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特許7485404蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法及びシステム
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  • 特許-蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法及びシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01M 10/00 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
G01M10/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022543009
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 CN2021114055
(87)【国際公開番号】W WO2022160681
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】202110136428.9
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513322718
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】TSINGHUA UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】1 Qinghuayuan, Haidian District, Beijing 100084, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン ホンビン
(72)【発明者】
【氏名】シア ティエン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ビンビン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥアン リージュアン
(72)【発明者】
【氏名】グオ チンライ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ビン
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-117953(JP,A)
【文献】特表2018-522222(JP,A)
【文献】特開2009-146145(JP,A)
【文献】特開平06-187321(JP,A)
【文献】特開2007-323510(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0368833(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 19/00
G01M 10/00
G06F 30/00 - 30/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法であって、
それぞれの配管の蒸気流量G、蒸気流速v、蒸気密度ρ、蒸気圧力p、配管内径D、配管傾角α、ノード数N及び分岐数Mを含むパラメータを取得するステップと、
前記パラメータを状態推定モデルに入力するステップと、
前記状態推定モデルによって前記パラメータに基づいて水力学的状態を決定するステップと、を含
前記状態推定モデルを構築する方法は、
蒸気熱供給配管の分岐方程式を構築するステップと、
異なる前記蒸気熱供給配管の接続箇所のノード方程式を構築するステップと、
前記分岐方程式及びノード方程式に従って、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを構築するステップと、を含み、
前記蒸気熱供給配管の分岐方程式を構築するステップは、
配管の方向に沿って1次元的に流動するように蒸気熱供給配管内の蒸気を単純化し、その質量保存の方程式:
【数1】
(式中、ρは蒸気密度であり、vは蒸気流速であり、τは時間次元を表し、xは蒸気熱供給配管の方向に沿う1次元空間次元を表す)を構築するステップと、
配管の方向に沿って1次元的に流動するように蒸気熱供給配管内の蒸気を単純化し、その運動量保存の方程式:
【数2】
(式中、pは蒸気圧力、λは配管の摩擦係数、Dは配管内径、gは重力加速度、αは配管傾角、tは時間である)を構築するステップと、
蒸気の状態方程式:
【数3】
(式中、p はノードiでの蒸気圧力、p はノードjでの蒸気圧力、ρ はノードiでの蒸気密度、ρ はノードjでの蒸気密度、Rは蒸気について運転状況の付近でフィッティングしたガス定数、T はノードiで測定した蒸気温度、T はノードjで測定した蒸気温度である)を構築するステップと、
配管内の蒸気の流量方程式:
【数4】
(式中、G ij は分岐ijの先端の流量を表し、G ji は分岐ijの末端の流量を表し、v はノードiでの蒸気流速、v はノードjでの蒸気流速である)を構築するステップと、を含む、ことを特徴とする、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法。
【請求項2】
前記状態推定モデルによって前記パラメータに基づいて水力学的状態を決定するステップは、
前記分岐方程式及びノード方程式に従って、構築された蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップと、
前記状態推定モデルに基づいて、全ての配管の蒸気流量状態、蒸気流速状態、蒸気密度状態、及び蒸気圧力状態を算出するステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項に記載の蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法。
【請求項3】
構築された異なる前記蒸気熱供給配管の接続箇所の前記ノード方程式は、
【数5】
(式中、Gkiは分岐kiがノードiに流入する流量を表し、Gilは分岐ilがノードiから流出する流量を表し、
【数6】
はノードiに流入する分岐集であり、
【数7】
はノードiから流出する分岐集である)である、ことを特徴とする、請求項に記載の蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法。
【請求項4】
前記分岐方程式及びノード方程式に従って、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを構築する前記ステップは、
最小化共分散を考慮した二乗平均誤差の最小化を目的として、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルの目的関数:
【数8】
(式中、Wは測定値からなる共分散マトリックスを表し、xは全ての測定変数からなるベクトルを表し、
【数9】
は全ての測定値からなるベクトルであり、
【数10】
であり、
ここで、pは蒸気の実際圧力、Nはノード数、Mは分岐数、pはノード1での蒸気の実際圧力、pはノードNでの蒸気の実際圧力、Gは分岐1の流量、Gは分岐Mの流量、
【数11】
はノード1での蒸気圧力のセンサによるサンプリング値、
【数12】
はノードNでの蒸気圧力のセンサによるサンプリング値、
【数13】
は分岐1での流量のセンサによるサンプリング値、
【数14】
は分岐Mでの流量のセンサによるサンプリング値である)を構築するステップを含む、ことを特徴とする、請求項に記載の蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法。
【請求項5】
前記分岐方程式及びノード方程式に従って構築された蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解する前記ステップは、
全ての流速変数を一定のものとし、線形計画問題である蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップS1と、
ステップS1において求解により得られた流量変数を一定のものとし、線形計画問題である蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップS2と、
収束性をチェックし、ステップS2で得られた流速から量方程式により逆算した流量とステップS2で予め定められた流量との差のノルムが所定の閾値未満である場合、収束を求解し、
ステップS2で得られた流速量方程式により逆算した流量とステップS2で予め定められた流量との差のノルムが所定の閾値以上である場合、S1-S2に戻り、反復を持続するステップS3と、を含むことを特徴とする、請求項に記載の蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法。
【請求項6】
それぞれの配管の蒸気流量G、蒸気流速v、蒸気密度ρ、蒸気圧力p、配管内径D、配管傾角α、ノード数N及び分岐数Mを含むパラメータを取得する取得部と、
前記パラメータを状態推定モデルに入力する入力部と、
前記状態推定モデルによって前記パラメータに基づいて水力学的状態を決定する推定部と、を含
前記推定部が前記状態推定モデルを構築する際には、
蒸気熱供給配管の分岐方程式を構築するステップと、
異なる前記蒸気熱供給配管の接続箇所のノード方程式を構築するステップと、
前記分岐方程式及びノード方程式に従って、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを構築するステップと、を含み、
前記推定部において蒸気熱供給配管の分岐方程式を構築するステップは、
配管の方向に沿って1次元的に流動するように蒸気熱供給配管内の蒸気を単純化し、その質量保存の方程式:
【数15】
(式中、ρは蒸気密度であり、vは蒸気流速であり、τは時間次元を表し、xは蒸気熱供給配管の方向に沿う1次元空間次元を表す)を構築するステップと、
配管の方向に沿って1次元的に流動するように蒸気熱供給配管内の蒸気を単純化し、その運動量保存の方程式:
【数16】
(式中、pは蒸気圧力、λは配管の摩擦係数、Dは配管内径、gは重力加速度、αは配管傾角、tは時間である)を構築するステップと、
蒸気の状態方程式:
【数17】
(式中、p はノードiでの蒸気圧力、p はノードjでの蒸気圧力、ρ はノードiでの蒸気密度、ρ はノードjでの蒸気密度、Rは蒸気について運転状況の付近でフィッティングしたガス定数、T はノードiで測定した蒸気温度、T はノードjで測定した蒸気温度である)を構築するステップと、
配管内の蒸気の流量方程式:
【数18】
(式中、G ij は分岐ijの先端の流量を表し、G ji は分岐ijの末端の流量を表し、v はノードiでの蒸気流速、v はノードjでの蒸気流速である)を構築するステップと、を含む、ことを特徴とする、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定システム。
【請求項7】
前記推定部が前記状態推定モデルによって前記パラメータに基づいて水力学的状態を決定する際には、
前記分岐方程式及びノード方程式に従って構築された蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップと、
前記状態推定モデルに基づいて、全ての配管の蒸気流量状態、蒸気流速状態、蒸気密度状態、及び蒸気圧力状態を算出するステップと、を含む、ことを特徴とする、請求項に記載の蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定システム。
【請求項8】
前記推定部によって構築された異なる前記蒸気熱供給配管の接続箇所のノード方程式は、
【数19】
(式中、Gkiは分岐kiがノードiに流入する流量を表し、Gilは分岐ilがノードiから流出する流量を表し、
【数20】
はノードiに流入する分岐集であり、
【数21】
はノードiから流出する分岐集である)である、ことを特徴とする、請求項に記載の蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定システム。
【請求項9】
前記推定部において、前記分岐方程式及びノード方程式に従って、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを構築するステップは、
最小化共分散を考慮した二乗平均誤差の最小化を目的として、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルの目的関数:
【数22】
(式中、Wは測定値からなる共分散マトリックスを表し、xは全ての測定変数からなるベクトルを表し、
【数23】
は全ての測定値からなるベクトルであり、
【数24】
であり、
ここで、pは蒸気の実際圧力、Nはノード数、Mは分岐数、pはノード1での蒸気の実際圧力、pはノードNでの蒸気の実際圧力、Gは分岐1の流量、Gは分岐Mの流量、
【数25】
はノード1での蒸気圧力のセンサによるサンプリング値、
【数26】
はノードNでの蒸気圧力のセンサによるサンプリング値、
【数27】
は分岐1での流量のセンサによるサンプリング値、
【数28】
は分岐Mでの流量のセンサによるサンプリング値である)を構築するステップを含む、ことを特徴とする、請求項に記載の蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定システム。
【請求項10】
前記推定部が前記分岐方程式及びノード方程式に従って構築された蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解する際に使用する山登り法は、
全ての流速変数を一定のものとし、線形計画問題である蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップS1と、
ステップS1において求解により得られた流量変数を一定のものとし、線形計画問題である蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップS2と、
収束性をチェックし、ステップS2で得られた流速量方程式により逆算した流量とステップS2で予め定められた流量との差のノルムが所定の閾値未満である場合、収束を求解し、
ステップS2で得られた流速量方程式により逆算した流量とステップS2で予め定められた流量との差のノルムが所定の閾値以上である場合、S1-S2に戻り、反復を持続するステップS3と、を含む、ことを特徴とする、請求項に記載の蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総合エネルギーシステムの運転制御の技術分野に属し、特に蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気は、高エネルギー密度の特徴により、食品や製造などの産業で広く適用されており、それによるエネルギー消費量は国民経済の総エネルギー消費量の中で大きな割合を占めている。蒸気輸送インフラを十分に共有するため、関連工場を工業団地として集積し、蒸気ネットワークを構築することが一般的である。蒸気ネットワークの運行の安全性やデータ収集の品質を確保するために、その状態を推定する必要がある。その中でも、ネットワークの安全性につながる水力学的状態の推定は特に重要である。熱供給ネットワークは総合エネルギーシステムの重要な一部であり、エネルギーネットワークにおける熱供給ネットワークの柔軟性を利用することにより、新エネルギーの普及率やエネルギー利用率を向上させる研究が多く行われており、これらの研究では、熱供給ネットワークの熱供給媒体として熱水が考慮されているが、多くの工業団地の熱供給ネットワークでは高温高圧蒸気が熱供給媒体として使用されている。熱水管網に比べて、蒸気管網の輸送過程はより複雑であり、蒸気管網の柔軟性を利用した総合エネルギーシステムに対する組み合わせ分析と最適化の大きな障害となっている。
【0003】
現在、蒸気ネットワークの水力学的状態の推定方法についての研究があるが、一般的に定常状態の運転状況に基づいて行われている。実際には、工事現場の蒸気ネットワークは、供給と需要がリアルタイムに平衡を取るものではないという特徴により、ほとんどの時間では動的運転状況にあり、すなわち、蒸気の流量、圧力は経時的に変動する。このとき、定常状態方程式に基づく水力学的状態推定では、推定誤差が大きくなる。
【0004】
そのため、定常状態方程式に基づく水力学的状態の推定により大きな誤差を招くなどの問題はますます解決すべき技術的課題となってきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題に対して、本発明は、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法及びシステムを提供し、本発明は、蒸気の動的特性を記述する流体力学方程式を基にして、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定モデルを構築し、対応する求解方法を提案することによって、水力学的状態の推定精度を向上させ、蒸気ネットワークの運転状態に対するより効率的なモニタリングを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
それぞれの配管の蒸気流量G、蒸気流速v、蒸気密度ρ、蒸気圧力p、配管内径D、配管傾角α、ノード数N及び分岐数Mを含むパラメータを取得するステップと、
前記パラメータを状態推定モデルに入力するステップと、
前記状態推定モデルによって前記パラメータに基づいて水力学的状態を決定するステップと、を含む、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法を提供する。
【0007】
さらに、前記状態推定モデルを構築する方法は、具体的には、
蒸気熱供給配管の分岐方程式を構築するステップと、
異なる前記蒸気熱供給配管の接続箇所のノード方程式を構築するステップと、
【0008】
前記分岐方程式及びノード方程式に従って、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを構築するステップと、を含む。
【0009】
さらに、前記状態推定モデルによって前記パラメータに基づいて水力学的状態を決定するステップは、具体的には、
前記分岐方程式及びノード方程式に従って構築された蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップと、
前記状態推定モデルに基づいて、全ての配管の蒸気流量、蒸気流速、蒸気密度、及び蒸気圧力状態を算出するステップと、を含む。
【0010】
さらに、前記蒸気熱供給配管の分岐方程式を構築するステップは、具体的には、
配管の方向に沿って1次元的に流動するように蒸気熱供給配管内の蒸気を単純化し、その質量保存の方程式:
【数1】
(式中、ρは蒸気密度であり、vは蒸気流速であり、τは時間次元を表し、xは蒸気熱供給配管の方向に沿う1次元空間次元を表す。)を構築するステップと、
配管の方向に沿って1次元的に流動するように蒸気熱供給配管内の蒸気を単純化し、その運動量保存の方程式:
【数2】
(式中、pは蒸気圧力、λは配管の摩擦係数、Dは配管内径、gは重力加速度、αは配管傾角、tは時間である。)を構築するステップと、
蒸気の状態方程式:
【数3】
(式中、pはノードiでの蒸気圧力、pはノードjでの蒸気圧力、ρはノードiでの蒸気密度、ρはノードjでの蒸気密度、Rは蒸気について運転状況の付近でフィッティングしたガス定数、Tはノードiで測定した蒸気温度、Tはノードjで測定した蒸気温度である。)を構築するステップと、
配管内の蒸気の流量方程式:
【数4】
(式中、Gijは分岐ijの先端の流量を表し、Gjiは分岐ijの末端の流量を表し、vはノードiでの蒸気流速、vはノードjでの蒸気流速である。)を構築するステップと、を含む。
【0011】
さらに、構築された前記異なる前記蒸気熱供給配管の接続箇所のノード方程式は、
【数5】
(式中、Gkiは分岐kiがノードiに流入する流量を表し、Gilは分岐ilがノードiから流出する流量を表し、
【数6】
はノードiに流入する分岐集であり、
【数7】
はノードiから流出する分岐集である。)である。
【0012】
さらに、前記分岐方程式及びノード方程式に従って、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを構築する前記ステップは、具体的には、
最小化共分散を考慮した二乗平均誤差の最小化を目的として、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルの目的関数:
【数8】
(式中、Wは測定値からなる共分散マトリックスを表し、xは全ての測定変数からなるベクトルを表し、
【数9】
は全ての測定値からなるベクトルであり、具体的には、
【数10】
であり、
ここで、pは蒸気の実際圧力、Nはノード数、Mは分岐数、pはノード1での蒸気の実際圧力、pはノードNでの蒸気の実際圧力、Gは分岐1の流量、Gは分岐Mの流量、
【数11】
はノード1での蒸気圧力のセンサによるサンプリング値、
【数12】
はノードNでの蒸気圧力のセンサによるサンプリング値、
【数13】
は分岐1での流量のセンサによるサンプリング値、
【数14】
は分岐Mでの流量のセンサによるサンプリング値である。)を構築するステップを含む。
【0013】
さらに、前記分岐方程式及びノード方程式に従って構築された蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解する前記ステップは、具体的には、
全ての流速変数を一定のものとし、線形計画問題である蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップS1と、
ステップS1において求解により得られた流量変数を一定のものとし、線形計画問題である蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップS2と、
収束性をチェックし、ステップS2で得られた流速量方程式により逆算した流量とステップS2で予め定められた流量との差のノルムが所定の閾値未満である場合、収束を求解し、
ステップS2で得られた流速量方程式により逆算した流量とステップS2で予め定められた流量との差のノルムが所定の閾値以上である場合、S1-S2に戻り、反復を持続するステップS3と、を含む。
【0014】
本発明は、また、
それぞれの配管の蒸気流量G、蒸気流速v、蒸気密度ρ、蒸気圧力p、配管内径D、配管傾角α、ノード数N及び分岐数Mを含むパラメータを取得する取得部と、
前記パラメータを状態推定モデルに入力する入力部と、
前記状態推定モデルによって前記パラメータに基づいて水力学的状態を決定する推定部と、を含む、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定システムを提供する。
【0015】
さらに、前記推定部が前記状態推定モデルを構築する際には、具体的には、
蒸気熱供給配管の分岐方程式を構築するステップと、
異なる前記蒸気熱供給配管の接続箇所のノード方程式を構築するステップと、
前記分岐方程式及びノード方程式に従って、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを構築するステップと、を含む。
【0016】
さらに、前記推定部が前記状態推定モデルによって前記パラメータに基づいて水力学的状態を決定するステップは、具体的には、
前記分岐方程式及びノード方程式に従って構築された蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップと、
前記状態推定モデルに基づいて、全ての配管の蒸気流量、蒸気流速、蒸気密度、及び蒸気圧力状態を算出するステップと、を含む。
【0017】
さらに、前記推定部において蒸気熱供給配管の分岐方程式を構築するステップは、具体的には、
配管の方向に沿って1次元的に流動するように蒸気熱供給配管内の蒸気を単純化し、その質量保存の方程式:
【数15】
(式中、ρは蒸気密度であり、vは蒸気流速であり、τは時間次元を表し、xは蒸気熱供給配管の方向に沿う1次元空間次元を表す。)を構築するステップと、
配管の方向に沿って1次元的に流動するように蒸気熱供給配管内の蒸気を単純化し、その運動量保存の方程式:
【数16】
(式中、pは蒸気圧力、λは配管の摩擦係数、Dは配管内径、gは重力加速度、αは配管傾角、tは時間である。)を構築するステップと、
蒸気の状態方程式:
【数17】
(式中、pはノードiでの蒸気圧力、pはノードjでの蒸気圧力、ρはノードiでの蒸気密度、ρはノードjでの蒸気密度、Rは蒸気について運転状況の付近でフィッティングしたガス定数、Tはノードiで測定した蒸気温度、Tはノードjで測定した蒸気温度である。)を構築するステップと、
配管内の蒸気の流量方程式:
【数18】
(式中、Gijは分岐ijの先端の流量を表し、Gjiは分岐ijの末端の流量を表し、vはノードiでの蒸気流速、vはノードjでの蒸気流速である。)を構築するステップと、を含む。
【0018】
さらに、前記推定部によって構築された異なる前記蒸気熱供給配管の接続箇所のノード方程式は、
【数19】
(式中、Gkiは分岐kiがノードiに流入する流量を表し、Gilは分岐ilがノードiから流出する流量を表し、
【数20】
はノードiに流入する分岐集であり、
【数21】
はノードiから流出する分岐集である。)である。
【0019】
さらに、前記推定部において、前記分岐方程式及びノード方程式に従って、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを構築するステップは、具体的には、
最小化共分散を考慮した二乗平均誤差の最小化を目的として、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルの目的関数:
【数22】
(式中、Wは測定値からなる共分散マトリックスを表し、xは全ての測定変数からなるベクトルを表し、
【数23】
は全ての測定値からなるベクトルであり、具体的には、
【数24】
であり、
ここで、pは蒸気の実際圧力、Nはノード数、Mは分岐数、pはノード1での蒸気の実際圧力、pはノードNでの蒸気の実際圧力、Gは分岐1の流量、Gは分岐Mの流量、
【数25】
はノード1での蒸気圧力のセンサによるサンプリング値、
【数26】
はノードNでの蒸気圧力のセンサによるサンプリング値、
【数27】
は分岐1での流量のセンサによるサンプリング値、
【数28】
は分岐Mでの流量のセンサによるサンプリング値である。)を構築するステップを含む。
【0020】
さらに、前記推定部が前記分岐方程式及びノード方程式に従って構築された蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解する際に使用する山登り法は、具体的には、
全ての流速変数を一定のものとし、線形計画問題である蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップS1と、
ステップS1において求解により得られた流量変数を一定のものとし、線形計画問題である蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップS2と、
収束性をチェックし、ステップS2で得られた流速量方程式により逆算した流量とステップS2で予め定められた流量との差のノルムが所定の閾値未満である場合、収束を求解し、
ステップS2で得られた流速量方程式により逆算した流量とステップS2で予め定められた流量との差のノルムが所定の閾値以上である場合、S1-S2に戻り、反復を持続するステップS3と、を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、工事現場の蒸気ネットワークの動的運転状況に合わせて、蒸気ネットワークの水力学的運転状態を正確に推定することによって、水力学的運転データの収集品質を向上させ、ネットワークが安全運転状態であることを確保する、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法及びシステムを提案している。本発明の他の特徴及び利点は、以下の明細書において説明され、かつ、その一部は明細書から明らかになるか、又は本発明を実施することによって把握できる。本発明の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲及び図面に示される構造を通じて実現、取得してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施例又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本発明の実施例による蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例の図面を参照しながら、本発明の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な努力を必要とせずに他の全ての実施例は、本発明の特許範囲に属する。
【0024】
蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法は、図1に示されており、図1は、本発明の実施例による蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態の推定方法のフローチャートを示し、推定方法は、具体的には、
それぞれの配管の蒸気流量G、蒸気流速v、蒸気密度ρ、蒸気圧力p、配管内径D、配管傾角α、ノード数N及び分岐数M、采用センサ収集上記のパラメータを含むパラメータを取得するステップと、
パラメータを状態推定モデルに入力し、状態推定モデルによってパラメータに基づいて水力学的状態を決定するステップと、を含む。
【0025】
具体的には、状態推定モデルを構築する方法は、具体的には、
蒸気熱供給配管の分岐方程式を構築するステップと、
異なる蒸気熱供給配管の接続箇所のノード方程式を構築するステップと、分岐方程式及びノード方程式に従って蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを構築するステップと、を含む。
【0026】
状態推定モデルによってパラメータに基づいて水力学的状態を決定するステップは、具体的には、
分岐方程式及びノード方程式に従って構築された蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップと、
状態推定モデルに基づいて、全ての配管の蒸気流量、蒸気流速、蒸気密度、及び蒸気圧力状態を算出すると、水力学的状態を得るステップと、を含む。
【0027】
蒸気熱供給配管の分岐方程式(蒸気熱供給配管の水力学的モデルとも呼ばれる)を構築するステップは、具体的には、
配管の方向に沿って1次元的に流動するように蒸気熱供給配管内の蒸気を単純化し、その質量保存の方程式:
【数29】
(式中、ρは蒸気密度であり、vは蒸気流速であり、τは時間次元を表し、xは蒸気熱供給配管の方向に沿う1次元空間次元を表す。)を構築するステップと、
上記の質量保存の方程式がコンピュータ上で処理可能であることを確保するために、上記の偏微分方程式を、差分方程式:
【数30】
(式中、iは蒸気熱供給配管の先端、jは蒸気熱供給配管の末端であり、ρi,tはt時刻でのノードiの蒸気密度を表し、ρi,t+1はt+1時刻でのノードiの蒸気密度を表し、ρj,tはt時刻でのノードjの蒸気密度を表し、ρj,t+1はt+1時刻でのノードjの蒸気密度を表し、vi,tはt時刻でのノードiの蒸気流速を表し、vj,tはt時刻でのノードjの蒸気流速を表し、Δtは時間ステップを表し、Lijは配管ijの長さを表す。)に変換するステップと、
配管の方向に沿って1次元的に流動するように蒸気熱供給配管内の蒸気を単純化し、その運動量保存の方程式:
【数31】
(式中、pは蒸気圧力、λは配管の摩擦係数、Dは配管内径、gは重力加速度、αは配管傾角、tは時間である。)を構築するステップと、
上記の運動量保存の方程式がコンピュータ上で処理可能であることを確保するために、上記の偏微分方程式を、差分方程式:
【数32】
(式中、pi,tはt時刻でのノードiの蒸気圧力、pj,tはt時刻でのノードjの蒸気圧力、vi,t+1はt+1時刻でのノードiの蒸気流速、vj,t+1はt+1時刻でのノードjの蒸気流速を表す。)に変換するステップと、
蒸気の状態方程式:
【数33】
(式中、pはノードiでの蒸気圧力、pはノードjでの蒸気圧力、ρはノードiでの蒸気密度、ρはノードjでの蒸気密度、Rは蒸気について運転状況の付近でフィッティングしたガス定数、Tはノードiで測定した蒸気温度、Tはノードjで測定した蒸気温度である。)を構築するステップと、
配管内の蒸気の流量方程式:
【数34】
(式中、Gijは分岐ijの先端の流量を表し、Gjiは分岐ijの末端の流量を表し、vはノードiでの蒸気流速、vはノードjでの蒸気流速である。)を構築するステップと、を含む。
【0028】
各配管の分岐方程式に対して、三次等式制約式は、双線形制約:
【数35】
(式中、Gi,t+1はt+1時刻でのノードiの流量、Gi,tはt時刻でのノードiの流量、Gj,t+1はt+1時刻でのノードjの流量、Gj,tはt時刻でのノードjの流量、pi,tはt時刻でのノードiの蒸気圧力であり、pj,tはt時刻でのノードjの蒸気圧力、vi,tはt時刻でのノードiの蒸気流速、vj,tはt時刻でのノードjの蒸気流速、Δtは時間ステップ、Lijは配管ijの長さ、ρi,tはt時刻でのノードiの蒸気密度、ρj,tはt時刻でのノードjの蒸気密度を表す。)に変換される。
【0029】
構築された異なる蒸気熱供給配管の接続箇所のノード方程式(トポロジー制約方程式とも呼ばれる)は、
【数36】
(式中、Gkiは分岐kiがノードiに流入する流量を表し、Gilは分岐ilがノードiから流出する流量を表し、
【数37】
はノードiに流入する分岐集であり、
【数38】
はノードiから流出する分岐集である。)である。
【0030】
分岐方程式及びノード方程式に従って蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを構築するステップは、具体的には、
最小化共分散を考慮した二乗平均誤差の最小化を目的として、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルの目的関数:
【数39】
(式中、Wは測定値からなる共分散マトリックスを表し、xは全ての測定変数からなるベクトルを表し、
【数40】
は全ての測定値からなるベクトルであり、具体的には、
【数41】
であり、
ここで、pは蒸気の実際圧力、Nはノード数、Mは分岐数、pはノード1での蒸気の実際圧力、pはノードNでの蒸気の実際圧力、Gは分岐1の流量、Gは分岐Mの流量、
【数42】
はノード1での蒸気圧力のセンサによるサンプリング値、
【数43】
はノードNでの蒸気圧力のセンサによるサンプリング値、
【数44】
は分岐1での流量のセンサによるサンプリング値、
【数45】
は分岐Mでの流量のセンサによるサンプリング値である。)を構築するステップを含む。
【0031】
分岐方程式及びノード方程式に従って構築された蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解する際に使用する山登り法は、具体的には、
全ての流速変数を一定のものとし、線形計画問題である蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップS1と、
ステップS1において求解により得られた流量変数を一定のものとし、LP問題である蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップS2と、
収束性をチェックし、ステップS2で得られた流速量方程式により逆算した流量とこのステップで予め定められた流量との差のノルムが所定の閾値未満である場合、収束を求解し、
ステップS2で得られた流速量方程式により逆算した流量とこのステップで予め定められた流量との差のノルムが所定の閾値以上である場合、S1-S2に戻り、反復を持続するステップS3と、を含み、ステップS1及びステップS2はCplex又はGurobi商用ソルバーによって行われる。
【0032】
蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定システムは、それぞれの配管の蒸気流量G、蒸気流速v、蒸気密度ρ、蒸気圧力p、配管内径D、配管傾角α、ノード数N及び分岐数Mを含むパラメータを取得する取得部と、パラメータを状態推定モデルに入力する入力部と、状態推定モデルによってパラメータに基づいて水力学的状態を決定する推定部と、を含む。
【0033】
推定部が状態推定モデルを構築する際には、具体的には、
蒸気熱供給配管の分岐方程式を構築するステップと、
異なる蒸気熱供給配管の接続箇所のノード方程式を構築するステップと、
分岐方程式及びノード方程式に従って蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを構築するステップと、を含む。
【0034】
推定部が状態推定モデルによってパラメータに基づいて水力学的状態を決定するステップは、具体的には、
分岐方程式及びノード方程式に従って構築された蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップと、
状態推定モデルに基づいて、全ての配管の蒸気流量、蒸気流速、蒸気密度、及び蒸気圧力状態を算出すると、水力学的状態を得るステップと、を含む。
【0035】
推定部において蒸気熱供給配管の分岐方程式を構築するステップは、具体的には、
配管の方向に沿って1次元的に流動するように蒸気熱供給配管内の蒸気を単純化し、その質量保存の方程式:
【数46】
(式中、ρは蒸気密度であり、vは蒸気流速であり、τは時間次元を表し、xは蒸気熱供給配管の方向に沿う1次元空間次元を表す。)を構築するステップと、
配管の方向に沿って1次元的に流動するように蒸気熱供給配管内の蒸気を単純化し、その運動量保存の方程式:
【数47】
(式中、pは蒸気圧力であり、λは配管の摩擦係数であり、Dは配管内径であり、gは重力加速度であり、αは配管傾角であり、tは時間である。)を構築するステップと、
蒸気の状態方程式:
【数48】
(式中、pはノードiでの蒸気圧力、pはノードjでの蒸気圧力、ρはノードiでの蒸気密度、ρはノードjでの蒸気密度、Rは蒸気について運転状況の付近でフィッティングしたガス定数、Tはノードiで測定した蒸気温度、Tはノードjで測定した蒸気温度である。)を構築するステップと、
配管内の蒸気の流量方程式:
【数49】
(式中、Gijは分岐ijの先端の流量を表し、Gjiは分岐ijの末端の流量を表し、vはノードiでの蒸気流速、vはノードjでの蒸気流速である。)を構築するステップと、を含む。
【0036】
推定部によって構築された異なる蒸気熱供給配管の接続箇所のノード方程式は、
【数50】
(式中、Gkiは分岐kiがノードiに流入する流量を表し、Gilは分岐ilがノードiから流出する流量を表し、
【数51】
はノードiに流入する分岐集であり、
【数52】
はノードiから流出する分岐集である。)である。
【0037】
推定部において、分岐方程式及びノード方程式に従って蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを構築するステップは、具体的には、
最小化共分散を考慮した二乗平均誤差の最小化を目的として、蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルの目的関数:
【数53】
(式中、Wは測定値からなる共分散マトリックスを表し、xは全ての測定変数からなるベクトルを表し、
【数54】
は全ての測定値からなるベクトルであり、具体的には、
【数55】
であり、
ここで、pは蒸気の実際圧力、Nはノード数、Mは分岐数、pはノード1での蒸気の実際圧力、pはノードNでの蒸気の実際圧力、Gは分岐1の流量、Gは分岐Mの流量、
【数56】
はノード1での蒸気圧力のセンサによるサンプリング値、
【数57】
はノードNでの蒸気圧力のセンサによるサンプリング値、
【数58】
は分岐1での流量のセンサによるサンプリング値、
【数59】
は分岐Mでの流量のセンサによるサンプリング値である。)を構築するステップを含む。
【0038】
推定部が分岐方程式及びノード方程式に従って構築された蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解する際に使用する山登り法は、具体的には、
全ての流速変数を一定のものとし、線形計画問題である蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップS1と、
ステップS1において求解により得られた流量変数を一定のものとし、線形計画問題である蒸気熱供給ネットワークの動的運転における水力学的状態推定モデルを求解するステップS2と、
収束性をチェックし、ステップS2で得られた流速量方程式により逆算した流量とこのステップで予め定められた流量との差のノルムが所定の閾値未満である場合、収束を求解し、
ステップS2で得られた流速量方程式により逆算した流量とこのステップで予め定められた流量との差のノルムが所定の閾値以上である場合、S1-S2に戻り、反復を持続するステップS3と、を含む。
【0039】
本発明は前述実施例を参照して詳細に説明されたが、当業者にとって明らかなように、前述各実施例に記載の技術的解決手段を修正したり、その技術的特徴の一部について等同置換を行ったりすることができ、これらの修正や置換により、対応する技術的解決手段の主旨は本発明の各実施例の技術的解決手段の精神や範囲を逸脱することはない。
図1