(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】流体移送装置の移送方法および流体移送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 53/30 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
B65G53/30 Z ZAB
(21)【出願番号】P 2020157985
(22)【出願日】2020-09-19
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】508165490
【氏名又は名称】アクアインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】大原 利隆
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-068323(JP,U)
【文献】特開2019-166523(JP,A)
【文献】特開昭53-059742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 53/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
し渣を受け入れる受入部と、該受入部からし渣が流入する移送空間を画定する移送空間形成部材とを備えた流体移送装置の移送方法において、
前記受入部が受け入れたし渣を前記移送空間に流入させる流入工程と、
し渣が流入した前記移送空間を前記受入部と遮断された遮断状態にする遮断工程と、
前記遮断状態になった前記移送空間に移送水を吐出することで、該移送空間にあるし渣を移送する移送工程と、
し渣が移送された後の前記移送空間に残った移送水を該移送空間から排水する排水工程とを備え、
前記流入工程は、移送水が排水された前記移送空間と前記受入部を接続し、前記受入部が受け入れたし渣を該移送空間に流入させる工程であることを特徴とする流体移送装置の移送方法。
【請求項2】
前記流入工程、前記遮断工程、前記移送工程および記排水工程は、繰り返し実行される工程であることを特徴とする請求項1記載の流体移送装置の移送方法。
【請求項3】
前記流入工程、前記遮断工程、前記移送工程および前記排水工程は、複数の前記移送空間形成部材のうちの1つの該移送空間形成部材ごとに時間をずらして実行する工程であることを特徴とする請求項1または2記載の流体移送装置の移送方法。
【請求項4】
し渣を受け入れる受入部と、
前記受入部からし渣が流入する移送空間を画定する移送空間形成部材と、
前記受入部と前記移送空間の接続状態を、該受入部と該移送空間が接続した流通状態と、該受入部と該移送空間が遮断された遮断状態との間で切り換える切換手段と、
前記流通状態において前記受入部から前記移送空間に流入したし渣を、前記遮断状態において該移送空間に移送水を吐出することで移送する移送手段と、
し渣が移送された前記移送空間に残った移送水を該移送空間から排水する排水手段とを備え、
前記切換手段は、前記排水手段によって移送水が排水された前記移送空間と前記受入部とを接続して前記流通状態に切り替えるものであることを特徴とする流体移送装置。
【請求項5】
前記切換手段は、し渣が流通可能な外筒流通口を有する外筒の内側に配置され、し渣が流通可能な内筒流通口を有する回転自在な内筒であり、回転により該外筒流通口と該内筒流通口の相対位置を変更させることで前記流通状態と前記遮断状態を切り換えるものであることを特徴とする請求項4記載の流体移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、し渣を受け入れる受入部と、該受入部からし渣が流入する移送空間を画定する移送空間形成部材とを備えた流体移送装置の移送方法および流体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理施設では、沈砂池等で除去されたし渣を移送装置を用いて貯留装置まで移送することが行われている。従来、移送装置としてベルトコンベアが用いられてきたが、ベルトコンベアでは、臭気が漏れたり、別のベルトコンベアに乗り継がないと移送方向を変更することが困難であるといった問題がある。また、ベルトコンベアは、メンテナンスのためのスペースを下方に設ける必要があるので、地表面から上方に離して設置される。加えて、別のベルトコンベアに乗り継ぐ場合は、各ベルトコンベアの後流端でし渣を下方に落下させて次のベルトコンベアに乗り継いでいるので、多数のベルトコンベアを用いる場合は最初のベルトコンベアをかなり高い位置に配置する必要がある。この場合、除塵機から最初のベルトコンベアに高い位置でし渣を受け渡すために、高い位置までし渣を搬送できるより高さの高い除塵機を沈砂池等に設置することになる。その結果、除塵機が高価になってしまうという問題もあった。
【0003】
これに対し、近年では、移送装置として、し渣を配管内で移送水によって移送する流体移送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の流体移送装置は、上端に開口が設けられたタンクと、そのタンクに接続された供給側管路と、そのタンクの下端に接続された排出側管路とを有している。そして、し渣と水を開口からタンクに投入した後、上端の開口を閉塞し、供給側管路から移送水をタンク内に送り込む。その送り込んだ移送水の水流によってタンクに貯留されたし渣を排出側管路に送り出して移送させようと試みている。この流体移送装置によれば、臭気が漏れる虞も少なく、排出側管路を曲げることで移送経路の途中で移送方向を曲げることも容易にできる。さらに、この流体移送装置では、低い位置から高い位置にし渣を移送することもできるので、除塵機を高くしておく必要もないといった効果もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、し渣は、比重が異なる多数のものが混在しており、水に対して浮上するもの、沈降するもの、水中に浮遊するものがある。特許文献1の流体移送装置の排出側管路から送り出すことができるのは、主に沈降するし渣であり、特に浮上するし渣は排出側管路に送り出すことができず、タンク内に残留してしまう虞がある。なお、派出側管路をタンクの水面近くやタンクの水深における中間高さ位置に接続することも考えられるが、その場合は少なくとも沈降するし渣を送り出すことが困難になってしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、し渣の比重に関わらず移送することが可能な流体移送装置の移送方法および流体移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明の流体移送装置の移送方法は、し渣を受け入れる受入部と、該受入部からし渣が流入する移送空間を画定する移送空間形成部材とを備えた流体移送装置の移送方法において、
前記受入部が受け入れたし渣を前記移送空間に流入させる流入工程と、
し渣が流入した前記移送空間を前記受入部と遮断された遮断状態にする遮断工程と、
前記遮断状態になった前記移送空間に移送水を吐出することで、該移送空間にあるし渣を移送する移送工程と、
し渣が移送された後の前記移送空間に残った移送水を該移送空間から排水する排水工程とを備え、
前記流入工程は、移送水が排水された前記移送空間と前記受入部を接続し、前記受入部が受け入れたし渣を該移送空間に流入させる工程であることを特徴とする。
【0008】
ここで前記流入工程は、前記受入部にあるし渣を自重で前記移送空間に流入させる工程であってもよい。また、前記遮断工程は、前記受入部と前記移送空間の間を水密に閉塞する工程であってもよい。さらに、前記排水工程は、前記移送空間から移送水を自重で排水する工程であってもよい。
【0009】
この流体移送装置の移送方法によれば、し渣の比重に関わらずし渣を前記移送空間に流入させて移送水によって移送することができる。
【0010】
この流体移送装置の移送方法において、前記流入工程、前記遮断工程、前記移送工程および記排水工程は、繰り返し実行される工程であってもよい。
【0011】
これらの工程を繰り返し実行することで、前記受入部が受け入れたし渣を順次移送することができる。また、流体移送装置を小型化できる。
【0012】
さらに、この流体移送装置の移送方法において、前記流入工程、前記遮断工程、前記移送工程および前記排水工程は、複数の前記移送空間形成部材のうちの1つの該移送空間形成部材ごとに時間をずらして実行する工程であってもよい。
【0013】
こうすることで、移送可能なし渣の量が増加するので、し渣が大量である場合にも受け入れて移送することができる。
【0014】
また、上記目的を解決する本発明の流体移送装置は、し渣を受け入れる受入部と、
前記受入部からし渣が流入する移送空間を画定する移送空間形成部材と、
前記受入部と前記移送空間の接続状態を、該受入部と該移送空間が接続した流通状態と、該受入部と該移送空間が遮断された遮断状態との間で切り換える切換手段と、
前記流通状態において前記受入部から前記移送空間に流入したし渣を、前記遮断状態において該移送空間に移送水を吐出することで移送する移送手段と、
し渣が移送された前記移送空間に残った移送水を該移送空間から排水する排水手段とを備え、
前記切換手段は、前記排水手段によって移送水が排水された前記移送空間と前記受入部とを接続して前記流通状態に切り替えるものであることを特徴とする。
【0015】
この流体移送装置によれば、し渣の比重に関わらずし渣を前記移送空間に流入させて移送水によって移送することができる。
【0016】
この流体移送装置において、前記切換手段は、し渣が流通可能な外筒流通口を有する外筒の内側に配置され、し渣が流通可能な内筒流通口を有する回転自在な内筒であり、回転により該外筒流通口と該内筒流通口の相対位置を変更させることで前記流通状態と前記遮断状態を切り換える態様であってもよい。
【0017】
この態様によれば、簡単な構成で前記移送空間形成部材と前記受入部の接続と遮断を切り替えることができるので、流体移送装置を安価に構成できる
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、し渣の比重に関わらず移送することが可能な流体移送装置の移送方法および流体移送装置を提供するを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、ポンプ場と流体移送装置を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示したポンプ場と流体移送装置を模式的に示す断面図である。
【
図3】(a)は、移送装置本体を示す断面図であり、(b)は、同図(a)のA-A断面図である。
【
図4】(a)は、
図3(b)から内筒が反時計回りに90度回転した様子を示す断面図であり、(b)は、同図(a)から内筒がさらに反時計回りに90度回転した様子を示す断面図である。
【
図5】
図1に示した流体移送装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】ポンプ場と流体移送装置の変形例を模式的に示す
図1と同様の平面図である。
【
図7】(a)は、第2実施形態の流体移送装置における
図3(a)と同様の断面図であり、(b)は、同図(a)のB-B断面図である。
【
図8】(a)は、流体移送装置が流通状態にあるときの様子を示す
図7のC-C断面図であり、(b)は、同図(a)から内筒が180度回転して流体移送装置が遮断状態になった様子を示すC-C断面図である。また、(c)は、同図(a)から内筒が50度回転して流体移送装置が遮断状態になった様子を示すC-C断面図である。
【
図9】(a)は、第3実施形態の移送装置本体の遮断状態を示す
図3(b)と同様の断面図であり、(b)は、同図(a)から内筒が回転して第1流通状態になった様子を示す断面図であり、(c)は、同図(a)から内筒が回転して第2流通状態になった様子を示す断面図である。
【
図10】
図9に示した流体移送装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】第4実施形態の移送装置本体を、沈砂池における汚水の流れの下流側から上流側に向かって見た図である。
【
図12】
図11に示した流体移送装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の一実施形態である流体移送装置は、ポンプ場に配置された除塵機が捕捉したし渣を移送するものである。なお、ポンプ場は、汚水処理施設に設置される固液分離設備であって、下水および雨水などの汚水に混入している砂を沈降させた後、沈降させた砂を集砂ピットに移動させて汚水から取り除き、砂が取り除かれた汚水を揚水するものである。
【0021】
図1は、ポンプ場と流体移送装置を模式的に示す平面図である。また、
図2は、
図1に示したポンプ場と流体移送装置を模式的に示す断面図である。
【0022】
図1に示す、ポンプ場9は、流入渠91と砂が沈降する2つの沈砂池93,93とポンプ井95とを備えている。ポンプ場9は、平面視で長方形をしている。流入渠91は、
図1における左端から下水および雨水などの汚水を受け入れる。流入渠91が受け入れた汚水は、2つの沈砂池93,93に分配される。2つの沈砂池93,93は、ポンプ場9における中流部分に、汚水の流れ方向に対して並列に設けられている。2つの沈砂池93,93は、同一の構成をしているので、以下の説明では2つの沈砂池93,93を区別しないで沈砂池93について説明することがある。汚水は、沈砂池93においてその汚水に混入している砂を沈降させつつポンプ井95に向かってゆっくりと流れていく。沈砂池93の底部は、砂が堆積する砂だまりを構成している。2つの沈砂池93,93は同一のポンプ井95に接続されている。沈砂池93を通過した汚水は、ポンプ井95に流入する。ポンプ井95は、沈砂池93において砂が取り除かれた汚水を貯留するものである。ポンプ井95の内部には、揚水ポンプP2が設置されている。揚水ポンプP2によって揚水された汚水は、次の段階の汚水処理を行う不図示の沈殿池に送られる。
【0023】
沈砂池93は、四方に壁を有する平面視で長方形状をした池である。沈砂池93の長辺方向はポンプ場9の長辺方向と一致している。沈砂池93は、集砂ピット931と、トラフ933と、除塵機935とを備えている。沈砂池93において、集砂ピット931は、汚水の流れにおける上流側部分に設けられている。集砂ピット931には、集砂ピット931内の砂をポンプ場9の外に搬出するための揚砂ポンプP1が設けられている。揚砂ポンプP1を駆動すると、集砂ピット931の底部に堆積した砂が汚水とともに吸引されて不図示の沈砂分離機に送り込まれる。トラフ933は、沈砂池93の底部において沈砂池93の長辺方向に沿って集砂ピット931に向けて延在している。トラフ933は、沈砂池93の池幅方向中央で集砂ピット931よりも汚水の流れにおける下流側に設けられ、上方に向かって開口している。トラフ933の端部は、集砂ピット931に接続している。トラフ933の池幅方向両側における、沈砂池93の底面は、沈砂池93の側壁からトラフ933に近づくにつれて下方に向かうように傾斜した傾斜面で構成されている。そして、その傾斜面は最下部でトラフ933に接続している。沈砂池93に流れ込んだ汚水に混入している砂は、沈砂池93の底部に向かって沈降し、一部は集砂ピット931に堆積し、残りは傾斜面を滑り落ち、または直接トラフ933内に堆積する。トラフ933内に堆積した砂は、不図示の集砂装置によって集砂ピット931に集められる。
【0024】
除塵機935は、沈砂池93において汚水の流れにおける最も上流側部分に設けられている。除塵機935は、沈砂池93に流れ込んできた汚水に混入している混入物であるし渣を沈砂池93から除去するためのものである。沈砂池93に流れ込んできた汚水が除塵機935を通過する際、汚水に混入しているし渣は、除塵機935に遮られる。除塵機935によって遮られたし渣は、除塵機935が駆動されると、除塵機935に設けられたレーキ9351によって沈砂池93よりも上方に持ち上げられて、
図2において円弧付きの下向き矢印で示されているように、流体移送装置1に投入される。
【0025】
流体移送装置1は、除塵機935から投入されたし渣を移送するものである。移送されたし渣は移送水とともに分離機3に移送される。
図1に示すように、流体移送装置1は、各沈砂池93毎に1つづつ合計で2つ配置されている。また、2つの流体移送装置1,1は、共通で使用される母管14を除いて同一の構成をしているので、以下の説明では2つの流体移送装置1,1を区別しないで説明することがある。各流体移送装置1は、母管14以外に、それぞれ移送装置本体11と、移送水供給管12と、送出管13を備えている。移送装置本体11の構成については後に詳述する。
【0026】
移送水供給管12は、移送装置本体11に移送水を供給するものである。移送水供給管12は、
図1では簡略化されて太い実線で示されている。この移送水供給管12は、移送手段の一例に相当する。移送水は、ポンプ場9よりも後流にある曝気槽や最終沈殿池などで処理された水であり、曝気槽や最終沈殿池にあるポンプで吸い上げられて移送水供給管12に送られてくる。
図1では移送水の流れ方向が右向きの矢印で示されている。なお、移送水として、揚水ポンプP2で吸い上げた汚水を用いてもよく、上水道を流れる浄水を用いてもよい。また、この実施形態の2つの移送水供給管12,12には、一つのポンプで吸い上げられた移送水が送られてくるが、移送水供給管12毎に異なるポンプから水が送られてくるようにしてもよい。移送水供給管12には、電動弁121が設けられている。この電動弁121を開放することで、移送装置本体11に移送水が供給される。
【0027】
送出管13は、移送装置本体11から移送水とともに送り出されたし渣を移送する管である。各流体移送装置1に設けられた送出管13は、母管14に接続されている。送出管13および母管14は、流体移送装置1から送り出されたし渣が移送される移送管である。
図2に示すように、母管14は、上方に向かって延在した部分を有する。ただし、送出管13に上方に向かって延在した部分を設け、母管14を同一水平面上に配置してもよく、送出管13と母管14それぞれに上方に向かって延在した部分を設けてもよい。送出管13および母管14は、
図1では簡略化されて太い実線で示されている。本実施形態の送出管13は、し渣が詰まってしまわないように、方向が変化する部分には、屈曲の緩やかなベント管や45度エルボが用いられている。
図1では、左側に45度エルボを2つ組み合わせた90度屈曲部が示され、右側にベント管を用いた90度屈曲部が示されている。
図2に示すように、送出管13は、逆止弁131と排水管132を備えている。逆止弁131は、母管14からし渣や移送水が逆流しないように、母管14の直前に設置されている。排水管132は、送出管13の、移送装置本体11と逆止弁131の間に配置されている。排水管132は、後述する移送空間V2に残っている移送水を移送空間V2から排水するためのものである。この排水管132は、排水手段の一例に相当する。排水管132には、排水弁1321が設けられている。排水弁1321を開放することで、送出管13の逆止弁131よりも移送装置本体11側の管内にある移送水および移送空間V2にある移送水が自重で排水され、移送空間V2は空になる。母管14は、送出管13と接続された側とは反対側端部が分離機3の上部に配置されている。送出管13内を通過したし渣および移送水は、母管14内を通って
図2で下向きの矢印で示すように、分離機3に投入される。なお、母管14を省略し、送出管13を分離機3まで延在させてもよい。母管14を省略した場合、逆止弁1321も省略することが好ましい。分離機3では、し渣と水(主に移送水)を分離し、し渣は
図2に示すホッパ4に投入される。ホッパ4は、し渣を貯留し、貯留しているし渣が所定量に達したらし渣をトラックTの荷台に排出する。ホッパ4から排出されたし渣は、トラックTによって下水処理場の外に搬送され、焼却等の処理がなされる。
【0028】
図3(a)は、移送装置本体を示す断面図であり、
図3(b)は、同図(a)のA-A断面図である。この
図3(a)は、沈砂池の汚水の流れにおける下流側から移送装置本体11を見た断面図である。
【0029】
図3(a)に示すように、移送装置本体11は、受入部111と、移送空間形成部材112とを備えている。受入部111は、除塵機935(
図1参照)から投入されるし渣を受け入れる部分である。本実施形態の受入部111は、受部101と円筒部102とを備えている。受部101は、上方に向かうにつれて四方に拡がった角型の漏斗状をしている。受部101の下側部分には、し渣の量を検出する検出装置1011が配置されている。円筒部102は、外筒1021と、内筒1022と、2つのパッキン1023と、シール1024と、駆動機構1025とを備えている。外筒1021の周面上端部分には軸線方向に延在した上側開口1021aが形成されている。この上側開口1021aは受部101の下端に接続している。外筒1021と受部101は一体に形成されたものであってもよく、例えば溶接などで接合されたものであってもよい。また、外筒1021の周面下端部分には軸線方向に延在した下側開口1021bが形成されている。下側開口1021bは、上側開口1021aと略同形状をしている。これらの下側開口1021bおよび上側開口1021aは、し渣が流通可能な開口である。この実施形態の下側開口1021bは、外筒流通口の一例に相当する。下側開口1021bは、内部に移送空間V2を有する移送空間形成部材112の上端部分に形成された開口と接続している。すなわち、外筒1021内の空間は、内筒1022が無い状態では、上側開口1021aによって受部101内の空間と連続しており、下側開口1021bによって移送空間V2とも連続している。
図3(a)に示すように、外筒1021の軸線方向の両端は、後述する駆動軸1022cが貫通した部分を除き閉塞されている。
【0030】
内筒1022は、外筒1021の内側に回転自在に配置されている。この内筒1022は、切換手段の一例に相当する。内筒1022は、軸線方向の両端近傍にある2つの内筒側板1022b,1022bによって両端近傍が閉塞された筒状をしている。一方の内筒側板1022bには駆動軸1022cが固定されている。この駆動軸1022cの中心軸線は、内筒1022の中心軸線と一致している。内筒1022の内部にはし渣を一時的に貯留する貯留空間V1が形成されている。内筒1022の中心軸線は、外筒1021の中心軸線と一致している。また、内筒1022の周面には、軸線方向に延在した開口である内筒流通口1022aが形成されている。内筒流通口1022aは、し渣が流通可能な開口である。内筒流通口1022aは、上側開口1021aおよび下側開口1021bと略同一の大きさに形成されている。内筒1022が
図3(a)および
図3(b)に示す回転位置にあるときは、内筒流通口1022aが上端に位置し、内筒流通口1022aと上側開口1021aが連なった状態になっている。この状態では、受部101が受け入れたし渣は、内筒1022内に落下して貯留空間V1に貯留される。
図3(b)に示すように、内筒流通口1022aは、内筒1022と外筒1021の隙間を塞ぐために、内筒1022から外筒1021に向かって突出した形状になっている。なお、
図3(a)および
図3(b)では、外筒1021と内筒1022を見やすくするため、外筒1021と内筒1022の間の隙間を広く描いているが、実際には外筒1021と内筒1022の間はわずかな隙間しか存在していない。
【0031】
図3(a)に示すように、2つのパッキン1023,1023は、内筒1022の軸線方向の両端部分それぞれで、内筒1022の外周面全周に貼り付けられている。パッキン1023は、内筒1022の軸線方向の両端部分において外筒1021と内筒1022の隙間を塞ぎ、流体がその隙間を抜けて軸線方向に移動することを防止するためのものである。シール1024は、外筒1021の上側開口1021aおよび下側開口1021bを選択的に閉塞するためのものである。
図3(a)および
図3(b)では、シール1024によって下側開口1021bが閉塞された様子が示されている。シール1024は、上側開口1021aおよび下側開口1021bよりも一回り大きいシート状のものであり、内筒1022の外周面であって、内筒流通口1022aが形成されている周面とは反対側の面に貼り付けられている。駆動機構1025は、駆動軸1022cに固定されている。この駆動機構1025は、不図示のモータから駆動力が伝達される。この駆動機構1025に駆動力が伝達されることで、内筒1022は、その中心軸線を回転中心にして回転する。
【0032】
移送空間形成部材112は、移送水供給管12の先端部分が固定された形成部材側板1121を有する有底の筒状をしている。移送空間形成部材112の、形成部材側板1121とは反対側の端部は、送出管13に接続されている。この移送空間形成部材112によって、移送空間V2が画定されている。移送空間V2には、貯留空間V1に貯留されたし渣が流入してくる。移送空間V2は、貯留空間V1の容積以上の容積を有する空間である。移送水供給管12の先端部分は、形成部材側板1121を貫通して移送空間V2に突出している。移送水供給管12の先端には、移送水を吐出する吐出口12aが形成されている。従って、この吐出口12aは、移送空間V2に配置されている。
図3(a)には移送水の吐出方向が左向きの矢印で示されている。移送水供給管12の先端部分は、円形の管を扁平状につぶして形成されているため、吐出口12aは、高さ方向がつぶれ幅方向に拡がった扁平な形状をしている。後述する遮断状態において、吐出口12aから移送水を吐出することで、移送空間V2にあるし渣が、送出管13内に送り出され、さらにその移送水の流れによって送出管13内と母管14内を通ってし渣は分離機3に移送される。吐出口12aを扁平な形状にすることで、移送水の流速と吐出圧が高まるので、移送空間V2にあるし渣を移送する能力が高まる。
【0033】
外筒1021は、移送空間形成部材112の上端部に形成された開口に、下端部分が入り込んだ位置で移送空間形成部材112に固定されている。なお、移送空間形成部材112と外筒1021は一体に形成されたものであってもよく、例えば溶接などで接合されたものであってもよい。
図3(a)および
図3(b)に示す状態では、外筒1021の下側開口1021bは、内筒1022のシール1024によって閉塞されているため、受入部111と移送空間V2が遮断された遮断状態になっている。この遮断状態では、移送空間V2にあるし渣や、移送空間V2に吐出された移送水が、受入部111側に移動してしまうことは防止されている。
【0034】
図4(a)は、
図3(b)から内筒が反時計回りに90度回転した様子を示す断面図であり、
図4(b)は、同図(a)から内筒がさらに反時計回りに90度回転した様子を示す断面図である。
【0035】
上述したように、内筒1022は、不図示のモータを駆動することで軸線方向を中心として回転する。
図3(b)に示した遮断状態では、受入部111と移送空間V2が遮断されるとともに、受部101に投入されたし渣が貯留空間V1に貯留される。
図4(a)に示すように、
図3(b)に示した遮断状態から内筒1022がある程度回転すると、貯留空間V1と受部101が遮断されて受部101に投入されたし渣が受部101から貯留空間V1に落下できなくなる。また、
図4(b)に示すように、
図3(b)に示した遮断状態から内筒1022が180度回転して内筒流通口1022aが下端に達し、内筒流通口1022aの位置と外筒1021の下側開口1021bの位置が一致すると、貯留空間V1と移送空間V2が接続された流通状態になる。なお、内筒流通口1022aの一部と下側開口1021bの一部が重なった位置になれば、貯留空間V1と移送空間V2が接続された流通状態になるが、内筒流通口1022aの全部が下側開口1021bに重なる位置に内筒1022を回転させることで、貯留空間V1にあるし渣をスムーズに移送空間V2に流入させることができる。移送空間V2は貯留空間V1の容積以上の容積を有するので、流通状態になると貯留空間V1に貯留されていたし渣のほぼ全てが自重によって移送空間V2に流入する。
【0036】
次に、この流体移送装置1における移送動作について説明する。
図5は、
図1に示した流体移送装置の動作を示すフローチャートである。なお、この例では、除塵機935の動作と連動して流体移送装置1を動作させる例を示す。
【0037】
流体移送装置1の動作は、不図示の制御装置によって制御されている。
図5に示すフローチャートにおける動作は、その制御装置からの指令によって実行される動作である。本実施形態では、制御装置が除塵機935と流体移送装置1とを連動して制御することで、除塵機935の動作に合わせて流体移送装置1の動作を開始している。ただし、スイッチ等を用いて手動で流体移送装置1の動作を開始させてもよく、除塵機935からし渣が投入されたことを検出して自動で流体移送装置1の動作を開始させてもよい。
【0038】
図5に示すように、流体移送装置1の移送動作では、まず初期動作を実施する(ステップS1)。初期動作では、
図3(a)および
図3(b)に示す遮断状態になるように、内筒1022を回転させる。また、初期動作においては、電動弁121が開放されている場合は電動弁121を閉塞させる。さらに、排水弁1321を一旦開放して、送出管13の逆止弁131よりも移送装置本体11側の管内にある移送水および移送空間V2にある移送水を排水管132から排水してから排水弁1321を閉塞させる。この初期動作における排水動作は、排水工程の一例に相当する。なお、移送空間V2に移送水が無い場合、排水弁1321を開放せずに、単に排水弁を閉塞するようにしても構わない。つまり、前回の移送動作の最後に移送空間V2の排水が実施されていれば、既に排水工程が実施された状態であるので、初期動作における排水動作は省略してもよい。遮断状態では、除塵機935から受入部111が受け入れたし渣は、貯留空間V1に貯留される。検出装置1011が貯留空間V1のし渣の量が所定量以上になったことを検出したら(ステップS2でYES)、内筒流通口1022aが下端になるまで内筒1022を回転させ、貯留空間V1と移送空間V2が接続された流通状態にすることで受入部111が受け入れたし渣を移送空間V2に流入させる(ステップS3)。なお、ステップS2において、貯留空間V1のし渣の量が所定量以上になったことを検出することに代えて、一定時間経過を検出して一定時間経過毎にステップS3を実行するようにしてもよい。このステップS3は、流入工程の一例に相当する。
【0039】
し渣が移送空間V2に流入したら、内筒流通口1022aが上端になるまで内筒1022を回転させ、受入部111と移送空間V2が遮断された遮断状態にする(ステップS4)。このステップS4は、遮断工程の一例に相当する。次に、電動弁121を開放して吐出口12aから移送水を吐出し、移送空間V2にあったし渣を送出管13と母管14を通して分離機3に移送する。移送空間V2にあったし渣の移送が完了したら電動弁121を閉塞して移送水の吐出を停止する(以上、ステップS5)。このステップS5は移送工程の一例に相当する。ステップS5における移送が完了した状態では、送出管13内および移送空間V2には移送水が残留している。次に、排水弁1321を開放して送出管13の逆止弁131よりも移送装置本体11側の管内にある移送水および移送空間V2にある移送水を排水管132から排水し、排水が完了したら排水弁1321を閉塞する(以上、ステップS6)。このステップS6は、排水工程の一例に相当する。除塵機935が停止していなければ(ステップS7でNO)、ステップS2に戻り、ステップS2~S6の動作を繰り返す。除塵機935が停止していたら(ステップS7でYES)、移送動作を終了する。なお、通常、除塵機935の駆動時間は一般的に数時間であるのに対して、ステップS2~S7を1サイクルとするとその1サイクルあたりの動作時間は数分程度であるので、移送動作が開始された後は、ステップS2~S7の動作は複数回繰り返し実行される。
【0040】
この実施形態によれば、排水された移送空間V2にし渣を流入させているので、し渣の比重に関わらずし渣を移送水によって移送することができる。また、除塵機935が動作している間、ステップS2~S6の動作を繰り返し実行するので、受入部111が受け入れたし渣を貯留空間V1の容積分づつ順次移送することができる。これにより受入部111を小型化することができる。さらに、受入部111の円筒部102に外筒1021と内筒1022を設け、内筒1022を回転させることで接続状態と遮断状態とが切り換わるといった構成にしているので、流体移送装置1を安価にすることができる。またさらに、し渣を送出管13と母管14の管内で移送しているので、移送中に臭気が漏れる虞がない。また、し渣を上方に向かって移送することができるので、除塵機935の高さを低くすることが可能になる。この結果として、除塵機935のコストが下がるので、流体移送装置1が設置されたポンプ場9全体を安価に構成することが可能になる。その上、し渣を高くまで持ち上げるための除塵機935の駆動力も減るので、ポンプ場9における消費電力も削減できる。
【0041】
次に、流体移送装置1の変形例について説明する。これより後の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0042】
図6は、ポンプ場と流体移送装置の変形例を模式的に示す
図1と同様の平面図である。
【0043】
図6に示すポンプ場9は、流水トラフ97が設けられている点が
図1に示したポンプ場9とは異なる。また、流体移送装置1が、除塵機935毎ではなく複数の除塵機935で共通で使用される1つのみ設けられている点が
図1に示した流体移送装置1とは異なる。
図6に示すように、流水トラフ97は、2つの沈砂池93,93を跨いで池幅方向に延在している。流水トラフ97の底面は、
図6における上側に向かうに従って下方に傾斜している。また、流水トラフ97の、
図6における下端部分に流水を供給する不図示の流水供給ノズルが設置されており、その流水供給ノズルから流水が供給さる。供給された流水は
図6における上側に向かって流れていく。流水トラフ97の2つの除塵機935,935が駆動されると、それぞれの除塵機935によって持ち上げられたし渣が流水トラフ97に投入される。流水トラフ97に投入されたし渣は、流水によって、流水の流れにおける下流側に流れてその流れの最下流において、流水とともに移送装置本体11の受入部111(
図3参照)に注ぎ込まれる。なお、この変形例では、受入部111に、流水を排出してし渣のみを残すための排水口を備えるか、流水トラフ97と受入部111の間に脱水機を設けて流水を取り除いたし渣を受入部111に投入することが好ましい。
【0044】
この変形例の流体移送装置1およびポンプ場9によれば、先の実施形態と同様の効果に加え、流体移送装置1が1つですむといった効果も奏する。ただし、上述したように、流体移送装置1そのものか、流体移送装置1の前で流水とし渣を分離する必要がある。また、流水トラフ97において、し渣から発生した臭気が漏れてしまう虞がある。
【0045】
次いで、第2実施形態の流体移送装置1について説明する。
図7(a)は、第2実施形態の流体移送装置における
図3(a)と同様の断面図であり、
図7(b)は、同図(a)のB-B断面図である。
【0046】
図7に示す移送装置本体11は、先の実施形態に示した流体移送装置1において移送空間形成部材112が配置されていた部分に外筒1021が配置され、内筒1022が移送空間V2を形成している点が、
図3に示した移送装置本体11とは異なる。また、この第2実施形態では、受入部111は、受部101のみであり、円筒部102は受入部111の構成要素ではない。なお、
図7および後述する
図8では、外筒1021と内筒1022を見やすくするため、外筒1021と内筒1022の間の隙間が広く示されているが、実際には外筒1021と内筒1022の間には極僅かな隙間しか存在していない。
図7(a)および
図7(b)に示すように、外筒1021の、移送水の吐出方向における下流端は開放されており、その下流端には送出管13が接続されている。外筒1021の周面上端部分には軸線方向に延在した上側開口1021aが形成されている。この実施形態の上側開口1021aは、外筒流通口の一例に相当する。内筒1022は、外筒1021内に回転自在に配置されている。内筒1022は、移送水の吐出方向における下流端は開放され、移送水の吐出方向における上流端に移送水供給管12の先端部分が固定された内筒側板1022bを有する有底の筒状をしている。内筒1022内の空間は、貯留空間V1と移送空間V2とを兼ねた空間になっている。以下、この第2実施形態の説明において、貯留空間V1と移送空間V2とを兼ねた空間を単に移送空間V2と称する。内筒1022の周面には、軸線方向に延在した開口である内筒流通口1022aが形成されている。この内筒流通口1022aは、外筒1021の上側開口1021aとほぼ同一の形状に形成されている。内筒1022の、移送水の吐出方向における上流端部分には、駆動機構1025が固定されている。駆動機構1025が駆動されることで内筒1022が回転すると、接続状態と遮断状態との間で状態が切り換わる。本実施形態の内筒1022は、切換手段の一例に相当し、移送空間形成部材の一例にも相当する。
【0047】
図8(a)は、流体移送装置が流通状態にあるときの様子を示す
図7のC-C断面図であり、(b)は、同図(a)から内筒が180度回転して流体移送装置が遮断状態になった様子を示すC-C断面図である。また、(c)は、同図(a)から内筒が50度回転して流体移送装置が遮断状態になった様子を示すC-C断面図である。なお、
図8では、背景は省略している。
【0048】
図8(a)に示すように、流通状態では、内筒1022の内筒流通口1022aが内筒1022の上端に位置し、内筒流通口1022aと外筒1021の上側開口1021aとが連なった状態になっている。この流通状態では、受入部111(受部101)が受け入れたし渣は、内筒1022内に落下して移送空間V2に貯留される。
図8(b)に示すように、流通状態から内筒1022が180度回転した遮断状態では、受入部111と移送空間V2が遮断されている。この遮断状態において、吐出口12aから移送水を吐出することで、移送空間V2にあるし渣が、送出管13内に送り出され、さらにその移送水の流れによって、
図1に示す送出管13内と母管14内を通ってし渣は分離機3に移送される。遮断状態においては、受入部111が受け入れたし渣は、内筒1022よりも上方で受部101内に一時的に貯留される。
図8(b)では、流通状態から内筒1022を180度回転させて遮断状態にしたが、内筒流通口1022aと上側開口1021aとがずれた位置になる程度に内筒1022を回転させて遮断状態にしてもよい。
図8(c)には、流通状態から内筒1022を50度回転させて遮断状態にする例が示されている。このように、回転角度を小さくすることで、流通状態と遮断状態との切替時間を短縮することができ、流通状態と遮断状態との切替における電力消費量も削減することができる。
【0049】
この第2実施形態の流体移送装置1によれば、先の実施形態と同様の効果に加え、移送装置本体11の構成が簡素化されているので、移送装置本体11を安価に構成できるといった効果も奏する。
【0050】
次に、第3実施形態の流体移送装置1について説明する。
図9(a)は、第3実施形態の移送装置本体の遮断状態を示す
図3(b)と同様の断面図であり、
図9(b)は、同図(a)から内筒が回転して第1流通状態になった様子を示す断面図であり、
図9(c)は、同図(a)から内筒が回転して第2流通状態になった様子を示す断面図である。
【0051】
第3実施形態の流体移送装置は、移送装置本体11に第1移送空間形成部材112Aと第2移送空間形成部材112Bの2つの移送空間形成部材が設けられている点と、内筒流通口1022aが形成されている部分を除いて内筒1022外周面の略全周にシール1024が貼り付けられている点が、
図1に示した流体移送装置1とは異なる。
図9(a)に示すように、外筒1021の下側部分には軸線方向に延在した第1下側開口1021bAと第2下側開口1021bBが形成されている。この実施形態の第1下側開口1021bAおよび第2下側開口1021bBは、外筒流通口の一例に相当する。第1下側開口1021bAと第2下側開口1021bBは、上側開口1021aと略同形状をしている。第1下側開口1021bAは、第1移送空間形成部材112Aの上側部分に形成された開口と接続している。また、第2下側開口1021bBは、第2移送空間形成部材112Bの上側部分に形成された開口と接続している。すなわち、外筒1021内側の空間は、内筒1022が無い状態では、第1移送空間形成部材112Aによって形成された第1移送空間V2Aおよび第2移送空間形成部材112Bによって形成された第2移送空間V2Bそれぞれと連続している。この第3実施形態では、移送水供給管12の先端側部分には、2つに分岐して第1分岐供給管12Aと第2分岐供給管12Bが形成されている。そして、第1分岐供給管12Aには不図示の第1電動弁が配置され、第2分岐供給管12Bにも不図示の第2電動弁が配置されている。第1分岐供給管12Aの先端部分は、第1移送空間V2Aに突出している。そして、第1分岐供給管12Aの先端には第1吐出口12Aaが形成されている。第2分岐供給管12Bの先端部分は、第2移送空間V2Bに突出している。そして、第2分岐供給管12Bの先端には第2吐出口12Baが形成されている。また、図示省略するが、第1移送空間形成部材112Aには第1送出管が接続されており、その第1送出管には、第1排水弁が設けられた第1排水管と第1逆止弁とが、移送水の流れにおける上流側から順に設けられている。同様に、第2移送空間形成部材112Bには第2送出管が接続されており、その第2送出管には、第2排水弁が設けられた第2排水管と第2逆止弁とが、移送水の流れにおける上流側から順に設けられている。なお、
図9でも外筒1021と内筒1022の間の隙間を広く描いているが、実際には外筒1021と内筒1022の間はわずかな隙間しか存在していない。
【0052】
図9(a)に示す遮断状態では、内筒1022の内筒流通口1022aが上端に位置し、内筒流通口1022aと上側開口1021aが連なっている。この遮断状態では、受部101が受け入れたし渣は、内筒1022内に落下して貯留空間V1に貯留される。また、この遮断状態では、第1移送空間V2Aおよび第2移送空間V2Bは、受入部111と遮断されている。
図9(b)に示す第1流通状態では、内筒1022の内筒流通口1022aの位置と第1下側開口1021bAの位置が一致し、貯留空間V1と第1移送空間V2Aが連続している。この第1流通状態では、貯留空間V1に貯留されていたし渣が自重によって第1移送空間V2Aに流入する。
図9(c)に示す第2流通状態では、内筒1022の内筒流通口1022aの位置と第2下側開口1021bBの位置が一致し、貯留空間V1と第2移送空間V2Bが連続している。この第2流通状態では、貯留空間V1に貯留されていたし渣が自重によって第2移送空間V2Bに流入する。
【0053】
図10は、
図9に示した流体移送装置の動作を示すフローチャートである。
【0054】
図10に示すように、移送動作が開始されると、まず初期動作を実施する(ステップS11)。初期動作では、
図9(a)に示す遮断状態になるように、内筒1022を回転させる。また、初期動作では、第1分岐供給管12Aに設けられた第1電動弁および第2分岐供給管12Bに設けられ第2電動弁を閉塞する。また、第1排水弁と第2排水弁を一旦開放して、第1移送空間V2Aと第2移送空間V2B等にある移送水を排水してから第1排水弁と第2排水弁を閉塞させる。この初期動作における排水動作は、排水工程の一例に相当する。なお、前回の移送動作の最後に第1移送空間V2Aと第2移送空間V2Bの排水が実施されていれば、初期動作における排水動作は省略してもよい。遮断状態では、除塵機935(
図1参照)から投入されたし渣は、貯留空間V1に貯留される。検出装置1011が貯留空間V1のし渣の量が所定量以上になったことを検出したら(ステップS12でYES)、後述する第1移送処理が実行中か否かが判断される(ステップS13)。第1移送処理が実行中でない場合(ステップS13でNO)、第1移送処理を開始する(ステップS17)。第1移送処理が実行中である場合(ステップS13でYES)、後述する第2移送処理が実行中か否かが判断される(ステップS14)。第2移送処理が実行中である場合(ステップS14でYES)、ステップS13に戻って第1移送処理または第2移送処理が完了するまでステップS13とステップS14の判断を繰り返し実行する。第2移送処理が実行中でない場合(ステップS14でNO)、第2移送処理を開始する(ステップS15)。ステップS15で第2移送処理を開始した後、またはステップS17で第1移送処理を開始した後、除塵機935が停止しているか否か判断する(ステップS16)。除塵機935が停止していなければ(ステップS16でNO)、ステップS12に戻る。除塵機935が停止していたら(ステップS16でYES)、実行中の第1移送処理または第2移送処理が完了してから移送動作を終了する。
【0055】
第1移送処理では、内筒流通口1022aと第1下側開口1021bAの位置が一致するまで内筒1022を回転させ、貯留空間V1と第1移送空間V2Aが連続した第1流通状態にすることで受入部111が受け入れたし渣を第1移送空間V2Aに流入させる(ステップS171)。このステップS171は、流入工程の一例に相当する。なお、この内筒1022の回転は、回転中に内筒流通口1022aの位置と第2下側開口1021bBの位置が一致することが無いように、
図9における反時計周りで実行される。し渣が第1移送空間V2Aに流入したら、内筒流通口1022aが上端になるまで内筒1022を回転させ、受入部111と第1移送空間V2Aが遮断された遮断状態にする(ステップS172)。このステップS172は、遮断工程の一例に相当する。なお、この内筒1022の回転は、回転中に内筒流通口1022aの位置と第2下側開口1021bBの位置が一致することが無いように、
図9における時計周りで実行される。次に、第1分岐供給管12Aに設けられた第1電動弁を開放して第1吐出口12Aaから移送水を吐出し、第1移送空間V2Aにあるし渣を第1送出管と母管14(
図1参照)を通して分離機3に移送する。第1移送空間V2Aにあったし渣の移送が完了したら第1電動弁を閉塞して移送水の吐出を停止する(以上、ステップS173)。このステップS173は移送工程の一例に相当する。ステップS173における移送が完了した状態では、第1送出管および第1移送空間V2Aには移送水が残留している。次に、第1排水弁を開放し、第1送出管の第1逆止弁よりも移送装置本体11側の管内にある移送水および第1移送空間V2Aにある移送水を排水し、排水が完了したら第1排水弁を閉塞する(以上、ステップS174)。このステップS174は、排水工程の一例に相当する。以上でを第1移送処理が完了する。
【0056】
第21移送処理では、内筒流通口1022aと第2下側開口1021bBの位置が一致するまで内筒1022を回転させ、貯留空間V1と第2移送空間V2Bが連続した第2流通状態にすることで受入部111が受け入れたし渣を第2移送空間V2Bに流入させる(ステップS151)。このステップS151は、流入工程の一例に相当する。なお、この内筒1022の回転は、回転中に内筒流通口1022aの位置と第1下側開口1021bAの位置が一致することが無いように、
図9における時計周りで実行される。し渣が第2移送空間V2Bに流入したら、内筒流通口1022aが上端になるまで内筒1022を回転させ、受入部111と第2移送空間V2Bが遮断された遮断状態にする(ステップS152)。このステップS152は、遮断工程の一例に相当する。なお、この内筒1022の回転は、回転中に内筒流通口1022aの位置と第1下側開口1021bAの位置が一致することが無いように、
図9における反時計周りで実行される。次に、第2分岐供給管12Bに設けられた第2電動弁を開放して第2吐出口12Baから移送水を吐出し、第2移送空間V2Bにあるし渣を第2送出管と母管14(
図1参照)を通して分離機3に移送する。第2移送空間V2Bにあったし渣の移送が完了したら第2電動弁を閉塞して移送水の吐出を停止する(以上、ステップS153)。このステップS153は移送工程の一例に相当する。ステップS153における移送が完了した状態では、第2送出管および第2移送空間V2Bには移送水が残留している。次に、第2排水弁を開放し、第2送出管の第2逆止弁よりも移送装置本体11側の管内にある移送水および第2移送空間V2Bにある移送水を排水し、排水が完了したら第2排水弁を閉塞する(以上、ステップS154)。このステップS154は、排水工程の一例に相当する。以上でを第2移送処理が完了する。
【0057】
この第3実施形態の流体移送装置1によれば、先の実施形態と同様の効果に加え、第1移送空間形成部材112Aと第2移送空間形成部材112Bで時間をずらして移送処理が実行されるので、し渣の移送量を増加させることができる。これにより、移送装置本体11により多くのし渣を受け入れることができるといった効果も奏する。
【0058】
次に、第4実施形態の流体移送装置1について説明する。
図11は、第4実施形態の移送装置本体を、沈砂池における汚水の流れの下流側から上流側に向かって見た図である。
【0059】
図11に示す流体移送装置1は、
図1に示す2つの沈砂池93,93に設置された除塵機935からし渣受け入れ、共通の移送空間V2に流入させて移送するものである。
図11に示すように、流体移送装置1は、2つの受入部111,111と、移送空間形成部材112と、移送水供給管12と、送出管13と、排水管132とを備えている。受入部111は、除塵機935から投入されるし渣を受け入れる部分である。2つの受入部111,111は同一の構成をしているので、以下の説明では2つの受入部111,111を区別しないで説明することがある。本実施形態の受入部111は、受部101と、貯留管103と、切換電動弁104と、洗浄管105とを備えている。受入部111は、除塵機935(
図1参照)から投入されるし渣を受け入れる部分である。受部101は、上方に向かうにつれて
図11における紙面に直交する方向に拡がった角型の漏斗状をしている。貯留管103は、洗浄管105の先端部分が固定された貯留側板1031を有する有底の筒状をしている。この貯留管103の内部が貯留空間V1になる。除塵機935から投入されたし渣は、受部101を通って貯留空間V1に一時的に貯留される。貯留管103の、貯留側板1031とは反対側の端部には、切換電動弁104が配置されている。切換電動弁104は、移送空間形成部材112によって形成された移送空間V2と受入部111とが接続した接続状態と、受入部111と移送空間V2が遮断された遮断状態とを切り換えるものである。切換電動弁104を開放することで接続状態になり、切換電動弁104を閉塞することで遮断状態になる。この切換電動弁104は、切換手段の一例に相当する。洗浄管105は、貯留空間V1に洗浄水を供給するものである。洗浄管105には洗浄水供給弁1051が設けられている。この洗浄水供給弁1051は電動で開閉する弁で構成されている。洗浄水供給弁1051を開放することで、貯留空間V1に洗浄水が供給され、洗浄水供給弁1051を閉塞することで洗浄水の供給が停止する。
【0060】
移送空間形成部材112は、一端に移送水供給管12が接続され、他端に排水管132が接続された筒状のものである。移送空間形成部材112は、空間形成部材本管1120と、第1分岐管1123と、第1接続管1124と、第2分岐管1125と、第2接続管1126と、第3分岐管1127とを備えている。移送空間形成部材112によって移送空間V2が画定されている。この移送空間V2には、貯留空間V1に貯留されたし渣が洗浄水とともに流入してくる。移送空間V2は、貯留空間V1の容積以上の容積を有する空間である。空間形成部材本管1120は、水平方向に延在する管である。第1分岐管1123は、空間形成部材本管1120の、
図11における左側端に取り付けられているY字状の管である。第1接続管1124は、第1分岐管1123の分岐部から
図11における左側の受入部111の切換電動弁104まで延在している。この第1接続管1124は、切換電動弁104の直前で45度エルボ形状を有する管である。第2分岐管1125は、空間形成部材本管1120の、
図11における右側端に取り付けられているY字状の管である。第2接続管1126は、第2分岐管1125の分岐部から
図11における右側の受入部111の切換電動弁104まで延在している。この第2接続管1126は、切換電動弁104の直前で45度エルボ形状を有する管である。第3分岐管1127は、第2接続管1126と送出管13と排水管132に連なったY字状の管である。
【0061】
移送水供給管12は、移送空間形成部材112に移送水を供給するものである。移送水供給管12には、電動弁121が設けられている。この電動弁121を開放することで、移送空間形成部材112に移送水が供給される。
図11では移送水の流れ方向が右向きの矢印で示されている。遮断状態において、移送水供給管12から移送水を吐出することで、移送空間V2にあるし渣および洗浄水が、送出管13内に送り出される。
【0062】
送出管13は、移送空間形成部材112から移送水や洗浄水とともに送り出されたし渣を移送する管である。
図11に示すように、送出管13は、移送空間形成部材112の第3分岐管1127から上方に向かって延在しており、その先端は分離機3(
図2参照)内に挿入されている。送出管13内を通過したし渣、洗浄水および移送水は、分離機3に移送される。送出管13は、し渣が詰まってしまわないように、方向が変化する部分には、45度エルボやベント管が用いられている。
【0063】
排水管132は、移送空間V2を空にするためのものである。排水管132に排水弁1321が設けられている。排水弁1321を開放することで、移送空間V2や送出管13内に残っている移送水が排水される。
【0064】
次に、この第4実施形態の流体移送装置1における移送動作について説明する。
図12は、
図11に示した流体移送装置の動作を示すフローチャートである。
【0065】
図12に示すように、移送動作が開始されると、まず初期動作を実施する(ステップS21)。初期動作では、切換電動弁104と、洗浄水供給弁1051と、電動弁121を閉塞する。さらに、排水弁1321を一旦開放して、移送空間V2や送出管13内にある移送水を排水してから排水弁1321を閉塞する。この初期動作における排水動作は、排水工程の一例に相当する。なお、前回の移送動作の最後に移送空間V2の排水が実施されていれば、初期動作における排水動作は省略してもよい。切換電動弁104を閉塞することで、流体移送装置1は遮断状態になる。遮断状態では、受入部111が受け入れたし渣は、貯留空間V1に貯留される。2つの2つの受入部111,111のうち、どちらかの受入部111の検出装置1011が貯留空間V1のし渣の量が所定量以上になったことを検出したら(ステップS22でYES)、し渣を移送中または移送水を排水中であるか否かが判断される(ステップS23)。し渣を移送中または移送水を排水中であるか否かは、電動弁121または排水弁1321が開放中であるか否かで判断することができる。し渣を移送中または移送水を排水中でなければ(ステップS23でNO)、切換電動弁104を開放して受入部111と移送空間V2が接続した流通状態にする(ステップS24)。そして、洗浄水供給弁1051を開放して貯留管103内に洗浄水を供給し、貯留空間V1に貯留されたし渣を洗浄水で流して移送空間V2に流入させる(ステップS25)。これらステップS24とステップS25は、流入工程の一例に相当する。
【0066】
し渣が移送空間V2に流入したら、切換電動弁104を閉塞して移送空間V2が受入部111と遮断された遮断状態にする(ステップS26)。このステップS26は、遮断工程の一例に相当する。次に、2つの2つの受入部111,111に設けられた切換電動弁104が両方閉塞していることを確認し、閉塞されていれば(ステップS27でYES)、電動弁121を開放して吐出口12aから移送水を吐出し、移送空間V2にあるし渣を送出管13を通して分離機3に移送する。移送空間V2にあったし渣の移送が完了したら電動弁121を閉塞して移送水の吐出を停止する(以上、ステップS28)。このステップS28は移送工程の一例に相当する。ステップS28における移送が完了した状態では、送出管13内および移送空間V2には移送水が残留している。次いで、排水弁1321を開放して送出管13内および移送空間V2に残っている移送水を排水管132から排水し、排水が完了したら排水弁1321を閉塞する(以上、ステップS29)。このステップS29は、排水工程の一例に相当する。その後、除塵機935(
図1参照)が停止していなければ(ステップS30でNO)、ステップS22に戻り、ステップS22~S29の動作を繰り返す。除塵機935が停止していたら(ステップS30でYES)、移送動作を終了する。
【0067】
この第4実施形態の流体移送装置1およびポンプ場9によれば、先の実施形態と同様の効果に加え、2つの除塵機935に対して流体移送装置1が1つですむといった効果も奏する。
【0068】
次に、
図11に示した第4実施形態の流体移送装置1の変形例について説明する。この変形例の説明では、主に第4実施形態との違いについて説明し、これまで説明した構成要素の名称と同じ構成要素の名称には、これまで用いた符号と同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
【0069】
【0070】
図13に示す流体移送装置1は、第2分岐管1125と、第2接続管1126とが設けられておらず、2つの受入部111,111の両方が第1接続管1124に接続されている点が
図11に示した流体移送装置1とは異なる。
図13に示すように、移送空間形成部材112は、空間形成部材本管1120と、第1分岐管1123と、第1接続管1124と、第3分岐管1127とを備えている。第1接続管1124には、Y字状をした第4分岐管1128が設けられている。第4分岐管1128の3つの先端部それぞれには45度エルボが取り付けられている。第1接続管1124は、第4分岐管1128を中心にして、第1分岐管1123と、2つの受入部111,111それぞれの切換電動弁104と連なっている。
【0071】
この変形例の流体移送装置1によれば、第4実施形態と同様の効果に加え、第2分岐管1125と、第2接続管1126を省略することで、流体移送装置を安価にすることができるといった効果も奏する。
【0072】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、本実施形態では、2つの沈砂池93,93を有するポンプ場9において流体移送装置1が用いられる例で説明したが、流体移送装置1は、沈砂池93を1つのみ有するポンプ場9に用いてもよく、3つ以上の沈砂池93を有するポンプ場9に用いてもよい。なお、沈砂池93を1つのみ有するポンプ場9に流体移送装置1を用いる場合、母管14を省略して送出管13を分離機3まで延在させ、逆止弁1321は省略することが好ましい。また、本実施形態では、除塵機935から投入されるし渣を受入部111が直接受け入れていたが、除塵機935と受入部111の間に破砕機を設け、破砕されたし渣が受入部111に投入されるように構成してもよい。さらに、排水管132は、し渣が流入する位置よりも、移送方向における上流側に配置してもよい。こうすることで、排水管132によってし渣の移送が妨げられることを防止できるといった効果を奏する。加えて、
図1に示した各流体移送装置1において、逆止弁131を省略し、各流体移送装置1に設けられた吐出口12aのうち、一つの吐出口12aが移送水を吐出しているときには、他の流体移送装置1に設けられた排水弁1321を閉塞するように制御してもよい。
【0073】
以上説明した実施形態や変形例によれば、し渣の比重に関わらず移送することができる。
【0074】
なお、以上説明した各実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 流体移送装置
12 移送水供給管(移送手段)
104 切換電動弁(切換手段)
111 受入部
112 移送空間形成部材
132 排水管(排水手段)
1022 内筒(切換手段)
V2 移送空間