(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240509BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G08G1/09 R
G08G1/16 D
(21)【出願番号】P 2020141148
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】大津 景子
(72)【発明者】
【氏名】古閑 誠二
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-229255(JP,A)
【文献】特開平03-235200(JP,A)
【文献】特開2003-296886(JP,A)
【文献】特開2009-258778(JP,A)
【文献】特開2005-227989(JP,A)
【文献】特開2010-009235(JP,A)
【文献】特開2006-171831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信により車両にデータを送信するよう構成された通信装置と、
道路上の車両を検出する車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断する車両判断部と、
前記車両の進行方向前方に信号機が存在する場合、前記信号機の灯色を検出する灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断する灯色判断部と、
前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成する灯色データ生成部と、
前記灯色データを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御する通信制御部
として動作する制御回路と、
を具備し、
前記車両は、前記灯色データを前記近距離無線通信により受信し、前記灯色データに基づき前記灯色を前記表示装置に表示
し、
前記車両判断部は、前記車両が停止したことを判断し、
前記車両判断部が、前記車両が停止したことを判断すると、前記灯色判断部は、前記灯色を判断し、
前記車両判断部は、停止した前記車両が走行を再開したことを判断し、
前記車両判断部が、前記車両が走行を再開したことを判断すると、前記灯色判断部は、前記灯色を判断するのを停止し、前記通信制御部は、前記灯色データの送信を停止する
情報処理装置。
【請求項2】
近距離無線通信により車両にデータを送信するよう構成された通信装置と、
道路上の車両を検出する車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断する車両判断部と、
前記車両の進行方向前方に信号機が存在する場合、前記信号機の灯色を検出する灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断する灯色判断部と、
前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成する灯色データ生成部と、
前記灯色データを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御する通信制御部と、
道路上のオブジェクトを検出する環境検出装置が生成した環境情報に基づき、前記車体の前方に存在するオブジェクトを判断する前方判断部と、
前記オブジェクトに関するデータであるオブジェクトデータを生成するオブジェクトデータ生成部
として動作する制御回路と、
を具備し、
前記通信制御部は、前記オブジェクトデータを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御し、
前記車両は、前記オブジェクトデータを前記近距離無線通信により受信し、前記オブジェクトデータに基づき前記オブジェクトに関する情報を前記表示装置に表示し、
前記車両は、前記灯色データを前記近距離無線通信により受信し、前記灯色データに基づき前記灯色を前記表示装置に表示し、
前記車両判断部は、前記車両が停止したことを判断し、
前記車両判断部が、前記車両が停止したことを判断すると、前記灯色判断部は、前記灯色を判断し、
前記車両判断部は、停止した前記車両が走行を再開したことを判断し、
前記車両判断部が、前記車両が走行を再開したことを判断すると、前記前方判断部は、前記オブジェクトを判断するのを停止し、前記通信制御部は、前記オブジェクトデータの送信を停止する
情報処理装置。
【請求項3】
近距離無線通信により車両にデータを送信するよう構成された通信装置と、
道路上の車両を検出する車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断する車両判断部と、
前記車両の進行方向前方に信号機が存在する場合、前記信号機の灯色を検出する灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断する灯色判断部と、
前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成する灯色データ生成部と、
前記灯色データを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御する通信制御部と、
道路上のオブジェクトを検出する環境検出装置が生成した環境情報に基づき、前記車体の前方に存在するオブジェクトを判断する前方判断部と、
前記オブジェクトに関するデータであるオブジェクトデータを生成するオブジェクトデータ生成部
として動作する制御回路と、
を具備し、
前記通信制御部は、前記オブジェクトデータを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御し、
前記車両は、前記オブジェクトデータを前記近距離無線通信により受信し、前記オブジェクトデータに基づき前記オブジェクトに関する情報を前記表示装置に表示し、
前記灯色判断部は、前記灯色が青色であると判断するまで、前記灯色を判断し続け、
前記灯色判断部が、前記灯色が前記青色であると判断すると、前記オブジェクトデータ生成部は、前記オブジェクトデータを生成する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記灯色検出装置は、カメラを用いずに、前記灯色を検出する
情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
前記灯色検出装置は、前記信号機の灯色を周期的に制御する信号機制御装置と通信可能であり、前記信号機制御装置との通信に基づき前記灯色を検出する
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記灯色データ生成部は、前記灯色データとして、前記灯色を示す色彩を有する画像である灯色画像を生成及び表示するためのデータを生成し、
前記車両は、前記灯色画像を、前記表示装置に表示する
情報処理装置。
【請求項7】
請求項2又は3に記載の情報処理装置であって、
前記オブジェクトデータ生成部は、前記オブジェクトデータとして、前記オブジェクトを示す画像であるオブジェクト画像を生成及び表示するためのデータを生成し、
前記車両は、前記オブジェクト画像を、前記表示装置に表示する
情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が、
道路上の車両を検出する車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断し、
前記車両の進行方向前方に信号機が存在する場合、前記信号機の灯色を検出する灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断し、
前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成し、
前記灯色データを前記車両に送信するよう通信装置を制御し、
前記車両が、
前記灯色データ
を近距離無線通信により受信し、
前記灯色データに基づき前記灯色を前記表示装置に表示
し、
前記情報処理装置が、
前記車両が停止したことを判断すると、前記灯色を判断し、
停止した前記車両が走行を再開したことを判断し、
前記車両が走行を再開したことを判断すると、前記灯色を判断するのを停止し、前記灯色データの送信を停止する
情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置が、
道路上の車両を検出する車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断し、
前記車両の進行方向前方に信号機が存在する場合、前記信号機の灯色を検出する灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断し、
前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成し、
前記灯色データを前記車両に送信するよう通信装置を制御し、
道路上のオブジェクトを検出する環境検出装置が生成した環境情報に基づき、前記車体の前方に存在するオブジェクトを判断し、
前記オブジェクトに関するデータであるオブジェクトデータを生成し、
前記オブジェクトデータを前記車両に送信するよう通信装置を制御し、
前記車両が、
前記オブジェクトデータを近距離無線通信により受信し、前記オブジェクトデータに基づき前記オブジェクトに関する情報を前記表示装置に表示し、
前記灯色データを近距離無線通信により受信し、前記灯色データに基づき前記灯色を前記表示装置に表示し、
前記情報処理装置が、
前記車両が停止したことを判断すると、前記灯色を判断し、
停止した前記車両が走行を再開したことを判断し、
前記車両が走行を再開したことを判断すると、前記オブジェクトを判断するのを停止し、前記オブジェクトデータの送信を停止する
情報処理方法。
【請求項10】
情報処理装置が、
道路上の車両を検出する車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断し、
前記車両の進行方向前方に信号機が存在する場合、前記信号機の灯色を検出する灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断し、
前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成し、
前記灯色データを前記車両に送信するよう通信装置を制御し、
道路上のオブジェクトを検出する環境検出装置が生成した環境情報に基づき、前記車体の前方に存在するオブジェクトを判断し、
前記オブジェクトに関するデータであるオブジェクトデータを生成し、
前記オブジェクトデータを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御し、
前記車両が、
前記オブジェクトデータを近距離無線通信により受信し、前記オブジェクトデータに基づき前記オブジェクトに関する情報を前記表示装置に表示し、
前記情報処理装置が、
前記灯色が青色であると判断するまで、前記灯色を判断し続け、
前記灯色が前記青色であると判断すると、前記オブジェクトデータを生成する
情報処理方法。
【請求項11】
近距離無線通信により車両にデータを送信するよう構成された通信装置と、
制御回路と、
を有する情報処理装置の前記制御回路を、
道路上の車両を検出する車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断する車両判断部と、
前記車両の進行方向前方に信号機が存在する場合、前記信号機の灯色を検出する灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断する灯色判断部と、
前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成する灯色データ生成部と、
前記灯色データを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御する通信制御部
として動作させ、
前記車両は、前記灯色データを前記近距離無線通信により受信し、前記灯色データに基づき前記灯色を前記表示装置に表示
し、
前記車両判断部は、前記車両が停止したことを判断し、
前記車両判断部が、前記車両が停止したことを判断すると、前記灯色判断部は、前記灯色を判断し、
前記車両判断部は、停止した前記車両が走行を再開したことを判断し、
前記車両判断部が、前記車両が走行を再開したことを判断すると、前記灯色判断部は、前記灯色を判断するのを停止し、前記通信制御部は、前記灯色データの送信を停止する
情報処理プログラム。
【請求項12】
近距離無線通信により車両にデータを送信するよう構成された通信装置と、
制御回路と、
を有する情報処理装置の前記制御回路を、
道路上の車両を検出する車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断する車両判断部と、
前記車両の進行方向前方に信号機が存在する場合、前記信号機の灯色を検出する灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断する灯色判断部と、
前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成する灯色データ生成部と、
前記灯色データを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御する通信制御部と、
道路上のオブジェクトを検出する環境検出装置が生成した環境情報に基づき、前記車体の前方に存在するオブジェクトを判断する前方判断部と、
前記オブジェクトに関するデータであるオブジェクトデータを生成するオブジェクトデータ生成部
として動作させ、
前記通信制御部は、前記オブジェクトデータを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御し、
前記車両は、前記オブジェクトデータを前記近距離無線通信により受信し、前記オブジェクトデータに基づき前記オブジェクトに関する情報を前記表示装置に表示し、
前記車両は、前記灯色データを前記近距離無線通信により受信し、前記灯色データに基づき前記灯色を前記表示装置に表示し、
前記車両判断部は、前記車両が停止したことを判断し、
前記車両判断部が、前記車両が停止したことを判断すると、前記灯色判断部は、前記灯色を判断し、
前記車両判断部は、停止した前記車両が走行を再開したことを判断し、
前記車両判断部が、前記車両が走行を再開したことを判断すると、前記前方判断部は、前記オブジェクトを判断するのを停止し、前記通信制御部は、前記オブジェクトデータの送信を停止する
情報処理プログラム。
【請求項13】
道路上の車両を検出する車両検出装置と、
前記車両の進行方向前方に存在する信号機の灯色を検出する灯色検出装置と、
情報処理装置であって、
近距離無線通信により車両にデータを送信するよう構成された通信装置と、
前記車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断する車両判断部と、
前記車両の進行方向前方に前記信号機が存在する場合、前記灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断する灯色判断部と、
前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成する灯色データ生成部と、
前記灯色データを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御する通信制御部
として動作する制御回路と、
を有する情報処理装置と
を具備し、
前記車両は、前記灯色データを前記近距離無線通信により受信し、前記灯色データに基づき前記灯色を前記表示装置に表示
し、
前記車両判断部は、前記車両が停止したことを判断し、
前記車両判断部が、前記車両が停止したことを判断すると、前記灯色判断部は、前記灯色を判断し、
前記車両判断部は、停止した前記車両が走行を再開したことを判断し、
前記車両判断部が、前記車両が走行を再開したことを判断すると、前記灯色判断部は、前記灯色を判断するのを停止し、前記通信制御部は、前記灯色データの送信を停止する
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両と近距離通信可能な情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大型車両(バス等)の後続車両の運転者は、大型車両に視界が遮られるため、大型車両の前方の環境を知ることが難しい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バスは、バス停がある度に停止し、且つ、乗降客を待つため単なる一時停止より比較的長時間停止する。このため、後続車両の運転者は、停止中のバスを追い越したいと考えることがある。しかしながら、後続車両の運転者は、バスの車体に視界が遮られるため、バスの前方の環境(信号機の有無、信号機の灯色、歩行者の有無、対向車両の有無等)を知ることが難しい場合がある。このため、後続車両の運転者は、安全性を十分に確認できずにバスを追い越すことができず、渋滞が発生するおそれがある。あるいは、後続車両の運転者は、安全性の確認が不十分なままバスを追い越すおそれがある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、バス等の大型車両の前方の環境を後続車両の運転者に伝達することを支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る情報処理装置は、近距離無線通信により車両にデータを送信するよう構成された通信装置と、道路上の車両を検出する車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断する車両判断部と、前記車両の進行方向前方に信号機が存在する場合、前記信号機の灯色を検出する灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断する灯色判断部と、前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成する灯色データ生成部と、前記灯色データを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御する通信制御部として動作する制御回路と、を具備し、前記車両は、前記灯色データを前記近距離無線通信により受信し、前記灯色データに基づき前記灯色を前記表示装置に表示する。
【0007】
これにより、後続車両の運転者は、実際にはバスの前方に存在する信号機の灯色が見えない場合であっても、バスの車体の背面の表示装置に表示された灯色を見て、実際の信号機で点灯している灯色を知ることができる。
【0008】
一実施形態によれば、情報処理装置の制御回路は、道路上のオブジェクトを検出する環境検出装置が生成した環境情報に基づき、前記車体の前方に存在するオブジェクトを判断する前方判断部と、前記オブジェクトに関するデータであるオブジェクトデータを生成するオブジェクトデータ生成部としてさらに動作し、前記通信制御部は、前記オブジェクトデータを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御し、前記車両は、前記オブジェクトデータを前記近距離無線通信により受信し、前記オブジェクトデータに基づき前記オブジェクトに関する情報を前記表示装置に表示する。
【0009】
これにより、後続車両の運転者は、実際にはバスの進行方向前方の環境が見えない場合であっても、バスの車体の背面の表示装置に表示されたオブジェクトに関する情報を見て、実際に環境に存在するオブジェクト(横断歩行者、自転車、対向車両等)、あるいは、オブジェクトが存在しないことを知ることができる。
【0010】
一実施形態によれば、前記車両判断部は、前記車両が停止したことを判断し、
前記車両判断部が、前記車両が停止したことを判断すると、前記灯色判断部は、前記灯色を判断する。
【0011】
本実施形態によれば、バスが停止した場合、即ち、後続車両がバスを追い越す可能性がある場合に、後続車両の運転者は、バスの車体の背面の表示装置に表示された灯色やオブジェクトを見て、実際の信号機で点灯している灯色やオブジェクトの有無を知ることができる。
【0012】
一実施形態によれば、前記車両判断部は、停止した前記車両が走行を再開したことを判断し、前記車両判断部が、前記車両が走行を再開したことを判断すると、前記灯色判断部は、前記灯色を判断するのを停止し、前記通信制御部は、前記灯色データの送信を停止する。
【0013】
本実施形態によれば、停止したバスが走行を再開した場合、即ち、後続車両がバスを追い越す可能性が低い場合には、灯色を表示しない。これにより、後続車両の運転者が、表示装置に意識が向き過ぎて、却って周囲に対する注意力が散漫になることが防止される。
【0014】
一実施形態によれば、前記車両判断部は、停止した前記車両が走行を再開したことを判断し、前記車両判断部が、前記車両が走行を再開したことを判断すると、前記前方判断部は、前記オブジェクトを判断するのを停止し、前記通信制御部は、前記オブジェクトデータの送信を停止する。
【0015】
本実施形態によれば、停止したバスが走行を再開した場合、即ち、後続車両がバスを追い越す可能性が低い場合には、オブジェクトの情報を表示しない。これにより、後続車両の運転者が、表示装置に意識が向き過ぎて、却って周囲に対する注意力が散漫になることが防止される。
【0016】
一実施形態によれば、前記灯色判断部は、前記灯色が青色であると判断するまで、前記灯色を判断し続け、前記灯色判断部が、前記灯色が前記青色であると判断すると、前記オブジェクトデータ生成部は、前記オブジェクトデータを生成する。
【0017】
本実施形態によれば、バスの前方の信号機の灯色が青色の場合、即ち、後続車両がバスを追い越す可能性が高い場合に、後続車両の運転者は、オブジェクトの有無を知り、バスを追い越すことができるか否かを十分に安全に判断することができる。
【0018】
一実施形態によれば、前記灯色検出装置は、カメラを用いずに、前記灯色を検出する。
【0019】
本実施形態によれば、灯色検出装置は、カメラが撮影した信号機の画像に基づき信号機の灯色を検出するのではないため、正確な灯色検出情報を生成することができる。
【0020】
一実施形態によれば、前記灯色検出装置は、前記信号機の灯色を周期的に制御する信号機制御装置と通信可能であり、前記信号機制御装置との通信に基づき前記灯色を検出する。
【0021】
これにより、灯色検出装置は、西日の影響を受けないため、より正確な灯色検出情報を生成することを図れる。
【0022】
一実施形態によれば、前記灯色データ生成部は、前記灯色データとして、前記灯色を示す色彩を有する画像である灯色画像を生成及び表示するためのデータを生成し、前記車両は、前記灯色画像を、前記表示装置に表示する。
【0023】
これにより、文字が読めない運転者(外国人等)が灯色画像を見て、実際の信号機で点灯している灯色を一見で理解できる。また、文字が読める運転者も、灯色画像を見て直感的に灯色を理解できる。
【0024】
一実施形態によれば、前記オブジェクトデータ生成部は、前記オブジェクトデータとして、前記オブジェクトを示す画像であるオブジェクト画像を生成及び表示するためのデータを生成し、前記車両は、前記オブジェクト画像を、前記表示装置に表示する。
【0025】
これにより、文字が読めない運転者(外国人等)が灯オブジェクト画像を見て、実際には見えないオブジェクトを一見で理解できる。また、文字が読める運転者も、オブジェクト画像を見て直感的にオブジェクトを理解できる。
【0026】
本発明の一形態に係る情報処理方法は、情報処理装置が、道路上の車両を検出する車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断し、前記車両の進行方向前方に信号機が存在する場合、前記信号機の灯色を検出する灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断し、前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成し、前記灯色データを前記車両に送信するよう通信装置を制御し、前記車両が、前記灯色データを前記近距離無線通信により受信し、前記灯色データに基づき前記灯色を前記表示装置に表示する。
【0027】
本発明の一形態に係る情報処理プログラムは、近距離無線通信により車両にデータを送信するよう構成された通信装置と、制御回路と、を有する情報処理装置の前記制御回路を、道路上の車両を検出する車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断する車両判断部と、前記車両の進行方向前方に信号機が存在する場合、前記信号機の灯色を検出する灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断する灯色判断部と、前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成する灯色データ生成部と、前記灯色データを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御する通信制御部として動作させ、前記車両は、前記灯色データを前記近距離無線通信により受信し、前記灯色データに基づき前記灯色を前記表示装置に表示する。
【0028】
本発明の一形態に係る情報処理システムは、道路上の車両を検出する車両検出装置と、前記車両の進行方向前方に存在する信号機の灯色を検出する灯色検出装置と、情報処理装置であって、近距離無線通信により車両にデータを送信するよう構成された通信装置と、前記車両検出装置が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面に表示装置を有する車両を判断する車両判断部と、前記車両の進行方向前方に前記信号機が存在する場合、前記灯色検出装置が生成した灯色検出情報に基づき、前記信号機の灯色を判断する灯色判断部と、前記信号機の前記灯色を示すデータである灯色データを生成する灯色データ生成部と、前記灯色データを前記車両に送信するよう前記通信装置を制御する通信制御部として動作する制御回路と、を有する情報処理装置とを具備し、前記車両は、前記灯色データを前記近距離無線通信により受信し、前記灯色データに基づき前記灯色を前記表示装置に表示する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、バス等の大型車両の前方の環境を後続車両の運転者に伝達することを支援することを図れる。
【0030】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本発明中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0033】
1.情報処理システムの構成
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示す。
【0035】
情報処理システム1は、情報処理装置10と、情報処理装置10に有線又は無線で通信可能に接続された、車両検出装置11、灯色検出装置12及び環境検出装置13を有する。
【0036】
情報処理システム1は、道路の路側に設置される。より具体的には、情報処理システム1は、バス20が頻繁に停止することが想定されるバス停や信号機に設置される。
【0037】
車両検出装置11は、道路上のバス20等の車両を検出し、車両検出情報を生成する。車両検出情報は、車両の位置情報及びサイズ情報を含む。サイズ情報は、単にサイズ(幅、長さ、高さ)でもよいし、大型車、普通車、自動二輪車等の車種を含んでもよい。車両検出情報は、バス20が表示装置23(後述)を有するか否かを示す情報を含んでもよい。車両検出装置11は、定期的に(例えば、1秒毎に)、車両検出情報を生成して情報処理装置10に送信し続ける。車両検出装置11は、例えば、近赤外線光を発信して車両を検出する光学式車両感知器(所謂、光ビーコン)である。あるいは、車両検出装置11は、カメラ等の画像検出装置、ミリ波検出装置等の測距検出装置、あるいは画像検出装置と測距検出装置とを組み合わせたLiDAR(Light Detection and Ranging)等でもよい。あるいは、車両検出装置11は、バス20等の車両から送信されるGPS情報を、基地局(図示せず)を経由して受信することにより、車両を検出してもよい。
【0038】
灯色検出装置12は、バス20が停止することが想定される位置(例えば、バス停)の進行方向前方に存在する信号機の灯色(青、黄、赤)を検出し、灯色検出情報を生成する。灯色検出情報は、信号機の灯色(青、黄、赤)を示す。灯色検出装置12は、定期的に(例えば、1秒毎に)、灯色検出情報を生成して情報処理装置10に送信し続ける。典型的には、この信号機は、停止位置(バス停)にバス20が停止した場合に、後続車両(典型的なサイズの乗用車)の運転者から、バス20の車体に遮られて見ることが出来ない位置にある。灯色検出装置12は、カメラを用いずに、灯色を検出する。言い換えれば、灯色検出装置12は、カメラが撮影した信号機の画像に基づき信号機の灯色を検出するのではない。何故なら、カメラで撮影すると西日等の環境の影響を受けるため、検出結果が不正確となるおそれがあるためである。カメラに代わる方法として、例えば、灯色検出装置12は、信号機の灯色を周期的に制御する信号機制御装置(図示せず)と有線又は無線通信可能であり、信号機制御装置との通信に基づき灯色を検出すればよい。この方法は西日の影響を受けないため、灯色検出装置12は、より正確な灯色検出情報を生成することを図れる。
【0039】
環境検出装置13は、バス20が停止することが想定される位置(例えば、バス停)の進行方向前方の環境に存在するオブジェクト(横断歩行者、自転車、対向車両等)を検出し、環境情報を生成する。環境検出装置13は、定期的に(例えば、1秒毎に)、環境情報を生成して情報処理装置10に送信し続ける。環境情報は、環境に存在するオブジェクトの位置情報及びサイズ情報を含む。サイズ情報は、単にサイズ(幅、長さ、高さ)でもよいし、歩行者、自転車、車両等の種別を含んでもよい。典型的には、環境検出装置13は、停止位置(バス停)にバス20が停止した場合に、後続車両(典型的なサイズの乗用車)の運転者から、バス20の車体に遮られて見ることが出来ない位置にあるオブジェクト(横断歩行者、自転車、対向車両等)を検出する。より具体的には、バス20の車体の前面から比較的近くに存在するオブジェクトを検出する。言い換えれば、環境検出装置13は、後続車両が停止中のバス20を追い越す場合に安全性を十分に確認すべきエリアに存在するオブジェクトを検出する。環境検出装置13は、カメラ等の画像検出装置、ミリ波検出装置等の測距検出装置、あるいは画像検出装置と測距検出装置とを組み合わせたLiDAR(Light Detection and Ranging)等でもよい。なお、環境検出装置13と車両検出装置11とは共通の検出装置でもよい。
【0040】
情報処理装置10は、制御回路100及び通信装置14を有する。情報処理装置10は、通信装置14を用いて、バス20の車載器200と通信可能である。
【0041】
制御回路100は、車両検出装置11、灯色検出装置12及び環境検出装置13と通信可能に接続される。制御回路100は、車両検出装置11、灯色検出装置12及び環境検出装置13が生成した検出情報に基づき、バス20の前方の環境に関するデータを生成する。制御回路100は、ROM等の記憶装置に格納された情報処理プログラムをRAMにロードして実行することにより(図示せず)、車両判断部101、灯色判断部102、灯色データ生成部103、前方判断部104、オブジェクトデータ生成部105、通信制御部106として動作する(各部の動作は動作フローを参照して後述)。
【0042】
通信装置14は、近距離無線通信(例えば、LTE(Long Term Evolution))により、バス20の車載器200と通信可能である。通信装置14は、制御回路100に制御され、制御回路100が生成したバス20の前方の環境に関するデータを、バス20の車載器200に送信する。
【0043】
バス20は、通信装置21及び画像処理回路22を有する車載器200と、車外器としての表示装置23とを有する。表示装置23は、バス20の車体の背面24の、後続車両の運転者が見ることができる位置に設置される。表示装置23は、色彩を有する図案を表示可能であり、例えば、液晶、有機EL(Electroluminescence)等のディスプレイである。通信装置21は、バス20の前方に関するデータを、近距離無線通信(例えば、LTE)により情報処理装置10から受信する。画像処理回路22は、受信したデータに基づき、バス20の前方の環境を示す画像を生成して表示装置23に表示する。これにより、バス20の後続車両の運転者は、バス停で停止中のバス20の前方の環境(本来はバス20の車体に遮られて見ることが出来ないエリアの環境)を知ることができる。
【0044】
2.情報処理システムの動作フロー
【0045】
【0046】
前提として、定期的に(例えば、1秒毎に)、車両検出装置11は車両検出情報を生成して送信し続け、車両判断部101は車両検出情報を受信し続ける。定期的に(例えば、1秒毎に)、灯色検出装置12は灯色検出情報を生成して送信し続け、灯色判断部102は灯色検出情報を受信し続ける。定期的に(例えば、1秒毎に)、環境検出装置13は環境情報を生成して送信し続け、前方判断部104は環境情報を受信し続ける。
【0047】
車両判断部101は、車両検出装置11から車両検出情報を受信する。車両判断部101は、車両検出情報に含まれるサイズ情報(サイズ又は車種を示す)に基づき、道路上の車両がバス20であるかを判断する(ステップS101)。さらに、車両判断部101は、車両検出情報に基づき、バス20が表示装置23(後述)を有するか否かを判断してもよい。なお、以下の動作は、バス20の存在を判断すると常に(表示装置23の有無に拘わらず)実行されてもよいし、あるいは、正確に表示装置23の有無を判断できるなら、表示装置23を有するバス20の存在を判断した場合に限り実行してもよい。
【0048】
車両判断部101は、道路上の車両がバス20であると判断すると(ステップS101、YES)、車両検出情報に含まれる位置情報と、直前の位置情報との差分に基づき、バス20が停止したか否かを判断する(ステップS102)。
【0049】
バスが停止した場合(ステップS102、YES)、灯色判断部102は、灯色検出装置12から受信(ステップS103、YES)した灯色検出情報に基づき、停止したバス20の進行方向前方に存在する信号機の灯色(青、黄、赤)を判断する(ステップS104)。
【0050】
灯色データ生成部103は、信号機の灯色(青、黄、赤)を示すデータである灯色データを生成する。灯色データは、バス20の車載器200に対して送信可能なデータである。通信制御部106は、灯色データをバス20の車載器200に送信するよう通信装置14を制御する。通信装置14は、灯色データをバス20の車載器200に送信する(ステップS105)。
【0051】
灯色が青色である場合(ステップS106、YES)、即ち、後続車両がバス20を追い越す可能性が高い場合、制御回路100の動作は次のステップに進む。一方、灯色が赤色又は黄色である場合(ステップS106、NO)、灯色判断部102は、灯色が青色に変わるまで(ステップS106、YES)、灯色を判断し続け(ステップS104)、通信装置14を制御して灯色データを送信し続ける(ステップS105)。
【0052】
灯色が青色である場合(ステップS106、YES)、即ち、後続車両がバス20を追い越す可能性が高い場合、前方判断部104は、環境検出装置13から受信した環境情報に基づき、停止したバス20の進行方向前方の環境に存在するオブジェクトの有無、さらに、オブジェクトが存在する場合にはその種別(歩行者、自転車、車両等)を判断する(ステップS107)。
【0053】
オブジェクトデータ生成部105は、オブジェクトに関するデータであるオブジェクトデータを生成する。オブジェクトデータは、例えば、環境に存在するオブジェクトの種別(歩行者、自転車、車両等)を示す。オブジェクトデータは、オブジェクトが存在しない場合には、オブジェクトが存在しないことを示す。オブジェクトデータは、バス20の車載器200に対して送信可能なデータである。通信制御部106は、オブジェクトデータをバス20の車載器200に送信するよう通信装置14を制御する。通信装置14は、オブジェクトデータをバス20の車載器200に送信する(ステップS108)。
【0054】
ところで、灯色が青色であったが(ステップS106、YES)、その後赤色又は黄色に変わった場合(ステップS106、NO)は、前方判断部104は前方の環境に存在するオブジェクトの判断(ステップS107)を停止し、通信制御部106はオブジェクトデータの生成及び送信(ステップS108)を停止すればよい。
【0055】
ところで、車両判断部101は、定期的に(例えば、1秒毎に)、車両検出装置11から車両検出情報を受信し続けている。車両判断部101は、車両検出情報に含まれる位置情報と、直前の位置情報との差分に基づき、停止中のバス20が走行を再開したと判断する(ステップS102、NO)。バス20が走行を再開すると、灯色判断部102は、灯色を判断するのを停止し、前方判断部104は、オブジェクトを判断するのを停止し、通信制御部106は、灯色データ及びオブジェクトデータの送信(ステップS109、YES)を停止する(ステップS110)。通信制御部106は、単に送信を停止するだけもよいし、送信を停止することを示す停止通知をバス20の車載器200に送信してもよい。逆に言えば、バス20が停止中である限り(ステップS102、YES)、灯色判断部102は、灯色を判断し続け、前方判断部104は、オブジェクトを判断し続け、通信制御部106は、灯色データ及びオブジェクトデータを送信し続ける。
【0056】
3.バスの車載器の動作フロー
【0057】
【0058】
停止中のバス20の車載器200の通信装置21は、灯色データ(ステップS105)を、情報処理装置10から受信する(ステップS201、YES)。灯色データは、停止中のバス20の進行方向前方に存在する信号機の灯色(青、黄、赤)を示す。画像処理回路22は、灯色データに基づき、灯色画像を生成する。灯色画像は、灯色(青、黄、赤)を示す色彩を有する画像である。例えば、灯色画像は、信号機を表す図案に、1個の灯色(実際の信号機で点灯している灯色)が着色されている画像である。灯色画像は、文字を含んでもよいが、文字は補助的であり、意味を伝達する主体は色彩を有する画像(図案)である。言い換えれば、灯色画像は、文字が読めない運転者(外国人等)が一見で理解できるような画像である。画像処理回路22は、生成した灯色画像を、バス20の車体の背面24の表示装置23に表示する(ステップS202)。
【0059】
これにより、バス20の後続車両の運転者は、バス停で停止中のバス20の進行方向前方に存在する信号機(本来はバス20の車体に遮られて見ることが出来ない信号機)の灯色を知ることができる。
【0060】
車載器200の通信装置21は、オブジェクトデータ(ステップS108)を、情報処理装置10から受信する(ステップS203、YES)。オブジェクトデータは、環境に存在するオブジェクトの種別(歩行者、自転車、車両等)、あるいは、オブジェクトが存在しない場合には、オブジェクトが存在しないことを示す。画像処理回路22は、オブジェクトデータに基づき、オブジェクト画像を生成する。オブジェクト画像は、オブジェクトの種別(歩行者、自転車、車両等)、あるいは、オブジェクトが存在しないことを示す画像である。具体的には、オブジェクト画像は、オブジェクトの種別(歩行者、自転車、車両等)を示す図案や、オブジェクトが存在しないことを示す図案(例えば、安全性を表現する図案等)を含む画像である。オブジェクト画像は、文字を含んでもよいが、文字は補助的であり、意味を伝達する主体は画像(図案)である。言い換えれば、オブジェクト画像は、文字が読めない運転者(外国人等)が一見で理解できるような画像である。画像処理回路22は、生成したオブジェクト画像を、バス20の車体の背面24の表示装置23に表示する(ステップS204)。
【0061】
これにより、バス20の後続車両の運転者は、バス停で停止中のバス20の進行方向前方の環境(本来はバス20の車体に遮られて見ることが出来ないエリアの環境)を知ることができる。
【0062】
停止中のバス20が走行を再開すると(ステップS102、NO)、車載器200の通信装置21は、情報処理装置10から受信し続けていた灯色データ及びオブジェクトデータを受信しなくなる(ステップS205、YES)。通信装置21は、さらに、情報処理装置10が停止通知を送信した場合には、停止通知を受信する。すると、車載器200の画像処理回路22は、灯色画像及びオブジェクト画像の生成を止め、表示装置23への表示を停止する(ステップS206)。
【0063】
4.変形例
【0064】
バス20が停止することが想定される位置(例えば、バス停)の進行方向前方に信号機が存在しなければ、情報処理システム1は、灯色検出装置12を有さなくてよい。その場合、情報処理装置10の制御回路100は、灯色判断部102及び灯色データ生成部103の機能を有さなくてよい。その場合、情報処理装置10の動作フローとしては、情報処理装置10は、灯色検出情報を受信することがない(ステップS103、NO)ため、ステップS103乃至ステップS106の処理が無くなる。要するに、車両判断部101が、バスが停止したと判断すると(ステップS102、YES)、前方判断部104が、環境情報に基づきオブジェクトを判断することになる(ステップS107)。この様に、同じ動作フローが使えるため、信号機が存在しない場合も、情報処理装置10の制御回路100は、ハードウェア及びソフトウェア的に、灯色判断部102及び灯色データ生成部103を有しても有さなくても構わない。
【0065】
本実施形態では、情報処理装置10は、灯色が青色である場合に限り(ステップS106、YES)、オブジェクトを判断し(ステップS107)、オブジェクトデータをバス20の車載器200に送信する(ステップS108)。これに対して、灯色が何であるかに拘わらず、情報処理装置10は、オブジェクトを判断し、オブジェクトデータをバス20の車載器200に送信してもよい。情報処理装置10の動作フローとしては、ステップS106の処理が無くなるだけである。
【0066】
5.結語
【0067】
(1)一実施形態によれば、情報処理装置10は、近距離無線通信によりバス20にデータを送信するよう構成された通信装置14と、制御回路100とを有する。制御回路100は、道路上のバス20を検出する車両検出装置11が生成した車両検出情報に基づき、車体の背面24に表示装置23を有するバス20を判断する車両判断部101と、バス20の進行方向前方に信号機が存在する場合、信号機の灯色を検出する灯色検出装置12が生成した灯色検出情報に基づき、信号機の灯色を判断する灯色判断部102と、信号機の灯色を示すデータである灯色データを生成する灯色データ生成部103と、灯色データをバス20に送信するよう通信装置14を制御する通信制御部106として動作する。バス20は、灯色データを近距離無線通信により受信し、灯色データに基づき灯色を表示装置23に表示する。
【0068】
バス20の後続車両の運転者は、バス20の車体に視界が遮られるため、バス20の前方に存在する信号機の灯色を知ることが難しい場合がある。以上のような事情に鑑み、本実施形態によれば、情報処理装置10は、信号機の灯色を判断し、灯色データを生成し、車体の背面24に表示装置23を有するバス20に灯色データを送信する。バス20は、受信した灯色データに基づき灯色を車体の背面24の表示装置23に表示する。これにより、後続車両の運転者は、実際にはバス20の前方に存在する信号機の灯色が見えない場合であっても、バスの車体の背面24の表示装置23に表示された灯色を見て、実際の信号機で点灯している灯色を知ることができる。
【0069】
(2)一実施形態によれば、情報処理装置10の制御回路100は、道路上のオブジェクトを検出する環境検出装置13が生成した環境情報に基づき、車体の前方に存在するオブジェクトを判断する前方判断部104と、オブジェクトに関するデータであるオブジェクトデータを生成するオブジェクトデータ生成部としてさらに動作する。通信制御部106は、オブジェクトデータをバス20に送信するよう通信装置14を制御する。バス20は、オブジェクトデータを近距離無線通信により受信し、オブジェクトデータに基づきオブジェクトに関する情報を表示装置23に表示する。
【0070】
これにより、後続車両の運転者は、実際にはバス20の進行方向前方の環境が見えない場合であっても、バスの車体の背面24の表示装置23に表示されたオブジェクトに関する情報を見て、実際に環境に存在するオブジェクト(横断歩行者、自転車、対向車両等)、あるいは、オブジェクトが存在しないことを知ることができる。これにより、後続車両の運転者は、不意な飛び出しの可能性の有無等の安全性を知ることができる。
【0071】
(3)一実施形態によれば、車両判断部101は、バス20が停止したことを判断し、車両判断部101が、バス20が停止したことを判断すると、灯色判断部102は、灯色を判断する。
【0072】
バスは、バス停がある度に停止し、且つ、乗降客を待つため単なる一時停止より比較的長時間停止する。このため、後続車両の運転者は、停止中のバスを追い越したいと考えることがある。しかしながら、後続車両の運転者は、バスの車体に視界が遮られるため、バスの前方の環境(信号機の有無、信号機の灯色、歩行者の有無、対向車両の有無等)を知ることが難しい場合がある。このため、後続車両の運転者は、安全性を十分に確認できずにバスを追い越すことができず、渋滞が発生するおそれがある。あるいは、後続車両の運転者は、安全性の確認が不十分なままバスを追い越すおそれがある。そこで、本実施形態によれば、バス20が停止した場合、即ち、後続車両がバス20を追い越す可能性がある場合に、情報処理装置10は、車体の背面24に表示装置23を有するバス20に灯色データやオブジェクトデータを送信する。バス20は、受信した灯色データやオブジェクトデータに基づき灯色やオブジェクトの情報を車体の背面24の表示装置23に表示する。これにより、後続車両の運転者は、実際にはバス20の前方に存在する信号機の灯色やオブジェクトが見えない場合であっても、バスの車体の背面24の表示装置23に表示された灯色やオブジェクトを見て、実際の信号機で点灯している灯色やオブジェクトの有無を知り、バスを追い越すことができるか否かを十分に安全に判断することができる。
【0073】
(4)一実施形態によれば、車両判断部101は、停止したバス20が走行を再開したことを判断し、車両判断部101が、バス20が走行を再開したことを判断すると、灯色判断部102は、灯色を判断するのを停止し、通信制御部106は、灯色データの送信を停止する。
【0074】
本実施形態によれば、停止したバス20が走行を再開した場合、即ち、後続車両がバス20を追い越す可能性が低い場合には、情報処理装置10は、灯色データの送信を停止し、バス20は、灯色を表示しない。要するに、後続車両がバス20を追い越す可能性が低い場合には、表示を停止する。これにより、後続車両の運転者が、表示装置23に意識が向き過ぎて、却って周囲に対する注意力が散漫になることが防止される。
【0075】
(5)一実施形態によれば、車両判断部101は、停止したバス20が走行を再開したことを判断し、車両判断部101が、バス20が走行を再開したことを判断すると、前方判断部104は、オブジェクトを判断するのを停止し、通信制御部106は、オブジェクトデータの送信を停止する。
【0076】
本実施形態によれば、停止したバス20が走行を再開した場合、即ち、後続車両がバス20を追い越す可能性が低い場合には、情報処理装置10は、オブジェクトデータの送信を停止し、バス20は、オブジェクトの情報を表示しない。要するに、後続車両がバス20を追い越す可能性が低い場合には、表示を停止する。これにより、後続車両の運転者が、表示装置23に意識が向き過ぎて、却って周囲に対する注意力が散漫になることが防止される。
【0077】
(6)一実施形態によれば、灯色判断部102は、灯色が青色であると判断するまで、灯色を判断し続け、灯色判断部102が、灯色が青色であると判断すると、オブジェクトデータ生成部105は、オブジェクトデータを生成する。
【0078】
後続車両がバス20を追い越す可能性が高いのは、バス20の前方の信号機の灯色が青色のときである。従って、バス20の前方の信号機の灯色が青色の場合、即ち、後続車両がバス20を追い越す可能性が高い場合に、情報処理装置10は、車体の背面24に表示装置23を有するバス20に灯色データに加えて、オブジェクトデータを送信する。バス20は、灯色に加えて、オブジェクトの情報を車体の背面24の表示装置23に表示する。これにより、後続車両がバス20を追い越す可能性が高い場合に、後続車両の運転者は、オブジェクトの有無を知り、バスを追い越すことができるか否かを十分に安全に判断することができる。
【0079】
(7)一実施形態によれば、灯色検出装置12は、カメラを用いずに、灯色を検出する。
【0080】
カメラで撮影すると西日等の環境の影響を受けるため、検出結果が不正確となるおそれがある。本実施形態によれば、灯色検出装置12は、カメラが撮影した信号機の画像に基づき信号機の灯色を検出するのではないため、正確な灯色検出情報を生成することができる。
【0081】
(8)一実施形態によれば、灯色検出装置12は、信号機の灯色を周期的に制御する信号機制御装置と通信可能であり、信号機制御装置との通信に基づき灯色を検出する。
【0082】
これにより、灯色検出装置12は、西日の影響を受けないため、より正確な灯色検出情報を生成することを図れる。
【0083】
(9)一実施形態によれば、灯色データ生成部103は、灯色データとして、灯色を示す色彩を有する画像である灯色画像を生成及び表示するためのデータを生成し、バス20は、灯色画像を、表示装置23に表示する。
【0084】
灯色画像は、灯色(青、黄、赤)を示す色彩を有する画像である。例えば、灯色画像は、信号機を表す図案に、1個の灯色(実際の信号機で点灯している灯色)が着色されている画像である。灯色画像は、文字を含んでもよいが、文字は補助的であり、意味を伝達する主体は色彩を有する画像(図案)である。これにより、文字が読めない運転者(外国人等)が灯色画像を見て、実際の信号機で点灯している灯色を一見で理解できる。また、文字が読める運転者も、灯色画像を見て直感的に灯色を理解できるため、判断時間が短く済み、安全運転につながる。
【0085】
(10)一実施形態によれば、オブジェクトデータ生成部105は、オブジェクトデータとして、オブジェクトを示す画像であるオブジェクト画像を生成及び表示するためのデータを生成し、バス20は、オブジェクト画像を、表示装置23に表示する。
【0086】
オブジェクト画像は、オブジェクトの種別(歩行者、自転車、車両等)、あるいは、オブジェクトが存在しないことを示す画像である。具体的には、オブジェクト画像は、オブジェクトの種別(歩行者、自転車、車両等)を示す図案や、オブジェクトが存在しないことを示す図案(例えば、安全性を表現する図案等)を含む画像である。オブジェクト画像は、文字を含んでもよいが、文字は補助的であり、意味を伝達する主体は画像(図案)である。これにより、文字が読めない運転者(外国人等)が灯オブジェクト画像を見て、実際には見えないオブジェクトを一見で理解できる。また、文字が読める運転者も、オブジェクト画像を見て直感的にオブジェクトを理解できるため、判断時間が短く済み、安全運転につながる。
【0087】
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0088】
情報処理システム1
情報処理装置10
車両検出装置11
灯色検出装置12
環境検出装置13
通信装置14
バス20
通信装置21
画像処理回路22
表示装置23
背面24
制御回路100
車両判断部101
灯色判断部102
灯色データ生成部103
前方判断部104
オブジェクトデータ生成部105
通信制御部106
車載器200