(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
B66B 29/04 20060101AFI20240509BHJP
B66B 23/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B66B29/04 J
B66B23/00 C
(21)【出願番号】P 2023115769
(22)【出願日】2023-07-14
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 翔太郎
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-001853(JP,A)
【文献】実開平01-090774(JP,U)
【文献】実開平02-141036(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00 - 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に乗降口が並設された一対の乗客コンベア本体と、
一対の前記乗客コンベア本体の前記乗降口に、前後方向に延びた左右一対の上枠材が左右方向に対向するように並設された上枠対向部と、
前記上枠対向部に対して着脱可能に設けられた受台と、
前記受台の上に設けられた乗降板と、
並設された前記乗降口の間における前記乗降板の上に配され前記受台に固定されている誘導柵と、
を
備え、
前記上枠対向部は、左右方向に対向する前記上枠材の間に形成された隙間を有し、
前記受台は、前記上枠対向部の上側に配置された上部材と、前記上枠対向部の下側に配置された下部材と、前記上部材と前記下部材とで前記上枠対向部を挟持するように前記隙間を通って前記上部材と前記下部材とを連結する連結部材とを備える、乗客コンベア。
【請求項2】
左右方向に乗降口が並設された一対の乗客コンベア本体と、
一対の前記乗客コンベア本体の前記乗降口に、前後方向に延びた左右一対の上枠材が左右方向に対向するように並設された上枠対向部と、
前記上枠対向部に対して着脱可能に設けられた受台と、
前記受台の上に設けられた乗降板と、
並設された前記乗降口の間における前記乗降板の上に配され前記受台に固定されている誘導柵と、
を
備え、
前記上枠対向部を構成する左右一対の前記上枠材の上側に設けられた左右一対の乗降板支持部と、左右一対の前記乗降板支持部にそれぞれ設けられた上下方向に延びる突出部と、前記上枠対向部を構成する左右一対の前記上枠材を連結する上枠連結部材とを備え、
前記上枠連結部材は、上下方向に貫通する貫通孔を備え、前記貫通孔に前記突出部が挿入されて前後方向及び左右方向の移動が規制され、
前記受台が前記上枠連結部材に固定されている、乗客コンベア。
【請求項3】
前記上部材と前記上枠対向部との間に設けられた調整板を備える、請求項
1に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記受台と前記上枠連結部材との間に設けられた調整板を備える、請求項
2に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
左右方向に乗降口が並設された一対の乗客コンベア本体と、
一対の前記乗客コンベア本体の前記乗降口に、前後方向に延びた左右一対の上枠材が左右方向に対向するように並設された上枠対向部と、
前記上枠対向部に対して着脱可能に設けられた受台と、
前記受台の上に設けられた乗降板と、
並設された前記乗降口の間における前記乗降板の上に配され前記受台に固定されている誘導柵と、
を
備え、
前記上枠対向部に設けられた複数の前記受台と、複数の前記受台を連結する受台連結部とを備え、前記受台連結部を介して前記誘導柵が前記受台に固定されている、乗客コンベア。
【請求項6】
前記下部材は、前記隙間に嵌まり前記連結部材を中心に前記下部材が回転するのを規制する回転規制部を備える、請求項
1に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記上枠連結部材の前端に開口し、一方の前記乗客コンベア本体の前記乗降板支持部に設けられた前記突出部が挿入される第1貫通孔と、前記上枠連結部材の後端に開口し、他方の前記乗客コンベア本体の前記乗降板支持部に設けられた前記突出部が挿入される第2貫通孔とを備える、請求項
2に記載の乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアの設置形態として、複数台の乗客コンベア本体を左右方向に並設する形態が知られている。このような設置形態の乗客コンベアでは、乗客を安全に乗客コンベア本体に案内するため、左右方向に隣り合う乗客コンベア本体の乗降口の間に誘導柵が設けられている。
【0003】
誘導柵は、乗客コンベアの本体のトラス上部にある上枠材の上面に脚部を溶接することによって固定されている。そのため、誘導柵の交換が困難であり、既設の乗客コンベアの改造工事において溶接作業ができず誘導柵を取り付けることができない場合もある。
【0004】
また、左右方向に隣り合う乗客コンベア本体の乗降口の間に設けられた乗降板に誘導柵を固定することで、誘導柵の取り付け作業を容易にすることができるが、利用者が寄りかかったりして誘導柵に力が作用すると、乗降板が破損したり変形したりするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の事情に鑑み、左右方向に隣り合う乗客コンベア本体の乗降口の間に誘導柵を強固にかつ簡単に設けることができる乗客コンベア及び乗客コンベアの製造方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る乗客コンベアは、左右方向に乗降口が並設された一対の乗客コンベア本体と、一対の前記乗客コンベア本体の前記乗降口に、前後方向に延びた左右一対の上枠材が左右方向に対向するように並設された上枠対向部と、前記上枠対向部に対して着脱可能に設けられた受台と、前記受台の上に設けられた乗降板と、並設された前記乗降口の間における前記乗降板の上に配され前記受台に固定されている誘導柵と、を備え、前記上枠対向部は、左右方向に対向する前記上枠材の間に形成された隙間を有し、前記受台は、前記上枠対向部の上側に配置された上部材と、前記上枠対向部の下側に配置された下部材と、前記上部材と前記下部材とで前記上枠対向部を挟持するように前記隙間を通って前記上部材と前記下部材とを連結する連結部材とを備えるものである。
【0008】
実施形態に係る乗客コンベアは、左右方向に乗降口が並設された一対の乗客コンベア本体と、一対の前記乗客コンベア本体の前記乗降口に、前後方向に延びた左右一対の上枠材が左右方向に対向するように並設された上枠対向部と、前記上枠対向部に対して着脱可能に設けられた受台と、前記受台の上に設けられた乗降板と、並設された前記乗降口の間における前記乗降板の上に配され前記受台に固定されている誘導柵と、を備え、前記上枠対向部を構成する左右一対の前記上枠材の上側に設けられた左右一対の乗降板支持部と、左右一対の前記乗降板支持部にそれぞれ設けられた上下方向に延びる突出部と、前記上枠対向部を構成する左右一対の前記上枠材を連結する上枠連結部材とを備え、前記上枠連結部材は、上下方向に貫通する貫通孔を備え、前記貫通孔に前記突出部が挿入されて前後方向及び左右方向の移動が規制され、前記受台が前記上枠連結部材に固定されているものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態の乗客コンベア本体の左側から見た側面図
【
図2】乗客コンベアの上階側の一対の乗降口付近の平面図
【
図3】乗降板の一部を切り欠いて示す乗客コンベアの上階側の一対の乗降口付近の斜視図
【
図6】乗客コンベア本体の上階側の乗降口付近の断面図
【
図7】実施形態の変更例1の乗客コンベアにおける受台の側面図
【
図8】実施形態の変更例2の乗客コンベアの受台の斜視図
【
図9】実施形態の変更例2の乗客コンベアの受台の断面図
【
図10】実施形態の変更例2の乗客コンベアの受台の平面図
【
図11】実施形態の変更例3の乗客コンベアの受台の側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態の乗客コンベアについて
図1~
図6を参照して説明する。本実施形態の乗客コンベア1は、
図2及び
図3に示すように、左右方向に乗降口17L、17Rが並設された一対の乗客コンベア本体1R,1Lと、一対の乗客コンベア本体1R,1Lの乗降口の間に設けられた誘導柵70とを備える。
【0011】
なお、本実施形態では、乗客コンベア本体1R,1Lとして、多数の踏段30が上階側の乗降口17L、17Rと下階側の乗降口18L、18Rとの間で循環移動するエスカレータについて説明するが、本発明は、踏段が水平方向に移動する動く歩道に対しても適用することができる。
【0012】
また、一対の乗客コンベア本体1R,1Lは、上階側の乗降口17R,17Lが左右方向に並設され、下階側の乗降口18R,18Lが左右方向に並設されるように互いに平行に配置される場合や、一方の乗客コンベア本体の上階側の乗降口と、他方の乗客コンベア本体の下階側の乗降口が左右方向に並設され、上階方向あるいは下階方向に連続して乗り継げるように配置される場合など、上階側及び下階側のいずれかの乗降口が左右方向に近接して配置されている。
【0013】
以下の説明において、トラス2の長手方向を前後方向、幅方向を左右方向ということがある。また、前後方向や左右方向は上階Fuから下階Fdを見たときの方向を示し、下階側が前側、上階側が後側であるものとする。
【0014】
(1)乗客コンベア本体1R,1L
左側に設置されている乗客コンベア本体1Lの全体の構成について
図1~
図3を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、乗客コンベア本体1Lの枠組みであるトラス2Lが、建屋の上階Fuと下階Fdに跨がって支持アングル3,4を用いて支持されている。トラス2内には、無端状の踏段チェーン11によって連結された複数の踏段30が設けられている。
【0016】
図1に示すように、トラス2は、前後方向へ延びる左右一対の上枠材21と、上枠材21の下方において上枠材21と平行に延びる左右一対の下枠材22とを備える。またトラス2は、上階側及び下階側の両端部に、上枠材21と下枠材22とを連結する縦枠材23と、左右一対の上枠材21を連結すると共に左右一対の下枠材22を連結する横枠材24(
図2、
図3参照)とを備える。
図1では上枠材21と下枠材22の前端部と後端部における縦枠材23のみを示し、他は省略しているが、縦枠材23は乗客コンベアの前後方向に沿って所定間隔毎に設けられている。
【0017】
トラス2の上端部にある上階側の機械室5内部には、踏段30を走行させる駆動装置6と、左右一対の駆動スプロケット7と、左右一対の手摺ベルトスプロケット(不図示)と、駆動装置6などを制御する制御部16が設けられている。
【0018】
駆動装置6は、誘導電動機(インダクションモータ)よりなるモータと、減速機と、この減速機の出力軸に取り付けられた出力スプロケットと、この出力スプロケットにより駆動する駆動チェーン8と、モータの回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスクブレーキとを有している。この駆動チェーン8により左右一対の駆動スプロケット7が回転する。左右一対の駆動スプロケット7と左右一対の手摺ベルトスプロケットとは、不図示の連結ベルトにより連結されて同期して回転する。
【0019】
トラス2の下端部にある下階側の機械室9内部には、左右一対の従動スプロケット10が設けられている。上階側の駆動スプロケット7と下階側の従動スプロケット10との間には、左右一対の無端の踏段チェーン11が掛け渡されている。トラス2の上には左右一対の欄干13が設けられている。欄干13には踏段30と同期して移動する手摺りベルト15が設けられている。
【0020】
図1に示すように、上階側の乗降口17Lには機械室5の上面を覆うように乗降板19Lが水平に設けられ、乗降板19Lの先端に複数の櫛歯が等間隔で突出するコムが設けられている。下階側の乗降口18には機械室9の上面を水平に覆うように乗降板20が設けられ、乗降板20の先端に複数の櫛歯が等間隔で突出するコムが設けられている。
【0021】
右側に設置されている乗客コンベア本体1Rは、上記で説明した左側に設置されている乗客コンベア本体1Lと同様の構成を有している。
【0022】
図2及び
図3に示すように、左側の乗客コンベア本体1Lと右側の乗客コンベア本体1Rは、上階側の乗降口17L、17Rが左右方向に並設されている。上階側の乗降口17L、17Rの間には、左側の乗客コンベア本体1Lの上枠材21Lと、右側の乗客コンベア本体1Rの上枠材21Rとが左右方向に隙間Sをあけて対向する上枠対向部40が形成されている。上枠対向部40には、受台50が着脱可能に取り付けられ、受台50に誘導柵70が固定されている。
【0023】
左側の乗客コンベア本体1Lの乗降口17Lに設けられた乗降板19Lと、右側の乗客コンベア本体1Rの乗降口17Rに設けられた乗降板19Rとに間には、上枠対向部40の上方を覆う中間乗降板19Mが設けられている。中間乗降板19Mの上面には誘導柵70が設けられている。誘導柵70は上枠対向部40に着脱可能に取り付けられた金属製の受台50に固定されている。中間乗降板19Mは、その左右両側に設けられた乗降板19L、19Rの表面と段差がないように形成され、ほぼ均一な平面形状に構成されている。
【0024】
(2)上枠対向部40
上枠対向部40は、
図4に示すように、乗降口17Lに配置された左側の乗客コンベア本体1Lの上枠材21Lと、乗降口17Rに配置された右側の乗客コンベア本体1Rの上枠材21Rと、上枠材21L、21Rの間に形成された前後方向に延びる隙間Sとを備える。
【0025】
上枠材21Lは、水平面を有する上面部21L1と、上面部21L1の側端部から下方に延びる側面部21L2とを有する前後方向に沿って延びる部材である。上面部21L1には乗降板支持部41Lが設けられている。
【0026】
乗降板支持部41Lは、例えば、金属板を折り曲げて形成された前後方向に延びる筒状体からなる。乗降板支持部41Lの上面に乗降板19L及び中間乗降板19Mが載置される。乗降板支持部41Lは、上枠材21Lの上面部21L1に設けられた台座42Lの上に上面部21L1から上方に間隔をあけて配置され、ボルトなどの締結具43Lによって上枠材21Lに固定されている。
【0027】
右側の乗客コンベア本体1Rの上枠材21Rは、上枠材21Lと同様、上面部21R1と側面部21R2とを有する前後方向に沿って延びる部材である。上面部21R1には乗降板支持部41Rが設けられ、乗降板支持部41Rの上面に乗降板19R及び中間乗降板19Mが載置される。
【0028】
乗降板支持部41Rも乗降板支持部41Lと同様、金属板を折り曲げて形成された前後方向に延びる筒状体からなり、上枠材21Rの上面部21R1に設けられた台座42Rの上に上面部21R1から上方に間隔をあけて配置され、ボルトなどの締結具43Rによって上枠材21Rに固定されている。
【0029】
(3)受台50
受台50は、
図4~
図6に示すように、上枠材21L、21Rの上面部21L1、21R1の上側と隙間Sの上側に設けられた金属製の上部材51と、上枠材21L、21Rの側面部21L2、21R2の下側の前部及び後部にそれぞれ設けられた下部材52、52と、隙間Sを通って上部材51と下部材52とを連結する連結部材53,53とを備える。
【0030】
上部材51は、左右の上枠材21L,21Rの上面部21L1,21R1を左右に架け渡すように設けられた平板状の上固定部51aと、上固定部51aの前後方向中央部に設けられた突出部51bとを備える。
【0031】
上固定部51aには連結部材53を挿通する穴部51cが設けられている。本実施形態では、突出部51bの前側及び後側に上固定部51aを上下方向に貫通する穴部51cがそれぞれ1つずつ設けられている。なお、穴部51cは、その周縁部が閉じた円形の穴であってもよく、また、上固定部51aの前端や後端に開口するスリット状の穴でもよい。
【0032】
突出部51bは、上固定部51aから上方へ突出し、頂部に平坦な取付部51dが形成されている。取付部51dは中間乗降板19Mが載置され中間乗降板19Mを支持する。また、取付部51dには、
図5に示すように、誘導柵70を固定するボルト71と螺合する雌ネジ部51eが設けられている。
【0033】
なお、取付部51dの上面と乗降板支持部41R,41Lの上面の高さが同じになるように、上固定部51aと左右の上枠材21L,21Rの上面部21L1,21R1との間に1枚又は複数枚の調整板54を設けてもよい。
【0034】
下部材52は、上枠材21L、21Rの側面部21L2、21R2の下端に当接する下金属製の下固定部52aと、下固定部52aから上方へ突出する金属製またはゴム製の回転規制部52bとを備える。
【0035】
下固定部52aは、左右方向の長さが隙間Sより長く、側面部21L2、21R2の下端を左右に架け渡すように設けられている。
【0036】
回転規制部52bは、左右方向の長さが隙間Sより短く設けられている。回転規制部52bは、下方から隙間Sに嵌まり込んで、取り付け時に下固定部52aが連結部材53を中心に回転するのを規制する。
【0037】
連結部材53は、下部材52から上方に突出する金属製の軸状の部材からなり、下端部が下部材52に固定され、上端部に雄ネジ部53aが設けられている。連結部材53の雄ネジ部53aは、上部材51の穴部51cに挿通され、上固定部51aの上側においてナット55と螺合する。
【0038】
このような受台50の取り付け方法としては、上枠材21L,21Rの上側に上部材51を設け、上枠材21L,21Rの下側に下部材52を設け、下部材52から上方へ突出する連結部材53を上部材の穴部51cに挿通した後、雄ネジ部53aにナット55を螺合する。これにより、上部材51の上固定部51aと下部材52の下固定部52aとが上枠材21L,21Rを上下方向から挟み込み、上枠対向部40に受台50を固定することができる。
【0039】
(4)誘導柵70
図1~
図3、
図6に示すように、誘導柵70は、金属管を折り曲げたもので前後方向に延びる水平部70aと、水平部70aの前端及び後端に設けられた脚部70b、70bとを有する。前側の脚部70bの下端には平面形状が長方形の固定板が設けられ、この固定板は中間乗降板19Mの上に設けられ、誘導柵70の設置前に中間乗降板19Mを挟んで、予め上枠材21L,21Rに取り付けた受台50の雌ネジ部51eにボルト71で固定されている。
【0040】
また、後側の脚部70bは建屋の床面に設けられた不図示のアンカーボルトによって固定されている。
【0041】
なお、ここでは、後側の脚部70bを建屋の床面に対して固定したが、前側の脚部70bと同様、中間乗降板19Mの上に設け、受台50に対して固定してもよい。
【0042】
(5)効果
本実施形態の乗客コンベア1では、上枠材21L,21Rからなる上枠対向部40に着脱可能な受台50に誘導柵70が固定されているため、溶接作業を要することなく誘導柵70を設置することができ、誘導柵70を容易に取り外したり、再び容易に設置したりすることもできる。
【0043】
また、受台50を上枠材21L、21Rに固定することで、誘導柵70から乗降板20Mに作用する力を軽減でき、特に、誘導柵70に乗客が寄りかかって上に持ち上げる力が発生した場合でも上枠材21L、21Rの側面部21L2、21R2の下端を左右に架け渡すように下固定部52aが設けられているため、強度を保持でき、また、誘導柵70が傾かず乗降板20Mの破損と変形を防止できる。
【0044】
また、誘導柵70と、受台50とは簡単に着脱可能であり、受台50と上枠材21L、21Rも着脱可能である。
【0045】
また、誘導柵70は、既設の乗客コンベア1の改造工事に限らず、新設の乗客コンベア1の施工工事で設けてもよい。
【0046】
また、受台50と上枠材21L,21Rとの間に調整板54を用いることにより、受台50の取付部51dと乗降板支持部41R,41Lの上面の高さを容易に同じ高さにすることができ、乗降板19L,19Rと中間乗降板19Mとを段差無く乗降口17L,17Rに設置することができる。
【0047】
また、受台50の下部材52には、上枠材21L,21Rとで形成された隙間Sに嵌まり、連結部材53の周りに下部材52が回転するのを規制する回転規制部52bが設けられている。そのため、連結部材53の雄ネジ部53aにナット55を螺合する際に連結部材53が回転せず、受台50を上枠材21L,21Rに確実に取り付けることができる。
【0048】
(6)変更例
上記した実施形態の変更例を説明する。上記した実施形態に対して、以下に説明する複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、以下に説明する変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。なお、以下の変更例の他にも様々な変更が可能である。
【0049】
(6-1)変更例1
上記した実施形態では、受台50の突出部51bの前側及び後側にそれぞれ1箇所ずつ穴部51cを設け、連結部材53によって下部材52と連結したが、
図7に例示するように、突出部51bの前側及び後側にそれぞれ複数箇所(
図7では前後2個ずつ)ずつ穴部51cを設け、下部材52と複数の連結部材53で連結してもよい。
【0050】
(6-2)変更例2
上記した実施形態では、上部材51と下部材52とで上枠材21L,21Rを上下に挟み込んで上枠対向部40に受台50を固定したが、上枠材21L,21Rの上側に設けた上枠連結部材60A,60Bに受台50を固定することで、受台50を上枠対向部40に固定してもよい。
【0051】
具体的には、
図8~
図10に示すように、上枠連結部材60A,60Bは、上枠材21L,21Rの上側に隙間Sを跨いで左右の上枠材21L,21Rを連結するように配置された平面形状が長方形の金属製の板部材からなり、受台50の前側に設けられた前側の上枠連結部材60Aと、受台50の後側に設けられた後側の上枠連結部材60Bとから構成されている。
【0052】
上枠連結部材60A,60Bは、左右両端部にそれぞれ上下方向に貫通する貫通孔61AL,61AR、61BL、61BRが設けられ、左右方向中央部に雌ネジ部62A,62Bが設けられている。
【0053】
前側の上枠連結部材60Aの左側に設けられた貫通孔61ALは、上枠連結部材60Aの前端及び後端の一方(例えば前端)に開口するスリット状の孔からなり、上枠連結部材60Aの右側に設けられた貫通孔61ARは上枠連結部材60Aの前端及び後端の他方(例えば後端)に開口するスリット状の孔からなる。つまり、上枠連結部材60Aの貫通孔61ARは貫通孔61ALと前後逆側に開口するスリット状の孔からなる。
【0054】
また、後側の上枠連結部材60Bの左側に設けられた貫通孔61BLは、上枠連結部材60Bの前端及び後端の一方(例えば後端)に開口するスリット状の孔からなり、上枠連結部材60Bの右側に設けられた貫通孔61BRは上枠連結部材60Bの前端及び後端の他方(例えば前端)に開口するスリット状の孔からなる。つまり、上枠連結部材60Bの貫通孔61BRは貫通孔61BLと前後逆側に開口するスリット状の孔からなる。
【0055】
なお、
図10に示すように、後側の上枠連結部材60Bに設けられた貫通孔61BL、61BRは、前側の上枠連結部材60Aに設けられた貫通孔61BL、61BRと前後逆向きに開口するスリット状の孔となっていることが好ましい。
【0056】
つまり、後側の上枠連結部材60Bの左側に設けられた貫通孔61BLは、前側の上枠連結部材60Aの左側に設けられた貫通孔61ALと前後逆側(例えば後端)に開口するスリット状の孔からなり、後側の上枠連結部材60Bの右側に設けられた貫通孔61BRは、前側の上枠連結部材60Aの右側に設けられた貫通孔61ARと前後逆側(例えば前端)に開口するスリット状の孔からなる。
【0057】
上枠連結部材60A、60Bの左側に設けられた貫通孔61AL、61BLには、左側の乗客コンベア本体1Lの乗降板支持部41Lに設けられた上下方向に延びる突出部43Lが挿入される。上枠連結部材60A、60Bの右側に設けられた貫通孔61AR、61BRには、右側の乗客コンベア本体1Rの乗降板支持部41Rに設けられた上下方向に延びる突出部43Rが挿入されている。貫通孔61AL,61AR、61BL、61BRに突出部43L,43Rを挿入することで、上枠連結部材60A,60Bは前後方向及び左右方向への移動が規制されている。
【0058】
このような本変更例において、上枠対向部40に受台50を取り付けるには、まず、上枠連結部材60A,60Bを上下方向の軸周りに回転させながら、貫通孔61AL,61AR、61BL、61BRに突出部43L,43Rを挿通し、左右の上枠材21L,21Rの上面部21L1、21R1を繋ぐように上枠連結部材60A,60Bを配置する。
【0059】
そして、上枠材21L,21Rの上面部21L1、21R1に設けられた上枠連結部材60A,60Bの雌ネジ部62A、62Bに、受台50の上固定部51aに設けられた穴部51cを通したボルト63を螺合して上枠連結部材60A,60Bに受台50を固定する。
【0060】
なお、本変更例において、取付部51dの上面と乗降板支持部41R,41Lの上面の高さが同じになるように、上部材51の上固定部51aと上枠連結部材60A,60Bとの間に1枚又は複数枚の調整板64を設けてもよい。
【0061】
本変更例では、上枠材21L,21Rの側面部21L2、21R2の下側に部材を配置することなく、上面部21L1,21R1の上側に配置した上枠連結部材60A,60Bによって受台50を固定することができるため、受台50の取り付け作業がさらに容易となる。
【0062】
また、上枠連結部材60A,60Bの左端部に設けた貫通孔61AL、61BLと、右端部に設けた貫通孔61AR、61BRとが互いに前後逆側に開口しているため、上枠連結部材60A,60Bが前後方向にズレることを防ぐことができる。
【0063】
なお、上枠連結部材60A,60Bの貫通孔61AL,61AR、61BL、61BRに挿入する突出部43L、43Rは、乗降板支持部41に設けられた上下方向に延びる部材であれば何でもよい。例えば、
図9に示すように、乗降板支持部41L,41Rを上枠材21L,21Rの上面部21L1,21R1に固定する締結具43L,43Rを突出部として貫通孔61AL,61AR、61BL、61BRに挿入してもよい。
【0064】
(6-3)変更例3
上記した実施形態では、誘導柵70の脚部70bを受台50の突出部51bにボルト71によって直接固定したが、
図11に例示するように、上枠対向部40を構成する上枠材21L,21Rの上側に、複数の受台50と複数の受台50に固定された受台連結部58を設け、誘導柵70の脚部70bをボルト71で受台連結部58に固定してもよい。
【0065】
本変更例では、誘導柵70の脚部70bを設ける位置の下方に受台50を配置するスペースがない場合であっても、受台連結部58を介して誘導柵70の脚部70bを固定することができる。
【0066】
なお、本変更例において、受台連結部58の上面と乗降板支持部41R,41Lの上面の高さが同じになるように、受台50の取付部50dと受台連結部58との間に1枚又は複数枚の調整板59を設けてもよい。
【0067】
(6-4)その他
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1…乗客コンベア、1R…乗客コンベア本体、1L…乗客コンベア本体、2…トラス、17…乗降口、18…乗降口、19L…乗降板、19R…乗降板、19M…中間乗降板、20L…乗降板、20M…乗降板、21…上枠材、21L1…上面部、21L2…側面部、22…下枠材、40…上枠対向部、41…乗降板支持部、50…受台、51…上部材、51a…上固定部、51b…突出部、51c…穴部、51d…取付部、51e…雌ネジ部、52…下部材、53…連結部材、54…調整板、55…ナット、58…受台連結部、59…調整板、60…上枠連結部材、61…貫通孔、62…雌ネジ部、64…調整板、70…誘導柵
【要約】 (修正有)
【課題】左右方向に隣り合う乗客コンベア本体の乗降口の間に誘導棚を強固にかつ簡単に設けることができる乗客コンベア及び乗客コンベアの製造方法を提供する。
【解決手段】乗客コンベアは、左右方向に乗降口が並設された一対の乗客コンベア本体1L,1Rと、一対の乗客コンベア本体1L,1Rの乗降口に、前後方向に延びた左右一対の上枠材21L,21Rが左右方向に対向するように並設された上枠対向部と、上枠対向部に対して着脱可能に設けられた受台50と、受台50の上に設けられた乗降板19L,19Rと、並設された乗降口の間における乗降板の上に配され受台50に固定されている誘導柵70と、を具備する。
【選択図】
図3