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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】ポンプおよびポンプ式製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20240509BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20240509BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20240509BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B65D83/00 K
B05B11/00 101E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020081471
(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公開番号】P2021175673
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000144463
【氏名又は名称】株式会社三谷バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】篠田 祐
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-209267(JP,A)
【文献】特開2001-247146(JP,A)
【文献】特開2001-158448(JP,A)
【文献】実開昭58-046751(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0015489(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B65D 83/00
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダーと、
前記シリンダーの軸方向に前記シリンダーに対して移動可能であるピストンと、
前記ピストンと連動して移動するヘッドと、
前記軸方向における前記シリンダーに対する前記ヘッドの移動を制限するヘッド移動制限部と
前記軸方向のうち一方の方向である第1の軸方向に前記シリンダーに対して前記ピストンを付勢する付勢部と
を備えるポンプであって、
前記ヘッド移動制限部による前記軸方向における前記シリンダーに対する前記ヘッドの移動の制限は、前記ヘッド移動制限部に対して前記ヘッドが前記シリンダーの周方向に回転させられることによって解除され、
前記ヘッド移動制限部は、前記周方向における前記ヘッド移動制限部に対する前記ヘッドの回転を前記ヘッドとの接触によって制限するヘッド回転制限部を備え、
前記ヘッドは、前記周方向における前記ヘッド移動制限部に対する前記ヘッドの回転が前記ヘッド回転制限部との接触によって制限される回転制限部接触部を備え、
前記ポンプは、前記ヘッド回転制限部および前記回転制限部接触部の少なくとも1つが前記軸方向に突出していることによって、前記周方向において前記回転制限部接触部が前記ヘッド回転制限部に接触し、
前記ヘッドおよび前記ヘッド移動制限部は、前記周方向における前記ヘッド回転制限部および前記回転制限部接触部の接触によって前記周方向における前記ヘッド移動制限部に対する前記ヘッドの回転が制限されている場合に、前記付勢部による前記第1の軸方向への前記シリンダーに対する前記ピストンの付勢によって、前記ヘッドが前記ヘッド移動制限部に対して前記第1の軸方向および前記周方向のうち前記第1の軸方向のみに付勢されるように互いに接触することを特徴とするポンプ。
【請求項2】
記ポンプは、前記ヘッド回転制限部が前記軸方向のうち前記第1の軸方向の逆方向である第2の軸方向に突出していることと、前記回転制限部接触部が前記第1の軸方向に突出していることとの少なくとも1つを満たすことによって、前記周方向において前記回転制限部接触部が前記ヘッド回転制限部に接触することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のポンプと、
前記ポンプによって送り出される液体が収納される容器と
を備えることを特徴とするポンプ式製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を送り出すポンプおよびポンプ式製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のポンプとして、シリンダーと、シリンダーの軸方向にシリンダーに対して移動可能であるピストンと、ピストンと連動して移動するヘッドと、シリンダーの軸方向におけるシリンダーに対するヘッドの移動を制限するヘッド移動制限部とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載されたポンプにおいて、ヘッド移動制限部によるシリンダーの軸方向におけるシリンダーに対するヘッドの移動の制限は、ヘッド移動制限部に対してヘッドがシリンダーの周方向に回転させられることによって解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-103703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のポンプにおいては、ヘッド移動制限部に対してヘッドがシリンダーの周方向に比較的弱い力で回転させられることができるので、シリンダーの軸方向におけるシリンダーに対するヘッドの移動の制限が偶発的に解除される可能性があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、シリンダーの軸方向におけるシリンダーに対するヘッドの移動の制限が偶発的に解除される可能性を低減することができるポンプおよびポンプ式製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のポンプは、シリンダーと、前記シリンダーの軸方向に前記シリンダーに対して移動可能であるピストンと、前記ピストンと連動して移動するヘッドと、前記軸方向における前記シリンダーに対する前記ヘッドの移動を制限するヘッド移動制限部とを備えるポンプであって、前記ヘッド移動制限部による前記軸方向における前記シリンダーに対する前記ヘッドの移動の制限は、前記ヘッド移動制限部に対して前記ヘッドが前記シリンダーの周方向に回転させられることによって解除され、前記ヘッド移動制限部は、前記周方向における前記ヘッド移動制限部に対する前記ヘッドの回転を前記ヘッドとの接触によって制限するヘッド回転制限部を備え、前記ヘッドは、前記周方向における前記ヘッド移動制限部に対する前記ヘッドの回転が前記ヘッド回転制限部との接触によって制限される回転制限部接触部を備え、前記ポンプは、前記ヘッド回転制限部および前記回転制限部接触部の少なくとも1つが前記軸方向に突出していることによって、前記周方向において前記回転制限部接触部が前記ヘッド回転制限部に接触することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明のポンプは、ヘッド移動制限部のうち、シリンダーの周方向におけるヘッド移動制限部に対するヘッドの回転をヘッドとの接触によって制限するヘッド回転制限部と、ヘッドのうち、シリンダーの周方向におけるヘッド移動制限部に対するヘッドの回転がヘッド回転制限部との接触によって制限される回転制限部接触部との少なくとも1つがシリンダーの軸方向に突出していることによって、シリンダーの周方向において回転制限部接触部がヘッド回転制限部に接触するので、回転制限部接触部と、ヘッド回転制限部との接触が解除されるために、ヘッドがヘッド移動制限部に対して比較的強い力でシリンダーの周方向に回転させられる必要があり、その結果、シリンダーの軸方向におけるシリンダーに対するヘッドの移動の制限が偶発的に解除される可能性を低減することができる。
【0008】
本発明のポンプは、前記軸方向のうち一方の方向である第1の軸方向に前記シリンダーに対して前記ピストンを付勢する付勢部を備え、前記ポンプは、前記ヘッド回転制限部が前記軸方向のうち前記第1の軸方向の逆方向である第2の軸方向に突出していることと、前記回転制限部接触部が前記第1の軸方向に突出していることとの少なくとも1つを満たすことによって、前記周方向において前記回転制限部接触部が前記ヘッド回転制限部に接触しても良い。
【0009】
この構成により、本発明のポンプは、ヘッド回転制限部がシリンダーの軸方向のうち付勢部がシリンダーに対してピストンを付勢する第1の軸方向の逆方向である第2の軸方向に突出していることと、回転制限部接触部が第1の軸方向に突出していることとの少なくとも1つを満たすことによって、シリンダーの周方向において回転制限部接触部がヘッド回転制限部に接触するので、回転制限部接触部と、ヘッド回転制限部との接触が解除されるために必要な、ヘッドがヘッド移動制限部に対してシリンダーの周方向に回転させられる力を付勢部による付勢力によって大きくすることができ、その結果、シリンダーの軸方向におけるシリンダーに対するヘッドの移動の制限が偶発的に解除される可能性を更に低減することができる。
【0010】
本発明のポンプ式製品は、ポンプと、前記ポンプによって送り出される液体が収納される容器とを備えても良い。
【0011】
この構成により、本発明のポンプ式製品は、シリンダーの軸方向におけるシリンダーに対するヘッドの移動の制限が偶発的に解除される可能性をポンプが低減することができるので、シリンダーの軸方向におけるシリンダーに対するヘッドの移動がヘッド移動制限部によって制限されている状態での取り扱いを容易化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のポンプおよびポンプ式製品は、シリンダーの軸方向におけるシリンダーに対するヘッドの移動の制限が偶発的に解除される可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係るポンプ式製品の側面図である。
図2】ヘッドがヘッド固定部に固定されている状態での図1に示すポンプの側面断面図である。
図3】ヘッドがヘッド固定部に固定されている状態での図1に示すポンプの正面断面図である。
図4】ヘッドがヘッド固定部に固定されていない状態での図1に示すポンプの側面断面図である。
図5】ヘッドがヘッド固定部に固定されていない状態での図1に示すポンプの正面断面図である。
図6】ヘッドの一部を断面にした状態の図1に示すヘッドおよびヘッド固定部の側面図である。
図7図6における一部の拡大図である。
図8図6の矢印Aで示す方向に観察した場合のヘッドの断面図である。
図9図6に示すヘッド固定部の平面図である。
図10図7に示す例とは異なる例での、ヘッドの一部を断面にした状態のヘッドおよびヘッド固定部の一部の側面図である。
図11図7および図10に示す例とは異なる例での、ヘッドの一部を断面にした状態のヘッドおよびヘッド固定部の一部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
まず、本実施の形態に係るポンプ式製品の構成について説明する。
【0016】
図1は、ポンプ式製品10の側面図である。
【0017】
図1に示すように、ポンプ式製品10は、液体が収納される容器20と、容器20に収納されている液体を容器20の外部に送り出すために容器20に固定されるポンプ100とを備えている。
【0018】
図2は、ヘッド150がヘッド固定部160に固定されている状態でのポンプ100の側面断面図である。図3は、ヘッド150がヘッド固定部160に固定されている状態でのポンプ100の正面断面図である。図4は、ヘッド150がヘッド固定部160に固定されていない状態でのポンプ100の側面断面図である。図5は、ヘッド150がヘッド固定部160に固定されていない状態でのポンプ100の正面断面図である。
【0019】
図2図5に示すように、ポンプ100は、容器20(図1参照。)に収納されている液体を吸い込むための吸液管110と、吸液管110が取り付けられるシリンダー120と、矢印100aで示す方向、および、矢印100aで示す方向の逆方向である矢印100bで示す方向の両方の方向、すなわち、シリンダー120の軸方向にシリンダー120に対して移動可能にシリンダー120に収納されたピストン130と、シリンダー120に収納されてピストン130をシリンダー120に対して矢印100aで示す方向に付勢する付勢部としてのコイルスプリング140と、利用者によって押されるためのヘッド150と、矢印100aで示す方向におけるシリンダー120に対するヘッド150の移動を制限するためにヘッド150を固定するヘッド移動制限部としてのヘッド固定部160と、容器20の口部にポンプ100を固定するためのキャップ170とを備えている。吸液管110、シリンダー120、ピストン130、ヘッド150、ヘッド固定部160およびキャップ170は、合成樹脂によって形成されている。
【0020】
ヘッド150は、ピストン130に直接または間接的に連結されることによってピストン130と連動して移動するものである。ヘッド150は、ピストン130の内部を通過した液体をポンプ100の外部に吐出する吐出口150aが形成されている。ヘッド150は、ヘッド150がヘッド固定部160に固定されている状態でヘッド固定部160の一部を覆う円筒状のキャップ部151と、キャップ部151の内周に形成されていて、ヘッド150がヘッド固定部160に固定されるためにキャップ部151の中心軸に近づく方向に突出している固定用突起部152とを備えている。
【0021】
図6は、ヘッド150の一部を断面にした状態のヘッド150およびヘッド固定部160の側面図である。図7は、図6における一部の拡大図である。図8は、図6の矢印Aで示す方向に観察した場合のヘッド150の断面図である。図9は、ヘッド固定部160の平面図である。
【0022】
図6図9に示すように、キャップ部151の矢印100bで示す方向における端部151aは、ヘッド150がヘッド固定部160に固定される場合にヘッド固定部160に接触する部分である。
【0023】
固定用突起部152は、ヘッド150がシリンダー120(図2参照。)から離れる、矢印100aで示す方向への移動をヘッド固定部160との接触によって制限する離方向移動制限部152aと、ヘッド150がシリンダー120に近づく、矢印100bで示す方向への移動をヘッド固定部160との接触によって制限する近方向移動制限部152bと、ヘッド固定部160に対するヘッド150の、矢印100cで示す方向、すなわち、シリンダー120の周方向の回転をヘッド固定部160との接触によって制限する回転制限部152cと、矢印100cで示す方向における端側に形成されており、矢印100aで示す方向における下流側の部分ほど矢印100cで示す方向に存在するように傾斜している傾斜面152dと、矢印100cで示す方向の逆方向である矢印100dで示す方向における端側に形成されており、矢印100aで示す方向における下流側の部分ほど矢印100cで示す方向に存在するように傾斜している傾斜面152eとを備えている。
【0024】
回転制限部152cは、矢印100cで示す方向におけるヘッド固定部160に対するヘッド150の回転がヘッド固定部160のヘッド回転制限部としての後述の回転制限部163bとの接触によって制限されるものであり、本発明の回転制限部接触部を構成している。回転制限部152cは、矢印100aで示す方向に突出している。
【0025】
ヘッド固定部160は、ヘッド150がヘッド固定部160に固定される場合にキャップ部151の端部151aに接触するキャップ部端部接触部161aを備えるベース部161と、ヘッド150がヘッド固定部160に固定されている状態でキャップ部151に覆われる円筒状の被キャップ部162と、被キャップ部162の外周に形成されていて、ヘッド150がヘッド固定部160に固定されるために被キャップ部162の中心軸から離れる方向に突出している固定用突起部163とを備えている。
【0026】
ベース部161と、固定用突起部163とは、矢印100cで示す方向に延在していてヘッド150の固定用突起部152が挿入可能である突起用溝160aを形成している。
【0027】
ベース部161は、ヘッド150がシリンダー120に近づく、矢印100bで示す方向への固定用突起部152の移動を固定用突起部152の近方向移動制限部152bとの接触によって制限する近方向移動制限部161bを備えている。
【0028】
固定用突起部163は、ヘッド150がヘッド固定部160に固定されている状態でキャップ部151に覆われる位置に配置されている。固定用突起部163は、ヘッド150がシリンダー120から離れる、矢印100aで示す方向への固定用突起部152の移動を固定用突起部152の離方向移動制限部152aとの接触によって制限する離方向移動制限部163aと、ヘッド固定部160に対するヘッド150の、矢印100cで示す方向、すなわち、シリンダー120の周方向の回転を固定用突起部152の回転制限部152cとの接触によって制限する回転制限部163bと、矢印100dで示す方向における端側に形成されており、矢印100aで示す方向における下流側の部分ほど矢印100cで示す方向に存在するように傾斜している傾斜面163cと、矢印100cで示す方向における端側に形成されており、矢印100aで示す方向における下流側の部分ほど矢印100cで示す方向に存在するように傾斜している傾斜面163dとを備えている。
【0029】
回転制限部163bは、矢印100cで示す方向におけるヘッド固定部160に対するヘッド150の回転をヘッド150の回転制限部152cとの接触によって制限するものであり、本発明のヘッド回転制限部を構成している。回転制限部163bは、矢印100bで示す方向に突出している。
【0030】
次に、ヘッド固定部160によるヘッド150の固定方法について説明する。
【0031】
ヘッド固定部160によるヘッド150の固定は、ポンプ100の内部に液体が入っていない状態で実行されることが好ましい。例えば、ヘッド固定部160によるヘッド150の固定は、液体が収納されている容器20にポンプ100が固定される前に実行される。
【0032】
ヘッド150は、ヘッド固定部160に対して矢印100bで示す方向に移動させられながら矢印100dで示す方向に回転させられる。このとき、ヘッド150は、コイルスプリング140による付勢力に抗して、ヘッド固定部160に対して矢印100bで示す方向に移動させられる。
【0033】
ヘッド150がヘッド固定部160に対して矢印100bで示す方向に移動させられながら矢印100dで示す方向に回転させられると、ヘッド150の傾斜面152dと、ヘッド固定部160の傾斜面163cとが接触し、ヘッド固定部160の傾斜面163cに対してヘッド150の傾斜面152dが摺動することによって、ヘッド150の固定用突起部152がヘッド固定部160の突起用溝160aに案内される。
【0034】
なお、ヘッド150の固定用突起部152がヘッド固定部160の突起用溝160aに案内されることによって、ヘッド150のキャップ部151の端部151aと、ヘッド150の固定用突起部152の近方向移動制限部152bとが、それぞれ、ヘッド固定部160のベース部161のキャップ部端部接触部161aと、ヘッド固定部160のベース部161の近方向移動制限部161bとに接触すると、ヘッド150は、ヘッド固定部160に対して矢印100bで示す方向に移動させられることができなくなる。
【0035】
ヘッド150のキャップ部151の端部151aと、ヘッド150の固定用突起部152の近方向移動制限部152bとが、それぞれ、ヘッド固定部160のベース部161のキャップ部端部接触部161aと、ヘッド固定部160のベース部161の近方向移動制限部161bとに接触している状態で、ヘッド150がヘッド固定部160に対して矢印100dで示す方向に回転させられると、ヘッド150の回転制限部152cがヘッド固定部160の回転制限部163bに接触した場合に、ヘッド150をヘッド固定部160に対して矢印100dで示す方向に回転させる力によって、ヘッド150の固定用突起部152と、ヘッド固定部160の固定用突起部163とが互いに押し合って変形することによって、ヘッド固定部160の近方向移動制限部161bと、ヘッド固定部160の回転制限部163bとの間をヘッド150の回転制限部152cが通過する。したがって、ポンプ100は、図2図3図6および図7に示す状態になる。
【0036】
次に、ヘッド固定部160によるヘッド150の固定の解除方法について説明する。
【0037】
ヘッド固定部160によるヘッド150の固定は、例えば、ポンプ式製品10の使用者によって解除される。
【0038】
ヘッド150がヘッド固定部160に対して矢印100cで示す方向に回転させられると、ヘッド150の回転制限部152cがヘッド固定部160の回転制限部163bに接触した場合に、ヘッド150をヘッド固定部160に対して矢印100cで示す方向に回転させる力によって、ヘッド150の固定用突起部152と、ヘッド固定部160の固定用突起部163とが互いに押し合って変形することによって、ヘッド固定部160の近方向移動制限部161bと、ヘッド固定部160の回転制限部163bとの間をヘッド150の回転制限部152cが通過する。
【0039】
ヘッド固定部160の近方向移動制限部161bと、ヘッド固定部160の回転制限部163bとの間をヘッド150の回転制限部152cが通過した後、ヘッド150がヘッド固定部160に対して矢印100cで示す方向に更に回転させられると、ヘッド150がコイルスプリング140によって矢印100aで示す方向に付勢されているので、ヘッド150の傾斜面152eと、ヘッド固定部160の傾斜面163dとが接触し、ヘッド固定部160の傾斜面163dに対してヘッド150の傾斜面152eが摺動することによって、ヘッド150の固定用突起部152がヘッド固定部160の突起用溝160aの外部に案内される。
【0040】
そして、ヘッド150の固定用突起部152と、ヘッド固定部160の固定用突起部163との接触が解除されると、ヘッド150がコイルスプリング140によって矢印100aで示す方向に付勢されているので、ポンプ100は、図4および図5に示す状態になる。
【0041】
すなわち、ヘッド固定部160による矢印100aで示す方向におけるシリンダー120に対するヘッド150の移動の制限は、ヘッド固定部160に対してヘッド150が矢印100cで示す方向に回転させられることによって解除される。
【0042】
以上に説明したように、ポンプ100は、ヘッド150の回転制限部152cが矢印100aで示す方向に突出しているとともに、ヘッド固定部160の回転制限部163bが矢印100bで示す方向に突出していることによって、矢印100cで示す方向において回転制限部152cが回転制限部163bに接触するので、回転制限部152cと、回転制限部163bとの接触が解除されるために、ヘッド150がヘッド固定部160に対して比較的強い力で矢印100cで示す方向に回転させられる必要があり、その結果、矢印100aで示す方向におけるシリンダー120に対するヘッド150の移動の制限が偶発的に解除される可能性を低減することができる。
【0043】
ポンプ式製品10は、矢印100aで示す方向におけるシリンダー120に対するヘッド150の移動の制限が偶発的に解除される可能性をポンプ100が低減することができるので、図2図3図6および図7に示すように矢印100aで示す方向におけるシリンダー120に対するヘッド150の移動がヘッド固定部160によって制限されている状態での取り扱いを容易化することができる。
【0044】
なお、ポンプ100は、本実施の形態において、ヘッド150の回転制限部152cが矢印100aで示す方向に突出しているが、ヘッド150の回転制限部が矢印100bで示す方向に突出していても良い。同様に、ポンプ100は、本実施の形態において、ヘッド固定部160の回転制限部163bが矢印100bで示す方向に突出しているが、ヘッド固定部160の回転制限部が矢印100aで示す方向に突出していても良い。例えば、ポンプ100は、図10に示すように、ヘッド150の回転制限部152fが矢印100bで示す方向に突出しているとともに、ヘッド固定部160の回転制限部163eが矢印100cで示す方向に突出している構成でも良い。
【0045】
ポンプ100は、本実施の形態において、ヘッド150の回転制限部152cと、ヘッド固定部160の回転制限部163bとの両方がシリンダー120の軸方向に突出しているが、ヘッド150の回転制限部152cと、ヘッド固定部160の回転制限部163bとのいずれか一方のみがシリンダー120の軸方向に突出している構成でも良い。例えば、ポンプ100は、図11に示すように、ヘッド150の回転制限部152gがシリンダー120の軸方向に突出していない構成でも良い。
【0046】
ポンプ100は、コイルスプリング140がシリンダー120に対してピストン130を付勢する矢印100aで示す方向にヘッド150の回転制限部152cが突出していることと、矢印100aで示す方向の逆方向である矢印100bで示す方向にヘッド固定部160の回転制限部163bが突出していることとを満たすことによって、矢印100cで示す方向において回転制限部152cが回転制限部163bに接触するので、回転制限部152cと、回転制限部163bとの接触が解除されるために必要な、ヘッド150がヘッド固定部160に対して矢印100cで示す方向に回転させられる力をコイルスプリング140による付勢力によって大きくすることができ、その結果、矢印100aで示す方向におけるシリンダー120に対するヘッド150の移動の制限が偶発的に解除される可能性を更に低減することができる。
【0047】
なお、ポンプ100は、矢印100aで示す方向にヘッド150の回転制限部152cが突出していることと、矢印100bで示す方向にヘッド固定部160の回転制限部163bが突出していることのいずれか1つのみを満たすことによっても、回転制限部152cと、回転制限部163bとの接触が解除されるために必要な、ヘッド150がヘッド固定部160に対して矢印100cで示す方向に回転させられる力をコイルスプリング140による付勢力によって大きくすることができるという効果を得ることができる。例えば、ポンプ100は、図11に示すように、矢印100bで示す方向にヘッド固定部160の回転制限部163bが突出しているが、矢印100aで示す方向にヘッド150の回転制限部152gが突出していない構成であっても、回転制限部152gと、回転制限部163bとの接触が解除されるために必要な、ヘッド150がヘッド固定部160に対して矢印100cで示す方向に回転させられる力をコイルスプリング140による付勢力によって大きくすることができるという効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 ポンプ式製品
20 容器
100 ポンプ
100a 矢印(シリンダーの軸方向を示す矢印、第1の軸方向を示す矢印)
100b 矢印(シリンダーの軸方向を示す矢印、第2の軸方向を示す矢印)
100c 矢印(シリンダーの周方向を示す矢印)
120 シリンダー
130 ピストン
140 コイルスプリング(付勢部)
150 ヘッド
152c 回転制限部(回転制限部接触部)
152f 回転制限部(回転制限部接触部)
152g 回転制限部(回転制限部接触部)
160 ヘッド固定部(ヘッド移動制限部)
163b 回転制限部(ヘッド回転制限部)
163e 回転制限部(ヘッド回転制限部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11