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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】補正装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 64/00 20090101AFI20240509BHJP
【FI】
H04W64/00 150
H04W64/00 160
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020128143
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025365
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】勝丸 徳浩
(72)【発明者】
【氏名】山田 直治
(72)【発明者】
【氏名】須田 羽奈子
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雅人
(72)【発明者】
【氏名】冨樫 勇哉
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-043487(JP,A)
【文献】国際公開第2014/064910(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の期間内の複数の位置情報であって、端末が基地局に送信した電波、及び前記端末が前記基地局から受信した電波の少なくとも一方の状態に関する情報である電波情報に基づいてそれぞれが生成されるとともに、前記電波情報に係る時刻、前記時刻における前記端末の測位点、及び前記時刻に前記端末が存在したセルを示すセル識別情報を含む複数の位置情報をセルごとに取得する取得部と、
前記複数の位置情報に基づいて、前記セルごとに、前記セル内において前記端末が実際に移動した軌跡上の点である予測点を推定する推定部と、
前記セルごとに、前記予測点の推定に用いられた前記複数の位置情報のそれぞれに含まれる前記測位点を前記予測点に近づけることによって、前記測位点を補正する補正部と、を備える、補正装置。
【請求項2】
前記予測点は、前記セル内の前記測位点の中心である、請求項1に記載の補正装置。
【請求項3】
前記補正部は、前記複数の位置情報のそれぞれに含まれる前記測位点から前記予測点までの距離に予め定められた補正係数を乗算することによって得られる距離だけ、前記測位点を前記予測点に近づける、請求項1又は2に記載の補正装置。
【請求項4】
前記補正係数は、0.7~0.8である、請求項3に記載の補正装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記複数の位置情報に含まれる複数の測位点において前記複数の測位点の全体と比較して信頼性が低い測位点である外れ点を抽出し、
前記複数の位置情報から前記外れ点を含む位置情報を除外した残りの位置情報に基づいて、前記予測点を推定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の補正装置。
【請求項6】
前記複数の位置情報のそれぞれは、前記時刻に前記端末が捕捉していたセルである捕捉セルの数を示す捕捉セル数情報を更に含み、
前記推定部は、前記複数の位置情報のそれぞれに含まれる前記捕捉セル数情報に基づいて、前記外れ点を抽出する、請求項5に記載の補正装置。
【請求項7】
前記推定部は、
前記複数の位置情報のそれぞれに含まれる前記測位点及び前記時刻に基づいて、前記端末が移動したと推定される移動速度を算出し、
前記移動速度に基づいて、前記外れ点を抽出する、請求項5又は6に記載の補正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
端末と基地局との間で送受信される電波の状態に関する電波情報を用いて端末の位置を推定する技術が知られている。特許文献1は、LTE(Long Term Evolution)網におけるネットワーク基地局と移動端末機との間で送受信された電波の上り時間と下り時間とに基づいてネットワーク基地局と移動端末機との距離を推定し、推定した距離に基づいて端末の位置を推定する無線通信ネットワークシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-238561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した端末の位置の推定においては、端末が基地局から受信した電波の状態が不安定であると、電波情報に基づいて推定された位置と実際の端末の位置とのずれが大きくなる場合がある。この場合、電波情報に基づいて推定された位置がそのまま用いられて端末が移動した軌跡が推定されたとしても、軌跡の推定精度が低くなるおそれがある。したがって、端末が移動した軌跡の推定精度を向上させる手法が望まれている。
【0005】
本開示は、端末が移動した軌跡の推定に適した補正が可能な補正装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る補正装置は、所定の期間内の複数の位置情報であって、端末が基地局に送信した電波、及び端末が基地局から受信した電波の少なくとも一方の状態に関する情報である電波情報に基づいてそれぞれが生成されるとともに、電波情報に係る時刻、当該時刻における端末の測位点、及び当該時刻に端末が存在したセルを示すセル識別情報を含む複数の位置情報をセルごとに取得する取得部と、複数の位置情報に基づいて、セルごとに、セル内において端末が実際に移動した軌跡上の点である予測点を推定する推定部と、セルごとに、複数の位置情報のそれぞれに含まれる測位点を予測点に近づけることによって、測位点を補正する補正部と、を備える。
【0007】
この補正装置では、所定の期間内の複数の位置情報に基づいて、セルごとに、当該セル内において端末が実際に移動した軌跡上の一地点が予測点として推定される。そして、複数の位置情報のそれぞれに含まれる測位点を予測点に近づけることによって、端末の測位点が補正される。一般に、電波情報に基づいて生成される測位点は、電波の状態が悪くなるほど実際の端末の位置とのずれが大きくなる。この構成においては、電波情報に基づく測位点が、端末が実際に移動した軌跡上の点であると推定された予測点に近づけられるので、端末が実際に移動した軌跡からのずれが低減され得る。したがって、電波情報に基づく測位点と実際の端末の位置とのずれが大きかったとしても、実際に端末が移動した軌跡と測位点とのずれが低減されるので、セル内の複数の測位点全体として、実際に端末が移動した軌跡に近づけることができる。その結果、端末が移動した軌跡の推定に適した補正が可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、端末が移動した軌跡の推定に適した補正が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る補正装置を含む補正システムの概略構成図である。
図2図2は、電波情報の一例を示す図である。
図3図3は、基地局のセルに存在している端末装置の一例を示す図である。
図4図4は、図1に示される補正装置の機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、位置情報の一例を示す図である。
図6図6は、図1に示される補正装置が行う位置情報生成方法の一連の処理を示すフローチャートである。
図7図7は、端末装置の測位点の算出方法の一例を示す図である。
図8図8は、図1に示される補正装置が行う補正結果出力方法の一連の処理を示すフローチャートである。
図9図9は、端末装置の測位点とセルとの関係の一例を示す図である。
図10図10は、セル内における予測点の一例を示す図である。
図11図11は、予測点に近づけられた測位点の一例を示す図である。
図12図12は、測位点の補正の比較例を示す図である。
図13図13は、測位点の補正の実施例を示す図である。
図14図14は、端末装置の経路推定の一例を示す図である。
図15図15は、図1に示される補正装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0011】
図1図3を参照して、一実施形態に係る補正装置30を含む補正システム1の構成を説明する。図1は、一実施形態に係る補正装置30を含む補正システム1の概略構成図である。図2は、電波情報の一例を示す図である。図3は、基地局20のセルに存在している端末装置10の一例を示す図である。
【0012】
図1に示される補正システム1は、ユーザUが有する端末装置10の測位点を補正するシステムである。測位点は、後述する電波情報に基づいて生成される。補正された測位点は、例えば、端末装置10が移動した軌跡の推定に用いられる。「端末装置10が移動した軌跡」とは、互いに離れた2点間を動いた場合等、端末装置10の位置の変化が大きい場合の軌跡(すなわち、線状の軌跡)、及び、ある場所に滞在した場合等、端末装置10の位置の変化が少ない場合の軌跡(すなわち、点状の軌跡)の両方を意味する。補正システム1は、1又は複数の端末装置10(端末)と、複数の基地局20と、補正装置30と、を含む。
【0013】
1又は複数の端末装置10は、複数の基地局20と移動体通信網を介して互いに通信可能に構成されている。複数の基地局20は、補正装置30とネットワークを介して互いに通信可能に構成されている。ネットワークは、有線及び無線のいずれで構成されてもよい。ネットワークの例としては、移動体通信網、インターネット、及びWAN(Wide Area Network)が挙げられる。基地局20は、移動体通信の基地局である。以下の説明では、1つの端末装置10に着目して説明を行うが、他の端末装置10についても同様である。
【0014】
端末装置10は、ユーザUにより用いられ、ユーザUが携帯可能な装置である。端末装置10の例としては、スマートフォン及びタブレット端末を含む携帯端末が挙げられる。
【0015】
端末装置10は、電波情報を記憶している。電波情報は、端末装置10が基地局20に送信した電波の状態、及び端末装置10が基地局20から受信した電波の状態に関する情報である。電波情報は、図2に示されるように、端末装置10が基地局20と情報のやり取り(すなわち、電波の送受信)を行った時刻(タイムスタンプ)、セルID、及び往復時間情報を含む。セルIDは、在圏セルを一意に識別可能な情報である。在圏セルは、端末装置10が基地局20と通信した時刻に端末装置10が存在した(在圏した)セルである。換言すれば、在圏セルは、端末装置10と電波の送受信を行った基地局20が提供するセルである。往復時間情報は、端末装置10と在圏セルを提供する基地局20との間で送受信された電波の上り時間と下り時間との合計を示す情報である。
【0016】
端末装置10は、基地局20との電波の送受信の状態が変化したと判定した場合、一定の時間、端末装置10と電波の送受信を行った基地局20(セル)ごとに電波情報を取得する。一定の時間は、例えば、10秒程度である。端末装置10は、例えば、往復時間情報に基づいて、上述した電波の送受信の状態が変化したか否かを判定する。端末装置10は、上述した電波の送受信の状態が変化したと判定した場合、一定の時間、端末装置10が基地局20と電波の送受信を行った時刻、端末装置10と電波の送受信を行った基地局20が提供するセルのセルID(以下、「基地局20のセルID」という場合がある)、及び端末装置10と当該基地局20との間における往復時間情報を含む電波情報を取得する。なお、端末装置10は、RSRP(Reference Signal Received Power)を更に取得し、RSRP及び往復時間情報の少なくとも一方に基づいて、上述した電波の送受信の状態が変化したか否かを判定してもよい。端末装置10は、一定の時間に電波の送受信を行った基地局20(セル)それぞれについて電波情報を取得する。例えば、端末装置10は、一定の時間に3つの基地局20と電波の送受信を行った場合、3つの電波情報を取得する。
【0017】
ここで、端末装置10が取得する電波情報について、図2及び図3に示される例を用いて説明する。図2及び図3に示される例では、端末装置10は、時刻「2020-05-20 10:00:00」、セルID「00001」、及び往復時間情報「aaaaa」を含む電波情報と、時刻「2020-05-20 10:00:00」、セルID「00002」、及び往復時間情報「bbbbb」を含む電波情報とを取得する。図2に示される電波情報は、図3に示されるように、端末装置10が、2020年5月20日の10時00分00秒から2020年5月20日の10時00分10秒までの間に、セルID「00001」で識別されるセルa1及びセルID「00002」で識別されるセルa2に在圏していたことを示す。さらに、これらの電波情報は、端末装置10とセルa1を提供する基地局21との間で送受信された電波の往復時間は「aaaaa」であり、端末装置10とセルa2を提供する基地局22との間で送受信された電波の往復時間は「bbbbb」であったことを示す。なお、基地局21及び基地局22は、複数の基地局20に含まれている。
【0018】
端末装置10は、1又は複数の電波情報を一定の時間取得する度に1のデータセットである電波データとして通信基地局に送信する。通信基地局は、端末装置10と電波の送受信を行った基地局20のうち、端末装置10が端末装置10の通信先と通信する際に経由する基地局20である。一般に、端末装置10と電波の送受信を行う基地局20のうち、端末装置10との間で送受信されている電波の状態が最も安定している基地局20が主たる通信基地局として選択される。通信基地局は、電波の状態に応じて、端末装置10と電波の送受信を行っている基地局20のいずれかに適宜切り替わる。通信基地局は、端末装置10から受信した電波データを端末装置10から受信する度に補正装置30に送信する。
【0019】
ここで、端末装置10は、通信基地局と行った電波の送受信に関する情報を更に取得する。具体的には、端末装置10は、各基地局20が通信基地局として選択されていた時間を示す選択時間情報を更に取得する。端末装置10は、例えば、選択時間情報を、電波情報に更に含めて通信基地局に送信する。なお、端末装置10は、選択時間情報を、電波情報とは別の情報として電波情報に対応付けて通信基地局に送信してもよい。選択時間情報は、通信基地局によって取得されてもよい。この場合、通信基地局が、端末装置10から受信した電波情報に更に含めて選択時間情報を補正装置30に送信してもよい。
【0020】
補正装置30は、電波情報に基づいて、端末装置10の測位点を補正する装置である。補正装置30の例としては、サーバ装置等の情報処理装置が挙げられる。
【0021】
図4を参照して、補正装置30の機能構成について説明する。図4は、図1に示される補正装置30の機能構成を示すブロック図である。図4に示されるように、補正装置30は、機能的には、取得部31と、生成部32と、記憶部33と、取得部34と、推定部35と、補正部36と、出力部37とを備えている。後述の補正方法の説明において、各機能部の機能(動作)を詳細に説明するので、ここでは各機能部の機能を簡単に説明する。
【0022】
取得部31は、通信基地局から電波データを取得する機能部である。具体的には、取得部31は、端末装置10から通信基地局に送信された電波データを取得する。取得部31は、電波データを生成部32に出力する。
【0023】
生成部32は、電波情報に基づいて、位置情報を生成する機能部である。生成部32は、取得部31から受け取った電波データに含まれる電波情報に基づいて、位置情報を生成する。図5に示されるように、位置情報は、電波情報に係る時刻、当該時刻における端末装置10の緯度及び経度(端末装置10の測位点)、セルID(セル識別情報)、並びに捕捉セル数情報を含む。電波情報に係る時刻は、電波情報に含まれる時刻と同時刻である。
【0024】
端末装置10の緯度及び経度は、電波情報に含まれる往復時間情報に基づいて算出される。セルIDは、当該時刻に端末装置10が存在していたセルを一意に識別可能な情報である。捕捉セル数情報は、当該時刻に端末装置10が捕捉していたセルの数を示す情報である。端末装置10が捕捉していたセルは、当該時刻に端末装置10が存在したセル(在圏セル)である。生成部32は、生成した位置情報を記憶部33に出力する。
【0025】
記憶部33は、位置情報を記憶する機能部である。記憶部33は、生成部32から受け取った位置情報を格納する。
【0026】
取得部34は、セルごとに所定の期間内の複数の位置情報を取得する機能部である。所定の期間は、適宜設定される。例えば、比較的短い時間での端末装置10の測位点の補正が行われる場合には、所定の期間は、30分程度である。バッチ処理で端末装置10の測位点の補正が行われる場合には、所定の期間は、24時間程度であってもよい。取得部34は、記憶部33に格納されている複数の位置情報から所定の期間内の複数の位置情報を抽出し、抽出した複数の位置情報を、セルごとにグループ化する。つまり、取得部34は、記憶部33に格納されている複数の位置情報から、セルごとに所定の期間内の複数の位置情報を取得する。
【0027】
取得部34は、例えば、30分ごとに、直近の30分以内に取得された全ての位置情報を抽出する。そして、取得部34は、当該全ての位置情報を、セルごとにグループ化し、同一のセルIDを含む複数の位置情報の集合であるグループをセルごとに生成する。そして、取得部34は、各セルの位置情報のグループを推定部35に出力する。
【0028】
推定部35は、セルごとに予測点を推定する。予測点は、端末装置が実際に移動した軌跡上の点が推定された点(位置)である。「端末装置10が実際に移動した軌跡」とは、互いに離れた2点間を動いた場合等、端末装置10の位置の変化が大きい場合の軌跡(すなわち、線状の軌跡)、及び、ある場所に滞在した場合等、端末装置10の位置の変化が少ない場合の軌跡(すなわち、点状の軌跡)の両方を意味する。推定部35は、取得部34から受け取った複数の位置情報に基づいて、予測点を推定する。具体的には、推定部35は、各セルの位置情報のグループに基づいて、予測点を推定する。推定部35は、抽出された複数の位置情報、及び各セルの予測点を示す情報を補正部36に出力する。
【0029】
補正部36は、推定部35から受け取った複数の位置情報、及び各セルの予測点の情報に基づいて、測位点を補正する機能部である。補正部36は、セルごとに、各位置情報に含まれる測位点を予測点に近づけることによって、測位点を補正する。補正部36は、測位点の補正結果を出力部37に出力する。
【0030】
出力部37は、測位点の補正結果を出力する機能部である。出力部37は、補正部36から受け取った補正結果を、例えば、外部の装置等に出力する。外部の装置の例としては、端末装置10の経路を推定する経路推定装置が挙げられる。
【0031】
次に、図6図11を参照して、補正装置30が行う補正方法について説明する。図6は、図1に示される補正装置30が行う補正方法に含まれる位置情報生成方法の一連の処理を示すフローチャートである。図7は、端末装置10の測位点の算出方法の一例を示す図である。図8は、図1に示される補正装置30が行う補正方法に含まれる補正結果出力方法の一連の処理を示すフローチャートである。図9は、端末装置10の測位点とセルとの関係の一例を示す図である。図10は、セル内における予測点の一例を示す図である。図11は、予測点に近づけられた測位点の一例を示す図である。図6に示される一連の処理は、例えば、補正装置30が通信基地局から電波データを受信する度に実施される。
【0032】
図6に示されるように、まず、取得部31が、通信基地局から電波データを取得する(ステップS01)。以下の説明では、1つの電波データに着目して説明を行うが、他の電波データについても同様である。取得部31は、電波データを生成部32に出力する。
【0033】
続いて、生成部32は、取得部31から電波データを受け取ると、電波データに含まれる電波情報に基づいて、位置情報を生成する(ステップS02)。生成部32は、位置情報の生成にあたり、3つの処理を行う。1つ目の処理として、生成部32は、一定の時間に端末装置10と電波の送受信を行った基地局20のセルIDのうち、最も妥当なセルIDを選択する。本実施形態では、最も妥当なセルIDは、一定の時間において、端末装置10によって通信基地局として最も長い時間選択されていた基地局20のセルIDである。生成部32は、電波情報に含まれる選択時間情報に基づいて、最も長い時間を示す選択時間情報に対応付けられたセルIDを最も妥当なセルIDとして選択する。
【0034】
例えば、取得部31が、セルID「00001」、及び8秒間を示す選択時間情報を含む電波情報と、セルID「00002」、及び2秒間を示す選択時間情報を含む電波情報を含む電波データを取得した場合、生成部32は、最も妥当なセルIDとして、セルID「00001」を選択する。なお、最も妥当なセルIDは、他の方法によって選択されてもよい。
【0035】
2つ目の処理として、生成部32は、電波情報に含まれる往復時間情報に基づいて、端末装置10の測位点を算出(生成)する。本実施形態では、生成部32は、TA(Time Alignment)法を用いて、測位点を算出する。TA法は、往復時間情報に基づいて端末装置10と基地局20との距離を推定することによって、端末装置10の測位点を推定する方法である。
【0036】
一例として、まず、生成部32は、電波データに含まれる各電波情報について、各電波情報に含まれるセルIDが示す基地局20の位置を外部のサーバ等(図示せず)から取得する。そして、生成部32は、往復時間情報に基づいて、端末装置10と基地局20との距離を算出する。そして、生成部32は、基地局20の位置を中心とし、端末装置10と基地局20との距離を半径とする円弧を特定する処理を、電波データに含まれる電波情報ごとに実行する。
【0037】
電波データに複数の電波情報が含まれる場合、生成部32は、特定した複数の円弧の交点を特定する。そして、生成部32は、特定した交点を示す緯度経度を端末装置10の測位点として推定する。電波データに1つの電波情報のみが含まれる場合、生成部32は、セルIDが示すセルの重心位置を外部のサーバ等(図示せず)から取得する。そして、生成部32は、取得した重心位置と、基地局20とを結ぶ仮想的な直線を特定し、特定した円弧と直線との交点を特定する。そして、生成部32は、特定した交点を示す緯度経度を端末装置10の測位点として推定する。
【0038】
図2図3、及び図5に示される例では、端末装置10は、基地局21のセルID「00001」を含む電波情報、及び基地局22のセルID「00002」を含む電波情報を取得している。したがって、生成部32は、往復時間情報「aaaaa」に基づいて、端末装置10と基地局21との距離を算出する。そして、図7に示されるように、生成部32は、基地局21の位置を中心とし、端末装置10と基地局21との距離を半径とする第1円弧b1を特定する。生成部32は、基地局21の場合と同様に、第2円弧b2を特定する。そして、生成部32は、第1円弧b1と第2円弧b2との交点Pを特定し、交点Pを示す緯度及び経度を端末装置10の測位点として算出する。
【0039】
3つ目の処理として、生成部32は、捕捉セル数情報として、端末装置10と基地局20とが電波の送受信を行った時刻に端末装置10が捕捉していたセルの数を算出する。具体的には、生成部32は、当該セルの数として、電波データに含まれる電波情報(より詳細には、電波情報に含まれるセルID)の数を算出する。
【0040】
そして、生成部32は、電波情報に係る時刻、算出した端末装置10の緯度及び経度(測位点)、選択した最も妥当なセルID、及び算出した捕捉セル数情報を含む位置情報を生成する。そして、生成部32は、生成した位置情報を記憶部33に出力する。
【0041】
続いて、記憶部33は、生成部32から位置情報(図5参照)を受け取ると、位置情報を格納する(ステップS03)。そして、位置情報生成方法の処理は終了する。
【0042】
続いて、補正方法に含まれる補正結果出力方法の処理(図8参照)について説明する。図8に示される処理は、例えば、所定の期間が経過するごとに実施される。
【0043】
図8に示されるように、まず、取得部34が、記憶部33に格納されている複数の位置情報から、セルごとに所定の期間内の複数の位置情報を取得する(ステップS11)。具体的には、取得部34は、記憶部33に格納されている複数の位置情報から、直近の30分以内に取得された全ての位置情報を複数の位置情報として抽出する。そして、取得部34は、抽出した複数の位置情報を、セルごとにグループ化する。すなわち、取得部34は、同一のセルIDを含む複数の位置情報の集合を1つのグループとして生成する処理を、抽出した複数の位置情報に含まれるセルIDごとに行う。そして、取得部34は、生成した各セルの位置情報のグループを推定部35に出力する。
【0044】
続いて、推定部35は、各セルの位置情報のグループを受け取ると、1のグループを選択する(ステップS12)。
【0045】
続いて、推定部35は、外れ点を抽出する。外れ点は、複数の位置情報に含まれる複数の測位点において複数の測位点の全体と比較して信頼性が低い測位点である。推定部35は、外れ点を抽出し、複数の位置情報から外れ点を含む位置情報を除外した残りの位置情報に基づいて、予測点を推定する。
【0046】
本実施形態では、推定部35は、残りの位置情報に含まれる捕捉セル数情報に基づいて、外れ点を抽出する。
【0047】
測位点は、端末装置10が送信する電波の状態がよいほど、実際の端末装置10の位置に近い位置を示す傾向にある。また、ある測位点において端末装置10が捕捉する捕捉セルの数は、多いほど当該測位点において電波の状態がよいことを示しているといえる。そこで、本実施形態では、推定部35は、複数の位置情報に含まれる測位点のうち、捕捉セルの数が相対的に少ない測位点を外れ点として抽出する。
【0048】
具体的には、推定部35は、予め定められた割合に応じて、複数の位置情報に含まれる全ての捕捉セル数情報から、相対的に大きい捕捉セルの数を示す捕捉セル数情報に含まれない捕捉セル数情報を算出する。そして、推定部35は、算出した捕捉セル数情報に対応付けられた測位点を外れ点として抽出する。予め定められた割合は、例えば、上位N%である。そして、推定部35は、上述した相対的に大きい捕捉セルの数を示す捕捉セル数情報を含む位置情報を、後述する予測点の推測に用いる。
【0049】
例えば、予め定められた割合が上位60%であって、全ての捕捉セル数情報の数(すなわち、位置情報の数)が100個である場合、推定部35は、全ての捕捉セル数情報のうち捕捉セルの数が上位60%である捕捉セル数情報に含まれない40個の捕捉セル数情報を算出し、40個の捕捉セル数情報のそれぞれに対応付けられた測位点を外れ点として抽出する。そして、推定部35は、全ての捕捉セル数情報のうち捕捉セルの数が上位60%である60個の捕捉セル数情報を含む位置情報を、後述する予測点の予測に用いる。
【0050】
続いて、推定部35は、複数の位置情報に基づいて、予測点を推定する(ステップS14)。本実施形態では、推定部35は、複数の位置情報から外れ点を含む位置情報を除外した残りの位置情報に基づいて、予測点を推定する。
【0051】
具体的には、推定部35は、上述した残りの位置情報に基づいて、選択されたグループ(ステップS12参照)のセル内の予測点を推定する。予測点は、当該セル内の測位点の中心である。本実施形態では、推定部35は、当該セル内の複数の測位点の重心(幾何中心)を算出することによって予測点を得る。
【0052】
続いて、推定部35は、1又は複数の位置情報のグループのうち全てのグループが選択されたか否かを判定する。推定部35が、全てのグループが選択されているわけではないと判定した場合(ステップS15:NO)、処理がS12に戻される。一方、推定部35は、全てのグループが選択されていると判定した場合(ステップS15:YES)、各セルの予測点を示す情報、及び複数の位置情報を補正部36に出力する。
【0053】
ここで、予測点の推定方法について、図9及び図10に示される例を用いて詳細に説明する。図9及び図10には、複数の測位点D1及び複数の測位点D3が示されている。各測位点D1は、セルID「00001」が示すセルa1内の測位点である。すなわち、複数の測位点D1は、セルa1のグループに属する複数の位置情報に含まれる。各測位点D3は、セルID「00003」が示すセルa3内の測位点である。すなわち、複数の測位点D3は、セルa3のグループに属する複数の位置情報に含まれる。
【0054】
そして、図10に示されるように、推定部35は、複数の測位点D1の重心を、セルa3における予測点G1とし、複数の測位点D3の重心を、セルa3における予測点G3とする。このようにして、推定部35は、セルごとに予測点を推定する。
【0055】
続いて、補正部36は、推定部35から、各セルの予測点を示す情報、及び複数の位置情報を受け取り、各位置情報に含まれる測位点を補正する(ステップS16)。例えば、補正部36は、セルのグループごとに、所定の期間内の各位置情報に含まれる測位点を予測点に近づけることによって、測位点を補正する。なお、補正部36は、外れ点を含む位置情報を除外した残りの位置情報に含まれる測位点を予測点に近づけることによって、測位点を補正してもよい。
【0056】
具体的には、補正部36は、セルのグループごとに、各位置情報に含まれる測位点から予測点までの距離に予め定められた補正係数を乗算することによって得られる距離だけ、当該測位点を予測点に近づける。本実施形態では、補正係数は、0.7~0.8である。なお、補正係数は、他の値であってもよい。補正部36は、測位点の補正結果を出力部37に出力する。
【0057】
ここで、測位点の補正方法について、図9図11に示される例を用いて詳細に説明する。図11には、補正部36によって予測点G1に近づけられた各測位点D1、及び予測点G3に近づけられた各測位点D3が示されている。
【0058】
補正部36は、各測位点D1から予測点G1までの距離に補正係数0.7を乗算することによって得られる距離だけ、各測位点D1を予測点G1に近づける。例えば、複数の測位点D1に含まれる測位点D11から予測点G1までの距離を1.0とする場合、補正部36は、当該距離に補正係数0.7を乗算することによって得られる距離0.7だけ、測位点D11を予測点G1に近づける。補正部36は、各測位点D1の場合と同様に、各測位点D3から予測点G3までの距離に補正係数0.7を乗算することによって得られる距離だけ、各測位点D3を予測点G3に近づける。
【0059】
続いて、出力部37は、補正部36から補正結果を受け取ると、補正結果を出力する出力処理を行う(ステップS17)。補正結果は、セルごとに予測点に近づけられた各測位点を示す情報である。出力部37は、例えば、補正結果を外部の経路推定装置に出力する。以上により、補正方法の一連の処理が終了する。
【0060】
以上説明した補正装置30では、所定の期間内の複数の位置情報に基づいて、セルごとに、当該セル内において端末装置10が実際に移動した軌跡上の一地点が予測点として推定される。そして、複数の位置情報のそれぞれに含まれる測位点を予測点に近づけることによって、端末装置10の測位点が補正される。
【0061】
一般に、電波情報に基づいて生成される測位点は、電波の状態が悪くなるほど実際の端末装置10の位置とのずれが大きくなる。この構成においては、電波情報に基づく測位点が、端末装置10が実際に移動した軌跡上の点であると推定された予測点に近づけられるので、端末装置10が実際に移動した軌跡からのずれが低減され得る。したがって、電波情報に基づく測位点と実際の端末装置10の位置とのずれが大きかったとしても、実際に端末装置10が移動した軌跡と測位点とのずれが低減されるので、セル内の複数の測位点全体として、実際に端末装置10が移動した軌跡に近づけることができる。その結果、端末装置10が移動した軌跡の推定に適した補正が可能となる。
【0062】
所定の期間(例えば、30分)の端末装置10が移動した軌跡を推定する場合、30分が経過する間に端末装置10が長距離に渡って移動することも想定される。上記構成によれば、セルごとに所定の期間内の複数の位置情報をグループ化して、セルごとに各測位点を予測点に近づけるので、セル単位で複数の測位点全体として端末装置10の軌跡に近づけることができる。したがって、端末装置10の移動した距離にかかわらず、電波情報に基づいて生成された測位点を適切に補正できる。その結果、端末装置10が移動した軌跡を高精度に推定することが可能となる。
【0063】
端末装置10の測位点の補正には、カルマンフィルタが用いられる場合がある。カルマンフィルタによる補正では、セルが区別されずに、観測された端末装置10の状態(すなわち、観測された端末装置10の測位点の推定値)、及び現在の端末装置10の状態(すなわち、現在の端末装置10の測位点の推定値)が用いられて端末装置10の測位点が補正される。例えば、端末装置10が地下鉄において停止及び移動を繰り返している場合に、カルマンフィルタが用いられて停止している端末装置10の測位点の補正が行われると、端末装置10が移動している際に観測された端末装置10の状態が用いられ、測位点の補正が適切に行われないおそれがある。一方、補正装置30では、地下鉄の駅及び駅間を網羅的にカバーしている複数のセルごとに予測点を推定し、推定した予測点に基づいて各測位点が補正される。したがって、例えば、端末装置10が地下鉄において一時停止と移動とを繰り返している場合であっても、端末装置10が移動した軌跡の推定に適した補正が可能となる。
【0064】
補正装置30では、セルごとの予測点は、セル内の測位点の重心である。測位点と端末装置10の実際の位置とのずれは、例えば、正規分布に従って生じ得る。したがって、セル内において、複数の測位点の重心を求めることによって、各測位点に含まれるずれの成分(ノイズ成分)が互いに打ち消し合うので、予測点(重心)は、端末装置10が実際に移動した軌跡(経路)の近傍に位置する可能性が高いといえる。当該重心に各測位点を近づけることによって、各測位点は端末装置10が実際に移動した軌跡に近づくので、電波情報に基づいた測位点を精度良く補正することができる。特に、補正装置30では、セルのグループごとに予測点が推定される。つまり、補正装置30では、電波に関する特徴(条件)が近い同一のセルIDを含む複数の位置情報に基づいて統計処理(測位点の重心の算出処理)が施される結果、予測点が推定される。したがって、補正装置30では、高精度に予測点を推定することが可能となる。
【0065】
補正部36は、複数の位置情報のそれぞれに含まれる測位点から予測点までの距離に補正係数を乗算することによって得られる距離だけ、測位点を予測点に近づける。この構成によれば、端末装置10の測位点と、測位点の予測点との両方が考慮されて測位点が補正されるため、セル内の複数の測位点全体として、実際に端末装置10が移動した軌跡に近づけることができる。また、この構成によれば、各測位点と実際の端末の位置とのずれに応じて、各測位点の補正量を適切に調整することが可能となる。
【0066】
端末装置10の移動経路の推定において、端末装置10の各測位点を予測点に近づけすぎると、各測位点が一か所に集まってしまい、端末装置10の移動経路の推定が妨げられるおそれがある。一方、端末装置10の移動経路の推定には、複数の測位点がセル内においてある程度まとまっていた方が都合がよい。補正装置30では、補正係数は、0.7~0.8である。この構成によれば、測位点と予測点とをバランスよく考慮して測位点を補正できる。
【0067】
ここで、比較例及び実施例を用いて、補正装置30が行う端末装置10の測位点の補正の効果について説明する。図12に示される比較例には、端末装置10が、場所M1、場所M2、及び場所M3の順で移動した場合において、所定の期間内の複数の位置情報のそれぞれに含まれる測位点D4が示されている。時系列に並べた場合に連続する各測位点D4間は、直線で接続されている。すなわち、図12に示される比較例には、セルごとに予測点を推定する処理、及びセルごとに各測位点を予測点に近づける処理が行われることなく出力された推定結果が示されている。
【0068】
比較例では、各測位点D4が広がりをもって点在している。各測位点D4が広がりをもって点在する原因は、電波情報に基づく端末装置10の測位点の生成に生じる問題による。すなわち、電波の状態は不安定であることが多い。このため、図12に示される比較例では、少なくとも一部の測位点D4が、不安定な電波の状態で測位され、実際の端末装置10の位置からずれた位置を示していると考えられる。
【0069】
図13に示される実施例には、補正装置30によって、セルごとに予測点が推定され、図12に示される各測位点D4が予測点に近づけられて(すなわち、各測位点D4が補正されて)出力された推定結果が示されている。当該実施例では、比較例では広がりをもって点在していた各測位点D4が、場所M1、場所M2、及び場所M3のいずれかにある程度まとまっている。つまり、補正装置30が各測位点D4を補正することにより、セルごとに複数の測位点D4全体として端末装置10の軌跡に近づいた結果、端末装置10が場所M1、場所M2、及び場所M3の間を移動したことがわかる。
【0070】
図14は、外部の移動経路推定装置が、図13に示される推定結果に基づいて、端末装置10の移動経路を推定する例を示している。一例として、移動経路推定装置は、各測位点D4それぞれの時刻及び時系列に並べた場合に連続した各測位点D4間の距離に基づいて、各測位点が、滞在測位点であるのか、或いは移動測位点であるのかを判定する。滞在測位点は、端末装置10がある場所に滞在している際に測位された測位点である。移動測位点は、端末装置10が移動していた際に測位された測位点である。
【0071】
そして、移動経路推定装置は、時系列に並べた場合に連続した複数の滞在測位点が所定の領域内にまとまっている場合(すなわち、複数の滞在測位点の集合が存在する場合)、例えば、当該複数の滞在測位点を囲む矩形領域を形成する。矩形領域は、端末装置10の経路を簡略的に示す領域である。移動経路推定装置は、時系列に並べた場合に連続した滞在測位点及び移動測位点が存在する場合、時系列に並べた場合に隣り合う移動測位点及び滞在測位点に外接する最小外接矩形、或いは時系列に並べた場合に連続した2つの移動測位点に外接する最小外接矩形である矩形領域を形成する。
【0072】
図14に示される例では、場所M2付近において時系列に並べた場合に連続した滞在測位点D5の集合と、場所M1付近において時系列に並べた場合に連続した滞在測位点D5の集合と、各滞在測位点D5の集合の間に移動測位点D6が存在している。図14に示される例では、時系列に並べた場合に、場所M2付近の滞在測位点D5、移動測位点D6、及び場所M1付近の滞在測位点D5の集合の順に配置されている。移動経路推定装置は、各滞在測位点D5及び移動測位点D6の位置及び時系列に基づいて、矩形領域R1,R2,R3,R4を形成する。移動経路推定装置は、矩形領域R1~R4を形成することによって、端末装置10が矩形領域R1~R4の経路を辿って場所M2からM1に移動したと推定する。なお、移動経路推定装置は、矩形領域R1~R4を用いて、端末装置10の移動経路を予測してもよい。以上のように、本実施形態では、補正装置30が、端末装置10の各測位点を、予測点に近づけすぎない程度に且つセル内にある程度まとまるように補正する。したがって、移動経路推定装置が移動経路(端末装置10の移動の軌跡)を精度良く推定することが可能となる。
【0073】
推定部35は、複数の位置情報に含まれる複数の測位点において複数の測位点の全体と比較して信頼性が低い測位点である外れ点を抽出し、当該複数の位置情報から外れ点を含む位置情報を除外した残りの位置情報に基づいて、予測点を推定する。この構成によれば、信頼性の高い(すなわち、実際の端末装置10の位置と比較的近いと想定される)測位点のみを含んでいる複数の位置情報に基づいて端末装置10が移動した軌跡が推定されるため、端末装置10の位置をより一層高精度に推定することができる。
【0074】
測位点は、端末装置10が送信する電波の状態が良いほど、実際の端末装置10の位置に近い位置を示す傾向にある。ある測位点において端末装置10が捕捉する捕捉セルの数は、多いほど当該測位点において電波の状態が良いことを示しているといえる。推定部35は、当該複数の位置情報のそれぞれに含まれる捕捉セル数情報に基づいて、外れ点を抽出する。上記構成によれば、捕捉セルの数を示す捕捉セル情報に基づいて外れ点が算出されるため、実際の端末装置10の位置に近いと想定される測位点が含まれる位置情報のみを考慮して端末装置10が移動した軌跡を推定することが可能となる。
【0075】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。
【0076】
補正装置30は、物理的又は論理的に結合した1つの装置によって構成されていてもよく、互いに物理的又は論理的に分離している複数の装置によって構成されてもよい。例えば、補正装置30は、クラウドコンピューティングのようにネットワーク上に分散された複数のコンピュータによって実現されてもよい。以上のように、補正装置30の構成は、補正装置30の機能を実現し得るいかなる構成をも含み得る。
【0077】
補正装置30は、取得部31、生成部32、記憶部33、及び出力部37を備えていなくてもよい。この場合、取得部34は、例えば、端末装置10の位置情報を格納している外部のサーバから所定の期間内の複数の位置情報を取得してもよい。
【0078】
電波情報は、端末装置10が基地局20に送信した電波、及び端末装置10が基地局20から受信した電波の少なくとも一方の状態に関する情報であればよい。端末装置10の測位点の算出方法は、上記実施形態に限定されない。例えば、取得部31が取得する電波情報は、端末装置10が基地局20から受信した電波の品質に関する情報である電波品質情報を更に含み、生成部32は、電波品質情報に基づいて端末装置10の測位点を算出してもよい。電波品質情報の例としては、RSRP、RSRQ(Reference Signal Received Quality)、及びRSSI(ReceiveStrength Signal Indicator)が挙げられる。
【0079】
予測点は、上記実施形態とは異なる方法によって推定されてもよい。例えば、推定部35は、セル内において測位点の中央値を算出することによって、予測点を得てもよい。
【0080】
補正係数は、上記実施形態とは異なる値であってもよい。例えば、補正結果が端末装置10の滞在場所を推定するために用いられる場合には、補正係数は、複数の測位点全体として端末装置10の滞在場所を示すように各測位点が補正されやすい値であってもよい。すなわち、端末装置10の滞在場所を推定する場合においては、補正係数は、端末装置10の移動経路を推定する場合と比較して大きくてもよい。この構成によれば、各測位点が予測点により近づくため、複数の測位点全体が端末装置10の滞在場所を示すようになる。以上のように、補正係数は、補正結果の用途に応じて適宜調整されてもよい。
【0081】
外れ点は、上記実施形態とは異なる方法によって抽出されてもよい。例えば、推定部35は、取得部34から受け取った全ての位置情報に含まれる捕捉セル数情報から、相対的に大きい捕捉セルの数を示す捕捉セル数情報に含まれない捕捉セル数情報を算出してもよい。すなわち、推定部35は、グループごとの複数の位置情報に代えて、取得部34から取得した全ての位置情報に基づいて外れ点を抽出してもよい。
【0082】
例えば、推定部35は、複数の位置情報のそれぞれに含まれる測位点及び時刻に基づいて、端末装置10の移動速度を算出し、移動速度に基づいて、外れ点を抽出してもよい。
【0083】
具体的には、推定部35は、当該複数の位置情報のそれぞれに含まれる測位点及び時刻に基づいて、複数の位置情報において時系列に並べた場合に連続した2つの測位点である第1測位点及び第2測位点の間の速度を移動速度として算出する。推定部35は、第1測位点と第2測位点との距離を第1測位点から第2測位点までの移動時間で除算して移動速度を算出する。推定部35は、当該複数の位置情報に含まれる各測位点に対して移動速度を算出する。
【0084】
そして、推定部35は、複数の推定速度の平均A及び標準偏差σを算出する。そして、推定部35は、A+K×σを超える速度を特定する。Kは、1以上の自然数であって、例えば2である。そして、推定部35は、A+K×σを超える速度が算出された第1測位点及び第2測位点のうち第2測位点を外れ点として抽出する。なお、推定部35は、セルごとにグループ化された位置情報に含まれる測位点及び時刻に代えて、取得部34から取得した全ての位置情報に含まれる測位点及び時刻に基づいて外れ点を抽出してもよい。
【0085】
電波情報に基づいて端末装置10が移動した軌跡を推定する場合、取得した電波の状態が悪いほど、端末装置10の測位点と実際の端末装置10の位置とのずれが大きくなる。本変形例によれば、上述したずれの程度が把握可能な指標である端末装置10の移動速度に基づいて外れ点が抽出されるため、実際の端末装置10の位置に近いと想定される測位点が含まれる位置情報のみを考慮して端末装置10が移動した軌跡を推定することが可能となる。
【0086】
また、推定部35は、外れ点を抽出しなくてもよい。その場合、推定部35は、セルごとにグループ化された複数の位置情報に基づいて、セルごとに予測点を推定してもよい。
【0087】
なお、上記実施形態の説明に用いられたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0088】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、及び割り振り(assigning)などがあるが、これらの機能に限られない。例えば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)又は送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0089】
例えば、本開示の一実施形態における補正装置30は、本開示の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図15は、本開示の一実施形態に係る補正装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の補正装置30は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0090】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、及びユニットなどに読み替えることができる。補正装置30のハードウェア構成は、図に示された各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0091】
補正装置30における各機能は、プロセッサ1001及びメモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0092】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、及びレジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述の補正装置30の各機能は、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0093】
プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、及びデータなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、補正装置30の各機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理では、1つのプロセッサ1001によって実行される旨が説明されたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0094】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施形態に係る補正方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0095】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバ、その他の適切な媒体であってもよい。
【0096】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の取得部31、及び出力部37などは、通信装置1004によって実現されてもよい。
【0097】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0098】
プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0099】
補正装置は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0100】
情報の通知は、本開示において説明された態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。
【0101】
本開示において説明された各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム、及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも1つに適用されてもよい。複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0102】
本開示において説明された各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、及びフローチャートなどにおいては、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。例えば、本開示において説明された方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0103】
情報等は、上位レイヤ(又は下位レイヤ)から下位レイヤ(又は上位レイヤ)へ出力され得る。情報等は、複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0104】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理されてもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0105】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0106】
本開示において説明された各態様/実施形態は単独で用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的な通知に限られず、暗黙的に(例えば、当該所定の情報の通知を行わないことによって)行われてもよい。
【0107】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とし、本開示に対して何ら制限的な意味を有しない。
【0108】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0109】
ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0110】
本開示において説明された情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0111】
なお、本開示において説明された用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えられてもよい。
【0112】
本開示において使用される「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0113】
本開示において説明された情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0114】
上述したパラメータに使用される名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示した数式等と異なる場合もある。
【0115】
本開示で使用される「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0116】
本開示においては、「基地局(BS:Base Station)」、「無線基地局」、「固定局(fixed station)」、「NodeB」、「eNodeB(eNB)」、「gNodeB(gNB)」、「アクセスポイント(access point)」、「送信ポイント(transmission point)」、「受信ポイント(reception point)、「送受信ポイント(transmission/reception point)」、「セル」、「セクタ」、「セルグループ」、「キャリア」、及び「コンポーネントキャリア」などの用語は、互換的に使用され得る。基地局は、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0117】
基地局は、1つ又は複数(例えば、3つ)のセルを収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局(RRH:Remote Radio Head))によって通信サービスを提供することもできる。「セル」又は「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局及び基地局サブシステムの少なくとも一方のカバレッジエリアの一部又は全体を指す。
【0118】
本開示においては、「移動局(MS:Mobile Station)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(UE:User Equipment)」、及び「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0119】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0120】
基地局及び移動局の少なくとも一方は、送信装置、受信装置、又は通信装置などと呼ばれてもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型又は無人型)であってもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのIoT(Internet of Things)機器であってもよい。
【0121】
本開示における基地局は、ユーザ端末で読み替えられてもよい。例えば、基地局及びユーザ端末間の通信を、複数のユーザ端末間の通信(例えば、D3D(Device-to-Device)、V2X(Vehicle-to-Everything)などと呼ばれてもよい)に置き換えた構成について、本開示の各態様/実施形態が適用されてもよい。この場合、上述の基地局20が有する機能は端末装置10が有する構成とされてもよい。「上り」及び「下り」などの文言は、端末間通信に対応する文言(例えば、「サイド(side)」)で読み替えられてもよい。例えば、上りチャネル、下りチャネルなどは、サイドチャネルで読み替えられてもよい。
【0122】
同様に、本開示におけるユーザ端末は、基地局で読み替えられてもよい。この場合、上述の端末装置10が有する機能は基地局20が有する構成とされてもよい。
【0123】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的或いは論理的であってもよく、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用される場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0124】
本開示において使用される「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0125】
本開示において使用される「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0126】
上記の各装置の構成における「部」が、「回路」、「デバイス」等に置き換えられてもよい。
【0127】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0128】
本開示において、例えば、英語での「a」、「an」、及び「the」のように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0129】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、及び「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0130】
10…端末装置(端末)、20,21,22…基地局、30…補正装置、34…取得部、35…推定部、36…補正部、D1,D3,D11…測位点、G1,G3…予測点。
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