(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】繊維製品の再資源化方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/30 20230101AFI20240509BHJP
B09B 3/60 20220101ALI20240509BHJP
【FI】
G06Q10/30
B09B3/60 ZAB
(21)【出願番号】P 2021061086
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2022-03-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和 2年 9月30日 株式会社V&AJapanのTavitalium(タビタリウム)公式ブランドサイト https://tavitalium.comにおけるhttps://tavitalium.com/pages/recoveryにおいて公開、 令和 2年11月18日~同19日 一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構主催の展示会「Premium Textile Japan 2021 Autumn/Winter」(東京国際フォーラム ホールE)において公開、 令和 3年 2月 3日 動画共有サービスYouTubeのウェブサイト https://www.youtube.com/watch?v=1kjEs6owTb8にて公開、 令和 3年 3月 7日 株式会社サンテレビジョンの「アサスマ!」という番組において公開、 令和 3年 3月16日 動画共有サービスYouTubeのウェブサイト https://www.youtube.com/watch?v=Adh5BqG0l9Y&t=19sにて公開、 令和 3年 3月23日~同25日 リードエグジビションジャパン株式会社主催の展示会「第1回 国際サステナブルファッションEXPO 春展」(東京ビックサイト 西展示棟)において公開、 令和 3年 3月23日 株式会社TBSテレビの「News 23」という番組において公開、 令和 3年 3月25日 リードエグジビションジャパン株式会社主催の展示会「第8回 ファッションワールド東京 春」(東京ビックサイト)にて開催された「サステナブルファッションEXPO 出展社PRセミナー」において公開
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514038395
【氏名又は名称】株式会社V&AJapan
(74)【代理人】
【識別番号】100100561
【氏名又は名称】岡田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100219690
【氏名又は名称】堀坂 純美子
(72)【発明者】
【氏名】宮本 淳
(72)【発明者】
【氏名】賀来 群雄
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-154394(JP,A)
【文献】特開2000-248444(JP,A)
【文献】特開2009-037421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B09B 3/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製品の再資源化方法であって、
生分解性繊維を含む素材で作られ且つ
繊維製品が堆肥化に適合することを示す製品判別コードが付された繊維製品を
製造する製造工程と、
製造された前記繊維製品を販売する販売工程と、
販売され使用された前記繊維製品について、前記製品判別コードに基づいて、前記繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品であるかどうかの判別を行い、前記繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品である場合に、該繊維製品を回収する回収工程と、
回収された前記繊維製品を好気性微生物によって生分解して堆肥にする堆肥化工程と、
を含む、繊維製品の再資源化方法。
【請求項2】
前記製品判別コードは、自動認識用コードである、請求項
1に記載の繊維製品の再資源化方法。
【請求項3】
前記自動認識用コードは、一次元コード、二次元コード、及び電子タグからなる群から選ばれる、請求項
2に記載の繊維製品の再資源化方法。
【請求項4】
前記自動認識用コードは、QRコードである、請求項
2又は3に記載の繊維製品の再資源化方法。
【請求項5】
前記堆肥化工程は、既に存在する堆肥と回収された前記繊維製品とを混合した状態で行われる、請求項1~
4のいずれかに記載の繊維製品の再資源化方法。
【請求項6】
前記生分解性繊維は、天然繊維、再生繊維、及び生分解性合成繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1~
5のいずれかに記載の繊維製品の再資源化方法。
【請求項7】
前記生分解性繊維は、綿、麻、獣毛、絹、羽毛、再生セルロース繊維、再生タンパク質繊維、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)系、バイオポリブリレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)-ポリ乳酸(PLA)コンパウンド、澱粉ポリエステル樹脂、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、及びポリエチレンテレフタレートサクシネート(PETS)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1~
6のいずれかに記載の繊維製品の再資源化方法。
【請求項8】
前記繊維製品は、衣類、服飾品類、寝具類、タオル類、敷物類、カーテン類、スポーツ用品類、及びアウトドア用品類からなる群から選ばれる、請求項1~
7のいずれかに記載の繊維製品の再資源化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品の再資源化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
循環型社会の実現に向けて、資源の有効利用、廃棄物削減の施策が種々行われている。しかしながら、衣料品等の繊維製品は、使用後、焼却処分や埋め立て処分されるものが多い。
【0003】
衣料等の繊維製品の処分量を削減する取り組みとして、古着やウエスとしての再利用や、各種リサイクルが進められている。リサイクルには、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクル等がある。
【0004】
マテリアルリサイクルは、例えば、使用済みの繊維製品を再び繊維等に戻して新たな繊維製品を作るものである。ケミカルリサイクルは、使用済みの繊維製品を化学変化させて、再度繊維を作ることや、バイオエタノール等にすること等が含まれる。サーマルリサイクルは、使用済みの繊維製品を焼却する際の熱エネルギーを回収して利用する、いわゆる排熱利用である。
【0005】
ところで、衣料等の繊維製品に用いられる天然繊維は生分解性を有することが知られている。また、近年では、生分解性合成樹脂が種々開発されており、それら生分解性合成樹脂からなる繊維が衣料等の繊維製品にも用いられるようになってきた。例えば、特開2004-270094号公報や特開2010-084261号公報には、生分解性繊維が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-270094号公報
【文献】特開2010-084261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の再利用された繊維製品やリサイクルによって作製された繊維製品は、繰り返し利用された後、最終的に焼却処分される場合が多い。繊維製品を焼却処分するためには、通常、重油やガス等の燃料が必要となる。そのため、繊維製品それ自体から発生する二酸化炭素(CO2)に加えて、燃料に由来するCO2が発生する。
【0008】
また、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルを行うためには、そのリサイクル工程において、多くのエネルギーを消費する。このため、リサイクル工程において、さらなるCO2が排出される。
【0009】
また、サーマルリサイクルは、繊維製品を焼却処分する際にその排熱を回収しているに過ぎない。従って、焼却処分と同様に繊維製品それ自体から発生する二酸化炭素(CO2)に加えて、燃料に由来するCO2が発生する。
【0010】
このように、従来の再利用やリサイクルは、二酸化炭素(CO2)排出量削減の観点で問題がある。
【0011】
このような現状を踏まえ、従来の繊維製品の処理方法に代わり得る新たな繊維製品のリサイクル方法が望まれる。
【0012】
そこで、本発明は、二酸化炭素(CO2)排出量を最低限にすることのできる、衣料等の繊維製品の再資源化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
生分解性繊維で作られた衣料等の繊維製品は、その大部分を水(H2O)と二酸化炭素(CO2)に生分解することができる。本発明者らは、このような生分解性繊維で作られた衣料等の繊維製品は、その繊維製品が生分解した後の残渣を堆肥として再資源化することができると考えた。
【0014】
そこで、本発明者らは、生分解性繊維を含む素材で作られ、且つ、堆肥化に適合する繊維製品を堆肥化する再資源化方法を構築した。
【0015】
さらに、堆肥化に適合する繊維製品のみを確実に回収し、回収された繊維製品を堆肥化する再資源方法を構築した。
【0016】
具体的には、生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードを付した繊維製品であって、堆肥化に適合する繊維製品を回収し、回収された繊維製品を堆肥化する方法を構築した。これにより、堆肥化することができる繊維製品を確実に回収し、堆肥化することを可能とした。上述の回収されるべき、生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードを付した繊維製品であって、堆肥化に適合する繊維製品は、製造及び販売された後に、通常の形態としては、ユーザーによって所有・使用されたものである。
【0017】
本発明には以下の発明が含まれる。
【0018】
(1) 生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードが付された繊維製品を回収する回収工程と、
回収された前記繊維製品を生分解して堆肥にする堆肥化工程と、
を含む、繊維製品の再資源化方法。
【0019】
(2) 前記回収工程において、前記製品判別コードに基づいて、繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品であるかどうかの判別を行う、上記(1)に記載の繊維製品の再資源化方法。
【0020】
(3) 前記製品判別コードは、自動認識用コードである、上記(1)又は(2)に記載の繊維製品の再資源化方法。
【0021】
(4) 前記自動認識用コードは、一次元コード、二次元コード、及び電子タグからなる群から選ばれる、上記(3)に記載の繊維製品の再資源化方法。
【0022】
(5) 前記自動認識用コードは、QRコードである、上記(3)又は(4)に記載の繊維製品の再資源化方法。
【0023】
(6) 前記堆肥化工程は、既に存在する堆肥と回収された前記繊維製品とを混合した状態で行われる、上記(1)~(5)のいずれかに記載の繊維製品の再資源化方法。
【0024】
(7) 前記生分解性繊維は、天然繊維、再生繊維、及び生分解性合成繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つである、上記(1)~(6)のいずれかに記載の繊維製品の再資源化方法。
【0025】
(8) 前記生分解性繊維は、綿、麻、獣毛、絹、羽毛、再生セルロース繊維、再生タンパク質繊維、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)系、バイオポリブリレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)-ポリ乳酸(PLA)コンパウンド、澱粉ポリエステル樹脂、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、及びポリエチレンテレフタレートサクシネート(PETS)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、上記(1)~(7)のいずれかに記載の繊維製品の再資源化方法。
【0026】
(9) 前記繊維製品は、衣類、服飾品類、寝具類、タオル類、敷物類、カーテン類、スポーツ用品類、及びアウトドア用品類から選ばれる、上記(1)~(8)のいずれかに記載の繊維製品の再資源化方法。
【0027】
(10) 生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードが付された繊維製品を生分解して堆肥にする堆肥化工程を含む、繊維製品の再資源化方法。
【0028】
(11) 生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードが付された繊維製品を、前記製品判別コードに基づいて、前記繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品であるかどうかの判別を行い、前記繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品である場合に、該繊維製品を回収する回収工程と、
回収された前記繊維製品を生分解して堆肥にする堆肥化工程と、
を含む、繊維製品の再資源化方法。
【0029】
(12) 生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードが付された繊維製品を製造する製造工程と、
製造された前記繊維製品を販売する販売工程と、
販売された前記繊維製品について、前記製品判別コードに基づいて、前記繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品であるかどうかの判別を行い、前記繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品である場合に、該繊維製品を回収する回収工程と、
回収された前記繊維製品を生分解して堆肥にする堆肥化工程と、
を含む、繊維製品の再資源化方法。
【0030】
(13) 堆肥化に適合する繊維製品の回収システムであって、
繊維製品についての製品判別コードと、該繊維製品が堆肥化に適合するか否かの情報とが関連付けられた製品情報が蓄積されたデータベースと、
対象となる繊維製品に付された製品判別コードの読み取り装置と、
読み取られた前記製品判別コードと前記データベースの前記製品情報とを照合し、読み取られた前記製品判別コードの製品情報を前記データベースから抽出し、該製品情報が、堆肥化に適合する旨を示す場合に、該製品判別コードが付された該繊維製品が堆肥化可能であると判断する判定部と、
該繊維製品が堆肥化可能であることを表示する表示部と、
を含む繊維製品の回収システム。
【0031】
(14) 堆肥化に適合する繊維製品の回収のためのプログラムであって、
コンピュータに、
読み取られた繊維製品に付されている製品判別コードと、データベースに蓄積された、繊維製品についての製品判別コードと該繊維製品が堆肥化に適合するか否かの情報とが関連付けられた製品情報とを照合し、
読み取られた前記製品判別コードの製品情報を前記データベースから抽出し、
該製品情報が、堆肥化に適合する旨を示す場合に、該製品判別コードが付された該繊維製品が堆肥化可能であると判断することを実行させ、
さらに、該繊維製品が堆肥化可能であることを表示することを実行させるプログラム。
【0032】
(15) 生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードが付された繊維製品であって、堆肥化に適合する繊維製品。
【0033】
(16) 前記繊維製品は、衣類、服飾品類、寝具類、タオル類、敷物類、カーテン類、スポーツ用品類、及びアウトドア用品類からなる群から選ばれる、上記(15)に記載の繊維製品。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、衣料等の繊維製品を堆肥として再資源化することができる。繊維製品を廃棄することなく、別途の資源として用いることができるので、廃棄物削減に寄与することができる。
【0035】
また、本発明によれば、衣料等の繊維製品を堆肥化工程で処理することができる。堆肥化工程は、焼却処分のように燃料を用いないため、発生する二酸化炭素(CO2)は、繊維製品それ自体が生分解して発生する二酸化炭素(CO2)のみである。従って、二酸化炭素(CO2)排出量を最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の再資源化方法の実施形態の一例を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の再資源化方法の実施形態の他の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の繊維製品の回収システムの実施形態の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施例の堆肥化試験の結果を示す表である。堆肥化試験に供されたTシャツについて、堆肥化試験開始前、15日後、1か月後、2か月後、及び3か月後のそれぞれの時点における、外観写真と、取り出し時のTシャツ近傍の堆肥温度を記載している。
【
図5】
図5は、実施例の堆肥化試験の結果を示す表である。堆肥化試験に供されたTシャツについて、堆肥化試験開始から4か月後、5か月後、6か月後、及び7か月後のそれぞれの時点における、外観写真と、取り出し時のTシャツ近傍の堆肥温度を記載している。
【
図6】
図6は、実施例の堆肥化試験の結果を示す表である。堆肥化試験に供されたTシャツについて、堆肥化試験開始から8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、及び12か月後のそれぞれの時点における、外観写真と、取り出し時のTシャツ近傍の堆肥温度を記載している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の繊維製品の再資源化方法は、
生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードが付された繊維製品を回収する回収工程と、
回収された前記繊維製品を生分解して堆肥にする堆肥化工程と、
を含む。
【0038】
[1.繊維製品]
本発明において、堆肥化工程に供される繊維製品は、生分解性繊維を含む素材で作られており、堆肥化に適合しているものである。本発明において回収対象となる繊維製品は、生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードが付されており、堆肥化に適合しているものである。本発明における回収とは、堆肥化の観点での回収である。すなわち、本発明における回収工程では、堆肥化工程に供される繊維製品を回収する。
【0039】
本発明において回収対象となる繊維製品は、その少なくとも一部は、生分解性繊維を含む素材から作られている。また、本発明における繊維製品は、その少なくとも一部は、後述する堆肥化工程において、生分解されて堆肥となることができるように作られている。
【0040】
繊維には、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維等が含まれる。天然繊維としては、綿、麻、羊毛等の獣毛、絹、羽毛等が挙げられる。再生繊維としては、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、再生タンパク質繊維等が挙げられる。半合成繊維としては、アセテート等のセルロース系半合成繊維、プロミックス等のタンパク質系半合成繊維等が挙げられる。合成繊維としては、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維等が挙げられる。
【0041】
生分解性繊維とは、生分解性を有する繊維である。生分解性繊維には、天然繊維、再生繊維、及び生分解性合成繊維が含まれる。生分解性合成繊維は、生分解性合成樹脂を繊維状に成型したものである。生分解性合成繊維には、生分解性合成樹脂を含む材料を繊維状に成型したものを含む。生分解性合成繊維としては、ポリ乳酸系合成繊維、ポリエステル系合成繊維等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)系、バイオポリブリレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)-ポリ乳酸(PLA)コンパウンド、澱粉ポリエステル樹脂、酢酸セルロース(ジアセテート)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリエチレンテレフタレートサクシネート(PETS)等を含む合成繊維を用いることができる。
【0042】
生分解とは、有機物が微生物の働きによって分解し、水(H2O)や二酸化炭素(CO2)等の無機物になることをいう。生分解性材料は、生分解性を有する材料である。1993年のアナポリスサミットにおける定義によれば、生分解性プラスチックとは、「微生物によって完全に消費され自然的副産物(炭酸ガス、メタン、水、バイオマスなど)のみを生じるもの」をいう。
【0043】
生分解性の程度を示す目安となる指標としては、日本産業規格のJIS K6950、JIS K6951、JIS K6953-1、JIS K6953-2、又はJIS K6955で規定された生分解度や、OECD 301C 修正MITI試験(I)で規定された生分解度等を用いることができる。例えば、日本バイオプラスチック協会が認定する「グリーンプラ」(登録商標)においては、前記のいずれかの試験において、生分解度が60%以上であることを認定基準の1つとしている。
【0044】
生分解性繊維を含む素材とは、生分解性繊維を含む材料を用いて作られた素材である。代表的には、布地である。生分解性繊維を含む素材は、織物、編物、組物、レース、フェルト、不織布等を含む。
【0045】
生分解性繊維を含む素材は、生分解性繊維を1種類含んでいても、複数種類含んでいてもよい。生分解性の程度(例えば、ある条件下での生分解の速度)が異なる複数種類を含んでいてもよい。生分解性合成繊維と天然繊維とを含んでいてもよい。例えば、生分解性繊維を含む素材は、複数種類の生分解性繊維を混合した糸(混紡糸)を用いて作られた素材であってもよい。
【0046】
また、生分解性繊維を含む素材は、生分解性を有しない成分を含んでいてもよい。生分解性繊維と生分解性を有しない繊維とを混合して用いてもよい。例えば、生分解性繊維と生分解性を有さない繊維とを混合した糸(混紡糸)を用いて作られた素材であってもよい。
【0047】
生分解性繊維を含む素材は、染料や顔料等により染色や印刷等がなされていてもよい。生分解性繊維を含む素材は、全体として、生物に有害な成分を含んでいないことが好ましい。また、生分解性繊維を含む素材は、生分解により分解した後においても、生物に有害な成分を生じさせないことが好ましい。
【0048】
繊維製品は、その少なくとも一部が繊維で構成されている製品を意味する。繊維製品は、例えば、衣類、服飾品類、寝具類、タオル類、敷物類、カーテン類、スポーツ用品類、アウトドア用品類等を含む。
【0049】
さらに、繊維製品について、詳しく例を挙げると、衣類は、下着、中衣、外衣、及び寝衣を含む。下着は、シャツ、パンツ、ズボン下、スリップ、ファンデーション・ガーメント、ペチコート、肌じゅばん、こしまき等を含む。中衣は、ベスト、ブラウス、ワイシャツ、Tシャツ、ポロシャツ、チョッキ等を含む。上衣は、スーツ、セーター、カーディガン、プルオーバー、ワンピース、スカート、オーバー、カバーオール、コンビネーション、ロンパース、ボレロ、スモック、ジャケット、上衣、ズボン、パンタロン、ブルマース、おくるみ等を含む。寝衣は、ねまき、パジャマ、ネグリジェ、ベビードール等を含む。服飾品類は、手袋、帽子、ネクタイ、靴下、ストッキング、パンティ・ストッキング、タイツ、レッグウォーマー、たび、スカーフ、ストール、マフラー、ショール、ハンカチーフ、風呂敷、エプロン、割烹着、ベルト、サスペンダー、ガーター、バッグ・鞄、エコバッグ、シューズ等を含む。寝具類は、枕、敷布団、掛布団、肌掛け布団、毛布、タオルケット、寝具に用いられるカバー、シーツ等を含む。スポーツ用品類は、スポーツウェア、水着、スポーツ用手袋、スポーツ用帽子、スポーツ用靴下、スポーツシューズ等を含む。アウトドア用品類は、寝袋、テント、タープ、ハンモック、マット、チェア、アウトドアウェア、アウトドア用手袋、アウトドア用帽子、アウトドア用靴下、アウトドア用シューズ等を含む。以上は例示であって、繊維製品はこれら例示のものに限定されることはない。
【0050】
本発明における繊維製品は、生分解性繊維を含む素材以外に、素材を繊維製品に仕立てるために用いられる縫製糸や接着剤等を含んでいてもよい。縫製糸や接着剤等は、生分解性を有していてよい。縫製糸や接着剤等は、生分解性繊維を含む素材と同様に、生物に有害な成分を含んでいないことが好ましい。また、縫製糸や接着剤等が生分解性を有する場合には、生分解により分解した後においても、生物に有害な成分を生じさせないことが好ましい。
【0051】
繊維製品は、ボタン、ファスナー、装飾部品等の付属品を含んでいてもよい。これらの付属品は、後述の回収工程において繊維製品を回収した後、繊維製品から付属品を取り外してもよい。その後、付属品が取り外された繊維製品を後述の堆肥化工程に投入してもよい。繊維製品から付属品を取り外した後に堆肥化する場合には、付属品の素材は任意の素材を用いてよい。
【0052】
あるいは、付属品は、生分解性の素材を用いてもよい。この場合には、付属品ごと後述の堆肥化工程に投入してもよい。付属品が堆肥化工程に投入される場合には、付属品を含む繊維製品全体として、生物に有害な成分を含んでいないことが好ましい。また、生分解性の素材を含む付属品である場合、生分解により分解した後においても、生物に有害な成分を生じさせないことが好ましい。
【0053】
また、繊維製品は、部位ごとに異なる素材で構成されていてもよい。例えば、衣類の一例としてのジャケットにおいて、袖部分と胴体部分とがそれぞれ異なる素材で構成されていてもよいし、表地と裏地が異なる素材であってもよい。他の衣類においても同様である。また、衣類以外の服飾品類、寝具類、タオル類、敷物類、カーテン類、スポーツ用品類、アウトドア用品類等についても同様に、それぞれ、部位ごとに異なる素材で構成されていてもよい。
【0054】
部位ごとに異なる素材で構成された繊維製品は、生分解繊維を含む素材で作られ且つ堆肥化可能である素材で構成された部位(例えば、袖部分)と、堆肥化に不適な素材で構成された部位(例えば、胴体部分)とから構成されていてもよい。このような繊維製品は、後述の回収工程において回収された後、当該繊維製品のうちの堆肥化可能な部分(例えば、袖部分)のみをその他の部分(例えば、胴体部分)から分離し、分離された堆肥化可能な部分のみを後述の堆肥化工程に投入するとよい。
【0055】
[2.製品判別コード]
本発明において回収対象となる繊維製品には、製品判別コードが付されている。後述の回収工程においては、製品判別コードに基づいて、繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品であるかどうかの判別を行う。すなわち、繊維製品が堆肥化のための回収対象となる繊維製品であるかどうかの判別を行う。
【0056】
本発明において、製品判別コードは、繊維製品が堆肥化に適合することを示すものであればよい。製品判別コードが有する情報、製品判別コードから読み取られる情報、あるいは製品判別コードからアクセスできる情報から、繊維製品が堆肥化に適合することが分かるようになっていればよい。
【0057】
本発明において回収対象となる繊維製品は、その少なくとも一部は、生分解性繊維を含む素材で作られ且つ堆肥化に適合するものであり、製品判別コードを付して製造されたものである。このように製造された繊維製品は、製品判別コードに基づいて、該繊維製品の少なくとも一部が堆肥化に適合することが判別できる。このような製品判別コードが付された繊維製品は、通常、販売等することにより市場に流通させる。市場に流通した繊維製品は、通常、ユーザーによって使用される。その後、このような製品判別コードが付された繊維製品を回収する。その結果、回収された繊維製品は、確実に、後述の堆肥化工程において堆肥化することができる。
【0058】
例えば、製品判別コードは、ブランドロゴ、製品ロゴのような繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品であることを示す図案、あるいは、ブランド名称や製品説明等の繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品であることを示す文字列であってよい。好ましくは、自動認識用コードであってよい。
【0059】
自動認識用コードは、一次元コード、二次元コード、及び電子タグを含む。一次元コードは、いわゆるバーコード(一次元バーコード)であり、JAN(Japanese Article Number)シンボル、ITF(Inter-Leaved Two of Five)シンボル、GS1-128シンボル、GS1データバー等を含む。二次元コードは、QRコード(登録商標)、データマトリックス、GS1合成シンボル等を含む。電子タグは、ICタグ、RFタグ、無線タグ等とも呼ばれる。好ましくは、一次元コード又は二次元コードを用いるとよい。さらに好ましくは、QRコード(登録商標)を用いてもよい。
【0060】
本発明において回収対象となる繊維製品には製品判別コードが付されている。製品判別コードは、繊維製品の表面のように使用時に視認可能な位置に付されていてもよいし、繊維製品の裏面や内面のように使用時には視認できない位置に付されていてもよい。また、製品判別コードが電子タグの場合には、視認できなくても読み取り装置を用いて認識可能であるため、視認できない態様にて付されていてもよい。
【0061】
衣類等の繊維製品に製品判別コードを付す方法には、印刷、染色、縫い付け、貼り付け等の様々な方法が含まれる。自動認識用コードは、衣類等の繊維製品の一部分に直接印刷されていてもよい。自動認識用コードを染め付けた(あるいは、染め抜いた)素材(布地等)から衣類等の繊維製品を製造してもよい。自動認識用コードを編み込んだ素材(布地等)から衣類等の繊維製品を製造してもよい。自動認識用コードを印刷、染色、収納等した部品を別途作成し、その部品を衣類等の繊維製品に縫い付け又は貼り付け等してもよい。
【0062】
製品判別コードには、製品判別コードを付すべき繊維製品が堆肥化に適合する旨の情報を含む製品情報が関連付けられているとよい。
【0063】
繊維製品が部位ごとに異なる素材で構成されている場合には、それぞれの部位が堆肥化に適合するか否かを示す情報が関連付けられているとよい。例えば、衣類において、袖部分と胴体部分、表地と裏地等の部位ごとに素材が異なる場合には、その衣類に付された製品判別コードに、それぞれの部位が堆肥化に適合するか否かを示す情報を関連付けられているとよい。また、衣類以外の服飾品類、寝具類、タオル類、敷物類、カーテン類、スポーツ用品類、アウトドア用品類等についても同様に考えられる。
【0064】
製品情報には、繊維製品が堆肥化に適合する旨の情報以外にも、材質、組成、色、サイズ、ブランド名、製品名称、製品の型番、品番、繊維製品の取り扱い方法等を含んでいてもよい。
【0065】
製品判別コードには、製品判別コードを付すべき繊維製品の生分解しやすさの程度を示す情報が関連付けられていてもよい。例えば、繊維製品が、生分解しやすさの程度が異なる複数種類の生分解性繊維を含む場合や、生分解性合成繊維と天然繊維とを含む場合の場合には、その素材によって繊維製品の生分解のしやすさが異なる。生分解のしやすさの程度を示す情報に基づいて、後述の堆肥化工程を行う施設や堆肥化の条件を変更してもよい。そうすることで、さらに効率的に繊維製品を堆肥化することができ得る。
【0066】
製品判別コードとして自動認識用コードを用いる場合、自動認識用コードは、自動認識用コードを付すべき繊維製品が堆肥化に適合する旨の情報を含む製品情報をコードしているとよい。該自動認識用コードが付された繊維製品を回収することによって、確実に、後述の堆肥化工程において堆肥化できる繊維製品のみを回収することができる。
【0067】
繊維製品が堆肥化に適合する旨の情報としては、特に形式を問わない。例えば、繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品である旨、後述の堆肥化工程の対象となる繊維製品である旨、後述の回収工程において回収対象である旨等を直接的に記した情報であってもよい。堆肥化に適合する繊維製品であることを示すマークや記号あるいはブランド名等であってもよい。あるいは、材質や組成等でもあり得る。
【0068】
また、例えば、URLを自動認識用コードにコードしておき、そのURLで特定されるウェブページ等に、繊維製品が堆肥化に適合する旨の情報を記載しておいてもよい。さらに、繊維製品の材質、回収方法、堆肥化による再資源化方法等の情報を詳述しておいてもよい。また、複数の情報がコードされていてもよい。
【0069】
自動認識用コードにコードされた製品情報には、繊維製品が堆肥化に適合するか否かの情報以外にも、材質、組成、色、サイズ、ブランド名、製品名称、製品の型番、品番、繊維製品の取り扱い方法等を含んでいてもよい。
【0070】
[3.繊維製品の再資源化]
本発明の再資源化方法は、実施形態として、
生分解性繊維を含む素材で作られた繊維製品を生分解して堆肥にする堆肥化工程を含む。
【0071】
さらに、本発明の再資源化方法は、実施形態として、
生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードが付された繊維製品を回収する回収工程と、
回収された前記繊維製品を生分解して堆肥にする堆肥化工程と、
を含む。
【0072】
本発明の回収対象となる繊維製品は、生分解性繊維を含む素材で作られ且つ堆肥化に適合するものである。回収対象となる繊維製品は、堆肥化に適合する繊維製品である旨の情報を含む製品判別コードを付して製造される。
【0073】
製造された前記繊維製品は、通常、販売されて市場の流通経路に乗せられる。実店舗やオンライン上でユーザーに直接販売してもよいし、別の事業者(商社、卸売業者、小売店等)に販売(卸売)してもよい。あるいは、サンプルとして提供する等の販売以外の方法で流通する場合もあり得る。市場に流通した繊維製品は、通常、ユーザーにより使用される。
【0074】
本発明の再資源化方法は、製造、流通、回収、及び堆肥化を一連の工程として行ってよい。1つの事業者がすべての工程を行ってもよいし、複数の事業者が連携あるいは分担して行ってもよい。
【0075】
図1は、本発明の再資源化方法の実施形態の一例を示すフローチャートである。
図1は、回収(S01~S05)、堆肥化(S06~S07)の流れを示している。
【0076】
図2は、本発明の再資源化方法の実施形態の他の一例を示すフローチャートである。
図2は、対象となる繊維製品の製造(S11)、販売による流通(S12)、ユーザーによる使用(S13)、回収(S14~S19)及び堆肥化(S20~S21)の流れを示している。
【0077】
[3-1.回収工程]
本発明の回収対象とする繊維製品は、上述のように、生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードが付されており、堆肥化に適合しているものである。本発明における回収とは、堆肥化の観点での回収である。すなわち、本発明における回収工程では、堆肥化工程に供される繊維製品を回収する。
【0078】
繊維製品の回収工程は、任意の場所で行うことができる。回収拠点は、例えば、繊維製品の販売店舗、後述の堆肥化工程を行う施設、地域のリサイクル拠点等を利用することができる。主には、繊維製品の販売店舗で回収され得る。
【0079】
回収工程において回収される繊維製品は、通常、ユーザーによって使用済みのものである。あるいは、販売された後、未使用のままであったものも含まれる。
【0080】
回収拠点では、堆肥化に適合する繊維製品である旨の情報が関連付けられている製品判別コードが付された繊維製品を回収する。
【0081】
回収工程において、製品判別コードから読み取られる情報に基づいて、繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品であるかどうかの判別を行うとよい。回収の際に、繊維製品に付された製品判別コードを確認し、繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品である場合に、堆肥化の観点で回収するとよい。
【0082】
製品判別コードの確認方法としては、任意の方法を用いることができる。例えば、ブランドロゴ、製品ロゴのような図案、ブランド名称や製品説明等の文字列を目視で確認してもよい。また、例えば、製品判別コードが自動認識用コードである場合、バーコードリーダーやQRコードリーダー等のリーダー、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等を用いて自動認識用コードを読み取ることにより確認してもよい。
【0083】
回収工程の実施形態の一例を、
図1を参照して説明する。
図1は、単一の素材から作られた繊維製品(例えば、Tシャツ)を回収する場合の一例を示している。回収拠点(例えば、対象の繊維製品の販売店舗)に繊維製品が搬入されることが開始となる。例えば、ユーザーが繊維製品を回収拠点に持参あるいは配送する。回収拠点において、搬入された繊維製品に付された製品判別コードを確認する(S01)。製品判別コードの確認は、例えば自動認識用コードの読み取りにより行ってよい。
【0084】
次に、該製品判別コードから得られる情報が、堆肥化に適合する製品であることを示しているかどうかを判別する(S02)。
【0085】
例えば、回収拠点において、繊維製品についての製品判別コードと関連付けられた製品情報が蓄積されたデータベースにアクセスできる端末(例えば、パーソナルコンピュータ、リーダー、スマートフォン、タブレット端末、PDA等)を準備しておいてもよい。端末を用いて、回収拠点に持ち込まれた繊維製品の製品判別コードを読み取り、読み取られた製品判別コードと前記データベースの製品情報とを照合する。読み取られた製品判別コードの製品情報を前記データベースから抽出し、該製品情報が、堆肥化に適合する繊維製品であることを示す情報を含む場合に、該製品判別コードが付された該繊維製品が堆肥化可能、すなわち、回収可能であると判断することができる。さらに、該繊維製品が堆肥化可能及び/又は回収可能であることを示す何らかの情報が、端末や端末と接続されたモニター等に表示されるようになっていてもよい。
【0086】
あるいは、読み取られた製品判別コードの製品情報を前記データベースから抽出し、該製品情報が、堆肥化に適合する繊維製品であることを示す情報を含まない場合には、該製品判別コードが付された該繊維製品が堆肥化不可能、すなわち、堆肥化の観点での回収不可能であると判断する。また、読み取られた製品判別コードの製品情報が、前記データベースに存在しない場合には、通常、該製品判別コードが付された該繊維製品が堆肥化の観点での回収不可能であると判断する。
【0087】
また、例えば、予め堆肥化に適合する繊維製品に付される製品判別コードをコンピュータ等に記憶させておき、読み取られた製品判別コードと、記憶された製品判別コードとを照合してよい。照合の結果、読み取られた製品判別コードが、堆肥化に適合する製品に付される製品判別コードのうちの1つと一致する場合には、その製品判別コードが付された繊維製品は、回収可能であると判断してもよい。
【0088】
判別(S02)の結果、読み取られた製品判別コードが、堆肥化に適合する製品であることを示している場合には、その製品判別コードが付された繊維製品を堆肥化のために回収する(S03)。
【0089】
判別(S02)の結果、読み取られた製品判別コードが、堆肥化に適合する製品であることを示していない場合には、その製品判別コードが付された繊維製品を堆肥化のためには回収しない(S04)。つまり、後述の堆肥化工程に供するためには回収しない。例えば、該繊維製品を持参あるいは配送したユーザーに返却してもよい。あるいは、例えば、再利用や従来のリサイクルを行うために別途回収してもよい。
【0090】
繊維製品が部位ごとに異なる素材で構成されている場合には、製品判別コードには、それぞれの部位が堆肥化に適合するか否かを示す情報が関連付けられているとよい。例えば、衣類において、袖部分と胴体部分、表地と裏地等の部位ごとに素材が異なる場合には、その衣類に付された製品判別コードに、それぞれの部位が堆肥化に適合するか否かを示す情報を関連付けられているとよい。また、衣類以外の服飾品類、寝具類、タオル類、敷物類、カーテン類、スポーツ用品類、アウトドア用品類等についても同様に考えられる。このように部位ごとに異なる素材で構成された繊維製品においては、繊維製品が堆肥化に適合する部位を含んでいる場合には、その繊維製品は、通常、回収される。
【0091】
回収工程において、後述の堆肥化工程に供するために回収された繊維製品は、堆肥化に適合する繊維製品である。従って、後述の堆肥化工程において、非生分解性繊維等による堆肥の汚染を防止することができる。また、堆肥化に適合する繊維製品のみを堆肥化工程に投入することができるため、堆肥化工程における生分解性能を低下させないという利点がある。
【0092】
回収工程において、後述の堆肥化工程に供するために回収された繊維製品は、堆肥化施設に搬送される(S05)。回収拠点が堆肥化施設である場合には、この工程は省略されうる。
【0093】
堆肥化施設に搬送された繊維製品は、後述の堆肥化工程に供され、堆肥化される(S06)。その後、堆肥化された繊維製品の残渣は、後述のように堆肥として再利用される(S07)。
【0094】
[3-2.堆肥化工程]
回収された繊維製品は、堆肥化工程にて処理される。堆肥化工程は、微生物の存在する土壌中で行われる。堆肥化工程において、繊維製品は、生分解されて堆肥となる。
【0095】
堆肥化とは、有機性廃棄物をあるコントロールされた条件下で、取り扱い易く、貯蔵性が良く、環境に害を及ぼすことなく安全に土壌還元可能な状態まで微生物分解することを意味する。すなわち、有機性廃棄物を土壌中等で好気性微生物によって生分解する。生分解後には、生物にとって安全な残渣のみが残る。この残渣には、微生物が多く含まれており、堆肥として使用することができる。堆肥化における生分解は、一般に発酵とも言われる。
【0096】
堆肥化工程においては、回収された繊維製品が生分解される。生分解される際には、水(H2O)や二酸化炭素(CO2)等が発生する。しかしながら、発生する二酸化炭素(CO2)は繊維製品の有機炭素に由来するもののみであり、焼却処分時のように燃料の燃焼による二酸化炭素(CO2)は生じない。すなわち、最小限の二酸化炭素(CO2)排出量で生分解される。
【0097】
また、生分解した後の残渣は、堆肥として再資源化することができる。生分解の結果として堆肥が残るため、堆肥とするための別途のエネルギーは必要としない。従って、繊維製品をマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルによる再資源化の場合のように、リサイクルのための別途のエネルギーを消費することがない。すなわち、再資源化する際の二酸化炭素(CO2)排出等の環境負荷は非常に小さいと考えられる。
【0098】
堆肥化工程は、好気性微生物が存在する環境下で行われる。例えば、回収された繊維製品を土壌と混合した状態で行ってもよい。回収された繊維製品を他の有機性廃棄物(生ごみ、家畜ふん尿、下水汚泥、農業残さ、木質系廃棄物等)と混合した状態で行ってもよい。好ましくは、回収された繊維製品を既に存在する堆肥と混合した状態で行うとよい。また、回収された繊維製品を既に存在する堆肥及び他の有機性廃棄物と混合した状態で行ってもよい。堆肥中には、好気性微生物が多く存在する。そのため、回収された繊維製品を既に存在する堆肥と混合した状態にすると、より効率的に繊維製品の生分解が進む。
【0099】
堆肥化工程において、繊維製品が生分解(発酵)する際には発熱する。生分解が活発に行われている際には、例えば、50℃~80℃程度の温度にまで上昇し得る。このような温度になることで、さらに微生物の活動あるいは増殖が活発になり、生分解がより進む。発酵に適した温度領域は、発酵にかかわる微生物によって異なるが、例えば、20℃~80℃程度、あるいは、50℃~80℃程度、60℃~80℃程度の温度域であり得る。また、堆肥化工程において、発酵に適した温度領域になるように、堆肥原料を加熱してもよい。
【0100】
堆肥化工程においては、好気性微生物による生分解が行われるため、酸素が必要である。堆肥化工程において、回収された繊維製品を含む土壌や堆肥等に積極的に酸素を供給してもよい。酸素が十分に供給されると、好気性微生物がより活発に活動し、より効率的に繊維製品の生分解が進む。重機による攪拌(いわゆる「切り返し」)や送風機による送風等により、積極的に酸素を供給してもよい。
【0101】
堆肥化工程を行う前には、何らかの前処理を行ってもよい。例えば、回収された繊維製品に、生分解性を有しないボタン等の付属品が存在する場合には、その付属品を取り外しておくとよい。
【0102】
あるいは、繊維製品が部位ごとに異なる素材で構成されている場合であって、繊維製品が堆肥化に適合している部位を含む場合に、堆肥化に適合している部分と堆肥化に適合していない部分を分離する工程を行うことも考えられる。例えば、ジャケットの袖の部分は堆肥化に適合しているが、胴体部分が堆肥化に適合していない場合に、袖の部分のみを分離する。そして、堆肥化に適合している袖の部分のみを堆肥化工程に投入する。
【0103】
例えば、堆肥化工程を行う前には、回収された繊維製品と、上述のように、他の有機性廃棄物、及び/又は、既に存在する堆肥とを混合するとよい。混合することにより、微生物の量が増えるため、より堆肥化が進むと考えられる。ここで、回収された繊維製品や、繊維製品と他の有機性廃棄物及び/又は既に存在する堆肥とを混合したものを堆肥原料と称する。
【0104】
例えば、堆肥原料に、わらやおが屑等の副資材を混合してもよい。副資材を混合することにより、堆肥原料と副資材の混合物として、含水率や空隙率を調整することができる。
【0105】
また、例えば、回収された繊維製品を裁断等して、小さくしてもよい。そうすることにより、他の有機性廃棄物や既に存在する堆肥と混合する際に、十分に混合することができ、繊維製品の全体に微生物をいきわたらせることができると考えられる。その結果、より効率的に堆肥化が進むと考えられる。
【0106】
堆肥化工程は、堆積方式や攪拌方式の堆肥化施設を用いてよい。堆積方式の堆肥化施設は、堆肥原料を雨除けの屋根と隔壁で覆うような比較的簡単な構造の施設、いわゆる堆肥場である。重機を用いて、堆肥原料を攪拌することにより、堆肥原料に酸素を供給することが多い。あるいは、堆肥場の床部分にブロワー等の通気機能を備えている施設もある。
【0107】
攪拌方式の堆肥化施設は、機械を用いて自動的に堆肥原料を攪拌する方式の堆肥化施設であり、開放型と密閉型とが存在する。
【0108】
堆肥化工程において、回収された繊維製品は生分解され、生分解後の残渣が堆肥として再資源化される。
【0109】
このように、衣料等の繊維製品が、堆肥という別の形で再度資源として利用できるようになる。繊維製品を廃棄することなく、別途の資源として用いることができるので、廃棄物削減に寄与することができる。
【0110】
本発明の再資源化方法により得られた堆肥は農耕地や緑地等の土壌に用いることができる。堆肥は、土壌の通気性、保肥性、保水性を高める役割を果たす。その結果として、様々な農作物の育成や樹木の生長に寄与することができる。
【0111】
また、本発明の再資源化方法により得られた堆肥を土壌に用いることにより、土壌に固定化される炭素量を増加させることができる。すなわち、大気中の二酸化炭素(CO2)量を削減する効果も期待できる。
【0112】
堆肥化工程においては、上述のとおり、微生物の働きによって繊維製品を生分解し、残渣を堆肥にする。このように、堆肥化工程は、焼却処分のように燃料を用いる必要がない。堆肥化工程において発生するCO2は、実質的に繊維製品それ自体が生分解して発生するCO2のみである。従って、本発明の再資源化方法は、再資源化の際の二酸化炭素(CO2)排出量を最小限にすることができる。
【0113】
[3-3.製造から堆肥化まで]
上述のとおり、本発明の再資源化方法は、実施形態として、製造、流通、回収、及び堆肥化を一連の工程として行ってよい。
【0114】
すなわち、本発明の再資源化方法は、実施形態として、
生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードが付された繊維製品を製造する製造工程と、
製造された前記繊維製品を販売する販売工程と、
販売された前記繊維製品について、前記製品判別コードに基づいて、前記繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品であるかどうかの判別を行い、
前記繊維製品が堆肥化に適合する繊維製品である場合に、該繊維製品を回収する回収工程と、
回収された前記繊維製品を生分解して堆肥にする堆肥化工程と、
を含み得る。
【0115】
図2は、本発明の再資源化方法の実施形態の一例として、繊維製品の製造(S11)、販売による流通(S12)、ユーザーによる使用(S13)、回収(S14~S19)及び堆肥化(S20~S21)の流れを示している。
【0116】
生分解性繊維を含む素材で作られ且つ製品判別コードが付された繊維製品を製造する(S11)。
【0117】
製造された繊維製品をユーザーに販売する(S12)。販売には、実店舗での販売、オンラインでの販売等を含む。別の事業者(商社、卸売業者、小売店等)を経由して、ユーザーに販売されてもよい。
【0118】
次に、通常、ユーザーが、購入した繊維製品を使用する(S13)。
【0119】
ユーザーが回収拠点(例えば、繊維製品の販売店舗)に繊維製品を持ち込む(S14)。通常、ユーザーが使用済みの繊維製品が持ち込まれるが、未使用の状態で持ち込まれることもあり得る。
【0120】
回収拠点に持ち込まれた繊維製品は、上述の[3-1.回収工程]のように回収される。その後、上述の[3-2.堆肥化工程]のように堆肥化される。
図2におけるS15~S21は、
図1におけるS01~S07にそれぞれ対応している。
【0121】
[4.繊維製品の再資源化システム]
本発明の再資源化方法における回収工程に用いることのできる回収システムは、
繊維製品についての製品判別コードと、該繊維製品が堆肥化に適合するか否かの情報とが関連付けられた製品情報が蓄積されたデータベースと、
対象となる繊維製品に付された製品判別コードの読み取り装置と、
読み取られた前記製品判別コードと前記データベースの前記製品情報とを照合し、読み取られた前記製品判別コードの製品情報を前記データベースから抽出し、該製品情報が、堆肥化に適合する旨を示す場合に、該製品判別コードが付された該繊維製品が堆肥化可能であると判断する判定部と、
該繊維製品が堆肥化可能であることを表示する表示部と、
を含む。
【0122】
図3は、本発明の繊維製品の回収システムの実施形態の一例を示すブロック図である。
図3中の矢印(→)は、データ(情報)の流れ方向を示す。本実施形態の回収システムは、データベース1と、読み取り装置2と、判定部3と、表示部4とを含む。
【0123】
データベース1は、製品判別コードと、該製品判別コードが付された繊維製品の情報とが関連付けられた状態で、それら製品情報が蓄積されたものである。製品情報は、繊維製品が堆肥化に適合するか否かの情報を含む。また、製品情報は、さらに、材質、組成、色、サイズ、ブランド名、製品名称、製品の型番、品番、繊維製品の取り扱い方法等を含んでいてもよい。データベース1は、通常、サーバやパーソナルコンピュータ等に格納される。
【0124】
読み取り装置2は、繊維製品に付された製品判別コードを読み取るための装置である。例えば、バーコードリーダーやQRコードリーダー等のリーダー、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の端末である。読み取り装置2で読み取られた製品判別コードの情報は、判定部3に送られる。
【0125】
判定部3は、読み取り装置2で読み取られた製品判別コードが付された繊維製品が、回収可能であるかを判断する。判定部3の実態は、例えば、パーソナルコンピュータや、リーダー、スマートフォン、タブレット端末、PDA等の端末である。あるいは、データベースが存在するサーバ上に存在してもよい。判定部3は、読み取り装置2からデータを受信し、データベース1とデータを送受信し、また、表示部4にデータを送信することができる構成となされている。
【0126】
判定部3は、読み取り装置2から送られた製品判別コードの情報をデータベース1と照合する。データベース1に蓄積されたデータから、読み取り装置2から送られた製品判別コードに関連付けられた製品情報を抽出する。
【0127】
抽出した製品情報が、堆肥化に適合する繊維製品であることを示す情報を含む場合には、判定部3は、読み取り装置2で読み取った製品判別コードが付された繊維製品が、回収可能であると判断する。判定部3は、その判断結果を表示部4に送る。
【0128】
繊維製品が部位ごとに異なる素材で構成されている場合であって、抽出した製品情報が、堆肥化に適合する部位を含む繊維製品であることを示す情報を含む場合には、判定部3は、通常、読み取り装置2で読み取った製品判別コードが付された繊維製品が、堆肥化に適合する部位を含み、回収可能であると判断する。判定部3は、その判断結果を表示部4に送る。
【0129】
また、抽出した製品情報が、堆肥化に適合する繊維製品であることを示す情報を含んでいない場合には、判定部3は、読み取り装置2で読み取った製品判別コードが付された繊維製品が、堆肥化のためには回収不可であると判断する。判定部3は、その判断結果を表示部4に送る。
【0130】
表示部4は、判定部3から送られた判断結果を表示する。表示部の実態は、例えば、リーダー、スマートフォン、タブレット端末、PDA等の端末の表示部であってよい。あるいは、端末とは独立して存在するモニター等であってよい。
【0131】
表示部4に回収可能である旨が表示された場合には、読み取り装置2で読み取った製品判別コードが付された繊維製品を堆肥化工程に供するために回収する。表示部4に回収不可である旨が表示された場合には、読み取り装置2で読み取った製品判別コードが付された繊維製品を、堆肥化工程に供するためには回収しない。例えば、顧客に返却してもよい。あるいは、例えば、再利用や従来のリサイクルを行うために別途回収してもよい。
【0132】
データベース1は、上述のとおり、製品判別コードと、該製品判別コードが付された繊維製品の情報とが関連付けられた状態で、それら製品情報が蓄積されたものである。データベース1には、本発明の回収対象となる繊維製品についての、製品判別コードと、該製品判別コードに関連付けられた製品情報が格納されている。データベース1には、さらに、同一事業者あるいは関連する事業者の他の製品群についての、製品判別コードと、該製品判別コードに関連付けられた製品情報が格納されている場合が多い。また、データベース1には、他の事業者の繊維製品についての、製品判別コードと、該製品判別コードに関連付けられた製品情報が格納されていてもよい。しかしながら、通常は、他の事業者の製品についての情報は格納されていないと考えられる。
【0133】
判定部3が、読み取り装置2から送られた製品判別コードの情報をデータベース1と照合した時に、該当する情報が存在しない場合があり得る。例えば、製品判別コードが付された繊維製品が、他社製品である場合等である。
【0134】
データベース1に、読み取り装置2から送られた製品判別コードの情報が存在しない場合には、判定部3は、該当する情報が存在しないと判断してよい。その場合、表示部4は、該当する情報が存在しない旨を表示する。この場合には、通常、その繊維製品を堆肥化工程に供するためには回収しない。あるいは、判定部3において、読み取り装置2から送られた製品判別コードの情報が存在しない場合には、当該製品判別コードが付された繊維製品が、回収不可であると判断することとしてもよい。
【0135】
このような回収システムを実行するための、プログラムは、
コンピュータに、
読み取られた繊維製品に付されている製品判別コードと、データベースに蓄積された、繊維製品についての製品判別コードと、該繊維製品が堆肥化に適合するか否かの情報とが関連付けられた製品情報とを照合し、
読み取られた前記製品判別コードの製品情報を前記データベースから抽出し、
該製品情報が、堆肥化に適合する旨を示す場合に、該製品判別コードが付された該繊維製品が堆肥化可能であると判断することを実行させ、
さらに、該繊維製品が堆肥化可能であることを表示することを実行させる。
【0136】
ここで、コンピュータは、例えば、パーソナルコンピュータや、リーダー、スマートフォン、タブレット端末、PDA等の端末である。あるいは、データベースが存在するサーバであってもよい。
【実施例】
【0137】
以下に実施例を示し、本発明における堆肥化工程を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に制限されるものではない。
【0138】
生分解性繊維を含む素材で作られた繊維製品について、以下のように堆肥化実験を行った。
【0139】
堆肥化実験は、堆肥場で行った。堆肥場は、堆積方式の堆肥化施設である。堆肥化実験は、堆積された堆肥を重機で攪拌することにより、堆肥全体に酸素を供給しつつ行った。
【0140】
堆肥化実験には、堆肥原料の繊維製品の一例として、Tシャツを用いた。堆肥化実験に用いたTシャツの詳細は以下のとおりである。
ブランド名: Tavitalium Compostable T-shirt
シーズン: SS 2018
製品番号(Product No.): T8XC1103-71
生地番号(Fabric No.):VAPK9556BZ WF
組成(Content): 生分解性ポリエステル100%
スタイル(Style): T-shirt, Sakura, Dekio, M-size
【0141】
堆肥化実験は、次の手順で行った。
【0142】
上記のTシャツ1枚について、堆肥化実験の開始前に外観の写真撮影を行った。その後、Tシャツを堆肥場に埋めた。
【0143】
堆肥場に埋めたTシャツを15日後に取り出した。取り出したTシャツを観察し、その外観の写真撮影を行った。また、堆肥場の堆肥化の活性状態を確認するために、Tシャツ近傍の堆肥温度の測定を行った。15日後の取り出し時におけるTシャツ近傍の堆肥温度は、70.0℃であった。観察したTシャツは、その後、堆肥場に埋め戻した。
【0144】
同様の観察を、堆肥化実験開始から1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、及び12か月後にも行った。各観察時におけるTシャツの外観写真及び取り出し時のTシャツ近傍の堆肥温度を、
図4~6に示す。
【0145】
図4~6に示されるように、Tシャツは、堆肥化実験開始から4か月後には、Tシャツの一部が破れた状態になった。その後、時間経過とともに、Tシャツの生分解が進み、堆肥化実験開始から12か月後には、少量の残渣のみの状態になったことが確認された。
【符号の説明】
【0146】
1 データベース
2 読み取り装置
3 判定部
4 表示部