(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】表示基板及びその製作方法並びに表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240509BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240509BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240509BHJP
【FI】
G09F9/00 338
G09F9/30 309
G09F9/30 308D
G09F9/30 365
H10K59/10
(21)【出願番号】P 2021572441
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(86)【国際出願番号】 CN2019124499
(87)【国際公開番号】W WO2021114128
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】511121702
【氏名又は名称】成都京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1188,Hezuo Rd.,(West Zone),Hi-tech Development Zone,Chengdu,Sichuan,611731,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】顧 品超
(72)【発明者】
【氏名】黄 ウェイ贇
(72)【発明者】
【氏名】蒋 鼕華
(72)【発明者】
【氏名】趙 吾陽
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-092665(JP,A)
【文献】国際公開第2010/038514(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0214600(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110164916(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110429118(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板の製作方法であって、
前記表示基板は、表示領域と、バリア壁設置領域と、開孔領域とを含み、前記表示領域は、前記バリア壁設置領域を取り囲み、前記バリア壁設置領域は、前記開孔領域を取り囲み、前記製作方法は、
初期バリア壁が保護層に覆われた状態で前記表示基板の発光デバイスを形成するための第1電極材料層をエッチングして第1電極を形成した後、前記バリア壁設置領域の保護層を除去して、前記保護層に覆われていた初期バリア壁を少なくとも一周露出させるステップであって、前記初期バリア壁は、前記開孔領域を取り囲んで設置されるステップと、
前記少なくとも一周の初期バリア壁をエッチングして、少なくとも1つの側面にノッチが形成されているバリア壁を少なくとも一周形成するステップとをこの順に含むことを特徴とする表示基板の製作方法。
【請求項2】
前記バリア壁設置領域の初期バリア壁を覆う保護層を除去する前に、前記製作方法は、前記バリア壁設置領域に前記開孔領域を取り囲む少なくとも一周の前記初期バリア壁を形成するステップと、
前記初期バリア壁を覆う保護層を形成するステップと
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の表示基板の製作方法。
【請求項3】
前記製作方法は、
前記初期バリア壁を形成すると同時に、前記表示基板の導電性パターンを形成するステップであって、前記導電性パターンは、前記初期バリア壁と同じ膜層を用いて形成されるステップを更に含むことを特徴とする請求項2に記載の表示基板の製作方法。
【請求項4】
前記初期バリア壁及び前記導電性パターンを形成するステップは、
前記表示基板のベース基板の第1側に第1金属材料層を形成し、前記第1金属材料層の前記ベース基板から遠い側に第2金属材料層を形成するステップと、
前記第1金属材料層及び前記第2金属材料層に対して第1エッチングを行って、前記導電性パターン及び前記初期バリア壁を形成するステップと
を含むことを特徴とする請求項3に記載の表示基板の製作方法。
【請求項5】
前記少なくとも一周の初期バリア壁をエッチングして、少なくとも一周のバリア壁を形成するステップは、
前記初期バリア壁をウェットエッチングするステップであって、使用するエッチング液の前記第1金属材料層に対するエッチング速度は、前記第2金属材料層に対するエッチング速度よりも大きく、これにより前記ノッチが形成されるステップを含むことを特徴とする請求項4に記載の表示基板の製作方法。
【請求項6】
前記初期バリア壁及び前記導電性パターンを形成するステップは、
前記表示基板のベース基板の第1側に第3金属材料層と、第1金属材料層と、第2金属材料層とを順次形成するステップと、
前記第3金属材料層、第1金属材料層及び第2金属材料層に対して第1エッチングを行って、前記導電性パターン及び前記初期バリア壁を形成するステップと
を含むことを特徴とする請求項3に記載の表示基板の製作方法。
【請求項7】
前記少なくとも一周の初期バリア壁をエッチングして、少なくとも一周のバリア壁を形成するステップは、
前記初期バリア壁をウェットエッチングするステップであって、使用するエッチング液の前記第1金属材料層に対するエッチング速度は、前記第2金属材料層に対するエッチング速度及び前記第3金属材料層に対するエッチング速度よりも大きく、これにより前記ノッチが形成されるステップを含むことを特徴とする請求項6に記載の表示基板の製作方法。
【請求項8】
前記第1エッチングは、ドライエッチングであることを特徴とする請求項4又は6に記載の表示基板の製作方法。
【請求項9】
前記バリア壁設置領域の前記保護層を除去するステップは、
前記第1電極が形成されている表示基板上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用して前記フォトレジストを露光するステップであって、前記マスク板は、前記バリア壁設置領域に対応する光透過パターンを含むステップと、
現像後に前記バリア壁設置領域のフォトレジストを除去するステップと、
残りのフォトレジストをマスクとして、前記バリア壁設置領域の前記保護層をドライエッチングし、前記バリア壁設置領域の前記保護層を除去して、前記初期バリア壁を露出させるステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の表示基板の製作方法。
【請求項10】
前記マスク板は、前記開孔領域に対応する光透過パターンを更に含み、現像後に前記バリア壁設置領域のフォトレジストを除去すると同時に、前記開孔領域のフォトレジストも除去することを特徴とする請求項9に記載の表示基板の製作方法。
【請求項11】
前記初期バリア壁を形成すると同時に、前記表示基板の導電性パターンを形成するステップは、
前記初期バリア壁を形成すると同時に、前記表示基板の第1ソースドレイン金属層パターンを形成するステップ、又は
前記初期バリア壁を形成すると同時に、前記表示基板の第2ソースドレイン金属層パターンを形成するステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の表示基板の製作方法。
【請求項12】
前記初期バリア壁を覆う保護層を形成するステップは、
前記初期バリア壁を覆うパッシベーション層又は平坦化層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の表示基板の製作方法。
【請求項13】
前記少なくとも一周のバリア壁を形成した後、前記方法は、
前記発光デバイスの有機機能層を形成するステップであって、前記有機機能層は、前記バリア壁の前記ノッチがある側面で切り離されているステップと、
前記発光デバイスの第2電極を形成するステップと、
前記発光デバイスが形成されている表示基板を覆う封止薄膜層を形成するステップと
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の表示基板の製作方法。
【請求項14】
レーザー切断又は機械的スタンピングによって前記開孔領域を形成することを特徴とする請求項13に記載の表示基板の製作方法。
【請求項15】
表示基板であって、
前記表示基板は、表示領域と、バリア壁設置領域と、開孔領域とを含み、
前記表示領域は、前記バリア壁設置領域を取り囲み、
前記バリア壁設置領域は、前記開孔領域を取り囲み、前記バリア壁設置領域に前記開孔領域を取り囲む少なくとも一周のバリア壁が設置されており、前記バリア壁の少なくとも1つの側面にノッチが形成されており、
前記バリア壁は、
前記表示基板のベース基板の第1側に位置する第1金属パターンと、
前記第1金属パターンの前記ベース基板から遠い側に位置する第2金属パターンと
前記ベース基板の前記第1側に位置する第3金属パターンと
を含み、
前記第1金属パターンの前記ベース基板上の正投影は、前記第2金属パターンの前記ベース基板上の正投影内に位置し、これにより前記ノッチが形成され、
前記第1金属パターンは、前記第3金属パターンの前記ベース基板から遠い側に位置し、前記第1金属パターンの前記ベース基板上の正投影は、前記第3金属パターンの前記ベース基板上の正投影内に位置
し、
前記第2金属パターンの前記ベース基板上の正投影は、前記第3金属パターンの前記ベース基板上の正投影内に位置することを特徴とする
表示基板。
【請求項16】
前記表示基板は封止層、第2封止層及び第3封止層で覆われており、
前記封止層は、前記バリア壁の前記開孔領域に近い側まで延在し、前記第2封止層は、前記バリア壁の前記表示領域に近い側で終端することを特徴とする請求項15に記載の表示基板。
【請求項17】
前記第1金属パターンの厚さは、前記第2金属パターンの厚さ及び前記第3金属パターンの厚さよりも大きいことを特徴とする請求項
15に記載の表示基板。
【請求項18】
前記第1金属パターンの厚さは、150nm~900nmであり、前記第2金属パターンの厚さは、30nm~300nmであり、前記第3金属パターンの厚さは、30nm~300nmであることを特徴とする請求項
17に記載の表示基板。
【請求項19】
前記第1金属パターンの材料は、アルミニウム又は銅を含み、
前記第2金属パターンの材料は、チタン又はモリブデンを含むことを特徴とする請求項
15に記載の表示基板。
【請求項20】
前記ノッチの開口方向は、前記表示基板のベース基板に平行であることを特徴とする請求項15に記載の表示基板。
【請求項21】
画像センサ及び/又は赤外線センサを更に含み、前記画像センサ及び/又は赤外線センサは、前記表示基板のベース基板に結合され、且つ前記ベース基板上の正投影は前記開孔領域と少なくとも部分的に重なることを特徴とする請求項15に記載の表示基板。
【請求項22】
表示装置であって、
請求項15から
21のいずれか一項に記載の表示基板を含むことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示技術分野に関し、特に、表示基板及びその製作方法並びに表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、表示デバイスの表示スクリーンは、大型スクリーン化及びフルスクリーン化の方向に向かって発展している。通常、表示デバイス(例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ等)は、撮像装置(又はイメージング装置)を有し、該撮像装置は、通常、表示スクリーンの表示領域の外側に設置されている。しかしながら、撮像装置の装着には一定の位置を必要とするため、表示スクリーンのフルスクリーン化及び狭額縁デザインに不利である。例えば、撮像装置を表示スクリーンの表示領域と一緒にして、表示領域に撮像装置用の位置を予め残しておくことで、表示スクリーンの表示領域の最大化を実現できる。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態は、表示基板の製作方法を提供する。前記表示基板は、表示領域と、バリア壁設置領域と、開孔領域とを含み、前記表示領域は、前記バリア壁設置領域を取り囲み、前記バリア壁設置領域は、前記開孔領域を取り囲み、前記製作方法は、前記表示基板の発光デバイスの第1電極を形成した後、前記バリア壁設置領域の保護層を除去して、前記保護層に覆われていた初期バリア壁を少なくとも一周露出させるステップであって、前記初期バリア壁は、前記開孔領域を取り囲んで設置されるステップと、前記少なくとも一周の初期バリア壁をエッチングして、少なくとも1つの側面にノッチが形成されているバリア壁を少なくとも一周形成するステップであって、前記バリア壁のステップとを含む。
【0004】
任意選択的に、前記バリア壁設置領域の初期バリア壁を覆う保護層を除去する前に、前記製作方法は、前記バリア壁設置領域に前記開孔領域を取り囲む少なくとも一周の前記初期バリア壁を形成するステップと、前記初期バリア壁を覆う保護層を形成するステップとを更に含む。
【0005】
任意選択的に、前記製作方法は、前記初期バリア壁を形成すると同時に、前記表示基板の導電性パターンを形成するステップであって、前記導電性パターンは、前記初期バリア壁と同じ膜層を用いて形成されるステップを更に含む。
【0006】
任意選択的に、前記初期バリア壁及び前記導電性パターンを形成するステップは、前記表示基板のベース基板の第1側に第1金属材料層を形成し、前記第1金属材料層の前記ベース基板から遠い側に第2金属材料層を形成するステップと、前記第1金属材料層及び前記第2金属材料層に対して第1エッチングを行って、前記導電性パターン及び前記初期バリア壁を形成するステップとを含む。
【0007】
任意選択的に、前記少なくとも一周の初期バリア壁をエッチングして、少なくとも一周のバリア壁を形成するステップは、前記初期バリア壁をウェットエッチングするステップであって、使用するエッチング液の前記第1金属材料層に対するエッチング速度は、前記第2金属材料層に対するエッチング速度よりも大きく、これにより前記ノッチが形成されるステップを含む。
【0008】
任意選択的に、前記初期バリア壁及び前記導電性パターンを形成するステップは、前記表示基板のベース基板の第1側に第3金属材料層と、第1金属材料層と、第2金属材料層とを順次形成するステップと、前記第3金属材料層、第1金属材料層及び第2金属材料層に対して第1エッチングを行って、前記導電性パターン及び前記初期バリア壁を形成するステップとを含む。
【0009】
任意選択的に、前記少なくとも一周の初期バリア壁をエッチングして、少なくとも一周のバリア壁を形成するステップは、前記初期バリア壁をウェットエッチングするステップであって、使用するエッチング液の前記第1金属材料層に対するエッチング速度は、前記第2金属材料層に対するエッチング速度及び前記第3金属材料層に対するエッチング速度よりも大きく、これにより前記ノッチが形成されるステップを含む。
【0010】
任意選択的に、前記第1エッチングは、ドライエッチングである。
【0011】
任意選択的に、前記バリア壁設置領域の前記保護層を除去するステップは、前記第1電極が形成されている表示基板上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用して前記フォトレジストを露光するステップであって、前記マスク板は、前記バリア壁設置領域に対応する光透過パターンを含むステップと、現像後に前記バリア壁設置領域のフォトレジストを除去するステップと、残りのフォトレジストをマスクとして、前記バリア壁設置領域の前記保護層をドライエッチングし、前記バリア壁設置領域の前記保護層を除去して、前記初期バリア壁を露出させるステップとを含む。
【0012】
任意選択的に、前記マスク板は、前記開孔領域に対応する光透過パターンを更に含み、現像後に前記バリア壁設置領域のフォトレジストを除去すると同時に、前記開孔領域のフォトレジストも除去する。
【0013】
任意選択的に、前記初期バリア壁を形成すると同時に、前記表示基板の導電性パターンを形成するステップは、前記初期バリア壁を形成すると同時に、前記表示基板の第1ソースドレイン金属層パターンを形成するステップ、又は前記初期バリア壁を形成すると同時に、前記表示基板の第2ソースドレイン金属層パターンを形成するステップを含む。
【0014】
任意選択的に、前記初期バリア壁を覆う保護層を形成するステップは、前記初期バリア壁を覆うパッシベーション層又は平坦化層を形成するステップを含む。
【0015】
任意選択的に、前記少なくとも一周のバリア壁を形成した後、前記方法は、前記発光デバイスの有機機能層を形成するステップであって、前記有機機能層は、前記バリア壁の前記ノッチがある側面で切り離されているステップと、前記発光デバイスの第2電極を形成するステップと、前記発光デバイスが形成されている表示基板を覆う封止薄膜層を形成するステップとを更に含む。
【0016】
任意選択的に、レーザー切断又は機械的スタンピングによって前記開孔領域を形成する。
【0017】
本開示の実施形態は、上記のような製作方法によって製作される表示基板を提供する。前記表示基板は、表示領域と、バリア壁設置領域と、開孔領域とを含み、前記表示領域は、前記バリア壁設置領域を取り囲み、前記バリア壁設置領域は、前記開孔領域を取り囲み、前記バリア壁設置領域に前記開孔領域を取り囲む少なくとも一周のバリア壁が設置されており、前記バリア壁の少なくとも1つの側面にノッチが形成されている。
【0018】
任意選択的に、前記バリア壁は、前記表示基板のベース基板の第1側に位置する第1金属パターンと、前記第1金属パターンの前記ベース基板から遠い側に位置する第2金属パターンとを含み、前記第1金属パターンの前記ベース基板上の正投影は、前記第2金属パターンの前記ベース基板上の正投影内に位置し、これにより前記ノッチが形成される。
【0019】
任意選択的に、前記バリア壁は、前記ベース基板の前記第1側に位置する第3金属パターンを更に含み、前記第1金属パターンは、前記第3金属パターンの前記ベース基板から遠い側に位置し、前記第1金属パターンの前記ベース基板上の正投影は、前記第3金属パターンの前記ベース基板上の正投影内に位置する。
【0020】
任意選択的に、前記第1金属パターンの厚さは、前記第2金属パターンの厚さ及び前記第3金属パターンの厚さよりも大きい。
【0021】
任意選択的に、前記第1金属パターンの厚さは、150nm~900nmであり、前記第2金属パターンの厚さは、30nm~300nmであり、前記第3金属パターンの厚さは、30nm~300nmである。
【0022】
任意選択的に、前記第1金属パターンの材料は、アルミニウム又は銅を含み、前記第2金属パターンの材料は、チタン又はモリブデンを含む。
【0023】
任意選択的に、前記ノッチの開口方向は、前記表示基板のベース基板に平行である。
【0024】
任意選択的に、画像センサ及び/又は赤外線センサを更に含み、前記画像センサ及び/又は赤外線センサは、前記表示基板のベース基板に結合され、且つ前記ベース基板上の正投影は前記開孔領域と少なくとも部分的に重なる。
【0025】
本開示の実施形態は、上記のような表示基板を含む表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示の実施形態に係る技術案をより明確に説明するために、実施形態の図面を以下に簡単に紹介する。以下に記述される図面は、本開示を限定するものではなく、単に本開示のいくつかの実施形態に関することは明らかである。
【0027】
【
図1B】
図1Aにおける表示基板のA-A線に沿った概略断面図である。
【
図2B】
図2Aにおける表示基板のB-B線に沿った概略断面図である。
【
図3A】初期バリア壁が形成された後の概略図である。
【
図4A】本開示の一実施形態に係る初期バリア壁が形成された後の概略図である。
【
図4B】本開示の一実施形態に係る保護層が形成された後の概略図である。
【
図4C】本開示の一実施形態に係るバリア壁が形成された後の概略図である。
【
図4D】本開示の一実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図4E】本開示の一実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図4F】本開示の一実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図4G】本開示の一実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図4H】本開示の一実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図4I】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図4J】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図4K】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図4L】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図4M】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図4N】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図4O】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図5A】本開示の別の実施形態に係る初期バリア壁が形成された後の概略図である。
【
図5B】本開示の別の実施形態に係る保護層が形成された後の概略図である。
【
図5C】本開示の別の実施形態に係るバリア壁が形成された後の概略図である。
【
図5D】本開示の一実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図5E】本開示の一実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図5F】本開示の一実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図5G】本開示の一実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図5H】本開示の一実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図5I】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図5J】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図5K】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図5L】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図5M】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図5N】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図5O】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略製作フローチャートである。
【
図6A】本開示の一実施形態に係る表示基板の概略平面図である。
【
図6B】
図6Aにおける表示基板のB-B線に沿った概略断面図である。
【
図6C】
図6Aにおける表示基板のB-B線に沿った別の概略断面図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る表示基板におけるバリア壁の概略断面図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る表示基板におけるバリア壁の概略断面図である。
【
図9A】本開示の別の実施形態に係る表示基板の概略平面図である。
【
図9B】
図9Aにおける表示基板のC-C線に沿った概略断面図である。
【
図9C】
図9Aにおける表示基板のC-C線に沿った別の概略断面図である。
【
図10】本開示の別の実施形態に係る表示基板におけるバリア壁の概略断面図である。
【
図11】本開示の別の実施形態に係る表示基板におけるバリア壁の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の実施形態の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下では、本開示の実施形態の図面と併せて本開示の実施形態に係る技術案を明確かつ完全に説明することにする。明らかに、記述される実施形態は、すべての実施形態ではなく、本開示の一部の実施形態である。記述された本開示の実施形態に基づいて、創造的な労力なしに当業者によって得られる他の全ての実施形態は、本開示の保護範囲内に入る。
【0029】
別途の定義がない限り、本開示で使用される技術的用語又は科学的用語は、当業者によって理解される通常の意味を有するべきである。本開示で使用される「第1」、「第2」及び類似した単語は、いかなる順序、数又は重要性も示さず、単に異なる構成部分を区別するために使用される。「含む」及び「含有する」等の類似した単語は、該単語の前に現れた素子又は物品が該単語の後に列挙されている要素又は物品及びそれらの同等物を包括し、他の要素又は物品を除外しないことを意味する。「接続」又は「連結」等の類似した単語は、物理的又は機械的な接続に限定されず、直接又は間接を問わず、電気的接続を含み得る。「上」、「下」、「左」、「右」等は、単に相対的な位置関係を表すために使用され、記述される対象の絶対位置が変更される場合、該相対的な位置関係もそれに応じて変更され得る。
【0030】
表示装置の表示領域の最大化を実現するために、表示装置が備える撮像装置(イメージング装置)を表示領域と統合し、撮像装置を表示領域に配置してよい。
【0031】
例えば、
図1Aは、表示装置用の表示基板の概略平面図を示しており、
図1Bは、
図1Aにおける表示基板のA-A線に沿った概略断面図である。
図1Aに示すように、表示基板100は、表示領域101を含み、表示領域101は、ピクセルアレイを含み、且つピクセルアレイにおける開孔1011を有し、該開孔1011は、撮像装置(図示せず)のために予め残しておいた位置である。撮像装置は、該表示基板100の表示側とは反対側である裏側に設置でき、したがって撮像装置は、開孔1011を介して画像を取得できる。これにより、撮像装置と表示基板100の表示領域101とが一緒に統合される。
【0032】
表示領域101は、表示用の発光デバイスを有し、例えば、該発光デバイスは、有機発光ダイオードである。表示領域101の全部又は一部における複数の発光デバイスが有する有機機能層103及びカソード層104は、通常、表示領域101において全面にわたって形成される。このため、封止層105を用いて封止を行う場合、開孔1011の近くに位置する領域は、往々にして封止され難いか、或いは封止されたとしても、該領域の封止効果が確保され難い。この場合、
図1Bに示すように、例えば水や酸素等の不純物が、開孔1011から、全面にわたって形成された有機機能層103及びカソード層104に沿って表示領域101の内部に入り、表示領域101内の機能材料を汚染し、これらの機能材料の性能の低下をもたらし、ひいては表示領域101の表示効果に影響を与える可能性がある。
【0033】
表示領域の表示効果を確保するために、
図2Aに示すように、開孔領域1011の周りにバリア壁1012を設置できる。表示基板100は、表示領域101と、開孔領域1011とを含み、表示領域101は、開孔領域1011を取り囲み、バリア壁1012は、開孔領域1011を取り囲む。
図2Bは、
図2Aにおける表示基板のB-B線に沿った概略断面図である。
図2Bから分かるように、バリア壁1012の開孔領域1011を取り囲む少なくとも1つの側面にノッチ1012Aが設けられている。バリア壁1012の開孔領域1011に面する側面と開孔領域1011から遠い側面との両方ともにノッチ1012Aが設けられてもよく、バリア壁1012の一つの側面にノッチ1012Aが設けられても良い。このように、全面にわたって形成された有機機能層及びカソード層104は、バリア壁1012のノッチ1012Aのある側面で切り離されている。これにより、開孔領域1011に近い側に位置する有機機能層及びカソード層104が水や酸素等どの不純物によって汚染された場合でも、有機機能層及びカソード層104がバリア壁1012によって遮断されているため、これらの汚染不純物が、有機機能層及びカソード層104の発光デバイスが発光するための部分にまで及ばないようにできる。例えば、バリア壁1012の上部にも一部の有機機能層及び一部のカソード層104が形成されているが、これらの部分は他の部分から分離されている。
【0034】
バリア効果をさらに強化するために、
図2Cに示すように、開孔領域1011の周りに、1層以上のバリア壁をさらに設置でき、即ち、多重層のバリア壁が含まれてもよく、例えば二重層、三重層、四種層、五重層等が設置されることで、バリア効果を強化できる。
【0035】
表示基板の製造プロセス及び構造を簡略化するために、表示基板の金属層構造を用いてバリア壁1012を形成できる。例えば、表示基板上に金属層構造Ti/Al/Tiが存在し、該金属層構造は、表示基板の電極及び信号線を形成するために用いられ得る。
図3Aに示すように、該金属層構造を利用して開孔領域1011の周りに初期バリア壁11を形成することができ、初期バリア壁11は、順次積層されたTi層110と、Al層1221と、Ti層130とを含む。そして、表示基板のアノードが形成される時、アノードエッチング液は、Al層1221に対してエッチング作用があり、アノードエッチング液を利用してAl層1221をエッチングし、エッチングされたAl層1222を形成する。
図3Bに示すように、順次積層されたTi層110、Al層1222及びTi層130は、バリア壁12を形成する。Al層1222の表示基板のベース基板上の正投影は、Ti層130の表示基板のベース基板上の正投影内に入り、Al層1222の表示基板のベース基板上の正投影は、Ti層110の表示基板のベース基板上の正投影内に入る。このように、バリア壁12の側面にノッチが形成でき、したがって、後続的にバリア壁12が形成されているベース基板上に有機発光層及びカソード層を蒸着する時、有機発光層及びカソード層は、バリア壁12のノッチがある側面で切り離されている。これにより、開孔領域に近い側に位置する有機機能層及びカソード層が水や酸素等の不純物によって汚染された場合、有機機能層とカソード層とがバリア壁12によって遮断されているため、これらの汚染不純物が、有機機能層及びカソード層の発光デバイスが発光するための部分にまで及ばないようにできる。
【0036】
表示基板のアノードはITO/Ag/ITOの積層構造を採用することが多く、アノードエッチング液がITO/Ag/ITOの積層構造をエッチングする時、アノードエッチング液中にAgイオンが溶解されている。Agイオンが溶解されているアノードエッチング液がAl層1221をエッチングする時、アノードエッチング液中のAgイオンがAlと置換反応し、
図3Cに示すように、直径が1~5μmであるAg粒子140が形成される。Ag粒子140は、アノードエッチング液中を流れて、表示基板の各々の領域に拡散し、且つAg粒子140は、非常に強い接着性を有するため、表示基板に粘着し、最終的には導電性のダークスポットになり、表示基板の表示効果に影響を与える。
【0037】
上記の問題点を解決するために、本開示の実施形態は、表示基板の表示効果を確保可能な表示基板及びその製作方法並びに表示装置を提供する。
【0038】
本開示の実施形態は、表示基板の製作方法を提供する。前記表示基板は、表示領域と、バリア壁設置領域と、開孔領域とを含み、前記表示領域は、前記バリア壁設置領域を取り囲み、前記バリア壁設置領域は、前記開孔領域を取り囲み、前記製作方法は、前記表示基板の発光デバイスの第1電極を形成した後、前記バリア壁設置領域の保護層を除去して、前記保護層に覆われていた少なくとも一周の初期バリア壁を露出させるステップであって、前記初期バリア壁は、前記開孔領域を取り囲んで設置されるステップと、前記少なくとも一周の初期バリア壁をエッチングして、少なくとも1つの側面にノッチが形成されているバリア壁を少なくとも一周形成するステップとを含む。
【0039】
本実施形態では、第1電極を形成してから、初期バリア壁を覆う保護層を除去する。このように、第1電極のエッチング液を利用して第1電極材料層をエッチングする場合、初期バリア壁は保護層に覆われているため、初期バリア壁が電極のエッチング液接触と接触せず、第1電極のエッチング液中の金属イオンに置換反応が起こる可能性を根絶し、表示基板上に導電性粒子が形成されるのを回避し、表示基板の品質を確保できる。第1電極を形成してから、保護層を除去し、初期バリア壁をエッチングして、側面にノッチのあるバリア壁を形成する。
【0040】
任意選択的に、前記バリア壁設置領域の初期バリア壁を覆う保護層を除去する前に、前記製作方法は、前記バリア壁設置領域に前記開孔領域を取り囲む少なくとも一周の前記初期バリア壁を形成するステップと、前記初期バリア壁を覆う保護層を形成するステップとを更に含む。
【0041】
ノッチのあるバリア壁を形成するために、初期バリア壁は、金属層構造を採用できる。金属層構造は、積層設置された少なくとも二層の金属材料層を含み、少なくとも二層の金属材料層は、同一エッチング液中でのエッチング速度が異なり、こうして、エッチング液を利用して初期バリア壁をエッチングした後、側面にノッチのあるバリア壁を形成できる。
【0042】
例えば信号線及び電極のような表示基板の導電性パターンもほとんどが金属層構造を用いて製作され、表示基板の製作方法を簡略化するために、表示基板の導電性パターンを形成すると同時に、初期バリア壁を形成できる。具体的な一実施形態では、前記製作方法は、前記初期バリア壁を形成すると同時に、前記表示基板の導電性パターンを形成するステップであって、前記導電性パターンは、前記初期バリア壁と同じ膜層を用いて形成されるステップを更に含む。
【0043】
例えば、初期バリア壁は、第1金属層構造を採用し、表示基板の導電性パターンは、第2金属層構造を採用し、第1金属層構造と第2金属層構造とは、同じ構造を有し、且つ同じ材料でできている。例えば、第1金属層構造と第2金属層構造とは、製造プロセスにおいて同じ層に形成され、且つ同じ多層構造を有してよく、且つ、第1金属層構造及び第2金属多層構造において、対応する層の材料も皆同じであり、これにより、第1金属層構造と第2金属層構造とは、同じ膜層によって形成され得る。
【0044】
具体的な一実施形態では、初期バリア壁は、第1金属材料層と第2金属材料層とを含む金属層構造を採用できる。前記初期バリア壁及び前記導電性パターンを形成するステップは、前記表示基板のベース基板の第1側に第1金属材料層を形成し、前記第1金属材料層の前記ベース基板から遠い側に第2金属材料層を形成するステップと、前記第1金属材料層及び前記第2金属材料層に対して第1エッチングを行って、前記導電性パターン及び前記初期バリア壁を形成するステップとを含む。
【0045】
第1エッチングは、ウェットエッチングであってもよく、ドライエッチングであってもよい。
【0046】
具体的な一例では、
図4Aに示すように、第1金属材料層及び第2金属材料層対して第1エッチングを行った後、表示基板のベース基板の第1側に初期バリア壁41が形成される。初期バリア壁41は、第1初期金属パターン401と、第2金属パターン402とを含む。第1金属材料層及び第2金属材料層の材質を選択する時、第1金属材料層の特定エッチング液中でのエッチング速度が第2金属材料層の特定エッチング液中でのエッチング速度よりも大きいということを満たす必要がある。第1エッチングにウェットエッチングを採用する場合、第1エッチングに使用するエッチング液は、該特定エッチング液ではなく、第1金属材料層と第2金属材料層との、第1エッチングに使用するエッチング液中でのエッチング速度は同じか又は近似している。こうすることで、初期バリア壁の側面にノッチが形成されることなく、後で初期バリア壁41を覆う保護層が形成された後、保護層は、初期バリア壁41の側面で断裂せず、初期バリア壁41の側面を包み覆い、初期バリア壁41を保護することができる。
【0047】
初期バリア壁41が形成された後、
図4Bに示すように、初期バリア壁41を覆う保護層403を形成する。保護層403は、無機絶縁材料を用いても良く、有機絶縁材料を用いても良い。表示基板の製作プロセスを簡略化するために、保護層403は、表示基板の絶縁膜層と同じ材料を用いて同時に形成できる。例えば、保護層403は、表示基板の平坦化層と同じ材料を用いて同時に形成でき、或いは、保護層403は、表示基板のパッシベーション層と同じ材料を用いて同時に形成できる。
【0048】
保護層403が形成された後、例えば表示基板のアノードのような表示基板の他の構造を製作できる。具体的には、表示基板のベース基板上にアノード材料層を形成し、アノード材料層上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用してフォトレジストを露光できる。現像後、フォトレジスト保留領域及びフォトレジスト除去領域が形成され、フォトレジスト保留領域は、アノードのパターンが存在する領域に対応し、フォトレジスト除去領域は、アノードのパターン以外の他の領域に対応する。アノードエッチング液を利用してフォトレジストで覆われていないアノード材料層をエッチングした後に、残りのフォトレジストを剥離して、アノードのパターンを形成する。アノードエッチング液を利用してエッチングを行う過程では、保護層403が初期バリア壁41を覆っているため、アノードエッチング液が初期バリア壁41と接触せず、アノードエッチング液中の金属イオンに置換反応が起こり表示基板上に導電性金属粒子が形成されるのを回避できる。
【0049】
アノードのパターンを形成し、アノードエッチング液を洗浄した後、保護層403を除去する。具体的には、ドライエッチングによって保護層403除去できる。こうすれば、保護層403を除去する過程でエッチング液が導入されるのを回避でき、エッチング液が初期バリア壁41に制御不能な損傷をもたらすのを回避できる。
【0050】
具体的な一例では、前記バリア壁設置領域の前記保護層を除去するステップは、前記第1電極が形成されている表示基板上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用して前記フォトレジストを露光するステップであって、前記マスク板は、前記バリア壁設置領域に対応する光透過パターンを含むステップと、現像後に前記バリア壁設置領域のフォトレジストを除去するステップと、残りのフォトレジストをマスクとして、前記バリア壁設置領域の前記保護層をドライエッチングし、前記バリア壁設置領域の前記保護層を除去して、前記初期バリア壁を露出させるステップとを含む。
【0051】
任意選択的に、前記マスク板は、前記開孔領域に対応する光透過パターンを更に含み、現像後に前記バリア壁設置領域のフォトレジストを除去すると同時に、前記開孔領域のフォトレジストも除去する。
【0052】
図4Cに示すように、保護層403が除去された後、初期バリア壁41をウェットエッチングできる。ウェットエッチングに使用するエッチング液は、第1金属材料層に対するエッチング速度が第2金属材料層に対するエッチング速度よりも大きいということを満たす必要があり、こうすることで、第1初期金属パターン401のエッチングされる部分は、第2金属パターン402のエッチングされる部分よりも多く、これにより、側面にノッチのあるバリア壁42が形成される。具体的な一例では、ウェットエッチングに使用するエッチング液は、第1金属材料層のみに対してエッチング作用があり、第2金属材料層に対してはエッチング作用がなくても良く、このように、エッチング液を利用して初期バリア壁41をウェットエッチングした後、第2金属パターン402が保留され得る。第1初期金属パターン401の一部が除去された後、第1金属パターン404が形成され、第1金属パターン404は、第2金属パターン402とバリア壁42を構成し、第1金属パターン404の表示基板のベース基板上の正投影は、第2金属パターン402の表示基板のベース基板上の正投影内に位置し、これによりノッチが形成される。
【0053】
別の具体的な一実施形態では、初期バリア壁は、第1金属材料層と第2金属材料層と第3金属材料層とを含む金属層構造を採用でき、前記初期バリア壁及び前記導電性パターンを形成するステップは、前記表示基板のベース基板の第1側に第3金属材料層と、第1金属材料層と、第2金属材料層とを順次形成するステップと、前記第3金属材料層、第1金属材料層及び第2金属材料層に対して第1エッチングを行って、前記導電性パターン及び前記初期バリア壁を形成するステップとを含む。
【0054】
第1エッチングは、ウェットエッチングであってもよく、ドライエッチングであってもよい。
【0055】
具体的な一例では、
図5Aに示すように、第3金属材料層、第1金属材料層及び第2金属材料層に対して第1エッチングを行った後、表示基板のベース基板の第1側に初期バリア壁41が形成される。初期バリア壁41は、第1初期金属パターン401と、第2金属パターン402と、第3金属パターン405とを含む。第1金属材料層、第2金属材料層及び第3金属材料層の材質を選択する時、第1金属材料層の特定エッチング液中でのエッチング速度が第2金属材料層の特定エッチング液中でのエッチング速度よりも大きく、且つ第1金属材料層の特定エッチング液中でのエッチング速度が第3金属材料層の特定エッチング液中でのエッチング速度よりも大きいということを満たす必要があり、第2金属材料層は、第3金属材料層と同じ材料を採用できる。
【0056】
第1エッチングにウェットエッチングを採用する場合、第1エッチングに使用するエッチング液は、該特定エッチング液ではなく、第1金属材料層と第2金属材料層と第3金属材料層との、第1エッチングに使用するエッチング液中でのエッチング速度は同じか又は近似している。こうすることで、初期バリア壁41の側面にノッチが形成されることなく、後で初期バリア壁41を覆う保護層403が形成された後、保護層403は、初期バリア壁41の側面で断裂せず、初期バリア壁41の側面を包み覆い、初期バリア壁41を保護することができる。
【0057】
初期バリア壁41が形成された後、
図5Bに示すように、初期バリア壁41を覆う保護層403を形成する。保護層403は、無機絶縁材料を用いても良く、有機絶縁材料を用いても良い。表示基板の製作プロセスを簡略化するために、保護層403は、表示基板の絶縁膜層と同じ材料を用いて同時に形成できる。例えば、保護層403は、表示基板の平坦化層と同じ材料を用いて同時に形成でき、或いは、保護層403は、表示基板のパッシベーション層と同じ材料を用いて同時に形成できる。
【0058】
保護層403が形成された後、例えば表示基板のアノードのような表示基板の他の構造を製作できる。具体的には、表示基板のベース基板上にアノード材料層を形成し、アノード材料層上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用してフォトレジストを露光できる。現像後、フォトレジスト保留領域及びフォトレジスト除去領域が形成され、フォトレジスト保留領域は、アノードのパターンが存在する領域に対応し、フォトレジスト除去領域は、アノードのパターン以外の他の領域に対応する。アノードエッチング液を利用してフォトレジストで覆われていないアノード材料層をエッチングした後に、残りのフォトレジストを剥離して、アノードのパターンを形成する。アノードエッチング液を利用してエッチングを行う過程では、保護層403が初期バリア壁41を覆っているため、アノードエッチング液が初期バリア壁41と接触せず、アノードエッチング液中の金属イオンに置換反応が起こり表示基板上に導電性金属粒子が形成されるのを回避できる。
【0059】
アノードのパターンを形成し、アノードエッチング液を洗浄した後、保護層403を除去する。具体的には、ドライエッチングによって保護層403除去できる。こうすれば、保護層403を除去する過程でエッチング液が導入されるのを回避でき、エッチング液が初期バリア壁41に制御不能な損傷をもたらすのを回避できる。
【0060】
具体的な一例では、前記バリア壁設置領域の前記保護層を除去するステップは、前記第1電極が形成されている表示基板上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用して前記フォトレジストを露光するステップであって、前記マスク板は、前記バリア壁設置領域に対応する光透過パターンを含むステップと、現像後に前記バリア壁設置領域のフォトレジストを除去するステップと、残りのフォトレジストをマスクとして、前記バリア壁設置領域の前記保護層をドライエッチングし、前記バリア壁設置領域の前記保護層を除去して、前記初期バリア壁を露出させるステップとを含む。
【0061】
任意選択的に、前記マスク板は、前記開孔領域に対応する光透過パターンを更に含み、現像後に前記バリア壁設置領域のフォトレジストを除去すると同時に、前記開孔領域のフォトレジストも除去する。
【0062】
図5Cに示すように、保護層403が除去された後、初期バリア壁41をウェットエッチングできる。ウェットエッチングに使用するエッチング液は、第1金属材料層に対するエッチング速度が第2金属材料層に対するエッチング速度よりも大きく、且つ第1金属材料層に対するエッチング速度が第3金属材料層に対するエッチング速度よりも大きいということを満たす必要があり、こうすることで、第1初期金属パターン401のエッチングされる部分は、第2金属パターン402のエッチングされる部分よりも多く、且つ第3金属パターン405のエッチングされる部分よりも多く、これにより、側面にノッチのあるバリア壁42が形成される。
【0063】
具体的な一例では、ウェットエッチングに使用するエッチング液は、第1金属材料層のみに対してエッチング作用があり、第2金属材料層及び第3金属材料層に対してはエッチング作用がなくても良く、このように、エッチング液を利用して初期バリア壁41をウェットエッチングした後、第2金属パターン402及び第3金属パターン405が保留され得る。第1初期金属パターン401の一部が除去された後、第1金属パターン404が形成され、第1金属パターン404は、第2金属パターン402及び第3金属パターン405とバリア壁42を構成し、第1金属パターン404の表示基板のベース基板上の正投影は、第2金属パターン402の表示基板のベース基板上の正投影内に位置し、第1金属パターン404の表示基板のベース基板上の正投影は、第3金属パターン405の表示基板のベース基板上の正投影内に位置し、これによりノッチが形成される。
【0064】
上記の具体的な実施形態は、バリア壁が2重層の金属パターン及び3重層の金属パターンを含む場合を例として説明しているが、本開示のバリア壁は、2重層の金属パターンと3重層の金属パターンとを含むことに限定されず、より多くの層の金属パターンが含まれ得る。
【0065】
上記の方法によって少なくとも一周のバリア壁42が形成された後、前記発光デバイスの有機機能層を形成することができ、前記有機機能層は、バリア壁42の前記ノッチがある側面で切り離される。前記発光デバイスの第2電極、例えばカソードを形成し、カソードは、バリア壁42の前記ノッチがある側面で切り離される。これにより、開孔領域に近い側に位置する有機機能層及びカソードが水や酸素等の不純物により汚染された場合であっても、有機機能層とカソード層とがバリア壁42によって遮断されているため、これらの汚染不純物が、有機機能層及びカソード層の発光デバイスが発光するための部分にまで及んで、表示基板の表示に影響を与えることはない。
【0066】
その後、前記発光デバイスが形成されている表示基板を覆う封止薄膜層をさらに形成できる。封止薄膜層は、順次積層して設置された第1封止層と、第2封止層と、第3封止層とを含み得る。第1封止層は化学蒸着、物理蒸着又は塗布等の方式によってカソード層上に形成できる。第1封止層は、表示領域に位置する機能構造に対して封止及び保護を提供できる。第2封止層は、第1封止層を平坦化することができ、第3封止層は、外層封止を形成できる。第1封止層及び第3封止層は、例えば窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素等を含む無機材料を採用できる。第2封止層は、例えばポリイミド(PI)、エポキシ樹脂等を含む有機材料を採用できる。これにより、第1封止層、第2封止層及び第3封止層は、複合的な薄膜封止層として形成され、該薄膜封止層は、表示領域の機能構造に対する多重保護を形成し、より良好な封止効果を有する。
【0067】
表示基板の封止が完了した後、レーザー切断又は機械的スタンピングによって開孔領域を形成できる。
【0068】
具体的な一実施形態では、表示基板は、ベース基板の第1側に順次設置された活性層と、第1ゲート金属層と、ゲート絶縁層と、第2ゲート金属層と、層間絶縁層と、第1ソースドレイン金属層と、パッシベーション層と、第1平坦化層と、第2ソースドレイン金属層と、第2平坦化層と、アノードと、ピクセル画定層とを含む。表示基板の製作プロセス及び構造を簡略化するために、第1ゲート金属層又は第2ゲート金属層又は第1ソースドレイン金属層又は第2ソースドレイン金属層を利用して初期バリア壁を製作できる。
【0069】
具体的な一例では、第2ソースドレイン金属層を利用して初期バリア壁を製作し、且つ第2ソースドレイン金属層が積層された2つの金属層を含む場合、表示基板の製作方法は、以下のステップを含む。
【0070】
図4Dに示すように、ベース基板4061上に活性層4068と、第1ゲート金属層4069と、ゲート絶縁層4063と、第2ゲート金属層4070と、層間絶縁層4064と、第1ソースドレイン金属層パターン4071と、パッシベーション層4065と、第1平坦化層4066と、第2ソースドレイン金属層とを順次形成した後、第2ソースドレイン金属層をパターン化して、表示領域に位置する第2ソースドレイン金属層パターン4072、及びバリア壁設置領域に位置する初期バリア壁4073を形成し、初期バリア壁4073は、第1初期金属パターン401と、第2金属パターン402とを含む。
【0071】
図4Dに示すように、第2ソースドレイン金属層パターン4072及び初期バリア壁4073を覆う第2平坦化層4067を形成すると同時に、第2平坦化層4067を、初期バリア壁4073を保護する保護層とする。
【0072】
図4Eに示すように、第2平坦化層4067上にアノード材料層を形成し、アノード材料層上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用してフォトレジストを露光する。現像後、フォトレジスト保留領域及びフォトレジスト除去領域が形成され、フォトレジスト保留領域は、アノードのパターンが存在する領域に対応し、フォトレジスト除去領域は、アノードのパターン以外の他の領域に対応する。アノードエッチング液を利用してフォトレジストで覆われていないアノード材料層をエッチングした後に、残りのフォトレジストを剥離して、アノード4062のパターンを形成する。アノードエッチング液を利用してエッチングを行う過程では、第2平坦化層4067が初期バリア壁4073を覆っているため、アノードエッチング液が初期バリア壁4073と接触せず、アノードエッチング液中の金属イオンに置換反応が起こり表示基板上に導電性金属粒子が形成されるのを回避できる。
【0073】
図4Fに示すように、アノード4062が形成された後、ベース基板上にピクセル画定層材料層を蒸着し、ピクセル画定層材料層をパターン化してピクセル画定層4074を形成できる。
【0074】
ピクセル画定層4074が形成されている表示基板上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用してフォトレジストを露光する。該マスク板は、光透過領域と、非光透過領域とを含み、開孔領域及びバリア壁設置領域の表示基板のベース基板上の正投影は、光透過領域のベース基板上の正投影内に入る。現像後、フォトレジスト保留領域及びフォトレジスト除去領域が形成され、フォトレジスト保留領域は表示領域に対応し、フォトレジスト除去領域は開孔領域及びバリア壁設置領域に対応し、初期バリア壁が露出される。初期バリア壁を覆う第2平坦化層をエッチングして、初期バリア壁を覆う第2平坦化層を除去する。初期バリア壁の上方の第2平坦化層をエッチングする時、表示領域は、フォトレジストにより保護されているため、損傷されない。
【0075】
初期バリア壁4073を覆う第2平坦化層4067が除去された後、
図4Gに示すように、初期バリア壁4073が露出され、エッチング液を利用して初期バリア壁4073をエッチングして、
図4Hに示すように、側面にノッチのあるバリア壁4075を形成する。バリア壁4075は、第1金属パターン404と、第2金属パターン402とからなる。第2ソースドレイン金属層にAl/Tiの積層構造が採用される場合、Al系エッチング液を利用して初期バリア壁4073をエッチングできる。Al系エッチング液は、初期バリア壁4073中の一部のAlを除去し、Tiに対してはエッチング作用がなく、したがって側面にノッチのあるバリア壁4075を形成できる。
【0076】
別の具体的な一例では、第2ソースドレイン金属層を利用して初期バリア壁を製作し、且つ第2ソースドレイン金属層が積層された3つの金属層を含む場合、表示基板の製作方法は、以下のステップを含む。
【0077】
図5Dに示すように、ベース基板4061上に活性層4068と、第1ゲート金属層4069と、ゲート絶縁層4063と、第2ゲート金属層4070と、層間絶縁層4064と、第1ソースドレイン金属層4071と、パッシベーション層4065と、第1平坦化層4066と、第2ソースドレイン金属層とを順次形成した後、第2ソースドレイン金属層4072をパターン化して、表示領域に位置する第2ソースドレイン金属層パターン4072、及びバリア壁設置領域に位置する初期バリア壁4073を形成する。初期バリア壁4073は、第1初期金属パターン401と、第2金属パターン402と、第3金属パターン405とを含む。
【0078】
図5Dに示すように、第2ソースドレイン金属層パターン4072及び初期バリア壁4073を覆う第2平坦化層4067を形成すると同時に、第2平坦化層4067を、初期バリア壁4073を保護する保護層とする。
【0079】
図5Eに示すように、第2平坦化層4067上にアノード材料層を形成し、アノード材料層上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用してフォトレジストを露光する。現像後、フォトレジスト保留領域及びフォトレジスト除去領域が形成され、フォトレジスト保留領域は、アノードのパターンが存在する領域に対応し、フォトレジスト除去領域は、アノードのパターン以外の他の領域に対応する。アノードエッチング液を利用してフォトレジストで覆われていないアノード材料層をエッチングした後に、残りのフォトレジストを剥離して、アノード4062のパターンを形成する。アノードエッチング液を利用してエッチングを行う過程では、第2平坦化層4067が初期バリア壁4073を覆っているため、アノードエッチング液が初期バリア壁4073と接触せず、アノードエッチング液中の金属イオンに置換反応が起こり表示基板上に導電性金属粒子が形成されるのを回避できる。
【0080】
図5Fに示すように、アノード4062が形成された後、ベース基板上にピクセル画定層材料層を蒸着し、ピクセル画定層材料層をパターン化してピクセル画定層4074を形成できる。
【0081】
ピクセル画定層4074が形成されている表示基板上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用してフォトレジストを露光する。該マスク板は、光透過領域と、非光透過領域とを含み、開孔領域及びバリア壁設置領域の表示基板のベース基板上の正投影は、光透過領域のベース基板上の正投影内に入る。現像後、フォトレジスト保留領域及びフォトレジスト除去領域が形成され、フォトレジスト保留領域は表示領域に対応し、フォトレジスト除去領域は開孔領域及びバリア壁設置領域に対応し、初期バリア壁が露出される。初期バリア壁を覆う第2平坦化層をエッチングして、初期バリア壁を覆う第2平坦化層を除去する。初期バリア壁の上方の第2平坦化層をエッチングする時、表示領域は、フォトレジストにより保護されているため、損傷されない。
【0082】
初期バリア壁4073を覆う第2平坦化層4067が除去された後、
図5Gに示すように、初期バリア壁4073が露出され、エッチング液を利用して初期バリア壁4073をエッチングして、
図5Hに示すように、側面にノッチのあるバリア壁4075を形成し、バリア壁4075は、第1金属パターン404と、第3金属パターン405と、第2金属パターン402とからなる。第2ソースドレイン金属層にTi/Al/Tiの積層構造が採用される場合、Al系エッチング液を利用して初期バリア壁4073をエッチングできる。Al系エッチング液は、初期バリア壁4073中の一部のAlを除去し、Tiに対してはエッチング作用がなく、したがって側面にノッチのあるバリア壁4075を形成できる。
【0083】
別の具体的な一例では、第1ソースドレイン金属層を利用して初期バリア壁を製作し、且つ第1ソースドレイン金属層が積層された2つの金属層を含む場合、表示基板の製作方法は、以下のステップを含む。
【0084】
図4Iに示すように、ベース基板4061上に第1ソースドレイン金属層を形成した後、第1ソースドレイン金属層をパターン化して、表示領域に位置する第1ソースドレイン金属層パターン4071及びバリア壁設置領域に位置する初期バリア壁4073を形成し、初期バリア壁4073は、第1初期金属パターン401と、第2金属パターン402とを含む。
【0085】
図4Iに示すように、第1ソースドレイン金属層パターン4071及び初期バリア壁4073を覆うパッシベーション層4065を形成する。
【0086】
図4Jに示すように、第1平坦化層4066を形成する。
【0087】
図4Kに示すように、第1平坦化層4066上に第2ソースドレイン金属層パターン4072を形成する。
【0088】
図4Lに示すように、第2平坦化層4067を形成する。
【0089】
図4Lに示すように、第2平坦化層4067上にアノード材料層を形成し、アノード材料層上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用してフォトレジストを露光する。現像後、フォトレジスト保留領域及びフォトレジスト除去領域が形成され、フォトレジスト保留領域は、アノードのパターンが存在する領域に対応し、フォトレジスト除去領域は、アノードのパターン以外の他の領域に対応する。アノードエッチング液を利用してフォトレジストで覆われていないアノード材料層をエッチングした後に、残りのフォトレジストを剥離して、アノード4062のパターンを形成する。アノードエッチング液を利用してエッチングを行う過程では、パッシベーション層4065、第1平坦化層4066及び第2平坦化層4067が保護層として初期バリア壁を覆っているため、アノードエッチング液が初期バリア壁4073と接触せず、アノードエッチング液中の金属イオンに置換反応が起こり表示基板上に導電性金属粒子が形成されるのを回避できる。
【0090】
図4Mに示すように、アノード4062が形成された後、ベース基板上にピクセル画定層材料層を蒸着し、ピクセル画定層材料層をパターン化してピクセル画定層4074を形成できる。
【0091】
図4Nに示すように、ピクセル画定層4074が形成されている表示基板上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用してフォトレジストを露光する。該マスク板は、光透過領域と、非光透過領域とを含み、開孔領域及びバリア壁設置領域のベース基板上の正投影は、光透過領域のベース基板上の正投影内に入る。現像後、フォトレジスト保留領域及びフォトレジスト除去領域が形成され、フォトレジスト保留領域は表示領域に対応し、フォトレジスト除去領域は開孔領域及びバリア壁設置領域に対応する。初期バリア壁4073を覆うパッシベーション層4065、第1平坦化層4066及び第2平坦化層4067をエッチングして、初期バリア壁4073を覆うパッシベーション層4065、第1平坦化層4066及び第2平坦化層4067を除去する。初期バリア壁4073の上方のパッシベーション層4065、第1平坦化層4066及び第2平坦化層4067をエッチングする時、表示領域は、フォトレジストにより保護されているため、損傷されない。
【0092】
図4Oに示すように、初期バリア壁4073を覆うパッシベーション層4065、第1平坦化層4066及び第2平坦化層4067が除去された後、初期バリア壁4073が露出される。エッチング液を利用して初期バリア壁4073をエッチングして、側面にノッチのあるバリア壁4075を形成し、バリア壁4075は、第1金属パターン404と、第2金属パターン402とからなる。第1ソースドレイン金属層にAl/Tiの積層構造が採用される場合、Al系エッチング液を利用して初期バリア壁4073をエッチングできる。Al系エッチング液は、初期バリア壁4073中の一部のAlを除去し、Tiに対してはエッチング作用がなく、したがって側面にノッチのあるバリア壁4075を形成できる。
【0093】
別の具体的な一例では、第1ソースドレイン金属層を利用して初期バリア壁製作し、且つ第1ソースドレイン金属層が積層された3つの金属層を含む場合、表示基板の製作方法は、以下のステップを含む。
【0094】
図5Iに示すように、ベース基板4061上に第1ソースドレイン金属層を形成した後、第1ソースドレイン金属層をパターン化して、表示領域に位置する第1ソースドレイン金属層パターン4071及びバリア壁設置領域に位置する初期バリア壁4073を形成し、初期バリア壁4073は、第1初期金属パターン401と、第2金属パターン402と、第3金属パターン405とを含む。
【0095】
図5Iに示すように、第1ソースドレイン金属層パターン4071及び初期バリア壁4073を覆うパッシベーション層4065を形成する。
【0096】
図5Jに示すように、第1平坦化層4066を形成する。
【0097】
図5Kに示すように、第1平坦化層4066上に第2ソースドレイン金属層パターン4072を形成する。
【0098】
図5Lに示すように、第2平坦化層4067を形成する。
【0099】
図5Lに示すように、第2平坦化層4067上にアノード材料層を形成し、アノード材料層上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用してフォトレジストを露光する。現像後、フォトレジスト保留領域及びフォトレジスト除去領域が形成され、フォトレジスト保留領域は、アノードのパターンが存在する領域に対応し、フォトレジスト除去領域は、アノードのパターン以外の他の領域に対応する。アノードエッチング液を利用してフォトレジストで覆われていないアノード材料層をエッチングした後に、残りのフォトレジストを剥離して、アノード4062のパターンを形成する。アノードエッチング液を利用してエッチングを行う過程では、パッシベーション層4065、第1平坦化層4066及び第2平坦化層4067が保護層として初期バリア壁を覆っているため、アノードエッチング液が初期バリア壁4073と接触せず、アノードエッチング液中の金属イオンに置換反応が起こり表示基板上に導電性金属粒子が形成されるのを回避できる。
【0100】
図5Mに示すように、アノード4062が形成された後、ベース基板上にピクセル画定層材料層を蒸着し、ピクセル画定層材料層をパターン化してピクセル画定層4074を形成できる。
【0101】
図5Nに示すように、ピクセル画定層4074が形成されている表示基板上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用してフォトレジストを露光する。該マスク板は、光透過領域と、非光透過領域とを含み、開孔領域及びバリア壁設置領域のベース基板上の正投影は、光透過領域のベース基板上の正投影内に入る。現像後、フォトレジスト保留領域及びフォトレジスト除去領域が形成され、フォトレジスト保留領域は表示領域に対応し、フォトレジスト除去領域は開孔領域及びバリア壁設置領域に対応する。初期バリア壁4073を覆うパッシベーション層4065、第1平坦化層4066及び第2平坦化層4067をエッチングして、初期バリア壁4073を覆うパッシベーション層4065、第1平坦化層4066及び第2平坦化層4067を除去する。初期バリア壁4073の上方のパッシベーション層4065、第1平坦化層4066及び第2平坦化層4067をエッチングする時、表示領域は、フォトレジストにより保護されているため、損傷されない。
【0102】
図5Oに示すように、初期バリア壁4073を覆うパッシベーション層4065、第1平坦化層4066及び第2平坦化層4067が除去された後、初期バリア壁4073が露出される。エッチング液を利用して初期バリア壁4073をエッチングして、側面にノッチのあるバリア壁4075を形成し、バリア壁4075は、第1金属パターン404と、第3金属パターン405と、第2金属パターン402とからなる。第1ソースドレイン金属層にTi/Al/Tiの積層構造が採用される場合、Al系エッチング液を利用して初期バリア壁4073をエッチングできる。Al系エッチング液は、初期バリア壁4073中の一部のAlを除去し、Tiに対してはエッチング作用がなく、したがって側面にノッチのあるバリア壁4075を形成できる。
【0103】
別の具体的な一実施形態では、表示基板は、ベース基板の第1側に順次設置された活性層と、第1ゲート金属層と、ゲート絶縁層と、第2ゲート金属層と、層間絶縁層と、ソースドレイン金属層と、パッシベーション層と、平坦化層と、アノードと、ピクセル画定層とを含む。表示基板の製作プロセス及び構造を簡略化するために、第1ゲート金属層、第2ゲート金属層又はソースドレイン金属層を利用して初期バリア壁を製作できる。
【0104】
具体的な一例では、ソースドレイン金属層を利用して初期バリア壁を製作する場合、表示基板の製作方法は、以下のステップを含む。
【0105】
ベース基板上にソースドレイン金属層を形成した後、ソースドレイン金属層をパターン化して、表示領域に位置するソースドレイン金属層パターン及びバリア壁設置領域に位置する初期バリア壁を形成する。
【0106】
ソースドレイン金属層パターン及び初期バリア壁を覆うパッシベーション層を形成する。
【0107】
平坦化層を形成する。
【0108】
平坦化層上にアノード材料層を形成し、アノード材料層上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用してフォトレジストを露光する。現像後、フォトレジスト保留領域及びフォトレジスト除去領域が形成され、フォトレジスト保留領域は、アノードのパターンが存在する領域に対応し、フォトレジスト除去領域は、アノードのパターン以外の他の領域に対応する。アノードエッチング液を利用してフォトレジストで覆われていないアノード材料層をエッチングした後に、残りのフォトレジストを剥離して、アノードのパターンを形成する。アノードエッチング液を利用してエッチングを行う過程では、パッシベーション層及び平坦化層が初期バリア壁を覆っているため、アノードエッチング液が初期バリア壁と接触せず、アノードエッチング液中の金属イオンに置換反応が起こり表示基板上に導電性金属粒子が形成されるのを回避できる。
【0109】
アノードが形成された後、ベース基板上にピクセル画定層材料層を蒸着し、ピクセル画定層材料層をパターン化してピクセル画定層を形成できる。
【0110】
ピクセル画定層が形成されている表示基板上にフォトレジストを塗布し、マスク板を利用してフォトレジストを露光する。該マスク板は、光透過領域と、非光透過領域とを含み、開孔領域及びバリア壁設置領域のベース基板上の正投影は、光透過領域のベース基板上の正投影内に入る。現像後、フォトレジスト保留領域及びフォトレジスト除去領域が形成され、フォトレジスト保留領域は表示領域に対応し、フォトレジスト除去領域は開孔領域及びバリア壁設置領域に対応し、初期バリア壁が露出される。初期バリア壁を覆うパッシベーション層及び平坦化層をエッチングして、初期バリア壁を覆うパッシベーション層及び平坦化層を除去する。初期バリア壁の上方のパッシベーション層及び平坦化層をエッチングする時、表示領域は、フォトレジストにより保護されているため、損傷されない。
【0111】
初期バリア壁を覆うパッシベーション層及び平坦化層が除去された後、初期バリア壁が露出され、エッチング液を利用して初期バリア壁をエッチングして、側面にノッチのあるバリア壁を形成する。ソースドレイン金属層にTi/Al/Ti又はAl/Tiの積層構造が採用される場合、Al系エッチング液を利用して初期バリア壁をエッチングできる。Al系エッチング液は、初期バリア壁中の一部のAlを除去し、Tiに対してはエッチング作用がなく、したがって側面にノッチのあるバリア壁を形成できる。
【0112】
本開示の実施形態は、上記のような製作方法によって製作される表示基板を更に提供する。前記表示基板は、表示領域と、バリア壁設置領域と、開孔領域とを含み、前記表示領域は、前記バリア壁設置領域を取り囲み、前記バリア壁設置領域は、前記開孔領域を取り囲み、前記バリア壁設置領域に前記開孔領域を取り囲む少なくとも一周のバリア壁が設置されており、前記バリア壁の少なくとも1つの側面にノッチが形成されている。
【0113】
具体的な一実施形態では、表示基板の概略平面図は
図6Aに示すとおりであり、
図6Bは、
図6Aにおける表示基板のB-B線に沿った概略断面図である。
【0114】
図6A及び
図6Bに示すように、表示基板200は、表示領域201と、開孔領域2011とを含み、表示領域201は、開孔領域2011を取り囲み、表示領域201と開孔領域2011の間にバリア壁設置領域が設置されており、バリア壁設置領域に第1バリア壁2012が設置されており、第1バリア壁2012は、開孔領域2011を取り囲む。第1バリア壁2012は、第1金属層構造を含み、第1金属層構造の開孔領域2011を取り囲む少なくとも1つの側面にノッチ2012Aが設けられている。該開孔領域2011は、表示基板の表示側(
図6Bにおける上側)からの光が表示基板を通過して伝送されて、表示基板の裏側(
図6Bにおける下側)に到達することを可能にする。
【0115】
具体的な一例では、
図6Bに示される第1金属層構造において、第1金属層構造の開孔領域2011に面する側面と開孔領域2011から遠い側面との両方ともにノッチ2012Aが設けられている。本実施形態の他の例では、第1金属層構造の1つの側面にノッチ2012Aが設けられていても良い。
【0116】
本実施形態では、表示領域201は、表示操作を行うためのピクセルアレイを含む。該ピクセルアレイは、アレイ状に配置された複数のピクセルユニットを含む。これらのピクセルユニットは、駆動回路、発光回路等を含むため、該表示領域201は、第2金属層構造を含む電極パターンを更に含み、第1金属層構造と第2金属層構造とは、同じ構造を有し、且つ同じ材料でできている。例えば、第1金属層構造と第2金属層構造とは、製造プロセスにおいて同じ層に形成され、且つ同じ多層構造を有してよく、且つ、第1金属層構造及び第2金属の多層構造において、対応する層の材料も皆同じであり、これにより、第1金属層構造と第2金属層構造とは、同じ膜層によって形成され得る。
【0117】
具体的な一例では、
図6Bに示すように、表示領域201は、ピクセルアレイを含む。該ピクセルアレイの複数のピクセルユニットは、表示用の複数の発光デバイスと、これらの発光デバイスを駆動する駆動回路とを含む。該発光デバイスは、電極層、有機機能層等の構造を含み得、該駆動回路は、薄膜トランジスタ、コンデンサ等の構造を含み得る。
【0118】
図6Bに示すように、発光デバイスは、第1電極層218と、第2電極層204と、第1電極層218と第2電極層204の間の有機機能層とを含み、有機機能層は、例えば有機発光材料層220と補助発光層203とを含み、補助発光層203は、例えば電子輸送層又は電子注入層等である。複数のピクセルユニット用の発光デバイスの有機機能層の少なくとも一部、例えば補助発光層203及び第2電極層204は、表示領域201において、通常、全面にわたって形成される。この場合、有機機能層は、第1バリア壁2012のノッチ2012Aのある側面で切り離される。第1電極層218は、アノード層であってもよく、第2電極層204は、カソード層であってよく、カソード層も第1バリア壁2012のノッチ1012Aのある側面で切り離される。これにより、開孔領域2011に近い側に位置する有機機能層及び第2電極層204が水や酸素等の不純物により汚染された場合であっても、有機機能層と第2電極層204とが第1バリア壁2012によって遮断されているため、これらの汚染不純物が、有機機能層及び第2電極層204の発光デバイスが発光するための部分にまで及ばないようにできる。第1バリア壁2012の上部にも一部の有機機能層及び一部の第2電極層204が形成されているが、これらの部分は他の部分から分離している。
【0119】
図6Bに示すように、薄膜トランジスタは、ゲート電極211、ソースドレイン電極212等の構造を含む。コンデンサは、第1電極213と、第2電極214と、第1電極213と第2電極214の間の第1絶縁層215とを含む。ゲート電極211又はソースドレイン電極212は、第2金属層構造を有する電極パターンとして実現され得る。
図6Bでは、ソースドレイン電極212が第2金属層構造を含むように示されている。この場合、第1バリア壁2012の第1金属層構造とソースドレイン電極212の第2金属層構造とは、同じ構造を有し、同じ材料を含んでいてよい。例えば、第1バリア壁2012の第1金属層構造とソースドレイン電極212の第2金属層構造とは、同じ層に形成され且つ同じ多層構造を有し、したがって、表示基板200の製造過程において、第1バリア壁2012の第1金属層構造とソースドレイン電極212の第2金属層構造とは、同じ膜層を用いて形成され得る。例えば、いくつかの例では、第1金属層構造と第2金属層構造とは、両方とも二重層構造又は三重層構造等の多層構造を有する。
【0120】
図6Bに示すように、表示基板200は、ベース基板202を更に含み、表示領域201は、ベース基板202上にあり、ベース基板202は、開孔領域2011に位置する開孔2021を有する。第1バリア壁2012の第1金属層構造におけるノッチの開口方向は、ベース基板202に平行であってよい。例えば、
図6Bの実施形態では、ベース基板202は、水平方向に沿って置かれ、ノッチの開口方向は、水平方向である。
【0121】
一例では、
図7に示すように、第1バリア壁2012の第1金属層構造は、二重層の金属パターン、すなわち、第1金属パターン20121と第2金属パターン20122とを含む。第1金属パターン20121は、ベース基板202の第1側(発光デバイスが形成される側、図面では、上側として示されている)にあり、第2金属パターン20122は、第1金属パターン20121のベース基板202から遠い側(図面では、上側として示されている)にあり、第1金属パターン20121のベース基板202上の正投影は、第2金属パターン20122のベース基板202上の正投影内に位置し、これにより、両者が積層された側面にノッチ2012Aが形成される。この場合、第1バリア壁2012が形成されているベース基板202上に、有機機能層及び第2電極層204を形成すると、有機機能層と第2電極層204とを第1バリア壁2012のところで切り離すことができ、したがって水や酸素等の不純物が表示領域201の内部に入るルートを遮断できる。
【0122】
別の例では、
図8に示すように、第1バリア壁2012の第1金属層構造は、三重層の金属層構造、即ち、第1金属パターン20121と、第2金属パターン20122と、第3金属パターン20123とを含み、第3金属パターン20123は、ベース基板202の第1側(図面では、上側として示されている)にあり、第1金属パターン20121は、第3金属パターン20123のベース基板202から遠い側(図面では、上側として示されている)にあり、第2金属パターン20122は、第1金属パターン20121のベース基板202から遠い側(図面では、上側として示されている)にあり、第1金属パターン20121のベース基板202上の正投影は、第2金属パターン20122のベース基板202上の正投影内に位置し、且つ第1金属パターン20121のベース基板202上の正投影は、第3金属パターン20123のベース基板202上の正投影内にも位置し、これにより、三者が積層された側面にノッチ2012Aが形成される。この場合、第1バリア壁2012が形成されているベース基板202上に、有機機能層及び第2電極層204を形成すると、有機機能層と第2電極層204とを第1バリア壁2012のところで切り離すことができ、したがって水や酸素等の不純物が表示領域201の内部に入るルートを遮断できる。
【0123】
いくつかの例では、第2金属パターン20122のベース基板202上の正投影は、第3金属パターン20123のベース基板202上の正投影内に位置し得る。この場合、第3金属パターン20123のベース基板202上の正投影が最大であり、これにより、第1バリア壁2012の第1金属層構造と表示基板との間の結合強度を増大させ、第1金属層構造の安定性を強化でき、有機機能層と第2電極層204とが第1バリア壁2012のところで切り離されることに寄与する。
【0124】
図6Bに示されているのは、該三重層を有する金属層構造の例である。この場合、ソースドレイン電極212が有する第2金属層構造は、第3金属パターン20123と同層に設けられた金属サブ層2123と、第1金属パターン20121と同層に設けられた金属サブ層2121と、第2金属パターン20122と同層に設けられた金属サブ層2122とを含む。
【0125】
図6Bに示すような場合において、薄膜トランジスタにおけるソースドレイン電極212の第2金属層構造と第1金属層構造とは同層に形成され、且つ同じ多層構造を有し、即ち、両方とも三重層の金属層構造を有する。したがって、表示基板200の製造過程において、第1バリア壁2012の第1金属層構造とソースドレイン電極212の第2金属層構造とは、同じ膜層を用いて製造プロセスの同じ段階で形成され、プロセスステップを簡素化できる。
【0126】
具体的な一例では、第1バリア壁2012の第1金属層構造において、第1金属パターン20121の厚さは、第2金属パターン20122の厚さ及び第3金属パターン20123の厚さよりも大きく、したがって、ノッチを形成するのにより便利であり、且つ有機材料層203と第2電極層204とを第1バリア壁2012のところで切り離すのにより有利であり、これにより第1バリア壁2012はより良いバリア役割を実現できる。例えば、第1金属パターン20121の厚さは150nm~900nmであり、例えば200nm、400nm、600nm又は800nm等である。第2金属パターン20122の厚さは、30nm~300nmであり、例えば100nm、150nm又は200nm等である。第3金属パターン20123の厚さは、30nm~300nmであり、例えば100nm、150nm又は200nm等である。具体的には、第1金属パターン20121の厚さは600nmであってよく、第2金属パターン20122の厚さは、200nmであってよく、第3金属パターン20123の厚さは200nmであってよい。この場合、第1バリア壁2012は、バリアとしての役割を充分に実現できる。
【0127】
本開示のいくつかの実施形態では、第2金属パターン20122の材料と第3金属パターン20123の材料とは同じであってよく、第1金属パターン20121の材料と第2金属パターン20122の材料とは、エッチング時に異なるエッチング速度を有する。例えば、第1金属層構造をエッチング形成するためのエッチング液の作用下において、第1金属パターン20121の材料がエッチングされる速度は、第2金属パターン20122の材料がエッチングされる速度よりも大きく、したがって製造時にノッチ2012Aのある第1金属層構造が容易に形成される。
【0128】
いくつかの実施形態では、第1金属パターン20121の材料は、アルミニウム又は銅等の金属又はその合金を含み、第2金属パターン20122の材料は、チタン又はモリブデン等の金属又はその合金を含み、第3金属パターン20123の材料は、第2金属パターン20122の材料と同じであり、チタン又はモリブデン等の金属又はその合金を含む。例えば第2電極層204のような表示基板の電極構造をエッチング形成するためのエッチング液の作用下において、アルミニウム又は銅がエッチングされる速度は、チタン又はモリブデンがエッチングされる速度よりも大きい。これにより、第2電極層204等の電極構造をエッチング形成すると同時に、第1金属パターン20121、第2金属パターン20122及び第3金属パターン20123をエッチングして、ノッチ2012Aを形成できる。
【0129】
いくつかの例では、第1金属層構造に二重層構造が採用される場合、第1金属パターン20121及び第2金属パターン20122の材料の組み合わせは、アルミニウム/チタン、アルミニウム/モリブデン、銅/チタン又は銅/モリブデン等であってよい。第1金属層構造に三重層構造が採用される場合、第3金属パターン20123、第1金属パターン20121及び第2金属パターン20122の材料の組み合わせは、チタン/アルミニウム/チタン、モリブデン/アルミニウム/モリブデン、チタン/銅/チタン又はモリブデン/銅/モリブデン等であってよい。
【0130】
本開示のいくつかの実施形態では、
図6Bに示すように、表示基板200画像センサ及び/又は赤外線センサを更に含む。画像センサ及び/又は赤外線センサは、ベース基板202に結合され、例えばベース基板202の発光デバイスから遠い側に結合され、且つベース基板202上の正投影は、開孔領域2011と少なくとも部分的に重なる。例えば、画像センサ及び/又は赤外線センサは、図面中の符号210によって示される位置に設置される。これにより、画像センサ及び/又は赤外線センサは、開孔領域2011を介して画像収集、顔認識、赤外線感知等の機能を実現できる。
【0131】
留意すべきことは、本実施形態のいくつかの例では、表示基板200は、コンデンサを覆う第2絶縁層216と、駆動回路を平坦化する平坦化層217と、ピクセルアレイを画定するピクセル画定層219と、封止空間を形成する柱状スペーサー208と、密封用の封止層205と、封止効果をさらに向上させる第2封止層206及び第3封止層207との等の構造を更に含み得るが、本開の実施形態はこれに対して繰り返し記述しないことにする。該実施形態の例では、薄膜トランジスタのソースドレイン電極212の1つが第1電極層218に接続されるため、該薄膜トランジスタは駆動トランジスタであってよく、即ち、印加されるデータ信号に応じて発光デバイスを流れる発光電流の大きさを制御することで、ピクセルユニットの表示過程におけるグレースケールを制御する。
【0132】
封止層205は、酸化ケイ素、窒化ケイ素等の材料を含む無機封止層である。第2封止層206は、ポリイミド等の有機材料を含む有機封止層である。第3封止層207は、酸化ケイ素、窒化ケイ素等の材料を含む無機封止層である。
図6Bの例では、封止層205、第2封止層206及び第3封止層207はいずれも第1バリア壁2012の開孔領域2011に近い側まで延在しており、したがって3つの封止層はいずれも第1バリア壁2012を封止する。他の例では、
図6Cに示すように、封止層205は、第1バリア壁2012の開孔領域2011に近い側まで延在する。第2封止層206と第3封止層207とは両方とも第1バリア壁2012の表示領域201に近い側で終端する。有機材料が水や酸素を遮断する能力は相対的に弱いため、有機材料を含む第2封止層206は、開孔領域201からより遠い位置で終端させ、これにより水や酸素等の不純物が第2封止層206を通って表示領域201の内部に入るのを回避できる。いくつかの例では、封止層205及び第3封止層207が第1バリア壁2012の開孔領域2011に近い側まで延在し、第2封止層206のみが第1バリア壁2012の表示領域201に近い側で終端しても良い。該例も同じく水や酸素等の不純物が有機材料を含む第2封止層206を通って表示領域201の内部に入るのを回避できる。本開示の実施形態は、封止層205、第2封止層206及び第3封止層207の具体的な設置方式に対して限定しないことにする。
【0133】
本開示のいくつかの実施形態では、例えば、表示面板の開孔領域2011の周りに1層以上のバリア壁がさらに設置されてよく、即ち、多重層のバリア壁が含まれてよく、例えば二重層、三重層、四種層、五重層等が設置されて、バリア効果を強化できる。
【0134】
図9A及び
図9Bに示される表示基板は、二重層のバリア壁を含み、
図9Aは、該表示基板の概略平面図であり、
図9Bは、
図9Aにおける表示基板のCーC線に沿った概略断面図である。
【0135】
図9A及び
図9Bに示すように、表示基板300は、表示領域301と、開孔領域3011とを含み、表示領域301は、開孔領域3011を取り囲む。表示領域301と開孔領域3011との間に第1バリア壁3012と第2バリア壁3013とが含まれ、第1バリア壁3012及び第2バリア壁3013は、開孔領域3011を取り囲む。第2バリア壁3013は、第1バリア壁3012の開孔領域3011から遠い側に設置され、且つ一定の距離だけ離間されている。第1バリア壁3012と第2バリア壁3013とは両方とも第1金属層構造を含み、第1バリア壁3012の第1金属層構造の開孔領域3011を取り囲む少なくとも1つの側面にノッチ3012Aが設けられおり、第2バリア壁3013の第1金属層構造の開孔領域3011を取り囲む少なくとも1つの側面にノッチ3013Aが設けられている。
【0136】
上記の実施形態と同様に、表示領域301は、電極パターンを含み、電極パターンは、第2金属層構造を含む。第1バリア壁3012及び第2バリア壁3013の第1金属層構造と該第2金属層構造とは、同じ構造を有し、且つ同じ材料を含む。例えば、第1バリア壁3012及び第2バリア壁3013の第1金属層構造と第2金属層構造とは、同じ層に形成され且つ同じ多層構造を有する。
【0137】
表示領域301は、ピクセルアレイを含み、該ピクセルアレイの複数のピクセルユニットは、表示用の複数の発光デバイスと、これらの発光デバイスを駆動する駆動回路とを含む。例えば、該駆動回路は、薄膜トランジスタ、コンデンサ等の構造を含む。
【0138】
図9Bに示すように、発光デバイスは、第1電極層318と、第2電極層304と、第1電極層320と第2電極層の間の有機機能層とを含み、有機機能層は、例えば有機発光材料層210と補助発光層303とを含み、有機機能層の少なくとも一部、例えば補助発光層303及び第2電極層304は、表示領域301において、通常、全面にわたって形成される。この場合、有機機能層は、第1バリア壁3012及び第2バリア壁3013のノッチ3012A/3013Aのある側面で切り離される。第1電極層318は、アノード層であってよく、第2電極層304は、カソード層であってよく、カソード層も第1バリア壁3012及び第2バリア壁3013の3012A/3013Aのある側面で切り離される。これにより、開孔領域3011に近い側に位置する有機機能層及び第2電極層304が水や酸素等の不純物により汚染された場合であっても、有機機能層と第2電極層304とが第1バリア壁3012によって遮断されているため、該汚染が、有機機能層及び第2電極層304の発光デバイスが発光するための部分にまで及ばないようにできる。第1バリア壁3012の上部にも有機機能層及び第2電極層304が形成されているが、これらの部分は他の部分から分離している。
【0139】
同様に、薄膜トランジスタは、ゲート電極311、ソースドレイン電極312等の構造を含み、コンデンサは、第1電極313と、第2電極314と、第1電極313と第2電極314の間の第1絶縁層315とを含む。ゲート電極311又はソースドレイン電極312は、第2金属層構造を有する電極パターンとして実現され得る。
図9Bに示すように、ソースドレイン電極312は、金属層構造を含み、且つ第1バリア壁3012及び第2バリア壁3013の第1金属層構造とソースドレイン電極312の第2金属層構造とは、同じ層に形成され、且つ同じ多層構造を有し、したがって表示基板300の製造過程において、第1バリア壁3012及び第2バリア壁3013の第1金属層構造とソースドレイン電極312の第2金属層構造とは、同じ膜層を用いて形成され得る。いくつかの例では、第1金属層構造と第2金属層構造とは、両方とも二重層構造又は三重層構造等の多層構造を有してよい。
【0140】
本実施形態では、
図10及び
図11に示すように、第1バリア壁3012及び第2バリア壁3013の第1金属層構造は、上記の実施形態と基本的に同じであり、具体的な説明については、上記の実施形態を参照でき、類似した符号は同じ構造を意味し、本実施形態では繰り返し記述しないことにする。
【0141】
図9Bに示すように、表示基板300は、ベース基板302を更に含み、ベース基板302は、開孔領域3011に位置する開孔3021を有する。第1バリア壁3012及び第2バリア壁3013の第1金属層構造におけるノッチの開口方向は、ベース基板202に平行である。
【0142】
表示基板300は、画像センサ及び/又は赤外線センサを更に含み、画像センサ及び/又は赤外線センサは、ベース基板302に結合され、例えばベース基板302の発光デバイスから遠い側に結合され、且つベース基板302上の正投影は、開孔領域3011と少なくとも部分的に重なる。例えば、画像センサ及び/又は赤外線センサは、図面中の符号310によって示される位置に設置される。これにより、画像センサ及び/又は赤外線センサは、開孔領域3011を介して画像収集、顔認識、赤外線感知等の機能を実現できる。
【0143】
同様に、本実施形態のいくつかの例では、表示基板300は、コンデンサを覆う第2絶縁層316と、駆動回路を平坦化する平坦化層317と、ピクセルアレイを画定するピクセル画定層319と、封止空間を形成する柱状スペーサー308と、密封用の封止層305と、封止効果をさらに向上させる第2封止層306と、第3封止層307との等の構造を更に含み得るが、本開示の実施形態はこれに対して繰り返し記述しないことにする。該実施形態の例では、薄膜トランジスタのソースドレイン電極212の1つが第1電極層218に接続されるため、該薄膜トランジスタは駆動トランジスタであってよく、即ち、印加されるデータ信号に応じて発光デバイスを流れる発光電流の大きさを制御することで、したがってピクセルユニットの表示過程におけるグレースケールを制御する。
【0144】
封止層305は、酸化ケイ素、窒化ケイ素等の材料を含む無機封止層である。第2封止層306は、ポリイミド等の有機材料を含む有機封止層である。第3封止層307は、酸化ケイ素、窒化ケイ素等の材料を含む無機封止層である。
図9Bの例では、封止層305、第2封止層306及び第3封止層307はいずれも第1バリア壁3012の開孔領域3011に近い側まで延在しており、したがって3つの封止層はいずれも第1バリア壁3012及び第2バリア壁3013を封止する。他の例では、
図9Cに示すように、封止層305は、第1バリア壁3012の開孔領域3011に近い側まで延在する。第2封止層306と第3封止層307とは、両方とも第1バリア壁3012と第2バリア壁3013の間で終端する。いくつかの例では、封止層305及び第3封止層307が第1バリア壁3012の開孔領域3011に近い側まで延在し、第2封止層306のみが第1バリア壁3012と第2バリア壁3013の間で終端しても良い。いくつかの例では、封止層305及び第3封止層307が第1バリア壁3012の開孔領域3011に近い側まで延在し、第2封止層306のみが第2バリア壁3013の表示領域301に近い側で終端しても良い。本開示の実施形態は、各封止層の具体的な設置に対して限定しないことにする。
【0145】
本開示のいくつかの実施形態では、第1バリア壁は、上記の第1金属層構造に加えて、例えば絶縁層構造を更に含む。第1金属層構造は絶縁層構造上に積層され、これにより多くの層構造を有する第1バリア壁を形成して、バリア効果を強化できる。
【0146】
本開示の実施形態は、上記のような表示基板を含む表示装置を提供する。該表示装置は、無線周波数ユニット、ネットワークモジュール、オーディオ出力ユニット、入力ユニット、センサ、表示ユニット、ユーザ入力ユニット、インターフェースユニット、メモリ、プロセッサ及び電源等の構成要素を含むが、これらに限定されない。当業者は、上記の表示装置の構造が表示装置に対する限定を構成せず、表示装置が上記のより多くの又はより少ない構成を含んだり、或いはいくつかの構成要素を組み合わせたり、或いは異なる構成要素を配置したりできることを理解できる。本開示の実施形態では、表示装置は、ディスプレイ、携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビ、ウェアラブル電子機器、ナビゲーションディスプレイ機器等を含むが、これらに限定されない。
【0147】
前記表示装置は、テレビ、ディスプレイ、デジタルフォトフレーム、携帯電話、タブレットコンピュータ等の表示機能を備えた任意の製品又は部材であり得、前記表示装置は、可撓性回路基板と、プリント回路基板と、バックプレーンとを更に含む。
【0148】
本開示の各方法実施形態において、上記の各ステップのシーケンス番号は、各ステップの先後順序を限定するために用いるものではない。当業者にとって、創造的な労働なしに為される各ステップの先後に対する変更も、本開示の保護範囲内に入る。
【0149】
説明すべきことは、本明細書の各々の実施形態は、いずれも漸進的な方式で説明され、各々の実施形態間の同じ又は類似した部分は互いに参照すれば良く、各実施形態は、他の実施形態との違いを重点的に説明している。特に、実施形態は、基本的に製品の実施形態と類似しているため、比較的簡単に説明されているが、関連箇所については、製品の実施形態の部分の説明を参照すれば良い。
【0150】
別途の定義がない限り、本開示で使用される技術用語又は科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解される通常の意味を有するべきである。本開示で使用される「第1」、「第2」及び類似した単語は、いかなる順序、数量又は重要性も示さず、単に異なる構成部分を区別するために用いられる。「含む」又は「含有する」等の類似した単語は、該単語の前に現れる要素又は物品が該単語の後に列挙される要素又は物品及びそれらの同等物を包含し、他の要素又は物品を除外しないことを意味する。「接続」又は「連結」等の単語は、物理的又は機械的接続に限定されず、直接又は間接を問わず、電気的接続を含み得る。「上」、「下」、「左」、「右」等は、単に相対的な位置関係を表すために使用され、記述される対象の絶対位置が変更されると、該相対的な位置関係もそれに応じて変更され得る。
【0151】
例えば、層、膜、領域又は基板等の要素が別の要素の「上」又は「下」に位置すると言及される場合、該要素が「直接」該別の要素の「上」又は「下」に位置することができ、或いは、中間要素が存在してもよいと理解できる。
【0152】
上記の実施形態の説明において、具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施形態又は例において適切な方式によって組み合わせてよい。
【0153】
上記は、単に本開示の具体的な実施形態であり、本開示の保護範囲はこれに限定されない。当業者であれば、本開示で開示される技術範囲内で変更又は置き換えを容易に想到でき、これらも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うべきである。