(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】エアロゾル化可能材料を加熱するための装置、デバイス、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240509BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240509BHJP
H05B 6/80 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/40
H05B6/80 Z
(21)【出願番号】P 2022525370
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(86)【国際出願番号】 GB2020052822
(87)【国際公開番号】W WO2021090022
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-06-24
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, ジュリアン
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208708751(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第108777893(CN,A)
【文献】特開2018-120779(JP,A)
【文献】特開平05-124686(JP,A)
【文献】特開2018-057384(JP,A)
【文献】特開2019-079761(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0271150(US,A1)
【文献】特表2019-517779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 40/40
H05B 6/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる吸引のためのエアロゾルを生成するためにエアロゾル化可能材料を加熱するための装置であって、
エアロゾル化可能材料を受容するための第1のセクションを有するハウジングと、
前記エアロゾル化可能材料がエアロゾルを生成するために前記第1のセクション内に受容されたときに、前記エアロゾル化可能材料を加熱するためのマイクロ波信号を生成するための少なくとも1つのパッチアンテナを有する加熱機構と
を備える装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパッチアンテナによって生成されるマイクロ波からユーザを遮蔽するための遮蔽材をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記遮蔽材が金属材料を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記遮蔽材が反射箔ライナを含む、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のセクションが、実質的に平坦形状であるエアロゾル化可能材料を受容するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも2つのパッチアンテナをさらに備え、
前記少なくとも2つのパッチアンテナが、前記エアロゾル化可能材料の様々な加熱ゾーンを加熱するように選択的に動作可能であるように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのパッチアンテナが配置されるプリント回路基板(PCB)をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのパッチアンテナに関連付けられた少なくとも1つの無線周波数(RF)電力増幅器をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのパッチアンテナが、前記PCBに設けられたビアを通して前記少なくとも1つのRF電力増幅器と電気的に通じている、請求項7に従属する場合の請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記加熱機構が、前記第1のセクションとは別個の第2のセクションに設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のセクションが前記第2のセクションから封止されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1のセクション及び前記第2のセクションが、前記ハウジングの長手方向軸線の両側に配置されている、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのパッチアンテナと電気的に通じているエネルギー源をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのパッチアンテナが、35mm~39mmの範囲の幅と、27mm~31mmの範囲の長さと、1.4mm~1.8mmの範囲の厚さとを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
エアロゾル化可能材料にマイクロ波エネルギーを印加するように構成された少なくとも1つのパッチアンテナを備える、エアロゾル化可能材料加熱デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つのパッチアンテナが配置されるプリント回路基板(PCB)をさらに備える、請求項15に記載のエアロゾル化可能材料加熱デバイス。
【請求項17】
複数の加熱ゾーンを含むエアロゾル化可能材料と、
前記複数の加熱ゾーンのうちの少なくとも1つを選択的に加熱するためのマイクロ波信号を生成するマイクロ波加熱デバイスと
を備える、エアロゾル化可能材料加熱システム。
【請求項18】
複数の加熱ゾーンを含むエアロゾル化可能材料を加熱する方法であって、
マイクロ波信号を生成して、前記複数の加熱ゾーンのうちの少なくとも1つを選択的に加熱することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル化可能材料を加熱するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル化可能材料を加熱して、エアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させ、典型的には、エアロゾル化可能材料を燃焼させたり燃やしたりすることなく吸引できるエアロゾルを形成する装置が知られている。そのような装置は、「非燃焼加熱式」装置、「タバコ加熱製品」(THP:tobacco heating product)又は「タバコ加熱デバイス」、又は同様のものとして記載されることがある。エアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための様々な異なる装置が知られている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、ユーザによる吸引のためにエアロゾルを生成するためにエアロゾル化可能材料を加熱するための装置が提供され、この装置は、エアロゾル化可能材料を受容するための第1のセクションを含むハウジングと、エアロゾルを生成するためにエアロゾル化可能材料が第1のセクション内に受容されるときに、エアロゾル化可能材料を加熱するためのマイクロ波信号を生成するための少なくとも1つのパッチアンテナを有する加熱機構とを備える。
【0004】
任意選択で、本装置は、少なくとも1つのパッチアンテナによって生成されたマイクロ波からユーザを遮蔽するための遮蔽材をさらに備える。
【0005】
任意選択で、遮蔽材は金属材料を含む。
【0006】
任意選択で、遮蔽材は反射箔ライナを含む。
【0007】
任意選択で、第1のセクションは、平坦形状であるエアロゾル化可能材料を受け入れるように構成される。
【0008】
任意選択で、本装置は、少なくとも2つのパッチアンテナをさらに備え、少なくとも2つのパッチアンテナは、エアロゾル化可能材料の様々な加熱ゾーンを加熱するように選択的に動作可能であるように構成される。
【0009】
任意選択で、本装置は、少なくとも1つのパッチアンテナに関連付けられた少なくとも1つの無線周波数(RF)電力増幅器をさらに備える。
【0010】
任意選択で、少なくとも1つのパッチアンテナは、PCBに設けられたビアを通して少なくとも1つのRF電力増幅器と電気的に通ずる。
【0011】
任意選択で、加熱機構は、第1のセクションとは別個の第2のセクションに設けられる。
【0012】
任意選択で、第1のセクションは第2のセクションから封止される。
【0013】
任意選択で、第1のセクション及び第2のセクションが、ハウジングの長手方向軸線の両側に配置される。
【0014】
任意選択で、本装置は、少なくとも1つのパッチアンテナと電気的に通じるエネルギー源をさらに備える。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、エアロゾル化可能材料加熱デバイスが提供され、この加熱デバイスは、エアロゾル化可能材料にマイクロ波エネルギーを印加するように構成された少なくとも1つのパッチアンテナを備える。
【0016】
任意選択的で、エアロゾル化可能材料加熱デバイスは、少なくとも1つのパッチアンテナが配置されるプリント回路基板(PCB)をさらに備える。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、エアロゾル化可能材料加熱システムが提供され、この加熱システムは、複数の加熱ゾーンを含むエアロゾル化可能材料と、複数の加熱ゾーンのうちの少なくとも1つを選択的に加熱するためのマイクロ波信号を生成するマイクロ波加熱デバイスとを備える。
【0018】
本発明の第4の態様によれば、複数の加熱ゾーンを含むエアロゾル化可能材料を加熱する方法が提供され、この方法は、複数の加熱ゾーンの少なくとも1つを選択的に加熱するためにマイクロ波信号を生成することを含む。
【0019】
本発明のさらなる特徴及び利点は、単なる例としての本発明の好ましい実施形態の、添付の図面を参照しての以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態を示す概略斜視図である。
【
図3】本発明の別の実施形態を示す概略斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるエアロゾル化可能材料を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本書で使用される場合、「エアロゾル化可能材料」という用語は、加熱すると典型的にはエアロゾルの形態で揮発成分を供する材料を含む。「エアロゾル化可能材料」は、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでもよい。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコ茎、再生タバコ及び/又はタバコ抽出物のうちの1つ以上を含んでもよい。「エアロゾル化可能材料」はまた、他の非タバコ製品を含んでもよく、これは、製品によってニコチンを含んでいてもよいし含んでいなくてもよす。「エアロゾル化可能材料」は、例えば、固体、液体、ゲル又はワックス等の形態であってもよい。「エアロゾル化可能材料」は、例えば、材料を組み合わせたもの又は混合したものであってもよい。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを生成するために(
図2に示すような)エアロゾル化可能材料10を加熱するための装置1を示す。装置1は、(
図2に示すように)エアロゾル化可能材料10を受容するための第1のセクション3を有するハウジング2を備える。加熱機構4はマイクロ波発生器を備え、このマイクロ波発生器は、エアロゾルを生成するために、エアロゾル化可能材料10が第1のセクション3内に受容されるとエアロゾル化可能材料10を加熱するためのマイクロ波信号を生成する。この例では、加熱機構4は少なくとも1つのパッチアンテナ5を備え、少なくとも1つのパッチアンテナ5は、エアロゾル化可能材料10を加熱してエアロゾルを生成するためのマイクロ波信号を生成するように構成されている。
図1の例では3つのパッチアンテナ5が示されているが、任意の数を使用することができる。例えば、1、2、3、4、5又は任意の他の整数のパッチアンテナ5が使用されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのパッチアンテナ5によって生成されるマイクロ波信号は、約5.8GHzの上限を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのパッチアンテナ5によって生成されるマイクロ波信号は、約2.4~2.5GHzの周波数を有する。少なくとも一部のエアロゾル成分(例えばグリセロール及びプロピレングリコール)は、この周波数帯域の放射線と強く相互作用する点で、有効である。また、エアロゾル化可能材料10を加熱するためのマイクロ波の使用は、エアロゾル化可能材料10がサセプタを使用することなく直接加熱されることを可能にする点で有効である。
【0024】
使用時、少なくとも1つのパッチアンテナ5に電流が供給される。次いで、少なくとも1つのパッチアンテナ5は、エアロゾル化可能材料10に伝えられるマイクロ波信号を生成する。これにより、エアロゾル化可能材料10が加熱され、エアロゾルが生成される。ユーザは、空気がハウジング2を通り、エアロゾル化可能材料10を越えてマウスピース14から出るように、マウスピース14を通して空気を引き込むことができる。空気がハウジング2を通って流れるとき、空気は、エアロゾルの少なくとも一部がユーザによって吸引されることができるように、エアロゾルの少なくとも一部を同伴し得る。少なくとも1つのパッチアンテナ5への電気の供給(したがって、エアロゾル化可能材料10の加熱)は、例えば、ユーザによる吸引の検出の結果として、又はユーザによるボタンの押下時であってもよい。
【0025】
図2は、ハウジング2の一端から見た
図1の装置1を示す。
図2に示すように、加熱機構4は、少なくとも1つのパッチアンテナ5に関連付けられた少なくとも1つの無線周波数(RF)電力増幅器9をさらに備えてもよい。一実施形態では、少なくとも1つのパッチアンテナ5と通じているエネルギー源11が設けられる。RF電力増幅器9は、電源からの直流電流を振動電流に変換する。一実施形態では、RF電力増幅器9の数はパッチアンテナ5の数に等しい。パッチアンテナ5は、プリント回路基板(PCB)6に設けられた電気的なビア又はスルーホール7(
図1に示す)を通して、関連するRF電力増幅器9に電気的に接続されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、エネルギー源11は電池ないしはバッテリーであってもよい。例えば、エネルギー源11は、リチウムイオン(Li-ion)電池であってもよい。
図2に示すように、エネルギー源11は、ハウジング2内に設けられてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、加熱機構4は、約20~30V及び約5WをRF電力増幅器9に印加するためのDCパワーレール(図示せず)を備えてもよい。加熱機構4は、エネルギー源11の電圧を上げるためのブースト回路(図示せず)をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、加熱機構4は、電力制御電子機器(例えば、加熱機構4を制御するための電子機器)に対する約3.3Vの低パワーレール(図示せず)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、この電圧は、リニアレギュレータを使用してエネルギー源11から直接生成してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、加熱機構4は、単一のパッチアンテナ5が一度に加熱されるように構成される。これは、(2つ以上のパッチアンテナ5が使用される場合)パッチアンテナ5間の相互干渉を最小にする点で有利である。さらに、一度に単一のパッチアンテナ5を動作させることにより、エネルギー源11に対する負荷が低減される。
【0029】
図2に示すように、エアロゾル化可能材料10は、実質的に平坦形状であってもよい。あるいは、エアロゾル化可能材料10は、任意の他の適切な形状であってもよい。一実施形態では、エアロゾル化可能材料10の形状は、第1のセクション3の形状によって決定されてもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料10は、材料の膜として提供されてもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料10は、圧縮された切断ラグの層、多孔質基材(例えば、エアロゾル成分を含浸させたセルロース繊維)及び/又は弱く結合したマトリックス中にエアロゾル成分を保持するゲルの少なくとも1つからなるものでもよい。
【0030】
加熱機構4は、少なくとも1つのパッチアンテナ5が配置されるPCB6を備えてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのパッチアンテナ5は、PCB6から形成されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのパッチアンテナ5は、絶縁誘電体によって分離された一対の導電性フレートを備える。例えば、一対の導電性プレートは、2つの銅プレートを含むものであってもよいが、銅の代わりに他の導電性材料が使用されてもよい。一実施形態では、PCB6は絶縁誘電体として機能させ、一対の導電性プレートはPCB6の両側に配置されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのパッチアンテナの寸法は、以下の式に従って決定され得る。
【数1】
ここで、ε
Rは基板の比誘電率、f
0は放射線の周波数、Wは少なくとも1つのパッチアンテナ5の幅、cは真空中の光の速度、ε
effは基板の実効誘電率、hは基板の厚さである。
【0033】
いくつかの実施形態では、誘電体(例えば、PCB6)は、1.4mm~1.8mmの厚さを有し、少なくとも1つのパッチアンテナ5は、約35mm~39mmの幅と約27mm~31mmの長さを有してもよい。有利には、これらの寸法は、そのようなパッチアンテナが携帯型デバイス/ポータブルデバイスにおいて使用されることを可能にする(すなわち、パッチアンテナは、ユーザによって快適に/便利に保持されるデバイスにおいて使用されるのに十分に小さい)。
【0034】
図1及び
図2に示すように、ハウジング2は実質的に直方体であってもよい。あるいは、ハウジング2は、実質的に円形、半円形又は楕円形の断面を有する円筒体であってもよい。追加的又は代替的に、ハウジング2は、ユーザによって容易かつ快適に保持されることを可能にする特徴をもたらすものであってもよい。例えば、ハウジングは、摩擦を増加させ、ひいてはユーザの把持を高めるように、表面テクスチャを備えてもよい。
【0035】
図1及び
図2に示すように、装置は、少なくとも1つのパッチアンテナ5によって生成されるマイクロ波からユーザを遮蔽するための遮蔽材8を含んでもよい。さらに、遮蔽材8は、生成されたマイクロ波をエアロゾル化可能材料に向けるのを助長するものであってもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽材8は金属材料である。いくつかの実施形態では、遮蔽材8は、反射箔ライナ、例えばアルミニウムを含む。遮蔽材8は、ハウジング2の内面に取り付けられていてもよいし、ハウジング2の一部を構成してもよい。遮蔽材8は、ハウジング2の内面のうちの任意の所望の割合を覆ってもよい。例えば、一実施形態では、遮蔽材8は、ハウジング2の内面の実質的に全周にわたって延在されてもよい。いくつかの実施形態では、唯一の要件を、マイクロ波がエアロゾル化可能材料10に到達することが妨げられないよう遮蔽材が加熱機構4を覆わないこととしてもよい。
【0036】
図3は、
図1及び
図2の加熱機構4の例を単独で示している。
図4は、RF電力増幅器9が見えるように別の角度から見た
図3の加熱機構4を示す。
図3に示すように、加熱機構4は、RF電力増幅器9を少なくとも1つのパッチアンテナ5に接続するエネルギー供給部15をさらに備えてもよい。
図4に示すように、加熱機構4は、共通クロックライン/パワーレール16をさらに備えてもよい。RF電力増幅器9は、その有無によってRF電力増幅器9をオン/オフするクロック信号を供給することによって制御されてもよい。クロック信号は集積回路によって生成されてもよい。集積回路は、PCB6上に設けられてもよく、又はPCB6とは別個に設けられてもよい。
【0037】
図3に示すように、少なくとも1つのパッチアンテナ5は、インセット供給部17を備えてもよい。有利には、インセット供給部17は、少なくとも1つのパッチアンテナ5のドライブ電子機器に向かって反射される電力の量を低減することによって、アンテナの効率を増加させる(例えば、PCB6及びRF電力増幅器9)。
【0038】
図1及び
図2に示す実施形態では、ハウジング2は第1のセクション3を有する。
図5は、
図1及び
図2の実施形態の変形例を示し、ハウジング2は、第2のセクション12をさらに備えてもよい。エアロゾル化可能材料10は、第1のセクション3内に受容されてもよく、加熱機構4は、第2のセクション12内に設けられてもよい。いくつかの実施形態では、第1のセクション3は第2のセクション12から封止される。有利には、これは、エアロゾルが生成される空気経路が加熱機構4から隔離されるように、加熱機構4がエアロゾル化可能材料10から隔離されることを可能にする。したがって、加熱機構4はエアロゾルによる汚染から保護され、それによって加熱機構4の寿命が延長される。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1のセクション3は、セパレータ13によって第2のセクション12から分離される。セパレータ13は、エアロゾル化可能材料10が加熱され得るように、マイクロ波信号がそれを通過することを可能にする任意の材料から作製されるとよい。例えば、セパレータ13は、織られたセラミック繊維又は発泡された高温カプトン(Kapton)から作製され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料10はカートリッジ内に設けられてもよい。カートリッジは、取外し可能かつ交換可能であってもよい。一実施形態では、カートリッジは生分解性であってもよい。例えば、カートリッジは、厚紙又は任意の他の同様の材料からなるものとしてもよい。そのようなカートリッジは低コストである点で有利である。さらに、使用後にカートリッジ全体を取り外すことができるので、装置1の清潔さが維持される。
【0041】
いくつかの実施形態では、
図5に示すように、遮蔽材8は、少なくとも1つのパッチアンテナ5によって生成されたマイクロ波信号がエアロゾル化可能材料10に向かって反射されるように形作られてもよい。
図5の例では、これは、遮蔽材8が第1のセクション3の内面に設けられたときに、マイクロ波信号をエアロゾル化可能材料10に向けるように第1のセクション3を成形することによって達成される。あるいは、遮蔽材8は、第1のセクション3とは異なる形状を有してもよい。
【0042】
図5に示すように、第1のセクション3及び第2のセクションは、ハウジング2の長手方向軸線の両側に配置されてもよい。すなわち、第1のセクション及び第2のセクションはそれぞれハウジング2の長さに沿って延びてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、ハウジング及び/又は第1のセクション及び/又は第2のセクションの形状は、例えば、ハウジングから一掃されるエアロゾルの割合を最大化するために、エアロゾル/空気混合物を制御するように寸法が定められてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料加熱デバイスは、マイクロ波エネルギーをエアロゾル化可能材料に印加するように構成された少なくとも1つのパッチアンテナを備える。エアロゾル化可能材料加熱デバイスは、少なくとも1つのパッチアンテナが配置されたプリント回路基板(PCB)をさらに備えてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料加熱システムは、複数の加熱ゾーン10a~10dを含むエアロゾル化可能材料10と、複数の加熱ゾーン10a~10dの少なくとも1つを選択的に加熱するためのマイクロ波信号を生成するマイクロ波加熱デバイスとを備える。そのようなエアロゾル化可能材料10が
図6に示されており、ここで、エアロゾル化可能材料10は、複数の加熱ゾーン10a、10b、10c及び10dを含む。各加熱ゾーン10a~10dを加熱する順序及びタイミングは、予め規定されてもよいし、ユーザによって選択されてもよい。各加熱ゾーン10a~10dは、個別に加熱されてもよいし、1つ以上の他の加熱ゾーン10a~10dと一緒に加熱されてもよい。
【0046】
図6は、エアロゾル化可能材料10に沿って直線状に配置された複数の加熱ゾーン10a~10dを示しているが、それらは任意の他の実用的な方法で配置されてもよい。例えば、複数の加熱ゾーン10a~10dは、互いに対して放射状に配置されてもよい。代替的又は追加的に、複数の加熱ゾーン10a~10dは、エアロゾル化可能材料10の厚さ方向で変化するように配置されてもよい(例えば、エアロゾル化可能材料10の断面が分離したゾーンを示すように)。4つの加熱ゾーンが
図6に示されているが、任意の他の整数が使用されてもよい。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上の加熱ゾーンがあってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、マイクロ波加熱デバイスは、少なくとも1つのパッチアンテナを備えてもよい。加熱ゾーンの数は、設けられるパッチアンテナ5の数と等しくてもよい。パッチアンテナ5は、各加熱ゾーンを別々に加熱するように選択的に動作可能であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、複数の加熱ゾーンを含むエアロゾル化可能材料を加熱する方法は、マイクロ波信号を生成して、複数の加熱ゾーンの少なくとも1つを選択的に加熱することを含む。
【0049】
本書に記載される様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解及び教示を助けるためにのみ提示されたものである。これらの実施形態は、諸実施形態の代表例としてのみ提供され、網羅的及び/又は排他的ではない。本書で説明される利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に対する限定又は特許請求の範囲の均等物に対する限定と見なされるべきではなく、他の実施形態が利用されてもよく、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく修正が行われてもよいことを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本書に具体的に記載されもの以外の開示される要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段等の適切な組み合わせを好適に備え、それらから成り、又はそれらから本質的に成っていてもよい。加えて、本開示は、現在請求されていないが、将来請求され得る他の発明を含み得る。
【0050】
なお、本書で使用される「又は」という用語は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味すると解釈されるべきであることに留意されたい。