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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20240509BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A47J37/06 366
F24C3/12 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020031368
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021132851
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳永 昌之
(72)【発明者】
【氏名】森本 和幸
(72)【発明者】
【氏名】亀田 珠央
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-041273(JP,A)
【文献】特開2016-093548(JP,A)
【文献】特開2018-115833(JP,A)
【文献】特開2011-154962(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0072018(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00-37/07
F24C 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有し、前記内部空間内において被加熱物の加熱を行なうグリル庫と、
燃焼ガスを排出する排気経路を有する排気部材と、
燃焼ガスを前記内部空間から前記グリル庫外へ強制的に排出する排気ファンと、を備え、
前記排気ファンは、前記排気部材の前記排気経路外に配置され、前記排気経路外に開口した吸込み口を有し、前記排気経路内に配置された吐出し口を通じて前記排気経路内に排気するよう構成されており、
前記排気ファンは、前記排気部材に対して左右方向の一方側に配置されており
前記吐出し口を有する中継部材をさらに備え、
前記排気部材が、後板と、前記後板の前方に配置された前板とを有し、前記中継部材が前記前板に接続されている、加熱調理器。
【請求項2】
内部空間を有し、前記内部空間内において被加熱物の加熱を行なうグリル庫と、
燃焼ガスを排出する排気経路を有する排気部材と、
燃焼ガスを前記内部空間から前記グリル庫外へ強制的に排出する排気ファンと、を備え、
前記排気ファンは、前記排気部材の前記排気経路外に配置され、前記排気経路外に開口した吸込み口を有し、前記排気経路内に配置された吐出し口を通じて前記排気経路内に排気するよう構成されており、
前記排気ファンは、前記排気部材に対して左右方向の一方側に配置されており、
前記排気部材は前記グリル庫の後方に位置し、
前記吐出し口は、前後方向の寸法よりも左右方向の寸法が大きいスリット形状を有している、加熱調理器。
【請求項3】
前記排気ファンはシロッコファンである、請求項1または請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記排気部材は、燃焼ガスを前記排気経路から排出する排気口を有し、
前記吐出し口からの吹き出し方向に前記排気口が位置している、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
鉛直方向の上側から前記排気口を見た視点において前記排気口と重畳する領域を避けて前記吐出し口が配置されている、請求項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
調理器用筐体をさらに備え、
前記排気ファンの前記吸込み口は前記調理器用筐体の外部に開口している、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器としてのガスコンロ用グリルは、たとえば特許第6128828号公報(特許文献1参照)に開示されている。特許文献1に開示されたグリルでは、グリル庫内での燃焼時に生じた燃焼ガスはドラフト効果によりグリル庫の内部から外部へ排気されている。つまり高温の燃焼ガスが上昇するという性質を利用して、グリル庫の上方に設けた排気口から燃焼ガスが自然排出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6128828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃焼ガスはドラフト効果によってグリル庫の外部へ自然に排出される。しかし燃焼初期には燃焼ガスの温度が低いため、ドラフト効果によって燃焼ガスをグリル庫外へ排出する効果が低い。グリル庫内に燃焼ガスが充満すると、グリル庫内の酸素が不足してグリル庫内における燃焼性が悪化する。
【0005】
グリル庫内の燃焼性を良好にするためには、熱交換後の燃焼ガスをグリル庫内から十分に排出する必要がある。このためグリル庫の上方に設けた排気口を大きくする必要がある。しかし排気口を大きくすると、排気口および排気口周りの清掃の労力が増大するとともに、コンロバーナなどの天板上に配置される加熱部の配置の制約も増大する。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気口の開口面積が小さく、かつグリル庫内での燃焼性が良好な加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の加熱調理器は、グリル庫と、排気部材と、排気ファンとを備えている。グリル庫は、内部空間を有し、内部空間内において被加熱物の加熱を行なう。排気部材は、燃焼ガスを排出する排気経路を有している。排気ファンは、燃焼ガスを内部空間からグリル庫外へ強制的に排出する。排気ファンは、排気部材の排気経路外に配置され、排気経路外に開口した吸込み口を有し、排気経路内に配置された吐出し口を通じて排気経路内に排気するよう構成されている。
【0008】
本発明の加熱調理器によれば、排気ファンにより燃焼ガスが内部空間からグリル庫外へ強制的に排出される。このため排気口の開口面積が小さくても、グリル庫内の燃焼ガスを効果的に排出することができる。したがって、グリル庫内に燃焼ガスが充満しにくくなり、グリル庫内での燃焼性が良好となる。これにより排気口の開口面積が小さく、かつグリル庫内での燃焼性が良好な加熱調理器を実現することができる。
【0009】
また排気口の開口面積を小さくできるため、排気口および排気口周りの清掃の労力を軽減することが可能となる。また排気口の開口面積を小さくできるため、コンロバーナなどのグリル庫上に配置される加熱部の配置の自由度が向上する。
【0010】
上記加熱調理器において、排気部材はグリル庫の後方に位置する。吐出し口は、前後方向の寸法よりも左右方向の寸法が大きいスリット形状を有している。
【0011】
吐出し口が上記スリット形状を有することにより、燃焼ガスを左右方向に均一に排出することが可能となる。これにより排気効率が良好となる。
【0012】
上記加熱調理器において、排気ファンは、排気部材に対して左右方向の一方側に配置されている。
【0013】
これにより排気ファンを調理器用筐体の内部へ配置することが容易となる。このため排気ファンの追加による加熱調理器の大型化を抑制することが可能となる。
【0014】
上記加熱調理器において、排気ファンはシロッコファンである。
【0015】
シロッコファンは静圧が高いファンであるため、省スペース化実現することができる。
【0016】
上記加熱調理器において、排気部材は、燃焼ガスを排気経路から排出する排気口を有している。吐出し口からの吹き出し方向に排気口が位置している。
【0017】
これにより吐出し口から排気口に向かう空気の流れが生じる。この空気の流れにより、グリル庫内の燃焼ガスが排気口へ導かれ、グリル庫内からの燃焼ガスの排気効率が向上する。
【0018】
上記加熱調理器において、鉛直方向の上側から排気口を見た視点において排気口と重畳する領域を避けて吐出し口が配置されている。
【0019】
これにより排気口を通じて排気経路内に落下してきた異物が吐出し口内に入ることが抑制される。このため吐出し口を通じて異物が排気ファンに達することが抑制できる。
【0020】
上記加熱調理器は、調理器用筐体をさらに備えている。排気ファンの吸込み口は調理器用筐体の外部に開口している。
【0021】
これにより排気ファンは加熱調理器の外部の低い温度の空気を吸引することができる。このため排気ファンにより吸引される空気の密度が高く、送風機の効率が高くなる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、排気口の開口面積が小さく、かつグリル庫内での燃焼性が良好な加熱調理器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施の形態における加熱調理器の例としてグリル付ガスコンロの構成を示す斜視図である。
図2図1の加熱調理器におけるグリル部の構成を示す斜視図である。
図3図1の加熱調理器の断面図である。
図4図1の加熱調理器に用いられる排気部材の構成を示す斜視図である。
図5図1の加熱調理器に用いられる排気ファンの例としてシロッコファンの構成を示す断面図である。
図6図1の加熱調理器に用いられる排気部材の構成を示す断面図である。
図7】排気部材の吐出し口の形状を示す一部破断斜視図である。
図8】本発明の一実施の形態における加熱調理器の変形例としてグリル付ガスコンロの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、実施の形態と変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0025】
(実施の形態1)
<グリル付ガスコンロHCの構成>
まず本実施の形態における加熱調理器HCの一例としてグリル付ガスコンロの構成について図1図3を用いて説明する。
【0026】
図1に示されるように、本実施の形態におけるグリル付ガスコンロHCは、たとえばビルトインタイプのガスコンロである。このグリル付ガスコンロHCは、コンロ本体21(調理器用筐体)と、天板22と、複数のバーナ23と、グリルGRとを有している。
【0027】
コンロ本体21の上には天板22が配置されている。天板22の上には複数のバーナ23が配置されている。複数のバーナ23は、コンロバーナとして、たとえば標準バーナ、小火力バーナおよび高火力バーナの3つのバーナを有している。
【0028】
天板22の下であってコンロ本体21の内部にはグリルGRが配置されている。グリルGRは、コンロ本体21の横幅方向の中央部に配置されている。天板22には、グリルGRからの調理排気を排出するためのグリル排気口24が配置されている。
【0029】
図2に示されるように、グリルGRは、グリル庫11と、バーナ12L、12Tと、グリル皿13と、案内機構14と、受枠15と、グリル扉16と、排気部材1と、排気ファンEFとを有している。
【0030】
グリル庫11は、開口11aと、内部空間11bとを有している。グリル庫11の内部空間11bは、開口11aに通じている。内部空間11bは、被加熱物を加熱調理するための空間である。
【0031】
バーナ12L、12Tは、グリルバーナであり、グリル庫11の内部空間11b内に配置された被加熱物を加熱調理するためのものである。被加熱物は、グリル皿13に載置された状態で、グリル庫11の内部空間11b内に配置される。
【0032】
バーナ12L、12Tとして、たとえば下バーナ12Lと、上バーナ12Tとが設けられている。下バーナ12Lは、グリル庫11の内部空間11b内であって、グリル庫11の底部に配置されている。下バーナ12Lは、グリル皿13がグリル庫11の内部空間11b内に収納された状態でグリル皿13の下に位置する。
【0033】
上バーナ12Tは、グリル庫11の上部に配置されている。上バーナ12Tは、グリル皿13がグリル庫11の内部空間11b内に収納された状態でグリル皿13の上に位置する。これにより下バーナ12Lと上バーナ12Tとにより被加熱物を挟み込んで、被加熱物の上下両側から加熱することができる。
【0034】
下バーナ12Lは、たとえばブンゼン式バーナである。上バーナ12Tは、たとえば下向きに火炎を形成する輻射式バーナである。下バーナ12Lおよび上バーナ12Tのいずれかが省略されてもよい。
【0035】
グリル皿13は、被加熱物を載置するためのものである。グリル皿13の被加熱物を載置する底面には、上方に突出する複数の突部が設けられている。グリル皿13の被加熱物を載置する底面は、平面と傾斜面とにより構成されていてもよい。グリル皿13は、波型プレートおよび平型プレートのいずれであってもよい。グリル皿13は、底面の周囲から立ち上がった枠状の縁部を有している。この縁部により、加熱調理時に被加熱物から出る焼き汁をグリル皿13に貯留することができる。
【0036】
グリル皿13は、受枠15に対して上方に取り外し可能に支持されている。受枠15は、グリル皿13の外周縁部を支持する。受枠15は、線材を曲げ加工することにより構成されている。
【0037】
案内機構14は、グリル庫11に対して受枠15を前後方向に移動可能に構成されている。これにより、受枠15に支持されたグリル皿13は、開口11aを通じてグリル庫11の内部空間11bに対して出入可能となる。つまり案内機構14は、グリルGRによる加熱調理中にはグリル皿13をグリル庫11の内部空間11b内に収納し、かつ加熱調理の前後にはグリル皿13をグリル庫11の外に出すことができるように構成されている。
【0038】
案内機構14は、たとえばスライドレール式である。案内機構14は、グリル庫11の底部側の左右両側に配置されている。案内機構14は、たとえば固定レール14aと、中間レール14bと、可動レール14cとを有している。
【0039】
固定レール14aは、グリル庫11に固定設置されており、グリル庫11の前後方向に沿って延びている。中間レール14bは、固定レール14aに対してグリル庫11の前後方向に沿って移動可能に支持されている。可動レール14cは、中間レール14bに対してグリル庫11の前後方向に沿って移動可能に支持されている。
【0040】
可動レール14cには、受枠15が取り付け固定されている。また可動レール14cには、グリル扉16が着脱自在に取り付けられている。案内機構14によりグリル扉16も受枠15とともに前後方向に移動可能である。
【0041】
グリル扉16は、前後方向に移動することによって、グリル庫11の開口11aを開閉可能である。これによりグリル扉16は、グリル庫11の開口11aを開けて、グリル庫11の内部空間11bを外部に開放することができる。グリル扉16が開口11aを開いた状態で、受枠15に対してグリル皿13を取り付けまたは取り外しすることができる。またグリル扉16は、グリル庫11の開口11aを閉じて、グリル皿13が収納されたグリル庫11の内部空間11bを閉塞することができる。
【0042】
排気部材1は、グリル庫11の後部に取り付けられている。排気部材1は、グリル庫11の内部空間11bにおける燃焼ガスをグリル庫11の外部へ排出するためのものである。
【0043】
排気ファンEFは、排気部材1に対して左右方向A2の一方側に配置されている。排気ファンEFは、グリル庫11の内部空間11bにおける燃焼ガスを排気部材1を通じてグリル庫11外へ強制的に排出するためのものである。
【0044】
図3に示されるように、排気部材1は、排気経路1aと、吸気口1bと、排気口1cとを有している。排気経路1aは、排気部材1の内部に設けられている。吸気口1bは、排気部材1の吸気側端部に設けられており、排気経路1aに通じている。排気口1cは、排気部材1の排気側端部に設けられており、排気経路1aに通じている。
【0045】
排気部材1の吸気側端部は、グリル庫11の後端に接続されている。排気部材1の排気経路1aは、吸気口1bを通じてグリル庫11の内部空間11bに連通している。これによりグリル庫11の内部空間11bにおける燃焼ガスは、吸気口1bを通じて排気部材1の排気経路1a内に流入可能である。
【0046】
排気部材1の排気側端部は、天板22のグリル排気口24の真下に配置されている。排気部材1の排気口1cはグリル排気口24に向かって開口している。これにより排気部材1の排気経路1a内の燃焼ガスは、排気口1cおよびグリル排気口24を通じて加熱調理器HC外へ排出可能である。
【0047】
<排気部材1、中継部材2および排気ファンEFの構成>
次に、上記加熱調理器HCに用いられる排気部材1、中継部材2および排気ファンEFの構成について図4図7を用いて説明する。
【0048】
図4に示されるように、排気部材1は、前板1Fと、後板1Rと、1対の側板1Sa、1Sbと、上板1Tとを有している。前板1Fと後板1Rとは、排気経路1aを挟んで前後方向A1に互いに向かい合っている。1対の側板1Sa、1Sbは、排気経路1aを挟んで左右方向A2に互いに向かい合っている。
【0049】
1対の側板1Sa、1Sbの各々の前端は前板1Fに接続されている。1対の側板1Sa、1Sbの各々の後端は後板1Rに接続されている。側板1Sbと前板1Fと後板1Rとの各々の上端には上板1Tが接続されている。
【0050】
側板1Saと上板1Tとの間には隙間1cが設けられている。この隙間1cが排気経路1aの排気口1cとなる。このように排気口1cは、排気部材1の左右方向A2の一方側に偏って配置されている。つまり排気口1cは、側板1Saに達しているが、側板1Sbとの間には上板1Tを挟んでおり側板1Sbに達していない。
【0051】
排気部材1の吸気口1bは、排気部材1の左右方向A2のほぼ全体にわたって設けられている。具体的には吸気口1bは、1対の側板1Sa、1Sbの双方に達している。
【0052】
前板1Fは、下部1FBと、中央部1FMと、上部1FUとを有している。下部1FB、中央部1FMおよび上部1FUは下から順に並んでいる。下部1FBの後端に中央部1FMが接続されている。中央部1FMの後端であって上端に上部1FUが接続されている。
【0053】
下部1FB、中央部1FMおよび上部1FUの各々は、前方から後方ヘ向かって上り勾配となる傾斜を有している。下部1FB、中央部1FMおよび上部1FUの各々の上り勾配のうち、下部1FBの上り勾配の傾斜が最も小さく、上部1FUの上り勾配の傾斜が最も大きい。
【0054】
中継部材2は、左右方向A2に延びており、左右方向A2の一方端2saおよび他方端2sbを有している。中継部材2は、一方端2sa側において排気部材1に接続されている。中継部材2は、他方端2sb側において排気ファンEFのファンケース3に接続されている。
【0055】
中継部材2は、前板1Fの中央部1FMと排気口1cが設けられた側板1Saとに接続されている。中継部材2は、吐出し口2aと、内部空間2bとを有している。吐出し口2aは、排気部材1の排気経路1a内に位置している。中継部材2の内部空間2bは、吐出し口2aを通じて排気部材1の排気経路1aと連通している。中継部材2の内部空間2bは、ファンケース3の内部空間3bと連通している。
【0056】
排気ファンEFは、排気部材1に中継部材2を介在して接続されている。排気ファンEFは、排気経路1a内に配置された吐出し口2aを通じて排気経路1a内へ空気を排出するように構成されている。これにより排気ファンは、グリル庫11の内部空間11bから燃焼ガスをグリル庫11外に強制的に排出する。
【0057】
排気ファンEFは、排気部材1の排気経路1a外に配置されている。排気ファンEFは、排気部材1に対して左右方向A2の一方側に配置されている。排気ファンEFは、たとえば左右方向A2において側板1Saに対して側板1Sbの反対側に配置されている。
【0058】
図5に示されるように、排気ファンEFは、たとえばシロッコファンである。排気ファンEFは、ファンケース3と、羽根車4と、電動機5と、取付アダプタ6とを有している。羽根車4、電動機5および取付アダプタ6は、ファンケース3の内部に配置されている。
【0059】
ファンケース3は、中継部材2と一体的に設けられている。ファンケース3は、下面に吸込み口3aを有している。この吸込み口3aは、排気部材1の排気経路1a外に開口している。吸込み口3aは、たとえば複数のバーナ23が燃焼ガスを生じる空間と仕切られた空間に開口している。また吸込み口3aは、加熱調理器HCにおけるコンロ本体21の内部空間において開口している。
【0060】
この吸込み口3aの真上に羽根車4が配置されている。この羽根車4は、上部支持板4aと、下部支持板4bと、複数のファンブレード4cとを有している。
【0061】
複数のファンブレード4cは、周方向に一定のピッチで配置されている。上部支持板4aは、複数のファンブレード4cの各々の上端を支持している。下部支持板4bは、複数のファンブレード4cの各々の下端を支持している。上部支持板4aおよび下部支持板4bの各々は、円環形状を有している。
【0062】
電動機5は、たとえばAC(Alternating Current)電動機である。電動機5は、羽根車4を回転させる回転駆動力を発生する。電動機5は、本体部5aと、回転軸5bとを有している。本体部5aはファンケース3に固定されている。本体部5aは回転駆動力を発生する。回転軸5bは、本体部5aの回転駆動力により回転する。
【0063】
取付アダプタ6は、羽根車4を電動機5に着脱自在に取り付けるための部材である。取付アダプタ6は、回転軸5bに着脱自在に取り付け可能である。羽根車4の上部支持板4aに回転軸5bが挿通された状態で、回転軸5bに取付アダプタ6が取り付けられることにより、羽根車4は電動機5に取り付けられる。
【0064】
羽根車4は、電動機5により回転駆動可能である。羽根車4の回転により、排気ファンEFの吸込み口3aを通じて空気がファンケース3の外部から内部空間3bに吸込まれる。ファンケース3の内部空間3bに吸い込まれた空気は、羽根車4の回転によりファンケース3の内部空間3bから中継部材2の内部空間2bへ送出され、吐出し口2aを通じて排気部材1の排気経路1aに流入する。これによりグリル庫11の内部空間11bの燃焼ガスを内部空間11bから排気部材1を通じてグリル庫11外へ強制的に排気することができる。
【0065】
図6に示されるように、吐出し口2aは、排気口1cに向かって排気するように構成されている。つまり吐出し口2aからの吹き出し方向に排気口1cが位置している。ここで吐出し口2aからの吹き出し方向とは、吐出し口2aを構成する中継部材2における壁部2Wの延在方向に沿って吐出し口2aから排気口1cに向かって直線状に延びる仮想の延長線(図中の破線)に沿う方向を意味する。
【0066】
吐出し口2aの鉛直方向A3の真上領域には排気部材1の上部1FUが位置している。このため鉛直方向A3の上側から排気口1cを見た視点において排気口1cと重畳する領域RAを避けて吐出し口2aが配置されている。具体的には吐出し口2aは、排気口1cの開口領域を鉛直方向A3の下側に延ばした領域RA内には配置されておらず、この領域RAの外に配置されている。
【0067】
上記吹き出し方向(図中の破線)と排気部材1の後板1Rとのなす角度θは、たとえば10°以上30°以下である。角度θが10°未満であると、吐出し口2aを領域RAの外に配置することが難しくなる。また角度θが30°を超えると、領域RAの外に配置された吐出し口2aから排気口1cに向けて排気することが難しくなる。
【0068】
図7に示されるように、吐出し口2aは、たとえば矩形形状を有している。吐出し口2aは、前後方向A1の寸法D2よりも左右方向A2の寸法D1が大きいスリット形状を有している。
【0069】
<作用効果>
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0070】
本実施の形態においては図2に示されるように、排気ファンEFにより燃焼ガスがグリル庫11の内部空間11bからグリル庫11外へ強制的に排出される。このため排気部材1の排気口1cの開口面積が小さくても、グリル庫11内の燃焼ガスを効果的に排出することができる。したがって、グリル庫11内に燃焼ガスが充満しにくくなり、グリル庫11内での燃焼性が良好となる。これにより排気口1cの開口面積が小さく、かつグリル庫11内での燃焼性が良好な加熱調理器HCを実現することができる。
【0071】
また排気口1cの開口面積を小さくできるため、排気口1cおよび排気口1c周りの清掃の労力を軽減することが可能となる。また排気口1cの開口面積を小さくできるため、図1に示されるグリル排気口24も小さくできる。これによりグリル庫11上に複数のバーナ23を配置する自由度が向上する。
【0072】
また図2に示されるように、排気部材1の排気経路1a外に排気ファンEFが配置されている。このため、排気ファンEFが燃焼ガスに含まれる油などにより汚れたり、排気ファンEFの電動機5が熱で故障することが抑制できる。
【0073】
また図5に示されるように、排気ファンEFの吸込み口3aが排気部材1の排気経路1aの外部に開口している。このため排気ファンEFが吸込み口3aを通じて排気経路1aから燃焼ガスを吸い込んだ後に吐出し口2aから排気経路1aに送出することはない。したがって燃焼ガスが吐出し口2aから排気経路1a内に入ることでグリル庫11の内部空間11b内の燃焼ガスが排出されにくくなるという問題も生じない。
【0074】
また本実施の形態においては図7に示されるように、吐出し口2aは、前後方向A1の寸法D2よりも左右方向A2の寸法D1が大きいスリット形状を有している。吐出し口2aが上記スリット形状を有することにより、燃焼ガスを左右方向A2に均一に排出することが可能となる。これにより排気効率が良好となる。
【0075】
また本実施の形態においては図2に示されるように、排気ファンEFは、排気部材1に対して左右方向A2の一方側に配置されている。これにより排気ファンEFをコンロ本体21の内部へ配置することが容易となる。このため排気ファンEFの追加によるコンロ本体21の大型化を抑制することが可能となる。
【0076】
また図4に示されるように、排気ファンEFが、側板1Sbよりも排気口1cが設けられた側板1Saの近くに配置されている。このため排気ファンEFと排気部材1とを繋ぐ中継部材2の長さを短くすることができる。
【0077】
また本実施の形態においては図5に示されるように、排気ファンEFはシロッコファンである。このシロッコファンは静圧が高いファンであるため、省スペース化実現することができる。
【0078】
また本実施の形態においては図6に示されるように、吐出し口2aからの吹き出し方向の延長線上に排気口1cが位置している。これにより吐出し口2aから排気口1cに向かう空気の流れが生じる。この空気の流れにより、グリル庫11内の燃焼ガスが排気口1cへ導かれ、グリル庫11内からの燃焼ガスの排気効率が向上する。
【0079】
また本実施の形態においては図6に示されるように、鉛直方向A3の上側から排気口1cを見た視点において排気口1cと重畳する領域RAを避けて吐出し口2aが配置されている。これにより排気口1cを通じて排気経路1a内に落下してきた異物が吐出し口2a内に入ることが抑制される。このため吐出し口2aを通じて異物が排気ファンEFに達することが抑制できる。
【0080】
<変形例>
上記実施の形態においては、排気ファンEFの吸込み口3aがコンロ本体21の内部に開口した構成について説明したが、排気ファンEFの吸込み口3aはコンロ本体21の外部に開口していてもよい。以下、排気ファンEFの吸込み口3aがコンロ本体21の外部に開口した構成を図8を用いて説明する。
【0081】
図8に示されるように、排気ファンEFは、コンロ本体21の外部に配置されている。排気ファンEFは、たとえばコンロ本体21の後端とコンロキャビネット後板(または家屋の壁面)との間に配置されている。
【0082】
排気ファンEFの吸込み口3aは、コンロ本体21の外部に開口している。吸込み口3aはたとえばコンロ本体21側とは反対側(コンロキャビネット後板側)に向かって開口している。
【0083】
なお排気ファンEFがコンロ本体21の内部に配置され、排気ファンEFの吸込み口3aがコンロ本体21の外部に開口していてもよい。
【0084】
上記以外の本変形例の構成は、上記実施の形態の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0085】
本変形例においては図8に示されるように、排気ファンEFの吸込み口3aはコンロ本体21の外部に配置されている。これにより排気ファンEFは加熱調理器HCの外部の低い温度の空気を吸引することができる。このため排気ファンEFにより吸引される空気の密度が高く、送風機の効率が高くなる。
【0086】
なお上記においては加熱調理器としてグリル付ガスコンロについて説明したが、加熱調理器HCはこれらに限定されるものではなく、グリル付であればIH(Induction Heating)クッキングヒータのような電磁調理器であってもよい。
【0087】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
1 排気部材、1F 前板、1FB 下部、1FM 中央部、1FU 上部、1R 後板、1Sa,1Sb 側板、1T 上板、1a 排気経路、1b 吸気口、1c 排気口、1c 隙間、2 中継部材、2W 壁部、2a 吐出し口、2b,3b,11b 内部空間、2sa 一方端、2sb 他方端、3 ファンケース、3a 吸込み口、4 羽根車、4a 上部支持板、4b 下部支持板、4c ファンブレード、5 電動機、5a 本体部、5b 回転軸、6 取付アダプタ、11 グリル庫、11a 開口、12L 下バーナ、12T 上バーナ、13 グリル皿、14 案内機構、14a 固定レール、14b 中間レール、14c 可動レール、15 受枠、16 グリル扉、21 コンロ本体、22 天板、23 バーナ、24 グリル排気口、EF 排気ファン、GR グリル、HC 加熱調理器、RA 領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8