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特許7485426頭部装着型撮像装置および視線画像調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】頭部装着型撮像装置および視線画像調整方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 25/00 20060101AFI20240509BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20240509BHJP
   G03B 13/02 20210101ALI20240509BHJP
   G02B 7/06 20210101ALI20240509BHJP
   G03B 35/10 20210101ALI20240509BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20240509BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20240509BHJP
   H04N 23/53 20230101ALI20240509BHJP
   G03B 13/32 20210101ALI20240509BHJP
   G02C 7/14 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G02B25/00
G03B19/07
G03B13/02
G02B7/06 Z
G03B35/10
G02B27/02 Z
H04N23/55
H04N23/53
G03B13/32
G02C7/14
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023113266
(22)【出願日】2023-07-10
【審査請求日】2023-11-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305021650
【氏名又は名称】株式会社近藤研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健人
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-189121(JP,A)
【文献】特開2005-141007(JP,A)
【文献】特開2002-182272(JP,A)
【文献】国際公開第2022/259840(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 25/00
G03B 19/07
G03B 13/02
G02B 7/06
G03B 35/10
G02B 27/02
H04N 23/55
H04N 23/53
G03B 13/32
G02C 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の頭部に装着される頭部装着部と、
前記頭部装着部に取り付けられ、前記装着者の少なくとも左右一方の視線を前方へ通過させる視線通過部材と、
前記視線通過部材に隣接して配設され、前記視線通過部材を介して対象物を撮像可能な撮像手段と
を備え、
前記視線通過部材は、
前記装着者の視線を前方へ通過させると共に前記撮像手段の光軸を前方へ屈折させる一又は複数のプリズムを備えたものであり、
前記撮像手段は、
前記視線通過部材のプリズムに対向状に配置されたレンズを具備するレンズ部材と、
前記レンズ部材のレンズを介して前記対象物の像を撮像する撮像素子と、
前記レンズ部材と前記撮像素子との相対距離を前記光軸に沿って変更させる相対距離変更手段と
を備え、
前記レンズ部材が前記視線通過部材に対して移動不能に設けられたものであり、
前記撮像手段は、
前記撮像素子が設けられたカメラ本体部と、
前記レンズが一体的に設けられ、前記撮像素子に対して接離移動可能とするように前記カメラ本体部に回転可能に螺着された、前記レンズ部材を構成する鏡筒部と
を備えたカメラ部材であって、
前記相対距離変更手段が、
前記鏡筒部に設けられ、回転操作される操作板部を備え、
前記操作板部が回転操作されることにより、前記鏡筒部が前記カメラ本体部に対して螺進して前記接離移動し、該接離移動により、前記レンズと前記撮像素子との相対距離が変更されてピント調整できる構成であり、
前記頭部装着部には、
前記プリズムが内部に配置された第一筐体部と、
前記第一筐体部の外方に設けられて、前記第一筐体部に連通された連結筒部と
を備えた筐体が取り付けられており、
前記カメラ部材は、
前記鏡筒部が、前記連結筒部内に、前記レンズを前記プリズムの側面に対向状に近接させて、前記プリズムに対して移動不能に配置され、
前記カメラ本体部が、前記連結筒部の外方で移動可能に配置され、
前記操作板部が回転操作されることにより、前記鏡筒部の前記レンズと前記プリズムとの距離が一定に保たれつつ、前記カメラ本体部が前記鏡筒部に対して移動してなることを特徴とする頭部装着型撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の頭部装着型撮像装置における、装着者の視点と撮像手段で撮像される画像とを位置合わせする視線画像調整方法であって、
所定位置に設置した画像表示装置に、前記撮像手段で撮像された画像を表示する表示ステップと、
前記視線通過部材を介した前記装着者の視点と、前記画像表示装置で表示された画像との位置を合わせるように、該装着者の眼に対する該視線通過部材の位置を調整する調整ステップと、
相対距離変更手段により撮像手段のレンズ部材と撮像素子との相対距離を調整して、前記画像表示装置で表示される画像の焦点を合わせる焦点調整ステップと
を含むことを特徴とする視線画像調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者の視線と一致できる光軸で対象物を撮像し得る頭部装着型撮像装置、および該頭部装着型撮像装置で撮像する画像を位置合わせする視線画像調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の発明者らは、特許文献1に示すように、装着者の眼前に配置されたプリズムにより、該装着者の視線を前方へ通過すると共に該プリズムの側方に配置されたカメラの光軸を屈折させて該視線に一致させる頭部装着型カメラを提案している。かかる従来構成によれば、装着者が視ている対象物を、当該装着者の視線で撮像できることから、カメラで撮像した画像をモニターなどの画像表示装置で表示することによって、装着者と同じ目線で対象物を視ることができる。
【0003】
また、本発明の発明者らは、特許文献2に示すように、前記プリズムの前方に拡大鏡を配設した構成を提案している。かかる従来構成は、装着者がプリズムと拡大鏡とを介して対象物を拡大視できると共に、カメラの光軸を該プリズムで屈折させて該装着者の視線と一致させることができるため、該カメラによって、装着者の目線で該対処物を撮像できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3231356号公報
【文献】特許第7178126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1,2では明示されていないものの、これら従来構成には、オートフォーカス(以下、AF)とマニュアルフォーカス(以下、MF)とのいずれかのタイプのカメラが適用され得る。ここで、従来構成に適用されるカメラは、一般的に、撮像素子を有するカメラ本体と、該撮像素子に対して接離移動可能に設けられた鏡筒とを備え、該鏡筒を接離移動させることによって、焦点(ピント)を被写体に合わせることができる。
ところが、こうしたカメラは、焦点を合わせる際に鏡筒が移動することによって、画角が変化してしまうことから、該カメラを備えた従来構成では、焦点合わせで画角が変化することによって、カメラで撮像した画像を見る者に、装着者と異なる印象を生じさせる場合があった。特に、前述した特許文献2の構成では、拡大鏡を介して撮像することから、前記焦点合わせによって画角が比較的大きく変わり易いため、カメラで撮像した画像を見る者が、装着者と異なる印象を生じ易い傾向にあった。
【0006】
一方、前述した特許文献1,2の従来構成は、前述したように、カメラの光軸を装着者の視線と一致させる構成であるものの、実際には、装着者の眼とプリズムとの位置関係や装着者の視線の向き等によって、該視線と前記光軸とにズレが生ずる場合がある。こうしたズレが生じた場合には、装着者の視点が,カメラで撮像する画像の中央からズレてしまうため、カメラで撮像した画像を見る者に、装着者の視点を正確に伝え難くなっていた。
【0007】
本発明は、撮像手段で撮像された画像を見る者が、該撮像手段のピント調整によって装着者と異なる印象を生じてしまうことを抑制し得る頭部装着型撮像装置、および装着者の視点を正確に伝え得る視線画像調整方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一発明は、装着者の頭部に装着される頭部装着部と、前記頭部装着部に取り付けられ、前記装着者の少なくとも左右一方の視線を前方へ通過させる視線通過部材と、前記視線通過部材に隣接して配設され、前記視線通過部材を介して対象物を撮像可能な撮像手段とを備え、前記視線通過部材は、前記装着者の視線を前方へ通過させると共に前記撮像手段の光軸を前方へ屈折させる一又は複数のプリズムを備えたものであり、前記撮像手段は、前記視線通過部材のプリズムに対向状に配置されたレンズを具備するレンズ部材と、前記レンズ部材のレンズを介して前記対象物の像を撮像する撮像素子と、前記レンズ部材と前記撮像素子との相対距離を前記光軸に沿って変更させる相対距離変更手段とを備え、前記レンズ部材が前記視線通過部材に対して移動不能に設けられたものであることを特徴とする頭部装着型撮像装置である。
【0009】
かかる構成にあっては、レンズ部材が視線通過部材に対して移動不能に設けられていることから、撮像手段の焦点(ピント)を合わせる際に、撮像素子が該視線通過部材に対して接離移動する。このように本構成では、視線通過部材のプリズムとレンズ部材との距離が常に一定に保持されることから、焦点合わせの際における画角の変化を抑制できる。このため、撮像手段により撮像した画像が、装着者の目線と一致できる効果が向上し、該画像を見る者に該装着者と同じ印象を安定して生じさせ得る。したがって、本発明の構成によれば、撮像手段で撮像する画像によって、装着者の見ている印象を正確に伝えることができる。
【0010】
本発明の第二発明は、前記第一発明の頭部装着型撮像装置における、装着者の視点と撮像手段で撮像される画像とを位置合わせする視線画像調整方法であって、所定位置に設置した画像表示装置に、前記撮像手段で撮像された画像を表示する表示ステップと、前記視線通過部材を介した前記装着者の視点と、前記画像表示装置で表示された画像との位置を合わせるように、該装着者の眼に対する該視線通過部材の位置を調整する調整ステップと、相対距離変更手段により撮像手段のレンズ部材と撮像素子との相対距離を調整して、前記画像表示装置で表示される画像の焦点を合わせる焦点調整ステップとを含むことを特徴とする視線画像調整方法である。
【0011】
かかる方法にあっては、画像表示装置で表示された画像と装着者の視点との位置を合わせるように、視線通過部材の位置を調整することにより、装着者の視線と撮像手段の光軸とのズレを補正し、該撮像手段によって装着者の目線で正確に撮像できる。さらに、本方法では、焦点調整ステップにより焦点を合わせる際に画角の変化が抑制されることから、装着者の見ている対象を一層正確に撮像できる。こうしたことから、本発明の方法によれば、撮像手段により撮像された画像が、装着者の目線で正確かつ安定して表現されたものとなるため、該画像を見る者に、装着者の視点を正確に伝えることができる。
【0012】
尚、調整ステップでは、装着者が対象物を実際に視ている状態で実施することが好ましく、これによって、装着者の視点と画像とを一層正確に位置合わせし易い。
【発明の効果】
【0013】
本発明の頭部装着型撮像装置によれば、撮像手段の焦点合わせの際に画角が変化することを抑制できるため、該撮像手段で撮像する画像を見る者に、装着者が見ている印象を正確に伝えることができる。
【0014】
本発明の視線画像調整方法によれば、画像表示装置で表示された画像と装着者の視点とを位置合わせできるため、該画像を見る者に、装着者の視点を正確に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例の頭部装着型撮像装置1を示す斜視図である。
図2】頭部装着型撮像装置1の、(A)平面図と、(B)正面図である。
図3】頭部装着型撮像装置1を装着した状態を示す側面図である。
図4】視線撮像ユニット6を構成するプリズム33とカメラ部材34とを説明する、(A)平面図と、(B)正面図である。
図5】プリズム33,33を示す、(A)斜視図と、(B)分解斜視図である。
図6】カメラ部材34の焦点を合わせる作動を示す説明図である。
図7】頭部装着型撮像装置1における、装着者の視線S1,S2とカメラ部材34の光軸Pとを示す説明図である。
図8】実施例の視線画像調整方法による、装着者101の視線S1,S2とカメラ部材34の光軸Pとを調整する態様を示す説明図である。
図9】別例1の頭部装着型撮像装置71を示す、(A)側面図と、(B)作動態様を示す説明図である。
図10】別例2の、(A)頭部装着型撮像装置81の斜視図と、(B)視線撮像ユニット86の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を具体化した実施例を、添付図面を用いて説明する。尚、実施例にあって、前後方向は、実施例の頭部装着型撮像装置1を装着した装着者における前後方向を示し、左右は、同様に該装着者における左右を示す。そして、前後方向と上下方向(縦方向)とに直交する左右方向を左右横方向という。また、左右方向にあって、左右の外側から装着者の中心に向かう方向を、内方とする。さらに、実施例にあって、前面と正面とは、同じ意味で用いている。
【0017】
実施例の頭部装着型撮像装置1は、図1~3に示すように、装着者101の両眼前方に配設されて両眼を覆う透明なシールド部4と、該装着者の両耳に掛けられることによって該装着者の頭部に装着されるフレーム部3とが一体的に設けられた保護メガネ2を備える。そして、前記フレーム部3の中央部に連結部材5を介して取り付けられた視線撮像ユニット6および照明装置7を備え、該視線撮像ユニット6と照明装置7とが一体的に設けられている。
【0018】
前記連結部材5は、前記保護メガネ2のフレーム部3に固定される基部11と、該基部11に上下方向へ傾動可能に設けられた支持杆部12と、該支持杆部12を挿通させた上下方向の長孔が設けられた摺動部13とを備える。支持杆部12の先端部には位置決め部15が回転可能に螺着されており、該位置決め部15を締結することによって、該支持杆部12に対する摺動部13の上下位置を固定できる一方、該位置決め部15の締結解除によって、摺動部13を支持杆部12に対して上下方向へ移動できる。摺動部13には、前記照明装置7が上下方向へ傾動可能に取り付けられており、該照明装置7に前記視線撮像ユニット6が一体的に取り付けられている。こうした連結部材5は、支持杆部12を基部11に対して傾動させることによって、該支持杆部12と摺動部13と照明装置7および視線撮像ユニット6とを一体的に前後方向へ傾動できる。この視線撮像ユニット6の傾動により、装着者101の両眼との距離を変更できる。また、摺動部13を支持杆部12に対して上下方向へ摺動させることによって、該摺動部13と照明装置7および視線撮像ユニット6とを一体的に上下方向へ摺動できる。さらにまた、照明装置7を摺動部13に対して上下方向へ傾動させることによって、該照明装置7と視線撮像ユニット6とを一体的に上下方向へ傾動でき、これらを装着者に対して所望の角度で傾斜できる。
【0019】
照明装置7は、前記摺動部13に傾動可能に取り付けられた照明支持部17と、該照明支持部17に支持されたライト18とを備える。このライト18により、前記視線撮像ユニット6のプリズム33,33を介して見る対象物を照らすことができ、該対象物の視認性を向上できる。尚、ライト18には、図示しないON/OFFスイッチや電源などがケーブルを介して接続されている。
【0020】
次に、本発明の要部にかかる視線撮像ユニット6について説明する。
視線撮像ユニット6は、図1~3に示すように、前記照明装置7の照明支持部17に取り付けられた案内支持部材21と、該案内支持部材21に夫々支持された左右の視線撮像本体22a,22bとを備える。
【0021】
案内支持部材21は、左右方向に長尺状に形成され、左右方向の中央部が前記照明支持部17に固結されている。この案内支持部材21は、中央部に対して左右対称に形成されており、左右両側に第一案内長孔部25と第二案内長孔部26とが夫々設けられている。第一案内長孔部25は、左右横方向へ直線状に開口された長孔であり、案内支持部材21を上下方向に貫通している。左右の第一案内長孔部25は、装着者に装着された状態で、該装着者の左右両眼に対応する各両眼の前方位置に夫々設けられている。また、第二案内長孔部26は、前記第一案内長孔部25の外側に、該第一案内長孔部25に対して前方へ直線状に傾斜された長孔であり、案内支持部材21を上下方向に貫通している。
【0022】
視線撮像本体22a,22bは、前記案内支持部材21に左右方向へ摺動可能に支持された筐体31と、該筐体31の前部に取り付けられたルーペ部32と、該筐体31の内部に配設されたプリズム33とを夫々備える。さらに、本実施例にあっては、右側の視線撮像本体22aが、その筐体31の内部に配設されたカメラ部材34を備えたものである。
【0023】
前記視線撮像本体22a,22bの各筐体31,31は、左右一対に設けられたものであり、内側に配置された第一筐体部41と、該第一筐体部41の外方に連結筒部43を介して連結された第二筐体部42とを夫々備える。そして、第一筐体部41と第二筐体部42とは、連結筒部43を介して連通されている。
【0024】
第一筐体部41には、その上面から上方へ突出されて、前記案内支持部材21の第一案内長孔部25に挿通される杆部と、該第一案内長孔部25上で該杆部の上部に螺着されて、該第一案内長孔部25に挿通不能な固定部とを有する支持杆部45が設けられている。この支持杆部45の固定部を締め付けることによって、第一筐体部41を案内支持部材21に位置決め固定できる一方、該固定部の締め付けを解除することによって、該第一筐体部41を第一案内長孔部25に沿って相対移動できる。同様に、第二筐体部42には、その上面から上方へ突出されて、前記案内支持部材21の第二案内長孔部26に挿通される杆部と、該第二案内長孔部26上で該杆部の上部に螺着されて、該第二案内長孔部26に挿通不能な固定部とを有する支持杆部46が設けられている。この支持杆部46の固定部を締め付けることによって、第二筐体部42を案内支持部材21に位置決め固定できる一方、該固定部の締め付けを解除することによって、該第二筐体部42を第二案内長孔部26に沿って相対移動できる
【0025】
視線撮像本体22a,22bは、案内支持部材21の第一,第二案内長孔部25,26に挿通された支持杆部45,46により吊持される。そして、視線撮像本体22a,22bは、両支持杆部45,46の固定部が締め付けられていない状態で、左右横方向へ移動可能であり、少なくとも一方の支持杆部45,46の固定部を締め付けることによって、位置決めされる。この締め付けられていない状態で視線撮像本体22a,22bを左右へ移動させると、該視線撮像本体22a,22bが左右横方向へ移動しつつ、第一案内長孔部25に挿通された支持杆部45を中心として前後方向へ傾動する。
【0026】
ここで、視線撮像本体22a,22bの支持杆部45,46と案内支持部材21の第一,第二案内長孔部25,26との夫々の位置や寸法形状等は、該視線撮像本体22a,22bの移動によって、左右の第一,第二筐体部41,42に設けられたプリズム33,33を通過する視線S1,S2の交わる位置T(以下、視点という)が略変わらないように、設定されている。
【0027】
左右の視線撮像本体22a,22bには、前述したように、夫々の第一筐体部41にプリズム33が夫々配設されている。プリズム33は、図5に示すように、二個の直角プリズム38,38が互いの斜面38a,38a同士を重ね合わせて接合された立方体であり、いわゆるキューブ型のビームスプリッターである。このプリズム33の斜面38aには、透過率(透明度)を0~50%とするミラーコーティングが施されている。右側の第一筐体部41には、図4に示すように、プリズム33が装着者の眼前で斜面38aを内側前方へ傾斜させるように配設され、該プリズム33の前面が前記ルーペ部32に対向配置される。そして、右側のプリズム33には、前面、後面、および右側面に反射防止コーティングが施されると共に、その他の三面に、光の入出力を抑制する黒色コーティングが施される。左側の第一筐体部41は、右側の第一筐体部41と左右対称とするように、プリズム33が配設される(図示せず)。この左側のプリズム33には、前面、後面、および左側面に反射防止コーティングが施され、その他の三面に前記黒色コーティングが施される。
【0028】
本実施例にあって、右側の第二筐体部42および連結筒部43には、図4に示すように、カメラ部材34が配設されている。カメラ部材34は、撮像素子が設けられたカメラ本体部51と、レンズが設けられた鏡筒部52とを備え、該鏡筒部52が撮像素子に対して接離移動可能とするように該カメラ本体部51に取り付けられている。本実施例のカメラ部材34は、鏡筒部52にレンズが一体的に設けられており、該鏡筒部52を前記接離移動させることによって、該レンズと前記撮像素子との相対距離を変更でき、該変更によってピント調整(焦点を合わせる調整)ができるようになっている。また、鏡筒部52は、カメラ本体部51に設けられた円筒形の取付部(図示せず)に回転可能に螺着されており、該鏡筒部52に設けられた大径の操作板部55が回転操作されることにより螺進して、前記した接離移動するように構成されている。
【0029】
こうしたカメラ部材34は、カメラ本体部51が第二筐体部42の内部に左右方向へ移動可能に配置されると共に鏡筒部52が連結筒部43の内部に移動不能に配置されて、右側の視線撮像本体22aに配設される。ここで、鏡筒部52は、その前端部が第一筐体部41のプリズム33の右側面に近接されて、レンズが該プリズム33の右側面に対向するように、連結筒部43に配設されている。また、鏡筒部52の操作板部55は、少なくとも外周縁の一部が前記連結筒部43から露出されており、装着者等が操作できるようになっている。このように配設されたカメラ部材34は、操作板部55が回転操作されることにより、カメラ本体部51が鏡筒部52に対して左右方向へ移動し、該移動に従ってピント調整を行うことができる。このピント調整の際に、鏡筒部52のレンズとプリズム33との距離が常に一定に保たれることから、本構成では、画角を変化させること無く、ピント調整(焦点を合わせる調整)できる。
【0030】
カメラ部材34には、カメラ本体部51にケーブル40が接続されており、該ケーブル40を介して通信制御装置39に接続されている。このケーブル40は、図1に示すように、第二筐体部42から差し出されて、前記保護メガネ2のフレーム部3に連結され、装着者に保持された通信制御装置39に接続される。カメラ部材34と通信制御装置39との間では、ケーブル40を介して、該カメラ部材34に撮像を指示する信号と該カメラ部材34で撮像した画像データとが送受信されると共に、該通信制御装置39からカメラ部材34に電力が供給される。通信制御装置39は、カメラ部材34に撮像させるスイッチ、電源、および無線通信機能などを備えており、該無線通信機能によって、カメラ部材34から入力した画像データをネットワークを介して通信することができる。
【0031】
左右の第一筐体部41には、図4に示すように、前面部と後面部とに、内部のプリズム33を臨む開口部(図示せず)が夫々形成されており、該前面部に前記ルーペ部32が配設されている。ルーペ部32は、略截頭円錐状の鏡筒と該鏡筒の前後端部に並設された二枚のレンズとを備えた構成であり、後端部のレンズが前記第一筐体部41の前面部の開口部に対向するように、該第一筐体部41に一体的に取り付けられている。
【0032】
本実施例の視線撮像本体22a,22bは、夫々のルーペ部32,32の正面から入射した入射光がプリズム33,33により、該プリズム33,33の斜面38aを透過する透過光と、該斜面38aで反射して外側方(右側のプリズム33では右側方、左側のプリズム33では左側方)へ透過する反射光とに分けられる。これにより、図7に示すように、カメラ部材34の光軸Pが、右側のプリズム33を通過する右側の視線S1と一致できる。ここで、本実施例にあっては、カメラ部材34の光軸Pがプリズム33とルーペ部32との中心または中心近傍を通過するように、該カメラ部材34と該プリズム33と該ルーペ部32とが夫々配置されている。そして、この光軸Pが、プリズム33とルーペ部32との中心または中心近傍を通過する右側の視線S1と一致する。また、本実施例では、左右の視線撮像本体22a,22bがプリズム33,33を夫々備え、装着者の左右の視線S1,S2が左右のプリズム33,33を通過することから、該装着者の左右の眼に映る像に対する違和感を抑制できる。
【0033】
さらに、左右の視線撮像本体22a,22bは、装着者の両眼間隔に応じて左右位置を適宜変更することが可能である。例えば、比較的眼幅の狭い装着者にあっては、左右の視線撮像本体22a,22bを夫々内側寄りに配置して位置決めする。この状態で、当該装着者が、プリズム33とルーペ部32とを通過した視線S1,S2の交わる視点Tで対象物を拡大視できる。一方、比較的眼幅の広い他の装着者にあっては、左右の視線撮像本体22a,22bを夫々外側寄りに配置して位置決めする。この状態では、前記した視線撮像本体22a,22bを内側寄りに配置した場合に比して、プリズム33,33とルーペ部32とが、装着者の眼との間隔を略一定に保ちつつ外側に位置すると共に、外側に向かって前方傾斜している。これにより、プリズム33,33とルーペ部32とを通過した視線S1,S2が、内側寄りに配置した場合と略同じ視点Tで交わるため、該視点Tで対象物を拡大視できる。
【0034】
前述した本実施例の頭部装着型撮像装置1は、前記通信制御装置39がインターネット等のネットワークを介して画像データや信号を送受信するコンピュータ(図示せず)に接続されている。そして、コンピュータには、前記通信制御装置39から受信した画像データを記憶する記憶装置(図示せず)や、動画や静止画を表示する画像表示装置61(図8参照)等が接続されており、画像データを読み込んで該画像表示装置61で動画や静止画を表示させる機能を備えている。こうした構成により、画像表示装置61で、頭部装着型撮像装置1のカメラ部材34で撮像した画像データをリアルタイムで表示したり、前記記憶装置に記憶した画像データを選択して読み込んで表示したりすることができる。
【0035】
次に、本実施例の頭部装着型撮像装置1の使用態様について説明する。
頭部装着型撮像装置1は、保護メガネ2が装着者の頭部に装着されて、視線撮像ユニット6が該装着者の眼前に配置されることにより、該装着者に使用される(図3参照)。そして、装着者が、連結部材5を操作して、視線撮像ユニット6を昇降動させたり前後方向へ傾動させたりすることにより、該視線撮像ユニット6と照明装置7とを所望位置とする。さらに、左右の視線撮像本体22a,22bを操作して、各視線撮像本体22a,22bのプリズム33,33(およびルーペ部32,32)を、左右夫々の眼前に配置する。このように左右の視線撮像本体22a,22bを、装着者の両眼に合わせて位置決めすることにより、図7に示すように、視線S1,S2がプリズム33,33とルーペ部32,32とを通過して、視点Tの対象物を拡大視できる。
【0036】
こうした視線撮像本体22a,22bを位置合わせすることによって、装着者の視線S1,S2がプリズム33,33の中心または略中心を通過すると、右の視線S1とカメラ部材34の光軸Pとが一致する。これにより、カメラ部材34で撮像した画像データを画像表示装置61で表示することで、装着者と同じ目線で対象物を見せることができる。
【0037】
ここで、前述した位置合わせした状態であっても、装着者の視線S1,S2がプリズム33,33の中心から外れてしまう場合があり得る。これは、装着者が、頭部装着型撮像装置1を装着した頭部を動かすこと無く、眼球のみの動きによって、プリズム33,33を通過する範囲内で視線S1,S2の方向を変化できることに因る。このように視線S1,S2がプリズム33,33の中心から外れた場合には、カメラ部材34の光軸Pが該視線S1とズレることから、画像表示装置61で表示した際に、視点Tが該カメラ部材34で撮像した画像の中央から外れた位置に表示されてしまう。これでは、前記画像を見る者に、装着者の注視する視点Tを正確に伝えることが難しい。特に、本実施例の頭部装着型撮像装置1は、ルーペ部32,32によって対象物を拡大視する構成であることから、視線S1とカメラ部材34の光軸Pとの僅かなズレが、該カメラ部材34により撮像した画像内で比較的大きくなる傾向にある。こうしたことから、視線S1,S2がプリズム33,33の中心(又は略中心)を通過するように、視線撮像ユニット6を調整する。この調整方法を以下で説明する。具体例として、図8(A)に、視線撮像ユニット6を前述した位置合わせした状態で、装着者の視線S1,S2がプリズム33,33の中心よりも下方へズレている場合を示す。
【0038】
先ず、頭部装着型撮像装置1を装着した装着者が視線撮像ユニット6との間から視認できる場所に、カメラ部材34で撮像した画像データを表示する画像表示装置61を設置する。ここで、画像表示装置61の設置場所は、頭部装着型撮像装置1を使用する状態で装着者が該画像表示装置61の画面を視認できる場所とすることが好適である。
【0039】
装着者が頭部装着型撮像装置1を装着して前述の位置合わせした後に、通信制御装置39(および前記コンピュータ)を操作して、画像表示装置61の画面に、カメラ部材34で撮像した画像をリアルタイムで表示させる。これが、本発明にかかる表示ステップに相当する。尚、この画像表示装置61での表示は、前記位置合わせ前や位置合わせの途中などで行うことも可能である。さらには、頭部装着型撮像装置1を頭部に装着する前に、カメラ部材34で撮像した画像を画像表示装置61で表示開始しても良い。
【0040】
装着者が頭部装着型撮像装置1のプリズム33,33を介して対象物62を視認し、この状態で頭部を動かさないようにして、視線撮像ユニット6との間から画像表示装置61の画面を見る。ここで、図8(A)に示すように、前記対象物62を視認した視線S1,S2が、プリズム33,33の中心よりも下方にズレていると、画像表示装置61で対象物62が画面下部に表示される。これにより、装着者の視線S1,S2がカメラ部材32の光軸Pとズレていることが分かる。
【0041】
こうした視線S1とカメラ部材32の光軸Pとのズレを修正するために、装着者の視点T(対象物62)が画像表示装置61の画面中央で表示されるように、連結部材5を操作して視線撮像ユニット6を位置変換させる。そして、図8(B)に示すように、装着者の視点Tが画像表示装置61の画面中央で表示された状態で視線撮像ユニット6を位置決めする。これにより、装着者の視線S1,S2が、プリズム33,33の中心を通過して、カメラ部材34の光軸Pと一致する。これが、本発明にかかる調整ステップに相当する。
【0042】
さらに、右側の視線撮像本体22aに配設されたカメラ部材34の操作板部55を回転操作することにより、該カメラ部材34のピント調整(焦点を合わせる調整)を行って、画像表示装置61で表示される画像のピントを合わせる。ここで、本実施例の頭部装着型撮像装置1は、前記ピント調整の際に、鏡筒部52のレンズとプリズム33との間隔が一定に保たれることから、カメラ部材34の画角が変化しない。このピント調整が、本発明にかかる焦点調整ステップに相当する。尚、こうしたピント調整は、前記した調整ステップの前に行っても良い。
【0043】
このように装着者の視点Tと画像表示装置61の画像とを位置合わせすることにより、該装着者の視線S1とカメラ部材34の光軸Pとを正確に一致させることができるから、該カメラ部材34で撮像した画像を見る者に、装着者と同じ目線で対象物62を見せることができる。
【0044】
前述した本実施例の頭部装着型撮像装置1は、装着者の頭部にされた視線撮像ユニット6が該装着者の眼前に位置合わせされることにより、該装着者が左右のプリズム33,33とルーペ部32,32とを介して視点Tの対象物を拡大視できる。そして、右側の視線撮像本体22aに配設されたカメラ部材32の光軸Pが、右側のプリズム33で屈折されて右側の視線S1と一致することから、該カメラ部材32によって装着者と同じ目線で前記対象物を撮像することができる。さらに、本実施例の構成にあっては、カメラ部材32の操作板部55が回転操作されることにより、画角を変化させずにピント調整(焦点を合わせる調整)を行うことができる。これにより、カメラ部材32で撮像した画像を見る者に、そのピント調整による印象変化が生じ難く、装着者の見ている対象を正確に伝えることができる。
【0045】
また、プリズム33,33を介した装着者の視点Tとカメラ部材32で撮像されて画像表示装置61で表示される画像とがズレている場合には、該装着者の視点Tが画像表示装置61の画面の略中央に表示されるように、前記連結部材5の操作により視線撮像ユニット6を調整する。これにより、装着者の視線S1とカメラ部材32の光軸Pとを一層正確に一致させることができ、装着者の目線で正確に撮像できる。これにより、画像表示装置61を見る者に装着者の見ている対象を正確に伝えるという、前述した本実施例の作用効果を一層安定して奏し得る。
【0046】
こうした本実施例にあって、保護メガネ2が、本発明にかかる頭部装着部に相当し、プリズム33が、本発明にかかる視線通過部材に相当する。カメラ部材32が、本発明にかかる撮像手段に相当し、鏡筒部52が、本発明にかかるレンズ部材に相当する。そして、操作板部55が、本発明にかかる相対距離変更手段に相当する。
【0047】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。例えば、前述の実施例における各部の寸法形状は、適宜変更することができる。
【0048】
前述した実施例では、カメラ部材を右側の視線撮像本体にのみ配設した構成であるが、これに限らず、カメラ部材を左側の視線撮像本体にのみ配設した構成としても良いし、左右の緯線撮像本体に夫々カメラ部材を配設した構成としても良い。
【0049】
前述した実施例では、カメラ部材が、操作板部の操作によってピント調整するマニュアルフォーカスを有するものとしたが、これに限らず、オートフォーカスを有するカメラ部材が配設された構成とすることもできる。オートフォーカスのカメラ部材であっても、実施例と同様に、鏡筒部を移動不能(プリズムとの間隔を一定に保つ)且つカメラ本体を移動可能に設けることにより、実施例と同様の作用効果を奏し得る。
【0050】
前述した実施例では、カメラ部材の鏡筒部にレンズが一体的に設けられた構成であるが、これに限らず、レンズが鏡筒部と別体に設けられた構成であっても良い。
【0051】
前述した実施例では、視線撮像ユニットと照明装置とを一体化してなる構成であるが、これに限らず、視線撮像ユニットと照明装置とを個別に傾動可能とする構成とすることもできる。例えば、図9に別例1の構成を示す。別例1の頭部装着型撮像装置71は、視線撮像ユニット76と照明装置7とが、連結部材5の摺動部13に夫々独立して傾動可能とするように連結されている。すなわち、照明装置7は、照明支持部17が、連結部材5の摺動部13に左右方向の第一支軸77を介して枢支されており、該第一支軸77を中心として摺動部13に対して傾動可能である。視線撮像ユニット76は、案内支持部材21がユニット連結部72を介して前記摺動部13に傾動可能に連結されている。ここで、ユニット連結部72は、摺動部13に前記第一支軸77を介して枢支された第一連結部73と、該第一連結部73に左右方向の第二支軸78を介して枢支された第二連結部74とを備え、該第二連結部74に前記案内支持部材21が固定されている。さらに、視線撮像ユニット76は、案内支持部材21がユニット連結部72の傾動によって前記照明支持部17の上縁に載置可能となっており、該照明支持部17に載置された状態で、第一支軸77を中心として照明装置7と一体的に傾動可能である。この別例1の構成は、図9(A)に示すように、視線撮像ユニット76と照明装置7とを一体的に傾動させることができるため、照明装置7で照らされた対象物を、装着者が視線撮像ユニット76を介して拡大視できる。一方、図9(B)に示すように、視線撮像ユニット76と照明装置7とを別々に傾動させることができるため、視線撮像ユニット76のみを上方へ傾動させれば、照明装置7で照らされた対象物を肉眼で視認することができる。また、別例1の構成にあっても、前述した実施例と同様の作用効果を奏し得る。尚、かかる別例1の構成は、視線撮像ユニット76と照明装置7とを個別に傾動可能とした構成以外を、前述した実施例と同じとするものであるから、同じ構成要素には同じ符号を記し、その説明を省略した。
【0052】
前述した実施例では、視線撮像ユニットが左右の視線撮像本体を左右に独立して位置変換可能な構成としたが、これに限らず、視線撮像ユニットの構成は適宜変更可能である。例えば、図10に別例2の頭部装着型撮像装置81を示す。別例2の構成は、装着者の頭部に装着されるヘッドベルト部82と、該ヘッドベルト部82に連結部材84を介して取り付けられた視線撮像ユニット86とを備える。連結部材84は、複数の可動部85が相互に傾動可能に連結されたものであり、先端側の可動部85に照明装置87が連結されており、該照明装置87に前記視線撮像ユニット86が傾動可能に連結されている。視線撮像ユニット86は、左右の視線を夫々内方へ屈折させる左右一対の第一屈折部材91,91と、該第一屈折部材91,91で屈折された左右の視線を夫々前方へ屈折させる左右一対の第二屈折部材92,92と、該第二屈折部材92,92で屈折された左右の視線を夫々前方へ通過させる左右一対のプリズム33,33とを備え、第一屈折部材91,91と第二屈折部材92,92とが第一筐体部88の内部に配設され、第一筐体部88の前方に配設された第二筐体部89の内部にプリズム33,33が配設されている。そして、第二筐体部89の前面部に、平板状の拡大鏡90が配設されている。ここで、左右のプリズム33,33は、前述の実施例と同様のものであり、左右対称に配置される。さらに、第二筐体部89の右側には、カメラ筐体部94が連結筒部95を介して設けられており、カメラ筐体部94の内部にカメラ部材34のカメラ本体部51が左右方向へ移動可能に配設されると共に、連結筒部95の内部に該カメラ部材34の鏡筒部52が移動不能に配設されている。そして、カメラ本体部51と鏡筒部52とを左右方向へ相対移動させる操作板部55が設けられている。このカメラ部材34を配設されたカメラ筐体部94と連結筒部95とは、前述した実施例と同様の構成であり、操作板部55の操作によって、鏡筒部52に対してカメラ本体部51が左右方向へ移動してピント調整できる。こうした別例2の構成は、第一屈折部材91,91と第二屈折部材92,92とにより左右の視線の輻輳角を縮小して、対象物を拡大視できる。かかる構成にあっても、前述した実施例と同様に、右側の視線にカメラ部材34の光軸を一致できると共に、画角を変化させずに該カメラ部材34のピント調整を行うことができる。
【符号の説明】
【0053】
1,71,81 頭部装着型撮像装置
2 保護メガネ(頭部装着部)
33 プリズム(視線通過部材)
34 カメラ部材(撮像手段)
52 鏡筒部(レンズ部材)
55 操作板部(相対距離変更手段)
61 画像表示装置
82 ヘッドベルト部(頭部装着部)
P 光軸
S1,S2 視線
【要約】
【課題】撮像手段で撮像された画像を見る者に、撮像手段のピント調整によって装着者と異なる印象を生じさせてしまうことを抑制し得る頭部装着型撮像装置を提案する。
【解決手段】装着者の視線を前方へ通過させるプリズム33と、プリズム33に隣接配置されたカメラ部材34とを備え、カメラ部材34の光軸をプリズム33で屈折させることによって装着者の視線と一致できるものであって、カメラ部材34は、撮像素子を有するカメラ本体部51と、プリズム33に対向配置されたレンズを有する鏡筒部52と、レンズと撮像素子との相対距離を光軸に沿って変更操作可能な操作板部55とを備え、鏡筒部52がプリズム33に対して移動不能に設けられた構成である。かかる構成は、レンズとプリズム33との距離が一定に保たれることから、画角を変化させること無くピント調整できる。
【選択図】図6
図1
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