(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】通信エラーの原因を診断するためのスレーブBMS、マスターBMSおよびバッテリパック
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20240509BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240509BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240509BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J7/00 Y
H01M50/204 401D
H01M10/44 P
(21)【出願番号】P 2022577421
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 KR2021007495
(87)【国際公開番号】W WO2022019481
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0092272
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、セオン イェオル
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ムーン クー
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-089858(JP,A)
【文献】特開2019-083681(JP,A)
【文献】特開2017-156323(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0336770(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 7/00
H01M 50/204
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1バッテリモジュールをモニタリングした結果を外部装置に出力する通信回路と、
第1状態で第1パターンを有
し、第2状態で前記第1パターンと相違する第2パターンを有する第1ステータス信号を生成する信号生成回路と、
前記第1ステータス信号を第2スレーブBMSに出力する出力端子と
、
第3スレーブBMSから第3ステータス信号を受信する入力端子と、
前記第3ステータス信号のパターンに基づいて前記第3スレーブBMSの状態を診断する診断回路とを含み、
前記通信回路は、前記第3スレーブBMSの前記状態を前記外部装置に出力する、第1スレーブBMS。
【請求項2】
前記第1状態は、前記第1スレーブBMSが正常に動作する状態であり、
前記第2状態は、前記第1スレーブBMSが正常に動作しない状態である、請求項
1に記載の第1スレーブBMS。
【請求項3】
前記
第1ステータス信号は矩形波信号であり、
前記第1パターンを有する前記
第1ステータス信号と前記第2パターンを有する前記第1ステータス信号は、周期、デューティー比、振幅のうち少なくとも一つが相違する信号である、請求項
2に記載の第1スレーブBMS。
【請求項4】
前記通信回路は、前記外部装置と連結されるCANバスを介して前記結果を出力し、
前記出力端子は、前記第2スレーブBMSのGPIO(General-Purpose Input/Output)端子と連結されるGPIOの端子を介して前記
第1ステータス信号を出力する、請求項
1に記載の第1スレーブBMS。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の第1スレーブBMSと、
第1バッテリモジュールとを含むバッテリパック。
【請求項6】
前記第1スレーブBMSは、前記第1バッテリモジュールをモニタリングした結果を第1通信リンクを介して外部装置に出力し、前記第1ステータス信号を第2通信リンクを介して前記第2スレーブBMSに出力する、請求項5に記載のバッテリパック。
【請求項7】
前記第2スレーブBMSは、前記第2通信リンクを介して受信する前記
第1ステータス信号に基づいて、前記第1スレーブBMSが正常動作しないと診断される場合、前記外部装置に第3通信リンクを介して通知信号を出力す
る、請求項6に記載のバッテリパック。
【請求項8】
前記外部装置は、前記第1スレーブBMSおよび前記第2スレーブBMSを制御するマスターBMSであり、
前記第1通信リンクは、前記マスターBMSと前記第1スレーブBMSとの間のCANバスにより生成され、
前記第2通信リンクは、前記第1スレーブBMSのGPIO(General-Purpose Input/Output)の端子と前記第2スレーブBMSのGPIOの端子が連結されることで生成され、
前記第3通信リンクは、前記マスターBMSと前記第2スレーブBMSとの間のCANバスにより生成される、請求項7に記載のバッテリパック。
【請求項9】
第1スレーブBMSおよび第2スレーブBMSと通信するための通信回路と、
前記第1スレーブBMSとの通信中にエラーが発生した場合、第2スレーブBMSから受信した通知信号に基づいて、前記エラーの原因が前記第1スレーブBMSの内部の問題であるか、前記通信回路と前記第1スレーブBMSとの通信上の問題であるかを判断するコントローラとを含む
マスターBMSであって、
前記通信回路は、前記第1スレーブBMSから前記第1スレーブBMSがモニタリングする第1バッテリモジュールの状態に関する情報を受信し、前記第2スレーブBMSから前記第1スレーブBMSの状態を示す前記通知信号を受信する
マスターBMS。
【請求項10】
前記第2スレーブBMSから前記第2スレーブBMSの状態に応じて相違するパターンを有するステータス信号を受信する入力端子をさらに含み、
前記通信回路は、前記第2スレーブBMSから前記第2スレーブBMSがモニタリングする第2バッテリモジュールの状態に関する情報を受信し、
前記コントローラは、前記受信した情報にエラーがある場合、前記ステータス信号のパターンに基づいて、前記エラーが前記第2スレーブBMSの内部の問題であるか、前記通信回路と前記第1スレーブBMSとの通信上の問題であるかを判断し、
前記ステータス信号の前記パターンは、前記ステータス信号の周期、デューティー比、振幅のうち少なくとも一つと関連する、請求項
9に記載のマスターBMS。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年7月24日付けの韓国特許出願第10-2020-0092272号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、バッテリパックに関し、より詳細には、通信エラーの原因を診断するためのバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、二次電池に関する研究開発が活発に行われている。ここで、二次電池は、充放電が可能な電池として、従来のNi/Cd電池、Ni/MH電池などと、最近のリチウムイオン電池をいずれも含む意味である。二次電池のうち、リチウムイオン電池は、従来のNi/Cd電池、Ni/MH電池などに比べて、エネルギー密度がはるかに高いという利点がある、また、リチウムイオン電池は、小型・軽量で作製することができ、移動機器の電源として使用されている。また、リチウムイオン電池は、電気自動車の電源として使用範囲が拡張し、次世代エネルギー貯蔵媒体として注目を浴びている。
【0004】
また、二次電池は、一般的に、複数個のバッテリセルが直列および/または並列に連結されているバッテリモジュールを含むバッテリパックとして用いられる。また、バッテリパックは、バッテリ管理システムにより状態および動作が管理および制御される。
【0005】
複数個のバッテリパックで構成されるバッテリシステムには、マスターBMSと複数個のスレーブBMSが含まれることができる。マスターBMSは、上位システムと通信して、複数個のスレーブBMSの動作を制御することができる。ここで、マスターBMSは、通信により、それぞれ複数個のスレーブBMSに命令信号を伝送することができる。
【0006】
また、マスターBMSは、複数個のスレーブBMSから、それぞれ、データを受信することができる。受信するデータは、スレーブBMSそれぞれが管理するバッテリに関連する情報を含むことができる。ここで、マスターBMSは、スレーブBMSから受信するデータに基づいて、それぞれのスレーブBMSの状態を判断することができる。しかし、スレーブBMSの状態を判断する際、マスターBMSが特定のスレーブBMSからデータを受信することができなかった場合、当該異常が通信上の問題であるか、スレーブBMSの問題であるかを区別することが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の技術的課題を解決するためのものであり、本発明は、スレーブBMSから受信したデータにエラーおよび/または損失が発生した時に、通信エラーの原因が通信上の問題であるか、スレーブBMSの問題であるかを診断するためのバッテリパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によるスレーブBMSは、通信回路、信号生成回路および出力端子を含むことができる。通信回路は、第1バッテリモジュールをモニタリングした結果を外部装置に出力することができる。信号生成回路は第1状態で第1パターンを有するステータス信号を生成し、第2状態で第1パターンと相違する第2パターンを有するステータス信号を生成することができる。出力端子はステータス信号を第2スレーブBMSに出力することができる。
【0009】
本発明の実施形態によるバッテリパックは、第1バッテリモジュールおよび第1BMSを含むことができる。第1BMSは、第1バッテリモジュールをモニタリングした結果を第1通信リンクを介して外部装置に出力することができる。第1BMSは、第1状態で第1パターンを有するステータス信号を第2BMSに出力し、第2状態で第1パターンと相違する第2パターンを有するステータス信号を第2通信リンクを介して第2BMSに出力することができる。
【0010】
本発明の実施形態によるマスターBMSは、通信回路およびコントローラを含むことができる。通信回路は、第1スレーブBMSおよび第2スレーブBMSと通信することができる。コントローラは第1スレーブBMSとの通信中にエラーが発生した場合、第2スレーブBMSから受信した通知信号に基づいて、エラーの原因が第1スレーブBMSの内部の問題であるか、通信回路と第1スレーブBMSとの通信上の問題であるかを判断することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態による第1スレーブBMSは、自分の状態に応じて、相違するパターンを有するステータス信号を生成することができる。第1スレーブBMSと隣接した第2スレーブBMSは、第1スレーブBMSのステータス信号に基づいて、第1スレーブBMSの状態に関する情報をマスターBMSに伝送することができる。これにより、本発明の実施形態によるマスターBMSは、第1スレーブBMSから受信したデータにエラーが発生した場合、エラーがマスターBMSと第1スレーブBMSとの通信上の問題であるか、第1スレーブBMSの問題であるかを判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリパック1と上位システムに含まれている上位制御器2を含むバッテリ制御システムを概略的に示す構成図である。
【
図2】従来技術のスレーブBMS点検システムの簡略な構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるスレーブBMS点検システムの簡略な構成図である。
【
図4】
図3のスレーブBMS35から出力されたデータのエラーの原因を診断する方法を説明するフローチャートである。
【
図5】
図3のスレーブBMS38から出力されたデータのエラーの原因を診断する方法を説明するフローチャートである。
【
図6】
図3のスレーブBMS35の構成を示すための概念図である。
【
図7】
図6のスレーブBMS35の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図6のスレーブBMS35の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図3のマスターBMS30の構成を説明するための概念図である。
【
図10】本発明の一実施形態によるBMSのハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して、本発明の様々な実施形態について詳細に説明する。本文において、図面上の同じ構成要素に対しては、同じ参照符号を使用し、同じ構成要素に関する重複する説明は省略する。
【0014】
本文書に開示されている本発明の様々な実施形態に対して、特定の構造的もしくは機能的な説明は、単に本発明の実施形態を説明するために例示されたものであって、本発明の様々な実施形態は、様々な形態で実施されてもよく、本文書に説明している実施形態に限定されるものと解釈してはならない。
【0015】
様々な実施形態において使用されている「第1」、「第2」、「一番目」、または「二番目」などの表現は、様々な構成要素を、順序および/または重要度に関係なく修飾することがあり、当該構成要素を限定しない。例えば、本発明の権利範囲から逸脱しないとともに、第1構成要素は第2構成要素と称され得、同様に、第2構成要素も第1構成要素に変えて称され得る。
【0016】
本文書において使用されている用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されているものであって、他の実施形態の範囲を限定することを意図しないものであり得る。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味を有していない限り、複数の表現を含み得る。
【0017】
技術的もしくは科学的な用語をはじめ、ここで使用されているすべての用語は、本発明の技術分野において通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有することができる。一般的に使用されている辞書に定義された用語は、関連技術が文脈上有する意味と同一または類似する意味を有するものと解釈することができ、本文書において明白に定義されない限り、理想的もしくは過剰に形式的な意味に解釈されない。場合によっては、本文書で定義された用語であっても、本発明の実施形態を排除するように解釈されることができない。
【0018】
図1は本発明の一実施形態によるバッテリパック1と上位システムに含まれている上位制御器2を含むバッテリ制御システムを概略的に示す構成図である。
【0019】
図1に図示されているように、バッテリパック1は、一つ以上のバッテリセルからなり、充放電可能なバッテリモジュール10と、バッテリモジュール10の+端子側または-端子側に直列に連結されて、バッテリモジュール10の充放電電流の流れを制御するためのスイッチング部14と、バッテリパック1の電圧、電流、温度などをモニタリングして、過充電および過放電などを防止するように制御管理するスレーブBMS32(Slave Battery Management System)とを含むことができる。
【0020】
ここで、スイッチング部14は、バッテリモジュール10の充電または放電に対する電流の流れを制御するための半導体スイッチング素子として、例えば、少なくとも一つのMOSFETが用いられることができる。
【0021】
また、スレーブBMS32は、バッテリパック1の電圧、電流、温度などをモニタリングするために、半導体スイッチング素子のゲート、ソースおよびドレインなどの電圧および電流を測定または計算することができ、また、半導体スイッチング素子に隣接して設けられたセンサ12を用いて、バッテリパックの電流、電圧、温度などを測定することができる。スレーブBMS32は、上述の各種パラメータを測定した値の入力を受けるインタフェースとして、複数の端子と、これらの端子と連結されて入力を受けた値の処理を行う回路などを含むことができる。
【0022】
また、スレーブBMS32は、MOSFETのON/OFFを制御することもでき、バッテリモジュール10に連結されて、バッテリモジュール10の状態を監視することができる。
【0023】
このようなバッテリパック1の構成およびスレーブBMS32の構成は、公知された構成であるため、より具体的な説明は省略する。
【0024】
一方、本発明の実施形態によるスレーブBMS32は、マスターBMS30(Master Battery Management System)と連結されて、上位BMSから印加された信号に基づいて動作が制御されることができる。また、マスターBMS30は、上位制御器2と連結されることができる。マスターBMS30も上位制御器2から印加される信号に基づいて動作が制御されることもできる。
【0025】
以下では、上位制御器2から制御信号を直接受信するマスターBMS30にデータを伝送するスレーブBMSの健全性評価に関する構成および方法について説明する。
【0026】
図2は従来技術のスレーブBMS点検システムの簡略な構成図である。
【0027】
スレーブBMS点検システムは、マスターBMS20と、スレーブBMS22~28とを含むことができる。マスターBMS20は、上位制御器2からそれぞれのスレーブBMSに関する動作制御命令信号を直接受信して、それぞれのスレーブBMSを制御することができる。また、マスターBMS20は、スレーブBMS22~28からそれぞれバッテリ関連データを受信し、上位制御器2に伝送することができる。
【0028】
また、マスターBMS20から制御信号を受信したスレーブBMS22~28は、受信した制御信号による動作を行うことができる。例えば、それぞれ管理しているバッテリモジュールの充放電を制御するか、モニタリングしているバッテリモジュールの状態に関するデータをマスターBMS20に伝送するなどの動作を行うことができる。以降、それぞれのスレーブBMS22~28は、前記制御信号に応じてまたは周期的に、連結されているバッテリモジュール10の状態を点検したデータを前記マスターBMS20に伝送することができる。
【0029】
このように、マスターBMS20とスレーブBMS22~28が通信を行う際、マスターBMSとスレーブBMSとの通信リンクは、周りの環境によって不安定になり得る。また、スレーブBMS22~28が正常に動作する状態でも、リンクの不安定によって、マスターBMS20は、スレーブBMS22~28の健全性を誤って判断し得る。
【0030】
それぞれのスレーブBMS22~28は、自分と関連するデータ、例えば自分が管理するバッテリモジュールに関するデータをマスターBMS20に伝送することができる。
【0031】
例えば、
図2に図示されているように、マスターBMS20は、第1、第2および第4スレーブBMS22、24、28からはデータを受信することができる。しかし、マスターBMS20は、第3および第5スレーブBMS26、28からはデータを受信しない。この場合は、第3スレーブBMS26は、BMS自体に異常があり、マスターBMS20にデータを伝送することができなかった場合である。一方、第5スレーブBMS28は、BMS自体には異常がないが、マスターBMS20との通信異常があり、第5スレーブBMS28から伝送したデータがマスターBMS20に逹することができなかった場合である。
【0032】
このように、従来の通信方法では、マスターBMS20がスレーブBMS自体に異常があり、データを受信することができなかった場合と、スレーブBMSには異常がないが、通信状態に異常があり、データを受信することができなかった場合を区別できない可能性がある。そのため、従来技術では、スレーブBMSの健全性点検を正確に行うことができなかった。このような点を補完するための本発明の構成について、以下で詳細に説明する。
【0033】
図3は本発明の一実施形態によるスレーブBMS点検システムの簡略な構成図である。
【0034】
スレーブBMS点検システム3は、マスターBMS30と、スレーブBMS32~38とを含むことができる。本明細書において、バッテリパックは、スレーブBMS32~38およびスレーブBMS32~38がモニタリングするバッテリモジュールを含むことができる。ただし、バッテリパックは、
図3に図示されているより少ない数のスレーブBMSを含むか、より多い数のスレーブBMSを含むこともできる。
【0035】
マスターBMS30は、スレーブBMS32~38それぞれと、通信リンクを介して通信することができる。本明細書において、通信リンクは、有線または無線でデータを送受信するために、二つの地点の間を連結するすべての手段を意味する。例えば、マスターBMS30は、スレーブBMS32~38それぞれとCAN(Controller Area Network)バスを介して通信することができる。
【0036】
このように、マスターBMS30とスレーブBMS32~38が通信を行う際、マスターBMSとスレーブBMS32~38との間の通信リンクは、周りの環境によって不安定になり得る。この場合、スレーブBMS32~38から出力されたデータの一部が損失するか、出力されたデータにエラーが発生し得る。
【0037】
通信リンクの問題ではなく、スレーブBMS32~38自体に問題がある場合にも、スレーブBMS32~38から出力されたデータの一部が損失するか、出力されたデータにエラーが発生し得る。
【0038】
本発明の実施形態よると、スレーブBMS点検システム3は、マスターBMS30に受信するデータのエラーが、通信上の問題であるか、スレーブBMS自体の問題であるかを診断することができる。以下で、これに関連するスレーブBMS点検システム3の動作について詳細に説明する。
【0039】
スレーブBMS32~38それぞれは、マスターBMS30にデータを伝送することができる。例えば、スレーブBMS32は、スレーブBMS32がモニタリングするバッテリモジュールに関するモニタリングデータをマスターBMS30に伝送することができる。
【0040】
スレーブBMS32~38のそれぞれは、一方向に沿って、自分のステータス信号を、隣接した次のスレーブBMSに出力することができる。最初のスレーブBMSは、前記一方向を基準として、スレーブBMS32~38のうち最初に位置し、マスターBMS30からステータス信号を受信するスレーブBMSを意味する。最後のスレーブBMSは、前記一方向を基準として、最後に位置し、隣接した次のスレーブBMSがないスレーブBMSを意味する。スレーブBMS32~38のそれぞれが右側方向に、自分のステータス信号を隣接したスレーブBMSに出力する場合、最初のスレーブBMSおよび最後のスレーブBMSは、それぞれ、スレーブBMS32およびスレーブBMS38であり得る。
【0041】
スレーブBMS32は、マスターBMS30からマスターBMS30のステータス信号を受信することができる。スレーブBMS32は、マスターBMS30のステータス信号に基づいて、自分のステータス信号を生成することもできる。具体的には、マスターBMS30のステータス信号の特性(例として、周期、デューティー比、振幅)に基づいて、スレーブBMS32~38それぞれのステータス信号が決定されることができる。例えば、スレーブBMS32~38が正常状態である時に、スレーブBMS32~38それぞれのステータス信号は、マスターBMS30のステータス信号と同一であることができる。他の例として、スレーブBMS32~38が非正常状態である時に、スレーブBMS32~38それぞれのステータス信号は、マスターBMS30のステータス信号の周期を増加または減少させた電圧信号であることができる。
【0042】
ステータス信号は、電圧信号であることができる。また、ステータス信号は、矩形波パターンを有する信号であることができる。本明細書において、信号のパターンが相違するとは、信号の周期が相違するか、電圧信号の振幅が相違するか、電圧信号のデューティー比が相違することを意味し得る。ただし、本発明は、これに限定されない。
【0043】
スレーブBMS32は、自分の状態に応じて、相違するパターンを有するステータス信号を生成することができる。例えば、スレーブBMS32は、自分が正常に動作しないか、内部にエラーが発生した場合、第1パターンを有するステータス信号を生成することができる。スレーブBMS32は、自分が正常に動作するか、内部にエラーが発生しない場合、第2パターンを有するステータス信号を生成することができる。第2パターンは、第1パターンと相違するパターンであることができる。また、スレーブBMS32は、自分に発生したエラーのタイプによっても相違するパターンを有するステータス信号を生成することができる。
【0044】
スレーブBMS32は、隣接したスレーブBMS34にステータス信号を出力することができる。スレーブBMS32と隣接したスレーブBMS34は、スレーブBMS32からスレーブBMS32のステータス信号を受信することができる。本明細書において、スレーブBMS32と隣接したスレーブBMS34は、スレーブBMS34~38のうちスレーブBMS32と最も近くに位置したスレーブBMSを意味し得る。
【0045】
ここで、スレーブBMS32は、通信回路を用いてモニタリングデータを出力することができ、別の通信回路を必要としない端子を用いてステータス信号を出力することができる。例えば、通信回路は、CANネットワークに基づいて外部装置と通信する通信回路であることができ、通信端子は、GPIOのピンまたは端子であることができる。ただし、本発明は、これに限定されず、前記内容は、
図6を参照して詳細に説明する。
【0046】
スレーブBMS34は、ステータス信号に基づいて、スレーブBMS32の状態を診断することができる。具体的には、スレーブBMS34は、ステータス信号のパターンに基づいて、スレーブBMS32にエラーが発生したかを診断することができる。また、スレーブBMS34は、ステータス信号のパターンに基づいて、スレーブBMS32に発生したエラーのタイプを診断することもできる。マスターBMS30とスレーブBMS32~38は、ステータス信号のパターンに関する情報を予め格納することができる。マスターBMS30とスレーブBMS32~38は、予め格納された情報に基づいて、自分のステータス信号を生成するか、受信したステータス信号に基づいて、隣接したBMSの状態を診断することができる。
【0047】
スレーブBMS34は、スレーブBMS32の状態に関する情報をマスターBMS30に出力することができる。例えば、スレーブBMS34は、スレーブBMS32の状態に関する情報をCANバスを介して出力することができる。スレーブBMS34は、自分がモニタリングするバッテリモジュールに関する情報を出力するためにも、CANバスを用いることができる。すなわち、スレーブBMS34は、同じCANバスを用いて、バッテリモジュールに関する情報を出力し、スレーブBMS32の状態に関する情報を出力することができる。
【0048】
スレーブBMS34は、スレーブBMS32にエラーが発生した場合、マスターBMS30に通知信号を出力することができる。通知信号は、スレーブBMS32に発生したエラーに関する情報を含むことができる。
【0049】
したがって、スレーブBMS35から受信したデータに損失および/またはエラーがある場合、マスターBMS30は、データの損失および/またはエラーがスレーブBMS35自体の問題であるか、通信上の問題であるかを判断することができる。
【0050】
具体的には、スレーブBMS35は、正常動作状態で、第1パターンのステータス信号を出力することができる。スレーブBMS35は、非正常動作状態で、第2パターンのステータス信号を出力することができる。
図3を参照すると、スレーブBMS35は、非正常動作するため、第2パターンのステータス信号をスレーブBMS36に出力することができる。スレーブBMS36は、第2パターンのステータス信号を受信した場合、スレーブBMS35にエラーが発生したと判断することができる。この場合、スレーブBMS36は、スレーブBMS35のエラーに関する情報をマスターBMS30に出力することができる。マスターBMS30は、スレーブBMS36から受信したスレーブBMS35のエラーに関する情報に基づいて、データの損失および/またはエラーがスレーブBMS35自体の問題であると判断することができる。マスターBMS30は、これに基づいて、スレーブBMS35を制御するなど措置を取るか、スレーブBMS35の状態を
図1の上位制御器2に通知することができる。スレーブBMS35が正常動作した場合には、通信リンク上にエラーがあることを
図1の上位制御器2に通知することができる。このような動作については、
図4を参照して詳細に説明する。
【0051】
スレーブBMS32~38のうち最後のスレーブBMS(例えば、スレーブBMS38)から受信したデータに損失および/またはエラーがある場合に、マスターBMS30は、下記の方法で、データの損失および/またはエラーが通信上の問題であるか、スレーブBMS38の問題であるかを診断することができる。
【0052】
スレーブBMS38は、自分がモニタリングしたバッテリモジュールに関するモニタリングデータをマスターBMS30に出力することができる。ここで、スレーブBMS38は、通信回路を用いて、第1経路を経て、モニタリングデータをマスターBMS30に出力することができる。第1経路は、CANバスによって形成されることができるが、これに限定されない。
【0053】
スレーブBMS38は、自分のステータス信号をマスターBMS30に出力することができる。ここで、スレーブBMS38は、通信端子を用いて、第2経路を経て、ステータス信号をマスターBMS30に出力することができる。第2経路は、スレーブBMS38およびマスターBMS30それぞれのGPIO(General-Purpose IN/Out)ピンを介して生成される通信経路であり得るが、これに限定されない。
【0054】
マスターBMS30は、スレーブBMS38から受信したステータス信号に基づいて、スレーブBMS38の状態を診断することができる。マスターBMS30は、スレーブBMS38のステータス信号に基づいて、スレーブBMS38から受信したモニタリングデータのエラーが、通信上の問題であるか、スレーブBMS38の問題であるかを判断することができる。このような動作については、
図5を参照して詳細に説明する。
【0055】
図4は
図3のスレーブBMS35から出力されたデータのエラーの原因を診断する方法を説明するフローチャートである。
【0056】
S110動作で、
図3のスレーブBMS35は、バッテリモジュールをモニタリングすることができる。スレーブBMS35は、バッテリモジュールの電圧、電流、温度などを測定し、バッテリモジュールをモニタリングすることができる。
【0057】
S120動作で、スレーブBMS35は、モニタリングデータをマスターBMS30に出力することができる。モニタリングデータは、スレーブBMS35によってモニタリングされたバッテリモジュールに関するデータであることができる。
【0058】
S130動作で、マスターBMS30は、モニタリングデータをスレーブBMS35から受信することができる。マスターBMS30は、モニタリングデータにエラーがあると判断することができる。
【0059】
S135動作で、スレーブBMS35は、自分の状態に基づいて、ステータス信号を生成することができる。ステータス信号は、スレーブBMS35の状態に応じて相違するパターンを有することができる。スレーブBMS35の状態とは、スレーブBMS35が正常に動作するか、スレーブBMS35が非正常に動作するか、スレーブBMS35が非正常に動作する場合には如何なるエラーが発生したかなどに関連することができる。
【0060】
S140動作で、スレーブBMS35は、スレーブBMS36にステータス信号を出力することができる。スレーブBMS35は、モニタリングデータを出力する時とは相違する通信端子を用いて、ステータス信号を出力することができる。また、スレーブBMS35は、モニタリングデータを出力する時とは相違する通信経路を用いて、ステータス信号を出力することができる。詳細な内容は、
図6を参照して詳細に説明される。
【0061】
S150動作で、スレーブBMS36は、ステータス信号に基づいて、スレーブBMS35の状態を診断することができる。
【0062】
S160動作で、スレーブBMS36は、スレーブBMS35の状態に関する状態情報をマスターBMS30に出力することができる。
【0063】
S170動作で、マスターBMS30は、スレーブBMS36から受信した状態情報に基づいて、スレーブBMS35から受信したモニタリングデータのエラーの原因を判断することができる。
【0064】
図5は
図3のスレーブBMS38から出力されたデータのエラーの原因を診断する方法を説明するフローチャートである。
【0065】
S210動作で、
図3のスレーブBMS38は、バッテリモジュールをモニタリングすることができる。スレーブBMS38は、バッテリモジュールの電圧、電流、温度などを測定し、バッテリモジュールをモニタリングすることができる。
【0066】
S220動作で、スレーブBMS38は、モニタリングデータをマスターBMS30に出力することができる。モニタリングデータは、スレーブBMS38によってモニタリングされたバッテリモジュールに関するデータであることができる。
【0067】
S230動作で、スレーブBMS38は、自分の状態に基づいて、ステータス信号を生成することができる。スレーブBMS38は、モニタリングデータを出力する時とは相違する通信端子を用いて、ステータス信号を出力することができる。また、スレーブBMS38は、モニタリングデータを出力する時とは相違する通信経路を用いて、ステータス信号を出力することができる。
【0068】
S240動作で、スレーブBMS38は、マスターBMS30にステータス信号を出力することができる。
【0069】
S250動作で、マスターBMS30は、モニタリングデータをスレーブBMS38から受信することができる。マスターBMS30は、モニタリングデータにエラーがあると判断することができる。
【0070】
S260動作で、マスターBMS30は、ステータス信号をスレーブBMS38から受信することができる。マスターBMS30は、ステータス信号に基づいて、スレーブBMS38の状態を診断することができる。
【0071】
S270動作で、マスターBMS30は、スレーブBMS38の状態情報に基づいて、スレーブBMS38から受信したモニタリングデータのエラーの原因を判断することができる。
【0072】
図6は
図3のスレーブBMS35の構成を示すための概念図である。
【0073】
スレーブBMS35は、モニタリング回路41と、通信回路42と、診断回路43と、信号生成回路44と、メモリ45とを含むことができる。
【0074】
モニタリング回路41は、スレーブBMS35と連結されたバッテリモジュールをモニタリングすることができる。モニタリング回路41は、バッテリモジュールをモニタリングして、モニタリングデータを生成することができる。モニタリング回路41は、モニタリングデータを通信回路42に出力することができる。
【0075】
通信回路42は、モニタリング回路41から受信したモニタリングデータをマスターBMS30に出力することができる。通信回路42は、マスターBMS30と通信リンクを介してデータを送受信することができる。例えば、通信リンクは、CANバスであることができる。
【0076】
診断回路43は、スレーブBMS34からスレーブBMS34の状態を示すステータス信号を受信することができる。スレーブBMS35のGPIOのピン(IN)は、スレーブBMS34のGPIOのピン(OUT)と連結されることができる。診断回路43は、GPIOのピン(IN)と連結されることができる。診断回路43は、スレーブBMS34のステータス信号をGPIOのピン(IN)を介して受信することができる。スレーブBMS34のステータス信号は、スレーブBMS34のGPIOのピン(OUT)を介して出力されることができる。
【0077】
診断回路43は、スレーブBMS34のステータス信号に基づいて、スレーブBMS34の状態を診断することができる。
図6を参照すると、スレーブBMS34は、正常動作する状態であることができる。具体的には、診断回路43は、スレーブBMS34のステータス信号の周期、デューティー比、振幅などに基づいて、スレーブBMS34の状態を診断することができる。以下の説明で、ステータス信号のパターンが相違するとは、ステータス信号の周期、デューティー比、振幅のうち少なくとも一つが相違することを意味する。例えば、
図6を参照すると、スレーブBMS34は、正常状態の場合のステータス信号を出力し、スレーブBMS35は、非正常状態の場合のステータス信号を出力する。非正常状態の場合のステータス信号の周期は、正常状態の場合のステータス信号の周期より長いことができる。
【0078】
診断回路43は、スレーブBMS34の状態に関する状態情報を通信回路42に出力することができる。通信回路42は、診断回路43から受信した状態情報をマスターBMS30に出力することができる。
【0079】
信号生成回路44は、スレーブBMS35の状態に基づいて、ステータス信号を生成することができる。メモリ45は、予めマスターBMS30とスレーブBMS35との間で定義されたステータス信号に関する情報を格納することができる。ステータス信号に関する情報とは、スレーブBMS35の状態によるステータス信号の周期、デューティー比、振幅などに関する定義であることができる。診断回路43も、メモリ45に格納された情報を用いて、スレーブBMS34のステータス信号によってスレーブBMS34の状態を診断することができる。
【0080】
信号生成回路44は、メモリ45に格納された情報に応じて、ステータス信号を生成することができる。信号生成回路44は、スレーブBMS35が正常であるか、非正常であるかに応じて、相違するステータス信号を生成することができる。また、スレーブBMS35に発生したエラーのタイプに応じて相違するステータス信号を生成することができる。
【0081】
信号生成回路44は、GPIOのピン(OUT)を介してステータス信号を隣り合うBMSに出力することができる。
【0082】
スレーブBMS35のGPIOのピン(OUT)は、隣り合うBMSのGPIOのピン(IN)と連結されることができる。隣り合うBMSは、自分のGPIOのピン(IN)を介して、ステータス信号を受信することができる。
【0083】
スレーブBMS35は、隣り合うスレーブBMS34、36とステータス信号を送受信するために、追加の通信ネットワークおよび/または通信ラインを用いることができる。スレーブBMS35は、マスターBMS30とモニタリングデータを送受信するために使用する通信ネットワークとは相違する通信ネットワークを用いて、隣り合うスレーブBMS34、36と通信することができる。したがって、スレーブBMS35は、マスターBMS30との通信ネットワークまたは通信回路42に問題がある場合にも、スレーブBMS36と通信することができ、スレーブBMS36に自分の状態に関する情報を伝送することができる。本明細書において、通信ネットワークが相違するとは、通信ライン、通信経路および通信プロトコルが相違することを意味し得る。
【0084】
本発明は、スレーブBMS35を通信ラインのうちGPIOを用いて、隣り合うスレーブBMS34、36と通信するように実現することで、より安価で本発明のスレーブBMS35を生産することもできる。本発明は、スレーブBMS35だけでなく、
図3の残りのスレーブBMS32、34、36、38およびマスターBMS30もGPIOを用いて、隣り合うBMSと通信するように実現することで、より安価で生産することができる。
【0085】
図7は
図6のスレーブBMS35の動作を説明するためのフローチャートである。
【0086】
図6を参照して説明しているように、スレーブBMS35の動作は、大きく、隣り合うスレーブBMS34の状態を診断し、マスターBMS30にスレーブBMS34の状態情報を出力する動作と、自分の状態に基づいてステータス信号を生成し、他の隣り合うスレーブBMS36に自分のステータス信号を出力する動作を含むことができる。
図7を参照して、スレーブBMS35が隣り合うスレーブBMS34の状態を診断し、マスターBMS30にスレーブBMS34の状態情報を出力する動作について説明する。
【0087】
S310動作で、スレーブBMS35は、通信端子を介して、スレーブBMS34のステータス信号を受信することができる。
【0088】
S320動作で、スレーブBMS35は、スレーブBMS34のステータス信号に基づいて、スレーブBMS34の状態を診断することができる。
【0089】
S330動作で、スレーブBMS35は、スレーブBMS34の状態に関する状態情報を、通信回路42を介してマスターBMS30に出力することができる。
【0090】
図8は
図6のスレーブBMS35の動作を説明するためのフローチャートである。
図8を参照して、スレーブBMS35が自分の状態に基づいてステータス信号を生成し、他の隣り合うスレーブBMS36に自分のステータス信号を出力する動作について説明する。
【0091】
S410動作で、スレーブBMS35は、バッテリモジュールをモニタリングし、モニタリングデータを生成することができる。
【0092】
S420動作で、スレーブBMS35は、バッテリモジュールをモニタリングし、モニタリングデータを通信回路42を介してマスターBMS30に出力することができる。
【0093】
S430動作で、スレーブBMS35は、自分の状態に基づいて、ステータス信号を生成することができる。
【0094】
S440動作で、スレーブBMS35は、ステータス信号をGPIOピン(OUT)を介してスレーブBMS36に出力することができる。
【0095】
図9は
図3のマスターBMS30の構成について説明するための概念図である。
【0096】
マスターBMS30は、通信端子(IN、OUT)と、通信回路52と、コントローラ53とを含むことができる。
【0097】
マスターBMS30は、通信端子(IN、OUT)を介して、
図3の隣り合うスレーブBMS36、38とデータを送受信することができる。例えば、マスターBMS30は、GPIOのピン(OUT)を介してスレーブBMS36と通信することができ、GPIOのピン(IN)を介してスレーブBMS38と通信することができる。具体的には、マスターBMS30は、スレーブBMS38のGPIOのピン(OUT)と連結されたGPIOのピン(IN)を介して、スレーブBMS38のステータス信号を受信することができる。
【0098】
コントローラ53は、GPIOのピン(IN)を介して、スレーブBMS38のステータス信号を受信することができる。コントローラ53は、スレーブBMS38のステータス信号に基づいて、スレーブBMS38の状態を診断することができる。
【0099】
通信回路52は、スレーブBMS38からスレーブBMS38がモニタリングするバッテリモジュールに関するモニタリングデータを受信することができる。
【0100】
コントローラ53は、通信回路52からモニタリングデータを受信することができる。コントローラ53は、モニタリングデータにエラーが発生したか否かを判断することができる。モニタリングデータにエラーが発生した場合、コントローラ53は、スレーブBMS38のステータス信号に基づいて、エラーがスレーブBMS38自体の問題であるか、マスターBMS30とスレーブBMS38の通信上の問題であるか、スレーブBMS38の通信回路の問題であるかなどについて診断することができる。
【0101】
スレーブBMS36から受信したモニタリングデータにエラーがある場合、マスターBMS30は、スレーブBMS36と隣り合うスレーブBMS38から受信した状態情報に基づいて、スレーブBMS36から受信したデータにエラーの原因を診断することができる。具体的には、マスターBMS30は、通信回路52を介してスレーブBMS36からモニタリングデータを受信することができる。通信回路52と通信するスレーブBMSの通信回路は、CANバスを用いて、CANプロトコルに基づく通信を行うことができる。コントローラ53は、通信回路52を介して受信したモニタリングデータのエラーを診断することができる。マスターBMS30は、モニタリングデータのエラーを診断するために、スレーブBMS38からスレーブBMS36の状態情報を受信することができる。この場合、マスターBMS30は、通信回路52を介してスレーブBMS36の状態情報を受信することができる。コントローラ53は、通信回路52を介して受信したスレーブBMS36の状態情報に基づいて、モニタリングデータのエラーの原因がスレーブBMS36であるか、通信ネットワークであるかなどを診断することができる。
【0102】
図10は本発明の一実施形態によるBMSのハードウェア構成を示す図である。
【0103】
図10を参照すると、BMS1000は、各種の処理および各構成を制御するマイクロコントローラ(MCU)1010と、運営体制プログラムおよび各種のプログラム(例えば、バッテリ診断プログラム、電圧近似式算出プログラムなど)などが記録されるメモリ1020と、バッテリセルモジュールおよび/または半導体スイッチング素子との間で入力インタフェースおよび出力インタフェースを提供する入出力インタフェース1030と、有無線通信網を介して外部と通信可能な通信インタフェース1040とを備えることができる。このように、本発明によるコンピュータプログラムは、メモリ1020に記録され、マイクロコントローラ1010によって処理されることで、例えば、
図6および
図9で図示した各機能ブロックを行うモジュールとして実現されることができる。具体的には、BMS1000の構成は、本明細書のスレーブBMSおよび/またはマスターBMSの機能を果たすモジュールとして実現されることができる。
【0104】
上述の内容は、本発明を実施するための具体的な実施形態である。本発明は、上述の実施形態だけでなく、単純に設計変更されるか容易に変更可能な実施形態も含む。また、本発明は、実施形態を用いて容易に変形して実施することができる技術も含む。したがって、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本発明の特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるべきである。