(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】物体検知装置、物体検知方法、および物体検知プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 15/931 20200101AFI20240509BHJP
G01S 7/526 20060101ALI20240509BHJP
G01S 7/56 20060101ALI20240509BHJP
G01S 13/87 20060101ALI20240509BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20240509BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G01S15/931
G01S7/526 M
G01S7/56 A
G01S13/87
G01S13/931
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2023545176
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2022029706
(87)【国際公開番号】W WO2023032568
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2021142741
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野呂 覚
(72)【発明者】
【氏名】原田 岳人
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-124699(JP,A)
【文献】特開2008-152387(JP,A)
【文献】特開2012-088061(JP,A)
【文献】特開2011-237180(JP,A)
【文献】特開平11-202050(JP,A)
【文献】特開平07-128445(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035287(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-17/95
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両(10)の周囲に存在する物体(B)を検知するように構成された、物体検知装置(21)であって、
物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成立中にて、前記物体が検知されている検知状態であるか前記物体が検知されていない非検知状態であるかを判定する、物体検知判定部(213)と、
前記物体検知条件の成立中にて、物体検知センサにおける外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定する、ノイズ状態判定部(214)と、
前記高ノイズ状態であることが前記ノイズ状態判定部により判定された場合に、前記高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応するノイズ関連報知を実行する、ノイズ報知処理部(215)と、
を備え、
前記検知状態の方が前記非検知状態に比べて前記ノイズ関連報知が実行されやすくなるよう
に、前記ノイズ関連報知の実行有無の判定閾値または実行態様を前記検知状態であるか前記非検知状態であるかに応じて変化させる、
物体検知装置。
【請求項2】
自車両(10)の周囲に存在する物体(B)を検知するように構成された、物体検知装置(21)であって、
物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成立中にて、物体検知センサにおける外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定する、ノイズ状態判定部(214)と、
前記高ノイズ状態であることが前記ノイズ状態判定部により判定された場合に、前記高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応するノイズ関連報知を実行する、ノイズ報知処理部(215)と、
を備え、
前記自車両の走行状態に応じて、前記ノイズ関連報知の
実行有無の判定閾値または実行態様を決定するように構成された、
物体検知装置。
【請求項3】
前記ノイズ報知処理部は、検知された前記物体の前記自車両との衝突可能性に応じて、前記ノイズ関連報知の実行態様を変化させる、
請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項4】
前記ノイズ報知処理部は、前記外来ノイズの前記受信状態に応じて、前記ノイズ関連報知の実行態様を変化させる、
請求項1~3のいずれか1つに記載の物体検知装置。
【請求項5】
前記ノイズ報知処理部は、表示装置、音声出力装置、および/またはハプティックデバイスを備えた、HMI装置(5)を用いて、前記ノイズ関連報知を実行する、
請求項1~4のいずれか1つに記載の物体検知装置。
【請求項6】
前記物体検知センサは、ソナーセンサ(22)、カメラ(23)、および/または、レーダーセンサ(24)である、
請求項1~5のいずれか1つに記載の物体検知装置。
【請求項7】
前記ノイズ関連報知の頻度をユーザ設定可能に構成された、
請求項1~6のいずれか1つに記載の物体検知装置。
【請求項8】
自車両(10)の周囲に存在する物体(B)を検知する、物体検知方法であって、
物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成立中にて、前記物体が検知されている検知状態であるか前記物体が検知されていない非検知状態であるかを判定し、
前記物体検知条件の成立中にて、物体検知センサにおける外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定し、
前記高ノイズ状態であることを判定した場合に、前記高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応するノイズ関連報知を実行し、
前記検知状態の方が前記非検知状態に比べて前記ノイズ関連報知
が実行されやすくなるように、前記ノイズ関連報知の実行有無の判定閾値または実行態様を前記検知状態であるか前記非検知状態であるかに応じて変化させる、
物体検知方法。
【請求項9】
自車両(10)の周囲に存在する物体(B)を検知する、物体検知方法であって、
物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成立中にて、物体検知センサにおける外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定し、
前記高ノイズ状態であることを判定した場合に、前記高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応するノイズ関連報知を実行し、
前記自車両の走行状態に応じて、前記ノイズ関連報知の
実行有無の判定閾値または実行態様を決定する、
物体検知方法。
【請求項10】
自車両(10)の周囲に存在する物体(B)を検知するように構成された物体検知装置(21)により実行される、物体検知プログラムであって、
前記物体検知装置が実行する処理は、
物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成立中にて、前記物体が検知されている検知状態であるか前記物体が検知されていない非検知状態であるかを判定する処理と、
前記物体検知条件の成立中にて、物体検知センサにおける外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定する処理と、
前記高ノイズ状態であることを判定した場合に、前記高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応するノイズ関連報知を実行する処理と、
を含み、
前記検知状態の方が前記非検知状態に比べて前記ノイズ関連報知
が実行されやすくなるように、前記ノイズ関連報知の実行有無の判定閾値または実行態様を前記検知状態であるか前記非検知状態であるかに応じて変化させる、
物体検知プログラム。
【請求項11】
自車両(10)の周囲に存在する物体(B)を検知するように構成された物体検知装置(21)により実行される、物体検知プログラムであって、
前記物体検知装置が実行する処理は、
物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成立中にて、物体検知センサにおける外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定する処理と、
前記高ノイズ状態であることを判定した場合に、前記高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応するノイズ関連報知を実行する処理と、
前記自車両の走行状態に応じて、前記ノイズ関連報知の
実行有無の判定閾値または実行態様を決定する処理と、
を含む、
物体検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、2021年9月1日に出願された日本特許出願番号2021-142741号に基づくもので、ここにその記載内容が参照により組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、自車両の周囲に存在する物体を検知するように構成された、物体検知装置に関する。また、本開示は、自車両の周囲に存在する物体を検知する、物体検知方法および物体検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、特許文献1は、超音波センサ等の測距センサを用いて車両の周囲に存在する障害物を検知する障害物検知装置において、耐ノイズ性を向上し、誤検知を防止する技術を開示する。具体的には、車両には2つの超音波センサが搭載され、各超音波センサは外来ノイズを検知する機能を有する。障害物検知装置は、超音波を送信する前に各超音波センサに外来ノイズを検知させ、その後、一方の超音波センサに超音波を送信させる。2つの超音波センサの1つでも外来ノイズを検知した場合、障害物検知装置は、外来ノイズを検知していない超音波センサを含む全ての超音波センサの検知情報を無効とする。外来ノイズを検知していない場合、障害物検知装置は、2つの超音波センサの両方とも閾値を越える反射波を受信した場合に障害物検知有りと判断し、それ以外は障害物非検知と判断する。
特許文献1に記載の技術によれば、2つの超音波センサの1つでも外来ノイズを検知した場合、両方の超音波センサの検知情報を無効とするので、外来ノイズを検知した超音波センサの検知情報だけを無効とする場合に比べて、耐ノイズ性を向上できる。また、両方の超音波センサが障害物検知したときのみ警告が行われるので、外来ノイズや路面上物体によって警告が行われるのを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
この種の技術において、外来ノイズにより物体検知機能が制限された場合に、その旨をユーザ(すなわちドライバ等の乗員)に通知するニーズが想定される。この点、状況にかかわらず一律にノイズ判定結果を通知すると、かえってユーザの利便性が低下することとなり得る。
【0006】
本開示は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本開示は、例えば、外来ノイズにより物体検知機能が制限されたことを、利便性の低下を抑制しつつ、ユーザに良好に通知することが可能な技術を提供する。
【0007】
物体検知装置は、自車両の周囲に存在する物体を検知するように構成されている。
本開示の1つの観点によれば、物体検知装置は、
物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成立中にて、前記物体が検知されている検知状態であるか前記物体が検知されていない非検知状態であるかを判定する、物体検知判定部と、
前記物体検知条件の成立中にて、物体検知センサにおける外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定する、ノイズ状態判定部と、
前記高ノイズ状態であることが前記ノイズ状態判定部により判定された場合に、前記高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応するノイズ関連報知を実行する、ノイズ報知処理部と、
を備え、
前記検知状態の方が前記非検知状態に比べて前記ノイズ関連報知が実行されやすくなるように、前記ノイズ関連報知の実行有無の判定閾値または実行態様を前記検知状態であるか前記非検知状態であるかに応じて変化させる。
本開示の他の1つの観点によれば、物体検知装置は、
物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成立中にて、物体検知センサにおける外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定する、ノイズ状態判定部と、
前記高ノイズ状態であることが前記ノイズ状態判定部により判定された場合に、前記高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応するノイズ関連報知を実行する、ノイズ報知処理部と、
を備え、
前記自車両の走行状態に応じて、前記ノイズ関連報知の実行有無の判定閾値または実行態様を決定するように構成されている。
物体検知方法は、自車両の周囲に存在する物体を検知する方法である。
本開示の1つの観点によれば、物体検知方法は、
物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成立中にて、前記物体が検知されている検知状態であるか前記物体が検知されていない非検知状態であるかを判定し、
前記物体検知条件の成立中にて、物体検知センサにおける外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定し、
前記高ノイズ状態であることを判定した場合に、前記高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応するノイズ関連報知を実行し、
前記検知状態の方が前記非検知状態に比べて前記ノイズ関連報知が実行されやすくなるように、前記ノイズ関連報知の実行有無の判定閾値または実行態様を前記検知状態であるか前記非検知状態であるかに応じて変化させる。
本開示の他の1つの観点によれば、物体検知方法は、
物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成立中にて、物体検知センサにおける外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定し、
前記高ノイズ状態であることを判定した場合に、前記高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応するノイズ関連報知を実行し、
前記自車両の走行状態に応じて、前記ノイズ関連報知の実行有無の判定閾値または実行態様を決定する。
物体検知プログラムは、自車両の周囲に存在する物体を検知するように構成された物体検知装置により実行されるプログラムである。
本開示の1つの観点によれば、物体検知プログラムにおいて、
前記物体検知装置が実行する処理は、
物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成立中にて、前記物体が検知されている検知状態であるか前記物体が検知されていない非検知状態であるかを判定する処理と、
前記物体検知条件の成立中にて、物体検知センサにおける外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定する処理と、
前記高ノイズ状態であることを判定した場合に、前記高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応するノイズ関連報知を実行する処理と、
を含み、
前記検知状態の方が前記非検知状態に比べて前記ノイズ関連報知が実行されやすくなるように、前記ノイズ関連報知の実行有無の判定閾値または実行態様を前記検知状態であるか前記非検知状態であるかに応じて変化させる。
本開示の他の1つの観点によれば、物体検知プログラムにおいて、
前記物体検知装置が実行する処理は、
物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成立中にて、物体検知センサにおける外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定する処理と、
前記高ノイズ状態であることを判定した場合に、前記高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応するノイズ関連報知を実行する処理と、
前記自車両の走行状態に応じて、前記ノイズ関連報知の実行有無の判定閾値または実行態様を決定する処理と、
を含む。
【0008】
なお、出願書類中の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付されている場合がある。この場合、参照符号は、単に、同要素と後述する実施形態に記載の具体的構成との対応関係の一例を示すものである。よって、本開示は、参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る物体検知装置を搭載した車両の概略構成を示す平面図である。
【
図2】
図1に示された物体検知装置の一実施形態における概略的な機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示された物体検知装置における第一の動作例の概略を示すタイムチャートである。
【
図4】
図2に示された物体検知装置における第二の動作例の概略を示すフローチャートである。
【
図5】
図2に示された物体検知装置における第三の動作例の概略を示すフローチャートである。
【
図6】
図2に示された物体検知装置における第四の動作例の概略を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
以下、本開示の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると、当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中ではなく、その後にまとめて説明する。
【0011】
(車両全体構成)
図1を参照すると、車両10は、いわゆる四輪自動車であって、平面視にて略矩形状の車体11を備えている。以下、車両10の車幅方向における中心を通り、且つ車両10における車両全長方向と平行な仮想直線を、車両中心軸線LCと称する。
図1において、車幅方向は図中左右方向である。車両全長方向は、車幅方向と直交し且つ車高方向と直交する方向である。車高方向は、車両10の車高を規定する方向であって、車両10を走行可能な状態で水平面上に安定的に載置した場合の重力作用方向と平行な方向である。
【0012】
説明の便宜上、車両10における「前」「後」「左」「右」を、
図1中にて矢印で示された通りに定義する。すなわち、車両全長方向は、前後方向と同義である。また、車幅方向は、左右方向と同義である。なお、車高方向は、車両10の載置条件または走行条件により、重力作用方向と平行とはならない場合があり得る。もっとも、車高方向は、多くの場合、重力作用方向に沿った方向となる。
【0013】
車体11における前側の端部である前面部12には、フロントバンパー13が装着されている。車体11における後側の端部である後面部14には、リアバンパー15が装着されている。車体11における側面部16には、ドアパネル17が装着されている。
図1に示す具体例においては、左右にそれぞれ2枚ずつ、合計4枚のドアパネル17が設けられている。前側の左右一対のドアパネル17のそれぞれには、ドアミラー18が装着されている。
【0014】
(車載システム)
車両10には、車載システム20が搭載されている。車載システム20は、車両10における運転制御あるいは運転支援制御を実行するように構成されている。以下、車載システム20を搭載した車両10を、「自車両」と略称することがある。
【0015】
車載システム20は、物体検知ECU21を備えている。ECUはElectronic Control Unitの略である。物体検知ECU21は、車体11の内側に配置されている。物体検知ECU21は、いわゆる車載マイクロコンピュータであって、プロセッサ21aとメモリ21bとを備えている。プロセッサ21aは、CPUやMPUにより構成されている。メモリ21bは、ROM、RAM、不揮発性リライタブルメモリ、等の各種の記憶媒体のうち、少なくともROMまたは不揮発性リライタブルメモリを備えている。不揮発性リライタブルメモリは、電源投入中は情報を書き換え可能である一方で電源遮断中は情報を書き換え不能に保持する記憶装置であって、例えばフラッシュROM等である。ROMおよび不揮発性リライタブルメモリは、コンピュータ読み取り可能な非遷移的実体的記憶媒体に相当するものである。メモリ21bには、後述の動作概要あるいはフローチャートに対応するプログラムと、かかるプログラムの実行の際に用いられる各種のデータ(例えば、初期値、ルックアップテーブル、マップ、等。)が、あらかじめ格納されている。本開示に係る物体検知装置を構成する物体検知ECU21は、プロセッサ21aがメモリ21bに格納されたプログラムを読み出して実行することで、自車両の周囲に存在する物体Bを検知するように構成されている。
【0016】
本実施形態においては、物体検知ECU21は、少なくともソナーセンサ22を用いて物体Bを検知するように構成されている。ソナーセンサ22は、物体Bまでの距離を検出する測距センサであって、車体11に装着されている。本実施形態においては、ソナーセンサ22は、いわゆる超音波センサであって、超音波である探査波を自車両の外側に向けて送信するとともに、超音波を含む受信波を受信可能に構成されている。すなわち、ソナーセンサ22は、探査波の物体Bによる反射波を含む受信波を受信することで、物体B上の測距点との距離の検出結果である測距情報を生成および出力するように設けられている。「測距点」は、物体Bの表面上における、ソナーセンサ22から送信された探査波を反射したと推定される点である。
【0017】
(物体検知センサ)
車載システム20は、少なくとも1つのソナーセンサ22を備えている。具体的には、本実施形態においては、複数のソナーセンサ22が設けられている。複数のソナーセンサ22は、それぞれ、車両中心軸線LCから車幅方向におけるいずれか一方側にシフトして配置されている。また、複数のソナーセンサ22のうちの少なくとも一部は、車両中心軸線LCと交差する方向に沿って探査波を送信するように設けられている。
【0018】
具体的には、フロントバンパー13には、ソナーセンサ22としての、第一フロントソナーSF1、第二フロントソナーSF2、第三フロントソナーSF3、および第四フロントソナーSF4が装着されている。同様に、リアバンパー15には、ソナーセンサ22としての、第一リアソナーSR1、第二リアソナーSR2、第三リアソナーSR3、および第四リアソナーSR4が装着されている。また、車体11の側面部16には、ソナーセンサ22としての、第一サイドソナーSS1、第二サイドソナーSS2、第三サイドソナーSS3、および第四サイドソナーSS4が装着されている。
【0019】
第一フロントソナーSF1、第二フロントソナーSF2、第三フロントソナーSF3、第四フロントソナーSF4、第一リアソナーSR1、第二リアソナーSR2、第三リアソナーSR3、第四リアソナーSR4、第一サイドソナーSS1、第二サイドソナーSS2、第三サイドソナーSS3、および第四サイドソナーSS4のうちの、特定のいずれかであることを示さない場合に、以下、「ソナーセンサ22」という単数形の表現、または「複数のソナーセンサ22」という表現が用いられることがある。
【0020】
或る1つのソナーセンサ22を「第一ソナーセンサ」と称し、別の1つのソナーセンサ22を「第二ソナーセンサ」と称して、「直接波」および「間接波」を、以下のように定義する。第一ソナーセンサに受信される受信波であって、第一ソナーセンサから送信された探査波の物体Bによる反射波に起因する受信波を、「直接波」と称する。すなわち、直接波は、探査波を送信したソナーセンサ22と、当該探査波の物体Bによる反射波を受信波として検知したソナーセンサ22とが、同一である場合の、当該受信波である。これに対し、第二ソナーセンサに受信される受信波であって、第一ソナーセンサから送信された探査波の物体Bによる反射波に起因する受信波を、「間接波」と称する。すなわち、間接波とは、探査波を送信したソナーセンサ22と、当該探査波の物体Bによる反射波を受信波として検知したソナーセンサ22とが、異なる場合の、当該受信波である。
【0021】
第一フロントソナーSF1は、自車両の左前方に探査波を送信するように、フロントバンパー13の左端寄りの位置に装着されている。第二フロントソナーSF2は、自車両の右前方に探査波を送信するように、フロントバンパー13の右端寄りの位置に装着されている。第一フロントソナーSF1と第二フロントソナーSF2とは、車両中心軸線LCを挟んで対称に配置されている。
【0022】
第三フロントソナーSF3と第四フロントソナーSF4とは、フロントバンパー13における中央寄りの位置にて、車幅方向に配列されている。第三フロントソナーSF3は、自車両の略前方に探査波を送信するように、車幅方向について第一フロントソナーSF1と車両中心軸線LCとの間に配置されている。第四フロントソナーSF4は、自車両の略前方に探査波を送信するように、車幅方向について第二フロントソナーSF2と車両中心軸線LCとの間に配置されている。第三フロントソナーSF3と第四フロントソナーSF4とは、車両中心軸線LCを挟んで対称に配置されている。
【0023】
上記の通り、車体11の左側に装着された第一フロントソナーSF1および第三フロントソナーSF3は、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第一フロントソナーSF1と第三フロントソナーSF3とは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として受信可能な位置関係に設けられている。
【0024】
すなわち、第一フロントソナーSF1は、自己が送信した探査波に対応する直接波と、第三フロントソナーSF3が送信した探査波に対応する間接波との双方を受信可能に配置されている。同様に、第三フロントソナーSF3は、自己が送信した探査波に対応する直接波と、第一フロントソナーSF1が送信した探査波に対応する間接波との双方を受信可能に配置されている。
【0025】
同様に、車体11の車幅方向における中央寄りに装着された第三フロントソナーSF3および第四フロントソナーSF4は、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第三フロントソナーSF3と第四フロントソナーSF4とは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として受信可能な位置関係に設けられている。
【0026】
同様に、車体11の右側に装着された第二フロントソナーSF2および第四フロントソナーSF4は、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第二フロントソナーSF2と第四フロントソナーSF4とは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として受信可能な位置関係に設けられている。
【0027】
第一リアソナーSR1は、自車両の左後方に探査波を送信するように、リアバンパー15の左端寄りの位置に装着されている。第二リアソナーSR2は、自車両の右後方に探査波を送信するように、リアバンパー15の右端寄りの位置に装着されている。第一リアソナーSR1と第二リアソナーSR2とは、車両中心軸線LCを挟んで対称に配置されている。
【0028】
第三リアソナーSR3と第四リアソナーSR4とは、リアバンパー15の中央寄りの位置にて、車幅方向に配列されている。第三リアソナーSR3は、自車両の略後方に探査波を送信するように、車幅方向について第一リアソナーSR1と車両中心軸線LCとの間に配置されている。第四リアソナーSR4は、自車両の略後方に探査波を送信するように、車幅方向について第二リアソナーSR2と車両中心軸線LCとの間に配置されている。第三リアソナーSR3と第四リアソナーSR4とは、車両中心軸線LCを挟んで対称に配置されている。
【0029】
上記の通り、車体11の左側に装着された第一リアソナーSR1および第三リアソナーSR3は、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第一リアソナーSR1と第三リアソナーSR3とは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として受信可能な位置関係に設けられている。
【0030】
すなわち、第一リアソナーSR1は、自己が送信した探査波に対応する直接波と、第三リアソナーSR3が送信した探査波に対応する間接波との双方を受信可能に配置されている。同様に、第三リアソナーSR3は、自己が送信した探査波に対応する直接波と、第一リアソナーSR1が送信した探査波に対応する間接波との双方を受信可能に配置されている。
【0031】
同様に、車体11の車幅方向における中央寄りに装着された第三リアソナーSR3および第四リアソナーSR4は、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第三リアソナーSR3と第四リアソナーSR4とは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として受信可能な位置関係に設けられている。
【0032】
同様に、車体11の右側に装着された第二リアソナーSR2および第四リアソナーSR4は、平面視にて互いに異なる位置に配置されている。また、車幅方向について互いに隣接する第二リアソナーSR2と第四リアソナーSR4とは、相互に、一方が送信した探査波の物体Bによる反射波が他方における受信波として受信可能な位置関係に設けられている。
【0033】
第一サイドソナーSS1、第二サイドソナーSS2、第三サイドソナーSS3、および第四サイドソナーSS4は、側面部16の外側表面である車両側面から探査波を自車両の側方に送信するように設けられている。第一サイドソナーSS1、第二サイドソナーSS2、第三サイドソナーSS3、および第四サイドソナーSS4は、それぞれ、直接波のみを受信可能に設けられている。
【0034】
第一サイドソナーSS1は、自車両の左方に探査波を送信するように、前後方向について左側のドアミラー18と第一フロントソナーSF1との間に配置されている。第二サイドソナーSS2は、自車両の右方に探査波を送信するように、前後方向について右側のドアミラー18と第二フロントソナーSF2との間に配置されている。第一サイドソナーSS1と第二サイドソナーSS2とは、車両中心軸線LCを挟んで対称に設けられている。
【0035】
第三サイドソナーSS3は、自車両の左方に探査波を送信するように、前後方向について左後側のドアパネル17と第一リアソナーSR1との間に配置されている。第四サイドソナーSS4は、自車両の右方に探査波を送信するように、前後方向について右後側のドアパネル17と第二リアソナーSR2との間に配置されている。第三サイドソナーSS3と第四サイドソナーSS4とは、車両中心軸線LCを挟んで対称に設けられている。
【0036】
複数のソナーセンサ22の各々は、車載通信回線を介して、物体検知ECU21と情報通信可能に接続されている。複数のソナーセンサ22の各々は、物体検知ECU21の制御下で探査波を送信するとともに、受信波の受信結果に対応する信号を発生して物体検知ECU21にて受信可能に出力するようになっている。受信波の受信結果に対応する信号に含まれる情報を、以下「測距情報」と称する。測距情報には、受信波の受信強度に関連する情報、および、距離情報が含まれる。「距離情報」は、複数のソナーセンサ22の各々と物体Bとの距離に関連する情報である。具体的には、例えば、距離情報には、探査波の送信から受信波の受信までの時間差に関連する情報が含まれる。
【0037】
車載システム20は、自車両の周囲の物体Bを検知するための物体検知センサとして、ソナーセンサ22に加えて、カメラ23とレーダーセンサ24とを備えている。カメラ23は、自車両の周囲の画像を撮影しつつ当該自車両の移動に伴って移動するように、当該自車両に搭載されている。カメラ23は、自車両の周囲の撮影画像に対応する画像情報を生成するように構成されている。本実施形態においては、カメラ23は、デジタルカメラ装置であって、CCDあるいはCMOS等のイメージセンサを備えている。CCDはCharge Coupled Deviceの略である。CMOSはComplementary MOSの略である。
【0038】
本実施形態においては、車両10には、複数のカメラ23、すなわち、フロントカメラCF、リアカメラCB、左側カメラCL、および右側カメラCRが搭載されている。フロントカメラCF、リアカメラCB、左側カメラCL、および右側カメラCRのうちの、特定のいずれかであることを示さない場合に、以下、「カメラ23」という単数形の表現、または「複数のカメラ23」という表現が用いられることがある。
【0039】
フロントカメラCFは、自車両の前方の画像に対応する画像情報を取得するように設けられている。リアカメラCBは、自車両の後方の画像に対応する画像情報を取得するように、車体11の後面部14に装着されている。左側カメラCLは、自車両の左方の画像に対応する画像情報を取得するように、左側のドアミラー18に装着されている。右側カメラCRは、自車両の右方の画像に対応する画像情報を取得するように、右側のドアミラー18に装着されている。複数のカメラ23の各々は、車載通信回線を介して、物体検知ECU21と情報通信可能に接続されている。すなわち、複数のカメラ23の各々は、取得すなわち生成した画像情報を、物体検知ECU21にて受信可能に出力するようになっている。
【0040】
レーダーセンサ24は、レーダー波を送受信するレーザーレーダーセンサまたはミリ波レーダーセンサであって、車体11の前面部12に装着されている。レーダーセンサ24は、車載通信回線を介して、物体検知ECU21と情報通信可能に接続されている。レーダーセンサ24は、反射点の位置および相対速度に対応する信号を発生して、物体検知ECU21にて受信可能に出力するように構成されている。「反射点」は、物体Bの表面上における、レーダー波を反射したと推定される点である。「相対速度」は、反射点すなわちレーダー波を反射した物体Bの、自車両に対する相対速度である。
【0041】
(物体検知装置)
図2を参照すると、車載システム20は、さらに、車両状態センサ25と、HMI装置26と、運転制御装置27とを備えている。HMIはヒューマン・マシン・インタフェースの略である。なお、図示の簡略化のため、
図1に示された複数のソナーセンサ22すなわち第一フロントソナーSF1~第四サイドソナーSS4は、
図2においては、ソナーセンサ22として一纏めに示されている。同様に、
図1に示された複数のカメラ23すなわちフロントカメラCF等は、
図2においては、カメラ23として一纏めに示されている。
【0042】
車両状態センサ25は、車載通信回線を介して、物体検知ECU21と情報通信可能に接続されている。車両状態センサ25は、自車両の運転状態に関連する諸量に対応する情報あるいは信号を生成して、物体検知ECU21に出力するように設けられている。「運転状態に関連する諸量」は、例えば、アクセル操作量、ブレーキ操作量、シフトポジション、操舵角、等の、運転操作状態に関連する諸量を含む。また、「運転状態に関連する諸量」は、例えば、車速、角速度、前後方向加速度、左右方向加速度、等の、自車両の挙動に関連する物理量を含む。すなわち、車両状態センサ25は、シフトポジションセンサ、車速センサ、アクセル開度センサ、操舵角センサ、角速度センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、等の、車両運転制御に必要な周知のセンサ類を、図示および説明の簡略化のために総称したものである。
【0043】
HMI装置26は、車載通信回線を介して、物体検知ECU21と情報通信可能に接続されている。HMI装置26は、ドライバ等の乗員に対して各種の情報を提供するように構成されている。具体的には、HMI装置26は、計器や表示機器等の表示装置と、スピーカ等の音声出力装置と、ドライバ等の乗員に対して振動等の刺激を与えるハプティックデバイスとのうちの、少なくともいずれか1つを備えている。
【0044】
運転制御装置27は、車載通信回線を介して、物体検知ECU21と情報通信可能に接続されている。運転制御装置27は、自車両の縦方向や横方向の運動制御を実行するように構成されている。すなわち、運転制御装置27は、駆動制御装置、制動制御装置、操舵制御装置、等の、自車両の縦方向や横方向の運動制御を実行するための構成を、図示および説明の簡略化のために総称したものである。
【0045】
このように、物体検知ECU21は、ソナーセンサ22等の物体検知センサによる検知結果と、車両状態センサ25により取得した自車両の走行状態とに基づいて、物体検知動作を実行するように構成されている。そして、車載システム20は、自車両の周囲の物体Bすなわち障害物の検知結果に基づいて、各種の車両制御動作(例えば、衝突回避動作、駐車支援動作、等)を実行するように構成されている。また、車載システム20は、障害物検知結果やこれに伴う車両制御動作に関する、報知動作や警告動作を、HMI装置26により実行するように構成されている。
【0046】
図2は、マイクロコンピュータ上にて実現される、物体検知ECU21の機能構成の概略を示している。物体検知ECU21は、かかる機能構成として、走行状態取得部211と、検知条件判定部212と、物体検知判定部213と、ノイズ状態判定部214と、ノイズ報知処理部215とを有している。以下、本実施形態における、物体検知ECU21の機能構成の詳細について説明する。
【0047】
走行状態取得部211は、自車両の走行状態を取得するようになっている。具体的には、走行状態取得部211は、車両状態センサ25から取得した、自車両の運転状態に関連する諸量に対応する情報あるいは信号に基づいて、自車両の走行状態を判定するようになっている。ここにいう「走行状態」は、シフトポジション、車速、加減速量、操舵方向、操舵量、等の、自車両の運転操作状態あるいは運動状態のみならず、これらから判定される自車両の走行シーンをも含むものとする。「走行シーン」は、例えば、後退中、低速走行中、発進中、右折中、車線変更中、急制動中、等である。
【0048】
検知条件判定部212は、物体検知動作の実行条件である物体検知条件の成否を、走行状態取得部211による取得結果に基づいて判定するようになっている。本実施形態においては、物体検知条件は、シフトポジションが後退を含む走行ポジションであること、車速が所定範囲内であること、等を含む。
【0049】
物体検知判定部213は、物体検知条件の成立中にて、ソナーセンサ22等の物体検知センサによる検知結果に基づいて、自車両の周囲の所定範囲内における物体Bの存否を判定するようになっている。すなわち、物体検知判定部213は、検知状態であるか非検知状態であるかを判定するようになっている。「検知状態」は、物体Bが検知されている状態である。「非検知状態」は、物体Bが検知されていない状態である。また、物体検知判定部213は、自車両の周囲の所定範囲内に物体Bが存在する場合の、かかる物体Bの自車両との相対位置を算出するようになっている。
【0050】
ノイズ状態判定部214は、物体検知条件の成立中にて、物体検知センサであるソナーセンサ22における外来ノイズの受信状態が高ノイズ状態であるか否かを判定するようになっている。「外来ノイズ」は、「内部ノイズ」の反対概念である。「内部ノイズ」は、センサ内部で発生するノイズ、すなわち、ノイズを検知したセンサ自身の動作に起因するノイズであり、例えば熱ノイズ等である。これに対し、「外来ノイズ」は、内部ノイズとは異なるノイズであり、「外部ノイズ」あるいは「環境ノイズ」とも称され得る。すなわち、「外来ノイズ」は、自車両から送信された探査波の物体Bによる反射波以外の超音波受信によるノイズである。具体的には、外来ノイズは、例えば、他車両からの探査波、トラックやバスのエアブレーキにより発生する超音波、車両感応式交差点に備えられた車両検知用の超音波センサから発せられる超音波、等である。また、外来ノイズは、ソナーセンサ22に流れる流水のようなソナーセンサ22の表面に一時的に接触する物体に由来する影響も含む。「高ノイズ状態」は、外来ノイズの受信状態が所定の判定基準を超える状態である。
【0051】
より詳細には、ノイズ状態判定部214は、外来ノイズの受信状態に対応する特性値を取得すなわち算出するようになっている。「特性値」は、ソナーセンサ22にて受信した超音波である受信波における、外来ノイズの存在状態に対応する値である。具体的には、「特性値」は、例えば、外来ノイズの受信頻度である。「受信頻度」は、探査波の送信タイミングの直前に設けられたノイズモニタ期間にて外来ノイズを受信した頻度である。より詳細には、「受信頻度」は、ノイズモニタ期間にて外来ノイズを1回でも受信した場合を1カウントとした場合のカウント数である。あるいは、「特性値」は、例えば、外来ノイズの受信頻度が所定の頻度閾値を超える状態の継続時間または継続回数である。「継続回数」は、外来ノイズの受信頻度が所定の頻度閾値を超える状態である旨の判定が継続した回数である。そして、ノイズ状態判定部214は、外来ノイズの受信状態が所定の判定基準を超える高ノイズ状態が成立するか否かを判定するようになっている。具体的には、ノイズ状態判定部214は、特性値が判定基準に対応する判定閾値を超えた場合に、高ノイズ状態の成立を判定するようになっている。
【0052】
ノイズ報知処理部215は、高ノイズ状態であることがノイズ状態判定部214により判定された場合に、HMI装置26を用いてノイズ関連報知を実行するようになっている。「ノイズ関連報知」は、高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることに対応する情報を、ドライバ等の乗員に提供するための報知である。すなわち、ノイズ報知処理部215は、検知条件判定部212により物体検知条件の成立が判定され、且つ、ノイズ状態判定部214による高ノイズ状態の判定が成立した場合に、ノイズ関連報知を実行するようになっている。また、ノイズ報知処理部215は、外来ノイズの受信状態(すなわち例えば継続時間や回数)に応じて、ノイズ関連報知の実行態様(すなわち頻度や内容)を変化させるようになっている。
【0053】
本実施形態においては、物体検知ECU21は、物体Bの検知状況と自車両の走行状態とのうちのいずれか一方に応じて、高ノイズ状態の判定やノイズ関連報知に差を設けるように構成されている。具体的には、物体検知ECU21は、検知状態の方が非検知状態に比べてノイズ関連報知が実行されやすくなるように構成されている。あるいは、物体検知ECU21は、自車両の走行状態に応じて、ノイズ関連報知の実行されやすさを決定するように構成されている。具体的には、ノイズ報知処理部215は、検知された物体Bの自車両との衝突可能性に応じて、ノイズ関連報知の実行態様(すなわち、例えば、実行の有無、頻度、内容、等。)を変化させるようになっている。
【0054】
(動作概要)
以下、本実施形態に係る車載システム20すなわち物体検知ECU21における動作、および、かかる物体検知ECU21により実行される物体検知方法や物体検知プログラムの概要について、これらにより奏される効果とともに、各図面を参照しつつ説明する。以下、本実施形態に係る物体検知ECU21と、これにより実行される物体検知方法および物体検知プログラムとを、「本実施形態」と総称する。
【0055】
車両状態センサ25は、自車両の運転状態に関連する諸量に対応する情報あるいは信号を取得すなわち生成して、物体検知ECU21に出力する。物体検知ECU21は、車両状態センサ25から受信した情報あるいは信号に基づいて、物体検知条件の成否を判定する。物体検知条件が成立すると、物体検知ECU21は、複数のソナーセンサ22の各々にて送受信動作を所定時間間隔で実行させる。すなわち、物体検知ECU21は、複数のソナーセンサ22の各々における送受信タイミングを制御する。複数のソナーセンサ22の各々は、探査波の反射波を含む受信波を受信することで、自車両の周囲に存在する物体B上の測距点との距離を測定する。また、複数のソナーセンサ22の各々は、取得すなわち生成した測距情報を、物体検知ECU21にて受信可能に出力する。
【0056】
具体的には、物体検知ECU21は、第一フロントソナーSF1~第四フロントソナーSF4の送受信動作を制御する場合、これらのうちの特定のセンサを「送受信用センサ」に設定し、残りのセンサを「受信用センサ」に設定する。送受信用センサは、送信タイミング直前のノイズモニタ期間にて外来ノイズをモニタリングした後、送信タイミングから探査波を所定の送信時間送信し、送信終了から所定の残響待機時間待機して残響が収まってから直接波を受信するための受信動作を実行する。すなわち、送受信用センサにおける送受信動作は、ノイズモニタ動作と、送信動作と、受信動作とを含む。受信用センサは、送受信用センサにおける送信タイミングを基準としたその直前のノイズモニタ期間にて外来ノイズをモニタリングした後、かかる送信タイミングから間接波を受信するための受信動作を実行する。すなわち、受信用センサにおける送受信動作は、ノイズモニタ動作と受信動作とを含む。送受信用センサにおける送受信動作と、受信用センサにおける送受信動作とは、同期している。すなわち、送受信用センサにおけるノイズモニタ期間と、受信用センサにおけるノイズモニタ期間とは、略一致する。また、送受信用センサにおける受信動作終了タイミングと、受信用センサにおける受信動作終了タイミングとは、略一致する。物体検知ECU21は、所定時間間隔で、送受信用センサを切り替える。具体的には、例えば、物体検知ECU21は、送受信用センサを、第三フロントソナーSF3→第四フロントソナーSF4→第一フロントソナーSF1+第二フロントソナーSF2→第三フロントソナーSF3…の順に切り替える。第一リアソナーSR1~第四リアソナーSR4の送受信動作を制御する場合も同様である。第一リアソナーSR1~第四リアソナーSR4の送信タイミングは、第一フロントソナーSF1~第四フロントソナーSF4の送信タイミングと同期している。第一サイドソナーSS1~第四サイドソナーSS4は、直接波のみの受信が想定されているため、第一フロントソナーSF1~第四フロントソナーSF4における送受信用センサと同期して送受信動作する。
【0057】
物体検知ECU21は、複数のソナーセンサ22の各々から、測距情報を受信する。また、物体検知ECU21は、複数のカメラ23の各々から、画像情報を受信する。また、物体検知ECU21は、レーダーセンサ24から、物体B上の反射点の位置および相対速度に対応する信号を受信する。そして、物体検知ECU21は、複数のソナーセンサ22の各々、複数のカメラ23の各々、レーダーセンサ24、および車両状態センサ25から受信した信号および情報に基づいて、物体Bを検知する。
【0058】
例えば、物体検知判定部213は、カメラ23により取得された画像情報に基づいて、移動ステレオ等の周知の手法により、物体Bの三次元形状および自車両に対する相対位置を画像認識する。また、物体検知判定部213は、複数のソナーセンサ22を用いた三角測量により、物体Bの自車両に対する相対位置を算出する。そして、物体検知判定部213は、物体Bの画像認識結果と、ソナーセンサ22による検知結果と、レーダーセンサ24による測距結果とに基づいて、物体Bを認識する。すなわち、本実施形態においては、物体検知判定部213は、画像認識結果と測距結果とを融合させる、いわゆる「センサフュージョン」技術を用いて、障害物としての物体Bを検知する。
【0059】
ところで、自車両の周囲には、ソナーセンサ22に対する外来ノイズとなり得る超音波が溢れている。このような、周囲環境からの外来ノイズが頻繁に受信される状況においては、外来ノイズの受信により、物体Bの検知状態が確定しづらくなり、物体検知機能が制限される。
【0060】
この点、外来ノイズにより物体検知機能が制限された場合に、その旨をドライバ等の乗員であるユーザに通知するニーズが生じている。しかしながら、状況にかかわらず一律にノイズ判定結果を通知すると、かえってユーザの利便性が低下することとなり得る。具体的には、例えば、ソナーセンサ22の補助が不要な運転状況において、頻繁にノイズ報知すると、ユーザが煩わしく感じる場合がある。一方、例えば、ソナーセンサ22の補助が必要な運転状況において、外来ノイズでセンサの信頼度が低下していることを正確に報知しないと、ソナーセンサ22およびこれを用いた物体検知機能が正常に動作しているとユーザが誤認するおそれがある。
【0061】
ここで、例えば、物体Bが検知されていない場面や、追従走行中の場面や、対向車とのすれ違いの場面や、ドライバが自車両の周囲の状況を良好に視認可能な場面においては、物体Bとの衝突のおそれがない。このような場面においては、過剰な高ノイズ状態の判定やノイズ関連報知をしない方が好ましい。これに対し、自車両がその周囲の物体Bと衝突するおそれがあり、ドライバ等のユーザがソナーセンサ22およびこれを用いた物体検知機能による補助を必要としている場面があり得る。かかる場面は、例えば、ドライバの死角に物体Bが実際に存在するかその可能性が高い場面や、にじり寄りの場面等である。このような場面においては、高ノイズ状態により物体検知機能に制限が生じていることをユーザに的確に報知することが好ましい。
【0062】
そこで、本実施形態は、物体Bの検知状況や自車両の走行状態に応じて、高ノイズ状態の判定やノイズ関連報知に差を設ける。これにより、外来ノイズにより物体検知機能が制限されたことを、利便性の低下を抑制しつつ、ユーザに良好に通知することが可能となる。
【0063】
具体的には、本実施形態は、検知状態の方が非検知状態に比べて高ノイズ状態判定やノイズ関連報知が行われやすくなるようにしている。より詳細には、本実施形態は、例えば、検知状態の方が非検知状態に比べて低い判定閾値を用いる。あるいは、本実施形態は、例えば、非検知状態においては、検知状態とは異なり、外来ノイズの受信状態が所定程度(すなわち所定時間あるいは所定回数)継続することを高ノイズ状態の判定条件とする。あるいは、本実施形態は、自車両の走行状態に応じて、ノイズ関連報知の実行されやすさを決定する。
【0064】
(動作例1)
以下、本実施形態による具体的な一動作例について、
図1~
図3を用いて説明する。
図3は、本動作例に対応するタイムチャートである。
図3において、「物体検知動作」は、物体検知条件が成立して物体検知ECU21が物体検知動作を実行中の場合を「ON」とし、それ以外を「OFF」として示す。「検知状態(1)」は、ソナーセンサ22における受信波強度が閾値を超えることで、探査波の物体Bによる反射波が受信されたことが推定される、「仮」の物体検知判定を示す。「検知状態(2)」は、自車両の周囲の所定範囲内に、障害物に相当する物体Bが確定的に検知された状態を示す。「ノイズ検知」は、ソナーセンサ22における外来ノイズの検知状態を示す。「ノイズ継続」は、ノイズ検知状態が所定の判定閾値時間を超えて継続している状態を示す。「ノイズ報知」は、HMI装置26を用いたノイズ関連報知の実行タイミングを示す。また、時間経過を示す横軸tにおいて、時刻t0以外の時刻を示す「1」~「H」は、それぞれ、時刻t1~tHにおける「t」を図示の都合上略記したものである。
【0065】
時刻t0において物体検知動作が開始され、時刻t1にて受信波強度が閾値を超えると、検知状態(1)がONに立ち上がる。この時点では、外来ノイズは検知されておらず、確定的な検知状態を示す検知状態(2)も時刻t1にてONに立ち上がる。この状態が時刻t2まで継続する。
【0066】
何らかの理由により、検知状態(1)と検知状態(2)とのうちの検知状態(2)のみがOFFに立ち下がることがあり得る。この理由は、例えば、外来ノイズの受信の他に、直接波と間接波とのうちの一方の不受信による三角測量の不成立、等が考えられる。但し、このような事態の発生は、短時間であることが想定される。そこで、
図3に示されているように、時刻t2にて検知状態(1)と検知状態(2)とのうちの検知状態(2)のみがOFFに立ち下がった後の、時刻t3にて、外来ノイズが検知される場面を想定する。この場面において、時刻t2と時刻t3との間の経過時間Tαが短時間(すなわちTα<所定の待機時間)である場合、かかる外来ノイズは物体Bの検知状態中のものであるとして、時刻t3からノイズ関連報知が開始される。なお、時刻t2にて物体検知結果が不定となった理由としては、時刻t3にて検知判定となった外来ノイズの受信である可能性もあり得る。すなわち、時刻t2以降にて実際に外来ノイズの受信により物体検知結果が不定となってから、短い時間Tαが経過した後、外来ノイズの受信判定が成立する場合もあり得る。
【0067】
時刻t4にてノイズ検知がOFFとなると、ノイズ関連報知が終了する。このとき、検知状態(2)がONに立ち上がっている。このため、時刻t2~t4にて物体検知結果が不定となった理由が外来ノイズの受信であったことが判明する。時刻t5にて物体検知条件が不成立となると、物体検知動作が一旦終了する。なお、本具体例においては、時刻t5以降においては、自車両の周囲の所定範囲内に物体Bが存在せず、検知状態(1)と検知状態(2)とのいずれもOFFであるものとする。
【0068】
時刻t6にて物体検知条件が再び成立して物体検知動作が開始され、物体検知動作中の時刻t7にて、外来ノイズが検知される。このとき、物体Bは検知されていない。このため、時刻t7においては、検知された外来ノイズに対応するノイズ関連通知は実行されない。その後、時刻t7から比較的短時間経過した時刻t8にて、外来ノイズが不検知となる。このように、非検知状態においては、単に外来ノイズが検知されただけではノイズ関連通知は実行されず、外来ノイズの受信状態が所定程度継続することが高ノイズ状態の判定条件あるいはノイズ関連通知の実行条件とされる。その後、時刻t9にて物体検知条件が不成立となると、物体検知動作が一旦終了する。
【0069】
時刻tAにて物体検知条件が再び成立して物体検知動作が開始され、その直後の時刻tBにて外来ノイズが検知されても、上記と同様に、非検知状態においては、ノイズ関連通知は実行されない。その後、時刻tC~tDおよび時刻tE~tFの短時間にて物体検知動作が中断する。しかしながら、中断時間が所定の中断閾値時間未満である場合、外来ノイズの受信状態のカウント(すなわち経過時間または連続受信判定回数)が中断前後で合算される。このため、外来ノイズの受信環境が時刻tB~tGの間継続している場合、判定閾値時間Tβが経過した時刻tC以降にて、ノイズ継続状態がONとなり、ノイズ関連報知が実行開始される。ノイズ関連報知は、短い中断時間tE~tFの間も実行され、外来ノイズが不検知となった時刻tGにて終了する。その後、時刻tHにて物体検知条件が不成立となると、物体検知動作が一旦終了する。
【0070】
このように、本動作例においては、自車両との衝突の可能性がある障害物となり得る物体Bが検知されている状態の方が、検知されていない状態よりも、ノイズ関連報知が実行されやすい。また、本動作例においては、ノイズ報知処理部215は、外来ノイズの受信状態に応じて、ノイズ関連報知の実行態様を変化させる。したがって、本動作例によれば、外来ノイズにより物体検知機能が制限されたことを、利便性の低下を抑制しつつ、ユーザに良好に通知することが可能となる。
【0071】
(動作例2)
以下、他の一動作例について、
図1および
図2に加えて
図4をも用いて説明する。
図4は、本動作例に対応するフローチャートである。
図4において、「S」は、「ステップ」を略記したものである。
図5のフローチャートにおいても同様である。また、以下の説明において、物体検知ECU21に備えられたプロセッサ21aを、単に「CPU」と略称する。
【0072】
最初に、ステップ401にて、CPUは、種々のカウンタやフラグを初期化するための初期化処理を実行する。次に、ステップ402にて、CPUは、ソナーセンサ22等の物体検知センサを用いた物体検知処理を実行する。この物体検知処理には、ソナーセンサ22等の物体検知センサから出力された情報あるいは信号の取得と、取得したこれらの情報あるいは信号に基づく物体Bの存否判定および相対位置の算出とを含む。続いて、ステップ403にて、CPUは、今回の処理タイミングにおいて外来ノイズを受信したか否かを判定する。
【0073】
外来ノイズを受信していない場合(すなわちステップ403=NO)、CPUは、ステップ404の処理を実行した後、処理をステップ402に戻す。ステップ404にて、CPUは、ノイズ継続フラグFNをリセットする(すなわちFN=0)。なお、ステップ404の処理の実行直前にてノイズ継続フラグFNが既にリセット状態であった場合は、ステップ404にて、CPUは、ノイズ継続フラグFNのリセット状態を保持する。これに対し、外来ノイズを受信した場合(すなわちステップ403=YES)、CPUは、処理をステップ405に進行させる。
【0074】
ステップ405にて、CPUは、自車両の周囲の所定範囲内における物体Bの検知情報があるか否かを判定する。すなわち、CPUは、現時点で検知状態であるか非検知状態であるかを判定する。検知状態である場合(すなわちステップ405=YES)、CPUは、処理をステップ406およびステップ407に進行させる。
【0075】
ステップ406にて、CPUは、検知した物体Bとの衝突あるいは接触のリスクを判定する。具体的には、例えば、CPUは、衝突あるいは接触のリスクに対応する評価値(例えばTTC等)を算出する。TTCはTime to Collisionの略である。あるいは、例えば、CPUは、かかる評価値を、物体Bの自車両に対する相対位置を考慮して算出することも可能である。ステップ407にて、CPUは、ステップ406にて判定したリスクが、検知した物体Bとの衝突あるいは接触の可能性が高い所定程度に達しているか否かを判定する。
【0076】
衝突あるいは接触のリスクがある場合(すなわちステップ407=YES)、CPUは、ステップ408の処理を実行した後、処理をステップ402に戻す。ステップ408にて、CPUは、HMI装置26を制御してノイズ関連報知を実行する。衝突あるいは接触のリスクがない場合(すなわちステップ407=NO)、CPUは、ステップ408の処理をスキップして、処理をステップ402に戻す。
【0077】
自車両の周囲の所定範囲内における物体Bの検知情報がない場合(すなわちステップ405=NO)、CPUは、処理をステップ409に進行させる。ステップ409にて、CPUは、ノイズ継続フラグFNがセットされているか否か(すなわちFN=1であるか否か)を判定する。ノイズ継続フラグFNがセットされている状態は、
図3におけるノイズ継続状態がONである状態に相当する。
【0078】
ノイズ継続フラグFNがセットされている場合(すなわちステップ409=YES)、CPUは、処理をステップ408に進行させる。これに対し、ノイズ継続フラグFNがリセットされている場合(すなわちステップ409=NO)、CPUは、処理をステップ410およびステップ411に進行させる。
【0079】
ステップ410にて、CPUは、外来ノイズの継続状態(すなわち継続時間あるいは継続回数)を示す継続状態パラメータTnを取得する。ステップ411にて、CPUは、継続状態パラメータTnが閾値Tn1以上であるか否かを判定する。閾値Tn1は、上記の第一動作例における判定閾値時間Tβに相当する。
【0080】
Tn<Tn1である場合(すなわちステップ411=NO)、CPUは、処理をステップ402に戻す。Tn≧Tn1である場合(すなわちステップ411=YES)、CPUは、ステップ412の処理を実行した後、処理をステップ408に進行させる。ステップ412にて、CPUは、ノイズ継続フラグFNをセットする(すなわちFN=1)。
【0081】
このように、本動作例においては、自車両との衝突の可能性がある障害物となり得る物体Bが検知されている状態の方が、検知されていない状態よりも、ノイズ関連報知が実行されやすい。また、本動作例においては、ノイズ報知処理部215は、外来ノイズの受信状態に応じて、ノイズ関連報知の実行態様を変化させる。さらに、本動作例においては、ノイズ報知処理部215は、検知された物体Bの自車両との衝突可能性に応じて、ノイズ関連報知の実行態様を変化させる。したがって、本動作例によれば、外来ノイズにより物体検知機能が制限されたことを、利便性の低下を抑制しつつ、ユーザに良好に通知することが可能となる。
【0082】
(動作例3)
以下、さらに他の一動作例について、
図1および
図2に加えて
図5をも用いて説明する。
図5は、本動作例に対応するフローチャートである。
図5におけるステップ501~ステップ504の処理内容は、それぞれ、
図4におけるステップ401~ステップ404の処理内容と同一である。このため、ステップ501~ステップ504の処理内容の説明は省略する。
【0083】
ステップ505にて、CPUは、自車両の走行状態を判定する。具体的には、CPUは、車両状態センサ25から取得した自車両の運転状態に関連する諸量に対応する情報あるいは信号に基づいて、自車両の走行シーンを判定する。ステップ506にて、CPUは、ステップ505にて判定した走行状態が高リスク走行状態であるか否かを判定する。「高リスク走行状態」は、自車両がその周囲に存在する物体Bと衝突あるいは接触するリスクが高いことが想定される走行シーンであって、例えば、後退中、低速走行中、発進中、右左折中、車線変更中、駐車動作中、等である。
【0084】
高リスク走行状態である場合(すなわちステップ506=YES)、CPUは、処理をステップ508に進行させる。これに対し、低リスク走行状態である場合(すなわちステップ506=NO)、CPUは、処理をステップ509に進行させる。
図5におけるステップ508~ステップ512の処理内容は、それぞれ、
図4におけるステップ408~ステップ412の処理内容と同一である。このため、ステップ508~ステップ512の処理内容の説明は省略する。
【0085】
このように、本動作例においては、自車両の走行状態に応じて、ノイズ関連報知の実行されやすさが決定される。また、本動作例においては、ノイズ報知処理部215は、外来ノイズの受信状態に応じて、ノイズ関連報知の実行態様を変化させる。さらに、本動作例においては、ノイズ報知処理部215は、検知された物体Bの自車両との衝突可能性に応じて、ノイズ関連報知の実行態様を変化させる。したがって、本動作例によれば、外来ノイズにより物体検知機能が制限されたことを、利便性の低下を抑制しつつ、ユーザに良好に通知することが可能となる。
【0086】
(動作例4)
図6は、検知された物体Bの自車両からの距離、物体Bの自車両に対する相対位置、および、自車両の物体Bとの衝突あるいは接触のリスクと、ノイズ関連報知の実行態様との関係を示す。なお、この
図6における「衝突リスク」すなわち自車両の物体Bとの衝突あるいは接触のリスクは、例えば、自車両の走行予定軌跡と物体Bの位置あるいは移動予定軌跡とを考慮して決定されるものとする。この
図6に示されたテーブルは、上記の各動作例にも重畳的に適用され得る。
【0087】
図6に示されているように、近距離(例えば0.75m以内)、且つ、ドライバから視認困難な死角領域に物体Bが存在する場合、衝突リスクの有無にかかわらず、ノイズ報知処理部215は、ノイズ関連報知を実行する。一方、近距離、且つ、ドライバから視認容易な非死角領域に物体Bが存在する場合、ノイズ報知処理部215は、衝突リスクの有無に応じて、ノイズ関連報知を実行する。近距離の場合の報知例は、例えば、「障害物に注意して運転してください」等である。
【0088】
中距離(例えば0.75~2m)の場合、物体Bの自車両に対する相対位置にかかわらず、ノイズ報知処理部215は、衝突リスクの有無に応じてノイズ関連報知を実行する。すなわち、自車両の物体Bとの衝突あるいは接触のリスクがある場合、かかる物体Bの相対位置が死角領域か否かにかかわらず、ノイズ報知処理部215は、ノイズ関連報知を実行する。中距離の場合の報知例は、例えば、「センサの性能が低下しています」等である。
【0089】
遠距離(例えば2m以上)の場合、自車両の物体Bとの衝突あるいは接触のリスクがあり、且つ、かかる物体Bがドライバから視認困難な死角領域に存在するという条件下で、ノイズ報知処理部215は、ノイズ関連報知を実行する。一方、それ以外の条件下では、ノイズ報知処理部215は、ノイズ関連報知を実行しない。
【0090】
このように、本動作例においては、ノイズ報知処理部215は、検知された物体Bの自車両との衝突可能性に応じて、ノイズ関連報知の実行態様を変化させる。したがって、本動作例によれば、外来ノイズにより物体検知機能が制限されたことを、利便性の低下を抑制しつつ、ユーザに良好に通知することが可能となる。
【0091】
(変形例)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一の符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
【0092】
本開示は、上記実施形態にて示された具体的な装置構成に限定されない。すなわち、例えば、車載システム20を搭載する車両10は、四輪自動車に限定されない。具体的には、車両10は、三輪自動車であってもよいし、貨物トラック等の六輪または八輪自動車でもよい。車両10の種類は、内燃機関のみを備えた自動車であってもよいし、内燃機関を備えない電気自動車または燃料電池車であってもよいし、いわゆるハイブリッド自動車であってもよい。車体11の形状および構造も、箱状すなわち平面視における略矩形状に限定されない。ドアパネル17の数も、特段の限定はない。
【0093】
車載システム20の適用対象についても、特段の限定はない。例えば、車載システム20は、運転支援システム、すなわち、自動運転の定義におけるレベル2~レベル5に相当する半自動運転あるいは自動運転を実現するための自動運転システムに限定されない。具体的には、例えば、車載システム20は、障害物の有無を報知する障害物報知システムであってもよいし、自車両の駐車スペースへの駐車を支援する駐車支援システムあるいは自動駐車システムであってもよい。
【0094】
上記実施形態においては、物体検知ECU21は、CPUがROM等からプログラムを読み出して起動する構成であった。しかしながら、本開示は、かかる構成に限定されない。すなわち、例えば、物体検知ECU21は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばASICあるいはFPGAを備えた構成であってもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。
【0095】
ソナーセンサ22の配置および個数は、上記の具体例に限定されない。すなわち、例えば、
図1を参照すると、第三フロントソナーSF3が車幅方向における中央位置に配置される場合、第四フロントソナーSF4は省略される。同様に、第三リアソナーSR3が車幅方向における中央位置に配置される場合、第四リアソナーSR4は省略される。例えば、車載システム20が駐車支援あるいは自動駐車の機能を有しない場合、第三サイドソナーSS3および第四サイドソナーSS4は、省略され得る。
【0096】
カメラ23の配置および個数は、上記の例に限定されない。すなわち、例えば、フロントカメラCFは、車室内あるいは車室外に配置され得る。具体的には、例えば、フロントカメラCFは、車両10における車室内に配置された不図示のルームミラーに装着され得る。あるいは、例えば、フロントカメラCFは、車体11の前面部12に装着され得る。左側カメラCLおよび右側カメラCRは、ドアミラー18とは異なる位置に配置され得る。あるいは、左側カメラCLおよび右側カメラCRは、省略され得る。
【0097】
レーダーセンサ24として、レーザーレーダーセンサとミリ波レーダーセンサとの双方が、自車両に搭載されていてもよい。レーダーセンサ24としてのミリ波レーダーセンサは、いわゆるサブミリ波レーダーセンサであってもよい。
【0098】
上記実施形態においては、車載システム20は、物体検知センサとして、ソナーセンサ22、カメラ23、およびレーダーセンサ24を備えている。しかしながら、本開示は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、車載システム20は、物体検知センサとして、ソナーセンサ22のみを備えていてもよい。あるいは、例えば、車載システム20は、物体検知センサとして、レーダーセンサ24のみを備えていてもよい。これらの場合に対しても、本開示は、好適に適用され得る。
【0099】
本開示は、上記実施形態にて示された具体的な機能構成あるいは動作態様に限定されない。すなわち、例えば、上記実施形態においては、外来ノイズの受信状態をモニタする物体検知センサと、検知状態と非検知状態との区別を行うための物体検知センサとが、ともに、ソナーセンサ22であった。しかしながら、本開示は、かかる態様に限定されない。よって、例えば、カメラ23またはレーダーセンサ24により物体Bが検知されたか否かに応じて、ソナーセンサ22における高ノイズ状態の判定やノイズ関連報知に差を設けてもよい。
【0100】
物体検知ECU21における機能構成も、上記実施形態にて示された具体例に限定されない。すなわち、例えば、ノイズ状態判定部214における機能の全部または一部は、ノイズ報知処理部215に設けられ得る。あるいは、ノイズ報知処理部215における機能の全部または一部は、ノイズ状態判定部214に設けられ得る。
【0101】
ノイズ関連報知の頻度は、ユーザ設定可能であってもよい。具体的には、例えば、ユーザがノイズ関連報知の頻度を調整するための操作は、HMI装置26に設けられた入力デバイスにより実行され得る。かかる操作に対応して、ノイズ関連報知の頻度に関連するパラメータが変更され得る。かかるパラメータは、例えば、「Tα<所定の待機時間」における待機時間、判定閾値時間Tβ、
図4および
図5における閾値Tn1、等である。これにより、ユーザの利便性が向上する。
【0102】
ノイズ関連報知の実行されやすさの調整は、上記実施形態のようなノイズ関連報知の実行頻度の調整であってもよいし、高ノイズ状態が成立するか否かを判定するための判定閾値の調整であってもよいし、双方であってもよい。すなわち、例えば、物体Bの検知状態の方が非検知状態よりも低い判定閾値が用いられてもよい。あるいは、例えば、高リスク走行状態の方が低リスク走行状態よりも低い判定閾値が用いられてもよい。
【0103】
「取得」という表現と、「推定」「検出」「検知」「算出」等の類似の表現とは、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜置換可能である。「検出」と「抽出」とも、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜置換可能である。各判定処理における不等号は、等号付きであってもよいし、等号無しであってもよい。すなわち、例えば、「閾値未満」と「閾値以下」とは、技術的に矛盾しない範囲内において、互いに置換され得る。
【0104】
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数値に限定される場合等を除き、その特定の数値に本開示が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本開示が限定されることはない。
【0105】
変形例も、上記の例示に限定されない。例えば、複数の動作例が、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。さらに、上記実施形態の全部または一部と、変形例の全部または一部とが、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。