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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】車内パネル搬送用支持装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 65/14 20060101AFI20240509BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20240509BHJP
   B23P 19/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B62D65/14 B
B23P21/00 303B
B23P19/00 302H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020038690
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021138299
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸行
(72)【発明者】
【氏名】納富 勝寿
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-217115(JP,A)
【文献】特開2003-237652(JP,A)
【文献】特開平7-232672(JP,A)
【文献】特開平06-211343(JP,A)
【文献】米国特許第5374799(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 65/00ー 65/18
B23P 21/00
B23P 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内パネルを搬送するために支持する車内パネル搬送用支持装置であって、
基台と、
前記基台に立設した外側枠体と、
前記基台に立設し、前記外側枠体の内側に設けた内側枠体と、
前記外側枠体に折畳み自在に連結したパネル係合用の左右のフックアームと、
前記外側枠体から前方に突設したパネル受体と、
前記内側枠体から前方に突設したパネル支持体と、
を備えたことを特徴とする車内パネル搬送用支持装置。
【請求項2】
前記フックアームは、一端部に車内パネルを支持するためのフック支持部を有することを特徴とする請求項1に記載の車内パネル搬送用支持装置。
【請求項3】
前記左右のフックアームに設けた前記フック支持部のうちいずれか一方のフック支持部を前記フックアームに沿って移動自在に構成したことを特徴とする請求項2に記載の車内パネル搬送用支持装置。
【請求項4】
前記外側枠体の左右外方向に突出した状態で前記フックアームを固定するラッチ機構を前記内側枠体に備えたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内パネル搬送支持装置。
【請求項5】
前記外側枠体に設けられ前記フックアームを折畳み自在に支持する回転支持部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の車内パネル搬送用支持装置。
【請求項6】
前記フックアームを前記ラッチ機構で前記外側枠体の左右方向に突出した状態で固定した際に、前記フックアームが前記ラッチ機構側から前記フック支持部に向けて下方傾斜形態に固定されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の車内パネル搬送用支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のインストルメントパネル等の車内パネルを工場内等において搬送するための車内パネル搬送用支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車のインストルメントパネル等の車室内に取り付ける車内パネルを搬送するために車内パネルを支持する支持装置においては、複数種類の車内パネルを支持するに際し、次のような対応が行われている。すなわち、搬送する車内パネルの形態に応じた専用の治具を製作し、搬送する車内パネルの形態に応じて付け替えることで対応するか、1つの治具に車内パネルを支持するための支持部としての凹凸部を複数設け、搬送する車内パネルに応じた特定の凹凸部に車内パネルを支持することで対応していた。
【0003】
車内パネルの形態に対応した専用治具を使用する場合、製造車種が切り替わるたびに治具を付け替える必要があり作業が煩雑であった。また、支持部として複雑な凹凸部を備えた治具を使用する場合、車種に応じて車内パネルの支持位置が異なるため、作業者は専用の支持位置に車内パネルの所定箇所を引掛ける必要があり、支持位置を間違えないようにするために常に気を使って作業しなければならなかった。仮に車内パネルの支持位置を間違えると搬送途中で車内パネルが揺動し傷つく虞や落下する虞があった。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1ではどのような姿勢になろうとも車内パネルを落下させる虞のない搬送装置について記載されている。この特許文献1には、車内パネルを車両に取り付ける搬送装置において、車内パネルの長手方向両端部を挟持することで車内パネルの姿勢を略水平状態に保持すると共に、車内パネルを落下させることなく所定の取り付け位置まで搬送できる搬送装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-232672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された車内パネルの搬送装置は、車内パネルの両側端部を挟持することで搬送時及び組付け時に車内パネルが揺動する蓋然性を可及的に低減しつつ、車種に関係なく車内パネルを保持できる構成について記載されているものの、車内パネルを挟持するためには駆動部を設ける必要があり装置全体を小さく纏めることができない問題があった。
【0007】
かかる問題を鑑みて本発明は、車種ごとに異なる車内パネルを車種に依らず支持可能にするとともに、モータなどの電気的駆動部を備えることなく簡易的な方法で車内パネルを支持することができ、さらに、装置全体をコンパクトにすることができる車内パネル搬送用支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、基台と、前記基台に立設した外側枠体と、前記基台に立設し、前記外側枠体の内側に設けた内側枠体と、前記外側枠体に折畳み自在に連結したパネル係合用の左右フックアームと、前記外側枠体から前方に突設したパネル受体と、前記内側枠体から前方に突設したパネル支持体と、を備えたことを特徴とする車内パネル搬送用支持装置である
【0009】
また、本発明の第2の態様は、前記車内パネル搬送用支持装置において、前記左右フックアームは一端部に車内パネルを支持するためのフック支持部を有するものである。
【0010】
また、本発明の第3の態様は、前記車内パネル搬送用支持装置において、前記左右フックアームに設けた前記フック支持部のうちいずれか一方のフック支持部を前記フックアームに沿って移動自在に構成したものである。
【0011】
また、本発明の第4の態様は、前記左右フックアームを前記外側枠体の左右方向に突出した状態で固定するラッチ機構を前記内側枠体に備えたものである。
【0012】
また、本発明の第5の態様は、前記外側枠体に設けられ前記フックアームを折畳み自在に支持する回転支持部を備えたものである。
【0013】
また、本発明の第6の態様は、前記車内パネル搬送用支持装置において、前記左右フックアームを前記ラッチ機構で前記外側枠体の左右方向に突出した状態で固定した際に、前記左右フックアームが前記ラッチ機構側から前記フック支持部に向けて下方傾斜形態に固定するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、基台と、前記基台に立設した外側枠体と、前記基台に立設し、前記外側枠体の内側に設けた内側枠体と、前記外側枠体に折畳み自在に連結したパネル係合用の左右のフックアームと、前記外側枠体から前方に突設したパネル受体と、前記内側枠体から前方に突設したパネル支持体とで構成したことにより、車内パネルの形態に関係なく左右フックアームに係合するだけで支持できる。さらに、左右フックアームに支持された車内パネルを外側枠体から前方に向けて突設したパネル受体で背面から支持することにより、搬送時に車内パネルの揺動幅を低減するとともに車内パネルが揺動した際にパネル受体に接触することで内外枠体または、他の搬送部材に接触する蓋然性を低減し、車内パネルの化粧面が傷つく虞を低減できる。
【0015】
また、本発明の第2の態様によれば、前記フックアームは一端部に車内パネルを支持するためのフック支持部を有することにより、車内パネルを当該フック支持部で支持するだけの簡易的な構成で確実に車内パネルを支持できる。
【0016】
また、本発明の第3の態様によれば、前記左右のフックアームに設けた前記フック支持部のうちいずれか一方のフック支持部を前記フックアームに沿って移動自在に構成したことにより、車種に応じて異なる車内パネル形態に合わせてフック支持部の位置を調整でき、車内パネルの形態に依らず容易に車内パネルを支持できる。
【0017】
また、本発明の第4の態様によれば、前記フックアームは、前記左右フックアームを前記外側枠体の左右方向に突出した状態で固定するラッチ機構を前記内側枠体に備えたことにより、車内パネルを支持した状態でも左右のフックアームが折畳まれることなく同一姿勢で固定できる。
【0018】
また、本発明の第5の態様によれば、前記外側枠体に設けられ前記フックアームを折畳み自在に支持する回転支持部を備えたことにより、車内パネルを支持しない状態にて左右フックアームをコンパクトに収納できる。
【0019】
また、本発明の第6の態様によれば、前記フックアームを前記ラッチ機構で前記外側枠体の左右方向に突出した状態で固定した際に、前記フックアームが前記ラッチ機構側から前記フック支持部に向けて下方傾斜状に固定されることにより、車内パネルを支持した際に左右フックアームのいずれか一方の端部に設けたフック支持部がラッチ機構からフック支持部に向けて付勢状態となり搬送中の車内パネルの揺動幅を小さくして安定状態で車内パネルを支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態にかかる車内パネル搬送装置の左右のフックアームを左右に突出させて固定した状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態にかかる車内パネル搬送装置の左右のフックアームを閉塞した状態を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態にかかる車内パネル搬送装置の左右のフックアームに車内パネルの化粧面側パネルを掛着した状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態にかかる車内パネル搬送装置の左右のフックアームに車内パネルの取り付け側パネルを掛着した状態を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態にかかる車内パネル搬送装置の左右のフックアームを左右に突出させて固定した状態を示す背面側斜視図である。
図6】本発明の実施形態にかかる車内パネル搬送装置の左右のフックアームを左右に突出させて固定した状態を示す正面図である。
図7】本発明の実施形態にかかる車内パネル搬送装置の左右のフックアームを左右に突出させて固定した状態を示す側面図である。
図8】本発明の実施形態にかかるラッチ機構の作動を示す側面図であり、(a)はラッチ機構でストライカーを係合する前の状態を示す側面図であり、(b)はラッチ機構でストライカーを係合した状態を示す側面図である。
図9】本発明の実施形態にかかる右フックアームのフック支持部の動きを示す正面図であり、(a)はフック支持部を右フックアームの先端部側に移動した状態を示す正面図であり、(b)はフック支持部を右フックアームの基端部側に移動した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、基台と、前記基台に立設した外側枠体と、前記基台に立設し、前記外側枠体の内側に設けた内側枠体と、前記外側枠体に折畳み自在に連結したパネル係合用の左右のフックアームと、前記外側枠体から前方に突設したパネル受体と、前記内側枠体から前方に突設したパネル支持体とを備え、前記フックアームの一端部に車内パネルを支持するためのフック支持部を設け、フックアームにそれぞれ形成したフック支持部のうちいずれか一方のフック支持部をフックアームに沿って移動自在に構成し、フックアームに設けたフック支持部と反対側の端部にラッチ機構及び回転支持部を設け、車内パネルを支持する際には、ラッチ機構側からフック支持部にかけて左右フックアームを下方傾斜とした点を要旨としている。
【0022】
この発明の実施形態について図1~9を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態における車内パネル搬送用支持装置を示す斜視図であり、左右のフックアームを突出させて固定した状態を示している。
なお、本実施形態を説明する際には、車内パネル搬送用支持装置に掛着した車内パネルの化粧面側を正面として前後左右の方向を記載している。
【0023】
本実施形態に係る車内パネル搬送用支持装置(以下「パネル支持装置」とする。)100は、車内パネルを搬送するために車内パネルを支持する支持装置であり、自動車の製造工場内において用いられる。パネル支持装置100は、基台10と、基台10に立設した外側枠体20と、基台10に立設して外側枠体20の内側に設けた内側枠体30と、基台10と外側枠体20とに架設した筋交い40と、外側枠体20の上端部近傍に設けた左右方向に折畳み自在の左右のフックアーム50、60と、内側枠体30に前方に向けて突設したパネル支持体70と、パネル支持体70の下方で外側枠体20に前方に向けて突設したパネル受体80とで構成している。パネル支持装置100は、全体として略左右対称に構成されている。
なお、本実施形態に係るパネル支持装置100は、上下2段で車内パネルPを支持できるように構成しており、下段の構成については上段の構成と同一のため同一の符号を付してその説明を省略する。また、本実施形態において、車内パネルPは、自動車のインストルメントパネルあるいはその構成部品である。
【0024】
基台10は、図1に示すように、断面略方形状の前後枠11、12と左右枠13、14の端部を連結して平面視略方形状に構成している。前後枠11、12間の左右方向略中央には断面略方形状の補強枠15を架設し、左右枠13、14間の前後方向略中央には基枠16を架設している。また、左右枠13、14間の前枠11と基枠16の前後方向略中央には断面略方形状の補強枠17を架設している。
【0025】
かかる基台10を構成する基枠16の上面には外側枠体20と内側枠体30を立設している。
外側枠体20は、図1及び図6に示すように、基枠16の長手方向の両端部近傍から断面長方形状の左右フレーム21、22を立設している。この左右フレーム21、22の上端部には、上フレーム23を架設している。外側枠体20は左右フレーム21、22を上フレーム23で連結することにより正面視で縦長の略長方形状の枠体を構成している。
左右フレーム21、22の上端部近傍には、図1及び図2に示すように、パネル支持装置100の前方に向けて支持部24、25を突設している。
右側の支持部24は、右フレーム21の上端部から前方側斜め下方に突設した支持部24aと、右フレーム21の上端部近傍と支持部24aの前端部との間に水平に架設した支持部24bとで構成している。支持部24は、支持部24a、24bと右フレーム21とで側面視略三角状の閉塞形態を構成し、後述の右フックアーム50の支持に必要な強度を確保している。左側の支持部25は、左フレーム22との関係において、右側の支持部24および右フレーム21と同様の構成を有する。すなわち、左側の支持部25は、左フレーム22の上端部から突設した傾斜状の支持部25aと、水平状の架設部分である支持部25bとを有し、左フレーム22の上端部とともに側面視略三角状のフレーム部分を構成しており、左フックアーム60の支持強度を確保している。
また、基台10を構成する後枠12の上面と外側枠体20の左右フレーム21、22の背面との間には、略板状の筋交い40を傾斜状に架設している。
【0026】
筋交い40は、図5及び図7に示すように、後枠12の上面と左右フレーム21、22の下部の背面との間において直線状に架設され、部材同士を連結し、両端部をそれぞれボルトやビス等の固定具によって各部材に固定させている。筋交い40は、側面視において基台10および左右フレーム21、22とともに略直角三角形状の領域を形成するように設けられている。
このように筋交い40を備えることでパネル支持装置100を移動させた際に当該装置において生起される基台10上の構成の前後の揺動を可及的に低減することができ、例えば筋交い40を有していない場合と比較してパネル支持装置100の搬送時における前後方向の揺動幅を約60%低減することができる。
【0027】
また、内側枠体30は、図1及び図6に示すように、基台10を構成する基枠16の上面を長手方向に略3等分する位置から断面方形状の左右フレーム31、32を立設している。右フレーム31は、図5に示すように、上端部を上フレーム23に対して下側から連結させている。右フレーム31は、その上端部近傍及び上下方向略中央部において、外側枠体20の右フレーム21との間に、補強フレーム33a、33bを水平状に架設している。また、右フレーム31は、補強フレーム33a、33bと略同一の高さ位置に、断面方形状の支持部34a、34bを前方に向けて水平状に突設している。
【0028】
また、左フレーム32は、右フレーム31と同様の構成を有する。すなわち、左フレーム32は、図1及び図5に示すように、上端部を上フレーム23に連結させ、上端部近傍及び上下方向略中央部から外側枠体20の左フレーム22に向けて補強フレーム35a、35bを架設しており、補強フレーム35a、35bと略同一の高さ位置に、断面方形状の支持部36a、36bを前方に向けて突設している。
【0029】
このように構成された支持部34a、34b、36a、36bの先端上面には、図8(a)、(b)に示すように、それぞれラッチ機構90(90a、90b、90c、90d)を設けている。上段右側の支持部34a上には、ラッチ機構90aが設けられており、上段左側の支持部36a上には、ラッチ機構90bが設けられており、下段右側の支持部34b上には、ラッチ機構90cが設けられており、下段左側の支持部36b上には、ラッチ機構90dが設けられている。右側のラッチ機構90a、90cと、左側のラッチ機構90b、90dとは、互いに左右対称に構成されている。図8には右側のラッチ機構90を示しており、ラッチ機構90の説明においては、支持部34a、34b、36a、36bのうちラッチ機構90aを支持する支持部34aを例にとって説明する。
【0030】
ラッチ機構90は、図2及び図8に示すように、正面視略L字状のブラケット91と、ブラケット91の上端部近傍の前後位置に配設した固定用のラッチフック92、93とで構成している。
ブラケット91は、水平板状の部分である固定面部91aと、固定面部91aの左右内側から立ち上がった鉛直板状の部分である支持面部91bとを有し、これらの面部によって直角状をなす屈曲板状の部材である。ブラケット91は、固定面部91aを支持部34aの上面に図示しないボルトやビス等の固定具や溶接等により固定させており、支持面部91bの上部には、左右内側に略長方形状の支持体91cを突設するとともに、該支持体91cよりも上方位置でラッチフック92、93を回転可能に支持している。
【0031】
後側ラッチフック92は、略矩形板状の部材であり、支持面部91bの左右内側に位置しており、支持面部91bの上端部の後部に、支軸92aにより軸支されている。後側ラッチフック92の一側には、略半円状の係止凹部92bが形成され、この係止凹部92bの円弧両端部に舌片92c、92dが形成されている。後側ラッチフック92は、支軸92aに図示しないバネを巻回している。バネは一端部を支持体91cに係合し、他端部を後側ラッチフック92に係合させることで係止凹部92bの開口部を上方に変位させる支軸92aを中心とした回転付勢力を後側ラッチフック92に生起させる。
【0032】
前側ラッチフック93は、所定の長手形状を有する板状部材であり、支持面部91bの左右内側に位置しており、支持面部91bの上端部の前部に、支軸93aにより軸支されている。前側ラッチフック93は、その長手方向の一側となる上部を支軸93aによって支持面部91bに支持させるとともに、その長手方向の他側となる下部を下方に延出させており、その前側ラッチフック93の下部には、ワイヤ部材93cが連結されている。ワイヤ部材93cは、他端部を図示しないロック解除部に連結している。前側ラッチフック93の上部の後側には、略半円状の係止凹部93bとその下部に同じく略半円状の係止凹部93dが形成されている。前側ラッチフック93は、支軸93aに図示しないバネを巻回している。バネは一端部を支持体91cに係合し、他端部を前側ラッチフック93に係合することで係止凹部93bの開口部を上方に変位させる支軸93aを中心とした回転付勢力を前側ラッチフック93に生起させる。
【0033】
また、ブラケット91の支持面部91bの上端部の前後方向略中央部には、上側を開放側とした略U字形状の支持凹部94が形成されている。図8(a)に示すラッチ機構90の通常状態(待機状態)において、前後のラッチフック92、93は、それぞれ係止凹部92b、93bを、支持凹部94の近傍に位置させている。ラッチ機構90は、後述のストライカー56、66を支持凹部94の上方から降下させ、2つの係止凹部92b、93bと支持凹部94で閉塞形成した固定空間にストライカー56、66を進入させることで、左右のフックアーム50、60を固定できるように構成している。
【0034】
この際、前後のラッチフック92、93は、前側ラッチフック93の係止凹部93dに後側ラッチフック92の下側の舌片92dが係合することにより回転が規制される。詳細には、前後のラッチフック92、93は、互いのバネによる回転付勢力が水平方向に作用する箇所で係止凹部93dと舌片92dを係合させることにより、当該付勢力が前後方向で打ち消し合うように作用させると共に、前側ラッチフック93の回転をロック解除部で規制することにより固定される。
【0035】
また、ロック解除部は、特定方向への変位を可能(ここでは、図8(a)、(b)における左側への変位)とし、変位可能な方向と逆方向(図8(a)、(b)における右側への変位)への変位を規制するように構成している。また、ロック解除部は、変位可能な方向に一定距離変位したあとには、逆方向への変位規制状態が解除され逆方向への変位が可能となるように構成している。
そのため、ストライカー56、66は、ロック解除部を変位可能な方向に一定距離移動させてロック解除部の変位規制状態を解除するとともに、係止凹部93bの開口部が下方を向くように前側ラッチフック93を変位させることにより係止凹部93dと舌片92dの係合状態が解消されて前後のラッチフック92、93がバネの付勢力で回動可能となり、ストライカー56、66が解放されることで左右のフックアーム50、60が移動自在となる。
【0036】
このように、外側枠体20と内側枠体30とを補強フレーム33a、33b、35a、35bで連結し、さらに、内側枠体30の左右フレーム31、32の上端部を外側枠体20の上フレーム23と連結することで、パネル支持装置100の左右方向への剛性を向上すると共に、前述の筋交い40を設けたことによるパネル支持装置100の前後方向への揺動を規制する作用により、パネル支持装置100が車内パネルPの搬送中に揺動する虞を可及的に低減できる。
【0037】
また、外側枠体20の支持部24a,24b,25a,25bの前端部には、左右フックアーム50,60を折畳み自在に支持する回転支持部53,63を配設している。
【0038】
図6及び図9に示すように、右フックアーム50は、上下に平行配列した2本の直線状の上下フレーム51,52と、外側枠体20の右フレーム21と下フレーム52との交差位置を回動中心とする回転支持部53と、下フレーム52の左右外側の端部(右端部)から垂設された支持突起部54と、上下フレーム51,52に沿ってその長手方向に移動自在に構成したフック支持部55と、上フレーム51の左端部に配設したストライカー56とで構成している。
【0039】
上フレーム51は、図6に示すように、円形状の横断面形状を有する直線棒状の部材により構成されている。上フレーム51の左右内側(外側枠体20側)の端部には、略U字形状のストライカー56が設けられている。上フレーム51の左右内側には、フック支持部55が上フレーム51の延伸方向に沿って移動可能に支持されている。
【0040】
また、下フレーム52は、図6図9に示すように、円形状の横断面形状を有する直線棒状の部材により構成されている。下フレーム52において、正面視で外側枠体20と交差する位置に、回転支持部53が設けられている。下フレーム52の左右外側の端部には、支持突起部54が垂設されている。
【0041】
回転支持部53は、図6、9に示すように、正面視略方形状の箱体53aと、箱体53aの略中央部に設けた歯車53bで構成している。箱体53aは、内部に粘性の高い緩衝用のオイルが充填されており、その構成は一般的な回転ダンパーと同様としている。回転支持部53は、右フックアーム50の折畳み動作について回転ダンパーとして機能する。そのため、例えば、右フックアーム50を突出状態から折畳み状態に戻す際には、該回転支持部53の箱体53aに充填した粘性の高いオイルが歯車53bの各歯溝に浸入することで、歯車53bの回転運動が阻害され、右フックアーム50の回転支持部53を中心とした下方への急速な回転運動が生起されることが抑制される。これによって、右フックアーム50が右フレーム21と接触して、右フックアーム50または右フレーム21のいずれかが破損する虞を可及的に低減している。
【0042】
支持突起部54は、図7及び図9(a)に示すように、正面視において下フレーム52を水平状とした場合に下方に向けて突出した棒状の部分であり、下フレーム52の先端部(左右外側の端部)から垂設した支持アーム54aと、支持アーム54aの先端部から前方に向けて突設した突起部54bとで構成している。
支持アーム54a及び突起部54bはいずれも略円筒状ないし丸棒状に構成している。支持突起部54は、全体的にまたは部分的に図示しない弾性体で囲繞している。そのため、車内パネルPは、搬送中に揺動して支持突起部54と接触しても車内パネルPに傷がつく虞を可及的に低減している。なお、支持突起部54は、全体的にまたは部分的に硬質ゴム等の弾性体で構成された部分であってもよい。
【0043】
フック支持部55は、図1及び図7に示すように、上フレーム51を貫通させ上フレーム51に対して移動可能に支持された略円筒状の上ガイド部55aと、下フレーム52を貫通させ下フレーム52に対して移動可能に支持された略円筒状の下ガイド部55bと、上下のガイド部55a,55b同士を連結する連結部55dと、連結部55dから前方斜め下方に向けて突設したフック部55cとで構成している。
【0044】
フック支持部55は、上フレーム51を挿嵌させた上ガイド部55aと、下フレーム52を挿嵌させた下ガイド部55bとによる支持構成によって、連結部55d及びフック部55cを含み、上下フレーム51,52に対してその軸方向に沿って移動する一体的な移動体として構成されている。つまり、フック支持部55は、上下のガイド部55a,55bをそれぞれ貫通する2本の平行状の上下フレーム51,52をガイド棒として、これらのフレームの軸方向に沿って直線状に移動可能に設けられている。上下のガイド部55a,55b同士は、これらのガイド部の前側に設けられた連結部55dによって連結されている。連結部55dは、直方体状の外形をなすブロック部を含む。
【0045】
フック支持部55の移動範囲は、下フレーム52に設けられた内側止め部52a及び外側止め部52bによって規制される。内側止め部52a及び外側止め部52bは、下フレーム52における下ガイド部55bの挿通部分に対して拡径した部分または突出した係止部分であり、下ガイド部55bの端部に当接することで、フック支持部55の移動を係止させる。つまり、右フックアーム50の長手方向に沿って移動可能に支持されたフック支持部55は、右フックアーム50の基端側について、下ガイド部55bを内側止め部52aに当接させる位置から、右フックアーム50の先端側について、下ガイド部55bを外側止め部52bに当接させる位置までの範囲で移動自在に設けられている。
【0046】
本実施形態では、下ガイド部55bは、上ガイド部55aよりも長く、下フレーム52における下ガイド部55bの移動範囲を規制することで、フック支持部55の移動範囲が規制されている。ただし、フック支持部55の支持構成は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、上ガイド部55aの方が下ガイド部55bよりも長くてもよく、また、上下のガイド部55a,55bが同じ長さであってもよく、これらのガイド部の長さは、フック支持部55の移動量等に応じて適宜調整される。また、上フレーム51において上ガイド部55aに対する止め部を設け、上フレーム51に対する上ガイド部55aの移動範囲を規制することで、フック支持部55の移動範囲を規制する構成であってもよい。
【0047】
フック部55cは、図7に示すように、連結部55dのブロック部の前面から前方斜め下方に向けて突設され、その先端部近傍を上方に向けて鋭角状に屈曲することで側面視略「レ」字状に構成している。フック部55cは、図9(a)に示すように、正面視において上フレーム51を水平状とした場合に下方に向けて突出した棒状の部分であり、連結部55dの前面から斜め前下方に向けて突出した本体部と、本体部の先端側から本体部とともに鋭角をなすように上側に向けて屈曲形成された屈曲部とを有する。このようにフック部55cを構成することで車内パネルPを確実に掛着できる構成としている。
【0048】
以上のようにフック支持部55を構成することにより、フック部55cで支持した車内パネルPの荷重を上フレーム51と下フレーム52に分散して上下フレーム51、52のいずれか一方に荷重が集中する虞を低減している。また、フック部55cを側面視略「レ」字状に構成することで車内パネルPが搬送中に落下する虞を低減している。
【0049】
ストライカー56は、図8及び図9に示すように、上フレーム51の一端部(基端部)に略U字形状の部材を閉側を突出側とする向きで固定することにより、上フレーム51の一端部からの環状の突設部分として設けられている。ストライカー56は、前述のラッチ機構90に係合することで右フックアーム50を外側枠体20から右方向に開腕した状態で固定できる。ストライカー56が係合するラッチ機構90の支持凹部94は、右フックアーム50を支持する回転支持部53に対し、左右内側であって上方に位置している。このため、右フックアーム50は、ラッチ機構90にストライカー56を係合させた状態において、上下フレーム51、52の延伸方向を下方傾斜方向とした開腕形態で固定される。
【0050】
このようにラッチ機構90によって固定される右フックアーム50の開腕形態を下方傾斜姿勢とすることで、フック支持部55は、右フックアーム50の開腕形態において自重により常に支持突起部54側(先端側)に移動しようとするように構成している。すなわち、パネル支持装置100が車内パネルPを搬送する際、フック部55cから車内パネルPに対して左右外方向への荷重を作用させて搬送時の車内パネルPの揺動を可及的に低減している。
【0051】
左フックアーム60は、右フックアーム50と略左右対称に構成されている。すなわち、左フックアーム60は、互いに平行に配された上下フレーム61,62と、外側枠体20の左フレーム22と下フレーム62との交差位置を回動中心とする回転支持部63と、下フレーム62の左端部に設けられた支持突起部64と、上下フレーム61,62に沿ってその長手方向に移動自在に構成したフック支持部65と、上フレーム61の右端部に配設したストライカー66とで構成している。
【0052】
左フックアーム60の各部の構成は、右フックアーム50の対応する部分と同様の構成であるため、説明を省略する。すなわち、左フックアーム60の上下フレーム61,62、回転支持部63、支持突起部64、及びフック支持部65は、右フックアーム50の上下フレーム51,52、回転支持部53、支持突起部54、及びフック支持部55と略同様の構成を有する。ただし、左フックアーム60は、フック支持部65を、上下フレーム61,62に対して、これらのフレームの先端部近傍に設けられた支持固定部65aによって固定されている点で、右フックアーム50と異なる。
【0053】
具体的には、支持突起部64は、図1及び図5に示すように、下フレーム62の先端部近傍から後方に向けて突設し、その先端部を下方に向けて延設することで側面視略逆「L」字状に構成した支持アーム64aと支持アーム64aの先端部からパネル支持装置100の前方に向けて突設した突起部64bとで構成している。
支持アーム64aの各部及び突起部64bは、いずれも略円筒状ないし丸棒状に構成している。支持突起部64は、全体的にまたは部分的に図示しない弾性体で囲繞している。そのため、車内パネルPは、搬送中に揺動して支持突起部54と接触しても車内パネルPに傷がつく虞を可及的に低減している。なお、支持突起部64は、全体的にまたは部分的に硬質ゴム等の弾性体で構成された部分であってもよい。
【0054】
フック支持部65は、図1及び図4に示すように、上下フレーム61,62の先端部近傍に固定するための支持固定部65aと、支持固定部65aの前側から前方に向けて突設したフック部65bとで構成している。支持固定部65aは、上フレーム61を貫通させた円筒状の部分と、下フレーム62を貫通させた円筒状の部分と、これらの円筒状の部分同士を連結する部分であって右側のフック支持部55の連結部55dと略同様の形状を有する部分とを有する。フック部65bは、右側のフック支持部55のフック部55cと同様の態様で支持固定部65aから突設された屈曲棒状の部分である。ている。このような構成により、車内パネルPをフック部65bの屈曲部に確実に掛着できる構成としている。
【0055】
ストライカー66は、図1及び図6に示すように、右フックアーム50における上フレーム51に対するストライカー56の配設構成と同様の構成により、上フレーム61に対して、右側のストライカー56と左右対称に設けられている。ストライカー66は、前述のラッチ機構90に係合することで左フックアーム60を外側枠体20から左方向に開腕した状態で固定できる。ストライカー66が係合するラッチ機構90の支持凹部34は、左フックアーム60を支持する回転支持部63に対し、左右内側であって上方に位置している。このため、左フックアーム60は、ラッチ機構90にストライカー66を係合させた状態において、上下フレーム61,62の延伸方向を下方傾斜方向とした開腕形態で固定される。
【0056】
このように左フックアーム60をラッチ機構90により固定することで、左フックアーム60に設けたフック支持部65及び支持突起部64の高さ位置が右フックアーム50のフック支持部55及び支持突起部54の高さ位置と略同等の高さとなり、左右のフック支持部55、65で車内パネルPを吊持した際に左右いずれかに傾く虞を低減できる。
【0057】
また、内側枠体30の上部には、パネル支持体70が前方に向けて突設されている。パネル支持体70は、上下方向について、補強フレーム33a,35aの下方の高さ位置に設けられている。パネル支持体70は、内側枠体30の右フレーム31から前方に向けて突設した右フレーム71と、内側枠体30の左フレーム32から前方に向けて突設した左フレーム72と、左右フレーム71,72の先端部間に架設した前フレーム73とを有し、これらのフレームを連結して平面視略方形状の枠体を構成している。
【0058】
左右フレーム71,72は、図1及び図7に示すように、前方に向けて上り傾斜状に構成した側面視略三角形状の凸部74a,74b,75a,75bを上面に備えている。また、前フレーム73は、左右方向略中央から前方に向けて側面視略台形状のパネル受部77を突設している。
【0059】
このように側面視略三角形状の凸部形状を構成したことで、図4に示すように、インストルメントパネルの構成部品である車内パネルP4の開口部P5にパネル支持体70を挿通させ、各凸部74a,74b,75a,75bの間(例えば、凸部74aと凸部74bの間)、あるいは凸部74a,75aとパネル受部77との間に、車内パネルP4を支持することができる。この際、車内パネルP4は、開口部P5をなす上辺部を、パネル支持体70に支持させ、開口部P5をなす下辺部は、パネル支持体70の下方に設けられたパネル受体80に支持される。
【0060】
パネル受体80は、パネル支持体70の下方において、パネル支持体70と平行状に前方に向けて突設されている。
パネル受体80は、外側枠体20の左右フレーム21、22間に横架された支持フレーム81と、支持フレーム81を左右方向に略3等分する位置から前方に突設された右フレーム82及び左フレーム83とを有する。左右フレーム82、83は、先端部間に前フレーム84を架設している。また、左右フレーム82,83の前部の上側には、直方体状の支持部85、86が配設されている。支持部85、86は、直線状の左右フレーム82,83に沿うように設けられ、左右フレーム82,83の前部において突出部分を形成している。
【0061】
このように構成されたパネル受体80は、前述のパネル支持体70に吊持された車内パネルP4の下端部を支持部85,86で支持し、車内パネルPを搬送する際に生起される揺動を規制できる。すなわち、図4に示すように、左右方向(長手方向)の中央部に開口部P5を有する車内パネルP4に対し、開口部P5をなす上側の辺部がパネル支持体70によって下方から支持されるとともに、開口部P5をなす下側の辺部がパネル受体80によって下方から支持される。このように、パネル支持体70及びパネル受体80により、車内パネルP4を搬送する際に生起される揺動を抑制することができる。
【0062】
<本実施形態におけるパネル支持装置の使用方法及び車内パネルの支持形態>
このように構成されたパネル支持装置100の使用方法及びパネル支持装置100による車内パネルの支持形態の例について順を追って説明する。
【0063】
まず、図3に示すように、左右両側の上端部に孔P1、P2が形成された車内パネルPをパネル支持装置100によって支持し、搬送する場合について説明する。パネル支持装置100は、左右フックアーム50、60を折り畳んだ状態(図2参照)でベルトコンベアに載置され、当該ベルトコンベアを回転駆動させることで車内パネルPを搭載させる位置まで搬送される。なお、左右フックアーム50、60が折り畳まれた状態において、左右フックアーム50、60は、それぞれ外側枠体20の左右フレーム21、22の前方においてこれらのフレームに沿うように鉛直状となる。これにより、パネル支持装置100は、左右フックアーム50、60を折り畳んだ状態において、全体的に支柱状のコンパクトな形態をなす。
【0064】
ベルトコンベアにより所定位置まで搬送されたパネル支持装置100は、左右フックアーム50,60を回転支持部53、63を回転中心として回転させて左右に突出した開腕状態(図1参照)とし、左右フックアーム50、60のストライカー56、66をラッチ機構90のラッチフック92に係合固定する(図1図8参照)。左右フックアーム50,60を開く操作は、作業者による手作業等、パネル支持装置100に対する外力の作用によって行われる。
【0065】
次に、図3に示すように、車内パネルPの左右上端部に穿設された正面視略円形の孔P1、P2の内、右側の孔P1に右フックアーム50のフック部55cを貫通させ、フック部55cに車内パネルPの右側を吊持させる。フック部55cは、ストライカー56をラッチフック92に固定した状態の右フックアーム50の下方傾斜形態によって外側止め部52bに接触している。なお、車内パネルPは、インストルメントパネルの構成部品であり、孔P1、P2は、車両に組付けた際にスピーカーを埋設するための孔である。
【0066】
次に、車内パネルPの孔P1をフック部55cに掛着した状態で車内パネルPの孔P2が左フックアーム60のフック部65bに掛着可能な位置まで車内パネルPを左側に引張る。その際、右フックアーム50のフック支持部55は、上下フレーム51、52に沿って回転支持部53側に滑らかに移動する。
【0067】
次に、左フックアーム60のフック部65bに車内パネルPの孔P2を掛着させる。つまり、孔P2にフック部65bを貫通させ、車内パネルP左上端部をフック部65bに引っ掛ける。車内パネルPは、左右上端部をフック支持部55、65によって支持された状態において、右フックアーム50の右方向への下方傾斜によってフック支持部55が自重により右側に移動しようとする作用で車内パネルPが左右に引っ張られた状態が生起される。そのため、車内パネルPが搬送時に揺動する虞を可及的に低減している。
また、車内パネルPの左右方向略中央部背面は、パネル支持体70のパネル受部77によって支持されている。すなわち、左右フックアーム50,60に支持された車内パネルPは、フック支持部55,65とパネル受部77の3点で支持されることとなる。このような支持形態によれば、搬送中に車内パネルP4が揺動する虞を効果的に低減することができる。
【0068】
次に、図4に示すように、パネル支持体70及びパネル受体80を利用して、左右中央部に開口部P5が形成された車内パネルP4をパネル支持装置100によって支持する方法について説明する。
【0069】
まず、車内パネルP4の左右方向略中央に穿設した開口部P5にパネル支持体70を貫通させ、パネル受部77の上面に、開口部P5を形成する上辺部を載置する。その後、車内パネルP4の開口部P5を形成する下辺部を、パネル受体80の支持部85、86で支持する。図4に示す例では、開口部P5を形成する下辺部は、車内パネルP4の左右略中央部の下部において下側を開放側として略方形状に切欠した切欠部P6の上側の辺部を形成している。また、車内パネルP4の左右上端部背面は支持突起部54、64によって支持されている。つまり、右側の支持突起部54の突起部54b、及び左側の支持突起部64の突起部64bが、それぞれ車内パネルP4の左右上端部を背面側から当接支持している。
このように、車内パネルP4は、パネル受部77と支持部85、86とで左右中央部が下側から支持されつつ、その左右上端部が支持突起部54、64で背面側から支持された状態となる。このような支持形態によれば、搬送中に車内パネルP4が揺動する虞を可及的に低減できる。
【0070】
以上のようなパネル支持装置100に対する支持状態で車内パネルP及び車内パネルP4は、ベルトコンベアによって所定の箇所まで搬送され、前述のパネル支持装置100に対する車内パネルの支持手順とは逆の手順でパネル支持装置100から降ろされる。その後、左右フックアーム50,60を開腕状態に固定するストライカー56,66とラッチ機構90a、90bの係合状態を図示しないロック解除機構を介して解除することで左右フックアーム50,60を折畳み状態(閉腕状態)とする。
この際、左右フックアーム50、60は、回転支持部53、63内の緩衝作用により緩やかに折り畳まれる。これにより、作業者による作業負担の軽減、及び作業者の安全性の向上を図ることができるとともに、左右フックアーム50、60を衝撃から保護することができる。
【0071】
本実施形態に係るパネル支持装置100によれば、左右フックアーム50、60のいずれかに設けたフック支持部(55,65)を移動自在に構成することで、車種によって孔P1、P2の形成部位等が異なる車内パネルPに対応することができ、高い汎用性を得ることができる。また、本実施形態に係るパネル支持装置100は、車内パネルPを降ろした後には左右フックアーム50、60を折り畳む(閉腕する)ことができる回転支持部53、63を備えることから、使い勝手の良い装置となる。
【0072】
本実施形態の説明では、パネル支持装置100が備える上下2段の支持機構のうち、上段の支持機構についてのみ図示したが、下段の支持機構も上段の支持機構と同様に用いられる。つまり、本実施形態に係るパネル支持装置100は、上下の支持機構によって同時に車内パネルを支持することができる。また、支持機構を3段以上設けた構成によれば、3つ以上の車内パネルを同時に支持することが可能となる。
【0073】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0074】
P 車内パネル
100 パネル支持装置(車内パネル搬送用支持装置)
10 キャスター付基台
11 前枠
12 後枠
13 左枠
14 右枠
15 補強枠
16 基枠
17 補強枠
20 外側枠体
21 右フレーム
22 左フレーム
23 上フレーム
24a,24b,25a,25b 支持部
30 内側枠体
31 右フレーム
32 左フレーム
33a,33b,34a,34b 補強フレーム
34a,34b,36a,36b 支持部
35a,35b 補強フレーム
40 筋交い
50 右フックアーム
51 上フレーム
52 下フレーム
52a内止め部
52b外止め部
53 枢支部
53a箱体
53b歯車
53cオイル
54 支持突起部
54a支持アーム
54b突起部
55 フック支持部
55aガイド体
55b移動体
55cフック部
56 ストライカー
60 左フックアーム
61 上フレーム
62 下フレーム
63 枢支部
63a箱体
63b歯車
63cオイル
64 支持突起部
64a支持アーム
64b突起部
65 フック支持部
65a支持固定部
65bフック部
66 ストライカー
70 パネル支持体
71 右フレーム
72 左フレーム
73 前フレーム
74a,74b,75a,75b凸部
77 パネル受部
80 パネル受体
81 支持フレーム
82 右フレーム
83 左フレーム
84,85 支持部
90 ラッチ機構
91 ブラケット
92 前側ラッチフック
93 後側ラッチフック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9