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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】シール装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20240509BHJP
   A61C 1/08 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
F16J15/10 C
F16J15/10 T
A61C1/08 F
A61C1/08 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022532945
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 JP2020025970
(87)【国際公開番号】W WO2022003894
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000130776
【氏名又は名称】株式会社サンギ
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 俊人
(72)【発明者】
【氏名】石崎 勉
(72)【発明者】
【氏名】荒川 正嘉
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-007838(JP,A)
【文献】特開2014-238137(JP,A)
【文献】特開2001-140718(JP,A)
【文献】特開2009-216196(JP,A)
【文献】特開2013-083316(JP,A)
【文献】米国特許第2463336(US,A)
【文献】米国特許第6527304(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/10
A61C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質が通過する第1流路が形成される第1流路部材と、
前記第1流路部材と連結部を介して着脱自在に連結されるとともに、前記第1流路と分離可能に連結される第2流路が形成される第2流路部材と、
前記第1流路部材又は前記第2流路部材に、前記第1流路又は前記第2流路の一部となって流路方向に摺動可能に保持される筒状の本体部と、前記本体部の一端部から外周方向に突出するフランジ部とを有するシール部材変形手段と、
前記連結部の隙間に配置されるとともに、前記本体部を保持する前記第1流路部材又は前記第2流路部材のいずれか一方と、前記フランジ部との間に溝幅可変に形成される溝部に配置される弾性を有するシール部材と
を備え、
前記第1流路部材と前記第2流路部材とを連結する際に、前記フランジ部を前記第1流路部材又は前記第2流路部材のいずれか他方に当接させて前記第1流路と前記第2流路とを連結させると、前記シール部材変形手段が前記第1流路部材又は前記第2流路部材のいずれか他方によって押圧されて流路方向に摺動し、これに伴って前記フランジ部が前記溝部の溝幅が狭められるように移動することにより、前記溝部に配置された前記シール部材が圧縮されながら変形し、
前記第1流路部材と前記第2流路部材との連結を解除する際に、前記フランジ部が前記第1流路部材又は前記第2流路部材のいずれか他方から離間すると、前記溝部に配置された前記シール部材の弾性力によって前記フランジ部が押されて、前記フランジ部が前記溝部の溝幅が広げられるように移動することによって、前記シール部材が元の形状に戻ることを特徴とするシール装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記第1流路部材又は前記第2流路部材のいずれか一方側に設けられた雄型連結部と、前記第1流路部材又は前記第2流路部材のいずれか他方側に設けられた雌型連結部とを含み、前記雌型連結部内に前記雄型連結部が挿入されて、前記第1流路部材と前記第2流路部材とが連結される請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記シール部材は、前記雄型連結部の外周面と前記雌型連結部の内周面との間の隙間に配置され、前記第1流路部材と前記第2流路部材とを連結すると、外周方向に突出する請求項2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記溝部は、前記シール部材が圧縮されながら変形するに際して、前記シール部材を外周方向に案内するテーパ面を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離可能に連結された流路の隙間から物質が漏洩することを防止するシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液体やガス等の物質の漏洩を防止するシール装置が知られている。
例えば、この種のシール装置は、図13に示すように、物質の供給通路として機能する分離可能に連結される2つの流路部材200,201のうち、一方の流路部材200側の外周先端部に周溝205を形成し、この周溝205にOリングと称される環状ゴム製のシール部材206を保持する。Oリング206は、流路部材200,201同士を連結する際に、流路部材200,201に弾圧状に接触して連結部210の隙間Sを塞ぐことで、連結部210の隙間Sから物質が漏洩することを防止する。
【0003】
また、分離可能な流路を有する歯科用ハンドピースにおいて、流路の連結部に複数のOリングを並列配置することで、連結部の隙間からエアや液体が漏洩することを防止するシール装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3920281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、粒径が0.1~10μm程度の粉末状の固体微粒子が供給される流路に上述したシール装置を適用したところ、連結部の隙間から固体微粒子が漏れる不具合を生じた。その理由は、液体であれば、その性質上、表面張力によって連結部の隙間に入り込みにくく、Oリングにかかる圧力が低いため、物質の漏洩が生じにくいが、固体微粒子は、隙間に入り込み易く、液体よりも高い圧力がOリングに作用するため、物質の漏洩が生じると考えられる。
【0006】
また、物質の漏洩を抑制すべく、Oリングの弾性力を低くすることが考えられるが、この場合、Oリングと流路部材との接触抵抗が高くなるため、2つの流路を連結する際や連結を解除する際の操作性が低下する虞がある。
【0007】
本発明は、上記したような事情に鑑みてなされた発明であって、2つの流路の連結部の隙間から物質が漏洩することを確実に防止できるシール装置の提供を第一の目的とし、2つの流路を連結する際と連結を解除する際の操作性を容易に向上可能なシール装置の提供を第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るシール装置は、物質が通過する第1流路が形成される第1流路部材と、前記第1流路部材と連結部を介して着脱自在に連結されるとともに、前記第1流路と分離可能に連結される第2流路が形成される第2流路部材と、前記第1流路部材又は前記第2流路部材に、前記第1流路又は前記第2流路の一部となって流路方向に摺動可能に保持される筒状の本体部と、前記本体部の一端部から外周方向に突出するフランジ部とを有するシール部材変形手段と、前記連結部の隙間に配置されるとともに、前記本体部を保持する前記第1流路部材又は前記第2流路部材のいずれか一方と、前記フランジ部との間に溝幅可変に形成される溝部に配置される弾性を有するシール部材とを備え、前記第1流路部材と前記第2流路部材とを連結する際に、前記フランジ部を前記第1流路部材又は前記第2流路部材のいずれか他方に当接させて前記第1流路と前記第2流路とを連結させると、前記シール部材変形手段が前記第1流路部材又は前記第2流路部材のいずれか他方によって押圧されて流路方向に摺動し、これに伴って前記フランジ部が前記溝部の溝幅が狭められるように移動することにより、前記溝部に配置された前記シール部材が圧縮されながら変形し、前記第1流路部材と前記第2流路部材との連結を解除する際に、前記フランジ部が前記第1流路部材又は前記第2流路部材のいずれか他方から離間すると、前記溝部に配置された前記シール部材の弾性力によって前記フランジ部が押されて、前記フランジ部が前記溝部の溝幅が広げられるように移動することによって、前記シール部材が元の形状に戻る構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2つの流路を連結する際と連結を解除する際の操作性を向上させつつ、2つの流路の連結部の隙間から物質が漏洩することを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るシール装置が適用されたハンドピースを備えるパウダージェット・デポジション装置の全体図である。
図2】連結解除状態のハンドピースを示す説明図である。
図3】連結解除状態のハンドピースの要部断面を示す説明図である。
図4】連結状態のハンドピースの要部断面を示す説明図である。
図5】シール装置の動作例を示す説明図であり、(a)は連結中のシール装置の状態を示す説明図、(b)は連結後のシール装置の状態を示す説明図、(c)は連結解除後のシール装置の状態を示す説明図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るシール装置を模式的に示す説明図である。
図7】本発明の第3実施形態に係るシール装置を模式的に示す説明図である。
図8】本発明の第4実施形態に係るシール装置を模式的に示す説明図である。
図9】本発明の第5実施形態に係るシール装置を模式的に示す説明図である。
図10】本発明の第6実施形態に係るシール装置を模式的に示す説明図である。
図11】本発明の第7実施形態に係るシール装置を模式的に示す説明図である。
図12】本発明の第8実施形態に係るシール装置を模式的に示す説明図である。
図13】従来例に係るシール装置を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
[PJD装置]
本発明に係るシール装置は、例えば、歯科治療に使用されるパウダージェット・デポジション装置(以下、「PJD装置」と称する。)に好適に適用される。PJD装置とは、常温常圧下で、固体微粒子を対象物に向けて高速で噴射し、衝突させて、対象物上に固体微粒子が付着してなる成膜層を形成する成膜加工(パウダージェット・デポジション法)に用いる装置である。固体微粒子としては、一般に、粒径が0.1~10μm程度の粉末状の微粒子が用いられる。PJD装置を用いた成膜加工は、種々の技術分野で実用化が試みられている。
【0013】
図1は、PJD装置1の一例を示しており、患者の歯の表面に向けて固体微粒子を噴射するノズル18が設けられたハンドピース10と、固体微粒子を空気又は窒素ガスなどの気体で混合・分散させ、分散処理された所定の粒径の固体微粒子を気体の噴流に乗せてハンドピース10に供給する微粒子供給ユニット11とを備える。図1に示す一例において、ハンドピース10と微粒子供給ユニット11とは、コネクタ12により分離可能に連結されたホースなどの配管を介して接続される。
【0014】
本発明に係るシール装置は、例えば、このようなPJD装置1において、ハンドピース10やコネクタ12などの内部に形成された、分離可能に連結される流路の連結部に好適に適用することができ、連結された流路の連結部の隙間を塞ぐとともに、流路の気密性を高めて固体微粒子の流れ(流速や流量)を安定化させる装置として用いられる。
【0015】
[第1実施形態]
本発明に係るシール装置を、ハンドピース10の内部に形成された流路16(16A,16B)の連結部15に適用した第1実施形態について説明する。
【0016】
ハンドピース10の内部には、固体微粒子を気体の噴流に乗せて流通させるための固体微粒子流路16が、軸線方向に沿って延在するように形成されている。これにより、ハンドピース10の後端側から供給された固体微粒子が、固体微粒子流路16を流通して、ハンドピース10の先端側に設けられたノズル18から噴射されるようにしている。
【0017】
ハンドピース10は、図2に示すように、前部筐体(第1流路部材)13と後部筐体(第2流路部材)14とに分離可能であり、前部筐体13と後部筐体14とが、連結部15を介して着脱自在に連結される。そして、前部筐体13と後部筐体14のそれぞれ内部には、第1流路16Aと第2流路16Bが形成されており、前部筐体13と後部筐体14とを連結した際に、第1流路16Aと第2流路16Bとが連結されて固体微粒子流路16を形成し(図4参照)、前部筐体13と後部筐体14との連結を解除すると、固体微粒子流路16が第1流路16Aと第2流路16Bとに分離されるようにしてある(図3参照)。
【0018】
連結部15は、前部筐体13側に設けられた雌型連結部15Aと、後部筐体14側に設けられた雄型連結部15Bとを含み、雌型連結部15A内に雄型連結部15Bが挿入されて、前部筐体13と後部筐体14とが連結されるように構成し得るが、雌型連結部15Aと雄型連結部15Bの具体的な構成は、特に限定されない。前部筐体13側を雄型、後部筐体14側を雌型として、連結部15を構成するようにしてもよい。
【0019】
図示する例において、雌型連結部15Aは、前部筐体13の後部に階段状に形成される2つの凹部21,22を備えている。これらの凹部21、22は、円筒状の第1凹部21と、第1凹部21の後方に形成され、第1凹部21よりも拡径に形成された円筒状の第2凹部22とを備え、第1凹部21の中心部に第1流路16Aが形成されている。
【0020】
一方、雄型連結部15Bは、後部筐体14の前部に階段状に形成され、雌型連結部15Aの2つの凹部21,22に挿入される2つの凸部23,24を備えている。これらの凸部23,24は、外周が円形状であって、第1凹部21に挿入される第1凸部23と、第1凸部23の後方であって第1凸部23よりも拡径に形成され、第2凹部22に挿入される第2凸部24とを備え、第1凸部23の中心部に第1流路16Aと連結される第2流路16Bが形成されている。
【0021】
また、前部筐体13と後部筐体14との連結部15には、連結部15の隙間から固体微粒子や気体が外部に漏洩することを防止するために、第2凹部22と第2凸部24との間をシールする第1のシール機構40と、第1凹部21と第1凸部23との間をシールする第2のシール機構50とが設けられている。
図示する例にあっては、第2のシール機構50に、本発明に係るシール装置が適用される。
【0022】
第1のシール機構40は、第2凸部24の外周面に形成された周溝41と、周溝41に保持されるシール部材42とを備える。前部筐体13と後部筐体14とを連結すると、シール部材42が、第2凸部24の外周面24aと第2凹部22の内周面22aとに弾性的に接触することで、第2凸部24の外周面24aと第2凹部22の内周面22aとの間の隙間が塞がれる。
【0023】
図3及び図4に示すように、第2のシール機構50は、可動部材30(シール部材変形手段)と、シール部材52とを備える。可動部材30は、円筒状の本体部32と、この本体部32と一体的に形成され、本体部32の前端部から外周方向に突出したフランジ部33とを有している。可動部材30の本体部32は、それ自身が第2流路16Bの一部となって、第2流路16Bが形成される後部筐体14に、流路方向に摺動可能に保持される。シール部材52は、可動部材30の本体部32、フランジ部33及び第1凸部23の前端部壁23aによって形成される溝部51に配置される。この溝部51は、後部筐体14とフランジ部30との間に溝幅可変に形成されており、可動部材30が流路方向に摺動することによって、溝部51の溝幅が変化する。
なお、可動部材30は、可動部材30を保持する後部筐体14の内周面に形成される円環状の周溝36に配置された、ゴム状のOリング37によって小さい抵抗を以て往復運動可能に配置される。
【0024】
前部筐体13と後部筐体14とを連結すると、図5(b)に示すように、シール部材52が変形して、第1凸部23の外周面23bと第1凹部21の内周面21aとの間の隙間を塞ぐことで、第1流路16Aと第2流路16Bの連結部分から固体微粒子が外部に漏洩することを防止する。このような第2のシール機構50の具体的な動作例について、図5を参照して説明する。
【0025】
前部筐体13と後部筐体14とを連結する際に、雄型連結部15Bの第1凸部23が、雌型連結部15Aの第1凹部21に挿入されると、図5(a)に示すように、可動部材30のフランジ部33が第1凹部21の前端部壁21bに当接する。可動部材30のフランジ部33が第1凹部21の前端部壁21bに当接するまでの間は、シール部材52と第1凹部21の内周面21aとの間に僅かな隙間が生じるため、抵抗なく第1凸部23を第1凹部21に挿入することが可能となり、操作性の向上が図れる。
【0026】
また、図5(a)の状態からさらに第1凸部23が挿入されると、図5(b)に示すように、可動部材30は前端部壁21bに押圧されて図中矢印に示すように後方に摺動し、これに伴ってフランジ部33が移動することにより、溝部51が幅51bに狭められてシール部材52に外力を加える。これにより、シール部材52は、圧縮されながら外周方向に突出するように変形し、第1凸部23の外周面23bと第1凹部21の内周面21aとの間の隙間を確実に塞ぐ。
【0027】
また、前部筐体13と後部筐体14との連結を解除して、前部筐体13(雌型連結部15A)から後部筐体14(雄型連結部15B)を引き抜く際には、図5(c)に示すように、第1凹部21の前端部壁21bから可動部材30のフランジ部33が離間するとともに、シール部材52の弾性力によってフランジ部33が押され、図中矢印に示すように、フランジ部33が前方へと移動し、溝部51が元の状態の幅51aに広げられる。これにより、シール部材52への外力が取り除かれて、シール部材52は、弾性変形によって元の形状に復帰した状態で溝部51に収容される。このため、シール部材52と第1凹部21の内周面21aとの間に僅かな隙間が生じ、抵抗なく後部筐体14を引き抜くことが可能となり、操作性の向上が図れる。
【0028】
また、第1凸部23の前端部壁23aは、後方に向かって徐々に拡径するように傾斜するテーパ面を有する。このようにすれば、シール部材52が変形するための空間を確保できるとともに、フランジ部33がシール部材52に外力を加えたとき、テーパ面でシール部材52を外周方向に案内することにより、シール部材52の第1凹部21の内周面21aに対する接触圧を高めることができる。
また、ハンドピース10を分離する際には、シール部材52が元の形状に戻り易くするための空間を確保できるとともに、可動部材30の移動が容易になる。
【0029】
なお、本実施形態では、シール部材52と第1凹部21の内周面21aとの間に所定の隙間を確保するが、この隙間は必ずしも確保する必要はない。好適には、ハンドピース10を分離する際に、必要最低限の接触圧でシール部材52を接触させ、連結時には固体微粒子の漏洩を防止するのに必要な接触圧でシール部材52を接触させるように溝部51やシール部材52の外径や硬さ等が適宜設定される。また、シール部材52は、弾性変形可能であればどのような材質や形状であっても構わないが、一例として、ゴム状のOリングが用いられる。
【0030】
本実施形態に係るシール装置として、以上のように構成された第2のシール機構50は、固体微粒子が通過する第1流路16Aと、第1流路16Aと分離可能に連結される第2流路16Bと、第1流路16Aと第2流路16Bとの連結部15の隙間に保持されるシール部材52と、第1流路16Aと第2流路16Bとを連結する際に、シール部材52に対して機械的に外力を加えて、シール部材52を変形させて連結部15の隙間を塞ぐ可動部材30とを備えている。
また、可動部材30は、第1流路16Aと第2流路16Bとの連結を解除する際に、シール部材52に機械的に加わっている外力を取り除くことにより、変形したシール部材52を元の形状に戻ることを許容するように構成されている。
【0031】
したがって、連結状態ではシール部材52の接触圧を高め、連結操作時や連結解除操作時にはシール部材52の接触圧を低下させることができるので、連結操作時や連結解除操作時の操作性を向上させつつ、連結部15の隙間から物質が漏洩することを確実に防止することが可能になる。
【0032】
また、第1凸部23の前端部壁23aは、後方に向かって徐々に拡径するように傾斜するテーパ面を有するので、シール部材52が変形するための空間を確保できるとともに、フランジ部33がシール部材52に外力を加えたとき、テーパ面でシール部材52を外周方向に案内することにより、シール部材52の第1凹部21の内周面21aに対する接触圧を高めることができる。
【0033】
[第2~8実施形態]
次に、本発明の第2~第8の実施形態に係るシール装置について、図6図12を参照して説明する。
ただし、前記実施形態と共通の構成については、前記実施形態と同じ符号を用いることにより、前記実施形態の説明を援用する場合がある。
【0034】
第2実施形態に係るシール装置は、図6に示すように、1つの溝部51にOリングからなる2つのシール部材52を並列に配置した点が前記実施形態と相違している。このようなシール装置によれば、シール性のさらなる向上が期待できる。
【0035】
第3実施形態に係るシール装置は、図7に示すように、断面形状が楕円形のOリングをシール部材52に適用した点が前記実施形態と相違している。このようなシール装置であっても、前記実施形態と同様な効果が得られる。
【0036】
第4実施形態に係るシール装置は、図8に示すように、シール部材52の断面形状を板状とした点が前記実施形態と相違している。具体的には、板状に形成したシール部材52を溝部51に対して凸状になるように湾曲させて配置する。また、本実施形態の場合、シール部材52が溝部51から脱落するおそれが考えられるため、例えば、シール部材52の一部を後部筐体14(第1凸部23)と係合させるための係合体をシール部材52に設けることによって、シール部材52を後部筐体14(第1凸部23)に固定するのが好ましい。このようなシール装置であっても、前記実施形態と同様な効果が得られる。
【0037】
第5実施形態に係るシール装置は、図9に示すように、第1流路16A側を雄型、第2流路16B側を雌型とし、第1流路16A側に可動部材30を取り付けた点が前記実施形態と相違している。このようなシール装置であっても、前記実施形態と同様な効果が得られる。
【0038】
第6実施形態に係るシール装置は、図10に示すように、第1凸部23の前端部壁23aではなく、溝部51のフランジ部33側にテーパ面を形成した点が前記実施形態と相違している。このようなシール装置であっても、前記実施形態と同様な効果が得られる。
【0039】
第7実施形態に係るシール装置は、図11に示すように、第1流路16A側を雄型、第2流路16B側を雌型とし、第1流路16A側に可動部材30を取り付けた点と、溝部51のフランジ部33側にテーパ面を形成した点とが前記実施形態と相違している。このようなシール装置であっても、前記実施形態と同様な効果が得られる。
【0040】
第8実施形態に係るシール装置は、図12に示すように、雌型とされた第1流路16A側に可動部材30を取り付けた点と、溝部51のフランジ部33側にテーパ面を形成した点とが前記実施形態と相違している。このようなシール装置によれば、フランジ部33と接触する後部筐体14の前端面との間の密着力を容易に高めることが可能となるため、前記実施形態と同様に、この連結部からの物質の漏洩を防止することができる。
【0041】
以上、本発明に係るシール装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るシール装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0042】
例えば、前述した実施形態では、歯科治療システムにおけるPJD装置1が備えるハンドピース10の内部に形成された、分離可能に連結される流路の連結部に適用した例を挙げて説明したが、これに限定されない。種々の装置において、分離可能に連結される流路の連結部に適用することで、連結された流路の隙間から物質が漏洩しないようすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 パウダージェット・デポジション装置
10 ハンドピース
11 微粒子供給ユニット
13 前部筐体(第1流路部材)
14 後部筐体(第2流路部材)
15 連結部
16 固体微粒子流路
16A 第1流路
16B 第2流路
18 噴出ノズル
19 噴射口
21 第1凹部
21a 内周面
21b 前端部壁
22 第2凹部
22a 内周面
23 第1凸部
23a 前端部壁(テーパ面)
23b 外周面
24 第2凸部
24a 外周面
30 可動部材(シール部材変形手段)
32 本体部
33 フランジ部
36 周溝
37 Oリング
40 第1のシール機構
41 周溝
42 シール部材
50 第2のシール機構(シール装置)
51 溝部
52 シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13