(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】オートサンプラ
(51)【国際特許分類】
G01N 30/24 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
G01N30/24 Z
(21)【出願番号】P 2022549932
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(86)【国際出願番号】 US2021070219
(87)【国際公開番号】W WO2021179001
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-09-01
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518320904
【氏名又は名称】エンテック インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カーディン, ダニエル ビー.
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-502733(JP,A)
【文献】実開平04-036460(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0269853(US,A1)
【文献】特開2015-190985(JP,A)
【文献】特開平04-083159(JP,A)
【文献】特表2019-518947(JP,A)
【文献】特開2020-051853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
G01N 35/04
G01N 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートサンプラシステムであって、
サンプリングプラットフォームと、
x軸レールと、
y軸レール、
z軸レールと、
前記x軸レール、前記y軸レール、及び前記z軸レールを横断するように構成された1つ以上のモータに結合されたピックアップツールであって、試料容器を試料トレイから前記サンプリングプラットフォームに移動させるように構成されている、ピックアップツールと、
質量流量コントローラ又は真空リザーバを使用して、別のガスを試料予備濃縮器に加えることなく、前記試料容器から1~2500ccの範囲の量を有する既知の質量のガス試料を引き出すように構成された試料ワンドであって、前記ピックアップツールが、前記試料ワンドを前記試料容器に移動させるように更に構成され、前記ガス試料が、前記試料容器に収容されている間、大気圧よりも大きいか、大気圧よりも小さいか、又は大気圧と等しい圧力にある、試料ワンドと、
前記試料予備濃縮器に流体的に結合された化学分析デバイスと、を備える、オートサンプラシステム。
【請求項2】
前記試料ワンドのクレードルを更に備え、前記
試料ワンドが前記クレードル内に配設されている間、前記
試料ワンド内が真空引きされるように、前記
クレードルが真空源に結合されている、請求項1に記載のオートサンプラシステム。
【請求項3】
前記ピックアップツールが、前記
クレードルと前記試料容器との間で前記
試料ワンドを移動させるように更に構成されている、請求項2に記載のオートサンプラシステム。
【請求項4】
1つ以上のガスに結合された1つ以上のバルブを更に備え、前記ピックアップツールが、前記試料ワンドを前記バルブのうちの1つに結合して、ガスを前記化学分析デバイスに導入するように更に構成され、前記1つ以上のガスが、分析器較正ガス混合物又はシステムパージガスを含む、請求項1に記載のオートサンプラシステム。
【請求項5】
前記試料トレイを前記オートサンプラシステムの前記x軸レールに結合させるクランプであって、前記試料トレイに対応する所定の配置にある1つ以上の磁石を含む、クランプと、
前記クランプの前記1つ以上の磁石を検出するように構成された磁石センサと、
前記磁石の所定の配置に関連付けられた較正情報を探索するように構成された1つ以上のプロセッサと、を更に備える、請求項1に記載のオートサンプラシステム。
【請求項6】
前記試料容器が、1/4インチ
(0.64cm)~5.2インチ
(13.21cm)の範囲の外径を有する、請求項1に記載のオートサンプラシステム。
【請求項7】
システムであって、
大気圧よりも大きいか、大気圧よりも小さいか、又は大気圧と等しい圧力で、ガス試料を収容する1~2500ccの範囲の容積を有する試料容器と、
オートサンプラシステムであって、
サンプリングプラットフォーム、
x軸レール、
y軸レール、
z軸レール、
前記x軸レール、前記y軸レール、及び前記z軸レールを横断するように構成された1つ以上のモータに結合されたピックアップツールであって、試料容器を試料トレイから前記サンプリングプラットフォームに移動させるように構成されている、ピックアップツール、並びに
質量流量コントローラ又は真空リザーバを使用して、別のガスを加えることなく、前記試料容器から試料予備濃縮器内に既知の質量の前記ガス試料を引き込むように構成された試料ワンドであって、前記ピックアップツールが、前記試料ワンドを前記試料容器に移動させるように更に構成され、前記ガス試料が、前記試料容器に収容されている間、大気圧よりも大きいか、大気圧よりも小さいか、又は大気圧と等しい圧力にある、試料ワンド、並びに
前記試料予備濃縮器に流体的に結合された化学分析デバイス、を備える、オートサンプラシステムと、を備える、システム。
【請求項8】
前記オートサンプラシステムが、
前記試料ワンド
のクレードルを更に備え、前記
試料ワンドが前記クレードル内に配設されている間、前記
試料ワンド内が真空引きされるように、前記
クレードルが真空源に結合されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ピックアップツールが、前記
クレードルと前記試料容器との間で前記
試料ワンドを移動させるように更に構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記オートサンプラシステムが、1つ以上のガスに結合された1つ以上のバルブを更に備え、前記ピックアップツールが、前記試料ワンドを前記バルブのうちの1つに結合して、ガスを前記化学分析デバイスに導入するように更に構成され、前記1つ以上のガスが、分析器較正ガス混合物又はシステムパージガスを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記オートサンプラシステムが、
前記試料トレイを前記オートサンプラシステムの前記x軸レールに結合させるクランプであって、前記試料トレイに対応する所定の配置にある1つ以上の磁石を含む、クランプと、
前記クランプの前記1つ以上の磁石を検出するように構成された磁石センサと、
前記磁石の所定の配置に関連付けられた較正情報を探索するように構成された1つ以上のプロセッサと、を更に備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記試料容器が、1/4インチ
(0.64cm)~5.2インチ
(13.21cm)の範囲の外径を有する、請求項
7に記載のシステム。
【請求項13】
方法であって、
試料容器を、試料トレイからオートサンプラシステムのサンプリングプラットフォームに、前記オートサンプラシステムのピックアップツールを用いて移動させることであって、前記オートサンプラシステムが、
x軸レール、
y軸レール、
z軸レール、並びに
前記ピックアップツールに結合された1つ以上のモータであって、前記1つ以上のモータが、前記オートサンプラシステムの前記x軸レール、前記y軸レール、及び前記z軸レールを横断するように構成されている、1つ以上のモータを更に備える、移動させることと、
前記ピックアップツールを用いて、前記オートサンプラシステムの試料ワンドを前記試料容器に移動させることと、
質量流量コントローラ又は真空リザーバを使用して前記試料ワンドを用いて、別のガスを加えることなく、前記試料容器から1~2500ccの範囲の量を有する既知の質量のガス試料を引き込むことであって、前記ガス試料が、前記試料容器に収容されている間、大気圧よりも大きいか、大気圧よりも小さいか、又は大気圧と等しい圧力にある、引き込むことと、
前記ガス試料を、
試料予備濃縮器に流体的に結合された化学分析デバイスを用いて分析することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記
試料ワンドが、
前記試料ワンドのクレードル内に配設されている間、前記
クレードルが、真空源に結合され、前記真空源を用いて、前記
試料ワンド内を真空引きすることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記
試料ワンド内の前記真空引きを行う前に、前記ピックアップツールを用いて、前記
試料ワンドを前記
クレードルに移動させることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ピックアップツールを介して、前記
試料ワンドを、1つ以上のガスに結合された1つ以上のバルブのうちのバルブに結合することと、
前記
試料ワンドを使用して、前記バルブに結合された前記1つ以上のガスのうちの1つを前記化学分析デバイスに導入することであって、前記1つ以上のガスが、分析器較正ガス混合物又はシステムパージガスを含む、導入することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記オートサンプラシステムの磁石センサを使用して、所定の配置にある1つ以上の磁石を検出することであって、前記1つ以上の磁石が、前記試料トレイを前記オートサンプラシステムの前記x軸レールに結合するクランプ内に組み込まれている、検出することと、
前記オートサンプラシステムの1つ以上のプロセッサを用いて、前記磁石の所定の配置に関連付けられた較正情報を探索することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記試料容器が、1/4インチ
(0.64cm)~5.2インチ
(13.21cm)の範囲の外径を有する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年3月2日に出願された米国特許仮出願第62/984,130号の利益を主張するものであり、これは、全ての目的のために参照によりその全体が明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
これは、オートサンプラに関し、より具体的には、ガスクロマトグラフィ及び/又はガスクロマトグラフィ-質量分析による分析のために試料を調製するように構成されたレールベースのオートサンプラに関する。
【背景技術】
【0003】
レールベースのオートサンプラを使用して、試料をGC又はGCMS内に導入することができる。これらのシステムは、主にシリンジを使用して、GC内に注入するために、ゴム隔壁を通してバイアル内の液又は気相ヘッドスペースにアクセスするために、バイアルに含まれる液体及び固体試料の分析に使用されている。これらのレールオートサンプラはまた、シリンジニードルの内側のSPME繊維を使用して、ヘッドスペースを繊維上に吸着させるか、又はバイアル内のヘッドスペースの内容物を吸着剤を通して動的に押すことによって、試料のヘッドスペースを分析するためにも使用されている。しかしながら、これらのオートサンプラについて少なくとも3つの制限がある。
【0004】
第1に、従来のレールベースのオートサンプラは、正圧及び負圧共に試料容器の定量的な試料量測定に対処することができず、かつプロセス中に多くの化学種を損失することなく、有機化合物の移送を成し遂げることができないため、揮発性有機化合物の分析のためのガスサンプリング容器の分析には適していなかった。一部のレールオートサンプラは、GC注入前に試料から空気及び水蒸気を除去しながら目的の有機化合物を濃縮するように設計された試料予備濃縮システムに、大量のこれらの容器の内容物を移送する方法を有していない。50cc~2500ccの範囲内の容器を管理しながら、各容器から1~1000ccのいずれかの量を引き出すことが課題となっており、これはガラスシリンジの使用可能な容積範囲を大きく超えている。更に、これらの容器は、大気圧又は大気圧未満であることが多く、分析中にこれらの容器から引き出した試料の質量を標準のシリンジで適切に測定することができない。
【0005】
従来のレールオートサンプラの第2の主要な問題は、較正プロセスを自動化し、次いで、一連の試料を実行する前に較正が変更されないことを確認する能力であった。レールオートサンプラは、試料アクセスポイントを各試料位置に移動させるための少なくとも3つの軸(X、Y、及びZ)と、次いで、多くの場合、シリンジを操作して、分析用にGCへの送達のために試料の一部分をシリンジ内に引き出すための第4の軸と、からなる。レールオートサンプラは、手動で較正することができる。しかしながら、手動較正は、いくつかの主要な欠点を有する。第1に、分析者の一部には、較正を実行するために、いくらかの訓練と時間がかかる。第2に、較正後に任意のモジュールがシフト及び/又は移動する場合、レールは、試料シーケンスの開始時に試料バイアルを位置特定することができない場合がある。これらのエラーは、シリンジデバイスに損傷を引き起こし、有用な分析時間の損失を引き起こす可能性がある。第3に、レール自体の取付点が分析前にシフトする場合、オートサンプラは、レールではなく、GCに接続されたGCインジェクタなどの標的にアクセスできなくなり、再較正を実行できるようになるまでシステムが誤動作する可能性がある。
【0006】
従来のレールオートサンプラの第3の制限は、大きな試料容器に保持された試料を分析するときに、長い移送ラインを使用することである。これらの移送ラインは、試料を大きな試料容器から試料予備濃縮ユニット及び/又は化学分析デバイスに送達するために、従来のオートサンプラシステムで必要であり得る。これらの移送ラインを使用すると、化合物の回収が低減し、1つの試料から別の試料へのキャリーオーバの可能性が高まる可能性があり、したがって、分析結果の精度が低下する。
【0007】
過去にガス試料を分析する非レールベースのロボットシステムが作られたが、主要な欠点を有していた。これらのシステムは、比較的長い移送ラインを含んでいたので、移送ラインの損失と汚染の可能性が高かった。これらのオートサンプラは、実験台スペースを多く消費し、したがって、価格が高く、実験室での実用性は低かった。更に、非レールベースのオートサンプラは、典型的には、オートサンプラエンクロージャ内の能動的構成要素に達することが困難になるため、支持が非常に困難である。
【発明の概要】
【0008】
これは、オートサンプラに関し、より具体的には、ガスクロマトグラフィ及び/又はガスクロマトグラフィ-質量分析による分析のために試料を調製するように構成されたレールベースのオートサンプラに関する。いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、サンプリングプラットフォーム、x軸レール、y軸レール、z軸レール、ピックアップツール、サンプリングワンド、及びサンプリングワンドに流体的に結合された化学分析デバイスを含むことができる。ピックアップツールは、例えば、x軸レール、y軸レール、及びz軸レールを横断するように構成されたモータに結合されて、ピックアップツールが、試料容器及びオートサンプラシステムのサンプリングワンドを操作することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ピックアップツールがサンプリングワンドに近接して位置するサンプリングプラットフォームに試料容器を移動させると、ピックアップツールは、サンプリングワンドを試料容器に結合して、例えば、質量流量コントローラ又は真空リザーバを使用して試料を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本開示のいくつかの実施形態による、例示的なオートサンプラシステムを図示する。
【
図1B】本開示のいくつかの実施形態による、例示的なオートサンプラシステムを図示する。
【
図1C】本開示のいくつかの実施形態による、例示的なオートサンプラシステムを図示する。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、例示的なオートサンプラシステムを図示する。
【
図3】いくつかの実施形態による、化学分析システムの手動構成を図示する。
【
図4A】いくつかの実施形態による、モジュール及び取付脚をレールシステムに取り付けるために使用され得る例示的なクランプを図示する。
【
図4B】いくつかの実施形態による、モジュール及び取付脚をレールシステムに取り付けるために使用され得る例示的なクランプを図示する。
【
図4C】本開示のいくつかの実施形態による、識別クランプに使用され得るバイナリコードを含む例示的なルックアップテーブルを図示する。
【
図5A】昇温脱離分析用の試料を含む2つの試料トレイを有するモジュールを備えた例示的なオートサンプラシステムを図示する。
【
図5B】本開示のいくつかの実施形態による、試料容器を洗浄するための熱調整システムを備えた例示的なオートサンプラシステムの動作を図示する。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、オートサンプラシステムを使用して試料を分析する例示的な方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、本明細書の一部を形成し、実施され得る具体的な例を例示することによって示される添付図面を参照する。他の例を使用することができ、本開示の実施例の範囲から逸脱することなく、構造的変化を行うことができることを理解されたい。
【0011】
序論
これは、オートサンプラに関し、より具体的には、ガスクロマトグラフィ及び/又はガスクロマトグラフィ-質量分析による分析のために試料を調製するように構成されたレールベースのオートサンプラに関する。いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、サンプリングプラットフォーム、x軸レール、y軸レール、z軸レール、ピックアップツール、サンプリングワンド、及びサンプリングワンドに流体的に結合された化学分析デバイスを含むことができる。ピックアップツールは、例えば、x軸レール、y軸レール、及びz軸レールを横断するように構成されたモータに結合されて、ピックアップツールが、試料容器及びオートサンプラシステムのサンプリングワンドを操作することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ピックアップツールがサンプリングワンドに近接して位置するサンプリングプラットフォームに試料容器を移動させると、ピックアップツールは、サンプリングワンドを試料容器に結合して、例えば、質量流量コントローラ又は真空リザーバを使用して試料を抽出することができる。
【0012】
本開示の実施形態は、GC(ガスクロマトグラフィ)及びGCMS(ガスクロマトグラフィ-質量分析)試料導入に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に提示されるレールオートサンプラは、GC又はGCMSによる分析のために、試料を調製するための予備濃縮デバイスに試料を送達するためにガスサンプリング容器に取り付けることができる可動ワンド入口を使用することによって、ガスサンプリング容器からの試料を分析することが可能である。予備濃縮ユニットは、内容物を加圧するためのガスを予備濃縮システム内に導入する必要なしに、ガスサンプリング容器から既知の量を引き出すことができる。このレールオートサンプラは、実験台スペースを実質的に節約するために、GC又はGCMSの上部に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、システムは、試料トレイ、予備濃縮モジュール、試料洗浄モジュール、又は他のデバイスを取り付けるクランプ内に組み込まれた独自の磁気識別を含む。磁気識別は、いくつかの実施形態では、システムの設置又は修正中のレールオートサンプラの自動較正(例えば、標的の場所のX、Y、及び/又はZ座標の判定)を許容する。また、磁気識別により、以前に較正されたモジュール又は試料トレイも、GCマウントに対するレールの位置付けも、最後の較正事象から変化したことを確認することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、オートサンプラは、試料容器をピックアップし、それらをシステムのサンプリング位置に移動させ、それによって、予備濃縮中の試料容器と試料予備濃縮システムとの間の移送ライン距離を低減することができる。いくつかの実施形態では、試料容器は、10cc~2500ccの範囲の容量及び5インチを超える直径(例えば、12.7センチメートル)を有し、これは、1~2インチ(例えば、2.5~5センチメートル)範囲の直径を有する試料容器しかピックアップすることができなかった以前のオートサンプラの能力に対する改善である。
【0014】
システムは、いくつかの実施形態では、分析のために試料容器の内容物にアクセスするのに使用されるレールのZ軸によって管理される試料ワンドを更に含む。ワンドは、試料をトラップシステムに送達するサイドポートを通して加熱された移送ラインに接続することができる。いくつかの実施形態では、試料容器を試料調製システムに近づけ、次いで、非常に短い加熱ラインを有する可動ワンドをGC入口又は予備濃縮/集束システムに使用することにより、ガスクロマトグラフ外の表面への総曝露量を減らすことで、分析物の回収を向上させ、システムのキャリーオーバを低減することができる。いくつかの実施形態では、試料ワンドは、試料を抽出しながら、システムに追加のガスを導入することなく、試料容器から試料を抽出することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、オートサンプラは、磁気識別クランプを使用して、使用前にオートサンプラの較正を自動化する。試料を処理する前にオートサンプラを較正し、試料容器、ガスサンプリング中に容器が置かれるサンプリングプラットフォーム、ガスサンプリングワンドと追加のガス較正及び内部標準ポートの場所をオートサンプラが見つけられるようにすることが重要である。いくつかの実施形態では、X軸レールエンコーダは、各基準点(例えば、磁気識別クランプ)がどこに位置しているかを記憶しており、基準点に関連付けられた残りの場所を見つけることが可能である。例えば、所与のモジュール又はトレイプラットフォームは、これらの追加の場所(トレイ上のバイアル)を見つけることができるように、初めに手で置かれた標的(例えば、較正中にトレイ内に置かれたサンプル容器)からのX方向及びY方向の変位の相対距離を有することになる。
【0016】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される磁気識別クランプは、トレイ及びモジュールの両方をオートサンプラのX軸、並びにGCに対するオートサンプラの支持体に取り付ける方法を提供する。磁気識別は、それぞれのクランプのバイナリIDコードを提供し、例えば、それぞれのクランプ識別の識別コード及びX軸座標を、システムによって参照及び保存することを許容する。いくつかの実施形態では、磁気識別は、多数のオートサンプラモジュールの較正を容易にし、較正中のX、Y座標のその後の微調整のためにモジュール上の微調整「標的」を比較的正確に判定することを提供する。レールシステムは、識別コードを有するクランプを見つけ出し、識別コードを読み取りつつ、(例えば、X軸)レールにわたって掃引し、各モジュールの微調整の実行方法を(例えば、ルックアップテーブルから)判定することができる。更に、各分析シーケンスの前に、システムは、最新の較正に対する各磁気識別のX軸の場所を検証するために、磁気識別をチェックすることができる。このように磁気識別の場所をチェックすることにより、最後のシステム較正からのモジュールの移動又は取り外しに起因する不良を回避することができる。いくつかの実施形態では、それぞれのレール支持マウント(例えば、システムの右側のGC/レール支持マウント)はまた、磁気識別を含み、これを使用して、前の較正からレールが再位置付けされていないことを確認することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、シリンジを使用せずに、ガス容器からの試料を分析することができる。本開示のいくつかの実施形態は、試料容器と試料予備濃縮又は注入ユニットとの間のより短い移送ラインの距離に起因する、化合物の損失なしで、より大きな試料の量を測定することを許容する。いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、サンプル容器の圧力(例えば、-80~40psig)よりも最初は圧力が低い(例えば、-14psig)真空リザーバを使用して移動した質量を測定しながら、トラップシステムを通るサンプルの流れを制御することによって、様々な正圧及び負圧で試料容器を取り扱うことができる。いくつかの実施形態では、ガス試料は、試料が試料容器に収容されている間、大気圧よりも小さい圧力を有する。いくつかの実施形態では、ガス試料は、試料が試料容器に収容されている間、大気圧よりも大きい圧力を有する。いくつかの実施形態では、ガス試料は、試料が試料容器に収容されている間に、大気圧に(例えば、ほぼ実質的に)等しい圧力を有する。いくつかの実施形態では、ガス試料は、試料が試料容器内に収容されている間、大気圧よりも小さい、等しい、又は大きい圧力を有する。いくつかの実施形態では、真空リザーバは、試料予備濃縮器を更に含むユニット内に配設される。真空リザーバとサンプル容器との間の圧力差は、試料を収集する間、追加のガスを導入することなく、(例えば、トラップ/予備濃縮システムの)トラップ(複数可)を通しての試料容器からシステムへ、その後、未捕集のバランスガス(例えば、空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、及び/又は水素などの固定ガス)の測定のための収集リザーバへのガスの移送を駆動することが可能である。いくつかの実施形態では、真空リザーバは、試料容器に装着されるように構成されたサンプリングワンドに流体的に結合され、それによって、システムは、真空リザーバを使用して所定量のサンプルを予備濃縮システム又は化学分析デバイスに引き込むことができる。いくつかの実施形態では、オートサンプラは試料を試料抽出場所に移動させ、試料を押し出すためのガスを加えることなく、したがって、そのような加圧ガスで試料を希釈することなく、気相試料が回収される。いくつかの実施形態では、この抽出場所は、試料を予熱して試料容器内のより低い揮発性成分の回収を支持するためのヒータを有する。
【0018】
更に、全自動オートサンプラシステムを取得する前に、実験室でこの技術を試験し、方法を開発することを許容するように、この解決策の低コストな手動バージョンが提示される。手動バージョンは、自動レールシステムとして同じ試料インターフェース及び予備濃縮モジュールを使用することができ、手動から自動操作へ方法を直接移行させることが許容される。
【0019】
例示的なシステム及びプロセス
図1A~
図1Cは、本開示のいくつかの実施形態による、例示的なオートサンプラシステム100を図示する。いくつかの実施形態では、オートサンプラシステム100は、化学分析器122(例えば、GC又はGCMS)及び/又は試料予備濃縮器121の上部に配設することができる。オートサンプラシステム100は、三次元でのピックアップツール130の移動を容易にするように構成されたX軸レール124、Y軸レール126、及びZ軸レール128を含むことができる。いくつかの実施形態では、ピックアップツール130は、試料容器102、104、106、及び/又は108、及びサンプルワンド114をピックアップ、移動、及び/又は操作するように構成されている。試料容器102、104、106、及び108は、それぞれ、試料トレイ132、134、及び136内に配設することができる。いくつかの実施形態では、試料トレイ132、134、及び136は、
図4A~
図5Bを参照してより詳細に説明されるように、それぞれのクランプ138によってオートサンプラシステム100に結合されたそれぞれのモジュール(例えば、試料トレイ132、134、136)の較正データに関連付けられた磁気識別を含み得る、クランプ138を使用してオートサンプラシステム100に結合される。
【0020】
いくつかの実施形態では、オートサンプラシステム100は、大量の気相試料を分析する能力を有する。オートサンプラシステム100は、比較的大きな試料容器が、他の試料容器、Z軸レール128、又はZ軸レール128の任意の内部構成要素と衝突することなく、(例えば、試料トレイ内の)他の試料容器の上部上に持ち上げられるように、比較的大きな試料容器(例えば、ガスキャニスタ)を収容することができる。オートサンプラシステム100のピックアップツール130は、各試料容器102、104、106、108、及び110をピックアップして、試料調製(例えば、予備濃縮)及び分析のために試料容器をサンプリングプラットフォーム112に移動させるように構成された把持機構を含むことができる。更に、いくつかの実施形態では、以下でより詳細に説明されるように(例えば、
図1Cに関して)、オートサンプラシステム100は、試料回収を改善し、システム100の使用間のキャリーオーバを低減するために比較的短い移送ラインの使用も促進するガス管理システムを含むことができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、X軸レール124、Y軸レール126、及びZ軸レール128の各々は、モータ及びエンコーダを含む。モータは、例えば、ステッピングモータ又はサーバモータであり得るが、他のタイプのモータが可能である。いくつかの実施形態では、各モータは、三次元でのレール124~128及びピックアップツール130の位置を追跡するために、それぞれのモータによって取得される各ステップ又は増分の動きを追跡できるエンコーダと結合される。いくつかの実施形態では、(例えば、試料容器、レールの端部、又は他の何かなどの障害物に到達したことにより)モータのうちの1つ以上が失速した場合、システムは依然として、レール124~128及びピックアップツール130の位置の正確な判定を維持することが可能である。いくつかの実施形態では、モータは、各軸の運動を独立して制御することができるトリプル軸コントローラによって制御される。
【0022】
図1A~
図1Cは、例えば、1Lのガラスボトル102、1Lのステンレス鋼キャニスタ104、1.4Lのステンレス鋼キャニスタ106、及び2.5Lのステンレス鋼キャニスタ108を試料容器として使用するオートサンプラシステム100を示す。したがって、いくつかの実施形態では、オートサンプラシステム100は、システムと共に使用される試料トレイを交換することによって、様々な試料容器と適合し得る。いくつかの実施形態では、ガラス瓶は使用前に不活性化され、ステンレス鋼キャニスタは、典型的には、サンプリング後、分析前の化学混合物の不活性と保存時間を改善するために、内部セラミックコーティングを含む。各試料容器はマイクロQTバルブ(QT-4分の1インチチューブ)を含み、これは、バルブの開閉を素早く行うことを許容し、並びにバルブの上部には戻り止めが含まれ、オートサンプラがそれぞれの容器をピックアップして移動させること許容可能にある。いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、多様な量及び/又は外径を有するサンプル容器に適合する。例えば、オートサンプラシステムは、1/4インチ~5.2インチの範囲の外径及び1cc~2500ccの範囲の容量を有する試料容器を収容することができる。例として、オートサンプラシステム100は、マイクロQTバルブを備えた1/4インチチューブから試料を抽出することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、1~2500ccの範囲の量を有する試料を予備濃縮システム121内に(例えば、サンプリングワンド114を使用して)引き込むことができる。いくつかの実施形態では、引き込まれた試料の量は、0.1、1、3、5、10、15、20、25、50、100、200、300、500、1000、1500、又は2000cc超である。いくつかの実施形態では、引き込まれた試料の量は、100、300、500、1000、1500、2000、又は2500cc未満である。オートサンプラシステムは、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示された上限又は下限のいずれかを有する範囲の試料の量を引き込むことが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に明示的に開示された1つ以上の範囲(複数可)外の量を有する試料を引き出すことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、1/4インチ~5.2インチの範囲の直径を有する試料容器から試料を引き出すことができる。いくつかの実施形態では、試料容器は、1/4、1、2、3、4、5、6、又は10インチ超の直径を有する。いくつかの実施形態では、試料容器は、1/2、1、2、3、4、5、6、7、又は11インチ未満の直径を有する。オートサンプラシステムは、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される上限又は下限のいずれかを有する範囲の直径を有する試料容器から試料を引き出すことができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に明示的に開示された1つ以上の範囲(複数可)外の直径を有するサンプリング容器から試料を引き出すことができる。
【0025】
図1Aでは、例えば、オートサンプラシステム100は、ピックアップツール130を用いて1.4Lのキャニスタ110を持ち上げて、1.4Lのキャニスタ110をサンプリングプラットフォーム112に移送している。いくつかの実施形態では、サンプリングプラットフォーム112は、試料予備濃縮器121の近くに位置付けることができる。サンプリングプラットフォーム112の位置は、試料と予備濃縮器121との間の移送ラインの長さを減少させることができ、したがって、潜在的に反応表面への試料の露出を減少させることができる。いくつかの実施形態では、試料プラットフォーム112上のシリンダは、加熱又は非加熱のいずれかであり得、分析中にキャニスタ110の位置を維持するのに役立ち得る。
【0026】
図1Bでは、1.4Lのキャニスタ110は、例えば、内部の試料にアクセスするために、キャニスタ110の上部に置かれたサンプリングワンド114を用いてサンプリングプラットフォーム112に位置付けられる。サンプリングワンド114は、加熱された移送ライン140に結合され得、これにより、試料予備濃縮器121などの試料導入システムへのガス試料の移送が許容される。したがって、いくつかの実施形態では、サンプリングワンド114及び予備濃縮器121は、流体的に結合されている。いくつかの実施形態では、サンプリングワンド114及び予備濃縮器121は、別個の構成要素である。いくつかの実施形態では、サンプリングワンド114及び予備濃縮器121は、互いに(例えば、移送ライン140を介して)互いに流体的に結合された別個の構成要素である。いくつかの実施形態では、サンプリングワンド114は、試料が収集されている間に追加のガスを導入することなく、試料容器110からガス試料を収集することができる。
【0027】
図1A~
図1Bに示されるように、オートサンプラシステム100は、化学分析器122の上部(例えば、GC又はGCMS)上に配設することができ、したがって、オートサンプラシステム100が化学分析器122に隣接して配置されるシステムと比較して、かつ/又は実験室スペースを消費し、乱雑さを生じ、追加の移送ラインを加え、全体的に実験室効率を下げる床置きオートサンプラと比較して、実験台スペースを節約することができる。いくつかの状況では、コンピュータ、モニタ、キーボード、及び/又はマウスデータシステムを、キャニスタ104~108の下の化学分析器122の右側に位置させ、例えば、作業台スペースの利用を改善することができる。
【0028】
図1Cは、いくつかの実施形態による、オートサンプラシステム100のサンプリングプラットフォーム112の詳細図を図示する。いくつかの実施形態では、使用中ではないが、サンプリングワンド114は、支持構造118によって支持され得る。いくつかの実施形態では、支持構造118は、1つ以上の内部標準物質、較正標準物質、及び試料への曝露後にサンプリングワンド及び加熱ラインを清浄化するための不活性フラッシュガスなどの他のガスをワンドを通して導入することを許容するように、マイクロQTバルブ120a~dを更に保持することが可能である。いくつかの実施形態では、これらのガスのうちの1つ以上をシステムに導入して、試料の化学分析に含めることができる。例えば、サンプリングワンド114は、(1)試料濃度の上昇に対する応答線形性を証明する較正曲線生成のための所定量の高濃度又は低濃度標準物質、(2)GCMS分析を行う際に一般的に必要とされる内部標準較正法をサポートするために分析毎に導入される所定量の内部標準物質、(3)所定量の試料をシステムに導入することが可能である。したがって、いくつかの実施形態では、標準物質はガス試料と同時に導入されないが、標準物質及びガス試料の両方が試料の分析に含まれる。いくつかの実施形態では、サンプリングプラットフォーム112の試料ホルダは、現在分析されている試料容器のサイズと一致するように交換され得る。いくつかの実施形態では、サンプリングプラットフォーム112の試料ホルダは、手動で交換され、いくつかの実施形態では、1つ以上の支持構造(例えば、リング、支柱)の下の弱いばねは、サンプリングプラットフォーム112上に配設された試料容器への試料ホルダの自動嵌合を可能にすることができる。例えば、比較的大きな試料容器は、小さな容器用の1つ以上の支持構造を押し下げ、代わりに比較的大きな試料容器の設置面積の外側に適合する1つ以上の支持構造と係合することができる。いくつかの実施形態では、サンプリングプラットフォーム112の試料ホルダは、試料が試料容器内にある間に試料を予熱及び/又は加熱するように構成されたヒータを含むことができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、システム100は、試料容器110がサンプリングプラットフォーム112上に配設されている間、サンプリングワンド114で穏やかな力を印加し、キャニスタ110上のQTバルブを開放して内部の試料へのアクセスを可能にする。サンプリングワンド114がキャニスタ110に接続されると、予備濃縮ユニット121は、例えば、試料を引き出している間に別のガスをシステムに導入せずに、(例えば、サンプリングワンド114に流体的に結合された予備濃縮器121のトラップシステムの下流に(例えば、サンプリングした量又は質量を判定するために差圧測定を行う)質量流量コントローラ又は真空リザーバを使用して)容器110から所定量(例えば、及び/又は質量)の試料を引き出すことが可能である。いくつかの実施形態では、試料抽出後、サンプリングワンド114を支持構造118に戻すことができる。いくつかの実施形態では、次に、サンプリングワンド114に真空を作用させ、次の分析へのキャリーオーバを排除することができる。次に、いくつかの実施形態では、ピックアップツール130は、試料容器110を試料トレイ136に移動させることができる。抽出され、捕捉された試料は、化学分析器122に急速に注入する前に、水蒸気を除去するために更に処理され、潜在的に更に集束され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、支持構造118は、1つ以上の標準物質及び/又はパージガス(複数可)を予備濃縮システム121及び/又は化学分析システム122内に導入するためにサンプリングワンド114を結合することができる追加のマイクロQTバルブを収容している。例えば、バルブ120aは、第1の標準物質(例えば、高濃度標準物質)に結合され得、バルブ120bは、第2の標準物質(例えば、低濃度標準物質)に結合され得、バルブ120cは、第3の標準物質(例えば、内部標準物質)に結合され得、バルブ120dは、パージガスに結合され得る。いくつかの実施形態では、いくつかの予備濃縮器は、10~500cc(50倍の係数のみ)からしか正確に予備濃縮することができない。したがって、いくつかの実施形態では、2つの異なる標準物質(例えば、高濃度標準物質120a及び低濃度標準物質120b)を提供して、濃度を20~100倍の係数で異なるようにすることで、2000倍の総濃度範囲を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、化学分析器(例えば、MS)の任意の変化する感度を追跡するために、内部標準物質120cが各分析に加えられる。いくつかの実施形態では、システムは、試料容器から試料を収集し、異なる時間にシステムに1つ以上の標準物質を導入し、試料の分析における試料及び標準物質の両方を含む。
【0031】
支持構造118は、サンプリングワンド114を使用しない間に結合することができるクレードル115を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、クレードル115は、クレードル115に結合されたときにサンプリングワンド114を真空に曝すことができるように、内部シール(例えば、1つ以上のoリング)を含むことができる。このようにサンプリングワンド114をクレードル115に結合することにより、分析間の試料化合物のキャリーオーバを低減することができる。
【0032】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的なオートサンプラシステム200を図示する。いくつかの実施形態では、オートサンプラシステム200は、化学分析器122(例えば、GC又はGCMS)の上部に配設することができる。オートサンプラシステム200は、ピックアップツール130の3次元での移動を容易にするように構成されたX軸レール124、Z軸レール128、及びY軸レール(
図2のZ軸レール128の背後に隠れている)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ピックアップツール130は、試料容器202及び204、並びにサンプルワンド114をピックアップ、移動、かつ/又は操作するように構成されている。いくつかの実施形態では、試料トレイ210は、
図4A~
図5Bを参照してより詳細に説明されるように、それぞれのクランプ138によってオートサンプラシステム100に結合された較正データに関連付けられた磁気識別を含み得るクランプ138を使用して、オートサンプラシステム200に結合される。
【0033】
図2では、オートサンプラシステム200は、例えば、1~50ccの範囲の量で試料容器202内に保持された試料を分析するように構成されている。いくつかの実施形態では、
図1A~1Cに示すようにサブPPBレベルの検出限界を達成するために10~1000ccの試料の濃縮を支援するのではなく、例えば、
図2は、より小さい試料容器202に保持された試料を分析するために使用されているオートサンプラシステム100を図示しており、1PPB~1000PPMの試料を測定するために1~50ccの容量のみが必要となる。より小さな量は、例えば、オートサンプラシステム200上に直接位置するトラップシステム206などの、より小さい又はより少ないトラップ段階で取り扱うことができる。いくつかの実施形態では、トラップシステム206は、試料を濃縮し、不要な水蒸気を除去し、分析のために化学分析器122(例えば、GC又はGCMS)への(例えば、加熱された)移送ライン208を通じた試料の迅速な移送を容易にすることが可能である。
【0034】
図2に図示される構成は、産業衛生作業場の試料に、かつ例えばその他の産業由来のガス中のPPMレベルの構成成分の測定に使用することができる。この構成はまた、バイアルの上部にマイクロQTバルブを有する蓋上にねじを有する小型から大型のバイアル(例えば、試料容器202と同様)を使用して、液相及び固相の試料を包含するバイアルの大容量静的ヘッドスペース(LVSH)分析を行うために使用することも可能である。この構成により、平衡条件下での加熱又は非加熱バイアル分析中に揮発性化合物から半揮発性化合物までの分析が許容され、特定の温度におけるヘッドスペース内の濃度についてのフィードバックを提供することができる。消費者が製品を評価する際に、液体や固体の製品そのものの真の組成よりも、複雑な揮発性ヘッドスペースの嗅覚感度を使用することが多いため、これは非常に重要であり得、例えば、市場で十分に受け入れられる製品を開発するためには、「良い匂い」と「悪い匂い」の両方を定量化する能力が不可欠である。
【0035】
図3は、いくつかの実施形態による、化学分析システム300の手動構成を図示する。化学分析システム300は、例えばオートサンプラデバイスを含まない化学分析システム300を除いて、オートサンプラシステム100及び200と同様であり得る。いくつかの実施形態では、化学分析システム300を使用して、化学試料を手動で調製し、分析することができる。例えば、実験室は、化学分析システム300を購入して、調製及び分析方法を手動で開発した後に、オートサンプラを含むようにシステム300をアップグレードし、それによってシステム300をオートサンプラシステム100又は200と同様のオートサンプラシステムに変えることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、化学分析システムは、試料バイアル202、サンプリングワンド114、試料予備濃縮システム206、及び化学分析器122(例えば、GC又はGCMS)を含み得る。いくつかの実施形態では、サンプリングワンド114は、試料容器204から試料予備濃縮システム206へ試料を移送するために、移送ライン140に結合される。試料予備濃縮システム206は、移送ライン208を介して化学分析器122に結合することができる。いくつかの実施形態では、化学分析システム300は、試料トレイ210を含む試料トレイをクランプ304を介して化学分析システム300に結合することができるブラケット302を含むことができる。いくつかの実施形態では、クランプ304は、磁気識別を含むことができるが、いくつかの実施形態では、化学分析システム300は、ロボット制御で操作される自動化システムではなく、人間が操作する手動システムであるため、クランプ304は、磁気識別を含まない。いくつかの実施形態では、化学分析システム300は、オートサンプラシステム100又は200と同様のオートサンプラシステムに化学分析システム300をアップグレードするオートサンプラを含むように修正することができる。
【0037】
図4A及び
図4Bは、いくつかの実施形態による、モジュール及び取付脚をレールシステムに取り付けるために使用され得る例示的なクランプ400及び410を図示する。いくつかの実施形態では、
図4Aに示すように、クランプ400は、クランプ400が識別タグを含むことを示す磁石404と、どのモジュール(例えば、試料トレイ、レールマウントなど)がそのクランプ400に取り付けられていることを識別するためにバイナリ識別コードを作成する磁石402とを含む。いくつかの実施形態において、クランプ400は、各々が磁石(例えば、位置406aに含まれる磁石402)を含んでも含まなくてもよい位置406a~406dを含む。例えば、クランプ400は、位置406aに磁石402を含み、位置406b~dに磁石を含まず、したがって、クランプ400は、識別コード「1」を含むことができる。磁石404は、このクランプ400と、識別コードを含まないオートサンプラシステムの他のクランプとを区別するために使用することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムの較正プロセス中、オートサンプラシステム(例えば、オートサンプラシステム100又は200)のX軸レール(例えば、
図1A及び
図1B、並びに
図2に図示されるX軸レール124)は、(例えば、右から左又は左~右に)スキャンされ、Z軸レール(例えば、
図1A及び
図1B、並びに
図2のZ軸レール128)の背面の磁気センサは、オートサンプラシステムのX軸に沿って識別タグを有する任意のクランプ(複数可)(例えば、クランプ138)を位置特定するために使用される。いくつかの実施形態では、各バイナリコードは、オートサンプラシステムがそれぞれのモジュールのための較正情報を探すことができるオートサンプラシステムに適合するそれぞれのモジュールに対応することができる。例えば、較正情報は、モジュールによって保持された試料容器の数、及び識別クランプに対する試料容器の場所(複数可)を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、識別クランプを使用して、分析前にオートサンプラシステムを較正することができる。いくつかの実施形態では、システムは、バイナリコード(例えば、
図4Aの位置406a~dが各々磁石を含まないバイナリコード「0」)をオートサンプラシステムのそれぞれの支持構造と関連付けることができる。例えば、
図4Bでは、クランプ410は、オートサンプラレールを化学分析器に結合する右端の支持脚の場所を示すことができる。16個のコード全てを作成する磁石及びコードを示す例を
図4Cに示す。いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、識別コードを使用して、キャニスタサンプリングプラットフォームの場所と、オンレール予備濃縮ユニットが存在するかどうかを識別することができる。
【0039】
図4Cは、本開示のいくつかの実施形態による、識別クランプに使用され得るバイナリコードを含む例示的なルックアップテーブル401を図示する。
図4Cに示すように、各バイナリコードは、右端の位置に磁石を含むことができ、それによって、クランプが、例えば、左から4つの位置にバイナリコードを含むことを示す。いくつかの実施形態では、0~15の16個の可能なバイナリコードがある。いくつかの実施形態では、コードのうちの1つ(例えば、「0」)は、オートサンプラシステムのそれぞれの支持構造(例えば、オートサンプラシステムを化学分析器に結合する右の支持脚)に対して確保することができ、残りのコードは各々、オートサンプラシステムに適合するそれぞれのモジュールと関連付けることができる。例えば、残りのバイナリコード(例えば、コード「1」~「15」)は、各々、レール上のそれぞれの試料トレイ又は制御/抽出モジュールと関連付けることができ、オートサンプラシステムにアクセス可能なルックアップテーブルに記憶された較正テーブルに関連付けることができる。いくつかの実施形態では、較正データは、それぞれのトレイ内の試料容器の数、及びクランプのバイナリ識別コードに対する試料容器の(例えば、X、Y、及び/又はZ)位置などの情報を含むことができる。いくつかの実施形態では、較正情報は、バイナリコードに対応するそれぞれの試料トレイ内の試料容器のX、Yの場所を含む。いくつかの実施形態では、それぞれの試料トレイは、複数のサイズの試料容器を保持するように構成され得る。例えば、それぞれの試料トレイは、1Lのキャニスタ、及び/又は異なる高さを有する1.4Lのキャニスタを保持することができる。更に、いくつかの実施形態では、各試料容器の上部におけるバルブのタイプは変化し得(例えば、試料容器は、MQTバルブのみ又はTrueSealバルブ+MQTを含み得る)、これにより、標的の高さ(例えば、試料容器のシール)も同様に変化することが引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、ソフトウェアにおいて、かつシーケンステーブルの作成中に、分析者は、システムによって試料容器の予想されるZ高さを判定することができるキャニスタ構成を示し得る。いくつかの実施形態では、構成情報に基づいてZ高さを判定するのではなく、オートサンプラシステムは、Z軸モータを低出力設定で動作させて、Z軸が穏やかに失速するまで(例えば、試料容器の上部に達したとき)ピックアップツール130を下げることを許容し、それによって試料容器の高さを判定することができる。いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、内部駆動機構への損傷を被ることなく、試料容器のZ高さを判定するこの方法に(例えば、数百万回オーダーで)耐えることができる。オートサンプラシステムは、この較正情報を使用して、例えば、化学分析のために試料容器の位置を特定することができる。
【0040】
図5Aは、昇温脱離分析用の試料を含む2つの試料トレイ504を有するモジュール502を備えた例示的なオートサンプラシステム500を図示する。モジュール502は、オートサンプラシステム500のX軸レールに結合することができる2つの支持脚506a及び506bを含み得る。
図5Aに示すように、支持脚506bは、識別クランプ508を含み得るが、支持脚506aは、例えば、磁気識別を含まないクランプ510を含み得る。いくつかの実施形態では、モジュール502の識別クランプ508は、モジュール502の右端の支持脚506bと統合されるなど、モジュール502に対してそれぞれの所定の位置に位置付けられる。識別クランプ508をモジュール502の残りの部分に対して所定の向きに位置させることにより、システムは、識別コード508に関連付けられた較正情報に基づいて、モジュール502の試料容器512の位置を特定することができる。いくつかの実施形態では、システム500は、まず、識別508に関連付けられた較正情報に基づいて、各試料トレイ504の最初と最後の位置にある試料容器512a~dを識別し、残りの試料容器の較正を微調整することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、Z軸レールの底部に配設することができるオートサンプラシステムのピックアップツールは、大きな受容円錐を有し、ピックアップツールと標的との間の位置合わせを、システムの機能性に影響を与えることなく較正中に実質的な距離(例えば、約0.5センチメートル以下)だけオフセットすることが許容される。典型的には、ピックアップツールと標的との間のオフセットは、磁気識別クランプに対する標的の場所(複数可)に基づいてシステムを較正するとき、約0.5センチメートル未満であり、これは、自動較正プロセスが実質的に信頼できることを意味する。
【0042】
図5Bは、本開示のいくつかの実施形態による、試料容器516を洗浄するための熱調整システム514を備えた例示的なオートサンプラシステム501の動作を図示する。いくつかの実施形態では、熱調整システム514は、識別クランプ518を介してオートサンプラシステム501に結合される。例えば、クランプ518は、クランプ518がバイナリ磁気識別を含むことを示す右端の位置の磁石と、左から4番目の位置の磁石(例えば、バイナリコード「1」に対応する)とを含み得る。いくつかの実施形態では、クランプ518のバイナリコードは、熱調整システム514と関連付けることができる。オートサンプラシステム501は、クランプ518の識別コードを検出し、試料容器516の位置を(例えば、オートサンプラシステムのピックアップツールを用いて)特定するのに使用できる熱調整システム514の較正情報を調べることができ、同様に、ソフトウェア内のルックアップテーブルによって、微細較正のための標的の数及び場所の判定と共に、このモジュールを適切に特定することが許容される。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態は、GC及びGCMSによって試料中の揮発性化学物質の定量的及び定性的な化学分析の両方を実行するために使用することができる。オートサンプラシステムは、ステンレス鋼及びガラス真空サンプリングキャニスタを含む試料容器、及びサンプリングプラットフォーム上のポート上又はその近くに位置する場合にはテドラーバッグに適合し得る。この技術を使用することができる方法の例には、US EPA Method TO-15/TO-15A、OSHA methods 1021、及びPV2120、China Method HJ759、及び台湾、日本、及び他の場所からの他のキャニスタ方法が含まれる。先に説明したように、気密シールを有する小型から大型のガラスバイアル及びマイクロQTバルブ又は上部にあるマイクロQTバルブ又は適合バルブを使用して、工業製品及び消費者製品の分析に数百の用途を有する、液体試料又は固体試料の上方のヘッドスペースを分析することができる。試料ガスは、GCへの少量移送のためにループを通して、若しくは最初に予備濃縮トラップを通して引き抜くか又は押し出されて、有機化学物質の濃度を高めて検出限界を改善し、かつ量を減少させてGCへの注入速度を上げ、低毛細管流速を低下することができる。レールベースの設計は、試料をGC又はGCMSの上に置くなどして、実験室スペースを節約することができ、実験室で十分に活用されていない垂直方向のスペースを活用することができる。別個のラインを使用して各試料の取り付けを必要とするキャニスタオートサンプラと異なり、本開示のいくつかの実施形態では、試料容器は、試料の積み降ろしを迅速に行うためにトレイ内に置かれ、マルチ入口ラインオートサンプラよりもはるかに優れたシステムの一貫性及び衛生状態を維持するために、たった1つのサンプリングラインが許容される。試料を保持するサンプリングプラットフォームを加熱して、より重い化合物の気相への移行を促進して、室温において一部しか揮発しない高沸点化合物の回収を高めることができる。(例えば、
図3を参照して上述したような)システムの非自動化バージョンは、実験室が完全に自動化されたX、Y、Zレールシステムに投資する前に、これらのアプリケーションをテストし、方法を開発する方法として提示されている。
【0044】
分析前の自動較正と検証のためのクランプ識別システムは、GC、GCMS、又はGC又はGCMS分析用のサンプルの自動化及び/若しくは調製に使用されるオフライン試料調製レールシステムを含む、任意のアプリケーションのための任意のレールシステムで使用することができる。モジュールをGCへのレールに結合するクランプ上に位置付けされるように磁気又は他の識別コード(RFID、IR、バーコード、その他)により、X軸レール上に任意のモジュールを追加するか、取り外すか、又は再位置付けするとき、若しくはレールシステムを再位置付けするために(例えば、より良好な重量分布を提供するか、GC又はGCMS上又はその近くの他のデバイスとの衝突を避けるために)レール自体を移動するとき、迅速かつ正確な較正することが許容される。
【0045】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、オートサンプラシステムを使用して試料を分析する例示的な方法600を図示している。いくつかの実施形態では、本方法は、
図1A~
図2を参照して上述したオートサンプラシステム100又はオートサンプラシステム200などのオートサンプラシステムを使用して実行することができる。いくつかの実施形態では、
図4A~
図5Bを参照して上述した磁気識別クランプなどの磁気識別クランプを使用して、方法を実行することもできる。いくつかの実施形態では、方法の1つ以上のステップは、デバイス(例えば、オートサンプラシステム)によって実行されると、デバイスに1つ以上の方法ステップを実行させる命令(例えば、1つ以上のプログラム)を記憶する1つ以上のプロセッサを使用して実行される。
【0046】
いくつかの実施形態では、オートサンプラ(602)を較正する前に、システムは、近接スイッチ及び金属フラグを使用して、X、Y、Z=0の基準点をマークすることができる。このようにして、いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、使用中に必要に応じて基準点(例えば、「ホーム」位置)を識別することができる。フラグはオートサンプラの内側にあり、ユーザによって(容易に)アクセス又は変更することができないため、例えば、変わらないままである。いくつかの実施形態では、システムは、典型的には、最初に電源を入れたとき、又は位置精度の損失が発生していないことを確認する頻度で、このようにして「ホーム」に戻る。磁気識別較正ルーチンで判定された相対位置オフセットと組み合わせることで、X、Y、Z軸の信頼できる「ホーム」位置は、例えば、動作中に正確な「絶対」座標を提供することができる。
【0047】
システムが最初にセットアップされると、詳細な較正が実行される(602)。いくつかの実施形態では、較正は、クランプのコードを読み取るためにセンサをクランプの上に位置付けることによって、磁気識別を含むクランプのためのオートサンプラシステムのX軸レールをスキャンすることを含む。例えば、クランプのコードを正確に判定するために、磁石を含み得るクランプの5つの位置に、5つのセンサリーダを位置合わせすることができる。いくつかの実施形態では、バイナリコードを含む全てのクランプはクランプの右端の位置にも磁石を含むため、位置合わせは、例えば、右端の検出された磁石を例えば、右端の磁気センサと位置合わせすることによって達成することができる。いくつかの実施形態では、右端の位置を基準の位置として使用するのではなく、クランプ上の異なる位置を基準(例えば、左端の位置、中央の位置など)として使用することができる。センサが位置合わせされると、システムは、例えば、クランプの左から4つの位置に1つ以上の磁石によって作成されたバイナリコードを読み取ることができる。このプロセスは、システムのX軸レールに沿ったコードを含む各クランプについて繰り返すことができる。クランプのコードを読み取った後、システムは、微調整を必要とする任意のモジュールの較正を微調整することができる。いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムの右脚の位置「0」の微調整は不要である。いくつかの実施形態では、この較正は一度だけ行えばよいが、単一のモジュールが交換された場合、その一つのモジュールをスキャンして現在のモジュールのリストに追加し、必要に応じて追加されたモジュールの微調整較正を行うようにシステムに指示することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、較正後、システムは、化学分析(例えば、1つ以上の試料、ブランク、又は標準物質)(604)を実施することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、自動分析中、オートサンプラシステムは較正を検証する(606)。いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、最初に自身をゼロ設定し(Z軸、次にY軸、次にX軸について最初にホームフラグを検出する)、次に、磁気クランプが期待される各位置に対してゼロ設定し、磁気クランプが較正602以来移動していないことを検証する。
【0050】
いくつかの実施形態では、試料位置(例えば、試料バイアルのうちの1つ)が選択される場合、システムは、その試料をサンプリングプラットフォーム(607)に(例えば、ピックアップツール130を使用して)移動させることができる。いくつかの実施形態では、試料が選択されていない場合、このステップはスキップされる。例えば、システムが代わりに標準物質(例えば、高濃度標準物質120a、低濃度標準物質120c、内部標準物質120c)を処理しているか、又は空試験を実行している場合、試料は選択されない。
【0051】
いくつかの実施形態では、システムは、サンプリングワンド114を試料(608)に移動させることができ、それにより、システムがサンプリングワンド114を使用して(例えば、予備濃縮システム121又は206を通して)化学分析器122に試料を導入することを可能にする。例えば、システムは、最初にピックアップツール130を使用してサンプルをサンプリングプラットフォーム(607)に移動させ、次いでピックアップツール130を使用してサンプリングワンド114を試料(608)に移動させる。いくつかの実施形態では、試料が分析されていない場合(例えば、システムは標準物質を処理しているか、又は空試験を実行している)場合、サンプリングワンド114は、バルブ120a~dのうちの1つに移動して、所望のガスをシステムに提供する。
【0052】
いくつかの実施形態では、システムは、サンプリングワンド114(609)を使用して試料を収集する。いくつかの実施形態では、サンプリングワンド114は、試料が引き出されている間、システムに別のガスを導入することなく、試料をシステムに導入することができる。試料は、存在する場合、サンプリングプラットフォーム112上に位置付けられている間、システムは、サンプリングワンド114を動かして、高濃度又は低濃度の標準物質(例えば、120a又は120b)、内部標準物質120c、及び試料があれば試料のうちの1つ以上の要求量を濃縮することができる。いくつかの実施形態では、システムに試料を導入するのではなく、サンプリングワンド114は、試料なしで、1つ以上の標準物質をシステムに導入、若しくは(例えば、空試験を実行するために)試料又は1つ以上の標準物質なしで、不活性ガスをシステムに導入することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、要求された試料がシステムに提供されると、システムは、サンプリングワンド114を試料(例えば、610)から取り外し、サンプリングワンド114をクレードル115内に位置させることができる。いくつかの実施形態では、クレードル115は真空源に結合され、クレードル内にサンプリングワンド114を位置させることにより、サンプリングワンド114を自動的に洗浄するプロセスを開始することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、システムは、試料をそのそれぞれのサンプリングトレイ(612)に戻す。システムが加熱分析を実行している場合、システムは、予熱のために次の試料(607)をサンプリングプラットフォーム112に移動させ始めることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、システムは、上記の予備濃縮システムのうちの1つを使用して、試料予備濃縮(614)を実行することができる。GC READYが検出されるまで(616)、システムは待機することができる(618)。GC READYが検出されると(616)、システムは、試料を化学分析器(620)に注入し、化学分析器(622)で試料を分析することができる。いくつかの実施形態では、試料が注入されると(620)、システムは、次の試料に備えるために、予備濃縮システムをベイクアウトすることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、予備濃縮器が準備できたとき、かつ化学分析システムが試料に対して分析を実施している間(622)、システムは次の試料の予備濃縮を開始することができる(614)。
【0057】
本開示のいくつかの実施例は、オートサンプラシステムであって、サンプリングプラットフォームと、x軸レールと、y軸レールと、z軸レールと、x軸レール、y軸レール、及びz軸レールを横断するように構成された1つ以上のモータに結合されたピックアップツールであって、試料容器を試料トレイからサンプリングプラットフォームに移動させるように構成されている、ピックアップツールと、質量流量コントローラ又は真空リザーバを使用して、別のガスを試料予備濃縮器に加えることなく、試料容器から1~2500ccの範囲の量を有する既知の質量のガス試料を引き出すように構成された試料ワンドであって、ピックアップツールが、試料容器に試料ワンドを移動させるように更に構成され、ガス試料が、試料容器に収容されている間は大気圧よりも大きいか、大気圧よりも小さいか、又は大気圧と等しい圧力にある、試料ワンドと、試料予備濃縮器に流体的に結合された化学分析デバイスと、を備えるオートサンプラシステムに向けられている。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、サンプリングワンドクレードルを更に備え、サンプリングワンドはクレードル内に配設されている間、サンプリングワンド内が真空引きされるように、サンプリングワンドクレードルが真空源に結合されている。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、ピックアップツールは、サンプリングワンドクレードルと試料容器との間でサンプリングワンドを移動させるように更に構成されている。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、1つ以上のガスに結合された1つ以上のバルブを更に備え、ピックアップツールは、試料ワンドをバルブのうちの1つに結合して、ガスを化学分析デバイスに導入するように構成され、1つ以上のガスは、分析器較正ガス混合物又はシステムパージガスを含む。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、試料トレイをオートサンプラシステムのx軸レールに結合させるクランプであって、試料トレイに対応する所定の配置にある1つ以上の磁石を含む、クランプと、クランプの1つ以上の磁石を検出するように構成された磁石センサと、磁石の所定の配置に関連付けられた較正情報を探索するように構成された1つ以上のプロセッサと、を更に含む。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、試料容器は、1/4インチ~5.2インチの範囲の外径を有する。
【0058】
本開示のいくつかの実施形態は、システムであって、大気圧よりも大きいか、大気圧よりも小さいか、又は大気圧と等しい圧力で、ガス試料を収容する1~2500ccの範囲の容積を有する試料容器と、オートサンプラシステムであって、サンプリングプラットフォーム、x軸レール、y軸レール、z軸レール、x軸レール、y軸レール、及びz軸レールを横断するように構成された1つ以上のモータに結合されたピックアップツールであって、試料容器を試料トレイからサンプリングプラットフォームに移動させるように構成されている、ピックアップツール、及び質量流量コントローラ又は真空リザーバを使用して、別のガスを加えることなく、試料容器から試料予備濃縮器内へ既知の質量のガス試料を引き出すように構成された試料ワンドであって、ピックアップツールが、試料容器に試料ワンドを移動させるように更に構成され、ガス試料が、試料容器に収容されている間は大気圧よりも大きいか、大気圧よりも小さいか、又は大気圧と等しい圧力にある、試料ワンド、及び試料予備濃縮器に流体的に結合された化学分析デバイス、を備えるオートサンプラシステムと、を備えるシステムに向けられている。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、サンプリングワンドクレードルを更に備え、サンプリングワンドはクレードル内に配設されている間、サンプリングワンド内が真空引きされるように、サンプリングワンドクレードルが真空源に結合されている。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、ピックアップツールは、サンプリングワンドクレードルと試料容器との間でサンプリングワンドを移動させるように更に構成されている。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、1つ以上のガスに結合された1つ以上のバルブを更に備え、ピックアップツールは、試料ワンドをバルブのうちの1つに結合して、ガスを化学分析デバイスに導入するように構成され、1つ以上のガスは、分析器較正ガス混合物又はシステムパージガスを含む。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムは、試料トレイをオートサンプラシステムのx軸レールに結合させるクランプであって、試料トレイに対応する所定の配置にある1つ以上の磁石を含む、クランプと、クランプの1つ以上の磁石を検出するように構成された磁石センサと、磁石の所定の配置に関連付けられた較正情報を探索するように構成された1つ以上のプロセッサと、を更に備える。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、試料容器は、1/4インチ~5.2インチの範囲の外径を有する。
【0059】
いくつかの実施形態は、試料容器を試料トレイからオートサンプラシステムのピックアップツールを備えたオートサンプラシステムのサンプリングプラットフォームに移動させることであって、オートサンプラシステムが、x軸レール、y軸レール、z軸レール、並びにピックアップツールに結合された1つ以上のモータであって、1つ以上のモータが、オートサンプラシステムのx軸レール、y軸レール、及びz軸レールを横断するように構成されている、1つ以上のモータを更に備える、移動させることと、ピックアップツールを用いて、オートサンプラシステムの試料ワンドを試料容器に移動させることと、質量流量コントローラ又は真空リザーバを使用して試料ワンドを用いて、別のガスを加えることなく、試料容器から1~2500ccの範囲の量を有する既知の質量のガス試料を引き込むことであって、ガス試料が、試料容器に収容されている間、大気圧よりも大きいか、大気圧よりも小さいか、又は大気圧と等しい圧力にある、引き込むことと、ガス試料を、試料予備濃縮器に流体的に結合された化学分析デバイスを用いて分析することと、を含む方法に向けられている。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、方法は、サンプリングワンドが、サンプリングワンドクレードル内に配設されている間、サンプリングワンドクレードルが、真空源に結合され、真空源を用いて、サンプリングワンド内を真空引きすることを更に含む。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、方法は、サンプリングワンド内の真空引きを行う前に、ピックアップツールを用いて、サンプリングワンドをサンプリングワンドクレードルに移動させることを更に含む。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、方法は、ピックアップツールを介して、サンプリングワンドを、1つ以上のガスに結合された1つ以上のバルブのうちのバルブに結合することと、サンプリングワンドを使用して、バルブに結合された1つ以上のガスのうちの1つを化学分析デバイスに導入することであって、1つ以上のガスが、分析器較正ガス混合物又はシステムパージガスを含む、導入することと、を更に含む。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、オートサンプラシステムの磁石センサを使用して、所定の配置にある1つ以上の磁石を検出することであって、1つ以上の磁石が、試料トレイをオートサンプラシステムのx軸レールに結合するクランプ内に組み込まれている、検出することと、オートサンプラシステムの1つ以上のプロセッサを用いて、磁石の所定の配置に関連付けられた較正情報を探索することと、を更に含む。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、試料容器は、1/4インチ~5.2インチの範囲の外径を有する。
【0060】
添付の図面を参照して実施例を完全に説明してきたが、様々な変更及び修正が当業者には明らかとなることに留意されたい。かかる変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の実施例の範囲内に含まれるものとして理解されるべきである。