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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】段ばらし装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 59/02 20060101AFI20240509BHJP
   B65G 59/04 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B65G59/02 Z
B65G59/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020093063
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021187597
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】城 和文
(72)【発明者】
【氏名】尾堂 貴大
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-018033(JP,U)
【文献】特開2010-201557(JP,A)
【文献】実開昭64-014736(JP,U)
【文献】特開昭62-088721(JP,A)
【文献】特開2000-118715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 59/00-59/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容した複数の箱体の互いの側面が接するように水平に並べて平面視で全体が矩形となるように組み合わせて複数の箱体の集合体を構成し、前記集合体を複数段積み重ねた最上段の前記集合体から順に荷卸しコンベアに移載する段ばらし装置であって、
最上段の前記集合体の四側面を挟持する挟持手段と、
前記挟持手段により挟持された前記集合体を構成する複数の前記箱体の上面を共通して吸着する吸着手段と、
前記吸着手段を制御する制御装置と、を備え、
前記挟持手段は、
前記集合体の四側面を挟持する複数の挟持部材と、
前記挟持部材を前記集合体の四側面に水平方向に進退させる進退機構と、を有し、
前記吸着手段は、
最上段の前記集合体の前記箱体の上面を共通して吸着する複数の吸着パットと、
前記吸着パットを前記集合体の上面に昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構により前記吸着パットを前記集合体の上面に向かっての下降を作動させる前に、前記集合体の上面と前記吸着パットの下面との距離を計測するレーザセンサと、
前記昇降機構により前記集合体の上面に向かって前記吸着パットを下降させる際に、前記集合体の上面に接触して前記集合体の上面と前記吸着パットとの近接を検知する近接センサと、を有し、
前記挟持手段の前記挟持部材により最上段の前記集合体の四側面を挟持するとともに、前記吸着手段の前記吸着パットにより最上段の前記集合体の前記箱体の上面を共通して吸着した状態で、前記集合体を前記荷卸しコンベアに移載するものであり、
前記制御装置は、
前記吸着パットが、前記レーザセンサにより計測された前記距離のうち、所定距離に到達するまでは、前記吸着パットの下降速度を第一速度とし、前記吸着パットが前記所定距離に到達してから前記集合体の上面に当接するまでは、前記吸着パットの下降速度を前記第一速度より低速な第二速度とし、
前記吸着パットが前記所定距離に到達していない状態で、前記近接センサの前記集合体の上面に対する接触を検知した場合は、前記吸着パットの下降速度を、前記第一速度から前記第二速度に切り替える
ことを特徴とする段ばらし装置。
【請求項2】
前記挟持手段は、
前記集合体を構成する前記箱体の強度に応じて、前記挟持部材による前記集合体の四側面を挟持する圧力を段階的に調整可能としたことを特徴とする請求項1に記載の段ばらし装置。
【請求項3】
前記吸着手段は、
前記集合体を構成する前記箱体の強度に応じて、前記吸着パットによる前記集合体の前記箱体の上面を共通して吸着する圧力を段階的に調整可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の段ばらし装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット上に複数段に段積みされた段ボール箱の集合体から最上段の集合体を、四側面から挟持して荷卸しコンベアに移載する段ばらし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造工場等では、物品を収容した複数の段ボール箱を、パレット上に互いが接するように水平に並べて平面視で全体が矩形となるように組み合わせた集合体を形成し、この集合体を複数段に段積みして運送トラックにパレット毎搭載して出荷している。そして、出荷先の段ばらし装置において、パレット上に複数段に段積みされた段ボール箱の集合体の段ばらしが行われている。
【0003】
段ばらし装置は、パレット上に矩形状に段積みされた段ボール箱の集合体を上昇させる昇降装置と、昇降装置で上方に上昇させた集合体の最上段の四側面を挟持して横方向に移行する挟持装置とを設け、この挟持装置で最上段の集合体を挟持して搬送コンベヤに移載して段ばらしを行っている。ところが、このような段ばらし装置では、挟持装置で集合体を挟持した際に、集合体の上部の押力が下部に対して低下すると、集合体の中央部の段ボール箱が変形して、押力の弱い上方へ逃げようとせり上がり、段ボール箱の集合体の面構成を崩してしまうことがあった。
【0004】
そこで、本願出願人は、集合体を把持(挟持)した際の物品の変形によるせり上がりを抑えて面構成の崩れを防止するために、集合体の中央部の上方位置に、物品の変形によるせり上がりを抑える抑え部材を近接して配置することで、中央部の段ボール箱が変形して上方へせり上がることを防止し、移載時の段ボール箱の集合体の面構成を崩してしまうことを防止した段ばらし装置を提案している(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-215026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年では、段ボールメーカのコストダウンや環境配慮などにより、段ボール箱の強度は、収容する物品の重量に応じた最低限の強度を備えたものが主流となっている。すなわち、段ボール箱の強度は低下する傾向にある。このため、特許文献1に記載の段ばらし装置では、強度が低下した段ボール箱の集合体の四側面を挟持した際に、強度が低下した段ボール箱の変形により中央部の段ボール箱が落下してしまう恐れがある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、パレット上に複数段に段積みした最上段の段ボール箱の集合体の四側面を挟持した場合に、強度の低下した段ボール箱であっても、段ボール箱の変形による集合体の中央部の段ボール箱の落下や、集合体の中央部の段ボール箱の上方へのせり上がりを防止することができ、集合体の面構成が崩れることなく安定して移載することができる段ばらし装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、物品を収容した複数の箱体の互いの側面が接するように水平に並べて平面視で全体が矩形となるように組み合わせて複数の箱体の集合体を構成し、前記集合体を複数段積み重ねた最上段の前記集合体から順に荷卸しコンベアに移載する段ばらし装置であって、最上段の前記集合体の四側面を挟持する挟持手段と、前記挟持手段により挟持された前記集合体を構成する複数の前記箱体の上面を共通して吸着する吸着手段と、を備え、前記挟持手段は、前記集合体の四側面を挟持する複数の挟持部材と、前記挟持部材を前記集合体の四側面に水平方向に進退させる進退機構と、を有し、前記吸着手段は、最上段の前記集合体の前記箱体の上面を共通して吸着する複数の吸着パットと、前記吸着パットを前記集合体の上面に昇降させる昇降機構と、を有し、前記挟持手段の前記挟持部材により最上段の前記集合体の四側面を挟持するとともに、前記吸着手段の前記吸着パットにより最上段の前記集合体の前記箱体の上面を共通して吸着した状態で、前記集合体を前記荷卸しコンベアに移載することを特徴とする段ばらし装置とした。
【0009】
また、前記吸着手段は、前記昇降手段により前記吸着パットを前記集合体の上面に向かっての下降を作動させる前に、前記集合体の上面と前記吸着パットの下面との距離を計測するレーザセンサと、前記昇降手段により前記集合体の上面に向かって前記吸着パットを下降させる際に、前記集合体の上面と前記吸着パットとの近接を検知する近接センサと、を有し、前記吸着パットを前記集合体の上面に当接するまで下降させる速度を段階的に調整可能としたことを特徴とする。
【0010】
また、前記挟持手段は、前記集合体を構成する前記箱体の強度に応じて、前記挟持部材による前記集合体の四側面を挟持する圧力を段階的に調整可能としたことを特徴とする。
【0011】
また、前記吸着手段は、前記集合体を構成する前記箱体の強度に応じて、前記吸着パットによる前記集合体の前記箱体の上面を共通して吸着する圧力を段階的に調整可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の段ばらし装置によれば、挟持手段の挟持部材により最上段の複数の箱体(以下、段ボール箱という。)の集合体の四側面を挟持するとともに、吸着手段の吸着パットにより最上段の集合体を構成する複数の段ボールの上面を共通して吸着した状態で、集合体を荷卸しコンベアに移載するため、強度の低下した段ボール箱の集合体であっても、段ボール箱の変形による集合体の段ボール箱の落下を防止することができる。また、この吸着手段の吸着パッドは、集合体の中央部近傍の複数の段ボール箱の上面に共通して当接するので、集合体の上部の押力が下部に対して低下することにより、集合体の中央部の段ボール箱が変形して押力の弱い上方へ逃げようとせり上がることを防止することができる。つまり、集合体の面構成が崩れることを可及的に低くすることができ、集合体を安定して荷卸しコンベアに移載することができる段ばらし装置とすることができる。
【0013】
また、吸着手段は、吸着パットを集合体の上面に当接するまで下降させる速度を段階的に変更可能としている。このため、吸着手段の吸着パットを下降させる前に、レーザセンサにより吸着パットの底面と集合体の上面との距離を計測する。そして、レーザセンサで測定した距離のうち、所定距離に到達していない場合は、吸着パットの下降速度を第一速度(高速)で下降させ、所定距離に到達した場合は、吸着パットの下降速度を第一速度(高速)より相対的に低速となる第二速度(低速)に切り替える。つまり、吸着手段の吸着パットの下降速度を段階的(二段階)に調整可能としている。これにより、吸着パットが集合体の上面に勢いよく当接することを防止することができ、集合体を構成する段ボール箱の変形や損傷を防ぐことができる。
【0014】
また、吸着手段は、吸着手段の吸着パットを下降させた後に、吸着パットの底面と集合体の上面との距離が近接したことを検知する近接センサを備えている。これにより、上記レーザセンサによる計測値に誤差が生じた場合でも、吸着パットの底面と集合体の上面との近接を検出した場合に、吸着パットの下降速度を第一速度(高速)より相対的に低速となる第二速度(低速)に切り替えることで、吸着パットの底面と集合体を構成する段ボール箱の上面とが高速で接触することを防止することができ、集合体を構成する段ボール箱の変形や損傷を確実に防ぐことができる。
【0015】
また、挟持手段は、集合体を構成する段ボール箱の強度に応じて、挟持部材による集合体の四側面を挟持する圧力を段階的に調整可能としている。一般に段ボール箱は、サイズや収納する物品の重量に応じて強度や規格が異なる。このため、強度の高い段ボール箱で構成された集合体の四側面を挟持部材で挟持する圧力で、強度の低い段ボール箱で構成された集合体の四側面を挟持部材で挟持すると、段ボール箱の集合体をつぶしてしまう恐れがある。また逆に、強度の低い段ボール箱で構成された集合体の四側面を挟持部材で挟持する圧力で、強度の高い段ボール箱で構成された集合体の四側面を挟持部材で挟持すると、段ボール箱を挟持する圧力が足らず、段ボール箱の集合体を挟持できないこともある。そこで、本発明では、挟持部材による段ボール箱の集合体の四側面を挟持する圧力を段ボール箱の強度や規格に応じて最適な圧力となるように調整可能とすることで、段ボール箱の損傷や落下を防止することを可能としている。
【0016】
また、吸着手段は、集合体を構成する段ボール箱の強度に応じて、吸着パットによる集合体の段ボール箱の上面を共通して吸着する圧力を段階的に調整可能としている。これは、強度や規格の異なる段ボール箱を一律の圧力で吸着すると、強度の低い段ボール箱の上面を吸着する圧力が強くて変形させたり、強度の高い段ボール箱の上面を吸着する圧力が不足して落下させたりするからである。そこで、本発明では、吸着パッドによる集合体を構成する複数の段ボール箱の上面を共通して吸着する圧力を段ボール箱の強度や規格に応じて最適な圧力となるように調整可能とすることで、段ボール箱の損傷や落下を防止することを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る段ばらし装置の概要を説明する側面図である。
図2】本実施形態に係る段ばらし装置の挟持装置を説明する平面図である。
図3】本実施形態に係る段ばらし装置の挟持装置を説明する斜視図である。
図4】本実施形態に係る段ばらし装置の吸着装置を説明する斜視図である。
図5】本実施形態に係る段ばらし装置の吸着装置を説明する側面図である。
図6A】本実施形態に係る段ばらし装置の動作機構を説明する側面図である。
図6B】本実施形態に係る段ばらし装置の動作機構を説明する側面図である。
図6C】本実施形態に係る段ばらし装置の動作機構を説明する側面図である。
図6D】本実施形態に係る段ばらし装置の動作機構を説明する側面図である。
図7A】本実施形態の係る段ばらし装置の集合体上面への吸着パットの当接位置を説明する平面図である。
図7B】本実施形態の係る段ばらし装置の集合体上面への吸着パットの当接位置を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、物品を収容した複数の箱体の互いの側面が接するように水平に並べて平面視で全体が矩形となるように組み合わせて複数の箱体の集合体を構成し、前記集合体を複数段積み重ねた最上段の前記集合体から順に荷卸しコンベアに移載する段ばらし装置であって、最上段の前記集合体の四側面を挟持する挟持手段と、前記挟持手段により挟持された前記集合体を構成する複数の前記箱体の上面を共通して吸着する吸着手段と、を備え、前記挟持手段は、前記集合体の四側面を挟持する複数の挟持部材と、前記挟持部材を前記集合体の四側面に水平方向に進退させる進退機構と、を有し、前記吸着手段は、最上段の前記集合体の前記箱体の上面を共通して吸着する複数の吸着パットと、前記吸着パットを前記集合体の上面に昇降させる昇降機構と、を有し、前記挟持手段の前記挟持部材により最上段の前記集合体の四側面を挟持するとともに、前記吸着手段の前記吸着パットにより最上段の前記集合体の前記箱体の上面を共通して吸着した状態で、前記集合体を前記荷卸しコンベアに移載することを特徴とする段ばらし装置に関するものである。
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。図1は、本実施形態に係る段ばらし装置の概要を説明する側面図である。図2は、本実施形態に係る段ばらし装置の挟持装置を説明する平面図である。図3は、本実施形態に係る段ばらし装置の挟持装置を説明する斜視図である。図4は、本実施形態に係る段ばらし装置の吸着装置を説明する斜視図である。図5は、本実施形態に係る段ばらし装置の吸着装置を説明する側面図である。図6A図6Dは、本実施形態に係る段ばらし装置の動作機構を説明する側面図である。図7A及び図7Bは、本実施形態の係る段ばらし装置の集合体上面への吸着パットの当接位置を説明する平面図である。
【0020】
なお、以下の実施形態は、物品を収容した複数の箱体としての段ボール箱を、パレット上に互いの側面が接するように同一水平面になるように並べて、平面視で全体が矩形となるように組み合わせて一段の集合体を形成する。そして、この一段の集合体をパレット上に複数段に段積みした状態から、移載装置により最上段の集合体から順に荷卸しコンベアに移載する段ばらし装置を一例として説明する。
【0021】
図1に示すように、段ばらし装置1は、金属(例えば、鉄等)製のフレームFを、垂直・水平に組み合わせて箱状に形成された筐体Kに、段ばらし装置1を構成する各種装置が設置されて構成されている。各種装置は、搬送コンベア2、昇降装置3、挟持装置4(挟持手段)、吸着装置5(吸着手段)、荷卸しコンベア昇降装置6、移載装置7、荷卸しコンベア10である。
【0022】
搬送コンベア2は、筐体Kの下部に水平に複数台設置されており、筐体Kの外部から筐体K内の昇降装置3の基台33の上部に、集合体群Bを載置したパレットPを搬送する。
【0023】
昇降装置3は、基台33の上部の搬送コンベア2と一緒に、搬送コンベア2の上部に載置したパレットPを昇降させる。昇降装置3は、筐体Kの上部左端に設置されている昇降モータ31と、その回転を昇降装置3に伝達する伝達ケーブル32とにより構成される。昇降装置3は、基台33の上方に設置された移載装置7の下部に設けられた本実施形態の挟持手段である挟持装置4により、パレットP上の集合体群Bの最上段の集合体Baの四側面を挟持可能な位置まで垂直に上昇する。また、挟持装置4により集合体Baの四側面が挟持された後は、移載装置7の水平方向の移動に支障がない位置に垂直に下降する。このため、昇降装置3を垂直に昇降させる昇降モータ31としては、位置決めの精度の高いACサーボモータが好適に用いられる。
【0024】
昇降装置3は、パレットP上の集合体群Bの移載が完了(つまり、パレットP上の集合体群Bのうちの必要な数の集合体Baの移載が完了)するまで、挟持装置4による集合体Baの四側面を挟持可能な位置への垂直の上昇及び移載装置7の水平方向の移動に支障がない位置への垂直の下降を繰り返し行う。パレットP上の集合体群Bの移載が完了すると、昇降装置3は、基台33の上部までパレットPを下降して、搬送コンベア2によりパレットPを筐体Kの外部に排出する。
【0025】
移載装置7は、筐体KのフレームFとは別体のフレームFを垂直・水平に組み合わせて箱状に形成されて、筐体Kの上部に水平方向に移動自在に載置されている。移載装置7は、本実施形態の挟持手段である挟持装置4と、吸着手段である吸着装置5とが一体に組み込まれて構成されている。なお、移載装置7と一体の挟持装置4及び吸着装置5の構成の詳細は後述する。
【0026】
移載装置7の下端四隅には、4個の車輪71が設けられており、筐体Kを構成する上端の水平フレームFaを図示しない駆動モータにより走行して、挟持装置4により四側面を挟持するとともに、その上面を吸着装置5で吸着した状態の集合体Baを、荷卸しコンベア昇降装置6の上部の荷卸しコンベア10の移載位置まで水平方向(図中では右方向)に移動させる。そして、荷卸しコンベア10に集合体Baを移載した後は、パレットP上の集合体群Bの最上段の集合体Baの四側面を挟持可能な位置まで水平方向(図中では左方向)に移動する。
【0027】
荷卸しコンベア10は、筐体Kの右側の荷卸しコンベア昇降装置6の上部に設置されており、荷卸しコンベア10に移載された集合体Baを筐体Kの右側略中央部の外部に設置された荷卸しコンベア10に搬送する。荷卸しコンベア昇降装置6は、荷卸しコンベア10と一緒に上下に昇降する。荷卸しコンベア昇降装置6は、筐体Kの上部右端に設置されている昇降モータ61とその回転を伝達する伝達ケーブル62とにより上下に昇降動作する。具体的には、挟持装置4により挟持されて、その上面を吸着装置5で吸着した状態の集合体Baを荷卸しコンベア10上に移載する際に、可及的に集合体Baの落下の衝撃を抑える位置まで垂直に上昇する。
【0028】
荷卸しコンベア昇降装置6は、集合体Baの四側面の挟持装置4による挟持が解消されるとともに、集合体Baの上面の吸着装置5による吸着が解消されて移載された後は、筐体Kの外部の略中央部に設けられた荷卸しコンベア10と水平方向で同じ高さとなるように垂直に下降する。このため、荷卸しコンベア昇降装置6を垂直に昇降させる昇降モータ61としては、昇降装置3を垂直に昇降させる昇降モータ31と同様に、位置決めの精度の高いACサーボモータが好適に用いられる。荷卸しコンベア昇降装置6は、荷卸しコンベア10への集合体Baの移載が終了し、筐体Kの外部の荷卸しコンベア10への集合体Baの搬送が終了すると、挟持装置4により四側面を挟持された集合体Baを荷卸しコンベア10上に移載する位置まで再び上昇して待機する。
【0029】
上述してきたように、本実施形態の段ばらし装置1は、パレットP上の集合体群Bから最上段の集合体Baを一段ずつ移載装置7により荷卸しコンベア10に移載するために最適な機能を有する各種装置(搬送コンベア2、昇降装置3、挟持装置4、吸着装置5、荷卸しコンベア昇降装置6、移載装置7、荷卸しコンベア10)により構成されている。この構成により、パレットP上の集合体群Bからの最上段の集合体Baを一段ずつ移載装置7により荷卸しコンベア10に移載することで、複数段の集合体Baで構成された集合体群Bから一段ずつ段ばらしを行うことを可能としている。
【0030】
以下、移載装置7と一体に構成された本実施形態の挟持手段としての挟持装置4を、図2及び図3を参照して説明する。なお、図3の段ばらし装置1の挟持装置4を説明する斜視図では、理解を容易とするため、移載装置7を構成するフレームFの記載は省略している。
【0031】
上述したように挟持装置4は、移載装置7と一体に構成されている。挟持装置4は、パレットP上に載置された複数段の集合体Baで構成された集合体群Bから、最上段に位置する集合体Baの四側面にそれぞれ対向するように配置された4個の挟持部材41と、この4個の挟持部材41を集合体Baの四側面に向かってそれぞれ水平に進退させる進退機構としての4個のエアシリンダ42とにより構成されている。このように、進退機構としてのエアシリンダ42を使用することにより、集合体Baの四側面を挟持する挟持部材41の圧力を、集合体Baを構成する段ボール箱の強度に応じて調整可能としている。
【0032】
エアシリンダ42は、空気の圧力によりエアシリンダ42内からに水平に出没するピストンロッド42aを一端に有し、このピストンロッド42aの先端は、それぞれ4個の挟持部材41の上部に設けられた連結部41bと連結している。これにより、4個の挟持部材41は、集合体Baの四側面に向かってそれぞれ水平に進むことで、集合体Baの四側面に当接して挟持する。また、4個の挟持部材41を集合体Baの四側面からそれぞれ水平に後退させることで、集合体Baの挟持を解消する。
【0033】
4個の挟持部材41の左右側面には、柵状の複数本(2本又は3本)の鋼材(例えば、H鋼)からなる挟持補助部材41aが水平に延出して設けられている。挟持部材41の左右側面に設けられた複数本の挟持補助部材41aは、隣接する挟持部材41の左右側面に設けられた挟持補助部材41aの垂直方向に高さを異ならせて段違いに設けられている。具体的には、図3に示すように、水平方向に対向する挟持部材41の左右側面に3本、これに隣接する水平方向に対向する挟持部材41の左右側面に2本設けられている。これにより、集合体Baの四側面を挟持部材41で挟持する場合に、隣接する挟持部材41の挟持補助部材41a同士が衝突することがなく、4個の挟持部材41は、集合体Baの四側面に向かってそれぞれ水平に進むことができる。また、4個の挟持部材41の左右側面それぞれ段違いに水平に延出して設けられた柵状の複数本(2本又は3本)の挟持補助部材41aは、隣接する挟持部材41の挟持補助部材41a間を水平に進退するため、隣接する挟持補助部材41aはお互いに水平方向の移動するためのガイド機構として機能することになる。
【0034】
また、挟持補助部材41aも、集合体Baの四側面を挟持する機能を担う。図7A及び図7Bに示すように、集合体Baを構成する段ボール箱を、パレットP上に互いが接するように同一水平面になるように並べて、平面視で矩形状になるように組付けるパターンや段ボール箱の大きさが異なる場合でも、集合体Baのそれぞれの四側面の全周を挟持部材41及び挟持補助部材41aで挟持することができる。これにより、移載時の段ボール箱の集合体Baの面構成を崩してしまうことを防止することができる。
【0035】
ここで、4個の挟持部材41の取り付け角度は、その下端が上端より集合体Baの四側面側にそれぞれ所定角度(例えば、0.5~1度)傾けていることが望ましい。この挟持部材41の取り付け角度により、集合体Baの中央部の段ボール箱が下方への落下することを抑える力が働き、移載時の段ボール箱の集合体Baの面構成を崩してしまうことを防止することができる。
【0036】
以下、移載装置7と一体に構成された本実施形態の吸着手段としての吸着装置5を、図4及び図5を参照して詳説する。なお、図4の段ばらし装置1の吸着装置5を説明する斜視図では、理解を容易とするため、挟持装置4や移載装置7を構成するフレームFの記載は省略している。吸着装置5は、図3に示すように、移載装置7の中心部近傍に四方に分かれて4箇所設置されている。なお、4個の吸着装置5の構成は同一であるため、図5においては、1箇所の吸着装置5の側面図を参照して説明する。
【0037】
吸着装置5は、枠体52と、この枠体52に垂直方向に昇降自在に設けた昇降板54と、昇降板54の下部に設けられた取付ブラケット55と、この取付ブラケット55の下端に設置された吸着パット51と、昇降板54を垂直方向に昇降させる昇降機構(昇降モータ53、回転軸53a、伝動ベルトV、回動ローラR1、ガイドローラR)により構成されている。
【0038】
枠体52の両側面52aには、長方形状の昇降板54の垂直方向の昇降をガイドするガイドレールが垂直に形成されており、昇降板54の両側端は、このガイドレール内に保持されて垂直方向に昇降する。枠体52の昇降板54の反対面の上部には、昇降機構を構成する昇降モータ53の回転軸53aを回動自在に取付ける回転軸取付ブラケット52bが設けられている。図4に示すように、一台の昇降モータ53により、二箇所の昇降板54を昇降させる構成としている。このため、回転軸53aは、隣接する二箇所の回転軸取付ブラケット52b(図5参照)に水平に取り付けられる。このため、本実施形態の4箇所の吸着装置5は、2台の昇降モータ53により二箇所の昇降板54を昇降させる構成としている。なお、昇降モータ53は、位置決めの精度の高くなおかつ速度制御が可能なACサーボモータが好適に用いられる。
【0039】
二箇所の回転軸取付ブラケット52bには、回転軸53aと連結された回動ローラR1がそれぞれ設けられている。1台の昇降モータ53の回転は、回転軸53aにより二箇所の回動ローラR1に伝達される。図5に示すように、回動ローラR1の回転は伝動ベルトVにより、枠体52に設けられた4個のガイドローラRと伝動ベルトVとにより垂直方向の変位として伝達される。伝動ベルトVと昇降板54とは連結部54aで連結されている。これにより、昇降板54は昇降モータ53の回転により垂直方向に昇降可能としている。
【0040】
昇降板54の下部に設けられた取付ブラケット55は、側面視でL字状の二個のL字ブラケット55aを昇降板54の下部の両側端にそれぞれ連結し、この二個のL字ブラケット55aの下端を平面視で矩形平板状の平板ブラケット55bで連結して構成している。平板ブラケット55bの上面には、吸着パット51で集合体Baの上面を吸着するために、吸着パット51内に空気を供給するホースが設けられている。本実施形態の吸着パット51は、吸着パット51内に空気を供給することで、吸着パット51の下面51aに真空状態を発生させるものである。なお、吸着パット51は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、ホースHの一端を吸着パット51に連通連結し、他端は真空ポンプ(図示せず)に連通連結することで、吸着パット51の下面51aを真空状態にする構成の吸着パット51を用いてもよい。
【0041】
吸着パット51内に空気を供給することにより、吸着パット51の下面51aが真空状態となり、集合体Baを構成する段ボール箱の上面を共通して吸着する。吸着パット51の下面51aは複数の小径(例えば、直径2mm)の吸着孔(図示せず)が複数形成されている。吸着パット51の下面51aが真空状態となることで、吸着孔より空気が吸引され、吸着パット51の下面51aが集合体Baを構成する段ボール箱の上面を共通して吸着することになる。
【0042】
取付ブラケット55のL字ブラケット55aの外側面には、ブラケット82を介して、集合体Baの上面との物理的な接触を検知する検知手段としての近接センサ8が設けられている。近接センサ8の下部には接触検知バー81が上下動自在に設けられており、集合体Baを構成する段ボール箱の上面に近接して接触すると接触検知バー81が上方に変位する。近接センサ8の内部には、接触検知バー81の上方への変位を検知する検知センサ(例えば、フォトセンサ)が内蔵されており、接触検知バー81の上方への変位を検知すると所定の検知信号を本実施形態の段ばらし装置1を構成する各種装置(搬送コンベア2、昇降装置3、挟持装置4、吸着装置5、荷卸しコンベア昇降装置6、移載装置7、荷卸しコンベア10等)の動作を制御する制御装置(図示せず)に送信する。
【0043】
取付ブラケット55の平板ブラケット55bの一側端には、取付ブラケット91を介して、吸着パット51の下面51aと集合体Baを構成する段ボール箱の上面との距離を計測するレーザセンサ9が設けられている。レーザセンサ9は、アンプが内蔵された距離測定用のセンサである。そして、レーザセンサ9の下端からレーザ光を、集合体Baを構成する段ボール箱の上面に照射することで、レーザ光の反射光により吸着パット51の下面51aと集合体Baを構成する段ボール箱の上面との距離を計測する。ここで計測された吸着パット51の下面51aと集合体Baを構成する段ボール箱の上面との距離は、段ばらし装置1を構成する各種装置の動作を制御する制御装置(図示せず)に送信される。
【0044】
ここで、本実施形態における吸着装置5は、吸着パット51の下面51aと集合体Baの上面に当接するまで下降させる速度(昇降モータ53の回転速度)を段階的(例えば、2段階)に変更可能としている。具体的には、吸着装置5は、吸着パット51を下降する前に、レーザセンサ9で吸着パット51の下面51aと集合体Baの上面との距離を計測する。このとき、昇降装置3によりパレットP上の集合体群Bは、最上段の集合体Baの四側面を挟持可能な位置まで上昇している。そして、レーザセンサ9で測定した距離のうち、所定距離(例えば、測定距離の1/4、又は、吸着パット51の下面51aと集合体Baの上面との距離が100mm以内)に到達していない場合は、吸着パット51の下降速度を第一速度(高速)で下降させる。そして、所定距離に到達すると、吸着パット51の下降速度を第一速度(高速)より相対的に低速となる第二速度(低速)に切り替える。つまり、吸着装置5の吸着パット51の下降速度は二段階の速度を有する。
【0045】
このように、吸着パット51の下面51aと集合体Baを構成する段ボール箱の上面に当接するまで下降させる速度を段階的(2段階)に変化させて、低速で吸着パット51の下面51aが集合体Baを構成する段ボール箱の上面に低速で当接させることで、吸着パット51の下面51aが集合体Baを構成する段ボール箱の上面に勢いよく当接することを防止することができる。これにより、集合体Baを構成する段ボール箱の上面の変形や損傷を防ぐことができる。なお、吸着パット51を上昇させる速度は、高速の第一速度とすることが望ましい。これにより、吸着パット51の昇降時間を短縮することができる。
【0046】
なお、レーザセンサ9で測定した距離のうち、所定距離に到達していない状態で、上述した近接センサ8の下部に設けられた接触検知バー81と集合体Baの上面との接触を検知した場合は、無条件で吸着パット51の下降速度を第一の速度(高速)から第二速度(低速)に切り替える。これにより、レーザセンサ9で測定した距離が、集合体Baを構成する段ボール箱の上面の形態により正確に測定できない場合でも、吸着パット51の下面51aが集合体Baの上面に勢いよく当接することを防止することができる。
【0047】
つまり、本実施形態においては、レーザセンサ9で測定した距離と、近接センサ8の接触検知バー81の物理的な接触との両方を検知することで、集合体Baを構成する段ボール箱の上面への負荷がかからないようにしている。なお、このような吸着パット51の下降速度の制御は、上述した段ばらし装置1の制御装置(図示せず)で実行されるものである。なお、上述した吸着パット51の下降速度の制御は、2段階に限定されるものではなく、さらに細かく多段階(例えば、3段階等)に制御してもよい。また、図4に示すように、本実施形態においては、吸着パット51の下降速度の制御のための近接センサ8及びレーザセンサ9を、4箇所の吸着装置5のうちの対角線上の2箇所の吸着装置5に設けた構成としているが、近接センサ8及びレーザセンサ9が設置される吸着装置5の数は特に限定されるものではなく、4箇所の吸着装置5の全てに設けてもよい。
【0048】
以下、図6A図6Cを参照して、本実施形態による段ばらし装置1の挟持装置4と吸着装置5の動作を主に説明する。なお、以下に説明する段ばらし装置1の挟持装置4と吸着装置5の動作も上述した制御装置で制御されるものである。
【0049】
図6Aに示すように、制御装置は、昇降装置3によりパレットP上の集合体群Bの最上段の集合体Baを、挟持装置4で四側面を挟持可能な位置まで上昇して待機させる。ここで、挟持装置4で四側面を挟持可能な位置とは、最上段の集合体Baの下面から挟持装置4の挟持部材41の下端が所定距離(図中H)上方に位置した状態である。本実施形態の筐体K内に搬送した集合体Baを構成する段ボール箱の種類(大きさ(垂直方向の高さ)、強度や規格を含む)は、二次元バーコード等により、段ボール箱の表面の所定の位置に印刷されている。そして、制御装置は、段ばらし装置1の所定の位置に設置されたバーコードリーダ(図示せず)により、段ボール箱に印刷された二次元バーコードを読み取ることで、段ボール箱の種類を特定することができる。これにより、段ばらし装置1の制御装置は、集合体Baを構成する段ボール箱の高さ掌握したうえで、昇降装置3によりパレットP上の集合体群Bの最上段の集合体Baが、挟持装置4の挟持部材41で四側面を挟持可能な位置まで上昇させた状態で、レーザセンサ9による吸着パット51の下面51aと集合体Baの上面との距離を計測する。
【0050】
図6Bに示すように、制御装置は、パレットP上の集合体群Bの最上段の集合体Baの上面に向けて、吸着装置5の吸着パット51を垂直に降下させる。そして、近接センサ8の下部に設けられた接触検知バー81と集合体Baの上面とが最初に接触する。
【0051】
図6Cに示すように、制御装置は、パレットP上の集合体群Bの最上段の集合体Baの上面と吸着装置5の吸着パット51を当接させる。そして、挟持装置4の挟持部材41は、集合体Baの四側面を挟持する方向に水平に移動させる。また、挟持装置4の挟持部材41の水平方向の移動は、図6Bに示す状態で、吸着装置5の吸着パット51を垂直に降下させるタイミングと同時に行ってもよい。
【0052】
図6Dに示すように、制御装置は、パレットP上の集合体群Bの最上段の集合体Baの上面と吸着装置5の吸着パット51を当接させるとともに、挟持装置4の挟持部材41により集合体Baの四側面を挟持する。この状態で、吸着装置5の吸着パット51に空気を供給して、吸着装置5の吸着パット51により、集合体Baの上面の吸着を作動させる。
【0053】
ここで、制御装置は、集合体Baを構成する段ボール箱の強度や規格に応じて、挟持装置4の挟持部材41による集合体Baの四側面を挟持する圧力を段階的に調整可能とすることができる。具体的には、制御装置は、筐体K内に搬送した集合体Baを構成する段ボール箱に印刷された二次元バーコードをバーコードリーダ(図示せず)により読み取り、段ボール箱の大きさ(高さ)だけではなく、段ボール箱の強度や規格を読み取る。そして、挟持装置4の挟持部材41を進退させる進退機構であるエアシリンダ42の圧力を多段階で調整することで、挟持部材41による段ボール箱の集合体Baの四側面を挟持する圧力を段ボール箱の強度や規格に応じて最適な圧力となるように調整する。
【0054】
これにより、強度の高い段ボール箱を挟持する圧力で、強度の低い段ボール箱で構成された集合体Baの四側面を挟持部材41で挟持することによる段ボール箱の損傷を防ぐことができる。また逆に、強度の低い段ボール箱を挟持する圧力で、強度の高い段ボール箱で構成された集合体Baの四側面を挟持部材41で挟持した場合の圧力不足により、段ボール箱の集合体Baを挟持できず落下してしまうことを防止することができる。
【0055】
なお、挟持装置4の挟持部材41による集合体Baの四側面を挟持する圧力は、段ボール箱の強度や規格に応じて複数段階(例えば、5段階)設けることが望ましいが、特に限定されるものではなく、3段階又は5段階以上でも構わず、挟持装置4の挟持部材41を進退させる進退機構であるエアシリンダ42の性能に応じたものであればよい。
【0056】
また、制御装置は、集合体Baを構成する段ボール箱の強度に応じて、吸着装置5の吸着パット51による集合体Baの段ボール箱の上面を共通して吸着する圧力を段階的に調整可能とすることもできる。具体的には、制御装置は、筐体K内に搬送した集合体Baを構成する段ボール箱に印刷された二次元バーコードをバーコードリーダ(図示せず)により読み取り、段ボール箱の大きさ(高さ)だけではなく、段ボール箱の強度や規格を読み取る。そして、段ボール箱の強度や規格に応じて吸着パット51に供給する空気量を調整することで、吸着装置5の吸着パット51による集合体Baの段ボール箱の上面を共通して吸着する圧力を段ボール箱の強度や規格に応じて最適な圧力となるように調整する。
【0057】
これにより、強度や規格の異なる段ボール箱を一律の圧力で吸着することにより、強度の低い段ボール箱の上面を吸着する圧力が強くて変形させたり、強度の高い段ボール箱の上面を吸着する圧力が不足して落下させたりすることを防止することができる。なお、吸着装置5の吸着パット51による集合体Baの段ボール箱の上面を共通して吸着する圧力は、段ボール箱の強度や規格に応じて複数段階(例えば、5段階)設けることが望ましいが、特に限定されるものではなく、3段階又は5段階以上でも構わず、吸着装置5の吸着パット51で調整可能な範囲であればよい。
【0058】
この後は、制御装置は、挟持装置4により集合体Baの四側面を挟持するとともに、吸着装置5の吸着パット51により集合体Baの上面を吸着した状態で、昇降装置3を移載装置7の水平方向の移動に支障がない位置まで垂直に下降する。そして、図1に示すように、移載装置7により挟持装置4で集合体Baの四側面を挟持するとともに、集合体Baの上面を吸着装置5の吸着パット51により吸着した状態で、荷卸しコンベア昇降装置6の上部の荷卸しコンベア10の移載位置まで移載装置7を水平に移動させる。
【0059】
このとき、制御装置は、予め荷卸しコンベア昇降装置6を、可及的に集合体Baの落下の衝撃を抑える位置まで垂直に上昇して待機させている。そして、挟持装置4による集合体Baの四側面の挟持を解消(挟持部材41を集合体Baの四側面から離反する方向に水平に移動させる)し、吸着装置5の吸着パット51による集合体Baの上面の吸着を解消(吸着装置5の吸着パット51への空気の供給を停止する)することで、荷卸しコンベア10上に集合体Baが移載される。
【0060】
制御装置は、荷卸しコンベア昇降装置6上に移載された集合体Baを、段ばらし装置1の筐体Kの外部の略中央部に設けられた荷卸しコンベア10に排出する高さまで、荷卸しコンベア昇降装置6を下降させる。そして、荷卸しコンベア昇降装置6上に移載された集合体Baの荷卸しコンベア10への排出を確認すると、再び荷卸しコンベア昇降装置6を、可及的に集合体Baの落下の衝撃を抑える位置まで垂直に上昇して待機させる。制御装置は、荷卸しコンベア10に集合体Baを移載した後は、パレットP上に残った集合体群Bの最上段の集合体Baの四側面を挟持可能な位置まで、移載装置7を水平方向に移動する。
【0061】
そして、制御装置は、昇降装置3をパレットP上に残った集合体群Bの最上段の集合体Baの四側面を挟持可能な位置まで上昇させる。つまり、制御装置は、パレットP上の集合体群Bの移載が完了(つまり、パレットP上の集合体群Bのうち必要な数の集合体Baの移載が完了)するまで、図6A図6D及びその後の工程を繰り返し行う。最後に、制御装置は、パレットP上の集合体群Bの移載が完了すると基台33の上部までパレットPを下降して、搬送コンベア2によりパレットPを筐体Kの外部に排出する。
【0062】
本実施形態の段ばらし装置1は、挟持装置4を構成する挟持補助部材41aも、集合体Baの四側面を挟持する機能を担う。これにより、図7A及び図7Bに示すように、集合体Baを構成する段ボール箱を、パレットP上に互いの側面が接するように同一水平面になるように並べて、平面視で矩形状になるように組付けるパターンや段ボール箱の大きさが異なる場合でも、集合体Baのそれぞれの四側面の全周を挟持部材41及び挟持補助部材41aで挟持することができる。なお、図7A及び図7Bに示す段ボール箱の組付けパターン以外でも、例えば、平面視で同じ大きさの段ボール箱を3列4段、5列4段に組付けた集合体Ba(つまり、中央に隙間が無い状態)においても、集合体Baのそれぞれの四側面の全周を挟持部材41及び挟持補助部材41aで挟持することができる。
【0063】
また、図7A及び図7Bに示すように、吸着装置5の吸着パット51は、平面視で所定(例えば、縦300mm、横240mm)の大きさで、集合体Baの上面に吸着装置5の吸着パット51を当接させて吸着する。これにより、集合体Baを構成する複数の段ボール箱Bbの共通する上面に亘って吸着装置5の吸着パット51で吸着することになり、強度の低下した段ボール箱Bbで構成された集合体Baであっても、段ボール箱の変形による集合体Baの中央部の段ボール箱Bbの落下を防止することができる。
【0064】
また、吸着装置5の吸着パット51は、集合体Baを構成する複数の段ボール箱Bbの共通する上面に亘って吸着装置5の吸着パット51により抑えることになる。このため、集合体Baの上部の押力が下部に対して低下することによる集合体Baの中央部の段ボール箱Bbが変形して押力の弱い上方へ逃げようとせり上がることも同時に防止することができる。つまり、本実施形態の挟持装置4で四側面を挟持した集合体Baの面構成が崩れることを可及的に低くすることができ、集合体Baを確実に安定した状態で、荷卸しコンベア10に移載することを可能としている。
【0065】
以上、上記実施形態を通して本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、上述した各効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
1 段ばらし装置
2 搬送コンベア
3 昇降装置
4 挟持装置
5 吸着装置
6 荷卸し昇降装置
7 移載装置
8 近接センサ
9 レーザセンサ
10 荷卸しコンベア
31 昇降モータ
41 挟持部材
41a 挟持補助部材
42 エアシリンダ
42a ピストンロッド
51 吸着パット
52 枠体
53 昇降モータ
53a 回転軸
54 昇降板54
55 取付ブラケット55
B 集合体群
Ba 集合体
F フレーム
K 筐体
P パレット
V 伝導ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B