(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
F24H9/02 301D
(21)【出願番号】P 2020164793
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 麻望子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 翔平
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 嘉久
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-089912(JP,A)
【文献】特開2011-208853(JP,A)
【文献】特開2017-009138(JP,A)
【文献】実開昭59-116756(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2021/0071908(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
F23L 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを通すケースを備えるとともに前記ケースの前側壁部に前記排気ガスを排出するための開口部が形成された熱交換器と、
前記前側壁部に固定されるとともに前記熱交換器の前側の排気路を構成する排気トップと、
を備えた給湯器であって、
前記排気トップは、前記前側壁部に固定される後板部と、前記後板部に対して前側から重なる前板部と、を有し、
前記後板部には、前記ケース内から前記開口部を介して排出される前記排気ガスを導入する導入口が形成され、
前記前板部には、前記導入口の前側において前方側に張り出す構成をなす張出部が形成され、
前記張出部には、排気口が形成され、
前記張出部において前記排気口の周囲には、平面部が設けられ、
前記平面部には、排気アダプタの固定に用いる締結部材を挿入するための1以上の孔部が形成され、
前記排気口の開口領域の少なくとも一部と前記導入口の開口領域の少なくとも一部とが前後に重なり、
前記平面部の少なくとも一部が、前記導入口よりも上位置に設けられ、少なくともいずれかの前記孔部が、前記導入口よりも上位置に配置され
、
前記排気口の開口領域における上下方向の範囲の中心位置は、前記導入口の開口領域における上下方向の範囲の中心位置よりも上方にある
給湯器。
【請求項2】
前記排気口における左右方向一方側の端部は、前記導入口における前記左右方向一方側の端部よりも前記左右方向の他方側に配置され、前記排気口における左右方向他方側の端部は、前記導入口における前記左右方向他方側の端部よりも前記左右方向の一方側に配置され、
前記排気口の上端部は、前記導入口の上端部よりも上位置に配置され、前記排気口の下端部は、前記導入口の下端部よりも下位置に配置される
請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記後板部は、前記導入口が形成された板部と、前記板部における前記導入口の上縁部から前方に折れ曲がる折れ曲がり部と、を有し、
前記折れ曲がり部は、前記排気口の開口領域と前後に重なる位置に設けられている
請求項1又は請求項2に記載の給湯器。
【請求項4】
前記折れ曲がり部は、前記開口部の前側において前記開口部の上縁部に沿って設けられる
請求項3に記載の給湯器。
【請求項5】
前記折れ曲がり部は、前記導入口の前記上縁部から前側に延びる板片を有する
請求項3又は請求項4に記載の給湯器。
【請求項6】
前記後板部は、前記導入口における前記折れ曲がり部から左右方向にずれた位置に、前記導入口の前記上縁部の位置を前記折れ曲がり部の位置よりも上位置とした開口領域拡大部が設けられている
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の給湯器。
【請求項7】
前記開口領域拡大部は、前記排気口の左右方向一方側の端部よりも左右方向一方側にずれた位置又は前記排気口の左右方向他方側の端部よりも左右方向他方側にずれた位置に少なくとも設けられる
請求項6に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給湯動作が可能な燃焼装置に取り付けられる排気アダプタが開示されている。特許文献1に開示される排気アダプタは、燃焼装置の燃焼ガス排出部に接続されるものである。燃焼ガス排出部は排気口を含む。排気口は第1および第2の領域を含む。第1の領域は扇形の形状を有する。排気アダプタは本体部と爪部とを備えている。本体部は排気流路部を有する。爪部は、本体部から突出し、排気口に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される技術を含め、給湯器では、給湯器本体から前方側に排気アダプタを突出させた構成のものが知られている。この種の給湯器では、給湯器本体に排気アダプタを固定する構造としては、給湯器の本体部に設けられた排気口と排気アダプタに設けられた導入口を連通させた位置関係とし、側方からねじを挿入して両部品を固定するといった構造が考えられる。しかし、この固定構造は、側方からねじを操作する作業をできるだけ省略したい場合に不利である。
【0005】
一方、特許文献1では、本体部の前面側に排気口及び平面部が設けられた構成のものにおいて、排気口の周りの平面部を設け、この平面部を排気アダプタに対する取付部とする接続方式が採用されている。しかし、単に排気アダプタを平面に接続するだけでは、実際の使用の際に問題が生じる懸念がある。
【0006】
ところで、給湯器の本体部では、熱交換器の開口部(排出口)をあまり上位置に配置しにくい場合がある。例えば、潜熱回収型の熱交換器の場合、熱交換器内で生じるドレンを底壁によって前側に流すために前下がり構造を採用する場合があり、この場合、熱交換器の構造上、開口部(排出口)をそれほど上位置に配置することは難しい。また、この例に限らず、開口部(排出口)を上位置に設けにくい他の事情もありうる。
【0007】
一方で、給湯器において排気アダプタを設ける場合、排気アダプタをできるだけ上位置に設けることが望まれることが多い。例えば、排気アダプタから排出される排気ガスをできるだけ通行エリアに及びにくくするために、排気アダプタをできるだけ上位置に設けることが望まれる場合がある。或いは、設置スペースの制約などから排気アダプタをできるだけ上位置に設けることが望まれる場合もありうる。
【0008】
しかしながら、このように排気アダプタをできるだけ上位置に設置することが望まれ、熱交換器の開口部を下位置に設けざるを得ない事情があったとしても、従来の給湯器では、このような事情を考慮した工夫がなされておらず、作業性を極力低下させずに円滑な排気を実現し得る構造は採用されていなかった。
【0009】
そこで、本開示では、上述した課題の少なくとも1つを解決するために、排気アダプタをできるだけ上位置に配置しやすい給湯器を、作業性の向上及び円滑な排気を両立しつつ実現することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一つである給湯器は、
排気ガスを通すケースを備えるとともに前記ケースの前側壁部に前記排気ガスを排出するための開口部が形成された熱交換器と、
前記前側壁部に固定されるとともに前記熱交換器の前側の排気路を構成する排気トップと、
を備えた給湯器であって、
前記排気トップは、前記前側壁部に固定される後板部と、前記後板部に対して前側から重なる前板部と、を有し、
前記後板部には、前記ケース内から前記開口部を介して排出される前記排気ガスを導入する導入口が形成され、
前記前板部には、前記導入口の前側において前方側に張り出す構成をなす張出部が形成され、
前記張出部には、排気口が形成され、
前記張出部において前記排気口の周囲には、平面部が設けられ、
前記平面部には、排気アダプタの固定に用いる締結部材を挿入するための1以上の孔部が形成され、
前記排気口の開口領域の少なくとも一部と前記導入口の開口領域の少なくとも一部とが前後に重なり、
前記平面部の少なくとも一部が、前記導入口よりも上位置に設けられ、少なくともいずれかの前記孔部が、前記導入口よりも上位置に配置される。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一つである給湯器は、排気口の確保と作業性の向上を両立しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態の給湯装置を概略的に例示する斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の給湯装置の構成を例示する説明図である。
【
図3】
図3は、
図1の給湯装置について、一部を省略した分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の給湯装置の斜視図の一部を拡大して示す拡大図である。
【
図5】
図5は、
図1の給湯装置の正面図の一部を拡大して示す拡大図である。
【
図6】
図6は、
図1の給湯装置を左右方向中心位置で左右方向と直交する方向に切断した切断面を、一部の部品を省略して示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図1の給湯装置のうち、主に、筐体本体部と熱交換器とを示す斜視図である。
【
図10】
図10は、
図1の給湯装置のうち、主に、筐体本体部と熱交換器とを示す正面図である。
【
図11】
図11は、
図1の給湯装置のうち、主に、筐体本体部と熱交換器と後板部とを示す斜視図である。
【
図12】
図12は、
図1の給湯装置のうち、主に、筐体本体部と熱交換器と後板部とを示す正面図である。
【
図13】
図13は、
図1の給湯装置のうち、主に、筐体本体部と熱交換器と排気トップとを示す斜視図である。
【
図14】
図14は、
図1の給湯装置のうち、主に、筐体本体部と熱交換器と排気トップとを示す正面図である。
【
図15】
図15は、
図1の給湯装置において中継管及び排気アダプタを取り外した構成を示す斜視図について、一部を拡大して示す図である。
【
図16】
図16は、
図1の給湯装置において中継管及び排気アダプタを取り外した構成を示す正面図について、一部を拡大して示す図である。
【
図17】
図17は、
図1の給湯装置において排気アダプタを取り外した構成を示す斜視図について、一部を拡大して示す図である。
【
図18】
図18は、
図1の給湯装置において排気アダプタを取り外した構成を示す正面図について、一部を拡大して示す図である。
【
図19】
図19は、
図1の給湯装置において排気アダプタのカバーを取り外した構成を示す斜視図について、一部を拡大して示す図である。
【
図20】
図20は、
図1の給湯装置において排気アダプタのカバーを取り外した構成を示す正面図について、一部を拡大して示す図である。
【
図21】
図21は、給湯装置に取り付けられる中継管を例示する斜視図である。
【
図22】
図22は、
図21の中継管の正面図について、一方のフランジ部材を省略して示す図である。
【
図23】
図23は、
図21の中継管の背面図について、他方のフランジ部材を省略して示す図である。
【
図24】
図24は、第1実施形態の給湯装置について、中継管が設けられない態様を概略的に例示する斜視図である。
【
図25】
図25は、
図24の給湯装置を左右方向中心位置で左右方向と直交する方向に切断した切断面を、一部の部品を省略して示す断面図である。
【
図27】
図27は、
図24の給湯装置において排気アダプタのカバーを取り外した構成を示す正面図について、一部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。
【0014】
〔1〕排気ガスを通すケースを備えるとともに前記ケースの前側壁部に前記排気ガスを排出するための開口部が形成された熱交換器と、
前記前側壁部に固定されるとともに前記熱交換器の前側の排気路を構成する排気トップと、
を備えた給湯器であって、
前記排気トップは、前記前側壁部に固定される後板部と、前記後板部に対して前側から重なる前板部と、を有し、
前記後板部には、前記ケース内から前記開口部を介して排出される前記排気ガスを導入する導入口が形成され、
前記前板部には、前記導入口の前側において前方側に張り出す構成をなす張出部が形成され、
前記張出部には、排気口が形成され、
前記張出部において前記排気口の周囲には、平面部が設けられ、
前記平面部には、排気アダプタの固定に用いる締結部材を挿入するための1以上の孔部が形成され、
前記排気口の開口領域の少なくとも一部と前記導入口の開口領域の少なくとも一部とが前後に重なり、
前記平面部の少なくとも一部が、前記導入口よりも上位置に設けられ、少なくともいずれかの前記孔部が、前記導入口よりも上位置に配置される
給湯器。
【0015】
上記の〔1〕の給湯器は、平面部及び孔部の位置が導入口よりも上位置に配置されるため、排気アダプタを導入口に対してより上位置に固定しやすい。しかも、上記の給湯器は、平面部の孔部に対して排気アダプタの固定に用いる締結部材を直接的に挿入し、排気アダプタを固定することができるため、付属品の追加を抑えることができ、部品点数の増加や重量の増加を低減することができる。一方で、排気口の開口領域の少なくとも一部と導入口の開口領域の少なくとも一部とが前後に重なるため、平面部を上位置に設けたとしても排気を円滑に行うことができる。よって、上記給湯器は、排気アダプタをできるだけ上位置に配置しやすい給湯器を、作業性の向上及び円滑な排気を両立しつつ実現することができる。
【0016】
〔2〕上記の〔1〕に記載の給湯器において、以下の特徴を有する。上記排気口における左右方向一方側の端部は、上記導入口における上記左右方向一方側の端部よりも上記左右方向の他方側に配置される。上記排気口における左右方向他方側の端部は、上記導入口における上記左右方向他方側の端部よりも上記左右方向の一方側に配置される。上記排気口の上端部は、上記導入口の上端部よりも上位置に配置され、上記排気口の下端部は、上記導入口の下端部よりも下位置に配置される。
【0017】
上記の〔2〕の給湯器は、排気口の左右方向のサイズを小さく抑え、排気口が左右方向に拡がりすぎない構成とすることができる。更に、この給湯器は、排気口の上下方向の大きさを確保するこで、開口領域が狭くなりすぎることを抑えることができる。
【0018】
〔3〕上記の〔1〕又は〔2〕に記載の給湯器において、以下の特徴を有する。上記後板部は、上記導入口が形成された板部と、上記板部における上記導入口の上縁部から前方に折れ曲がる折れ曲がり部と、を有する。上記折れ曲がり部は、上記排気口の開口領域と前後に重なる位置に設けられている。
【0019】
上記の〔3〕の給湯器は、導入口の上縁部から前方に折れ曲がる折れ曲がり部が設けられるため、折れ曲がり部付近において排気ガスの流れの規制を図ることができ、音鳴りの発生を抑えることができる。
【0020】
〔4〕上記の〔3〕に記載の給湯器において、以下の特徴を有する。上記折れ曲がり部は、上記開口部の前側において上記開口部の上縁部に沿って設けられる。
【0021】
上記の〔4〕の給湯器は、折れ曲がり部が開口部の上縁部に沿って設けられるため、排気ガスが開口部から折れ曲がり部付近に流れる過程で、より円滑に流れやすい。
【0022】
〔5〕上記の〔3〕又は〔4〕に記載の給湯器。において、以下の特徴を有する。上記折れ曲がり部は、上記導入口の上記上縁部から前側に延びる板片を有する。
【0023】
上記の〔5〕の給湯器は、折れ曲がり部を構成する板片が導入口の上縁部から前側に延びるため、排気ガスが板片に沿って円滑に流れやすく、導入口の前方側で不規則な流れが生じること(例えば、急激に渦流が発生すること等)を抑えることができる。
【0024】
〔6〕上記の〔3〕から〔5〕のいずれか一つに記載の給湯器において、以下の特徴を有する。上記後板部は、上記導入口における上記折れ曲がり部から左右方向にずれた位置に、上記導入口の上記上縁部の位置を上記折れ曲がり部の位置よりも上位置とした開口領域拡大部が設けられている。
【0025】
上記の〔6〕の給湯器は、折れ曲がり部の付近では、音鳴りの発生を抑制することを重視することができ、折れ曲がり部の両側では、開口領域を拡大することで排気ガスをより流れやすくすることを重視することができる。
【0026】
〔7〕上記の〔6〕に記載の給湯器において、以下の特徴を有する。上記開口領域拡大部は、上記排気口の左右方向一方側の端部よりも左右方向一方側にずれた位置又は上記排気口の左右方向他方側の端部よりも左右方向他方側にずれた位置に少なくとも設けられる。
【0027】
上記の〔7〕の給湯器は、排気口の開口領域と前後に重なる位置には、折れ曲がり部が設けられるため、流速が早くなりやすい位置では、折れ曲がり部によって音鳴りを抑えることができる。一方、上記給湯器は、排気口から左右方向にずれた位置に開口領域拡大部が設けられるため、左右方向にずれた開口領域拡大部の位置では、流速が抑えられやすく、音鳴りが生じにくくなる。つまり、排気口から左右方向にずれた位置では、速すぎる流れを抑えて音鳴りを抑制しつつ、開口領域の拡大により、より流れやすくすることができる。
【0028】
<第1実施形態>
以下の説明は、第1実施形態に関する。
(給湯装置の概要)
図1に示される給湯装置(給湯器)1は、外部から供給された水道水を加熱して出湯させる機能を有する。
図2に示されるように、給湯器1は、ガスバーナ2、入水管4、出湯管6、熱交換器8、連結管15などを備える。熱交換器8は、一次熱交換器9及び二次熱交換器10を備える。熱交換器8は、一次熱交換器9によって燃焼排気の顕熱を回収した後、二次熱交換器10によって潜熱を回収するように機能する。一次熱交換器9は、箱状に構成されたケース(図示省略)の内部に、給湯側伝熱管部11の一部を構成する伝熱管部13と風呂側伝熱管部111の一部を構成する伝熱管部113とが仕切壁で仕切られた形態で収容される構成をなす。二次熱交換器10は、箱状に構成されたケース10A(
図3等)の内部に、給湯側伝熱管部11の一部を構成する伝熱管部12と風呂側伝熱管部111の一部を構成する伝熱管部113とが仕切壁で仕切られた形態で収容される構成をなす。
【0029】
ガスバーナ2は、燃焼ガスを燃焼させて燃焼排気を発生させる。入水管4は、入水口16からの水が流れ込む経路として構成される。出湯管6は、出湯口18へ湯を送り出す経路として構成される。熱交換器8において給湯側伝熱管部11は、入水管4と出湯管6との間に介在する。熱交換器8は、給湯側の回路で熱交換を行う場合、給湯側伝熱管部11の内部を通る水に対してガスバーナ2での燃焼によって生じた熱を伝える。給湯側伝熱管部11のうちの伝熱管部12は、二次熱交換器10に設けられ、入水管4の下流側に伝熱管部12が接続される。伝熱管部12の下流側には、連結管15が接続される。給湯側伝熱管部11のうちの伝熱管部13は、一次熱交換器9に設けられ、連結管15の下流側に伝熱管部13が接続される。伝熱管部13の下流側には、出湯管6が接続される。
【0030】
給湯器1は、ガスバーナ102、配管104、106、連結管115などを備え、熱交換器8を利用して風呂の追い炊き等を行う機能を有する。熱交換器8において風呂側伝熱管部111は、配管104と配管106との間に介在する。風呂側伝熱管部111のうちの伝熱管部112は、二次熱交換器10に設けられ、配管104の下流側に伝熱管部112が接続される。伝熱管部112の下流側には、連結管115が接続される。風呂側伝熱管部111のうちの伝熱管部113は、一次熱交換器9に設けられ、連結管115の下流側に伝熱管部113が接続される。伝熱管部113の下流側には、配管106が接続される。
【0031】
給湯器1は、ドレン配管22及び中和器24を備える。更に、給湯器1は、制御装置としてのコントローラ28を備える。
【0032】
(前面パネル付近の詳細構成)
図1に示されるように、給湯器1は、本体部1Aと排気アダプタ130とを有する。給湯器1は、本体部1Aに対して、外側から排気アダプタ130が取り付けられる構成をなす。本体部1Aは、給湯器1のうち、排気アダプタ130を除いた部分である。
図1の例では、給湯器1から排気アダプタ130及び中継管120を除いた部分が本体部1Aである。
図19の例では、給湯器1から排気アダプタ130を除いた部分が本体部1Aである。本体部1Aは、筐体30と、筐体30に収容される様々な部品を有する。筐体30に収容される部品は、
図2に示される様々な部品であり、例えば、熱交換器8、ガスバーナ2,102、コントローラ28などの部品である。
【0033】
図3に示されるように、筐体30は、筐体本体32及び前面パネル33を備える。筐体本体32は、前端が開放された箱状のケース体である。筐体本体32は、例えば金属材料によって構成される。筐体本体32の内部は、上述の様々な部品を収容する収容空間として構成される。筐体本体32は、上板34、側板35,36、背板37、底板38を備える。上板34は、筐体30の上面部を構成する上壁部である。底板38は、筐体30の底面部を構成する下壁部である。側板35,36は、筐体30の左右の一対の側壁部である。背板37は、筐体30の背面部を構成する後壁部である。上板34と底板38は、上記収容空間の上下方向両側に設けられる。一対の側板35,36は、上記収容空間の左右方向両側に設けられる。背板37は、上記収容空間の後方側に設けられる。
図3には、筐体本体32内に収容される構成部品の一例として、二次熱交換器10が例示される。なお、以下の説明では、二次熱交換器10は、単に熱交換器10とも称される。
【0034】
前面パネル33は、筐体30の前面部を構成する前壁部であり、板状体である。前面パネル33は、例えば金属材料によって構成される。前面パネル33の一方側の表面部は、本体部1Aの前面部を構成する。前面パネル33は、筐体本体32の前端に設けられた開口端部32Aを閉塞するように筐体本体32に組み付けられる。前面パネル33は、例えば、ねじやボルトなどの連結部材によって筐体本体32に固定される。前面パネル33は、周縁にフランジが形成された四角板状に構成されている。前面パネル33には、貫通孔部33Aが形成されている。貫通孔部33Aは、前面パネル33を構成する板状体(例えば金属板)において、前後方向に貫通した略円形の孔部として構成される。貫通孔部33Aには、後述される張出部62が挿入される。
【0035】
本実施形態では、上板34と底板38とが対向する方向が給湯器1の上下方向である。上記上下方向は、例えば、鉛直上下方向に沿った方向である。上記上下方向は、一対の側板35,36のそれぞれが延びる方向でもある。上記上下方向と直交する方向であって、一対の側板35,36が対向する方向が給湯器1の左右方向である。上記左右方向は、上板34及び底板38が延びる方向である。上下方向及び左右方向と直交する方向であって前面パネル33と背板37とが対向する方向が給湯器1の前後方向である。
【0036】
図3、
図6に示されるように、筐体30に収容される熱交換器10は、排気ガスを通すケース10Aと、伝熱管部11とを備える。熱交換器10は、排気ガスがケース10Aの内部を通る構成をなす。
図6、
図9、
図10のように、ケース10Aは、箱状の構成をなす。ケース10Aは、前側壁部10Bと後側壁部10Cとが前後に対向した構成をなし、一対の側壁部10F,10Gが左右に対向した構成をなす。更に、ケース10Aは、蓋部10Dを備え、蓋部10Dと底壁部10Eとが上下に対向した構成をなす。ケース10Aは、前側壁部10B、後側壁部10C、一対の側壁部10F,10Gが収容空間の周囲の周壁部を構成する形態で底壁部10Eから立ち上がるように連結され、上端部が開口した箱状の構成をなし、この上端部の開口を塞ぐ構成で蓋部10Dが配置される。ケース10Aの内部には、伝熱管部11が収容される。ケース10Aは、伝熱管部11を収容する収容空間の前後両側、左右両側、上下両側を囲む箱状の構成をなし、この収容空間内を排気ガスが通過する構成をなす。ケース10Aの後側壁部10Cには、ケース10A内に排気ガスを導くための開口部10Jが形成されている。ケース10Aの前側壁部10Bには、ケース10A内を通った排気ガスを排出するための開口部10Hが形成されている。即ち、排気ガスは、開口部10Jを介してケース10A内に導入され、ケース10A内を通過して前方側の開口部10Hに向かって流れる構成をなす。
図3のように、ケース10Aは、左右方向に長い箱状の形態をなし、開口部10Hは、左右方向に沿った細長の孔部として形成されている。
【0037】
図3、
図7、
図8に示されるように、排気トップ40は、熱交換器10の前側壁部10Bに固定される。排気トップ40は、熱交換器10の前側の排気路を構成する。排気トップ40は、前側壁部10Bに固定される後板部42と、後板部42に対して前側から重なる前板部60と、を有する。排気トップ40は、後述の張出部62を有し、開口部10Hから排出される排気ガスを導入させて張出部62に形成された排気口66に導く構成をなす。
【0038】
図3に示されるように、後板部42は、板状に構成されている。後板部42は、
図9、
図10のように配置される熱交換器10の前側壁部10Bに対して、
図11、
図12のように固定される。前側壁部10Bに対して後板部42を固定する方法は、例えば、ねじ、ボルト等の締結部材によって両部材を固定する方法が採用される。なお、
図11、
図12では、締結部材の図示は省略されている。前側壁部10Bと後板部42との間には、排気ガスの漏洩防止を一層確実にするために、図示されないパッキンが、前側壁部10Bと後板部42とに挟まれる構成で開口部10Hの周囲に設けられていてもよい。
【0039】
後板部42には、ケース10A内から開口部10Hを介して排出される排気ガスを導入する導入口42Aが形成されている。後板部42は、導入口42Aが形成された板部44と、板部44における導入口42Aの上縁部から前方に折れ曲がる折れ曲がり部46と、を有する。
図11~
図13の例では、導入口42Aが左右方向に細長に延びており、折れ曲がり部46も左右方向に延びている。板部44と折れ曲がり部46との境界部である折れ曲がり部46の基端部(根元部)は、導入口42Aの上縁部の少なくとも一部を構成する。
【0040】
図14のように、折れ曲がり部46は、排気口66の開口領域と前後に重なる位置に設けられている。
図14のように正面視したときに、排気口66の内縁よりも内側に折れ曲がり部46の少なくとも一部(
図14の例では全部)が位置する。
図11~
図13のように、折れ曲がり部46は、開口部10Hの前側において開口部10Hの上縁部10Zに沿って設けられる。上縁部10Zは、左右方向に沿って直線状に延びる内縁部として構成される。折れ曲がり部46は、導入口42Aの上縁部から前側に延びる板片46Aを有する。板片46Aは、板部44における所定部位(板片46Aが連結される部位)に対して直角に折れ曲がり、前後方向に沿って前側に突出する。板片46Aの厚さ方向は、上下方向に沿った方向であり、例えば、板片46Aの厚さ方向が上下方向に一致している。折れ曲がり部46は、音鳴りの抑制に寄与する部分である。
【0041】
図11、
図12、
図14のように、後板部42は、導入口42Aにおける折れ曲がり部46から左右方向にずれた位置に、導入口42Aの上縁部の位置を折れ曲がり部46の位置よりも上位置とした開口領域拡大部48A,48Bが設けられている。開口領域拡大部48A,48Bは、排気口66の左右方向一方側の端部よりも左右方向一方側にずれた位置又は排気口66の左右方向他方側の端部よりも左右方向他方側にずれた位置に少なくとも設けられる。
図12、
図14において、領域AR1は、折れ曲がり部46の左右方向の範囲である。領域AR2は、開口領域拡大部48Aの左右方向の範囲である。領域AR3は、開口領域拡大部48Bの左右方向の範囲である。領域ARは、導入口42Aの左右方向の範囲である。領域AR4は、排気口66の左右方向の範囲である。領域AR5は、導入口42Aの上下方向の範囲であり、開口領域拡大部48A,48Bの上下方向の範囲でもある。領域AR5は、排気口66の上下方向の範囲である。
【0042】
前板部60は、
図11、
図12のように配置される後板部42に対して、
図13、
図14のように固定される。後板部42に対して前板部60を固定する方法は、例えば、ねじ、ボルト等の締結部材によって両部材を固定する方法やカシメ固定などが採用される。後板部42の周縁部と前板部60の周縁部との間には、排気ガスの漏洩防止を一層確実にするために、図示されないパッキンが後板部42と前板部60とに挟まれる構成で設けられていてもよい。なお、
図13、
図14では、締結部材等の固定用の部品の図示は省略されている。そして、
図13、
図14のように配置される前板部60は、
図15、
図16のように前面パネル33に取り付けられる。
【0043】
前板部60には、板部61と張出部62とが設けられている。板部61は、前後方向を厚さ方向とするように平板状に構成される部分である。板部61は、後板部42の板部44における導入口42Aの周囲の周縁部に対して当該周縁部の表面に板面を密着させる構成で固定される。
図15、
図16のように、板部61は、前面パネル33に覆われるように前面パネル33の後方に配置される。
【0044】
張出部62は、
図15、
図16のように前面パネル33に取り付けられる部分である。張出部62は、板部61の前面よりも前方側に突出する構成で張り出している。張出部62は、
図15、
図16のように、前面パネル33に形成された貫通孔部33Aに挿入されるように前方側に膨出した形態で凸状の構成をなす。張出部62は、導入口42Aの前側において前面パネル33の表面(前面)よりも前方側に張り出す構成をなす(
図8も参照)。張出部62には、排気口66が形成される。張出部62の前面には、平面部64が設けられる。
【0045】
平面部64は、前面が平坦面64Zとして構成される平面状の部位である。平面部64の前面(平坦面64Z)は、所定の第1方向及び第1方向と直交する第2方向に沿った平坦な面である。本実施形態では、第1方向は、上下方向であり、第2方向は左右方向である。即ち、平坦面64Zは、前後方向と直交する平面方向の平坦な面である。
【0046】
図15、
図16のように、平面部64には、排気口66が形成される。排気口66は、円形状の開口部であり、前後方向に貫通する円形状の孔部である。平面部64の表面(前面)における排気口66の縁の形状(排気口66の開口領域の外縁の形状)は、例えば所定位置C1を中心とする所定の直径の円である。平面部64は、張出部62において排気口66の周囲に設けられる。排気口66は、平面部64において第1方向(上下方向)の一方(具体的には、上側)側に偏心して設けられる。
【0047】
図16のように、平面部64には、第1張出部64Aと第2張出部64Bとが設けられる。平面部64は、排気口66よりも上記第1方向一方側(上側)の幅X1よりも、排気口66よりも上記第1方向他方側(下側)の幅X2のほうが大きくなっている。具体的には、排気口66の上端と平面部64の上端との間の上下方向の間隔よりも、排気口66の下端と平面部64の下端との間の上下方向の間隔のほうが大きくなっている。そして、
図16のように、排気口66の中心C1を通り中心C1よりも上側に延びる上下方向の基準線G1を設定し、中心C1を中心として基準線G1を時計回りにα°(但し0<α<90°)回転させた第1仮想直線L1と、中心C1を中心として基準線G1を反時計回りにβ°(但し0<β<90°)回転させた第2仮想直線L2とを設定した場合、第1張出部64Aは、第1仮想直線L1に交わる位置に設けられる。第2張出部64Bは、第2仮想直線L2に交わる位置に設けられる。
【0048】
排気口66の第1方向一方側の端部の周囲の領域(平面部64の上端部の周囲の領域)であって相対的に幅が狭く構成された領域が第1領域の一例に相当する。排気口66の第1方向他方側の端部の周囲の領域(平面部64の下端部の周囲の領域)であって、第1領域よりも相対的に幅が広く構成された領域が第2領域の一例に相当する。平面部64において第2領域に形成された幅広の部分が幅広部64Cである。第1張出部64Aは、平面部64において、排気口66の中心C1よりも第1方向一方側(上側)であって上記第1領域よりも第2方向一方側(
図16において右側)に設けられる。第1張出部64Aは、中心C1よりも半径方向に遠ざかる方向に張り出す。より具体的には、第1張出部64Aの一部における中心C1を中心とする半径方向の幅は、第1領域における上記半径方向の幅よりも大きく、幅広部64Cにおける上記半径方向の幅よりも大きい。第2張出部64Bは、排気口66の中心C1よりも第1方向一方側(上側)であって第1領域よりも第2方向他方側(
図16において左側)に設けられる。第2張出部64Bは、中心C1よりも半径方向に遠ざかる方向に張り出す。より具体的には、第2張出部64Bの一部における上記半径方向の幅は、第1領域における上記半径方向の幅よりも大きく、幅広部64Cにおける上記半径方向の幅よりも大きい。
【0049】
図15、
図16のように、平面部64において排気口66の周囲には、排気アダプタ130の固定に用いる締結部材190(
図19、
図25~
図27)を挿入するための複数の孔部68が形成されている。複数の孔部68のうちの孔部68A,68Bは、平面部64において上記第1領域に形成されている。複数の孔部68のうちの孔部68C,68Dは、平面部64において上記第2領域に形成されている。孔部68A,68B,68C,68Dは、
図24~
図27のように中継管120が用いられずに排気アダプタ130が直接的に平面部64に固定される場合に締結部材190が挿入される孔部である。複数の孔部68のうちの孔部68Eは、第1張出部64Aに形成されている。複数の孔部68のうちの孔部68Fは、第2張出部64Bに形成されている。複数の孔部68のうちの孔部68G,68Hは、幅広部64Cに形成されている。孔部68E,68F,68G,68Hは、
図19のように、中継管120を固定するために用いる締結部材180(ねじ部材)を固定するねじ孔部の一例に相当する。
【0050】
図14のように、平面部64の少なくとも一部は、導入口42Aよりも上位置に設けられ、少なくともいずれかの孔部68(具体的には、孔部68A,68B)が、導入口42Aよりも上位置に配置される。排気口66における左右方向一方側の端部は、導入口42Aにおける左右方向一方側の端部よりも左右方向の他方側に配置される。例えば、
図14のように正面視したときの排気口66の左端部は、導入口42Aにおける左端部よりも右方側に配置される。排気口66における左右方向他方側の端部は、導入口42Aにおける左右方向他方側の端部よりも左右方向の一方側に配置される。例えば、
図16のように正面視したときの排気口66の右端部は、導入口42Aにおける右端部よりも左方側に配置される。排気口66の上端部は、導入口42Aの上端部よりも上位置に配置され、排気口66の下端部は、導入口42Aの下端部よりも下位置に配置される。排気口66の上端部は、折れ曲がり部46よりも上位置に配置され、開口領域拡大部48A,48Bよりも上位置に配置される。排気口66の開口領域の一部は、導入口42Aの開口領域の一部と前後に重なる。
【0051】
平面部64は、
図24~
図27のように、中継管120を介さずに排気アダプタ130を直接的に平面部64に固定する構成と、
図1~
図8等のように、中継管120を平面部64に固定する構造(排気アダプタ130を、中継管120を介して間接的に固定する構造)と、に兼用される。
【0052】
図1~
図8等で示される構成は、排気アダプタ130と平面部64との間に中継管120を介在させて排気アダプタ130を間接的に平面部64に固定する構成である。
図1、
図7、
図8のように、中継管120を介して排気アダプタ130が本体部1Aに固定される場合、平面部64は、
図8のように中継管120のフランジ部材122と前後に重なった状態で、
図4、
図19のようにねじ部材などの締結部材180によってフランジ部材122に固定される構成をなす。
【0053】
中継管120は、
図21~
図23のように構成される。中継管120は、筒部126とフランジ部材122,124とを備える。中継管120は、フランジ部材122側とフランジ部材124側を逆にしても同一の形状をなす。筒部126は、中心軸C2を中心とする円筒である。中心軸C2は、中継管120が給湯器1に取り付けられたときに前後方向となる軸である。フランジ部材122は、筒部126の一端部に固定され、当該一端部からフランジ状に張り出した構成をなす。フランジ部材124は、筒部126の他端部に固定され、当該他端部からフランジ状に張り出した構成をなす。フランジ部材122,124は、筒部126の中心軸C2と直交する平面方向に沿った板状の形態をなす。
【0054】
図22のように、フランジ部材124には、複数の貫通孔125A,125B,125C,125D,125E,125F,125G,125Jが形成されている。複数の貫通孔125A,125B,125C,125D,125E,125F,125G,125Jは、フランジ部材124を厚さ方向(中心軸C2の方向)に貫通している。更に、フランジ部材124には、複数の窪み125K,125L,125M,125Nが形成されている。複数の窪み125K,125L,125M,125Nは、フランジ部材124の外縁部が、中心軸C2側に向かって窪む凹状の形態をなす。
【0055】
図23のように、フランジ部材122には、複数の貫通孔123A,123B,123C,123D,123E,123F,123G,123Jが形成されている。複数の貫通孔123A,123B,123C,123D,123E,123F,123G,123Jは、フランジ部材122を厚さ方向(中心軸C2の方向)に貫通している。更に、フランジ部材122には、複数の窪み123K,123L,123M,123Nが形成されている。複数の窪み123K,123L,123M,123Nは、フランジ部材122の外縁部が、中心軸C2側に向かって窪む凹状の形態をなす。
【0056】
図1、
図17~
図20のように、フランジ部材122が平面部64に固定され、フランジ部材124が排気部140に固定される配置である場合、
図17、
図18のように、フランジ部材122の貫通孔123E,123F、123G、123Hがそれぞれ、孔部68E,68F,68G,68H(
図16)の位置に位置合わせされる。その状態で、
図19のように、各締結部材180が対応する2つの孔部にそれぞれ挿入され、孔部同士が固定される。一方で、フランジ部材124の貫通孔125A,125B、125C、125Dがそれぞれ、被固定部144に形成された孔部144A,144B,144C,144D(
図27参照)の位置に位置合わせされる。その状態で、
図19、
図20のように、各締結部材192が対応する2つの孔部にそれぞれ挿入され、孔部同士が固定される。
【0057】
図26、
図27のように、排気部140が平面部64に固定される配置である場合、被固定部144に形成された孔部145A,145B,145C,145D(
図20参照)がそれぞれ、平面部64に形成された孔部68A,68B,68C,68D(
図16)の位置に位置合わせされる。その状態で、
図26、
図27のように、各締結部材190が対応する2つの孔部にそれぞれ挿入され、孔部同士が固定される。
【0058】
排気アダプタ130は、排気部140とカバー体160とを備える。排気部140は、排気筒142と被固定部144とを備える。排気アダプタ130は、
図24~
図27のように平面部64に直接固定される場合、被固定部144が平面部64に対して前後に重ねられた状態で、締結部材190が被固定部144と平面部64とを固定するように被固定部144及び平面部64の前側から孔部68(具体的には、孔部68A,68B,68C,68D)に挿入される。排気アダプタ130は、
図1~
図8のように中継管120を介して平面部64に固定される場合、被固定部144がフランジ部材124に対して前後に重ねられた状態で、締結部材192が被固定部144とフランジ部材124とを固定するように被固定部144及びフランジ部材124の前側からに挿入される。
【0059】
排気筒142は、角筒状に構成され、所定方向(長手方向)に延びる構成をなし、自身の後端側に開放部143が設けられる。排気筒142の長手方向は、排気筒142において排気ガスが流れる方向である。
図19、
図20の例では、排気筒142の長手方向を左右方向とするように排気部140が取り付けられている。排気筒142は、上壁部142A、下壁部142B,前壁部142C、後壁部142D、側壁部142Eを備える。これらの上壁部142A、下壁部142B,前壁部142C、後壁部142D、側壁部142Eは一体的に連結されている。上壁部142A、下壁部142Bは、上下に対向して配置され、
図19、
図20、
図27のような取り付け状態で左右方向に延びて配置される。前壁部142C及び後壁部142Dは、前後に対向して配置され、
図19、
図20、
図27のような取り付け状態で左右方向に延びて配置される。上壁部142A、下壁部142B,前壁部142C、後壁部142Dは、排気ガスが流れる空間の上下及び前後を囲んでおり、左右方向の流路を構成する。側壁部142Eは、排気筒142において、左右方向一方側の端部に配置され、排気ガスの左右方向一方側への流れを遮断する。排気筒142において側壁部142Eとは反対側の端部(左右方向他方側の端部)には、排出口148が設けられる。排出口148は、少なくとも一部が開放した形態をなし、排気筒142内を左右方向に流れた排気ガスを、左右方向他方側に排出する開口として機能する。後壁部142Dにおける左右方向一方側の端部寄りに、開放部143が形成されている。開放部143は、後壁部142Dに形成された孔部であり、後壁部142Dを前後に貫通した形態で開放している。
【0060】
このように構成されているため、
図19、
図20のような構成では、中継管120内を通過するように前方側へ流れた排気ガスが開放部143から排気筒142内に入り込み、この排気ガスが排気筒142内において左右方向に流れて排出口148から排出される。
図26、
図27のような構成では、排気トップ40内を通過するように前方側へ流れた排気ガスが開放部143から排気筒142内に入り込み、この排気ガスが排気筒142内において左右方向に流れて排出口148から排出される。
【0061】
被固定部144は、排気筒142と一体的に連結され、排気筒142の後端部から外方に張り出す構成をなしている。被固定部144は、排気筒142の短手方向の一端部において短手方向一方側(上側)に張り出す第1張出部分144Wが設けられる。被固定部144は、排気筒142の短手方向の他端部において短手方向他方側(下側)に張り出す第2張出部分144Xが設けられる。被固定部144は、排気筒142の長手方向の両端部において長手方向一方側及び長手方向他方側に張り出す第3張出部分144Y及び第4張出部分144Zがそれぞれ設けられる。第1張出部分144W、第2張出部分144X、第3張出部分144Y、第4張出部分144Zを貫通する構成で、孔部144A、144B,144C,144D,孔部145A、145B,145C,145D(
図20、
図27)が形成されている。
【0062】
排気アダプタ130は、
図19、
図20又は
図27のように被固定部144が固定対象に取り付けられた後に、カバー体160を排気部140に取り付けることができるようになっている。具体的には、排気筒142及び被固定部144を覆うようにカバー体160が配置された状態でねじ部材198(
図4、
図24)によってカバー体160と排気部140とが固定される。
【0063】
(効果の例)
給湯器1では、平面部64及び孔部68A,68Bの位置が導入口42Aよりも上位置に配置されるため、排気アダプタ130を導入口42Aに対してより上位置に固定しやすい。しかも、給湯器1は、平面部64の孔部68A,68B等に対して排気アダプタ130の固定に用いる締結部材190を直接的に挿入し、排気アダプタ130を固定することができるため、付属品の追加を抑えることができ、部品点数の増加や重量の増加を低減することができる。
【0064】
給湯器1において、排気口66における左右方向一方側の端部は、導入口42Aにおける左右方向一方側の端部よりも左右方向の他方側に配置される。排気口66における左右方向他方側の端部は、導入口42Aにおける左右方向他方側の端部よりも左右方向の一方側に配置される。排気口66の上端部は、導入口42Aの上端部よりも上位置に配置され、排気口66の下端部は、導入口42Aの下端部よりも下位置に配置される。この給湯器1は、排気口66の左右方向のサイズを小さく抑え、排気口が左右方向に拡がりすぎない構成とすることができる。更に、この給湯器1は、排気口66の上下方向の大きさを確保するこで、開口領域が狭くなりすぎることを抑えることができる。
【0065】
給湯器1において、後板部42は、導入口42Aが形成された板部44と、板部44における導入口42Aの上縁部から前方に折れ曲がる折れ曲がり部46と、を有する。折れ曲がり部46は、排気口66の開口領域と前後に重なる位置に設けられている。この給湯器は、導入口42Aの上縁部から前方に折れ曲がる折れ曲がり部46が設けられるため、折れ曲がり部46付近において排気ガスの流れの規制を図ることができ、音鳴りの発生を抑えることができる。
【0066】
折れ曲がり部46は、熱交換器10の開口部10Hの前側において開口部10Hの上縁部に沿って設けられるため、排気ガスが開口部10Hから折れ曲がり部46付近に流れる過程で、より円滑に流れやすい。
【0067】
給湯器1は、折れ曲がり部46を構成する板片46Aが導入口42Aの上縁部から前側に延びるため、排気ガスが板片46Aに沿って円滑に流れやすく、導入口42Aの前方側で不規則な流れが生じること(例えば、急激に渦流が発生すること等)を抑えることができる。
【0068】
給湯器1において、後板部42は、導入口42Aにおける折れ曲がり部46から左右方向にずれた位置に、導入口42Aの上縁部の位置を折れ曲がり部46の位置よりも上位置とした開口領域拡大部48A,48Bが設けられている。この給湯器1は、折れ曲がり部46の付近では、音鳴りの発生を抑制することを重視することができ、折れ曲がり部46の両側では、開口領域を拡大することで排気ガスをより流れやすくすることを重視することができる。
【0069】
給湯器1において、開口領域拡大部48A,48Bは、排気口66の左右方向一方側の端部よりも左右方向一方側にずれた位置又は排気口66の左右方向他方側の端部よりも左右方向他方側にずれた位置に少なくとも設けられる。この給湯器1は、排気口66の開口領域と前後に重なる位置には、折れ曲がり部46が設けられるため、流速が早くなりやすい位置では、折れ曲がり部46によって音鳴りを抑えることができる。一方、給湯器1は、排気口66から左右方向にずれた位置に開口領域拡大部48A,48Bが設けられるため、左右方向にずれた開口領域拡大部48A,48Bの位置では、流速が抑えられやすく、音鳴りが生じにくくなる。つまり、排気口66から左右方向にずれた位置では、速すぎる流れを抑えて音鳴りを抑制しつつ、開口領域の拡大により、より流れやすくすることができる。
【0070】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更してもよい。
【0071】
上述の実施形態では、締結部材190を挿入するための孔部68が複数設けられていたが、このような孔部は、1つであってもよく、上記実施形態とは異なる数の複数であってもよい。
【0072】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
1…給湯器
1A…本体部
10…熱交換器
10A…ケース
10B…前側壁部
10H…開口部
33…前面パネル
40…排気トップ
42…後板部
42A…導入口
44…板部
46…折れ曲がり部
46A…板片
48A,48B…開口領域拡大部
60…前板部
62…張出部
64…平面部
66…排気口
68…孔部
130…排気アダプタ