(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】衣類処理装置、フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
D06F 39/10 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
D06F39/10 E
D06F39/10 D
(21)【出願番号】P 2020149824
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 貞人
(72)【発明者】
【氏名】西村 博司
(72)【発明者】
【氏名】森田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】長野 佑太
(72)【発明者】
【氏名】居初 嘉久
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-110985(JP,A)
【文献】実開昭56-078780(JP,U)
【文献】特許第6626772(JP,B2)
【文献】特開2006-263359(JP,A)
【文献】特表2017-508520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 1/00-17/08
A46D 1/00-99/00
A61C 17/22-17/40
D06F 1/00-51/02
D06F 58/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中の異物を捕獲するフィルタ装置を着脱可能に備える衣類処理装置であって、
前記フィルタ装置は、
異物を捕獲するフィルタ本体部と、
前記フィルタ本体部の縁部を含む外側部と、
前記外側部の内側に設けられる内側部と、
を備え、
前記内側部に設けられる複数の内側突起の上端部は、前記外側部に設けられる複数の外側突起の上端部以上の高さで
あり、
前記フィルタ本体部に流入する水を、前記内側突起の上端部から接触させる衣類処理装置。
【請求項2】
前記内側部における複数の前記内側突起の密度は、前記外側部における複数の前記外側突起の密度よりも低い請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記フィルタ装置は、底部が前記縁部よりも低い形状をなしており、
前記内側部は、前記底部に設けられている請求項1または2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記内側部は、前記内側突起が形成されていない複数の突起非形成部を備えている請求項1から3の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記外側突起の上端部および前記内側突起の上端部は、前記フィルタ装置の後端面の上端部よりも低い請求項1から4の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記フィルタ装置の後端面は、前記外側突起の上端部および前記内側突起の上端部よりも低い位置に排水穴を備えている請求項5に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記フィルタ装置の後端面は、その最下部に前記排水穴を備えている請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記外側突起および前記内側突起は、その表面が突起非形成部より粗く形成されている請求項
4に記載の衣類処理装置。
【請求項9】
衣類処理装置に着脱可能に備えられ、水中の異物を捕獲するフィルタ装置であって、
異物を捕獲するフィルタ本体部と、
前記フィルタ本体部の縁部を含む外側部と、
前記外側部の内側に設けられる内側部と、
を備え、
前記内側部に設けられる複数の内側突起の上端部は、前記外側部に設けられる複数の外側突起の上端部以上の高さで
あり、
前記フィルタ本体部に流入する水を、前記内側突起の上端部から接触させるフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、フィルタ装置を着脱可能に備える衣類処理装置、および、衣類処理装置に着脱可能に備えられるフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、衣類処理装置の一例である洗濯機は、洗濯水やすすぎ水中に含まれるリントや毛髪などの異物を捕獲するためのフィルタ装置を着脱可能に備えている。フィルタ装置は、例えば水槽内の洗濯水などを機外へ排水するための排水路上や、洗濯水などを水槽の内外で循環させるための循環水路上に設けられている。
【0003】
この種のフィルタ装置としては、例えば、多数の通水孔を有する格子状に形成されたフィルタ本体部を備えた形態のものが知られている。このフィルタ装置によれば、多数の通水孔を介してフィルタ本体部の内側から外側へ向けて洗濯水などを通すことで、洗濯水などに含まれるリントなどの異物をフィルタ本体部の内側に捕獲することができる。しかしながら、この形態のフィルタ装置では、フィルタ本体部の格子状の網目に異物が絡みやすい。そのため、フィルタ本体部から異物を除去することが困難であり、清掃性が悪化するという課題がある。
【0004】
一方で、例えば特許文献1に開示されているように、フィルタ本体部に複数の突起を設けた形態が考えられている。この形態のフィルタ装置によれば、洗濯水などに含まれるリントなどの異物をフィルタ本体部の複数の突起に引っ掛けるようにして捕獲することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているフィルタ装置によれば、捕獲された異物は、フィルタ本体部の複数の突起に引っ掛かっているだけであるので、比較的容易に除去することができ、従って、清掃性の向上を図ることができる。しかしながら、この形態のフィルタ装置では、フィルタ本体部に格子状の網目を設けたフィルタ装置に比べ、異物の捕集性能が劣ってしまうという課題がある。
【0007】
そこで、本実施形態は、衣類処理装置に着脱可能に備えられるフィルタ装置に関し、フィルタ本体部に複数の突起を設ける形態を採用する場合であっても、清掃性の向上を図ることができ、しかも、異物の捕集性能の向上を図ることができる構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る衣類処理装置は、水中の異物を捕獲するフィルタ装置を着脱可能に備える衣類処理装置であって、前記フィルタ装置は、異物を捕獲するフィルタ本体部と、前記フィルタ本体部の縁部を含む外側部と、前記外側部の内側に設けられる内側部と、を備え、前記内側部に設けられる複数の内側突起の上端部は、前記外側部に設けられる複数の外側突起の上端部以上の高さであり、前記フィルタ本体部に流入する水を、前記内側突起の上端部から接触させる。
【0009】
また、本実施形態に係るフィルタ装置は、衣類処理装置に着脱可能に備えられ、水中の異物を捕獲するフィルタ装置であって、異物を捕獲するフィルタ本体部と、前記フィルタ本体部の縁部を含む外側部と、前記外側部の内側に設けられる内側部と、を備え、前記内側部に設けられる複数の内側突起の上端部は、前記外側部に設けられる複数の外側突起の上端部以上の高さであり、前記フィルタ本体部に流入する水を、前記内側突起の上端部から接触させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る洗濯機の外観を概略的に示す斜視図
【
図2】本実施形態に係る洗濯機の内部構造を概略的に示す斜視図
【
図3】本実施形態に係る洗濯機の水路の構成例を概略的に示す正面図
【
図4】本実施形態に係るフィルタ装置が装着されたフィルタケースの構成例を概略的に示す斜視図
【
図5】本実施形態に係るフィルタ装置が装着されたフィルタケースの構成例を概略的に示す側面図
【
図6】本実施形態に係るフィルタ装置の構成例を概略的に示す斜視図
【
図7】本実施形態に係るフィルタ装置の構成例を概略的に示す平面図
【
図8】本実施形態に係るフィルタ装置の構成例を概略的に示す側面図
【
図9】本実施形態に係るフィルタ装置の構成例を概略的に示す背面図
【
図10】本実施形態に係るフィルタ装置を床面などに打ち付けた状態例を概略的に示す図
【
図11】本実施形態に係るフィルタ装置が装着されたフィルタケース内における水の流れを概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、衣類処理装置に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1および
図2に例示する洗濯機10は、衣類に洗い処理、すすぎ処理、脱水処理などを施す衣類処理装置の一例であり、外箱11、扉12、水槽13、回転槽14などを備えている。なお、本実施形態において、外箱11に対して扉12側を洗濯機10の前側とする。また、前後方向に対する直角水平方向を左右方向とする。また、前後方向および左右方向に直交する方向を上下方向とする。洗濯機10は、例えばドラム式洗濯機であり、水槽13の中心軸および回転槽14の回転中心軸が水平または地面に対して傾斜している。なお、洗濯機10は、例えばヒートポンプ式やヒータ式の乾燥機能を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
【0012】
外箱11は、例えば鋼板などによってほぼ矩形の箱状に形成されている。水槽13は、外箱11の内部に収容されており、ダンパ15によって弾性支持されている。回転槽14は、水槽13の内部に回転可能に収容されている。水槽13および回転槽14は、いずれも円筒形状の軸方向の一方側が開口し他方側が閉塞した、いわゆる有底円筒状に形成されている。
【0013】
図3にも例示するように、洗濯機10は、給水装置16、排水弁17、循環ポンプ18、フィルタユニット30などを備えている。給水装置16は、外箱11内にあって、水槽13の左右の一方寄りの上部に設けられている。給水装置16は、給水弁161や注水ケース162を有している。給水弁161は、図示しない水道などの外部の水源に接続されており、洗濯機10の動作全般を制御する図示しない制御装置によって開閉制御される。給水弁161が開放されると、外部の水源から供給される水は、給水弁161および注水ケース162を通って水槽13に注水される。
【0014】
排水弁17および循環ポンプ18は、水槽13の下方に設けられている。排水弁17は、例えば電磁弁であって、図示しない制御装置によって開閉制御される。排水弁17の流入側は、接続管191,192を介して、水槽13の底部近傍に設けられた排水口131に接続されている。排水弁17の吐出側は、排水管20を介して機外へ繋がっている。この構成において、水槽13の排水口131から排水弁17を経由して排水管20から機外へ至る経路を排水路Aと称する。この排水路Aは、洗濯機10が備える水路の一例である。循環ポンプ18の駆動が停止された状態で排水弁17が開かれると、水槽13内に貯留されている洗濯水やすすぎ水は、排水路Aを通って機外へ排出される。
【0015】
循環ポンプ18は、図示しない制御装置による制御を受けて、水の吐出量を調整可能に構成されている。循環ポンプ18の流入側は、接続管191,193を介して、水槽13の底部近傍に設けられた排水口131に接続されている。循環ポンプ18の吐出側は、循環ホース21を介して、水槽13に設けられた吐出部132に接続されている。この構成において、水槽13の排水口131から循環ポンプ18を経由して水槽13の吐出部132から再び水槽13に至る経路を循環水路Bと称する。この循環水路Bは、洗濯機10が備える水路の一例である。排水弁17が閉じられた状態で循環ポンプ18が動作すると、水槽13内に貯留されている洗濯水やすすぎ水は、循環水路Bを通って吐出部132から再び水槽13および回転槽14の内部に放水される。なお、循環水路Bは、必ずしも備えている必要はない。
【0016】
図3に示すように、フィルタユニット30は、排水路Aまたは循環水路Bの少なくともいずれか一方の水路上に設けられている。本実施形態の場合、フィルタユニット30は、排水路A上であって、かつ、循環水路B上に設けられている。即ち、フィルタユニット30は、排水口131から排水弁17に至る水路の途中であって、かつ、排水口131から循環ポンプ18に至る水路の途中でもある共通の水路上に設けられている。フィルタユニット30は、排水路Aおよび循環水路Bを流れる水に含まれるリントや毛髪などの異物を捕捉する。
【0017】
また、フィルタユニット30は、フィルタケース40およびフィルタ装置50を備えている。フィルタケース40は、剛性を有する材料、例えば合成樹脂材料により構成されている。このフィルタケース40は、排水路A上であって、かつ、循環水路B上に設けられており、排水路Aおよび循環水路Bの一部を構成している。
【0018】
図4および
図5に例示するように、フィルタケース40は、前面側に開口部が形成されているとともに、この開口部から一方向に向かって長い円筒形状、この場合、洗濯機10の前側から後側に向かって若干下降傾斜する長い円筒形状に形成されている。また、フィルタケース40の流入口41には、接続管191が接続される。また、フィルタケース40の流出口42には、接続管192が接続される。また、フィルタケース40の循環口43には、接続管193が接続される。
【0019】
水槽13内の水を機外に排出する場合には、フィルタケース40内には、流入口41から水が流入し、その流入した水は流出口42から排出される。また、水槽13内の水を循環させる場合には、フィルタケース40内には、流入口41から水が流入し、その流入した水は循環口43から排出される。
【0020】
フィルタ装置50は、このように構成されるフィルタケース40に対して抜き差しすることで着脱可能に構成されている。この場合、フィルタ装置50は、フィルタケース40内に差し込まれることでフィルタケース40内に装着され、フィルタケース40から引き出されることでフィルタケース40内から取り外される。なお、フィルタケース40の開口部は、
図1に例示する蓋部材111によって開閉されるようになっている。
【0021】
次に、フィルタ装置50の構成例について、さらに詳細に説明する。
図6から
図9に例示するように、フィルタ装置50は、操作部51およびフィルタ本体部52を備えている。フィルタ装置50は、操作部51にフィルタ本体部52が取り付けられることにより構成されている。フィルタ本体部52および操作部51は、何れも、剛性を有する材料、例えば合成樹脂材料により構成されている。
【0022】
操作部51は、フィルタケース40に対するフィルタ装置50の着脱の際に使用者によって操作される構成要素であり、この場合、円柱部55および摘み部56を一体に備えている。円柱部55は、全体としてほぼ円柱形状に形成されており、その外側面に係合部55aを有している。係合部55aは、フィルタケース40の開口部の内周面に設けられている図示しない被係合部に係合可能な形状となっている。
【0023】
摘み部56は、例えば所定の厚さを有する板状に形成されており、円柱部55の前側からフィルタ本体部52とは反対側つまり前側へ突出している。摘み部56は、フィルタケース40に対するフィルタ装置50の着脱の際に使用者によって手指で摘まれる構成要素である。使用者は、この摘み部56を手指で摘むことで、操作部51の操作、この場合、回動操作を容易に行うことができる。
【0024】
フィルタ装置50をフィルタケース40内に取り付ける場合には、使用者は、まずフィルタ装置50をフィルタケース40内に差し込み、その後、摘み部56を摘まんで操作部51全体を所定の取り付け方向D1に回動させる。これにより、フィルタ装置50側の係合部55aがフィルタケース40側の被係合部に係合し、フィルタ装置50がフィルタケース40内に挿入された状態で固定される。これにより、フィルタ装置50をフィルタケース40内に取り付けることができる。
【0025】
一方、フィルタ装置50をフィルタケース40内から取り外す場合には、使用者は、まず摘み部56を摘まんで操作部51全体を所定の取り外し方向D2に回動させる。これにより、フィルタ装置50側の係合部55aがフィルタケース40側の被係合部に係合した係合状態が解除される。その後、使用者は、フィルタ装置50をフィルタケース40内から抜き出す。これにより、フィルタ装置50をフィルタケース40内から取り外すことができる。
【0026】
フィルタ本体部52は、フィルタ装置50において異物を捕獲する主体となる部分であって、そのベース部分を構成するベース部52aを備えている。フィルタ本体部52のベース部52aは、一方向、この場合、フィルタケース40の長手方向に沿うように長く形成されている。また、
図8および
図9に例示するように、フィルタ本体部52のベース部52aは、その底部が当該ベース部52aの短手方向における両縁部よりも低くなった形状、いわゆる船底形状をなしている。
【0027】
また、フィルタ本体部52は、ベース部52aの後端部に後端面52bを備えている。後端面52bは、その上部がフィルタケース40の内周面に沿う形状をなしている。但し、後端面52bの上端部は、フィルタケース40の内周面に沿っておらず、平坦面となっている。また、後端面52bは、その下部がいわゆる船底形状のベース部52aに沿う形状となっている。
【0028】
また、
図7に例示するように、フィルタ装置50は、外側部53および内側部54を備えている。外側部53は、フィルタ本体部52のベース部52aの一部として設けられており、当該ベース部52aの短手方向における両縁部および当該ベース部52aの後縁部を含む部位となっている。また、外側部53は、その一部、この場合、内側部分が、いわゆる船底形状のベース部52aの底面に至っている。
【0029】
一方、内側部54は、フィルタ本体部52のベース部52aの一部として、外側部53の内側に設けられている。また、内側部54は、その全体が、いわゆる船底形状のベース部52aの底面に収められている。
【0030】
そして、外側部53には、複数の外側突起53aが設けられている。この場合、複数の外側突起53aは、ベース部52aの短手方向において最も外側に位置する外側突起53a-OUTの上端部が、それよりも内側に位置する外側突起53a-INの上端部よりも低くなっている。
【0031】
また、内側部54には、複数の内側突起54aが設けられている。そして、内側部54に設けられる複数の内側突起54aの上端部は、外側部53に設けられる複数の外側突起53aのうちベース部52aの短手方向において最も外側に位置する外側突起53a-OUTの上端部以上の高さとなっている。
【0032】
また、内側部54に設けられる複数の内側突起54aの上端部は、外側部53に設けられる複数の外側突起53aのうちベース部52aの短手方向において最も外側に位置する外側突起53a-OUT以外の外側突起53aである外側突起53a-INの上端部と殆ど或いは全く同じ高さとなっている。
【0033】
また、内側部54において、複数の内側突起54aは、ベース部52aの長手方向に沿って一直線状に設けられている。また、複数の内側突起54aは、相互に等間隔を有して設けられている。この場合、内側突起54aの離間間隔は、少なくとも外側突起53aの離間間隔よりも大きくなっている。
【0034】
また、内側部54における複数の内側突起54aの密度は、外側部53における複数の外側突起53aの密度よりも低くなっている。つまり、単位面積当たりの内側突起54aの本数は、単位面積当たりの外側突起53aの本数よりも少なくなっている。具体的に説明すると、内側部54には、この場合、5本の内側突起54aが設けられている。これに対し、外側部53には、少なくとも5本以上の多数の外側突起53aが設けられている。つまり、外側部53には、内側突起54aの本数を超える多数の外側突起53aが設けられている。
【0035】
また、内側部54には、内側突起54aが形成されていない複数の突起非形成部54bが備えられている。突起非形成部54bは、内側部54に設けられている複数の内側突起54aの間に設けられている。また、突起非形成部54bは、それぞれ、少なくとも人の指1本が入る程度の大きさを有している。
【0036】
また、内側部54において隣り合う突起非形成部54bは、連結空間部54cにより連結されている。これにより、複数の内側突起54aは、それぞれ、突起非形成部54bおよび連結空間部54cからなる連続した空間によって囲まれるようになっている。連結空間部54cには、内側突起54aが設けられておらず、例えば、人の指1本よりも細い棒状の部材を挿通可能な空間を形成している。これにより、内側部54においては、例えば人の指1本よりも細い棒状の部材を突起非形成部54bや連結空間部54cに差し込んで、かつ、当該部材を移動させることが可能となっている。そして、このように細い棒状の部材を突起非形成部54bや連結空間部54cにおいて移動させることで、内側突起54aと最も内側の外側突起53aとの間に捕獲されている異物を除去することが可能である。
【0037】
また、外側突起53aの上端部および内側突起54aの上端部は、何れも、フィルタ装置50の後端面52bの上端部よりも低くなっている。そのため、
図10に例示するように、使用者がフィルタ装置50の操作部51を把持して後端面52bを床面Dなどに当接させたとしても、外側突起53aや内側突起54aが床面Dなどに当接することを回避することができる。
【0038】
また、外側突起53aおよび内側突起54aは、その表面が突起非形成部54bより粗く形成されている。即ち、外側突起53aおよび内側突起54aは、その表面に多数の微細な凹凸形状を有した構成となっている。なお、フィルタ装置50において外側突起53aおよび内側突起54aとは異なる構成要素、例えば、操作部51、ベース部52a、後端面52bなどの表面は、平滑に形成されている。
【0039】
また、
図9に例示するように、フィルタ装置50の後端面52bは、外側突起53aの上端部および内側突起54aの上端部よりも低い位置に複数、この場合、5つの排水穴52cを備えている。この場合、複数の排水穴52cは、上下方向に長い矩形の穴となっている。また、複数の排水穴52cは、フィルタ装置50の短手方向における中央部の排水穴52cが最も大きく、両縁部の排水穴52cほど小さくなっている。但し、複数の排水穴52cの上端部は、何れも、内側突起54aの上端部および外側突起53aの上端部よりも低くなっている。
【0040】
また、フィルタ装置50の後端面52bは、その最下部にも排水穴52dを備えている。この場合、排水穴52dは、上述した複数の排水穴52cのうち最も大きい中央部の排水穴52cの下方に位置して設けられている。また、排水穴52dは、フィルタ本体部52のベース部52aの底部に連通している。よって、この排水穴52dによれば、フィルタ本体部52のベース部52aの底部に滞留した残水も排出することが可能である。
【0041】
以上に例示した本実施形態によれば、洗濯機10の水路に着脱可能に備えられるフィルタ装置50は、異物を捕獲する主体となるフィルタ本体部52と、このフィルタ本体部52の縁部を含む外側部53と、この外側部53の内側に設けられる内側部54と、を備え、内側部54に設けられる複数の内側突起54aの上端部は、外側部53に設けられる複数の外側突起53aの上端部、この場合、外側突起53a-OUTの上端部以上の高さとなっている。
【0042】
この構成によれば、フィルタ装置50は、異物を捕獲する主体となるフィルタ本体部52に複数の突起53a,54aを設けた構成であるので、突起53a,54aに引っ掛かった異物を容易に除去することができ、多数の通水孔を有する格子状に形成された従来のフィルタ装置に比べ、清掃性の向上を図ることができる。
【0043】
また、フィルタ装置50によれば、フィルタ本体部52において、内側部54の内側突起54aの上端部を外側部53の外側突起53aの上端部、この場合、外側突起53a-OUTの上端部以上の高さとしている。この構成によれば、比較的長い内側突起54aにより効率良く異物を捕獲することができる。また、仮に内側突起54aにより捕獲できなかった異物が発生したとしても、その異物を、内側突起54aよりも外側において外側突起53a-OUTによって捕獲することができ、異物の捕集性能の向上を図ることができる。
【0044】
また、フィルタ装置50によれば、外側部53において、外側突起53a-INの上端部を外側突起53a-OUTの上端部以上の高さとしている。この構成によれば、比較的長い外側突起53a-INにより効率良く異物を捕獲することができる。また、仮に外側突起53a-INにより捕獲できなかった異物が発生したとしても、その異物を、外側突起53a-INよりも外側において外側突起53a-OUTによって捕獲することができ、異物の捕集性能の向上を図ることができる。
【0045】
以上の通り、本実施形態によれば、洗濯機10に着脱可能に備えられるフィルタ装置50に関し、フィルタ本体部52に複数の突起53a,54aを設ける形態を採用する場合であっても、清掃性の向上を図ることができ、しかも、異物の捕集性能の向上を図ることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、内側部54における複数の内側突起54aの密度は、外側部53における複数の外側突起53aの密度よりも低くなっている。この構成によれば、内側部54の複数の内側突起54aの間に、例えば、人の指や細い棒状の部材などを差し込みやすく、従って、フィルタ本体部52に捕獲された異物を容易に除去することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、フィルタ装置50は、フィルタ本体部52の底部が縁部よりも低い形状をなしており、内側部54は、このようなフィルタ本体部52の底部に設けられている。
図11に例示するように、流入口41からフィルタケース40内に流入した水Wは、まずフィルタ本体部52の底部に向かって流れ、その後、フィルタ本体部52の底部から縁部側に広がるようにして流出する。従って、フィルタケース40内に流入した水Wに含まれる異物を、まず内側部54の複数の内側突起54aによって捕獲することができ、その後、内側部54を通過した水に含まれる異物を外側部53の外側突起53aによって捕獲することができる。
【0048】
即ち、フィルタ装置50によれば、内側部54の内側突起54aを一次フィルタとして機能させ、外側部53の外側突起53aを二次フィルタとして機能させることができ、このような二重のフィルタ構造によって異物の捕獲性能の一層の向上を図ることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、内側部54は、内側突起54aが形成されていない複数の突起非形成部54bを備えている。この構成によれば、内側突起54aに絡まっている異物を、突起非形成部54bに例えば人の指や細い棒状の部材などを挿入して容易に除去することができ、清掃性の一層の向上を図ることができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、外側突起53aの上端部および内側突起54aの上端部は、フィルタ装置50の後端面52bの上端部よりも低くなっている。この構成によれば、
図10に矢印Hで例示するように、後端面52bを床面Dなどに打ち付けることで、外側突起53aや内側突起54aに絡まっている異物を、打ち付け時に発生する衝撃や振動を利用して除去することがきる。よって、使用者は、外側突起53aや内側突起54aに絡まっている異物に直接的に触れなくても、異物の除去を行うことができる。
【0051】
なお、フィルタ装置50によれば、後端面52bの上端が平坦面となっている。そのため、後端面52bを床面Dなどに打ち付けやすくなっており、打ち付けによる異物の除去を一層行いやすくできる。
【0052】
また、本実施形態によれば、フィルタ装置50の後端面52bは、外側突起53aの上端部および内側突起54aの上端部よりも低い位置に排水穴52cを備えている。この構成によれば、フィルタ本体部52内からの排水穴52cを介した排水が外側突起53aの上端部や内側突起54aの上端部よりも低い位置で行われるようになるため、確実に外側部53や内側部54を通過させた上で排水を行うことができる。よって、排出される水を確実に外側突起53aや内側突起54aに接触させることができ、異物の捕獲性能の一層の向上を図ることができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、フィルタ装置50の後端面52bは、その最下部に排水穴52dを備えている。この構成によれば、フィルタ本体部52の底部に溜まった水を排水穴52dから排出することができ、フィルタ本体部52の底部に水が残留することを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、外側突起53aおよび内側突起54aは、その表面が突起非形成部54bより粗く形成されている。この構成によれば、外側突起53aや内側突起54aに異物を一層絡ませやすくでき、異物の捕獲性能の一層の向上を図ることができる。
【0055】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように拡張または変形することができる。例えば、内側部54に設けられる内側突起54aの数は、5本に限られるものではなく、外側突起53aよりも少ない本数において適宜変更して実施することができる。また、内側部54における複数の内側突起54aの間の間隔を異ならせてもよい。また、外側突起53aおよび内側突起54aは、その表面が平滑に形成されたものであってもよい。また、外側部53における複数の外側突起53aの配置位置および内側部54における複数の内側突起54aの配置位置は、適宜変更して実施することができる。
【0056】
また、外側突起53aに対する内側突起54aの高さは、少なくとも外側突起53a-OUT以上となる高さの範囲において適宜変更して実施することができる。また、外側突起53a-OUTに対する外側突起53a-INの高さは、少なくとも外側突起53a-OUT以上となる高さの範囲において適宜変更して実施することができる。また、外側突起53a-OUTの高さは、外側突起53a-IN以下となる高さの範囲、および、内側突起54a以下となる高さの範囲において適宜変更して実施することができる。
【0057】
また、本実施形態は、回転槽の回転中心軸が鉛直方向に延びる、いわゆる縦軸型の洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有する洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有しない洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、例えば、衣類の消臭、脱臭、除菌、漂白など、衣類に対して何らかの処理を施す装置であれば、種々の衣類処理装置に適用することができる。
【0058】
以上、本発明に係る一実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
図面中、10は洗濯機(衣類処理装置)、50はフィルタ装置、52はフィルタ本体部、52aはフィルタ装置の底部、52bはフィルタ装置の後端面、52cは排水穴、52dは排水穴、53は外側部、53aは外側突起、54は内側部、54aは内側突起、54bは突起非形成部、を示す。