(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】草刈り用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
A01D 42/00 20060101AFI20240509BHJP
E02F 3/36 20060101ALN20240509BHJP
【FI】
A01D42/00
E02F3/36 A
(21)【出願番号】P 2022205442
(22)【出願日】2022-12-22
【審査請求日】2023-02-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年7月27日にウェブサイトhttps://www.youtube.com/watch?v=sX0EjM4oZRw&t=9sに掲載 〔刊行物等〕 令和4年10月26日にウェブサイトhttps://www.youtube.com/watch?v=Ss3jTsjyBcYに掲載
(73)【特許権者】
【識別番号】511308990
【氏名又は名称】株式会社エルム測建
(74)【代理人】
【識別番号】100185454
【氏名又は名称】三雲 悟志
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】土山 定信
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-034631(JP,A)
【文献】実開昭59-039223(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 42/00
E02F 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダーおよび該シリンダーの長さ方向に伸縮するピストンロッドが取り付けられたアームを備えた
バックホーに取り付けられる草刈り用アタッチメントであって、
上部および側部を有するカバーと、
前記カバーの上部に対して回転可能に配置された刈刃と、
前記アームに取り付けられ、該アームに対してカバーを移動可能に取り付ける取り付け手段と、
前記取り付け手段に固定され、棒状体、板体またはその両方を含む移動規制部と、
前記取り付け手段がカバーに対して離れる方向に移動したときの移動規制部の停止位置に配置された第1停止部と、
前記取り付け手段をアームに対して回転可能に取り付ける第1ピンと、
前記取り付け部に設けられ、第1ピンを中心とした円弧状の開口または溝と、
前記ピストンロッドに直接または間接に取り付けられ、円弧状の開口または溝に沿って移動する第2ピンと、
を備えた草刈り用アタッチメント。
【請求項2】
前記取付け手段が、
前記アームに取り付けられる取り付け部と、
前記カバーと取り付け部の間に配置された連結部と、
前記取り付け部と連結部の間および連結部とカバーの間に配置された回転手段と、
を含む請求
項1の草刈り用アタッチメント。
【請求項3】
前記カバーに車輪が備えられた請求項1または2の草刈り用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホーなどのアームに取り付けられる草刈り用アタッチメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路わきの雑草を草刈り機で刈り取っている。また、下記特許文献1のようにバックホーのアームに取り付ける草刈り用のアタッチメントも開発されている。特許文献1のアタッチメントは、ケーシング、ハンマーナイフ、連結金具、バネ係合板およびコイルバネが備えられている。バックホーでアタッチメントの位置を操作することで、草刈りできる。
【0003】
しかし、特許文献1はバネ係合板がコイルバネの間に配置されており、バネ係合板はコイルバネの上下動に合わせて移動できるが、その移動範囲は限られてしまう。基本的にはアームを操作しながらケーシングを地面に沿わせて移動させる必要がある。地面の凹凸は一定ではなく、アームの操作が難しくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は簡易な操作で草刈りできる草刈り用アタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の草刈り用アタッチメントは、アームを備えた走行手段に取り付けられる。上部および側部を有するカバーと、前記カバーの上部に対して回転可能に配置された刈刃と、前記アーム取り付けられ、該アームに対してカバーの上部を移動可能に取り付ける取り付け手段と、前記取り付け手段に固定され、棒状体、板体またはその両方を含む移動規制部と、前記移動規制部の移動位置において、移動規制部がカバーに対して上方に移動したときの上方停止位置に配置された第1停止部とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、移動規制部が上下に自由に移動でき、アームの動作に対してカバーが追随せず、カバーを地面に追随させて移動させることができる。アームを細かに操作する必要はなく、アームの操作は簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の草刈り用アタッチメントを示す正面図である。
【
図2】本発明の草刈り用アタッチメントを下方から見た図である。
【
図3】本発明の草刈り用アタッチメントを前方から見た図である。
【
図4】移動規制部が第1停止部に接している状態の草刈り用アタッチメントを示す図である。
【
図5】移動規制部が第2停止部に接している状態の草刈り用アタッチメントを示す図である。
【
図6】本発明の草刈り用アタッチメントをアームで天地逆向きにした図である。
【
図7】第1センサおよび第2センサを備えた草刈り用アタッチメントを示す図である。
【
図8】第3センサおよび第4センサを備ええた草刈り用アタッチメントを示す図である。
【
図9】車輪を備えた草刈り用アタッチメントを示す図である。
【
図10】移動規制部が容器に固定された草刈り用アタッチメントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願の草刈り用アタッチメントについて図面を参照して説明する。刈り取る植物を雑草として説明するが、雑草の中に樹木の芽などの他の植物が含まれてもよい。説明の便宜上、図面を模式的に示したり、省略して示したりする場合がある。各図において、x方向は草刈り用アタッチメントの進行方向、y方向は水平に対する鉛直方向、z方向は草刈り用アタッチメントの幅方向とする。xz面が水平面になる。草刈り用アタッチメントを前に移動させるときは
図1の右側に移動させることになり、草刈り用アタッチメントを上昇させるときは
図1の上側に移動させることになる。
【0010】
[実施形態1]
図1、
図2、
図3に示す本発明の草刈り用アタッチメント10は、バックホーなど土木作業または建築作業可能な走行手段のアーム12に取り付けられる。アーム12は複数の駆動手段、たとえば複数の油圧シリンダーが備えられ、駆動手段を操作して動かすことができる。走行手段を走行させ、アーム12を操作することで草刈りを行う。走行と草刈りは同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
【0011】
草刈り用アタッチメント10は、上部14および側部16を備えたカバー18、雑草を刈る刈刃20(
図2)、雑草が集められる収集手段22、カバー18をアーム12に取り付ける取り付け手段24を備える。
【0012】
カバー18を構成する上部14および側部16は鉄、アルミニウム、強化プラスチックなどの板体で構成されている。上部14における幅方向(z方向)の両端下側に側部16が設けられている。雑草を刈り取るとき、上部14が地面に対して間隔をあけて対向し、側部16が地面に対して垂直になる。カバー18に下部は無く、カバー18を下方から見るとカバー18の上部14が視認できる(
図2)。カバー18を地面に対して平行に移動させたとき、カバー18の上部14の下方に雑草が入る。
【0013】
カバー18は刈刃20が刈り取った雑草を周囲に飛び散らさずに収集手段22に集めるためのものである。また、カバー18によって刈刃20に当たった石が飛散することを防止できる。たとえば、カバー18の側部16を道路と平行になるように移動させることで、道路への石の飛散を防止できる。従来、道路わきの草刈り作業では石の飛散を防止するために板またはシートを持った作業員が必要であったが、本発明はそのような作業員を省略することができる。
【0014】
カバー18の上部14は移動方向(x方向)に3の領域に分かれており、両側の高さが異なり、中央は傾斜している。カバー18は地面に対して移動方向前側よりも後側が高くなっている。刈刃20が回転すると、空気の流れは上部14に向かいながら回転する。カバー18の移動方向後側が高くなっており、刈り取られた雑草がカバー18の移動方向後側に流れやすい。さらに、カバー18が移動することで、刈刃20で刈り取られた雑草はカバー18の移動方向の後ろ側に流れやすい。移動方向後側に収集手段22を設けることで、気流に乗った切り取られた雑草を収集手段22に集め易い。
【0015】
なお、図示しているカバー18の形状は一例であり、草刈りに支障がなければ、他の形状にしてもよい。
【0016】
カバー18の移動方向の前側に櫛歯26が設けられている。櫛歯26は複数の板体を平行に並べて構成している。櫛歯26の平面は側部に対して平行になっている。櫛歯26は上部14と同じ材料で構成されてもよい。櫛歯26の間隔よりも大きな石や空き缶は櫛歯26に引っかかり、カバー18の上部14の下方に入ることを防止できる。大きな石や空き缶がカバー18の上部14の下方で刈刃20に当たることを防止できる。また、櫛歯26の間隔を三角点などの基準点よりも狭くしておくことで、基準点を破壊することも防止できる。
【0017】
カバー18の移動方向の後側にも櫛歯26を設けてもよい。カバー18を前後に往復運動させたときに、カバー18の後部でも石などが上部14の下方に入ることを防止する。櫛歯26は板体に限定されず、棒体で構成されてもよい。
【0018】
刈刃20は上部14に対して回転可能に取り付けられている。刈刃20が配置されるのは、上部14における側部16のある側である。刈刃20は帯状になった板体などである。刈刃20が回転することで雑草を切断する。刈刃20の周縁に傾斜を設け、周縁の断面を鋭角にすることで、雑草を切断しやすくしてもよい。また、刈刃20の回転によって空気の流れが生じ、切断された雑草が空気の流れに沿って移動する。刈刃20の回転数を速くすることで雑草が細かく切断され、空気の流れに乗りやすくなる。
【0019】
刈刃20を回転させる駆動装置(図示省略)がカバー18の上部14に取り付けられている。駆動装置は油圧モーターである。走行装置の油圧装置から油圧モーターに動力を得てもよい。なお、防水処理を行うのであれば、駆動装置として電動モーターを用いることも可能である。走行装置のバッテリーから電動モーターの電力を得てもよい。
【0020】
刈刃20を回転させるために、駆動装置の回転軸に取り付けられた第1プーリー(図示省略)、刈刃20の回転軸28に取り付けられた第2プーリー(図示省略)、および第1プーリーと第2プーリーに取り付けられたベルト(図示省略)が備えられてもよい。駆動装置で生じた動力は第1プーリー、ベルトおよび第2プーリーを介して刈刃20に伝えられる。刈刃20に石などが当たったとき、第1プーリーおよび第2プーリーの少なくとも1つでベルトがスリップする。刈刃20に石などが当たった衝撃が駆動装置に伝わらず、駆動装置を保護することができる。
【0021】
上部14の下方側の面に取り付けられたガイド30を備える(
図2)。ガイド30は板体で構成されている。ガイド30は刈刃20の回転円の外周よりも外側に配置され、その回転円よりも径の広い円弧を有している。上部14に対するガイド30の高さは、側部16よりも低くなっている。カバー18の下方に雑草が入りやすくなっている。刈刃20の回転によって生じた空気は刈刃20を中心として、刈刃20から離れるように渦を巻く。その空気はガイド30に当たり、ガイド30に沿って流れる。ガイド30によって上部14の下方側で風路が形成されている。その空気の流れの先に収集手段22を設けておくことで、雑草が収集手段22に向けて流れる。また、カバー18の前部は櫛歯26であり、後部はないため、ガイド30によって雑草がカバー18の前部と後部から逃げないようになっている。
【0022】
カバー18の上部14における移動方向の後ろ側に収集手段22が取り付けられている。収集手段22は筒体32、スクリュー34および容器36を備える。
【0023】
カバー18の上部14に開口38が形成されている。筒体32は一端40と他端42を有し、一端40が上部14の開口38の位置またはその付近に配置される。筒体32の一端40またはその付近がカバー18の上部14の開口38にはめ込まれている。カバー18の下側を流れた雑草は、筒体32の内方を通って容器36に流れるようになっている。
【0024】
スクリュー34は筒体32の内方に配置されている。スクリュー34の一部が筒体32の外に配置されてもよい。スクリュー34は一端44がカバー18の上部14の下側に配置され、他端46が容器36の中に入っている。上述したカバー18の上部14の開口38をスクリュー34が通過している。さらに、スクリュー34の一端44の付近に内板48を設けている。上部14と内板48の高さが異なり、上部14と内板48の間に隙間50がある。ガイド30によって一定方向に流れる空気は上部14と内板48の隙間50に入り、筒体32の一端40およびスクリュー34の一端44がある位置まで流れる。空気が筒体32の一端40から筒体32の中に入り、容器36に流れる。その空気の流れに乗って雑草もカバー18の上部14の下側から隙間50に入り、筒体32の中を流れ、容器36まで流れる。その際、スクリュー34が筒体32の中で雑草を流れやすくしたり、筒体32の中で止まってしまった雑草を容器36まで移動させたりする。スクリュー34の回転軸52は細くする方がよい。スクリュー34の回転軸52が細いことで筒体32の中を空気が流れやすくなり、雑草が筒体32を流れやすくなる。
【0025】
スクリュー34の回転軸52に第3プーリー(図示省略)を取り付けている。この第3プーリーに上記第1プーリーおよび第2プーリーに取り付けられたベルトが取り付けられている。刈刃20とスクリュー34が同時に回転する。
【0026】
スクリュー34の回転速度は刈刃20の回転速度よりも遅い。たとえば、スクリュー34の回転速度は刈刃20の回転速度の約半分である。第2プーリーの半径を第3プーリーの半径よりも小さくし、スクリュー34と刈刃20の回転速度を調節する。スクリュー34の回転速度を刈刃20の回転速度よりも遅くすることで、刈刃20で生じた空気が筒体32の中に入りやすくなっており、その影響で筒体32の中に雑草が入りやすくなっている。
【0027】
筒体32はカバー18の上部14に取り付けられている。また、スクリュー34の他端46と筒体32の他端42は容器36の中に入っており、容器36はカバー18の上部14に取り付けられている。雑草は筒体32を通って容器36の中に入る。筒体32の両端は開放されており、筒体32を通った雑草が容器36の中に入る。
【0028】
容器36は雑草を一時的に溜めるためのものである。容器36は板体または網体で構成される。容器36は上部に蓋体54を備え、ヒンジを介して容器36と蓋体54が取り付けられている。容器36が天地逆を向いたとき、蓋体54が容器36から離れ、容器36の上部が開放される(
図6)。容器36に溜められた雑草を容器36の外に出すことができる。また、容器36および蓋体54を板体で構成した場合、容器36に入った空気を逃がすために、容器36または蓋体54の一部に小穴が設けられてもよい。
【0029】
取り付け手段24はアーム12に対してカバー18を移動可能に取り付けるためのものである。取り付け手段24は、カバー18の上部14における上方側であり、かつ進行方向(x方向)の前側に取り付けられている。取り付け手段24はアーム12の先端部に取り付けられる取り付け部56、カバー14と取り付け部56の間にある連結部58、およびヒンジ60、62を備える。
【0030】
取り付け部56は2枚の板部64および2枚の板部64を固定する固定部66を備える。2枚の板部64がアーム12を挟むようにされ、平面が対向して配置されている。板部64の平面はアーム12の先端部が上下動する方向と同一方向を向いている。
【0031】
アーム12の先端と板部64とが第1ピン68によって取り付けられている。第1ピン68は円柱または円筒になっている。取り付け部56はアーム12の先端部に対して第1ピン68を中心に回転可能になっている。
【0032】
アーム12にはシリンダー70、そのシリンダー70の長さ方向に伸縮するピストンロッド72、そのピストンロッド72の動作に従って動作するリンク棒74、リンク棒74の端部に取り付けられた第2ピン76が備えられる。
【0033】
本説明のシリンダー70は第2ピン76を移動させるためのシリンダーであり、アーム12には他にも複数のシリンダーが備えられ、アーム12が駆動されるようになっている。シリンダー70は油圧シリンダーであり、走行手段に備えられた油圧装置によって駆動されてもよい。シリンダー70はアーム12に対して角度が変えられるように取り付けられてもよい。
【0034】
シリンダー70が駆動することによってピストンロッド72が伸縮される。アーム12にアイドラリンク78が取り付けられている。アイドラリンク78は、アーム12に取り付けられた位置を中心に回転できる。アイドラリンク78にはピストンロッド72およびリンク棒74が取り付けられており、ピストンロッド72の動きに合わせて、アイドラリンク78が回転し、リンク棒74が移動する。そのリンク棒74の移動に合わせて第2ピン76が移動する。
【0035】
第2ピン76を移動させるための構成は上記の構成に限定されず、ピストンロッド72に直接第2ピン76が取り付けられてもよい。
【0036】
第1ピン68を中心とする円弧かつ線状の開口80が板部64設けられている。第2ピン76の長さ方向は板部64の平面に対して垂直方向を向いている。第2ピン76の一部が板部64の開口80に入っている。リンク棒74の動きに合わせて第2ピン76は板部64の開口80に沿って移動する。
【0037】
第2ピン76が開口80の途中に配置されているとき、取り付け部56は第1ピン68を中心として回転できる。草刈りされる地面の傾斜に沿ってカバー18の角度が自由に変化し、カバー18が傾斜に沿って移動できる。第2ピン76が開口80の一端82にあればアームでカバーを持ち上げたり、下降させたりできる。
【0038】
取り付け部56は、上記のようにアーム12に対して第1ピン68を中心にして回転でき、第2ピン76が移動できる開口80が備えられていれば、その構成は特に限定されない。
【0039】
連結部58は板体で構成される。連結部58の断面形状は、四角形、コの字型など任意である。取り付け部56と連結部58が第1ヒンジ60で固定され、カバー18の上部14と連結部58が第2ヒンジ62で取り付けられる。第1ヒンジ60によって取り付け部56と連結部58が互いに回転可能に取り付けられており、第2ヒンジ62によって連結部58とカバー18とが回転可能に取り付けられている。このように回転可能に取り付けられるのであれば、第1ヒンジ60と第2ヒンジ62を他の回転手段に取り換えることができる。取り付け部56がカバー18に対して移動することで、連結部58を介してカバー18が移動させられる。
【0040】
取り付け部56に移動規制部84が固定されている。移動規制部84はカバー18の上部上方または側方の上方に配置されている。移動規制部84は棒状体、板体またはその両方を含むように構成される。各図では、移動規制部84は帯状の板体であるが、その形状等は特に限定されない。また、移動規制部84は板バネまたは単なる金属等で構成される。
【0041】
移動規制部84は固定部66の幅方向の両端にそれぞれ固定されている。移動規制部84の一部が進行方向の後方に向けてはみ出すようにして固定部66に固定されている。
図3では2個の移動規制部84は水平に対する高さが一致するように配置されている。
【0042】
移動規制部84の移動位置に第1停止部86が備えられる。第1停止部86は移動規制部84がカバー14に対して上方(離れる方向)に移動したときに接する(
図4)。カバー14に対する移動規制部84の上方への移動が停止される。言い換えると、移動規制部84の停止位置に第1停止部86が配置される。この停止位置は任意の位置に設定することができるが、
図4に示すように、アーム12および取り付け手段24が最もカバー18から離れた位置になることが好ましい。移動規制部84がカバー18と第1停止部86の間を動くため、その動く距離が大きくなるためである。
【0043】
移動規制部84の移動位置に第2停止部88が備えられてもよい。第2停止部88は移動規制部84がカバー18に対して下方(近づく方向)に移動したときに接し、移動規制部84の下方への移動を停止させるものである(
図5)。移動規制部84の移動下限の位置に第2停止部88が配置される。なお、取り付け部56がカバー18に向かって降下したとき、連結部58またはヒンジ60、62がカバー18の上部14に接したとき、それ以上は取り付け部56がカバー18に向けて降下しない。その状態における移動規制部84の位置を移動下限としてもよい。また、そのような位置で移動規制部84が降下しなくなるため、第2停止部88は省略することも可能である。
【0044】
第1停止部86および第2停止部88はカバー18、容器36またはその両方に直接または間接に固定される。たとえば、
図3では、第1停止部86が容器36に固定され、第2停止部88がカバー18に固定されている。
【0045】
第1停止部86および第2停止部88は棒状体、板体またはその両方で構成される。移動規制部84が上限位置と下限位置で停止されるのであれば、第1停止部86と第2停止部88の形状などは特に限定されない。
【0046】
カバー18を前方に移動させて雑草を刈るときは、アーム12が前方に移動し、その移動に応じてカバー18も移動する。その際、アーム12とカバー18を取り付ける取り付け手段24はヒンジ60、62を備えているため、アーム12が上下動してもカバー18の側部16が地面に接しながら移動する。すなわち、カバー18はアーム12に引きずられるようにして移動できる(
図1)。また、アーム12とシリンダー70を操作して第2ピン76を開口80の途中に配置しておくことで、地面の傾斜に合わせてカバー18の角度が変化できる。アーム12を地面の形状に合わせて操作する必要はなく、自動的にカバー18が地面の形状に合わせて移動される。連結部58およびヒンジ60、62がアーム12とカバー18との間で緩衝材の働きを有しているため、カバー18に生じた衝撃が吸収され、アーム12からカバー18が外れたり、破損したりすることを防止しやすい。
【0047】
カバー18を持ち上げるときは、アーム12の先端を地面から離れる方向(y方向)に移動させる。その際、取り付け部56がカバー18から離れる方向に移動し、移動規制部84の一部が第1停止部86に接する(
図4)。さらに、第2ピン76が開口80の一端82に接するようにアーム12およびシリンダー70を操作する。取り付け部56、連結部58およびヒンジ60、62によってカバー18が地面から離れるように引っ張り、さらに移動規制部84で第1停止部86が支えられる。蓋体54を水平にした状態を維持してカバー18が持ち上げられる。
【0048】
アーム12を上昇させた状態で第2ピン76を開口80の他端90に接するようにアーム12およびシリンダー70を操作する。たとえば、第2ピン76の位置を上昇させていくことで容器36が回転して傾き、やがては容器36が重力によって下方に向くように回転する。その際、取り付け部64も容器36と一緒に回転し、第2ピン76が開口80の他端90に配置された状態で停止する(
図6)。さらに、連結部58も一緒に角度が変化し、少なくとも取り付け部64,連結部58、ヒンジ60、62の一部または全部がカバー18の上部14に接する。そして、第1停止部86に接していた移動規制部84の一部が第1停止部86から離れ、カバー18の上部14に向けて移動する。移動規制部84は第2停止部88に接する。容器36は
図6の状態から下方に下がろうとするが、移動規制部84がカバー18を支え、容器36の上部が下方を向いた状態を維持できる。容器36の上部から蓋体54が開き、容器36から雑草を出すことができる。容器36の上部を水平に向けた状態を維持することができ、雑草を安定して取り出すことができる。アーム12とシリンダー70を操作して、トラックの上に草刈り用アタッチメント10をもっていき、トラックの荷台に雑草を取り出すことで、従来あった人による雑草の積み込み作業を省略できる。
【0049】
図6の状態からアーム12およびシリンダー70を操作し、第2ピン76が開口80の一端82に接するように操作し、カバー18を下降させる。カバー18が地面に接し、さらにアーム12を下げると移動規制部84が上部停止部86から離れる。移動規制部84を上部停止部86と下部停止部88の間に配置することで、再び草刈りを行うことができる。
【0050】
以上のように、取り付け手段24に移動規制部84を固定し、移動規制部84の一部でカバー18の上部14または第1停止部86を支えることができる。カバー18を持ち上げたり、天地逆向きにしたりしたときに、カバー18の位置を維持できる。雑草を収容した容器36を上昇させ、トラックに雑草を入れることができる。作業員によって刈り取られた雑草を収集するに必要は無く、作業が簡略化され、作業員の人数を減らせる。雑草を刈り取っているときは、カバー18が固定されていないため、カバー18が地面の形状に追随して動く。アーム12でカバー18の位置を細かく動かす必要なく、草刈りが容易になる。従来のようにカバー18を破損したり、三角点などを破損したりすることを防止できる。
【0051】
[実施形態2]
カバー18の地面への押圧を検知するための第1センサ92およびカバー18の地面からの浮遊を検知するための第2センサ94を備えてもよい(
図7)。第1センサ92はカバー18の上部14に取り付けられており、取り付け部56の位置を検知する。取り付け部92を下方に移動させすぎて、カバー18が地面に押さえつけてしまうことを検知する。第2センサ94はカバー18の側部16に取り付けられており、地面に対するカバー18の浮遊を検知する。各センサ92、94は電磁波または光等によって非接触で物体を検出するセンサまたは物理的な接触によるスイッチングによって物体を検出するセンサを利用する。
【0052】
各センサ92、94で検知された値は走行手段のコックピットに送信され、コックピットで表示されてもよい。たとえば、第1センサ92が取り付け部92の近接を検知すると、コックピットでモニターに表示したり、ランプを点灯させたりする。取り付け部92を下方に移動させすぎて、カバー18が地面に押さえつけてしまうことを操作者に知らせることができる。また、第2センサ94が地面の近接を検知できなくなれば、コックピットでモニターに表示したり、ランプを点灯させたりする。カバー18が地面から浮いてしまっていることを操作者に知らせることができる。操作者はランプの表示を見てアーム12を操作することで、移動規制部84の位置を第1停止部86と第2停止部88の間になるように操作できる。
【0053】
上記した第1センサ92および第2センサ94は両方を備えることに限定されず、いずれか一方のみを備えていてもよい。
【0054】
[実施形態3]
第1センサ92は第2停止部88に取り付けられてもよい。移動規制部84が第2停止部88に近接することを検知してもよい。取り付け部56が下がり過ぎ、カバー18で地面を押さえすぎないように、第1センサ92で検知する。その他、カバー18による地面への押圧を検知できるのであれば、第1センサ92の位置と検知する部分は限定されない。
【0055】
[実施形態4]
第2センサ94は第1停止部86に取り付けられてもよい。第2センサ94は第1停止部86に対する移動規制部84の近接を検知してもよい。移動規制部84が上昇しすぎ、カバー18が地面から浮いてしまわないように、第2センサ94で検知する。その他、カバー18が地面から浮遊することを検知できるのであれば、第2センサ94の位置と検知する部分は限定されない。
【0056】
[実施形態5]
開口80の中における第2ピン76の位置を検出する第3センサ96および第4センサ98を備えてもよい(
図8)。第3センサ96は第2ピン76が線状の開口80の一端82に近接したことを検知し、第4センサ98は第2ピン76が線状の開口80の他端90に近接したことを検知する。各センサ96、98は電磁波等によって非接触で物体を検出するセンサまたは物理的な接触によるスイッチングによって物体を検出するセンサを利用する。第3センサ96および第4センサ98は板部64に取り付けられる。第3センサ96および第4センサ98で検知された値は走行手段のコックピットに送信され、コックピットでモニターに表示したり、ランプを点灯させたりしてもよい。
【0057】
草刈り中は第2ピン76が開口80の一端82と他端90の間にあることで、カバー18の角度が固定されず、カバー18が地面の角度に追随して変化できる。第2ピン76が開口80の一端82または他端90まで到達し、さらに移動しようとするとカバー18の角度が変化する。地面の角度にカバー18が追随しないおそれがある。第3センサ96および第4センサ98が第2ピン76の近接を検知し、コックピットのモニターに表示したり、ランプを点灯させたりすることで、操縦者がアーム12およびシリンダー70を操作する。第2ピン76を開口80の中間位置に配置しやすくなっている。
【0058】
第3センサ96と第4センサ98は2枚の板部64の両方に備えられてもよいし、一方に備えられてもよい。第2ピン76が開口80の一端82または他端90に到達したことを検知できるのであれば、第3センサ96と第4センサ98の位置は限定されない。
【0059】
[実施形態6]
上記第1センサ92、第2センサ94、第3センサ96および第4センサ98が検知した値を用いて、アーム12、シリンダー70またはその両方を制御してもよい。走行手段のコンピュータに各センサ92、94、96、98の値を入力し、自動的にアーム12等が制御されるようにする。地面に対するカバー18の距離および角度が一定になるように調節できるようにする。
【0060】
なお、カバー18と地面との距離を自動で制御する場合、第1センサ92と第2センサ94の値を利用し、地面に対するカバー18の角度を自動で制御する場合、第3センサ96と第4センサ98の値を利用する。地面に対するカバーの距離または角度のいずれかのみを自動制御する場合、第1センサ92と第2センサ94の値のみを利用したり、第3センサ96と第4センサ98の値のみを利用したりしてもよい。
【0061】
[実施形態7]
カバー18に車輪100が備えられてもよい(
図9)。車輪100はカバー18の側部16に回転可能に取り付けられ、車輪100が地面に接するようにする。車輪100が地面に接することで、カバー18の移動が容易になる。カバー18が地面の凹凸に引っ掛かると走行手段の走行にも影響が出るが、走行手段の走行が安定しやすい。
【0062】
車輪100はカバー18の内側に配置されてもよいし、外側に配置されてもよい。
図9では車輪100のカバー18の進行方向の後側に配置されているが、カバー18の進行方向後側、前側、中央のいずれに配置されてもよい。車輪100が配置できるように、カバー18の形状を決定してもよい。
【0063】
車輪100の数は複数であってもよい。1つの側部16に複数の車輪100が回転可能に取り付けられてもよい。複数の車輪100が地面に接し、カバー18が地面に接しないようにする。複数の車輪100でカバー18の姿勢を安定させることができる。
【0064】
車輪100を回転させる駆動手段が備えられてもよい。上記した油圧モーターの動力を車輪に伝えるようにしてもよい。車輪100の駆動手段が走行手段のコンピュータで制御されるように構成し、車輪100の移動速度と走行手段の走行速度の同期をとれるようにしてもよい。
【0065】
[実施形態8]
草刈り用アタッチメント10の周囲、たとえば草刈り用アタッチメント10の進行方向の前、後、またはその両方を撮影できるカメラを備えてもよい。カメラはアーム12、カバー18または容器36などに取り付けられてもよい。草刈り用アタッチメント10の周辺の状況をカメラで撮影する。カメラは動画、静止画またはその両方が撮影できるカメラを使用する。草刈りの前、途中および後の状況をカメラで撮影できる。カメラの映像をコックピットに送信し、草刈り用アタッチメント10の周辺の状況をモニターに表示させてもよい。走行手段のコックピットと地面とが離れていても、草刈りの状況を確認できることができる。
【0066】
カメラで撮影された映像は汎用のメモリなどに記憶できるようにしてもよい。撮影された画像を保存し、必要に応じて利用する。走行手段に通信装置を取り付け、通信装置によって撮影された画像のデータを送信できるようにしてもよい。通信装置に接続された所望のコンピュータの記憶手段に画像のデータを保存できるようにしてもよい。
【0067】
[実施形態9]
取り付け部56に移動規制手段64が固定されれば、その固定位置は限定されない。移動規制手段64の移動方向に第1停止部86と第2停止部88が設けられる。
【0068】
[実施形態10]
第2ピン76が入る開口80は、板部64を貫通していたが、板部64に設けられた溝であってもよい。その溝は第1ピン68を中心とした円弧かつ線状である。溝の中に第2ピン76の端部が入れられる。
【0069】
[実施形態11]
上記実施形態では移動規制部84が取り付け手段24に固定されており、アーム12の上下動に応じて移動規制部84が移動したが、その構成に限定されない。たとえば、
図10の草刈り用アタッチメント102のように、移動規制部104を容器36に固定されてもよい。さらに、第1停止部106を取り付け手段24の固定部66に設ける。第1停止部106は取り付け手段24と一緒に移動できる。その移動位置に移動規制部104が配置されている。そのため、取り付け手段24がカバー18から離れるように移動すると、第1停止部106が移動規制部104に接する。
図10の状態でさらにアーム12および取り付け手段24が上昇すると、第1停止部106が移動規制部104を支えて上昇する。カバー18が安定して上昇する。すなわち、上記の実施形態と同じようにカバー18を上昇させることができる。
【0070】
図10において移動規制部104は容器36に固定されたが、カバー18に移動規制部104が固定されてもよい。移動規制部104はカバー18に直接または間接に固定されれば、その構成は限定されない。
【0071】
第1停止部106は取り付け手段24の固定部66に固定されたが、移動規制部104を支持することができるのであれば、他の位置に固定されてもよい。また、第1停止部106は取り付け手段24だけでなく、アーム12に固定されてもよい。
【0072】
[実施形態11]
連結部58は板体に限定されず、第1ヒンジ60と第2ヒンジ62に取り付けられる構造であれば、棒状体などであってもよい。また、連結部58の数は1つに限定されない。複数の連結部58を設け、それらがヒンジで取り付けられるようにする。また、上記実施形態ではカバー18の上部14に第2ヒンジ62が直接取り付けられたが、カバー18に他の部材を取り付け、その部材に第2ヒンジ62を取り付けてもよい。
【0073】
[実施形態12]
刈刃20で雑草を切断できれば、刈刃20の形状は限定されない。たとえば、チェーンソーのチェーンを刈刃20として利用してもよい。
【0074】
[実施形態13]
収集手段22はカバー18の上部14に取り付けられていたが、カバー18の後方などに取り付けられてもよいし、アーム12に別途取り付けられてもよい。刈刃20で刈り取られた雑草が収集できれば、その構成は限定されない。たとえば、送風機などで風を生じさせ、刈り取られた雑草が風に乗って容器に流れるようにしてもよい。
【0075】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0076】
10、102:草刈り機用アタッチメント
12:アーム
14:カバーの上部
16:カバーの側部
18:カバー
20:刈刃
22:収集手段
24:取り付け手段
26:櫛歯
28:刈刃の回転軸
30:ガイド
32:筒体
34:スクリュー
36:容器
38:上部の開口
40:容器の一端
42:容器の他端
44:スクリューの一端
46:スクリューの他端
48:内板
50:上部と内板との隙間
52:スクリューの回転軸
54:蓋体
56:取り付け部
58:連結部
60、62:ヒンジ(回転手段)
64:板部
66:固定部
68:第1ピン
70:シリンダー
72:ピストンロッド
74:リンク棒
76:第2ピン
78:アライドリンク
80:開口
82:開口の一端
84、104:移動規制部
86、106:第1停止部
88:第2停止部
90:開口の他端
92、94、96、98;センサ
100:車輪
【要約】
【課題】簡易な操作で草刈りできる草刈り用アタッチメントを提供する。
【解決手段】草刈り用アタッチメント10は、上部14および側部16を備えたカバー18、雑草を刈る刈刃20、雑草が集められる収集手段22、カバー18をアーム12に取り付ける取り付け手段24を備える。取り付け手段24はアーム12に対してカバー18を移動可能に取り付ける。取り付け手段24は、カバー18の上部14における上方側であり、かつ進行方向の前側に取り付けられている。取り付け手段24はアーム12に取り付けられる取り付け部56、カバー14と取り付け部56の間にある連結部58、およびヒンジ60、62を備える。
【選択図】
図1