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  • 特許-ドアロック、特に自動車ドア用ロック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】ドアロック、特に自動車ドア用ロック
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/20 20140101AFI20240509BHJP
   E05B 85/26 20140101ALI20240509BHJP
【FI】
E05B81/20 B
E05B85/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021561716
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 DE2020100296
(87)【国際公開番号】W WO2020211905
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】102019110253.7
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ケジダナ, アレス
(72)【発明者】
【氏名】ソルダット, ラスチスラフ
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-249836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0018132(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャッチ部(3)および爪部(4)からなるロック機構(3,4)と、ロック機構(3,4)に作用する閉鎖装置(5,6,7,8,9;16,17)とを備えたドアロックであって、
前記閉鎖装置(5,6,7,8,9;16,17)は、少なくとも1つのモータ駆動式作動レバー(8)と、ロック機構の構成要素(3,4)と相互作用する駆動爪部(5)と、作動レバー(8)及び前記駆動爪部(5)の間の力の流れを機械的に遮断する少なくとも1つのロック解除要素(16,17)とを有し、
前記駆動爪部(5)は、伝達レバー(6)に回転可能に装着され、前記伝達レバー(6)は、その上に回転可能に装着された結合レバー(7)を受け、前記結合レバー(7)は、少なくともその「係合される」位置において前記作動レバー(8)と相互作用し、
前記結合レバー(7)および前記駆動爪部(5)は、前記伝達レバー(6)の両側に配置されて支持され、
前記ロック解除要素(16,17)は、結合レバー(7)に作用し、緊急ロック解除機能のために、力を作用させることなく前記閉鎖装置(5,6,7,8,9)を分離し、前記結合レバー(7)は、以前の「係合される」状態から「係合解除される」機能位置に処理が変換され
前記ロック解除要素(16,17)は、緊急ロック解除レバー(16)とエジェクタレバー(17)との2つの部分から形成され、
前記緊急ロック解除レバー(16)は、第1の軸(16’)を中心に回転可能な3アームのレバーとして構成され、一方に作動タブ(16a)を備え、他方に作動アーム(16b)を備え、
前記緊急ロック解除レバー(16)は、前記エジェクタレバー(17)の外形部(17a)において前記作動タブ(16a)と係合するか、または、前記外形部(17a)と相互作用することを特徴とする、ドアロック。
【請求項2】
前記エジェクタレバー(17)は、緊急ロック解除機能の為に前記結合レバー(7)の作動ピン(7a)と相互作用することを特徴とする、請求項に記載のドアロック。
【請求項3】
前記エジェクタレバー(17)は、結合アーム(17c)と作動アーム(17b)とでC字状に形成されることを特徴とする、請求項2に記載のドアロック。
【請求項4】
前記作動アーム(17b)は、前記緊急ロック解除レバー(16)の作動タブ(16a)を係合させるための外形部(17a)を有することを特徴とする、請求項に記載のドアロック。
【請求項5】
前記結合アーム(17c)は、前記結合レバー(7)の前記作動ピン(7a)の停止エッジ(17d)を有することを特徴とする、請求項3又は4に記載のドアロック。
【請求項6】
前記エジェクタレバー(17)は、軸(18)を中心に回転可能に装着されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のドアロック。
【請求項7】
前記エジェクタレバー(17)は、ロック平面と平行に配置されたロック解除平面内で移動可能であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のドアロック。
【請求項8】
前記緊急ロック解除レバー(16)は、エジェクタレバー(17)とともにロック用平面と平行に配置されたロック解除平面を跨ぐことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のドアロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的にキャッチ部と爪部とからなるロック機構を備え、更に、ロック機構に作用する閉鎖装置を備えたドア用ロック、特に、自動車ドア用ロックに関し、閉鎖装置は、少なくとも1つのモータ駆動作動レバーと、ロック機構の構成要素と相互作用する駆動爪部と、作動レバーと駆動爪部との間の力の流れを機械的に遮断する少なくとも1つのロック解除要素とを有する。
【0002】
今日では、ドア用ロック、特に自動車ドア用ロックは、利便性のために閉鎖装置を備えることが多い。これは、たとえば、後部扉上の自動車ドア用ロックだけでなく、側部扉上の自動車ドア用ロックにもますます当てはまる。この閉鎖装置を用いて、対象の自動車ドア用ロックは、モータによって、以前にとられていたプレ閉鎖ロックからメインロック位置まで移動される。対照的に、プレロック位置は、典型的には手動でとられ、操作者タは、関連する自動車ドアまたは自動車フラップをプレロック位置まで閉じ、次いで、モータ付き閉鎖装置が、メインロック位置への変換を確実にする。これは原理的に証明されている。
【0003】
しかしながら、自動車ドアまたは自動車フラップが閉じられると、たとえば、操作者またはその他の物体に属する衣類品や、最悪の場合には、1本以上の指でさえも捕捉される状況が発生する可能性がある。このような状況を管理するために、たとえば、DE10 2006 059 275A1は、自動車フラップのロック処理の緊急停止を記載している。この目的のために、フラップの少なくとも1つの作動レバーが監視されるが、これは、近接センサを介して実行することができる。全体として、ロック処理は、緊急ロック解除機能の間に電気的に中断され、関連する制御駆動装置の動作の逆転がこの文脈で提供される。
【0004】
DE20 2008 015 789U1による緊急遮断機能の別の手順において、駆動爪部には、開閉処理を任意に遮断するためのエジェクタユニットが割り当てられる。このようにして、緊急の場合には、駆動爪部をエジェクタユニットを用いて排出することによって、閉鎖処理が中断される。
【0005】
EP0 979 915A2による一般的な技術水準は、ドア等のためのロック装置を記載しているが、これは、ロック解除要素が作動されると、作動レバーの駆動装置と閉鎖補助装置又は駆動爪部との間の力の流れが同時に遮断される。この目的のために、ロック解除要素またはロック解除機構は、トグルレバーに直接作用する。ハンドレバーまたは後部扉用ハンドルは、緊急ロック解除機能のために作動される。その結果、作動レバーが旋回する。その結果、キャッチ部は完全に解除され、この文脈において、問題のドアロックを備えた後部扉は、ゴムシールの圧力によって開く。
【0006】
従来技術は、原則として、閉鎖処理中のドアロックまたは自動車ドア用ロックの緊急ロック解除の基本的な可能性に関して証明されている。しかしながら、一般に、緊急ロック解除機能のためには、閉鎖装置の機械的な力の流れを遮断するために、駆動爪部又は作動レバーのいずれかを作動させなければならない。これは、閉鎖処理中に、作動レバーと駆動爪部の両方がモータ駆動装置によって作用される、すなわち、それらが「予張力」状態にあるので、無視できない力を必要とする。そして、この先行技術が教示するように、作動レバーが動かされるかまたは駆動爪が排出される場合、緊急遮断または緊急ロック解除機能のために、この先行技術を克服しなければならない。この結果、ロック解除要素に作用しなければならない作動力は、無視できないものとなる。この種の作動力の増大は、ますます破壊的であると認識されている。本発明は、全体としてこれを改善しようとする。
【0007】
本発明は、従来技術と比較してロック解除要素に必要な作動力が低減されるように、冒頭に説明した構造のドアロック、特に自動車ドア用ロックを更に開発するという技術的課題に基づく。
【発明の概要】
【0008】
この技術的問題を解決するために、本発明は、一般的なドアロック、特に自動車ドア用ロックにおいて、ロック解除要素が、非常ロック解除機能のために、力をほとんど作用することなく閉鎖装置を分離する結合要素に作用し、結合要素が、その以前の「係合される」状態から「係合解除される」機能位置に変換されることを提案する。
【0009】
本発明は、ロック機構の構成要素に作用する強制作動レバー及びモータ駆動装置の作動レバー及び駆動爪部に加えて、結合要素も使用する。通常の閉鎖処理中、結合要素は、その「係合される」位置をとる。次に、閉鎖装置全体が機械的に閉鎖され、モータ駆動装置から作動レバー、結合要素を経て最終的に駆動爪部へと連続的な力が流れる。
【0010】
この目的のために、駆動爪部は、たとえば、伝達要素又は伝達レバーに回転可能に装着される。また、問題の伝動要素または伝動レバーは、その上に回転可能に装着された結合要素を受けるが、この結合要素は通常の結合レバーである。その部分の結合レバーは、少なくともその「係合される」位置において、作動レバーの作動外形部と相互作用する。しかしながら、結合要素又は結合レバーがその「係合解除される」位置にある場合、作動外形部を備えた作動レバーは、結合要素に作用することができず、その結果、伝達要素及びその上に装着された駆動爪部に力を加えることができない。
【0011】
本発明によれば、全体の設計は、緊急ロック解除機能のためのロック解除要素が、問題の結合要素に作用するようになっている。ここで、結合要素は、以前の「係合される」位置から「係合解除される」機能位置に変換される。同時に、閉鎖装置は力を加えることなく大きく分離される。本発明の文脈において、これは、ロック解除要素が、それを以前の「係合される」状態から「係合解除される」機能位置に変換するために、結合要素に対して排他的に作用することを意味すると理解されるべきである。この処理中、作動レバー及び駆動爪部、及び、適用可能な場合には、伝達要素は、それらの位置を保持し、即ち、それらは、明らかに、ロック解除要素の助けを借りて、力を伴って移動、旋回、又は同様に加えられない。
【0012】
このようにして、閉鎖装置の個々の構成要素の機械的連結は、力を加えることなく大きく分離することができる。なぜなら、この場合、結合要素又は結合レバーと作動レバー上の作動外形部との間の摩擦力のみを克服しなければならないからである。作動レバー、ならびに伝達要素または駆動爪部に対する追加の動作はなく、したがって、結合要素または結合レバーの、閉鎖処理中に当初とられた「係合される」機能状態から「係合解除される」機能位置への変換は、従来技術と比較して特に小さな力で行うことができる。
【0013】
結合要素または結合レバーを除き、閉鎖装置の他の全ての機能要素は、この過程中、その位置に留まる。結合要素が「係合解除される」機能状態にあるときに閉鎖装置が機械的に遮断されるとすぐに、駆動爪部の助けによって作用されるロック機構の構成要素は、他のロック機構の構成要素から離れることができ、ロック機構は直ちにその開放位置をとる。これらの全ては、操作者がロック解除要素に対して特に小さな力を加えることができるので、閉鎖処理中のあらゆる不都合を、この方法で迅速に、容易に、かつ低い作動力で管理することができる。ここに本質的な利点がある。
【0014】
有利な実施形態によれば、ロック解除要素は、緊急ロック解除レバーとエジェクタレバーとを備えた2つの部品で設計される。エジェクタレバーは、一般に、緊急ロック解除機能のために、連結レバー上の作動ピンと相互作用する。この目的のために、エジェクタレバーは、C字形又はU字形に有利に設計される。ほとんどの場合、エジェクタレバーは、結合アームと作動アームとを有する。
【0015】
エジェクタレバーの作動アームは、一般に、緊急解放レバーの作動タブに係合するための外形部を有する。緊急解除レバー自体は、通常、2アームまたは3アームレバーとして設計される。緊急解除レバーの一方のアームは、エジェクタレバーの作動アームの外形部に係合する作動タブとして作用する。
【0016】
作動アームに加えて結合アームが設けられるエジェクタレバー上の結合アームは、一般に、結合レバーの作動ピンのための停止エッジを有する。エジェクタレバーは、軸の周りに回転可能に装着されている。さらに、エジェクタレバーは、通常、ロック平面に対して平行に配置されたロック解除平面内で移動することができる。ロック平面は、典型的には、ロック機構の一部として、キャッチ部と少なくとも1つの爪部とによって跨がれる。これに対して、ロック解除平面は、ロック平面の上方または下方のいずれかにロック平面と平行に配置される。エジェクタレバーもロック解除平面にある。
【0017】
ほとんどの場合、緊急ロック解除レバーは、エジェクタレバーと共に、問題のロック解除平面に跨がるように設計される。その結果、緊急ロック解除レバーおよびエジェクタレバーは、2つの部分からなるロック解除要素の両方の構成要素として、位相的にロック機構から係合解除され、したがって、この状況では望ましくない相互作用が発生しない。むしろ、緊急ロック解除レバーは、結合レバーの作動ピン上の結合アームの停止エッジと共に作動するエジェクタレバーに作用する。結合レバーは、一方ではロック平面と、他方ではロック解除平面との間に主として配置された別の第3の平面内に伝達要素と共に存在する。その結果、個々のレバーを特に簡単な方法で互いに機能的に係合解除することができる。
【0018】
駆動爪部は、通常、ロック平面内に配置されるが、これは、駆動爪部が、典型的には、それを閉じる目的で、爪部および/またはキャッチ部に作用するためである。ほとんどの場合、駆動爪部は、閉じられたときにキャッチ部の外形部に係合し、キャッチ部を以前に手動でとられたプレロック位置からメインロック位置に変換するように設計されている。しかしながら、原則として、駆動爪部は、ロック機構全体をプレロック位置からメインロック位置に変換するために爪部に作用することもできる。
【0019】
これにより、特に低力の緊急解錠機能を備えたドアロック、特に自動車ドア用ロックが提供される。これは本質的に、緊急ロック解除機能のためのロック解除要素が、閉鎖装置の一部として結合要素に作用し、この過程中に、力を作用させることなく閉鎖装置を主として分離するという事実に遡ることができる。
【0020】
ロック解除要素は、通常、操作者によって手動で作動させることができる。この目的のために、たとえば、緊急ロック解除レバーは、ロック解除要素の一部として、ドアハンドル、フラップハンドル等に連結されてもよく、あるいは、このようなハンドルに加えて実施されてもよい。閉鎖処理が操作者によって中断されると直ぐに、これは、ハンドル、したがってロック解除要素に作用することによって直接実行することができる。
【0021】
閉鎖装置は、力を作用させることなく大きく分離されるので、閉鎖処理は、実質的にあらゆる段階において、困難に遭遇することなく機械的に中断可能である。ロック解除要素を手動で作動させるのに必要な作動力が小さいので、これらの全てが特に迅速かつ効果的に行われる。ここに本質的な利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、1つの例示的な実施形態のみを示す図面を参照して、より詳細に本発明を説明する。
図1図1は、本発明による自動車ドア用ロックの概要図である。
図2A図2Aは、閉鎖処理の異なる段階の正面図(左側)および背面図(右側)である。
図2B図2Bは、閉鎖処理の異なる段階の正面図(左側)および背面図(右側)である。
図2C図2Cは、閉鎖処理の異なる段階の正面図(左側)および背面図(右側)である。
図3A図3Aは、閉鎖処理の場合の緊急ロック解除または緊急遮断機能の開始を示す。
図3B図3Bは、達成された緊急ロック解除または緊急遮断機能を示す。
【詳細な説明】
【0023】
図面は、ドア用ロックを示し、これは、本実施形態の範囲内の自動車ドア用ロックである。図示された自動車ドア用ロックは、例えば、後部扉用ロック、側部扉用ロックまたはタンクフラップ用ロック、フロントフード用ロックなどとして設計することができる。図1において、自動車ドア用ロックは、その主ロック位置に示されている。この機能位置をとるために、図1に示すロックボルト1は、最初に、図1に破線で示すキャッチ部3のプレロック位置に達するまで入口マウス2に移動する。図1に破線で示すプレロック位置から実線で示すメイン閉鎖位置へのキャッチ部3の変換は、例示的な実施形態によれば、閉鎖装置5,6,7,8,9;16,17が、キャッチ部3及び爪部4から成る図示され実施されたロック機構3,4に作用するように行われる。
【0024】
閉鎖装置5,6,7,89;16,17は、少なくとも1つのモータ駆動作動レバー8を有する。図において、この目的のためにモータ駆動装置9が設けられており、たとえば、正面図の図2Aに表示されるように、左側に示される正面図の図2Aから図2Cの図示に従って、作動レバー8がその軸10を中心に反時計回りの動きを実行するように、閉鎖処理中に作動レバー8に作用する。モータ駆動装置9は、典型的には電気モータであり、付加的に設けられたセンサ12がロック機構3,4のロック位置がとられたことを検出すると直ちに、指示された制御装置11によって作用される。この目的のために、センサ12は、図1の一点鎖線で示されるキャッチ部3のプレロック位置をチェックすることができる。ロック機構3,4がプレロック位置に達すると直ちに、制御ユニット11が確実にすることは、モータ駆動式駆動装置9に作用することによって、正面図において、図2A図2Cの描写に従って、作動レバー8が、その軸10を中心に反時計回りに旋回することである。
【0025】
例示的な実施形態によれば、閉鎖装置5,6,7,8,9;16,17は、伝達要素または伝達レバー6上の軸13の周りに回転可能に装着された駆動爪部5も含む。また、この目的のために、それ自体の軸14の周りに回転可能に装着された結合レバー7も、伝達要素又は伝達レバー6に回転可能に装着されている。結合レバー7及び駆動爪部5は、伝達レバー6の両側に配置されて支持されている。
【0026】
結合レバー7には、以下により詳細に説明するように、作動レバー8上の作動外形部8’と相互作用する作動タブ7’が装備されている。
【0027】
本実施形態によれば、駆動爪部5は、ロック機構の構成要素3,4、特にキャッチ部3と相互作用する。この目的のために、キャッチ部3は作動外形部3’を有し、図1に破線で示すプレロック位置から実線で示す閉鎖されるメインロック位置にキャッチ部3を移動させるように、駆動爪部5上の更なる作動外形部5’は、作動外形部3’と係合又は相互作用する。ここで、キャッチ部3は、図1に表示される反時計回り方向に、その軸15を中心に旋回される。同時に、ロック機構3,4のメインロック位置において、爪部4が通常のようにキャッチ部3に入り込み、キャッチ部3を固定する役割を果たすことができるので、ロックボルト1は、この過程で捕捉され、メインロック位置に固定される。
【0028】
本発明に係る車両用ドアロックは、閉鎖装置5,6,7,8,9;16,17のモータ駆動式作動レバー8と、ロック機構の構成要素3,4と相互作用する駆動爪部5とに加えて、閉鎖装置5,6,7,8,9;16,17の一部として必須の機能要素であるロック解除要素16,17を有する。ロック解除要素16,17により、作動レバー8と駆動爪部5との間の力の流れを遮断することができ、一般に、閉鎖装置5,6,7,8,9;16,17を機械的に分離することができる。この目的のため、および緊急ロック解除または緊急遮断機能のために、ロック解除要素16,17は、上述の結合要素または結合レバー7に作用する。
【0029】
本発明によれば、ロック解除要素16,17が結合レバー7に作用し、結合レバー7は、閉鎖装置5,6,7,8,9;16,17の緊急ロック解除または緊急遮断機能のために、力を作用させることなく閉鎖装置5,6,7,8,9;16,17を主として分離し、前記結合要素は、その以前の「係合される」状態から「係合解除される」機能位置への処理で変換される。以下、図2A図2C図3A図3Bを参照して、これを詳細に説明する。
【0030】
一方、ロック解除要素16,17は、緊急ロック解除レバー16とエジェクタレバー17との2つの部品から形成される。このことは、図3A図3Bを比較したときに最もよく分かるが、これらの図は、それぞれ、重要な構成要素に縮小された背面図における自動車ドア用ロックを示している。
【0031】
緊急ロック解除レバー16は、2アームまたは3アームレバーとして設計されている。本実施形態によれば、緊急ロック解除レバー16は、一方に作動タブ3aを備え、他方に作動アーム16bを備えた3アームレバーとして装備されている。特に図3Aおよび図3Bに基づいて分かるように、緊急ロック解除レバー16の作動アーム16bは、そこに示される力Fで手動で作用させることができる。この力Fは、たとえば、捕捉された衣類品や指を直ちに解除するために、閉鎖処理中に閉鎖装置5,6,7,8,9;16,17を中断しなければならない場合に、操作者によって緊急ロック解除レバー16に加えられる。この目的のために、緊急ロック解除レバー16は、ドアハンドル又は一般的にはハンドルに連結することができるが、このハンドルは、もちろん実施例としてのみ適用され、絶対に必要ではない。
【0032】
いずれにしても、図3Aに示され、操作者が緊急ロック解除機能のために蓄積した緊急ロック解除レバー16の力Fは、緊急ロック解除レバー16をその軸16’を中心にして図3Aに表示された時計回り方向に旋回させる。この結果、緊急ロック解除レバー16は、エジェクタレバー17の外形部17aにおいて作動タブ16aと係合するか、または、外形部17aと相互作用する。
【0033】
エジェクタレバー17は、C字形状またはU字形状である。その結果、エジェクタレバー17は、一方に上述の外形部17aを備えた作動アーム17bを有し、他方に停止エッジ17dを備えた結合アーム17cを有する。エジェクタレバー17は、その一部が軸18を中心として回転可能に装着されている。エジェクタレバー17の結合アーム17c上の停止エッジ17dは、結合レバー7上の作動ピン7aと相互作用する。
【0034】
全体として、位相的な設計は、ロック機構の構成要素3,4、即ち、関連付けられた軸と共にキャッチ部3および爪部4が、駆動爪部4も置かれるロック平面を跨ぐものである。緊急ロック解除レバー16およびエジェクタレバー17は、一緒になって、ロック解除平面を画定し、それに跨がるが、それらは、ロック平面に対して平行に、例示的な実施形態によれば、図3Aの平面図において、前記ロック平面の上方に配置される。ロック解除平面とロック平面との間には更に第3の平面が設けられており、この平面内に伝達要素又は伝達レバー6及び結合要素又は結合レバー7が大きく置かれている。その結果、以下でより詳細に説明するように、個々の前述の機能要素は、互いに独立して、かつ互いに影響を及ぼすことなく、作用され、移動させることができる。
【0035】
図2A図2Cでは、それぞれの場合において、正面図の左側部分および背面図の右側部分における閉鎖処理が一般的に示されている。図2Aによる機能位置で開始して、その開始または初期位置に閉鎖駆動装置5,6,7,8,9;16,17がある。モータ駆動装置9は、センサ12をチェックした後、制御ユニット11からのロック機構3,4のプレロック信号を検出すると直ちに、駆動装置9は制御ユニット11によって作用され、図2Aから図2Bへの変換時の正面図において、作動レバー8は、その軸10を中心に表示された反時計回りに旋回される。駆動爪部5は、図示の下方に移動し、駆動爪部5の外形部5’がキャッチ部3の対応する外形部3’に寄りかかることで、キャッチ部3の外形部3’と相互作用することができる。この駆動爪部5の下方への移動の結果として、キャッチ部3は、図1による一点鎖線のプレロック位置から始まり、メインロック位置の方向に軸15を中心に反時計回りに旋回される。
【0036】
駆動爪部5の図示された下方への移動は、閉鎖処理の開始時に観察できる作動レバー8の軸10を中心とする反時計方向への移動が、作動レバー8に回転可能に連結された伝達レバー6をこの処理中に反時計方向にも移動させ、それによって駆動爪部5が上述の下方への移動を実行することによって説明される。
【0037】
ロック処理の終了を図2Cに示す。この一連の機能の全体において、結合レバー7は、図3Aに拡大して示すように、「係合される」機能位置にある。これは、結合レバー7上のタブ7’が作動レバー8上の作動外形部8’と相互作用するか、またはこの作動外形部8’と係合するという事実に対応する。これにより、閉鎖装置5,6,7,8,9;16,17の閉鎖レバーチェーンが実現され、必要に応じて、駆動装置9から作動レバー8、結合レバー7、および伝達レバー6を介して駆動爪部5、ひいてはキャッチ部3に力を伝達して閉鎖することができる。
【0038】
本発明において、緊急ロック解除または緊急遮断機能が発生したときに、この閉鎖処理を終了させて、力の流れを遮断する場合には、ロック解除要素16,17が結合レバー7に作用して、緊急ロック解除機能のために閉鎖装置5,6,7,8,9;16,17をほぼ力を加えることなく分離する。これは、図3Aから図3Bへの移行において明らかである。図3Aは、このような緊急ロック解除機能の開始に対応する。
【0039】
この目的のために、緊急ロック解除レバー16は、力Fで操作者によって作用され、その結果、緊急ロック解除レバー16は、図3Aに表示される時計回り方向に、その軸16’を中心に旋回される。その結果、緊急ロック解除レバー16の作動タブ16aは、エジェクタレバー17の外形部17aに係合する。これにより、エジェクタレバー17は、その軸18を中心に、表示された反時計方向に旋回する。これにより、エジェクタレバー17の停止エッジ17dが結合レバー7の作動ピン7aに対して移動する。
【0040】
これは、図3Aから図3Bへの変換において、結合レバー7が、その軸14を中心に時計回りに旋回され、その結果、結合レバー7のタブ7’が作動レバー8の作動外形部8’から解除される。この処理中、結合レバー7は、図3Aの描写に従って、以前にとられていた「係合される」機能位置から、図3Bの描写に従って、「係合解除される」機能状態に変換される。この場合、閉鎖装置5,6,7,8,9;16,17が力を加えることなく大きく分離されるのは、作動レバー8及び伝達レバー6並びに駆動爪部5の両方がそれらの位置を維持し、作動タブ7’と外形部8’との間の摩擦力を克服するために、この処理中に作用されないか、又は少なくとも僅かに作用されるだけであるためである。その結果、上述した閉鎖装置5,6,7,8,9;16,17の力の流れを遮断する処理は、いつでも、低い作動力Fで実行することができる。
【0041】
図3Bによる機能位置において、結合レバー7は、その「係合解除される」位置をとる。これにより、キャッチ部3は、バネを介して駆動爪部5を上方に移動させることができるので、ロックボルト1が直ちに解除され、上述した自動車ドア用ロックが装備された自動車ドア又は自動車フラップを開くことができる。衣類品や指の以前に捕捉されたものを、問題のドアやフラップと自動車本体との間の隙間から直接引き出すことができる。
【0042】
【符合の説明】
【0043】
ロックボルト…1、停止エッジ…17d、入口マウス…2、軸…18、キャッチ部…3、力…F,作動外形部…3’、爪部…4、ロック機構…3,4、駆動爪部…5、作動外形部…5’、閉鎖デバイス…5,6,7,8,9、伝達レバー…6、結合レバー…7、作動タブ…7’、作動レバー…8、作動外形部…8’、駆動装置…9、軸…10、制御ユニット11、センサ…12、軸…13,軸…14,軸…15,軸…16’、ロック解除要素…16,17,作動タブ…16a、作動アーム…16b、エジェクタレバー…17,外形部…17a、作動アーム…17b、結合アーム…17c。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B