(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】かごの移動方法及び嵩上げ装置
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
B66B5/00 D
(21)【出願番号】P 2023525291
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 JP2021021232
(87)【国際公開番号】W WO2022254668
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡坂 翔
(72)【発明者】
【氏名】山佐 礼司
(72)【発明者】
【氏名】明石 正雄
(72)【発明者】
【氏名】薦田 直
(72)【発明者】
【氏名】照井 健弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴川 槙一郎
(72)【発明者】
【氏名】古川 寛人
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-189344(JP,A)
【文献】中国実用新案第206580412(CN,U)
【文献】国際公開第2020/065774(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00 - 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を移動するかご及びつり合いおもりと、
ねじ孔を有する支持装置と、
前記ねじ孔を用いて前記支持装置に設けられ、前記つり合いおもりの直下に配置された緩衝器と、
前記かご及び前記つり合いおもりを吊り下げるロープと、
前記ロープが巻き掛けられた巻上機と、
を備えたエレベーター装置において、前記かごを下方に移動させるための方法であって、
前記緩衝器を撤去する第1撤去工程と、
前記第1撤去工程の後、前記緩衝器が配置されていた場所にジャッキを配置し、当該ジャッキによって前記つり合いおもりを押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第1移動工程と、
前記第1移動工程の後、前記つり合いおもりから下方に延びるように前記つり合いおもりに第1嵩上げ台を取り付ける第1嵩上げ工程と、
前記第1嵩上げ工程の後、前記第1嵩上げ台の下にジャッキを配置し、当該ジャッキによって前記第1嵩上げ台を押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第2移動工程と、
前記第1撤去工程の後、前記緩衝器が配置されていた場所に第3嵩上げ台を配置する第3嵩上げ工程と、
前記第3嵩上げ工程の後、前記第3嵩上げ台の上にジャッキを配置し、当該ジャッキによって前記つり合いおもりを上方に移動させる第4移動工程と、
を備え
、
前記第1撤去工程において、前記緩衝器が前記支持装置から取り外され、
前記第3嵩上げ工程において、前記ねじ孔を用いて支持板が前記支持装置に取り付けられ、前記支持板に前記第3嵩上げ台が取り付けられるかごの移動方法。
【請求項2】
昇降路を移動するかご及びつり合いおもりと、
ねじ孔を有する支持装置と、
前記ねじ孔を用いて前記支持装置に設けられ、前記つり合いおもりの直下に配置された緩衝器と、
前記かご及び前記つり合いおもりを吊り下げるロープと、
前記ロープが巻き掛けられた巻上機と、
を備えたエレベーター装置において、前記かごを下方に移動させるための方法であって、
前記緩衝器を撤去する第1撤去工程と、
前記つり合いおもりから下方に延びるように前記つり合いおもりに第1嵩上げ台を取り付ける第1嵩上げ工程と、
前記第1嵩上げ工程の後、前記緩衝器が配置されていた場所に配置されたジャッキによって前記第1嵩上げ台を押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第2移動工程と、
前記第1撤去工程の後、前記緩衝器が配置されていた場所に第3嵩上げ台を配置する第3嵩上げ工程と、
前記第3嵩上げ工程の後、前記第3嵩上げ台の上にジャッキを配置し、当該ジャッキによって前記つり合いおもりを上方に移動させる第4移動工程と、
を備え
、
前記第1撤去工程において、前記緩衝器が前記支持装置から取り外され、
前記第3嵩上げ工程において、前記ねじ孔を用いて支持板が前記支持装置に取り付けられ、前記支持板に前記第3嵩上げ台が取り付けられるかごの移動方法。
【請求項3】
前記第2移動工程の後、前記第1嵩上げ台から下方に延びるように前記第1嵩上げ台に第2嵩上げ台を取り付ける第2嵩上げ工程と、
前記第2嵩上げ工程の後、前記第2嵩上げ台の下にジャッキを配置し、当該ジャッキによって前記第2嵩上げ台を押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第3移動工程と、
を更に備えた請求項1又は請求項2に記載のかごの移動方法。
【請求項4】
前記第1嵩上げ工程の前に行われる第2撤去工程を更に備え、
前記つり合いおもりは、
調整おもりを支持する枠体と、
前記緩衝器に対向するように前記枠体に設けられたスペーサと、
を備え、
前記第2撤去工程において、前記スペーサが前記枠体から取り外され、
前記第1嵩上げ工程において、前記第1嵩上げ台は、前記スペーサが配置されていた場所に配置されるように前記枠体に取り付けられる請求項1から請求項3の何れか一項に記載のかごの移動方法。
【請求項5】
前記第3嵩上げ工程は、前記第2移動工程が行われた後に行われる請求項
1から請求項4の何れか一項に記載のかごの移動方法。
【請求項6】
前記第4移動工程の後、前記第3嵩上げ台から上方に延びるように前記第3嵩上げ台に第4嵩上げ台を取り付ける第4嵩上げ工程と、
前記第4嵩上げ工程の後、前記第4嵩上げ台の上にジャッキを配置し、当該ジャッキによって前記つり合いおもりを上方に移動させる第5移動工程と、
を更に備えた請求項
1から請求項
5の何れか一項に記載のかごの移動方法。
【請求項7】
昇降路を移動するかご及びつり合いおもりと、
第1ねじ孔を有する支持装置と、
前記第1ねじ孔を用いて前記支持装置に設けられ、前記つり合いおもりの直下に配置された緩衝器と、
前記かご及び前記つり合いおもりを吊り下げるロープと、
前記ロープが巻き掛けられた巻上機と、
を備え、
前記つり合いおもりは、
第2ねじ孔を有し、調整おもりを支持する枠体と、
前記第2ねじ孔を用いて前記枠体に設けられ、前記緩衝器に対向するスペーサと、
を備えたエレベーター装置において、前記かごを下方に移動させるためにジャッキを用いて前記つり合いおもりを上方に移動させる際に用いられる装置であって、
前記スペーサが取り外された前記枠体に前記第2ねじ孔を用いて取り付け可能な第1嵩上げ台と、
第3ねじ孔を有し、前記緩衝器が取り外された前記支持装置に前記第1ねじ孔を用いて取り付け可能な支持板と、
前記支持板に前記第3ねじ孔を用いて取り付け可能な第2嵩上げ台と、
前記枠体に取り付けられた前記第1嵩上げ台に取り付け可能であり、前記支持板に取り付けられた前記第2嵩上げ台に取り付け可能な第3嵩上げ台と、
を備えた嵩上げ装置。
【請求項8】
昇降路を移動するかご及びつり合いおもりと、
前記つり合いおもりの直下に配置された緩衝器と、
前記かご及び前記つり合いおもりを吊り下げるロープと、
前記ロープが巻き掛けられた巻上機と、
を備えたエレベーター装置において、前記かごを下方に移動させるための方法であって、
前記緩衝器を撤去する第1撤去工程と、
前記つり合いおもりの下方に第1ジャッキを配置し、当該第1ジャッキによって前記つり合いおもりを押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第1移動工程と、
前記第1移動工程の後、前記つり合いおもりの下方に第1嵩上げ台を配置する第1嵩上げ工程と、
前記第1嵩上げ工程の後、前記第1嵩上げ台の上に第2ジャッキを配置し、当該第2ジャッキによって前記つり合いおもりを押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第2移動工程と、
前記第2移動工程の後、前記第1ジャッキを前記つり合いおもりの下から撤去し、前記つり合いおもりの下方に、上面が前記第1嵩上げ台の上面より高い位置に配置されるように第2嵩上げ台を配置する第2嵩上げ工程と、
前記第2嵩上げ工程の後、前記第2嵩上げ台の上に前記第1ジャッキを配置し、当該第1ジャッキによって前記つり合いおもりを押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第3移動工程と、
を備えたかごの移動方法。
【請求項9】
前記第3移動工程の後、前記第2ジャッキを前記第1嵩上げ台の上から撤去し、前記第1嵩上げ台の上に、上面が前記第2嵩上げ台の上面より高い位置に配置されるように第3嵩上げ台を配置する第3嵩上げ工程と、
前記第3嵩上げ工程の後、前記第3嵩上げ台の上に前記第2ジャッキを配置し、当該第2ジャッキによって前記つり合いおもりを押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第4移動工程と、
を更に備えた請求項
8に記載のかごの移動方法。
【請求項10】
前記第1ジャッキで前記つり合いおもりを支持した状態で、前記つり合いおもりから下方に延びるように第4嵩上げ台を取り付ける第4嵩上げ工程と、
前記第4嵩上げ工程の後、前記つり合いおもりの下方に配置された前記第2ジャッキによって前記第4嵩上げ台を押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第5移動工程と、
前記第5移動工程の後、前記第2ジャッキで前記つり合いおもりを支持した状態で、前記第4嵩上げ台の下に第5嵩上げ台を取り付ける第5嵩上げ工程と、
前記第5嵩上げ工程の後、前記第1ジャッキによって前記第5嵩上げ台を押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第6移動工程と、
を更に備えた請求項
8又は請求項
9に記載のかごの移動方法。
【請求項11】
昇降路を移動するかご及びつり合いおもりと、
前記つり合いおもりの直下に配置された緩衝器と、
前記かご及び前記つり合いおもりを吊り下げるロープと、
前記ロープが巻き掛けられた巻上機と、
を備えたエレベーター装置において、前記かごを下方に移動させるための方法であって、
前記緩衝器を撤去する第1撤去工程と、
前記つり合いおもりの下方に第1ジャッキを配置し、当該第1ジャッキによって前記つり合いおもりを押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第1移動工程と、
前記第1移動工程の後、前記第1ジャッキで前記つり合いおもりを支持した状態で、前記つり合いおもりから下方に延びるように第1嵩上げ台を取り付ける第1嵩上げ工程と、
前記第1嵩上げ工程の後、前記つり合いおもりの下方に配置された第2ジャッキによって前記第1嵩上げ台を押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第2移動工程と、
前記第2移動工程の後、前記第2ジャッキで前記つり合いおもりを支持した状態で、前記第1嵩上げ台の下に第2嵩上げ台を取り付ける第2嵩上げ工程と、
前記第2嵩上げ工程の後、前記第1ジャッキによって前記第2嵩上げ台を押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第3移動工程と、
を備えたかごの移動方法。
【請求項12】
前記つり合いおもりの下方に前記第1ジャッキより短い第3ジャッキを配置し、当該第3ジャッキによってつり合いおもりを押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第7移動工程と、
前記第7移動工程の後、前記つり合いおもりの下方にスペーサを配置する配置工程と、
前記配置工程の後、前記スペーサの上に前記第1ジャッキより短い第4ジャッキを配置し、当該第4ジャッキによって前記つり合いおもりを押し上げ、前記つり合いおもりを上方に移動させる第8移動工程と、
前記第8移動工程の後、前記第3ジャッキを撤去する第2撤去工程と、
前記第1移動工程の後、前記第1嵩上げ工程の前に行われる第3撤去工程と、
を備え、
前記第2撤去工程は、前記第1移動工程より前に行われ、
前記第3撤去工程において、前記スペーサと前記第4ジャッキとが撤去される請求項
8から請求項
11の何れか一項に記載の移動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、かごの移動方法と、かごを移動させるために用いられる嵩上げ装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、エレベーターのつり合いおもりを揚重する方法が記載されている。特許文献1に記載された方法でつり合いおもりを揚重することにより、かごが最上階の付近で非常停止した場合でも、かごを下方に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された方法では、つり合いおもりを案内するガイドレールに一対の揚重装置が取り付けられる。作業員は、つり合いおもりの両側に設置された揚重装置を同時に操作しなければならず、作業性が悪いといった問題があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、作業性に優れたかごの移動方法を提供することである。本開示の他の目的は、当該方法において用いられる嵩上げ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るかごの移動方法は、昇降路を移動するかご及びつり合いおもりと、ねじ孔を有する支持装置と、ねじ孔を用いて支持装置に設けられ、つり合いおもりの直下に配置された緩衝器と、かご及びつり合いおもりを吊り下げるロープと、ロープが巻き掛けられた巻上機と、を備えたエレベーター装置において、かごを下方に移動させるための方法である。当該方法は、緩衝器を撤去する第1撤去工程と、第1撤去工程の後、緩衝器が配置されていた場所にジャッキを配置し、当該ジャッキによってつり合いおもりを押し上げ、つり合いおもりを上方に移動させる第1移動工程と、第1移動工程の後、つり合いおもりから下方に延びるようにつり合いおもりに第1嵩上げ台を取り付ける第1嵩上げ工程と、第1嵩上げ工程の後、第1嵩上げ台の下にジャッキを配置し、当該ジャッキによって第1嵩上げ台を押し上げ、つり合いおもりを上方に移動させる第2移動工程と、第1撤去工程の後、緩衝器が配置されていた場所に第3嵩上げ台を配置する第3嵩上げ工程と、第3嵩上げ工程の後、第3嵩上げ台の上にジャッキを配置し、当該ジャッキによってつり合いおもりを上方に移動させる第4移動工程と、を備える。第1撤去工程において、緩衝器が支持装置から取り外される。第3嵩上げ工程において、ねじ孔を用いて支持板が支持装置に取り付けられ、支持板に第3嵩上げ台が取り付けられる。
【0007】
本開示に係るかごの移動方法は、昇降路を移動するかご及びつり合いおもりと、ねじ孔を有する支持装置と、ねじ孔を用いて支持装置に設けられ、つり合いおもりの直下に配置された緩衝器と、かご及びつり合いおもりを吊り下げるロープと、ロープが巻き掛けられた巻上機と、を備えたエレベーター装置において、かごを下方に移動させるための方法である。当該方法は、緩衝器を撤去する第1撤去工程と、つり合いおもりから下方に延びるようにつり合いおもりに第1嵩上げ台を取り付ける第1嵩上げ工程と、第1嵩上げ工程の後、緩衝器が配置されていた場所に配置されたジャッキによって第1嵩上げ台を押し上げ、つり合いおもりを上方に移動させる第2移動工程と、第1撤去工程の後、緩衝器が配置されていた場所に第3嵩上げ台を配置する第3嵩上げ工程と、第3嵩上げ工程の後、第3嵩上げ台の上にジャッキを配置し、当該ジャッキによってつり合いおもりを上方に移動させる第4移動工程と、を備える。第1撤去工程において、緩衝器が支持装置から取り外される。第3嵩上げ工程において、ねじ孔を用いて支持板が支持装置に取り付けられ、支持板に第3嵩上げ台が取り付けられる。
【0008】
本開示に係る嵩上げ装置は、昇降路を移動するかご及びつり合いおもりと、第1ねじ孔を有する支持装置と、第1ねじ孔を用いて支持装置に設けられ、つり合いおもりの直下に配置された緩衝器と、かご及びつり合いおもりを吊り下げるロープと、ロープが巻き掛けられた巻上機と、を備え、つり合いおもりは、第2ねじ孔を有し、調整おもりを支持する枠体と、第2ねじ孔を用いて枠体に設けられ、緩衝器に対向するスペーサと、を備えたエレベーター装置において、かごを下方に移動させるためにジャッキを用いてつり合いおもりを上方に移動させる際に用いられる装置である。当該装置は、スペーサが取り外された枠体に第2ねじ孔を用いて取り付け可能な第1嵩上げ台と、第3ねじ孔を有し、緩衝器が取り外された支持装置に第1ねじ孔を用いて取り付け可能な支持板と、支持板に第3ねじ孔を用いて取り付け可能な第2嵩上げ台と、枠体に取り付けられた第1嵩上げ台に取り付け可能であり、支持板に取り付けられた第2嵩上げ台に取り付け可能な第3嵩上げ台と、を備える。
【0009】
本開示に係るかごの移動方法は、昇降路を移動するかご及びつり合いおもりと、つり合いおもりの直下に配置された緩衝器と、かご及びつり合いおもりを吊り下げるロープと、ロープが巻き掛けられた巻上機と、を備えたエレベーター装置において、かごを下方に移動させるための方法である。当該方法は、緩衝器を撤去する第1撤去工程と、つり合いおもりの下方に第1ジャッキを配置し、当該第1ジャッキによってつり合いおもりを押し上げ、つり合いおもりを上方に移動させる第1移動工程と、第1移動工程の後、つり合いおもりの下方に第1嵩上げ台を配置する第1嵩上げ工程と、第1嵩上げ工程の後、第1嵩上げ台の上に第2ジャッキを配置し、当該第2ジャッキによってつり合いおもりを押し上げ、つり合いおもりを上方に移動させる第2移動工程と、第2移動工程の後、第1ジャッキをつり合いおもりの下から撤去し、つり合いおもりの下方に、上面が第1嵩上げ台の上面より高い位置に配置されるように第2嵩上げ台を配置する第2嵩上げ工程と、第2嵩上げ工程の後、第2嵩上げ台の上に第1ジャッキを配置し、当該第1ジャッキによってつり合いおもりを押し上げ、つり合いおもりを上方に移動させる第3移動工程と、を備える。
【0010】
本開示に係るかごの移動方法は、昇降路を移動するかご及びつり合いおもりと、つり合いおもりの直下に配置された緩衝器と、かご及びつり合いおもりを吊り下げるロープと、ロープが巻き掛けられた巻上機と、を備えたエレベーター装置において、かごを下方に移動させるための方法である。当該方法は、緩衝器を撤去する第1撤去工程と、つり合いおもりの下方に第1ジャッキを配置し、当該第1ジャッキによってつり合いおもりを押し上げ、つり合いおもりを上方に移動させる第1移動工程と、第1移動工程の後、第1ジャッキでつり合いおもりを支持した状態で、つり合いおもりから下方に延びるように第1嵩上げ台を取り付ける第1嵩上げ工程と、第1嵩上げ工程の後、つり合いおもりの下方に配置された第2ジャッキによって第1嵩上げ台を押し上げ、つり合いおもりを上方に移動させる第2移動工程と、第2移動工程の後、第2ジャッキでつり合いおもりを支持した状態で、第1嵩上げ台の下に第2嵩上げ台を取り付ける第2嵩上げ工程と、第2嵩上げ工程の後、第1ジャッキによって第2嵩上げ台を押し上げ、つり合いおもりを上方に移動させる第3移動工程と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、かごを容易に下方に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】かごを下方に移動させる方法を示すフローチャートである。
【
図10】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図11】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図12】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図13】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図14】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図15】嵩上げ台の他の固定方法を説明するための図である。
【
図16】かごを下方に移動させる方法を示すフローチャートである。
【
図17】かごを下方に移動させる方法を示すフローチャートである。
【
図18】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図19】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図20】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図21】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図22】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図23】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図24】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図25】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図26】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図27】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図28】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図29】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図30】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図31】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図32】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図33】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図34】かごの移動方法を説明するための図である。
【
図36】
図19に示すピットのE-E断面に相当する図である。
【
図37】
図20に示すピットのE-E断面に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して詳細な説明を行う。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0014】
実施の形態1.
図1は、エレベーター装置の例を示す図である。エレベーター装置は、かご1及びつり合いおもり2を備える。かご1は、昇降路3を上下に移動する。つり合いおもり2は、昇降路3を上下に移動する。かご1及びつり合いおもり2は、ロープ4によって昇降路3に吊り下げられる。
【0015】
ロープ4は、巻上機5に巻き掛けられる。具体的に、ロープ4は、巻上機5の綱車6に巻き掛けられる。巻上機5は、かご1を駆動する。制御装置7は、巻上機5を制御する。即ち、かご1の移動は、制御装置7によって制御される。巻上機5及び制御装置7は、昇降路3の頂部に設けられる。
【0016】
図1は、一例として、2:1ローピング方式のエレベーター装置を示す。
図1に示す例では、ロープ4の一方の端部4aは、昇降路3の頂部に設けられる。ロープ4のもう一方の端部4bは、昇降路3の頂部に設けられる。かご1は、吊り車8及び吊り車9を備える。つり合いおもり2は、吊り車10を備える。ロープ4は、端部4aから下方に延び、吊り車8、吊り車9、綱車6、及び吊り車10に順次巻き掛けられる。
【0017】
昇降路3のピット3aに、緩衝器11及び緩衝器12が設けられる。緩衝器11は、かご1の直下に配置される。緩衝器12は、つり合いおもり2の直下に配置される。
【0018】
通信装置13は、制御装置7に接続される。通信装置13は、エレベーター装置が外部と通信するための装置である。通信装置13は、ネットワーク14を介して外部と通信する。当該外部には、本エレベーター装置を監視する遠隔の監視センター等が含まれる。
【0019】
通常、このようなエレベーター装置で故障が発生すると、作業員は、乗場15からかご1の上に移動し、かご1の上で復旧のための作業を行う。しかし、エレベーター装置で故障或いは停電等が発生すると、かご1の移動を電気的に行うことができなくなる場合がある。このような場合に、かご1が例えば最上階の乗場15の付近に停止していると、作業員はかご1の上に移動することができない。
【0020】
かご1の移動を電気的に行うことができなくても、巻上機5に備えられたブレーキ装置(図示せず)を手動で解放することができれば、かご1が移動する場合がある。しかし、巻上機5が昇降路3の頂部に設置されている場合、作業員は、かご1の上に移動しなければ当該ブレーキ装置を操作することができない。仮に、当該ブレーキ装置を解放することができたとしても、かご1がつり合いおもり2より軽い場合は、作業員は、最上階付近に停止しているかご1に重量物を載せて、かご1をつり合いおもり2より重くしなければならない。
【0021】
そこで、作業員は、昇降路3のピット3aでつり合いおもり2を上方に移動させることにより、乗場15からかご1の上に移動することができる位置までかご1を下方に移動させる。以下に、当該方法について詳しく説明する。
【0022】
図2は、昇降路3のピット3aの例を示す図である。つり合いおもり2は、吊り車10の他に、調整おもり21、枠体22、ガイドローラ23、及びスペーサ24を備える。
【0023】
調整おもり21は、つり合いおもり2の全体の重量を調整するためのおもりである。調整おもり21は、枠体22に支持される。吊り車10は、枠体22に回転可能に設けられる。また、枠体22に、ガイドローラ23が設けられる。ガイドローラ23がガイドレール16に接触しながら回転することにより、つり合いおもり2の移動がガイドレール16によって案内される。つり合いおもり2は、ガイドローラ23の代わりにガイドシューを備えても良い。
【0024】
ガイドレール16は、ピット3aから鉛直に延びる。ガイドレール16は、その下端が支持装置17によって支持される。支持装置17は、ピット3aの床に設けられる。支持装置17は、一方のガイドレール16の下端ともう一方のガイドレール16の下端とを繋ぐようにつり合いおもり2の下方に配置される。
【0025】
緩衝器12は、つり合いおもり2が落下した際にその衝撃を和らげるための装置である。このため、緩衝器12は、つり合いおもり2の直下に配置される。緩衝器12は、支持装置17から上方に突出するように支持装置17に設けられる。
図2に示す例では、支持装置17は、ねじ孔(図示せず)を有する。当該ねじ孔は、支持装置17の上向きの面に形成される。緩衝器12は、当該ねじ孔を用いて支持装置17に設けられる。ボルト18は、緩衝器12の土台部分を貫通し、当該ねじ孔にねじ込まれている。以下においては、支持装置17に形成された当該ねじ孔をねじ孔Aとも表記する。
【0026】
スペーサ24は、つり合いおもり2が落下した際に緩衝器12に上方から衝突する部材である。このため、スペーサ24は、緩衝器12に対向するように配置される。スペーサ24は、枠体22から下方に突出するように枠体22に設けられる。
図2に示す例では、枠体22は、ねじ孔(図示せず)を有する。当該ねじ孔は、枠体22の下向きの面に形成される。スペーサ24は、当該ねじ孔を用いて枠体22に設けられる。ボルト25は、スペーサ24の上側のフランジ部分を貫通し、当該ねじ孔にねじ込まれている。以下においては、枠体22に形成された当該ねじ孔をねじ孔Bとも表記する。
【0027】
図3は、かご1を下方に移動させる方法を示すフローチャートである。
図4から
図14は、かご1の移動方法を説明するための図である。
図4から
図14は、昇降路3のピット3aを示す。例えば、停電が発生してかご1が最上階の乗場15の付近で停止すると、つり合いおもり2は、
図2に示すように緩衝器12のすぐ上に配置される。
【0028】
作業員は、先ず、最下階の乗場15から昇降路3のピット3aに進入する(S101)。作業員は、ピット3aにおいて、緩衝器12をつり合いおもり2の下から撤去する(S102)。具体的に、作業員は、S102において、ボルト18を緩めて緩衝器12を支持装置17から取り外す。
【0029】
また、作業員は、ピット3aにおいて、スペーサ24をつり合いおもり2から撤去する(S103)。具体的に、作業員は、S103において、ボルト25を緩めてスペーサ24を枠体22から取り外す。S103に示す撤去工程は、S102に示す撤去工程より前に行われても良い。
図4は、緩衝器12が支持装置17から取り外され、スペーサ24が枠体22から取り外された状態を示す。
【0030】
次に、作業員は、ジャッキ30をつり合いおもり2の下に設置する(S104)。具体的に、作業員は、S102で撤去された緩衝器12が配置されていた場所にジャッキ30を配置する。なお、「緩衝器12が配置されていた場所にジャッキ30を配置する」とは、ジャッキ30の一部のみが、緩衝器12が配置されていた場所に配置される場合を含む。
図5は、S104でジャッキ30がつり合いおもり2の下に設置された状態を示す。ジャッキ30は、例えば油圧ジャッキである。
図5は、ジャッキ30の上端が枠体22に下から突き当てられた状態を示している。
【0031】
次に、作業員は、ジャッキ30によってつり合いおもり2を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S105)。作業員は、つり合いおもり2を上方に移動させると、ジャッキ30をつり合いおもり2の下から撤去する(S106)。
【0032】
S105でつり合いおもり2が上方に移動すると、ロープ4が弛む。綱車6の回転は巻上機5に備えられたブレーキ装置によって阻止されているため、ロープ4が弛んでも綱車6は回転しない。しかし、ロープ4にはかご1の重量が作用している。このため、S105でつり合いおもり2が上方に移動すると、ロープ4が綱車6を滑ることによってかご1が下方に移動する。なお、かご1が下方に移動することによってロープ4に張力が作用すると、ジャッキ30をつり合いおもり2の下から外しても、かご1及びつり合いおもり2は移動しない。
【0033】
作業員は、つり合いおもり2の下からジャッキ30を外すと、つり合いおもり2に嵩上げ台31を取り付ける(S107)。
図6は、S107の嵩上げ工程でつり合いおもり2に嵩上げ台31が取り付けられた状態を示す。嵩上げ台31は、つり合いおもり2から下方に延びるようにつり合いおもり2に取り付けられる。
【0034】
嵩上げ台31は、枠体22に形成されたねじ孔Bを用いて枠体22に取り付けられても良い。
図6は、嵩上げ台31がボルト25によって枠体22の下向きの面に取り付けられた状態を示す。ボルト25は、嵩上げ台31の上側のフランジ部分を貫通し、ねじ孔Bにねじ込まれている。
図6に示す例では、嵩上げ台31は、S103で撤去されたスペーサ24が配置されていた場所に配置される。なお、「スペーサ24が配置されていた場所に配置される」とは、嵩上げ台31の一部のみが、スペーサ24が配置されていた場所に配置される場合を含む。
【0035】
次に、作業員は、S107で取り付けた嵩上げ台31の下にジャッキ30を設置する(S108)。具体的に、作業員は、緩衝器12が配置されていた場所にジャッキ30を配置する。
図7は、S108でジャッキ30が嵩上げ台31の下に配置された状態を示す。
【0036】
次に、作業員は、ジャッキ30によって嵩上げ台31を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S109)。
図8は、ジャッキ30によって嵩上げ台31が押し上げられた状態を示す。上述したように、ジャッキ30によってつり合いおもり2を上方に移動させることにより、かご1が下方に移動する。
【0037】
作業員は、かご1を下方に移動させると、かご1を更に移動させる必要があるか否かを判定する(S110)。作業員が最上階の乗場15からかご1の上に移動することができる高さにかご1が配置されていれば、S110でNoと判定される。かご1を更に下方に移動させなければ作業員がかご1の上に乗ることができなければ、S110でYesと判定される。S110でYesと判定されると、S106からS109に示す一連の動作が繰り返し行われる。
【0038】
例えば、作業員は、ジャッキ30によって嵩上げ台31を押し上げた後にS110でYesと判定すると、ジャッキ30を嵩上げ台31の下から撤去する(S106)。次に、作業員は、S107の嵩上げ工程において、つり合いおもり2に取り付けられた嵩上げ台31に嵩上げ台32を更に取り付ける。
図9は、S107で嵩上げ台31に嵩上げ台32が取り付けられた状態を示す。嵩上げ台32は、嵩上げ台31から下方に延びるように嵩上げ台31に取り付けられる。
【0039】
一例として、嵩上げ台31の下側のフランジ部分に取付孔が形成される。嵩上げ台32の上側のフランジ部分に取付孔が形成される。嵩上げ台32は、これらの取付孔を貫通するボルトとこのボルトに嵌め込まれたナットとによって嵩上げ台31に固定される。
【0040】
次に、作業員は、S107で取り付けた嵩上げ台32の下にジャッキ30を設置する(S108)。具体的に、作業員は、緩衝器12が配置されていた場所にジャッキ30を配置する。
図10は、S108でジャッキ30が嵩上げ台32の下に配置された状態を示す。
【0041】
次に、作業員は、ジャッキ30によって嵩上げ台32を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S109)。これにより、かご1が下方に移動する。
【0042】
図11は、S110で更にYesと判定され、嵩上げ台32の下に嵩上げ台33が取り付けられた状態を示す。また、
図11は、S109でジャッキ30によって嵩上げ台33が押し上げられた状態を示す。S110でYesと判定した後にS107で嵩上げ工程を行う場合、作業員は、つり合いおもり2に取り付けられている嵩上げ台のうち一番下に配置されている嵩上げ台に、追加の嵩上げ台を取り付ければ良い。
【0043】
他の例として、S107の嵩上げ工程では、嵩上げ台を支持装置17の上に設置しても良い。例えば、S107で嵩上げ台33を取り付けた後にS110でYesと判定すると、作業員は、ジャッキ30を嵩上げ台33の下から撤去する(S106)。次に、作業員は、S107の嵩上げ工程において、嵩上げ台34を支持装置17の上に載せる。
図12は、S107において、緩衝器12が配置されていた場所に嵩上げ台34が配置された状態を示す。なお、「緩衝器12が配置されていた場所に嵩上げ台34が配置される」とは、嵩上げ台34の一部のみが、緩衝器12が配置されていた場所に配置される場合を含む。
【0044】
次に、作業員は、S107で支持装置17に載せた嵩上げ台34の上にジャッキ30を設置する(S108)。そして、作業員は、嵩上げ台34に載せたジャッキ30によって嵩上げ台33を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S109)。
図13は、嵩上げ台34の上に載せられたジャッキ30によって嵩上げ台33が押し上げられた状態を示す。これにより、かご1が下方に移動する。
【0045】
S107で嵩上げ台34を設置した後にS110で更にYesと判定した場合、作業員は、S107の嵩上げ工程において、嵩上げ台34の上に更に嵩上げ台35を載せても良い。例えば、
図13に示す状態においてS110でYesと判定すると、作業員は、ジャッキ30を嵩上げ台34の上から撤去する(S106)。次に、作業員は、S107の嵩上げ工程において、嵩上げ台34の上に嵩上げ台35を取り付ける。
図14は、S107において、嵩上げ台34に嵩上げ台35が取り付けられた状態を示す。嵩上げ台35は、嵩上げ台34から上方に延びるように嵩上げ台34に取り付けられる。
【0046】
一例として、嵩上げ台34の上側のフランジ部分に取付孔が形成される。嵩上げ台35の下側のフランジ部分に取付孔が形成される。嵩上げ台35は、これらの取付孔を貫通するボルトとこのボルトに嵌め込まれたナットとによって嵩上げ台34に固定される。
【0047】
次に、作業員は、S107で取り付けた嵩上げ台35の上にジャッキ30を設置する(S108)。そして、作業員は、嵩上げ台35の上に配置したジャッキ30によって嵩上げ台33を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S109)。これにより、かご1が下方に移動する。
【0048】
なお、支持装置17に積み上げられる嵩上げ台の数が多くなると、ジャッキ30の操作が難しくなる。1つの嵩上げ台の高さが50cm程度であれば、支持装置17に積み上げる嵩上げ台の数は2つまでであることが好ましい。
【0049】
S110でNoと判定すると、作業員は、最上階の乗場15に移動する。そして、作業員は、最上階の乗場15でドアを開け、乗場15からかご1の上に移動する(S111)。作業員は、かご1の上において、復旧のために必要な作業を行うことができる。
【0050】
本実施の形態に示す方法では、作業員は、ジャッキ30によってかご1を上方に移動させることができる。このため、当該方法は作業性に優れる。作業員は、短時間で且つ少ない労力でかご1を下方に移動させることができる。
【0051】
図1は、巻上機5及び制御装置7が昇降路3の頂部に設置される例を示す。巻上機5及び制御装置7が設置される場所は、昇降路3の頂部に限定されない。
【0052】
本実施の形態では、1つのジャッキ30によってかご1を移動させる方法について説明した。作業員は、複数のジャッキを用いてかご1を移動させても良い。例えば、つり合いおもり2の下に形成されるスペースに合わせて、S104では短いジャッキを用い、S108では長いジャッキを用いても良い。
【0053】
本実施の形態では、嵩上げ台34を支持装置17の上に単に載せる例について説明した。これは一例である。嵩上げ台34は、ボルト等を用いて支持装置17に固定されても良い。例えば、嵩上げ台34の下側のフランジ部分に、ねじ孔Aの位置に合わせて取付孔が形成される。ボルト18は、嵩上げ台34の下側のフランジ部分を貫通し、ねじ孔Aにねじ込まれる。
【0054】
図15は、嵩上げ台34の他の固定方法を説明するための図である。
図15に示す例では、嵩上げ台34は、支持板36を介して支持装置17に固定される。作業員は、S107の嵩上げ工程において、ねじ孔Aを用いて支持板36を支持装置17に取り付ける。例えば、支持板36に、ねじ孔Aの位置に合わせて取付孔が形成される。ボルト18は、支持板36を貫通し、ねじ孔Aにねじ込まれる。
【0055】
また、支持板36に、ねじ孔(図示せず)が形成される。以下においては、支持板36に形成された当該ねじ孔をねじ孔Cとも表記する。嵩上げ台34は、ねじ孔Cを用いて支持板36に取り付けられる。例えば、嵩上げ台34の下側のフランジ部分には、ねじ孔Cの位置に合わせて取付孔が形成される。ボルト37は、嵩上げ台34の下側のフランジ部分を貫通し、ねじ孔Cにねじ込まれる。
【0056】
本実施の形態では、緩衝器12及びスペーサ24を撤去した直後にジャッキ30によって枠体22を押し上げる例について説明した。これは一例である。緩衝器12及びスペーサ24を撤去した直後に嵩上げ台31を枠体22に取り付けても嵩上げ台31の下にジャッキ30を配置するスペースが確保できるのであれば、S103の直後のS104からS106に示す動作は実施されなくても良い。
【0057】
また、嵩上げ台31を取り付けるためのねじ孔或いは取付孔がスペーサ24に形成され、且つスペーサ24を撤去しなくてもスペーサ24の下にジャッキ30を配置するスペースが確保できるのであれば、S103に示す動作は実施されなくても良い。かかる場合、S107の嵩上げ工程において、嵩上げ台31は、つり合いおもり2から下方に延びるようにスペーサ24に取り付けられる。
【0058】
本実施の形態では、嵩上げ台32~35が同じ形状である例について説明した。このため、例えば、嵩上げ台32は、嵩上げ台34にも取り付け可能である。嵩上げ台35は、嵩上げ台33にも取り付け可能である。嵩上げ台32~35は同じ形状でなくても良い。嵩上げ台31~35が同じ形状であっても良い。なお、本実施の形態に示す例では、嵩上げ台32~35のそれぞれは、上下逆に配置しても同じように使用できる。
【0059】
実施の形態2.
本実施の形態では、つり合いおもり2を常に支えながらかご1を下方に移動させる例について説明する。
図16及び
図17は、かご1を下方に移動させる方法を示すフローチャートである。
図16及び
図17は、作業員が行う一連の動作例を示す。
【0060】
図18から
図34は、かご1の移動方法を説明するための図である。
図18から
図34は、昇降路3のピット3aを示す。本実施の形態では、つり合いおもり2が
図18に示すように緩衝器12に支えられた状態でかご1が停止した例について説明する。本実施の形態に示す例においても、作業員は、昇降路3のピット3aでつり合いおもり2を上方に移動させることにより、乗場15からかご1の上に移動することができる位置までかご1を下方に移動させる。
【0061】
図35は、
図18のD-D断面を示す図である。本実施の形態に示す例では、緩衝器12は、支持装置17のブロック状のベース部19にボルト18を用いて固定されている。
図18及び
図35では、支持装置17がガイドレール16を支持する構造の詳細を省略している。
【0062】
作業員は、最下階の乗場15から昇降路3のピット3aに進入する(S201)。作業員は、ピット3aにおいて、先ず、支持台40及びジャッキ41を設置する(S202)。
図19は、S202でジャッキ41が設置された状態を示す。
図36は、
図19に示すピット3aのE-E断面(
図35参照)に相当する図である。
【0063】
S202において、作業員は、先ず、支持台40等を設置するためのスペースを確保するために、4本のボルト18を取り外す。次に、作業員は、
図36に示すように支持台40を設置する。
図36に示す例では、支持台40は、ベース部19の上に載せられた緩衝器12の上にその一部が更に載るように配置される。
【0064】
次に、作業員は、
図36に示すように支持台40の上にジャッキ41を設置する。ジャッキ41は、つり合いおもり2の枠体22の直下に配置される。一例として、ジャッキ41は、つり合いおもり2が緩衝器12に支えられた状態でつり合いおもり2の下方に配置することが可能な小型の油圧ジャッキである。ジャッキ41は、緩衝器12に隣接するように配置される。
【0065】
次に、作業員は、ジャッキ41によってつり合いおもり2を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S203)。S203に示す移動工程では、ジャッキ41の先端が枠体22に接触するまで、つり合いおもり2は、緩衝器12に支持される。ジャッキ41の先端が枠体22に接触すると、つり合いおもり2は緩衝器12から離れる。これにより、つり合いおもり2はジャッキ41によって支持され、緩衝器12につり合いおもり2の荷重は作用しなくなる。
【0066】
次に、作業員は、つり合いおもり2の下方に支持台42及びジャッキ43を設置する(S204)。S204に示す工程の間、つり合いおもり2は、ジャッキ41によって支持されている。
図20は、S204でジャッキ43が設置された状態を示す。
図37は、
図20に示すピット3aのE-E断面に相当する図である。
【0067】
図38は、支持台42及びジャッキ43の例を示す図である。S204において、作業員は、先ず、
図37に示すように支持台42を設置する。支持台42は、ベース部19と緩衝器12とを跨ぐように配置される。即ち、
図20及び
図37に示す状態において、支持台42は、ベース部19及び緩衝器12に接触していない。
【0068】
次に、作業員は、
図37に示すように支持台42の上にジャッキ43を設置する。ジャッキ43は、つり合いおもり2の枠体22の直下に配置される。一例として、ジャッキ43は、ジャッキ41と同種の小型の油圧ジャッキである。ジャッキ43は、緩衝器12がジャッキ41とジャッキ43との間に配置されるように、緩衝器12に隣接するように配置される。
【0069】
次に、作業員は、ジャッキ43によってつり合いおもり2を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S205)。
図37に示すように、支持台42の上面は支持台40の上面より高い位置に配置される。S205に示す移動工程では、ジャッキ43の先端が枠体22に接触するまで、つり合いおもり2は、ジャッキ41に支持される。ジャッキ43の先端が枠体22に接触すると、つり合いおもり2はジャッキ41から離れる。これにより、つり合いおもり2はジャッキ43によって支持され、ジャッキ41につり合いおもり2の荷重は作用しなくなる。
【0070】
次に、作業員は、支持台40及びジャッキ41をつり合いおもり2の下から撤去する。更に、作業員は、緩衝器12をつり合いおもり2の下から撤去する(S206)。S206に示す撤去工程の間、つり合いおもり2は、ジャッキ43によって支持されている。
図21は、S206で緩衝器12が撤去された状態を示す。
【0071】
次に、作業員は、S206で撤去したジャッキ41を、より高い位置に再設置する(S207)。S207に示す再設置工程の間、つり合いおもり2は、ジャッキ43によって支持されている。
図22は、S207でジャッキ41が再設置された状態を示す。
【0072】
S207において、作業員は、先ず、支持台44をつり合いおもり2の枠体22の直下に配置する。一例として、支持台44は、支持台42と同じ形状である。次に、作業員は、支持台44の上にスペーサ45を設置し、スペーサ45をつり合いおもり2の枠体22の直下に配置する。スペーサ45は、ジャッキ41をジャッキ43より高い位置に配置するための部材である。
【0073】
次に、作業員は、スペーサ45の上にジャッキ41を設置する。これにより、ジャッキ41は、スペーサ45の高さ分だけジャッキ43より高い位置に配置される。また、ジャッキ41は、つり合いおもり2の枠体22の直下に配置される。
【0074】
次に、作業員は、スペーサ45の上に配置されたジャッキ41によってつり合いおもり2を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S208)。S208に示す移動工程では、ジャッキ41の先端が枠体22に接触するまで、つり合いおもり2は、ジャッキ43に支持される。ジャッキ41の先端が枠体22に接触すると、つり合いおもり2はジャッキ43から離れる。これにより、つり合いおもり2はジャッキ41によって支持され、ジャッキ43につり合いおもり2の荷重は作用しなくなる。
【0075】
次に、作業員は、支持台42及びジャッキ43をつり合いおもり2の下から撤去する(S209)。S209に示す撤去工程の間、つり合いおもり2は、ジャッキ41によって支持されている。
図23は、S209でジャッキ43が撤去された状態を示す。
【0076】
次に、作業員は、つり合いおもり2に嵩上げ台50を取り付ける(S210)。また、作業員は、つり合いおもり2の下方に支持板46及びジャッキ47を設置する(S211)。S210及びS211に示す工程の間、つり合いおもり2は、ジャッキ41によって支持されている。
図24は、S211でジャッキ47が設置された状態を示す。
【0077】
S210において、嵩上げ台50は、つり合いおもり2から下方に延びるようにつり合いおもり2に取り付けられる。
図24は、嵩上げ台50が枠体22の下向きの面に取り付けられる例を示す。上述したように、嵩上げ台50がつり合いおもり2に取り付けられる間もつり合いおもりはジャッキ41によって支持される。ジャッキ41は、S210における当該作業において嵩上げ台50と干渉し合うことがないように予め位置決めされている。
【0078】
図39は、支持板46の例を示す図である。支持板46は板状の部材である。S211において、作業員は、先ず、支持板46をベース部19に取り付ける。一例として、支持板46は、ボルト18が取り付けられていた4つのねじ孔を用いてベース部19にボルト固定される。
【0079】
次に、作業員は、支持板46の上にジャッキ47を設置する。一例として、ジャッキ47は、ジャッキ41及びジャッキ43より長い油圧ジャッキである。支持板46の上に設置されたジャッキ47は、つり合いおもり2に取り付けられた嵩上げ台50の一方の端部の直下に配置される。
【0080】
次に、作業員は、ジャッキ47によってつり合いおもり2を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S212)。具体的に、作業員は、ジャッキ47の先端を嵩上げ台50に突き当てることによって、つり合いおもり2を押し上げる。
【0081】
S212に示す移動工程では、ジャッキ47の先端が嵩上げ台50に接触するまで、つり合いおもり2は、ジャッキ41に支持される。ジャッキ47の先端が嵩上げ台50に接触すると、つり合いおもり2はジャッキ41から離れる。これにより、つり合いおもり2はジャッキ47によって支持され、ジャッキ41につり合いおもり2の荷重は作用しなくなる。
図25は、ジャッキ47によってつり合いおもり2が押し上げられた状態を示す。
【0082】
次に、作業員は、支持台44、スペーサ45、及びジャッキ41をつり合いおもり2の下から撤去する(S213)。S213に示す撤去工程の間、つり合いおもり2は、ジャッキ47によって支持されている。
【0083】
次に、作業員は、つり合いおもり2の下方に嵩上げ台51及びジャッキ48を設置する(S214)。S214に示す工程の間、つり合いおもり2は、ジャッキ47によって支持されている。以下においては、ジャッキ48の下に配置される嵩上げ台に符号51を付す。後述するように、ジャッキ48の下には複数の嵩上げ台51が配置される。符号51の後に続く「-N」は、下からN番目の嵩上げ台51であることを示す。
図26は、S214で嵩上げ台51-1とジャッキ48とが設置された状態を示す。
【0084】
S214において、作業員は、先ず、支持板46の上に嵩上げ台51-1を設置する。一例として、嵩上げ台51-1は、支持板46にボルト固定される。次に、作業員は、嵩上げ台51-1の上にジャッキ48を設置する。これにより、ジャッキ48は、嵩上げ台51-1の高さ分だけジャッキ47より高い位置に配置される。一例として、ジャッキ48は、ジャッキ41及びジャッキ43より長い油圧ジャッキである。ジャッキ48は、ジャッキ47と同種の油圧ジャッキであることが好ましい。嵩上げ台51-1の上に配置されたジャッキ48は、つり合いおもり2に取り付けられた嵩上げ台50のもう一方の端部の直下に配置される。
【0085】
次に、作業員は、ジャッキ48によってつり合いおもり2を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S215)。具体的に、作業員は、ジャッキ48の先端を嵩上げ台50に突き当てることによって、つり合いおもり2を押し上げる。
【0086】
S215に示す移動工程では、ジャッキ48の先端が嵩上げ台50に接触するまで、つり合いおもり2は、ジャッキ47に支持される。ジャッキ48の先端が嵩上げ台50に接触すると、嵩上げ台50はジャッキ47から離れる。これにより、つり合いおもり2はジャッキ48によって支持され、ジャッキ47につり合いおもり2の荷重は作用しなくなる。
【0087】
次に、作業員は、ジャッキ47をつり合いおもり2の下から撤去する(S216)。作業員は、つり合いおもり2の下からジャッキ47を撤去すると、つり合いおもり2の下方に嵩上げ台52を設置した上でジャッキ47を設置し直す(S217)。S216及びS217に示す工程の間、つり合いおもり2は、ジャッキ48によって支持されている。
【0088】
以下においては、ジャッキ47の下に配置される嵩上げ台に符号52を付す。一例として、嵩上げ台52は、嵩上げ台51と同じ形状である。後述するように、ジャッキ47の下には複数の嵩上げ台52が配置される。符号52の後に続く「-N」は、下からN番目の嵩上げ台52であることを示す。
図27は、S217で嵩上げ台52-1~52-2とジャッキ47とが設置された状態を示す。
【0089】
S217において、作業員は、支持板46の上に嵩上げ台52-1を設置する。一例として、嵩上げ台52-1は、支持板46にボルト固定される。次に、作業員は、嵩上げ台52-1の上に嵩上げ台52-2を設置する。これにより、嵩上げ台52-2の上面は、ジャッキ48が載っている嵩上げ台51-1の上面より高い位置に配置される。作業員は、嵩上げ台52-2の上にジャッキ47を設置する。嵩上げ台52-2の上に配置されたジャッキ47は、つり合いおもり2に取り付けられた嵩上げ台50の一方の端部の直下に配置される。
【0090】
本実施の形態では、嵩上げ台51と嵩上げ台52とが同じ形状である好適な例を示しているため、S217において2つの嵩上げ台52をつり合いおもり2の下方に配置している。他の例として、作業員は、S217において1つの嵩上げ台52をつり合いおもり2の下方に配置することによって必要な高さを確保しても良い。
【0091】
次に、作業員は、ジャッキ47によってつり合いおもり2を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S218)。具体的に、作業員は、ジャッキ47の先端を嵩上げ台50に突き当てることによって、つり合いおもり2を押し上げる。
【0092】
S218に示す移動工程では、ジャッキ47の先端が嵩上げ台50に接触するまで、つり合いおもり2は、ジャッキ48に支持される。ジャッキ47の先端が嵩上げ台50に接触すると、嵩上げ台50はジャッキ48から離れる。これにより、つり合いおもり2はジャッキ47によって支持され、ジャッキ48につり合いおもり2の荷重は作用しなくなる。
【0093】
次に、作業員は、下部の嵩上げ工程を更に行う必要があるか否かを判定する(S219)。下部の嵩上げ工程とは、つり合いおもり2を上方に移動させるためにジャッキ47及び48の下に嵩上げ台を追加する工程である。ジャッキ47及び48の位置が高すぎると、ジャッキ47及び48の操作が困難になる。作業員は、S218でつり合いおもり2を上方に移動させた後、ジャッキ48を更に上方に移動させるとジャッキ48の操作が困難になると判断すれば、S219でNoと判定する。作業員は、S215でつり合いおもり2を上方に移動させた後、ジャッキ47を更に上方に移動させるとジャッキ47の操作が困難になると判断すれば、S219でNoと判定しても良い。
【0094】
一方、作業員は、S218でつり合いおもり2を上方に移動させた後、ジャッキ48を更に上方に移動させてもジャッキ48の操作に特に問題はないと判断すれば、S219でYesと判定する。作業員は、S215でつり合いおもり2を上方に移動させた後、ジャッキ47を更に上方に移動させてもジャッキ47の操作に特に問題はないと判断すれば、S219でYesと判定する。
【0095】
S219でYesと判定すると、作業員は、ジャッキ48をつり合いおもり2の下から撤去する(S220)。作業員は、嵩上げ台51-1の上からジャッキ48を撤去すると、嵩上げ台51-1の上に嵩上げ台51を追加し、ジャッキ48を設置し直す(S214)。
図28は、嵩上げ台51-1の上に嵩上げ台51-2~51-3が追加され、嵩上げ台51-3の上にジャッキ48が設置された状態を示す。嵩上げ台51-3の上面は、ジャッキ47が載っている嵩上げ台52-2の上面より高い位置に配置される。なお、作業員は、当該工程において1つの嵩上げ台51をつり合いおもり2の下方に配置することによって必要な高さを確保しても良い。
【0096】
次に、作業員は、ジャッキ48によってつり合いおもり2を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S215)。
図29は、
図28に示す状態からつり合いおもり2が押し上げられた状態を示す。一例として、作業員は、
図29に示す状態においてS219でNoと判定する。
【0097】
S215に示す移動工程の直後にS219でYesと判定すると、作業員は、ジャッキ47の下に嵩上げ台52を追加することによって、ジャッキ47をジャッキ48と同じ高さに配置する(S221)。
図29に示す例であれば、作業員は、S221において、ジャッキ47の下に嵩上げ台52-3を追加する。この間、つり合いおもり2は、ジャッキ48によって支持されている。また、作業員は、S218に示す移動工程の直後にS219でYesと判定すると、ジャッキ48の下に嵩上げ台51を追加することによって、ジャッキ48をジャッキ47と同じ高さに配置する(S221)。
【0098】
S221でジャッキ47とジャッキ48とを同じ高さに配置すると、作業員は、上部の嵩上げ工程を行う。上部の嵩上げ工程とは、つり合いおもり2を上方に移動させるためにジャッキ47及び48の上に嵩上げ台を追加する工程である。先ず、作業員は、嵩上げ台50に嵩上げ台53を取り付ける(S222)。S222に示す嵩上げ工程の間、つり合いおもり2は、ジャッキ48によって支持されている。
【0099】
S222において、嵩上げ台53は、つり合いおもり2から下方に延びるようにつり合いおもり2に取り付けられる。本実施の形態に示す例では、嵩上げ台53は、嵩上げ台50を介してつり合いおもり2に取り付けられる。以下においては、つり合いおもり2から下方に延びるように配置される嵩上げ台に符号53を付す。後述するように、つり合いおもり2の下には嵩上げ台50を介して複数の嵩上げ台53が連結される。符号53の後に続く「-N」は、上からN番目の嵩上げ台53であることを示す。
図30は、嵩上げ台53-1が嵩上げ台50の下向きの面に取り付けられた状態を示す。
【0100】
図40は、嵩上げ台53の例を示す図である。嵩上げ台53の上側のフランジ部及び下側のフランジ部には、ジャッキ47のラム或いはジャッキ48のラムとの干渉を回避するための切欠き53aが形成される。例えば、
図30に示すようにジャッキ48によってつり合いおもり2が支持されている状態で嵩上げ台50に嵩上げ台53-1を取り付ける場合を考える。かかる場合、嵩上げ台53-1が嵩上げ台50に取り付けられても、嵩上げ台53-1はジャッキ48に接触しない。嵩上げ台53-1の切欠き53aにジャッキ48のラムが配置される。
図30に示す例では、嵩上げ台53-1の切欠き53aはF方向を向く。
【0101】
図30に示す状態で、ジャッキ47の先端は嵩上げ台53-1の下向きの面に対向する。嵩上げ台53-1を嵩上げ台50に取り付けると、作業員は、ジャッキ47によって嵩上げ台53-1を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S223)。ジャッキ47の先端が嵩上げ台53-1に接触するまで、つり合いおもり2は、ジャッキ48に支持される。ジャッキ47の先端が嵩上げ台53-1に接触すると、嵩上げ台50はジャッキ48から離れる。これにより、つり合いおもり2はジャッキ47によって支持され、ジャッキ48につり合いおもり2の荷重が作用しなくなる。
図31は、ジャッキ47によって嵩上げ台53-1が押し上げられた状態を示す。
【0102】
次に、作業員は、上部の嵩上げ工程を更に行う必要があるか否かを判定する(S224)。作業員が最上階の乗場15からかご1の上に移動することができる高さにかご1が配置されていれば、作業員はS224でNoと判定する。かご1を更に下方に移動させなければ作業員がかご1の上に乗ることができなければ、作業員はS224でYesと判定する。
【0103】
作業員は、
図31の状態でS224でYesと判定すると、
図32に示すようにジャッキ47によってつり合いおもり2を支持した状態で嵩上げ台53-1の下に嵩上げ台53-2を取り付ける(S222)。具体的には、S224でYesと判定すると、作業員は、ジャッキ48のラムを下げる。次に、作業員は、嵩上げ台53-2の切欠き53aにジャッキ47のラムが配置されるように、嵩上げ台53-1の下向きの面に嵩上げ台53-2を取り付ける。即ち、
図32に示す例では、嵩上げ台53-2の切欠き53aはG方向を向く。そして、作業員は、ジャッキ48によって嵩上げ台53-2を押し上げ、つり合いおもり2を上方に移動させる(S223)。
【0104】
作業員は、S224でNoと判定するまで、上部の嵩上げ工程を繰り返す。
図33は、嵩上げ台50の下に嵩上げ台53-1~53-6が連結された状態を示す。
図33に示す例では、嵩上げ台53-6の切欠き53aはG方向を向く。また、つり合いおもり2は、ジャッキ48に支持されている。
【0105】
図34は、嵩上げ台53-6の下に、高さ調整用の嵩上げ台53-7が取り付けられた状態を示す。嵩上げ台53-1~53-6は同じ形状である。嵩上げ台53-7は、嵩上げ台53-1より短い。例えば、ジャッキ47によって嵩上げ台53-7を押し上げることにより、作業員はS224でNoと判定する。
【0106】
S224でNoと判定すると、作業員は、最上階の乗場15に移動する。そして、作業員は、最上階の乗場15でドアを開け、乗場15からかご1の上に移動する(S225)。作業員は、かご1の上において、復旧のために必要な作業を行うことができる。
【0107】
本実施の形態に示す方法でも、作業員は、短時間で且つ少ない労力でかご1を下方に移動させることができる。
【0108】
本実施の形態では小型のジャッキ41及び43と大型のジャッキ47及び48とを用いる例について説明した。作業員は、ストロークが長い大型のジャッキ47及び48を用いる必要がなければ、小型のジャッキ41及び43のみを用いてかご1を下方に移動させても良い。また、作業員は、ストロークが短い小型のジャッキ41及び43を用いる必要がなければ、大型のジャッキ47及び48のみを用いてかご1を下方に移動させても良い。
【0109】
本実施の形態では、下部の嵩上げ工程を行った後に上部の嵩上げ工程を行う例について説明した。作業員は、上部の嵩上げ工程を行わなくてもかご1を所望の高さに配置することができるのであれば、下部の嵩上げ工程のみを行ってかご1を下方に移動させても良い。また、作業員は、下部の嵩上げ工程を行わなくてもかご1を所望の高さに配置することができるのであれば、上部の嵩上げ工程のみを行ってかご1を下方に移動させても良い。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本開示に係るかごの移動方法は、かごとつり合いおもりとがロープによって昇降路に吊り下げられたエレベーター装置において利用できる。
【符号の説明】
【0111】
1 かご、 2 つり合いおもり、 3 昇降路、 3a ピット、 4 ロープ、 4a~4b 端部、 5 巻上機、 6 綱車、 7 制御装置、 8~10 吊り車、 11~12 緩衝器、 13 通信装置、 14 ネットワーク、 15 乗場、 16 ガイドレール、 17 支持装置、 18 ボルト、 19 ベース部、 21 調整おもり、 22 枠体、 23 ガイドローラ、 24 スペーサ、 25 ボルト、 30 ジャッキ、 31~35 嵩上げ台、 36 支持板、 37 ボルト、 40 支持台、 41 ジャッキ、 42 支持台、 43 ジャッキ、 44 支持台、 45 スペーサ、 46 支持板、 47~48 ジャッキ、 50~53 嵩上げ台、 53a 切欠き