる側面に、備えられる、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記凸部は、複数であり、
前記凸部は少なくとも第1形状を有する第1凸部と前記第1形状と異なる第2形状を有する第2凸部を備え、
前記第1凸部は、前記外縁の特定位置に配置される、
請求項1または請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記凸部は、一つである、
請求項1または請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記凸部は、
前記凸部が形成される側面の両端に接続する第1接続側面および第2接続側面から、前記凸部が形成される側面に延びる仮想線と前記凸部が形成される側面とによって囲まれる空間内に配置される、
請求項1
または請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記圧電素子に接続する電極パターンを備え、
前記電極パターンは、平面視において前記圧電素子または前記外縁部に重なる内部接続部と、外部に接続する外部端子とを備え、
前記外部端子は、前記平面視において、前記振動部材の外縁よりも外方に突出する形状であり、
前記外部端子が前記外方に突出する部分と前記凸部とは、平面視において、前記枠体を介して離間する位置に配置される、
請求項1
または請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
請求項1
または請求項2記載のアクチュエータと、
前記枠体を間に挟んで、前記振動部材に対向する板状の蓋部材と、
を備える、ポンプ。
【請求項8】
請求項1
または請求項2に記載のアクチュエータの製造方法であって、
所定方向に延伸された金属からなるマザー基板から、それぞれの枠体に対するそれぞれの凸部の位置が同じになるように、前記複数の枠体を切り出す、
アクチュエータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤を用いて筐体が組み立てられるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、流体ポンプが記載されている。特許文献1に記載の流体ポンプは、振動板、振動板支持枠、連結部、圧電素子、スペーサ、および、蓋部を備える。振動板は円板である。振動板支持枠は、振動板の外周を囲む形状である。振動板は、連結部を用いて、振動板支持枠に対して振動可能に保持される。圧電素子は、振動板に装着される。
【0003】
蓋部は、振動板、連結部、および振動板支持枠からなる板部材に対向して配置される。スペーサは、この板部材と蓋部との間に配置される。スペーサは、中空部を有する枠状であり、振動板支持枠と蓋部とに接続する。
【0004】
蓋部、スペーサ、振動板支持枠の外形形状は同じであり、これらは、それぞれに例えば接着剤によって接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような従来の構成では、接着剤が外部等に不要にはみだす等により、接着すべき部材を十分に接着できず、信頼性が低下することがある。特に、特許文献1に示すような振動を生じるデバイスでは、接着性の低下による信頼性の低下が生じ易い。
【0007】
したがって、本発明の目的は、構成する各部材の接着性を向上し、信頼性の高いデバイスを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のアクチュエータは、振動部材、枠体、および、接着剤を備える。振動部材は、第1主面および第2主面を有し、第1主面および第2主面の少なくとも一方に圧電素子が装着される。振動部材は、板状であり、平面視した形状が圧電素子よりも大きく、圧電素子が当接していない外縁部を備える。枠体は、外縁形状が振動部材よりも小さい。接着剤は、振動部材の外縁部における第1主面または第2主面と枠体とを接着する。平面視において、枠体の外縁形状は、振動部材の外縁形状よりも小さい。枠体は、外縁から外方へ部分的に突出する凸部を備える。
【0009】
この構成では、凸部の箇所にも接着剤が接着するので、凸部が存在しないときよりも接着領域が大きくなる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、構成する各部材の接着性を向上し、高い信頼性を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るポンプの分解斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、本発明の第1の実施形態に係るポンプの平面図であり、
図2(B)は、そのA-A断面図である。
【
図4】
図4(A)、
図4(B)は、枠体と振動部材との接着状態の一例を示す部分拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、枠体の切り出しのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係るアクチュエータおよびポンプについて、図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るポンプの分解斜視図である。
図2(A)は、本発明の第1の実施形態に係るポンプの平面図であり、
図2(B)は、そのA-A断面図である。なお、
図2(A)、
図2(B)では、電極パターンの図示を省略している。また、本実施形態を含む各実施形態に示す各図は、流体制御装置の構成を分かり易くするため、それぞれの構成要素の形状を部分的または全体として誇張して記載することがある。
【0013】
図1、
図2(A)、
図2(B)に示すように、ポンプ10は、アクチュエータ11、筐体20を備える。アクチュエータ11と筐体20とは、構成部材が部分的に重複している。
【0014】
アクチュエータ11は、振動部材21、枠体23、圧電素子30、および、電極パターン41、42を備える。筐体20は、振動部材21、蓋部材22、および、枠体23を備える。
【0015】
振動部材21は、主面F211と主面F212とを有する平板である。振動部材21は、例えば、金属の打ち抜き加工によって形成される。
【0016】
振動部材21は、主平板211、外縁部212、および、連結部213を備える。
【0017】
主平板211は、平面視して円形である。外縁部212は、平面視して環形である。外縁部212の内端は、円形であり、外端は八角形である。平面視において、外縁部212の内端は、主平板211の外縁よりも外方に位置し、主平板211の外縁から離れている。
【0018】
連結部213は、主平板211の外縁と外縁部212の内端との間に配置される。連結部213は、複数であり、主平板211の外縁に沿って、互いに間隔を空けて配列される。連結部213は、梁形状であり、主平板211の外縁と外縁部212の内端とを接続する。この構成によって、主平板211は、外縁部212に対して連結部213を介してベンディング振動可能に保持される。この主平板211と外縁部212との間の領域において、連結部213の存在しない領域が、振動部材21に形成された開口214となる。
【0019】
圧電素子30は、円板であり、圧電体からなる。圧電素子30は、主平板211の主面F211に当接して配置される。
【0020】
蓋部材22は、平面視して八角形である。平面視における蓋部材22の外形形状は、振動部材21の外縁部212の外形形状と略同じである。蓋部材22は、開口220を有する。開口220は、蓋部材22を平面視した略中央に形成される。平面視において、開口220は、圧電素子30よりも小さい。蓋部材22は、例えば、金属の打ち抜き加工によって形成される。
【0021】
枠体23は、平面視して環形であり、円筒形の内部空間230を有する。枠体23の内周端は、円形であり、外周端は八角形である。枠体23は、例えば、金属の打ち抜き加工によって形成される。
【0022】
平面視における、枠体23の内周端の形状は、振動部材21の外縁部212の内端の形状と略相似形である。枠体23の内周端を形成する円形は、外縁部212の内周端を形成する円形よりも大きい。
【0023】
平面視における、枠体23の外周端の形状(外形形状)は、振動部材21の外縁部212の外周端の形状(外形形状)と略相似形である。枠体23の外形形状は、振動部材21の外縁部212の外形形状よりも小さい。例えば、蓋部材22の外形形状は、振動部材21の外縁部212の外形形状の約0.9倍以上1.0倍未満である。なお、この倍率の関係は一例であり、これに限るものではない。
【0024】
平面視において、枠体23は、振動部材21の外縁部212に重なる。そして、枠体23における高さ方向(内端面および外端面に直交する方向)の一方端面は、外縁部212における主面F212に、接着剤241を用いて接着される。
【0025】
また、平面視において、枠体23は、蓋部材22に重なる。そして、枠体23における高さ方向(内端面および外端面に直交する方向)の他方端面は、蓋部材22に接着剤242を用いて接着される。
【0026】
この構成によって、筐体20は、振動部材21、蓋部材22、および、枠体23によって囲まれる内部空間230を有する。この内部空間230が、ポンプ10のポンプ室として機能する。内部空間230は、開口214および開口220によって、筐体20の外部に連通する。
【0027】
電極パターン41は、内部接続部411と外部端子412とを備える。電極パターン41における内部接続部411は、平面視において圧電素子30に重なり、内部接続部411の先端部は、圧電素子30における振動部材21に当接する面と反対側の面に接触する。外部端子412は、平面視において、振動部材21の外縁部212よりも外方に突出する。
【0028】
電極パターン42は、内部接続部421と外部端子422とを備える。電極パターン42における内部接続部421は、平面視において外縁部212に重なり、外縁部212における主面F211に接触する。外部端子422は、平面視において、振動部材21の外縁部212よりも外方に突出する。
【0029】
このような構成によって、アクチュエータ11およびポンプ10は次のように動作する。
【0030】
電極パターン41および電極パターン42を通じて圧電素子30に駆動電圧が印加される。これにより。圧電素子30が歪み、主平板211が振動する。
【0031】
ここで、外縁部212は、枠体23によって固定されている。そして、主平板211は、連結部213によって振動可能に保持されている。したがって、振動部材21では、枠体23によって外縁部212が略固定された状態で、主平板211が振動する。これにより、アクチュエータ11としての機能が実現される。
【0032】
そして、主平板211が振動することによって、外部から開口214を通じて内部空間230に流体を吸入し、内部空間230から開口220を通じて外部に流体を吐出させることが可能になる。なお、流体の流れは、逆も可能である。すなわち、外部から開口220を通じて内部空間230に流体を吸入し、内部空間230から開口214を通じて外部に流体を吐出させることが可能になる。これにより、ポンプ10としての機能が実現される。
【0033】
このようなアクチュエータ11およびポンプ10において、枠体23は、具体的に次の構成を備える。
図3(A)は、枠体の平面図であり、
図3(B)、
図3(C)、
図3(D)、
図3(E)は、枠体の各側面図である。
【0034】
図3(A)-
図3(E)に示すように、枠体23は、内部空間230を有し、凸部239を備える。平面視において、枠体23の外形形状は、凸部239を除き、八角形である。枠体23は、主面231、主面232、側面2331、側面2332、側面2333、側面2334、側面2341、側面2342、側面2343、および、側面2344を備える。
【0035】
主面231と主面232とは、枠体23の厚み方向の両端面であり、互いに対向する。主面231と主面232の外形形状(凸部239を除く)が八角形である。
【0036】
側面2331、側面2332、側面2333、側面2334、側面2341、側面2342、側面2343、および、側面2344は、主面231と主面232とに直交し、主面231と主面232の外縁に接続する。
【0037】
側面2331と側面2332とは対向し、側面2333と側面2334とは対向する。側面2331および側面2332と、側面2333および側面2334とは、互いに垂直の関係にある。
【0038】
側面2341と側面2342とは対向し、側面2343と側面2344とは対向する。側面2341および側面2342と、側面2343および側面2344とは、互いに垂直の関係にある。
【0039】
側面2341は、側面2331と側面2333とを接続する。側面2341は、側面2331および側面2333に対して、枠体23の中心側の為す角が135°となるように配置される。
【0040】
側面2342は、側面2332と側面2334とを接続する。側面2342は、側面2332および側面2334に対して、枠体23の中心側の為す角が135°となるように配置される。
【0041】
側面2343は、側面2331と側面2334とを接続する。側面2343は、側面2331および側面2334に対して、枠体23の中心側の為す角が135°となるように配置される。
【0042】
側面2344は、側面2332と側面2333とを接続する。側面2344は、側面2332および側面2333に対して、枠体23の中心側の為す角が135°となるように配置される。
【0043】
側面2331、側面2332、側面2333、および、側面2334は、同じ長さ(平面視した長さが同じ)である。側面2341、側面2342、側面2343、および、側面2344は、同じ長さ(平面視した長さが同じ)である。側面2331、側面2332、側面2333、および、側面2334は、側面2341、側面2342、側面2343、および、側面2344よりも長い。これにより、
図3(A)に示すように、4つの長辺と4つの短辺とが、外周上で交互に繰り返される八角形が実現される。
【0044】
図3(A)に示すように、枠体23には、平面視において円形の内部空間230を備える。内部空間230は、主面231から主面232まで枠体23を貫通する貫通穴である。
【0045】
枠体23の中心と内部空間230の中心とは一致する。なお、ここでの一致は、製造誤差等によって、各中心が少しズレる場合も含む。
【0046】
枠体23が上述の八角形であり、内部空間230が円形(円筒形)であるので、
側面2331、側面2332、側面2333、および側面2334から中心側の厚みW233は、側面2341、側面2342、側面2343、および、側面2344から中心側の厚みW234よりも小さくなる。言い換えれば、長辺の側面から中心側の厚みW233は、短辺の側面から中心側の厚みW234よりも小さくなる。なお、
図3(A)の厚みW233、W234に示すように、側面から中心側の厚みは、側面と内部空間230との最短距離によって定義される。
【0047】
凸部239は、枠体23の外縁である側面2341から外方に突出する。例えば、凸部239は、半円柱形状であり、側面2341に対して、部分的に突出する。ここでの部分的とは、側面2341の周方向において部分的であることを意味する。凸部239は、枠体23の厚み方向の全体に亘って形成される。
【0048】
例えば、凸部239の突出量は、枠体23の中心から各側面までの距離が約30μmであるときに、約5μmである。なお、この寸法は一例であり、これに限るものではない。
【0049】
このような凸部239を備えることで、枠体23と振動部材21の外縁部212との接着面積、および、枠体23と蓋部材22との接着面積は、凸部239が無い比較構成(従来構成)よりも大きくなる。
【0050】
図4(A)、
図4(B)は、枠体と振動部材との接着状態の一例を示す部分拡大斜視図である。
図4(A)は、本実施形態の構成を示し、
図4(B)は、比較構成を示す。
【0051】
図4(A)と
図4(B)を比較して分かるように、凸部239を備えることによって、枠体23と振動部材21の外縁部212との接触面積は大きくなり、枠体23と振動部材21の外縁部212との接する外形線の長さも長くなる。これにより、枠体23と振動部材21の外縁部212とが接着剤242によって接着される面積は、枠体23の厚み方向の端面のみでなく、側面においても大きくなる。言い換えれば、接着剤242による枠体23および振動部材21の外縁部212に形成されるフィレットも大きくなる。したがって、枠体23と振動部材21の外縁部212との接着強度は、向上する。これにより、アクチュエータ11は、高い信頼性を実現できる。
【0052】
なお、図示を省略しているが、枠体23と蓋部材22との接着も、この枠体23と振動部材21の外縁部212との接着と同様である。したがって、枠体23と振動部材21の外縁部212との接着強度は、向上する。これにより、ポンプ10は、高い信頼性を実現できる。
【0053】
また、振動部材21の外縁部212の外形形状が枠体23の外形形状よりも大きいことによって、接着剤242が枠体23の外方にはみ出しても、振動部材21の外縁部212の外方からはみ出すことは、抑制される。
【0054】
同様に、蓋部材22の外形形状が枠体23の外形形状よりも大きいことによって、接着剤241が枠体23の外方にはみ出しても、蓋部材22の外方からはみ出すことは、抑制される。
【0055】
これにより、筐体20に他の部材を接着または接合するときに、この接着、接合に対して接着剤241、242が悪影響を与えない。
【0056】
また、上述のように、凸部239は、振動部材21の外縁部212および蓋部材22の外形から突出しない方がよい。言い換えれば、凸部239の突出量は、枠体23の中心から側面2341までの距離と、振動部材21の中心から外縁部212における側面2341が接着される部分の外縁までの距離との差の絶対値よりも小さい方がよい。
【0057】
これにより、アクチュエータ11およびポンプ10を平面視して、凸部239が側方に突出することを抑制できる。これにより、アクチュエータ11およびポンプ10の平面形状の大型化は抑制される。また、接着剤241、242がアクチュエータ11およびポンプ10の側面からはみ出すことは抑制される。
【0058】
また、凸部239は、凸部239が形成される側面2341に接続する側面2331および側面2333(本発明の「第1接続側面」および「第2接続側面」に対応)から側面2341側に延びる仮想線(
図3(A)の点線)と側面2341とによって囲まれる空間内に配置される。これにより、凸部239は、平面視における枠体23の側面2331、側面2332、側面2333、および、側面2334を結んでできる四角形内に収まる。したがって、マザー基板M23(
図5参照)に対する隣り合う枠体23の距離Ls(
図5参照)が凸部239によって大きくなることを抑制できる。すなわち、マザー基板M23に対する枠体23の取れ数の低下を抑制できる。
【0059】
なお、凸部239は、枠体23における少なくとも振動部材21の外縁部212側の端部または端部付近に形成されていればよい。これにより、枠体23と振動部材21の外縁部212との接着強度が向上する。したがって、外縁部212をより強固に固定でき、外縁部212への不要な振動の漏れは、抑制される。また、外縁部212は、主平板211の振動の影響を受け易いが、接着強度が向上していることによって、枠体23と外縁部212との剥離を、より確実に抑制できる。
【0060】
また、上述の構成では、凸部239は、短辺となる側面2341に形成される。言い換えれば、凸部239は、枠体23の最も長い側面と異なる側面に形成される。これにより、凸部239は、枠体23における厚みの大きな側壁に形成される。
【0061】
このような位置に凸部239を形成することによって、凸部239を形成することによる不要振動の発生を抑制できる。すなわち、ポンプ10は、平面視した全周に亘った同じ形状であり、枠体23の形状が同じであることによって、振動は全周で均一化し、不要振動は発生し難くなる。ここで、凸部239を形成することで、凸部239を備える部分だけ側壁の厚みは大きくなる。このため、凸部239を備えることで、不要振動は発生し易くなる。しかしながら、厚みの大きな箇所に凸部239を形成することで、厚みの小さな箇所に凸部239を形成するよりも、側壁の厚みの変化は小さくなる。したがって、厚みの小さな箇所に凸部239を形成するよりも、厚みの大きな箇所に凸部239を形成することで、不要振動の発生を抑制できる。
【0062】
また、上述の構成では、平面視における、凸部239の位置と、電極パターン41、42が外方に引き出される位置とは、異なり、離間している。具体的には、電極パターン41、42が外方に引き出される位置は、凸部239の位置に対して、枠体23の内部空間230を介して、略逆側にある。これにより、不要振動が電極パターン41、42に与える悪影響を抑制できる。例えば、不要振動による電極パターン41、42の剥がれ、特に、電極パターン41の剥がれは抑制される。
【0063】
このようなアクチュエータ11およびポンプ10は、次のように製造される。
図5は、枠体の切り出しのイメージ図である。
【0064】
まず、振動部材21、蓋部材22、および、枠体23を、それぞれのマザー基板から切り出す。各マザー基板は、それぞれに延伸処理された金属板である。例えば、枠体23は、
図5に示すように、マザー基板M23の延伸方向に対して、それぞれの枠体23に対する凸部239の位置が一致するように、複数の枠体23は、切り出される。
【0065】
振動部材21および蓋部材22についても、図示は省略するが、マザー基板の延伸方向に対して、向きが一致するように切り出される。
【0066】
振動部材21、蓋部材22、および、枠体23は、接着剤241、242を用いて、接着される。この際、全てのアクチュエータ11およびポンプ10は、いずれにおいても、振動部材21、蓋部材22、および、枠体23の向きが一致するように、接着される。
【0067】
振動部材21に圧電素子30を装着し、電極パターン41、42を装着する。
【0068】
このような製造方法を用いることによって、振動部材21、蓋部材22、および、枠体23によって囲まれる空間(内部空間230)の形状が一致し、安定したポンプ特性を有し、信頼性の高い複数のポンプ10を、安定的に製造できる。なお、安定したポンプ特性とは、例えば、耐久性が高いこと、所望の流量が得られること等である。
【0069】
同様に、安定した振動特性を有し、信頼性の高いアクチュエータ11を製造できる。
【0070】
[枠体の派生例]
図6(A)、
図6(B)、
図6(C)、
図6(D)は、枠体の派生例を示す平面図である。
【0071】
図6(A)に示すように、枠体23Aは、凸部2391A、凸部2394Aを備える。凸部2391Aは、凸部239と同じである。凸部2394Aは、側面2344から突出する形状である。このように、凸部は、複数であってもよい。例えば、凸部2391Aが本発明の「第1凸部」に対応し、凸部2394Aが「第2凸部」に対応する。
図6(B)に示すように、枠体23Bは、凸部2391B、凸部2392B、凸部2393B、および、凸部2394Bを備える。凸部2391Bは、凸部239と同じである。凸部2392Bは、側面2342から突出する形状である。凸部2393Bは、側面2343から突出する形状である。凸部2394Bは、側面2344から突出する形状である。凸部2391Bが本発明の「第1凸部」に対応し、凸部2392B、2393B、2394Bが「第2凸部」に対応する。
【0072】
凸部2392B、凸部2393B、および、凸部2394Bは、同じ形状(第2形状)である。凸部2391Bは、凸部2392B、凸部2393B、および、凸部2394Bと異なる形状(第1形状)である。言い換えれば、枠体23Bは、複数の凸部を備えるが、凸部2391Bのみ異なる形状である。このように、複数の凸部が存在する場合に、他の凸部と異なる形状の凸部が枠体の側面における特定位置に配置されることによって、複数の凸部が備えられていても、枠体23Bの向きを容易に判断できる。
【0073】
図6(C)に示すように、枠体23Cは、凸部2391Cを備える。凸部2391Cは、側面2333から突出する形状である。このように、凸部は、枠体23Cの八角形の長辺から突出する形状であってもよい。しかしながら、上述のいくつかの作用効果を得るために、短辺から突出する形状であることが好ましい。
【0074】
図6(D)に示すように、枠体23Dは、凸部2391Dを備える。凸部2391Dは、側面2331と側面2341とが接続する角部に形成される。このように、凸部は、枠体23Dの角部から突出する形状であってもよい。しかしながら、上述のいくつかの作用効果を得るために、短辺から突出する形状であることが好ましい。
【0075】
これら派生例に示す枠体23A、23B、23C、23Dの凸部の配置および形状、枠体23の凸部の配置および形状は、適宜組み合わせることが可能であり、それぞれの組合せに応じた作用効果を奏することができる。
【0076】
また、上述の説明では、平面視における振動部材21の外形形状および枠体23の外形形状は、八角形であった。しかしながら、平面視における振動部材の外形形状と枠体の外形形状は、他の多角形であってもよい。なお、この際の多角形は、平面視して、直線が交わる角部を有する形状に限るものではなく、曲線からなる形状(R面取り等の丸みを帯びた形状)であってもよい。さらには、振動部材の外形形状と枠体の外形形状とは、完全な相似形でなくてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10:ポンプ
11:アクチュエータ
20:筐体
21:振動部材
22:蓋部材
23、23A、23B、23C、23D:枠体
30:圧電素子
41、42:電極パターン
211:主平板
F211、F212:主面
212:外縁部
213:連結部
214:開口
220:開口
230:内部空間
231、232:主面
239:凸部
241、242:接着剤
411、421:内部接続部
412、422:外部端子
2331、2332、2333、2334、2341、2342、2343、2344:側面
2391A、2391B、2391C、2391D、2392B、2393B、2394A、2394B:凸部