(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】テーパ状のローブ状ドライバ及び締結具
(51)【国際特許分類】
B25B 15/00 20060101AFI20240509BHJP
F16B 23/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B25B15/00 610A
F16B23/00 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021201691
(22)【出願日】2021-12-13
(62)【分割の表示】P 2018503796の分割
【原出願日】2016-08-18
【審査請求日】2021-12-15
(32)【優先日】2015-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313011065
【氏名又は名称】インファステック インテレクチュアル プロパティーズ ピーティーイー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルークス、リチャード ダヴリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ブラエス、ドナルド ケー.
(72)【発明者】
【氏名】リスキン、ショーン
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0260489(US,A1)
【文献】特開2010-249321(JP,A)
【文献】特許第4823692(JP,B2)
【文献】特許第4031418(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2011/0048181(US,A1)
【文献】特表2014-524364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 15/00
F16B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結具システムであって、
凹部を有する頭部とねじ付きシャンクとを有する締結具であって、
前記凹部が、回転軸の周りに一連の3つの交互のローブ及びトラフによって画定され、前記交互のローブ及びトラフの各々が、連続する外側半径部分と、駆動側面遷移部と、内側遷移半径と、逆方向駆動部分と、によって画定され、
前記凹部が、前記回転軸から約60°のテーパ角を有する前記外側半径部分によって画定された凹部側壁を有する、締結具と、
前記回転軸の周りに一連の3つの交互のドライバローブ及びドライバトラフによって画定された成形テーパ状ビットを備えるドライバであって、前記交互のドライバローブ及びドライバトラフの各々が、連続する外側半径部分と、駆動側面遷移部と、内側遷移半径と、逆方向駆動部分と、によって画定されている、ドライバと、を備え、
前記ドライバローブ及び前記凹部の各々が、ローブ高さに対するローブ幅の実質的に一定の比を有するテーパ状の高さ及び幅を有し、
前記ドライバローブが、前記回転軸に対するテーパ角が前記凹部側壁の前記テーパ角以下である前記外側半径部分によって前記成形テーパ状ビットの外径上に画定されたドライバ側壁を有し、
前記ドライバの前記逆方向駆動部分が、湾曲部分とキャッチ部分とを備え、前記湾曲部分が、前記内側遷移半径と前記キャッチ部分との間に一定または変化する半径によって確定され、前記キャッチ部分が、前記回転軸を中心とする半径方向に対して約45度の逆方向駆動角を画定する、
締結具システム。
【請求項2】
前記ドライバ側壁が、前記回転軸から約60°のテーパ角を有する、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項3】
前記ドライバ側壁が、前記回転軸から約42°のテーパ角を有する、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項4】
前記ドライバ側壁の前記テーパ角が、前記凹部側壁の前記テーパ角より少なくとも10°小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項5】
前記締結具及び前記ドライバの駆動側面遷移部の各々が、直線状であり、前記回転軸から延び、前記内側遷移半径に接する径方向線に対して駆動角を画定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項6】
前記駆動角が、約0°~5°である、請求項5に記載の締結具システム。
【請求項7】
前記締結具及び前記ドライバの駆動側面遷移部の各々が、前記ローブ高さの約20%~60%の長さを有する、請求項5又は6に記載の締結具システム。
【請求項8】
前記締結具及び前記ドライバの前記内側遷移半径の各々が、前記回転軸から第1の半径によって画定される第1のセグメントと、前記回転軸から前記第1の半径より大きい第2の半径によって画定される第2のセグメントと、を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項9】
前記ドライバが、先端部分を備え、前記外側半径部分が、前記先端部分において約140°のテーパ状である、請求項1から8のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項10】
異なるサイズの複数の追加の締結具をさらに備え、前記複数の追加の締結具の各々が、前記締結具の前記凹部の断面と実質的に同じである少なくとも1つの凹部の断面を有し、前記ドライバが、前記複数の追加の締結具の各々にトルクを伝達するように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項11】
前記締結具が、0.039インチ(1.0ミリメートル)より小さいねじ大径を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項12】
前記締結具が、0.063インチ(1.6ミリメートル)より小さいねじ大径を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項13】
前記ドライバの前記駆動側面遷移部が、カムアウトを減少させるために、2°未満のリフト角で前記締結具の前記駆動側面遷移部に係合するように適合されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の締結具システム。
【請求項14】
前記ドライバの前記外側半径部分が、第1の凸状セグメントと、凹状セグメントと、第2の凸状セグメントと、を備え、
前記締結具
が有する前記凹部の前記外側半径部分は、前記ドライバの
前記外側半径部分が備える前記第1の凸状セグメントと、前記凹状セグメントと、前記第2の凸状セグメントとに
それぞれ適合するように構成された
第1の凹状セグメントと、凸状セグメントと、第2の凹状セグメントとを含み、前記凹部の前記外側半径部分が、前記ドライバの前記外側半径部分と嵌合するように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の締結具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際特許出願は、2015年8月18日に出願された米国仮特許出願第62/206,555号の優先権及び利益の双方を主張するものであり、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、動力ドライバ等のトルク発生源から、構造体または装置を組付ける締結具にトルクを伝達するために使用されるトルク伝達ドライバに関する。
【背景技術】
【0003】
トルク伝達システムのためのトルク伝達ドライバ及びそれらのシステムにおいて使用される締結具は、当該技術分野においてよく知られている。ドライバのビットは、締結具における相補形状の凸部または凹部に嵌まる特定の形状の凹部または凸部を有している。より一般的に知られているトルク伝達システムのうちの1つは、PHILLIPS(登録商標)駆動システムとして市販されている十字型駆動システムである。例えば、米国特許第2,046,837号を参照されたい。トルク伝達駆動システムの数多くの形態及び形状が提案されている。例えば、米国特許第2,397,216号を参照されたい。さらに、いくつかの先行駆動システムは、3つのブレードまたはローブを含んでいた。例えば、米国特許第4,084,478号、及び同第8,182,187号を参照されたい。
【0004】
4ローブ、5ローブ、及び6ローブのスプライン型トルク伝達システムがよく知られている。これらの4ローブ、5ローブ、及び6ローブのトルク伝達システムの例が、それらのシステムの締結具及びドライバとともに、米国特許第2,969,250号、同第3,187,790号、同第3,584,667号、同第4,970,922号及び同第5,279,190号に記載されている。そのようなスプライン型トルク伝達駆動システムの初期の形態は、正方形隅を有しており、この正方形隅に対応する締結具凹部は、製造が困難であるとともに製造費が高く、締結具及び/またはドライバに応力を生じさせ、この応力は、繰返し使用による疲労破壊を引き起こした。5ローブ及び6ローブのスプライン型トルク駆動システムの後期の形態は、交互の一連のローブ及びフルートを形成するように締結具頭部またはドライバビットの360°の周に均一に位置決めされた、交わる複数の対向湾曲表面を有した。これらの後期の形態のトルク駆動システムは、最も早期のスプライン型システムに固有の問題のうちの幾つかを解消しているが、一般には、ローブ駆動角を、5°未満に保持することが可能ではなかった。より高いトルクがかけられると、力成分が増大して破壊が生じるかまたは締結具もしくはドライバからローブがすり減る。市販名がTORX(登録商標)駆動システムとして知られている、これらの後期の形態のスプライン型トルク駆動システムの一形態は、10°~20°の範囲内の駆動角を達成するように設計されている、嵌合する弧状面をベースに6ローブ構成及び5ローブ構成を有するものであった。米国特許第3,584,667号を参照されたい。
【0005】
このスプライン型トルク伝達駆動システムの後期の形態は、締結具頭部の駆動される表面とトルクドライバの駆動表面との双方が第1の一連の楕円湾曲表面と、この第1の一連の楕円湾曲表面の間に交互の第2の一連の楕円湾曲表面と、によって形成されていることによって、駆動角をゼロに低減させた。これらの一連の楕円湾曲表面の一方は凸状であり、他方で、交互の一連の楕円湾曲表面は凹状であった。交互の凹状楕円湾曲表面及び凸状楕円湾曲表面は、締結具頭部またはドライバビットの360°の周の回りに延びる、交互の一連のフルート及びローブを画定するように、滑らかに接線方向に合流するものであった。締結具頭部及びドライバビットのローブ及びフルートは双方とも、断面が楕円状に湾曲していた。また、楕円状に湾曲したローブの中心と楕円状に湾曲したフルートの対応する中心とは、これらの構成要素の交互特性に起因して、同一の六角形ではないが正六角形の頂点に配置されていた。米国特許第5,279,190号を参照されたい。このローブ状トルク伝達駆動システムの一実施形態は、TORX PLUS(登録商標)駆動システムとして市販されている。
【0006】
ある特定の従来のトルク伝達ドライバは、ドライバのサイズに対応する、凹部または凸部を有する駆動表面を有する、1つまたは限定数のサイズの締結具に専用であることによって限定されている。例えば、TORX(登録商標)という商標名で市販されている、ローブ状締結具には、対応する締結具の各々のサイズに合う径の別個のドライバが必要とされている。これは、一組のドライバが組付け作業者が現場で保持する必要があり、異なるサイズの締結具を取り付けるごとに、異なるサイズビットをその組から探し出してトーションガン内に取り付けることを意味している。例えば、T-1 TORX(登録商標)ドライバは、T-1 TORX(登録商標)締結具を駆動するようになっており、T-2 TORX(登録商標)ドライバは、T-2 TORX(登録商標)締結具を駆動するようになっている、などである。PHILLIPS(登録商標)という商標名で販売されている十字型システム等の他の締結具システムが、2つ以上のサイズの締結具を駆動することができるが、これらのシステムは、締結具からドライバがカムアウトしやすいものであった。カムアウトは、締結具及びドライバが、面と面との間の滑りを可能にする角度付き面を有する場合に引き起こされる、回転により浮き上がる動きであり、この動きによって、ドライバが締結具凹部から浮き上がる。従来のトルク伝達システムによるカムアウトにより、締結具及びドライバに損傷が生じ、締結具が適切なトルクに締め付けられることが妨げられ、また、組付けの際に構成要素を損傷させる削り及びかえりが発生する。
【0007】
種々のサイズの締結具を取り付ける組付け作業者にとって、従来のシステムは非効率をもたらすものであり、あるサイズの締結具を取り付けるのにあるドライバを選び出し、別のサイズの締結具を取り付けるのに別のドライバを選び出す必要があるか、または代替的に、サイズが合わないドライバまたはカムアウトするドライバを用いて締結具を駆動しようと試みる必要があり、このことは、不可能でないがいっそう困難にさせるものであった。締結具には大きすぎるかまたは小さすぎるドライバにより締結具を駆動することにより、ドライバが適切に着座することが妨げられることで、ドライバが締結具からカムアウトする可能性、締結具凹部または締結具凸部がすり減るまたはせん断する可能性、及び/または締結具が不適切にトルクを加えられて取り付けられる可能性が増していた。このことは、取付けにおける非効率及び摩耗、ならびに、組み立て品に誤って取り付けられる締結具の発生及び組み立て品の不具合の増加を呈するものであった。従来の十字形タイプにおけるテーパ状駆動システム、例えば、PHILLIPS(商標)ドライバは、トルク下で締結具がカムアウトすることで、締結具またはドライバに対する損傷及びそれらの摩耗を引き起こし、効率減少を伴うとともに、誤って取り付けられる締結具の発生の増加、ならびに、製品、装置及び機械の誤った組付けの増加を伴うことがよく知られていた。付加的に、従来のスプライン型システムは、ドライバが締結具からカムアウトしやすく、また、ドライバが軸方向の位置合わせを維持せずに締結具内で傾くものであったため、ねじ形成締結具及びねじ切り締結具にはあまり効果的ではなかった。これらの問題の全ては、詳細には、約0.063インチ(1.6ミリメートル)よりも小さなねじ大径を有する締結具、より詳細には、約0.039インチ(1.0ミリメートル)よりも小さなねじ大径を有する締結具の場合の、極度に小さなサイズの締結具頭部及びトーションドライバにおいて目立つものであった。上述した問題に加え、そのような小さな締結具は、締結具の小さなサイズ、ローブのサイズ及び伴うクリアランス公差に起因して、使用するときに変形しやすいものであった。
【0008】
上記の問題に対処するドライバ及び締結具を含む締結システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
締結具システムは、凹部を有するヘッドとネジ付きシャンクとを有する締結具を含み、凹部は一連の3つの交互のローブ及びトラフによって回転軸を中心に画定され、交互のローブ及びトラフの各々は、連続する外側半径部分、駆動側面遷移部、内側遷移半径、及び逆方向駆動部分によって画定され、凹部は、回転軸から約60°のテーパ角を有する外側半径部分によって画定される側壁を有し、ドライバが、回転軸の周りの一連の3つの交互のローブとドライバトラフによって画定される形成テーパ状ビットを含み、交互のローブ及びトラフの各々は、連続する外側半径部分と、駆動側面遷移部と、内側遷移半径と、逆方向駆動部分と、によって画定され、それぞれのローブが、ローブ幅対ローブ高さの実質的に一定の比を有するテーパ高さ及び幅を有し、ドライバローブが、回転軸に対するテーパ角が凹部側壁のテーパ角以下である外側半径部分によって画定される。
【0010】
いくつかの実施形態では、ドライバ側壁は、回転軸から約60°のテーパ角を有する。いくつかの実施形態では、ドライバ側壁は、回転軸から約42°のテーパ角を有する。いくつかの実施形態では、ドライバ側壁のテーパ角は、凹部側壁のテーパ角よりも少なくとも10°小さい。
【0011】
いくつかの実施形態では、駆動側面遷移部は、直線状であり、回転軸から延び、内側遷移半径に接する径方向線に対して駆動角を画定する。いくつかの実施形態では、駆動角は、約0°~5°にある。いくつかの実施形態では、駆動側面遷移部は、ローブ高さの約20%~60%の長さを有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、内側遷移半径は、第1の半径によって画定される第1のセグメントと、第1の半径より大きな第2の半径によって画定される第2のセグメントとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、ドライバは、先端部分を備え、外側遷移半径は、先端部分において約140°のテーパ状になっている。
【0014】
いくつかの実施形態では、締結具システムは、異なるサイズの複数の追加の締結具をさらに含み、複数の締結具の各々が、締結具の凹部の断面と実質的に同じである少なくとも1つの凹部の断面を有し、ドライバが、締結具の各々にトルクを伝達するように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、締結具は、0.039インチ(1.0ミリメートル)より小さいねじ大径を有する。いくつかの実施形態では、締結具は、0.063インチ(1.6ミリメートル)より小さいねじ大径を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ドライバの駆動側面遷移部は、2°未満のリフト角で締結具の駆動側面遷移部と係合してカムアウトを減少させるように適合される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】複数の締結具における類似の形状及びテーパの対応する凹部と係合しているトルク伝達ドライバの図である。
【
図1B】複数の締結具における類似の形状及びテーパの対応する凹部と係合しているトルク伝達ドライバの図である。
【
図1C】複数の締結具における類似の形状及びテーパの対応する凹部と係合しているトルク伝達ドライバの図である。
【
図1D】複数の締結具における類似の形状及びテーパの対応する凹部と係合しているトルク伝達ドライバの図である。
【
図4】
図2の4-4の断面線に沿ったトルク伝達ドライバの断面図である。
【
図6】
図2の4-4の断面線に沿ったトルク伝達ドライバの代替的な断面図である。
【
図10】
図9の10-10の断面線に沿った締結具の断面図である。
【
図11】
図2の4-4の断面線に沿った代替的な断面図である。
【
図12】
図2の4-4の断面線に沿った代替的な別の断面図である。
【
図14B】本開示の別のトルク伝達ドライバの詳細図である。
【
図15】テーパ状のローブ状ドライバ及び締結具システムの選択された実施例に関する試験データのチャートである。
【
図16】3ローブ締結具システムのためのドライバの実施形態を示す。
【
図17】3ローブ締結具システムのための締結具の実施形態を示す。
【
図18】軸外駆動能力を有する3ローブ締結具システムの実施形態を示す。
【
図19】3ローブ締結具システムのためのドライバの別の実施形態の端面図である。
【
図20】3ローブ締結具システムのためのドライバの別の実施形態の端面図である。
【
図21】3ローブ締結具システムのためのドライバの別の実施形態の端面図である。
【
図22】3ローブ締結具システムのためのドライバの別の実施形態の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで
図1A~
図1Dを参照すると、異なる凹部サイズ42、44、46を有する複数の締結具32、34、36における類似の形状及びテーパの対応する凹部と係合しているトルク伝達ドライバ20の図が示されている。
図1A~
図1Dに示すような、ビットのテーパ状駆動表面は、第1の締結具32における第1のサイズの凹部42と係合するように動作可能な第1のテーパ状部分52と、第2の締結具34における第2のサイズの凹部44と係合するように動作可能な第2のテーパ状部分54と、第3の締結具36における第3のサイズの凹部46と係合するように動作可能な第3のテーパ状部分56と、を有することができる。
図1Dに示すように、この本出願では、第3の締結具36の第3のサイズの凹部46は、第1の締結具32の第1のサイズの凹部42よりも大きい第2の締結具34の第2のサイズの凹部44よりも大きい。したがって、トルク伝達ドライバ20は、2つ以上のサイズの締結具を有効に駆動するように適合される。
図1A~
図1Dに示されているトルク伝達ドライバ20は、3つの異なるサイズの締結具凹部と有効に係合するとともに、これらの締結具凹部を駆動するが、トルク伝達ドライバ20は、所望の複数の締結具凹部サイズ及び締結具サイズに適合させることができる。通常、トルク伝達ドライバは、以下で論じるように、凹部または凸部等の2つ~4つの異なる締結具の駆動表面の間で有効に係合し、駆動することができる。
【0019】
図2に示されているようなトルク伝達ドライバ20は、第1の端部部分62及び第2の端部部分64を有する本体60を備える。第1の端部部分62は、所望に応じて、動力ドライバ、手動式ドライバハンドル、ドリルモータまたは他のトルク発生源等のトルク発生源からトルクを受けて伝達する。
図2及び
図3に示すように、第2の端部部分64は、第1の端部部分62に対向しており、
図2においてAとして示されている回転軸の周囲に一連の6つのローブ70及びトラフ72を有する成形テーパ状ビット66を有する。6つのローブ70及びトラフ72は、
図2に示されているように、回転軸から15°~65°のテーパ角θを有して回転軸の周囲に対称的に配置されている。一適用形態において、テーパ角θは約35°である。代替的に、テーパ角は約40°である。さらに別の適用形態において、テーパ角は25°~40°で選択された角度である。さらに別の用途では、テーパ角は45°~65°の間の選択された角度である。さらに他の用途では、テーパ角は、45°~55°、50°~55°、または55°~65°の間の選択された角度である。さらに他の用途では、テーパ角は約45°または約52°である。増加したテーパ角は、凹部に大きな強度を提供し、締結具及びドライバの磨耗及び破損を低減することができる。
【0020】
図3及び
図4に示されているようなトルク伝達ドライバ20は、6ローブドライバである。一代替形態では、トルク伝達ドライバ20及び対応する締結具は、
図11における断面の例によって示されている5ローブトルク伝達システムであってもよく、または、
図12における断面の例によって示されている4ローブトルク伝達システムであってもよい。一適用形態において、約0.039インチ(1.0ミリメートル)未満のねじ大径を有する小さな締結具が4ローブトルク伝達システムを用いることができる。代替的に、約0.063インチ(1.6ミリメートル)未満のねじ大径を有する小さな締結具が4ローブトルク伝達システムを用いることができる。別の適用形態において、約0.039インチ(1.0ミリメートル)未満のねじ大径を有する小さな締結具が5ローブトルク伝達システムを用いることができる。さらに別の代替形態では、約0.063インチ(1.6ミリメートル)未満のねじ大径を有する小さな締結具が5ローブトルク伝達システムを用いることができる。
【0021】
図4に示す断面等の、テーパ状ビット66の任意の断面において、各々のローブ70の最外の先端がローブ外径74を形成し、各々のトラフ72の底が内径76を形成する。ローブ外径74の半径と内径76の半径との差は、ローブ高さ78である。付加的に、各々のローブは幅80を有する。ビット66が第2の端部に向かってテーパ状になっているため、各々のローブはテーパ高さ及びテーパ幅を有する。各々のテーパ状ローブについて、ローブの幅対高さの比は、各々のローブが軸に沿ってテーパ状になっているため、各々のローブごとに実質的に同一である。
【0022】
本体60は、動力ドライバ等のトルク発生源内に取り付けられるようにまたは別様にトルク発生源と係合する長さ及び断面サイズを有する六角形シャンクとすることができる。例えば、共通の用途において、本体は5/16インチの六角形断面を有することができる。代替的に、本体は1/4の六角形断面を有してもよい。本体60は、用途に必要とされるトルク発生源に対応して所望に応じて任意の断面形状及び断面サイズを有することができる。代替的に、本体は、トルク発生源における対応する係合部を収納するソケット(図示せず)を有してもよい。
【0023】
図3~
図5の例では、各々のローブ70と各々のローブ70の少なくとも片側のトラフ72との間の遷移部は、外側遷移半径94と内側遷移半径96との間に延びる駆動側面遷移部82を形成する。駆動角αは、
図5に示されているように、駆動側面遷移部82と、回転軸Aから延び、内側遷移半径96に接する径方向線98との間で測定される。駆動側面遷移部82は、対応する締結具面と係合してドライバから締結具にトルクを伝達する。駆動側面遷移部は通常、ローブ高さの約20%~60%である。代替的に、駆動側面遷移部は、ローブ高さの約10%~80%である。さらに別の代替形態では、駆動側面遷移部は、ローブ高さの約20%~40%である。
図5に示されているように、駆動側面遷移部82は、0°~5°の駆動角αを形成する。代替的に、
図6及び
図7に示すように、各々のローブと各々のローブ70の少なくとも片側のトラフとの間の遷移部は、駆動角αが0°~-10°である、負の駆動角を有する駆動側面遷移部82を形成する。一用途において、駆動角αは、-2°~-10°である。代替的に、駆動角αは、-3°~-10°である。さらに別の代替形態において、駆動側面遷移部は、0°~-3°の駆動角を形成してもよい。本明細書において用いるように、正の駆動角は、外側に傾斜した駆動側面遷移部として画定され、そのため、この面から垂直に延びる線は、内径76の外側に向かってもしくは内径76から離れて方向付けられる。逆に、負の駆動角は、内側に傾斜した駆動側面遷移部として画定され、そのため、この面から垂直に延びる線は、内径76の内側に向かってもしくは内径76に向かって方向付けられる。ゼロ度の駆動角は、ローブ内径及び/またはローブ外径の接線に対して平行な駆動側面遷移部に対して垂直な線を提供する。通常、締結具駆動角は、面対面の接触を提供するようにビット駆動角とほぼ同一である。代替的に、締結具駆動角は、所望に応じて締結具とドライバとの間のクリアランスに対処するようにビット駆動角よりも大きくても小さくてもよい。
【0024】
テーパ状ドライバ20は、雄雌係合した、締結具における対応する駆動表面を駆動するように動作可能である。上記で説明され、
図8~
図10に示されているような一適用形態において、締結具36は、駆動端部部分86及びリード端部部分88を有する。駆動端部部分86は、トルク伝達ドライバと係合し、リード部分88は、例えばねじ山によって、締結具を締結させるように動作可能である。駆動端部部分86は、回転軸から15°~65°のテーパ状駆動表面γを有する一連の5つまたは6つの締結具ローブ90及び5つまたは6つの締結具トラフ92を回転軸の周囲に備える駆動表面40を有する。締結具ローブ90及び締結具トラフ92は、ドライバにおける類似の形状及びテーパの対応する駆動表面と係合するように動作可能である。各々の締結具ローブ90は、ローブの幅対高さの比が一定である、テーパ高さ及びテーパ幅を有する。締結具凹部において、ローブ90は、ドライバにおけるドライバトラフ72と係合するように凹部内に突出している。同様に、ドライバにおけるドライバローブ70は、締結具凹部における締結具トラフ92と係合する。
【0025】
図13に示されているような別の代替形態において、締結具の駆動表面40は、ドライバ(図示せず)における対応する凹部と係合する4つ、5つ、または6つのローブ及び4つ、5つ、または6つのトラフの凸部を有する。
図9に示されているような締結具における凹部に対応する、ドライバビットの駆動表面を記載する本適用形態における説明及び参照が、
図13に示されているような締結具における凸部としての駆動表面にも当てはまることが意図される。同様に、
図9に示されているような締結具における凹部の駆動表面を記載する本適用形態における説明及び参照が、
図13に示されているような締結具における駆動凸部に用いる、ドライバにおける凹部の駆動表面にも当てはまる。
【0026】
ローブ及びトラフは、少なくとも、
図9において「P」として特定されている底部平面へと、凹部内へテーパ状になっている。本明細書で用いられる場合の底部平面Pは、対応するドライバが凹部に挿入可能であるおよその深さである。底部平面Pの下では、凹部の底部は円錐形、半球形、半球状、平坦、または、凹部を形成する、所望に応じて任意の他の弧状もしくは傾斜形状とすることができる。底部平面Pから、凹部の断面ローブ状形状は、テーパ角γを有する締結具凹部の頂部に向かって外側にテーパ状になっている。凹部のテーパ角γは、ドライバのテーパ角θとほぼ同一とすることができる。代替的に、凹部のテーパ角γは、製造公差のためにドライバのテーパ角θよりも僅かに大きくてもよい。別の代替形態において、凹部のテーパ角γは、ドライバのテーパ角θよりも0.5°~5°大きくてもよい。一例として、公称上、凹部のテーパ角γ及びドライバのテーパ角θが35°である場合、凹部のテーパ角γは35°~36°に特定されてもよく、ドライバのテーパ角θは34°~35°に特定されてもよい。別の例では、凹部テーパ角γは、52°~53°の間で特定され、ドライバテーパ角θは、51°~52°の間で特定され、公称上、凹部テーパ角γ及びドライバテーパ角θは、各々、52°である。別の例では、凹部テーパ角γは、45°~46°の間で特定されてもよく、ドライバテーパ角θは、44°~45°の間で特定されてもよく、公称上、凹部テーパ角γ及びドライバテーパ角θは、45°である。しかしながら、凹部のテーパ角γ及びドライバのテーパ角θは、所望に応じて回転軸から15°~65°の任意の角度であってもよい。
【0027】
1つのトルク伝達ドライバ20が複数の異なるサイズの締結具32、34、36を駆動する、締結システムを提供することができる。テーパ状ドライバ20は、同一のサイズのビット66を有する、2つ以上の異なるサイズの締結具を駆動するように構成することができる。
図1A~
図1Dの例では、テーパ状ビットの先端部分は、第1のテーパ状部分のサイズに対応する締結具に係合するよう動作可能な第1のテーパ状部分52を形成する断面サイズを有する。第2のテーパ状部分54は、第1のテーパ状部分よりも大きい断面サイズを有するテーパ状ビットのある位置において第1のテーパ状部分52に隣接することができる。第2のテーパ状部分54は、第2のテーパ状部分のサイズに対応する締結具と係合するように動作可能である。同様に、第3のテーパ状部分56は、第3のテーパ状部分のサイズに対応する締結具と係合するように動作可能な第2のテーパ状部分54に隣接する。例えば、1つのドライバを、対応サイズの6ねじ釘、8ねじ釘及び10ねじ釘を駆動するように適合することができ、その場合、ビットの第1のテーパ状部分52を#6ねじ釘に適合させ、第2のテーパ状部分54を#8ねじ釘に適合させ、第3のテーパ状部分56を#10ねじ釘に適合させる。他の代替形態において、1つのドライバを、対応サイズの8ねじ釘、10ねじ釘及び12ねじ釘を駆動するように適合することができ、別のドライバを、対応の1/4インチねじ釘、5/16インチねじ釘及び3/8インチねじ釘を駆動するように適合することができる。代替的に、ドライバを、ドライバに関連する、サイズが#0の締結具及び#1の締結具またはサイズがより小さい締結具等、複数の小さな締結具を駆動するように適合することができる。ドライバを、所望に応じて2つ以上の連続サイズの対応締結具を駆動するように適合することができる。
【0028】
1つのドライバ20が、異なるサイズの複数の締結具32、34、36を駆動する場合、各々の締結具は、ドライバに対応する駆動表面40を有しており、そのため、異なるサイズの駆動表面は、サイズ及び形状が実質的に同一である少なくとも1つの断面を有する。詳細には、
図1A~
図1Dを参照すると、底部平面Pにおける凹部42、44、46の断面のサイズ及び形状は、所望の駆動ビット20と関連する各々の締結具に関してほぼ同一である。付加的に、第2の端部64における、ドライバ20の対応する断面サイズ及び断面形状は、底部平面Pにおける締結具サイズ及び締結具形状とほぼ同一である。ある用途の場合、凹部に対するドライバの挿脱を容易にするために、第2の端部64におけるドライバ20の断面サイズ及び断面形状は、底部平面Pにおける締結具サイズ及び締結具形状よりも小さい。代替的に、第2の端部64における、ドライバ20の断面サイズ及び断面形状は、底部平面Pにおける締結具サイズ及び締結具形状よりも僅かに大きく、そのため、ドライバと締結具との間の干渉により、締結具がドライバに解放可能に固定され、それによって、組付け作業者が締結具をドライバに対して保持する必要がない。
【0029】
締結具の駆動表面及び対応して構成されたビット駆動表面は、締結具の駆動表面が、対応するビット駆動表面と、ドライバビットから締結具にトルクを良好に適用させるのに十分な係合深さだけ係合する。例えば、約0.039インチ(1.0ミリメートル)未満のねじ大径を有する小さな締結具は、0.010インチ(0.25ミリメートル)未満の、駆動表面の有効な係合深さを有することができる。約0.236インチ(6.0ミリメートル)を超える大きなねじ大径を有するような、より大きな締結具の場合、有効な係合深さは、0.06インチ(1.5ミリメートル)以上とすることができる。
【0030】
ある特定のより大きな締結具の用途の場合、テーパ状締結具の駆動表面及び関連するドライバは、従来の冷間頭部成形技法及び/または加工技法を用いて製造することができる。しかしながら、より小さな締結具は、高い精度を必要とする傾向がある。一適用形態では、締結具の駆動表面は、型押しによって締結具に印象加工またはエンボス加工される。約0.039インチ(1.0ミリメートル)未満のねじ大径を有するか、または代替的に、約0.063インチ(1.6ミリメートル)未満のねじ大径を有する小さな締結具の場合のような、ある特定の用途の場合、ドライバは、放電加工(EDM)または電解加工(ECM)によって作製することができる。ある特定の好適な幾何学形状のためにホッビングを用いることもできることが意図される。
【0031】
本トルク伝達ドライバは、用途の所望に応じて鋼製またはアルミニウム製とすることができる。一代替形態において、鋼は、焼入性及び強度の所望に応じて、AISIのS2、6150、8650、8660、もしくは他の工具鋼組成または合金鋼組成等の中炭素鋼である。中炭素鋼は、ドライバが作製された後で硬化することができる。トルク伝達ドライバが形成された後、鋼ドライバは、58~62HRCの硬度まで硬化することができる。代替的に、鋼製ドライバは、52HRCを超える硬度まで硬化してもよい。
【0032】
上述のように、例えば、
図3に示すドライバのローブ70は、ビット66がテーパ状になっているため、テーパ状になっている。これらの実施形態では、断面ビット(
図2~
図4を参照)のサイズが縮小しても、トラフ72に対するローブ70の比率は、実質的に同一のままである。ローブがテーパ状になっているため、
図14Aに「F
R」として概略的に表されている、締結具からドライバローブに対してかけられる反力は、リフト角βを含む。反力F
Rは、締結具の駆動時にドライバ20を浮き上がらせるとともに締結具凹部へのドライバの係合を浅くさせる方向に、
図14Aに「F
V」として概略的に表されている、ドライバ軸に沿った成分を有する。この作用は、成分力F
Vに対向する力が加えられない場合、駆動トルクが増加するとともに成分力F
Vが増加するため、ドライバは、締結具凹部から離れる方向に浮き上がる可能性があり、また、幾つかの例において、ドライバは、締結具凹部から離脱するほど浮き上がる可能性があることから、「カムアウト」として知られている。
【0033】
現時点で開示されている締結具システムは、カムアウトを阻止し、ある特定の用途の場合、カムアウトを引き起こす力をさらに低減させることが望まれ得る。
図14Bに示されている一例において、ドライバ66'の駆動表面102は修正することができ、その一方、追い側表面104は前述したようにテーパ状とすることができる。製造公差に応じて、駆動表面102は、
図14Bに示されているように、ドライバの回転軸に対して実質的に平行にして、リフト角βをゼロ度またはゼロ度近くに低減させることができる。一代替形態において、駆動表面102におけるリフト角は、0°~2°であり得る。リフト角は、トルクがドライバにより締結具に加えられたときに、ドライバにかかる垂直力の量を減らすように選択することができる。トルク要件が高まるにつれ、リフト角がゼロ度にまたはゼロ度近くになることが望ましい場合がある。低トルク構成では、リフト角は、用途によって左右されるほど大きく制約される必要はない場合がある。駆動側面の角度がほぼゼロ度である
図14Bに示されている構成では、ドライバを用いて対応する凹部を有する締結具を締め付けると、リフト角βがゼロ近くになることで、締結時のカムアウトの可能性が低減する。
図14Bに示されているドライバを用いて締結具を緩める場合、締結具の取り外しを駆動する追い側表面104のリフト角は、ゼロよりも大きいものとすることができる。締結具は、締結具の取付け及び取り外しのための別個のドライバを受容するように設計することができ、これは不正防止用途向けに望まれ得る。
【0034】
図14Bに示されているドライバ66'により、締結具凹部におけるローブの対応する駆動側面のテーパを少なくすることが可能になり、これにより、締結具のローブの材料の量が増加することで、締結具がより強度のあるものとなる。締結具ローブの付加された材料は、ドライバと締結具との間のトルクの差の量をより僅差にし、カムアウトを阻止することにさらに役立つとともにドライバの用役を高めることができる。
【0035】
次に
図15を参照すると、開示されたテーパ状ローブドライバ及び締結具システムの試験が実施された。各々の場合において、選択されたテーパ角を有する一組のテーパ状ローブ駆動ビットは、対応する凹部と係合した。
図15に示すように、3つの試験は、35°のテーパ角を有する5ローブ駆動ビット及び凹部、45°のテーパ角を有する6ローブ駆動システム、及び52°のテーパ角を有する6ローブ駆動システムを含んでいた。駆動ビットは、駆動システムがシステムの強度を識別できなくなるまでの各々のトルクであった。加えて、駆動ビットは、標準的な締結具凹部と、駆動ビットの強度を別々に分析するために著しく強度を増強した高速度鋼に形成された凹部との両方で試験された。黒い基準線は、従来技術の商業的に入手可能な6ローブストレートウォール駆動ビットの特定された駆動ビット強度を示す。示されているように、45°及び52°のテーパ角を有する6ローブ駆動ビットは、両方とも6ローブ直線壁駆動ビットの駆動ビット強度を超えた。テーパ状のローブ状ドライバ及び締結具は、締結中のカムアウトの可能性を低減しながら、複数のサイズの締結具を備えた単一のドライバを使用する能力と組み合わせて、駆動システムの強度を向上させる。
【0036】
3つのローブの実施形態
次に、
図16~
図18を参照し、締結具と、3ローブ駆動表面構成を有するドライバとを含む締結具システムもまた開示される。
【0037】
図16を参照すると、ドライバ210の実施形態が、複数の図で示されている。ドライバ210は、一連の3つの交互のローブ214及び回転軸の周りのトラフ216によって画定される形成されたテーパ状ビット212を含む。交互のローブ214及びトラフ216の各々は、断面図に最もよく示されているように、外側半径部分220、駆動側面遷移部222、内側遷移半径224、及び逆方向駆動部分226によって画定される。各々のローブ214は、ローブ高さに対するローブの幅の実質的に一定の比を有するテーパ状の高さ及び幅を有する。ローブ高さ及び幅は、
図5及び7に関して上述したものと同じ方法で測定される。外側半径部分220は、所与の位置におけるビットの外径を画定し、さらにドライバの側壁230を画定する。ドライバ側壁230は、ドライバの回転軸に対してテーパ角θのテーパ状になっている。ドライバ側壁のテーパ角θは、凹部の側壁のテーパ角以下である(後述する)。
【0038】
図17を参照すると、開示された締結具システムで使用するための締結具310の実施形態が示されている。締結具310は、凹部312を有するヘッド311と、シャンク313とを含む。シャンク313は、ねじ付きでもよい。凹部312は、締結具の回転軸の周りの一連の3つの交互のローブ314及びトラフ314によって画定される。交互のローブ及びトラフの各々は、外側半径部分320、駆動側面遷移部322、内側遷移半径324、及び逆方向駆動部分326によって画定される。上述したドライバと同様に、外側半径部分320は、所与の位置で凹部の外径を画定し、さらに凹部の側壁330を画定する。凹部の側壁330は、締結具の回転軸に対してテーパ角θのテーパ状になっている。いくつかの実施形態では、凹部側壁のテーパ角は約60°である。
【0039】
次に
図18を参照すると、ドライバ210及び締結具310は、組み合わされて締結具システムを形成する。いくつかの実施形態では、3ローブ締結具システムは、軸外駆動能力の利点を提供する。本明細書では、軸外駆動能力とは、ドライバの回転軸が締結具の回転軸と整列していないときに、ドライバから締結具トルクを伝達する能力を意味する。いくつかの実施形態では、開示された締結具システムは、締結具及びドライバの回転軸を20°まで異なる締結具を駆動することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、ドライバ側壁230は、凹部側壁330のテーパ角にほぼ等しいテーパ角θを有する。一実施形態では、ドライバ側壁230のテーパ角θは、約60°である。この実施形態では、ドライバ及び締結具凹部の3ローブ構成は、ある程度の軸外駆動能力を可能にすることができる。
【0041】
他の実施形態では、ドライバ側壁は、凹部側壁のテーパ角よりも小さいテーパ角を有する。例えば、ドライバ側壁テーパ角は、凹部側壁のテーパよりも少なくとも10°小さくてもよい。
図16及び
図18に示す実施形態では、ドライバ側壁は、約42°のテーパ角を有する。ドライバ側壁テーパ角が、凹部側壁テーパ角よりも小さい場合、ドライバビットが凹部内に傾いて、ドライバの回転軸400が締結具の回転軸402から外れることがある。ドライバの回転軸400と締結具の回転軸402との間の角度βは、ドライバが締結具に対して「軸を外した」程度を示す。いくつかの実施形態では、開示された締結具システムは、締結具の回転軸から最大20°外れたドライバの回転軸を用いて締結具にトルクを伝達することができる。この特徴は、製品の構成が締結具の凹部への軸上アクセスを許容しない製品において開示された締結具システムの使用を容易にする。
【0042】
再び
図16及び17を参照すると、駆動側面遷移部222、232は直線的であり、駆動角αを画定することができる。駆動角αは、駆動側面遷移部222と、回転軸から延び、内側遷移半径224、324に接する径方向線との間の角度として画定される。様々な実施形態において、ドライバ角αは、0°~5°の間であってもよい。駆動側面遷移部222、322はローブ高さの20%~60%であってもよい長さを有していてもよい。さらに他の実施形態では、ドライバ210の駆動側面遷移部222は、2°未満のリフト角で締結具310の駆動側面遷移部322と係合してカムアウトを減少させるように適合される。
【0043】
外側半径部分220、320は、一定であっても可変であってもよい1つ以上の半径によって画定される。内側移行半径224、324はまた、一定であっても変化してもよい1つ以上の半径によって画定される。一実施形態では、内側遷移半径は、第1の半径によって画定される第1のセグメントと、第1の半径より大きな第2の半径によって画定される第2のセグメントとを含む。逆方向駆動部分226、326は、内側遷移半径224、324から外側半径部分220、320まで延び、取り外しのための締結具の回転を可能にするように構成される。
【0044】
ドライバ210はまた、ビット212の端部に先端部分240を有する。いくつかの実施形態では、先端部分240は、3ローブ駆動表面構成を含むが、外側遷移半径220は、ビット212よりも大きなテーパ角でテーパ状になっている。一実施形態では、外側遷移半径220は、先端部分240において約140°のテーパ状になっている。先端部分における外側遷移半径の増加したテーパは、特にドライバと締結具凹部との整列が困難であり得る小型の締結具の場合、締結具の凹部におけるドライバの係合を改善することができる。
【0045】
前述したように、締結具システムは、1つのドライバが異なるサイズの複数の締結具とともに使用されることを可能にする。複数の締結具は、3ローブ構成によって画定される凹部を各々有し、各々の締結具の凹部の少なくとも1つの断面が、他の締結具の凹部の1つの断面と実質的に同じであるように、実質的に同じ側壁テーパ角を各々有することができる。このようにして、締結システムの効率をさらに改善する2つ以上の異なるサイズの締結具を駆動するために、単一のドライバを使用することができる。3ローブ締結システムは、0.063インチ(1.6ミリメートル)未満または0.039インチ(1.0ミリメートル)未満のねじ大径を有するもののような小さな締結具に特に有益であり得る。
【0046】
次に、
図19~
図22を参照すると、3ローブ締結具システムのためのドライバの実施形態が示されている。締結具システムはまた、ドライバの構成に適合するように構成された凹部を各々有する1つ以上の締結具(図示せず)を含む。明瞭化ために、各々のドライバは平坦な先端部分で示されている。ドライバのいくつかの実施形態は、先に述べたようにテーパ状の先端部分を含むことができる。
【0047】
次に、
図19を参照すると、
図16~
図18に示すドライバと同様のドライバ500が示されている。ドライバ500は、3つの交互のローブ及びトラフを有する。比較のため、ドライバ500は、
図2~
図3に示すドライバの6ローブ構成と重なって示されている。この実施形態では、3ローブドライバの駆動側面遷移部は、6ローブ構成の締結具の駆動側面遷移部と整列する。外側半径部分及び逆方向駆動部分は、6ローブ構成締結具において3ローブドライバの使用を防止する。
【0048】
次に、
図20を参照するとドライバの長さを上に移動するより大きな角度で各々のローブの幅が増加するドライバ600が示されている。増加したローブ幅は、駆動ビットに付加的な強度を提供し得る。いくつかの実施形態では、ローブの幅が増加する角度は、ドライバ側壁のテーパ角に関係し得る。一例では、ドライバは、低減された側壁のテーパ角を有し、ローブの幅を増加させるためのより大きな角度を含むことができる。このようにして、ドライバは、選択された浅い凹部締結具を収容することができる。
【0049】
次に、
図21を参照すると、3ローブ締結具システムのためのドライバ700のさらに別の実施形態が開示されている。ドライバ700は、概して上述したように、外側半径部分720、駆動側面遷移部722、及び内側遷移半径724、及び逆方向駆動部分によって画定される3つの交互のローブ及びトラフを含む。逆方向駆動部分は、凹部726'とキャッチ部分726''とによって画定される。凹部726'は、ドライバの外径の外側の起点から始まる一定または変化する半径によって画定される湾曲部分である。キャッチ部分726''は、概ね半径方向に延びる。一実施形態では、キャッチ部分726''は、約45°の逆方向駆動角を画定する。ドライバ700の逆方向駆動部分は、締結具を取り外す改善された能力を提供することができ、締結具の取り外しが考慮される用途に有益であり得る。締結具システムはまた、各々がドライバ700の構成に一致するように構成された凹部を有する1つ以上の締結具(図示せず)を含む。
【0050】
次に、
図22を参照すると、3ローブ締結具システムのためのドライバ800のさらに別の実施形態が開示されている。ドライバ800は、概して上述したように、外側半径部分、駆動側面遷移部722、内側遷移半径724、及び逆方向駆動部分によって画定される3つの交互のローブ及びトラフを含む。ドライバ800の逆方向駆動部分は、ドライバ700の構成と同様に、凹部部分826'及びキャッチ部分726''を含むことができる。ドライバ800の外側半径部分は、締結具システムの機能を改善するように構成された2つ以上のセグメントを含むことができる。例えば、この構成は、前方向駆動能力、後方向駆動能力、軸外駆動能力、締結具凹部内のドライバの着座または係合、または締結具システムの同様の機能を改善することができる。一実施形態では、ドライバ800の外側半径部分は、第1の凸状セグメント820'、凹状セグメント820''、及び第2の凸状セグメント822'''を含む。外側遷移半径の少なくとも一部は、ドライバ800側壁を画定し、上述のようにテーパ角でテーパ状になる。
【0051】
本明細書に開示された駆動部及び締結具は、ドライバの挿入及び取り外しと締結具にトルクを加えるためにドライバビット及び締結具凹部の形状が両立する限り、締結システムを形成するために組み合わせて使用することができる。一例では、
図21に示すドライバ800に対応する締結具が、
図19に示すドライバ500に取り付けられ得る。締結具とドライバの他の組み合わせも、構成の互換性に基づいて考えられる。
【0052】
本発明を図面及び上記の記載において詳細に図示及び記載したが、それらは特徴において限定的なものではなく例示的なものであるとみなされるべきであり、専ら好ましい実施形態が示されているとともに記載されていること、また、本発明の趣旨内に入る全ての変更及び修正が添付の特許請求の範囲及びその均等物によって保護されることが望まれることが理解される。