(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】通信システム、制御装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
G08C 15/06 20060101AFI20240509BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20240509BHJP
F16T 1/48 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G08C15/06 F
G08C15/00 E
F16T1/48 Z
(21)【出願番号】P 2024018267
(22)【出願日】2024-02-09
【審査請求日】2024-02-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】110004303
【氏名又は名称】弁理士法人三協国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-124141(JP,A)
【文献】特開2022-124142(JP,A)
【文献】特開2007-235344(JP,A)
【文献】特開2005-348186(JP,A)
【文献】特開2008-182385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00 - 25/04
F16T 1/48
H04Q 9/00 - 9/16
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチームトラップに設置され、前記スチームトラップの作動状態を示す測定データを送信する測定装置と、前記測定装置及びサーバと通信可能な中継装置と、所定の地域の標準時刻を計時する時刻サーバ及び前記中継装置と通信可能な制御装置と、を備える通信システムであって、
前記制御装置が有する第1コンピュータは、
前記中継装置への電力の供給及び遮断を制御し、
前記中継装置への電力の供給を開始した直後に、前記制御装置における現在時刻である第1時刻を前記標準時刻と一致するように補正して、補正後の前記第1時刻を示す第1情報を前記中継装置に送信し、
前記中継装置が有する第2コンピュータは、
前記制御装置から受信した前記第1情報が示す前記第1時刻を、前記中継装置における現在時刻である第2時刻として設定し、
前記測定装置から受信した前記測定データを前記サーバに転送し、
前記測定装置が有する第3コンピュータは、
前記測定装置における現在時刻である第3時刻と前記第2時刻とに差異がある場合、前記第3時刻を前記第2時刻と一致するように補正する、
通信システム。
【請求項2】
前記第1コンピュータは、
前記中継装置への電力の供給を開始した時点から所定時間が経過したときに、前記中継装置への電力の供給を遮断する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第3コンピュータは、前記測定データと共に前記第3時刻を示す第2情報を前記中継装置に送信し、
前記第2コンピュータは、更に、前記第2情報を受信した場合に前記第2情報が示す前記第3時刻と前記第2時刻とに差異があるときは、前記第2時刻を示す第3情報を返信し、
前記第3コンピュータは、前記第3情報を受信した場合、前記第3時刻を前記第3情報が示す前記第2時刻と一致するように補正する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記測定装置及び前記中継装置は、
フラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信部を備え、
前記第3コンピュータは、前記測定データの送信の開始時点から所定時間経過した後に、前記測定装置をスリープ状態にする、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記スチームトラップの作動状態は、前記スチームトラップの温度及び振動である、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
スチームトラップに設置され、前記スチームトラップの作動状態を示す測定データを送信する測定装置及びサーバと通信可能な中継装置と所定の地域の標準時刻を計時する時刻サーバと通信可能な制御装置であって、
前記中継装置は、前記制御装置から受信した第1情報が示す第1時刻を、前記中継装置における現在時刻である第2時刻として設定し、前記測定装置から受信した前記測定データを前記サーバに転送し、
前記中継装置への電力の供給及び遮断を制御する給電制御部と、
前記中継装置への電力の供給を開始した直後に、前記制御装置における現在時刻を前記標準時刻と一致するように補正して、補正後の前記制御装置における現在時刻を示す情報を、前記第1情報として前記中継装置に送信する補正部と、
を備える制御装置。
【請求項7】
スチームトラップに設置され、前記スチームトラップの作動状態を示す測定データを送信する測定装置と、前記測定装置及びサーバと通信可能な中継装置と、所定の地域の標準時刻を計時する時刻サーバ及び前記中継装置と通信可能な制御装置と、を備える通信システムにおける通信方法であって、
前記制御装置が有する第1コンピュータは、
前記中継装置への電力の供給及び遮断を制御し、
前記中継装置への電力の供給を開始した直後に、前記制御装置における現在時刻である第1時刻を前記標準時刻と一致するように補正して、補正後の前記第1時刻を示す第1情報を前記中継装置に送信し、
前記中継装置が有する第2コンピュータは、
前記制御装置から受信した前記第1情報が示す前記第1時刻を、前記中継装置における現在時刻である第2時刻として設定し、
前記測定装置から受信した前記測定データを前記サーバに転送し、
前記測定装置が有する第3コンピュータは、
前記測定装置における現在時刻である第3時刻と前記第2時刻とに差異がある場合、前記第3時刻を前記第2時刻と一致するように補正する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームトラップの作動状態の測定データを送信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気配管系を備えたプラント等においては、熱交換又は放熱等によって配管系内に復水(ドレン)が生じることがある。この復水を配管系内に滞留させると運転効率が低下する原因となる。このため、一般には、配管系の適所にスチームトラップを設置し、このスチームトラップによって復水を配管系の外部に排出するようにしている。
【0003】
経年劣化又は作動不良等によってスチームトラップのシール性能が損なわれると、蒸気配管系内の蒸気がスチームトラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招くこととなる。このため、定期的に、下記特許文献1等に開示のような検査器を用いて、スチームトラップの温度及び振動を測定し、これらの測定データと、閾値等の必要情報とに基づいて、各スチームトラップの作動状態を診断する作業が行われる。
【0004】
しかし、大規模なプラントでは数千個から数万個のスチームトラップが設置されている場合がある。この場合、作業者による手作業での各スチームトラップの作動状態の診断には多大な時間を要する。このため、複数のスチームトラップの作動状態を自動的に診断する通信システムを採用する施設も存在する。
【0005】
具体的には、上記の通信システムでは、各スチームトラップに測定装置が常設され、当該測定装置が各スチームトラップの作動状態を測定する。近距離間に設置された複数の測定装置はグループ化され、各グループに属する複数の測定装置及びサーバと通信可能な中継装置(親機、ルーター)が更に設けられる。そして、各グループに属する複数の測定装置は中継装置を介してサーバに測定データを送信し、サーバは受信した測定データを用いて各スチームトラップの作動状態を診断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
しかし、上記の通信システムを構成する各測定装置及び中継装置における現在時刻を計時する回路の性能にはばらつきがある。このため、測定装置における現在時刻と中継装置における現在時刻とに差異が生じ、この差異が日々蓄積されることにより、中継装置において所定時刻に測定装置から受信する予定の測定データを受信できないことがある。同様に、中継装置における現在時刻とサーバにおける現在時刻とに差異が生じ、この差異が日々蓄積されることにより、サーバにおいて所定時刻に中継装置から受信する予定の測定データを受信できないこともある。
【0008】
また、電力を節約するため、複数の測定装置が測定データを送信する時間帯以外は中継装置への電力の供給を遮断することが好ましいが、この場合、中継装置への電力の供給を開始する度に、中継装置における現在時刻の初期設定を行う手間が必要になる。
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、電力を節約し且つ効率よく、スチームトラップの作動状態を示す測定データを適切なタイミングでサーバに送信することができる、通信システム、制御装置及び中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の一態様に係る通信システムは、スチームトラップに設置され、前記スチームトラップの作動状態を示す測定データを送信する測定装置と、前記測定装置及びサーバと通信可能な中継装置と、所定の地域の標準時刻を計時する時刻サーバ及び前記中継装置と通信可能な制御装置と、を備える通信システムであって、前記制御装置が有する第1コンピュータは、前記中継装置への電力の供給及び遮断を制御し、前記中継装置への電力の供給を開始した直後に、前記制御装置における現在時刻である第1時刻を前記標準時刻と一致するように補正して、補正後の前記第1時刻を示す第1情報を前記中継装置に送信し、前記中継装置が有する第2コンピュータは、前記制御装置から受信した前記第1情報が示す前記第1時刻を、前記中継装置における現在時刻である第2時刻として設定し、前記測定装置から受信した前記測定データを前記サーバに転送し、前記測定装置が有する第3コンピュータは、前記測定装置における現在時刻である第3時刻と前記第2時刻とに差異がある場合、前記第3時刻を前記第2時刻と一致するように補正する。
【0011】
本態様では、制御装置が有する第1コンピュータによって、中継装置への電力の供給及び遮断が制御される。このため、中継装置が測定装置から測定データを受信し、受信した測定データをサーバに転送することが予定されている時間以外は、中継装置への電力の供給を遮断し、中継装置において消費電力を節約することができる。
【0012】
また、本態様では、中継装置への電力の供給が開始された直後に、標準時刻と一致するように補正された制御装置における現在時刻である第1時刻が、中継装置における現在時刻である第2時刻として設定される。このため、中継装置への電力の供給が開始される度に、第2時刻を初期設定する手間を削減することができる。
【0013】
また、本態様では、測定装置における現在時刻である第3時刻と前記第2時刻とに差異がある場合、前記第3時刻が前記第2時刻と一致するように補正される。つまり、本態様では、中継装置及び測定装置のそれぞれにおける現在時刻が標準時刻と一致するように補正される。このため、スチームトラップの作動状態を示す測定データを、測定装置から中継装置を介して適切なタイミングでサーバに送信することができる。
【0014】
(2)上記(1)に記載の通信システムにおいて、前記第1コンピュータは、前記中継装置への電力の供給を開始した時点から所定時間が経過したときに、前記中継装置への電力の供給を遮断してもよい。
【0015】
本態様によれば、中継装置へ電力が供給される時間を所定時間の間だけに制限することができる。これにより、中継装置において消費電力を節約することができる。
【0016】
(3)上記(1)に記載の通信システムにおいて、前記第3コンピュータは、前記測定データと共に前記第3時刻を示す第2情報を前記中継装置に送信し、前記第2コンピュータは、更に、前記第2情報を受信した場合に前記第2情報が示す前記第3時刻と前記第2時刻とに差異があるときは、前記第2時刻を示す第3情報を返信し、前記第3コンピュータは、前記第3情報を受信した場合、前記第3時刻を前記第3情報が示す前記第2時刻と一致するように補正してもよい。
【0017】
本態様では、測定データと共に送信された第2情報が示す第3時刻と第2時刻とに差異がある場合に、第3時刻が、第3情報が示す第2時刻と一致するように補正される。このため、測定装置における現在時刻である第3時刻を、中継装置における現在時刻である第2時刻と同時刻に補正することができる。
【0018】
(4)上記(1)に記載の通信システムにおいて、前記測定装置及び前記中継装置は、フラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信部を備え、前記第3コンピュータは、前記測定データの送信の開始時点から所定時間経過した後に、前記測定装置をスリープ状態にしてもよい。
【0019】
本態様によれば、測定装置は、測定データの送信の開始時点から所定時間経過した後は、スリープ状態となる。このため、測定装置の通信部がリレー機能において、他の測定装置から転送される測定データを受信し、転送するために必要な電力を、所定時間の間だけに制限することができる。これにより、測定装置において消費電力を節約することができる。
【0020】
(5)上記(1)に記載の通信システムにおいて、前記スチームトラップの作動状態は、前記スチームトラップの温度及び振動であってもよい。
【0021】
本態様によれば、スチームトラップの温度及び振動を示す測定データが中継装置を介してサーバに送信される。これにより、サーバでは、例えば、測定データに含まれるスチームトラップの温度及び振動に基づき、当該スチームトラップの作動状態を適切に診断することができる。
【0022】
(6)本発明の別の一態様に係る制御装置は、スチームトラップに設置され、前記スチームトラップの作動状態を示す測定データを送信する測定装置及びサーバと通信可能な中継装置と所定の地域の標準時刻を計時する時刻サーバと通信可能な制御装置であって、前記中継装置は、前記制御装置から受信した第1情報が示す第1時刻を、前記中継装置における現在時刻である第2時刻として設定し、前記測定装置から受信した前記測定データを前記サーバに転送し、前記中継装置への電力の供給及び遮断を制御する給電制御部と、前記中継装置への電力の供給を開始した直後に、前記制御装置における現在時刻を前記標準時刻と一致するように補正して、補正後の前記制御装置における現在時刻を示す情報を、前記第1情報として前記中継装置に送信する補正部と、を備える。
【0023】
本態様によれば、上記(1)に記載の通信システムと同様の作用効果が得られる。
【0024】
(7)本発明の別の一態様に係る通信方法は、スチームトラップに設置され、前記スチームトラップの作動状態を示す測定データを送信する測定装置と、前記測定装置及びサーバと通信可能な中継装置と、所定の地域の標準時刻を計時する時刻サーバ及び前記中継装置と通信可能な制御装置と、を備える通信システムにおける通信方法であって、前記制御装置が有する第1コンピュータは、前記中継装置への電力の供給及び遮断を制御し、前記中継装置への電力の供給を開始した直後に、前記制御装置における現在時刻である第1時刻を前記標準時刻と一致するように補正して、補正後の前記第1時刻を示す第1情報を前記中継装置に送信し、前記中継装置が有する第2コンピュータは、前記制御装置から受信した前記第1情報が示す前記第1時刻を、前記中継装置における現在時刻である第2時刻として設定し、前記測定装置から受信した前記測定データを前記サーバに転送し、前記測定装置が有する第3コンピュータは、前記測定装置における現在時刻である第3時刻と前記第2時刻とに差異がある場合、前記第3時刻を前記第2時刻と一致するように補正する。
【0025】
本態様によれば、上記(1)に記載の通信システムと同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電力を節約し且つ効率よく、スチームトラップの作動状態を示す測定データを適切なタイミングでサーバに送信することができる、通信システム、制御装置及び中継装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図5】中継装置の起動停止処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】測定データの送受信処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。尚、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0029】
<システムの構成>
図1は、通信システム100の全体構成を示す図である。通信システム100は、複数の測定装置1と、中継装置2と、制御装置4と、サーバ5と、を備えている。
【0030】
複数の測定装置1及び中継装置2は、Bluetooth(登録商標) Mesh等の近距離無線通信を行う機能を備え、所謂フラッド型ネットワークを構成している。
【0031】
複数の測定装置1は、蒸気配管系を備えたプラント等の配管系の適所に設置された複数のスチームトラップのそれぞれに常設(設置)されている。各測定装置1は、設置先のスチームトラップの作動状態を測定する。各測定装置1は、測定した作動状態を示す測定データと、送信先の装置を示す情報(以降、宛先情報)と、送信元の装置を示す情報(以降、送信元情報)等を含むパケットを、フラッド型ネットワークのリレー機能を用いて、一以上の測定装置1を介して又は介さずに中継装置2まで転送する。
【0032】
フラッド型メッシュネットワークとは、洪水型メッシュネットワークとも呼ばれ、メッシュ状に配置された各装置(以降、ノード)が、洪水のようにデータを逐次他のノードに伝達するネットワークである。具体的には、フラッド型メッシュネットワークに属する各ノードは、リレー機能を有している。リレー機能とは、送信対象のデータと宛先情報とを含むパケットをブロードキャストし、更に、他のノードがブロードキャストしたパケットを受信し、当該受信したパケットを更にブロードキャスト(転送)する機能である。
【0033】
尚、キャッチボールのように、特定の複数のノード間でパケットの送受信が繰り返されると、パケットが宛先まで到達しない。これを回避するため、リレー機能では、一度受信したパケットは一時的に記憶(キャッシュ)される。また、リレー機能では、当該記憶されているパケットと同じパケットが受信された場合、その受信されたパケットは、ブロードキャストされずに破棄される。
【0034】
例えば、
図1の実線太矢印部は、左下端の測定装置1が、フラッド型メッシュネットワークのリレー機能を用いて、中継装置2にパケットを送信した場合に、左下端の測定装置1から送信されたパケットが、複数のノードでブロードキャストされ、中継装置2まで伝達される例を示している。また、
図1の破線太矢印部は、中継装置2が、フラッド型メッシュネットワークのリレー機能を用いて、左下端の測定装置1にパケットを送信した場合に、中継装置2から送信されたパケットが、複数のノードでブロードキャストされ、左下端の測定装置1まで伝達される例を示している。
【0035】
制御装置4は、中継装置2と電力ケーブル49を用いて接続され、中継装置2への電力の供給及び遮断を制御する。また、制御装置4は、時刻補正機能を有する。時刻補正機能とは、ネットワーク9を介して、複数の測定装置1及び中継装置2が存在する地域(所定の地域)の標準時刻を計時する、NTP(Network Time Protocol)サーバ等の時刻サーバ3と通信することで、制御装置4における現在時刻(第1時刻)と標準時刻とが一致するように、制御装置4における現在時刻を補正する機能である。ネットワーク9は、例えば、インターネット、LAN又は携帯電話網等である。制御装置4は、例えば、パソコン等の情報処理装置によって構成される。
【0036】
中継装置2は、制御装置4による制御の下、電力ケーブル49を介して電力が供給されている間、複数の測定装置1のそれぞれから受信したパケットを、ネットワーク9を介してサーバ5へ転送する。
【0037】
サーバ5は、中継装置2から受信したパケットに含まれる測定データ等に基づき、各測定装置1の設置先のスチームトラップの作動状態を診断する。また、サーバ5は、各測定装置1の設置先のスチームトラップの識別情報と、当該診断の結果を示す診断データと、当該診断に用いられた測定データと、を対応付けて記憶することで、複数のスチームトラップの作動状態を管理する。
【0038】
次に、制御装置4の構成について詳述する。
図2は、制御装置4の構成を示すブロック図である。制御装置4は、電源部40、操作部41、表示部42、通信部43、記憶部44及び制御部45(第1コンピュータ)を備えている。
【0039】
電源部40は、商用電力を所定レベルの直流電圧に変換する電源回路により構成され、制御装置4の各部に電力を供給する。また、電源部40は、後述の給電制御部451による制御の下、電力ケーブル49を介して中継装置2に電力を供給する。
【0040】
操作部41は、ユーザが各種の情報を入力するためのキーボード又はマウス等を用いて構成されている。表示部42は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成されている。但し、タッチパネル式ディスプレイを使用することにより、操作部41と表示部42とが一体的に構成されてもよい。尚、制御装置4は、操作部41及び表示部42を備えない簡素化した構成であってもよい。通信部43は、ネットワーク9を介して中継装置2及び時刻サーバ3等の外部装置と通信を行う通信回路を用いて構成されている。記憶部44は、HDD、SSD又はフラッシュメモリ等の書き換え可能な任意の記憶装置を用いて構成されている。
【0041】
制御部45は、CPU、メモリ及び水晶発振器等を備えたマイクロコンピュータにより構成されている。制御部45は、計時部450を有している。また、制御部45は、CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、給電制御部451及び補正部452を有している。
【0042】
計時部450は、水晶発振器、メモリ及び演算回路によって構成され、制御装置4における現在時刻(第1時刻)を計時する。具体的には、計時部450は、演算回路によって、水晶発振器から所定周期で出力されるクロック信号の数をカウントする。計時部450は、演算回路によって、当該カウントした数とクロック信号の周期との積を、制御部45が備えるメモリに記憶されている現在時刻に加算することで、当該現在時刻を更新する。
【0043】
給電制御部451は、中継装置2への電力の供給及び遮断を制御する。具体的には、給電制御部451は、所定の起動時刻(例えば、13時)になると、電源部40を制御して、電力ケーブル49を介して中継装置2への電力の供給を開始する。給電制御部451は、所定の起動時刻(例えば、13時)から所定時間(例えば、1分)が経過したときに、電源部40を制御して、中継装置2への電力の供給を遮断する。起動時刻及び所定時間は、例えば、ユーザによる操作部41の操作によって入力される。起動時刻及び所定時間は、これに限らず、通信部43が外部装置から受信した情報に含まれていてもよい。
【0044】
尚、所定時間は、例えば、測定装置1が、設置先のスチームトラップの作動状態の測定を開始してから、測定データを含むパケットが中継装置2に送信され、中継装置2によって転送されたパケットがサーバ5に到達するまでに要すると考えられる時間よりも長い時間に定めることができる。
【0045】
補正部452は、計時部450が計時する現在時刻を、時刻サーバ3が計時する標準時刻と一致するように補正する。これにより、制御装置4が有する時刻補正機能が実現されている。
【0046】
具体的には、補正部452は、通信部43を制御して、ネットワーク9を介して時刻サーバ3と通信を行うことにより、時刻サーバ3が計時する標準時刻を取得する。補正部452は、時刻サーバ3から取得した標準時刻によって、制御部45が備えるメモリに記憶されている現在時刻を書き換える。
【0047】
次に、測定装置1の構成について詳述する。
図3は、測定装置1の構成を示すブロック図である。測定装置1は、温度センサ11、振動センサ12、電源部13、通信部14及び制御部15(第3コンピュータ)を備えている。
【0048】
温度センサ11は、熱電対、増幅回路及びAD変換回路等を用いて構成されている。温度センサ11は、設置先のスチームトラップ(以降、対象スチームトラップ)の入口部(一次側)等に設置され、対象スチームトラップの温度を測定し、その測定結果を示す温度データを制御部15に出力する。
【0049】
振動センサ12は、圧電素子、増幅回路、及びAD変換回路等を用いて構成されている。振動センサ12は、対象スチームトラップの排出部(二次側)等に設置され、対象スチームトラップの振動を測定し、その測定結果を示す振動データを制御部15に出力する。
【0050】
電源部13は、リチウムイオン等の二次電池によって構成されている。電源部13は、測定装置1内の各部に電力を供給する。
【0051】
通信部14は、Bluetooth(登録商標) Mesh ネットワーク等のフラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信回路を用いて構成されている。通信部14は、制御部15による制御の下、リレー機能を用いて、指示された送信データを指示された宛先に送信する。
【0052】
具体的には、通信部14が有するリレー機能では、
図1を用いて上述したように、制御部15から指示された送信データと、宛先情報と、を含むデータパケットをブロードキャストする。また、リレー機能では、他の測定装置1の通信部14がブロードキャストしたパケットを受信し、当該受信したパケットを更にブロードキャストする。また、リレー機能は、一度受信したパケットを通信部14に内蔵された不図示のメモリ等に一時的に記憶(キャッシュ)し、当該記憶されたパケットと同じパケットを受信した場合、そのパケットをブロードキャストしないように構成されている。
【0053】
また、通信部14は、他の測定装置1及び中継装置2がフラッド型メッシュネットワークのリレー機能を用いてブロードキャストした、本測定装置1を示す宛先情報を含んだパケットを、一以上の他の測定装置1の通信部14を介して受信する。尚、本測定装置1とは、当該通信部14を備える測定装置1を示す。また、通信部14は、近傍に存在する何れかの測定装置1の通信部14がブロードキャストした、本測定装置1を示す宛先情報を含んだパケットを他の測定装置1を介さずに直接的に受信する。
【0054】
制御部15は、CPU、メモリ及び水晶発振器等を備えたマイクロコンピュータにより構成されている。制御部15は、計時部150を有している。また、制御部15は、CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、測定部151、処理部152及び補正部153を有している。
【0055】
計時部150は、水晶発振器、メモリ及び演算回路によって構成され、測定装置1における現在時刻(第3時刻)を計時する。具体的には、計時部150は、演算回路によって、水晶発振器から所定周期で出力されるクロック信号の数をカウントする。計時部150は、演算回路によって、当該カウントした数とクロック信号の周期との積を、制御部15が備えるメモリに記憶されている現在時刻に加算することで、当該現在時刻を更新する。尚、各測定装置1の制御部15が備える水晶発振器及び演算回路の性能にはばらつきがある。このため、複数の測定装置1間で、計時部150が計時する現在時刻にもばらつきが生じ得る。
【0056】
測定部151は、対象スチームトラップの作動状態として、対象スチームトラップの温度及び振動を測定する測定処理を行う。
【0057】
具体的には、測定部151は、測定処理において、対象スチームトラップの温度を温度センサ11に測定させ、温度センサ11が出力した対象スチームトラップの温度を示す温度データを取得する。また、測定部151は、測定処理において、対象スチームトラップの振動を振動センサ12に測定させ、振動センサ12が出力した対象スチームトラップの振動を示す振動データを取得する。尚、測定部151は、これに限らず、測定処理において、対象スチームトラップの温度及び振動のうちの一方だけを、対象スチームトラップの作動状態として測定するようにしてもよい。
【0058】
処理部152は、測定部151に測定処理を行わせ、当該測定処理で測定された対象スチームトラップの作動状態を示す測定データと、計時部150が計時する現在時刻を示す情報(以降、第2情報)と、を含むパケットを、通信部14のリレー機能を用いて、中継装置2に送信する測定送信処理を行う。
【0059】
具体的には、測定送信処理において、処理部152は、測定処理で対象スチームトラップの作動状態として測定された対象スチームトラップの温度及び湿度を示す温度データ及び振動データを取得する。処理部152は、取得した温度データ及び振動データを対象スチームトラップの作動状態を示す測定データとする。
【0060】
処理部152は、当該測定データと、対象スチームトラップの識別情報と、測定処理を実行した日時を示すデータと、中継装置2を示す宛先情報と、本測定装置1を示す送信元情報と、制御部15が備えるメモリに記憶されている現在時刻を示す第2情報と、を含むパケットを、通信部14のリレー機能によってブロードキャストさせる。測定処理を実行した日時とは、測定処理を開始した日時であってもよいし、温度データ及び振動データを共に取得し終えた時点の日時であってもよい。
【0061】
処理部152は、所定の起動時刻(例えば、13時)になると、測定装置1のスリープ状態を解除し、測定送信処理を開始する。処理部152は、測定送信処理の開始時点から所定時間(例えば、10秒)経過した後に、測定装置1をスリープ状態にする。スリープ状態とは、電源部13から温度センサ11、振動センサ12及び通信部14への電力供給が遮断された状態である。
【0062】
補正部153は、通信部14が中継装置2から後述の補正指示パケットを受信した場合、計時部150が計時する現在時刻(第3時刻)を、補正指示パケットに含まれる後述の第3情報が示す、中継装置2における現在時刻(第2時刻)と一致するように補正する。具体的には、補正部153は、制御部15が備えるメモリに記憶されている現在時刻を、第3情報が示す、中継装置2における現在時刻に書き換える。
【0063】
次に、中継装置2の構成について詳述する。
図4は、中継装置2の構成を示すブロック図である。中継装置2は、通信部23及び制御部25(第2コンピュータ)を備えている。
【0064】
通信部23は、通信部14と同様、Bluetooth(登録商標) Mesh ネットワーク等のフラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信回路を用いて構成されている。通信部23は、通信部14と同様、制御部25による制御の下、リレー機能を用いて、指示された送信データを指示された送信先の装置に送信する。
【0065】
また、通信部23は、通信システム100が備える複数の測定装置1のそれぞれが通信部14のリレー機能を用いてブロードキャストした、中継装置2を示す宛先情報を含んだパケットを、一以上の他の測定装置1の通信部14を介して受信する。また、通信部23は、中継装置2の近傍に存在する何れかの測定装置1の通信部14がブロードキャストした、中継装置2を示す宛先情報を含んだパケットを、当該測定装置1とは他の測定装置1を介さずに、直接的に受信する。
【0066】
通信部23は、受信したパケットに含まれる測定データ、対象スチームトラップの識別情報、送信元情報及び第2情報を制御部25に出力する。通信部23は、更に、インターネット、LAN又は携帯電話網等のネットワーク9を介して遠距離通信を行う通信回路を有している。
【0067】
制御部25は、CPU、メモリ及び水晶発振器等を備えたマイクロコンピュータにより構成されている。制御部25は、計時部250を備えている。また、制御部25は、CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、設定部251、指示部252及び転送部253を有している。
【0068】
計時部250は、計時部150と同様、水晶発振器、メモリ及び演算回路によって構成され、中継装置2における現在時刻(第2時刻)を計時する。具体的には、計時部250は、演算回路によって、クロック信号回路から所定周期で出力されるクロック信号の数をカウントする。計時部250は、演算回路によって、当該カウントした数とクロック信号の周期との積を、制御部25が備えるメモリに記憶されている現在時刻に加算することで、当該現在時刻を更新する。
【0069】
設定部251は、中継装置2への電力の供給が開始された直後、通信部23が受信した情報に基づいて、計時部250が計時する、中継装置2における現在時刻の初期値を設定する。
【0070】
指示部252は、各測定装置1から受信したパケットに含まれる第2情報が示す、各測定装置1における現在時刻と、計時部250が計時する中継装置2における現在時刻と、に差異がある場合、計時部250が計時する現在時刻を示す情報(以降、第3情報)を含む補正指示パケットを、通信部23のリレー機能を用いて返信する。
【0071】
例えば、ある測定装置1から受信したパケットに含まれる第2情報が「12時59分50秒」を示し、計時部250が計時する現在時刻が「13時」を示しているとする。この場合、第2情報が示す時刻と計時部250が計時する現在時刻とに「10秒」の差異がある。このため、指示部252は、測定装置1から受信したパケットに含まれる送信元情報が示す測定装置1を示す宛先情報と、計時部250が計時する現在時刻である「13時」を示す第3情報と、を含む補正指示パケットを、通信部23のリレー機能によってブロードキャストさせる。
【0072】
転送部253は、通信部23を制御して、各測定装置1から受信したパケットを、ネットワーク9を介してサーバ5に転送する。
【0073】
次に、制御装置4において行われる中継装置2の起動及び停止処理の流れについて説明する。
図5は、中継装置2の起動及び停止処理の流れを示すフローチャートである。
【0074】
制御装置4において、給電制御部451は、所定の起動時刻(例えば、13時)になると(ステップS11でYES)、中継装置2への電力の供給を開始する(ステップS12)。これにより、中継装置2の各部に電力が供給され、中継装置2は起動する。
【0075】
ステップS12の直後、補正部452は、計時部450が計時する現在時刻を、時刻サーバ3が計時する標準時刻と一致するように補正する(ステップS13)。次に、補正部452は、通信部43を制御して、ステップS13において補正された後の制御装置4における現在時刻を示す第1情報を中継装置2に送信する(ステップS14)。
【0076】
ステップS14の後、給電制御部451は、所定の起動時刻(例えば、13時)から所定時間(例えば、1分)が経過するまで(ステップS15でNO)、待機状態となる。一方、給電制御部451は、所定の起動時刻(例えば、13時)から所定時間(例えば、1分)が経過すると(ステップS15でYES)、通信部43を制御して、中継装置2に対し、中継装置2の動作を停止することを指示する情報(以降、停止指示情報)を送信する(ステップS16)。
【0077】
ステップS16の後、通信部43が中継装置2から後述の遮断許可情報を受信していない場合(ステップS17でNO)、給電制御部451は待機状態となる。一方、給電制御部451は、通信部43が中継装置2から後述の遮断許可情報を受信していた場合(ステップS17でYES)、中継装置2への電力供給を遮断する(ステップS18)。ステップS18の後、ステップS11以降の処理が繰り返される。
【0078】
次に、測定データの送受信処理の流れについて説明する。
図6は、測定データの送受信処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
各測定装置1では、処理部152は、所定の起動時刻(例えば、13時)になると(ステップS101でYES)、電源部13を制御して、測定装置1のスリープ状態を解除する(ステップS102)。具体的には、ステップS102において、処理部152は、電源部13から、温度センサ11、振動センサ12、通信部14に対して電力の供給を開始させることにより、測定装置1のスリープ状態を解除する。これにより、通信部14は、リレー機能を使用可能となり、他の測定装置1の通信部14のリレー機能によってブロードキャストされたパケットを受信可能な状態となる。
【0080】
次に、処理部152は、ステップS103及びステップS104から成る測定送信処理を実行する。具体的には、ステップS103では、処理部152は、測定部151に測定処理を実行させる。
【0081】
次に、ステップS104では、処理部152は、上述のように、ステップS103の測定処理で測定された対象スチームトラップの温度及び振動を示す測定データ、第2情報、本測定装置1を示す送信元情報及び中継装置2を示す宛先情報等を含むパケットを、通信部14のリレー機能を用いて中継装置2に送信する。
【0082】
これにより、複数の測定装置1のそれぞれにおいて、通信部14のリレー機能によって、ステップS103の測定処理で測定された対象スチームトラップの温度及び振動を示す測定データと中継装置2を示す宛先情報とを含むパケットがブロードキャストされる。また、他の測定装置1からパケットが受信され、当該受信されたパケットがブロードキャストされる。その結果、複数の測定装置1のそれぞれからブロードキャストされたパケットに含まれる測定データが、一以上の他の測定装置1を介して又は介さずに中継装置2に送信される。
【0083】
ステップS104の後、ステップS103で測定送信処理が開始された時点から所定時間(例えば、10秒)が経過していない間に(ステップS105でNO)、通信部14が補正指示パケットを受信したとする。尚、測定送信処理を開始された時点とは、ステップS103の測定処理が開始された時点を示す。
【0084】
この場合(ステップS106でYES)、補正部153は、計時部150が計時する現在時刻と、補正指示パケットに含まれる第3情報が示す、中継装置2が計時する現在時刻と、が一致するように、計時部150が計時する現在時刻を補正する(ステップS107)。この場合、ステップS107で補正された現在時刻の下、ステップS103以降の処理が行われる。
【0085】
一方、ステップS104の後、ステップS103で測定送信処理が開始された時点から所定時間が経過していない場合に(ステップS105でNO)、通信部14が補正指示パケットを受信していなければ(ステップS106でNO)、ステップS103以降の処理が行われる。
【0086】
ステップS104の後、ステップS103で測定送信処理が開始された時点から所定時間が経過すると(ステップS105でYES)、処理部152は、測定装置1をスリープ状態にし(ステップS108)、処理を終了する。
【0087】
一方、制御装置4においてステップS13(
図5)が実行され、中継装置2への電力の供給が開始されることにより、中継装置2は起動する。中継装置2が起動した直後に、通信部23が第1情報を受信すると(ステップS201でYES)、設定部251は、計時部250が計時する現在時刻を、当該第1情報が示す制御装置4における現在時刻に設定する(ステップS202)。
【0088】
ここで、通信部23が受信した第1情報が示す制御装置4における現在時刻は、ステップS13(
図5)において、時刻サーバ3が計時する標準時刻と一致するように補正されたものである。このため、ステップS202によって、計時部250が計時する現在時刻は、時刻サーバ3が計時する標準時刻と同時刻に設定される。
【0089】
ステップS202の後、通信部23が各測定装置1によって送信されたパケットを受信した場合(ステップS203でYES)、指示部252は、計時部250が計時する現在時刻(以降、第2時刻)と、当該パケットに含まれる第2情報が示す、計時部150が計時する時刻(以降、第3時刻)と、に差異があるか否かを判定する(ステップS204)。
【0090】
ステップS204において、指示部252が第2時刻と第3時刻とに差異があると判定したとする(ステップS204でNO)。この場合、指示部252は、ステップS203で受信したパケットに含まれる送信元情報が示す測定装置1を示す宛先情報と、第2時刻を示す第3情報と、を含む補正指示パケットを、通信部23のリレー機能を用いて返信する(ステップS205)。
【0091】
一方、ステップS204において、指示部252が第2時刻と第3時刻とに差異がないと判定したとする。この場合(ステップS204でYES)、転送部253は、通信部23を制御して、ステップS203で受信されたパケットをサーバ5に転送する(ステップS206)。
【0092】
ステップS205及びステップS206の後、通信部23が制御装置4から停止指示情報を受信していない場合(ステップS207でNO)、ステップ203以降の処理が行われる。一方、ステップS205及びステップS206の後、通信部23が制御装置4から停止指示情報を受信していた場合(ステップS207でYES)、制御部25は、通信部23を制御して、中継装置2への電力供給を遮断してよい状況であることを示す遮断許可情報を制御装置4へ送信し(ステップS208)、処理を終了する。
【0093】
以上のように、本実施の形態によれば、制御装置4が有する制御部45によって、中継装置2への電力の供給及び遮断が制御される。このため、中継装置2が複数の測定装置1から測定データを受信し、受信した測定データをサーバ5に転送することが予定されている時間以外は、中継装置2への電力の供給を遮断し、中継装置2において消費電力を節約することができる。
【0094】
また、本実施の形態では、中継装置2への電力の供給が開始された直後に、標準時刻と一致するように補正された制御装置4における現在時刻が、中継装置2における現在時刻として設定される。このため、中継装置2への電力の供給が開始される度に、中継装置2における現在時刻を初期設定する手間を削減することができる。
【0095】
また、本実施の形態では、測定装置1における現在時刻と中継装置2における現在時刻とに差異がある場合、これらの現在時刻が一致するように補正される。つまり、本実施の形態では、中継装置2及び測定装置1のそれぞれにおける現在時刻が標準時刻と一致するように補正される。このため、スチームトラップの作動状態を示す測定データを、測定装置1から中継装置2を介して適切なタイミングでサーバ5に送信することができる。
【0096】
上記態様は、本発明に係る実施の形態の例示に過ぎず、本発明を上記態様に限定する趣旨ではない。例えば、以下に示す変形実施形態であってもよい。
【0097】
(1)上記実施の形態では、各測定装置1が備える通信部14がフラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信回路を用いて構成されている例について説明した。しかし、通信部14が、当該通信回路に代えて、インターネット、LAN又は携帯電話網等のネットワーク9を介して遠距離通信を行う通信回路を備えるようにしてもよい。これにより、通信部14と中継装置2とが、上記パケット及び上記補正指示パケットを、ネットワーク9を介して送受信するようにしてもよい。この場合、中継装置2が備える通信部23が、フラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信回路を備えないようにしてもよい。又は、通信部14及び通信部23を、フラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信回路に代えて、ルーティッド型メッシュネットワークの各種機能を有する通信回路を用いて構成してもよい。
【0098】
(2)測定装置1において、ステップS102及びステップS108(
図6)を省略するようにしてもよい。これにより、測定装置1において、常時、通信部23のリレー機能を使用できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 :測定装置
2 :中継装置
3 :時刻サーバ
4 :制御装置
5 :サーバ
14 :通信部
15 :制御部(第3コンピュータ)
23 :通信部
25 :制御部(第2コンピュータ)
45 :制御部(第1コンピュータ)
100 :通信システム
451 :給電制御部
452 :補正部
【要約】
【課題】電力を節約し且つ効率よく、スチームトラップの作動状態を示す測定データを適切なタイミングでサーバに送信する。
【解決手段】測定装置と、測定装置及びサーバと通信可能な中継装置と、標準時刻を計時する時刻サーバ及び中継装置と通信可能な制御装置と、を備え、制御装置の第1コンピュータは、中継装置への電力供給及び遮断を制御し、中継装置への電力供給の開始直後に制御装置における現在時刻である第1時刻を標準時刻と一致するよう補正し、補正後の第1時刻を示す第1情報を中継装置に送信し、中継装置の第2コンピュータは、受信した第1情報が示す第1時刻を中継装置における現在時刻である第2時刻として設定し、測定装置から受信した測定データをサーバに転送し、測定装置の第3コンピュータは、測定装置における現在時刻である第3時刻と第2時刻とに差異がある場合、第3時刻を第2時刻と一致するよう補正する通信システム。
【選択図】
図1