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特許7485532メモリデバイスへの書き込み及びメモリデバイスからの読み取り方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】メモリデバイスへの書き込み及びメモリデバイスからの読み取り方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/56 20060101AFI20240509BHJP
   G11C 11/22 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G11C11/56 300
G11C11/22 230
G11C11/22 240
G11C11/22 280
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020059741
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2020177721
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】16/389,535
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ピー・カポラレ
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト・ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】マーカス・アール・シルベストリ
(72)【発明者】
【氏名】テリー・エル・ストリート
(72)【発明者】
【氏名】ロン・エドワード・デュフォート
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-147724(JP,A)
【文献】特開2012-142040(JP,A)
【文献】特表2010-516015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0013058(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/56
G11C 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントメモリデバイスに書き込むためのコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータ実施方法は、
マイクロコントローラで、前記プリントメモリデバイスに書き込むデータを取得することと、
前記マイクロコントローラによって、前記データを複数のデータ部分に分割することと、
前記マイクロコントローラによって、前記複数のデータ部分のそれぞれのための複数の符号化スキームを決定することであって、前記複数の符号化スキームのそれぞれが、前記複数のデータ部分の各々を書き込むために使用される電圧及びパルス幅を含む、ことと、
前記マイクロコントローラによって、前記符号化スキームのうちの1つ以上を特定用途向け集積回路(ASIC)に提供することと、
前記ASICによって、書き込む前記複数のデータ部分の前記第1のデータ部分のための第1のワード線及び第1のビット線に対応する前記プリントメモリデバイスの第1のターゲットメモリセルを選択することと、
前記ASICによって、アドレス指定されていないワード線及びビット線を高インピーダンスに設定することと、
前記ASICによって、前記第1のデータ部分を、前記複数の符号化スキームの第1の符号化スキームを用いて前記第1のターゲットメモリセルに書き込むことであって、前記第1の符号化スキームは、第1の電圧及び第1のパルス幅を含む、ことと
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記マイクロコントローラによって、前記複数のデータ部分の第2のデータ部分が書き込まれることを決定することと、
前記ASICによって、書き込む前記複数のデータ部分の前記第2のデータ部分のための第2のワード線及び第2のビット線に対応する前記プリントメモリデバイスの第2のターゲットメモリセルを選択することと、
前記ASICによって、アドレス指定されていないワード線及びビット線を高インピーダンスに設定することと、
前記ASICによって、前記第2のデータ部分を、前記複数の符号化スキームの第2の符号化スキームを用いて前記第2のターゲットメモリセルに書き込むことであって、前記第2の符号化スキームは、第2の電圧及び第2のパルス幅を含む、ことと、を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記マイクロコントローラによって、前記複数のデータ部分の第3のデータ部分が書き込まれることを決定することと、
前記ASICによって、書き込む前記複数のデータ部分の前記第3のデータ部分のための第3のワード線及び第3のビット線に対応する前記プリントメモリデバイスの第3のターゲットメモリセルを選択することと、
前記ASICによって、アドレス指定されていないワード線及びビット線を高インピーダンスに設定することと、
前記ASICによって、前記第3のデータ部分を、前記複数の符号化スキームのうちの第3の符号化スキームを用いて前記第3のターゲットメモリセルに書き込むことであって、前記第3の符号化スキームは、第3の電圧及び第3のパルス幅を含む、ことと、を更に含む、請求項2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記マイクロコントローラによって、前記複数のデータ部分の第4のデータ部分が書き込まれることを決定することと、
前記ASICによって、書き込む前記複数のデータ部分の前記第4のデータ部分のための第4のワード線及び第4のビット線に対応する前記プリントメモリデバイスの第4のターゲットメモリセルを選択することと、
前記ASICによって、アドレス指定されていないワード線及びビット線を高インピーダンスに設定することと、
前記ASICによって、前記第4のデータ部分を、前記複数の符号化スキームの第4の符号化スキームを用いて前記第4のターゲットメモリセルに書き込むことであって、前記第4の符号化スキームは、第4の電圧及び第4のパルス幅を含む、こととを更に含む、請求項3に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記第1のワード線と前記第2のワード線が同じワード線である、請求項2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記第1のビット線と前記第2のビット線が同じビット線である、請求項2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記第1の電圧、前記第2の電圧、前記第3の電圧、及び前記第4の電圧が、前記プリントメモリデバイスの駆動電圧曲線に対して非線形領域ADC値内にある、請求項4に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記第1の電圧、前記第2の電圧、前記第3の電圧、及び前記第4の電圧が、約1ボルト~約40ボルトである、請求項4に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記第1の電圧、前記第2の電圧、前記第3の電圧、及び前記第4の電圧が、13ボルト~約22ボルトである、請求項4に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記非線形領域が、約0.1nC~約10nCの電荷値に対応する、請求項7に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
前記非線形領域が、約0.5nC~約7nCの電荷値に対応する、請求項7に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
前記非線形領域が、1nC未満の第1の電荷値、3nC~5nCの第2の電荷値、5nC~6nCの第3の電荷値、及び6nC~9nCの第4の値に対応する4つの符号化レジームに分割される、請求項7に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項13】
前記第1の符号化スキーム及び前記第2の符号化スキームが、前記第1のデータ部分及び前記第2のデータ部分の同一のデータ値に対して同一である、請求項2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項14】
前記データ部分の各々が、ビット値のタプルを含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項15】
プリントメモリデバイスから読み取るためのコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータ実施方法は、
マイクロコントローラによって、特定用途向け集積回路(ASIC)に全電圧を設定するために第1の制御命令を提供することと、
前記マイクロコントローラによって、前記プリントメモリデバイスの第1のセルからデータの第1の部分を読み取るために、第1の読み取り命令を前記ASICに提供することと、
前記ASICによって、前記第1のセルを読み取ることであって、前記読み取ることが、第1の電荷測定値及び第2の電荷測定値を決定することを含む、ことと、
前記マイクロコントローラによって、前記第1の電荷測定値及び前記第2の電荷測定値を前記ASICから取得することと、
前記マイクロコントローラによって、前記第1の電荷測定値と前記第2の電荷測定値との間の差分を決定することと、
前記マイクロコントローラによって、前記差分を復号された1組のビット値に変換するために、ルックアップテーブルにアクセスすることと、
前記マイクロコントローラによって、前記復号されたビット値を提供することと
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項16】
前記ルックアップテーブルが、前記第1の電荷測定値及び前記第2の電荷測定値に基づいたアナログデジタルカウント(ADC)値の差分と復号されたビット値との間の対応を提供する、請求項15に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項17】
前記ADC値が、複数の重複しないADC値レジームに分割される、請求項16に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項18】
複数の前記ADC値レジームが、4つのADC値レジームである、請求項16に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項19】
前記4つのADC値レジームが、10未満、10~70、70~110、及び110超を含む、請求項18に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項20】
前記第1の電荷測定値及び前記第2の電荷測定値が、それぞれ、アナログデジタル変換器によって第1のアナログデジタルカウント(ADC)値及び第2のADC値に変換される、請求項15に記載のコンピュータ実施方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、メモリデバイスの分野に関し、特に、プリントメモリデバイスへ書き込み及びプリントメモリデバイスから読み取る方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
Xeroxプリントメモリ(「XPM」)は、書き換え可能メモリを含むことができる印刷されたラベルである。1つの例示的な用途では、ラベルを検査に使用して、製品が故障しているか又は機能しているか、並びに真正又は純正であるか否かを判定して、偽造を防止することができる。例えば、プリントメモリは、消費可能な製品、用品、出荷包装、消費者製品、文書、顧客交換可能製品などにラベルとして取り付けられてもよい。プリントメモリからのデータを読み出し、期待される結果又は値と比較することができる。メモリリーダによってプリントメモリから読み取られた値が期待値と一致する場合、メモリリーダ内の回路は、プリントメモリ(したがって、それが取り付けられている品目)を機能的及び/又は真正であるとして識別することができる。一部の用途では、機能的及び/又は真正としての製品の識別は、プリントメモリが取り付けられている製品が機能するように許可される前に必要とされる場合があり、その場合、メモリリーダ、又はメモリリーダをサブシステムとして組み込むホストデバイスは、製品の機能を可能にする、又は有効化することができる。プリントメモリから読み取られた値が期待値と一致しない場合、リーダ又はホストデバイス内の回路は、プリントメモリ、したがって、プリントメモリが取り付けられている品目を真正でないとして、例えば、相手先製品製造業者(original equipment manufacturer、OEM)又は認可製造業者(すなわち、非OEM)によって製造されていない偽造品、グレーマーケットなどとして指定することができる。一部の用途では、メモリリーダ又はホストデバイスは、製品に取り付けられたラベルが機能的でない及び/又は真正でないとして識別された場合、製品の機能を無効にすることができる。
【0003】
別の実施形態では、XPMを使用して、製造工程及び/又はサプライチェーンを通して製品を追跡することができる。ラベルは、メモリ読み取り装置により検証することができる固有の電子識別子により個々の品目をマークするようにプログラムすることができる。性能を改善又は最適化するためにベースユニットによって後で使用されるデータに対象物が関連付けられたスマート消耗品(smart consumables)、製品の消耗品の大量使用が追跡される消費記録、製造環境外の品目又は人々の追跡などが挙げられるが、これらに限定されない、XPMの他の用途が想到される。
【0004】
XPMは、データビットとしてセルの分極を使用し、複数の配線(例えば、ワード線及びビット線)の間に配置された強誘電体材料(すなわち、強誘電体層)の層を含む。各ビット線(BL)とワード線(WL)との間に位置する強誘電体層の領域は、メモリセルを形成する。メモリは、配線に好適な書き込み電圧を印加することによって、2つのデジタルメモリ状態のうちの1つで書き込まれてもよい。メモリ状態は、コンタクトパッドを介して配線に好適な読み出し電圧を印加することによって読み取ることができる。セルの分極が、印加されたバイアスから電界の反対方向にある場合、分極は、電荷値に積分される電流を含み、方向を変化させるか、又は反転させる。電界と既に整列された分極ベクトルを有するセルは、反転しない。したがって、セルの容量電荷値と同等のより小さい電荷値を生成する。したがって、読み取りプロセスの正に性質により、読み取りプロセスの終了時に、全てのセルの分極が同じ方向を指すため、チップ上の情報が破壊される。これは、現在1つのセルが1ビットを含むことを意味する。セルは、0を表すワード線又は1を表す反対方向を指す分極で分極されるかのいずれかである。既存のXPMは、25ビット、又は25個の強誘電体セルのメモリの深さを有する。XPMの簡略化された幾何学的形状は、強誘電体材料フィルムの両側の5本のワード線にわたって5本のビット線をトレースすることにより、25ビットのメモリの深さをもたらす5×5アレイを形成する。
【0005】
したがって、必要とされるのは、XPMへの書き込み及びXPMからの読み取りのための改良された方法である。
【発明の概要】
【0006】
以下に、本教示の1つ以上の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化した概要を提示する。この概要は、広範な概略ではなく、本教示の主要な又は重要な要素を識別することも、本開示の範囲を明示することも意図していない。むしろ、その主要な目的は、単に、後に提示される詳細な説明の序文として、簡略化された形態で1つ以上の概念を提示するだけである。
【0007】
本開示の実施例によれば、プリントメモリデバイスに書き込むためのコンピュータ実施方法が提供される。コンピュータ実施方法は、マイクロコントローラで、プリントメモリデバイスに書き込むデータを取得することと、マイクロコントローラによって、データを複数のデータ部分に分割することと、マイクロコントローラによって、複数のデータ部分のそれぞれのための複数の符号化スキームを決定することであって、複数の符号化スキームのそれぞれが、複数のデータ部分の各々を書き込むために使用される電圧及びパルス幅を含む、ことと、マイクロコントローラによって、符号化スキームのうちの1つ以上を特定用途向け集積回路(ASIC)に提供することと、ASICによって、書き込む複数のデータ部分の第1のデータ部分のための第1のワード線及び第1のビット線に対応するプリントメモリデバイスの第1のターゲットメモリセルを選択することと、ASICによって、アドレス指定されていないワード線及びビット線を高インピーダンスに設定することと、ASICによって、第1のデータ部分を、複数の符号化スキームの第1の符号化スキームを用いて第1のターゲットメモリセルに書き込むことであって、第1の符号化スキームは、第1の電圧及び第1のパルス幅を含む、こととを含む。
【0008】
いくつかの実施例では、コンピュータ実施方法は、マイクロコントローラによって、複数のデータ部分の第2のデータ部分が書き込まれると判定することと、ASICによって、書き込む複数のデータ部分の第2のデータ部分のための第2のワード線及び第2のビット線に対応するプリントメモリデバイスの第2のターゲットメモリセルを選択することと、ASICによって、アドレス指定されていないワード線及びビット線を高インピーダンスに設定することと、ASICによって、第2のデータ部分を、複数の符号化スキームの第2の符号化スキームを用いて第2のターゲットメモリセルに書き込むことであって、第2の符号化スキームは、第2の電圧及び第2のパルス幅を含む、ことと、を更に含むことができる。
【0009】
いくつかの実施例では、コンピュータ実施方法は、マイクロコントローラによって、複数のデータ部分の第3のデータ部分が書き込まれると判定することと、ASICによって、書き込む複数のデータ部分の第3のデータ部分のための第3のワード線及び第3のビット線に対応するプリントメモリデバイスの第3のターゲットメモリセルを選択することと、ASICによって、アドレス指定されていないワード線及びビット線を高インピーダンスに設定することと、ASICによって、第3のデータ部分を、複数の符号化スキームのうちの第3の符号化スキームを用いて第3のターゲットメモリセルに書き込むことであって、第3の符号化スキームは、第3の電圧及び第3のパルス幅を含む、ことと、を更に含むことができる。
【0010】
いくつかの実施例では、コンピュータ実施方法は、マイクロコントローラによって、複数のデータ部分の第4のデータ部分が書き込まれると判定することと、ASICによって、書き込む複数のデータ部分の第4のデータ部分のための第4のワード線及び第4のビット線に対応するプリントメモリデバイスの第4のターゲットメモリセルを選択することと、ASICによって、アドレス指定されていないワード線及びビット線を高インピーダンスに設定することと、ASICによって、第4のデータ部分を、複数の符号化スキームの第4の符号化スキームを用いて第4のターゲットメモリセルに書き込むことであって、第4の符号化スキームは、第4の電圧及び第4のパルス幅を含む、こととを更に含むことができる。
【0011】
いくつかの実施例では、第1のワード線及び第2のワード線は、同じワード線又は異なるワード線であり得る。いくつかの実施例では、第1のビット線及び第2のビット線は、同じビット線又は異なるビット線であり得る。
【0012】
いくつかの実施例では、第1の電圧、第2の電圧、第3の電圧、及び第4の電圧が、プリントメモリデバイスの駆動電圧曲線に対して非線形領域ADC値内にある。いくつかの実施例では、第1の電圧、第2の電圧、第3の電圧、及び第4の電圧は、約1ボルト~約40ボルトである。いくつかの実施例では、第1の電圧、第2の電圧、第3の電圧、及び第4の電圧は、13ボルト~約22ボルトである。いくつかの実施例では、非線形領域が、約0.1nC~約10nCの電荷値に対応する。いくつかの実施例では、非線形領域が、約0.5nC~約7nCの電荷値に対応する。いくつかの実施例では、非線形領域が、1nC未満の第1の電荷値、3nC~5nCの第2の電荷値、5nC~6nCの第3の電荷値、及び6nC~9nCの第4の値に対応する4つの符号化レジームに分割される。いくつかの実施例では第1の符号化スキーム及び第2の符号化スキームが、第1のデータ部分及び第2のデータ部分の同一のデータ値に対して同一である。いくつかの実施例では、データ部分の各々が、ビット値のタプルを含む。例えば、タプルは、2-タプル,3-タプル,...,n-タプルであり得、ここで、nは1よりも大きい。
【0013】
本開示の実施例によれば、プリントメモリデバイスから読み取るためのコンピュータ実施方法が提供される。コンピュータ実施方法は、マイクロコントローラによって、特定用途向け集積回路(ASIC)に全電圧を設定するために第1の制御命令を提供することと、マイクロコントローラによって、プリントメモリデバイスの第1のセルからデータの第1の部分を読み取るために、第1の読み取り命令をASICに提供することと、ASICによって、第1のセルを読み取ることであって、読み取ることが、第1の電荷測定値及び第2の電荷測定値を決定することを含む、ことと、マイクロコントローラによって、第1の電荷測定値及び第2の電荷測定値をASICから取得することと、マイクロコントローラによって、第1の電荷測定値と第2の電荷測定値との間の差分を決定することと、マイクロコントローラによって、差分を復号された1組のビット値に変換するために、ルックアップテーブルにアクセスすることと、マイクロコントローラによって、復号されたビット値を提供することとを含む。
【0014】
いくつかの実施例では、ルックアップテーブルが、第1の電荷測定値及び第2の電荷測定値に基づいたアナログデジタルカウント(ADC)値の差分と復号されたビット値との間の対応を提供する。いくつかの実施例では、ADC値が、複数の重複しないADC値レジームに分割される。いくつかの実施例では、複数のADC値レジームが、4つのADC値レジームある。いくつかの実施例では、4つのADC値レジームが、10未満、10~70、70~110、及び110超を含む。いくつかの実施例では、第1の電荷測定値及び第2の電荷測定値が、それぞれ、アナログデジタル変換器によって第1のアナログデジタルカウント(ADC)値及び第2のADC値に変換される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本教示の実施を示し、説明と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。図において:
【0016】
図1】XPMなどのプリントメモリの平面図である。
図2】WL及びBLの両方を示すメモリの概略図である。
図3】メモリの簡略化された概略図である。
図4】バイナリ値に変換されたセルアナログ値を示す。
図5】本開示の実施例による、XPMのためのADCカウント対電圧のプロットを示す。
図6】本開示の実施例による電子システムの概略図である。
図7】本開示の実施例による、3×3プリントメモリデバイス及びプリントメモリデバイスに書き込まれるデータを示す。
図8】本開示の実施例による、プリントメモリデバイスにデータを書き込むためのコンピュータ実施方法を示す。
図9A】本開示の実施例による書き込みプロセス中の3×3プリントメモリデバイスを示す。
図9B】本開示の実施例による書き込みプロセス中の3×3プリントメモリデバイスを示す。
図9C】本開示の実施例による書き込みプロセス中の3×3プリントメモリデバイスを示す。
図9D】本開示の実施例による書き込みプロセス中の3×3プリントメモリデバイスを示す。
図9E】本開示の実施例による書き込みプロセス中の3×3プリントメモリデバイスを示す。
図10】本開示の実施例による、プリントメモリデバイスからデータを読み取るための方法を示す。
【0017】
図のいくつかの詳細は簡略化されており、厳密な構造精度、詳細、及び縮尺は維持されるものではなく、本教示の理解を容易にするように描かれていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本教示の実施形態を詳細に参照し、それらの実施例は、添付の図面に示される。便宜上、同一又は同様の部品を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。
【0019】
本明細書で使用するとき、「データ」は、メモリデバイス、集積回路、若しくは別の電気デバイスなどの電気デバイスから取得される若しくはそれに送信される任意の種類の情報、信号、若しくは他の結果、又は、電気デバイスを監視、問い合わせ、照会、若しくは測定することなどから得られる任意の情報を指す。用語「データ」は、デジタルデータ、アナログデータ、電圧値、電流値、抵抗値、ベクトル値、スカラー値、及び/又は磁束値を含む。本明細書で使用するとき、「バス」は、複数の物理的接続間で共有されるワード線及びビット線の群を指す。本明細書で使用するとき、「セル」は、WLとBLとの交点によって画定される物理的な強誘電体コンデンサを指し、強誘電体材料はそれらの間に挟まれている。
【0020】
一般的に言えば、本開示の態様は、所与のXPM上で利用可能なメモリの量を増加させる、すなわち、倍加することを提供する。この技術は、単一のセル内の複数のビットを表すために、様々な分極レベルを使用する。これは、セルを中間状態にするために分極を完全に反転させないことによって行われる。これらの中間状態は、既知であり、制御され、予測可能である。これらの状態は、書き込み/読み取り時にメモリを刺激するために使用される電圧を介して選択される。メモリがこの状態に置かれると、メモリ分極状態を表す電荷応答を提供するように問い合わされ得る。
【0021】
メモリデバイス100、例えば、XPM100などのプリントメモリ(すなわち、プリントメモリデバイス)100の一実施例を、図1の平面図に示す。XPM100の構造及び機能は、既知であり、本明細書では簡単にだけ説明する。図1のプリントメモリ100は、基板102、例えば、プリントメモリ100の製品の表面への取り付けを補助するための接着剤バッキング層を含むことができる、可撓性ポリマー基板などの可撓性誘電体基板102と、複数の配線(例えば、WL及びBL)104と、WLとBLとの間に直接介在又は配置された強誘電体層106と、を含む。論理ビット又は論理状態を記憶するメモリセルは、各WLとBLとの交点の間に介在する物理的位置に、強誘電体層106によって、その内部に提供される。したがって、WL及びBLは、互いに物理的に接触せず、強誘電体層106によって物理的に分離されることが理解されるであろう。図1に示すプリントメモリ100は、10本の配線104(5本のWL及び5本のBL)を含み、したがって、図1のデバイスは、25個のメモリセルを含み、したがって、25ビットの情報を記憶することができる。各配線104は、コンタクトパッド108で終端する。各メモリセルは、コンタクトパッドのうちの2つを介して(すなわち、1つのWL及び1つのBLを介して)個別にアドレス指定することができる。複数のコンタクトパッド108は、図示するように、2つ以上の行及び列で矩形形状に配置されてもよく、又は単一の列に配置されてもよい。XPMは、簡略化のために記載又は図示されていない他の構造体を含んでもよく、様々な図示した構造体は、除去又は修正されてもよいことが理解されるであろう。プリントメモリ100の各メモリセルは、好適な読み出し電圧を配線104のうちの2つ(すなわち、1つのワード線及び1つのビット線)に印加して電気応答を測定することによって、読み取られてもよい。読み出し電圧を印加するために、複数のコンタクトパッド108は、リーダのプローブ接点と物理的かつ/又は電気的に接触させることができる。プローブ接点を介してコンタクトパッド108にわたって電圧が印加され、結果として得られる応答が測定される。各メモリセルは、読み出しサイクル又は書き込みサイクル(以後、メモリ動作)中に個別にアドレス指定されてもよく、メモリアレイ内のメモリセルのうちの1つ以上は、同時に若しくは逐次的に読み出し又は書き込みされてもよい。
【0022】
プリントメモリ100及び他の電気デバイスのコンタクトパッド108は、炭素含浸複合材、銀ナノ粒子インクなどの導電性インク、又は1つ以上の他の好適な材料を使用して形成することができる。これらのコンタクトパッド108は、例えば、リーダの電気プローブとの繰り返し物理的接触から傷をつけられ、劣化することがある。更に、リーダとプリントメモリ100との間で直接物理的接触が行われる場合、リーダは、プリントメモリ100に正確に向けられなければならない。
【0023】
図2は、WL及びBLの両方を示すメモリ200の概略図である。BLコンタクトパッドBL0 202はBL 204、BLコンタクトパッドBL1は206 BL 208、BLコンタクトパッドBL2 210はBL 212、BLコンタクトパッドBL3 214はBL 216、BLコンタクトパッドBL4 218はBL 220を含む。WLコンタクトパッドWL0 222はWL 224、WLコンタクトパッドWL1 226はWL 228、WLコンタクトパッドWL2 230はWL 232、WLコンタクトパッドWL3は234 WL 236、WLコンタクトパッドWL4 238はWL 240を含む。
【0024】
図3は、本開示の実施例によるメモリ300の簡略化された概略図を示し、電極交差部上の数字はセルIDを示す。パッドが切断された場合、例えば、図3のBL 0のパッドである場合、そのBLの全てのセルは浮遊している(セル0,5,10,15,20)。読み取りプロセスでは3つの事項が生じ、最初にBLが浮遊しているため、そのBLのセル全体にバイアスが存在しない。駆動力が欠落しているため、「0」状態にあるいずれのセルも反転しない。第2に、ビット線が切断されているため、パッドに接続された積分増幅器に電流が流れない。電荷値は0に近い。第3に、アナログ値が変換されると、この切断されたビット線上の全てのセルは、それらの電荷値が閾値をはるかに下回るため、「1」が割り当てられる。元のパターンが全て0であり、ビット線0が切断された場合、図4に示されるようなパターンで終わる。図4は、本開示の実施例による、バイナリ値に変換されるセルアナログ値400を示し、セルの電荷値が大きい場合、セルは「0」ビットになる。
【0025】
同様のことがワード線で起こる。第1に、ワード線は浮遊しているため、そのワード線のセル全体にバイアスが存在しない。駆動力が欠落しているため、「0」状態にあるいずれのセルも反転しない。第2に、反転が行われないため、小さい容量電荷値のみが浮遊線上で読み取られる。第3に、アナログ値が変換されると、この切断されたワード線上の全てのセルは、それらの電荷値が閾値を下回るため、「1」が割り当てられる。
【0026】
XPMは、状態の形態で情報を保持する25ビットメモリデバイスである。これらの状態は、2つの電極間に位置する強誘電体ポリマーの分極の向きである。電圧が印加されて、鉄系材料を通して電界を生成する。これにより、双極子が、電界の方向及び大きさに応じて整列することが可能になる。材料、製造プロセス、サイズ、及び他の物理的特徴の特定の特性は、ポリマー中の双極子を「反転」するために必要とされる最小電圧を決定する。S曲線は、印加電圧に対して、印加電圧へのポリマーの電荷応答によって測定される分極切り替えのグラフ表示である。ASICは、ポリマーの電荷応答を測定及び保存するために使用される。S曲線は、ポリマーを1つの「状態」から別の状態にするためにどの程度の電圧が必要かを示す。印加されたバイアスに対するこの切り替え依存性を活用することは、セルデータストレージを更に増加させるのに役立ち得る。
【0027】
XPMデバイスのS曲線特性は、いくつかの短い電圧パルスをそれらのセルに印加し、それらの応答を監視することによって利用される。典型的には、3つの主な区別可能な範囲が存在する。図5は、本開示の実施例による、これらの3つの主な範囲を有する例示的なS-曲線500を示す。領域1 505は、所与のパルス幅の非反転領域である。この領域では、印加電圧は、必要とされる反転電圧よりもはるかに低いが、容量性ネットワークからの応答を引き起こすのに十分に有意である。領域2 510は、非線形又は切り替え領域である。この領域では、分極は切り替えを開始し、セル全体に印加されたバイアスに応じて切り替え続けることができる。「S」の形状に似て飽和するまで、バイアスが高いほど応答が大きくなる。したがって、周知のS曲線である。明らかに、電荷読み取り(応答)と印加電圧との間の機能的依存性は非線形である。対照的に、容量性ネットワークは、依然として線形である。また、本実施例と異なる強誘電体ポリマーは、異なるS曲線を示す。例えば、非線形領域が、0.5nC未満の第1の電荷値、0.5nC~3nCの第2の電荷値、3nC~4.5nCの第3の電荷値、及び4.5nC以上の第4の値に対応する4つの符号化レジームに分割される。一実施例では、変換は1nC変化当たり25 ADCカウントである。領域3 515は、反転又は飽和領域である。この領域では、全てのセルは、それらの分極が印加されたバイアスからの電界とここで一致している新しい状態に反転される。電圧の任意の更なる増加は、セルの容量応答を増加させるのみであり、したがって、応答又は電荷読み取り値は、領域2 510とは対照的にゆっくりと増加する。異なる強誘電体ポリマーは、所与の強誘電体層の厚さに対して、反転領域のための異なる始まりを有し、したがって、それらの開始点は、区別の手段として使用することができる。
【0028】
非線形領域を異なる領域自体に分割することにより、より多くのデータをメモリに符号化することができる。例えば、「非反転」領域を使用すると、第1の状態は、10未満のADC値であり得る。「非線形」領域内の別の状態は、10~70のADCカウントに対して定義することができる。第3の状態は、70~110 ADCカウントから定義することができる。最終状態は、飽和領域、又は110を超えるADC値であろう。これら4つの状態では、2ビットのデータを符号化することができる。この方法は、物理的変更を必要とせずに、デバイスのメモリの深さを倍増する。この方法はまた、読み取り又は書き込み電圧及びパルス幅が環境条件に対して構成され得るため、温度変化を考慮することができる。
【0029】
この方法は、XPMのメモリの深さに関する何らかの懸念に対処するのに役立つ。このようなスケーリングメモリの深さは、追加のワード線及びビット線を組み込むために製造プロセスを変更することよりもはるかに実用的である。式1に現在示されている従来のメモリの深さの代わりに、本開示は、式2に示されるlog(N)乗数の追加された利益を提供し、式中、Nは、メモリセルを入れることができる状態の2の累乗の数である。上記で定義された4つの状態を使用して、現在の5×5メモリを用いて、50ビットをXPMに符号化することができる。この考え方を使用せずに、同様のメモリの深さを得るためには、7×7個のメモリセルのアレイを含む新しいデバイスが設計されなければならない。しかしながら、先に述べたように、この手法は高価であり、装置の複雑さ及びサイズを増大させる。2の累乗以外の状態の数については、異なるベースのシステム、例えば3進法を使用するN=3で機能する必要がある。これらの場合、N-1までの正の整数を表すことができ、ここでM(=WLBL)はセルの数であり、Nはレベルの数である。
【0030】
従来のメモリの深さは、以下のように表すことができる。
【0031】
B=WLBL (1)
【0032】
本教示により提案されるメモリの深さは、以下のように表すことができる。
【0033】
B=log(N)(WLBL) (2)
【0034】
ここで、Bはビット数であり、WLはワード線の数であり、BLはビット線の数であり、Nは状態の数である。
【0035】
各トレースは、電気接点を形成するための接続パッドを必要とする。デバイスのメモリの深さを増大させるには、トレース及び接続パッドを追加する必要がある。しかしながら、XPMの物理的スケーラビリティは、わずかではない。各追加のトレース及びコンタクトパッドにより、メモリのサイズは大幅に増大する。加えて、コスト、複雑さ、及び歩留まりを低減する製造の複雑さもある。これは、必要とされる新たな製造機器(又は既存のものに対する主な修正)、より正確な位置合わせ、及び所与の表面積上のXPMの減少に起因する。
【0036】
図6は、本教示の一実施形態による、XPMへの読み取り及び/又は書き込みのための電子システム600の概略図である。電子システム600はマイクロコントローラ604を備える。マイクロコントローラ604は、ルックアップテーブル608を記憶するように構成されたメモリ606を備える。ルックアップテーブル608は、1つ以上のビットを変換して電圧及びパルス幅を書き込むか、又はADC値をビット値に変換する符号化/復号化スキームを記憶する。マイクロコントローラ604は、第1のデータバス610を介してASIC612と通信する。ASIC612は、A/D変換器614を含む。ASIC612は、第2のデータバス616を介してXPM618との読み取り/書き込み動作を実行する。
【0037】
図6は、1つの可能な電子システム600の設計の概要を示すが、図示されていない他の特徴を含んでもよく、図示された特徴は除去又は修正されてもよいことが理解されるであろう。更に、図6の概要は、当業者によって本教示に設計され得るマイクロプロセッサ、メモリ、電源などの全ての支援電子機器を個別に描写することを意図するものではない。
【0038】
読み取りプロセス中に、2つの読み取り動作が実行され、第1の読み取り動作は、分極(P)及び容量性(C)効果(P+C)の両方に関連する電荷値を含み、第2の読み取り動作は容量性(C)効果のみを含む。第1の読み取り動作と第2の読み取り動作((P+C)-C=P)の差分は、「P」だけである。
【0039】
注:パルス幅及び振幅の設定は、各「書き込み」の前に適用される。書き込みデータ:55400AABFF、これは16進表現である。この実施例では、5つの代わりに4つの異なる電荷レベルを使用する4本のワード線のみが使用される。したがって、これは符号化密度の増加を可能にし、従来の20ビットを符号化する20個のセルから、40ビットを符号化する20個のセル(セル当たり2ビット)の改善された符号化に拡張する。しかしながら、本開示の態様は、メモリに符号化されたより多くのビットを有するように拡張することができる。例えば、16レベルが利用可能である場合、セル当たり4ビットを符号化することができる。次いで、これは、40の代わりに80ビットのデータを有するように、以下の実施例を拡張する。
【0040】
書き込みコマンド 0 1ffffff Good Write
【0041】
書き込みコマンド 0 1fffc1f Good Write
【0042】
書き込みコマンド 0 1ff83ff Good Write
【0043】
書き込みコマンド 0 1f07fff Good Write
【0044】
上記のプロセスは、様々なレベルの書き込みプロセスを示す。
【0045】
【表1】
【0046】
以下のメモリから読み取られた生ADC値
【0047】
【表2】
【0048】
表2において、LSBは、最下位ビットを意味し、MSBは最上位ビットを意味する。バイナリ番号は以下の通りである:0101-0101-0100-0000-0000-1010-1010-1011-1111-1111。16進等価は55400AABFFである。
【0049】
書き込みプロセス中、各セルは、2ビットのデータを表す特定の状態にセルを配置すると、書き込まれる。状態は、「11」、「01」、「10」及び「00」を含む4つの状態のうちの1つである例えば、5個のセルを有するWLを考察する。WLで2つのセルに書き込まれ得るデータの第1の部分は、「01」状態である。他の3つのセルに書き込まれ得るデータの第2の部分は、「00」状態である。
【0050】
別の例では、各WLは、「11」、「01」、「10」及び「00」の4つの状態を経て、その工程のためにその状態に置かれない、その線上のセルに高インピーダンスを印加する。これは、以下のように例示することができる。WL0:BL0に関して、BL1は「01」、BL2は「10」、BL3は「11」、BL4は「00」である。「11」の電圧及びパルス幅の符号化スキームがASICに送信され、BL3は高インピーダンスに配置され、書き込みは実行される。次に、「01」の符号化スキームがASICに送信され、BL2、BL3、BL4は全て高インピーダンスに配置されてから、書き込みが実行される。次に、「10」の符号化スキームがASICに送信され、BL2を除く全てが高インピーダンスに配置され、書き込みが実行される。最後に、「00」の符号化スキームがASICに送信され、BL4を除く全てが高インピーダンスに配置され、書き込みが実行される。
【0051】
本明細書に記載される実施例では、書き込まれるデータは、それぞれのメモリセルに書き込まれる複数の部分に分割され得る。表3は、例示的なデータ分割を示す。書き込まれるデータを(0110...00111010)として考察する。データ全体の第1の部分(10)(0110...00111010)は、符号化スキームによって第1のセルに書き込まれ、これにより、「10」に対応する電荷読み取りのためにセルが正しい領域に置かれることを可能にし、次いで、同じプロセスを用いてデータの第2の部分が第2のセルに書き込まれる。このプロセスは、データの全ての部分がそれらの対応するセルに書き込まれるまで継続する。書き込まれた各データ部分値は、強誘電体セルの明確な分極状態を達成するために、特定のパルス電圧及びパルス幅を使用して符号化される。1つの非限定的な例では、「00」の符号化スキームはVpusle=22V,Δt=16μsであり、「01」の符号化スキームはVpulse=18V,Δt=16μsであり、「10」の符号化スキームはVpulse=16V,Δt=16μsであり、「11」の符号化スキームはパルスなしであるか、又はVpulse=13V,Δt=16μsである。読み取りプロセスでは、これらの分極状態を切り替えることにより、4つの異なる電荷値を引き起こし、「00「」、「01」、10」及び「11」値に戻って復号される4つの異なるADC値になる。
【0052】
【表3】
【0053】
図7は、本開示の実施例による、3×3 XPMを示す。セル0は、WL0とBL0との交差点にあり、セル1はWL0とBL1との交差点にあり、セル2はWL0とBL2との交差点にあり、セル3はWL1とBL0との交差点にあり、セル4はWL1とBL1との交差点にあり、セル5はWL1とBL2との交差点にあり、セル6はWL2とBL0との交差点にあり、セル7はWL2とBL1との交差点にあり、セル8はWL2とBL2との交差点にある。図7はまた、「101010111100010001」としてXPMに書き込まれるデータを示し、これはn個のデータ部分に分割され、第1のデータ部分が「01」、第2のデータ部分は「00」であり、第3のデータ部分は「01」,....n-1データ部分、すなわち、セル7は「10」であり、第nのデータ部分、すなわち、セル8は「10」である。各データ部分の各セルへの1対1のマッピング、すなわち、セル0は第1のデータ部分にマッピングし、セル1は第2のデータ部分にマッピングするなどが存在する。
【0054】
図8は、本開示の実施例による、プリントメモリデバイスにデータを書き込むためのコンピュータ実施方法800を示す。コンピュータ実施方法800は、802において、XPMに書き込まれる第1のデータをマイクロコントローラ604によって取得することによって開始する。表3に示す例を参照すると、書き込まれる第1のデータ(0110...00111010)は、マイクロコントローラ604によって取得される。コンピュータ実施方法800は、804において、第1のデータを、XPMの各セルに書き込まれるn個の対応するデータ部分に、マイクロコントローラによって分割することによって継続する。実施例を続けると、マイクロコントローラ604は、書き込まれるデータを複数のデータ部分(例えば、第1の部分(「10」)、第2の部分(「10」)、第3の部分(「11」)、第4の部分(「00」),...,第n-1の部分(「10」)、第nの部分(「01」))に分割する。コンピュータ実施方法800は、806において、第nのデータ部分のそれぞれについて符号化スキーム(例えば、電圧及びパルス幅)を決定し、データ部分がマイクロコントローラによって書き込まれるXPMのセルを識別することによって継続する。コンピュータ実施方法800は、808において、マイクロコントローラ604によって現在の符号化スキームでASICを構成することによって継続する。例を再び参照すると、マイクロコントローラ604は、データの各部分を符号化する符号化スキームを用いてASIC612を構成する。コンピュータ実施方法800は、810において、n符号化スキームに関連付けられた対応するWL及びBLを選択することによって、ターゲットXPMセルを選択することによって継続する。コンピュータ実施方法800は、812において、アドレス指定されていないWL及びBLを、ASIC612によって高インピーダンスに設定することによって継続する。コンピュータ実施方法800は、814において、ASIC612による書き込み動作を実行することによって継続する。コンピュータ実施方法800は、816において、第1のデータの全てのデータ部分がマイクロコントローラ605によって書き込まれたか否かを決定することによって継続する。図9Aは、「01」のそれぞれの符号化スキームを使用して、「01」がセル0及びセル2に書き込まれる3×3 XPMを示す。WL1、WL2、及びBL1は、ASIC612によって高インピーダンスに配置され、これは、これらのWL及びBL上のこれらのセルに電圧がかからないことを意味する。816での決定が「いいえ」である場合、コンピュータ実施方法800は818に進み、マイクロコントローラ605は、ASIC612に、次のデータ部分(n=n+1)に索引付けし、806に戻るように命令する。図9Bは、「00」のそれぞれの符号化スキームを使用して「00」がセル1に書き込まれる次の書き込み動作を示し、一方、BL0、BL2、WL1、及びWL2は、ASIC612によって高インピーダンスに配置される。図9Cは、「00」がセル3に書き込まれる次の書き込み動作を示し、一方、BL1、BL2、WL0、及びWL2は、ASIC612によって高インピーダンスに配置される。図9Dは、「11」のそれぞれの符号化スキームを使用して、「11」がセル4及びセル5に書き込まれる次の書き込み動作を示し、一方、BL0、BL2、WL0、及びWL2は、ASIC612によって高インピーダンスに配置される。図9Eは、「10」のそれぞれの符号化スキームを使用して「10」がセル6、セル7、及びセル8に書き込まれる次の書き込み動作を示し、一方、WL0及びWL1は、ASIC612によって高インピーダンスに配置される。816での決定が「はい」である場合、コンピュータ実施方法800は820で終了する。
【0055】
図10は、本開示の実施例による、プリントメモリデバイスからデータを読み取るためのコンピュータ実施方法1000を示す。コンピュータ実施方法1000は、1002において、マイクロコントローラ602によって、ASIC612に読み取り符号化を送信することによって開始する。コンピュータ実施方法1000は、1004において、選択されていないWLを高インピーダンスに配置することによって継続する。コンピュータ実施方法1000は、1006において、選択されていないBLを高インピーダンスに配置することによって継続する。コンピュータ実施方法1000は、1008において、読み取られる選択されたセルに刺激を与えることによって継続する。コンピュータ実施方法1000は、1010において、ASIC612を介してADC値に電荷応答を変換することによって継続する。コンピュータ実施方法1000は、1012において、セルADC値をASIC612内に記憶することによって継続する。コンピュータ実施方法1000は、1014において、両方の測定が行われたか否かを決定することによって継続する。1014での判定の結果が「いいえ」である場合、方法1000は1008に戻る。1014での決定の結果が「はい」である場合、方法1000は、全てのBLが行われたか否かを決定する1016に進む。1016での判定の結果が「いいえ」である場合、方法1000は、次のBLが選択される1018に進む。次いで、方法1000は、1018から1006に戻る。1016での判定の結果が「はい」である場合、方法1000は、全てのWLが行われたか否かを判定する1020に進む。1020での判定の結果が「いいえ」である場合、方法1000は、次のWLが選択される1022に進む。次いで、方法1000は、1022から1004に戻る。1020での判定の結果がはいである場合、方法1000は、全てのセルのADCがマイクロコントローラ602に送信される1024に進む。方法1000は、1026において、マイクロコントローラ602によって各セルの2つのADC値の差分を計算することによって継続する。方法1000は、1028において、ルックアップテーブルを介して、差分をデータへ変換することによって継続する。方法1000は、1030において、復号化された値を提供することによって継続する。
【0056】
本教示の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは近似値であるが、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、それぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。更に、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包含される任意の及び全ての小範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲は、ゼロの最小値と10の最大値との間(境界値を含む)の任意の及び全てのサブ範囲、すなわち、ゼロ以上の最小値と10以下の最大値とを有する任意の及び全てのサブ範囲、例えば、1~5を含むことができる。特定の場合では、パラメータについて記載した数値は、負の値をとることができる。この場合、「10未満」と記載された範囲の例示的な値は、負の値、例えば、-1、-2、-3、-10、-20、-30などを想定することができる。
【0057】
1つ以上の実装形態に関して本教示は例示されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、改変及び/又は修正を例示の実施例に対して行うことができる。例えば、プロセスが一連の行為又は事象として記載されているが、本教示は、かかる行為又は事象の順序によって限定されないことが理解されるであろう。いくつかの行為は、本明細書に記載されるものとは異なる順序で、及び/又は別の他の行為若しくは事象と同時に生じ得る。また、本教示の1つ以上の態様又は実装形態による方法論を実装するために、全てのプロセス段階が必要とされるとは限らない場合がある。構造的構成要素及び/又は処理段階を追加することができ、又は既存の構造的構成要素及び/又は処理段階を除去又は修正することができることが理解されるであろう。更に、本明細書に描写される行為のうちの1つ以上は、1つ以上の別個の行為及び/又は局面において実行されてもよい。更に、用語「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、又はこれらの変形が発明を実施するための形態及び特許請求の範囲のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、用語「含む(comprising)」と同様の手法での包含であることが意図される。用語「~のうちの少なくとも1つ」は、列挙された項目のうちの1つ以上を選択することができることを意味するために使用される。本明細書で使用するとき、例えば、A及びBなどの項目のリストに関して用語「のうちの1つ以上」は、A単独、B単独、又はA及びBを意味する。更に、本明細書の記述及び特許請求の範囲において、2つの材料に関して使用される用語「上(on)」、すなわち、他方「上(on)」の一方は、それらの材料間の少なくとも一部の接触を意味し、一方、「の上(over)」は、それらの材料が近接していることを意味するが、場合によっては、接触が可能であるが必要とされないように、1つ以上の追加の介在材料を伴うことを意味する。「上(on)」又は「の上(over)」のいずれも、本明細書で使用される際に任意の指向性を暗示しない。「共形」という用語は、下にある材料の角度が共形材料によって維持される被覆材料を説明する。「約」という用語は、変更が例示された実装形態へのプロセス又は構造の非適合性をもたらさない限り、列挙された値が幾分変化してもよいことを示す。最後に、「例示的な」は、その記載が理想的であることを暗示するのではなく、一実施例として使用されることを示す。本教示の他の実装形態は、明細書及び本明細書の開示の実施を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。本明細書及び実施例は、本教示の真の範囲及び趣旨が以下の特許請求の範囲によって示されることで、単に例示として見なされることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10