(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240509BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2023101842
(22)【出願日】2023-06-21
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 友宏
【審査官】和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138822(JP,A)
【文献】特開2004-287588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリーアドレスオフィスにおける座席を管理する座席管理テーブルと、
前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において発することが予想される騒音の騒音レベルとを対応付けて管理するユーザ管理テーブルと、
座席指定を行う第1のユーザに対して、前記座席管理テーブルを参照して前記座席の配置を示す座席表を提示するとともに、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して予想される騒音レベルを提示する座席表提示部と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記座席表提示部が、第1閾値以上の騒音レベルのユーザが座席指定を行う際には、騒音レベルが第2閾値未満のユーザによる指定座席から所定の距離をあけて離れた座席を指定可能座席として提示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記座席表提示部が、第3閾値以上の騒音レベルのユーザが座席指定を行う際には、騒音レベルが第3閾値以上の他のユーザによる指定座席から所定の距離内の座席を指定可能座席として提示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記騒音レベルが、各ユーザに関する、座席に着座しながら行う会議の予定、過去の通話履歴、及び/又は、過去に着座中に発した騒音、に基づいて設定される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
座席指定を行うユーザに対して座席に着座しながら行う会議又は通話の予定の有無を問い合わせ、当該問い合わせに対する回答に基づいて騒音レベルを設定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ユーザ管理テーブルは、前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において行う会議の時刻とを対応付けて管理し、
前記座席表提示部は、座席に着座しながら行う会議の予定を有するユーザが座席指定を行う際には、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して他のユーザが行う会議の時刻を提示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
フリーアドレスオフィスにおける座席を管理する座席管理テーブルと、
前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において発することが予想される騒音の騒音レベルとを対応付けて管理するユーザ管理テーブルと、
を有するコンピュータによる、
座席指定を行う第1のユーザに対して、前記座席管理テーブルを参照して前記座席の配置を示す座席表を提示するとともに、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して予想される騒音レベルを提示する、
情報処理方法。
【請求項8】
フリーアドレスオフィスにおける座席を管理する座席管理テーブルと、
前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において発することが予想される騒音の騒音レベルとを対応付けて管理するユーザ管理テーブルと、
を有するコンピュータに、
座席指定を行う第1のユーザに対して、前記座席管理テーブルを参照して前記座席の配置を示す座席表を提示するとともに、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して予想される騒音レベルを提示する処理を実行させる、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。特に、フリーアドレス環境の座席指定に用いる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、フリーアドレス環境の座席指定に用いられるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【0005】
特許文献1は、座席がランダムに指定されるパターンを含む。そのため、ユーザによっては周囲のユーザが発する騒音に苛まれて、作業に対する集中力が削がれることがある。
【0006】
そこで、本発明では、静かな環境での作業を要望するユーザが、その要望に合った座席を指定できるようにする情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の視点によれば、
フリーアドレスオフィスにおける座席を管理する座席管理テーブルと、
前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において発することが予想される騒音の騒音レベルとを対応付けて管理するユーザ管理テーブルと、
座席指定を行う第1のユーザに対して、前記座席管理テーブルを参照して前記座席の配置を示す座席表を提示するとともに、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して予想される騒音レベルを提示する座席表提示部と、
を含む情報処理装置が提供される。
【0008】
第2の視点によれば、
フリーアドレスオフィスにおける座席を管理する座席管理テーブルと、
前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において発することが予想される騒音の騒音レベルとを対応付けて管理するユーザ管理テーブルと、
を有するコンピュータによる、
座席指定を行う第1のユーザに対して、前記座席管理テーブルを参照して前記座席の配置を示す座席表を提示するとともに、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して予想される騒音レベルを提示する、
情報処理方法が提供される。
【0009】
第3の視点によれば、
フリーアドレスオフィスにおける座席を管理する座席管理テーブルと、
前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において発することが予想される騒音の騒音レベルとを対応付けて管理するユーザ管理テーブルと、
を有するコンピュータに、
座席指定を行う第1のユーザに対して、前記座席管理テーブルを参照して前記座席の配置を示す座席表を提示するとともに、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して予想される騒音レベルを提示する処理を実行させる、
情報処理プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の各視点によれば、静かな環境での作業を要望するユーザによる、その要望に合った座席の指定に貢献する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】座席管理サーバ(情報処理装置)の一例を示す図である。
【
図7】座席管理サーバ(情報処理装置)による処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【
図10】情報処理装置としてのコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のとり得る好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の記載に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インターフェイスも同様である。
【0013】
先ず、本発明の一概要について説明する。
図1に示すように、情報処理装置100は、座席管理テーブル10と、ユーザ管理テーブル20と、座席表提示部30とを含む。座席管理テーブル10は、フリーアドレスオフィスにおける座席を管理するためのテーブルである。ユーザ管理テーブル20は、座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において発することが予想される騒音の騒音レベルとを対応付けて管理するテーブルである。座席表提示部30は、座席指定を行う第1のユーザに対して座席の配置を示す座席表を提示するとともに、他のユーザによって既に指定されている座席に関して予想される騒音レベルを提示する。
【0014】
座席表提示部30によって提示される座席表の一例を挙げて具体的に説明する。
図2に示す座席表には、A列およびB列の各々に7つの座席、つまり合計14席が示されている。ここで、各座席は例えば「A1席」などと称される。色付きの席は他のユーザによって既に指定されている指定済席であり、濃淡によって予想される騒音レベルが示されている。例えば、最も濃い色のA1席は、騒がしいユーザが指定している席、つまり、騒音レベルが高い席であることを意味する。また、無色の席は他のユーザによって指定されていない空席であることを意味する。
図2の座席表を参照して新たに座席指定を行うユーザ(第1のユーザ)は、静かな環境を要望する場合には、A1席と隣り合うB1席やA2席を避けて座席指定を行うことができる。
【0015】
[実施形態1]
以下では、上記の情報処理装置100についてより具体的に説明する。
図3に示すように、実施形態1は、座席管理サーバ、ワークフロー制御サーバ及び構内交換機を含む情報処理システムとして説明する。ここで、情報処理装置100は、座席管理サーバとして構成される。
【0016】
ワークフロー制御サーバは、ユーザの業務スケジュールを管理するサーバである。ワークフロー制御サーバは一般的なものであり得るが、特に、各ユーザが参加する会議に関する管理を行う。例えば、ワークフロー制御サーバは、ユーザ名に対応付けて、参加予定の会議の日時を管理する。
【0017】
構内交換機は、外線、内線などの電話接続を行う。構内交換機も一般的なものであり得るが、特に、各ユーザの通話履歴を管理する。例えば、構内交換機は、ユーザ名に対応付けて、通話履歴を管理する。
【0018】
座席管理サーバは、
図1の情報処理装置100と同様に、座席管理テーブル10と、ユーザ管理テーブル20と、座席表提示部30とを含む。その他、座席管理サーバは、例えば特許文献1などに開示されるサーバのように、フリーアドレスオフィスにおける座席を管理するサーバとしての一般的な機能も有する。例えば、座席管理サーバは、ユーザによる座席指定の受付などを行う。ここで、一般的な機能については説明を省略する。
【0019】
座席管理テーブル10は、フリーアドレスオフィスにおける座席を管理するためのテーブルである。例えば、座席管理サーバが、ユーザによる座席指定の受付などを行った際に、座席管理テーブル10に情報を書き込む。
【0020】
ユーザ管理テーブル20は、座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において発することが予想される騒音の騒音レベルとを対応付けて管理するテーブルである。例えば、ユーザ管理テーブル20は、
図4に示すように、ユーザID(identification)と、騒音レベルとを対応付けたテーブルである。
【0021】
ここで、「会議」に関するレベルは、座席に着座しながら行う会議の予定に基づいて設定される。例えば、ユーザID:001、ユーザID:005のユーザについては、会議予定が確定しており、会議のための発話を座席に着座しながら行う確率が高いため、Lv.1が設定される。ユーザID:004のユーザについては、会議予定が未確定であるため、Lv.0.5が設定される。その他、会議における役割(主催者、プレゼンタ、必須参加者など)や会議時間の長さに応じて、任意のレベルを設定することができる。なお、「会議」に関するレベルは、座席管理サーバがワークフロー制御サーバから情報を収集して書き込んでも良い。また、ユーザから座席指定を受け付けた際に、座席管理サーバが会議の有無や役割に関する情報をユーザに対して要求して、ユーザ管理テーブル20にレベルを書き込むようにしても良い。
【0022】
「通話」に関するレベルは、過去の通話履歴に基づいて設定される。例えば、ユーザID:002、005のユーザについては、過去の1日あたりの平均通話時間が所定の閾値(例えば1時間)以上であるため、Lv.1が設定される。その他、例えば、1日あたりの平均通話時間が30分を超える毎にLv.0.5ずつ加算するようにしても良い。なお、「通話」に関するレベルは、座席管理サーバが構内交換機から情報を収集して書き込んでも良い。また、ユーザから座席指定を受け付けた際に、座席管理サーバが通話行うか否かに関する情報の入力をユーザに対して要求して、ユーザ管理テーブル20にレベルを書き込むようにしても良い。
【0023】
「収音」に関するレベルは、各ユーザが過去に着座中に発した騒音に基づいて設定される。例えば、フリーアドレスオフィスにおける各座席にマイクロフォンを設置しておき、各ユーザが着座中に発した騒音を収音する。ここで、例えば、所定デシベル以上の騒音を収集した時間が所定値以上になるごとに、Lv.0.1ずつ加算される。このレベルは各ユーザの過去の騒音履歴として管理され、新たに座席指定を行う際に反映される。騒音履歴の管理は、座席管理サーバが行っても良いし、別個の装置(ワークフロー制御サーバを含む)が管理しても良い。なお、「収音」は、基本的には、キーボードの打音、独り言、私的会話などの騒音を意図するものであり、「会議」や「通話」などの業務上必要な発話による騒音を意図するものではない。しかしながら、「通話」における発話であっても、所定デシベル以上の発話であれば「収音」に関するレベルとみなし、例えば、Lv.0.01ずつ加算するようにしても良い。
【0024】
上記のように、「会議」、「通話」及び「収音」に関するレベルは、任意に重み付けを行うことができる。
【0025】
「騒音レベル」は、「会議」、「通話」及び「収音」に関するレベルの合計値である。
【0026】
座席表提示部30は、座席指定を行う第1のユーザに対して座席の配置を示す座席表を提示するとともに、他のユーザによって既に指定されている座席に関して予想される騒音レベルを提示する。また、座席表提示部30は、第1閾値以上の騒音レベルのユーザが座席指定を行う際には、騒音レベルが第2閾値未満のユーザによる指定座席から所定の距離をあけて離れた座席を指定可能座席として提示する。
【0027】
一例を挙げて説明すると、上記概要で述べたように、
図2に示す座席表を参照して新たに座席指定を行うユーザ(第1のユーザ)は、静かな環境を要望する場合には、A1席と隣り合うB1席やA2席を避けて座席指定を行うことができる。ここで、第1のユーザはID:006のユーザであり、自身が静かに作業を行う(騒音レベル:Lv.0)ため、周囲のユーザに対しても静かな作業を要求する権利を有すると言える。そして、ID:006のユーザがA1席から最も離れたB7席を指定したものとする。この時の座席表は
図5に示すものとなる。
【0028】
ここで、ID:001のユーザが新たに座席指定を行うものとする。ID:001のユーザは、座席に着座しながら行う会議の予定を有しているため、騒音レベルLv.1である。仮に、
図5に示す座席表を参照してID:001のユーザがB6席やA7席を指定すると、ID:006のユーザが要望した静かな環境が実現できなくなる。そのため、座席表提示部30は、ID:001のユーザに対して
図6に示す座席表を提示する。すなわち、
図6に示す座席表では、B6席及びA7席は斜線が引かれて指定不可能になっており、ID:001のユーザは残りの無色の席のいずれかを選択することになる。結果として、ID:006のユーザが要望する静かな環境が実現される。
【0029】
上述の技術的意図を言い換えると、ID:001のユーザ(Lv.1)が座席指定を行う際には、ID:006のユーザ(Lv.0)による指定座席と隣り合わない座席を指定可能座席として提示する。
【0030】
座席管理サーバによる処理の流れについて、具体的な一例を挙げて説明する。ここで、ユーザ管理テーブル20には
図4に示す情報が既に格納されているものとする。また、座席管理テーブル10は
図5に示す状態になっており、指定済席については騒音レベルが既に反映されているものとする。
【0031】
図7に示すように、座席管理サーバは、ユーザによる座席指定のための操作を受け付けると(ステップS01、Yes)、ユーザ管理テーブル20を参照して当該ユーザの騒音レベルを特定する(ステップS02)。
【0032】
ここで、特定した騒音レベルが第1閾値(例えば、Lv.1)以上である場合には(ステップS02、Yes)、座席管理サーバは、騒音レベルが第2閾値(例えば、Lv.0.1)未満のユーザによる指定座席を特定する(ステップS03)。そして、座席管理サーバは、騒音レベルが第2閾値未満のユーザによる指定座席から所定の距離をあけて離れた座席を指定可能座席としつつ、座席管理テーブル10を提示する(ステップS04、
図6参照)。
【0033】
一方で、特定した騒音レベルが第1閾値未満である場合には(ステップS02、No)、座席管理サーバは、座席管理テーブル10をそのまま提示する(ステップS05、
図5参照)。
【0034】
以上のように、座席管理サーバ(情報処理装置100)は、静かな環境での作業を要望するユーザ(ID:006)による、その要望に合った座席(B7席)の指定に貢献することができる。また、座席管理サーバ(情報処理装置100)は、他のユーザによる座席指定が行われたとしても、ユーザ(ID:006)が要望する静かな環境を実現することができる。
【0035】
なお、実施形態1において、ユーザが「会議」又は「通話」を行うか否かを自己申告制にしても良い。すなわち、ユーザから座席指定のための操作を受け付けた際に、座席管理サーバは「会議」又は「通話」を行うか否かを当該ユーザに対して問い合わせる。「会議」又は「通話」を行う旨を申告したユーザに対しては、座席管理サーバは騒音レベル:Lv.1を設定して、指定可能座席を示した座席表(
図6)を提示する。このユーザが指定した座席は、騒音レベル:Lv.1として管理される。一方で、「会議」又は「通話」を行わない旨を申告したユーザに対しては、座席管理サーバは騒音レベル:Lv.0を設定して、座席表(
図5)をそのまま提示する。このようにすれば、座席管理サーバ単独で(言い換えると、ワークフロー制御サーバ及び構内交換機を含まずに)、静かな環境での作業を要望するユーザによる、その要望に合った座席の指定に貢献することができる。
【0036】
[実施形態2]
実施形態1において、「会議」とは座席に着座しながら行う会議を意味し、例えば、オンライン会議などが想定される。ここで、「会議」を行うユーザにとって、騒がしい環境では自身の発話のみならず周囲の騒音をマイクが拾ってしまい、オンライン会議に支障をきたすことが考えられる。そのため、「会議」を行うユーザは、自身が座席において発話を行うにもかかわらず、会議中には周囲に静かな環境を求めるユーザであると言える。実施形態2の座席管理サーバ(情報処理装置100)は、このようなユーザの要望に合った座席の指定に貢献する。
【0037】
具体的には、ユーザ管理テーブル20は、座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において行う会議の時刻とを対応付けて管理する。例えば、ユーザ管理テーブル20は、
図8に示すように、ユーザIDと、会議時刻とを対応付けて管理する。
【0038】
座席表提示部30は、座席に着座しながら行う会議の予定を有するユーザが座席指定を行う際には、他のユーザによって既に指定されている座席に関して他のユーザが行う会議の時刻を提示する。
【0039】
具体的な一例を挙げて説明すると、座席表提示部30は、
図9に示す座席表を提示する。A1席には13:00~15:00において会議が行われる旨が提示される。また、B3席には、未確定ではあるが10:00~12:00において会議が行われる可能性がある旨が提示される。その他、座席表提示部30は、「通話」の有無を示す情報を座席表に提示しても良い。
【0040】
ここで、
図9に示す座席表を参照して、ID:001のユーザが新たに座席指定を行うものとする。ID:001のユーザは、14:00~16:00に会議を行うため、その時間帯には周囲に静かな環境を求めているが、自身の騒音レベルはLv.1であり、B7席のユーザに配慮してB6席及びA7席は斜線が引かれて指定不可能になっている。このような座席表を参照したID:001のユーザは、例えば、「通話」を行うユーザの隣の席(A2席、A4席、B1席)を避けることができる。また、ID:001のユーザは、自身が行う会議と重複しない時間帯にB3席での会議が行われると判断して、B2席、B4席を指定座席の候補に加えることができる。つまり、ID:001のユーザにとっては、自身が座席において発話を行うにもかかわらず、自身が行う会議の最中には静かな環境が実現される。
【0041】
[変化形態]
例えば、実施形態1において、座席表提示部30は、第1閾値以上の騒音レベルのユーザが座席指定を行う際には、騒音レベルが第2閾値未満のユーザによる指定座席から所定の距離をあけて離れた座席を指定可能座席として提示している。ここで、第1閾値、第2閾値及び所定の距離は、「会議」などに関するレベルの重み付けとともに、任意の値(条件)を設定可能である。
【0042】
また、座席表提示部30が、第3閾値以上の騒音レベルのユーザが座席指定を行う際には、騒音レベルが第3閾値以上の他のユーザによる指定座席から所定の距離内の座席を指定可能座席として提示してもよい。すなわち、騒がしいユーザに対しては、騒がしい他のユーザの近隣座席が指定可能座席として提示されるため、結果的に騒がしいユーザを一箇所に集めることができる。第1閾値などと同様に、第3閾値も任意の値を設定可能である。ここで、各閾値及び重み付けを調節することで、例えば、「通話」を行うユーザ、「会議」を行うユーザを、各々一箇所に集めることができる。
【0043】
また、座席表提示部30が、第4閾値以上の騒音レベルのユーザに対してはいずれの座席を指定できないようにしても良い。すなわち、私的な会話などであまりに騒がしいユーザに対しては、フリーアドレスオフィスの利用を禁止することが意図される。その結果として、あまりに騒がしいユーザは自宅などでの作業(いわゆるテレワーク)を選択することになる。ここで、座席表提示部30がテレワークを推奨するメッセージなどをユーザに対して通知しても良い。
【0044】
また、実施形態1などにおいては、ユーザは座席表に示される空席(指定可能席)の中から任意の座席を指定できる。そのため、座席において私的会話などを気軽に行いたいと考えるユーザは、あえて騒音レベルの高い座席の近隣座席を指定することも可能である。
【0045】
なお、本発明は、情報処理装置100としてのコンピュータに、上述の処理を実行させる情報処理プログラムとしても展開可能である。例えば、
図10に示すように情報処理装置100としてのコンピュータは、メモリ、CPU(Central Processing Unit)及びインターフェイスを備える。メモリは座席管理テーブル10及びユーザ管理テーブル20を記憶する。CPUは、メモリから本発明の情報処理プログラムを読み出して実行することで、座席表提示部30に相当する処理モジュールを実現する。
【0046】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0047】
(付記1)
フリーアドレスオフィスにおける座席を管理する座席管理テーブルと、
前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において発することが予想される騒音の騒音レベルとを対応付けて管理するユーザ管理テーブルと、
座席指定を行う第1のユーザに対して、前記座席管理テーブルを参照して前記座席の配置を示す座席表を提示するとともに、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して予想される騒音レベルを提示する座席表提示部と、
を含む情報処理装置。
【0048】
(付記2)
前記座席表提示部が、第1閾値以上の騒音レベルのユーザが座席指定を行う際には、騒音レベルが第2閾値未満のユーザによる指定座席から所定の距離をあけて離れた座席を指定可能座席として提示する、付記1に記載の情報処理装置。
【0049】
(付記3)
前記座席表提示部が、第3閾値以上の騒音レベルのユーザが座席指定を行う際には、騒音レベルが第3閾値以上の他のユーザによる指定座席から所定の距離内の座席を指定可能座席として提示する、付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0050】
(付記4)
前記騒音レベルが、各ユーザに関する、座席に着座しながら行う会議の予定、過去の通話履歴、及び/又は、過去に着座中に発した騒音、に基づいて設定される、付記1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0051】
(付記5)
座席指定を行うユーザに対して座席に着座しながら行う会議又は通話の予定の有無を問い合わせ、当該問い合わせに対する回答に基づいて騒音レベルを設定する、付記1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0052】
(付記6)
前記ユーザ管理テーブルは、前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において行う会議の時刻とを対応付けて管理し、
前記座席表提示部は、座席に着座しながら行う会議の予定を有するユーザが座席指定を行う際には、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して他のユーザが行う会議の時刻を提示する、付記1~5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0053】
(付記7)
フリーアドレスオフィスにおける座席を管理する座席管理テーブルと、
前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において発することが予想される騒音の騒音レベルとを対応付けて管理するユーザ管理テーブルと、
を有するコンピュータによる、
座席指定を行う第1のユーザに対して、前記座席管理テーブルを参照して前記座席の配置を示す座席表を提示するとともに、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して予想される騒音レベルを提示する、
情報処理方法。
【0054】
(付記8)
フリーアドレスオフィスにおける座席を管理する座席管理テーブルと、
前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において発することが予想される騒音の騒音レベルとを対応付けて管理するユーザ管理テーブルと、
を有するコンピュータに、
座席指定を行う第1のユーザに対して、前記座席管理テーブルを参照して前記座席の配置を示す座席表を提示するとともに、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して予想される騒音レベルを提示する処理を実行させる、
情報処理プログラム。
【0055】
(付記9)
第1閾値以上の騒音レベルのユーザが座席指定を行う際には、騒音レベルが第2閾値未満のユーザによる指定座席から所定の距離をあけて離れた座席を指定可能座席として提示する、付記7に記載の情報処理方法。
【0056】
(付記10)
第3閾値以上の騒音レベルのユーザが座席指定を行う際には、騒音レベルが第3閾値以上の他のユーザによる指定座席から所定の距離内の座席を指定可能座席として提示する、付記7又は9に記載の情報処理方法。
【0057】
(付記11)
前記騒音レベルが、各ユーザに関する、座席に着座しながら行う会議の予定、過去の通話履歴、及び/又は、過去に着座中に発した騒音、に基づいて設定される、付記7、9、又は10に記載の情報処理方法。
【0058】
(付記12)
座席指定を行うユーザに対して座席に着座しながら行う会議又は通話の予定の有無を問い合わせ、当該問い合わせに対する回答に基づいて騒音レベルを設定する、付記7又は9~11のいずれか1つに記載の情報処理方法。
【0059】
(付記13)
前記ユーザ管理テーブルは、前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において行う会議の時刻とを対応付けて管理し、
座席に着座しながら行う会議の予定を有するユーザが座席指定を行う際には、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して他のユーザが行う会議の時刻を提示する、
付記7又は9~12のいずれか1つに記載の情報処理方法。
【0060】
(付記14)
第1閾値以上の騒音レベルのユーザが座席指定を行う際には、騒音レベルが第2閾値未満のユーザによる指定座席から所定の距離をあけて離れた座席を指定可能座席として提示する処理を実行させる、付記8に記載の情報処理プログラム。
【0061】
(付記15)
第3閾値以上の騒音レベルのユーザが座席指定を行う際には、騒音レベルが第3閾値以上の他のユーザによる指定座席から所定の距離内の座席を指定可能座席として提示する処理を実行させる、付記8又は14に記載の情報処理プログラム。
【0062】
(付記16)
前記騒音レベルが、各ユーザに関する、座席に着座しながら行う会議の予定、過去の通話履歴、及び/又は、過去に着座中に発した騒音、に基づいて設定される、付記8、14又は15に記載の情報処理プログラム。
【0063】
(付記17)
座席指定を行うユーザに対して座席に着座しながら行う会議又は通話の予定の有無を問い合わせ、当該問い合わせに対する回答に基づいて騒音レベルを設定する処理を実行させる、付記8又は14~16のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0064】
(付記18)
前記ユーザ管理テーブルは、前記座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において行う会議の時刻とを対応付けて管理し、
座席に着座しながら行う会議の予定を有するユーザが座席指定を行う際には、前記ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して他のユーザが行う会議の時刻を提示する処理を実行させる、付記8又は14~17のいずれか1つに記載の情報処理プログラム。
【0065】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0066】
10:座席管理テーブル
20:ユーザ管理テーブル
30:座席表提示部
100:情報処理装置
【要約】
【課題】フリーアドレスオフィスにおいて、静かな環境での作業を要望するユーザが、その要望に合った座席を指定できるようにする。
【解決手段】フリーアドレスオフィスにおける座席を管理する座席管理テーブルと、座席を使用するユーザと、当該ユーザが座席において発することが予想される騒音の騒音レベルとを対応付けて管理するユーザ管理テーブルと、座席指定を行う第1のユーザに対して、座席管理テーブルを参照して座席の配置を示す座席表を提示するとともに、ユーザ管理テーブルを参照して他のユーザによって既に指定されている座席に関して予想される騒音レベルを提示する座席表提示部と、を含む情報処理装置、が提供される。
【選択図】
図1