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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】関節痛改善剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20240509BHJP
   A23L 33/17 20160101ALI20240509BHJP
   A61K 35/60 20060101ALI20240509BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20240509BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20240509BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240509BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/17
A61K35/60
A61K38/17
A61K38/39
A61P19/02
A61P43/00 121
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022150450
(22)【出願日】2022-09-21
(62)【分割の表示】P 2021066214の分割
【原出願日】2016-12-07
(65)【公開番号】P2022174299
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】515218462
【氏名又は名称】株式会社ウェルヴィーナス
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】濱口 嘉文
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-155250(JP,A)
【文献】特開2015-013845(JP,A)
【文献】特開2014-009164(JP,A)
【文献】特表2006-515765(JP,A)
【文献】国際公開第12/099224(WO,A1)
【文献】国際公開第14/017570(WO,A1)
【文献】国際公開第07/032404(WO,A1)
【文献】Matrix Biology, 2015年,p.11-55,http://dx.doi.org/10.1016/j.matbio.2015.02.003
【文献】Archives of Biochemistry and Biophysics, 2011年,Vol.506,p.58-65,doi:10.1016/j.abb.2010.10.025
【文献】新薬と臨床,2016年11月,Vol.65,pp.1507-1521
【文献】BioMed Research International,2014年,Vol.2014,ArticleID406453
【文献】Inflammation Research,2010年,Vol.59,pp.369-377
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/10
A23L 33/17
A61K 38/17
A61P 19/02
A61K 38/39
A61K 35/60
A61K 35/57
A61K 35/32
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非変性プロテオグリカン及び非変性コラーゲンを有効成分として含む、関節痛改善剤であって、
非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンを3:10~7:10の質量比で含むことを特徴とし、
前記非変性プロテオグリカン及び前記非変性コラーゲンはサケ由来の軟骨組織から抽出されたものであり、
経口用であることを特徴とする、関節痛改善剤。
【請求項2】
前記非変性プロテオグリカンが、90万Da以上の平均分子量を有する、請求項1に記載の関節痛改善剤。
【請求項3】
前記非変性コラーゲンが非変性II型コラーゲンである、請求項1又は2に記載の関節痛改善剤。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項記載の関節痛改善剤を有効成分として含む、関節痛改善用経口組成物。
【請求項5】
食品組成物である請求項に記載の関節痛改善用経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節痛改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
関節痛や高齢者で問題となる膝関節の変形による関節症などは日常生活の質に重大な影響を与えている。従来、このような症状を緩和するためにステロイド剤や非ステロイド剤が広く用いられていたが、過剰な免疫抑制作用による副作用が懸念されている。
【0003】
ところで、コンドロイチン、ビタミンB1類、N-アセチルグルコサミン(NAG)、グルコサミンなど、関節痛を改善する作用を有する物質は種々報告されている(特許文献1、2)。
【0004】
そして、プロテオグリカンによる関節痛改善効果についても報告されている。プロテオグリカンによる関節痛改善効果として、膝関節痛改善効果や腰痛改善効果が知られている(特許文献3、4)。
【0005】
プロテオグリカンは関節痛改善効果以外にも、運動器系の正常化、機能低下予防・回復・改善と、美容系における皮膚のたるみ、弾力、しわ、色素沈着の予防・回復・改善、角質の正常化などの効果が知られている(特許文献3)。
【0006】
さらに、分子量の大きい非変性プロテオグリカンに炎症性腸疾患、皮膚バリア機能などの改善に高い効果があることも報告されている(特許文献5、6)。また、非変性プロテオグリカンが皮膚繊維芽細胞増殖活性やヒアルロン酸結合活性を有することも報告されている(特許文献5、6)。
【0007】
また、コラーゲンを含む治療剤が関節痛を改善する効果を有することも報告されている(特許文献7、8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-20959号公報
【文献】特開2015-180687号公報
【文献】特開2016-138060号公報
【文献】特開2015-13845号公報
【文献】特開2011-219449号公報
【文献】特開2016-128467号公報
【文献】特開2003-155250号公報
【文献】特開2014-114232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、関節痛を改善する作用を有する物質は複数種報告されているが、それらの組み合わせについての研究はほとんどされていない。
【0010】
中でも、プロテオグリカンの作用についてはその作用機序が明らかでないことから、プロテオグリカンと他の関節痛を改善する作用を有する物質の相互作用による有用性についてはほとんど知られていない。
【0011】
上記事情に鑑みなされた本発明は、プロテオグリカンと他の関節痛を改善する作用を有する物質の相互作用による有用性を見出すことを課題とする。加えて、その配合比を検討することで、関節痛の痛みの緩和に極めて効果の高い関節痛改善剤、関節痛改善用組成物あるいは食品を提供することを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究に励んだ結果、非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンを特定の質量比で含む関節痛改善用剤が高い関節痛改善効果を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明の関節痛改善剤は非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンを有効成分として含む関節痛改善剤であって、非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンを3:10~7:10の質量比で含むことを特徴とする。
本発明の関節痛改善剤は非変性プロテオグリカン及び非変性コラーゲンを特定の質量比で含むため、高い関節痛改善効果を奏する。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記非変性プロテオグリカンは90万Da以上の平均分子量を有する。
【0015】
本発明の関節痛改善剤には、あらゆる非変性コラーゲンを使用することができる。中でも、非変性II型コラーゲンを用いる形態とすることが好ましい。このような形態によれば、より高い関節痛改善効果を奏する。
【0016】
また本発明は、前記関節痛改善用剤を有効成分として含む関節痛改善用組成物にも関する。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記関節痛改善用組成物は食品組成物である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の関節痛改善剤及び関節痛改善用組成物は関節痛、及び関節症を軽減させる作用に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例に記載のVAS試験による、非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンの質量比と「安静時の左膝の痛み」改善効果の関係を示すグラフである。
図2】実施例に記載のVAS試験による、非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンの質量比と「安静時の右膝の痛み」改善効果の関係を示すグラフである。
図3】実施例に記載のVAS試験による、非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンの質量比と「通常歩行時の左膝の痛み」改善効果の関係を示すグラフである。
図4】実施例に記載のVAS試験による、非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンの質量比と「通常歩行時の右膝の痛み」改善効果の関係を示すグラフである。
図5】実施例に記載のVAS試験による、非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンの質量比と「階段昇降時の左膝の痛み」改善効果の関係を示すグラフである。
図6】実施例に記載のVAS試験による、非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンの質量比と「階段昇降時の右膝の痛み」改善効果の関係を示すグラフである。
図7】実施例に記載のVAS試験による、非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンの質量比と関節痛改善効果の「総合評価」の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の関節痛改善剤は、非変性プロテオグリカン及び非変性コラーゲンを有効成分として含む。
【0021】
非変性プロテオグリカンとは、その起源となる生物中のプロテオグリカンの分子量を実質的に保持したまま製剤化に利用できる状態としたプロテオグリカンである。
【0022】
なお、非変性プロテオグリカンの分子量の組成が必ずしもその起源となる生物中のプロテオグリカンの分子量の組成と同一である必要はなく、製剤化に利用できる状態としたプロテオグリカンがその起源となる生物中のプロテオグリカンの分子量の組成と同じ特徴を有していれば、本発明の関節痛改善剤に含まれるプロテオグリカンは「非変性プロテオグリカン」といえる。
【0023】
また、非変性プロテオグリカンとは、抽出又は製剤化の過程で変性処理に施されていないプロテオグリカンでもある。
【0024】
本発明において「変性処理」とは、積極的にプロテオグリカンを変性させる操作をすることを意味する。すなわち、プロテオグリカンを実質的に分解又は破壊せずに抽出又は製剤化の操作をすること、及びプロテオグリカンが経時変化によって自然に変性することは、「変性処理」に含まない。
【0025】
なお、本発明の関節痛改善剤の製造工程において、変性したプロテオグリカンが生じていたとしても、主たるプロテオグリカンがその起源となる生物中のプロテオグリカンの分子量の組成の範囲内であれば、本発明の関節痛改善剤に含まれるプロテオグリカンは「非変性プロテオグリカン」といえる。具体的には例えば、本発明の関節痛改善剤に含まれるプロテオグリカンの80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは99質量%以上が起源となる生物中のプロテオグリカンの分子量の組成の範囲内のプロテオグリカンであれば、本発明の関節痛改善剤に含まれるプロテオグリカンは非変性プロテオグリカンであると評価できる。
【0026】
また、本発明の関節痛改善剤に含まれる非変性プロテオグリカンは、その起源に特に制限はなく、例えば、サケの鼻軟骨組織、エイの軟骨組織、サメの軟骨組織等の魚類由来の軟骨組織、ニワトリ等の軟骨組織等の鳥類の軟骨組織、さらにはウシの喉軟骨や気管支軟骨、クジラの軟骨等の哺乳動物由来の軟骨組織から抽出した非変性プロテオグリカンを挙げることができる。
【0027】
中でも、非変性プロテオグリカンは、サケの鼻軟骨組織、サメの軟骨組織、ニワトリ等の軟骨組織のうち1種又は2種以上の生物の組織から抽出されたものであることが好ましい。また、非変性プロテオグリカンは、サケの鼻軟骨組織から抽出されたものであることがさらに好ましい。
【0028】
なお、非変性プロテオグリカンを天然物から調製する場合には、その調製方法はプロテオグリカンを変性させないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、サケ鼻軟骨を原料としてアルカリ溶液を用いて抽出、調製する方法や、過酢酸を含む溶液に浸漬させ、浸漬後の溶液を回収する方法を選択することができる。
【0029】
非変性プロテオグリカンは市販されている医薬品原料又は食品原料であってもよい。
【0030】
そして、本発明の関節痛改善剤には、平均分子量が好ましくは90万Da以上、より好ましくは120万Da以上、さらに好ましくは150万Da以上である非変性プロテオグリカンを用いることが好ましい。
【0031】
なお、非変性プロテオグリカンの平均分子量を算出する方法は、製品中のプロテオグリカンの分子量の組成から分子量の平均を算出することのできる方法であれば特に制限はなく、例えば、高速液体クロマトグラフィ装置を用いた定量分析により平均分子量の算出する方法、ELISA法を用いて定量した後に電気泳動処理に施し平均分子量の算出する方法、を挙げることができる。
【0032】
また、非変性コラーゲンとは、その起源となる生物中のコラーゲンの分子量を実質的に保持したまま製剤化に利用できる状態としたコラーゲンである。
【0033】
なお、非変性コラーゲンの分子量の組成が必ずしもその起源となる生物中のコラーゲンの分子量の組成と同一である必要はなく、製剤化に利用できる状態としたコラーゲンがその起源となる生物中のコラーゲンの分子量の組成と同じ特徴を有していれば、本発明の関節痛改善剤に含まれるコラーゲンは「非変性コラーゲン」といえる。
【0034】
また、非変性コラーゲンとは、抽出又は製剤化の過程で変性処理に施されていないコラーゲンでもある。
【0035】
なお、本発明において、「変性処理」とは、積極的にコラーゲンを変性させる操作をすることを意味する。すなわち、コラーゲンを実質的に分解又は破壊せずに抽出または製剤化の操作をすること、及びコラーゲンが経時変化によって自然に変性することは、「変性処理」に含まない。
【0036】
なお、本発明の関節痛改善剤の製造工程において、変性したコラーゲンが生じていたとしても、主たるコラーゲンがその起源となる生物中のコラーゲンの分子量の組成の範囲内であれば、本発明の関節痛改善剤に含まれるコラーゲンは「非変性コラーゲン」といえる。具体的には例えば、本発明の関節痛改善剤に含まれるコラーゲンの80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは99質量%以上が起源となる生物中のコラーゲンの分子量の組成の範囲内のコラーゲンであれば、本発明の関節痛改善剤に含まれるコラーゲンは非変性コラーゲンであると評価できる。
【0037】
また、本発明の関節痛改善剤に含まれる非変性コラーゲンは、その起源に特に制限はなく、例えば、サケの鼻軟骨組織、エイの軟骨組織、サメの軟骨組織等の魚類由来の軟骨組織、ニワトリ等の軟骨組織等の鳥類の軟骨組織、さらにはウシの喉軟骨や気管支軟骨、クジラの軟骨等の哺乳動物由来の軟骨組織から抽出した非変性コラーゲンを挙げることができる。
【0038】
中でも、非変性コラーゲンは、サケの鼻軟骨組織、サメの軟骨組織、ニワトリ等の軟骨組織のうち1種又は2種以上の生物の組織から抽出されたものであることが好ましい。また、非変性コラーゲンは、サケの鼻軟骨組織から抽出されたものであることがさらに好ましい。
【0039】
なお、非変性コラーゲンを天然物から調製する場合には、その調製方法はコラーゲンを変性させないものであれば特に限定されるものではなく、常法により天然物から調製する方法を採用することができる。
【0040】
なお、非変性コラーゲンは市販されている医薬品原料又は食品原料であってもよい。
【0041】
また、非変性コラーゲンは、非変性II型コラーゲンであることが好ましい。
本発明の関節痛改善剤に含まれる非変性コラーゲンが非変性II型コラーゲンであることで、より高い関節痛改善効果を発揮する。
【0042】
そして、本発明の関節痛改善剤には、平均分子量が好ましくは30万Da~40万Daである非変性コラーゲンを用いることが好ましい。
【0043】
なお、非変性コラーゲンの平均分子量を算出する方法は、製品中のコラーゲンの分子量の組成から分子量の平均を算出することのできる方法であれば特に制限はなく、例えば、高速液体クロマトグラフィ装置を用いた定量分析により平均分子量の算出する方法、ELISA法を用いて定量した後に電気泳動処理に施し平均分子量の算出する方法、を挙げることができる。
【0044】
そして、本発明の関節痛改善剤は非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンを好ましくは3:10~7:10、より好ましくは4:10~6:10さらに好ましくは4.5:10~5.5:10の質量比で含む。
【0045】
また、本発明は、上記の関節痛改善用剤を有効成分として含む、関節痛改善用組成物にも関する。
本組成物は、食品組成物、医薬組成物の形態とすることができる。また、本発明の関節痛改善剤は経口用組成物の形態とすることが好ましい。
【0046】
食品組成物としては、菓子やパン、麺などの一般食品、ドリンク製剤、カプセル剤や錠剤の形態をとる健康増進の目的を有する食品群(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品等)が例示できる。医薬組成物としては、顆粒剤、粉末剤、カプセル剤や、錠剤の形態をとる経口投与医薬品等が例示できる。特に好ましくは食品組成物としての形態である。
【0047】
またこれらの食品組成物及び医薬組成物は、許容される任意成分を含有することができる。このような任意成分としては、食品組成物であれば、塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、酢等の調味成分、着色成分、フレーバー等の矯臭成分、増粘剤、乳化・分散剤、保存料、安定剤、各種ビタミン類等が好適に例示でき、健康増進の目的を有する食品群や医薬組成物であれば、キャッツクロー抽出物、セイヨウシロヤナギ抽出物、ボスウェリアセラタ樹脂抽出物等の植物由来成分、結晶セルロース、乳糖等の賦形剤、アラビヤガムやヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤、クロスカルメロースナトリウム、デンプン等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、微粒酸化ケイ素等の滑沢剤、矯味、矯臭剤、着色剤、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンD3、ビタミンB12、抽出ビタミンEなどの各種ビタミン類等が好ましく例示できる。これらを常法に従って処理することにより、本発明の組成物を製造することができる。
【0048】
本発明の関節痛改善用組成物における非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンの総含有量は、0.05~90質量%、より好ましくは0.5~30質量%、さらに好ましくは5~10質量%、さらに好ましくは7~8質量%とすることができる。
【0049】
本発明の関節痛改善用組成物全量に対し、プロテオグリカンは、0.02~30質量%、より好ましくは、0.2~10質量%、さらに好ましくは、1~5質量%含有することが好ましい。これは、下限以上であれば本発明の関節痛改善剤が有する関節痛の改善効果がより高く発揮され、上限以下であれば関節痛の改善効果がより効率よく発揮されるためである。
【0050】
また、本発明の関節痛改善用組成物全量に対し、コラーゲンは、0.04~60質量%、より好ましくは、0.4~20質量%、さらに好ましくは、2~10質量%含有することが好ましい。これは、下限以上であれば本発明の関節痛改善剤が有する関節痛の改善効果がより高く発揮され、上限以下であれば関節痛の改善効果がより効率よく発揮されるためである。
【0051】
また本発明の関節痛改善用組成物は、関節痛改善用組成物中の有効成分である非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンを1日あたり1~15mgを1回又は数回に分けて摂取する形態とすることが好ましい。
【実施例
【0052】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0053】
実施例では、非変性プロテオグリカンと非変性コラーゲンの質量比と関節痛改善効果の相関関係を調べた。
【0054】
1.被験者
被験者は、1ヵ月以上持続して軽度の膝関節痛等を有し、変形性膝関節症にて通院及び投薬を受けていない40歳以上75歳未満の成人男女各25名、合計50名を対象とした。
【0055】
2.製品の製造
生の鮭から鼻軟骨を摘出し冷凍保存したものに、アルカリ抽出溶媒を加え、得た中間生成物を遠心分離機により非変性プロテオグリカン及び非変性II型コラーゲンに分離した。
その後、不純物を除去するフィルタ処理行い、その後、スプレードライ工程をすることにより非変性プロテオグリカン粉末及び非変性II型コラーゲン粉末を得た。
【0056】
この非変性プロテオグリカン粉末及び非変性II型コラーゲン粉末に結晶セルロース、ステアリン酸Ca、微粒酸化ケイ素等の賦形剤を加え、造粒し、得られた顆粒をカプセル加工することで1錠あたり200mgのカプセル型の製品1~4を製造した。
【0057】
製品1~4(1錠 200mg)に含まれる非変性プロテオグリカンと非変性II型コラーゲン(計15mg)の成分組成を表1に示した。
なお、製品Pは非変性プロテオグリカンと非変性II型コラーゲンを含まないプラセボ製品(1錠 200mg)である。
【0058】
【表1】
【0059】
なお、製品中の非変性プロテオグリカンについては高速液体クロマトグラフィ装置(島津製作所、カラムTSK-GEL G4000PWXL)を用いて定量を行った。また、製品中の非変性プロテオグリカンを示すピークの定量値から、製品中の非変性プロテオグリカンの平均分子量が90万Da以上であることを確認した。
【0060】
また、製品中の非変性II型コラーゲンについてはELISA法を用いて定量を行った。
さらに、別途アガロース電気泳動処理に施し、製品中のコラーゲンの分子量が非変性II型コラーゲンの分子量である30万Da~40万Daの範囲内にあることを確認した。
【0061】
3.検査方法
被験者男女各5名計10名を1群として5つの被験者群に分け、各被験者群は製品1~4、製品Pのいずれか一種類を1日1回、就寝前に1錠ずつ、コップ1杯の水とともに摂取した。
【0062】
(自覚症状アンケート調査)
膝の関節痛評価方法は、Visual analogue scale(以下、VAS)による膝の痛みの程度に関して、試験開始時の痛みを最高得点部分(100%)とし、最低得点部分(0%)を「全く痛くない」に設定し、「安静時の左膝の痛み」、「安静時の右膝の痛み」、「通常歩行時の左膝の痛み」、「通常歩行時の右膝の痛み」、「階段昇降時の左膝の痛み」、「階段昇降時の右膝の痛み」、「総合評価」の7項目についてアンケート調査を実施し、試験製品摂取の影響を観察した。
【0063】
4.結果
結果を図1~7に示す。
製品1を摂取した被験者群は6週経過時において、他の製品を摂取した被験者群と比較して関節痛の顕著な改善が認められた。製品2、3を摂取した被験者群は6週経過時において、他の製品を摂取した被験者群と比較して関節痛の有意な改善が認められた。また、製品2、3は同程度の関節痛改善効果を有していることが認められる。
【0064】
5.考察
以上の結果により、非変性プロテオグリカンと非変性II型コラーゲンとを特定の質量比で含む本発明の関節痛改善剤は、優れた膝関節痛改善効果を有する。特に、非変性プロテオグリカンと非変性II型コラーゲンを5:10の質量比で含む製品(製品1)は優れた膝関節痛改善効果を有していた。さらに製品1は長期間投与し続けても効果が薄れないという効果の反復継続性を有していた。
【0065】
また、非変性プロテオグリカンと非変性II型コラーゲンを6:10の質量比で含む製品(製品2)、4:10の質量比で含む製品(製品3)の関節痛改善効果が同等であるという結果から、製品1の関節痛改善効果を極大として、非変性プロテオグリカンと非変性II型コラーゲンを一定の範囲の割合で含む関節痛改善剤にも有意な関節痛改善効果があるといえる。すなわち、非変性プロテオグリカンと非変性II型コラーゲンを3:10~7:10の質量比で含む関節痛改善剤にも有意な関節痛改善効果が望める。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明はサプリメントに応用できる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7