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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】ハイブリッドエアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/30 20200101AFI20240509BHJP
   A24F 40/57 20200101ALI20240509BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A24F40/30
A24F40/57
A61M15/06 A
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2022503500
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 GB2019052208
(87)【国際公開番号】W WO2021023953
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ポイントン, サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ポッター, マーク
(72)【発明者】
【氏名】イルマズ, ウグルハン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シシャン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/123048(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/150131(WO,A1)
【文献】特表2017-523785(JP,A)
【文献】国際公開第2019/081571(WO,A1)
【文献】特表2008-518614(JP,A)
【文献】特表2017-538398(JP,A)
【文献】特表2017-524353(JP,A)
【文献】特表2016-527913(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038521(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/088559(WO,A2)
【文献】特表2019-515655(JP,A)
【文献】特開2019-076101(JP,A)
【文献】再公表特許第2012/026481(JP,A1)
【文献】国際公開第2019/057934(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/057857(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/30
A24F 40/57
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、
生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品であり、エアロゾル経路に流体結合された下面を備えるエアロゾル変性材料部品と、
前記エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するためのヒータであり、通常の使用時、該ヒータによって生成されたエアロゾルが前記エアロゾル経路に沿って前記エアロゾル変性材料部品に流れるように前記エアロゾル経路に配置されたヒータと
を備えるエアロゾル供給システムであって、
前記ヒータに供給される電力が、パフごとに所定量のエアロゾルを生成するように設定され、
パフごとに生成される前記所定量のエアロゾルは、前記ヒータから前記エアロゾル変性材料部品の前記下面まで流れる間の前記エアロゾルからのエネルギー損失を考慮して、前記所定量のエアロゾルから前記エアロゾル変性材料部品の前記下面で受け取られるエネルギーが前記エアロゾル変性材料部品の前記下面の温度を50℃~150℃の間に上昇させるように、設定されている、エアロゾル供給システム。
【請求項2】
前記エアロゾル変性材料部品の前記下面の前記温度が70℃~140℃の間に上昇されるように、前記所定量が設定されている、請求項1に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項3】
前記エアロゾル変性材料部品の前記下面の前記温度が85℃~125℃の間に上昇されるように、前記所定量が設定されている、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項4】
前記ヒータが、エアロゾル前駆体材料から一パフ当たり4~12ミリグラムの間の所定量のエアロゾルを生成するように制御される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項5】
パフごとに生成すべき前記所定量のエアロゾルが、前記ヒータと前記エアロゾル変性材料部品の前記下面との間の距離を考慮して設定されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項6】
前記ヒータの温度が、通常の使用中、180℃~260℃の間である、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項7】
気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、
生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品であり、エアロゾル経路に流体結合された下面を備えるエアロゾル変性材料部品と、
前記エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するためのヒータであり、通常の使用時、該ヒータによって生成されたエアロゾルが前記エアロゾル経路に沿って前記エアロゾル変性材料部品に流れるように前記エアロゾル経路に配置されたヒータと
を備えるエアロゾル供給システムであって、
前記ヒータが、180℃~260℃の間の温度で動作するように構成され、
通常の使用中、前記エアロゾル変性材料部品の前記下面の温度が50℃~150℃の間に設定されるように、前記エアロゾル変性材料部品が前記ヒータから距離を離して配置されている、エアロゾル供給システム。
【請求項8】
前記エアロゾル変性材料部品の前記下面の前記温度が70℃~140℃の間に上昇されるように、前記エアロゾル変性材料部品が前記ヒータから距離を離して配置されている、請求項7に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項9】
前記エアロゾル変性材料部品の前記下面の前記温度が85℃~125℃の間に上昇されるように、前記エアロゾル変性材料部品が前記ヒータから距離を離して配置されている、請求項7又は8に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項10】
パフごとに生成すべき所定量のエアロゾルに基づいて、前記エアロゾル変性材料部品の前記下面と前記ヒータとの間の距離が決定される、請求項7~9のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項11】
前記ヒータと前記エアロゾル変性材料部品の前記下面との間の距離が、3mm~10mmの間である、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項12】
前記ヒータと前記エアロゾル変性材料部品の前記下面との間の前記エアロゾル経路が直線に沿って延びている、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項13】
前記ヒータに供給される電力が6W~9Wの間である、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項14】
前記ヒータが、導電性材料から形成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項15】
前記導電性材料は、ニッケルクロム合金である、請求項14に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項16】
ウィッキング材料をさらに備え、
前記エアロゾル前駆体材料が液体を含み、前記ウィッキング材料が前記液体を前記ヒータに移送するように配置構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項17】
液体の前記エアロゾル前駆体材料が、プロピレングリコール、植物性グリセリン、水、香料、及び活性成分のうちの1つ又は複数を含む、請求項16に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項18】
前記エアロゾル変性材料が、タバコを含む、又はタバコからなる、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項19】
前記タバコがタバコ顆粒である、請求項18に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項20】
前記エアロゾル変性材料部品が、前記エアロゾル変性材料を貯蔵するためのハウジングを備え、前記ハウジングがポリプロピレン材料から形成されている、請求項1~19のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項21】
前記エアロゾル変性材料部品が、前記エアロゾル変性材料を貯蔵するためのハウジングを備え、前記ハウジングが、前記エアロゾル変性材料部品の前記下面として第1のメッシュを備える、請求項1~20のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項22】
前記下面が金属材料から形成されている、請求項20又は21に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項23】
前記エアロゾル変性材料部品が、前記下面とは反対側の上面をさらに備える、請求項20~22のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項24】
前記上面と前記下面との間の距離が10~20mmの間である、請求項23に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項25】
気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品とをさらに備える、エアロゾル供給システムと共に使用するためのエアロゾル供給デバイスであって、
前記エアロゾル変性材料部品が下面を備え、
前記エアロゾル供給デバイスが、ヒータに電力を供給するための制御回路構成を備え、前記ヒータが、前記エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するためのものであり、前記エアロゾルが、エアロゾル経路を通過して前記エアロゾル変性材料部品の前記下面に流れ、
前記ヒータに供給される電力が、パフごとに所定量のエアロゾルを生成するように設定され、
パフごとに生成される前記所定量のエアロゾルは、前記ヒータから前記エアロゾル変性材料部品の前記下面まで流れる間の前記エアロゾルからのエネルギー損失を考慮して、前記所定量のエアロゾルから前記エアロゾル変性材料部品の前記下面で受け取られるエネルギーが、前記エアロゾル変性材料部品の前記下面の温度を50℃~150℃の間に上昇させるように、設定されている、エアロゾル供給デバイス。
【請求項26】
パフごとに生成すべき前記所定量のエアロゾルが、前記ヒータと、前記エアロゾル供給デバイスと共に使用すべき前記エアロゾル変性材料部品の前記下面との間の距離に基づいて決定されている、請求項25に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項27】
エアロゾル供給デバイスをさらに備える、エアロゾル供給システムと共に使用するためのカートリッジ部品であって、
気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、
生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品であり、エアロゾル経路に流体結合された下面を備えるエアロゾル変性材料部品と、
前記エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するためのヒータであり、通常の使用時、該ヒータによって生成されたエアロゾルが前記エアロゾル経路に沿って前記エアロゾル変性材料部品に流れるように前記エアロゾル経路に配置されたヒータと
を備え、
通常の使用時、前記ヒータによって生成されたエアロゾルが前記エアロゾル経路に沿って前記エアロゾル変性材料部品に流れ、
前記エアロゾル変性材料部品が、前記エアロゾル供給デバイスに結合されたとき、通常の使用中、前記エアロゾル変性材料部品の前記下面の温度が50℃~150℃の間に設定されるように、前記ヒータから距離を離して配置されるように構成されている、カートリッジ部品。
【請求項28】
パフごとに生成すべき所定量のエアロゾルに基づいて、前記エアロゾル変性材料部品の前記下面と前記ヒータとの間の距離が決定されている、請求項27に記載のカートリッジ部品。
【請求項29】
エアロゾルを生成する方法であって、
ヒータを使用してエアロゾル前駆体材料を加熱することによって、気化され得るエアロゾル前駆体からエアロゾルを生成するステップと、
前記生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品に、前記生成されたエアロゾルを通すステップであり、前記生成されたエアロゾルに香料及び活性成分の少なくとも一方を付与することを含み、前記エアロゾル変性材料部品が、エアロゾル経路に流体結合された下面を備える、ステップと、
前記生成されたエアロゾルを使用して、前記エアロゾル変性材料部品の前記下面を50℃~150℃の温度に加熱するステップと
を含む方法。
【請求項30】
気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、
生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品であり、エアロゾル経路に流体結合された下面を備えるエアロゾル変性材料部品と、
前記エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するための加熱手段であり、通常の使用時、該加熱手段によって生成されたエアロゾルが前記エアロゾル経路に沿って前記エアロゾル変性材料部品に流れるように前記エアロゾル経路に配置された加熱手段と
を備えるエアロゾル供給システムであって、
前記加熱手段に供給される電力が、パフごとに所定量のエアロゾルを生成するように設定され、
パフごとに生成される前記所定量のエアロゾルは、前記加熱手段から前記エアロゾル変性材料部品の前記下面まで流れる間の前記エアロゾルからのエネルギー損失を考慮して、前記所定量のエアロゾルから前記エアロゾル変性材料部品の前記下面で受け取られるエネルギーが、前記エアロゾル変性材料部品の前記下面の温度を50℃~150℃の間に上昇させるように、設定されている、エアロゾル供給システム。
【請求項31】
気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、
生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品であり、エアロゾル経路に流体結合された下面を備えるエアロゾル変性材料部品と、
前記エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するための加熱手段であり、通常の使用時、該加熱手段によって生成されたエアロゾルが前記エアロゾル経路に沿って前記エアロゾル変性材料部品に流れるように前記エアロゾル経路に配置された加熱手段と
を備えるエアロゾル供給システムであって、
前記加熱手段が、180℃~260℃の間の温度で動作するように構成され、
通常の使用中、前記エアロゾル変性材料部品の前記下面の温度が50℃~150℃の間に設定されるように、前記エアロゾル変性材料部品が前記加熱手段から距離を離して配置されている、エアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニコチン送達システム(例えば電子タバコ)などのエアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)などの電子エアロゾル供給システムは、一般に、通常はニコチンを含有する配合物を含む原料液体のリザーバなどの蒸気前駆体材料、又はタバコベースの生成物などの固体材料を含み、そこから例えば熱気化によって、ユーザが吸引するために蒸気が生成される。したがって、エアロゾル供給システムは通常、前駆体材料の一部を気化させて蒸気生成チャンバ内で蒸気を生成するように配置構成された気化器、例えば加熱要素を収容する蒸気生成チャンバを備える。ユーザがデバイスを吸い、電力が気化器に供給されると、空気が入口穴を通ってデバイス及び蒸気生成チャンバに引き込まれ、そこで、空気が、気化された前駆体材料と混合して凝縮エアロゾルを生成する。蒸気生成チャンバとマウスピースの開口部との間に流路があり、したがって、蒸気生成チャンバを通して引き込まれた流入空気は、引き続き流路に沿ってマウスピースの開口部まで流れ、蒸気/凝縮エアロゾルの一部を同伴して運び、ユーザによる吸引のためのマウスピースの開口部を通って流出する。
【0003】
一部の電子タバコは、例えばエアロゾルに追加の香料を付与することによってエアロゾルを変性するために、デバイスを通る流路にエアロゾル変性材料を含むこともある。そのようなデバイスは、時としてハイブリッドデバイスと呼ばれることもあり、エアロゾル変性要素は、例えば、蒸気生成チャンバとマウスピースとの間の空気経路に配置されたタバコ片を含むことがあり、デバイスを通して引き込まれた蒸気/凝縮エアロゾルが、タバコ片を通過してから、ユーザ吸引のためにマウスピースから流出する。
【0004】
そのようなハイブリッドシステムでは、エアロゾルに追加の香料などを付与するエアロゾル変性材料の効果は、タバコ材料の温度に一部依存する。しかし、いくつかのシステムでは、エアロゾル変性材料が既存の電子タバコへの「ボルトオン(bolt-on:追加)」として提供され、システム全体が、より満足の行くエアロゾルをユーザに送達するように最適化されていない。
【0005】
本明細書では、上述した問題のいくつかに対処する又はそれらを軽減するのに役立つと共に、デバイスの性能を向上させることを狙いとした様々な手法を述べる。
【発明の概要】
【0006】
特定の実施形態の第1の態様によれば、気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品であり、エアロゾル経路に流体結合された下面を備えるエアロゾル変性材料部品と、エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するためのヒータであり、通常の使用時、ヒータによって生成されたエアロゾルがエアロゾル経路に沿ってエアロゾル変性材料部品に流れるようにエアロゾル経路に配置されたヒータとを備えるエアロゾル供給システムであって、ヒータに供給される電力が、パフ(1パフは1回の吸引)ごとにエアロゾルの所定の質量を生成するように設定され、パフごとに生成されるエアロゾルの所定の質量は、ヒータからエアロゾル変性材料部品の下面まで流れる間のエアロゾルからのエネルギー損失を考慮して、エアロゾルの質量からエアロゾル変性材料部品の下面で受け取られるエネルギーが、エアロゾル変性材料部品の下面の温度を50℃~150℃の間に上昇させるように設定される、エアロゾル供給システムが提供される。
【0007】
特定の実施形態の第2の態様によれば、気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品であり、エアロゾル経路に流体結合された下面を備えるエアロゾル変性材料部品と、エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するためのヒータであり、通常の使用時、ヒータによって生成されたエアロゾルがエアロゾル経路に沿ってエアロゾル変性材料部品に流れるようにエアロゾル経路に配置されたヒータとを備えるエアロゾル供給システムであって、ヒータが、180℃~260℃の間の温度で動作するように構成され、エアロゾル変性材料部品が、通常の使用中、エアロゾル変性材料部品の下面の温度が50℃~150℃の間に設定されるようにヒータから距離を離して配置される、エアロゾル供給システムが提供される。
【0008】
特定の実施形態の第3の態様によれば、気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品とをさらに備える、エアロゾル供給システムと共に使用するためのエアロゾル供給デバイスであって、エアロゾル変性材料部品が下面を備え、デバイスが、ヒータに電力を供給するための制御回路構成を備え、ヒータが、エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するためのものであり、エアロゾルが、エアロゾル経路を通過してエアロゾル変性材料部品の下面に流れ、
ヒータに供給される電力が、パフごとにエアロゾルの所定の量を生成するように設定され、パフごとに生成されるエアロゾルの所定の質量は、ヒータからエアロゾル変性材料部品の下面まで流れる間のエアロゾルからのエネルギー損失を考慮して、エアロゾルの質量からエアロゾル変性材料部品の下面で受け取られるエネルギーが、エアロゾル変性材料部品の下面の温度を50℃~150℃の間に上昇させるように設定される、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0009】
特定の実施形態の第4の態様によれば、エアロゾル供給デバイスをさらに備える、エアロゾル供給システムと共に使用するためのカートリッジ部品であって、気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品であり、エアロゾル経路に流体結合された下面を備えるエアロゾル変性材料部品と、エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するためのヒータであり、通常の使用時、ヒータによって生成されたエアロゾルがエアロゾル経路に沿ってエアロゾル変性材料部品に流れるようにエアロゾル経路に配置されたヒータとを備え、通常の使用時、ヒータによって生成されたエアロゾルがエアロゾル経路に沿ってエアロゾル変性材料部品に流れ、エアロゾル変性材料部品が、エアロゾル供給デバイスに結合されたとき、通常の使用中、エアロゾル変性材料部品の下面の温度が50℃~150℃の間に設定されるようにヒータから距離を離して配置されるように構成される、カートリッジ部品が提供される。
【0010】
特定の実施形態の第5の態様によれば、エアロゾルを生成する方法であって、ヒータを使用してエアロゾル前駆体材料を加熱することによって、気化され得るエアロゾル前駆体からエアロゾルを生成するステップと、生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品に、生成されたエアロゾルを通すステップであり、エアロゾル変性材料部品が、エアロゾル経路に流体結合された下面を備える、ステップと、生成されたエアロゾルを使用して、エアロゾル変性材料部品の下面を50℃~150℃の温度に加熱するステップとを含む方法が提供される。
【0011】
特定の実施形態の第6の態様によれば、気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品であり、エアロゾル経路に流体結合された下面を備えるエアロゾル変性材料部品と、エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するための加熱手段であり、通常の使用時、加熱手段によって生成されたエアロゾルがエアロゾル経路に沿ってエアロゾル変性材料部品に流れるようにエアロゾル経路に配置された加熱手段とを備えるエアロゾル供給システムであって、加熱手段に供給される電力が、パフごとにエアロゾルの所定の量を生成するように設定され、パフごとに生成されるエアロゾルの所定の質量は、加熱手段からエアロゾル変性材料部品の下面まで流れる間のエアロゾルからのエネルギー損失を考慮して、エアロゾルの質量からエアロゾル変性材料部品の下面で受け取られるエネルギーが、エアロゾル変性材料部品の下面の温度を50℃~150℃の間に上昇させるように設定される、エアロゾル供給システムが提供される。
【0012】
特定の実施形態の第7の態様によれば、気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品であり、エアロゾル経路に流体結合された下面を備えるエアロゾル変性材料部品と、エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するための加熱手段であり、通常の使用時、加熱手段によって生成されたエアロゾルがエアロゾル経路に沿ってエアロゾル変性材料部品に流れるようにエアロゾル経路に配置された加熱手段とを備えるエアロゾル供給システムであって、加熱手段は、180℃~260℃の間の温度で動作するように構成され、エアロゾル変性材料部品は、通常の使用中、エアロゾル変性材料部品の下面の温度が50℃~150℃の間に設定されるように加熱手段から距離を離して配置される、エアロゾル供給システムが提供される。
【0013】
本開示の第1の態様及び他の態様に関連する上述した本開示の特徴及び態様は、上述した特定の組合せだけではなく、適宜、本開示の他の態様による本開示の実施形態に同様に適用可能であり、それらと組み合わせることができることを理解されたい。
【0014】
以下、単に例として、添付図面を参照して本発明の実施形態を述べる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の特定の実施形態によるハイブリッドエアロゾル供給システムの極めて概略的な断面図である。
図2図1のハイブリッドエアロゾル供給システムのカートリッジ部品の極めて概略的な断面図である。
図3図1のハイブリッドエアロゾル供給システム1と共に使用することができる着脱可能なインサート部品の極めて概略的な断面図である。
図4図1のハイブリッドエアロゾル供給システムなどのハイブリッドエアロゾル供給システムを使用して変性されたエアロゾルを生成するための例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書では、特定の例及び実施形態の態様及び特徴を論じ述べる。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来通りに実現することができ、簡潔にするために、これらを詳細には論せず、また述べない。したがって、詳細に述べていない本明細書で論じる装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実現するための任意の従来の技法に従って実現することができることを理解されたい。
【0017】
本開示は、ハイブリッドデバイスを含む非燃焼式エアロゾル供給システム(エアロゾル供給システム、例えばeシガレットと呼ばれることもある)に関する。以下の記載全体を通して、「eシガレット」及び「電子タバコ」という用語を使用することがあるが、これらの用語は、エアロゾル供給システム/デバイス及び電子エアロゾル供給システム/デバイスと交換可能に使用されることがあることを理解されたい。さらに、当技術分野で一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語、並びに「気化」、「揮発」、及び「エアロゾル化」などの関連用語は、一般に交換可能に使用されることがある。
【0018】
本開示によれば、「非燃焼式」エアロゾル供給システムは、ユーザへの送達を容易にするために、エアロゾル供給システム(又はその構成要素)の成分エアロゾル化可能材料が燃焼されず又は焼失されないエアロゾル供給システムである。
【0019】
いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能材料の組合せを使用してエアロゾルを生成するためのハイブリッドシステムであり、エアロゾル化可能材料のうちの1つ又は複数が加熱されることがある。各エアロゾル化可能材料は、例えば固体、液体又はゲルの形態であってもよく、ニコチンを含有しても含有しなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルエアロゾル化可能材料及び固体エアロゾル化可能材料を含む。固体エアロゾル化可能材料は、例えばタバコ又は非タバコ製品を含んでもよい。
【0020】
通常、非燃焼式エアロゾル供給システムは、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと共に使用するための物品とを備えてもよい。しかし、エアロゾル生成構成要素にパワーを供給するための手段をそれ自体が備える物品は、それ自体が非燃焼式エアロゾル供給システムを形成することもできると考えられる。
【0021】
いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスは、パワー供給源及びコントローラを備えてもよい。パワー供給源は、例えば電気的パワー供給源又は発熱性パワー供給源であってもよい。いくつかの実施形態では、発熱性パワー供給源は、発熱性パワー供給源の近傍のエアロゾル化可能材料又は熱伝達材料に熱の形で動力をパワー供給するようにエネルギー付与され得る炭素基質を備える。いくつかの実施形態では、発熱性パワー供給源などのパワー供給源は、非燃焼式エアロゾル供給を形成するように物品に提供される。
【0022】
いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと共に使用するための物品は、エアロゾル化可能材料、エアロゾル生成構成要素、エアロゾル生成エリア、マウスピース、及び/又はエアロゾル化可能材料を受け入れるためのエリアを備えることがある。
【0023】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能材料から1つ又は複数の揮発性物質を放散してエアロゾルを生成するように、エアロゾル化可能材料と相互作用することができるヒータである。
【0024】
いくつかの実施形態では、送達すべき物質は、エアロゾル化可能材料又はエアロゾル化不可能材料であってもよい。必要に応じて、いずれの材料も、活性成分、担体成分、並びに任意選択で1つ若しくは複数の他の機能性成分及び/又は1つ若しくは複数の香料を含んでもよい。
【0025】
活性成分は、ユーザの生理反応及び/又は嗅覚反応を引き起こすために、エアロゾル化可能材料に含まれる1つ又は複数の生理活性成分及び/又は嗅覚活性成分を含んでもよい。活性成分は、例えば栄養補助食品、向知性薬、及び向精神薬から選択することができる。活性成分は、天然に存在するものでも合成的に得られるものでもよい。活性成分は、例えばニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6、B12、Cなどのビタミン、メラトニン、カンナビノイド、又はそれらの成分、誘導体、若しくは組合せを含むことがある。活性成分は、タバコ、又は別の植物性物質、例えばカンナビノイドやテルペンなどの大麻の成分、誘導体、又は抽出物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、活性成分は、生理活性成分であり、ニコチン、ニコチン塩(例えばニコチン二酒石酸塩/ニコチン酒石酸塩)、ニコチンを含まないタバコ代替品、カフェインやカンナビノイドなどの他のアルカロイド、又はそれらの混合物から選択することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、「香料」及び/又は「香味料」(又は時として香料成分)は、地域の規制が許す場合に、成人消費者向けの製品において所望の味、香り、又は他の体性感覚を生み出すために使用されてもよい。いくつかの場合には、そのような成分は、香料、香味料、冷却剤、加熱剤、又は甘味料と呼ばれることがある。それらは、天然に存在する香料材料、植物性物質、植物性物質の抽出物、合成的に得られた材料、若しくはそれらの組合せ(例えば、タバコ、大麻、リコリス(licorice、liquorice)、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、カエデ、抹茶、メンソール、ハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ウコン、インドのスパイス、アジアのスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、ピーチ、アップル、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、グレープ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、クワの実、シトラスフルーツ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、ジン、テキーラ、ラム、スピアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、カート、ナスワ(naswar)、キンマ(betel)、シーシャ、パイン、ハニーエッセンス、ローズ油、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、オレンジブロッサム、チェリーブロッサム、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、わさび、ピーマン、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、ヘンプ、メンサ属の任意の種のミントオイル、ユーカリ、スターアニス、ココア、レモングラス、ロイボス、アマ、ギンコビロバ、ヘーゼル、ハイビスカス、ローレル、マテ、オレンジスキン、ローズ、緑茶や紅茶などのお茶、タイム、ジュニパー、エルダーフラワー、バジル、ベイリーフ、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンピール、ミント、シソ、クルクマ、シラントロ、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メイス、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、キャラウェイ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化因子又は刺激物質、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルタメ、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、及び木炭、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤などの他の添加剤を含んでもよい。それらは、模倣物、合成若しくは天然成分、又はそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば油などの液体、粉末などの固体、又は気体、1つ若しくは複数の抽出物(例えば、リコリス、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、ピーチ、アップル、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズ油、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ピーマン、ジンジャー、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はメンサ属の任意の種のミントオイル)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化因子若しくは刺激物質、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファメカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、及び木炭、クロロフィル、ミネラル、植物性物質などの他の添加物、又は息清涼剤であってもよい。それらは、模倣物、合成若しくは天然成分、又はそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば油、液体、又は粉末であってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、香料は、香り又は味覚神経に加えて、又はその代わりに、通常は第5脳神経(三叉神経)の刺激によって化学的に誘発及び知覚される体性感覚を実現することを意図された感覚物質を含んでもよく、これらは、加熱、冷却、うずき(tingling)、麻痺効果を提供する薬剤を含んでもよい。適切な熱作用剤は、限定はしないがバニリルエチルエーテルであってもよい。適切な冷却剤は、限定はしないがユーカリプトール、WS-3であってもよい。
【0028】
担体成分は、エアロゾルを生成することができる1つ又は複数の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、担体成分は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0029】
1つ又は複数の他の機能性成分は、pH調整剤、着色剤、防腐剤、結合剤、充填剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと共に使用するための物品は、エアロゾル化可能材料、又はエアロゾル化可能材料を受け入れるためのエリアを備えてもよい。いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと共に使用するための物品は、マウスピースを備えてもよい。エアロゾル化可能材料を受け入れるためのエリアは、エアロゾル化可能材料を貯蔵するための貯蔵エリアであってもよい。例えば、貯蔵エリアはリザーバであってもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料を受け入れるためのエリアは、エアロゾル生成エリアとは別個であることも、エアロゾル生成エリアと組み合わされていることもある。
【0031】
エアロゾル生成材料又はエアロゾル前駆体材料とも呼ばれるエアロゾル化可能材料は、例えば加熱されたとき、照射されたとき、又は任意の他の方法でエネルギー付与されたときにエアロゾルを生成することができる材料である。エアロゾル化可能材料は、例えば、ニコチン及び/又は香味料を含有することも含有しないこともある固体、液体、又はゲルの形態であり得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料は、「アモルファス固体」を含んでもよく、これは、代替として「モノリシック固体」(すなわち非繊維性)と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、アモルファス固体は、乾燥ゲルであってもよい。アモルファス固体は、液体など何らかの流体を内部に保持することができる固体材料である。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料は、例えば、約50wt%、60wt%、又は70wt%のアモルファス固体から、約90wt%、95wt%、又は100wt%のアモルファス固体を含んでもよい。本明細書で使用するとき、エアロゾル化可能材料は、活性成分、担体成分、並びに他の機能性成分及び/又は香料のうちの任意の1つ又は組合せを含む材料を表すことがある。本開示の実施形態は、1つ又は複数の担体成分のみを含むエアロゾル化可能材料を含む。
【0032】
活性成分は、生理反応及び/又は嗅覚反応を引き起こすためにエアロゾル化可能材料に含まれる生理活性成分及び/又は嗅覚活性成分と考えることができる物質である、又はそのような物質を備えることがある。活性成分は、上に列挙した活性成分の任意のものを含む。
【0033】
担体成分は、エアロゾルを生成することができる1つ又は複数の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、担体成分は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0034】
1つ又は複数の他の機能性成分は、pH調整剤、着色剤、防腐剤、結合剤、充填剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0035】
エアロゾル供給システム(eシガレット)は、常にではないが多くの場合、再利用可能部品と交換可能(使い捨て)カートリッジ部品との両方を含むモジュールアセンブリを備える。多くの場合、交換可能カートリッジ部品は、蒸気前駆体材料及び気化器を備え、再利用可能部品は、電源(例えば充電式バッテリー)、作動機構(例えばボタン又はパフセンサ)、及び制御回路構成を備える。しかし、これらの異なる部品は、機能に応じてさらなる要素を備えることもあることを理解されたい。例えば、ハイブリッドデバイスに関して、カートリッジ部品は、追加の香料要素又は香料付与媒体、例えばタバコ片を備えることもある。そのような場合、香料要素インサート自体は、使い捨てカートリッジ部品から着脱可能とされてもよく、したがって、例えば香料を変更するために、又は香料要素インサートの耐用寿命がカートリッジの蒸気生成構成要素の耐用寿命よりも短いので、カートリッジとは別に交換することができる。いくつかの例では、香料要素インサートは、ポッド、容器、又はさらなるカートリッジ内に収容されてもよい。いくつかの例では、ポッドは再利用可能とされてもよく、ユーザはポッド内の香料要素インサートにアクセスして香料要素インサートを交換することができることがある。他の例では、ポッドは使い捨てであり得て、香料要素インサートへのアクセス又は香料要素インサートの交換の試みをユーザに行わせない。ポッドの使用は、例えば、空気経路内での香料要素インサートの最適な配置を保証にすることによって、及び/又は香料要素インサートの特性(例えば体積、粘稠性、密度など)を制限することによって、ユーザエクスペリエンスの向上をもたらしてもよい。
【0036】
再利用可能なデバイス部品は、ユーザ入力を受信するため及び動作ステータス特性を表示するためのユーザインタフェースなど追加の構成要素を備えることもよくある。
【0037】
モジュールデバイスの場合、カートリッジとコントロールユニットとは、例えば適切に係合する電気接点を備えたねじ式、ラッチ式、又はバヨネット式の固定手段を使用して、使用のために電気的及び機械的に接続される。カートリッジ内の蒸気前駆体材料が使い果たされたとき、又は異なる蒸気前駆体材料を有する異なるカートリッジにユーザが交換したいとき、カートリッジをコントロールユニットから取り外し、代わりに交換用カートリッジを取り付けることができる。このタイプの2部品型のモジュール構成に適合するデバイスは、一般に2部品型デバイス又は多部品型デバイスと呼ばれることがある。
【0038】
多部品型デバイスを含む電子タバコは、概して細長い形状を有することが比較的一般的であり、具体的な例を提供するために、本明細書で述べる開示の特定の実施形態は、タバコポッドインサートを有する使い捨てカートリッジを採用する概して細長い多部品型デバイスを備えるものと考える。しかし、本明細書で述べる基本原理は、異なる電子タバコ構成、例えば単一部品型デバイス又は3つ以上の部品を備えるモジュールデバイス、詰め替え可能デバイス及び一回使用の使い捨てデバイス、並びに他の全体形状に適合する、例えば通常はより箱形を有するいわゆるボックスモッド高性能デバイスに基づくデバイスにも同様に採用することができることは理解されよう。より一般には、本開示の特定の実施形態は、本明細書で述べる原理に従って活性化機能を提供するように構成された電子タバコに基づいており、記載される活性化機能を提供するように構成された電子タバコの具体的な構造的側面は高い重要性を有さないことを理解されたい。
【0039】
本開示は、主に、活性成分、担体成分、又は他の機能性成分のうちの任意の1つ又は複数を含むことがあるエアロゾル前駆体材料(例えば液体)が直接加熱されてエアロゾルを生成するハイブリッドエアロゾル供給システムに関し、エアロゾルは、生成されたエアロゾルの特性を変更する(例えばエアロゾルに香料及び/又はニコチンを付与する)エアロゾル変性材料、例えばタバコ材料又はタバコ含有材料に実質的に通される、又はそれを越えて流される。
【0040】
本開示によれば、タバコ材料が、生成されたエアロゾルを使用して適切な程度に加熱されて、感覚的性能を改良する(より具体的には、生成されたエアロゾルへの香料及び/又はニコチンの取込みを改良する)助けとなり得ることが判明している。より具体的には、エアロゾル変性材料を収容する又は備えるインサートの下面は、50℃~150℃の間、70℃~140℃の間、85℃~125℃の間、又は100℃~125℃の間に加熱することができ、特にタバコを含むインサートを加熱するときに、感覚的性能の向上をユーザに提供する。温度測定は、コレスタ(Coresta)推奨法番号81に従って成された50回のパフにわたってインサートの下面(すなわち、ヒータに最も近いインサートの表面)での最高温度を得ることによって行うことができる。他の実装形態では、これは、50回のパフそれぞれに関する最高温度の平均でもよい。加熱は、ヒータからインサートの下面までの距離を適切に設定することによって、及び/又は所定の質量を加熱してインサートの下面にエネルギーを送達することによって制御される。これらのパラメータの一方又は両方を調節することによって、ユーザは、(例えばバッテリー寿命に関して)デバイスの寿命を損なうことなく、優れた感覚的性能を体験することができる。また、異なる組成物が、異なる量のエネルギーを移送することができる異なる能力を有することがあるので、気化され得るエアロゾル前駆体材料のタイプもインサートの下面の温度に影響を及ぼすことがあることを理解されたい。
【0041】
図1は、本開示の特定の実施形態による、例示的なハイブリッドエアロゾル供給デバイス1を通る断面図である。ハイブリッドエアロゾル供給デバイス1は、2つの主要な構成要素、すなわち、再利用可能部品2と、交換可能/使い捨てカートリッジ部品4(本明細書ではエアロゾル前駆体材料部品又はエアロゾル前駆体材料貯蔵部品と呼ばれることもある)とを含む。この具体的な例では、カートリッジ部品4は、着脱可能なインサート8(本明細書ではエアロゾル変性材料部品又はエアロゾル変性材料貯蔵部品と呼ばれることもある)を含む。通常の使用では、再利用可能部品2とカートリッジ部品4とは、インタフェース6で互いに取り外し可能に結合される。カートリッジ部品が使い果たされたとき、又は異なるカートリッジ部品にユーザが交換したいとき、カートリッジ部品を再利用可能部品から取り外し、代わりに交換用カートリッジを再利用可能部品に取り付けることができる。インタフェース6は、2つの部品間に構造的、電気的、及び空気経路接続をもたらし、例えば、適切であれば2つの部品間の電気的接続及び空気経路を確立するための適切に配置された電気接点及び開口部を有するねじ式、ラッチ機構式、又はバヨネット式の固定手段に基づいて、従来の技法に従って確立することができる。カートリッジ部品4が再利用可能部品2に機械的に取り付けられる具体的な方法は、本明細書で述べる原理に重要ではないが、具体的な例のために、ここではラッチ機構を備えると仮定され、例えば、カートリッジの一部分が、協働するラッチ係合要素(図1には図示せず)を備える再利用可能部品の対応するレセプタクル(受け部)に受け入れられる。いくつかの実装形態でのインタフェース6は、それぞれの部品間の電気的接続をサポートしないことがあることも理解されたい。例えば、いくつかの実装形態では、気化器は、カートリッジ部品ではなく再利用可能部品によって提供されることがあり、又は再利用可能部品からカートリッジ部品への電力の伝達は無線である(例えば電磁誘導に基づく)ことがあり、したがって再利用可能部品とカートリッジ部品との電気的接続は必要とされない。これらの実装形態では、加熱するカートリッジ部品内の要素は、サセプタと呼ばれることがある。
【0042】
図1において、カートリッジ部品4は、プラスチック材料から形成されたカートリッジハウジング42を含む。カートリッジハウジング42は、カートリッジ部品の他の構成要素を支持し、再利用可能部品2との機械的インタフェース6を提供する。カートリッジハウジングは、カートリッジ部品が再利用可能部品2に結合する長手方向軸線に関して概して円対称である。この例では、カートリッジ部品は、長さが約4cm、直径が約3cmである。しかし、具体的な幾何形状、より一般には全体形状及び使用される材料は、異なる実装形態において異なることがあることを理解されたい。
【0043】
カートリッジハウジング42内には、液体エアロゾル前駆体材料を収容するリザーバ44がある。液体エアロゾル前駆体材料は従来のものでもよく、eリキッドと呼ばれることがある。この例での液体リザーバ44は、カートリッジハウジング42によって画定される外壁と、カートリッジ部品4を通る空気経路52を画定する内壁58とを有する環形状を有する。リザーバ44は、eリキッドを収容するために、各端部が端壁で閉じられている。リザーバ44は、従来の技法に従って形成することができ、例えばプラスチック材料を含み、カートリッジハウジング42と一体に成形することができる。他の実装形態では、カートリッジ部品4は、所望に応じて任意の適切なエアロゾル前駆体材料、例えば固体又はゲルを貯蔵するように構成されることもあることを理解されたい。
【0044】
この例での着脱可能なインサート8は、コントロールユニット2に結合するカートリッジ4の端部とは反対側の空気経路52の開端部に挿入される。着脱可能なインサート8が挿入されるカートリッジ空気経路52の領域は、実際上、カートリッジ部品のインサート領域54を画定する。これらの例及び他の例では、着脱可能なインサート8の保持及び配置は、摩擦によるものにすることができ、及び/又は空気経路52内のクリップ、突起、及び他の特徴部によって促進することもできる。いくつかの例では、着脱可能なインサート8は、着脱可能なインサート8の下流にマウスピース要素を取り付けることによってさらに保持されてもよい。そのようなマウスピース要素は、使用中に空気経路52に沿って空気が引き込まれるように、各端部に開口部を含む。
【0045】
図示される例では、着脱可能なインサート8は、エアロゾル変性材料を収容又は保持するハウジングを含む。例えば、エアロゾル変性材料は、植物性物質、香料、活性成分(例えばニコチン成分)、酸、塩基などのエアロゾル変性材料を越えて流れる/通過するエアロゾルの特性、又は粒径などのエアロゾルの物理的パラメータを変更する任意の適切な材料であり得る。本開示において、エアロゾル変性材料は、タバコ片(例えば、細断、再構成、又は押出タバコ)であり、エアロゾルに香料及びニコチンを付与することによって、タバコ片を通過するエアロゾルを変性する。したがって、この例での着脱可能なインサートは、タバコインサート又はタバコポッドと呼ばれることがある。また、着脱可能なインサート8のためのハウジングは各端部に開口部を含み、使用中に空気経路52に沿って引き込まれる空気がインサート8を通過し、したがって内部の香味料(この例ではタバコ)から香料を取り込んでから、ユーザ吸引のためにマウスピース出口50を通ってカートリッジ部品4から出ることを可能にする。いくつかの例では、インサート8のハウジングは、マウスピース要素を画定する、或いは組み込むことができる。他の例では、インサートは、ハウジングを含まないこともある。例えば、いくつかの実装形態では、インサートは、香味料及び/又は活性成分を組み込んだフィルター材料であってもよい。他の例では、インサート8は、ある材料(例えば香味料)を含んでもよく、この材料は、エアロゾル透過性の包み又は層で包まれている又はコーティングされていることも、そうでないこともある。
【0046】
カートリッジ部品は、マウスピース出口50とは反対側のリザーバ44の端部に向けて配置されたウィック46及びヒータ(気化器)48をさらに備える。この例では、ウィック46は、カートリッジ空気経路52に対して横方向に延び、ウィック46の端部は、リザーバ44の内壁の開口部を通ってeリキッドのリザーバ44内に延びる。リザーバ44の内壁の開口部は、ウィック46の寸法に広範に合致するようにサイズ設定され、ウィックを過度に圧縮することなく、液体リザーバからカートリッジ空気経路への漏れに対する妥当なシールを提供する。ウィックの過度の圧縮は、その流体伝達性能に有害であり得る。
【0047】
ウィック46及びヒータ48はカートリッジ空気経路52内に配置され、ウィック46及びヒータ48の周りのカートリッジ空気経路52の領域は、実際上、カートリッジ部品のための蒸気生成領域又は気化領域56を画定する。リザーバ44内のeリキッドは、リザーバ44内に延びるウィックの端部を通ってウィック46に浸透し、表面張力/毛細管作用(すなわちウィッキング)によってウィックに沿って引き込まれる。この例でのヒータ48は、ウィック46の周りに巻かれた電気抵抗性ワイヤを備える。この例では、ヒータ48は、ニッケルクロム合金(Cr20Ni80)ワイヤ又はニッケル鉄合金ワイヤを備え、ウィック46は、ガラス繊維束又は綿繊維束を備えるが、具体的な気化器構成は本明細書で述べる原理に重要ではないことを理解されたい。使用時、ヒータ48に電力を供給して、ウィック46によってヒータ48の近くに引き込まれたある量のeリキッド(蒸気前駆体材料)を気化させることができる。次いで、気化されたeリキッドは、カートリッジ空気経路に沿って引き込まれ、気化領域からインサート8を通って、ユーザ吸引のためにマウスピース出口50から出る空気に同伴され得る。
【0048】
気化器(ヒータ)48によってeリキッドが気化される速度は、使用中にヒータ48に供給される電力の量(レベル)に依存する。したがって、ヒータに電力を印加して、カートリッジ部品4内のeリキッドから蒸気を選択的に生成することができ、さらに、例えばパルス幅及び/又は周波数変調技法によりヒータ48に供給される電力の量を変えることによって、又はDC/DC変換器若しくは他の同様の構成要素を使用して安定した(一定の)電力をヒータに供給することによって、蒸気生成の速度を変えることができる。
【0049】
再利用可能部品2は、eシガレット用の空気入口28を画定する開口部を有する外側ハウジング12と、電子タバコ用の動作電力を提供するためのバッテリー26と、電子タバコの動作を制御及び監視するための制御回路構成体20と、ユーザ入力ボタン14と、この例では圧力センサチャンバ18に配置された圧力センサを備える吸引センサ(パフ検出器)16と、視覚的ディスプレイ24とを備える。
【0050】
外側ハウジング12は、例えばプラスチック又は金属材料から形成することができ、この例では、インタフェース6での2つの部品間の滑らかな移行を提供するように、カートリッジ部品4の形状及びサイズに概して適合する円形断面エリアを有する。この例では、再利用可能部品は約6cmの長さを有し、したがって、カートリッジ部品と再利用可能部品とが結合されたときのeシガレットの全長は約10cmである。しかし、すでに述べたように、本開示の実施形態を実装する電子タバコの全体形状及びスケールは、本明細書で述べる原理に重要ではないことを理解されたい。
【0051】
空気入口28は、再利用可能部品2を通る空気経路30に接続する。さらに、再利用可能部品の空気経路30は、再利用可能部品2とカートリッジ部品4とが接続されるとき、インタフェース6を横切ってカートリッジの空気経路52に接続する。圧力センサ16を収容する圧力センサチャンバ18は、再利用可能部品2の空気経路30と流体連通している(すなわち、圧力センサチャンバ18は、再利用可能部品2の空気経路30から分岐している)。したがって、ユーザがマウスピース開口部50を吸うとき、圧力センサ16によって検出され得る圧力センサチャンバ18内の圧力の降下があり、また、空気は、空気入口28を通して引き込まれ、再利用可能部品の空気経路30に沿って流れ、インタフェース6を横切って、気化器48の近くのエアロゾル生成領域(気化器がアクティブであるときに、気化されたeリキッドが空気流に同伴される)を通って、カートリッジ空気経路52に沿って、ユーザ吸引のためにマウスピース開口部50から流出する。
【0052】
この例でのバッテリー26は充電式であり、従来のタイプのものでもよく、例えば比較的短期間にわたって比較的高い電流の供給を必要とする電子タバコ及び他の用途で通常使用される種類のものでもよい。バッテリー26は、再利用可能部品のハウジング12での充電コネクタ、例えばUSBコネクタを介して再充電されてもよい。
【0053】
この例でのユーザ入力ボタン14は、従来の機械的ボタンであり、例えば、電気的接触を確立するためにユーザによって押されることがあるばね取付式の構成要素を備える。これに関し、入力ボタンは、端末デバイス用の手動入力メカニズムを提供すると考えることができるが、ボタンが実装される具体的な方法は重要ではない。例えば、他の実装形態では、異なる形態の機械的ボタン又はタッチセンシティブボタン(例えば容量性又は光感知技法に基づく)を使用することができる。ボタンが実装される具体的な方法は、例えば、所望の美観を考慮して選択することもできる。
【0054】
ディスプレイ24は、電子タバコに関連する様々な特性、例えば現在の電力設定情報やバッテリー残量などの視覚的標示をユーザに与えるために設けられる。ディスプレイは、様々な方法で実装することができる。この例では、ディスプレイ24は、従来の技法に従って所望の情報を表示するように駆動させることができる従来のピクセル化LCDスクリーンを備える。他の実装形態では、ディスプレイは、1つ又は複数の個別のインジケータ、例えばLEDを備えてもよく、LEDは、例えば特定の色及び/又はフラッシュシーケンスによって所望の情報を表示するように配置される。より一般には、ディスプレイが設けられ、ディスプレイを使用してユーザに情報が表示される方法は、本明細書で述べる原理には重要ではない。いくつかの実施形態は、視覚的表示を含まないことがあり、例えば音声信号通知若しくは触覚フィードバックを使用して電子タバコの動作特性に関連する情報をユーザに提供するための他の手段を含んでもよく、又は電子タバコの動作特性に関連する情報をユーザに提供するための手段をなんら含まないことであってもよい。
【0055】
制御回路構成20は、電子タバコの動作を制御して、本明細書でさらに述べる本開示の実施形態による機能を提供し、また、そのようなデバイスを制御するための確立された技法に従って電子タバコの従来の動作機能も提供するように適切に構成/プログラムされる。制御回路構成(プロセッサ回路構成)20は、本明細書で述べる原理、並びにディスプレイ駆動回路構成及びユーザ入力検出などの電子タバコの他の従来の動作態様に従って、電子タバコの動作の異なる態様に関連する様々なサブユニット/回路構成要素を論理的に備えるものとみなすことができる。制御回路構成20の機能は、例えば、所望の機能を提供するように構成された1つ若しくは複数の適切にプログラムされたプログラム可能なコンピュータ及び/又は1つ若しくは複数の適切に構成された特定用途向け集積回路/回路構成/チップ/チップセットを使用して、様々な異なる方法で提供することができることを理解されたい。
【0056】
この例では、ハイブリッドエアロゾル供給システム1は、ユーザ入力ボタン14と、吸引センサ16とを備える。制御回路構成20は、吸引センサ16から信号通知を受信し、この信号通知を使用して、ユーザがハイブリッドエアロゾル供給システム1を吸っているかどうかを判断し、また入力ボタン14から信号通知を受信し、この信号通知を使用して、ユーザが入力ボタンを押している(すなわち作動している)かどうかを判断するように構成することができる。エアロゾル供給システム1の動作のこれらの態様(すなわちパフ検出及びボタン押下検出)は、それら自体、確立された技法(例えば、従来の吸引センサ及び吸引センサ信号処理技法の使用、並びに従来の入力ボタン及び入力ボタン信号処理技法の使用)に従って行うことができる。他の例示的なエアロゾル供給システムは、ユーザ入力ボタン14と吸引センサ16との一方のみを有してもよい。さらなる例では、エアロゾル供給システムは、システムの構成及び動作に応じて、ユーザ入力ボタン又は吸引センサのいずれも有さないものとしてもよい。
【0057】
ある位置での空気経路52の断面エリアは、その位置での空気経路の中央軸線又は中心軸線に対して垂直な又は横方向の平面のエリアとして定義することができる。そのエリアは、例えば少なくとも1つの壁、又は他の構造的特徴部によって境界を画されることがある。使用時、空気は、空気入口28から空気出口50に向かって中心軸線の方向に流れる。したがって、断面エリアは、使用中に空気が流れるために利用できる横方向エリアの尺度を提供する。
【0058】
図1に示されるように、この例では、空気経路52は、蒸気生成領域56とインサート領域54との間で変化を有することがある。図1は、マウスピース端部50に向かって断面が拡大する空気経路52を示す。他の例では、空気経路の断面が一定であってもよく、又は空気経路の断面が狭まってもよい。いくつかの例では、空気経路52を画定する(1つ又は複数の)壁58は、断面エリアの所望の変化をもたらすように形作られてもよい。例えば、蒸気生成領域56とインサート領域54との間の空気経路52は、壁58によって画定されてもよく、この壁58は、単一の連続的な又はほぼ連続的な壁(例えば円筒形の壁など)である。
【0059】
蒸気生成領域56とインサート領域54との間の壁58によって形成されるチャネルは、漏斗、拡がった管、又は中空錐台として表すことができる。例えば、切頭円錐又は切頭角錐形状を有するものとして表すことができる。例えば、これは、下流の距離に対して壁58の対向部分間の離間距離を増加又は拡大する(逆に、上流の距離に対して対向部分間の離間距離を減少又は縮小する)ことによって実現することができる。図1に関連して、断面エリアの拡大は一次元(すなわち、この図では紙面を横切る方向)であるように見えるが、断面エリアの拡大は、空気経路52の中央軸線又は中心軸線に垂直な平面を定義する両方の次元(すなわち、この図では紙面奥への方向、及び紙面を横切る幅方向)であり得ることを理解されたい。
【0060】
いくつかの例では、インサート8は、エアロゾル変性材料(例えば、植物成分、一例では、ルーズタバコ又はタバコ顆粒)を保持するためのハウジング81を備えるカートリッジ、容器、又はポッドの形態で設けられてもよい。いくつかの実装形態では、タバコ顆粒は、タバコのpHを変えるためにアルカリ処理された顆粒でもよく、及び/又はタバコは、切断又は挽きタバコでもよい。ハウジングは、ポリプロピレンなどのプラスチック材料から形成することができるが、他の実装形態では、ハウジング81は、他のプラスチック材料、金属、又は任意の他の適切な材料から形成することもできる。インサート8は、インサート8内に収容された材料をエアロゾルが通過できるように構成された入口82及び出口83をさらに備える。例えば、使用時、インサート8は、ユーザ吸引に応答して、ヒータ48によって生成されたエアロゾルがインサート8を通して引き込まれるように、カートリッジ部品4に挿入される又は取り付けられる。
【0061】
インサート8がハウジング81を備える場合、入口82及び/又は出口83は覆われる、或いはメッシュを備えることがある。例えば、入口82は、入口メッシュ85を備えてもよい。これらの例のメッシュは、蒸気がインサート8に浸透することを可能にするが、エアロゾル変性材料(例えば、ルーズタバコ又はタバコ顆粒)をインサート8内に保持することができる。メッシュとは、複数の開口部又は穴を設けられた表面を意味する。いくつかの例として、メッシュは、ワイヤメッシュ、成形されたメッシュ、機械加工されたメッシュ、又は穿孔された表面によって提供されてもよい。メッシュは、例えばステンレス鋼などの金属材料から形成されてもよい。例示的なメッシュは、約0.4mmのメッシュ穴を有し、好ましくは各穴間に0.2mmの離間空間を空けてあるものとすることができる。メッシュ穴のサイズは、エアロゾル変性材料のサイズに依存し得ることを理解されたい。出口メッシュは、入口メッシュ85と実質的に同様に構成してもよい。他の例では、出口メッシュは、入口メッシュ85とは異なる構成にしてもよい。例えば、出口メッシュは、出口83から距離を離して配置されてもよい(例えば後述する図3参照)。
【0062】
本開示の態様によれば、エアロゾル変性材料を通過するエアロゾルの1つ又は複数の特性をエアロゾル変性材料が変更する効果は、いくつかの因子に依存することがあり、これらの因子の1つは、エアロゾル変性材料の温度であり得る。例えば、タバコを通過するエアロゾルにタバコが香料及び/又はニコチンを付与する程度は、タバコの温度に一部依存する。一般に、より高い温度でのタバコ片は、タバコを通過するエアロゾルに、より多くの香料及び/又はより多くのニコチンを付与することになる。
【0063】
しかし、図1に示される前述した例示的なハイブリッドエアロゾル供給システムでは、インサート8内のタバコの加熱は間接的に行われる。すなわち、インサート8は、タバコを加熱するための専用のヒータを含まない。その結果、タバコの加熱は、生成されたエアロゾル及び/又はエアロゾルを生成するために使用されるヒータ48によって間接的に行われる。
【0064】
上述したように、カートリッジ部品4は、ウィック46と、ウィック46内に保持されたeリキッドを気化させるために電力を供給されるヒータ48とを含む。気化速度、すなわち1秒あたりに生成される蒸気の量は、ヒータ48に供給される電力に大きく依存する。eリキッドの比較的一定の流れがある(すなわち、気化される液体をほぼ気化速度又はそれよりも高い速度でウィックが補充することができる)と仮定して、通常の使用中、コイルの温度は比較的一定のままである。これは、気化されるeリキッドを補充するときにeリキッドによって冷却効果が与えられること、及びeリキッドの状態を変換する(すなわち気相に移行する)ためにエネルギーが必要であることに一部起因する。例えば、通常の使用中のヒータ48の温度は、180℃~260℃の範囲内であり得るが、これは、気化される材料(eリキッド)の具体的な組成に依存する。ヒータ48への電力を変更すると、生成されるエアロゾルの量と相関する気化速度が変更される。所与のパフに関して、電力を増加させると、一般に、そのパフに関して生成されるエアロゾルの量が増加する。しかし、上記の条件が維持される(すなわち、気化される液体をほぼ気化速度又はそれよりも高い速度でウィックが補充することができる)と仮定して、ヒータ48の最高温度は、通常の使用中、ほぼ一定のままである。
【0065】
ハイブリッドエアロゾル供給システム1の使用中にタバコインサート8が加熱される温度に対して少なくとも2つの因子が影響することが判明している。すなわち、ヒータ48とタバコインサート8との間の距離、及びパフごとに生成されるエアロゾルの量である。図2は、図1のカートリッジ部品4の一部の概略図であり、これも断面図で示されている。図2は、ヒータ48とタバコインサート8の下面(すなわち入口メッシュ85)との間の距離を表す、参照符号dを付された両方向矢印をさらに含む。図2は、例えば制御回路構成20を介してヒータ48に提供される電力を表す、参照符号Pを付された矢印も含む。以下で論じるように、気化され得る材料の組成も、使用中にタバコインサートが加熱される温度の因子になり得る。他の実装形態では、空気経路52の体積及び/又は空気経路の形状も、入口メッシュ85の温度に影響を及ぼすことがある。
【0066】
タバコインサート8の入口メッシュ85は、空気経路52に存在するタバコインサート8の第1の表面であり、したがってヒータ48に最も近いタバコインサート8の部分である。入口メッシュ85は、空気経路52に沿ってヒータ48の下流にあり、したがって、比較的高温のエアロゾルがメッシュ85に流れる/メッシュ85を通過する。これにより、入口メッシュ85はその温度を値T1(図2に表されている)まで上昇する。入口メッシュ85の温度T1は、タバコインサート8内のタバコ材料の(平均)温度を推定する手段であることを理解されたい。エアロゾルとタバコ材料との間及びエアロゾルとメッシュ85との間で異なる熱エネルギー伝達があり得るので、タバコインサート8内の温度は、インサートメッシュ8の温度T1と同じではないことがあり、メッシュ85の温度は、タバコ材料の最高温度よりもわずかに高いことがあると考えられる。また、タバコ材料は、タバコインサート8の入口と出口との間に温度勾配を有することがあり、したがってバルクタバコ材料の平均温度は、インサート8の入口メッシュ85の温度T1よりも低くなることがある可能性も高い。しかし、再現性があり信頼性の高い温度測定を定める目的で、本明細書では入口メッシュ85の温度を使用する。
【0067】
入口メッシュ85の温度T1(したがってタバコ材料の温度)は、エアロゾルが入口メッシュ85を通過するときのエアロゾル自体の特性に一部依存すると理論付けられている。しかし、これは、入口メッシュ85の温度T1に影響を与える又は温度T1に寄与する唯一の因子ではないことがある。いくつかの場合には、ヒータ48からのエネルギーは、ヒータ48から放射により直接(すなわち放射のメカニズムによって)伝達されることがある。しかし、上述したように、任意の所与のシステムに関して、この寄与は、通常の使用ではほぼ一定であり、温度T1を決定する主要な因子とは考えられない。
【0068】
上述したように、ヒータ48でエアロゾルが生成されるとき、生成直後のエアロゾル/蒸気の温度はほぼ一定であり(気化速度が補充速度以下であるとき)、主にeリキッド自体の組成(すなわちeリキッドの気化温度)によって支配される。説明したように、上記の条件下でヒータ48への電力を増加させても、生成されるエアロゾルの温度は変化しない。エアロゾルが生成されると、エアロゾルは、空気経路52に沿って入口メッシュ85に移動し、冷えて凝縮エアロゾルを生成する。したがって、通常の使用中に入口メッシュ85の温度T1を制御するために、一定の距離dに関して、生成されるエアロゾルの量を増加させる(すなわちヒータ48への電力Pを増加させる)と、入口メッシュ85での温度T1がより高くなることが判明している。これは、生成されるエアロゾルの量の増加により、エアロゾルが入口メッシュ85を通過するときにより多くのエネルギーが入口メッシュ85に付与され、入口メッシュ85の温度が比較的高くなるためであると考えられる。これにより、エアロゾル自体(すなわち内部の粒子/液滴)が、エネルギーを入口メッシュ85に運ぶためのメカニズムであると考えることができる。
【0069】
これに関して、生成されるエアロゾルの各単位質量はそれに関連する所与のエネルギーを有すると考えられ、したがって、生成されるエアロゾルの量の増減により、ヒータ48とタバコインサート8の下側メッシュ85との間で伝達される(又は伝達することができる)エネルギーの総量が増減する。このエネルギーは、タバコインサート内のタバコ材料に付与されるエネルギー、したがってタバコ材料自体の(平均)温度を表す。
【0070】
エアロゾルの各単位質量は、特定の(比較的一定の)量のエネルギーを有して生成されることがあるが、生成位置(すなわち蒸気生成領域56)からタバコインサート8へのエアロゾルの移送中に、エネルギーは、周囲のより低温の環境へ失われ、またエアロゾルの凝縮段階中にも失われることを理解されたい。パフごとのバルクエアロゾルを考えると、エネルギーは特定の速度で失われることがある。この速度は、エアロゾルが一定の速度で移動すると考えるとき、単位距離あたりのエネルギー損失として表すことができる。したがって、概して述べるならば、ヒータ48と入口メッシュ85との間の距離dが大きいほど、エネルギー損失が大きくなり、したがってタバコ材料/入口メッシュ85に伝達することができるエネルギーの総量が減少する。
【0071】
50℃~150℃の間、70℃~140℃の間、85℃~125℃の間、又は100℃~125℃の間の温度T1を提供することがユーザエクスペリエンスの向上につながることが判明している。これに関して、満足の行くユーザエクスペリエンスは、主観的ではあるが、一般に、着脱可能なインサート8を通過した後のエアロゾルに含有される香料及び/又は活性成分(例えばニコチン)の量によって定量化することができる。正確な温度T1は、インサート8に収容されている材料のタイプに依存することがある。着脱可能なインサート8にタバコ材料が収容されている実装形態の場合、ハイブリッドエアロゾル供給システム1を使用するときに、85℃~125℃の間又は100℃~125℃の間の温度T1が満足の行くユーザエクスペリエンス(すなわち、知覚される効果)につながることが判明している。一般に、香料及び/又はニコチンのレベルの増加は、ユーザエクスペリエンスの向上につながるが、これはユーザごとに異なる。タバコが比較的低温、例えば30℃に加熱されるシステムと比較して、85℃~125℃の間の温度T1は、ユーザによって吸引されるエアロゾル中に、より多量の香料及び/又はニコチンを提供する。
【0072】
したがって、生成されるエアロゾルの量及び/又はヒータ48とインサート8との間の距離dは、所与のシステムに関して、インサートの下面の50℃~150℃の間の温度T1を実現することができるように設定することができ、これはユーザエクスペリエンスを向上させる。50℃未満の温度T1の提供は、タバコから放散される香料及び/又はニコチンの量が比較的少ないため、知覚される感覚的エクスペリエンスが低下する。150℃を超える温度を与えることは、以下でより詳細に説明するように、ハイブリッドエアロゾル供給システム1に関する非効率性及び/又は知覚される感覚的効果の低下につながることがある。したがって、50℃~150℃の間、又は70℃~140℃の間、又はより特定的には85℃~125℃の間のT1に関する温度範囲は、効率的なシステム1を維持しながら、優れた全体的な感覚的エクスペリエンスにつながる。
【0073】
一般的に言って、タバコを高温に加熱すると、タバコからより多くの香料及び/又はニコチンが放散されると考えられるが、ハイブリッドエアロゾル供給システム1でのメッシュ85が加熱されるメカニズムは、例えばタバコ片を直接加熱するのに比べて比較的非効率的であることを理解されたい。例えば、タバコを直接加熱するシステムでは、専用のヒータが設けられる。しかし、記載のハイブリッドエアロゾル供給システム1において、タバコの加熱は、本質的に、eリキッドから生成されたエアロゾルの副産物である。したがって、理論的には、ヒータに供給される電力を増加させることによって生成されるエアロゾルの量を増加させることができるが、エアロゾルの量の増加のために必要なエネルギーコストよりも、期待される感覚的利得が重要であり、これが最終的に、所与のバッテリーサイズに関するハイブリッドエアロゾル供給デバイスの使用(吸引)回数に影響を与えることがあることを理解されたい。言い換えると、電力Pは、メッシュ85の予想される温度T1に線形にマッピングするとは考えられない。したがって、電力を例えば10%増加させると、温度T1の相応に低い上昇(及び/又はインサート8から出るエアロゾルに同伴される香料及び/又はニコチンの量の相応の増加)が予想される。したがって、エネルギー効率の観点からバランスが取られる。対象としてハイブリッドエアロゾル供給システム1の詳細に大きく依存するが、気化され得る材料を加熱する気化器(例えば上述したようにeリキッドを加熱するウィック及びコイル)に送達すべき電力Pは、バッテリー寿命と感覚的性能との妥協点を提供するために、7.5ワット程度、例えば6.0W~9.0Wの間となる。
【0074】
さらに、ヒータへの電力Pを増加させると、上で説明したように、生成されるエアロゾルの質量が増加される。しかし、ユーザが吸引を望むことがあるエアロゾルの質量に対する物理的制限も考慮に入れることができる。エアロゾルの質量が高すぎる場合、一部のユーザは不快な感覚的効果を感じることがある。一実装形態では、エアロゾルの質量は、一パフ当たり12mg以下に設定される。逆に、上述したように特定の温度T1を達成するために、所与のシステムに関して最小量のエアロゾルが生成されることもあることを理解されたい。この最小量は、一パフ当たり3mgよりも大きい、例えば一パフ当たり4mgであり得る。生成されるエアロゾルの質量(したがってヒータへの電力P)を一パフ当たり4mg~12mgの間に設定することが、タバコを含む着脱可能なインサート8に特に適していることが判明している。本開示の目的のためのパフは、適切なパフマシン、例えばBrogwaldtによって製造されるBrogwaldtの4ポートスモークマシンによって実施されることがある標準的なパフ又はパフレジームに基づいて定められる。より特定的には、パフは、3秒間にわたって55mlの流量と定義される。これは、コレスタ推奨法番号81(CRM81)の喫煙方法と一致している。
【0075】
また、適用することができる最大電力Pは、ウィック46内のeリキッドの補充速度によって決定されてもよい。知られているように、ウィックが乾燥すると(すなわちウィック内のeリキッドの大部分が気化されると)、eリキッドの冷却効果が低下され、ヒータ48の温度が上昇することがある。これはさらに、ウィック46の炭化などの望ましくない効果をもたらすおそれがあり、これは、カートリッジ部品4に損傷を与える、及び/又はユーザによって知覚される望ましくない味をもたらすかもしれない。
【0076】
したがって、生成すべきエアロゾルの量を設定するときに、これらの因子を考慮に入れてもよい。しかし、上述したように、これはただ1つの因子にすぎず、ヒータ48とインサート8との間の距離dも考慮に入れるべきである。上記の説明は、ヒータ48とタバコインサート8との間の距離dを最小にして、タバコインサート8のより高い温度をもたらすことを示唆しているが、ハウジング81に使用される材料(例えばポリプロピレン)に応じて、過剰な温度によるハウジングインサート8への損傷を回避するために、距離は3mm以下、好ましくは3~10mmの間にすべきである。
【0077】
したがって、入口メッシュ85で特定の温度T1を達成するために、生成されるエアロゾルの量は、入口メッシュ85まで距離dを移動するバルクエアロゾルが受ける損失を考慮して計算することができる。これは、経験的に、又はメッシュ85に関する所与の目標温度T1についてのシステムのモデリングによって決定することができる。したがって、インサート8の表面の温度T1が50℃~150℃の間に加熱されるシステムの場合、香料及び/又はニコチンの放散を改良するために入口メッシュ85の温度T1を上昇させるためにヒータ48に加えられる電力量Pの量と、デバイスのエネルギー効率/寿命、感覚的反応、及びヒータ48とインサート8の表面との間の距離dに関連する望ましくない加熱効果とのバランスを、任意の所与のシステムに関して取る必要がある。
【0078】
表1は、ハイブリッドエアロゾル供給システム1の具体的な実装形態に使用された2つのeリキッド配合物に関して得られたデータを示す。この例では、エアロゾル供給システムは、主に図1及び2に関連して述べた通りである。以下の表1に示される結果について、距離dを6.2mmに設定し、ヒータに供給される電力を7.5ワットに設定した。
【0079】
以下のテストデータに使用された液体配合物は、プロピレングリコール(PG)、植物性グリセリン(VG)、水、及び香料成分を含む。香料成分は、ほぼ無視することができる。第1の配合物(表での配合物1)は、約71wt%のPG、17wt%のVG、及び12wt%の水を含み、第2の配合物(表での配合物2)は、約54wt%のPG、36wt%のVG、及び10wt%の水を含む。タバコインサート8にタバコを提供し、総質量は380mgであった。
【0080】
テスト方法は、55mlのパフ体積と3秒のパフ持続時間とを使用して50回のパフのブロックをシミュレートすることを含み、各パフを30秒間隔で離した。パフごとに、ヒータ48の最初の1秒間のパフ前活性化も適用した。このパフレジームは、コレスタ推奨法番号81(CRM81)と一致している。このテストは、Brogwaldtの4ポートスモークマシンで行った。
【0081】
50回のパフにわたって最高温度を特定することによって以下の測定値を得た。
【表1】
【0082】
表からわかるように、テストしたすべての液体に関する入口メッシュ85の最高温度は85℃~125℃の範囲内であった。上述したように、eリキッド組成自体が、入口メッシュ85の最高温度に関与し得る。第1の液体は、一般に、より低い平均温度(約96℃)をもたらし、第2の液体は、より高い温度(約113℃)をもたらした。
【0083】
したがって、ヒータ48に最も近い表面であるタバコなどのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品(インサート8)の下面の温度は、デバイスを使用するユーザに優れた感覚的性能を提供すると共に、エアロゾルを生成するために利用可能な電力を効率的に使用できるように、50℃~150℃の間、70℃~140℃の間、又は85℃~125℃の間になるように設定することができることを上述した。下面の温度は、パフごとに生成すべきエアロゾルの量を適切に設定することによって、及び/又はヒータとエアロゾル変性材料部品の下面との間の距離を適切に設定することによってこの範囲内に設定することができる。
【0084】
上記のことに加えて、エアロゾルが空気経路52に沿って流れるときの熱損失を最小限に抑えるために、空気経路52は実質的に直線に沿って延びていることにも留意されたい。言い換えると、エアロゾルは(例えば角を曲がることによる)突然の方向転換を受けない。突然の方向転換は、エアロゾルの一部が空気経路の壁に衝突してエネルギーを壁に残し、それにより一般にエアロゾルの冷却をもたらす。
【0085】
さらに、パフごとに生成されるエアロゾルの量を増加させると、空気経路52に沿って流れるときの平均的な熱損失が減少されると考えられる。これに関して、生成されるバルク材料が大きいほど、(空気流路52が一定のサイズであることを念頭に置いて)バルク内に平均でより多くの熱が保持されると考えられる。
【0086】
また、タバコインサート8は、複数回使用した後に交換/廃棄されるように意図された構成要素である。したがって、そのような構成要素は、詰め替え可能でないとき、比較的高速で製造される必要があり、理想的には、ハイブリッドシステム1のユーザに費用便益を提供するためにできるだけ安価に製造される必要がある。上述したように、インサート8は、主にプラスチック材料から形成することができ、記載の実装形態では、プラスチック材料はポリプロピレンである。ポリプロピレンは、その豊富さ及び製造のしやすさにより、使用に適していると考えられている。ポリプロピレンの融点は約130℃であり、したがって、タバコインサートの下面の温度T1を130℃未満に設定すると、より安価なタバコインサート8を製造してハイブリッドシステム1と共に使用することができるという追加の利益が得られる。代替実装形態では、より高い融点を有することがある他のプラスチック材料も、本開示の原理に従って使用することができる。
【0087】
上述したことは下面の温度を150℃未満に設定することに焦点を当てているが、上面(例えば出口メッシュ)の温度も温度範囲内に設定することが望ましいことがある。特に、インサート8から出るエアロゾルは、ユーザによって吸引されるのはこのエアロゾルであるため、熱すぎないことが望ましい。例えば、温度は、例えば60℃未満に設定されることがある。
【0088】
図3は、図1のハイブリッドシステム1と共に使用されるタバコインサート8の断面図である。タバコインサート8は、すでに述べたものと実質的に同じであり、同様の構成要素は同様の参照番号で示され、さらに詳細には述べない。タバコインサート8の出口83は、タバコインサート8のハウジング81の開口部から小さなギャップによって分離された出口メッシュ86を含む。出口メッシュ86及び入口メッシュ85は、壁81と共に、タバコ材料が保持される囲まれた容積部を効果的に画定する。すなわち、タバコ材料は、メッシュ85と86の間に保持される。2つのメッシュ間の距離は、図3に参照符号d2として示されている。メッシュ85及び86は概して平坦であるように示されているが、メッシュは、例えばドーム形などの任意の適切な形状を取ることができることを理解されたい。
【0089】
出口メッシュ86の温度T2も、入口メッシュ85に関して述べたのと同様に、メッシュ86を通過するエアロゾルの影響を受ける。しかし、出口メッシュ86の温度T2は、タバコ自体へのエネルギーの損失により、入口メッシュ85の温度T1よりも低いと予想される。
【0090】
上述したように、出口メッシュ86の温度は、出口83を通ってタバコインサート8から出るエアロゾルがユーザにとって熱すぎないように設定されることが望ましい。ユーザの口に入るときのエアロゾルの温度は、約50℃以下にすべきである。エアロゾルが空間を伝播するときのエネルギーの自然な損失により、いくつかの実装形態では、温度T2をこれよりも高く設定することができる。したがって、エアロゾルが約50℃以下の温度に冷えるようにメッシュ86から出口開口部までの十分な距離があると仮定して、温度T2を任意の適切な値に設定することができる。
【0091】
図3では、出口からメッシュ86までの距離が比較的短く、したがって、この実装形態では温度T2が約50℃~60℃に設定される。例えば表1を参照されたい。出口の最高温度がこの範囲内にあるものとして示されている。
【0092】
したがって、温度T2は、上側メッシュと下側メッシュとの間に適切な距離d2を設定することによって、及び/又は下側メッシュ85の温度T1を調整することによって変更することができる。温度T1及び距離d2は、経験的に、又はコンピュータモデリングによって決定することができる。
【0093】
距離d2は、適切な範囲内に設定することができる。距離d2を長く設定しすぎると、エアロゾルがタバコ自体に凝縮するのに十分なほど冷却される可能性があるため、インサートから出るエアロゾルの損失が生じることがある。距離d2を短く設定しすぎると、インサート8から出るエアロゾルがより高温になり得る。しかし、温度T1は、タバコインサート8の出口で適切な温度を提供しない距離d2を考慮に入れるように、上述した原理のいずれかに従って制御することができることを理解されたい。しかし、これにより、ハイブリッドデバイス1の感覚的性能が損なわれる可能性がある。
【0094】
この例では、15mmの距離d2、72.54mmの下側メッシュの表面A、及び0.68~0.72g/ccの間の密度を有するタバコが、30℃~50℃の間の上側メッシュ温度T2及び85℃~125℃の間の下側メッシュ温度を提供するのに適していることが判明している。
【0095】
図4は、上述した実装形態に従ってエアロゾルを生成するための例示的な方法である。
【0096】
この方法はステップS1から始まり、エアロゾル前駆体材料(例えばeリキッド)からエアロゾルが生成される。上述したように、これは、ヒータ48に電力を供給し、続いてeリキッドを気化させることを含む。目標温度T1、エアロゾル変性材料部品の下面までの距離d、及び前駆体組成を考慮して、電力をあらかじめ設定してもよい。
【0097】
この方法はステップS2に進み、生成されたエアロゾルがエアロゾル変性材料部品に渡される。これは、典型的には、ユーザがデバイスを吸い、それにより空気が空気流路52に沿って流れ、生成されたエアロゾルを同伴し、最終的にエアロゾル変性材料部品に送達されることによって行われる。ここで、上述したように、エアロゾルは2つの機能を行う。一方では、エアロゾルは、エアロゾル変性材料部品の下面の加熱を開始する(ステップS3を参照)。他方では、エアロゾルは、エアロゾル変性材料(例えばタバコ)を通過し、材料によって、例えば材料からの香料及び/又はニコチン若しくは他の活性物質の同伴によって変性される。その後、エアロゾルは、出口83を通してユーザに送達される。
【0098】
ステップS4で、エアロゾル生成が停止される。これは、(圧力センサ16を使用して)ユーザが吸引をやめたこと及び/又はユーザがボタン14を押すのをやめたことを感知した結果でもよく、又は代替として、所定の時間が経過した後でもよい。
【0099】
この方法はステップS5に進み、制御回路構成20がユーザ入力を検出する。ステップS4と同様に、ユーザ入力は、ユーザがデバイスを吸っていることに対応する圧力の減少を表す圧力センサ16から受信された信号でもよく、及び/又はユーザがボタン14を押していることの検出によるものでもよい。このユーザ入力又は同様のユーザ入力が検出されると、制御回路構成はヒータへの電力供給を再開し、方法はステップS1に戻り、プロセスが繰り返される。
【0100】
以上、気化され得るエアロゾル前駆体材料を含むエアロゾル前駆体材料部品と、生成されたエアロゾルの少なくとも1つの特性を変更するためのエアロゾル変性材料を含むエアロゾル変性材料部品であり、エアロゾル経路に流体結合された下面を備えるエアロゾル変性材料部品と、エアロゾル前駆体材料からエアロゾルを生成するためのヒータであり、通常の使用時、ヒータによって生成されたエアロゾルがエアロゾル経路に沿ってエアロゾル変性材料部品に流れるようにエアロゾル経路に配置されたヒータとを備えるエアロゾル供給システムであって、ヒータに供給される電力が、パフごとにエアロゾルの所定の質量を生成するように設定され、パフごとに生成されるエアロゾルの所定の質量は、エアロゾルの質量からエアロゾル変性材料部品の下面で受け取られるエネルギーが、エアロゾル変性材料部品の下面の温度を50℃~150℃の間に上昇させるように設定される、及び/又はエアロゾル変性材料部品が、通常の使用中、エアロゾル変性材料部品の下面の温度が50℃~150℃の間に設定されるようにヒータから距離を離して配置される、エアロゾル供給システムを述べた。
【0101】
上述した実施形態は、いくつかの点でいくつかの特定の例示的なエアロゾル供給システムに焦点を当てているが、他の技術を使用するエアロゾル供給システムにも同じ原理を適用することができることを理解されたい。つまり、エアロゾル供給システムの様々な態様が機能する具体的な方法は、本明細書で述べる例の根底にある原理に直接的には重要でない。
【0102】
例えば、上述した実施形態は、液体蒸気前駆体材料を加熱するための電気ヒータベースの気化器を有するデバイスに主に焦点を当てているが、他の技術に基づく気化器、例えば光加熱気化器に従って、及びまた他のエアロゾル前駆体材料、例えばタバコ誘導体材料など植物由来材料などの固体材料に基づく、又はゲル、ペースト、若しくは気泡ベースの蒸気前駆体材料など他の形態の蒸気前駆体材料に基づくデバイスに従って同じ原理を採用することもできる。
【0103】
タバコポッド8はカートリッジ部品4に挿入可能/カートリッジ部品4から着脱可能であると一般に述べてきたが、他の実施形態では、タバコポッドはカートリッジ部品4と一体に形成されることを理解されたい。例えば、タバコポッド8のハウジングは、カートリッジ部品4のハウジングと一体に形成されることがある。そのような実装形態では、タバコポッド8は、ユーザが詰め替え可能でもよく(例えば、タバコをタバコポッドの内部容積部から取り外すこと及び内部容積部に挿入することを可能にする閉止可能な穴の提供によって)、又は詰め替え不可能でもよく、したがってカートリッジ部品4から独立して変更/交換することができない。
【0104】
例えば、同じ原理が、2部品型モジュール構造を備えず、代わりに単一部品型デバイス、例えば使い捨て(すなわち非充電式及び非詰め替え式)デバイスを備える電子タバコにも採用され得る。さらに、モジュールデバイスのいくつかの実装形態では、構成要素の配置が異なってもよい。例えば、いくつかの実装形態では、コントロールユニットはまた、蒸気を生成するために気化器が使用するための蒸気前駆体材料の供給源を提供する交換可能なカートリッジを有する気化器を備えてもよい。
【0105】
様々な問題に対処し、当技術を進歩させるために、本開示は、例示として、特許請求される(1つ又は複数の)発明が実施されることがある様々な実施形態を示す。本開示の利点及び特徴は、実施形態の代表的な例にすぎず、網羅的及び/又は排他的ではない。それらは、特許請求される(1つ又は複数の)発明を理解する助けとなり、その発明を教示するためにのみ提示される。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本開示に対する限定、又は特許請求の範囲の均等物に対する限定と考えるべきではなく、本開示の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができ、変更を行うことができることを理解されたい。様々な実施形態は、本明細書で述べるもの以外の、開示される要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備える、それらからなる、又はそれらから本質的になることがあり、したがって、特許請求の範囲に明示的に記載されているもの以外の組合せで、従属請求項の特徴を独立請求項の特徴と組み合わせることができる。本開示は、現在特許請求されていないが、将来特許請求され得る他の発明も含むことがある。
図1
図2
図3
図4