(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】増幅器設計装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01H 13/00 20060101AFI20240509BHJP
G01H 11/08 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G01H13/00
G01H11/08 A
(21)【出願番号】P 2022577389
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2022007421
(87)【国際公開番号】W WO2022250448
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0067260
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0063905
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522486450
【氏名又は名称】ジェントル・エナジー・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ピョ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】サン・ユプ・キム
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・キソク・ソン
【審査官】目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0191043(KR,Y1)
【文献】特開2003-145049(JP,A)
【文献】特開2005-169292(JP,A)
【文献】国際公開第2011/104815(WO,A1)
【文献】特開2002-236074(JP,A)
【文献】特開2016-217766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00-17/00
B06B 1/00- 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅器設計装置のプロセッサにより実行される増幅器設計方法であって、
振動エネルギーを発生する対象体に接触して前記対象体の振動数を測定し、前記対象体の固有振動数を算出するステップと、
予め設定された複数の振動エネルギー増幅器からのいずれか1つの振動エネルギー増幅器の選択に対応して、選択された振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードするステップと、
前記対象体の固有振動数と一致するように、前記振動エネルギー増幅器に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを特定するステップとを含
み、
前記振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードするステップは、
振動エネルギーが発生する前記対象体の上部に配置され、前記振動エネルギーが伝達される固定支持台と、一端部が前記固定支持台に連結され、前記固定支持台の横方向に延びた固定フレームと、前記固定フレームの他端部に連結され、前記固定フレームの他端部から前記横方向に摺動可能に設けられた可変フレームと、前記固定フレームおよび前記可変フレームの1つ以上の上部に配置された磁石からなる質量体と、前記固定支持台に連結され、前記固定フレームと離隔して対向し、前記固定支持台から前記固定フレームおよび前記可変フレームに伝達された振動エネルギーを増幅して電気エネルギーに変換する発電部とを含む仕様情報をロードするステップとを含む、
増幅器設計方法。
【請求項2】
前記対象体の固有振動数と一致するように、前記可変フレームの長さおよび前記質量体の重量の1つ以上を特定するステップを
さらに含む、
請求項1に記載の増幅器設計方法。
【請求項3】
前記振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードするステップは、
前記固定支持台から着脱可能に構成される前記固定フレームを含む仕様情報をロードするステップをさらに含む、
請求項
1に記載の増幅器設計方法。
【請求項4】
前記振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードするステップは、
前記固定フレームの他端部から摺動した長さに応じて前記発電部の固有振動数が変動するようにし、前記固定フレームの他端部から摺動した長さの程度を識別できる識別子が刻まれた前記可変フレームを含む仕様情報をロードするステップをさらに含む、
請求項
1に記載の増幅器設計方法。
【請求項5】
前記振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードするステップは、
セラミック圧電素子、ポリマー圧電素子、およびセラミックとポリマーとが混合されたハイブリッド圧電素子のうちの1つで構成される前記発電部、および有機、無機または有無機材料からなる摩擦電気発電素子を含む前記発電部の1つ以上を含む仕様情報をロードするステップをさらに含む、
請求項
1に記載の増幅器設計方法。
【請求項6】
前記振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードするステップは、
ステンレス鋼(stainless steel)のように弾性係数の高い材料からなる前記固定フレームおよび前記可変フレームを含む仕様情報をロードするステップをさらに含む、
請求項
1に記載の増幅器設計方法。
【請求項7】
前記パラメータを特定するステップの後に、
前記対象体に接触する位置に備えられた前記振動エネルギー増幅器の固有振動数と前記対象体の固有振動数とが一致する共振が発生するかを検証するステップと、
前記振動エネルギー増幅器の固有振動数と前記対象体の固有振動数とが一致して前記共振が発生するように、前記可変フレームの長さおよび前記質量体の重量の1つ以上を再特定するステップとをさらに含む、
請求項2に記載の増幅器設計方法。
【請求項8】
コンピュータを用いて請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記録媒体。
【請求項9】
増幅器設計装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサと動作可能に接続され、前記プロセッサで実行される少なくとも1つのコードを記憶するメモリとを含み、
前記メモリは、前記プロセッサにより実行される際に、前記プロセッサが、振動エネルギーを発生する対象体に接触して前記対象体の振動数を測定し、前記対象体の固有振動数を算出し、
予め設定された複数の振動エネルギー増幅器からのいずれか1つの振動エネルギー増幅器の選択に対応して、選択された振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードし、
前記対象体の固有振動数と一致するように、前記振動エネルギー増幅器に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを特定するようにするコードを記憶
し、
前記メモリは、前記プロセッサが、
前記振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードする際に、振動エネルギーが発生する前記対象体の上部に配置され、前記振動エネルギーが伝達される固定支持台と、一端部が前記固定支持台に連結され、前記固定支持台の横方向に延びた固定フレームと、前記固定フレームの他端部に連結され、前記固定フレームの他端部から前記横方向に摺動可能に設けられた可変フレームと、前記固定フレームおよび前記可変フレームの1つ以上の上部に配置された磁石からなる質量体と、前記固定支持台に連結され、前記固定フレームと離隔して対向し、前記固定支持台から前記固定フレームおよび前記可変フレームに伝達された振動エネルギーを増幅して電気エネルギーに変換する発電部とを含む仕様情報をロードするようにするコードをさらに記憶する、
増幅器設計装置。
【請求項10】
前記メモリは、前記プロセッサが、
前記少なくとも1つのパラメータを特定する際に、前記対象体の固有振動数と一致するように、前記可変フレームの長さおよび前記質量体の重量の1つ以上を特定するようにするコードを
さらに記憶する、
請求項9に記載の増幅器設計装置。
【請求項11】
前記メモリは、前記プロセッサが、
前記振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードする際に、前記固定支持台から着脱可能に構成される前記固定フレームを含む仕様情報をロードするようにするコードをさらに記憶する、
請求項
9に記載の増幅器設計装置。
【請求項12】
前記メモリは、前記プロセッサが、
前記振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードする際に、前記固定フレームの他端部から摺動した長さに応じて前記発電部の固有振動数が変動するようにし、前記固定フレームの他端部から摺動した長さの程度を識別できる識別子が刻まれた前記可変フレームを含む仕様情報をロードするようにするコードをさらに記憶する、
請求項
9に記載の増幅器設計装置。
【請求項13】
前記メモリは、前記プロセッサが、
前記振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードする際に、セラミック圧電素子、ポリマー圧電素子、およびセラミックとポリマーとが混合されたハイブリッド圧電素子のうちの1つで構成される前記発電部、および有機、無機または有無機材料からなる摩擦電気発電素子を含む前記発電部の1つ以上を含む仕様情報をロードするようにするコードをさらに記憶する、
請求項
9に記載の増幅器設計装置。
【請求項14】
前記メモリは、前記プロセッサが、
前記振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードする際に、ステンレス鋼(stainless steel)のように弾性係数の高い材料からなる前記固定フレームおよび前記可変フレームを含む仕様情報をロードするようにするコードをさらに記憶する、
請求項
9に記載の増幅器設計装置。
【請求項15】
前記メモリは、前記プロセッサが、
前記パラメータを特定した後、前記対象体に接触する位置に備えられた前記振動エネルギー増幅器の固有振動数と前記対象体の固有振動数とが一致する共振が発生するかを検証し、
前記振動エネルギー増幅器の固有振動数と前記対象体の固有振動数とが一致して前記共振が発生するように、前記可変フレームの長さおよび前記質量体の重量の1つ以上を再特定するようにするコードをさらに記憶する、
請求項10に記載の増幅器設計装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅器を設計する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物質の固有振動数は物質毎に異なるため、包括的な固有振動数の周波数帯域を満たす増幅器を作るのに困難があり得る。従来は、振動を増幅する過程で、対象体に負担がかかったり故障につながったりする程度の増幅を行っていた。また、エネルギーを収集するとしても、常用程度の電磁エネルギーに変換することはできなかった。
【0003】
上述した背景技術は、発明者が本発明の導出のために保有していたり、本発明の導出過程で習得したりした技術情報であって、必ずしも本発明の出願前に一般公衆に公開された公知技術とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国登録特許第10-0661321号公報(2006年12月19日登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一課題は、対象体の固有振動数と振動エネルギー増幅器の固有振動数とを一致させて振動エネルギーを増幅し、それを電気エネルギーに変換して収集することができる増幅器設計装置および方法を提供することにある。
【0006】
本発明の一課題は、広範囲の振動を増幅することができる増幅器設計装置および方法を提供することにある。
【0007】
本発明の一課題は、振動を増幅しながらも、対象体に問題を生じさせない増幅器設計装置および方法を提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、以上で述べた課題に限定されず、述べられていない本発明の他の課題および利点は、以下の説明により理解され、本発明の実施形態によりさらに明らかに理解されるであろう。また、本発明が解決しようとする課題および利点は、特許請求の範囲に示される手段およびその組み合わせにより実現できることが理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態による増幅器設計装置のプロセッサにより実行される増幅器設計方法は、振動エネルギーを発生する対象体に接触して対象体の振動数を測定し、対象体の固有振動数を算出するステップと、予め設定された複数の振動エネルギー増幅器からのいずれか1つの振動エネルギー増幅器の選択に対応して、選択された振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードするステップと、対象体の固有振動数と一致するように、振動エネルギー増幅器に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを特定するステップとを含むものであってもよい。
【0010】
本実施形態による増幅器設計装置は、プロセッサと、プロセッサと動作可能に接続され、プロセッサで実行される少なくとも1つのコードを記憶するメモリとを含み、メモリは、プロセッサにより実行される際に、プロセッサが、振動エネルギーを発生する対象体に接触して対象体の振動数を測定し、対象体の固有振動数を算出し、予め設定された複数の振動エネルギー増幅器からのいずれか1つの振動エネルギー増幅器の選択に対応して、選択された振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードし、対象体の固有振動数と一致するように、振動エネルギー増幅器に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを特定するようにするコードを記憶するものであってもよい。
【0011】
それらに加えて、本発明を実現するための他の方法、他のシステム、および上記方法を実行するためのコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記録媒体をさらに提供することができる。
【0012】
上記以外の他の態様、特徴、利点は、添付の図面、特許請求の範囲、および以下の発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対象体の固有振動数と振動エネルギー増幅器の固有振動数とを一致させて振動エネルギーを増幅し、それを電気エネルギーに変換して収集する増幅器設計装置および方法を提供することができる。
【0014】
また、広範囲の振動を増幅する増幅器設計装置および方法を提供することができる。
さらに、振動を増幅しながらも、対象体に問題を生じさせない増幅器設計装置および方法を提供することができる。
本発明の効果は、以上で述べたものに限定されず、述べられていない他の効果は、以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態による増幅器設計環境の例示図である。
【
図2】本実施形態による増幅器設計装置の構成を概略的に説明するために示すブロック図である。
【
図3】
図2の増幅器設計装置の設計管理部の構成を概略的に説明するために示すブロック図である。
【
図4】本実施形態による振動エネルギー増幅器の側面図である。
【
図5】本実施形態による振動エネルギー増幅器の可変フレームの特定を説明するための図である。
【
図6】本実施形態による振動エネルギー増幅器の質量体の特定を説明するための図である。
【
図7】本実施形態による増幅器設計装置の検証結果を示す波形図である。
【
図8】本実施形態による増幅器設計装置がアプリケーションの形態で搭載されたユーザ端末の例示図である。
【
図9】他の実施形態による増幅器設計装置の構成を概略的に説明するために示すブロック図である。
【
図10】本実施形態による増幅器設計方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の利点および特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に説明される実施形態を参照することによって明らかになるであろう。しかし、本発明は、以下に提示される実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で実現することができ、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変換、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。以下に提示される実施形態は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものである。本発明を説明するにあたり、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0017】
本出願で用いられる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであり、本発明の限定を意図するものではない。単数の表現は、文脈上明らかに他の意味を表さない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在することを指定するものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在や追加の可能性を予め排除するものではないと理解されるべきである。第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために用いることができるが、構成要素は上記用語により限定されてはならない。上記用語は、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的でのみ用いられる。
【0018】
また、本明細書において、「部」は、プロセッサまたは回路などのハードウェア構成(hardware component)、および/またはプロセッサなどのハードウェア構成により実行されるソフトウェア構成(software component)であり得る。
【0019】
以下、本発明による実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明するが、添付の図面を参照して説明するにあたり、同一または対応する構成要素には同一の符号を付し、それについての重複する説明は省略する。
【0020】
図1は本実施形態による増幅器設計環境の例示図である。
図1を参照すると、増幅器設計環境1は、増幅器設計装置100、対象体200、振動エネルギー増幅器300、マルチメータ400、ユーザ端末500およびネットワーク600を含んでもよい。
【0021】
一般に、全ての構造物は、特定の固有振動数(natural frequency)を有する。その特定の固有振動数と外部加振の振動数とが一致すると、振幅の大きさが飛躍的に上昇する共振が起こる。共振で増幅された振動の大きさは、減衰係数に反比例して現れる。減衰係数が大きいと、小さな共振が起こり、逆に減衰係数が非常に小さいと、大きな共振が起こる。このような物体の振動の物理的特性を利用して、振動を増幅して自己発電および検知を実行する、本実施形態による振動エネルギー増幅器300を提案することができる。
【0022】
対象体200の固有振動数と振動エネルギー増幅器300の固有振動数とが一致したときに共振が起こる。対象体200の固有振動数の大きさは、様々であるか、無限の範囲を有し、固有振動数は、対象体200の種類毎に異なる。したがって、振動エネルギー増幅器300の固有振動数が毎度異なるように設計できなければ、振動エネルギー増幅器300を容易に設置することができず、メンテナンス時間を短縮することができない。よって、本実施形態による増幅器設計装置100は、特殊な条件に基づいて、振動エネルギー増幅器300の固有振動数を連続的に変化させることができる。このような連続的な変化は、いずれの振動エネルギー増幅器を選択し、選択した振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報のうちいずれのパラメータを特定(例えば、いずれの物質を特定の位置に追加または除外)するかに応じて発生する。
【0023】
また、本実施形態において、増幅器設計装置100は、回帰分析関数で条件の変化を制御し、固有振動数を特定するアルゴリズムを備えてもよい。このようなアルゴリズムは、対象体200に設置する工程時間を、本実施形態の適用前に比べて飛躍的に短縮(例えば、5分以内)することができる。さらに、本実施形態において、増幅器設計装置100は、振動増幅において重要な要素である減衰係数を最小化する技術を含んでもよい。減衰係数が最小化されると、振動エネルギー増幅器300の電気エネルギー収穫効率を高めることができる。したがって、振動エネルギー増幅器300が振動エネルギーを電気エネルギーに変換する場合、可能な電気エネルギーの最大値を容易に取得するようにすることができる。
【0024】
増幅器設計装置100は、対象体200の振動エネルギー(振動数)を測定して固有振動数を算出することができる。本実施形態において、増幅器設計装置100は、振動エネルギーを発生する対象体200に接触する位置、例えば対象体200の上部に配置されてもよい。増幅器設計装置100は、対象体200の振動エネルギーを測定するために、振動センサ(図示せず)、および振動センサが検知した振動エネルギーを分析して固有振動数を算出する算出部(図示せず)を備えてもよい。
【0025】
増幅器設計装置100は、予め設定された複数の振動エネルギー増幅器からのいずれか1つの振動エネルギー増幅器の選択に対応して、選択された振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードすることができる。増幅器設計装置100は、内部に様々な仕様からなる複数の振動エネルギー増幅器の種類が記憶されていてもよい。増幅器設計装置100は、ユーザの選択の受信に対応して、複数の振動エネルギー増幅器の種類のうちいずれか1つの振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードすることができる。ここで、振動エネルギー増幅器は、対象体200から発生する振動エネルギーを受信して増幅した後に電気エネルギーに変換するデバイスを含んでもよい。
【0026】
本実施形態においては、ユーザが複数の振動エネルギー増幅器の種類のうち
図4に示す振動エネルギー増幅器300を選択したと仮定して説明する。よって、増幅器設計装置100がロードする振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報には、固定支持台(
図4の310)、固定フレーム(
図4の320)、可変フレーム(
図4の330)、質量体(
図4の340)および発電部(
図4の350)に関する情報が含まれる。振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報の詳細については後述する。本実施形態において、振動エネルギー増幅器300は、振動を発生する対象体200に接触する位置、例えば対象体200の上部に配置されてもよい。
【0027】
増幅器設計装置100は、対象体の固有振動数と一致するように、振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを特定することができる。ここで、振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを特定することには、対象体の固有振動数と一致するように、可変フレーム(
図4の330)の長さを調整するか、質量体(
図4の340)の重量を調整するか、または両方を調整することが含まれる。
【0028】
増幅器設計装置100は、パラメータの特定により、可変フレーム(
図4の330)の長さおよび質量体(
図4の340)の重量の1つ以上を調整した振動エネルギー増幅器300の固有振動数と対象体200の固有振動数とが一致するかを検証することができる。本実施形態において、検証のために、振動エネルギー増幅器300は、対象体200に接触する位置、例えば対象体200の上部に配置されてもよい。振動エネルギー増幅器300の固有振動数と対象体200の固有振動数とが一致すると、共振(resonance)が発生する。それに対して、振動エネルギー増幅器300の固有振動数と対象体200の固有振動数とが一致しないと、共振が発生しない。
【0029】
増幅器設計装置100は、マルチメータ400から出力される振動エネルギー増幅器300の電圧の変化を受信し、共振が起こったか否かを判断することができる。本実施形態において、マルチメータ400は、振動エネルギー増幅器300の発電部(
図4の350)に接続され、発電部350が出力する電気エネルギーを電圧の形に変換して増幅器設計装置100に出力することができる。増幅器設計装置100は、マルチメータ400から受信する電圧の変化のうち、垂直上昇する区間(例えば、40mVから760mVに19倍上昇する区間)が生じると、その区間で共振が発生したと判断することができる。それに対して、増幅器設計装置100は、マルチメータ400から受信する電圧の変化のうち、垂直上昇する区間が存在しないと、共振が発生しなかったと判断することができる。
【0030】
増幅器設計装置100は、マルチメータ400から出力される振動エネルギー増幅器300の電圧の変化を受信し、対象体200の固有振動数と振動エネルギー増幅器300の固有振動数とが一致して共振が発生するように、振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを再特定することができる。ここで、振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを再特定することには、既に特定したパラメータを修正することが含まれる。
【0031】
本実施形態において、増幅器設計装置100は、サーバの形態で独立して存在してもよく、増幅器設計装置100が提供する、対象体200の固有振動数の測定、振動エネルギー増幅器に関する仕様情報のロード、パラメータの特定、共振発生の検証、およびパラメータの再特定を含む増幅器設計機能をアプリケーションの形態で実現してユーザ端末500に搭載してもよい。
【0032】
ユーザ端末500は、増幅器設計装置100が提供する増幅器設計アプリケーションおよび/または増幅器設計サイトに接続し、増幅器設計サービスを受けることができる。
【0033】
このようなユーザ端末500は、コンピューティング装置(図示せず)の機能を実行できる通信端末を含み、スマートフォンに加えて、ユーザが操作するデスクトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットPC、スマートテレビ、携帯電話、PDA(personal digital assistant)、ラップトップコンピュータ、メディアプレーヤ、マイクロサーバ、GPS(global positioning system)装置、電子書籍端末、デジタル放送用端末、ナビゲーション、キオスク、MP3プレーヤ、デジタルカメラ、家電機器、およびその他のモバイルまたは非モバイルコンピューティング装置であってもよいが、これらに限定されない。また、ユーザ端末500は、通信機能およびデータ処理機能を備えた時計、メガネ、ヘッドバンド、指輪などのウェアラブル端末であってもよい。このようなユーザ端末500は、上述した内容に限定されず、ウェブブラウジングが可能な端末であれば制限なく用いることができる。
【0034】
ネットワーク600は、増幅器設計装置100とユーザ端末500とを接続する役割を果たすことができる。このようなネットワーク600は、例えば、LAN(local area networks)、WAN(wide area networks)、MAN(metropolitan area networks)、ISDN(integrated service digital networks)などの有線ネットワークや、無線LAN、CDMA、ブルートゥース(登録商標)、衛星通信などの無線ネットワークを網羅することができるが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。また、ネットワーク600は、近距離通信および/または遠距離通信を用いて情報を送受信することができる。ここで、近距離通信には、ブルートゥース(bluetooth)、RFID(radio frequency identification)、赤外線通信(IrDA,infrared data association)、UWB(ultra-wideband)、ZigBee、Wi-Fi(wireless fidelity)技術が含まれ、遠距離通信には、CDMA(code division multiple access)、FDMA(frequency division multiple access)、TDMA(time division multiple access)、OFDMA(orthogonal frequency division multiple access)、SC-FDMA(single carrier frequency division multiple access)技術が含まれる。
【0035】
ネットワーク600は、ハブ、ブリッジ、ルータ、スイッチなどのネットワーク要素の接続を含んでもよい。ネットワーク600は、インターネットなどのパブリックネットワーク、および安全な企業プライベートネットワークなどのプライベートネットワークをはじめとする、1つ以上の接続されたネットワーク、例えば多重ネットワーク環境を含んでもよい。ネットワーク600へのアクセスは、1つ以上の有線または無線アクセスネットワークを介して提供することができる。
【0036】
さらに、ネットワーク600は、CAN(controller area network)通信、V2I(vehicle to infrastructure,ビークルツーインフラストラクチャー)通信、V2X(vehicle to everything)通信、WAVE(wireless access in vehicular environment)通信技術と、モノなど分散した構成要素間で情報を送受信して処理するIoT(Internet of Things,モノのインターネット)ネットワークおよび/またはNB-IoTネットワークおよび/または5G通信をサポートすることができる。ここで、NB(narrowband)-IoTは、LTE(Long-Term Evolution)周波数を用いる低電力/広域モノのインターネット技術の一つであって、低容量データを間欠的に送信する追跡、センシング、検針などに活用することができる。
【0037】
図2は本実施形態による振動エネルギー増幅器設計装置の構成を概略的に説明するために示すブロック図である。以下の説明において、
図1の説明と重複する部分はその説明を省略する。
図2を参照すると、増幅器設計装置100は、通信部110、記憶媒体120、プログラム記憶部130、データベース140、設計管理部150および制御部160を含んでもよい。
【0038】
通信部110は、ネットワーク600と連動して増幅器設計装置100とユーザ端末500との間の送受信信号をパケットデータの形態で提供するために必要な通信インタフェースを提供することができる。また、通信部110は、ユーザ端末から所定の情報要求信号を受信する役割を果たし、設計管理部150が処理した情報をユーザ端末500に送信する役割を果たすことができる。ここで、通信網は、増幅器設計装置100とユーザ端末500とを接続する役割を果たす媒体であって、ユーザ端末500が増幅器設計装置100に接続した後に情報を送受信できるように接続経路を提供する経路を含んでもよい。さらに、通信部110は、有無線接続を介して他のネットワーク装置と制御信号またはデータ信号などの信号を送受信するために必要なハードウェアおよびソフトウェアを含む装置であってもよい。
【0039】
記憶媒体120は、制御部160が処理するデータを一時的または恒久的に記憶する機能を実行する。ここで、記憶媒体120には、磁気記憶媒体(magnetic storage media)またはフラッシュ記憶媒体(flash storage media)が含まれるが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。このような記憶媒体120には、内蔵メモリおよび/または外部メモリが含まれ、DRAM、SRAMもしくはSDRAMなどの揮発性メモリ、OTPROM(one time programmable ROM)、PROM、EPROM、EEPROM、マスクROM、フラッシュROM、NANDフラッシュメモリもしくはNORフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、SSD、 CF(compact flash)カード、SDカード、Micro SDカード、Mini SDカード、Xdカードもしくはメモリスティック(memory stick)などのフラッシュドライブ、またはHDDなどの記憶装置が含まれる。
【0040】
プログラム記憶部130は、対象体200の振動数を測定して固有振動数を算出する作業、予め設定された複数の振動エネルギー増幅器からのいずれか1つの振動エネルギー増幅器の選択に対応して選択された振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報をロードする作業、対象体200の固有振動数と一致するように振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを特定する作業、振動エネルギー増幅器300の固有振動数と対象体200の固有振動数とが一致する共振が発生するかを検証する作業、振動エネルギー増幅器300の固有振動数と対象体200の固有振動数とが一致して共振が発生するように、特定のパラメータを再特定する作業などを行う制御ソフトウェアを搭載している。
【0041】
データベース140は、様々な増幅器の種類および各増幅器に関する仕様情報を記憶する管理データベースを含んでもよい。例えば、管理データベースには、様々な増幅器の種類のうち
図4に示す振動エネルギー増幅器300、および振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報が記憶され得る。
【0042】
また、データベース140は、増幅器設計サービスが提供されるユーザの情報を記憶するユーザデータベースを含んでもよい。ここで、ユーザの情報には、ユーザの名前、所属、人的事項、性別、年齢、連絡先、電子メール、住所、画像などのユーザに関する基本的な情報、ID(または電子メール)、パスワード(password)などのユーザの認証(ログイン)に関する情報、接続国、接続位置、接続に用いられた装置に関する情報、接続されたネットワーク環境などの接続に関する情報などが含まれる。
【0043】
また、ユーザデータベースには、ユーザの固有情報と、増幅器設計アプリケーションもしくは増幅器設計サイトに接続したユーザに提供された情報および/またはカテゴリ履歴、ユーザが設定した環境設定情報、ユーザが用いたリソース使用量情報、ユーザのリソース使用量に対応する課金および決済情報が記憶され得る。
【0044】
設計管理部150は、対象体200の振動数を測定して固有振動数を算出することができる。設計管理部150は、予め設定された複数の振動エネルギー増幅器からのいずれか1つの振動エネルギー増幅器の選択に対応して、選択された振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報をロードすることができる。設計管理部150は、対象体200の固有振動数と一致するように、振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを特定することができる。設計管理部150は、振動エネルギー増幅器300の固有振動数と対象体200の固有振動数とが一致する共振が発生するかを検証することができる。設計管理部150は、振動エネルギー増幅器300の固有振動数と対象体200の固有振動数とが一致して共振が発生するように、特定のパラメータを再特定することができる。
【0045】
制御部160は、一種の中央処理装置であって、プログラム記憶部130に搭載された制御ソフトウェアを駆動して増幅器設計装置100全体の動作を制御することができる。制御部160は、プロセッサ(processor)のようにデータを処理できるあらゆる種類の装置を含み得る。ここで、「プロセッサ(processor)」は、例えば、プログラムに含まれるコードまたは命令で示される機能を実行するために物理的に構造化された回路を有する、ハードウェアに内蔵されたデータ処理装置を意味するものであり得る。このようにハードウェアに内蔵されたデータ処理装置の一例として、マイクロプロセッサ(microprocessor)、中央処理装置(central processing unit:CPU)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(application-specific integrated)回路)、FPGA(field programmable gate array)などの処理装置を網羅することができるが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0046】
図3は
図2の振動エネルギー増幅器設計装置の設計管理部の構成を概略的に説明するために示すブロック図であり、
図4は本実施形態による振動エネルギー増幅器の側面図である。以下の説明において、
図1および
図2の説明と重複する部分はその説明を省略する。
図3および
図4を参照すると、設計管理部150は、測定部151、ロード部152、特定部153および検証部154を含んでもよい。
【0047】
測定部151は、振動エネルギーを発生する対象体200に接触して対象体200の振動数を測定し、固有振動数を算出することができる。
【0048】
振動エネルギー増幅器300が対象体200に接触すると、測定部151は、内部の振動センサを用いて対象体200の振動数を測定することができる。本実施形態において、対象体200の振動数を測定する方法は、2つの方法を含み、2つの方法のうちの1つ以上を用いることができる。第一に、振動エネルギー増幅器300を対象体200に接触させ、振動センサにより対象体200から発生する振動数を測定することができる。第二に、振動エネルギー増幅器300を対象体200に接触させ、対象体200をゴムハンマーなどの打撃機構で打撃し、振動センサにより対象体200から発生する振動数を測定することができる。
【0049】
測定部151は、対象体200の振動数が測定されると、対象体200の固有振動数を測定するために、衝撃加振方法および正弦波加振方法のうちの1つ以上を用いることができる。本実施形態において、固有振動数を測定する方法は、上述した衝撃加振方法および正弦波加振方法に限定されず、物理的な振動を測定/伝達する様々な方法を適用することができる。
【0050】
衝撃加振方法には、対象体200に1回の衝撃を加えて応答振動信号を検出して分析する方法が含まれる。衝撃加振を行ったときに現れる応答振動は固有振動数に相当する周波数を有するので、その応答振動信号の周波数分析により固有振動数を容易に測定することができる。
【0051】
正弦波加振方法は、対象体200に正弦波状の加振を周波数を変えながら印加し、応答信号を検出して分析する方法を含み、周波数スイープ(sweep)方法ともいえる。正弦波加振方法を用いる場合、各加振周波数別に対象体200を加振し、それに対する応答振動成分を測定し、最も大きい振動周波数成分が存在する地点を検出することができるが、その値がまさに固有振動数である。
【0052】
本実施形態においては、測定部151が測定した対象体200の振動数が低すぎるか(例えば、1秒当たりの振動数が10~15以下の場合)、高すぎると、振動エネルギー増幅器300を用いて電気エネルギーを回収することができない。これは、後述する可変フレーム330および質量体340を特定できないからである。この場合、測定部151は、振動数の測定結果を出力し、ユーザに確認させることができる。
【0053】
ロード部152は、予め設定された複数の振動エネルギー増幅器からのいずれか1つの振動エネルギー増幅器の選択に対応して、選択された振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードすることができる。本実施形態においては、データベース140に記憶された複数の振動エネルギー増幅器から
図4のような振動エネルギー増幅器300を選択し、振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報をロードすることができる。
【0054】
図4を参照して振動エネルギー増幅器300のロード情報について説明すると、振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報には、固定支持台310、固定フレーム320、可変フレーム330、質量体340および発電部350の設計情報が含まれ得る。
【0055】
固定支持台310は、振動エネルギーが発生する対象体200の上部に配置され、当該振動エネルギーが伝達される。本実施形態において、固定支持台310は、ステンレス鋼(stainless steel)のように弾性係数の高い材料からなってもよい。
【0056】
固定フレーム320は、一端部が固定支持台310に連結され、固定支持台310の横方向に延びてもよい。本実施形態において、固定フレーム320は、ステンレス鋼(stainless steel)のように弾性係数の高い材料からなってもよい。選択的な実施形態として、固定フレーム320は、固定支持台310から着脱可能に構成されてもよい。一実施形態として、固定支持台310には、発電部350の固有振動数を変動させるために厚さおよび長さの1つ以上が調整された他の固定フレームが装着されてもよい。
【0057】
可変フレーム330は、固定フレーム320の他端部に連結され、固定フレーム320の他端部から横方向に摺動可能に設けられてもよい。本実施形態において、可変フレーム330は、ステンレス鋼(stainless steel)のように弾性係数の高い材料からなってもよい。本実施形態において、可変フレーム330は、固定フレーム320の他端部から摺動した長さに応じて発電部350の振動エネルギーが変動するようにすることができる。ここで、発電部350の振動エネルギーが変動するとは、発電部350の固有振動数が変動すると同じ意味であり得る。また、本実施形態において、可変フレーム330には、固定フレーム320の他端部から摺動した長さの程度を識別できる識別子、例えば定規が刻まれていてもよい。
図4の(a)および(b)は可変フレーム330が固定フレーム320から摺動して長さが変化することを示す。
【0058】
選択的な実施形態として、可変フレーム330は、固定フレーム320から着脱可能に構成されてもよい。一実施形態として、固定フレーム320には、発電部350の固有振動数を変動させるために厚さおよび長さの1つ以上が調整された他の可変フレームが装着されてもよい。なお、固定フレーム320のみで発電部350の固有振動数と対象体200の固有振動数とが一致して共振が発生する場合、可変フレーム330は、振動エネルギー増幅器300の仕様から省略されてもよい。
【0059】
質量体340は、固定フレーム320および可変フレーム330の1つ以上の上部に配置されてもよい。本実施形態において、質量体340は、磁石(magnet)のように重量を加えることができる物質からなってもよい。磁石からなる質量体340は、固定フレーム320および可変フレーム330の1つ以上から着脱可能に構成されてもよい。本実施形態において、質量体340は、重量に応じて発電部350の振動エネルギーが変動するようにすることができる。なお、質量体340がなくても発電部350の固有振動数と対象体200の固有振動数とが一致して共振が発生する場合、質量体340は、振動エネルギー増幅器300の仕様から省略されてもよい。
【0060】
発電部350は、固定支持台310に連結され、固定フレーム320と離隔して対向し、固定支持台310から固定フレーム320および可変フレーム330に伝達された振動エネルギーを増幅して電気エネルギーに変換することができる。本実施形態において、発電部350は、セラミック圧電素子、ポリマー圧電素子、およびセラミックとポリマーとが混合されたハイブリッド圧電素子のうちの1つで構成されてもよい。
【0061】
本実施形態において、発電部350は、発電量に優れたセラミック(ceramic)圧電素子をはじめとして、物理的柔軟性に優れたポリマー(polymer)圧電素子や、セラミックとポリマーとが混合されたハイブリッド圧電素子を用いることができる。したがって、優れた物理的柔軟性により耐久性を有し、それにより発電が容易になる。また、圧電素子の種類としては、PVDFの使用が基本であり、チタン酸バリウム、PZT結晶またはPZT繊維を含み得る。その他、NKN系、BZT-BCT系、BNT系、BSNN系、BNBN系などの鉛フリー(Lead-free)圧電素材、PLZT、P(VDF-TrFE)、水晶、電気石、ロッシェル塩、チタン酸バリウム、リン酸二水素アンモニウム、酒石酸エチレンジアミンなどを用いることができる。
【0062】
選択的な実施形態として、発電部350は、摩擦電気発電素子を用いることができる。摩擦電気発電素子は、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、天然ゴム、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニルおよびポリジメチルシロキサンからなる群などの有機、無機および有無機高分子材料の1つ以上からなってもよい。
【0063】
特定部153は、対象体200の固有振動数と一致するように、振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを特定することができる。ここで、振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを特定することには、可変フレーム330の長さおよび質量体340の重量の1つ以上を特定することが含まれる。
【0064】
図5を参照して特定部153による可変フレーム330の長さの特定について説明すると次の通りである。
図5を参照すると、
図5の(a)は、可変フレーム330の長さと対象体200の固有振動数の間の線形方程式を示す。ここで、freqは、対象体200の固有振動数を示し、pは、ベクトル係数を示す。本実施形態において、ベクトル係数pは、-400と-300との間の値の1つであり得る。このようなベクトル係数の値と対象体200の固有振動数を
図5の(a)に開示された線形方程式に入力すると、可変フレーム330の長さ(Length of ruler)を特定することができる。
図5の(b)は、対象体200の固有振動数(freq)に応じて特定する可変フレーム330の長さを示すグラフを示す。
図5の(b)から、対象体200の固有振動数(freq,横軸)を特定する可変フレーム330の長さ(Length of ruler,縦軸)が分かる。
【0065】
図6を参照して特定部153による質量体340の重量の特定について説明すると次の通りである。
図6を参照すると、
図6の(a)は、質量体340の重量と対象体200の固有振動数の間の線形方程式を示す。ここで、freqは、対象体200の固有振動数を示し、pは、ベクトル係数を示す。本実施形態において、ベクトル係数pは、-2000と-1000との間の値の1つ以上、10000と20000との間の値の1つ以上、-100と-10との間の値の1つ以上、100と2000との間の値の1つ以上であり得る。このようなベクトル係数の値と対象体200の固有振動数を
図6の(a)に開示された線形方程式に入力すると、質量体340の重量(mass of magnet)を特定することができる。
図6の(b)は、対象体200の固有振動数(freq)に応じて特定する質量体340の重量を示すグラフを示す。
図6の(b)から、対象体200の固有振動数(freq,横軸)を特定する質量体340の重量(mass of magnet,縦軸)が分かる。
【0066】
検証部154は、発電部350に接続されたマルチメータ400から出力される振動エネルギー増幅器300の電圧の変化を受信し、共振が起こったか否かを判断することができる。検証部154は、垂直上昇する区間が生じた場合、振動エネルギー増幅器300から出力される電気エネルギーを回収するように、電気エネルギー回収装置(図示せず)を駆動することができる。
図7の(a)には共振発生区間が含まれているマルチメータ400の出力波形を示し、
図7の(b)には共振発生区間が含まれていないマルチメータ400の出力波形を示す。検証部154は、
図7の(b)のように共振発生区間が含まれていない場合、共振が発生するように特定部153を制御することができる。すなわち、検証部154は、共振が発生するように、振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを再特定することができる。
【0067】
図8は本実施形態による振動エネルギー増幅器設計装置がアプリケーションの形態で搭載されたユーザ端末の例示図である。以下の説明において、
図1~
図7の説明と重複する部分はその説明を省略する。
【0068】
図8の(a)はユーザ端末500を対象体200に載置した状態で対象体200の振動数を測定するためにユーザに提供する情報を示す。
図8の(a)の810は、振動センサを用いて対象体200の振動数を測定できることを示し、
図8の(a)の820は、ゴムハンマーなどで対象体200を打撃して対象体200の振動数を測定できることを示す。実施形態によっては、両方を用いることができる。
【0069】
図8の(b)は、対象体200の振動数の測定が完了した後、対象体200の振動数の測定結果と、測定回数毎の異なる振動数の測定値と、対象体200の固有振動数の算出結果と、それに応じて共振を発生できる振動エネルギー増幅器300の可変フレーム330の長さおよび質量体340の重量(または数)を特定してユーザに提供する情報を示す。本実施形態において、対象体200の振動数の測定結果は、測定回数毎の異なる振動数の測定値の平均値であり得る。ユーザは、
図8の(b)の画面を見て、振動エネルギー増幅器300の可変フレーム330の長さの調整および/または質量体340の重量(または数)の調整を行うことができる。
【0070】
図9は他の実施形態による振動エネルギー増幅器設計装置の構成を概略的に説明するために示すブロック図である。以下の説明において、
図1~
図8の説明と重複する部分はその説明を省略する。
図9を参照すると、他の実施形態による増幅器設計装置100は、プロセッサ170およびメモリ180を含んでもよい。
【0071】
本実施形態において、プロセッサ170は、
図2および
図3に開示された通信部110、記憶媒体120、プログラム記憶部130、データベース140、設計管理部150および制御部160が実行する機能を処理することができる。
【0072】
このようなプロセッサ170は、増幅器設計装置100全体の動作を制御することができる。ここで、「プロセッサ(processor)」は、例えば、プログラムに含まれるコードまたは命令で示される機能を実行するために物理的に構造化された回路を有する、ハードウェアに内蔵されたデータ処理装置を意味するものであり得る。このようにハードウェアに内蔵されたデータ処理装置の一例として、マイクロプロセッサ(microprocessor)、中央処理装置(central processing unit:CPU)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(application-specific integrated)回路)、FPGA(field programmable gate array)などの処理装置を網羅することができるが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0073】
メモリ180は、プロセッサ170に動作可能に結合され、プロセッサ170で実行される動作に関連して少なくとも1つのコードを記憶することができる。
【0074】
また、メモリ180は、プロセッサ170が処理するデータを一時的または恒久的に記憶する機能を実行することができ、データベース140に構築されたデータを含み得る。ここで、メモリ180には、磁気記憶媒体(magnetic storage media)またはフラッシュ記憶媒体(flash storage media)が含まれるが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。このようなメモリ180には、内蔵メモリおよび/または外部メモリが含まれ、DRAM、SRAMもしくはSDRAMなどの揮発性メモリ、OTPROM(one time programmable ROM)、PROM、EPROM、EEPROM、マスクROM、フラッシュROM、NANDフラッシュメモリもしくはNORフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、SSD、CF(compact flash)カード、SDカード、Micro SDカード、Mini SDカード、Xdカードもしくはメモリスティック(memory stick)などのフラッシュドライブ、またはHDDなどの記憶装置が含まれる。
【0075】
図10は本実施形態による増幅器設計方法を説明するためのフローチャートである。以下の説明において、
図1~
図9の説明と重複する部分はその説明を省略する。本実施形態による増幅器設計方法は、増幅器設計装置100が周辺構成要素の助けを借りてプロセッサ170で実行すると仮定して説明する。
【0076】
図10を参照すると、ステップS1010において、プロセッサ170は、振動エネルギーを発生する対象体200に接触して対象体200の振動数を測定し、固有振動数を算出することができる。プロセッサ170は、振動センサにより、上述した2つの方法のうちの1つ以上で対象体200の振動数を測定することができる。また、プロセッサ170は、正弦波加振方法および/または衝撃加振方法を用いて、対象体200の振動数を分析し、対象体200の固有振動数を測定することができる。
【0077】
ステップS1020において、プロセッサ170は、予め設定された複数の振動エネルギー増幅器からのいずれか1つの振動エネルギー増幅器の選択に対応して、選択された振動エネルギー増幅器に関する仕様情報をロードすることができる。本実施形態において、プロセッサ170は、選択された振動エネルギー増幅器300に関して、振動エネルギーが発生する対象体200の上部に配置され、振動エネルギーが伝達される固定支持台310と、一端部が固定支持台310に連結され、固定支持台310の横方向に延びた固定フレーム320と、固定フレーム320の他端部に連結され、固定フレーム320の他端部から横方向に摺動可能に設けられた可変フレーム330と、固定フレーム320および可変フレーム330のいずれか1つの上部に配置された磁石からなる質量体340と、固定支持台310に連結され、固定フレーム320と離隔して対向し、固定支持台310から固定フレーム320および可変フレーム330に伝達された振動エネルギーを増幅して電気エネルギーに変換する発電部350とを含む仕様情報をロードすることができる。
【0078】
本実施形態において、振動エネルギー増幅器に関する仕様情報は、固定フレーム320が固定支持台310から着脱可能に構成されているという情報と、可変フレーム330が固定フレーム320の他端部から摺動した長さに応じて発電部350の固有振動数が変動するようにし、固定フレーム320の他端部から摺動した長さの程度を識別できる識別子が刻まれているという情報と、発電部350がセラミック圧電素子、ポリマー圧電素子、およびセラミックとポリマーとが混合されたハイブリッド圧電素子のうちの1つで構成されるという情報と、固定フレーム320および可変フレーム330がステンレス鋼(stainless steel)からなるという情報とをさらに含み得る。
【0079】
ステップS1030において、プロセッサ170は、対象体200の固有振動数と一致するように、振動エネルギー増幅器300に関する仕様情報のうち少なくとも1つのパラメータを特定することができる。本実施形態において、プロセッサ170は、対象体200の固有振動数と一致するように、可変フレーム330の長さおよび質量体340の重量の1つ以上を特定することができる。
【0080】
ステップS1040において、プロセッサ170は、パラメータを特定した後、振動エネルギー増幅器300の固有振動数と対象体200の固有振動数とが一致する共振が発生するかを検証することができる。プロセッサ170は、振動エネルギー増幅器300の固有振動数と対象体200の固有振動数とが一致して共振が発生するように、可変フレーム330の長さおよび質量体340の重量の1つ以上を再特定することができる。
【0081】
以上説明した本発明による実施形態は、コンピュータ上で様々な構成要素により実行できるコンピュータプログラムの形態で実現することができ、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体に記録することができる。ここで、媒体には、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープなどの磁気媒体、CD-ROM、DVDなどの光記録媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)などの磁気光学媒体(magneto-optical medium)、ROM、RAM、フラッシュメモリなどのプログラム命令を記憶して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。
【0082】
一方、前記コンピュータプログラムは、本発明のために特別に設計及び構成されたものであってもよく、コンピュータソフトウェア分野の当業者に公知されて使用可能なものであってもよい。コンピュータプログラムの例には、コンパイラにより生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータにより実行される高級言語コードも含まれる。
【0083】
本発明の明細書(特に特許請求の範囲)における「前記」という用語およびそれに類似した指示用語の使用は、単数および複数の両方に該当するものであり得る。また、本発明において範囲(range)を記載した場合、上記範囲に属する個別の値を適用した発明を含むものであり(それに反する記載がない場合)、発明の詳細な説明に上記範囲を構成する各個別の値を記載したものと同様である。
【0084】
本発明による方法を構成するステップに関して、明白な順序の記載またはそれに反する記載がなければ、上記ステップは適切な順序で行うことができる。本発明は、必ずしも上記ステップの記載順序に限定されるものではない。本発明における全ての例または例示的な用語(例えば、など)の使用は、単に本発明を詳細に説明するためのものであり、特許請求の範囲により限定されない限り、上記例または例示的な用語により本発明の範囲が限定されるわけではない。また、当業者は、様々な修正、組み合わせおよび変更が加えられた特許請求の範囲またはその均等物の範疇内で設計条件および要因に応じて構成できることを理解するであろう。
【0085】
よって、本発明の思想は、上述した実施形態に限定されて定められてはならず、添付の特許請求の範囲だけでなく、その特許請求の範囲と均等なまたはそれから等価的に変更された全ての範囲は、本発明の思想の範疇に属するといえる。
【符号の説明】
【0086】
100 増幅器設計装置
200 対象体
300 振動エネルギー増幅器
400 マルチメータ
500 ユーザ端末
600 ネットワーク