(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240509BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240509BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02J3/38 150
H02J3/32
(21)【出願番号】P 2023536626
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2022019886
(87)【国際公開番号】W WO2023002740
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2021118551
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細谷 達也
(72)【発明者】
【氏名】石倉 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健太
(72)【発明者】
【氏名】北尾 文美
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-272639(JP,A)
【文献】特開2010-177554(JP,A)
【文献】特開2018-64360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H02J 3/38
H02J 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池出力に接続され、前記複数の太陽電池が供給する電力を所定の直流電圧に変換して出力するコンバータと、
複数の太陽電池から直流電圧をそれぞれの前記コンバータに出力する複数の太陽電池出力と、
前記コンバータにおいて電力変換動作の制御を行う電力管理制御回路と、
前記複数の太陽電池出力を統合して前記コンバータに入力する電圧論理和回路と、
前記電圧論理和回路から出力される直流電圧を保持して前記コンバータの入力電圧とする入力キャパシタと、
を備え、
前記電力管理制御回路は、
前記電圧論理和回路からの出力電圧と出力電流との関係に基づく電圧論理和出力特性に応答させて、前記コンバータの出力電圧を所定値とする第1条件と、前記複数の太陽電池出力のそれぞれから得る電力をゼロより大きい値に調整する第2条件とを同時に満たすように、前記コンバータにより前記入力キャパシタの電圧を制御する、
太陽光発電システム。
【請求項2】
前記電力管理制御回路は、所定の電圧範囲において前記入力キャパシタの電圧を変化させ、前記複数の太陽電池出力のそれぞれから得る電力の総量が極大値となるように、前記コンバータにより前記入力キャパシタの電圧を制御する、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記コンバータは、昇圧コンバータである、
請求項1または請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記コンバータの電力変換後の直流電圧が出力される出力側に接続され、前記コンバータからの直流出力電圧を交流電圧に変換して、負荷または電力系統に電力を出力するインバータを備える、
請求項1
または請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記コンバータの電力変換後の直流電圧が出力される出力側に接続され、前記コンバータの出力電力を蓄電する二次電池を備える、
請求項1
または請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記電圧論理和回路は、
前記複数の太陽電池出力のそれぞれに直列に接続される複数の統合用電力半導体素子と、
前記複数の統合用電力半導体素子の出力を共通に接続する高圧側ノードと、を備え、
前記高圧側ノードは前記入力キャパシタに接続し、
前記複数の統合用電力半導体素子は、前記複数の太陽電池出力のなかで最も高い電圧を前記入力キャパシタに加えて電力を出力するように動作する、
請求項1
または請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項7】
前記電圧論理和回路は、
前記複数の太陽電池出力のそれぞれに直列に接続される複数の統合用ダイオードと、
前記複数の統合用ダイオードのカソードからの出力を共通に接続する高圧側ノードと、を備え、
前記高圧側ノードが前記入力キャパシタの高圧側端子に接続し、
前記複数の統合用ダイオードは、前記複数の太陽電池出力のなかで最も高い電圧を前記入力キャパシタに加えて電力を出力するように動作する、
請求項1
または請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項8】
前記電圧論理和回路は、
前記複数の太陽電池出力のそれぞれに直列に接続される複数の統合用ダイオードと、
前記複数の統合用ダイオードのアノードへの入力を共通に接続する低圧側ノードと、を備え、
前記低圧側ノードが前記入力キャパシタの低圧側端子に接続し、
前記複数の統合用ダイオードは、前記複数の太陽電池出力のなかで最も高い電圧を前記入力キャパシタに加えて電力を出力するように動作する、
請求項1
または請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項9】
前記コンバータは、
前記電力管理制御回路からスイッチング動作が制御される電力半導体スイッチング素子と、電力半導体整流素子と、を備え、
前記統合用電力半導体素子と前記電力半導体整流素子とは、共通の放熱器に直接または間接的に接続して熱的に結合する、
請求項6に記載の太陽光発電システム。
【請求項10】
前記統合用電力半導体素子は統合用ダイオードであって、前記統合用ダイオードは、順方向電圧特性において負の温度特性を有し、前記コンバータを構成する電力半導体整流素子は正の温度特性を有する、
請求項9に記載の太陽光発電システム。
【請求項11】
前記統合用電力半導体素子は同期整流トランジスタである、
請求項9に記載の太陽光発電システム。
【請求項12】
前記複数の太陽電池出力と前記電圧論理和回路との間の電流経路に接続されるノイズフィルタを備える、
請求項1
または請求項2に記載の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の太陽電池モジュールを用いた太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽光発電に用いるパワーコンディショナーが記載されている。特許文献1に記載のパワーコンディショナーは、複数の太陽電池モジュールに対して共通のコンバータを備える。コンバータの入力端には、入力キャパシタが接続される。
【0003】
複数の太陽電池モジュールは、入力キャパシタに対して並列に接続される。言い換えれば、複数の太陽電池モジュールの出力は、入力キャパシタでまとめられて、コンバータに入力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような複数の太陽電池モジュールを用いたパワーコンディショナーでは、一般的なMPPT(Maximum Power Point Tracking)(最大電力点追従)制御を用いてコンバータを動作させることが難しい。複数の太陽電池モジュールは、入力キャパシタに対して、複数の異なる直流電圧をそれぞれ出力する直流電圧源と見なすことができる。一般に、逆流防止ダイオードを通して、異なる電圧の直流電圧源を並列に接続した場合、異なる電圧のなかで最も高い直流電圧源のみが出力される。この場合、電力は、最も高い直流電圧源のみから得ることとなり、他の直流電圧源からは電力を得ることができない。つまり、複数の太陽電池モジュールを構成しても、これら複数の太陽電池モジュールのうち、最も高い直流電圧を出力する太陽電池モジュールからしか電力を得ることができず、他の太陽電池モジュールが発電する電力は有効に活用されず、無駄となる。複数の太陽電池モジュールを設置している設備に対して、エネルギーの利用効率が著しく悪いという問題がある。
【0006】
このようなことから、特許文献1に示すような従来のパワーコンディショナーは、発電電力は有効に活用されず無駄となり、エネルギーの利用効率が著しく悪い。更に、電力損失は増加し、太陽光発電システムにおける電力変換効率は著しく低下するという問題が発生する。
【0007】
したがって、本発明の目的は、太陽光発電システムにおける電力変換効率の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の太陽光発電システムは、複数の太陽電池出力、コンバータ、電力管理制御回路、電圧論理和回路、および、入力キャパシタを備える。複数の太陽電池出力は、それぞれに太陽電池から直流電圧を出力する。コンバータは、複数の太陽電池出力が供給する電力を入力して電力変換動作により所定の直流電圧を出力する。電力管理制御回路は、コンバータにおいて電力変換動作の制御を行う。電圧論理和回路は、複数の太陽電池出力を統合してコンバータに入力する。入力キャパシタは、電圧論理和回路から出力される直流電圧を保持してコンバータの入力電圧とする。
【0009】
電力管理制御回路は、電圧論理和回路からの出力電圧と出力電流との関係に基づく電圧論理和出力特性に応答させて、コンバータの出力電圧を所定値とする第1条件と、複数の太陽電池出力のそれぞれから得る電力を調整する第2条件とを同時に満たすように、コンバータにおける電力変換動作を制御して入力キャパシタ電圧を調整する。
【0010】
この構成では、次の原理を用いて、コンバータにおける電力変換動作の制御を最適化できる。
【0011】
コンバータの出力電圧(第1条件)に対して、コンバータにおける電力変換動作の制御を調整する(変化させる)ことで、コンバータの入力電圧(入力キャパシタに印加される電圧)は調整できる。電圧論理和回路からの出力電圧と出力電流との関係に基づく電圧論理和出力特性によって、コンバータの入力電圧に対する複数の太陽電池出力の各電力の組み合わせ(第2条件)は決まる。したがって、第1条件と第2条件とを同時に満たすように、コンバータにおける電力変換動作の制御条件は、決定できる。そして、この制御条件を満たすことで、電力変換効率の低下を抑制するようにコンバータを制御できる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、太陽光発電システムにおける電力変換効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、太陽電池モジュールの出力特性の一例を示すグラフである。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るコンバータにおける電力変換動作の制御概念の一例を表す表である。
【
図6】
図6は、コンバータの出力が直流負荷に供給される態様の太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態における電力変換装置における電圧論理和回路のダイオードとコンバータのダイオードとの配置態様の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、第3の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図10】
図10は、第4の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電システムについて、図を参照して説明する。なお、以下では、太陽電池モジュールの個数が4個の場合を示すが、太陽電池モジュールの個数は複数個であれば、4個に限らない。すなわち、複数の太陽電池モジュールが電力変換装置に接続される態様であれば、本実施形態を含む本願発明の構成を適用でき、本願発明の作用効果を奏することができる。
【0015】
図1は、第1の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、太陽光発電システム1は、複数の太陽電池モジュール81-84(太陽電池モジュール81、太陽電池モジュール82、太陽電池モジュール83、および、太陽電池モジュール84)、および、電力変換装置10を備える。太陽光発電システム1の電力変換装置10は、出力制御スイッチ90を通じて、負荷91や電力系統92に接続される。
【0016】
(複数の太陽電池モジュールの概要)
複数の太陽電池モジュール81-84は、それぞれに、太陽電池(太陽光発電パネル)、太陽電池から電流と取り出す電子回路によって構成される。複数の太陽電池モジュール81-84は、同じ個数の太陽電池で構成されていてもよく、異なる個数の太陽電池で構成されていてもよい。
【0017】
複数の太陽電池モジュール81-84は、照射される太陽光によってそれぞれに発電を行い、発生した直流電力をそれぞれに出力端子811-814から出力する。太陽電池モジュール81-84の各出力端子811-814が、本発明の「太陽電池出力」に対応する。
【0018】
図2は、太陽電池モジュールの出力特性の一例を示すグラフである。
図2に示すように、太陽電池モジュールは、出力電圧に応じて出力電力が非線形に変化し、所定の出力電圧において電力が最大となる極大値を有する。
【0019】
複数の太陽電池モジュール81-84の出力特性は、理想的には同じであってもよいが、現実的には異なっている。例えば、電力が最大となるときの出力電圧と、出力電圧に対する出力電力の特性(
図2における曲線の形状)は、複数の太陽電池モジュール81-84のそれぞれで異なる。
【0020】
(電力変換装置10の構成)
図1に示すように、電力変換装置10は、電圧論理和回路20、コンバータ30、インバータ40、および、管理制御回路100を備える。管理制御回路100が本発明の「電力管理制御回路」に対応する。
【0021】
電圧論理和回路20の入力端は、複数の太陽電池モジュール81-84の出力端子811-814に接続される。電圧論理和回路20の出力端は、コンバータ30の入力端に接続する。コンバータ30の出力端は、インバータ40の入力端に接続する。インバータ40の出力端は、出力制御スイッチ90に接続する。
【0022】
電圧論理和回路20は、複数のダイオードD21-D24(ダイオードD21、ダイオードD22、ダイオードD23、ダイオードD24)を備える。複数のダイオードD21-D24が、本発明の「統合用電力半導体素子」および「統合用ダイオード」に対応する。
【0023】
ダイオードD21のアノードは、太陽電池モジュール81の出力端子811における高圧側端子に接続する。ダイオードD22のアノードは、太陽電池モジュール82の出力端子821における高圧側端子に接続する。ダイオードD23のアノードは、太陽電池モジュール82の出力端子831における高圧側端子に接続する。ダイオードD24のアノードは、太陽電池モジュール84の出力端子841における高圧側端子に接続する。
【0024】
複数のダイオードD21-D24のカソードは、共通の接続点で互いに接続される。この共通の接続点が、電圧論理和回路20の高圧側ノードNDHである。高圧側ノードNDHが、本発明の「高圧側ノード」に対応する。なお、
図1の等価回路図では、複数のダイオードD21-D24のカソードは、複数の点で接続されているが、回路的には1点で接続されているのと同等であり、
図1では、複数の接続点のうち1つについて、高圧側ノードNDHの記号を付している。
【0025】
複数の太陽電池モジュール81-84の出力端子811-841の低圧側端子は、共通の接続点で互いに接続される。この接続点が、電圧論理和回路20の低圧側ノードNDLである。低圧側ノードNDLが、本発明の「低圧側ノード」に対応する。なお、
図1の等価回路図では、複数の太陽電池モジュール81-84の出力端子811-841の低圧側端子は、複数の点で接続されているが、回路的には1点で接続されているのと同等であり、
図1では、複数の接続点のうち1つについて、低圧側ノードNDLの記号を付している。
【0026】
コンバータ30は、入力キャパシタCi30、インダクタL30、MOSFETQ31、ダイオードD32、および、出力キャパシタCo30を備える。MOSFETQ31が、本発明の「電力半導体スイッチング素子」に対応し、ダイオードD32が、本発明の「電力半導体整流素子」に対応する。
【0027】
入力キャパシタCi30の高圧側端子は、電圧論理和回路20の高圧側ノードに接続する。入力キャパシタCi30の低圧側端子は、電圧論理和回路20の低圧側ノードに接続する。
【0028】
インダクタL30の一方端は、入力キャパシタCi30の高圧側端子に接続する。インダクタL30の他方端は、MOSFETQ31のドレインに接続する。
【0029】
MOSFETQ31のソースは、入力キャパシタCi30の低圧側端子に接続する。MOSFETQ31のドレインとインダクタL30との接続点(ノード)は、ダイオードD32のアノードに接続する。
【0030】
ダイオードD32のカソードは、出力キャパシタCo30の高圧側端子に接続する。出力キャパシタCo30の低圧側端子は、MOSFETQ31のソースに接続する。この出力キャパシタCo30の両端が、コンバータ30の出力端子となる。
【0031】
このような構成によって、コンバータ30は、昇圧コンバータを構成する。
【0032】
そして、MOSFETQ31のゲートには、管理制御回路100からスイッチング制御信号が入力される。MOSFETQ31は、このスイッチング制御信号によって、所定のスイッチングDutyでスイッチング動作を行う。
【0033】
管理制御回路100は、このDutyを調整することによって、コンバータ30の出力電圧を調整する。これにより、コンバータ30は、複数の太陽電池モジュール81-84が供給する電力を入力して電力変換動作によって所定の直流電圧を出力する。
【0034】
この電力変換動作において、入力キャパシタCi30は、電圧論理和回路20から出力される直流電圧を保持する。これにより、コンバータ30は、電力変換動作を安定して行うことができる。ここでいう直流電圧を保持、とは、電圧論理和回路20から出力される直流電圧を、入力キャパシタCi30に加わる電圧として維持することを示す。
【0035】
インバータ40は、二次電池BAT、入力キャパシタCi40、複数のMOSFETQ41-Q44(MOSFETQ41、MOSFETQ42、MOSFETQ43、MOSFETQ44)、インダクタL41、インダクタL42、および、出力キャパシタCo40を備える。
【0036】
二次電池BATの正極端子は、コンバータ30の高圧側出力端子に接続する。二次電池BATの負極端子は、コンバータ30の低圧側出力端子に接続する。これにより、二次電池BATは、コンバータ30の出力電圧によって充電される。二次電池BATは、例えば、図示しない充放電制御回路を通じて、充放電制御される。
【0037】
入力キャパシタCi40の高圧側端子は、二次電池BATの正極端子に接続する。入力キャパシタCi40の低圧側端子は、二次電池BATの負極端子に接続する。
【0038】
MOSFETQ41のドレインは、入力キャパシタCi40の高圧側端子に接続し、MOSFETQ41のソースは、MOSFETQ42のドレインに接続する。MOSFETQ42のソースは、入力キャパシタCi40の低圧側端子に接続する。
【0039】
MOSFETQ43のドレインは、入力キャパシタCi40の高圧側端子に接続し、MOSFETQ43のソースは、MOSFETQ44のドレインに接続する。MOSFETQ44のソースは、入力キャパシタCi40の低圧側端子に接続する。
【0040】
インダクタL41の一方端は、MOSFETQ41のソースとMOSFETQ42のドレインとのノードに接続する。
【0041】
インダクタL42の一方端は、MOSFETQ43のソースとMOSFETQ44のドレインとのノードに接続する。
【0042】
出力キャパシタCo40の一方端子は、インダクタL41の他方端に接続し、出力キャパシタCo40の他方端子は、インダクタL42の他方端に接続する。出力キャパシタCo40の両端子が、インバータ40の出力端子となる。
【0043】
複数のMOSFETQ41-Q44の各ゲートは、管理制御回路100またはインバータ40の専用の制御回路からスイッチング制御信号が入力される。複数のMOSFETQ41-Q44は、このスイッチング制御信号によって、所定のスイッチング動作を行う。なお、このインバータ40に対するスイッチング制御は既知であり、詳細な説明は省略する。
【0044】
これにより、インバータ40は、コンバータ30から入力された直流電圧を交流電圧に変換して出力する。
【0045】
(管理制御回路100の具体的な制御)
図3は、第1の実施形態に係るコンバータにおける電力変換動作の制御概念の一例を表す表である。
【0046】
管理制御回路100は、電圧論理和回路20からの出力電圧V0xと出力電流I0xとの関係に基づく電圧論理和出力特性に応答させて、コンバータ30の出力電圧Vcnvを所定値とする第1条件と、複数の太陽電池モジュール81-84のそれぞれから得る電力を調整する第2条件とを同時に満たすように、コンバータ30における電力変換動作を制御して入力キャパシタCi30の電圧を調整する。ここでいう調整とは、所定の電圧範囲(例えば、複数の太陽電池モジュール81―84の少なくともひとつから出力電力が得られる電圧の範囲)において、複数の太陽電池モジュール81―84それぞれからゼロより大きい電力が得られる電圧となるように、コンバータ30における電力変換動作を制御して入力キャパシタCi30の電圧を変化させることである。この制御により、全ての太陽電池モジュールから出力電力が得られるため、太陽光発電システムにおける電力変換効率の低下を抑制できる。
【0047】
なお、管理制御回路100は、さらなる調整として、複数の太陽電池モジュール81-84から得られる電力の総量が最も大きくなる電圧となるように、コンバータ30における電力変換動作を制御して入力キャパシタCi30の電圧を変化させてもよい。この制御により、太陽光発電システムにおける電力変換効率の低下をさらに抑制できる。
【0048】
より具体的には、管理制御回路100は、電圧論理和回路20の出力電圧V0xと出力電流I0xとを監視する。また、管理制御回路100は、この制御を行う時点において、コンバータ30として必要な出力電圧Vcnvを決定する。
【0049】
管理制御回路100は、この電圧論理和回路20の出力電圧V0xと出力電流I0xと、コンバータ30の出力電圧Vcnvとがそれぞれ所望値となるように、制御を実行する。
【0050】
例えば、管理制御回路100は、コンバータ30の出力電圧VcnvをV11としたいとする(第1条件)。このとき、
図3の場合であれば、Duty11を用いれば、コンバータ30の入力電圧(入力キャパシタCi30の電圧)および入力電流に対応する電圧論理和回路20の出力電圧と出力電流は、それぞれV01、I01になる。また、Duty12を用いれば、電圧論理和回路20の出力電圧と出力電流は、それぞれV02、I02になる。また、Duty13を用いれば、電圧論理和回路20の出力電圧と出力電流は、それぞれV03、I03になる。
【0051】
入力キャパシタCi30の電圧(電圧論理和回路20の出力電圧V0xに相当)は、複数の太陽電池モジュール81-84から出力される最大電圧となる。言い換えれば、複数の太陽電池モジュール81-84の各出力電圧は、複数の太陽電池モジュール81-84の最大電圧に統一される。
【0052】
この際、複数の太陽電池モジュール81-84は、それぞれに、出力特性が異なる。したがって、複数の太陽電池モジュール81-84は、入力キャパシタCi30の電圧すなわち電圧論理和回路20の出力電圧V0xに応じて、それぞれの出力電流は変化する。これにより、複数の太陽電池モジュール81-84の出力電流の加算電流(加算値)である電圧論理和回路20の出力電流I0xも変化する。このような出力電圧V0xと出力電流I0xとの関係が、本発明の「電圧論理和出力特性」に対応する。
【0053】
管理制御回路100は、所定の電圧の範囲において複数の太陽電池モジュール81―84それぞれからゼロより大きい電力が得られる電圧となるように、コンバータ30における電力変換動作を制御して入力キャパシタCi30の電圧を変化させ(第2条件)、電圧論理和回路20の出力電圧V0x、出力電流I0xの組み合わせを検出する。例えば、
図3の場合であれば、出力電圧V01、出力電流I01の組み合わせ、出力電圧V02、出力電流I02の組み合わせ、出力電圧V03、出力電流I03の組み合わせから、第2条件を満たす組合せを検出する。
【0054】
なお、電圧論理和回路20の出力電圧V0x、出力電流I0xと、複数の太陽電池モジュール81-84の各出力電力との関係は、予め記憶しておいてもよく、複数の太陽電池モジュール81-84の各出力電力を計測可能な回路構成を備え、リアルタイムに出力電力を計測してもよい。
【0055】
管理制御回路100は、検出した組み合わせに対応した制御条件(Duty11、Duty12、Duty13)を選択する。これにより、管理制御回路100は、第1条件と第2条件とを同時に満たす制御条件を選択できる。
【0056】
管理制御回路100は、選択した制御条件(Duty)を用いて、コンバータ30における電力変換動作を制御する。これにより、太陽光発電システム1は、電力変換効率の低下を抑制できる。
【0057】
より具体的には、例えば、次に示すように制御を行う。
【0058】
図4(A)、
図4(B)、
図4(C)、
図4(D)、
図4(E)、
図4(F)は、電圧論理和特性の概念を示すVI特性図である。
図4(A)、
図4(C)、
図4(E)は、複数の太陽電池モジュール81-84のうち2つのVI特性を示し、
図4(B)、
図4(D)、
図4(F)は、入力キャパシタCi30、すなわち、電圧論理和回路20の出力のVI特性を示す。なお、ここでは、説明を簡単にするため、太陽電池モジュールが2個の場合を示すが、他の個数でも同様の原理が適用できる。
【0059】
図4(A)は、2つの太陽電池モジュールの出力特性がほぼ同じ場合を示し、
図4(C)は、2つの太陽電池モジュールの出力特性が大きく異なる場合を示し、
図4(E)は、
図4(A)の場合と
図4(C)の場合の中間の場合を示す。
図4(B)は、
図4(A)の場合を示し、
図4(D)は、
図4(C)の場合を示し、
図4(F)は、
図4(E)の場合を示す。
【0060】
図4(A)-
図4(F)に示すように、電圧論理和回路20の各電圧での電流は、電圧論理和回路を構成する複数の太陽電池モジュールの出力特性の電流を加算した値となる。
【0061】
したがって、
図4(A)に示すように、2つの太陽電池モジュールの出力特性が略同じであると、
図4(B)に示すように、電圧論理和回路20の出力特性としては、0Vから2つの太陽電池モジュールの最大出力電圧までのほぼ全ての電圧範囲で、2つの太陽電池モジュールの電流が0で無い状態で加算される。これにより、
図4(A)、
図4(B)の場合では、0Vから2つの太陽電池モジュールの最大出力電圧までの範囲が、ほぼ所定の電圧範囲rngVとなる。
【0062】
一方、
図4(C)に示すように、2つの太陽電池モジュールの出力特性が大きく異なると、
図4(D)に示すように、電圧論理和回路20の出力特性としては、0Vから最大出力電圧が低い太陽電池モジュールの最大出力電圧までの電圧範囲で、2つの太陽電池モジュールの電流が0で無い状態で加算される。これにより、
図4(C)、
図4(D)の場合では、0Vから最大出力電圧が低い太陽電池モジュールの最大出力電圧までの範囲が、所定の電圧範囲rngVとなる。
【0063】
また、
図4(E)、
図4(F)に示す場合も、
図4(C)、
図4(D)に示す場合と同様に、0Vから最大出力電圧が低い太陽電池モジュールの最大出力電圧までの範囲が、所定の電圧範囲rngVとなる。
【0064】
そして、このように、電圧論理和特性から得られる所定の電圧範囲rngV内に、電圧論理和回路20の出力電圧V0xを設定することで、複数の太陽電池モジュール81-84から出力電流を得ることができる。一方、電圧論理和特性から得られる所定の電圧範囲rngV外に、電圧論理和回路20の出力電圧V0xを設定すると、複数の太陽電池モジュール81-84の少なくとも一部から出力電流を得ることができず、効率が低下してしまう。
【0065】
管理制御回路100は、このような原理を利用して、電圧論理和回路20の出力電圧V0xと出力電流I0xと設定する。例えば、
図3の上段の場合、コンバータ30の出力電圧VcnをV11としたいとき、出力電圧V02が所定の電圧範囲rngV内になり、出力電圧V01、V03が所定の電圧範囲rngV外になるとする。この場合、管理制御回路100は、出力電圧V02、出力電流I02nの組合せを選択し、この組合せに対応するDuty12を選択し、コンバータ30における電力変換動作を制御する。これにより、太陽光発電システム1は、電力変換効率の低下を抑制できる。 なお、管理制御回路100は、複数の太陽電池モジュール81-84の出力電力の差が最も小さい制御条件を、さらに選択してもよい。例えば、
図3の場合であれば、コンバータ30の出力電圧VcnvがV11であって、出力電圧V01、V02、V03のいずれもが所定の電圧範囲rgnV内であったとしても、複数の太陽電池モジュール81-84の出力電力の差が最も小さい制御条件が出力電圧V02の場合であれば、出力電圧V02に対応するDuty12を選択し、管理制御回路100は、制御を実行する。
【0066】
これにより、太陽光発電システム1は、電力変換効率の低下を抑制しながら、太陽電池モジュールの寿命のバラつきを抑制できる。
【0067】
なお、管理制御回路100は、特定の一種類のコンバータ30の出力電圧Vcnvに対応するだけでなく、複数の出力電圧Vcnvに対応できる。
【0068】
例えば、
図3の例において、管理制御回路100は、コンバータ30の出力電圧VcnvがV12であり、複数の太陽電池モジュール81-84のそれぞれから電力を得られる電圧論理和回路20の出力電圧V04、出力電流I04の組合せが上述の第1条件と第2条件を満たしていれば、制御条件(Duty21)を選択することで、出力電圧VcnvがV12であっても、電力変換効率の低下をさらに抑制できる。
【0069】
このように、太陽光発電システム1は、任意の所望のコンバータ30の出力電圧Vcnvを得ながら、複数の太陽電池モジュール81-84を用いた発電における電力変換効率(太陽光エネルギーから直流電力への電力変換の効率)の低下を抑制できる。 また、管理制御回路100は、所定の電圧範囲において、複数の太陽電池出力のそれぞれから得る電力の総量(総電力)が極大値となるように、入力キャパシタCi30の電圧(電圧論理和回路20の出力電圧)を制御することもできる。
【0070】
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)、
図5(D)、
図5(E)、
図5(F)は、電圧論理和特性の概念を示すPV特性図である。
図5(A)、
図5(C)、
図5(E)は、複数の太陽電池モジュール81-84のうち2つのVI特性を示し、
図5(B)、
図5(D)、
図5(F)は、入力キャパシタCi30、すなわち、電圧論理和回路20の出力のPV特性を示す。なお、ここでは、説明を簡単にするため、太陽電池モジュールが2個の場合を示すが、他の個数でも同様の原理が適用できる。
【0071】
図5(A)は、2つの太陽電池モジュールの出力特性がほぼ同じ場合(
図4(A)と同じ場合)を示し、
図5(C)は、2つの太陽電池モジュールの出力特性が大きく異なる場合(
図4(C)と同じ場合)を示し、
図5(E)は、
図5(A)の場合と
図5(C)の場合の中間の場合(
図4(E)と同じ場合)を示す。
図5(B)は、
図5(A)の場合を示し、
図5(D)は、
図5(C)の場合を示し、
図5(F)は、
図5(E)の場合を示す。
【0072】
図5(A)-
図5(F)に示すように、電圧論理和回路20の各電圧での電力は、電圧論理和回路を構成する複数の太陽電池モジュールの出力特性の電力を加算した値と同じになる。
【0073】
図5(A)に示すように、2つの太陽電池モジュールの出力特性が略同じである場合、複数の太陽電池モジュールの電力が極大となる電圧は略同じとなる。したがって、
図5(B)に示すように、電圧論理和回路20の出力電力としては、1つの極大を有する。そして、この極大の電圧Vmxpは、所定の電圧範囲rngV内となる。
【0074】
この場合、管理制御回路100は、上述の第1条件と第2条件とを満たしながら、入力キャパシタCi30の電圧が極大の電圧Vmxpとなるように、Dutyを設定し、コンバータ30における電力変換動作を制御する。これにより、太陽光発電システム1は、電力変換効率をさらに向上できる。
【0075】
図5(C)に示すように、2つの太陽電池モジュールの出力特性が大きく異なる場合、複数の太陽電池モジュールの電力が極大となる電圧は異なる。そして、
図5(B)に示すように、電圧論理和回路20の出力電力としては、2つの極大を有する。ここで、例えば、第1の極大の電圧Vmxp1は、所定の電圧範囲rngV内となり、第2の極大の電圧Vmxp2は、所定の電圧範囲rngV外であったとする。
【0076】
この場合、管理制御回路100は、上述の第1条件と第2条件とを満たしながら、入力キャパシタCi30の電圧が第1の極大の電圧Vmxp1となるように、Dutyを設定し、コンバータ30における電力変換動作を制御する。これにより、太陽光発電システム1は、電力変換効率をさらに向上できる。
【0077】
図5(E)に示すように、2つの太陽電池モジュールの出力特性が異なる場合、複数の太陽電池モジュールの電力が極大となる電圧は異なる。そして、
図5(F)に示すように、電圧論理和回路20の出力電力としては、2つの極大を有する。ここで、例えば、第1の極大の電圧Vmxp1および第2の極大の電圧Vmxp2は、所定の電圧範囲rngV内となる。さらに、第1の極大の電圧Vmxp1での総電力は、第2の極大の電圧Vmxp2よりも大きい。
【0078】
この場合、管理制御回路100は、上述の第1条件と第2条件とを満たしながら、入力キャパシタCi30の電圧が第1の極大の電圧Vmxp1となるように、Dutyを設定し、コンバータ30における電力変換動作を制御する。これにより、太陽光発電システム1は、電力変換効率をさらに向上できる。
【0079】
なお、太陽光発電システム1は、直流負荷をコンバータの出力側に接続してもよい。
図6は、コンバータの出力が直流負荷に供給される態様の太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0080】
図6に示すように、電力変換装置10DCは、電圧論理和回路20、コンバータ30,および、管理制御回路100を備える。言い換えれば、電力変換装置10DCは、電力変換装置10からインバータ40を省略した構成である。コンバータ30の出力端には、直流負荷91DCが接続される。
【0081】
このように、複数の太陽電池モジュール81-84から供給される電力は、直流負荷91DCで消費されてもよい。このような直流負荷91DCがあることにより、インバータ40を有しない場合であっても、太陽光発電システム1が成り立つ。直流負荷91DCは例えば、直流電圧で駆動する電子機器、バッテリが含まれる。
【0082】
また、太陽光発電システム1における電力変換装置10は、さらに次の特徴を備える。
【0083】
(A)ダイオードD32は、順方向電圧特性において正の温度特性を有する。複数のダイオードD21-D24は、順方向電圧特性において負の温度特性を有する。ダイオードD32と複数のダイオードD21-D24とは、共通の放熱器に直接または間接的に接続して熱的に結合する。直接接続とは、放熱器とダイオードが直接接している状態を示す。間接的とは、放熱器とダイオードとが、距離を置いて配置されている状態や絶縁シート等を挟んで配置されている状態を示す。
【0084】
図7は、第1の実施形態における電力変換装置における電圧論理和回路のダイオードとコンバータのダイオードとの配置態様の一例を示す図である。
図4に示すように、電圧論理和回路20のダイオードD21と、コンバータ30のダイオードD32とは、ディスクリート部品であり、回路基板191に実装される。なお、電圧論理和回路20のダイオードD22、D23、D24も同様に、回路基板191に実装される。電圧論理和回路20の複数のダイオードD21-D24は、
図4のダイオードD21のように、コンバータ30のダイオードD32に近接する位置に配置される。
【0085】
複数のダイオードD21-D24とダイオードD32とは、絶縁シート193を挟んで、金属等からなる放熱器192に固定される。この際、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32とは、それぞれの放熱部が放熱器192に接続するように固定されることが好ましい。なお、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32とは、放熱器192に直接接続してもよく、間接的に接続してもよい。
【0086】
このような構成によって、複数のダイオードD21-D24とダイオードD32のそれぞれに個別の放熱器を配置しなくてもよい。したがって、電力変換装置10は、放熱器を削減して、小型軽量化を実現できる。
【0087】
また、ダイオードD32が正の温度特性を有し、複数のダイオードD21-D24が負の温度特性を有し、これらが共通の放熱器192に直接または間接的に接続して熱的に結合する。これにより、ダイオードD32の温度特性と複数のダイオードD21-D24の温度特性とを平衡させることができ、電力変換装置10は、電力変換効率の低下をさらに抑制できる。また、電力変換装置10は、放熱器を小さくして小型軽量化を実現できる。
【0088】
また、
図7では、ダイオードD21とダイオードD32との間に、MOSFETQ31が配置されているが、ダイオードD21とダイオードD32とを隣接して配置してもよい。これにより、温度特性の平衡化の効果は向上する。
【0089】
(B)二次電池BATは省略できる。しかしながら、二次電池BATを備えることによって、複数の太陽電池モジュール81-84で発電された電力を蓄電できる。これにより、利用エネルギーを平準化できる。
【0090】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電システムについて、図を参照して説明する。
図8は、第2の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0091】
図8に示すように、第2の実施形態に係る太陽光発電システム1Aは、第1の実施形態に係る太陽光発電システム1に対して、電力変換装置10Aの構成において異なる。太陽光発電システム1Aの他の構成は、太陽光発電システム1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0092】
電力変換装置10Aは、第1の実施形態に係る電力変換装置10に対して、複数のノイズフィルタ51-54を備える点で異なる。電力変換装置10Aの他の構成は、電力変換装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0093】
電力変換装置10Aは、複数のノイズフィルタ51-54(ノイズフィルタ51、ノイズフィルタ52、ノイズフィルタ53、ノイズフィルタ54)を備える。
【0094】
ノイズフィルタ51は、太陽電池モジュール81と電圧論理和回路20との間に接続される。より具体的には、ノイズフィルタ51は、電圧論理和回路20のダイオードD21に接続する。ノイズフィルタ52は、太陽電池モジュール82と電圧論理和回路20との間に接続される。より具体的には、ノイズフィルタ52は、電圧論理和回路20のダイオードD22に接続する。
【0095】
ノイズフィルタ53は、太陽電池モジュール83と電圧論理和回路20との間に接続される。より具体的には、ノイズフィルタ53は、電圧論理和回路20のダイオードD23に接続する。ノイズフィルタ54は、太陽電池モジュール84と電圧論理和回路20との間に接続される。より具体的には、ノイズフィルタ54は、電圧論理和回路20のダイオードD24に接続する。
【0096】
このように、複数のノイズフィルタ51-54を備えることによって、太陽光発電システム1Aは、太陽光発電システム1と同様の作用効果を奏するとともに、電圧論理和回路20に入力するノイズ電圧を低減でき、電圧論理和回路20の入力電圧を安定させることができる。
【0097】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る太陽光発電システムについて、図を参照して説明する。
図9は、第3の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0098】
図9に示すように、第3の実施形態に係る太陽光発電システム1Bは、第1の実施形態に係る太陽光発電システム1に対して、電力変換装置10Bの構成において異なる。太陽光発電システム1Bの他の構成は、太陽光発電システム1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0099】
電力変換装置10Bは、第1の実施形態に係る電力変換装置10に対して、電圧論理和回路20Bの構成において異なる。電力変換装置10Bの他の構成は、電力変換装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0100】
電圧論理和回路20Bは、複数のダイオードD21-D24を備える。複数のダイオードD21-D24が、本発明の「統合用ダイオード」にそれぞれ対応する。
【0101】
ダイオードD21のカソードは、太陽電池モジュール81の出力端子811における低圧側端子に接続する。ダイオードD22のカソードは、太陽電池モジュール82の出力端子821における低圧側端子に接続する。ダイオードD23のカソードは、太陽電池モジュール83の出力端子831における低圧側端子に接続する。ダイオードD24のカソードは、太陽電池モジュール84の出力端子841における低圧側端子に接続する。
【0102】
複数のダイオードD21-D24のアノードは、互いに接続され、電圧論理和回路20Bの低圧側ノードを形成する。
【0103】
複数の太陽電池モジュール81-84の出力端子811-841の高圧側端子は、互いに接続され、電圧論理和回路20Bの高圧側ノードを形成する。
【0104】
このような構成によって、太陽光発電システム1Bは、太陽光発電システム1と同様の作用効果を奏する。
【0105】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る太陽光発電システムについて、図を参照して説明する。
図10は、第4の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0106】
図10に示すように、第4の実施形態に係る太陽光発電システム1Cは、第1の実施形態に係る太陽光発電システム1に対して、電力変換装置10Cの構成において異なる。太陽光発電システム1Cの他の構成は、太陽光発電システム1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0107】
電力変換装置10Cは、第1の実施形態に係る電力変換装置10に対して、コンバータ30Cの構成において異なる。電力変換装置10Bの他の構成は、電力変換装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0108】
コンバータ30Cは、第1の実施形態に係るコンバータ30に対して、ダイオードD32をMOSFETQ32に置き換えた点で異なる。コンバータ30Cの他の構成は、コンバータ30と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0109】
コンバータ30Cは、MOSFETQ32を備える。MOSFETQ32のソースは、MOSFETQ31のドレインに接続する。MOSFETQ32のドレインは、出力キャパシタCo40の高圧側端子に接続する。このMOSFETQ32が、本発明の「同期整流トランジスタ」に対応する。
【0110】
管理制御回路100は、MOSFETQ31とMOSFETQ32にスイッチング制御信号を与える。管理制御回路100は、上述の所定のDutyで、MOSFETQ31とMOSFETQ32とを同期させて交互にオン制御する。
【0111】
これにより、コンバータ30Cは、同期整流型のコンバータとして動作する。
【0112】
このような構成によって、太陽光発電システム1Cは、太陽光発電システム1と同様の作用効果を奏する。
【0113】
なお、上述の各実施形態の構成は、適宜組み合わせることができ、それぞれの組み合わせに応じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0114】
1、1A、1B、1C:太陽光発電システム
10、10A、10B、10C、10DC:電力変換装置
20、20B:電圧論理和回路
30、30C:コンバータ
40:インバータ
51、52、53、54:ノイズフィルタ
81、82、83、84:太陽電池モジュール
90:出力制御スイッチ
91:負荷
92:電力系統
100:管理制御回路
191:回路基板
192:放熱器
193:絶縁シート
811、821、831、841:出力端子
BAT:二次電池
Ci30:入力キャパシタ
Ci40:入力キャパシタ
Co30:出力キャパシタ
Co40:出力キャパシタ
D21、D22、D23、D24、D32:ダイオード
L30、L41、L42:インダクタ
Q31、Q32:MOSFET
Q41、Q42、Q43、Q44:MOSFET
NDH:高圧側ノード
NDL:低圧側ノード