(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】指輪型端末及び該指輪型端末を用いた情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240509BHJP
G06Q 20/32 20120101ALI20240509BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20240509BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20240509BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q20/32
G16H10/00
G06Q30/0601 340
(21)【出願番号】P 2023092148
(22)【出願日】2023-06-05
【審査請求日】2024-02-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518309460
【氏名又は名称】株式会社Kort Valuta
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】柴田 秀樹
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-035411(JP,A)
【文献】特開2005-284372(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/010305(JP,A1)
【文献】再公表特許第2015/189967(JP,A1)
【文献】SOXAI、世界初となる健康管理&決済機能を併せ持つスマートリングの開発に成功,PRTIMES,[online],2023年05月22日,[令和6年2月9日検索]、インターネット<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000089024.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 ー 99/00
G16H 10/00 ー 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の指に装着させて使用する指輪型端末とサーバと
外部端末とがネットワークを介して繋がれた情報処理システムであって、
前記指輪型端末は、
所定の決済端末に外側表面をかざすことで内部情報を読み取らせて取引の決済を行う決済機能部と、
装着した指に接触した内側表面から当該人の生体情報を取得する生体情報取得部と、
の双方を備えており、
前記決済機能部は、決済情報記憶部と決済情報通信部とを有しており、前記決済情報通信部を介して前記決済情報記憶部と前記決済端末とが接続されて、前記決済情報記憶部に記憶された内部情報を前記決済端末に送信することで、前記決済端末で決済を行うと共に、当該決済の記録情報を前記決済情報通信部から前記サーバに蓄積するように構成されており、
前記生体情報取得部は、センサ部と生体情報記憶部と生体情報通信部とを有し、少なくとも前記内側表面に前記センサ部を有しており、前記センサ部から取得した生体情報を前記生体情報記憶部に記憶しておき、所定タイミングで当該生体情報記憶部に記憶された生体情報を前記生体情報通信部から前記サーバに送信して蓄積するように構成されており、
前記サーバは、前記指輪型端末から取得した決済の記録情報を記憶しておくサーバ内決済情報記憶部と、当該人の経済状況を記憶しておくサーバ内与信情報記憶部と、前記指輪型端末から取得した生体情報を記憶しておくサーバ内生体情報記憶部と、前記外部端末を介して当該人に対してアドバイス可能なAIコンシェルジュ機能部と、を備え、
当該人が支出しようとするのを前記サーバの前記AIコンシェルジュ機能部が確認すると、当該AIコンシェルジュ機能部は、前記サーバ内与信情報記憶部に記憶された経済状況及び前記サーバ内生体情報記憶部に記憶された生体情報の少なくとも一方を参照して、この支出しようとすることに対して、経済状況及び健康状態の少なくとも一方を考慮し、アドバイスを当該外部端末を介して当該人に対して行うように構成されていることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
更に、当該人の生体情報を前記サーバ内生体情報記憶部で前記サーバの前記AIコンシェルジュ機能部が確認すると、当該AIコンシェルジュ機能部は、この生体情報を考慮して、アドバイスを当該外部端末を介して当該人に対して行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理システムにおいて使用される前記指輪型端末であることを特徴とする指輪型端末。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の情報処理システムにおいて使用される前記サーバであることを特徴とするサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指輪型端末及び該指輪型端末を用いた情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装着者の生体情報を取得するウエアラブルデバイスが種々提案されており、指輪型の端末も提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、タッチ決済の普及に応じて、決済機能を有する指輪型端末も提案されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、生体情報を取得する指輪型端末と決済機能を有する指輪型端末とは別々の端末であるため、双方の機能を使用するためには、双方の指輪型端末を装着する必要があった。このため、複数の指輪型端末を装着するのは面倒であり、嵩張るとの問題が生じていた。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、生体情報を取得する機能と決済機能の双方の機能を1つの端末に内蔵した指輪型端末及び該指輪型端末を用いた情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を達成するために、本発明は、人の指に装着させて使用する指輪型端末とサーバと外部端末とがネットワークを介して繋がれた情報処理システムであって、前記指輪型端末は、所定の決済端末に外側表面をかざすことで内部情報を読み取らせて取引の決済を行う決済機能部と、装着した指に接触した内側表面から当該人の生体情報を取得する生体情報取得部と、の双方を備えており、前記決済機能部は、決済情報記憶部と決済情報通信部とを有しており、前記決済情報通信部を介して前記決済情報記憶部と前記決済端末とが接続されて、前記決済情報記憶部に記憶された内部情報を前記決済端末に送信することで、前記決済端末で決済を行うと共に、当該決済の記録情報を前記決済情報通信部から前記サーバに蓄積するように構成されており、前記生体情報取得部は、センサ部と生体情報記憶部と生体情報通信部とを有し、少なくとも前記内側表面に前記センサ部を有しており、前記センサ部から取得した生体情報を前記生体情報記憶部に記憶しておき、所定タイミングで当該生体情報記憶部に記憶された生体情報を前記生体情報通信部から前記サーバに送信して蓄積するように構成されており、前記サーバは、前記指輪型端末から取得した決済の記録情報を記憶しておくサーバ内決済情報記憶部と、当該人の経済状況を記憶しておくサーバ内与信情報記憶部と、前記指輪型端末から取得した生体情報を記憶しておくサーバ内生体情報記憶部と、前記外部端末を介して当該人に対してアドバイス可能なAIコンシェルジュ機能部と、を備え、当該人が支出しようとするのを前記サーバの前記AIコンシェルジュ機能部が確認すると、当該AIコンシェルジュ機能部は、前記サーバ内与信情報記憶部に記憶された経済状況及び前記サーバ内生体情報記憶部に記憶された生体情報の少なくとも一方を参照して、この支出しようとすることに対して、経済状況及び健康状態の少なくとも一方を考慮し、アドバイスを当該外部端末を介して当該人に対して行うように構成されている情報処理システムとしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記記載の構成に加えて、更に、当該人の生体情報を前記サーバ内生体情報記憶部で前記サーバの前記AIコンシェルジュ機能部が確認すると、当該AIコンシェルジュ機能部は、この生体情報を考慮して、アドバイスを当該外部端末を介して当該人に対して行うように構成されている情報処理システムとしたことを特徴とする。
また、本発明は、本発明の情報処理システムにおいて使用される前記指輪型端末である指輪型端末としたことを特徴とする。
また、本発明は、本発明の情報処理システムにおいて使用される前記サーバであるサーバとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、生体情報を取得する機能と決済機能の双方の機能を1つの端末に内蔵させた利便性の良い指輪型端末とすることで、簡単かつスマートに双方の機能を使用することができる。
【0014】
また、本発明によれば、決済機能部の構成が決済情報記憶部と決済情報通信部を有する、という具体的な構成で、利便性の良い指輪型端末を構成させることができる。
【0015】
また、本発明によれば、生体情報取得部の構成がセンサ部と生体情報記憶部と生体情報通信部とを有する、という具体的な構成で、利便性の良い指輪型端末を構成させることができる。
【0016】
また、本発明によれば、決済情報通信部と生体情報通信部とが共通の通信部で構成されているため、構成部品を少なくしてコストを下げ、シンプルな構成とすることができる。
【0017】
また、本発明によれば、決済情報記憶部と生体情報記憶部とが共通の記憶部で構成されているため、構成部品を少なくしてコストを下げ、シンプルな構成とすることができる。
【0018】
また、本発明によれば、生体情報を取得する機能と決済機能の双方の機能を1つの端末に内蔵させた利便性の良い指輪型端末を使用した利便性の良い情報処理システムとすることができ、決済の記録情報と生体情報とが一体的に記憶され、情報を引き出す際に一体の情報として引き出されるようになっているため、種々の情報を踏まえた決済情報や健康管理情報等を当該人に提供することができる。
【0019】
また、本発明によれば、決済情報と生体情報からAIが当該人の健康状態や経済状態を予測して、必要なアドバイスや行動指針を提供することができ、より当該人に寄り添ったアドバイス等を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態に係る指輪型端末を示す斜視図である。
【
図2】同実施の形態に係る指輪型端末を示す断面図である。
【
図3】同実施の形態に係る指輪型端末の充電ドングルを示す斜視図である。
【
図4】同実施の形態に係る指輪型端末を充電ドングルに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る情報処理システムを説明するシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、
図1~
図5を参照して説明する。
<指輪型端末の構成>
まず、本実施の形態に係る指輪型端末10について、
図1~
図5を用いて説明する。
【0022】
本実施の形態の指輪型端末10は、人の指に装着させて使用するものであり、
図1に示すように、略円環形状に構成されたものであり、ここでは、所定の幅(約10mm)、所定の厚み(
図1の上部で約5.1mm、下部で3.1mm)に形成されている。この指輪型端末10の枠部分は、セラミック、プラスチック、人口炭素繊維、エポキシ樹脂等で構成されている。また、この指輪型端末10は、通常生活で使用することを想定して、IPX7&IPX6の防水性能を有するように構成されている。
【0023】
また、この指輪型端末10は、
図2に示すように、決済機能を生じさせる決済機能部20と生体情報取得機能を生じさせる生体情報取得部30との双方の機能部を有する構成となっており、それらの機能が組み込まれたチップ等の電子機器が指輪上部の内部13に配設されている。また、下部から側部の内部13には、バッテリ14が配設されており、このバッテリ14から電源を供給されて、生体情報取得部30が機能するようになっている。なお、本実施の形態における決済機能部20は、NFC機能を用いた構成となっているため、電源なしで稼働させることが可能である。
【0024】
また、このバッテリ14を充電するための充電用端子15が、指輪型端末10の内側表面12を露出するように配設されている。なお、1回約90分のフル充電で通常2~5日間の稼働が可能となっている。
【0025】
このバッテリ14を充電するには、
図3に示すような充電用ドングル40を用いるようになっている。このドングル40は、電源に差し込む電源用端子41(ここではUSB端子)、指輪型端末10を嵌めこんで設置する大小の円柱部からなる指輪型端末配置部42を有しており、この指輪型端末配置部42の指輪型端末10の内側表面12に触れる面に充電用端子43が設けられている。また、この充電用端子43のある部分の近くには、充電位置合せ部44(ここでは三角形の印)が設けられており、
図4に示すように、この充電位置合せ部44に指輪型端末10の充電位置合せ部16を合わせることで、充電用端子15,43同士が同位置に配置されるようになっている。
【0026】
次に、各機能について説明する。本実施の形態の指輪型端末10に設けられた決済機能部20は、店舗等に設置された所定の決済端末(図示省略)に指輪型端末10の外側表面11をかざすことで指輪上部の内部13のチップに書き込まれた内部情報を当該決済端末に読み取らせて取引の決済を行うものである。本実施の形態ではNFC機能を用いた方式を採用しており、ここでは、
図5に示すように、決済情報記憶部21と決済情報通信部22を有する構成となっている。
【0027】
このうち、決済情報記憶部21は、取引時に必要となる利用者情報、袈裟志端末との認証関連情報、決済電文暗号鍵、認証成否情報等の情報を記憶しておく機能部であり、決済に応じて読み出し、書き込みが行われるようになっている。また、決済情報通信部22は、店舗等に設置された決済端末と通信を行うアンテナ部であり、ここを介して決済情報記憶部21と決済端末とが接続されて、決済情報記憶部21から内部情報を決済端末に送り、また、決済端末からの情報を決済情報記憶部21に送るようになっている。
【0028】
また、生体情報取得部30は、装着した指に接触した内側表面11から当該人の生体情報を取得するものである。本実施の形態ではブルートゥース(登録商標)等の無線通信機能を用いた方式を採用しており、ここでは、
図5に示すように、センサ部31と生体情報記憶部32と生体情報通信部33とを有する構成となっている。
【0029】
このうち、内側表面にセンサ部31は生体情報を直接取得する部位であり、ここでは指輪上部の内側表面11に接触センサ等によるセンサ部31が設けられている。なお、センサ部としてはこれに限るものではなく、他の方式のセンサ部が採用されていても良いし、このセンサ部の他に1又は複数のセンサ部を有していても良い。また、本実施の形態のセンサ部31では、心拍センサ、温度センサ、加速度センサを有している。これらのセンサで、所定間隔(例えば、5,10,15,30,60,90,120分等)毎に自動計測を行うようになっており、これにより心拍数を測定することができるようになっている。
【0030】
また、消費カロリー、歩数カウント、睡眠時間(ノンレム、ディープ、ライト、アウェイクの4カテゴリに分類して情報取得)、体温測定等を行い、これらの結果を取得するようになっている。
【0031】
また、生体情報記憶部32は、センサ部31から取得した生体情報を一時的に保存しておく部位である。ここで、前記したような結果や数値を一時的(最大14日間)保存しておくことができるようになっている。
【0032】
また、生体情報通信部33は、生体情報記憶部32に記憶された生体情報を所定タイミングで外部のサーバ2に送信するものである。ここでは、前記したようにブルートゥース(登録商標)等の無線通信で外部端末等に送信するようになっており、例えば連携させたスマートフォンに送り、当該スマートフォンからサーバ2に情報をネットワークNを介して送るようになっていれば良い。また、別の手段で送信するようになっていても良い。
【0033】
また、この所定タイミングは、リアルタイムで随時でも良いし、一定時間毎に送信するようになっていても良い。そして、ここで取得された生体情報はサーバ2におけるサーバ内記憶部3で記憶保管されて、当該人の健康状態や経済活動、その他の行動の際に指針となるデータとして活用されるようになっている。
【0034】
なお、本実施の形態では、決済情報通信部22と生体情報通信部33は、方式が異なっており異なるシステムで稼働するようになっていたが、これに限るものではなく、決済情報通信部22と生体情報通信部33とが同じ方式を採用していて共通の通信部で構成されていても良い。これにより、指輪型端末10内で共通の構成を使用することができ、部品点数削減でき(構成部品を少なくすることができ)、コストを下げ、シンプルな構成とできる可能性があり、より利便性の良い指輪型端末10とすることができる。
【0035】
また、同様に、決済情報記憶部21と生体情報記憶部32とが共通の記憶部で構成されていても良い。これによっても、指輪型端末10内で共通の構成を使用することができ、部品点数削減でき(構成部品を少なくすることができ)、さらにコストを下げ、シンプルな構成とできる可能性があり、さらに利便性の良い指輪型端末10とすることができる。
【0036】
以上のように、本実施の形態の指輪型端末10によれば、生体情報を取得する機能(生体情報取得部30)と決済機能(決済機能部20)の双方の機能を1つの端末に内蔵させた利便性の良い指輪型端末10とすることで、簡単かつスマートに双方の機能を使用することができる。
【0037】
また、本実施の形態では、決済機能部20の構成が決済情報記憶部21と決済情報通信部22を有する、という具体的な構成で、利便性の良い指輪型端末10を構成させることができる。
【0038】
また、本実施の形態では、生体情報取得部30の構成がセンサ部31と生体情報記憶部32と生体情報通信部33とを有する、という具体的な構成で、利便性の良い指輪型端末10を構成させることができる。
【0039】
また、決済情報通信部22と生体情報通信部33とが共通の通信部で構成されていると、構成部品を少なくしてコストを下げ、シンプルな構成とすることができる。
【0040】
また、決済情報記憶部21と生体情報記憶部32とが共通の記憶部で構成されていると、さらに構成部品を少なくしてコストを下げ、シンプルな構成とすることができる。
<システムの構成>
以下、本実施の形態に係る情報処理システム1について、
図5を用いて説明する。この情報処理システム1は、前記したような人の指に装着させて使用する指輪型端末10とサーバ2とがネットワークNを介して繋がれたものである。なお、ここで使用する指輪型端末10は、前記したものと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0041】
本実施の形態の指輪型端末10は、1つの端末内に決済機能部20と生体情報取得部30とを有している。このうち、決済機能部20は、決済情報記憶部21と決済情報通信部22とを有しており、決済情報通信部22を介して決済情報記憶部21と決済端末とが接続されて、決済情報記憶部21に記憶された内部情報を決済端末に送信することで、決済端末で決済を行うと共に、当該決済の記録情報を決済情報通信部22から決済端末等を介してサーバ2に蓄積するように構成されている。
【0042】
また、生体情報取得部30は、センサ部31と生体情報記憶部32と生体情報通信部33とを有しており、少なくとも内側表面12にセンサ部31を有しており、センサ部31から取得した生体情報を生体情報記憶部32に記憶しておき、所定タイミングで当該生体情報記憶部32に記憶された生体情報を生体情報通信部33からサーバ2に送信して蓄積するように構成されている。
【0043】
一方、サーバ2は、指輪型端末10で取得された決済の記録情報と生体情報を当該人毎にまとめて一体的に記憶しておき、当該人の情報を引き出す際に、一体の情報として引き出されるようにして、その当該人のその後の行動に際して活用できるようにするものである。本実施の形態では、サーバ2には、サーバ内記憶部3とAIコンシェルジュ機能部7を有しており、さらにサーバ内記憶部3の中には、サーバ内決済情報記憶部4、サーバ内生体情報記憶部5、サーバ内与信情報記憶部6を有する構成となっている。なお、図示省略したが、サーバ内記憶部3とAIコンシェルジュ機能部7は、当該人毎に有しており、それぞれの人毎にその人に合わせて稼働するようになっている。
【0044】
このうち、サーバ内記憶部3は、随時又は定期的に指輪型端末10から送られてくる生体情報や決済情報、その他の情報を仕分けして記憶しておくものである。ここでは、サーバ内記憶部3は、その中で記憶分類毎に分けられて記憶されるように構成されており、例えば本実施の形態では、サーバ内決済情報記憶部4、サーバ内生体情報記憶部5を有しており、ここではさらに、サーバ内与信情報記憶部6も有している。
【0045】
サーバ内決済情報記憶部4は、指輪型端末10を用いて決済を行ったときに、その決済情報が記憶されるものであり、当該人の買ったもの、値段、店、地域等を記憶しておくものである。
【0046】
また、サーバ内生体情報記憶部5は、随時又は定期的に指輪型端末10のセンサ部31から取得した当該人の生体情報の推移を記憶しておくものであり、結果として、当該人(指輪型端末10の装着者)の健康状態を把握し、統計データ等と照らし合わせて当該人将来の健康リスク等も管理するものである。
【0047】
また、サーバ内与信情報記憶部6は、当該人の銀行やクレジットカード等の情報を収集しておき、当該人の経済状態を把握して記憶しておくものである。
【0048】
なお、ここでは、サーバ内記憶部3には、前記した3つの記憶部4,5,6を内包するように構成されていたが、これに限るものではなく、他の情報を記憶しておく記憶部を有していても良い。また、前記した3の記憶部4,5,6内に他の情報を合わせて記憶しておき、これらを総合的に使用するようになっていても良い。
【0049】
例えば、他のツールや銀行、クレジットカード、スマートフォン、アプリ等と連携して、指輪型端末10を用いた買い物以外の買い物や収入支出、貯蓄や投資等の当該人の経済的傾向をさらに把握できるようになっていても良い。
【0050】
また、健康状態についても、スマートウォッチ、通信機能を有する体重計、体脂肪計、血圧計等ともリンクさせて、これらの情報をサーバ内生体情報記憶部5に記憶させるようになっていても良い。また、健康診断の結果、病院のカルテ等とも、適宜連携して総合的に情報を集約しておくことができれば、より正確な健康状態の判断を行うことができる。
【0051】
また、AIコンシェルジュ機能部7は、サーバ2のサーバ内記憶部3に蓄積された当該人の決済の記録情報と生体情報を含む種々の記憶情報とネット上の情報からAIが当該人の健康状態や経済状態を予測して、当該人に必要なアドバイスや行動指針を行うものである。その際、ChatGPT等の所謂生成AIの機能を用いてAIコンシェルジュとの会話形式で進められるようになっている。
【0052】
例えば、朝の寝起き、通勤時等のタイミングで、
「AI:調子はどうですか?
当該人:良好だよ。
AI:(睡眠時間等の当該人データに基づき)嘘ですね。睡眠時間が3時間です。疲れがたまらないようにマッサージを予約しておきますか?
当該人:お願い。
AI:(スケジュール、収入支出、健康状態等の当該人データと近隣のネット検索に基づき)本日〇月〇日の〇〇時から1時間がスケジュールが空く時間ですので、そこで○○鍼灸院のマッサージを予約しますね。今日の体調からすると○○コース○○円が良いと思われますが、よろしいですか?
当該人:それでお願い。
AI:かしこまりました。予約完了しました。」
等のやり取りを当該人とAIコンシェルジュの間で行うことが想定される。
【0053】
また、他に、高額な買い物をローンで購入しようと決済アプリを開いたり、カードの読込準備をした段階で、
「AI:この商品を購入予定ですが?
当該人:そうだよ。
AI:(収入支出情報、最近の支出傾向、健康状態等の当該人データに基づき)この価格だとローンが支払い切れない可能性があります。もう少しお値打ちなものを検討してはいかがですか?
当該人:お勧めは?
AI:(再び収入支出情報、嗜好パターン、健康状態等の当該人データとネット検索に基づき)このようなものがありますがいかがですか?こちらなら無理なく支払いできると思いますよ。
当該人:それをお願い。
AI:かしこまりました。購入手続を行います。」
等のやり取りを当該人とAIコンシェルジュの間で行うことが想定される。
【0054】
以上のように、本実施の形態の情報処理システム1によれば、生体情報を取得する機能(生体情報取得部30)と決済機能(決済機能部20)の双方の機能を1つの端末に内蔵させた利便性の良い指輪型端末10を使用した利便性の良い情報処理システム1とすることができ、決済の記録情報と生体情報とが一体的に記憶され、情報を引き出す際に一体の情報として引き出されるようになっているため、種々の情報を踏まえた決済情報や健康管理情報等を当該人に提供することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、決済情報と生体情報からAIが当該人の健康状態や経済状態を予測して、必要なアドバイスや行動指針を提供することができ、より当該人に寄り添ったアドバイス等を行うことができるものである。
【0056】
なお、本発明は、前記した実施の形態に限るものではなく、適宜変更して実施しても良い。例えば、健康状態や決済情報、収入収支等の情報から、与信を行う際に当該人の健康寿命を考慮して判断を行うようになっていても良い。
【0057】
また、指輪型端末10の決済機能部20は、決済のみでなく、その他の機能を持たせるようになっていても良い。例えば、家や会社や倉庫等のスマートキーとして利用できるようになっていても良い。また、健康保険証やマイナンバーカードの機能を持たせるようになっていても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 情報処理システム
2 サーバ
3 サーバ内記憶部
4 サーバ内決済情報記憶部
5 サーバ内生体情報記憶部
6 サーバ内与信情報記憶部
7 AIコンシェルジュ機能部
10 指輪型端末
11 外側表面
12 内側表面
13 内部
14 バッテリ
15 充電用端子
16 充電位置合せ部
20 決済機能部
21 決済情報記憶部
22 決済情報通信部
30 生体情報取得部
31 センサ部
32 生体情報記憶部
33 生体情報通信部
40 充電用ドングル
41 電源用端子
42 指輪型端末配置部
43 充電用端子
44 充電位置合せ部
N ネットワーク
【要約】
【課題】生体情報を取得する機能と決済機能の双方の機能を1つの端末に内蔵した指輪型端末及び該指輪型端末を用いた情報処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】人の指に装着させて使用する指輪型端末10であって、所定の決済端末に外側表面11をかざすことで内部情報を読み取らせて取引の決済を行う決済機能部20と、装着した指に接触した内側表面12から当該人の生体情報を取得する生体情報取得部30と、の双方を備えた。
【選択図】
図1