(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】搬送システム、搬送ロボット、管制装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240509BHJP
【FI】
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2020546001
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(86)【国際出願番号】 JP2019035313
(87)【国際公開番号】W WO2020054645
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-03-09
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2018168684
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敬之
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 太一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕志
【合議体】
【審判長】渋谷 善弘
【審判官】刈間 宏信
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-27343(JP,A)
【文献】国際公開第2016/192857(WO,A2)
【文献】平田泰久ほか,「複数移動ロボットによる未知形状物体の協調搬送」,第18回日本ロボット学会学術講演会予稿集, 2000.9.12, Volume 3,p.1025~1026
【文献】山口博明ほか,「5つの車軸と3つのステアリングを有する連結車両システムの制御」,計測自動制御学会論文集,2010.6, Vol.46,No.6,p.317~325
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの搬送ロボットによって搬送対象物を挟み込んだ状態で該搬送対象物を搬送する搬送システムであって、
前記搬送ロボットは、
本体と、
車輪と、
前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、
前記搬送対象物と接触する接触部と、
前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、
を備え、
前記回動機構は、前記本体に取り付けられた軸部と、前記軸部に、
床面に対して経度方向に回動可能に取り付けられるとともに前記接触部が固定されたアームと、を備え、
ハードウェア資源を用いて、
前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、
予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、
を行う、
搬送システム。
【請求項2】
前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理では、現在地の時刻から、任意の時間経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を予測し、
前記ハードウェア資源を用いて、
前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、
予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、前記任意の時間のいずれかの時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、前記任意の時間のいずれかの時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理と、
算出された前記第2搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記第2搬送ロボットの前記駆動部を制御する処理と、
を行う、
請求項1記載の搬送システム。
【請求項3】
前記ハードウェア資源を用いて、
前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、
予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、予測された前記第2搬送ロボットの前記軌道と、に基づいて、前記任意の時間ごとに、前記第1搬送ロボットと前記第2搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の最大値を算出する処理と、
前記任意の時間のうち、算出された前記相対角度の前記最大値が、最小となる時間、又は、予め設定された閾値以下となる最短の時間を決定する処理と、
を行い、
前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理では、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、決定された前記時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、決定された前記時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する、
請求項2記載の搬送システム。
【請求項4】
前記第2搬送ロボットは、前記ハードウェア資源として、各前記処理を行う制御部を備える、
請求項1乃至3のいずれか一に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1搬送ロボットから前記第1搬送ロボットの現在地、向き、及び、前記第1搬送ロボットの前記駆動部の制御量に係る情報を取得する処理を行い、
前記第1搬送ロボットの前記軌道を予測する処理では、取得した、前記第1搬送ロボットの前記現在地、前記向き、及び、前記第1搬送ロボットの前記駆動部の前記制御量に基づいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道を予測する、
請求項4記載の搬送システム。
【請求項6】
前記搬送システムは、前記ハードウェア資源として、前記第1搬送ロボット及び前記第2搬送ロボットを制御する管制装置を備え、
前記管制装置は、各前記処理を行う、
請求項1乃至3のいずれか一に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記搬送システムは、前記第1搬送ロボット及び前記第2搬送ロボットの位置に係る情報を取得するロボット位置取得装置を備え、
前記管制装置は、前記ロボット位置取得装置から前記第1搬送ロボットの現在地及び向きに係る情報を取得するとともに、自身で算出した前記第1搬送ロボットの前記駆動部の制御量に係る情報を取得し、
前記第1搬送ロボットの前記軌道を予測する処理では、取得した、前記第1搬送ロボットの前記現在地、前記向き、及び、前記第1搬送ロボットの前記駆動部の前記制御量に基づいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道を予測する、
請求項6記載の搬送システム。
【請求項8】
他の搬送ロボットと協働することにより、搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送するように構成される搬送ロボットであって、
本体と、
車輪と、
前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、
前記搬送対象物と接触する接触部と、
前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記回動機構は、前記本体に取り付けられた軸部と、前記軸部に、
床面に対して経度方向に回動可能に取り付けられるとともに前記接触部が固定されたアームと、を備え、
前記制御部は、
前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、
予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、
を行う、
搬送ロボット。
【請求項9】
搬送対象物を挟み込み、互いに協働して前記搬送対象物を搬送する2つの搬送ロボットを制御する管制装置であって、
前記搬送ロボットは、
本体と、
車輪と、
前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、
前記搬送対象物と接触する接触部と、
前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、
を備え、
前記回動機構は、前記本体に取り付けられた軸部と、前記軸部に、
床面に対して経度方向に回動可能に取り付けられるとともに前記接触部が固定されたアームと、を備え、
前記管制装置は、
前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、
予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、
を行う、
管制装置。
【請求項10】
搬送対象物を挟み込み、互いに協働して前記搬送対象物を搬送する2つの搬送ロボットを制御する搬送ロボットの制御方法であって、
前記搬送ロボットは、
本体と、
車輪と、
前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、
前記搬送対象物と接触する接触部と、
前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、
を備え、
前記回動機構は、前記本体に取り付けられた軸部と、前記軸部に、
床面に対して経度方向に回動可能に取り付けられるとともに前記接触部が固定されたアームと、を備え、
前記搬送ロボットの制御方法は、
前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測するステップと、
予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測するステップと、
を含み、
各前記ステップは、ハードウェア資源を用いて行われる、
搬送ロボットの制御方法。
【請求項11】
他の搬送ロボットと協働することにより、搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送するように構成される搬送ロボットで実行されるプログラムであって、
前記搬送ロボットは、
本体と、
車輪と、
前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、
前記搬送対象物と接触する接触部と、
前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記回動機構は、前記本体に取り付けられた軸部と、前記軸部に、
床面に対して経度方向に回動可能に取り付けられるとともに前記接触部が固定されたアームと、を備え、
前記プログラムは、
前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、
予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、
を前記制御部に実行させる、
プログラム。
【請求項12】
搬送対象物を挟み込み、互いに協働して前記搬送対象物を搬送する2つの搬送ロボットを制御する管制装置で実行されるプログラムであって、
前記搬送ロボットは、
本体と、
車輪と、
前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、
前記搬送対象物と接触する接触部と、
前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、
を備え、
前記回動機構は、前記本体に取り付けられた軸部と、前記軸部に、
床面に対して経度方向に回動可能に取り付けられるとともに前記接触部が固定されたアームと、を備え、
前記プログラムは、
前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、
予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、
を前記管制装置に実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願についての記載]
本発明は、日本国特許出願:特願2018-168684号(2018年 9月10日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
本発明は、搬送システム、搬送ロボット、管制装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数台の搬送ロボットを協働(協調)させて搬送物を搬送する搬送システムとして、以下のようなものがある。
【0003】
例えば、特許文献1、2の搬送システムでは、複数台の搬送ロボットのそれぞれにターンテーブル(位置誤差吸収機構)を設置し、複数のターンテーブル間を跨ぐように搬送物(荷物)を配置して、搬送物を搬送する構成となっている。
【0004】
また、特許文献3の搬送システムでは、複数台の搬送ロボットのそれぞれにアームとハンドを設け、複数のハンドで搬送物を下から回転自在に支持して、搬送物を搬送する構成となっている。
【0005】
また、特許文献4の搬送システムでは、複数台の搬送ロボットのそれぞれにロボットアームとフックを設け、複数のフックで搬送物を吊り上げて、搬送物を搬送する構成となっている。
【0006】
さらに、特許文献5の搬送システムでは、複数台の搬送ロボットのそれぞれに可動アームと把持機構を設け、複数の把持機構で搬送物を把持して、搬送物を搬送する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6151159号公報
【文献】特許第5588714号公報
【文献】特開2000-42958号公報
【文献】特開2007-111826号公報
【文献】特開2009-6415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下の分析は、本願発明者により与えられる。
【0009】
特許文献1、2の搬送システムでは、搬送物をターンテーブル上に載せ替えるための人手又は載せ替えロボットが必要になる。また、物流業務(搬送業務)においては、移動しやすくするため、荷物を台車(ドーリーを含む)に載せて搬送することが多いが、特許文献1、2の搬送システムでは、荷物を台車に載せたまま、当該台車を搬送することができない。
【0010】
また、特許文献3の搬送システムでは、ハンドで支持できるようにするための支持棒を搬送物に設けておく必要があり、支持棒がない搬送物を搬送することができない。
【0011】
また、特許文献4の搬送システムでは、フックで吊り下げができるようにするためのアイボルトを搬送物に取り付ける必要があり、アイボルトを取り付けることができない搬送物を搬送することができない。
【0012】
さらに、特許文献5の搬送システムでは、把持機構で把持できるようにするための把持部を搬送物に設けておく必要があり、把持部のない搬送物を搬送することができない。
【0013】
物流業務においては、荷主等によって様々な形態(形状、サイズ等)の台車が用いられているが、荷物が載った台車(搬送対象物)を改造しないで、そのまま安定して搬送できるようにしたい。
【0014】
本発明の主な課題は、搬送対象物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物を改造しないでそのまま安定して搬送することに貢献することができる搬送システム、搬送ロボット、管制装置、制御方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の視点に係る搬送システムは、2つの搬送ロボットによって搬送対象物を挟み込んだ状態で該搬送対象物を搬送する搬送システムである。前記搬送ロボットは、本体と、車輪と、前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、を備える。前記回動機構は、前記本体に取り付けられた軸部と、前記軸部に、床面に対して経度方向に回動可能に取り付けられるとともに前記接触部が固定されたアームと、を備える。前記搬送システムでは、ハードウェア資源を用いて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、を行う。
【0016】
第2の視点に係る搬送ロボットは、他の搬送ロボットと協働することにより、搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送するように構成される搬送ロボットである。前記搬送ロボットは、本体と、車輪と、前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、前記駆動部を制御する制御部と、を備える。前記回動機構は、前記本体に取り付けられた軸部と、前記軸部に、床面に対して経度方向に回動可能に取り付けられるとともに前記接触部が固定されたアームと、を備える。前記制御部は、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、を行う。
【0017】
第3の視点に係る管制装置は、搬送対象物を挟み込み、互いに協働して前記搬送対象物を搬送する2つの搬送ロボットを制御する管制装置である。前記搬送ロボットは、本体と、車輪と、前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、を備える。前記回動機構は、前記本体に取り付けられた軸部と、前記軸部に、床面に対して経度方向に回動可能に取り付けられるとともに前記接触部が固定されたアームと、を備える。前記管制装置は、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、を行う。
【0018】
第4の視点に係る搬送ロボットの制御方法は、搬送対象物を挟み込み、互いに協働して前記搬送対象物を搬送する2つの搬送ロボットを制御する搬送ロボットの制御方法である。前記搬送ロボットは、本体と、車輪と、前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、を備える。前記回動機構は、前記本体に取り付けられた軸部と、前記軸部に、床面に対して経度方向に回動可能に取り付けられるとともに前記接触部が固定されたアームと、を備える。前記搬送ロボットの制御方法は、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測するステップと、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測するステップと、を含む。各前記ステップは、ハードウェア資源を用いて行われる。
【0019】
第5の視点に係るプログラムは、他の搬送ロボットと協働することにより、搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送するように構成される搬送ロボットで実行されるプログラムである。前記搬送ロボットは、本体と、車輪と、前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、前記駆動部を制御する制御部と、を備える。前記回動機構は、前記本体に取り付けられた軸部と、前記軸部に、床面に対して経度方向に回動可能に取り付けられるとともに前記接触部が固定されたアームと、を備える。前記プログラムは、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、を前記制御部に実行させる。
【0020】
第6の視点に係るプログラムは、搬送対象物を挟み込み、互いに協働して前記搬送対象物を搬送する2つの搬送ロボットを制御する管制装置で実行されるプログラムである。前記搬送ロボットは、本体と、車輪と、前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、を備える。前記回動機構は、前記本体に取り付けられた軸部と、前記軸部に、床面に対して経度方向に回動可能に取り付けられるとともに前記接触部が固定されたアームと、を備える。前記プログラムは、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、を前記管制装置に実行させる。
【0021】
なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。また、本開示では、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。プログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インタフェースを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させ、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インタフェ-スを介して、外部と交信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェ-ス、及び必要に応じ表示装置を備える。
【発明の効果】
【0022】
前記第1~第6の視点によれば、搬送対象物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物を改造しないでそのまま安定して搬送することに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボットの構成を模式的に示した外観斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボットの回動機構の動作を説明する平面図である。
【
図3】実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。
【
図4】実施形態1に係る搬送システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図5】実施形態1に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態の一例を模式的に示した平面図である。
【
図6】実施形態1に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態の一例を模式的に示した側面図である。
【
図7】実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボットが一軸二輪型ロボットの場合の動き方を説明するための第1のイメージ図である。
【
図8】実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボットが一軸二輪型ロボットの場合の動き方を説明するための第2のイメージ図である。
【
図9】実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットの押し付けを模式的に示したイメージ図である。
【
図10】比較例に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットの押し付け不足の状態を模式的に示したイメージ図である。
【
図11】実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボット間の進行方向の相対角度を小さくするように後続搬送ロボットが移動する状態を模式的に示したイメージ図である。
【
図12】比較例に係る搬送システムにおける搬送ロボット間の進行方向の相対角度が大きい状態を模式的に示したイメージ図である。
【
図13】実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで先導搬送ロボットの軌道よりも外側から押す状態を模式的に示したイメージ図である。
【
図14】比較例に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで先導搬送ロボットの軌道よりも内側から押す状態を模式的に示したイメージ図である。
【
図15】実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで制御周期毎に逐次Δt(>0)後の先導搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合を模式的に示したイメージ図である。
【
図16】実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで制御周期毎に逐次Δt=15秒後の先導搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の後続搬送ロボットと先導搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の経時変化を示したグラフである。
【
図17】実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで制御周期毎に逐次Δt=15秒後の先導搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の後続搬送ロボット及び先導搬送ロボットの重心の軌道を示したグラフである。
【
図18】比較例に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで制御周期毎に逐次Δt=0秒後の先導搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の後続搬送ロボットと先導搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の経時変化を示したグラフである。
【
図19】比較例に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで制御周期毎に逐次Δt=0秒後の先導搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の後続搬送ロボット及び先導搬送ロボットの重心の軌道を示したグラフである。
【
図20】実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで制御周期毎に逐次Δt秒後の先導搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合のΔtを変動させたときの後続搬送ロボットと先導搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の最大値を示したグラフである。
【
図21】実施形態1に係る搬送システムにおける先導搬送ロボットの動作を模式的に示したフローチャートである。
【
図22】実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットの動作を模式的に示したフローチャートである。
【
図23】実施形態2に係る搬送システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図24】実施形態2に係る搬送システムにおける管制装置の構成を模式的に示したブロック図である。
【
図25】実施形態2に係る搬送システムの構成の変形例を模式的に示したブロック図である。
【
図26】実施形態2に係る搬送システムにおける管制装置が先導搬送ロボットを制御するときの動作を模式的に示したフローチャートである。
【
図27】実施形態2に係る搬送システムにおける管制装置が後続搬送ロボットを制御するときの動作を模式的に示したフローチャートである。
【
図28】実施形態3に係る搬送システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図29】情報処理装置の構成を模式的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に説明する本開示では、モード1に係る搬送システム及びその変形モードを適宜選択して組み合わせることができる。
【0025】
前記モード1に係る搬送システムとして、2つの搬送ロボットによって搬送対象物を挟み込んだ状態で該搬送対象物を搬送する搬送システムとすることが可能である。前記搬送ロボットは、本体と、車輪と、前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、を備えることができる。前記搬送システムでは、ハードウェア資源を用いて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、を行うことができる。
【0026】
前記モード1に係る搬送システムの変形モードとして、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理では、現在地の時刻から、任意の時間経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を予測し、前記ハードウェア資源を用いて、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、前記任意の時間のいずれかの時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、前記任意の時間のいずれかの時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理と、算出された前記第2搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記第2搬送ロボットの前記駆動部を制御する処理と、を行うことができる。
【0027】
前記モード1に係る搬送システムの変形モードとして、前記ハードウェア資源を用いて、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、予測された前記第2搬送ロボットの前記軌道と、に基づいて、前記任意の時間ごとに、前記第1搬送ロボットと前記第2搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の最大値を算出する処理と、前記任意の時間のうち、算出された前記相対角度の前記最大値が、最小となる時間、又は、予め設定された閾値以下となる最短の時間を決定する処理と、を行い、前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理では、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、決定された前記時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、決定された前記時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する。
【0028】
前記モード1に係る搬送システムの変形モードとして、前記第1搬送ロボットの前記真後ろの位置は、前記第1搬送ロボットの重心を通る前記第1搬送ロボットの進行方向の仮想線上の位置とすることができる。
【0029】
前記モード1に係る搬送システムの変形モードとして、前記任意の時間は、所定時間差の複数の時間であって、算出された前記相対角度の前記最大値が、最小となる時間以下、又は、予め設定された閾値以下となる最短の時間以下とすることができる。
【0030】
前記モード1に係る搬送システムの変形モードとして、前記第2搬送ロボットは、前記ハードウェア資源として、各前記処理を行う制御部を備えることができる。
【0031】
前記モード1に係る搬送システムの変形モードとして、前記制御部は、前記第1搬送ロボットから前記第1搬送ロボットの現在地、向き、及び、前記第1搬送ロボットの前記駆動部の制御量に係る情報を取得する処理を行い、前記第1搬送ロボットの前記軌道を予測する処理では、取得した、前記第1搬送ロボットの前記現在地、前記向き、及び、前記第1搬送ロボットの前記駆動部の前記制御量に基づいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道を予測することができる。
【0032】
前記モード1に係る搬送システムの変形モードとして、前記搬送システムは、前記ハードウェア資源として、前記第1搬送ロボット及び前記第2搬送ロボットを制御する管制装置を備え、前記管制装置は、各前記処理を行うことができる。
【0033】
前記モード1に係る搬送システムの変形モードとして、前記搬送システムは、前記第1搬送ロボット及び前記第2搬送ロボットの位置に係る情報を取得するロボット位置取得装置を備え、前記管制装置は、前記ロボット位置取得装置から前記第1搬送ロボットの現在地及び向きに係る情報を取得するとともに、自身で算出した前記第1搬送ロボットの前記駆動部の制御量に係る情報を取得し、前記第1搬送ロボットの前記軌道を予測する処理では、取得した、前記第1搬送ロボットの前記現在地、前記向き、及び、前記第1搬送ロボットの前記駆動部の前記制御量に基づいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道を予測することができる。
【0034】
前記モード1に係る搬送システムの変形モードとして、前記第2搬送ロボットの前記駆動部を制御する処理では、前記第2搬送ロボットが前記搬送対象物ごと前記第1ロボットを押しながら移動するように、前記第2搬送ロボットの前記駆動部を制御することができる。
【0035】
前記モード1に係る搬送システムの変形モードとして、各前記処理は、前記第1搬送ロボットがカーブ入口又はその前にきたときに開始され、前記第2搬送ロボットがカーブ出口又はその後にきたときに終了することができる。
【0036】
本開示では、モード2に係る搬送ロボットとして、他の搬送ロボットと協働することにより、搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送するように構成される搬送ロボットとすることが可能である。前記搬送ロボットは、本体と、車輪と、前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、前記駆動部を制御する制御部と、を備えることができる。前記制御部は、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、を行うことができる。
【0037】
本開示では、モード3に係る管制装置として、搬送対象物を挟み込み、互いに協働して前記搬送対象物を搬送する2つの搬送ロボットを制御する管制装置とすることが可能である。前記搬送ロボットは、本体と、車輪と、前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、を備えることができる。前記管制装置は、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、を行うことができる。
【0038】
本開示では、モード4に係る搬送ロボットの制御方法として、搬送対象物を挟み込み、互いに協働して前記搬送対象物を搬送する2つの搬送ロボットを制御する搬送ロボットの制御方法とすることが可能である。前記搬送ロボットは、本体と、車輪と、前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、を備えることができる。前記搬送ロボットの制御方法は、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測するステップと、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測するステップと、を含む。各前記ステップは、ハードウェア資源を用いて行うことができる。
【0039】
本開示では、モード5に係るプログラムとして、他の搬送ロボットと協働することにより、搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送するように構成される搬送ロボットで実行されるプログラムとすることが可能である。前記搬送ロボットは、本体と、車輪と、前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、前記駆動部を制御する制御部と、を備えることができる。前記プログラムは、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、を前記制御部に実行させることができる。
【0040】
本開示では、モード6に係るプログラムとして、搬送対象物を挟み込み、互いに協働して前記搬送対象物を搬送する2つの搬送ロボットを制御する管制装置で実行されるプログラムとすることが可能である。前記搬送ロボットは、本体と、車輪と、前記本体に搭載されるとともに前記車輪を駆動する駆動部と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記本体に対して前記接触部を回動可能にする回動機構と、を備えることができる。前記プログラムは、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向前方に前記接触部が接触するように配された第1搬送ロボットの軌道を予測する処理と、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記2つの搬送ロボットのうち前記搬送対象物の搬送時の進行方向後方に前記接触部が接触するように配された第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押すように、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理と、を前記管制装置に実行させることができる。
【0041】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。また、下記の実施形態は、あくまで例示であり、本発明を限定するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インタフェースも同様である。プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェ-ス、及び必要に応じ表示装置を備え、コンピュータ装置は、通信インタフェ-スを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、交信可能に構成される。
【0042】
[実施形態1]
実施形態1に係る搬送システムについて図面を用いて説明する。
図1は、実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボットの構成を模式的に示した外観斜視図である。
図2は、実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボットの回動機構の動作を説明する平面図である。
図3は、実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。
図4は、実施形態1に係る搬送システムの構成を模式的に示したブロック図である。
図5は、実施形態1に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態の一例を模式的に示した平面図である。
図6は、実施形態1に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態の一例を模式的に示した側面図である。
【0043】
搬送システム1は、一対の搬送ロボット2A、2Bを備えるシステムである(
図4~
図6参照)。
【0044】
搬送ロボット2(2A、2B)は、搬送対象物(
図5、
図6の5に相当)を搬送するに際して、互いに協働(協調)することにより、搬送対象物5を挟み込んだ状態で搬送するロボットである(
図1~
図4参照)。搬送ロボット2(2A、2B)は、互いに無線通信(有線通信でも可)可能に接続することによって、協働する構成となっている。搬送ロボット2(2A、2B)は、駆動用の左右の車輪20、21が実質的に1つの軸上にあり(詳細は
図2を参照して後述する)、かつ、当該車輪20、21の間隔が一定な一軸二輪型ロボットを用いることができる。搬送ロボット2(2A、2B)は、円運動もしくは直進可能である。搬送ロボット2(2A、2B)は、スムーズな搬送のため、停止して旋回しないように構成してもよい。先導搬送ロボット2A(第1搬送ロボット)と後続搬送ロボット2B(第2搬送ロボット)とは、同じ構成としてもよい。搬送ロボット2(2A、2B)は、本体10と、接触部30と、回動機構40と、を有する。
【0045】
本体10は、搬送ロボット2として機能するための基本的な構成部(
図3の11~17、20、21、
図2の22)を有するユニットである(
図1~
図6参照)。本体10は、フレーム11を有し、フレーム11において搬送ロボットとして機能するための各種の構成部(
図3の12~17、20、21、
図2の22)を実装している。
【0046】
フレーム11は、搬送ロボット2として機能するための各種の構成部(
図3の12~17、20、21、
図2の22)を実装するための構造体である(
図1~
図5参照)。フレーム11は、例えば、筐体構造、箱状構造などとすることができる。フレーム11の両側方には、一対の車輪20、21が回転可能に取り付けられている。フレーム11の底面には、キャスタ22が取り付けられている。
【0047】
駆動部12、13は、対応する車輪20、21を駆動する機能部である(
図3、
図4参照)。駆動部12、13として、例えば、モータ、減速機、ドライバ、各種のセンサ(電流センサ、トルクセンサ、位置センサ等)、レギュレータ等を含む駆動ユニットを用いることができる。駆動部12、13は、フレーム11に取り付けられている。駆動部12の回転動力は、シャフト14を介して車輪20に伝達可能である。駆動部13の回転動力は、シャフト15を介して車輪21に伝達可能である。
【0048】
シャフト14、15は、対応する駆動部12、13の回転動力を、対応する車輪20、21に伝達する軸部材である(
図3、
図4参照)。シャフト14は、駆動部12の出力軸(図示せず)に接続され、フレーム11の外部の一側面に延在している。シャフト14は、フレーム11の外部にて車輪20の軸に取り付けられている。シャフト15は、駆動部13の出力軸(図示せず)に接続され、フレーム11の外部の他側面(一側面の反対側)に延在している。シャフト15は、フレーム11の外部にて車輪21の軸に取り付けられている。シャフト14、15は、
図2に一点鎖線で示す想像線(車軸81)上で互いが同軸となるように配されている。なお、シャフト14、15は、車輪20、21が傾くように(キャンバー角を有するように)配されていてもよく、サスペンション、等速ジョイント等を用いて車輪20、21の傾きが変動するように(キャンバー角が変動するように)設計してもよい。
【0049】
制御部16は、他の搬送ロボットと協働することにより、一対の駆動部12、13を制御する機能部である(
図3、
図4参照)。制御部16として、例えば、メモリ、プロセッサ等を含む制御ユニットを用いることができる。この場合、係る制御ユニットは、当該メモリを利用しながら、当該プロセッサにおいてプログラムを実行することにより、制御処理を行う構成であってもよい。制御部16は、駆動部12、13を制御することによって、搬送ロボット2の移動速度及び移動方向を調整することが可能である。制御部16は、フレーム11に取り付けられている。制御部16は、通信部17を介して、他の搬送ロボットと通信可能に接続することができる。
【0050】
制御部16は、先導搬送ロボット2Aとして動作する場合、又は、搬送ロボット2が単独移動する場合、外部(図示せず;例えば、近距離通信可能な情報通信端末、情報処理装置が接続されたネットワーク)から通信部17を通じて目的地(中間目的地、最終目的地を含む)、移動の指示を取得すると、駆動部12、13の制御を開始する。制御部16は、所定時間(例えば、数10ms(ミリ秒))の制御ループで、駆動部12、13を制御する。制御ループにおいて、まず、制御部16は、搬送ロボット2自身の(以下、「自身の」と省略する場合がある)現在地を取得する。ここで、自身の現在地は、外部から通信部17を通じて取得してもよく、駆動部12、13の制御履歴に基づいて自身で算出して取得してもよく、先導搬送ロボット2Aに備えられた位置検出部(図示せず;例えば、GPS(Global Positioning System)受信機、ビーコン受信機等)から取得してもよい。制御部16は、制御ループにおいて、取得した自身の現在地が、入力された目的地(前方に有る直近の目的地)に到達しているか否かを判定する。制御部16は、自身の現在地が目的地に到達していない場合、制御ループにおいて、各駆動部12、13の制御量(例えば、車輪20、21の回転速度)を算出し、算出された制御量に基づいて駆動部12、13を制御し、その後、再び自身の現在地を取得して制御ループを続けることになる。制御部16は、自身の現在地が目的地に到達した場合、自身の現在地が最終目的地に到達しているか否かを判定する。制御部16は、自身の現在地が最終目的地に到達していない場合、目的地を、前方に有る直近の目的地に更新する。制御部16は、自身の現在地が最終目的地に到達した場合、駆動部12、13の制御を停止する。制御部16は、先導搬送ロボット2Aとして動作する場合、自身の現在地(例えば、位置座標)、向き(例えば、進行方向)、左右の車輪20、21の制御量(例えば、回転速度)に係る情報を、通信部17を通じて後続搬送ロボット2Bに送信する。
【0051】
制御部16は、後続搬送ロボット2Bとして動作する場合、後続搬送ロボット2B用のプログラムを実行することにより、先導搬送ロボット軌道算出部16aと、パラメータ決定部16bと、後続搬送ロボット軌道算出部16cと、相対角度算出部16dと、駆動制御部16eと、を実現する(
図4参照)。
【0052】
先導搬送ロボット軌道算出部16aは、先導搬送ロボット2Aの軌道を算出(予測)する処理部である(
図4参照)。先導搬送ロボット軌道算出部16aは、先導搬送ロボット2Aから先導搬送ロボット2Aの現在地(例えば、位置座標)、向き(進行方向)、左右の車輪20、21の制御量(回転速度)に係る最新の情報(先導搬送ロボット2Aに係る最新動作情報)を取得(受信)し、取得した当該情報に基づいて、先導搬送ロボット2Aの軌道を算出(予測)する。なお、先導搬送ロボット2Aからの情報は、先導搬送ロボット軌道算出部16aが先導搬送ロボット2Aに対して要求して取得してもよく、要求することなく先導搬送ロボット2Aから定期的又は自動的に取得してもよい。
【0053】
パラメータ決定部16bは、後続搬送ロボット2Bの軌道を算出するためのパラメータを決定する処理部である(
図4参照)。ここで、パラメータとして、現在地の時刻から任意の時間の経過後の先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最大値が最小となる値φ
minと、前記任意の時間における更新後の時間Δtと、前記任意の時間における更新前の時間Δt′と、を用いることができる。φ
minは、初期値が∞であり、相対角度算出部16dで算出された最新のφがφ
min以下であるときに当該φに更新される。Δtは、初期値が0であり、相対角度算出部16dで算出された最新のφがφ
min以下であるときに最新のΔtに所定値(例えば、1秒)が加算された値に更新される。Δt′は、初期値が0であり、相対角度算出部16dで算出された最新のφが最新のφ
min以下であるときに最新のΔtに更新される。パラメータ決定部16bは、パラメータ(φ
min、Δt、Δt′)の更新を行う。パラメータ決定部16bは、決定(又は更新)された最新のΔtが、予め設定されたt
max以下であるか否かを判定する。パラメータ決定部16bは、相対角度算出部16dで算出された先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最新の最大値φが、決定(又は更新)された最新のφ
min以下であるか否かを判定する。
【0054】
後続搬送ロボット軌道算出部16cは、後続搬送ロボット2Bの軌道を算出(予測)する処理部である(
図4参照)。後続搬送ロボット軌道算出部16cは、先導搬送ロボット軌道算出部16aで算出された先導搬送ロボット2Aの軌道と、パラメータ決定部16bで決定(又は更新)された最新のΔtに基づいて、当該Δt後の先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指して後続搬送ロボット2Bが動いた場合の後続搬送ロボット2Bの軌道を算出(予測)する。後続搬送ロボット軌道算出部16cは、最新のΔtがt
maxより大きい場合に、先導搬送ロボット軌道算出部16aで算出された先導搬送ロボット2Aの軌道と、パラメータ決定部16bで決定(又は更新)された最新のΔt′と、に基づいて、当該Δt′後の先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指して後続搬送ロボット2Bが動いた場合の後続搬送ロボット2Bの軌道を算出(予測)する。
【0055】
相対角度算出部16dは、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度を算出する処理部である(
図4参照)。相対角度算出部16dは、先導搬送ロボット軌道算出部16aで算出された先導搬送ロボット2Aの軌道と、後続搬送ロボット軌道算出部16cで算出された後続搬送ロボット2Bの最新の軌道と、に基づいて、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最大値φを算出(予測)する。
【0056】
駆動制御部16eは、駆動部12、13を制御する処理部である(
図4参照)。駆動制御部16eは、後続搬送ロボット軌道算出部16cで算出された後続搬送ロボット2Bの軌道(Δt′後の先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指して後続搬送ロボット2Bが動いた場合の後続搬送ロボット2Bの軌道)に基づいて、駆動部12、13を制御する。
【0057】
通信部17は、他の搬送ロボットと通信可能にする機能部である(
図3、
図4参照)。通信部17は、他の装置と通信可能な構成であってもよい。
【0058】
車輪20、21は、搬送ロボット2の移動を実現する駆動輪である(
図1~
図6参照)。車輪20は、車輪20の軸心においてシャフト14に固定されている。車輪21は、車輪21の軸心においてシャフト15に固定されている。車輪20、21は、互いに車軸81上で同軸となるように配されている(
図2参照)。なお、車輪20、21は、傾くように(キャンバー角を有するように)配されていてもよく、サスペンション、等速ジョイント等を用いて傾きが変動するように(キャンバー角が変動するように)設計してもよい。
【0059】
キャスタ22は、車輪20、21の補助輪として機能する非駆動輪である(
図2、
図5、
図6参照)。キャスタ22は、進行方向を変更できるように旋回自在に構成されている。
【0060】
接触部30は、搬送対象物5と接触する部分である(
図1、
図2、
図5、
図6参照)。接触部30は、回動機構40のアーム41の一端部に固定されている。アーム41は、アーム41の他端部近傍に設けられた軸部42において回動自在に本体10に支持されている。これにより、接触部30は、
図2の紙面に対して垂直方向に延びる軸部42周りにおいて、
図2に示す矢線A、A’に示す如く、回動機構40のアーム41と共に回動可能である。なお、接触部30の回動方向は、本体10に対して少なくとも経度方向(例えば、水平方向、左右方向)を含み、緯度方向(例えば、鉛直方向、上下方向)を含んでもよい。接触部30は、板部材31を有する。板部材31は、搬送対象物5と接触する面に摩擦部32を有する。板部材31は、回動機構40のアーム41に固定されている。摩擦部32は、搬送対象物5に当接した際の、その搬送対象物5との間に生じる摩擦力を大きくする(
図1参照)。これにより、摩擦部32は、摩擦部32に当接した状態において当該搬送対象物5が相対的に横滑りを起こすことを防止或いは抑制する。摩擦部32には、摩擦係数が高い素材、復元力がある弾性素材(例えば、ゴム)を用いることができる。接触部30は、搬送時において搬送ロボット2が搬送対象物5の進行方向の後続側に配される場合、搬送対象物5を押し付ける部分となり、同じく先導側に配される場合、搬送対象物5を受ける部分となる。接触部30は、
図5では搬送対象物5の幅よりも小さいが、大きくてもよい。
【0061】
回動機構40は、本体10に対して接触部30を回動自在にする機構である(
図1、
図2、
図5、
図6参照)。回動機構40は、本体10のフレーム11の上面に取り付けられた軸部42を有する。軸部42の中心軸は、駆動制御の効率化の観点においては、車軸81における車輪20、21間の車輪間距離Lの中点を通るように設計することが好ましいが(
図2参照)、この設計には限定されない。回動機構40は、軸部42に、経度方向(例えば、水平方向、左右方向)に回動可能に取り付けられたアーム41を有する。アーム41には、接触部30の板部材31が取り付けられている。アーム41は、接触部30を回動させたときに、接触部30を本体10や車輪20、21に抵触しないように設計されている。アーム41は、
図1では1つであるが、間隔をおいて複数あってもよい。回動機構40の回動可能な角度は、特に限定されないが、左右に45°とすることができる。回動機構40は、所定位置(例えば、本体10の正面位置)から回動した状態の接触部を当該所定位置に戻すように復元する復元機構を有してもよい。また、回動機構40は、前記復元機構の振動を減衰する減衰機構を有してもよい。
【0062】
搬送対象物5は、荷物6を載せる台座70に、旋回自在な複数のキャスタ71~74(車輪)を有する台車、ドーリーなどを用いることができる(
図5、
図6参照)。なお、搬送対象物5は、キャスタなどの車輪を有さないもの(例えば、ダンボールなど)であってもよい。
【0063】
次に、実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボットが一軸二輪型ロボットの場合の動き方について図面を用いて説明する。
図7は、実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボットが一軸二輪型ロボットの場合の動き方を説明するための第1のイメージ図である。
図8は、実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボットが一軸二輪型ロボットの場合の動き方を説明するための第2のイメージ図である。
【0064】
図7を参照すると、一軸二輪型ロボットの搬送ロボットが、点oを中心とする回転半径Rの位置で、角速度ωで移動する場合、左右の車輪間距離Lとすると、重心の移動速度v、右車輪の回転速度v
r、左車輪の回転速度v
lは、式1のように表すことができる。また、右車輪の回転速度v
r、左車輪の回転速度v
lは、重心の移動速度vを用いると、式2のように表すことができる。式2から、回転半径R、車輪間距離L、重心の移動速度vがわかれば、右車輪の回転速度v
r、左車輪の回転速度v
lは、一意に決まる。
【0065】
【0066】
[式2]
数式中の「・」は掛け算を表す。以下同じ。
【0067】
図8を参照すると、一軸二輪型ロボットの搬送ロボットの初期位置(0,0)とし、進行方向をx軸とし、回転半径をRとし、一定の角速度ωでτ秒間進むと、搬送ロボットがいる座標(t
x,t
y)は、式3で表すことができる。
【0068】
【0069】
したがって、搬送ロボットを初期位置(0,0)から座標(tx,ty)に円弧を描いて移動させる際、回転中心座標、左車輪の回転速度vl、右車輪の回転速度vrは、式4のように表すことができる。式4に従い車輪を回転させることで、搬送ロボットを目標の座標に向かい円弧を描き移動させることができる。
【0070】
【0071】
次に、実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットの動作について図面を用いて説明する。
図9は、実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットの押し付けを模式的に示したイメージ図である。
図10は、比較例に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットの押し付け不足の状態を模式的に示したイメージ図である。
図11は、実施形態1に係る搬送システムにおける搬送ロボット間の進行方向の相対角度を小さくするように後続搬送ロボットが移動する状態を模式的に示したイメージ図である。
図12は、比較例に係る搬送システムにおける搬送ロボット間の進行方向の相対角度が大きい状態を模式的に示したイメージ図である。
図13は、実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで先導搬送ロボットの軌道よりも外側から押す状態を模式的に示したイメージ図である。
図14は、比較例に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで先導搬送ロボットの軌道よりも内側から押す状態を模式的に示したイメージ図である。
図15は、実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで制御周期毎に逐次Δt(>0)秒後の先導搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合を模式的に示したイメージ図である。
図16は、実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで制御周期毎に逐次Δt=15秒後の先導搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の後続搬送ロボットと先導搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の経時変化を示したグラフである。
図17は、実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで制御周期毎に逐次Δt=15秒後の先導搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の後続搬送ロボット及び先導搬送ロボットの重心の軌道を示したグラフである。
図18は、比較例に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで制御周期毎に逐次Δt=0秒後の先導搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の後続搬送ロボットと先導搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の経時変化を示したグラフである。
図19は、比較例に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで制御周期毎に逐次Δt=0秒後の先導搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の後続搬送ロボット及び先導搬送ロボットの重心の軌道を示したグラフである。
図20は、実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットがカーブで制御周期毎に逐次Δt秒後の先導搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合のΔtを変動させたときの後続搬送ロボットと先導搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の最大値を示したグラフである。
【0072】
実施形態1では、後続搬送ロボット2Bは、搬送対象物5ごと先導搬送ロボット2Aを押し付けるように移動する(
図9参照)。比較例として、
図10のように、後続搬送ロボット2Bの押し付け不足が発生すると、先導搬送ロボット2Aと搬送対象物5との間に隙間が発生し、搬送対象物5を適切にコントロールできない可能性がある。一方、実施形態1では、
図9のように、後続搬送ロボット2Bが搬送対象物5ごと先導搬送ロボット2Aを押し付けるように移動することで、
図10のような隙間を作らずに移動でき、搬送対象物5を安定して搬送することができる。
【0073】
また、実施形態1では、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度を小さくするように移動する(
図11参照)。なお、ここでは接触部(
図1の30)及び回動機構(
図1の40)の回転角度を近似的に表すものとして、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度を用いている。比較例として、
図12のように、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度が大きくなると、接触部(
図1の30)及び回動機構(
図1の40)の回転角度が大きくなり、後続搬送ロボット2Bが搬送対象物5を押し付けて搬送ロボット2A、2B間で挟む込む力が不足し、搬送対象物5と後続搬送ロボット2Bとの間の摩擦力が不足し、搬送対象物5と搬送ロボット2A、2Bとの間の横滑りが発生し、搬送対象物5を安定して搬送できない可能性がある。一方、実施形態1では、
図11のように、カーブで、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度が小さくなるように移動すると、接触部(
図1の30)及び回動機構(
図1の40)の回転角度が小さくなり、後続搬送ロボット2Bが搬送対象物5を押し付けて挟む込む力を確保することができ、搬送対象物5と後続搬送ロボット2Bとの間の摩擦力を確保することができるようになり、搬送対象物5と搬送ロボット2A、2Bとの間の横滑りを回避して、搬送対象物5を安定して搬送できるようになる。
【0074】
また、実施形態1では、後続搬送ロボット2Bは、カーブで、先導搬送ロボット2Aの軌道82よりも外側から押すように軌道83に沿って移動し、かつ、先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置(仮想線84参照)を目指すように移動する(
図13参照)。比較例として、
図14のように、カーブで、後続搬送ロボット2Bが先導搬送ロボット2Aの軌道85よりも内側から搬送対象物5を押すように軌道86に沿って移動すると、後続搬送ロボット2Bが先導搬送ロボット2Aの動きを阻害し、先導搬送ロボット2Aがカーブを曲がれない可能性がある。一方、実施形態1では、
図13のように先導搬送ロボット2Aの軌道82よりも外側から押すように後続搬送ロボット2Bが移動し、かつ、先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指すように後続搬送ロボット2Bが移動することにより、後続搬送ロボット2Bが先導搬送ロボット2Aの動きを阻害することがなくなり、先導搬送ロボット2Aがカーブを曲がれるようになる。
【0075】
ここで、先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置は、先導搬送ロボット2Aの重心(例えば、回動機構(
図1の40)の軸部(
図1の42)の中心軸)を通る先導搬送ロボット2Aの進行方向の仮想線84上の位置である。
【0076】
また、実施形態1では、後続搬送ロボット2Bは、カーブで、制御周期毎に、逐次、Δt秒(Δt>0、例えば、15秒)後の先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置(
図15の星印の位置)を予測し、予測した位置を目指して移動する(
図15~
図17参照)。比較例として、Δt=0秒とした場合、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度は最大72.1°となり(
図18参照)、直進から円軌道へと進行方向が急激に変わる(
図19参照)。一方、実施形態1では、Δt=15秒とした場合、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度は最大37.2°となり(
図16参照)、直進から円軌道へと進行方向が緩やかに変わる(
図17参照)。
【0077】
さらに、実施形態1では、後続搬送ロボット2Bは、
図15のように制御する際に、Δtを変動させ、各Δtに対し、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度をシミュレーションし、当該相対角度の最大値が、最小となるΔt(=Δt′)、又は、予め設定された閾値以下となる最短のΔt(=Δt′)を決定し(
図20参照)、制御周期毎に、決定されたΔt′秒後の先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指すように移動する。例えば、
図20の例では、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最大値は、Δt=9秒(=Δt′)で最小の37.0°となる。これにより、後続搬送ロボット2Bは直進から円軌道へと進行方向が緩やかに変わる。
【0078】
つまり、実施形態1では、後続搬送ロボット2Bの逐次的な目標座標を、Δt(>0)秒後に先導搬送ロボット2Aが居る位置の真後ろとする。Δtの値に応じ、後続搬送ロボット2Bの軌道が変わるため、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最大値も変動する。そこで、制御周期毎、下記の手順で後続搬送ロボット2Bの逐次的な目標座標を定め、目標座標に向かい後続搬送ロボット2Bを進める。
【0079】
つまり、(1)Δtを変動させ、各Δtに対して、後続搬送ロボット2Bと先導搬送ロボット2Aとの相対角度の最大値を算出する。(2)算出された相対角度の最大値が最小となるΔtをΔt′とする。(3)後続搬送ロボット2Bの目標座標をΔt′後に先導搬送ロボット2Aがいる位置の真後ろとし、後続搬送ロボット2Bを移動する。
【0080】
次に、実施形態1に係る搬送システムにおける先導搬送ロボットの動作について図面を用いて説明する。
図21は、実施形態1に係る搬送システムにおける先導搬送ロボットの動作を模式的に示したフローチャートである。なお、搬送ロボットの構成部については、
図3を参照されたい。
【0081】
まず、先導搬送ロボット2Aの制御部16は、外部(図示せず;例えば、近距離通信可能な情報通信端末、情報処理装置が接続されたネットワーク)から、通信部17を通じて、目的地(中間目的地、最終目的地を含む)に係る情報、及び、移動の指示を取得する(ステップA1)。
【0082】
ステップA1の後、先導搬送ロボット2Aの制御部16は、所定時間(例えば、数10ms)で駆動部12、13の制御ループを開始する(ステップA2~A7)。
【0083】
ステップA1の後、又は、ステップA5の後、若しくは、ステップA7の後、制御ループにおいて、先導搬送ロボット2Aの制御部16は、先導搬送ロボット2A自身の現在地に係る情報(例えば、位置座標)を取得する(ステップA2)。ここで、自身の現在地は、外部から通信部17を通じて取得してもよく、駆動部12、13の制御履歴に基づいて自身で算出して取得してもよく、先導搬送ロボット2Aに備えられた位置検出部(図示せず;例えば、GPS(Global Positioning System)受信機、ビーコン受信機等)から取得してもよい。
【0084】
次に、制御ループにおいて、先導搬送ロボット2Aの制御部16は、取得した自身の現在地が、取得した目的地(前方にある直近の目的地)に到達している(例えば、目的地の所定半径内にある)か否かを判定する(ステップA3)。目的地に到達している場合(ステップA3のYES)、ステップA6に進む。
【0085】
目的地に到達していない場合(ステップA3のNO)、制御ループにおいて、先導搬送ロボット2Aの制御部16は、各駆動部12、13の制御量(例えば、車輪20、21の回転速度)を算出する(ステップA4)。
【0086】
次に、制御ループにおいて、先導搬送ロボット2Aの制御部16は、算出された制御量に基づいて駆動部12、13を制御し(ステップA5)、その後、ステップA2に戻る。
【0087】
目的地に到達している場合(ステップA3のYES)、制御ループにおいて、先導搬送ロボット2Aの制御部16は、自身の現在地が最終目的地に到達している(例えば、最終目的地の所定半径内にある)か否かを判定する(ステップA6)。最終目的地に到達している場合(ステップA6のYES)、ステップA8に進む。
【0088】
最終目的地に到達していない場合(ステップA6のNO)、制御ループにおいて、先導搬送ロボット2Aの制御部16は、目的地を、前方に有る直近の目的地に更新し(ステップA7)、その後、ステップA2に戻る。
【0089】
最終目的地に到達している場合(ステップA6のYES)、先導搬送ロボット2Aの制御部16は、制御ループから外れ、駆動部12、13の制御を停止し(ステップA8)、その後、終了する。
【0090】
なお、先導搬送ロボット2Aの制御部16は、
図21の動作の中で、後続搬送ロボット2Bからの要求に応じて、又は、定期的又は自動的に、自身の現在地(例えば、位置座標)、向き(例えば、進行方向)、左右の車輪20、21の制御量(例えば、回転速度)に係る最新の情報を、通信部17を通じて後続搬送ロボット2Bに送信する。また、
図21では先導搬送ロボット2Aの動作を説明したが、搬送ロボットが単独で移動する場合にも
図21と同じ動作をするようにしてもよい。
【0091】
次に、実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットの動作について図面を用いて説明する。
図22は、実施形態1に係る搬送システムにおける後続搬送ロボットの動作を模式的に示したフローチャートである。なお、後続搬送ロボット2Bの構成部については、
図4を参照されたい。
【0092】
まず、後続搬送ロボット2Bの先導搬送ロボット軌道算出部16aは、先導搬送ロボット2Aの現在地(例えば、位置座標)、向き(例えば、進行方向)、左右の車輪20、21の駆動部12、13の制御量(例えば、回転速度)に係る最新の情報(先導搬送ロボット2Aに係る最新動作情報)を取得する(ステップB1)。ここで、先導搬送ロボット2Aに係る最新動作情報は、先導搬送ロボット軌道算出部16aが先導搬送ロボット2Aに対して要求して取得してもよく、要求することなく先導搬送ロボット2Aから定期的又は自動的に取得してもよい。
【0093】
次に、後続搬送ロボット2Bの先導搬送ロボット軌道算出部16aは、取得した先導搬送ロボット2Aに係る最新動作情報に基づいて、先導搬送ロボット2Aの軌道(将来の軌道)を算出(予測)する(ステップB2)。
【0094】
次に、後続搬送ロボット2Bのパラメータ決定部16bは、後続搬送ロボット2Bの軌道(将来の軌道)を算出(予測)するためのパラメータの初期値(Δt=0、Δt′=0、φmin=∞)を決定する(ステップB3)。
【0095】
ここで、Δtは、パラメータ決定部16bによって決定又は更新される、先導搬送ロボット2A又は後続搬送ロボット2Bの現在地の時刻からの経過時間である。Δt′は、パラメータ決定部16bによって決定又は更新される、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最大値が、最小となるΔt(先導搬送ロボット2A又は後続搬送ロボット2Bの現在地の時刻からの経過時間)である。φminは、パラメータ決定部16bによって決定又は更新される、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最大値が最小となるときの相対角度である。
【0096】
ステップB3の後、又は、φがφminより大きい場合(ステップB7のNO)、若しくは、ステップB8の後、後続搬送ロボット2Bのパラメータ決定部16bは、最新のΔtが、予め設定されたtmax以下であるか否かを判定する(ステップB4)。Δtがtmaxより大きい場合(ステップB4のNO)、ステップB9に進む。
【0097】
ここでのΔtは、最新のΔtであり、初期値0が最新である場合には初期値0が用いられ、Δtが更新されている場合には更新された最新のΔtが用いられる。
【0098】
Δtがtmax以下である場合(ステップB4のYES)、後続搬送ロボット2Bの後続搬送ロボット軌道算出部16cは、先導搬送ロボット軌道算出部16aで算出された先導搬送ロボット2Aの軌道と、パラメータ決定部16bで決定(又は更新)された最新のΔtと、に基づいて、現在地の時刻からΔt後の先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指して後続搬送ロボット2Bが動いた場合の後続搬送ロボット2Bの軌道(将来の軌道)を算出(予測)する(ステップB5)。ここでは、後続搬送ロボット2Bの軌道として、カーブにおいて、後続搬送ロボット2Bが先導搬送ロボット2Aの軌道の外側から押し、かつ、後続搬送ロボット2Bが先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指すような軌道である。
【0099】
次に、後続搬送ロボット2Bの相対角度算出部16dは、先導搬送ロボット軌道算出部16aで算出された先導搬送ロボット2Aの軌道、及び、後続搬送ロボット軌道算出部16cで算出された後続搬送ロボット2Bの最新の軌道、に基づいて、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最大値φを算出(予測)する(ステップB6)。
【0100】
次に、後続搬送ロボット2Bのパラメータ決定部16bは、相対角度算出部16dで算出された先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最新の最大値φが、決定又は更新された最新のφmin以下であるか否かを判定する(ステップB7)。φがφminより大きい場合(ステップB7のNO)、ステップB4に戻る。
【0101】
ここでのφminは、最新のφminであり、初期値∞が最新である場合には初期値∞が用いられ、φminが更新されている場合には更新された最新のφminが用いられる。
【0102】
φがφmin以下である場合(ステップB7のYES)、後続搬送ロボット2Bのパラメータ決定部16bは、後続搬送ロボット2Bの軌道(将来の軌道)を算出(予測)するためのパラメータ(φmin、Δt′、Δt)の値を更新し(ステップB8)、その後、ステップB4に戻る。
【0103】
つまり、ステップB8では、φminを最新のφnに更新し、Δtを最新のΔtnに所定値(例えば、1秒)を加算した値Δtn+1に更新し、Δt′を最新のΔtnに更新する。例えば、初めての更新では、φmin=φ0、Δt′=Δt0=0、Δt1=Δt0+1=1に更新され、2回目の更新では、φmin=φ1、Δt′=Δt1=1、Δt2=Δt1+1=2に更新され、以下同様に更新される。
【0104】
Δtがtmaxより大きい場合(ステップB4のNO)、後続搬送ロボット2Bの後続搬送ロボット軌道算出部16cは、先導搬送ロボット軌道算出部16aで算出された先導搬送ロボット2Aの軌道と、パラメータ決定部16bで更新された最新のΔt′と、に基づいて、現在地の時刻の当該Δt′後の先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指して後続搬送ロボット2Bが移動する場合の後続搬送ロボット2Bの軌道(将来の軌道)を算出(予測)する(ステップB9)。
【0105】
次に、後続搬送ロボット2Bの駆動制御部16eは、後続搬送ロボット軌道算出部16cで算出された後続搬送ロボット2Bの軌道に沿って動くように駆動部12、13を制御し(ステップB10)、その後、1つの制御ループを終了し、次の制御ループを行うためにスタートに戻る。
【0106】
図22では、カーブか直進かに関係なく制御しているが、カーブ前で制御開始し、かつ、カーブ後で制御終了してもよい。カーブ時に限定して制御することで、時間間隔があるので、ブレを小さくすることができ、計算量や通信量を小さくすることができる。
【0107】
実施形態1によれば、搬送対象物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物を改造しないでそのまま安定して搬送することに貢献することができる。特に、先導搬送ロボット2Aの軌道の外側から搬送対象物5を押すように後続搬送ロボット2Bを制御することで、搬送対象物5を安定して搬送できる。
【0108】
[実施形態2]
実施形態2に係る搬送システムについて図面を用いて説明する。
図23は、実施形態2に係る搬送システムの構成を模式的に示したブロック図である。
図24は、実施形態2に係る搬送システムにおける管制装置の構成を模式的に示したブロック図である。
図25は、実施形態2に係る搬送システムの構成の変形例を模式的に示したブロック図である。
【0109】
実施形態2は、実施形態1の変形例であり、搬送ロボット2A、2Bの駆動部12、13の制御量の算出するための処理(
図21のステップA1~A8、
図22のステップB1~B10に相当)を、搬送ロボット2A、2Bで行う代わりに管制装置3で行うようにし、搬送ロボット2A、2Bの位置(位置情報)を取得するためのロボット位置取得装置4(
図23はでカメラ)を設けたものである。なお、ここでは、管制装置3が搬送ロボット2A、2Bの両方を制御する例を説明しているが、搬送ロボット2A、2Bの一方のみ制御するものであってもよい。
【0110】
搬送ロボット2A、2Bは、搬送対象物(
図5、
図6の5に相当)を搬送するに際して、互いに協働(協調)することにより、搬送対象物5を挟み込んだ状態で搬送するロボットである(
図23、
図24参照)。搬送ロボット2A、2Bには、実施形態1の搬送ロボット(
図1~
図3の2(2A、2B))と同じものを用いることができる。搬送ロボット2A、2Bの制御部16は、自身の駆動部12、13の制御量の算出するための処理(
図21のステップA1~A8、
図22のステップB1~B10に相当)を行わずに、管制装置3で算出された搬送ロボット2A、2Bの駆動部12、13の制御量に係る制御信号を、管制装置3から搬送ロボット2A、2Bの通信部17を通じて受信することで、自身(搬送ロボット2A、2B)の駆動部12、13を制御する。
【0111】
管制装置3は、搬送ロボット2A、2Bを管理及び制御する装置である(
図23、
図24参照)。管制装置3は、通信部57と、制御部56と、を有する。通信部57は、搬送ロボット2A、2Bと通信可能にする機能部である。制御部56は、搬送ロボット2A、2Bを制御する機能部である。制御部56には、例えば、メモリ、プロセッサ等を含むコンピュータ装置を用いることができる。
【0112】
制御部56は、外部(図示せず;例えば、近距離通信可能な情報通信端末、情報処理装置が接続されたネットワーク)から通信部57を通じて目的地(中間目的地、最終目的地を含む)、移動の指示を取得すると、先導搬送ロボット2A(又は単独移動する搬送ロボット2)の制御を開始する。制御部56は、所定時間(例えば、数10ms)の制御ループで、先導搬送ロボット2Aを制御する。制御ループにおいて、まず、制御部56は、ロボット位置取得装置4から通信部57を通じて先導搬送ロボット2Aの現在地を取得する。ここで、先導搬送ロボット2Aの現在地は、ロボット位置取得装置4から取得するだけでなく、先導搬送ロボット2Aの駆動部12、13の制御履歴に基づいて算出して取得してもよく、先導搬送ロボット2Aに備えられた位置検出部18(
図25参照;例えば、GPS(Global Positioning System)受信機、ビーコン受信機等)から制御部56及び通信部57を通じて取得してもよい。制御部56は、制御ループにおいて、取得した先導搬送ロボット2Aの現在地が、入力された目的地(前方に有る直近の目的地)に到達しているか否かを判定する。制御部56は、先導搬送ロボット2Aの現在地が目的地に到達していない場合、制御ループにおいて、先導搬送ロボット2Aの各駆動部12、13の制御量(例えば、車輪20、21の回転速度)を算出し、算出された制御量に基づいて先導搬送ロボット2Aを制御(制御量に係る制御信号を先導搬送ロボット2Aに送信)し、その後、再び先導搬送ロボット2Aの現在地を取得して制御ループを続けることになる。制御部56は、先導搬送ロボット2Aの現在地が目的地に到達した場合、先導搬送ロボット2Aの現在地が最終目的地に到達しているか否かを判定する。制御部56は、先導搬送ロボット2Aの現在地が最終目的地に到達していない場合、目的地を、前方に有る直近の目的地に更新する。制御部56は、先導搬送ロボット2Aの現在地が最終目的地に到達した場合、先導搬送ロボット2Aの制御を停止する。制御部56は、先導搬送ロボット2Aから、先導搬送ロボット2Aの現在地(例えば、位置座標)、向き(例えば、進行方向)、左右の車輪20、21の制御量(例えば、回転速度)に係る情報を、通信部57を通じて取得する。
【0113】
制御部56は、後続搬送ロボット2Bの制御においては、後続搬送ロボット2B用のプログラムを実行することにより、先導搬送ロボット軌道算出部56aと、パラメータ決定部56bと、後続搬送ロボット軌道算出部56cと、相対角度算出部56dと、後続搬送ロボット制御部56eと、を実現する(
図24参照)。
【0114】
先導搬送ロボット軌道算出部56aは、先導搬送ロボット2Aの軌道を算出(予測)する処理部である(
図24参照)。先導搬送ロボット軌道算出部56aは、先導搬送ロボット2Aの現在地(例えば、位置座標)、向き(進行方向)、左右の車輪20、21の制御量(回転速度)に係る最新の情報(先導搬送ロボット2Aに係る最新動作情報)を取得(受信)し、取得した当該最新動作情報に基づいて、先導搬送ロボット2Aの軌道を算出(予測)する。なお、取得する情報は、先導搬送ロボット2Aを制御している管制装置3の制御部56から取得することができるが、先導搬送ロボット2Aやロボット位置取得装置4から取得してもよい。
【0115】
パラメータ決定部56bは、後続搬送ロボット2Bの軌道を算出するためのパラメータを決定する処理部である(
図24参照)。ここで、パラメータとして、現在地の時刻から任意の時間の経過後の先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最大値が最小となる値φ
minと、前記任意の時間における更新後の時間Δtと、前記任意の時間における更新前の時間Δt′と、を用いることができる。φ
minは、初期値が∞であり、相対角度算出部56dで算出された最新のφがφ
min以下であるときに当該φに更新される。Δtは、初期値が0であり、相対角度算出部56dで算出された最新のφがφ
min以下であるときに最新のΔtに所定値(例えば、1秒)が加算された値に更新される。Δt′は、初期値が0であり、相対角度算出部56dで算出された最新のφが最新のφ
min以下であるときに最新のΔtに更新される。パラメータ決定部56bは、パラメータ(φ
min、Δt、Δt′)の更新を行う。パラメータ決定部56bは、決定(又は更新)された最新のΔtが、予め設定されたt
max以下であるか否かを判定する。パラメータ決定部56bは、相対角度算出部56dで算出された先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最新の最大値φが、決定(又は更新)された最新のφ
min以下であるか否かを判定する。
【0116】
後続搬送ロボット軌道算出部56cは、後続搬送ロボット2Bの軌道を算出(予測)する処理部である(
図24参照)。後続搬送ロボット軌道算出部56cは、先導搬送ロボット軌道算出部56aで算出された先導搬送ロボット2Aの軌道と、パラメータ決定部56bで決定(又は更新)された最新のΔtに基づいて、当該Δt後の先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指して後続搬送ロボット2Bが動いた場合の後続搬送ロボット2Bの軌道を算出(予測)する。後続搬送ロボット軌道算出部56cは、最新のΔtがt
maxより大きい場合に、先導搬送ロボット軌道算出部56aで算出された先導搬送ロボット2Aの軌道と、パラメータ決定部56bで決定(又は更新)された最新のΔt′と、に基づいて、当該Δt′後の先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指して後続搬送ロボット2Bが動いた場合の後続搬送ロボット2Bの軌道を算出(予測)する。
【0117】
相対角度算出部56dは、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度を算出する処理部である(
図24参照)。相対角度算出部56dは、先導搬送ロボット軌道算出部56aで算出された先導搬送ロボット2Aの軌道と、後続搬送ロボット軌道算出部56cで算出された後続搬送ロボット2Bの最新の軌道と、に基づいて、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最大値φを算出(予測)する。
【0118】
後続搬送ロボット制御部56eは、後続搬送ロボット2Bを制御する処理部である(
図24参照)。後続搬送ロボット制御部56eは、後続搬送ロボット軌道算出部56cで算出された後続搬送ロボット2Bの軌道(Δt′後の先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指して後続搬送ロボット2Bが動いた場合の後続搬送ロボット2Bの軌道)に基づいて、後続搬送ロボット2Bを制御する。
【0119】
ロボット位置取得装置4は、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bの位置に係る情報(現在地及び向き)を取得する装置である(
図23、
図24参照)。ロボット位置取得装置4は、例えば、カメラを用いて画像処理することで先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bの位置に係る情報を取得することができる。この場合、画像処理は、ロボット位置取得装置4で行う代わりに管制装置3で行ってもよい。ロボット位置取得装置4は、取得した情報を、管制装置3に向けて出力する。
【0120】
次に、実施形態2に係る搬送システムにおける管制装置が先導搬送ロボットを制御するときの動作について図面を用いて説明する。
図26は、実施形態2に係る搬送システムにおける管制装置が先導搬送ロボットを制御するときの動作を模式的に示したフローチャートである。なお、搬送システム1の構成については、
図23、
図24を参照されたい。
【0121】
まず、管制装置3の制御部56は、外部(図示せず;例えば、近距離通信可能な情報通信端末、情報処理装置が接続されたネットワーク)から、通信部57を通じて、目的地(中間目的地、最終目的地を含む)に係る情報、及び、移動の指示を取得する(ステップC1)。
【0122】
ステップC1の後、管制装置3の制御部56は、所定時間(例えば、数10ms)で先導搬送ロボット2Aの制御ループを開始する(ステップC2~C7)。
【0123】
ステップC1の後、又は、ステップC5の後、若しくは、ステップC7の後、制御ループにおいて、管制装置3の制御部56は、先導搬送ロボット2Aの現在地に係る情報(例えば、位置座標)を取得する(ステップC2)。ここで、先導搬送ロボット2Aの現在地は、ロボット位置取得装置4から通信部57を通じて取得してもよく、先導搬送ロボット2Aの駆動部12、13の制御履歴に基づいて先導搬送ロボット2Aで算出して先導搬送ロボット2Aから取得してもよく、先導搬送ロボット2Aに備えられた位置検出部(図示せず;例えば、GPS(Global Positioning System)受信機、ビーコン受信機等)から取得してもよい。
【0124】
次に、制御ループにおいて、管制装置3の制御部56は、取得した先導搬送ロボット2Aの現在地が、取得した目的地(前方にある直近の目的地)に到達している(例えば、目的地の所定半径内にある)か否かを判定する(ステップC3)。目的地に到達している場合(ステップC3のYES)、ステップC6に進む。
【0125】
目的地に到達していない場合(ステップC3のNO)、制御ループにおいて、管制装置3の制御部56は、先導搬送ロボット2Aの各駆動部12、13の制御量(例えば、車輪20、21の回転速度)を算出する(ステップC4)。
【0126】
次に、制御ループにおいて、管制装置3の制御部56は、算出された制御量に基づいて先導搬送ロボット2Aの駆動部12、13を制御し(ステップC5)、その後、ステップC2に戻る。
【0127】
目的地に到達している場合(ステップC3のYES)、制御ループにおいて、管制装置3の制御部56は、先導搬送ロボット2Aの現在地が最終目的地に到達している(例えば、最終目的地の所定半径内にある)か否かを判定する(ステップC6)。最終目的地に到達している場合(ステップC6のYES)、ステップC8に進む。
【0128】
最終目的地に到達していない場合(ステップC6のNO)、制御ループにおいて、管制装置3の制御部56は、目的地を、前方に有る直近の目的地に更新し(ステップC7)、その後、ステップC2に戻る。
【0129】
最終目的地に到達している場合(ステップC6のYES)、管制装置3の制御部56は、制御ループから外れ、先導搬送ロボット2Aの駆動部12、13の制御を停止し(ステップC8)、その後、終了する。
【0130】
なお、
図26では先導搬送ロボット2Aを制御するときの動作を説明したが、単独で移動する搬送ロボットを制御するときにも
図26と同じ動作をするようにしてもよい。
【0131】
次に、実施形態2に係る搬送システムにおける管制装置が後続搬送ロボットを制御するときの動作について図面を用いて説明する。
図27は、実施形態2に係る搬送システムにおける管制装置が後続搬送ロボットを制御するときの動作を模式的に示したフローチャートである。なお、搬送システム1の構成については、
図23、
図24を参照されたい。
【0132】
まず、管制装置3の先導搬送ロボット軌道算出部56aは、先導搬送ロボット2Aの現在地(例えば、位置座標)、向き(例えば、進行方向)、左右の車輪20、21の駆動部12、13の制御量(例えば、回転速度)に係る最新の情報(先導搬送ロボット2Aに係る最新動作情報)を取得する(ステップD1)。ここで、先導搬送ロボット2Aの現在地及び向きに係る情報については、ロボット位置取得装置4又は先導搬送ロボット2Aから取得することができ、駆動部12、13の制御量に係る情報については、先導搬送ロボット2Aを制御している管制装置3の制御部56、又は、先導搬送ロボット2Aから取得することができる。
【0133】
次に、管制装置3の先導搬送ロボット軌道算出部56aは、取得した先導搬送ロボット2Aに係る最新動作情報に基づいて、先導搬送ロボット2Aの軌道(将来の軌道)を算出(予測)する(ステップD2)。
【0134】
次に、管制装置3のパラメータ決定部56bは、後続搬送ロボット2Bの軌道(将来の軌道)を算出(予測)するためのパラメータの初期値(Δt=0、Δt′=0、φmin=∞)を決定する(ステップD3)。
【0135】
ここで、Δtは、パラメータ決定部56bによって決定又は更新される、先導搬送ロボット2A又は後続搬送ロボット2Bの現在地の時刻からの経過時間である。Δt′は、パラメータ決定部56bによって決定又は更新される、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最大値が、最小となるΔt(先導搬送ロボット2A又は後続搬送ロボット2Bの現在地の時刻からの経過時間)である。φminは、パラメータ決定部56bによって決定又は更新される、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最大値が最小となるときの相対角度である。
【0136】
ステップD3の後、又は、φがφminより大きい場合(ステップD7のNO)、若しくは、ステップD8の後、管制装置3のパラメータ決定部56bは、最新のΔtが、予め設定されたtmax以下であるか否かを判定する(ステップD4)。Δtがtmaxより大きい場合(ステップD4のNO)、ステップD9に進む。
【0137】
ここでのΔtは、最新のΔtであり、初期値0が最新である場合には初期値0が用いられ、Δtが更新されている場合には更新された最新のΔtが用いられる。
【0138】
Δtがtmax以下である場合(ステップD4のYES)、管制装置3の後続搬送ロボット軌道算出部56cは、先導搬送ロボット軌道算出部56aで算出された先導搬送ロボット2Aの軌道と、パラメータ決定部56bで決定(又は更新)された最新のΔtと、に基づいて、現在地の時刻からΔt後の先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指して後続搬送ロボット2Bが動いた場合の後続搬送ロボット2Bの軌道(将来の軌道)を算出(予測)する(ステップD5)。ここでは、後続搬送ロボット2Bの軌道として、カーブにおいて、後続搬送ロボット2Bが先導搬送ロボット2Aの軌道の外側から押し、かつ、後続搬送ロボット2Bが先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指すような軌道である。
【0139】
次に、管制装置3の相対角度算出部56dは、先導搬送ロボット軌道算出部56aで算出された先導搬送ロボット2Aの軌道、及び、後続搬送ロボット軌道算出部56cで算出された後続搬送ロボット2Bの最新の軌道、に基づいて、先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最大値φを算出(予測)する(ステップD6)。
【0140】
次に、管制装置3のパラメータ決定部56bは、相対角度算出部56dで算出された先導搬送ロボット2Aと後続搬送ロボット2Bとの間の進行方向の相対角度の最新の最大値φが、決定又は更新された最新のφmin以下であるか否かを判定する(ステップD7)。φがφminより大きい場合(ステップD7のNO)、ステップD4に戻る。
【0141】
ここでのφminは、最新のφminであり、初期値∞が最新である場合には初期値∞が用いられ、φminが更新されている場合には更新された最新のφminが用いられる。
【0142】
φがφmin以下である場合(ステップD7のYES)、管制装置3のパラメータ決定部56bは、後続搬送ロボット2Bの軌道(将来の軌道)を算出(予測)するためのパラメータ(φmin、Δt′、Δt)の値を更新し(ステップD8)、その後、ステップD4に戻る。
【0143】
つまり、ステップD8では、φminを最新のφnに更新し、Δtを最新のΔtnに所定値(例えば、1秒)を加算した値Δtn+1に更新し、Δt′を最新のΔtnに更新する。例えば、初めての更新では、φmin=φ0、Δt′=Δt0=0、Δt1=Δt0+1=1に更新され、2回目の更新では、φmin=φ1、Δt′=Δt1=1、Δt2=Δt1+1=2に更新され、以下同様に更新される。
【0144】
Δtがtmaxより大きい場合(ステップD4のNO)、管制装置3の後続搬送ロボット軌道算出部56cは、先導搬送ロボット軌道算出部56aで算出された先導搬送ロボット2Aの軌道と、パラメータ決定部56bで更新された最新のΔt′と、に基づいて、現在地の時刻の当該Δt′後の先導搬送ロボット2Aの真後ろの位置を目指して後続搬送ロボット2Bが移動する場合の後続搬送ロボット2Bの軌道(将来の軌道)を算出(予測)する(ステップD9)。
【0145】
次に、管制装置3の後続搬送ロボット制御部56eは、後続搬送ロボット軌道算出部56cで算出された後続搬送ロボット2Bの軌道に沿って動くように、後続搬送ロボット2Bの駆動部12、13を制御し(ステップD10)、その後、1つの制御ループを終了し、次の制御ループを行うためにスタートに戻る。
【0146】
図27では、カーブか直進かに関係なく制御しているが、先導搬送ロボット2Aがカーブ入口又はその直前にきたときに制御開始し、かつ、カーブ出口又はその直後で制御終了してもよい。カーブ時に限定して制御することで、時間間隔があるので、ブレを小さくすることができ、計算量や通信量を小さくすることができる。
【0147】
実施形態2によれば、実施形態1と同様に、搬送対象物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物を改造しないでそのまま安定して搬送することに貢献することができる。特に、先導搬送ロボット2Aの軌道の外側から搬送対象物5を押すように後続搬送ロボット2Bを制御することで、搬送対象物5を安定して搬送できる。また、管制装置3で搬送ロボット2A、2Bを制御することにより、搬送ロボット2A、2Bでの情報処理の負担が軽減され、時間的に長く運用することができるようになる。
【0148】
[実施形態3]
実施形態3に係る搬送システムについて図面を用いて説明する。
図28は、実施形態3に係る搬送システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0149】
搬送システム1は、搬送対象物5を2つの搬送ロボット2A、2Bで挟み込み、2つの搬送ロボット2A、2Bが互いに協働して搬送対象物5を搬送するシステムである。
【0150】
搬送ロボット2A、2Bは、本体10と、車輪20、21と、本体10に搭載されるとともに車輪20、21を駆動する駆動部19と、搬送対象物5と接触する接触部30と、本体10に対して接触部30を回動可能にする回動機構40と、を備える。
【0151】
搬送システム1は、ハードウェア資源90を用いて、2つの搬送ロボット2A、2Bのうち搬送対象物5の搬送時の進行方向前方に接触部30が接触するように配された第1搬送ロボット2Aの軌道を予測する処理と、予測された第1搬送ロボット2Aの軌道に基づいて、2つの搬送ロボット2A、2Bのうち搬送対象物5の搬送時の進行方向後方に接触部30が接触するように配された第2搬送ロボット2Bが、カーブにおいて、第1搬送ロボット2Aの軌道の外側から搬送対象物5を押すように、第2搬送ロボット2Bの軌道を予測する処理と、を行う。
【0152】
実施形態3によれば、実施形態1と同様に、搬送対象物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物を改造しないでそのまま安定して搬送することに貢献することができる。特に、第1搬送ロボット2Aの軌道の外側から搬送対象物5を押すように、第2搬送ロボット2Bを制御することで、搬送対象物5を安定して搬送できる。
【0153】
なお、実施形態1に係る搬送ロボットの制御部及び通信部、実施形態2に係る管制装置、実施形態1に係る搬送ロボットの一部は、いわゆる情報処理装置(コンピュータ、ハードウェア資源)により構成することができ、
図29に例示する構成を備えたものを用いることができる。例えば、情報処理装置100は、内部バス104により相互に接続される、プロセッサ101、メモリ102、ネットワークインタフェース103等を備える。
【0154】
なお、
図29に示す構成は、情報処理装置100のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。情報処理装置100は、図示しないハードウェア(例えば、入出力インタフェース)を含んでもよい。あるいは、情報処理装置100に含まれるプロセッサ101等のユニットの数も
図29の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ101が情報処理装置100に含まれていてもよい。
【0155】
プロセッサ101には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)等を用いることができる。
【0156】
メモリ102には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を用いることができる。
【0157】
ネットワークインタフェース103には、例えば、LAN(Local Area Network)カード、ネットワークアダプタ、ネットワークインタフェースカード等を用いることができる。
【0158】
情報処理装置100の機能は、上述の処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ102に格納されたプログラムをプロセッサ101が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能は、何らかのハードウェアにおいてソフトウェアが実行されることによって実現できればよい。
【0159】
上記実施形態の一部または全部は以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0160】
[付記1]
本発明では、前記第1の視点に係る搬送システムの形態が可能である。
【0161】
[付記2]
前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理では、現在地の時刻から、任意の時間経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を予測し、前記ハードウェア資源を用いて、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、前記任意の時間のいずれかの時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、前記任意の時間のいずれかの時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理と、算出された前記第2搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記第2搬送ロボットの前記駆動部を制御する処理と、を行う、付記1記載の搬送システム。
【0162】
[付記3]
前記ハードウェア資源を用いて、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、予測された前記第2搬送ロボットの前記軌道と、に基づいて、前記任意の時間ごとに、前記第1搬送ロボットと前記第2搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の最大値を算出する処理と、前記任意の時間のうち、算出された前記相対角度の前記最大値が、最小となる時間、又は、予め設定された閾値以下となる最短の時間を決定する処理と、を行い、前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理では、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、決定された前記時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、決定された前記時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する、付記2記載の搬送システム。
【0163】
[付記4]
前記第1搬送ロボットの前記真後ろの位置は、前記第1搬送ロボットの重心を通る前記第1搬送ロボットの進行方向の仮想線上の位置である、付記1乃至3のいずれか一に記載の搬送システム。
【0164】
[付記5]
前記任意の時間は、所定時間差の複数の時間である、付記1乃至4のいずれか一に記載の搬送システム。
【0165】
[付記6]
前記第2搬送ロボットは、前記ハードウェア資源として、各前記処理を行う制御部を備える、付記1乃至5のいずれか一に記載の搬送システム。
【0166】
[付記7]
前記制御部は、前記第1搬送ロボットから前記第1搬送ロボットの現在地、向き、及び、前記第1搬送ロボットの前記駆動部の制御量に係る情報を取得する処理を行い、前記第1搬送ロボットの前記軌道を予測する処理では、取得した、前記第1搬送ロボットの前記現在地、前記向き、及び、前記第1搬送ロボットの前記駆動部の前記制御量に基づいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道を予測する、付記6記載の搬送システム。
【0167】
[付記8]
前記搬送システムは、前記ハードウェア資源として、前記第1搬送ロボット及び前記第2搬送ロボットを制御する管制装置を備え、前記管制装置は、各前記処理を行う、付記1乃至5のいずれか一に記載の搬送システム。
【0168】
[付記9]
前記搬送システムは、前記第1搬送ロボット及び前記第2搬送ロボットの位置に係る情報を取得するロボット位置取得装置を備え、前記管制装置は、前記ロボット位置取得装置から前記第1搬送ロボットの現在地及び向きに係る情報を取得するとともに、自身で算出した前記第1搬送ロボットの前記駆動部の制御量に係る情報を取得し、前記第1搬送ロボットの前記軌道を予測する処理では、取得した、前記第1搬送ロボットの前記現在地、前記向き、及び、前記第1搬送ロボットの前記駆動部の前記制御量に基づいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道を予測する、付記8記載の搬送システム。
【0169】
[付記10]
前記第2搬送ロボットの前記駆動部を制御する処理では、前記第2搬送ロボットが前記搬送対象物ごと前記第1ロボットを押しながら移動するように、前記第2搬送ロボットの前記駆動部を制御する、付記1乃至9のいずれか一に記載の搬送システム。
【0170】
[付記11]
各前記処理は、前記第1搬送ロボットがカーブ入口又はその前にきたときに開始され、前記第2搬送ロボットがカーブ出口又はその後にきたときに終了する、付記1乃至10のいずれか一に記載の搬送システム。
【0171】
[付記12]
本発明では、前記第2の視点に係る搬送ロボットの形態が可能である。
【0172】
[付記13]
前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理では、現在地の時刻から、任意の時間経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を予測し、前記制御部は、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、前記任意の時間のいずれかの時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、前記任意の時間のいずれかの時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理と、算出された前記第2搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記第2搬送ロボットの前記駆動部を制御する処理と、を行う、付記12記載の搬送ロボット。
【0173】
[付記14]
前記制御部は、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、予測された前記第2搬送ロボットの前記軌道と、に基づいて、前記任意の時間ごとに、前記第1搬送ロボットと前記第2搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の最大値を算出する処理と、前記任意の時間のうち、算出された前記相対角度の前記最大値が、最小となる時間、又は、予め設定された閾値以下となる最短の時間を決定する処理と、を行い、前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理では、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、決定された前記時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、決定された前記時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する、付記13記載の搬送ロボット。
【0174】
[付記15]
本発明では、前記第3の視点に係る管制装置の形態が可能である。
【0175】
[付記16]
前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理では、現在地の時刻から、任意の時間経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を予測し、前記管制装置は、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、前記任意の時間のいずれかの時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、前記任意の時間のいずれかの時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理と、算出された前記第2搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記第2搬送ロボットの前記駆動部を制御する処理と、を行う、付記15記載の管制装置。
【0176】
[付記17]
前記管制装置は、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、予測された前記第2搬送ロボットの前記軌道と、に基づいて、前記任意の時間ごとに、前記第1搬送ロボットと前記第2搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の最大値を算出する処理と、前記任意の時間のうち、算出された前記相対角度の前記最大値が、最小となる時間、又は、予め設定された閾値以下となる最短の時間を決定する処理と、を行い、前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理では、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、決定された前記時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、決定された前記時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する、付記16記載の管制装置。
【0177】
[付記18]
本発明では、前記第4の視点に係る搬送ロボットの制御方法の形態が可能である。
【0178】
[付記19]
前記第2搬送ロボットの軌道を予測するステップでは、現在地の時刻から、任意の時間経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を予測し、前記搬送ロボットの制御方法は、前記第2搬送ロボットの軌道を予測するステップの後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、前記任意の時間のいずれかの時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、前記任意の時間のいずれかの時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出するステップと、算出された前記第2搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記第2搬送ロボットの前記駆動部を制御するステップと、を含む、付記18記載の搬送ロボットの制御方法。
【0179】
[付記20]
前記搬送ロボットの制御方法は、前記第2搬送ロボットの軌道を予測するステップの後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、予測された前記第2搬送ロボットの前記軌道と、に基づいて、前記任意の時間ごとに、前記第1搬送ロボットと前記第2搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の最大値を算出するステップと、前記任意の時間のうち、算出された前記相対角度の前記最大値が、最小となる時間、又は、予め設定された閾値以下となる最短の時間を決定するステップと、を含み、前記第2搬送ロボットの軌道を算出するステップでは、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、決定された前記時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、決定された前記時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する、付記19記載の搬送ロボットの制御方法。
【0180】
[付記21]
本発明では、前記第5の視点に係るプログラムの形態が可能である。
【0181】
[付記22]
前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理では、現在地の時刻から、任意の時間経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を予測し、前記プログラムは、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、前記任意の時間のいずれかの時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、前記任意の時間のいずれかの時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理と、算出された前記第2搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記第2搬送ロボットの前記駆動部を制御する処理と、を前記制御部に実行させる、付記21記載のプログラム。
【0182】
[付記23]
前記プログラムは、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、予測された前記第2搬送ロボットの前記軌道と、に基づいて、前記任意の時間ごとに、前記第1搬送ロボットと前記第2搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の最大値を算出する処理と、前記任意の時間のうち、算出された前記相対角度の前記最大値が、最小となる時間、又は、予め設定された閾値以下となる最短の時間を決定する処理と、を前記制御部に実行させ、前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理では、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、決定された前記時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、決定された前記時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する、付記22記載のプログラム。
【0183】
[付記24]
本発明では、前記第6の視点に係るプログラムの形態が可能である。
【0184】
[付記25]
前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理では、現在地の時刻から、任意の時間経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を予測し、前記プログラムは、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、前記任意の時間のいずれかの時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、前記任意の時間のいずれかの時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理と、算出された前記第2搬送ロボットの前記軌道に基づいて、前記第2搬送ロボットの前記駆動部を制御する処理と、を前記管制装置に実行させる、付記24記載のプログラム。
【0185】
[付記26]
前記プログラムは、前記第2搬送ロボットの軌道を予測する処理の後に、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、予測された前記第2搬送ロボットの前記軌道と、に基づいて、前記任意の時間ごとに、前記第1搬送ロボットと前記第2搬送ロボットとの間の進行方向の相対角度の最大値を算出する処理と、前記任意の時間のうち、算出された前記相対角度の前記最大値が、最小となる時間、又は、予め設定された閾値以下となる最短の時間を決定する処理と、を前記管制装置に実行させ、前記第2搬送ロボットの軌道を算出する処理では、予測された前記第1搬送ロボットの前記軌道と、決定された前記時間と、に基づいて、前記第2搬送ロボットが、カーブにおいて、前記第1搬送ロボットの前記軌道の外側から前記搬送対象物を押しつつ、前記現在地の時刻から、決定された前記時間の経過後の前記第1搬送ロボットの真後ろの位置を目指して移動する場合の前記第2搬送ロボットの軌道を算出する、付記25記載のプログラム。
【0186】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(必要により不選択)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、本願に記載の数値及び数値範囲については、明記がなくともその任意の中間値、下位数値、及び、小範囲が記載されているものとみなされる。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本願発明の趣旨に則り、本願発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれる(属する)ものと、みなされる。
【符号の説明】
【0187】
1 搬送システム
2 搬送ロボット
2A 先導搬送ロボット(第1搬送ロボット)
2B 後続搬送ロボット(第2搬送ロボット)
3 管制装置
4 ロボット位置取得装置
5 搬送対象物
6 荷物
10 本体
11 フレーム
12、13、19 駆動部
14、15 シャフト
16、56 制御部
16a 先導搬送ロボット軌道算出部
16b パラメータ決定部
16c 後続搬送ロボット軌道算出部
16d 相対角度算出部
16e 駆動制御部
17、57 通信部
18 位置検出部
20、21 車輪
22 キャスタ
30 接触部
31 板部材
32 摩擦部
40 回動機構
41 アーム
42 軸部
56a 先導搬送ロボット軌道算出部
56b パラメータ決定部
56c 後続搬送ロボット軌道算出部
56d 相対角度算出部
56e 後続搬送ロボット制御部
70 台座
71、72、73、74 キャスタ
80 床面
81 車軸
82、83、85、86 軌道
84 仮想線
90 ハードウェア資源
100 情報処理装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 ネットワークインタフェース
104 内部バス